説明

表示制御プログラム、方法及び装置

【課題】マルチタスク環境において操作性よく各画面をリアルタイムに表示させる技術を提供する。
【解決手段】複数のアプリケーションの要求に応じた各画面表示を制御する表示制御プログラムが、コンピュータに第1アプリケーションの要求により表示されるカレント画面上の構成部品間における、ユーザ操作に伴うフォーカスの移動を検知することにより、少なくとも現在フォーカスされている構成部品に関する情報を含むフォーカス情報を保持する保持ステップと、保持されるフォーカス情報に基づいて第2アプリケーションにより表示要求される小画面の表示位置を現在フォーカスされているカレント画面上の構成部品と重ならない位置に決定する位置決定ステップと、を実行させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のアプリケーションにより要求された各画面表示を制御する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、携帯電話、PDA(Personal Data Assistance)、携帯型パソコン、ゲーム機、音声動画プレイヤなど、様々な種類の携帯端末が普及している。このような携帯端末では、複数のアプリケーションがマルチタスク環境で動作することにより、システム状況変化やユーザ操作等のイベントがリアルタイムに検知され、これらをユーザに知らせるためのメッセージやアイコンがディスプレイ(モニタ)上に表示される。以降、ディスプレイ上に表示されている画面上に重なって表示される小画面をポップアップ画面と表記する。
【0003】
ところで、携帯端末に搭載されるディスプレイ(モニタ)は、端末自体の大きさに伴い小型化されており、ドット(画素)数も制限されるため、携帯電話では表示領域が限られている。これにより、携帯端末では、アプリケーション画面を表示する領域とユーザへのリアルタイム通知のためのメッセージやアイコン等を表示する領域とを共用している。例えば、アプリケーション画面が表示されている場合に、この画面上に一時的に「メール受信中」というポップアップ画面が表示される。
【0004】
従って、ユーザが着目している表示領域に、突然、メッセージやダイアログ等のポップアップ画面が重なって表示される場合がある。このような場合、そのポップアップ画面により、ユーザ操作が妨げられる場合がある。このようなマルチタスク環境において操作性よく各画面をリアルタイムに表示させることは大変重要である。下記特許文献1では、外部入力を監視し一定時間入力が無くなるまでウィンドウ表示を遅延させる手法が提案されている。
【特許文献1】特開2004−227318号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の特許文献1に開示される従来手法では、ユーザの着目領域が意識されていないため一定時間経過後には当該着目領域にウィンドウが重なって表示されてしまう点や、キー操作中はウィンドウが表示されないため緊急メッセージのリアルタイム性が損なわれる点等の問題がある。
【0006】
本件の課題は、このような問題点に鑑み、マルチタスク環境において操作性よく各画面をリアルタイムに表示させる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本件各態様では、上述した課題を解決するために、それぞれ以下の構成を採用する。
【0008】
第1の態様は、複数のアプリケーションの要求に応じた各画面表示を制御する表示制御プログラムに関し、第1アプリケーションの要求により表示されるカレント画面上の構成部品間における、ユーザ操作に伴うフォーカスの移動を検知することにより、少なくとも現在フォーカスされている構成部品に関する情報を含むフォーカス情報を保持する保持ステップと、保持されるフォーカス情報に基づいて第2アプリケーションにより表示要求される小画面の表示位置を現在フォーカスされているカレント画面上の構成部品と重ならない位置に決定する位置決定ステップと、を実行するというものである。
【0009】
この第1の態様によれば、第1アプリケーションの要求により表示されるカレント画面上の現在フォーカスされている構成部品と重ならない位置に、第2アプリケーションにより表示要求される小画面を表示させることができる。ここで、フォーカスはユーザ操作可能な画面上の構成部品間を移動し、現在フォーカスされている構成部品とは、現在操作可能となっている構成部品を意味する。また、小画面とは、カレント画面よりも小さい画面であってカレント画面上に表示される画面を意味する。
【0010】
すなわち、第1の態様によれば、第1アプリケーションのカレント画面を操作しているユーザにとって、その第2アプリケーションの小画面がそのカレント画面上に表示されたとしても、現在フォーカスされており操作可能となっている構成部品と重ならない位置にその小画面が表示されるため、自身の操作が妨げられることはない。併せて、第2アプリケーションにとっては小画面をリアルタイムに表示させることができる。
【0011】
従って、第1の態様によれば、複数のアプリケーションが起動されるマルチタスク環境においても、操作性よく各画面をリアルタイムに表示させることができる。
【0012】
上記第1の態様において、好ましくは、上記位置決定ステップが、上記のように保持されるフォーカス情報の履歴に基づいてフォーカスが次に移動する方向を予測することによりユーザ着目方向を決定する予測ステップと、上記カレント画面上における、現在フォーカスされている構成部品の表示領域とその表示領域から前記予測されたユーザ着目方向に存在する表示領域とを除いた領域を、ユーザにより着目されていない非フォーカス領域として決定する領域決定ステップと、を含み、この非フォーカス領域内に上記小画面の表示位置を決定するように構成する。
【0013】
この構成では、フォーカスが次に移動するであろう方向、即ち、ユーザが次に操作することを望んでいるであろう構成部品の存在する方向が、ユーザ着目方向として、保持されるフォーカス情報の履歴に基づいて予測される。続いて、ユーザにより着目されていない非フォーカス領域が決定される。ここで、非フォーカス領域は、現在フォーカスされている構成部品の表示領域とその表示領域からユーザ着目方向に存在する表示領域とを除いた領域に決定される。結果、この非フォーカス領域内に当該小画面の表示位置が決定される。
【0014】
従って、このような構成によれば、次にフォーカスが移動すると予測される方向とは逆方向の領域、即ち、ユーザ操作の妨げになる可能性が高い位置から出来る限り遠い位置に当該小画面を表示させることができる。よって、第2アプリケーションの小画面を表示させた場合であっても、第1アプリケーションを操作するユーザの操作の妨げとなる可能性を低減させることができる。
【0015】
更に、第1の態様において、好ましくは、上記位置決定ステップが、非フォーカス領域内に前記小画面が入るか否かを判定するサイズ判定ステップを更に含み、非フォーカス領域内に小画面が入らないと判定された場合には、非フォーカス領域以外の領域内であって現在フォーカスされている構成部品と重ならない位置に小画面の表示位置を決定し、フォーカス移動が検知された際に上記予測ステップ及び上記領域決定ステップによりユーザ着目方向の再予測及び非フォーカス領域の再決定が行われることにより、非フォーカス領域内に小画面が入るようになったと判定された場合には、小画面の表示位置を、再決定された非フォーカス領域内に変更するように構成する。
