説明

表示オブジェクト入力操作端末、表示オブジェクト管理装置、表示オブジェクト入力表示システム、表示オブジェクト入力表示方法、及び表示オブジェクト管理プログラム

【課題】複数の仮想付箋紙が表示されている場合でも、追加記入する対象の仮想付箋紙を容易に探索して追記でき、使用者の利便性を向上する。
【解決手段】PC4のCPUにより、ステップSS10で電子ペン2によるノート30への記載に対応したストロークデータを生成し、ステップSS25とステップSS35でストロークデータを新規の仮想付箋紙に記入するか、又は既存の仮想付箋紙に追記するかのいずれかを選択し、追記が選択された場合、ステップSS110とステップSS115で既存ストロークデータのブロック中心位置と追記ストロークデータの記入開始位置を取得し、ステップSS120、ステップSS125、及びステップSS130で記入開始位置から最も近いブロック中心位置に対応する既存ストロークデータを取得し、ステップSS60で、取得した既存ストロークデータに追記ストロークデータを追記する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示画面上において文書情報を表示する表示オブジェクトの表示及び追記記入力が可能な表示オブジェクト入力操作端末、表示オブジェクト管理装置、表示オブジェクト入力表示システム、表示オブジェクト入力表示方法、及び表示オブジェクト管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、パーソナルコンピュータなどの情報機器の表示画面上において、文字列などの文書情報を記入した表示オブジェクトを仮想的な付箋紙の形態で作成し表示するアプリケーション、又はWEBサービスが普及している。なお、WEBサービスの場合は、クライアントである複数のパーソナルコンピュータが、サーバーで記憶管理されている共有ファイルとしての仮想付箋紙(表示オブジェクト)の情報をネットワークを介して送受信する。
【0003】
このようにサーバーとクライアントがネットワークを介して共有ファイルを送受信して共有するファイル管理システムにおいて、クライアントがサーバーからダウンロードした共有ファイルを編集した際、その編集内容の種類毎に設定された編集レベルに応じて当該編集の反映を行うか否か判定する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−199401号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した編集内容の具体的な例として、共有ファイルである仮想付箋紙(表示オブジェクト)の記載情報にさらに記載を追記したい場合があるが、上記従来技術ではサーバーに記憶されている複数の共有ファイルのうちから任意のものを追記対象として探索する機能がない。そして、表示画面上において共有ファイルの記載内容を示す仮想付箋紙(表示オブジェクト)が大量に表示されている場合には、追記対象の仮想付箋紙を探索する手間が煩雑であり、目視で見つけることが困難であった。
【0006】
本発明の目的は、複数の表示オブジェクトが表示されている場合でも、追加記入する対象の表示オブジェクトを容易に探索して追記でき、使用者の利便性を向上可能な表示オブジェクト入力操作端末、表示オブジェクト管理装置、表示オブジェクト入力表示システム、表示オブジェクト入力表示方法、及び表示オブジェクト管理プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、第1の発明は、文書情報を表示する所定形状の表示オブジェクトを表示手段に表示可能な表示オブジェクト管理装置に接続する表示オブジェクト入力操作端末であって、被筆記体への筆記内容に対応したデータ入力を行う電子筆記具の前記被筆記体における位置情報を検出可能な位置検出手段と、前記位置検出手段における前記位置情報の検出結果に基づき、前記電子筆記具による前記被筆記体への記載に対応した入力ストロークデータを生成する入力ストロークデータ生成手段と、前記入力ストロークデータ生成手段で生成した前記入力ストロークデータを、新規の表示オブジェクトに記入するか、又は既存の表示オブジェクトに追記するかのいずれかを選択する選択手段と、前記選択手段によって前記入力ストロークデータを前記既存の表示オブジェクトに追記すると選択された場合、前記既存の表示オブジェクトにすでに記入された既存ストロークデータの前記位置検出手段の有効領域座標における記入領域の既存基準位置と、前記入力ストロークデータの前記位置検出手段の有効領域座標における記入領域の追記基準位置とを取得するデータ基準位置取得手段と、前記追記基準位置から近い前記既存基準位置を検出し、それに対応する前記既存ストロークデータを取得する近接データ取得手段と、前記近接データ取得手段で取得した前記既存ストロークデータに前記入力ストロークデータを追記するデータ追記手段と、を有することを特徴とする。
【0008】
本願第1発明においては、位置検出手段で検出した電子筆記具の位置情報が入力されるとともに、表示手段に表示オブジェクトを表示可能な表示オブジェクト管理装置に接続して表示オブジェクトを入力操作できる。
【0009】
表示手段には、その表示領域中において使用者が任意の位置に複数の表示オブジェクトを作成し、その存在領域中に任意の文字データをストロークデータの形態で入力して表示させることができる。なお、表示領域中における表示オブジェクトの座標位置に関する指示及び操作は、別途他の操作機器によって行う。このように、表示手段は表示オブジェクトアプリケーションの表示に利用できる。
【0010】
そこで本願第1発明においては、位置検出手段での位置情報の検出結果に基づいて、入力ストロークデータ生成手段が電子筆記具による被筆記体への筆記内容に対応した入力ストロークデータを生成する。また、選択手段によって、入力ストロークデータを、新規の表示オブジェクトに記入するか、又は既存の表示オブジェクトに追記するかのいずれかを選択する。これにより、使用者が電子筆記具を用いて被筆記体に実際に記載した筆記内容に対応する入力ストロークデータを生成でき、さらに使用者が当該入力ストロークデータを新規の表示オブジェクトに記入するか、又は既存の表示オブジェクトに追記するかを選択できる。
【0011】
そこで使用者が、上記入力ストロークデータを既存の表示オブジェクトに追記すると選択した場合には、データ基準位置取得手段が、既存基準位置と追記基準位置とを取得する。ここで、既存基準位置とは、既存の表示オブジェクトにすでに記入された既存ストロークデータの位置検出手段の有効領域座標における記入領域の基準位置であり、つまり位置検出手段に重複する配置の上記被筆記体の有効領域座標上において過去に記載された各筆記内容のそれぞれの記載領域の基準位置と同等である。また、追記基準位置とは、入力ストロークデータの位置検出手段の有効領域座標における記入領域の基準位置であり、つまり上記被筆記体の有効領域座標上において今回記載した筆記内容の記載領域の基準位置と同等である。近接データ取得手段は、上記追記基準位置から近い既存基準位置を検出して、それに対応する既存ストロークデータを取得し、データ追記手段が、当該既存ストロークデータに上記入力ストロークデータを追記する。
【0012】
これにより本願第1発明は、表示手段に大量の表示オブジェクトが表示されてそれらが重複するなどにより容易に見分けがつかない状況であっても、使用者は過去に被筆記体に記載した筆記内容を探してその記載領域の近傍に追記内容を筆記することで、自動的に対応する既存ストロークデータに入力ストロークデータを追記することができる。この結果、複数の表示オブジェクトが表示されている場合でも、追加記入する対象の表示オブジェクトを容易に探索して追記でき、使用者の利便性を向上できる。
【0013】
第2の発明は、上記第1発明において、前記データ基準位置取得手段が取得する前記追記基準位置は、前記位置検出手段の有効領域座標における前記入力ストロークデータの記入領域の記入開始位置であることを特徴とする。
【0014】
通常では追記目的の記載を行う場合、追記対象である過去の記載の近傍位置から追記の記載を開始することが自然である。そこで本願第2発明においては、位置検出手段の有効領域座標における入力ストロークデータの記入領域の記入開始位置を追記基準位置とすることで、被筆記体上に多くの過去の記載がある場合でも、追記対象の過去の記載を判定する精度を向上できる。
【0015】
また、上記目的を達成するために、第3の発明は、被筆記体への筆記内容に対応したデータ入力を行う電子筆記具の前記被筆記体における位置情報を位置検出手段で検出して当該位置情報を入力するとともに、文書情報を表示する所定形状の表示オブジェクトを表示手段に表示可能な表示オブジェクト管理装置であって、前記位置検出手段における前記位置情報の検出結果に基づき、前記電子筆記具による前記被筆記体への記載に対応した入力ストロークデータを生成する入力ストロークデータ生成手段と、前記入力ストロークデータ生成手段で生成した前記入力ストロークデータを、新規の表示オブジェクトに記入するか、又は既存の表示オブジェクトに追記するかのいずれかを選択する選択手段と、前記選択手段によって前記入力ストロークデータを前記既存の表示オブジェクトに追記すると選択された場合、前記既存の表示オブジェクトにすでに記入された既存ストロークデータの前記位置検出手段の有効領域座標における記入領域の既存基準位置と、前記入力ストロークデータの前記位置検出手段の有効領域座標における記入領域の追記基準位置とを取得するデータ基準位置取得手段と、前記追記基準位置から近い前記既存基準位置を検出し、それに対応する前記既存ストロークデータを取得する近接データ取得手段と、前記近接データ取得手段で取得した前記既存ストロークデータに前記入力ストロークデータを追記するデータ追記手段と、を有することを特徴とする。
