表示制御装置、表示装置、及び、表示制御方法
【課題】回路規模の大型化、及び、画面のちらつきを防止しつつ、導出した理想の光量制御値で早期にバックライト制御ができる技術を提供する。
【解決手段】表示制御装置は、バックライトの光量調整に用いる前の光量制御値を、過去に光量調整に用いた光量制御値を基準とした制限範囲に制限し、この制限範囲を連続する画像の明るさの差に基づいて変更するため、柔軟に制限範囲を設定することができる。結果、バックライトにより照明される画面のちらつきを防止することができるとともに、制限前の理想の光量制御値へ早期に終息させることができる。
【解決手段】表示制御装置は、バックライトの光量調整に用いる前の光量制御値を、過去に光量調整に用いた光量制御値を基準とした制限範囲に制限し、この制限範囲を連続する画像の明るさの差に基づいて変更するため、柔軟に制限範囲を設定することができる。結果、バックライトにより照明される画面のちらつきを防止することができるとともに、制限前の理想の光量制御値へ早期に終息させることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示画面を照明するバックライトの光量を制御する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
画面へ表示する画像の明るさに基づいて導出した光量で、画面を照明するバックライトを制御することによって、バックライトにおいてムダな電力が消費されないようにする技術がある。
【0003】
例えば、装置に搭載されるASICなどの回路へ入力される画像の明るさに基づいて導出した光量制御値によってバックライトを制御する技術が、特許文献1に記載されている。
【0004】
そのような回路において、入力画像を画面へ出力するタイミングと、入力画像の明るさに基づく光量制御値でバックライトを制御するタイミングとを可能な限り整合させるために、繰り返して入力される画像間において、シーンチェンジがない限りは、さほど画像の明るさが相違しない傾向にあることを考慮して、次回入力される画像を画面へ表示するときに、今回入力された画像の明るさに基づく光量制御値でバックライトを制御する技術がある。
【0005】
そのような技術を採用する回路において、繰り返して入力される画像の明るさがそれぞれ大きく相違した場合は、導出されるバックライトの光量制御値もそれぞれ大きく変動してしまうため、画面がちらついて視認性が悪化してしまう。そこで、繰り返して入力される画像の変化に伴って、バックライトの光量制御値が大きく変動するのを制限しつつ、やがて導出された理想の光量制御値でバックライトを制御できるようにする技術がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−251331号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、その回路において、繰り返して入力される画像にシーンチェンジが発生した場合、例えば、繰り返して入力されていた比較的暗い画像から比較的明るい画像が入力されるようになった場合に、その光量制御値の変動制限を一定にしてしまうと、明るい画像に基づく光量制御値、即ち、理想の光量制御値でバックライトを制御するまでに時間がかかってしまい画面へ表示される画像の視認性を良好にできないという問題がある。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、画面のちらつきを防止しつつ、導出した理想の光量制御値で早期にバックライト制御ができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、画像を表示する画面を照明するバックライトを制御する表示制御装置であって、繰り返し入力される前記画像の明るさに基づいて、前記バックライトの光量を規定する光量制御値を導出する導出手段と、前記導出手段によって前記光量制御値として導出された導出値を、制限範囲値に基づく範囲に制限して出力値とする制限手段と、前記出力値を前記光量制御値として用いて、前記バックライトの光量を調整する調整手段と、前記制限範囲値を、連続する前記画像の明るさの差に基づいて変更する変更手段と、を備えることを特徴とする。
【0010】
また、請求項2の発明は、請求項1に記載の表示制御装置において、前記変更手段は、連続する前記画像の明るさの差が大きいほど、前記制限範囲値を大きくすることを特徴とする。
【0011】
また、請求項3の発明は、請求項1に記載の表示制御装置において、前記変更手段は、連続する前記画像の明るさの差が所定値以上の場合に、前記制限範囲値を基準値より大きくすることを特徴とする。
【0012】
また、請求項4の発明は、請求項2又は請求項3に記載の表示制御装置において、前記変更手段は、前記出力値が前記導出値に達するまで、前記制限範囲を基準値より大きくし、前記出力値が前記導出値に達した後は、前記制限範囲を前記基準値にすることを特徴とする。
【0013】
また、請求項5の発明は、請求項1に記載の表示制御装置において、前記繰り返し入力される画像が比較的明るい画像から比較的暗い画像へと遷移する場合は、前記変更手段を無効化する無効化手段、をさらに備えることを特徴とする。
【0014】
また、請求項6の発明は、請求項1から請求項5の何れかに記載の表示制御装置において、前記調整手段が用いる前記光量制御値の基準光量からの低下の程度に応じて、前記画面へ表示する画像を構成する画素データを増幅する画像増幅手段と、増幅された前記画素データから構成される前記画像を、前記画面へ表示させる表示制御手段と、をさらに備えたことを特徴とする。
【0015】
また、請求項7の発明は、請求項1から請求項6の何れかに記載の表示制御装置と、前記バックライトと、前記画面とを備えることを特徴とする。
【0016】
また、請求項8の発明は、画像を表示する画面を照明するバックライトを制御する表示制御方法であって、(a)繰り返し入力される前記画像の明るさに基づいて、前記バックライトの光量を規定する光量制御値を導出する工程と、(b)前記光量制御値を用いて、前記バックライトの光量を調整する工程と、(c)前記(a)工程で導出され前記(b)工程で用いる前の前記光量制御値を、過去に前記(b)工程で用いた前記光量制御値を基準とした制限範囲に制限する工程と、(d)前記制限範囲を、連続する前記画像の明るさの差に基づいて変更する工程と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
請求項1ないし8の発明によれば、表示制御装置は、繰り返し入力される前記画像の明るさに基づいてバックライトの光量を規定する光量制御値を導出し、光量制御値として導出された導出値を、制限範囲値に基づく範囲に制限して出力値とし、この出力値を光量制御値として用いてバックライトの光量を調整し、制限範囲値を連続する画像の明るさの差に基づいて変更するため、柔軟に制限範囲を設定することができる。結果、バックライトにより照明される画面のちらつきを防止することができるとともに、制限前の光量制御値へ早期に終息させることができる。
【0018】
また、特に請求項2の発明によれば、表示制御装置は、連続する画像の明るさの差が大きいほど、制限範囲を大きくするため、画面のちらつきを防止できるとともに、制限前の理想の光量制御値へ、より早期に終息させることができる。
【0019】
また、特に請求項3の発明によれば、表示制御装置は、連続する画像の明るさの差が所定値以上の場合に、制限範囲を基準範囲より大きくするため、画面のちらつきを防止できるとともに、制限前の理想の光量制御値へ、より早期に終息させることができる。
【0020】
また、特に請求項4の発明によれば、表示制御装置は、制限された出力値が導出値に達するまで、制限範囲を基準範囲より大きくし、制限された出力値に達した後は、制限範囲を基準範囲にするため、制限前の理想の光量制御値へ、より早期に終息させることができるとともに、画面のちらつきを防止することができる。
【0021】
また、特に請求項5の発明によれば、表示制御装置は、繰り返し入力される画像が比較的明るい画像から比較的暗い画像へと遷移する場合は、ハレーションが発生する可能性が低いため、制限範囲を変更する変更手段を無効化することにより、画面のちらつきを防止を効率よくすることができる。
【0022】
また、特に請求項6の発明によれば、表示制御装置は、導出され制限された光量の基準光量からの低下の程度に応じて画像を構成する画素データを増幅するため、画面に映る画像の明るさを適切にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図1は、車載装置のシステム構成図である。
【図2】図2は、車載装置のシステム構成図である。
【図3】図3は、表示部を示す図である。
【図4】図4は、画像を示す図である。
【図5】図5は、車載装置が実行する制御の内容を示すフローチャート図である。
【図6】図6は、画像における画素を示す図である。
【図7】図7は、画素データのヒストグラムを示す図である。
【図8】図8は、車載装置が実行する制御の内容を示すフローチャート図である。
【図9】図9は、車載装置が実行する制御の内容を示すフローチャート図である。
【図10】図10は、制限範囲値のデータを示す図である。
【図11】図11は、バックライト制御デューティのデータを示す図である。
【図12】図12は、入力画像の遷移を示す図である。
【図13】図13は、入力画像の遷移を示す図である。
【図14】図14は、入力画像の遷移を示す図である。
【図15】図15は、制限範囲値の変化を示す図である。
【図16】図16は、入力画像の遷移を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下で説明する表示制御技術は、表示部を搭載した種々の表示装置に適用されるものであるが、便宜上、種々の表示装置のうちの1つである車載装置について具体的に説明することとする。以降、車載装置を、添付図面を参照しながら、車載装置に搭載される表示部の構造、車載装置の構成、及び、車載装置の制御に分けて説明する。
【0025】
<代表の実施の形態>
<車載装置に搭載の表示部の構成>
車両に搭載される表示装置である車載装置が備える表示部の構成を、図1に基づいて説明する。表示部7は、カラーフィルタ1、液晶層2、TFT(Thin Film Transistor)3、バックライト5、及び、タッチパネル4などにより構成される。
【0026】
カラーフィルタ1は、3原色(RGB)が画素ごとに印刷されたフィルムである。
【0027】
液晶層2は、外部電圧などが加わると分子配列が変わる、所謂、液晶シャッターである。
【0028】
