説明

表示データ生成装置及びプログラム

【課題】要素値の変動による要素間の影響度合いを表示することができるようにする。
【解決手段】ユーザによって複数の要素のうちの少なくとも1つの要素の要素値の変動が指示された変動指示を受け付ける。ベイズ推定によって推定されたパラメータに基づいて、ターゲットとなる要素と関係のある各要素の変動後の要素値の事後分布を予想する。予想された各要素の事後分布に基づいて、事後分布の平均値に応じた高さにおいて、事後分布に応じた変動幅で高さ方向に、ベイジアンネットワークの対応するノードが変動するように表示した3次元画像を、表示装置に表示させるための表示データを生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示データ生成装置及びプログラムに係り、特に、複数の要素の関係を表示するための表示データを生成する表示データ生成装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ベイジアンネットワークを用いた発明が知られている。例えば、ベイジアンネットワークを用いて、金融取引に関連するリスクおよび/またはエクスポージャを評価する方法が知られている(特許文献1)。この方法では、ベイジアン・ビリーフ・ネットワークを、リスク評価システムにおける入力/出力間およびこれらと他の外部因子との関係をモデル化する規範的診断ツールとして使用することにより、金融リスク評価システムに入力されたデータにおけるエラーの尤らしい情報源を割出している。
【0003】
また、ある事象が発生した場合に、ベイジアンネットワークによる処理を用いて、その事象が発生する原因を推測し、最適と思われる対処方法を出力する事象分析対処システムが知られている(特許文献2)。この事象分析対処システムでは、確率テーブルと、事象情報を受信し、事象に対する対処の組合せを作成し、原因の確率分布データを出力し、予め定められた評価関数に基づいて、その対処に対する評価値を算出し、算出した対処に対する評価値から、有効性の高い対処案データを対処案リストとして出力している。
【0004】
また、小売店や飲食店等の店舗の来客数を、ベイジアンネットワークを用いて予測する来客数予測システムが知られている(特許文献3)。来客数予測システムでは、記憶した経験データを抽出し、その経験データに基づいて、事象とそれに対応する来客数予測の確率分布とからなる確率テーブルを作成し、作成した確率テーブルと、外部情報入力手段から受信した事象を示す情報とに基づいて、来客数予測データを算出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−184430号公報
【特許文献2】特開2005−222115号公報
【特許文献3】特開2005−228014号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記の特許文献1〜3に記載の技術では、ベイジアンネットワークを表示する場合、ファクタ間のつながりとその強さ(期待値)情報を可視化することができても、予測分布に関する、より高次のモーメント(分散、歪度、尖度等)を表すことはできないため、要素値の変動による要素間の影響度合いを表示することができない、という問題がある。
【0007】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたもので、要素値の変動による要素間の影響度合いを表示することができる表示データ生成装置及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために第1の発明に係る表示データ生成装置は、複数の要素の関係をモデル化した要素関係モデルにおける前記複数の要素の要素値を取得する取得手段と、前記取得した前記複数の要素の要素値から、ベイズ推定を用いて、前記要素関係モデルにおける前記複数の要素の関係を表わすパラメータを推定する推定手段と、前記推定手段によって推定された前記パラメータに基づいて、前記複数の要素の要素値の期待値を算出する期待値算出手段と、前記要素関係モデルを、前記複数の要素を複数のノードで表した2次元のベイジアンネットワークにより表現し、かつ、前記複数の要素の要素値の期待値を前記複数のノードの高さとして表現した3次元画像を、表示装置に表示させるための表示データを生成する表示データ生成手段と、ユーザによって前記複数の要素のうちの少なくとも1つの要素の要素値の変動が指示された変動指示を受け付ける変動指示受付手段と、前記推定手段によって推定された前記パラメータと、前記変動指示受付手段によって受け付けた前記変動指示により指示された前記要素の要素値の変動とに基づいて、前記少なくとも1つの要素以外であって、かつ、該要素と関係のある各要素の変動後の要素値の事後分布を算出する事後分布算出手段と、前記事後分布算出手段によって算出された各要素の事後分布に基づいて、前記事後分布の平均値に応じた高さにおいて、前記事後分布に応じた変動幅で高さ方向に、対応するノードが変動するように表示した3次元画像を、前記表示装置に表示させるための表示データを生成する変動表示データ生成手段と、を含んで構成されている。
【0009】
第2の発明に係るプログラムは、コンピュータを、複数の要素の関係をモデル化した要素関係モデルにおける前記複数の要素の要素値を取得する取得手段、前記取得した前記複数の要素の要素値から、ベイズ推定を用いて、前記要素関係モデルにおける前記複数の要素の関係を表わすパラメータを推定する推定手段、前記推定手段によって推定された前記パラメータに基づいて、前記複数の要素の要素値の期待値を算出する期待値算出手段、前記要素関係モデルを、前記複数の要素を複数のノードで表した2次元のベイジアンネットワークにより表現し、かつ、前記複数の要素の要素値の期待値を前記複数のノードの高さとして表現した3次元画像を、表示装置に表示させるための表示データを生成する表示データ生成手段、ユーザによって前記複数の要素のうちの少なくとも1つの要素の要素値の変動が指示された変動指示を受け付ける変動指示受付手段、前記推定手段によって推定された前記パラメータと、前記変動指示受付手段によって受け付けた前記変動指示により指示された前記要素の要素値の変動とに基づいて、前記少なくとも1つの要素以外であって、かつ、該要素と関係のある各要素の変動後の要素値の事後分布を算出する事後分布算出手段、及び前記事後分布算出手段によって算出された各要素の事後分布に基づいて、前記事後分布の平均値に応じた高さにおいて、前記事後分布に応じた変動幅で高さ方向に、対応するノードが変動するように表示した3次元画像を、前記表示装置に表示させるための表示データを生成する変動表示データ生成手段として機能させるためのプログラムである。
【0010】
第1の発明及び第2の発明によれば、取得手段によって、複数の要素の関係をモデル化した要素関係モデルにおける前記複数の要素の要素値を取得し、推定手段によって、取得した複数の要素の要素値から、ベイズ推定を用いて、要素関係モデルにおける複数の要素の関係を表わすパラメータを推定する。
【0011】
そして、期待値算出手段によって、推定手段によって推定されたパラメータに基づいて、複数の要素の要素値の期待値を算出する。表示データ生成手段によって、要素関係モデルを、複数の要素を複数のノードで表した2次元のベイジアンネットワークにより表現し、かつ、複数の要素の要素値の期待値を複数のノードの高さとして表現した3次元画像を、表示装置に表示させるための表示データを生成する。
【0012】
そして、変動指示受付手段によって、ユーザによって複数の要素のうちの少なくとも1つの要素の要素値の変動が指示された変動指示を受け付ける。事後分布算出手段によって、推定手段によって推定されたパラメータと、変動指示受付手段によって受け付けた変動指示により指示された要素の要素値の変動とに基づいて、少なくとも1つの要素以外であって、かつ、該要素と関係のある各要素の変動後の要素値の事後分布を算出する。
【0013】
そして、変動表示データ生成手段によって、事後分布算出手段によって算出された各要素の事後分布に基づいて、事後分布の平均値に応じた高さにおいて、事後分布に応じた変動幅で高さ方向に、対応するノードが変動するように表示した3次元画像を、表示装置に表示させるための表示データを生成する。
【0014】
このように、受け付けた変動指示による要素の要素値の変動に基づいて、各要素の変動後の要素値の事後分布を算出し、事後分布の平均値に応じた高さにおいて、事後分布に応じた変動幅で高さ方向に、ベイジアンネットワークの対応するノードが変動するように表示した3次元画像を、表示装置に表示させることにより、要素値の変動による要素間の影響度合いを表示することができる。
【0015】