【0016】
本願第3発明においては、位置検出手段で検出した電子筆記具の位置情報が入力されるとともに、表示手段に表示オブジェクトを表示できる。
【0017】
表示手段には、その表示領域中において使用者が任意の位置に複数の表示オブジェクトを作成し、その存在領域中に任意の文字データをストロークデータの形態で入力して表示させることができる。なお、表示領域中における表示オブジェクトの座標位置に関する指示及び操作は、別途他の操作機器によって行う。このように、表示手段は表示オブジェクトアプリケーションの表示に利用できる。
【0018】
そこで本願第3発明においては、位置検出手段での位置情報の検出結果に基づいて、入力ストロークデータ生成手段が電子筆記具による被筆記体への筆記内容に対応した入力ストロークデータを生成する。また、選択手段によって、入力ストロークデータを、新規の表示オブジェクトに記入するか、又は既存の表示オブジェクトに追記するかのいずれかを選択する。これにより、使用者が電子筆記具を用いて被筆記体に実際に記載した筆記内容に対応する入力ストロークデータを生成でき、さらに使用者が当該入力ストロークデータを新規の表示オブジェクトに記入するか、又は既存の表示オブジェクトに追記するかを選択できる。
【0019】
そこで使用者が、上記入力ストロークデータを既存の表示オブジェクトに追記すると選択した場合には、データ基準位置取得手段が、既存基準位置と追記基準位置とを取得する。ここで、既存基準位置とは、既存の表示オブジェクトにすでに記入された既存ストロークデータの位置検出手段の有効領域座標における記入領域の基準位置であり、つまり位置検出手段に重複する配置の上記被筆記体の有効領域座標上において過去に記載された各筆記内容のそれぞれの記載領域の基準位置と同等である。また、追記基準位置とは、入力ストロークデータの位置検出手段の有効領域座標における記入領域の基準位置であり、つまり上記被筆記体の有効領域座標上において今回記載した筆記内容の記載領域の基準位置と同等である。近接データ取得手段は、上記追記基準位置から近い既存基準位置を検出して、それに対応する既存ストロークデータを取得し、データ追記手段が、当該既存ストロークデータに上記入力ストロークデータを追記する。
【0020】
これにより本願第3発明は、表示手段に大量の表示オブジェクトが表示されてそれらが重複するなどにより容易に見分けがつかない状況であっても、使用者は過去に被筆記体に記載した筆記内容を探してその記載領域の近傍に追記内容を筆記することで、自動的に対応する既存ストロークデータに入力ストロークデータを追記することができる。この結果、複数の表示オブジェクトが表示されている場合でも、追加記入する対象の表示オブジェクトを容易に探索して追記でき、使用者の利便性を向上できる。
【0021】
また、上記目的を達成するために、第4の発明は、被筆記体への筆記内容に対応したデータ入力を行う電子筆記具と、当該電子筆記具の前記被筆記体における位置情報を検出可能な位置検出手段と、を備える表示オブジェクト入力操作端末と、文書情報を表示する所定形状の表示オブジェクトを表示領域中に表示可能な表示手段と、前記位置検出手段で検出した前記位置情報を入力するとともに、前記表示手段に表示オブジェクトを表示可能な表示オブジェクト管理装置と、で構成する表示オブジェクト入力表示システムであって、前記表示オブジェクト入力操作端末、前記表示手段、又は前記表示オブジェクト管理装置が、前記位置検出手段における前記位置情報の検出結果に基づき、前記電子筆記具による前記被筆記体への記載に対応した入力ストロークデータを生成する入力ストロークデータ生成手段と、前記入力ストロークデータ生成手段で生成した前記入力ストロークデータを、新規の表示オブジェクトに記入するか、又は既存の表示オブジェクトに追記するかのいずれかを選択する選択手段と、前記選択手段によって前記入力ストロークデータを前記既存の表示オブジェクトに追記すると選択された場合、前記既存の表示オブジェクトにすでに記入された既存ストロークデータの前記位置検出手段の有効領域座標における記入領域の既存基準位置と、前記入力ストロークデータの前記位置検出手段の有効領域座標における記入領域の追記基準位置とを取得するデータ基準位置取得手段と、前記追記基準位置から近い前記既存基準位置を検出し、それに対応する前記既存ストロークデータを取得する近接データ取得手段と、前記近接データ取得手段で取得した前記既存ストロークデータに前記入力ストロークデータを追記するデータ追記手段と、を有することを特徴とする。
【0022】
本願第4発明においては、位置検出手段で検出した電子筆記具の位置情報が入力される表示オブジェクト入力操作端末と、表示オブジェクトを表示可能な表示手段と、これら表示オブジェクト入力操作端末と表示手段に接続する表示オブジェクト管理装置とで構成している。
【0023】
表示手段には、その表示領域中において使用者が任意の位置に複数の表示オブジェクトを作成し、その存在領域中に任意の文字データをストロークデータの形態で入力して表示させることができる。なお、表示領域中における表示オブジェクトの座標位置に関する指示及び操作は、別途他の操作機器によって行う。このように、表示手段は表示オブジェクトアプリケーションの表示に利用できる。
【0024】
そこで本願第4発明においては、表示オブジェクト入力操作端末と表示手段と表示オブジェクト管理装置のいずれかにおいて、位置検出手段での位置情報の検出結果に基づいて、入力ストロークデータ生成手段が電子筆記具による被筆記体への筆記内容に対応した入力ストロークデータを生成する。また、選択手段によって、入力ストロークデータを、新規の表示オブジェクトに記入するか、又は既存の表示オブジェクトに追記するかのいずれかを選択する。これにより、使用者が電子筆記具を用いて被筆記体に実際に記載した筆記内容に対応する入力ストロークデータを生成でき、さらに使用者が当該入力ストロークデータを新規の表示オブジェクトに記入するか、又は既存の表示オブジェクトに追記するかを選択できる。
【0025】
そこで使用者が、上記入力ストロークデータを既存の表示オブジェクトに追記すると選択した場合には、データ基準位置取得手段が、既存基準位置と追記基準位置とを取得する。ここで、既存基準位置とは、既存の表示オブジェクトにすでに記入された既存ストロークデータの位置検出手段の有効領域座標における記入領域の基準位置であり、つまり位置検出手段に重複する配置の上記被筆記体の記入領域座標上において過去に記載された各筆記内容のそれぞれの記載領域の基準位置と同等である。また、追記基準位置とは、入力ストロークデータの位置検出手段の有効領域座標における記入領域の基準位置であり、つまり上記被筆記体の記入領域座標上において今回記載した筆記内容の記載領域の基準位置と同等である。近接データ取得手段は、上記追記基準位置から近い既存基準位置を検出して、それに対応する既存ストロークデータを取得し、データ追記手段が、当該既存ストロークデータに上記入力ストロークデータを追記する。
【0026】
これにより本願第4発明は、表示手段に大量の表示オブジェクトが表示されてそれらが重複するなどにより容易に見分けがつかない状況であっても、使用者は過去に被筆記体に記載した筆記内容を探してその記載領域の近傍に追記内容を筆記することで、自動的に対応する既存ストロークデータに入力ストロークデータを追記することができる。この結果、複数の表示オブジェクトが表示されている場合でも、追加記入する対象の表示オブジェクトを容易に探索して追記でき、使用者の利便性を向上できる。
【0027】
第5の発明は、上記第4発明において、前記表示オブジェクト管理装置は、それぞれ識別情報が割り当てられた複数の前記表示オブジェクト入力操作端末と接続しており、前記表示オブジェクト管理装置は、前記既存の表示オブジェクトに関する各種情報を、当該既存の表示オブジェクトを作成した前記表示オブジェクト入力操作端末の前記識別情報に対応付けて記憶する記憶手段を備え、前記近接データ取得手段と前記データ追記手段は、前記入力ストロークデータを生成した表示オブジェクト入力操作端末の識別情報に対応する前記追記基準位置、前記既存基準位置、及び前記既存ストロークデータを処理することを特徴とする。
【0028】
本願第5発明においては、表示オブジェクト管理装置が複数の表示オブジェクト入力操作端末と接続し、その記憶手段が、各表示オブジェクト入力操作端末に割り当てられた識別情報に対応付けて既存の表示オブジェクトに関する各種情報を記憶管理する。そして、表示オブジェクト管理装置における近接データ取得手段とデータ追記手段が、各入力ストロークデータを生成した表示オブジェクト入力操作端末の識別情報に対応する追記基準位置、既存基準位置、及び既存ストロークデータを処理する。これにより、複数の表示オブジェクト入力操作端末の間で情報が混乱することなく、機能的な並列処理が可能となる。
【0029】