TFT3は、マトリクス状に配置された電極により構成される薄膜トランジスタである。TFT3は、TFT制御部が電極へ流す電気を制御することによって、マトリクス状の狙いのセルへ電圧を発生させて、当該セルに対応する液晶層2における液晶の分子配列を変える、つまり、バックライトの光をカラーフィルタ1側へ透過させて狙いの色を液晶画面に表示させる機能を担っている。
【0029】
バックライト5は、光源となる複数のLED(Light Emitting Diode)5を直列に並べて有している。つまり、バックライト5は、カラーフィルタ1、液晶層2及びTFT3によって構成された表示部の液晶画面を照明する機能を担っている。
【0030】
バックライト5のタイプは、簡易構造のエッジライトタイプであり、薄い構造の表示部が要求される、つまり、小型化が要求される車載装置には最適な構造であるといえる。このような、エッジライトタイプのバックライトには、複数の光源であるLED5が矩形を成す表示部の底辺(下底)近傍に直列に備わるため、光が表示部7において、その一辺と対向する底辺(上底)に向かうほど弱くなってしまうのを防ぐ、つまり、表示部7においてバックライトの光が均一になるようにする偏光板が備わっている。
【0031】
また、バックライト5は、構成するLED5を発光させる又は発光させないという単純発光だけではなく、LED5を制御する制御電流のデューティ比を異ならせることによって、LED5の光量を変更させることができる。
【0032】
タッチパネル4は、抵抗を有する金属薄膜からなる透明電極によって構成されるパネルである。タッチパネル4は、この電極をマトリクス状に配列しており、ユーザによってタッチされた液晶画面の位置に応じた電極付近に電圧が発生するようになっている。このため、車載装置は、電圧が発生した位置をユーザが操作した位置であると判断することができる。
【0033】
このような、カラーフィルタ1、液晶層2、TFT3、バックライト5、及び、タッチパネル4などを積層させた表示部7のうち、TFT3やバックライト5を、車載装置のTFT制御部やバックライト調整部が制御することによって、図3に示すように、表示部7の液晶画面にカーナビゲーション画像やTV画像などの画像を表示させることができる。
【0034】
<車載装置の構成>
次に、車載装置の構成を図1に基づいて説明する。車載装置27は、表示部7、揮発性記憶部11、表示制御部16、入力切替部17、制御部18、放送受信部19、カメラ入力部20、ディスク読取部21、及び、カーナビゲーション部22などを、データ通信可能なバスや信号線へ電気的に接続して構成している。
【0035】
制御部18は、CPUや制御プログラムなどが記憶されているROMなどにより構成されたマイコンである。例えば、制御部18は、タッチパネル4からのユーザ操作を受け付けて、ユーザ操作に応じた画像を表示制御部16へ出力させるために、放送受信部19、カメラ入力部20、ディスク読取部21、又は、カーナビゲーション部22の何れかから出力される画像を表示部7へ表示されるように入力切替部17を切り替える。
【0036】
入力切替部17は、制御部から切り替え指示を受けて、指示に応じた画像が表示制御部16へ出力されるように、放送受信部19、カメラ入力部20、ディスク読取部21、又は、カーナビゲーション部22から表示制御部16へ出力される画像のルートを切り替えるハード回路である。
【0037】
表示制御部16は、論理回路により構成されるASIC(Application Specific Integrated Circuit)である。例えば、図2に示すように、表示制御部16が備える画像調整部8、TFT制御部9、サンプリング部10、ヒストグラム生成部12、解析部13、光量制御値導出部14、及び、バックライト調整部15が、それぞれ画像調整機能、TFT制御機能、サンプリング機能、ヒストグラム生成機能、解析機能、光量導出機能、及び、バックライト調整機能を発揮する。それら機能の詳細については後述する。
【0038】
光量制御値導出部14は、ASICである表示制御部16の一部の回路である。例えば、光量制御値算出部30、光量制御値制限部31、及び、制限範囲変更部32が、それぞれ光量制御値算出機能、光量制御値制限機能、及び、制限範囲変更機能を発揮する。それら機能の詳細については後述する。
【0039】
揮発性記憶部11は、例えば、SRAM(Static Random Access Memory)である。揮発性記憶部11は、表示制御部16においてそれぞれの機能を発揮させる際に、導出された制御値などの結果を一時的に記憶させる、つまり、ワーキングエリアとしての機能を発揮する。
【0040】
なお、車載装置27は、ASICである表示制御部16へ入力される画像の明るさに基づいて光量を規定する光量制御値を導出する。つまり、画像を構成する複数の画素データを解析して光量制御値を導出するが、通常解析するためには、ASICに搭載されるメモリである揮発性記憶部11へ全ての画素データを記憶させなければならない。このため、その画素数に相応する容量のメモリをASICに搭載する必要があり、入力画像の画素数が多いほどASICのサイズが大きくなってしまう問題があった。そこで、車両28へ搭載する際にサイズが限定されるとともに種々の機能を詰め込んでいる車載装置27において、ASICである表示制御部16のサイズが大きくならないよう後述する技術を採用している。
【0041】
また、画素データとは、入力画像を構成する複数画素のそれぞれが有する、レッド(R)値、グリーン(G)値、ブルー(B)値を意味し、これらの値に基づいて導き出される値も意味する。
【0042】
放送受信部19は、空中に発せられているデジタルTV放送の電波を直接受信するTV放送アンテナ23によってその電波を受信し、受信した電波に基づいて図3に示すようなTV画像Gを抽出する機能を担う。また、放送受信部19は、抽出したTV画像Gを信号線を介して、表示制御部16へ送信する。
【0043】
カメラ入力部20は、車両28において撮像方向を車両外側へ向けて備えられた、つまり、車両外部の映像が撮像可能に備えられた車載カメラ24から信号線を介して受信した画像を、一定の画像に調整するAGC(Automatic Gain Control)などの機能を担う。また、カメラ入力部20は、調整した車両外部の画像を信号線を介して、表示制御部16へ送信する。
【0044】
ディスク読取部21は、ユーザによりセットされたDVD25に記録されているDVD画像を読み取る機能を担う。また、ディスク読取部21は、読み取ったDVD25に記録されていたDVD画像を信号線を介して、表示制御部16へ送信する。
【0045】
カーナビゲーション部22は、GPSアンテナ26により受信したGPS信号などに基づいて、算出した自車位置データに応じた地図画像を、搭載する記憶装置から読み出し、自車位置マークなどのデータと組み合わせて、カーナビゲーション画像を生成する機能を担う。また、カーナビゲーション部22は、カーナビゲーション画像を表示制御部16へ送信する。
【0046】
また、放送受信部19、カメラ入力部20、ディスク読取部21、及び、カーナビゲーション部22のそれぞれは、各部において生成される画像を、表示部7へ表示される画像サイズ(例えば、縦幅480画素、横幅800画素)へ変換してから、表示制御部16へ送信する。
【0047】
<車載装置の制御>
車載装置27の制御部18は、表示部7のタッチパネル4を介して、車外画像モード設定のユーザ操作を受け付けると、入力切替部17を切替制御して、カメラ入力部20が調整した車外画像を、表示制御部16へ出力させる。
【0048】
また、制御部18は、表示部7のタッチパネル4を介して、DVD再生モード設定のユーザ操作を受け付けると、入力切替部17を切替制御して、ディスク読取部21がDVD25から読み出したDVD画像を、表示制御部16へ出力させる。
【0049】
また、制御部18は、表示部7のタッチパネル4を介して、カーナビゲーションモード設定のユーザ操作を受け付けると、入力切替部17を切替制御して、カーナビゲーション部22が生成した、自車位置マーク、所定の機能の実行を受け付ける選択マーク、及び、地図画像などを含むカーナビゲーション画像を、表示制御部16へ出力させる。
【0050】
以降、ユーザがタッチパネル4により選択した、TV画像、車載カメラ画像、DVD画像、又は、カーナビゲーション画像の何れかの画像が入力切替部17を介して、表示制御部16へ出力させた後の、表示制御部16において実行させる処理を図5に基づいて詳細に説明する。なお、図5に示す制御処理は、表示制御部16へ規定の周期により画像が入力されるごとに実行され図5に示すステップS1へ移行し、車載装置27への電源がユーザによって切れられた場合に終了する。
【0051】
(サンプリング処理)
ステップS1において表示制御部16が備えるサンプリング部10は、入力された画像から所定のデータを所定数サンプリングする。
【0052】
具体的には、入力画像を、図6に示すような、所定の範囲である領域、例えば、縦幅(Y軸)6画素、横幅(X軸)7画素で構成される領域により区分し、区分された領域中の一部の画素データを抽出する。例えば、複数の領域それぞれを構成する複数画素のデータのうち所定条件を満足するデータであり、具体的には、その領域を構成する複数画素データのうち最も高い画素データを比較処理によりサンプリング(抽出)する。
【0053】
サンプリング部10は、この比較処理を領域ごとに、領域に含まれる全ての画素に対して所定の順に実行する。
【0054】
サンプリング部10が比較処理を実行する所定の順とは、領域ごとに比較するものであり、例えば、区分された入力画像における複数の領域のうち、入力画像を正面視した際の左上の領域から同じ行を成す右隣の領域へと順に比較処理を実行し、その行において最も右に位置する領域について比較処理の実行を終了すると、次の行において最も左に位置する領域から同じ行を成す右隣の領域へと順に比較処理を実行し、というように入力画像を正面視した際の右下の領域において比較処理の実行を終了するまで繰り返す。
【0055】
サンプリング部10が、領域において実行する比較は、例えば、6個の画素から成る行を7行で構成する領域において、1行目の比較を実行して最も高い画素データをメモリである揮発性記憶部11に記憶させ、次に2行目の比較を実行して最も高い画素データを揮発性記憶部11に記憶させ、2行目の最も高い画素データと1行目の最も高い画素データを比較して、より高いほうの画素データを揮発性記憶部11に記憶させる。次に3行目の比較を実行して最も高い画素データを揮発性記憶部11に記憶させるとともに、それまでの最も高い画素データと3行目の最も高い画素データを比較して、より高いほうの画素データを揮発性記憶部11に記憶させる、というように最終の行まで同様の比較を繰り返し、領域において最も高い画素データを揮発性記憶部11へ記憶させる。