第3の発明に係る表示データ生成装置は、複数の要素の関係をモデル化した要素関係モデルにおける前記複数の要素の要素値を取得する取得手段と、前記取得した前記複数の要素の要素値から、ベイズ推定を用いて、前記要素関係モデルにおける前記複数の要素の関係を表わすパラメータを推定する推定手段と、前記推定手段によって推定された前記パラメータに基づいて、前記複数の要素の要素値の期待値を算出する期待値算出手段と、前記要素関係モデルを、前記複数の要素を複数のノードで表した2次元のベイジアンネットワークにより表現し、かつ、前記複数の要素の要素値の期待値を前記複数のノードの高さとして表現した3次元画像を、表示装置に表示させるための表示データを生成する表示データ生成手段と、ユーザによって前記複数の要素のうちの少なくとも1つの要素の要素値の変動が指示された変動指示を受け付ける変動指示受付手段と、前記推定手段によって推定された前記パラメータと、前記変動指示受付手段によって受け付けた前記変動指示により指示された前記要素の要素値の変動とに基づいて、前記少なくとも1つの要素以外であって、かつ、該要素と関係のある各要素の変動後の要素値の事後分布を算出する事後分布算出手段と、前記事後分布算出手段によって算出された各要素の事後分布に基づいて、前記事後分布の平均値に応じた高さにおいて、対応するノードが、前記事後分布に応じた形状又は色で表されるように表示した3次元画像を、前記表示装置に表示させるための表示データを生成する変動表示データ生成手段と、を含んで構成されている。
【0016】
第4の発明に係るプログラムは、コンピュータを、複数の要素の関係をモデル化した要素関係モデルにおける前記複数の要素の要素値を取得する取得手段、前記取得した前記複数の要素の要素値から、ベイズ推定を用いて、前記要素関係モデルにおける前記複数の要素の関係を表わすパラメータを推定する推定手段、前記推定手段によって推定された前記パラメータに基づいて、前記複数の要素の要素値の期待値を算出する期待値算出手段、前記要素関係モデルを、前記複数の要素を複数のノードで表した2次元のベイジアンネットワークにより表現し、かつ、前記複数の要素の要素値の期待値を前記複数のノードの高さとして表現した3次元画像を、表示装置に表示させるための表示データを生成する表示データ生成手段、ユーザによって前記複数の要素のうちの少なくとも1つの要素の要素値の変動が指示された変動指示を受け付ける変動指示受付手段、前記推定手段によって推定された前記パラメータと、前記変動指示受付手段によって受け付けた前記変動指示により指示された前記要素の要素値の変動とに基づいて、前記少なくとも1つの要素以外であって、かつ、該要素と関係のある各要素の変動後の要素値の事後分布を算出する事後分布算出手段、及び前記事後分布算出手段によって算出された各要素の事後分布に基づいて、前記事後分布の平均値に応じた高さにおいて、対応するノードが、前記事後分布に応じた形状又は色で表されるように表示した3次元画像を、前記表示装置に表示させるための表示データを生成する変動表示データ生成手段として機能させるためのプログラムである。
【0017】
第3の発明及び第4の発明によれば、変動表示データ生成手段によって、事後分布算出手段によって算出された各要素の事後分布に基づいて、事後分布の平均値に応じた高さにおいて、対応するノードが、事後分布に応じた形状又は色で表されるように表示した3次元画像を、表示装置に表示させるための表示データを生成する。
【0018】
このように、受け付けた変動指示による要素の要素値の変動に基づいて、各要素の変動後の要素値の事後分布を算出し、事後分布の平均値に応じた高さにおいて、ベイジアンネットワークの対応するノードが、事後分布に応じた形状又は色で表されるように表示した3次元画像を、表示装置に表示させることにより、要素値の変動による要素間の影響度合いを表示することができる。
【0019】
上記の表示データ生成装置は、ユーザによるモデル化の対象となる複数の要素の選択を受け付ける要素選択受付手段を更に含み、取得手段は、複数の要素の各々の要素値を記憶した記憶手段から、要素選択受付手段によって受け付けた対象となる複数の要素の選択に対する要素値を取得することができる。
【0020】
上記の表示データ生成装置は、ユーザによる前記モデル化の対象となる要素の選択を受け付ける要素選択受付手段と、複数の要素の各々の要素値を記憶した記憶手段から、複数の要素の各々の要素値を取得し、取得した各要素に対して、前記対象となる要素と関係があるか否かを判定することにより、前記対象となる要素と関係がある複数の要素を選択する要素選択手段と、を更に含み、取得手段は、要素選択手段によって選択された複数の要素の各々の要素値を取得することができる。これによって、ターゲットとする要素と関係がある要素を自動的に選択することができる。
【0021】
上記のベイジアンネットワークでは、要素の要素値の相互情報量に基づく要素間の関係に強さに応じて、対応するノード間の線を太くするように表現することができる。
【0022】
上記の要素を、金融資産又は金融情報とすることができる。
【0023】
また、ユーザによってノードが指示されたとき、複数の金融資産又は金融情報に関する詳細情報を記憶した記憶手段から、ノードに対応する金融資産又は金融情報に関する詳細情報を取得し、取得した金融資産又は金融情報に関する詳細情報を、表示装置に更に表示させるための表示データを生成する詳細表示データ生成手段を更に含むことができる。
【0024】
上記の要素を、商品の売上高、商品情報、又は消費者情報とすることができる。
【0025】
本発明のプログラムは、記憶媒体に格納して提供することができる。
【発明の効果】
【0026】
以上説明したように、本発明の表示データ生成装置及びプログラムによれば、受け付けた変動指示による要素の要素値の変動に基づいて、各要素の変動後の要素値の事後分布を算出し、事後分布の平均値に応じた高さにおいて、事後分布に応じた変動幅で高さ方向に、ベイジアンネットワークの対応するノードが変動するように表示した3次元画像、又は事後分布の平均値に応じた高さにおいて、ベイジアンネットワークの対応するノードが、事後分布に応じた形状又は色で表されるように表示した3次元画像を、表示装置に表示させることにより、要素値の変動による要素間の影響度合いを表示することができる、という効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る金融資産運用支援システムの構成を示す概略図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る金融資産運用支援システムの情報端末の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る金融資産運用支援システムのサーバの構成を示すブロック図である。
【図4】ノード間の関係の一例を示す図である。
【図5】ベイジアンネットワークを示すイメージ図である。
【図6】ベイジアンネットワークの3次元表示を示すイメージ図である。
【図7】詳細情報として会社概要を表示した様子を示すイメージ図である。
【図8】詳細情報として株価情報を表示した様子を示すイメージ図である。
【図9】ノードをドラッグ&ドロップする様子を示すイメージ図である。
【図10】複数のノードをドラッグ&ドロップする様子を示すイメージ図である。
【図11】ノードが変動しているベイジアンネットワークの3次元表示を示すイメージ図である。
【図12】本発明の第1の実施の形態に係るサーバの金融情報可視化処理ルーチンの内容を示すフローチャートである。
【図13】本発明の第1の実施の形態に係るサーバの表示データ更新処理ルーチンの内容を示すフローチャートである。
【図14】本発明の第2の実施の形態に係る金融資産運用支援システムのサーバの構成を示すブロック図である。
【図15】本発明の第2の実施の形態に係るサーバの金融情報可視化処理ルーチンの内容を示すフローチャートである。
【図16】本発明の第2の実施の形態に係るサーバの要素選択処理ルーチンの内容を示すフローチャートである。
【図17】本発明の第3の実施の形態に係る金融資産運用支援システムのサーバの構成を示すブロック図である。
【図18】本発明の第4の実施の形態に係るマーケティング支援システムのサーバの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。なお、本実施の形態では、投資家であるユーザによる金融資産の運用を支援するための金融資産運用支援システムに、本発明を適用した場合を例に説明する。
【0029】
図1に示すように、第1の実施の形態に係る金融資産運用支援システム10は、ユーザが操作する携帯型の情報端末12と、情報端末12に表示させるための表示データを生成するサーバ14とを備えており、情報端末12とサーバ14とは、基地局16及びインターネットなどのネットワーク18を介して接続されている。
【0030】
図2に示すように、情報端末12は、無線通信を行うための通信部20と、ユーザによって操作されるキーやタッチパネル等で構成された入力操作部22と、入力操作部22による操作に応じて各種の情報処理を行う情報処理部24と、情報処理部24から出力される表示データを表示させるためのLCD等で構成された表示部26とを備えている。