また、上記目的を達成するために、第6の発明は、位置検出手段で検出した被筆記体における電子筆記具の位置情報に基づき、前記電子筆記具による被筆記体への記載に対応した入力ストロークデータを生成する入力ストロークデータ生成手順と、前記入力ストロークデータ生成手順で生成した前記入力ストロークデータを、新規の表示オブジェクトに記入するか、又は既存の表示オブジェクトに追記するかのいずれかを選択する選択手順と、前記選択手順によって前記入力ストロークデータを前記既存の表示オブジェクトに追記すると選択された場合、前記既存の表示オブジェクトにすでに記入された既存ストロークデータの前記位置検出手段の有効領域座標における記入領域の既存基準位置と、前記入力ストロークデータの前記位置検出手段の有効領域座標における記入領域の追記基準位置とを取得するデータ基準位置取得手順と、前記追記基準位置から近い前記既存基準位置を検出し、それに対応する前記既存ストロークデータを取得する近接データ取得手順と、前記近接データ取得手順で取得した前記既存ストロークデータに前記入力ストロークデータを追記するデータ追記手順と、を有することを特徴とする。
【0030】
本願第6発明においては、位置検出手段での位置情報の検出結果に基づいて、入力ストロークデータ生成手順が電子筆記具による被筆記体への筆記内容に対応した入力ストロークデータを生成する。また、選択手順によって、入力ストロークデータを、新規の表示オブジェクトに記入するか、又は既存の表示オブジェクトに追記するかのいずれかを選択する。これにより、使用者が電子筆記具を用いて被筆記体に実際に記載した筆記内容に対応する入力ストロークデータを生成でき、さらに使用者が当該入力ストロークデータを新規の表示オブジェクトに記入するか、又は既存の表示オブジェクトに追記するかを選択できる。
【0031】
そこで使用者が、上記入力ストロークデータを既存の表示オブジェクトに追記すると選択した場合には、データ基準位置取得手順が、既存基準位置と追記基準位置とを取得する。ここで、既存基準位置とは、既存の表示オブジェクトにすでに記入された既存ストロークデータの位置検出手段の有効領域座標における記入領域の基準位置であり、つまり位置検出手段に重複する配置の上記被筆記体の有効領域座標上において過去に記載された各筆記内容のそれぞれの記載領域の基準位置と同等である。また、追記基準位置とは、入力ストロークデータの位置検出手段の有効領域座標における記入領域の基準位置であり、つまり上記被筆記体の有効領域座標上において今回記載した筆記内容の記載領域の基準位置と同等である。近接データ取得手順は、上記追記基準位置から近い既存基準位置を検出して、それに対応する既存ストロークデータを取得し、データ追記手順が、当該既存ストロークデータに上記入力ストロークデータを追記する。
【0032】
これにより本願第6発明は、大量の表示オブジェクトが表示されてそれらが重複するなどにより容易に見分けがつかない状況であっても、使用者は過去に被筆記体に記載した筆記内容を探してその記載領域の近傍に追記内容を筆記することで、自動的に対応する既存ストロークデータに入力ストロークデータを追記することができる。この結果、複数の表示オブジェクトが表示されている場合でも、追加記入する対象の表示オブジェクトを容易に探索して追記でき、使用者の利便性を向上できる。
【0033】
また、上記目的を達成するために、第7の発明は、位置検出手段で検出した被筆記体における電子筆記具の位置情報が入力されるとともに、文書情報を表示する所定形状の表示オブジェクトを表示手段に表示可能な表示オブジェクト管理装置に備えられたコンピュータに、前記位置検出手段における前記位置情報の検出結果に基づき、前記電子筆記具による前記被筆記体への記載に対応した入力ストロークデータを生成する入力ストロークデータ生成手順と、前記入力ストロークデータ生成手順で生成した前記入力ストロークデータを、新規の表示オブジェクトに記入するか、又は既存の表示オブジェクトに追記するかのいずれかを選択する選択手順と、前記選択手順によって前記入力ストロークデータを前記既存の表示オブジェクトに追記すると選択された場合、前記既存の表示オブジェクトにすでに記入された既存ストロークデータの前記位置検出手段の有効領域座標における記入領域の既存基準位置と、前記入力ストロークデータの前記位置検出手段の有効領域座標における記入領域の追記基準位置とを取得するデータ基準位置取得手順と、前記追記基準位置から近い前記既存基準位置を検出し、それに対応する前記既存ストロークデータを取得する近接データ取得手順と、前記近接データ取得手順で取得した前記既存ストロークデータに前記入力ストロークデータを追記するデータ追記手順と、を実行させる。
【0034】
本願第7発明においては、表示オブジェクト管理装置が、位置検出手段で検出した電子筆記具の位置情報が入力されるとともに、表示手段に表示オブジェクトを表示できる。
【0035】
表示手段には、その表示領域中において使用者が任意の位置に複数の表示オブジェクトを作成し、その存在領域中に任意の文字データをストロークデータの形態で入力して表示させることができる。なお、表示領域中における表示オブジェクトの座標位置に関する指示及び操作は、別途他の操作機器によって行う。このように、表示手段は表示オブジェクトアプリケーションの表示に利用できる。
【0036】
そこで本願第7発明においては、位置検出手段での位置情報の検出結果に基づいて、入力ストロークデータ生成手段が電子筆記具による被筆記体への筆記内容に対応した入力ストロークデータを生成する。また、選択手段によって、入力ストロークデータを、新規の表示オブジェクトに記入するか、又は既存の表示オブジェクトに追記するかのいずれかを選択する。これにより、使用者が電子筆記具を用いて被筆記体に実際に記載した筆記内容に対応する入力ストロークデータを生成でき、さらに使用者が当該入力ストロークデータを新規の表示オブジェクトに記入するか、又は既存の表示オブジェクトに追記するかを選択できる。
【0037】
そこで使用者が、上記入力ストロークデータを既存の表示オブジェクトに追記すると選択した場合には、データ基準位置取得手段が、既存基準位置と追記基準位置とを取得する。ここで、既存基準位置とは、既存の表示オブジェクトにすでに記入された既存ストロークデータの位置検出手段の有効領域座標における記入領域の基準位置であり、つまり位置検出手段に重複する配置の上記被筆記体の有効領域座標上において過去に記載された各筆記内容のそれぞれの記載領域の基準位置と同等である。また、追記基準位置とは、入力ストロークデータの位置検出手段の有効領域座標における記入領域の基準位置であり、つまり上記被筆記体の有効領域座標上において今回記載した筆記内容の記載領域の基準位置と同等である。近接データ取得手段は、上記追記基準位置から近い既存基準位置を検出して、それに対応する既存ストロークデータを取得し、データ追記手段が、当該既存ストロークデータに上記入力ストロークデータを追記する。
【0038】
これにより本願第7発明は、表示手段に大量の表示オブジェクトが表示されてそれらが重複するなどにより容易に見分けがつかない状況であっても、使用者は過去に被筆記体に記載した筆記内容を探してその記載領域の近傍に追記内容を筆記することで、自動的に対応する既存ストロークデータに入力ストロークデータを追記することができる。この結果、複数の表示オブジェクトが表示されている場合でも、追加記入する対象の表示オブジェクトを容易に探索して追記でき、使用者の利便性を向上できる。
【発明の効果】
【0039】
本発明によれば、複数の表示オブジェクトが表示されている場合でも、追加記入する対象の表示オブジェクトを容易に探索して追記でき、使用者の利便性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の一実施の形態の仮想付箋紙入力表示システムの概略的構成を示す図である。
【図2】手書き入力装置の使用時の様子を表す、外観斜視図、概念的平面図、及び概念的側面図である。
【図3】電子ペンの内部構成を表す概念的平面図である。
【図4】手書き入力装置の機能的構成を表す機能ブロック図である。
【図5】コイルシートの内部構成を表す概念的平面図である。
【図6】新規の仮想付箋紙を作成した場合の手書き入力装置の操作例と表示部での表示例を表す図である。
【図7】新規のストロークデータとその関連情報を記憶した場合のストロークデータ管理テーブルを表す図である。
【図8】既存の仮想付箋紙に追記した場合の手書き入力装置の操作例と表示部での表示例を表す図である。
【図9】追記のストロークデータとその関連情報を表す図である。
【図10】既存の仮想付箋紙に追記した場合のストロークデータ管理テーブルを表す図である。
【図11】パーソナルコンピュータのCPUが実行する制御手順を表すフローチャートである。
【図12】図11におけるステップSS100の追記対象選出処理で行われる制御処理の詳細を表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、本発明の一実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
【0042】