【0056】
また、領域を構成する複数画素それぞれは、レッド(R)値、グリーン(G)値、ブルー(B)値を有しており、このような構成において、他の画素データと比較する画素データとは、3つのデータを合計した画素データではなく、3つの画素データのうち最も高い画素データである。
【0057】
なお、サンプリング部10は、それら最大画素データを、縦幅(Y軸)64ドット、横幅(X軸)128ドットからなるサイズの揮発性記憶部11へ記憶させる。つまり、11へ記憶されるデータは、入力画像データよりも小さいデータとなるとともに、後述するヒストグラム生成部12がヒストグラムを生成するために必要最低限度のデータとなる。次に、ステップS2へ移行する。
【0058】
(ヒストグラム生成処理)
ステップS2において、表示制御部16が備えるヒストグラム生成部12は、サンプリングされた複数の画素データから、即ち、サンプリングされた全ての画素データから、光量制御値導出部14が光量制御値を導出するためのヒストグラムを生成する。
【0059】
具体的には、ヒストグラム生成部12は、図7に示すような、サンプリングされた複数の画素データのヒストグラムHを生成する。ヒストグラムとは、画像を構成する複数画素の画素データの分布を示したグラフを示すデータである。次に、ステップS3へ移行する。
【0060】
(解析処理)
ステップS3において、表示制御部16が備える解析部13は、生成されたヒストグラムHを解析して、所定位置に分布する画素データを抽出する。この処理を図8に基づいて具体的に説明する。
【0061】
ステップS31において、解析部13は、ヒストグラム生成部12により生成されたヒストグラムHにおいて、最も高い画素データ(255)の画素から最も低い画素データ(0)の画素へと、画素数を計数(カウント)した場合に、計数値が所定値(例えば、200)を超えたときの画素データ(例えば、220)を抽出する。換言すると、生成されたヒストグラムHにおいて、所定番目に高い画素データを抽出する。以降、この所定番目に高い画素データをヒストグラムポジションHPと言う。このヒストグラムポジションHPの画素データの値は、入力画像の明るさを代表的に示すことになる。
【0062】
ここで、表示制御部16が、バックライト5を制御する光量制御値を、画像を構成する複数の画素データに基づくヒストグラムHによって導出する理由を説明する。
【0063】
表示制御部16は、後述するように、抽出した画素データに基づく光量制御値(バックライトにより消費される電力を低減させる為に、基準となる光量制御値、例えば、100%よりも下げた光量制御値)をバックライト5の光量制御値として導出し、導出した光量制御値でバックライト5を制御するとともに、基準の光量制御値よりも下がった光量制御値でバックライトを制御したために暗くなってしまう画像の明るさをフォローするように、画像を構成する画素のデータを一律に増幅させて液晶画面へ映す画像の明るさを全体として適切にする。
【0064】
つまり、この技術を適用するにあたり、表示制御部16において、その所定値という値は、画像を構成する画素のデータを光量制御値に応じて一律に増幅させる際に飽和が発生しにくいような値を設定している。
【0065】
もし、表示制御部16が光量制御値を導出する基準をヒストグラムではなく、画像を構成する複数画素のデータの平均(データ平均)により実行したとすると、データ平均が比較的低い場合に少数の高い画素データが、前述した画像を構成する画素のデータを一律に増幅させる際に飽和してしまう虞がある。
【0066】
従って、表示制御部16が、前述したようなヒストグラムに基づくバックライトの光量制御値の導出と画像を構成する画素のデータを一律に増幅させる処理を実行することによって、画像の一部が飽和することなく画像の視認性を向上させている。次に、ステップS32へ移行する。
【0067】
ステップS32において、解析部13は、解析した結果値、即ち、ヒストグラムポジションHPである画素データ220を揮発性記憶部11へ記憶する。この解析結果値は、表示制御部16へ入力された画像に対して解析したものであるため今回解析結果値とする。次に、ステップS33へ移行する。
【0068】
ステップS33において、解析部13は、過去に即ち前回に、表示制御部16へ入力された画像に対して解析した結果値、即ち、表示制御部16が、図5及び図8に示す制御フローを前回のターンで実行した際に解析した結果値であって、そのときにステップS32において揮発性記憶部11へ記憶した前回解析結果値をそこから読み出す。
【0069】
なお、前回解析結果値は、表示制御部16が初期設定でデフォルト値(例えば、150)に設定している。次に、ステップS34へ移行する。
【0070】
ステップS34において、解析部13は、今回解析して導出した結果値と揮発性記憶部11から読み出した前回解析結果値との差(すなわち、連続する入力画像の明るさの差)を導出し、その差が所定値(例えば、60)以上か否かを判断する。その差が所定値以上であると判断する場合は、ステップS35へ移行する(ステップS34においてYESの場合)。その差が所定値以上であると判断しない場合は、ステップS36へ移行する(ステップS34においてNOの場合)。
【0071】
ステップS35において、解析部13は、揮発性記憶部11に設定されたフラグをオンにする。次に、リターンへ移行し、図5のフローチャートに戻って、ステップS4へ移行する。
【0072】
ステップS36において、解析部13は、揮発性記憶部11に設定されたフラグをオフにする。次に、リターンへ移行し、図5のフローチャートに戻って、ステップS4へ移行する。
【0073】
なお、このフラグは、表示制御部16が初期設定でオフにしている。
【0074】
(光量制御値導出処理)
ステップS4において、表示制御部16が備える光量制御値導出部14は、ヒストグラムHを解析した後に抽出した画素データ(すなわち、入力画像の明るさ)に基づいた光量制御値を導出値として導出する。この処理を図9に基づいて具体的に説明する。
【0075】
ステップS41において、光量制御値導出部14の光量制御値算出部30は、従来では、画素データにかかわらず固定の光量制御値、即ち、バックライト5を制御する光量制御値である制御電流のデューティ比を固定値(例えば、100%)にしていたが、バックライト5が消費する電力を低減させるために、所定の処理を実行してそのデューティ比を算出する。
【0076】
つまり、所定の処理とは、光量制御値算出部30が、前述するヒストグラムHにおいて、前述するカウント数が所定値(例えば、200番目)、即ち、ヒストグラムHを超えたときの画素データを抽出し、抽出した画素データが画素データレンジ(例えば、0から255までの256)において占める割合を算出することによってそのデューティ比を算出する。また、その処理において、画素データレンジの最大値(例えば、256)に対する割合(例えば、100%)を基準の光量制御値と考えることができる。
【0077】
従って、光量制御値算出部30は、カウント数が所定値を超えたときの画素データに1を加算したものを画素データレンジ256で除算し、除算した結果に100を積算することで、基準の光量制御値に対する割合が算出され、その割合をそのデューティ比としている。前述の例では、220/256=86%がバックライト5を制御する光量制御値である制御電流のデューティ比となる。
【0078】
つまり、以降において、表示制御部16は、繰り返し入力される画像を映す画面のちらつき防止のために、この光量制御値を制限するが、このような制限がなされる前の光量制御値算出部30によって導出されたままの光量制御値が、画面へ映すその画像に対する理想の光量制御値であると言える。
【0079】
具体的には、光量制御値算出部30は、画素データと関連付けた光量制御値が記憶されている図示しない不揮発性記憶部から、解析した後に抽出された画素データを検索キーにして、それに関連付けられた光量制御値を検索して抽出する。光量制御値算出部30は、この光量制御値をバックライト調整部15がバックライト5を制御する際の光量制御値を算出する。次に、ステップS42へ移行する。
【0080】
ステップS42において、光量制御値制限部31は、揮発性記憶部11において設定されているフラグがオンか否かを判断する。フラグがオフであると判断する場合(入力画像の明るさの差が所定値未満の場合)は、ステップS43へ移行する(ステップS42においてYESの場合)。フラグがオンであると判断する場合(入力画像の明るさの差が所定値以上の場合)は、ステップS45へ移行する(ステップS42においてNOの場合)。そして、光量制御値制限部31は、光量制御値算出部30によって導出された光量制御値を制限する制限処理を実行する。
【0081】
入力画像の明るさの差が所定値未満の場合は、ステップS43において、光量制御値制限部31は、図示しない不揮発性記憶部から、基準範囲値である一定の制限範囲値を読み出す。次に、ステップS44へ以降する。
【0082】
ステップS44において、光量制御値制限部31は、ステップS41において導出した光量制御値へその制限範囲値を光量制御値へ適用して出力値を制限する。
【0083】
具体的には、光量制御値制限部31は、前回にバックライト5の制御に用いた光量制御値を基準制御値とし、この基準制御値に対する今回導出された光量制御値の変化量を求める。
【0084】
そして、この変化量が制限範囲値を超える場合は、制限範囲値を限界に光量制御値の変化を制限する。すなわち、基準制御値に対して制限範囲値を加算した値を上限、制限範囲値を減算した値を下限とする制限範囲内におさまるように、光量制御値を制限することになる。逆に、光量制御値制限部31は、基準制御値に対する今回導出された光量制御値の変化量が制限範囲値を超えない場合は、光量制御値は制限範囲内におさまるため、光量制御量は導出されたままの値となる。次に、ステップS47へ移行する。
【0085】
一方、入力画像の明るさの差が所定値以上の場合は、制限範囲値が基準範囲値よりも大きくされる。具体的には、ステップS45において、制限範囲変更部32は、図示しない不揮発性記憶部から、解析部13が導出した、今回解析結果値と前回解析結果値との差(連続する入力画像の明るさの差)を検索キーにして、それに関連付けられた制限範囲値を検索して抽出する。その関連付けは、図10に示すようにその差が大きくなるほど制限範囲値が大きくなるように規定されており、かつ、差が小さい側では制限範囲値が大きくなる程度は小さく、差が大きい側では制限範囲値が大きくなる程度が大きくなるように関連付けられている。制限範囲値を大きくすることは、光量制御値を制限するための制限範囲を大きくすることに相当する。
【0086】