【0031】
情報処理部24では、サーバ14から送られてきた情報をもとに、金融資産に関する基本情報あるいは詳細情報の表示画面を表示部26に表示させる。また、ユーザは表示部26に表示された表示画面上の情報を見ながら、入力操作部22を操作して、インタラクティブにサーバ14側に指示をすることができる。例えば、金融資産(例えば、株の銘柄)と、当該金融資産と関連する金融情報の項目(例えば、PER、PBR、ROEなどのファンダメンタル指標)や金融資産(例えば、株の他の銘柄)とを選択するように入力操作部22を操作して、金融資産及び金融情報の項目の選択と共に、これらの関連性の提示を指示する関連性提示指示を、サーバ14側へ送信する。
【0032】
サーバ14は、CPU、ROM、RAM、及びHDDを備えたコンピュータで構成されており、HDDには、後述する金融情報可視化処理ルーチン及び表示データ更新処理ルーチンの各々に対するプログラムが記憶されている。
【0033】
サーバ14は、機能的には次に示すように構成されている。図3に示すように、サーバ14は、通信インターフェース部30、金融情報収集部32、金融情報データベース34、入力受付部36、金融情報取得部38、ベイズ推定部42、表示情報生成部48、詳細情報提示指示受付部50、詳細情報取得部52、表示更新部54、変動指示受付部56、事後分布算出部58、表示更新部60、及び要素削除指示受付部62を備えている。
【0034】
通信インターフェース部30は、ネットワーク18と接続されており、ネットワーク18を介したデータの送受信を行う。
【0035】
金融情報収集部32は、後述する要素の関連性の推定及び詳細情報の表示のために必要な金融情報を特定し、これをもとにウェブページ、外部金融情報データベースAPI(Bloomberg, REUTERSなど)から、必要な金融情報を検索する。また、金融情報収集部32は、ウェブページおよび外部情報データベースで取得した金融情報を、金融情報データベース34に適合する形に加工する。例えば、ニュースであればテキストマイニングによるニュース情報の数量化、時系列データのデータベースへの追加等を行う。金融情報収集部32は、必要な金融情報を定期的に外部から収集し、金融情報データベース34に登録する。
【0036】
金融情報データベース34には、金融情報収集部32によって収集された各種項目の金融情報を、時系列データとして蓄積する。例えば、過去の株価情報、板情報、ニュース、市場動向、取引量、関連銘柄の動向、PER、PBR、ROE、当該金融資産を原資産とするデリバティブ価格(オプション等)、ウェブ検索件数と注目率、チャートインデックス(トレンドリバーサル、トレンドからの乖離率、ボラティリティの変化など)、含み損益等などの項目の金融情報が、時系列データとして、金融情報データベース34に記憶されている。また、株の銘柄毎の金融情報(株価情報やファンダメンタル指標、企業情報など)は、銘柄毎に、金融情報データベース34に記憶されている。
【0037】
入力受付部36は、情報端末12を持つユーザによって入力されて送信された情報を受け付ける。例えば、ユーザからの入力情報(ターゲットとする株の銘柄や指標などの金融資産の選択、及び当該金融資産との関連を見たい金融情報の項目又は金融資産)を受け付ける。
【0038】
金融情報取得部38は、ユーザから受け付けた金融資産(例えば、株の銘柄)や金融情報の項目の選択に応じて、当該銘柄の株価情報の時系列データ、及び選択された金融情報の項目の時系列データを、金融情報データベース34から取得する。
【0039】
ベイズ推定部42は、受け付けた金融資産(例えば、株の銘柄)や金融情報の項目の選択の関係性をモデル化したモデルのモデルパラメータを、ベイズ推定により推定する。
【0040】
例えば、以下に説明するように、受け付けた金融資産(例えば、株の銘柄)や金融情報の項目の選択の関係性をモデル化した要素関係性モデルのモデルパラメータが推定される。
【0041】
まず、受け付けた金融資産(例えば、株の銘柄)や金融情報の項目の選択を複数の要素とすると共に、各要素間の関係を線形モデル化して要素関係性モデルとし、各モデルパラメータ(たとえば、線形モデルにおける各係数)の事前分布として、正規分布を仮定する(例えば、平均0分散1の標準正規分布を仮定する)。
【0042】
そして、モデルパラメータの推定では、MCMC(Markov chain Monte Carlo:マルコフ連鎖モンテカルロ)法におけるギブスサンプリング手法を使い、要素とする金融資産(例えば、株の銘柄)や金融情報の項目の時系列データに基づいて、全てのパラメータの同時分布を推定し、パラメータ値を決定する。
【0043】
より詳細には、以下のようにパラメータを推定する。
【0044】
まず、図4に示すようなノード間の関係が、次のような線形モデルで表わされると仮定する。
【0045】
【数1】


ここで、α、αの事前分布は、正規分布N(0,1)に従い、εは、誤差とし、ガンマ分布N(0、σ)に従うとする。ここで、推定すべきパラメータθは、θ=(α,σ)となり、観測されたデータをD(D=(A,B))とすると、P(θ|D)を求めることによってAとBの関係について推定する。具体的には、ギブスサンプリング法を用いて以下のように行う。
Step1. θ=(α,α、σ)を与える(事前分布の平均値で与える)
Step2. P(α|D,αt−1、σt−1)を推定する (1≦t≦N)
Step3. P(α|D,αt−1、σt−1)を推定する
Step4. P(σt−1|D,αt−1、α)を推定する
Step5. Step2〜Step4をN繰り返す
上記でサンプリングされたデータの収束後のデータを平均したものをパラメータの期待値とする。
【0046】
上記のように、マルコフ連鎖モンテカルロ法を用いてサンプリングを行うことで、パラメータの事後分布を推定すると共に、その期待値をもって、パラメータの推定値とする。
【0047】
なお、要素の関係性のモデル化として、線形モデルを用いる場合を例に説明したが、これに限定されるものではなく、モデル化としては、離散変数とする方法、線形モデル化+ガウス分布を仮定する方法、非線形モデル化する方法等が考えられる。また、ギブスサンプリングによるパラメータの推定を行う場合を例に説明したが、これに限定されるものではなく、パラメータ推定手法として、メトロポリス=ヘイスティングスサンプリングによるパラメータの推定を行ってもよい。
【0048】
表示情報生成部48は、図5に示すような、受け付けた金融資産(例えば、株の銘柄)や金融情報の項目の選択を表わす要素をノードとした2次元のベイジアンネットワークと、ノードに対応する要素の期待値に応じた高さとに基づいて、図6に示すような、ベイジアンネットワークを3次元に表示するための表示データを、以下のように生成する。
【0049】
まず、ターゲットとなる要素と関連する要素との間の要素値の相互情報量を計算し、関係性が強い順に、ターゲットとなる要素の近くに、関連する要素を配置して、ベイジアンネットワークを生成する。例えば、ターゲットの要素を中心とした螺旋状(極座標の方程式, r=aθ(r:半径、a>1、θ:偏角)によって表わされる曲線上)に、相互情報量の大きい順に時計回りで、関連する要素を配置する。
【0050】
また、要素間の因果関係に基づいて、ベイジアンネットワークの要素間の矢印の向きを決定し、要素間の相互情報量の大きさで、要素間の関係の強さを定義し、要素間の矢印の枝の太さを、関係の強さに応じて決定する。
【0051】
また、ノードに対応する要素について推定された事後分布から、要素の期待値を算出し、ノードの高さを、要素の期待値に応じて決定し、ノードの高さを追加することにより、各ノードの3次元位置を決定し、ベイジアンネットワークを3次元に表示するための表示データを生成する。
【0052】
表示情報生成部48は、生成した表示データを、ネットワーク18を介して、情報端末12に送信する。これによって、情報端末12の表示部26に、ベイジアンネットワークを3次元に表わした表示画面が表示される。
【0053】
詳細情報提示指示受付部50は、ユーザによって入力された詳細情報提示指示を、情報端末12からネットワーク18を介して受け付ける。
【0054】
情報端末12では、ユーザが入力操作部22を操作することにより、表示部26に表示された3次元のベイジアンネットワークのノードをクリックしたり、ノードをオンマウス状態とすることができる。上記の操作により、情報端末12の表示部26に、当該ノードに対応する要素(金融資産又は金融情報の項目)に関する詳細情報を更に提示するように指示することができる。
【0055】
なお、詳細情報の提示を指示するためのユーザアクションは、指によるクリック、テキスト入力等であってもよい。
【0056】
詳細情報取得部52は、詳細情報提示指示受付部50によって指示を受け付けた場合、金融情報データベース34から、要求のあった要素(例えば、株の銘柄)に関する詳細情報(例えば、会社概要、価格時系列データの株価チャートなどの株価情報、ファンダメンタルズデータ、取引量データ、ROE、ROA、売上高、当該銘柄に関する関連ニュース、ウェブ上の評判など)を取得する。