【0016】
この構成によれば、第1アプリケーションのカレント画面が操作され始めたばかりのように非フォーカス領域が狭い場合であっても、この小画面は現在フォーカスされている構
成部品と重ならない位置に表示されるため、ユーザの操作が妨げられることはない。従って、どのような場面であっても、第1の態様によれば、操作性よく各画面をリアルタイムに表示させることができる。
【0017】
更に、第1の態様において、好ましくは、上記領域決定ステップが、保持されるフォーカス情報の履歴のうち現在の1つ前の履歴から新しい順に各構成部品の表示領域を上記決定された非フォーカス領域から上記小画面が入る最低限の広さとなるまで除外して残った領域を非フォーカス領域と決定するように構成する。
【0018】
この構成によれば、現在フォーカスされている構成部品の表示領域からユーザ着目方向の逆方向の最も遠い位置を小画面の表示位置に決定することができ、ユーザ操作の妨げに最もなりにくいと思われる領域に小画面を表示させることができる。
【0019】
なお、別態様としては、以上の何れかの構成を実現する表示制御方法であってもよいし、以上の何れかの構成を手段として有する表示制御装置であってもよいし、このような表示制御プログラムを記録したコンピュータが読み取り可能な記憶媒体であってもよい。
【発明の効果】
【0020】
上記態様によれば、マルチタスク環境において操作性よく各画面をリアルタイムに表示させる技術を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態としての携帯端末について具体例を挙げ説明する。本実施形態としての携帯端末は、携帯電話、PDA(Personal Data Assistance)、携帯型パソコン、ゲーム機、音声動画プレイヤ等である。以下に挙げた各実施例はそれぞれ例示であり、本発明は以下の各実施例の構成に限定されない。
【実施例1】
【0022】
以下、本発明の実施形態としての携帯端末の実施例1について説明する。
【0023】
〔ハードウェア構成〕
図1は、実施例1における携帯端末のハードウェア構成の概略を示すブロック図である。図1に示すように、実施例1における携帯端末1は、制御部10、無線通信部11、操作部13、表示部15、記憶部17等を有する。各ユニットはそれぞれバス等を介して制御部10に接続される。
【0024】
無線通信部11は、アンテナ、無線回路、MAC(Media Access Control)回路等を含み、外部との無線通信を実現する。無線通信部11は、受信時には、例えば、アンテナで受信された高周波アナログ信号を処理し、所定チャネルについて増幅され変換されたベースバンド信号を復調及び復号し、得られたデータ(音声データ、パケットデータ等)を制御部10へ送る。送信時には、無線通信部11は、制御部10から送信データを受け、この送信データを信号処理し、所定のプロトコルでこのデータ信号をアンテナを介して送信する。
【0025】
操作部13は、ユーザにより操作される操作キー(ボタン等)を含み、この操作キーが操作されたことを示す入力信号を制御部10へ送る。
【0026】
表示部15は、LCD(Liquid Crystal Display)等のディスプレイ、これを制御するLSI(Large Scale Integration)等を含み、ディスプレイ表示を制御する。表示部1
5は、制御部10からディスプレイへ表示させる画面データを受けると、それをディスプ
レイに表示させる。
【0027】
記憶部17は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Read Access Memory)等を含み、OS(Operating System)、各種アプリケーションプログラム、後述する表示制御コンポーネント等を記憶する。これらアプリケーションは、制御部10に読み込まれ、実行される。
【0028】
制御部10は、CPU(Central Processing Unit)、入出力インタフェース等を含み
、このCPUによって、記憶部17に記憶される各種プログラムを実行することで実施例1における携帯端末1の各種機能を実現する。この実施例1における携帯端末1の各種機能については後述する。なお、制御部10は、複数のIC(Integrated Circuit)、LSI等で実現されてもよい。
【0029】
なお、本発明は、このような携帯端末1のハードウェア構成を限定するものではなく、制御部10及び記憶部17並びに表示部15さえ備えられていれば、他のユニットはなくてもよいし、図示されない他のユニットが更に付加されてもよい。
【0030】
〔機能構成〕
図2は、実施例1における携帯端末の機能構成を示すブロック図である。実施例1における携帯端末1の制御部10では、図2に示すように、各種アプリケーション31及び32、OS30、表示制御コンポーネント20等が実行される。
【0031】
OS30は、上述の無線通信部11、操作部13、表示部15等への出力及びからの入力を制御する。OS30は、このような入出力を制御しながら、各種アプリケーションへマルチタスク環境を提供する。
【0032】
OS30上では、アプリケーション31及び32を含む複数のアプリケーションがマルチタスク制御されながら実行される。これらアプリケーションには、例えば、電話アプリケーション、電子メールアプリケーション、パケット通信アプリケーション、電力管理アプリケーション等がある。アプリケーション31は、ユーザにより操作可能な表示画面を持つアプリケーションであればよく、ここでは、WEBブラウザとする。アプリケーション32は、所定の外部入力を受けた場合などにリアルタイムにそれを通知するポップアップ画面を表示させるようなアプリケーションであればよく、ここでは電子メールアプリケーションとする。実施例1のアプリケーション32は、メールを受信した場合に、それを通知するためのポップアップ画面を表示させる。
【0033】
なお、本発明は、OS30及びアプリケーションの機能を限定するものではないため、これらは一般的な機能を持つものであればよい。
【0034】
表示制御コンポーネント20は、アプリケーション32により表示要求されるポップアップ画面の表示位置を制御する。表示制御コンポーネント20は、OS30のプラグインプログラムとして実装されてもよいし、各種アプリケーションから呼び出されるライブラリプログラムとして実装されてもよい。
【0035】
表示制御コンポーネント20は、図2に示されるように、フォーカス変更イベント受信部21、ポップアップ表示イベント受信部22、フォーカス情報生成部23、フォーカス履歴データベース(DB)24、ユーザ着目方向予測部25、非着目領域計算部26、ポップアップ表示位置決定部27等を有する。これら機能部は、ソフトウェアの構成要素としてそれぞれ実現される([その他]の項参照)。
【0036】