本発明の表示オブジェクト入力表示システムである本実施形態の仮想付箋紙入力表示システムSは、図1に示すように、複数のパーソナルコンピュータ4(以下、PC4と略記する)及びそれぞれに直接接続する複数の手書き入力装置1と、これら複数のPC4と通信ネットワークNWを介して相互に情報を送受可能に接続されたサーバー5とを有する。手書き入力装置1は、電子ペン2と座標検出装置3とを有しており、使用者が電子ペン2を利用して座標検出装置3に筆記入力したストロークデータを電子的に入力する操作端末である。なお、本実施形態においては、この手書き入力装置1が請求項4記載の表示オブジェクト入力操作端末に相当する。
【0043】
PC4は、表示部4aを備えた一般的な構成パーソナルコンピュータであり、上記手書き入力装置1から検出したストロークデータに基づいて仮想付箋紙を新規に作成したり、既存の仮想付箋紙に追記を行うよう後述の仮想付箋紙アプリケーションを処理する情報処理機器である。なお、本実施形態においては、仮想付箋紙が各請求項記載の表示オブジェクトに相当し、PCが請求項4記載の表示手段に相当する。
【0044】
仮想付箋紙管理装置としてのサーバー5は、一般的なコンピュータで構成されて仮想付箋紙サービスを行う情報処理機器である。このサーバー5は、各PC4から送信されたストロークデータとその関連情報(後述の図7での説明参照)及び各種指令に基づいて作成又は追記された仮想付箋紙を管理し、それら仮想付箋紙を仮想の掲示板に貼付する。各PC4は当該仮想掲示板を共有し、それぞれの表示部4aの表示画面上で閲覧及び操作できる。なお、本実施形態においては、上記のサーバー5が請求項4記載の仮想付箋紙管理装置に相当する。また、図示する例では、各PC4とサーバー5を接続する通信ネットワークNWがケーブルを介した有線ネットワークで構成されているが、他にも無線ネットワークを介して接続してもよい。
【0045】
手書き入力装置1は、図2(a)に示すように、電子筆記具である電子ペン2と、電子筆記装置である座標検出装置3とを有する。手書き入力装置1では、使用者が電子ペン2を持つ。電子ペン2は、後述のノートへの筆記内容に対応してデータ入力を行うためのものであり、筆記具としての機能に加え、位置情報すなわち座標データの入力手段として機能する。
【0046】
図2(a)、図2(b)、及び図2(c)に示すように、座標検出装置3は、後述のノートを略覆うように所定の方向(図2(b)中左右方向)に見開き可能な形状に構成された可塑性部材からなるシート体10を有している。シート体10は、左側コイルシート100Lを備えた左側シート部10Lと、右側コイルシート100Rを備えた右側シート部10Rとを有する。
【0047】
そして、略ノート形状の被筆記体である上記所定の方向に見開き可能な形状のノート30が、シート体10に重なるように配置されている。なお、左側シート部10L及び右側シート部10Rに、図2(a)に示すようなノート保持部11をそれぞれ設けてもよい。これにより、座標検出装置3を容易かつ確実にノート30と一体化することができ、使用者による取り扱い性を向上することができる。
【0048】
使用者は、電子ペン2を用いてノート30の左筆記面31Lや右筆記面31Rに手書きの所望の文字列等を筆記で記入する。この筆記動作に対応した電子ペン2の移動により、筆記された筆記内容に対応した電子的な入力情報、すなわち後述のペン位置データ列が電子ファイルに保存される。その際、実際にインクを用いてノート30の左筆記面31Lや右筆記面31R等にページを切り替えながら筆記が行われるのと同様、使用者が後述のページ切替ボタンを操作することにより、電子ファイルのページ切り替え(ページ送り又はページ戻し)を行いながら保存することができる。なお、本実施形態においては、使用者が各ページにおいて比較的余裕のある分散した配置で所望の文字列などを筆記記入することを前提とする。
【0049】
使用者が手書き入力装置1を使用する際には、電子ペン2に備えられた図示しない電源スイッチがオンされる。電子ペン2は、図3及び図4に示すように、先端に設けられたペン先2aと、永久磁石47と、コイル44と、コンデンサ45と有する。また、当該電子ペン2は、LC発振回路41と、先端スイッチ42と、電子ペン2全体の制御を行う制御部46及び上記コンデンサ45が配置された制御基板40と、電池43とを有する。なお、上記LC発振回路41は発振回路に限られず、共振回路で構成したものでもよい。
【0050】
先端スイッチ42は、ペン先2aの筆記面31L,31Rへの接触状態に応じて動作するスイッチである。また、この先端スイッチ42の動作により、コイル44からの交番磁界(後述)の発生と停止を切り替えるための指令信号S0を、制御部46に対して出力する。この先端スイッチ42は、使用者が文字等を筆記するために、ペン先2aを筆記面31L,31Rに押しつけた(ペンダウンした)ときにオンとなる。この場合、制御部46に対して指令信号S0が出力される。一方、使用者が文字等の筆記を止め、ペン先2aを筆記面31L,31Rから離した(ペンアップした)ときにオフとなる。この場合、制御部46に対して指令信号S0は出力されない。
【0051】
LC発振回路41は、交番磁界(以下適宜、単に「磁界」と称する)を生成して出力するための回路である。LC発振回路41のコイル44は、永久磁石47に巻回するように配置されると共に、コンデンサ45と電気的に接続されており、LC発振回路41で生成された磁界を発生する。LC発振回路41がコイル44から磁界を発生させるか否かは、先端スイッチ42のオン又はオフに応じた制御部46による制御に基づき切り替えられる。すなわち、上記ペンダウン時で先端スイッチ42がオンとなった場合、上記指令信号S0が入力された制御部46が、コイル44から所定の周波数の磁界を発生させるようにLC発振回路41を制御する。一方、上記ペンアップ時で先端スイッチ42がオフとなった場合、上記指令信号S0が入力されていない制御部46が、コイル44から磁界を発生させないようLC発振回路41を制御する。
【0052】
電池43は、電子ペン2の電源スイッチがオンにされることで、制御部46やLC発振回路41等に電力を供給する。
【0053】
一方、座標検出装置3は、図4に示すように、コイルシート100と、制御回路部20とを有する。なお、コイルシート100と制御回路部20とは、信号ラインを介して接続されている。
【0054】
コイルシート100は、図5に示すように、センスコイル部110を含む。すなわち、図5に示すように配置されたセンスコイル部110が例えば外形が長方形の薄板状に樹脂成形されて、コイルシート100が構成されている。
【0055】
センスコイル部110は、図5に示すように、x軸方向に配列されたm個のループ状のセンスコイルX1〜Xmと、y軸方向に配列されたn個のループ状のセンスコイルY1〜Ynとによって構成されている。なお、センスコイル部110を構成するm個のセンスコイルX1〜Xm及びn個のセンスコイルY1〜Ynのそれぞれは、電子ペン2のコイル44でそれぞれ発生された磁界を受信可能なコイルであり、各請求項記載の位置検出手段に相当する。センスコイルX1〜XmとセンスコイルY1〜Ynとは、互いに直交した位置関係で配置されている。また、センスコイルX1〜Xm,Y1〜Ynは、コイル面方向がノート30の筆記面31L,31Rの方向と略平行となっている。さらに、センスコイルX1〜Xm,Y1〜Ynは、例えば表面に絶縁被膜層が形成された銅線によって形成されている。またさらに、センスコイルX1〜Xm,Y1〜Ynは、図示及び説明を省略する引き出し線により後述するマルチプレクサ62に接続されている。そして、センスコイル部110のスキャン処理が開始され、センスコイルX1〜Xm,Y1〜Ynが電子ペン2のコイル44で発生された磁界を受信することによって、言い換えれば、センスコイルX1〜Xm,Y1〜Ynとコイル44で発生された磁界との電磁誘導によって、当該センスコイルX1〜Xm,Y1〜Ynには、起電力が発生する。すなわち、センスコイルX1〜Xm,Y1〜Ynは、コイル44との磁気結合によって、信号S1(図4参照)を発生する。
【0056】
センスコイルX1〜Xmは、それぞれ、x軸方向の幅P1の辺とP1より長いy軸方向の長さP2の辺とを備えた、略長方形状に形成されている。センスコイルX1〜Xmのそれぞれは、所定の一定ピッチでx軸方向に連続して配列されている。例えば、隣接するセンスコイルX1〜Xmは、P1の2分の1のピッチでそれぞれ重ねられている。
【0057】
センスコイルY1〜Ynは、それぞれ、x軸方向の幅P3の辺とP3より短いy軸方向の長さP1の辺とを備えた、略長方形状に形成されている。センスコイルY1〜Ynのそれぞれは、所定の一定ピッチでy軸方向に連続して配列されている。例えば、隣接するセンスコイルY1〜Ynは、P1の2分の1のピッチでそれぞれ重ねられている。
【0058】
なお、図5では、視覚的にわかりやすくするよう、便宜上、センスコイルX1〜XmとセンスコイルY1〜Ynとの各辺がそれぞれ重ならないようにしており、上記ピッチで配列された状態では図示されていない。また、図5では、後述するマルチプレクサ62に入る引き出し線を省略してセンスコイルX1〜Xm,Y1〜Ynの形状を図示している。
【0059】
図4に戻り、制御回路部20は、マイコン80と、マルチプレクサ62(以下適宜、「MUX62」と称する)と、増幅回路64と、整流回路66と、リミッタ68と、通信インターフェース69と、フラッシュメモリ70と、ページ切替ボタン71とを備えている。
【0060】
マイコン80は、CPU80aと、ROM80bと、RAM80cと、その他のA/D変換機能部や割り込み機能部等とを、一つの集積回路として構成したものである。このマイコン80は、座標検出装置3で実行される各種の処理を制御し、その他の周辺回路の動作状態を制御する。