【0057】
表示更新部54は、図7に示すように、取得した詳細情報を、ベイジアンネットワークの3次元表示に重畳させて表示した表示データを生成して更新する。例えば、上記図7に示すように、詳細情報の表示部分には、「会社概要」、「株価情報」(図8参照)、「関連ニュース」、「評価詳細」の各々のタグが設けられており、ユーザによるタグの選択に応じて、各種の詳細情報を表示した表示データを生成する。
【0058】
なお、詳細情報を表示した表示画面から、株の発注などの管理も可能となるように構成してもよい。
【0059】
変動指示受付部56は、ユーザによって入力された要素変動指示を、情報端末12からネットワーク18を介して受け付ける。
【0060】
情報端末12では、ユーザが入力操作部22を操作することにより、図9に示すように、表示部26に表示された3次元のベイジアンネットワークのノードをドラッグ&ドロップすることができる。上記の操作により、情報端末12の表示部26に、当該ノードの要素値を変動させた場合の他の要素の影響度合い(どのように影響が伝搬するか)をシミュレーションさせるように指示することができる。例えば、ノードAの要素値が下落した時の影響度合いをシミュレーションしたい場合には、ノードAをクリックして下方向にドラッグし、ドロップする。ここで、ノードAをドラッグした距離に応じて、ノードAの要素値の変動値が決定される。
【0061】
なお、図10に示すように、要素の変動を指示するためのユーザアクションは、複数のノードに対して行ってもよい。
【0062】
事後分布算出部58は、指示された要素の変動を条件とし、各要素についてベイズ推定により推定された事後分布に基づいて、MCMC法によって、予想される各要素の要素値を、事後分布として予想し、予想された事後分布に従って、各要素の要素値をサンプリングする。
【0063】
例えば、以下に説明するように、要素値をサンプリングする。
【0064】
ここでは、上記図4においてAをA’に変化させた時のBへの影響を考える。Bへの影響は、以下の(2)式で表される。
【0065】
【数2】


上記(2)式に従うBを以下のように可視化する。
【0066】
まず、上記のギブスサンプリング法を用いたθ=(α、α,σ)のセットの中からN/2+1以降を選択(選択されたインデックスをiとする)し、上記モデルより、以下の(3)式のように、サンプリングされたパラメータ値を代入することによってBを決定する(この値がBの位置となる)。
【0067】
【数3】


以上をiが1からN/2まで繰り返す。これによりAがA’に変化したときのBへの影響(上記(2)式で表わされる分布)が変動として可視化される。無論、上記の線形モデルは一例であり、非線形モデルを仮定したり、通常のベイジアンネットワークのようにモデルを特定せずに求めることも可能である。
【0068】
また、本実施の形態では、予測分布(事後分布)の特定に、確率サンプリング法 (特にMCMC法) を用いた場合を例に説明したが、その他、有名な方法として、ビリーフプロパゲーション(BP)を採用してもよい。この方法では、親ノードの値をmyu, myu+sigma, myu-sigmaとして、子ノードの条件付き期待値を順に計算する。ただし、BPは単結合(ループがない)でないと収束が保証されないので、複結合(ループがある)の場合はジャンクションツリーアルゴリズムを用いればよい。
【0069】
また、事後分布算出部58は、入力された要素の値(変動値)を起点として、矢印(枝)に沿ってベイジアンネットワークの伝承サンプリングを行う(入力された要素の変動値を所与とし、モデルの推定で生成されたパラメータのサンプリングデータを用いる)。サンプリングは例えば200回行い、サンプリングされた値をメモリ(図示省略)に格納する。
【0070】
表示更新部60は、メモリに格納された値をノードの高さとして、例えば、0.05秒毎に、ベイジアンネットワークを3次元表示した表示データを生成して、表示データを更新する。これによって、情報端末12の表示部26に、ベイジアンネットワークを3次元に表わした表示画面が、0.05秒毎に更新されて表示され、図11に示すように、各ノードが、変動後の要素値の平均値に応じた高さで表わされ、かつ、ノードの変動の幅により事後分布の分散が表わされる。
【0071】
また、表示更新部60は、ノードがスムースに移動するように表示するための表示データを生成する。
【0072】
例えば、あるノードが、ある要素値から異なる要素値へ変化する場合、以下のシグモイド関数を用いた方程式によって移動割合の時間変化が決定される。
移動割合=2*((1/(1+exp(-(時間(sec)))))-(1/2))
上記のように決定された移動割合の時間変化で、3次元のベイジアンネットワークのノードが変化するように表示するための表示データが生成される。
【0073】
要素削除指示受付部62は、ユーザによって入力された要素削除指示を、情報端末12からネットワーク18を介して受け付ける。
【0074】
情報端末12では、ユーザが入力操作部22を操作することにより、表示部26に表示された3次元のベイジアンネットワークのノードを削除するように、指示することができる。例えば、ターゲットとする要素と相関のない無関係なノードを削除するように指示して、最適な要素関係性モデルを作成する。
【0075】
要素削除指示を受け付けると、ベイズ推定部42は、削除するように指示された要素を除いてモデル化した要素関係性モデルのモデルパラメータを、ベイズ推定により再度推定する。
【0076】
次に、第1の実施の形態に係る金融資産運用支援システム10の作用について説明する。
【0077】
まず、ユーザが、情報端末12において、入力操作部22を操作して、ターゲットとする金融資産としての株の銘柄を選択すると共に、ターゲットとの関連性を見るための金融資産(例えば、他の株の銘柄)や金融情報の項目を選択すると、情報端末12から、金融資産や金融情報の項目の選択と共に関連性提示指示が、サーバ14へ送信される。
【0078】
サーバ14において、情報端末12からの金融資産や金融情報の項目の選択及び関連性提示指示を受け付けると、図12に示す金融情報可視化処理ルーチンが実行される。
【0079】
まず、ステップ100において、入力受付部36によって受け付けた、ターゲットとする金融資産や関連する金融資産及び金融情報の項目の選択を、要素情報として取得する。
【0080】
そして、ステップ102において、上記ステップ100で取得した要素情報が示す金融資産の情報(例えば、株の銘柄の株価情報)、及び要素情報が示す金融情報の項目に関する情報を、金融情報データベース34から取得する。次のステップ104では、上記ステップ100で取得した要素情報を要素として、上記ステップ102で取得した金融資産の情報や金融情報の項目に関する情報に基づいて、要素間の関係性をモデル化した要素関係性モデルのモデルパラメータを、ベイズ推定により推定する。
【0081】
そして、ステップ106では、上記ステップ106で推定されたパラメータに基づいて、各要素の要素値の期待値を算出し、算出された期待値を、要素に対応するノードの高さとして決定する。
【0082】
次のステップ108では、上記ステップ102で取得した金融資産の情報や金融情報の項目に関する情報に基づいて、要素間の要素値の相互情報量を算出して、要素間の強さを定義し、要素間の強さに応じて、要素に対応するノード間の線の太さを決定する。
【0083】
そして、ステップ110において、上記ステップ108で得られた要素間の強さに応じて、ターゲットの要素に対応するノード、関連性のある要素に対応するノードを配置すると共に、決定されたノード間の線の太さ、及び要素間の因果関係に基づくノード間の線の矢印の向きに従ってノード間の線(枝)及び矢印を生成したベイジアンネットワークを生成し、上記ステップ106で決定されたノードの高さを追加してノードの3次元位置を決定し、ベイジアンネットワークを3次元表示させた表示データを生成して、情報端末12へ送信する。
【0084】
次のステップ112では、ユーザからの入力を情報端末12から受け付けたか否かを判定する。ユーザが、情報端末12の入力操作部22を操作し、なんらかの指示を、情報端末12からサーバ14へ送信すると、ステップ114へ進み、表示データを更新して、情報端末12へ送信し、上記ステップ112へ戻る。
【0085】
ここで、上記ステップ114は、図13に示す表示データ更新処理ルーチンによって実現される。
【0086】
まず、ステップ120において、上記ステップ112で受け付けた入力が、特定要素の変動指示であるか否かを判定する。ユーザが、情報端末12の入力操作部22を操作し、ノードをドラッグ&ドロップして、要素変動指示を、情報端末12からサーバ14へ送信した場合には、ステップ122へ進み、ユーザアクションがあったノードに対応する要素を特定する。