フォーカス変更イベント受信部21は、操作部13の操作によりアプリケーション31の表示画面中でフォーカスされる部品が変更された際に、フォーカス変更イベントを受信する。このフォーカス変更イベントを発行するのはアプリケーションであってもよいし、OS30であってもよい。ここで画面上の部品(構成部品)とは、操作可能な画面構成要素であり、ボタン、テキストボックス(入力欄)、コンボボックス(選択欄)、ハイパーリンク部等である。表示される複数の部品のうちいずれか1つの部品がフォーカスされ、フォーカスされた部品が操作部13により操作可能となる。例えば、操作部13のうちの方向キーが操作された場合にフォーカスされる部品が変更される。
【0037】
フォーカス変更イベント受信部21は、フォーカス変更イベントを受信した際に、更に、表示制御コンポーネント20で表示位置が制御されたポップアップ画面の表示状態及びその表示位置を判定する。フォーカス変更イベント受信部21は、当該ポップアップ画面が後述する非着目領域外に表示中である場合に、それを非着目領域内に再表示させるべく、このポップアップ画面の画面識別番号をユーザ着目方向予測部25へ送る。フォーカス変更イベント受信部21は、ポップアップ画面の表示状態を判定するために、後述するポップアップ表示イベント受信部22からそのポップアップ画面を特定するための画像識別番号を取得し、これを保持する。
【0038】
フォーカス情報生成部23は、フォーカス変更イベント受信部21からフォーカス変更イベントを受け、このイベントに含まれる部品識別番号からそのフォーカスされている部品の表示位置情報を取得する。この表示位置情報は、表示部15のディスプレイ上の表示領域の中の座標情報として取得され、例えばOS30から取得される。フォーカス情報生成部23は、このように取得された現在フォーカスされている部品の表示位置情報をフォーカス履歴DB24に格納する。
【0039】
フォーカス履歴DB24は、記憶部17に記憶され、フォーカスされている部品の表示位置情報の履歴を格納する。フォーカス履歴DB24に格納される表示位置情報は、時間順に管理される。フォーカス履歴DB24にはフォーカスされた時間も併せて格納されるようにしてもよい。フォーカス履歴DB24に格納されるデータは、表示画面が閉じられ、新たな表示画面が開かれた際にリセットされるようにしてもよい。
【0040】
ポップアップ表示イベント受信部22は、ポップアップ画面を表示する際に発行されるポップアップ表示イベントを受信すると、このイベントに含まれるポップアップ画面の画面識別番号を取得し、この画面識別番号と共にポップアップ表示イベントの発生をユーザ着目方向予測部25へ通知する。ポップアップ表示イベント受信部22は、この画面識別番号で特定されるポップアップ画面が制御されたことを通知するために、その画面識別番号をフォーカス変更イベント受信部21へ送る。
【0041】
ユーザ着目方向予測部25は、ポップアップ表示イベント受信部22又はフォーカス変更イベント受信部21から画面識別番号を受けた際に、フォーカス履歴DB24に格納される情報に基づいてそのときのユーザ着目方向を予測する。ユーザ着目方向とは、次にユーザが着目するであろう方向、言い換えれば、次にフォーカスが移るであろう部品の位置する方向を意味する。ユーザ着目方向の予測は、例えば、フォーカス履歴DB24に格納される複数の表示位置情報を時間軸に並べることにより最小2乗法等を用いて推定すればよい。本発明は、このユーザ着目方向の予測方法を限定するものではないため、最小2乗法以外の方法を用いてもよい。また、本発明は、ユーザ着目方向の予測に用いるフォーカス履歴のレコード数を限定するものではない。ユーザ着目方向予測部25は、最低限、現在フォーカスされている部品の位置から上方向か下方向かをユーザ着目方向として予測するようにすればよい。
【0042】
図3は、ユーザ着目方向の予測の例を示す図である。図3の例では、実施例1における携帯端末1の表示部15に表示される画面31内で、「商品1」のハイパーリンク部、「商品2」のハイパーリンク部、コンボボックス32、「商品3」のハイパーリンク部の4つの部品が表示されている。「商品1」、「商品2」、コンボボックス32、「商品3」の順でフォーカスが移動されているため、ユーザ着目方向が、図3に示すような下向きに予測される。なお、図3の例において、表示部25よりも画面31が小さいのは、その他の領域はアイコン等の他の部品が表示される領域として決められているからである。このように画面の表示領域が制限されている場合であっても実施例1は適用可能である。
【0043】
非着目領域計算部26は、ユーザ着目方向予測部25から予測された方向に関する情報を受け、この情報に基づいて、ユーザにより着目されていない表示領域を非着目領域として算出する。具体的には、非着目領域計算部26は、現在フォーカスされている部品を含まずかつこの部品からユーザ着目方向の領域を含まない領域を非着目領域として算出する。
【0044】
図4は、非着目領域の算出例を示す図である。図4の例では、現在フォーカスされている「商品3」のハイパーリンク部品を含まず、かつ、このハイパーリンク部品から図3に示されるように決定されたユーザ着目方向の領域を含まない領域41が非着目領域として算出される。図4に示されるように、非着目領域は、矩形領域として決定され、矩形の各頂点の位置座標がそれぞれ保持されることにより管理されてもよい。この決定された非着目領域に関する情報は、表示制御コンポーネント20内で保持される。
【0045】
ポップアップ表示位置決定部27は、非着目領域計算部26から非着目領域に関する情報及びポップアップ表示イベントの対象の画面識別番号を受け、この画面識別番号で特定されるポップアップ画面の表示位置を当該非着目領域内に決定する。ポップアップ表示位置決定部27は、画面識別番号で特定されるポップアップ画面を決定された表示位置に表示するようにOS30へ通知する。
【0046】
図5は、ポップアップ画面の表示例を示す図である。図5に示すように、ポップアップ画面51は、非着目領域内の所定の位置に表示される。
【0047】
ポップアップ表示位置決定部27は、ポップアップ画面の表示位置を決定するにあたり、そのポップアップ画面が非着目領域内に収まるか否かを判定する。具体的には、ポップアップ表示位置決定部27は、当該画面識別番号からそのポップアップ画面のサイズを取得する。このポップアップ画面のサイズは、予めアプリケーション32により設定されている。このサイズは、OS30から取得されてもよいし、アプリケーション32から取得されてもよい。
【0048】
ポップアップ表示位置決定部27は、この画面サイズと非着目領域に関する情報(例えば、縦横の大きさ)とを比較することによりそのポップアップ画面が非着目領域内に収まるか否かを判定する。ポップアップ表示位置決定部27は、そのポップアップ画面が非着目領域内に収まると判断した場合には、その非着目領域内の所定の位置をそのポップアップ画面の表示位置に決定する。非着目領域内のどの位置をポップアップ画面の表示位置とするかは、その位置情報を予め調整可能にメモリ等に保持してもよい。その位置は、非着目領域内の現在フォーカスされている部品から最も遠い位置としてもよいし、最も近い位置としてもよいし、中央としてもよい。
【0049】