このような関連付けにより、表示制御部16は、繰り返し入力される画像に基づいてバックライトを制御する光量制御値に対する制限範囲を、今回解析結果と前回解析結果との差が大きくなるほど、大きくすることができる。
【0087】
ステップS46において、光量制御値制限部31は、ステップS41において導出した光量制御値へその制限範囲値を適用し、光量制御値を制限する。
【0088】
具体的には、光量制御値制限部31は、基準制御値に対する今回導出された光量制御値の変化量が制限範囲値を超える場合は、制限範囲値を限界に光量制御値の変化を制限する。すなわち、基準制御値に対して制限範囲値を加算した値を上限、制限範囲値を減算した値を下限とする制限範囲内におさまるように、光量制御値を制限する。
【0089】
逆に、光量制御値導出部14は、基準制御値に対する今回導出された光量制御値の変化量が制限範囲値を超えない場合は、光量制御値は制限範囲内におさまるため、光量制御量は導出されたままの値となる。次に、ステップS47へ移行する。
【0090】
ステップS47において、光量制御値制限部31は、制限処理がなされた光量制御値を、次回のバックライト5の制御に用いる光量制御値として揮発性記憶部11へ記憶する。
【0091】
ここで、光量制御値制限部31が、制限処理がなされた光量制御値を次回のバックライト制御用の光量制御値として揮発性記憶部11へ記憶する理由を説明する。
【0092】
表示制御部16にいては、それ自体が大型化しないようにするために、できるだけメモリを搭載しないように工夫がされている。
【0093】
表示制御部16においては、入力された画像を画面へ出力するタイミングと、入力画像を解析して導出した光量制御値になるようにバックライトを制御するタイミングと、を整合させる必要があるため、一時的にバッファメモリへ記憶させ、バッファメモリにおいて対応関係にある入力画像とその光量制御値とが揃ったタイミングにおいて、それら制御を同時に実行する技術が考えられるが、この場合はそのバッファメモリを搭載させる分、表示制御部16が大型化してしまうという問題がある。
【0094】
そこで、その問題を回避するために、繰り返して入力される画像間においては、シーンチェンジがない限り、さほど画像の解析結果が相違しない傾向にあることを考慮して、次回入力される画像を画面へ表示するときに、今回入力された画像の解析結果に基づいて導出した光量制御値でバックライトを制御する技術を採用する。
【0095】
つまり、光量制御値制限部31が、制限処理がなされた光量制御値を次回のバックライト制御用の光量制御値として揮発性記憶部11へ記憶している理由は、表示制御部16において、次回入力される画像を画面へ表示するときに、今回入力された画像の解析結果に基づいて導出した光量制御値でバックライトを制御するからである。
【0096】
次に、リターンへ移行し、図5のフローチャートに戻って、ステップS5へ移行する。
【0097】
ステップS5において、表示制御部16が備える光量制御値導出部14に導出された光量制御値(制限処理がなされた光量制御値)を画像調整部8へ送信する。次にステップS6及びステップS7へ移行する。
【0098】
ステップS6において、表示制御部16のバックライト調整部15は、光量制御値導出部14に導出された光量制御値(制限処理がなされた出力値、即ち、光量制御値)に基づいてバックライト5を構成するLED6をデューティ制御する。
【0099】
具体的には、バックライト調整部15は、LED6が制御する電流のデューティ比を大きくすれば、見かけ上明るくなり、デューティ比を小さくすれば、見かけ上暗くなるため、導出された光量制御値であるデューティ比でLED6を制御する電流を流す。
【0100】
ステップS7において、表示制御部16が備える画像調整部8は、導出された光量制御値に基づいて画素データ係数を不揮発性記憶部から読み出して、読み出した画素データ係数を入力画像を構成する画素データへ乗算する。
【0101】
具体的には、画像調整部8は、導出された光量制御値に応じた画素データ係数を不揮発性記憶部から、光量制御値を検索キーにして、それに関連付けられた画素データ係数を検索して抽出し、入力画像の画素データへ画素データ係数を乗算する。その関連付けは、図11に示すように、バックライト5を構成するLED6を制御するデューティが大きくなるほど画素データを補正する係数が小さくなるように関連付けられている。次に、ステップS8へ移行する。
【0102】
ステップS8において、表示制御部16が備えるTFT制御部9は、画素データ係数が乗算された画像が表示部7へ表示されるよう、TFT3を制御する。
【0103】
つまり、不揮発性記憶部において、画素データと光量制御値との関連付ける設定は、TFT制御部9において、画像を表示部7へ表示させる際の画像の目標とする明るさを、画素データによる明るさと、光量制御値で制御したバックライトによる明るさと、のトータルで実現するため、バックライト5の電力が低減されるように、バックライトの光量制御値を基準となる光量制御値よりも下げたことにより暗くなる画像の明るさを、画素データによる明るさにより増幅してフォロー可能な範囲で設定されている。次に、リターンへ移行する。
【0104】
次に、光量制御値導出部14が、上述した光量制御値の制限処理を実行しない場合の問題点を、図12に示す比較例を参照しながら説明する。また、光量制御値導出部14が、光量制御値の制限処理において、制限範囲値を一定とする場合の問題点を図13に基づいて説明する。さらに、今回解析結果値と前回解析結果値との差(入力画像の明るさの差)に基づいて制限範囲値を変更する場合の効果を図14及び図16に基づいて説明する。
【0105】
<<比較例1(制限処理の非実行の場合)>>
まず、光量制御値導出部14が、光量制御値の制限処理を実行しない場合の比較例の問題点を、図12に基づいて説明する。
【0106】
図12は、表示制御部16へ複数の画像、例えば、画像1Gから画像5Gが順に入力された場合に、それら画像それぞれに基づいてヒストグラム生成部12が生成したヒストグラムHを解析部13が解析して導出したヒストグラムポジションHP(入力画像の明るさ)、それらヒストグラムポジションHPに基づいて導出した光量制御値であるバックライト5を制御する制御デューティ、及び、画像データの補正係数の変化を表している。
【0107】
図12の例では、画像1GのヒストグラムポジションHPが「20」、画像2GのヒストグラムポジションHPが「80」、画像3GのヒストグラムポジションHPが「15」、画像4GのヒストグラムポジションHPが「40」、画像5GのヒストグラムポジションHPが「30」へと変化している。このように入力される複数の画像それぞれの明るさにバラつきがある場合は、それらヒストグラムポジションHPに応じて、表示制御部16において導出されるバックライト制御デューティ、及び、画像データ補正係数もバラついてしまう。
【0108】
結果、表示制御部16が、それら制御値に基づいて、画面へ複数の画像を短時間に繰り返して映すと、その画面をみる看者に対してチラつきを感じさせてしまうという問題が発生する。
【0109】
そこで、本実施の形態における、表示制御部16においては、それら制御値の変動を一定に制限することによって、看者に対してチラつきを感じさせないようにしている。
【0110】
<<比較例2(制限範囲値を一定とする場合)>>
次に、光量制御値導出部14が、光量制御値の制限処理において制限範囲値を一定とする場合の比較例の問題点を、図13に基づいて説明する。
【0111】
図13は、表示制御部16へ複数の画像、例えば、画像1Gから画像5Gが順に入力された場合に、それら画像に基づくヒストグラムポジションHP(入力画像の明るさ)、バックライト5を制御する制御デューティ(光量調整に用いる光量制御値)、制限範囲値及び画像データの補正係数の変化を表している。
【0112】
図13の例では、画像1GのヒストグラムポジションHPが「20」、画像2GのヒストグラムポジションHPが「240」、画像3GのヒストグラムポジションHPが「230」、画像4GのヒストグラムポジションHPが「230」、画像5GのヒストグラムポジションHPが「230」へと変化している。この場合に、表示制御部16において、ヒストグラムポジションHPの変化に応じて、そのヒストグラムポジションHPに基づいて導出した理想のバックライト制御デューティでバックライト5を制御するのではく、一定の制限範囲値(例えば、「5」)をバックライト制御デューティ(光量制御値)の変動の限界値とする。
【0113】
つまり、表示制御部16は、ヒストグラムポジションHPの変化に応じて、バックライト制御デューティを直ぐに追従させないで、制限範囲値である「5」以内の値でバックライト制御デューティを変化させる。このようなバックライト制御デューティの変化を繰り返すことで、やがて、理想のバックライト制御デューティでバックライト5を制御する。
【0114】
結果、表示制御部16が、入力される複数の画像におけるヒストグラムポジションHPが短時間において変動したとしても、バックライト制御デューティの変動が一定の制限範囲に制限される。このため、画面の明るさに変動が少なく、その画面をみる看者に対してチラつきを感じさせることを防ぐことができる。
【0115】
しかしながら一方で、図13に示すように、表示制御部16において、入力画像G1から入力画像G2へと遷移した場合に、ヒストグラムポジションHPが20から240へと急激に変動している。即ち、表示制御部16において、短時間にシーンチェンジがなどの現象が発生した場合に、即ち、繰り返して入力される画像が、比較的暗い画像から極端に明るい画像へと遷移した場合に、バックライト制御デューティの変動を一定の制限範囲に制限してしまうと、ヒストグラムポジションHPに基づいて導出した理想のバックライト制御デューティでバックライト5を制御可能にするまで時間がかかってしまう。
【0116】
そこで、本実施の形態の表示制御部16においては、制限範囲値を一定とはせず可変にすることによって、看者に対してチラつきを感じさせないようにしつつ、理想のバックライト制御デューティへ早期に終息できるようにしている。この技術を以降において、具体的に説明する。
【0117】
<<制限範囲値を変化させる場合>>
次に、本実施の形態のように、光量制御値導出部14の制限範囲変更部32が、光量制御値の制限処理において制限範囲値を変化させる場合の効果を、図14に基づいて説明する。なお、前述した図9に示制御すフローにおいては、ステップS45以降の処理が、図12で示す処理の一部に相当する。
【0118】
図14は図13と同様に、表示制御部16へ複数の画像、例えば、画像1Gから画像5Gが順に入力された場合に、それら画像に基づくヒストグラムポジションHP(入力画像の明るさ)、バックライト5を制御する制御デューティ(光量調整に用いる光量制御値)、制限範囲値及び画像データの補正係数の変化を表している。更に、制限範囲値の変化についても表している。