【0061】
MUX62は、マイコン80からのコイル選択信号S3に基づき、センスコイル部110のセンスコイルX1〜Xm,Y1〜Ynを1つずつ順番に選択する。そして、MUX62は、選択されたセンスコイルX1〜Xm,Y1〜Ynにおいて発生された上記信号S1を入力し、対応する信号S11を増幅回路64に出力する。
【0062】
増幅回路64は、MUX62から入力される上記信号S11を増幅する。増幅回路64で増幅された信号S12すなわち電子ペン入力検知信号S12は、リミッタ68に入力される。リミッタ68は、増幅回路64から入力された信号S12を周波数及び位相情報だけのデジタル信号S15に処理してマイコン80の割り込み入力に入力する。マイコン80は、リミッタ68から入力された信号S15の周期をタイマー等により計測することにより、上記センスコイルX1〜Xm,Y1〜Ynからの信号S1の周波数を判定して、現在スキャンしているセンスコイル部110のセンスコイルX1〜Xm,Y1〜Ynのコイル番号と共にRAM80cに記憶する。
【0063】
また、増幅回路64で増幅された別の信号S13は、整流回路66に入力される。整流回路66は、増幅回路64から入力された信号S13を振幅検波した後、平滑化して直流信号に変換する。整流回路66で振幅検波された信号S14は、マイコン80に入力される。マイコン80は、前述したようにA/D変換機能を備えており、上記入力された振幅検波後の信号S14をデジタル信号に変換する。このとき、マイコン80の上記ROM80bには、各センスコイルX1〜Xm,Y1〜Ynの検出レベルと、電子ペン2とノート30の筆記面31L,31Rとの接触点の座標データのオフセット値とを対応付けて記憶する位置座標テーブルが記憶されている(詳細な説明は省略する)。マイコン80は、上記デジタル信号に対し、位置座標テーブルを適用することにより、電子ペン2の位置情報、すなわち、x軸方向のx座標及びy軸方向のy座標を算出する。なお、算出された位置情報は後述の周辺回路70のフラッシュメモリ70に記憶される。本実施形態の例では、これら算出された複数の位置情報の集合がそれぞれの検出順を認識可能に時系列に対応して並べられ、このようにまとめられたデータ群がストロークデータを構成する。なお、上記の検出順を認識するために、時系列対応で配列する以外にも、各位置情報にそれぞれ検出時間を対応させて記憶してもよい。以上のように構成されたストロークデータは、その構成内容を上位概念的に捉えると時系列対応位置データ群と称呼できる。
【0064】
通信インターフェース69は、フラッシュメモリ70に保存された複数の位置情報を含むストロークデータなどの各種情報を上記PC4に送信したり、またPC4から指令などを受信するためのインターフェースである。具体的には、通信インターフェース69は、例えばUniversal Serial Bus(USB)接続のためのUSBインターフェースや、無線又は有線のネットワークインターフェースである。
【0065】
フラッシュメモリ70には、電子ファイルが予め用意されており、マイコン80で算出された複数の位置情報に基づくストロークデータ等が、上記電子ファイルに書き込まれ、保存される。また、このフラッシュメモリ70には当該手書き入力装置1の個体を識別可能に割り当てられた識別情報としての端末IDを記憶しており、後述するようにPC4がストロークデータとその関連情報(後述の図7での説明参照)をサーバー5へ送信する際にはこの端末IDも併せて送信して、当該ストロークデータの送信元をサーバー5に識別させる。そしてサーバー5は、当該端末IDに対応して使用者別に仮想付箋紙の処理と管理を行う。
【0066】
ページ切替ボタン71は、使用者が現在どのページを見開いているかを示す記入ページ情報(後述の図7等参照)を変更するボタンである。本実施形態では、使用者が上記ノート30のページをめくる度に、そのめくり方向に正確に対応してページ切替ボタン71を操作することを前提とする。これにより、当該手書き入力装置1のマイコン80は、その時点でノート30が見開いてるページを常に正確に認識する。
【0067】
(A)仮想付箋紙の表示と、新規の仮想付箋紙の作成
次に、本実施形態の仮想付箋紙入力表示システムSにおいて、新規の仮想付箋紙を作成した場合の手書き入力装置1の操作例を図6(a)に、この操作に対応して当該手書き入力装置1に接続するPC4の表示部4aでの表示例を図6(b)に示す。図示する例では、表示部4aの表示領域中で、既に4つの仮想付箋紙301〜304が作成されて貼付表示されていたところ、新たに5つめの仮想付箋紙305が作成されて貼付表示されたばかりの状態を示している。なお、新規のものを含めた3つの仮想付箋紙303,304,305は当該表示部4aを備えるPC4の使用者によって作成されたものであり、他の2つの仮想付箋紙301,302は他のPC4の使用者によって作成されたものである。各仮想付箋紙は作成した使用者別、つまり上述した端末ID別に異なる色で表示されている。
【0068】
各仮想付箋紙301〜305は、それぞれ所定の大きさの矩形形状に形成されており、上記手書き入力操作端末1に筆記入力されたストロークデータが記入されている。このストロークデータは、複数の文字からなる通常の文字列で記入されてもよいし、それ以外にも使用者が任意に筆記入力した図形などをそのまま記入してもよい。なお、図示の煩雑を避けるために、2つの仮想付箋紙304,305だけストロークデータを表示し、他の仮想付箋紙においてはストロークデータを「・・・」で略記している。
【0069】
また、各ストロークデータの長さや大きさによって各仮想付箋紙301〜305の大きさを適宜調整して変更したり、それぞれの表示位置を任意の位置へ移動させることや、不要になったものを消去させることができる。このような仮想付箋紙アプリケーション及び仮想付箋紙サービスを利用することで、各使用者は断片的な文書情報を手書き入力による自由な筆記態様で表示装置3の表示画面上に一時的に表示させることができる。このように構成された仮想付箋紙入力表示システムSによれば、互いに遠隔地にいる複数の使用者が、それぞれのアイデアを記載した仮想付箋紙301〜305を各PC4の表示部4aで表示して、共通のテーマに基づく検討作業、いわゆるブレインストーミングなどに利用できる。
【0070】
ここで、新規の仮想付箋紙を作成する手順としては、まず使用者がPC4に備えられているマウスなどの適宜のポインティングデバイス(特に図示せず)を操作することで表示部4aの表示画面上のカーソル310を移動させる。そしてこのカーソル310の移動操作により、当該表示画面の表示領域座標Xs−Ysにおける任意の位置に新規の仮想付箋紙を貼付表示させる貼付基準位置(xs,ys)を指定する。なお、表示部4aの表示画面上に設定される上記表示領域座標Xs−Ysとは、当該表示画面の正面左上の頂点位置を原点として右方向にXs軸を、下方向にYs軸をそれぞれ対応させて設定した直交平面座標である。その後使用者は、手書き入力装置1のノート30の任意のページ(図示する例ではIページ目)で、記入領域座標Xt−Ytにおける任意の位置に所望の記載(図示する例では「2/25、10時打ち合わせ予定」)を電子ペン2で筆記記入する。なお、手書き入力装置1のノート30の各筆記面31L,31Rのそれぞれに設定される上記記入領域座標Xt−Ytとは、当該ページの正面左上の頂点位置を原点として右方向にXt軸を、下方向にYt軸をそれぞれ対応させて設定した直交平面座標である。また、このノート30の各筆記面31L,31Rのそれぞれの記入領域座標Xt−Ytは、上記図5に示したセンスコイル部110の有効領域座標x−yと一致する。PC4は、上記筆記記入された記載に対応するストロークデータを座標検出装置3のセンスコイル部110から検出し、また上記貼付基準位置(xs,ys)を含む関連情報を対応付けて記憶する。ここで本実施形態の例におけるストロークデータの関連情報について説明すると、当該ストロークデータの記入順を示す情報と、記入ページの情報と、記入時間の情報と、上記貼付基準位置(xs,ys)の各情報の集合が関連情報となる(後述の図7参照)。
【0071】
そして、使用者がPC4に対して所定の作成操作を行うことにより、検出したばかりの上記ストロークデータとその関連情報を、作成指令及び上記端末IDとともにサーバー5へ送信する。サーバー5は受信したストロークデータを記入した新規の仮想付箋紙を上記端末IDに対応する色で作成し、仮想掲示板上における上記表示領域座標Xs−Ysと同等の座標上で上記貼付基準位置(xs,ys)に貼付する。図示する例では、貼付基準位置(xs,ys)が矩形形状の仮想付箋紙の左上の頂点位置に設定されており、これを原点として右方向にXf軸を、下方向にYf軸をそれぞれ対応させた直交平面座標である付箋紙座標Xf−Yfが、各仮想付箋紙の貼付領域上に設定されている。ストロークデータは、付箋紙座標Xf−Yf上で原点(表示領域座標Xs−Ys上の貼付基準位置(xs,ys))の近傍から記入される。各PC4は、サーバー5が保持する仮想掲示板を共有しているため、各表示部4aの表示画面上で同等に新規の仮想付箋紙が貼付表示される。
【0072】
なお、図示する例では、手書き入力装置1のノート30において、上述した新規の記載(「2/25、10時打ち合わせ予定」)と同じIページ目に、他の既存の記載(図示する例では、「処理順を担当者に確認」;仮想付箋紙304記入)が記入されている。