ポップアップ表示位置決定部27は、そのポップアップ画面が非着目領域内に収まらないと判断した場合には、例外的に非着目領域外で現在フォーカスされている部品と重ならない所定位置をそのポップアップ画面の表示位置に決定する。この例外的に決定される表
示位置は、予め調整可能にメモリ等に保持されるようにしてもよい。その表示位置は、現在フォーカスされている部品から最も遠い位置としてもよい。
【0050】
図6は、非着目領域に収まらない場合(例外時)のポップアップ画面の表示例を示す図である。図6の例では、非着目領域41内にポップアップ画面51が収まらないため、このポップアップ画面51が非着目領域41外の現在フォーカスされている部品から遠い位置に表示されている。
【0051】
なお、ポップアップ画面51が表示されている最中であっても、操作部13が操作されることによりフォーカスが移動し、フォーカス変更イベントがフォーカス変更イベント受信部21に送られる。これにより、ユーザ着目方向が更新され、非着目領域も更新される。ポップアップ表示位置決定部27は、ポップアップ画面51が既に表示されている場合であっても、非着目領域計算部26からの通知によりポップアップ画面51の表示位置を再決定する。ポップアップ表示位置決定部27は、再決定する際には、非着目領域にそのポップアップ画面51が収まるか否かを判定する。ポップアップ表示位置決定部27は、再判定の結果、ポップアップ画面51が非着目領域に収まると判定すると、ポップアップ画面51の現在の表示位置を非着目領域内に変更する。すなわち、ポップアップ画面51の表示位置が図6の状態から図5の状態へと変更される。
【0052】
〔動作例〕
以下、実施例1における携帯電話1の動作例について図7及び8を用いて説明する。
【0053】
図7は、ポップアップ表示時の実施例1における携帯電話1の動作例を示すフローチャートである。実施例1における携帯電話1では、フォーカス履歴DB24に格納されるフォーカスされた部品の表示位置情報の履歴が用いられることにより、図7に示すように、他のアプリケーション32のポップアップ画面の表示位置が決定される。
【0054】
電子メールアプリケーション32は、上記アプリケーション31と共に起動されている。アプリケーション32は、電子メールを受信すると、受信されたことをユーザに通知するためのポップアップ画面の表示を依頼する。この依頼に伴い、OS30又はアプリケーション32からポップアップ表示イベントが表示制御コンポーネント20に送られる。
【0055】
表示制御コンポーネント20では、ポップアップ表示イベント受信部22がこのポップアップ表示イベントを受信する(S71)。ポップアップ表示イベント受信部22は、このイベントを受信すると、このイベントに含まれる画面識別番号と共にポップアップ表示イベントの発生をユーザ着目方向予測部25へ通知する。
【0056】
ユーザ着目方向予測部25は、この通知を受けると、フォーカス履歴DB24からそのときまでに格納されている情報を抽出する(S72)。ユーザ着目方向予測部25は、この抽出されたフォーカスされた部品の表示位置情報の履歴に基づいて、最小2乗法等の所定の分析手法によりユーザ着目方向を決定する(S73)。このユーザ着目方向は、次にフォーカスが移動するであろう画面内部品の方向を示す。決定されたユーザ着目方向及びその画面識別番号は、非着目領域計算部26に送られる。
【0057】
非着目領域計算部26は、ユーザ着目方向に関する情報を受けると、現在フォーカスされている部品を含まずかつこの部品からユーザ着目方向の領域を含まない領域を非着目領域として算出する(S74)。非着目領域は、その領域を把握できるデータ(例えば、各頂点の座標情報)により管理される。非着目領域計算部26は、算出された非着目領域に関する情報とポップアップ画面を特定するための画像識別番号をポップアップ表示位置決定部27に送る。
【0058】
ポップアップ表示位置決定部27は、当該画像識別番号からそのポップアップ画面のサイズ情報をOS30又はアプリケーション32から取得する(S75)。ポップアップ表示位置決定部27は、ポップアップ画面のサイズと非着目領域とを比較することにより、ポップアップ画面が非着目領域に収まるか否かを判定する(S76)。ポップアップ表示位置決定部27は、ポップアップ画面が非着目領域に収まると判断すると(S76;YES)、非着目領域内でそのポップアップ画面の表示位置を決定する(S77)。一方で、ポップアップ表示位置決定部27は、ポップアップ画面が非着目領域に収まらないと判断すると(S76;NO)、非着目領域外で現在フォーカスされている部品と重ならない所定位置をそのポップアップ画面の表示位置に決定する(S78)。
【0059】
ポップアップ表示位置決定部27は、このように決定された表示位置に、そのポップアップ画面を表示する(S79)。ポップアップ画面の表示は、表示位置及びその画像識別番号を指定することによりOS30により実行されてもよい。
【0060】
図8は、フォーカス移動時の実施例1における携帯電話1の動作例を示すフローチャートである。ユーザは、WEBブラウザ等のアプリケーション31を実行し、アプリケーション31により表示部15に表示される画面を操作部13で操作しながら閲覧する。操作部13が操作されるとその操作に伴い、当該画面内の構成部品間をフォーカスが移動する。構成部品間をフォーカスが移動すると、フォーカス変更イベントがアプリケーション31又はOS30から表示制御コンポーネント20へ逐次送られる。
【0061】
表示制御コンポーネント20では、フォーカス変更イベント受信部21がこのフォーカス変更イベントを受信する(S81)。フォーカス変更イベント受信部21は、このイベントをフォーカス情報生成部23に送る。フォーカス情報生成部23は、このイベントに含まれる部品識別番号からそのフォーカスされている部品の表示位置情報を取得する。フォーカス情報生成部23は、このように取得された現在フォーカスされている部品の表示位置情報をフォーカス履歴DB24に追加的に格納する(S82)。
【0062】
このように格納されたフォーカス履歴DB24内の情報は、上述のようなポップアップ画面表示時のみでなく、以下に示す、フォーカス移動時のポップアップ画面の再表示処理においても利用される。
【0063】
フォーカス変更イベント受信部21は、フォーカス変更イベントを受信すると、ポップアップ画面が非着目領域外に表示されているか否かを判定する(S83)。この判定のうち既にポップアップ画面が表示されているか否かの判定は、例えば、ポップアップ表示イベント受信時にポップアップ表示イベント受信部22から送られる画面識別番号が保持されているか否かで行われる。フォーカス変更イベント受信部21は、この保持される画面識別番号によりそのポップアップ画面の現在の表示位置を取得し、この現在の表示位置と既に算出されている非着目領域とを比較することにより、上記判定を行う。
【0064】
フォーカス変更イベント受信部21は、ポップアップ画面が非着目領域内に表示中であるか又はポップアップ画面が表示されていないと判定すると(S83;NO)、処理を終える。一方、フォーカス変更イベント受信部21は、ポップアップ画面が非着目領域外に表示中であると判定すると(S83;YES)、現在表示中のポップアップ画面を特定するための画面識別番号をユーザ着目方向予測部25へ送る。以降、ユーザ着目方向予測部25、非着目領域計算部26及びポップアップ表示位置決定部27により、図7に示す(S72)、(S73)、(S74)、(S75)と同様の処理が実行される。