【0087】
そして、ステップ124において、要素変動指示が示す要素値の変動を特定する。次のステップ126では、サンプリング回数を示す変数nを初期値の1に設定する。
【0088】
そして、ステップ128において、上記ステップ124で特定した要素値の変動を条件として、各要素について上記ステップ104のベイズ推定により推定された事後分布に基づいて、MCMC法によって、予想される各要素の要素値を、事後分布として予想し、予想された事後分布に従って、各要素の要素値をサンプリングする。
【0089】
次のステップ130では、サンプリングされた各要素の要素値を、対応するノードの高さとして決定し、ステップ132において、上記ステップ130で決定されたノードの高さに基づいて、ベイジアンネットワークの3次元表示を表わす表示データを更新して、情報端末12へ送信する。
【0090】
そして、ステップ134において、変数nが、定数N(例えば、2000)未満であるか否かを判定し、変数nがN未満である場合には、ステップ136において、変数nをインクリメントして、上記ステップ128へ戻る。一方、上記ステップ134において、変数nがNに到達した場合には、表示データ更新処理ルーチンを終了する。これによって、例えば、0.05秒毎に、情報端末12の表示部26における、ベイジアンネットワークを3次元に表わした表示画面が更新され、各ノードが、変動後の要素値の平均値に応じた高さを中心として表わされ、かつ、ノードの変動の幅により事後分布の分散が表わされる。
【0091】
上記ステップ120において、ユーザからの入力が、要素変動指示でない場合には、ステップ138において、ユーザからの入力が、要素削除指示であるか否かを判定する。ユーザが入力操作部22を操作することにより、表示部26に表示された3次元のベイジアンネットワークのノードをクリックしたり、ノードをオンマウス状態とした場合には、受け付けた入力が詳細情報提示指示であると判断され、ステップ140へ移行する。
【0092】
ステップ140では、操作されたノードに対応する要素である金融資産又は金融情報の項目に関する詳細情報を提示するために必要な情報を、金融情報データベース34から取得する。
【0093】
そして、ステップ142において、ベイジアンネットワークの3次元表示に、操作されたノードに対応する要素である金融資産又は金融情報の項目に関する詳細情報を表示した表示部分を重畳させて表示するための表示データを生成すると共に、生成された表示データを、情報端末12へ送信して、表示を更新させ、表示データ更新処理ルーチンを終了する。
【0094】
一方、上記ステップ138において、ユーザが入力操作部22を操作することにより、表示部26に表示された3次元のベイジアンネットワークのノードを削除するように指示しており、要素削除指示を、情報端末12から受け付けたと判定された場合には、ステップ144へ移行する。ステップ144では、要素の関連性のモデル化の対象となる要素から、削除することが指示された要素を削除して、上記ステップ104へ戻り、再び、モデルパラメータを推定する。
【0095】
以上説明したように、第1の実施の形態に係る金融資産運用支援システムによれば、受け付けた変動指示による要素の要素値の変動に基づいて、各要素の変動後の要素値の事後分布を予想し、事後分布の平均値に応じた高さにおいて、事後分布に応じた変動幅で高さ方向に、ベイジアンネットワークの対応するノードが変動するように表示した3次元画像を、表示装置に表示させることにより、要素値の変動による要素間の影響度合いを表示することができる。
【0096】
また、複数要素の関係性を一目で把握できるように表示することができると共に、要素の変化による影響の伝播のインタラクティブ・シミュレーションを実現することができる。
【0097】
また、要素間の関係性や、いくつかの要因が変化した場合の影響の大きさおよびその伝搬をインタラクティブにシミュレーションでき、かつ 期待値だけでなく、予想される実現値の範囲を一定の幅として表現することができる。
【0098】
また、複数の要素が同時に変動した場合のシミュレーションも行うことができる。
【0099】
また、表示データに基づく表示画面を、金融資産に関する詳細情報を取得するための窓口として使用することができる。
【0100】
ベイジアンネットワークの表示方法に代表される従来の技術では、ファクタ間のつながりとその強さ(期待値)情報は可視化できても、予測分布に関する、より高次のモーメント(分散、歪度、尖度等)を表すことはできなかった。ベイズ推定の非常に優れた特徴である予測分布に関する、より高次の情報を可視化することはできなかった。本実施の形態では、事後分布のシミュレーション結果を基に、各要素の値を変化させ、それを高さで表示することによって、これら予測分布に関する、より高次の情報を表示することができる。上記のような期待値だけではなく、予測分布の持つ情報に関して、非常に直感的に把握することが可能になる。このような表示により、予測モデルの精度がどの程度であるか、あるファクタの別のファクタへの影響の大きさはどの程度で、どの程度の幅が存在するのか、などといった情報をユーザは直感的に得ることができる。さらに、ユーザは、このようなシミュレーション結果を見て、試行錯誤的にモデルの選択を行うことも可能になる。
【0101】
次に、第2の実施の形態に係る金融資産運用支援システムについて説明する。なお、第1の実施の形態と同様の構成となる部分については、同一符号を付して説明を省略する。
【0102】
第2の実施の形態では、ターゲットとなる要素と相関のある要素を自動的に選択している点が、第1の実施の形態と異なっている。
【0103】
図14に示すように、第2の実施の形態に係る金融資産運用支援システムのサーバ214は、通信インターフェース部30、金融情報収集部32、金融情報データベース34、入力受付部236、金融情報取得部238、要素選択部240、ベイズ推定部42、表示情報生成部48、詳細情報提示指示受付部50、詳細情報取得部52、表示更新部54、変動指示受付部56、事後分布算出部58、及び表示更新部60を備えている。
【0104】
入力受付部236は、情報端末12を持つユーザによって入力されて送信された情報(ターゲットとする株の銘柄や指標などの金融資産の選択)を受け付ける。
【0105】
金融情報取得部238は、ユーザから受け付けたターゲットとする金融資産(例えば、株の銘柄)の選択に応じて、当該株の銘柄と関連するファクタの候補として、他の株の銘柄や、金融情報の各種項目を特定し、ターゲットとする銘柄の株価情報の時系列データ、特定された銘柄の株価情報の時系列データ、及び特定された金融情報の項目の時系列データを、金融情報データベース34から取得する。
【0106】
要素選択部240は、金融情報データベース34から取得した銘柄に関する情報の時系列データ、及び金融情報の項目に関する情報の時系列データに基づいて、ファクタの候補である金融情報集合から、ターゲットとするファクタ(特定銘柄の1期後の収益率)と関係性のあるファクタを選択する。
【0107】
例えば、以下に説明するように、ターゲットとするファクタと関係性のあるファクタセットが選択される。
【0108】
まず、ファクタセット候補を決定する。例えば、3期前までの各期の収益率、12期間・60期間・120期間それぞれの移動平均からの乖離率、トレンドリバーサル指標、10期間の収益率に関するボラティリティ(一般的には、各種チャート指標) 、PER、PBR、ROE(一般的にはファンダメンタル指標)、TOPIXの1期前までの収益率、12期間の移動平均からの乖離率、短期国債および長期国債の金利、S&P500の1期前の収益率、円ドル為替レート(一般的にはマーケットインデックス)をファクタ候補とする(その他にもマーケット参加者に関する情報やニュース、金融派生商品など関連する市場の価格等が考えられる)。それらのデータは全てZ変換によって規格化される。
【0109】
次に、以下のように、ネットワーク構造を決定する。
【0110】
まず、ファクタとファクタとを結ぶ直線を枝と呼び、枝を結ぶか否かを0、1で表した遺伝子を作成する。ファクタ候補の数を例えば15個として、15*14/2(一般的には(n*(n−1))/2、nはファクタ候補の数)通りの全ての組み合わせに関する0、1の組み合わせをランダムに与えた遺伝子を25組作成する。
【0111】
それぞれの組について、ベイジアンネットワークのモデルパラメータの推定を行う。具体的には、各要素間の関係を線形モデル化した要素関係性モデルにおいて、各ファクタの事前分布としてガウス分布を仮定する(例えば、平均0分散1の標準正規分布を仮定する)。
【0112】
パラメータの推定はマルコフ連鎖モンテカルロ法におけるギブスサンプリング手法を使い、パラメータの同時分布を推定し、パラメータ値を決定する(一般的には、モデル化として、離散変数とする方法、線形モデル化とガウス分布を仮定する方法との組み合わせ、非線形モデル化する方法等が考えられる。パラメータ推定手法としては、ベイズ法ではMCMC法(ギブスサンプリング、メトロポリス=ヘイスティングス サンプリング)によるパラメータの推定が考えられる)。