【0073】
上記の処理に対応して、PC4がストロークデータとその関連情報を記憶するストロークデータ管理テーブルを、図7に概念的に示す。これは、PC4の記憶部(図示省略)に記憶される情報である。この図7において、当該ストロークデータテーブルでは、記入順に付されたNo.にそれぞれ対応付けて、ストロークデータと、記入ページと、記入時間と、貼付基準位置(xs,ys)の各情報が記憶されている。
【0074】
ストロークデータは、上述したように、センスコイル部110で検出された複数のペン位置情報の集合で構成されている。つまりこれは、上記記入領域座標Xt−Yt上のペン接触位置(xt,yt)の集合であり、図中では容易に認識できるよう対応するストロークデータの画像も併せて示している。記入ページは、当該ストロークデータが記入されたノート30のページの情報である。記入時間は、当該ストロークデータが記入された時間の情報である。貼付基準位置(xs,ys)は、上述した表示領域座標Xs−Ys上でのカーソル310の操作により位置指定された情報である。なお、上記のNo.、記入ページ、記入時間、及び貼付基準位置(xs,ys)が、対応するストロークデータの関連情報となる。
【0075】
使用者がPC4に対して上記の作成操作を行うたびに、ストロークデータと関連情報が当該ストロークデータ管理テーブルに追加して記憶されるとともに、サーバー5にも同等の情報が送信される。また、これを受信したサーバー5においても、同等のストロークデータ管理テーブルを記憶する。なお、特に図示しないが、サーバー5側でこのストロークデータ管理テーブルを記憶する記憶部が、請求項5に記載の記憶手段に相当する。
【0076】
(B)既存の仮想付箋紙への追記
次に、上記図6に対応する図8を参照して、既存の仮想付箋紙に追記を行う場合の手順について説明する。まず、使用者は、手書き入力装置1のノート30のページをめくって追記を行う対象の既存の記載を目視で探す。なお、このページめくり操作においては、上述したように、上記ページ切替ボタンを正確に操作する。そして、追記対象の既存の記載(図示する例では「2/25、10時打ち合わせ予定」;仮想付箋紙305記入)を見つけた際に、使用者はその近傍位置に電子ペン2で所望の追記の記載(図示する例では「→13時に変更」)を筆記記入する。
【0077】
その後に使用者がPC4に対して所定の追記操作を行う。これにより、PC4は、上記の筆記記入された追記記載に対応するストロークデータとともに、その追記記載の記入領域座標Xt−Ytにおける記入開始位置(ex,ey)を含めた関連情報(後述の図9参照)を検出する。なお、これまでの間にカーソル310の操作は必要なく、表示領域座標Xs−Ys上のどのような位置にあってもよい。
【0078】
その後に、PC4は追記記載と追記対象のそれぞれのストロークデータを合成して、ストロークデータ管理テーブル中の追記対象の情報に上書きするよう記憶する。そして、この追記合成されたストロークデータとその関連情報を、追記指令及び端末IDとともにサーバー5へ送信する。サーバー5は追記合成されたストロークデータを受信し、これを記入した新たな仮想付箋紙を作成して、仮想掲示板上の同じ貼付基準位置(xs,ys)に元の仮想付箋紙と入れ替えるようにして貼付する。図示する例では、同一の仮想付箋紙の付箋紙座標Xf−Yfにおいて、追記対象のストロークデータのすぐ後に追記記載のストロークデータを並べるよう追記合成している。これにより、各PC4の表示部4aの表示画面上では同等に仮想付箋紙の追記が表示される。
【0079】
なお、図示する例のように、追記記載を記入した同じIページ目に既存の記載が複数ある場合には、PC4はいずれの既存の記載が使用者の意図する追記対象であるかを判定して選出する必要がある。この場合には、同じIページ目に記載されている各既存の記載のストロークデータをそれぞれ最小の矩形枠401,402で囲んで記載領域をブロック化し、記入領域座標Xt−Ytにおける各ブロックの中心位置(cx,cy)を算出する。そして追記記載のストロークデータの上記記入開始位置(ex,ey)と、それらブロック中心位置(cx,cy)それぞれとの間の離間距離D1,D2を算出し、最も離間距離が短いブロック中心位置(cx,cy)に対応するストロークデータを追記対象として選出する。つまり、ノート30の記入領域座標Xt−Yt上で、追記記載に最も近接する配置の既存の記載を、追記対象の記載として選出する。なお、上記ブロック中心位置(cx,cy)が各請求項記載の既存基準位置に相当し、上記記入開始位置(ex,ey)が各請求項記載の追記基準位置に相当する。
【0080】
上記の処理において、使用者による追記操作が行われた場合には、PC4は図9に示すように追記のストロークデータとともに上記記入開始位置(ex,ey)も検出して関連情報に含める。この図9に示した情報に基づいてPC4が追記処理を行うことで、上記図7のストロークデータ管理テーブルの記憶内容は図10に示すように書き替えられる。
【0081】
この書き替えの順序としては、まず追記のストロークデータと同じ記入ページ(図示する例ではIページ目)に記入された全ての既存のストロークデータ(図示する例では、No.1とNo.nの2つ)を検索し、それらを矩形枠401,402で囲んだブロックの中心位置(cx,cy)がそれぞれ算出される。そして上記図9に示した記入開始位置(ex,ey)と、それらブロック中心位置(cx,cy)との間のそれぞれの離間距離D1,D2を算出し、最も短い離間距離D2に対応する既存のストロークデータが追記対象として選出される。その後に、PC4は選出された追記対象のストロークデータに対して、上記図9に示した追記のストロークデータを追記合成し、上書きして更新する。またこの例では、記入時間も図9に示したものに更新される。
【0082】
(C)本実施形態の制御処理
以上のような機能を実現するために、コンピュータであるPC4のCPU(特に図示せず)で行われる制御処理の内容を、図11、図12により順を追って説明する。
【0083】
まず、図11において、このフローに示すPC4のCPUの処理は、使用者の操作により仮想付箋紙アプリケーションを起動した際に開始される。なおこのフローにおいては、サーバー5が保持する仮想掲示板を共有表示する処理については説明を省略する。
【0084】
ステップSS5で、CPUは、手書き入力装置1においてストロークデータの筆記入力が検出されたか否かを判定する。何らかのストロークデータの筆記入力が検出されるまでループ待機し、筆記入力が検出された場合に、判定が満たされ、ステップSS10へ移る。
【0085】
ステップSS10では、CPUは、上述したようにセンスコイル部110における受信結果に基づいてストロークデータを生成する。なお、このステップSS10で生成したストロークデータが、各請求項記載の入力ストロークデータに相当する。
【0086】
そして、ステップSS15に移り、CPUは、記入ページ、記入時間、及びその時点のカーソル310の位置で指定されている貼付基準位置(xs,ys)の関連情報を検出する。
【0087】
そして、ステップSS20に移り、CPUは、上記図7に示したストロークデータ管理テーブルにおいて、上記ステップSS10で検出したストロークデータと対応付けて、上記ステップSS15で検出した関連情報を記憶する。
【0088】
そして、ステップSS25に移り、CPUは、特に図示しないPC4の操作部において、使用者による所定の作成操作が行われたか否かを判定する。作成操作が行われた場合、判定が満たされ、ステップSS30へ移る。
【0089】
ステップSS30では、CPUは、上記ステップSS10で検出したストロークデータと、上記ステップSS15で検出した関連情報とを、作成指令及び接続している手書き入力装置1の端末IDとともにサーバー5へ送信する。これにより、サーバー5は受信したストロークデータと関連情報に基づいて新規の仮想付箋紙を作成し、仮想掲示板に貼付する。またこれに伴い、当該仮想掲示板を共有する各PC4は表示部4aに新規の仮想付箋紙を貼付表示する。そして、上記ステップSS5に戻り、同様の手順を繰り返す。
【0090】
一方、上記ステップSS25の判定において、作成操作が行われていない場合、判定は満たされず、ステップSS35へ移る。
【0091】
ステップSS35では、CPUは、PC4の操作部において使用者による所定の追記操作が行われたか否かを判定する。追記操作が行われていない場合、判定は満たされず、ステップSS5へ戻って同様の手順を繰り返す。
【0092】
一方、追記操作が行われた場合、判定が満たされ、ステップSS40へ移る。
【0093】
ステップSS40では、CPUは、上記ステップSS10で検出されたストロークデータが追記記載に対応するものとみなされ、当該追記のストロークデータが記入された記入ページの情報をストロークデータ管理テーブルから取得する。
【0094】
そして、ステップSS45に移り、CPUは、上記ステップSS40で取得した記入ページと同じページに他の既存のストロークデータが記載されているかをストロークデータ管理テーブルで検索する。なお、このステップSS45で検索された既存のストロークデータが、各請求項記載の既存ストロークデータに相当する。
【0095】