【0119】
図14の例では、画像1GのヒストグラムポジションHPが「20」、画像2GのヒストグラムポジションHPが「25」、画像3GのヒストグラムポジションHPが「200」、画像4GのヒストグラムポジションHPが「200」、画像5GのヒストグラムポジションHPが「200」へと変化している。また、入力された画像2G及び画像3GそれぞれのヒストグラムポジションHPの差(連続する入力画像の明るさの差)が所定値(前例では60)以上である。この場合、繰り返して入力される画像が、比較的暗い画像から比較的明るい画像へと急に変化するシーンチェンジが発生していることになる。このため、画像2Gが理想とするバックライト制御デューティと、画像3Gが理想とするバックライト制御デューティとは大きな差が発生する。
【0120】
つまり、表示制御部16において、比較的暗い画像1G及び画像2Gが入力されているときは、それら画像に対する理想のバックライト制御デューティは小さかったが、比較的暗い画像2Gが入力された後に比較的明るい画像3G、4G、及び、5Gが入力されたため、それら画像に対する理想のバックライト制御デューティは大きくなってしまっている。
【0121】
このような状況において、上述した比較例2のように、表示制御部16が、バックライト制御デューティの変動を一定の制限範囲にのみ制限してしまうと、小さいバックライト制御デューティから大きいバックライト制御デューティへと到達するのに時間がかかってしまう。
【0122】
そこで、表示制御部16は、今回の画像の明るさと前回の画像の明るさの差が所定値以上の場合に、制限範囲値をその差に基づいて可変させる。即ち、表示制御部16は、今回の画像に基づくヒストグラムポジションHPと前回の画像に基づくヒストグラムポジションHPとの差が所定値以上の場合に、図示しない不揮発性記憶部に記憶された、図10に示すような制限範囲値と差との関係から成るマップから、差を検索キーにして制限範囲値を抽出する。
【0123】
なお、マップは、前述した通り、図10に示すようにその差が大きくなるほど制限範囲値が大きくなるように規定されており、かつ、差が小さい側では制限範囲値が大きくなる程度は小さく、差が大きい側では制限範囲値が大きくなる程度が大きくなるように関連付けられている。このように制限範囲値を大きくすることで、光量制御値の制限範囲は、基準範囲値(例えば「5」)に基づく基準範囲よりも大きくなる。
【0124】
表示制御部16は、ヒストグラムポジションHPに基づいて導出された光量制御値を、抽出した制限範囲値に基づく制限範囲に制限する。
【0125】
このような処理により、表示制御部16において、繰り返して入力される画像が、比較的暗い画像から比較的明るい画像へと遷移した場合で、かつ、シーンチェンジが発生した場合においては、制限範囲値を大きくする。
【0126】
より具体的に説明すると、図15に示すように、表示制御部16において、繰り返して入力される画像が、比較的暗い画像から比較的明るい画像へと遷移した場合に、シーンチェンジが発生する前は、導出値が比較的小さい制限範囲値Aによって適用された出力値にもとづいてバックライト5を制御する。他方で、そのシーンチェンジが発生した後は、導出値が比較的大きい制限範囲値Bによって適用された出力値に基づいてバックライト5を制御する。このため、表示制御部16は、制限される前の理想の光量制御値へ早期に終息させることができる。
【0127】
なお、この場合の導出値とは、前述した通り、表示制御部16へ、繰り返し入力される画像の明るさに基づいて導出したバックライト5の光量を規定する光量制御値である。また、この場合の出力値とは、前述した通り、その導出値を制限範囲値に基づく範囲に制限した光量制御値である。
(画像の明るさに基づいて導出したバックライトの光量を規定する光量制御値)、
また、表示制御部16においてその他の技術を採用することによっても、表示制御部16の大型化を回避している。例えば、入力画像の画素数が多ければ多いほど、メモリの容量は多くなりこれに伴ってASICの規模も大きくなってしまうが、入力画像を複数の領域に区分するとともに複数の領域のそれぞれから最大画素データを抽出し、抽出した画素データに基づいてヒストグラムを生成させることによって、ASICである表示制御部16に搭載のメモリ容量を小さくさせることができる。つまり小さいサイズのメモリを搭載することによって、ASICである表示制御部16の大型化を防ぎ、高精細の液晶画面を照明するバックライトの光量を適切に導出することができ、搭載エリアが限定された小型の車両28へ搭載することができる。
【0128】
<変形例>
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、この発明は上記実施の形態に限定されるものではなく様々な変形が可能である。以下では上記実施の形態の変形例について説明する。もちろん、以下で説明する変形例を適宜組み合わせても良い。
【0129】
<変形例1>
上記代表の実施の形態においては「表示制御部16は、今回の画像の明るさと前回の画像の明るさの差が所定値以上の場合に、制限範囲値をその差に基づいて可変させる」と説明したが、繰り返して入力される画像が比較的明るい画像から比較的暗い画像へと遷移した場合においては、制限範囲変更部32の機能を無効化して、制限範囲値を一定にするようにしても良い。その詳細を図16に基づいて説明する。
【0130】
図16は図14と同様に、表示制御部16へ複数の画像、例えば、画像1Gから画像5Gが順に入力された場合に、それら画像に基づくヒストグラムポジションHP(入力画像の明るさ)、光量制御値であるバックライト5をする制御デューティ(光量調整に用いる光量制御値)、制限範囲値、及び、画像データの補正係数の変化を表している。
【0131】
図16の例では、画像1GのヒストグラムポジションHPが「200」、画像2GのヒストグラムポジションHPが「200」、画像3GのヒストグラムポジションHPが「25」、画像4GのヒストグラムポジションHPが「20」、画像5GのヒストグラムポジションHPが「20」へと変化している。また、入力された画像2G及び画像3GそれぞれのヒストグラムポジションHPの差が所定値(前例では60)以上である。この場合、繰り返して入力される画像が、比較的明るい画像から比較的暗い画像へと急に変化するシーンチェンジが発生していることになる。このため、画像2Gが理想とするバックライト制御デューティと、画像3Gが理想とするバックライト制御デューティとは大きな差が発生する。
【0132】
つまり、表示制御部16において、比較的暗い画像1G及び比較的画像2Gが入力されているときは、それら画像に対する理想のバックライト制御デューティは大きくなかったが、比較的暗い画像2Gが入力された後に比較的明るい画像3G、4G、及び、5Gが入力されたため、それら画像に対する理想のバックライト制御デューティは小さくなってしまっている。
【0133】
このような状況においては、代表の実施の形態のように、連続する入力画像の明るさの差に応じて制限範囲値を大きくすることが考えられる。
【0134】
しかしながら、繰り返して入力される画像が比較的暗い画像から比較的明るい画像へと遷移する場合とは異なり、入力される画像が比較的明るい画像から比較的暗い画像へと遷移する場合は、比較的暗い画像を画面に映したときに、比較的明るい画像に応じた比較的大きいデューティでバックライトを制御しても、その画面を看る看者に対しては視認性を大きく低下させることは無い。
【0135】
そこで、表示制御部16は、今回の画像の明るさと前回の画像の明るさの差が所定値以上の場合で、入力される画像が比較的明るい画像から比較的暗い画像へと遷移する場合は、制限範囲値をその差に応じて可変させる制限範囲変更部32の機能を無効にして、制限範囲値を一定にする。
【0136】
これにより、入力される画像が比較的明るい画像から比較的暗い画像へと遷移した場合で、かつ、シーンチェンジが発生した場合においても、比較的簡便な処理により、視認性を悪化させること無く、バックライトにより照明される画面のちらつきを防止することができる。
【0137】
<変形例2>
上記代表の実施の形態におけるステップS41において「ヒストグラムHに基づいて算出したヒストグラムポジションHPに基づいて理想の光量制御値を算出する」旨を説明し、更に、ステップS45及びステップS46において「可変の制限範囲値に基づいて光量制御値を制限する」旨を説明した。これに対して、表示制御部16は、制限された光量制御値でバックライト5を制御して行き、やがて、制限された光量制御値が、制限される前の光量制御値、即ち、理想の光量制限値に達した後は、制限範囲値を基準範囲である一定の制限範囲値に戻すようにしても良い。
【0138】
具体的には、表示制御部16は、制限された光量制御値が、理想の光量制御値と一致した場合、又は、略一致した場合に、前記フラグをオフにする。
【0139】
これにより、制限前の理想の光量制御値へ、より早期に終息させることができるとともに、画面のちらつきを防止することができる。
【0140】
<変形例3>
また、光量制御値を制限する制限処理を実行するごとに、制限範囲値を大きくするようにしてもよい。例えば、画像が繰り返し入力されるたびに、図5、図8、及び、図9に示す制御を実行する際に、ステップS45及びステップS46において適用される制限範囲値の基準範囲値からの変更幅を大きくすることになる。表示制御部16は、このように制限範囲値を徐々に大きくする制御を、制限された光量制御値が、制限される前の光量制御値、即ち、理想の光量制限値に達するまで実行することができる。
【0141】
これにより、画面のちらつきを防止できるとともに、制限前の理想の光量制御値へ、より早期に終息させることができる。
【0142】
<変形例4>
また、このように制限範囲値を大きくする速度を変化させることができる。例えば、
繰り返し入力される画像が比較的暗い画像から比較的明るい画像へと遷移する場合は、制限範囲を大きくする速度を速くし、繰り返し入力される画像が比較的明るい画像から比較的暗い画像へと遷移する場合は、制限範囲を大きくする速度を遅くすることができる。
【0143】
繰り返し入力される画像が暗い画像から明るい画像へと遷移する場合は、ハレーションが発生する可能性が高いため、その制限範囲を大きくする速度を速くすることにより、制限された光量制御値が制限前の理想の光量制御値へ早期に終息させることができる。また、繰り返し入力される画像が明るい画像から暗い画像へと遷移する場合は、ハレーションが発生する可能性が低いため、制限範囲を大きくする速度を遅くするため、画面のちらつきを防止させることができる。