【0113】
次に、説明変数、被説明変数の標本データと、パラメータ値のサンプリングデータとをモンテカルロ積分し、赤池のベイズ情報量基準を推定する。この情報量基準値を遺伝子の適応度とする。なお、シュワルツのベイズ基準を用いて、情報量基準値を求めてもよい。
【0114】
そして、この適応度に従って、ルーレットルールによって次世代に引き継ぐ遺伝子を25組作成する。また、交叉と突然変異の処理を行う。交叉の手法は2点交叉とし、交叉確率を例えば0.05とし、突然変異確率を例えば0.05とする。以上の処理を例えば20回繰り返す (ただし、回数はユーザの時間制限による。回数を増やす程精度が向上するが、長時間を必要とする)。
【0115】
そして、最終世代に残った各遺伝子を染色体毎に平均し、その値が0.5を超えるものを、ターゲットするファクタと関係があるファクタであると判定して選択し、ターゲットとするファクタとの間を枝で結ぶことによって、ネットワーク構造を決定する。
【0116】
ベイズ推定部42は、ネットワーク構造として選択されたファクタセットである要素の関係性をモデル化したモデルのモデルパラメータをベイズ推定により推定する。
【0117】
次に、第2の実施の形態に係る金融情報可視化処理ルーチンについて、図15を用いて説明する。なお、第1の実施の形態と同様の処理については、同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0118】
まず、ステップ250において、入力受付部36によって受け付けた、ターゲットとする金融資産の選択を、ターゲットの要素情報として取得する。そして、ステップ252において、上記ステップ250で取得した要素情報が示す金融資産の情報(例えば、株の銘柄の株価情報)、及びターゲットの金融情報に関連する金融情報及び金融情報の項目に関する情報を、金融情報データベース34から取得する。
【0119】
そして、ステップ254において、上記ステップ252で取得した金融情報に基づいて、ターゲットとなる要素と相関のある要素を、ネットワーク構造の要素として選択する。
【0120】
次のステップ256では、上記ステップ250で取得した要素情報をターゲットの要素とし、上記ステップ254で選択した要素を、関係性のある要素として、上記ステップ252で取得した金融資産の情報や金融情報の項目に関する情報に基づいて、要素間の関係性をモデル化した要素関係性モデルにおけるモデルパラメータを、ベイズ推定により推定する。
【0121】
そして、ステップ106では、各要素の要素値の期待値を算出して、要素に対応するノードの高さとして決定し、次のステップ108では、要素間の要素値の相互情報量を算出して、要素間の強さを定義し、要素に対応するノード間の線の太さを決定する。
【0122】
そして、ステップ110において、ベイジアンネットワークを生成し、ベイジアンネットワークを3次元表示させた表示データを生成して、情報端末12へ送信する。
【0123】
次のステップ112では、ユーザからの入力を情報端末12から受け付けたか否かを判定する。ユーザが、情報端末12の入力操作部22を操作し、なんらかの指示を、情報端末12からサーバ14へ送信すると、ステップ114へ進み、表示データを更新して、情報端末12へ送信し、上記ステップ112へ戻る。
【0124】
上記ステップ254は、図16に示す要素選択処理ルーチンによって実現される。
【0125】
まず、ステップ260において、ターゲットと関連のあるファクタの候補全てを要素とし、各要素同士を結合するか否かを0、1で表わしたベクトルを、ネットワークの遺伝子として定義する。そして、ステップ262において、上記ステップ260で定義されたネットワークの遺伝子をランダムに複数組作成する。
【0126】
次のステップ264では、処理回数を示す変数gを初期値の1に設定し、ステップ266において、生成された現在の世代の各遺伝子について、遺伝子が示すネットワークのモデルパラメータをベイズ推定により推定し、推定されたパラメータを用いて、情報量基準値を計算する。
【0127】
そして、ステップ268では、上記ステップ266で計算された情報量基準値を、各遺伝子の適応度として決定する。次のステップ270では、上記ステップ268で決定された各遺伝子の適応度に基づいて、遺伝的アルゴリズムによって、次世代に生き残る遺伝子を決定し、ステップ272において、上記ステップ270で決定された遺伝子に対して、交叉及び突然変異処理を行い、得られた各遺伝子を、次世代の遺伝子とする。
【0128】
次に、ステップ274で、変数gが、定数G未満であるか否かを判定し、変数gが、G未満である場合には、ステップ276で、変数gをインクリメントして、ステップ266へ戻る。一方、上記ステップ274で、変数gが定数Gに到達した場合には、ステップ278へ移行する。
【0129】
ステップ278では、現在の世代を最終世代とし、最終世代に残った各遺伝子を染色体毎に平均し、その値が0.5を超えるものを、ファクタとして選択して、要素選択処理ルーチンを終了する。
【0130】
なお、第2の実施の形態に係る金融資産運用支援システムの他の構成及び作用については第1の実施の形態と同様であるため、説明を省略する。
【0131】
以上説明したように、第2の実施の形態に係る金融資産運用支援システムによれば、ターゲットとするファクタと関係があるファクタを自動的に選択することができ、これらの要素間の影響度合いを表示することができる。
【0132】
なお、上記の実施の形態では、最終世代に残った各遺伝子を染色体毎に平均し、その値に基づいて、ターゲットするファクタと関係があるファクタを選択する場合を例に説明したが、これに限定されるものでない。例えば、最終世代において、決定された適応度に基づいて、最も適応度の高い遺伝子を、ネットワーク構造として採用し、遺伝子を表わすベクトルのうち、1となっている要素を、ターゲットのファクタと相関のあるファクタとして選択するようにしてもよい。
【0133】
また、ターゲットのファクタと候補となる全てのファクタとの相関を計算し、相関係数の絶対値が一定値以上のファクタを、ターゲットのファクタと相関のあるファクタとして選択するようにしてもよい。また、サポートベクターマシーン(SVM)等のパターン認識技術を用いて、ターゲットのファクタと関係があるファクタであるか否かを、各要素の候補毎に判定して選択するようにしてもよい。
【0134】
また、ターゲットとするファクタ(被説明変数)とファクタセット候補(説明変数)との関係について、全ての連続な関係を表現することのできるベイジアン3層パーセプトロンを用いて、ターゲットするファクタとファクタセット候補との間の複雑な非線形関係な関係も考慮したモデル化を行い、ベイズ推定を用いて、モデルパラメータを推定し、赤池のベイズ情報量基準に基づいて、有意なファクタを選択するようにしてもよい。
【0135】
また、遺伝的アルゴリズムを用いて、ネットワーク構造を決定する場合を例に説明したが、これに限定されるものではなく、Cooper1992のK2法や、相互情報量を用いたChow1968のMWST(Maximum Weight Spanning Tree)法を用いて、ネットワーク構造を決定してもよい。
【0136】
次に、第3の実施の形態に係る金融資産運用支援システムについて説明する。なお、第1の実施の形態と同様の構成となる部分については、同一符号を付して説明を省略する。
【0137】
第3の実施の形態では、サーバによる当該金融資産の運用支援サービスを利用している全ての投資家の情報を収集し、投資家情報としてユーザに提供している点が、第1の実施の形態と異なっている。
【0138】
図17に示すように、第3の実施の形態に係る金融資産運用支援システムのサーバ314は、更に、投資家情報収集部320と、投資家情報データベース322と、投資家情報生成部324とを備えている。
【0139】
投資家情報収集部320は、全ての投資家からの要求に応じて生成された情報(採用された要素、シミュレーションの履歴等)を、表示情報生成部48から取得して収集し、投資家情報データベース322に格納する。
【0140】
投資家情報データベース322には、収集された情報(採用された要素、シミュレーションの履歴等)が、投資家からの要求毎に記憶されている。
【0141】
投資家情報生成部324は、サーバ14による当該金融資産の運用支援サービスを利用している全ての投資家について収集した情報を投資家情報データベース322から取得して、投資家情報をユーザに提供するための表示データを生成する。投資家情報の具体的な内容としては、例えば以下の2つがある。
【0142】
第1の内容では、各投資家について収集した情報(採用された要素、シミュレーションの履歴等)をユーザグループ全体での分布を計算して、計算した分布を表わす情報を投資家情報として提供する。
【0143】