そして、ステップSS50に移り、CPUは、上記ステップSS45での検索で他の既存のストロークデータが複数存在しているか否かを判定する。他の既存のストロークデータが複数存在している場合、判定が満たされ、ステップSS100へ移る。
【0096】
ステップSS100では、CPUは、上記ステップSS45で検索した複数の既存のストロークデータのうちの1つを追記対象として選出する追記対象選出処理を行う(後述の図12参照)。そして、ステップSS55に移る。
【0097】
一方、上記ステップSS50の判定において、他の既存のストロークデータが1つしか存在していない場合、判定は満たされず、ステップSS55へ移る。なお、この場合には、当該1つの既存のストロークデータが追記対象のものであるとみなす。
【0098】
ステップSS55では、CPUは、追記対象である1つの既存のストロークデータとその関連情報に対して、追記のストロークデータとその関連情報を追記合成し、ストロークデータ管理テーブルを更新する。
【0099】
そして、ステップSS60に移り、CPUは、上記ステップSS55で追記合成したストロークデータとその関連情報を、追記指令及び端末IDとともにサーバー5へ送信する。これにより、サーバー5は受信したストロークデータを記入した仮想付箋紙を元の仮想付箋紙と入れ替えるようにして仮想掲示板に貼付する。そして、ステップSS5に戻り、同様の手順を繰り返す。
【0100】
次に、上記ステップSS100の追記対象選出処理で行われる制御処理の詳細を、図12により順を追って説明する。
【0101】
まずステップSS105では、CPUは、上記ステップSS45で検索した複数の既存のストロークデータのそれぞれを、上記図8に示したように最小の矩形枠401,402で内接するよう囲み、その記載領域をブロックとしてまとめる。なお、上述したように、元のストロークデータ自体が、記入領域座標Xt−Yt上のペン接触位置(xt,yt)の集合で構成されているため、上記ブロックは記入領域座標Xt−Yt上の矩形領域として容易に生成できる。
【0102】
そして、ステップSS110に移り、CPUは、上記ステップSS105で生成した各ブロックのそれぞれの中心位置(cx,cy)を算出する。
【0103】
そして、ステップSS115に移り、CPUは、追記のストロークデータの記入開始位置(ex,ey)を検出する。
【0104】
そして、ステップSS120に移り、CPUは、上記ステップSS115で検出した記入開始位置(ex,ey)と、上記ステップSS110で算出した各ブロック中心位置(cx,cy)それぞれとの間の離間距離を算出する。なお、これら記入開始位置(ex,ey)と各ブロック中心位置(cx,cy)はいずれも記入領域座標Xt−Yt上の位置情報であるため、容易に算出できる。
【0105】
そして、ステップSS125に移り、CPUは、上記ステップSS120で算出した複数の離間距離を比較し、そのうち最も短いものに対応するブロックを選出する。
【0106】
そして、ステップSS130に移り、CPUは、上記ステップSS125で選出したブロックに対応するストロークデータを追記対象に設定する。そして、このフローを終了する。
【0107】
以上において、上記図11及び上記図12の各フローにおけるステップSS10の手順が各請求項記載の入力ストロークデータ生成手段及び入力ストロークデータ生成手順に相当し、ステップSS25とステップSS35の手順が選択手段及び選択手順に相当し、ステップSS110とステップSS115の手順がデータ基準位置取得手段及びデータ基準位置取得手順に相当し、ステップSS120、ステップSS125、及びステップSS130の手順が近接データ取得手段及び近接データ取得手順に相当し、ステップSS60の手順がデータ追記手段及びデータ追記手順に相当する。
【0108】
以上説明したように、本実施形態の仮想付箋紙入力表示システムSにおいては、PC4の表示部4aに大量の仮想付箋紙が表示されてそれらが重複するなどにより容易に見分けがつかない状況であっても、使用者は過去に手書き入力装置1のノート30に記載した筆記内容を探してその記載領域の近傍に追記内容を筆記することで、自動的に対応する既存のストロークデータに追記のストロークデータを追記することができる。この結果、複数の仮想付箋紙が表示されている場合でも、追加記入する対象の仮想付箋紙を容易に探索して追記でき、使用者の利便性を向上できる。
【0109】
なお、本実施形態では、上記図11及び上記図12の各フローに記載した各手順を全てPC4のCPUだけで処理したが、本発明はこれに限られない。他にも、それら各手順と同等の手順を、他の手書き入力装置1やサーバー5にも適宜分担して実行させたり、または手書き入力装置1又はサーバー5のいずれかに全て実行させてもよい。
【0110】
例えば、サーバー5が、上記端末IDに対応付けて個別にストロークデータ管理テーブルを記憶し、請求項4に記載の近接データ取得手段に相当するステップSS120、ステップSS125、及びステップSS130と同等の手順と、請求項4に記載のデータ追記手段に相当するステップSS60と同等の手順を実行してもよい。つまり、サーバー5が各PC4を介して複数の手書き入力装置1と接続する点は上記実施形態と同様であるが、主に当該サーバー5の記憶部が、各手書き入力装置1に割り当てられた端末IDに対応付けて既存の仮想付箋紙に関するストロークデータと関連情報を記憶管理する。そして、サーバー5がステップSS120、ステップSS125、及びステップSS130と同等の手順と、ステップSS60と同等の手順とを実行することで、各ストロークデータを生成した手書き入力装置1の端末IDに対応して記入開始位置(ex,ey)、ブロック中心位置(cx,cy)、及び既存のストロークデータを処理する。これにより、複数の手書き入力装置1の間で情報が混乱することなく、機能的な並列処理が可能となる。
【0111】
また例えば、手書き入力装置1が備える上記マイコン80のCPU80aが、上記図11及び上記図12の各フローに記載した各手順と同等の手順を全て実行してもよい。この場合、PC4を備えずに各手書き入力装置1を直接通信ネットワークNWに接続してサーバー5と直接情報を送受信してもよく、仮想付箋紙を表示する表示装置を各手書き入力装置1に設けるか、又は1つの表示装置をサーバー5に直接接続して表示させる。なお、この場合の手書き入力装置1が、請求項1に記載の仮想付箋紙入力操作端末に相当する。また、この場合の表示装置が請求項1に記載の表示手段に相当し、サーバー5が請求項1に記載の仮想付箋紙管理装置に相当する。この変形例においても、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0112】
そして、通常では追記目的の記載を行う場合、追記対象である過去の記載の近傍位置から追記の記載を開始することが自然である。したがって、この変形例では特に、ノート30の記入領域座標Xt−Ytにおけるストロークデータの記入開始位置(ex,ey)を離間距離の基点位置とすることで、ノート30上に多くの過去の記載がある場合でも、追記対象の過去の記載を判定する精度を向上できる。
【0113】
また例えば、サーバー5が備えるCPU(図示省略)が、上記図11及び上記図12の各フローに記載した各手順と同等の手順を全て実行してもよい。この場合においても、PC4を備えずに各手書き入力装置1をサーバー5に直接接続してもよく、仮想付箋紙を表示する表示装置を各手書き入力装置1に設けるか、又は1つの表示装置をサーバー5に直接接続させる。なお、この場合のサーバー5が、請求項3に記載の仮想付箋紙管理装置に相当する。また、この場合の表示装置が請求項3に記載の表示手段に相当する。この変形例においても、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0114】
また、上記実施形態では、ストロークデータを構成する電子ペン2の位置情報の検出を、当該電子ペン2側のコイル44と、座標検出装置3側のセンスコイルX1〜Xm,Y1〜Ynとの間の磁気結合を利用したいわゆるアクティブ型磁気結合方式により行ったが、本発明はこれに限られない。他にも、パッシブ型磁気結合方式、超音波方式、もしくはノート30にあらかじめ印刷された点や模様を電子ペン2に備えたカメラで撮像してその点や模様の動きを検出する方式などにより電子ペン2の位置情報を検出してもよい。または、各方式によるタッチパネルにより電子ペン2の位置情報を検出してもよい。これらの場合には、電子ペン2の位置情報を検出する構成が、各請求項記載の位置検出手段に相当する。また、ノート30の筆記面31L,31R上の記入領域座標Xt−Ytに対応して電子ペン2の位置を検出可能な上記検出構成での領域座標が、各請求項記載の位置検出手段の有効領域座標に相当する。
【0115】
なお、以上において、図1、図4等の各図中に示す矢印は信号の流れの一例を示すものであり、信号の流れ方向を限定するものではない。
【0116】
また、図11、図12等に示すフローチャートは本発明を上記フローに示す手順に限定するものではなく、発明の趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で手順の追加・削除又は順番の変更等をしてもよい。
【0117】
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
【0118】
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【符号の説明】