【0144】
<変形例5>
上記代表の実施の形態における、バックライトはLEDであると説明したが、液晶画面を照明するとともに光量を調整制御できる光源であれば良く、例えば、蛍光灯などであっても良い。
【0145】
<変形例6>
上記代表の実施の形態においては、入力画像の明るさとして、解析部13による解析結果であるヒストグラムポジションHPを利用していたが、例えば、画像を構成する複数の画素データの平均値などの他の値を用いてもよい。また、画素データの値としては、画素ごとに充てられたレッド(R)値、グリーン(G)値、ブルー(B)値、輝度値、又は、色差値などを利用できる。
【0146】
<変形例7>
上記代表の実施の形態においては、バックライト5を導出した光量制御値に基づいて一律に制御すると説明したが、バックライト5を構成する複数のLED6を個別に制御するものであっても良い。
【0147】
その場合は、表示制御部16は、生成したヒストグラムHを解析するのではなく、複数のLED5それぞれが照明する画面の縦方向と対応する、画面へ映す画像の縦方向の平均輝度を導出し、それぞれの平均輝度に基づいてそれぞれのLED6を制御する。
【0148】
<変形例8>
上記代表の実施の形態においては、「制限範囲値を超える場合は、基準制御値に対して制限範囲値を加算した値を上限、制限範囲値を減算した値を下限とする制限範囲内におさまるように、光量制御値を制限する」としたが、基準制御値は、光量制御値、即ち、導出値でってもよく、光量制御値、即ち、出力値であっても良い。
【符号の説明】
【0149】
10 サンプリング部
11 揮発性記憶部
12 ヒストグラム生成部
13 解析部
14 光量制御値導出部
15 バックライト調整部
16 表示制御部
30 光量制御値算出部
31 光量制御値制限部
32 制限範囲変更部
8 画像調整部
H ヒストグラム
HP ヒストグラムポジション
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示画面を照明するバックライトの光量を制御する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
画面へ表示する画像の明るさに基づいて導出した光量で、画面を照明するバックライトを制御することによって、バックライトにおいてムダな電力が消費されないようにする技術がある。
【0003】
例えば、装置に搭載されるASICなどの回路へ入力される画像の明るさに基づいて導出した光量制御値によってバックライトを制御する技術が、特許文献1に記載されている。
【0004】
そのような回路において、入力画像を画面へ出力するタイミングと、入力画像の明るさに基づく光量制御値でバックライトを制御するタイミングとを可能な限り整合させるために、繰り返して入力される画像間において、シーンチェンジがない限りは、さほど画像の明るさが相違しない傾向にあることを考慮して、次回入力される画像を画面へ表示するときに、今回入力された画像の明るさに基づく光量制御値でバックライトを制御する技術がある。
【0005】
そのような技術を採用する回路において、繰り返して入力される画像の明るさがそれぞれ大きく相違した場合は、導出されるバックライトの光量制御値もそれぞれ大きく変動してしまうため、画面がちらついて視認性が悪化してしまう。そこで、繰り返して入力される画像の変化に伴って、バックライトの光量制御値が大きく変動するのを制限しつつ、やがて導出された理想の光量制御値でバックライトを制御できるようにする技術がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−251331号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、その回路において、繰り返して入力される画像にシーンチェンジが発生した場合、例えば、繰り返して入力されていた比較的暗い画像から比較的明るい画像が入力されるようになった場合に、その光量制御値の変動制限を一定にしてしまうと、明るい画像に基づく光量制御値、即ち、理想の光量制御値でバックライトを制御するまでに時間がかかってしまい画面へ表示される画像の視認性を良好にできないという問題がある。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、画面のちらつきを防止しつつ、導出した理想の光量制御値で早期にバックライト制御ができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、画像を表示する画面を照明するバックライトを制御する表示制御装置であって、繰り返し入力される前記画像の明るさに基づいて、前記バックライトの光量を規定する光量制御値を導出する導出手段と、前記導出手段によって前記光量制御値として導出された導出値を、制限範囲値に基づく範囲に制限して出力値とする制限手段と、前記出力値を前記光量制御値として用いて、前記バックライトの光量を調整する調整手段と、前記制限範囲値を、連続する前記画像の明るさの差に基づいて変更する変更手段と、を備えることを特徴とする。
【0010】
また、請求項2の発明は、請求項1に記載の表示制御装置において、前記変更手段は、連続する前記画像の明るさの差が大きいほど、前記制限範囲値を大きくすることを特徴とする。
【0011】
また、請求項3の発明は、請求項1に記載の表示制御装置において、前記変更手段は、連続する前記画像の明るさの差が所定値以上の場合に、前記制限範囲値を基準値より大きくすることを特徴とする。
【0012】
また、請求項4の発明は、請求項2又は請求項3に記載の表示制御装置において、前記変更手段は、前記出力値が前記導出値に達するまで、前記制限範囲を基準値より大きくし、前記出力値が前記導出値に達した後は、前記制限範囲を前記基準値にすることを特徴とする。
【0013】
また、請求項5の発明は、請求項1に記載の表示制御装置において、前記繰り返し入力される画像が比較的明るい画像から比較的暗い画像へと遷移する場合は、前記変更手段を無効化する無効化手段、をさらに備えることを特徴とする。
【0014】
また、請求項6の発明は、請求項1から請求項5の何れかに記載の表示制御装置において、前記調整手段が用いる前記光量制御値の基準光量からの低下の程度に応じて、前記画面へ表示する画像を構成する画素データを増幅する画像増幅手段と、増幅された前記画素データから構成される前記画像を、前記画面へ表示させる表示制御手段と、をさらに備えたことを特徴とする。
【0015】
また、請求項7の発明は、請求項1から請求項6の何れかに記載の表示制御装置と、前記バックライトと、前記画面とを備えることを特徴とする。
【0016】
また、請求項8の発明は、画像を表示する画面を照明するバックライトを制御する表示制御方法であって、(a)繰り返し入力される前記画像の明るさに基づいて、前記バックライトの光量を規定する光量制御値を導出する工程と、(b)前記光量制御値を用いて、前記バックライトの光量を調整する工程と、(c)前記(a)工程で導出され前記(b)工程で用いる前の前記光量制御値を、過去に前記(b)工程で用いた前記光量制御値を基準とした制限範囲に制限する工程と、(d)前記制限範囲を、連続する前記画像の明るさの差に基づいて変更する工程と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
請求項1ないし8の発明によれば、表示制御装置は、繰り返し入力される前記画像の明るさに基づいてバックライトの光量を規定する光量制御値を導出し、光量制御値として導出された導出値を、制限範囲値に基づく範囲に制限して出力値とし、この出力値を光量制御値として用いてバックライトの光量を調整し、制限範囲値を連続する画像の明るさの差に基づいて変更するため、柔軟に制限範囲を設定することができる。結果、バックライトにより照明される画面のちらつきを防止することができるとともに、制限前の光量制御値へ早期に終息させることができる。
【0018】
また、特に請求項2の発明によれば、表示制御装置は、連続する画像の明るさの差が大きいほど、制限範囲を大きくするため、画面のちらつきを防止できるとともに、制限前の理想の光量制御値へ、より早期に終息させることができる。
【0019】
また、特に請求項3の発明によれば、表示制御装置は、連続する画像の明るさの差が所定値以上の場合に、制限範囲を基準範囲より大きくするため、画面のちらつきを防止できるとともに、制限前の理想の光量制御値へ、より早期に終息させることができる。
【0020】
また、特に請求項4の発明によれば、表示制御装置は、制限された出力値が導出値に達するまで、制限範囲を基準範囲より大きくし、制限された出力値に達した後は、制限範囲を基準範囲にするため、制限前の理想の光量制御値へ、より早期に終息させることができるとともに、画面のちらつきを防止することができる。
【0021】
また、特に請求項5の発明によれば、表示制御装置は、繰り返し入力される画像が比較的明るい画像から比較的暗い画像へと遷移する場合は、ハレーションが発生する可能性が低いため、制限範囲を変更する変更手段を無効化することにより、画面のちらつきを防止を効率よくすることができる。
【0022】
また、特に請求項6の発明によれば、表示制御装置は、導出され制限された光量の基準光量からの低下の程度に応じて画像を構成する画素データを増幅するため、画面に映る画像の明るさを適切にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図1は、車載装置のシステム構成図である。
【図2】図2は、車載装置のシステム構成図である。
【図3】図3は、表示部を示す図である。
【図4】図4は、画像を示す図である。
【図5】図5は、車載装置が実行する制御の内容を示すフローチャート図である。
【図6】図6は、画像における画素を示す図である。
【図7】図7は、画素データのヒストグラムを示す図である。
【図8】図8は、車載装置が実行する制御の内容を示すフローチャート図である。
【図9】図9は、車載装置が実行する制御の内容を示すフローチャート図である。
【図10】図10は、制限範囲値のデータを示す図である。
【図11】図11は、バックライト制御デューティのデータを示す図である。
【図12】図12は、入力画像の遷移を示す図である。
【図13】図13は、入力画像の遷移を示す図である。
【図14】図14は、入力画像の遷移を示す図である。
【図15】図15は、制限範囲値の変化を示す図である。
【図16】図16は、入力画像の遷移を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下で説明する表示制御技術は、表示部を搭載した種々の表示装置に適用されるものであるが、便宜上、種々の表示装置のうちの1つである車載装置について具体的に説明することとする。以降、車載装置を、添付図面を参照しながら、車載装置に搭載される表示部の構造、車載装置の構成、及び、車載装置の制御に分けて説明する。