第2の内容では、パフォーマンスの優れた各投資家について収集した情報(採用された要素、シミュレーションの履歴等)を、投資家情報として提供する。
【0144】
表示情報生成部48は、ベイジアンネットワークの3次元表示を表わすと共に、投資家情報を表わす表示データを生成し、生成した表示データを、ネットワーク18を介して、情報端末12に送信する。
【0145】
なお、第3の実施の形態に係る金融資産運用支援システムの他の構成及び作用については第1の実施の形態と同様であるため、説明を省略する。
【0146】
以上説明したように、第3の実施の形態に係る金融資産運用支援システムによれば、サーバによるサービスの使用状況やフィードバックを、ユーザ間で共有することで、サーバによる当該サービスを利用している各投資家に、ユーザグループ全体が注目している関係性などの情報を、新たな付加的な情報として提供することができる。
【0147】
次に、第4の実施の形態について説明する。なお、第4の実施の形態では、マーケティングを支援するマーケティング支援システムに、本発明を適用した場合を例に説明する。なお、第1の実施の形態及び第2の実施の形態と同様の構成となる部分については同一符号を付して説明を省略する。
【0148】
図18に示すように、第4の実施の形態に係るマーケティング支援システムのサーバ414では、マーケティング情報収集部432によって、後述する要素の関連性の推定及び詳細情報の表示のために必要なマーケティング情報を特定し、これをもとにウェブページ、外部マーケティング情報データベースAPIによって、必要なマーケティング情報を検索し、マーケティング情報データベース434に登録する。
【0149】
マーケティング情報データベース434には、収集された各種項目のマーケティング情報を、商品毎に蓄積する。例えば、商品の売上高(食料品の売上高など)、消費者属性(年齢、性別、居住地、未既婚、子有無、職業など)、商品属性(色、味、種類(和・洋・中、肉・魚・野菜・果物・飲み物・菓子類)など)、アンケート結果(趣味、消費傾向(食べ物の好み等)など)などの項目のマーケティング情報が、商品毎に、マーケティング情報データベース434に記憶されている。
【0150】
入力受付部236は、情報端末12を持つユーザによって入力されて送信された情報(ターゲットとする商品の売上高や、個人の購買行動を表わす指標の選択)を受け付ける。
【0151】
マーケティング情報取得部438は、ユーザから受け付けたターゲットとする商品やマーケティング情報の項目の選択に応じて、関連するファクタの候補として、マーケティング情報の各種項目を特定し、特定されたマーケティング情報の項目に関する情報を、マーケティング情報データベース434から取得する。
【0152】
要素選択部240は、マーケティング情報データベース434から取得した商品に関する情報、及びマーケティング情報の項目に関する情報に基づいて、ファクタの候補であるマーケティング情報集合から、ターゲットとするファクタ(特定商品の売上高)と関係性のあるファクタを選択する。また、要素選択部240は、ネットワーク構造を決定する。
【0153】
例えば、年齢、性別、居住地、未既婚、子有無、職業などの消費者属性、色、味、種類(和・洋・中、肉・魚・野菜・果物・飲み物・菓子類)などの商品属性(食料品の購買分析でない場合は素材の種類、サービスの質等も含む)、趣味、消費傾向(食べ物の好み等)などのアンケートから得られた結果などの各種項目のマーケティング情報を、ファクタ候補とし、ターゲットするファクタと関係性のあるファクタを選択する。
【0154】
ベイズ推定部42は、ネットワーク構造として選択されたファクタセットである要素の関係性をモデル化したモデルのモデルパラメータをベイズ推定により推定する。
【0155】
表示情報生成部48は、受け付けた商品やマーケティング情報の項目の選択を表わす要素をノードとした2次元のベイジアンネットワークと、ノードに対応する要素の期待値に応じて高さとに基づいて、ベイジアンネットワークを3次元に表示するための表示データを生成する。
【0156】
詳細情報取得部52は、詳細情報提示指示受付部50によって指示を受け付けた場合、マーケティング情報データベース434から、要求のあった要素(例えば、商品の売上高)に関する詳細情報を取得する。
【0157】
表示更新部54は、取得した詳細情報を、ベイジアンネットワークの3次元表示に重畳させて表示した表示データを生成して更新する。
【0158】
変動指示受付部56は、ユーザによって入力された要素変動指示を、情報端末12からネットワーク18を介して受け付ける。
【0159】
事後分布算出部58は、指示された要素の変動を条件とし、各要素についてベイズ推定により推定された事後分布に基づいて、MCMC法によって、予想される各要素の要素値を、事後分布として予想し、予想された事後分布に従って、各要素の要素値をサンプリングし、サンプリングされた値をメモリ(図示省略)に格納する。
【0160】
表示更新部60は、メモリに格納された値をノードの高さとして、例えば、0.05秒毎に、ベイジアンネットワークを3次元表示した表示データを生成して、表示データを更新する。また、表示更新部60は、ノードがスムースに移動するように表示するための表示データを生成する。
【0161】
なお、第4の実施の形態に係るマーケティング支援システムの作用については第2の実施の形態と同様であるため、説明を省略する。
【0162】
以上説明したように、第4の実施の形態に係るマーケティング支援システムによれば、マーケティング分野における販売要因の可視化を行うと共に、インタラクティブ・シミュレーションを行うことができる。
【0163】
なお、上記の実施の形態では、マーケティング分野における販売要因の可視化を行う場合を例に説明したが、これに限定されるものではなく、他の分野における要素の可視化を行うようにしてもよい。例えば、市場間関係の可視化およびインタラクティブ・シミュレーションを行うシステムに、本発明を適用してもよい。
【0164】
次に、第5の実施の形態について説明する。なお、第5の実施の形態に係る金融資産運用支援システムの構成は、第1の実施の形態と同様の構成となるため、同一符号を付して説明を省略する。
【0165】
第5の実施の形態では、表示更新部60によって、各ノードについて、メモリに格納された全ての値を含む幅を、ノードの縦の長さとした楕円形で表わしたベイジアンネットワークを、3次元表示した表示データを生成して、表示データを更新する。これによって、情報端末12の表示部26に、各ノードが、変動後の要素値の平均値を中心とし、かつ、ノードの高さ方向の幅により事後分布の分散が表わされる。
【0166】
なお、第5の実施の形態に係る金融資産運用支援システムの他の構成及び作用については、第1の実施の形態と同様であるため、説明を省略する。
【0167】
上記の実施の形態では、ノードの形状によって、予想された事後分布の分散を表わす場合を例に説明したが、これに限定されるものではなく、ノードの色によって、事後分布の分散を表わすようにしてもよい。
【0168】
次に、第6の実施の形態について説明する。なお、第6の実施の形態に係る金融資産運用支援システムの構成は、第1の実施の形態と同様の構成となるため、同一符号を付して説明を省略する。
【0169】
第6の実施の形態では、表示更新部60によって、各ノードについて、メモリに格納された全ての値を含む幅を、ノードの振動幅として、ベイジアンネットワークの各ノードを振動させるように3次元表示した表示データを生成して、表示データを更新する。これによって、情報端末12の表示部26に、各ノードが、変動後の要素値の平均値を中心とし、かつ、ノードの高さ方向の振動幅により事後分布の分散が表わされる。
【0170】
なお、第6の実施の形態に係る金融資産運用支援システムの他の構成及び作用については、第1の実施の形態と同様であるため、説明を省略する。
【0171】
上記の第1の実施の形態〜第6の実施の形態では、相互情報量に基づいて、ノード間の線の太さを決定する場合を例に説明したが、これに限定されるものではなく、短相関係数に基づいて、ノード間の線の太さを決定するようにしてもよい。
【0172】
また、変動が指示された要素を含む全ての要素について、事後分布を予想し、要素値をサンプリングする場合を例に説明したが、これに限定されるものではなく、変動が指示された要素以外の要素についてのみ、事後分布を予想し、要素値をサンプリングするようにしてもよい。
【0173】
また、上記の第1の実施の形態〜第3の実施の形態、第5の実施の形態、第6の実施の形態では、金融資産の運用支援のために、金融資産や金融情報の項目の関係性を可視化する場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。例えば、クレジットリスクの可視化およびインタラクティブ・シミュレーションや、カントリーリスクの可視化およびインタラクティブ・シミュレーションを行うシステムに、本発明を適用してもよい。