【0065】
ポップアップ表示位置決定部27は、ポップアップ画面が新たに算出された非着目領域
内に収まるか否かを判定する(S76)。ポップアップ表示位置決定部27は、ポップアップ画面が新たに算出された非着目領域内に収まると判定すると(S76;YES)、非着目領域内で当該ポップアップ画面の表示位置を決める(S85)。ポップアップ表示位置決定部27は、このように表示位置を決定すると、既に表示されているポップアップ画面を非着目領域内の表示位置に再表示させる(S86)。これにより、非着目領域外に表示されていたポップアップ画面が、非着目領域内で再表示される。
【0066】
〈実施例1の作用及び効果〉
上述したように、実施例1における携帯電話1では、ユーザ操作に伴い、アプリケーション画面内の部品間をフォーカスが移動すると、表示制御コンポーネント20において、フォーカスされた部品の表示位置情報がフォーカス履歴DB24に逐次格納される。
【0067】
この表示制御コンポーネント20では、このフォーカス履歴DB24に格納されるフォーカスされた部品の表示位置情報の履歴に基づいてユーザ着目方向が予測され、現在フォーカスされている部品からそのユーザ着目方向の逆方向に存在する表示領域が非着目領域として決定される。
【0068】
ユーザは、表示画面内の構成部品のうち現在フォーカスされている部品の表示領域周辺に着目している可能性が高い。これは、ユーザがこれから操作しようとする部品にフォーカスが移動するからである。よって、実施例1における携帯電話1では、現在フォーカスされている部品及びその部品から今後フォーカスが移動するであろう部品群(ユーザ着目方向に存在する部品)が表示される位置をユーザ着目領域と判定され、逆に、過去にフォーカスされていた部品方向の表示領域をユーザ非着目領域と判定される。結果として、ポップアップ画面がこの非着目領域に収まる場合にはポップアップ画面が非着目領域内に表示されるように制御される。
【0069】
従って、実施例1における携帯電話1によれば、ユーザが着目している領域に重ならないようにポップアップ画面を表示させることができる。これにより、当該ポップアップ画面をリアルタイムに、他のアプリケーション画面を操作するユーザの操作性を落とすことなく表示させることができる。
【0070】
更に、実施例1における携帯電話1では、ポップアップ画面が非着目領域に収まらないと判定された場合には例外として非着目領域外のユーザ着目領域内であって現在フォーカスされている部品に重ならないような表示位置に当該ポップアップ画面が表示される。
【0071】
従って、実施例1における携帯電話1によれば、操作し始めで非着目領域が狭いときであっても、当該ポップアップ画面をリアルタイムに、他のアプリケーション画面を操作するユーザの操作性を落とすことなく表示させることができる。
【0072】
このようにポップアップ画面が非着目領域外に例外的に表示されている場合には、フォーカスが移動される度に非着目領域が再計算され、この再計算された非着目領域にポップアップ画面が収まるようになれば、当該ポップアップ画面はその再計算された日着目領域内に再表示(移動)される。
【0073】
従って、実施例1における携帯電話1によれば、出来る限りユーザ操作の妨げにならないような位置に当該ポップアップ画面を表示させることができるため、ユーザの操作性が向上する。
【0074】
〔実施例1の変形例〕
上述の実施例1における非着目領域計算部26は、現在フォーカスされている部品を含
まずかつこの部品からユーザ着目方向の領域を含まない領域を非着目領域として算出していた。非着目領域計算部26は、非着目領域をポップアップ画面が収まる最低限の広さとなるまで狭めた状態で算出するようにしてもよい。このようにすれば、現在フォーカスされている部品の表示位置からユーザ着目方向の逆方向の最も遠い位置にポップアップ画面を表示させることができ、ユーザ操作の妨げに最もなりにくいと思われる箇所にポップアップ画面を表示させることができる。
【0075】
図9は、非着目領域の算出の変形例を示す図である。
【0076】
非着目領域計算部26は、ユーザ着目方向予測部25から予測された方向に関する情報を受けると、まず、実施例1と同様に、現在フォーカスされている部品を含まずかつこの部品からユーザ着目方向の領域を含まない領域を非着目領域(図5の符号41)として算出する。非着目領域計算部26は、実施例1におけるポップアップ表示位置決定部27と同様の手法により、決定された非着目領域にポップアップ画面が収まるか否かを判定する。非着目領域計算部26は、非着目領域にポップアップ画面が収まると判定すると、フォーカス履歴DB24から前回(1つ前)にフォーカスされていた部品32の表示位置情報を抽出し、上記決定された非着目領域からこの部品32の表示領域及びその部品32からユーザ着目方向の領域を削除する。この削除された領域が新たな非着目領域に決定される。
【0077】
非着目領域計算部26は、この新たな非着目領域にポップアップ画面が収まるか否かを再度判定する。この新たな非着目領域にポップアップ画面が収まると判定すると、非着目領域計算部26は、フォーカス履歴DB24から前々回(2つ前)にフォーカスされていた部品(「商品2」)の表示位置情報を抽出し、上記決定された非着目領域からこの部品の表示領域及びその部品からユーザ着目方向の領域を削除する。
【0078】
非着目領域計算部26は、このような処理をポップアップ画面が非着目領域に収まらなくなるまで繰り返し、収まらなくなると判定される前に決定されていた非着目領域を最終的な非着目領域と決定する。非着目領域計算部26は、このように決定された非着目領域に関する情報をポップアップ表示位置決定部27へ送る。これにより、ポップアップ表示位置決定部27は、非着目領域とポップアップ画面のサイズとを比較する処理を行う必要がなくなる。なお、非着目領域計算部26は、ポップアップ画面が収まる非着目領域を一度も算出できない場合には、その旨をポップアップ表示位置決定部27へ通知する。この場合には、ポップアップ画面は実施例1と同様に例外的に非着目領域外に表示される。
【実施例2】
【0079】
以下、本発明の実施形態としての携帯端末の実施例2について説明する。実施例1では、ユーザ着目方向としてフォーカスの今後の移動方向を予測し、その方向と逆方向の、以前にフォーカスされていた部品の表示位置を含む領域を非着目領域として決定し、この非着目領域にポップアップ画面を表示させていた。実施例2では、ユーザ着目方向、非着目領域等を考慮することなく、とにかく現在フォーカスされている部品に重ならない位置にポップアップ画面を表示させる。なお、実施例2における携帯端末1は、ハードウェア構成としては、実施例1と同様でよいため、ここでは説明を省略する。
【0080】
〔機能構成〕
図10は、実施例2における携帯端末の機能構成を示すブロック図である。実施例2における携帯端末1の制御部10では、実施例1と同様に、各種アプリケーション31及び32、OS30、表示制御コンポーネント20等が実行される。表示制御コンポーネント20以外の構成については実施例1と同様である。