【0025】
<代表の実施の形態>
<車載装置に搭載の表示部の構成>
車両に搭載される表示装置である車載装置が備える表示部の構成を、図1に基づいて説明する。表示部7は、カラーフィルタ1、液晶層2、TFT(Thin Film Transistor)3、バックライト5、及び、タッチパネル4などにより構成される。
【0026】
カラーフィルタ1は、3原色(RGB)が画素ごとに印刷されたフィルムである。
【0027】
液晶層2は、外部電圧などが加わると分子配列が変わる、所謂、液晶シャッターである。
【0028】
TFT3は、マトリクス状に配置された電極により構成される薄膜トランジスタである。TFT3は、TFT制御部が電極へ流す電気を制御することによって、マトリクス状の狙いのセルへ電圧を発生させて、当該セルに対応する液晶層2における液晶の分子配列を変える、つまり、バックライトの光をカラーフィルタ1側へ透過させて狙いの色を液晶画面に表示させる機能を担っている。
【0029】
バックライト5は、光源となる複数のLED(Light Emitting Diode)5を直列に並べて有している。つまり、バックライト5は、カラーフィルタ1、液晶層2及びTFT3によって構成された表示部の液晶画面を照明する機能を担っている。
【0030】
バックライト5のタイプは、簡易構造のエッジライトタイプであり、薄い構造の表示部が要求される、つまり、小型化が要求される車載装置には最適な構造であるといえる。このような、エッジライトタイプのバックライトには、複数の光源であるLED5が矩形を成す表示部の底辺(下底)近傍に直列に備わるため、光が表示部7において、その一辺と対向する底辺(上底)に向かうほど弱くなってしまうのを防ぐ、つまり、表示部7においてバックライトの光が均一になるようにする偏光板が備わっている。
【0031】
また、バックライト5は、構成するLED5を発光させる又は発光させないという単純発光だけではなく、LED5を制御する制御電流のデューティ比を異ならせることによって、LED5の光量を変更させることができる。
【0032】
タッチパネル4は、抵抗を有する金属薄膜からなる透明電極によって構成されるパネルである。タッチパネル4は、この電極をマトリクス状に配列しており、ユーザによってタッチされた液晶画面の位置に応じた電極付近に電圧が発生するようになっている。このため、車載装置は、電圧が発生した位置をユーザが操作した位置であると判断することができる。
【0033】
このような、カラーフィルタ1、液晶層2、TFT3、バックライト5、及び、タッチパネル4などを積層させた表示部7のうち、TFT3やバックライト5を、車載装置のTFT制御部やバックライト調整部が制御することによって、図3に示すように、表示部7の液晶画面にカーナビゲーション画像やTV画像などの画像を表示させることができる。
【0034】
<車載装置の構成>
次に、車載装置の構成を図1に基づいて説明する。車載装置27は、表示部7、揮発性記憶部11、表示制御部16、入力切替部17、制御部18、放送受信部19、カメラ入力部20、ディスク読取部21、及び、カーナビゲーション部22などを、データ通信可能なバスや信号線へ電気的に接続して構成している。
【0035】
制御部18は、CPUや制御プログラムなどが記憶されているROMなどにより構成されたマイコンである。例えば、制御部18は、タッチパネル4からのユーザ操作を受け付けて、ユーザ操作に応じた画像を表示制御部16へ出力させるために、放送受信部19、カメラ入力部20、ディスク読取部21、又は、カーナビゲーション部22の何れかから出力される画像を表示部7へ表示されるように入力切替部17を切り替える。
【0036】
入力切替部17は、制御部から切り替え指示を受けて、指示に応じた画像が表示制御部16へ出力されるように、放送受信部19、カメラ入力部20、ディスク読取部21、又は、カーナビゲーション部22から表示制御部16へ出力される画像のルートを切り替えるハード回路である。
【0037】
表示制御部16は、論理回路により構成されるASIC(Application Specific Integrated Circuit)である。例えば、図2に示すように、表示制御部16が備える画像調整部8、TFT制御部9、サンプリング部10、ヒストグラム生成部12、解析部13、光量制御値導出部14、及び、バックライト調整部15が、それぞれ画像調整機能、TFT制御機能、サンプリング機能、ヒストグラム生成機能、解析機能、光量導出機能、及び、バックライト調整機能を発揮する。それら機能の詳細については後述する。
【0038】
光量制御値導出部14は、ASICである表示制御部16の一部の回路である。例えば、光量制御値算出部30、光量制御値制限部31、及び、制限範囲変更部32が、それぞれ光量制御値算出機能、光量制御値制限機能、及び、制限範囲変更機能を発揮する。それら機能の詳細については後述する。
【0039】
揮発性記憶部11は、例えば、SRAM(Static Random Access Memory)である。揮発性記憶部11は、表示制御部16においてそれぞれの機能を発揮させる際に、導出された制御値などの結果を一時的に記憶させる、つまり、ワーキングエリアとしての機能を発揮する。
【0040】
なお、車載装置27は、ASICである表示制御部16へ入力される画像の明るさに基づいて光量を規定する光量制御値を導出する。つまり、画像を構成する複数の画素データを解析して光量制御値を導出するが、通常解析するためには、ASICに搭載されるメモリである揮発性記憶部11へ全ての画素データを記憶させなければならない。このため、その画素数に相応する容量のメモリをASICに搭載する必要があり、入力画像の画素数が多いほどASICのサイズが大きくなってしまう問題があった。そこで、車両28へ搭載する際にサイズが限定されるとともに種々の機能を詰め込んでいる車載装置27において、ASICである表示制御部16のサイズが大きくならないよう後述する技術を採用している。
【0041】
また、画素データとは、入力画像を構成する複数画素のそれぞれが有する、レッド(R)値、グリーン(G)値、ブルー(B)値を意味し、これらの値に基づいて導き出される値も意味する。
【0042】
放送受信部19は、空中に発せられているデジタルTV放送の電波を直接受信するTV放送アンテナ23によってその電波を受信し、受信した電波に基づいて図3に示すようなTV画像Gを抽出する機能を担う。また、放送受信部19は、抽出したTV画像Gを信号線を介して、表示制御部16へ送信する。
【0043】
カメラ入力部20は、車両28において撮像方向を車両外側へ向けて備えられた、つまり、車両外部の映像が撮像可能に備えられた車載カメラ24から信号線を介して受信した画像を、一定の画像に調整するAGC(Automatic Gain Control)などの機能を担う。また、カメラ入力部20は、調整した車両外部の画像を信号線を介して、表示制御部16へ送信する。
【0044】
ディスク読取部21は、ユーザによりセットされたDVD25に記録されているDVD画像を読み取る機能を担う。また、ディスク読取部21は、読み取ったDVD25に記録されていたDVD画像を信号線を介して、表示制御部16へ送信する。
【0045】
カーナビゲーション部22は、GPSアンテナ26により受信したGPS信号などに基づいて、算出した自車位置データに応じた地図画像を、搭載する記憶装置から読み出し、自車位置マークなどのデータと組み合わせて、カーナビゲーション画像を生成する機能を担う。また、カーナビゲーション部22は、カーナビゲーション画像を表示制御部16へ送信する。
【0046】
また、放送受信部19、カメラ入力部20、ディスク読取部21、及び、カーナビゲーション部22のそれぞれは、各部において生成される画像を、表示部7へ表示される画像サイズ(例えば、縦幅480画素、横幅800画素)へ変換してから、表示制御部16へ送信する。
【0047】
<車載装置の制御>
車載装置27の制御部18は、表示部7のタッチパネル4を介して、車外画像モード設定のユーザ操作を受け付けると、入力切替部17を切替制御して、カメラ入力部20が調整した車外画像を、表示制御部16へ出力させる。
【0048】
また、制御部18は、表示部7のタッチパネル4を介して、DVD再生モード設定のユーザ操作を受け付けると、入力切替部17を切替制御して、ディスク読取部21がDVD25から読み出したDVD画像を、表示制御部16へ出力させる。
【0049】
また、制御部18は、表示部7のタッチパネル4を介して、カーナビゲーションモード設定のユーザ操作を受け付けると、入力切替部17を切替制御して、カーナビゲーション部22が生成した、自車位置マーク、所定の機能の実行を受け付ける選択マーク、及び、地図画像などを含むカーナビゲーション画像を、表示制御部16へ出力させる。
【0050】
以降、ユーザがタッチパネル4により選択した、TV画像、車載カメラ画像、DVD画像、又は、カーナビゲーション画像の何れかの画像が入力切替部17を介して、表示制御部16へ出力させた後の、表示制御部16において実行させる処理を図5に基づいて詳細に説明する。なお、図5に示す制御処理は、表示制御部16へ規定の周期により画像が入力されるごとに実行され図5に示すステップS1へ移行し、車載装置27への電源がユーザによって切れられた場合に終了する。
【0051】
(サンプリング処理)
ステップS1において表示制御部16が備えるサンプリング部10は、入力された画像から所定のデータを所定数サンプリングする。
【0052】
具体的には、入力画像を、図6に示すような、所定の範囲である領域、例えば、縦幅(Y軸)6画素、横幅(X軸)7画素で構成される領域により区分し、区分された領域中の一部の画素データを抽出する。例えば、複数の領域それぞれを構成する複数画素のデータのうち所定条件を満足するデータであり、具体的には、その領域を構成する複数画素データのうち最も高い画素データを比較処理によりサンプリング(抽出)する。
【0053】
サンプリング部10は、この比較処理を領域ごとに、領域に含まれる全ての画素に対して所定の順に実行する。
【0054】
サンプリング部10が比較処理を実行する所定の順とは、領域ごとに比較するものであり、例えば、区分された入力画像における複数の領域のうち、入力画像を正面視した際の左上の領域から同じ行を成す右隣の領域へと順に比較処理を実行し、その行において最も右に位置する領域について比較処理の実行を終了すると、次の行において最も左に位置する領域から同じ行を成す右隣の領域へと順に比較処理を実行し、というように入力画像を正面視した際の右下の領域において比較処理の実行を終了するまで繰り返す。