【符号の説明】
【0174】
10 金融資産運用支援システム
12 情報端末
14、214、314、414サーバ
18 ネットワーク
22 入力操作部
26 表示部
34 金融情報データベース
36、236 入力受付部
38、238 金融情報取得部
42 ベイズ推定部
48 表示情報生成部
50 詳細情報提示指示受付部
52 詳細情報取得部
54、60 表示更新部
56 変動指示受付部
58 事後分布算出部
62 要素削除指示受付部
240 要素選択部
320 投資家情報収集部
322 投資家情報データベース
324 投資家情報生成部
432 マーケティング情報収集部
434 マーケティング情報データベース
438 マーケティング情報取得部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の要素の関係をモデル化した要素関係モデルにおける前記複数の要素の要素値を取得する取得手段と、
前記取得した前記複数の要素の要素値から、ベイズ推定を用いて、前記要素関係モデルにおける前記複数の要素の関係を表わすパラメータを推定する推定手段と、
前記推定手段によって推定された前記パラメータに基づいて、前記複数の要素の要素値の期待値を算出する期待値算出手段と、
前記要素関係モデルを、前記複数の要素を複数のノードで表した2次元のベイジアンネットワークにより表現し、かつ、前記複数の要素の要素値の期待値を前記複数のノードの高さとして表現した3次元画像を、表示装置に表示させるための表示データを生成する表示データ生成手段と、
ユーザによって前記複数の要素のうちの少なくとも1つの要素の要素値の変動が指示された変動指示を受け付ける変動指示受付手段と、
前記推定手段によって推定された前記パラメータと、前記変動指示受付手段によって受け付けた前記変動指示により指示された前記要素の要素値の変動とに基づいて、前記少なくとも1つの要素以外であって、かつ、該要素と関係のある各要素の変動後の要素値の事後分布を算出する事後分布算出手段と、
前記事後分布算出手段によって算出された各要素の事後分布に基づいて、前記事後分布の平均値に応じた高さにおいて、前記事後分布に応じた変動幅で高さ方向に、対応するノードが変動するように表示した3次元画像を、前記表示装置に表示させるための表示データを生成する変動表示データ生成手段と、
を含む表示データ生成装置。
【請求項2】
複数の要素の関係をモデル化した要素関係モデルにおける前記複数の要素の要素値を取得する取得手段と、
前記取得した前記複数の要素の要素値から、ベイズ推定を用いて、前記要素関係モデルにおける前記複数の要素の関係を表わすパラメータを推定する推定手段と、
前記推定手段によって推定された前記パラメータに基づいて、前記複数の要素の要素値の期待値を算出する期待値算出手段と、
前記要素関係モデルを、前記複数の要素を複数のノードで表した2次元のベイジアンネットワークにより表現し、かつ、前記複数の要素の要素値の期待値を前記複数のノードの高さとして表現した3次元画像を、表示装置に表示させるための表示データを生成する表示データ生成手段と、
ユーザによって前記複数の要素のうちの少なくとも1つの要素の要素値の変動が指示された変動指示を受け付ける変動指示受付手段と、
前記推定手段によって推定された前記パラメータと、前記変動指示受付手段によって受け付けた前記変動指示により指示された前記要素の要素値の変動とに基づいて、前記少なくとも1つの要素以外であって、かつ、該要素と関係のある各要素の変動後の要素値の事後分布を算出する事後分布算出手段と、
前記事後分布算出手段によって算出された各要素の事後分布に基づいて、前記事後分布の平均値に応じた高さにおいて、対応するノードが、前記事後分布に応じた形状又は色で表されるように表示した3次元画像を、前記表示装置に表示させるための表示データを生成する変動表示データ生成手段と、
を含む表示データ生成装置。
【請求項3】
ユーザによる前記モデル化の対象となる前記複数の要素の選択を受け付ける要素選択受付手段を更に含み、
前記取得手段は、複数の要素の各々の要素値を記憶した記憶手段から、前記要素選択受付手段によって受け付けた前記対象となる前記複数の要素の選択に対する要素値を取得する請求項1又は2記載の表示データ生成装置。
【請求項4】
ユーザによる前記モデル化の対象となる要素の選択を受け付ける要素選択受付手段と、
複数の要素の各々の要素値を記憶した記憶手段から、複数の要素の各々の要素値を取得し、取得した各要素に対して、前記対象となる要素と関係があるか否かを判定することにより、前記対象となる要素と関係がある複数の要素を選択する要素選択手段と、を更に含み、
前記取得手段は、前記要素選択手段によって選択された前記複数の要素の各々の要素値を取得する請求項1又は2記載の表示データ生成装置。
【請求項5】
前記ベイジアンネットワークでは、前記要素の要素値の相互情報量に基づく前記要素間の関係に強さに応じて、対応するノード間の線を太くするように表現した請求項1〜請求項4の何れか1項記載の表示データ生成装置。
【請求項6】
前記要素を、金融資産又は金融情報とした請求項1〜請求項5の何れか1項記載の表示データ生成装置。
【請求項7】
ユーザによって前記ノードが指示されたとき、複数の金融資産又は金融情報に関する詳細情報を記憶した記憶手段から、前記ノードに対応する金融資産又は金融情報に関する詳細情報を取得し、前記取得した前記金融資産又は金融情報に関する詳細情報を、表示装置に更に表示させるための表示データを生成する詳細表示データ生成手段を更に含む請求項6記載の表示データ生成装置。
【請求項8】
前記要素を、商品の売上高、商品情報、又は消費者情報とした請求項1〜請求項5の何れか1項記載の表示データ生成装置。
【請求項9】
コンピュータを、
複数の要素の関係をモデル化した要素関係モデルにおける前記複数の要素の要素値を取得する取得手段、
前記取得した前記複数の要素の要素値から、ベイズ推定を用いて、前記要素関係モデルにおける前記複数の要素の関係を表わすパラメータを推定する推定手段、
前記推定手段によって推定された前記パラメータに基づいて、前記複数の要素の要素値の期待値を算出する期待値算出手段、
前記要素関係モデルを、前記複数の要素を複数のノードで表した2次元のベイジアンネットワークにより表現し、かつ、前記複数の要素の要素値の期待値を前記複数のノードの高さとして表現した3次元画像を、表示装置に表示させるための表示データを生成する表示データ生成手段、
ユーザによって前記複数の要素のうちの少なくとも1つの要素の要素値の変動が指示された変動指示を受け付ける変動指示受付手段、
前記推定手段によって推定された前記パラメータと、前記変動指示受付手段によって受け付けた前記変動指示により指示された前記要素の要素値の変動とに基づいて、前記少なくとも1つの要素以外であって、かつ、該要素と関係のある各要素の変動後の要素値の事後分布を算出する事後分布算出手段、及び
前記事後分布算出手段によって算出された各要素の事後分布に基づいて、前記事後分布の平均値に応じた高さにおいて、前記事後分布に応じた変動幅で高さ方向に、対応するノードが変動するように表示した3次元画像を、前記表示装置に表示させるための表示データを生成する変動表示データ生成手段
として機能させるためのプログラム。
【請求項10】
コンピュータを、
複数の要素の関係をモデル化した要素関係モデルにおける前記複数の要素の要素値を取得する取得手段、
前記取得した前記複数の要素の要素値から、ベイズ推定を用いて、前記要素関係モデルにおける前記複数の要素の関係を表わすパラメータを推定する推定手段、
前記推定手段によって推定された前記パラメータに基づいて、前記複数の要素の要素値の期待値を算出する期待値算出手段、
前記要素関係モデルを、前記複数の要素を複数のノードで表した2次元のベイジアンネットワークにより表現し、かつ、前記複数の要素の要素値の期待値を前記複数のノードの高さとして表現した3次元画像を、表示装置に表示させるための表示データを生成する表示データ生成手段、
ユーザによって前記複数の要素のうちの少なくとも1つの要素の要素値の変動が指示された変動指示を受け付ける変動指示受付手段、
前記推定手段によって推定された前記パラメータと、前記変動指示受付手段によって受け付けた前記変動指示により指示された前記要素の要素値の変動とに基づいて、前記少なくとも1つの要素以外であって、かつ、該要素と関係のある各要素の変動後の要素値の事後分布を算出する事後分布算出手段、及び
前記事後分布算出手段によって算出された各要素の事後分布に基づいて、前記事後分布の平均値に応じた高さにおいて、対応するノードが、前記事後分布に応じた形状又は色で表されるように表示した3次元画像を、前記表示装置に表示させるための表示データを生成する変動表示データ生成手段
として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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