【0081】
表示制御コンポーネント20は、図10に示されるように、実施例1におけるユーザ着目方向予測部25、非着目領域計算部26を除いた機能部を持つ。すなわち、実施例2における表示制御コンポーネント20では、ユーザ着目方向の予測及び非着目領域の計算が行われない。
【0082】
実施例2におけるポップアップ表示位置決定部27は、ポップアップ表示イベント受信部22からポップアップ表示イベントの対象の画面識別番号を受け、この画面識別番号で特定されるポップアップ画面の表示位置を現在フォーカスされている部品に重ならない位置に決定する。ポップアップ表示位置決定部27は、画面識別番号で特定されるポップアップ画面を決定された表示位置に表示するようにOS30へ通知する。
【0083】
図11は、実施例2におけるポップアップ画面の表示例を示す図である。図11に示すように、ポップアップ画面51は、現在フォーカスされている部品(「商品3」のハイパーリンク部)に重ならないような位置に表示される。
【0084】
具体的には、ポップアップ表示位置決定部27は、当該画面識別番号を受けると、フォーカス履歴DB24から現在フォーカスされている部品の表示位置情報を取得する。ポップアップ表示位置決定部27は、この取得された表示位置情報に基づいて、とにかく現在フォーカスされている部品に重ならない位置をポップアップ画面の表示位置に決定する。この表示位置は、現在フォーカスされている部品にポップアップ画面が重ならない位置であればどのような位置であってもよい。但し、ポップアップ画面の全体が表示される位置に決定される必要がある。このとき、ポップアップ画面のサイズが実施例1と同様の手法により取得され利用される。
【0085】
このように、フォーカス履歴としては現在フォーカスされている部品の位置情報のみが利用されるため、フォーカス履歴DB24には最新のフォーカス情報のみが格納されるようにすればよい。
【0086】
〔動作例〕
以下、実施例2における携帯電話1の動作例について図12及び13を用いて説明する。
【0087】
図12は、ポップアップ表示時の実施例2における携帯電話1の動作例を示すフローチャートである。実施例2における携帯電話1では、フォーカス履歴DB24に格納される現在フォーカスされている部品の表示位置情報が用いられることにより、図12に示すように、他のアプリケーション32のポップアップ画面の表示位置が決定される。
【0088】
表示制御コンポーネント20では、ポップアップ表示イベント受信部22がこのポップアップ表示イベントを受信する(S1201)。ポップアップ表示イベント受信部22は、このイベントを受信すると、このイベントに含まれる画面識別番号と共にポップアップ表示イベントの発生をポップアップ表示位置決定部27へ通知する。
【0089】
ポップアップ表示位置決定部27は、この通知を受けると、フォーカス履歴DB24から現在フォーカスされている部品の表示位置情報を取得する(S1202)。ポップアップ表示位置決定部27は、この取得された表示位置情報に基づいて、現在フォーカスされている部品の表示領域に重ならない位置をポップアップ画面の表示位置に決定する(S1203)。ポップアップ表示位置決定部27は、このように決定された表示位置に、そのポップアップ画面を表示する(S1204)。
【0090】
図13は、フォーカス移動時の実施例2における携帯電話1の動作例を示すフローチャ
ートである。
【0091】
表示制御コンポーネント20では、フォーカス変更イベント受信部21がフォーカス変更イベントを受信する(S1301)。フォーカス変更イベント受信部21は、このイベントをフォーカス情報生成部23に送る。フォーカス情報生成部23は、このイベントに含まれる部品識別番号からそのフォーカスされている部品の表示位置情報を取得する。フォーカス情報生成部23は、このように取得された現在フォーカスされている部品の表示位置情報をフォーカス履歴DB24に格納する(S1302)。実施例2では、フォーカス履歴DB24には、現在フォーカスされている部品の表示位置情報のみが格納されていればよいため、当該フォーカス情報は上書きで格納されるようにすればよい。
【0092】
この現在フォーカスされている部品の表示位置情報は、上述のようなポップアップ画面表示時のみでなく、以下に示す、フォーカス移動時のポップアップ画面の再表示処理においても利用される。
【0093】
フォーカス変更イベント受信部21は、フォーカス変更イベントを受信すると、ポップアップ画面が表示中か否かを判定する(S1303)。この判定は、例えば、ポップアップ表示イベント受信時にポップアップ表示イベント受信部22から送られる画面識別番号が保持されているか否かで行われる。フォーカス変更イベント受信部21は、ポップアップ画面が表示中であると判断すると(S1303;YES)、その画面識別番号をポップアップ表示位置決定部27に送る。
【0094】
ポップアップ表示位置決定部27は、フォーカス変更イベント受信部21から画面識別番号を受けると、フォーカス履歴DB24から現在フォーカスされている部品の表示位置情報を取得する(S1304)。ポップアップ表示位置決定部27は、画面識別番号によりそのポップアップ画面の現在の表示位置及びサイズを取得する。ポップアップ表示位置決定部27は、これらの情報と現在フォーカスされている部品の表示位置情報とを比較することにより、表示中のポップアップ画面が現在フォーカスされている部品と重なっているか否かを判定する(S1305)。
【0095】
ポップアップ表示位置決定部27は、表示中のポップアップ画面が現在フォーカスされている部品と重なっていると判断すると(S1305;YES)、現在フォーカスされている部品の表示領域に重ならない位置をポップアップ画面の表示位置に決定する(S1306)。ポップアップ表示位置決定部27は、このように表示位置を決定すると、既に表示されているポップアップ画面をその表示位置に再表示させる(S1306)。これにより、画面スクロール等により現在フォーカスされている部品に重なってしまっていたポップアップ画面が、重ならない位置で再表示される。
【0096】
〈実施例2の作用及び効果〉
上述したように、実施例2における携帯電話1では、とにかく、現在フォーカスされている部品に重ならないような位置にポップアップ画面が表示(再表示)される。
【0097】
従って、実施例2における携帯電話1によれば、ユーザは、当該ポップアップ画面をリアルタイムに表示させたとしても、少なくとも現在の操作が妨げられることはない。これにより、当該ポップアップ画面をリアルタイムに、他のアプリケーション画面を操作するユーザの操作性を落とすことなく表示させることができる。
【0098】
実施例2における携帯電話1では、実施例1のようにユーザの着目方向等が考慮されていないため、ポップアップ画面の表示位置が最適化されていない。しかしながら、実施例2における携帯電話1によれば、フォーカス履歴DB24内のデータ量を実施例1より抑
えることができ、かつ必要な機能部も実施例1よりも少なくすることができるため、簡易な構成で上述のような効果を得ることができる。