【0119】
1 手書き入力装置(表示オブジェクト入力操作端末)
2 電子ペン(電子筆記具)
3 座標検出装置
4 パーソナルコンピュータ(表示手段)
4a 表示部
5 サーバー(表示オブジェクト管理装置)
30 ノート(被筆記体)
41 LC発振回路
44 コイル(磁界送信用コイル)
110 センスコイル部(位置検出手段)
301〜305 仮想付箋紙(表示オブジェクト)
X1〜Xm センスコイル(位置検出手段)
Y1〜Yn センスコイル(位置検出手段)
S 仮想付箋紙入力表示システム(表示オブジェクト入力表示システム)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
文書情報を表示する所定形状の表示オブジェクトを表示手段に表示可能な表示オブジェクト管理装置に接続する表示オブジェクト入力操作端末であって、
被筆記体への筆記内容に対応したデータ入力を行う電子筆記具の前記被筆記体における位置情報を検出可能な位置検出手段と、
前記位置検出手段における前記位置情報の検出結果に基づき、前記電子筆記具による前記被筆記体への記載に対応した入力ストロークデータを生成する入力ストロークデータ生成手段と、
前記入力ストロークデータ生成手段で生成した前記入力ストロークデータを、新規の表示オブジェクトに記入するか、又は既存の表示オブジェクトに追記するかのいずれかを選択する選択手段と、
前記選択手段によって前記入力ストロークデータを前記既存の表示オブジェクトに追記すると選択された場合、前記既存の表示オブジェクトにすでに記入された既存ストロークデータの前記位置検出手段の有効領域座標における記入領域の既存基準位置と、前記入力ストロークデータの前記位置検出手段の有効領域座標における記入領域の追記基準位置とを取得するデータ基準位置取得手段と、
前記追記基準位置から近い前記既存基準位置を検出し、それに対応する前記既存ストロークデータを取得する近接データ取得手段と、
前記近接データ取得手段で取得した前記既存ストロークデータに前記入力ストロークデータを追記するデータ追記手段と、
を有することを特徴とする表示オブジェクト入力操作端末。
【請求項2】
請求項1記載の表示オブジェクト入力操作端末において、
前記データ基準位置取得手段が取得する前記追記基準位置は、前記位置検出手段の有効領域座標における前記入力ストロークデータの記入領域の記入開始位置であることを特徴とする表示オブジェクト入力操作端末。
【請求項3】
被筆記体への筆記内容に対応したデータ入力を行う電子筆記具の前記被筆記体における位置情報を位置検出手段で検出して当該位置情報を入力するとともに、文書情報を表示する所定形状の表示オブジェクトを表示手段に表示可能な表示オブジェクト管理装置であって、
前記位置検出手段における前記位置情報の検出結果に基づき、前記電子筆記具による前記被筆記体への記載に対応した入力ストロークデータを生成する入力ストロークデータ生成手段と、
前記入力ストロークデータ生成手段で生成した前記入力ストロークデータを、新規の表示オブジェクトに記入するか、又は既存の表示オブジェクトに追記するかのいずれかを選択する選択手段と、
前記選択手段によって前記入力ストロークデータを前記既存の表示オブジェクトに追記すると選択された場合、前記既存の表示オブジェクトにすでに記入された既存ストロークデータの前記位置検出手段の有効領域座標における記入領域の既存基準位置と、前記入力ストロークデータの前記位置検出手段の有効領域座標における記入領域の追記基準位置とを取得するデータ基準位置取得手段と、
前記追記基準位置から最も近い前記既存基準位置を検出し、それに対応する前記既存ストロークデータを取得する近接データ取得手段と、
前記近接データ取得手段で取得した前記既存ストロークデータに前記入力ストロークデータを追記するデータ追記手段と、
を有することを特徴とする表示オブジェクト管理装置。
【請求項4】
被筆記体への筆記内容に対応したデータ入力を行う電子筆記具と、当該電子筆記具の前記被筆記体における位置情報を検出可能な位置検出手段と、を備える表示オブジェクト入力操作端末と、
文書情報を表示する所定形状の表示オブジェクトを表示領域中に表示可能な表示手段と、
前記位置検出手段で検出した前記位置情報を入力するとともに、前記表示手段に表示オブジェクトを表示可能な表示オブジェクト管理装置と、
で構成する表示オブジェクト入力表示システムであって、
前記表示オブジェクト入力操作端末、前記表示手段、又は前記表示オブジェクト管理装置が、
前記位置検出手段における前記位置情報の検出結果に基づき、前記電子筆記具による前記被筆記体への記載に対応した入力ストロークデータを生成する入力ストロークデータ生成手段と、
前記入力ストロークデータ生成手段で生成した前記入力ストロークデータを、新規の表示オブジェクトに記入するか、又は既存の表示オブジェクトに追記するかのいずれかを選択する選択手段と、
前記選択手段によって前記入力ストロークデータを前記既存の表示オブジェクトに追記すると選択された場合、前記既存の表示オブジェクトにすでに記入された既存ストロークデータの前記位置検出手段の有効領域座標における記入領域の既存基準位置と、前記入力ストロークデータの前記位置検出手段の有効領域座標における記入領域の追記基準位置とを取得するデータ基準位置取得手段と、
前記追記基準位置から近い前記既存基準位置を検出し、それに対応する前記既存ストロークデータを取得する近接データ取得手段と、
前記近接データ取得手段で取得した前記既存ストロークデータに前記入力ストロークデータを追記するデータ追記手段と、
を有することを特徴とする表示オブジェクト入力表示システム。
【請求項5】
請求項4記載の表示オブジェクト入力表示システムにおいて、
前記表示オブジェクト管理装置は、それぞれ識別情報が割り当てられた複数の前記表示オブジェクト入力操作端末と接続しており、
前記表示オブジェクト管理装置は、
前記既存の表示オブジェクトに関する各種情報を、当該既存の表示オブジェクトを作成した前記表示オブジェクト入力操作端末の前記識別情報に対応付けて記憶する記憶手段を備え、
前記近接データ取得手段と前記データ追記手段は、前記入力ストロークデータを生成した表示オブジェクト入力操作端末の識別情報に対応する前記追記基準位置、前記既存基準位置、及び前記既存ストロークデータを処理する
ことを特徴とする表示オブジェクト入力表示システム。
【請求項6】
位置検出手段で検出した被筆記体における電子筆記具の位置情報に基づき、前記電子筆記具による被筆記体への記載に対応した入力ストロークデータを生成する入力ストロークデータ生成手順と、
前記入力ストロークデータ生成手順で生成した前記入力ストロークデータを、新規の表示オブジェクトに記入するか、又は既存の表示オブジェクトに追記するかのいずれかを選択する選択手順と、
前記選択手順によって前記入力ストロークデータを前記既存の表示オブジェクトに追記すると選択された場合、前記既存の表示オブジェクトにすでに記入された既存ストロークデータの前記位置検出手段の有効領域座標における記入領域の既存基準位置と、前記入力ストロークデータの前記位置検出手段の有効領域座標における記入領域の追記基準位置とを取得するデータ基準位置取得手順と、
前記追記基準位置から最も近い前記既存基準位置を検出し、それに対応する前記既存ストロークデータを取得する近接データ取得手順と、
前記近接データ取得手順で取得した前記既存ストロークデータに前記入力ストロークデータを追記するデータ追記手順と、
を有することを特徴とする表示オブジェクト入力表示方法。
【請求項7】
位置検出手段で検出した被筆記体における電子筆記具の位置情報が入力されるとともに、文書情報を表示する所定形状の表示オブジェクトを表示手段に表示可能な表示オブジェクト管理装置に備えられたコンピュータに、
前記位置検出手段における前記位置情報の検出結果に基づき、前記電子筆記具による前記被筆記体への記載に対応した入力ストロークデータを生成する入力ストロークデータ生成手順と、
前記入力ストロークデータ生成手順で生成した前記入力ストロークデータを、新規の表示オブジェクトに記入するか、又は既存の表示オブジェクトに追記するかのいずれかを選択する選択手順と、
前記選択手順によって前記入力ストロークデータを前記既存の表示オブジェクトに追記すると選択された場合、前記既存の表示オブジェクトにすでに記入された既存ストロークデータの前記位置検出手段の有効領域座標における記入領域の既存基準位置と、前記入力ストロークデータの前記位置検出手段の有効領域座標における記入領域の追記基準位置とを取得するデータ基準位置取得手順と、
前記追記基準位置から最も近い前記既存基準位置を検出し、それに対応する前記既存ストロークデータを取得する近接データ取得手順と、
前記近接データ取得手順で取得した前記既存ストロークデータに前記入力ストロークデータを追記するデータ追記手順と、
を実行させるための表示オブジェクト管理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−208593(P2012−208593A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−72167(P2011−72167)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】