【0099】
[その他]
〈ソフトウェアの構成要素(Component)について〉
ソフトウェアの構成要素とは、ソフトウェアとして上記機能を実現する部品(断片)であり、そのソフトウェアを実現する言語、開発環境等を限定する概念ではない。ソフトウェアの構成要素としては、例えば、タスク、プロセス、スレッド、ドライバ、ファームウェア、データベース、テーブル、関数、プロシジャ、サブルーチン、プログラムコードの所定の部分、データ構造、配列、変数、パラメータ等がある。これらソフトウェアの構成要素は、1又は複数のメモリ(1または複数のプロセッサ(例えば、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processer)等)上で実現される。
【0100】
なお、上述の各実施例は、上記各機能部の実現手法を限定するものではないため、上記各機能部は、上記ソフトウェアの構成要素として、本技術分野の通常の技術者において実現可能な手法により構成されていればよい。
【0101】
〈付記〉
以上の本実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。各項に開示される態様は、必要に応じて可能な限り組み合わせることができる。
【0102】
(付記1)
複数のアプリケーションにより要求された各画面表示を制御する表示制御プログラムであって、コンピュータに
第1アプリケーションの要求により表示されるカレント画面上の構成部品間における、ユーザ操作に伴うフォーカスの移動を検知することにより、少なくとも現在フォーカスされている構成部品に関する情報を含むフォーカス情報を保持する保持ステップと、
前記保持されるフォーカス情報に基づいて第2アプリケーションにより要求される小画面の表示位置を現在フォーカスされているカレント画面上の構成部品と重ならない位置に決定する位置決定ステップと、
を実行させることを特徴とする表示制御プログラム。
【0103】
(付記2)
前記位置決定ステップは、
前記保持されるフォーカス情報の履歴に基づいてフォーカスが次に移動する方向を予測することによりユーザ着目方向を決定する予測ステップと、
前記カレント画面上における、現在フォーカスされている構成部品の表示領域と該表示領域から前記予測されたユーザ着目方向に存在する表示領域とを除いた領域を、ユーザにより着目されていない非フォーカス領域として決定する領域決定ステップと、
を含み、
前記非フォーカス領域内に前記小画面の表示位置を決定する、
ことを特徴とする付記1に記載の表示制御プログラム。
【0104】
(付記3)
前記位置決定ステップは、
前記非フォーカス領域内に前記小画面が入るか否かを判定するサイズ判定ステップ、
を更に含み、
前記非フォーカス領域内に前記小画面が入らないと判定された場合には、該非フォーカス領域以外の領域内であって現在フォーカスされている構成部品と重ならない位置に該小画面の表示位置を決定し、フォーカス移動が検知された際に前記予測ステップ及び前記領
域決定ステップによりユーザ着目方向の再予測及び非フォーカス領域の再決定が行われることにより、該非フォーカス領域内に該小画面が入るようになったと判定された場合には、該小画面の表示位置を該再決定された非フォーカス領域内に変更する、
ことを特徴とする付記2に記載の表示制御プログラム。
【0105】
(付記4)
前記領域決定ステップは、
前記保持されるフォーカス情報の履歴のうち現在の1つ前の履歴から新しい順に各構成部品の表示領域を前記決定された非フォーカス領域から前記小画面が入る最低限の広さとなるまで除外して残った領域を非フォーカス領域と決定する、
ことを特徴とする付記2に記載の表示制御プログラム。
【0106】
(付記5)
複数のアプリケーションにより要求された各画面表示を制御する表示制御方法であって、コンピュータが、
第1アプリケーションの要求により表示されるカレント画面上の構成部品間における、ユーザ操作に伴うフォーカスの移動を検知することにより、少なくとも現在フォーカスされている構成部品に関する情報を含むフォーカス情報を保持する保持ステップと、
前記保持されるフォーカス情報に基づいて第2アプリケーションにより要求される小画面の表示位置を現在フォーカスされているカレント画面上の構成部品と重ならない位置に決定する位置決定ステップと、
を実行することを特徴とする表示制御方法。
【0107】
(付記6)
前記位置決定ステップは、
前記保持されるフォーカス情報の履歴に基づいてフォーカスが次に移動する方向を予測することによりユーザ着目方向を決定する予測ステップと、
前記カレント画面上における、現在フォーカスされている構成部品の表示領域と該表示領域から前記予測されたユーザ着目方向に存在する表示領域とを除いた領域を、ユーザにより着目されていない非フォーカス領域として決定する領域決定ステップと、
を含み、
前記非フォーカス領域内に前記小画面の表示位置を決定する、
ことを特徴とする付記5に記載の表示制御方法。
【0108】
(付記7)
前記位置決定ステップは、
前記非フォーカス領域内に前記小画面が入るか否かを判定するサイズ判定ステップ、
を更に含み、
前記非フォーカス領域内に前記小画面が入らないと判定された場合には、該非フォーカス領域以外の領域内であって現在フォーカスされている構成部品と重ならない位置に該小画面の表示位置を決定し、フォーカス移動が検知された際に前記予測ステップ及び前記領域決定ステップによりユーザ着目方向の再予測及び非フォーカス領域の再決定が行われることにより、該非フォーカス領域内に該小画面が入るようになったと判定された場合には、該小画面の表示位置を該再決定された非フォーカス領域内に変更する、
ことを特徴とする付記6に記載の表示制御方法。
【0109】
(付記8)
前記領域決定ステップは、
前記保持されるフォーカス情報の履歴のうち現在の1つ前の履歴から新しい順に各構成部品の表示領域を前記決定された非フォーカス領域から前記小画面が入る最低限の広さ
となるまで除外して残った領域を非フォーカス領域と決定する、
ことを特徴とする付記6に記載の表示制御方法。
【0110】
(付記9)
複数のアプリケーションにより要求された各画面表示を制御する表示制御装置であって、
第1アプリケーションの要求により表示されるカレント画面上の構成部品間における、ユーザ操作に伴うフォーカスの移動を検知することにより、少なくとも現在フォーカスされている構成部品に関する情報を含むフォーカス情報を保持する保持手段と、
前記保持されるフォーカス情報に基づいて第2アプリケーションにより要求される小画面の表示位置を現在フォーカスされているカレント画面上の構成部品と重ならない位置に決定する位置決定手段と、
を備えることを特徴とする表示制御装置。
【0111】
(付記10)
前記位置決定手段は、
前記保持されるフォーカス情報の履歴に基づいてフォーカスが次に移動する方向を予測することによりユーザ着目方向を決定する予測手段と、
前記カレント画面上における、現在フォーカスされている構成部品の表示領域と該表示領域から前記予測されたユーザ着目方向に存在する表示領域とを除いた領域を、ユーザにより着目されていない非フォーカス領域として決定する領域決定手段と、
を含み、
前記非フォーカス領域内に前記小画面の表示位置を決定する、
ことを特徴とする付記9に記載の表示制御装置。
【0112】
(付記11)
前記位置決定手段は、
前記非フォーカス領域内に前記小画面が入るか否かを判定するサイズ判定手段、
を更に含み、
前記非フォーカス領域内に前記小画面が入らないと判定された場合には、該非フォーカス領域以外の領域内であって現在フォーカスされている構成部品と重ならない位置に該小画面の表示位置を決定し、フォーカス移動が検知された際に前記予測ステップ及び前記領域決定ステップによりユーザ着目方向の再予測及び非フォーカス領域の再決定が行われることにより、該非フォーカス領域内に該小画面が入るようになったと判定された場合には、該小画面の表示位置を該再決定された非フォーカス領域内に変更する、
ことを特徴とする付記10に記載の表示制御装置。
【0113】
(付記12)
前記領域決定手段は、
前記保持されるフォーカス情報の履歴のうち現在の1つ前の履歴から新しい順に各構成部品の表示領域を前記決定された非フォーカス領域から前記小画面が入る最低限の広さとなるまで除外して残った領域を非フォーカス領域と決定する、
ことを特徴とする付記10に記載の表示制御装置。
【図面の簡単な説明】
【0114】
【図1】実施例1における携帯端末のハードウェア構成の概略を示すブロック図である。
【図2】実施例1における携帯端末の機能構成を示すブロック図である。
【図3】ユーザ着目方向の予測の例を示す図である。
【図4】非着目領域の算出例を示す図である。
【図5】ポップアップ画面の表示例を示す図である。
【図6】非着目領域に収まらない場合のポップアップ画面の表示例を示す図である。
【図7】ポップアップ表示時の実施例1における携帯電話1の動作例を示すフローチャートである。
【図8】フォーカス移動時の実施例1における携帯電話1の動作例を示すフローチャートである。
【図9】非着目領域の算出の変形例を示す図である。
【図10】実施例2における携帯端末の機能構成を示すブロック図である。
【図11】実施例2におけるポップアップ画面の表示例を示す図である。
【図12】ポップアップ表示時の実施例2における携帯電話1の動作例を示すフローチャートである。
【図13】フォーカス移動時の実施例2における携帯電話1の動作例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0115】
1 携帯端末
10 制御部
11 無線通信部
13 操作部
15 表示部
17 記憶部
20 表示制御コンポーネント
21 フォーカス変更イベント受信部
22 ポップアップ表示イベント受信部
23 フォーカス情報生成部
24 フォーカス履歴データベース(DB)
25 ユーザ着目方向予測部
26 非着目領域計算部
27 ポップアップ表示位置決定部
30 OS
31、32 アプリケーション

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のアプリケーションにより要求された各画面表示を制御する表示制御プログラムであって、
コンピュータに、
第1アプリケーションの要求により表示されるカレント画面上の構成部品間における、ユーザ操作に伴うフォーカスの移動を検知することにより、少なくとも現在フォーカスされている構成部品に関する情報を含むフォーカス情報を保持する保持ステップと、
前記保持されるフォーカス情報に基づいて第2アプリケーションにより表示要求される小画面の表示位置を現在フォーカスされているカレント画面上の構成部品と重ならない位置に決定する位置決定ステップと、
を実行させることを特徴とする表示制御プログラム。
【請求項2】
前記位置決定ステップは、
前記保持されるフォーカス情報の履歴に基づいてフォーカスが次に移動する方向を予測することによりユーザ着目方向を決定する予測ステップと、
前記カレント画面上における、現在フォーカスされている構成部品の表示領域と該表示領域から前記予測されたユーザ着目方向に存在する表示領域とを除いた領域を、ユーザにより着目されていない非フォーカス領域として決定する領域決定ステップと、
を含み、
前記非フォーカス領域内に前記小画面の表示位置を決定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の表示制御プログラム。
【請求項3】
前記位置決定ステップは、
前記非フォーカス領域内に前記小画面が入るか否かを判定するサイズ判定ステップ、
を更に含み、
前記非フォーカス領域内に前記小画面が入らないと判定された場合には、該非フォーカス領域以外の領域内であって現在フォーカスされている構成部品と重ならない位置に該小画面の表示位置を決定し、フォーカス移動が検知された際に前記予測ステップ及び前記領域決定ステップによりユーザ着目方向の再予測及び非フォーカス領域の再決定が行われることにより、該非フォーカス領域内に該小画面が入るようになったと判定された場合には、該小画面の表示位置を該再決定された非フォーカス領域内に変更する、
ことを特徴とする請求項2に記載の表示制御プログラム。
【請求項4】
前記領域決定ステップは、
前記保持されるフォーカス情報の履歴のうち現在の1つ前の履歴から新しい順に各構成部品の表示領域を前記決定された非フォーカス領域から前記小画面が入る最低限の広さとなるまで除外して残った領域を非フォーカス領域と決定する、
ことを特徴とする請求項2に記載の表示制御プログラム。
【請求項5】
複数のアプリケーションにより要求された各画面表示を制御する表示制御方法であって、コンピュータが、
第1アプリケーションの要求により表示されるカレント画面上の構成部品間における、ユーザ操作に伴うフォーカスの移動を検知することにより、少なくとも現在フォーカスされている構成部品に関する情報を含むフォーカス情報を保持する保持ステップと、
前記保持されるフォーカス情報に基づいて第2アプリケーションにより表示要求される小画面の表示位置を現在フォーカスされているカレント画面上の構成部品と重ならない位置に決定する位置決定ステップと、
を実行することを特徴とする表示制御方法。
【請求項6】
複数のアプリケーションにより要求された各画面表示を制御する表示制御装置であって、
第1アプリケーションの要求により表示されるカレント画面上の構成部品間における、ユーザ操作に伴うフォーカスの移動を検知することにより、少なくとも現在フォーカスされている構成部品に関する情報を含むフォーカス情報を保持する保持手段と、
前記保持されるフォーカス情報に基づいて第2アプリケーションにより表示要求される小画面の表示位置を現在フォーカスされているカレント画面上の構成部品と重ならない位置に決定する位置決定手段と、
を備えることを特徴とする表示制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−33211(P2010−33211A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−193023(P2008−193023)
【出願日】平成20年7月28日(2008.7.28)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】