【0055】
サンプリング部10が、領域において実行する比較は、例えば、6個の画素から成る行を7行で構成する領域において、1行目の比較を実行して最も高い画素データをメモリである揮発性記憶部11に記憶させ、次に2行目の比較を実行して最も高い画素データを揮発性記憶部11に記憶させ、2行目の最も高い画素データと1行目の最も高い画素データを比較して、より高いほうの画素データを揮発性記憶部11に記憶させる。次に3行目の比較を実行して最も高い画素データを揮発性記憶部11に記憶させるとともに、それまでの最も高い画素データと3行目の最も高い画素データを比較して、より高いほうの画素データを揮発性記憶部11に記憶させる、というように最終の行まで同様の比較を繰り返し、領域において最も高い画素データを揮発性記憶部11へ記憶させる。
【0056】
また、領域を構成する複数画素それぞれは、レッド(R)値、グリーン(G)値、ブルー(B)値を有しており、このような構成において、他の画素データと比較する画素データとは、3つのデータを合計した画素データではなく、3つの画素データのうち最も高い画素データである。
【0057】
なお、サンプリング部10は、それら最大画素データを、縦幅(Y軸)64ドット、横幅(X軸)128ドットからなるサイズの揮発性記憶部11へ記憶させる。つまり、11へ記憶されるデータは、入力画像データよりも小さいデータとなるとともに、後述するヒストグラム生成部12がヒストグラムを生成するために必要最低限度のデータとなる。次に、ステップS2へ移行する。
【0058】
(ヒストグラム生成処理)
ステップS2において、表示制御部16が備えるヒストグラム生成部12は、サンプリングされた複数の画素データから、即ち、サンプリングされた全ての画素データから、光量制御値導出部14が光量制御値を導出するためのヒストグラムを生成する。
【0059】
具体的には、ヒストグラム生成部12は、図7に示すような、サンプリングされた複数の画素データのヒストグラムHを生成する。ヒストグラムとは、画像を構成する複数画素の画素データの分布を示したグラフを示すデータである。次に、ステップS3へ移行する。
【0060】
(解析処理)
ステップS3において、表示制御部16が備える解析部13は、生成されたヒストグラムHを解析して、所定位置に分布する画素データを抽出する。この処理を図8に基づいて具体的に説明する。
【0061】
ステップS31において、解析部13は、ヒストグラム生成部12により生成されたヒストグラムHにおいて、最も高い画素データ(255)の画素から最も低い画素データ(0)の画素へと、画素数を計数(カウント)した場合に、計数値が所定値(例えば、200)を超えたときの画素データ(例えば、220)を抽出する。換言すると、生成されたヒストグラムHにおいて、所定番目に高い画素データを抽出する。以降、この所定番目に高い画素データをヒストグラムポジションHPと言う。このヒストグラムポジションHPの画素データの値は、入力画像の明るさを代表的に示すことになる。
【0062】
ここで、表示制御部16が、バックライト5を制御する光量制御値を、画像を構成する複数の画素データに基づくヒストグラムHによって導出する理由を説明する。
【0063】
表示制御部16は、後述するように、抽出した画素データに基づく光量制御値(バックライトにより消費される電力を低減させる為に、基準となる光量制御値、例えば、100%よりも下げた光量制御値)をバックライト5の光量制御値として導出し、導出した光量制御値でバックライト5を制御するとともに、基準の光量制御値よりも下がった光量制御値でバックライトを制御したために暗くなってしまう画像の明るさをフォローするように、画像を構成する画素のデータを一律に増幅させて液晶画面へ映す画像の明るさを全体として適切にする。
【0064】
つまり、この技術を適用するにあたり、表示制御部16において、その所定値という値は、画像を構成する画素のデータを光量制御値に応じて一律に増幅させる際に飽和が発生しにくいような値を設定している。
【0065】
もし、表示制御部16が光量制御値を導出する基準をヒストグラムではなく、画像を構成する複数画素のデータの平均(データ平均)により実行したとすると、データ平均が比較的低い場合に少数の高い画素データが、前述した画像を構成する画素のデータを一律に増幅させる際に飽和してしまう虞がある。
【0066】
従って、表示制御部16が、前述したようなヒストグラムに基づくバックライトの光量制御値の導出と画像を構成する画素のデータを一律に増幅させる処理を実行することによって、画像の一部が飽和することなく画像の視認性を向上させている。次に、ステップS32へ移行する。
【0067】
ステップS32において、解析部13は、解析した結果値、即ち、ヒストグラムポジションHPである画素データ220を揮発性記憶部11へ記憶する。この解析結果値は、表示制御部16へ入力された画像に対して解析したものであるため今回解析結果値とする。次に、ステップS33へ移行する。
【0068】
ステップS33において、解析部13は、過去に即ち前回に、表示制御部16へ入力された画像に対して解析した結果値、即ち、表示制御部16が、図5及び図8に示す制御フローを前回のターンで実行した際に解析した結果値であって、そのときにステップS32において揮発性記憶部11へ記憶した前回解析結果値をそこから読み出す。
【0069】
なお、前回解析結果値は、表示制御部16が初期設定でデフォルト値(例えば、150)に設定している。次に、ステップS34へ移行する。
【0070】
ステップS34において、解析部13は、今回解析して導出した結果値と揮発性記憶部11から読み出した前回解析結果値との差(すなわち、連続する入力画像の明るさの差)を導出し、その差が所定値(例えば、60)以上か否かを判断する。その差が所定値以上であると判断する場合は、ステップS35へ移行する(ステップS34においてYESの場合)。その差が所定値以上であると判断しない場合は、ステップS36へ移行する(ステップS34においてNOの場合)。
【0071】
ステップS35において、解析部13は、揮発性記憶部11に設定されたフラグをオンにする。次に、リターンへ移行し、図5のフローチャートに戻って、ステップS4へ移行する。
【0072】
ステップS36において、解析部13は、揮発性記憶部11に設定されたフラグをオフにする。次に、リターンへ移行し、図5のフローチャートに戻って、ステップS4へ移行する。
【0073】
なお、このフラグは、表示制御部16が初期設定でオフにしている。
【0074】
(光量制御値導出処理)
ステップS4において、表示制御部16が備える光量制御値導出部14は、ヒストグラムHを解析した後に抽出した画素データ(すなわち、入力画像の明るさ)に基づいた光量制御値を導出値として導出する。この処理を図9に基づいて具体的に説明する。
【0075】
ステップS41において、光量制御値導出部14の光量制御値算出部30は、従来では、画素データにかかわらず固定の光量制御値、即ち、バックライト5を制御する光量制御値である制御電流のデューティ比を固定値(例えば、100%)にしていたが、バックライト5が消費する電力を低減させるために、所定の処理を実行してそのデューティ比を算出する。
【0076】
つまり、所定の処理とは、光量制御値算出部30が、前述するヒストグラムHにおいて、前述するカウント数が所定値(例えば、200番目)、即ち、ヒストグラムHを超えたときの画素データを抽出し、抽出した画素データが画素データレンジ(例えば、0から255までの256)において占める割合を算出することによってそのデューティ比を算出する。また、その処理において、画素データレンジの最大値(例えば、256)に対する割合(例えば、100%)を基準の光量制御値と考えることができる。
【0077】
従って、光量制御値算出部30は、カウント数が所定値を超えたときの画素データに1を加算したものを画素データレンジ256で除算し、除算した結果に100を積算することで、基準の光量制御値に対する割合が算出され、その割合をそのデューティ比としている。前述の例では、220/256=86%がバックライト5を制御する光量制御値である制御電流のデューティ比となる。
【0078】
つまり、以降において、表示制御部16は、繰り返し入力される画像を映す画面のちらつき防止のために、この光量制御値を制限するが、このような制限がなされる前の光量制御値算出部30によって導出されたままの光量制御値が、画面へ映すその画像に対する理想の光量制御値であると言える。
【0079】
具体的には、光量制御値算出部30は、画素データと関連付けた光量制御値が記憶されている図示しない不揮発性記憶部から、解析した後に抽出された画素データを検索キーにして、それに関連付けられた光量制御値を検索して抽出する。光量制御値算出部30は、この光量制御値をバックライト調整部15がバックライト5を制御する際の光量制御値を算出する。次に、ステップS42へ移行する。
【0080】
ステップS42において、光量制御値制限部31は、揮発性記憶部11において設定されているフラグがオンか否かを判断する。フラグがオフであると判断する場合(入力画像の明るさの差が所定値未満の場合)は、ステップS43へ移行する(ステップS42においてYESの場合)。フラグがオンであると判断する場合(入力画像の明るさの差が所定値以上の場合)は、ステップS45へ移行する(ステップS42においてNOの場合)。そして、光量制御値制限部31は、光量制御値算出部30によって導出された光量制御値を制限する制限処理を実行する。
【0081】
入力画像の明るさの差が所定値未満の場合は、ステップS43において、光量制御値制限部31は、図示しない不揮発性記憶部から、基準範囲値である一定の制限範囲値を読み出す。次に、ステップS44へ以降する。
【0082】
ステップS44において、光量制御値制限部31は、ステップS41において導出した光量制御値へその制限範囲値を光量制御値へ適用して出力値を制限する。
【0083】
具体的には、光量制御値制限部31は、前回にバックライト5の制御に用いた光量制御値を基準制御値とし、この基準制御値に対する今回導出された光量制御値の変化量を求める。
【0084】
そして、この変化量が制限範囲値を超える場合は、制限範囲値を限界に光量制御値の変化を制限する。すなわち、基準制御値に対して制限範囲値を加算した値を上限、制限範囲値を減算した値を下限とする制限範囲内におさまるように、光量制御値を制限することになる。逆に、光量制御値制限部31は、基準制御値に対する今回導出された光量制御値の変化量が制限範囲値を超えない場合は、光量制御値は制限範囲内におさまるため、光量制御量は導出されたままの値となる。次に、ステップS47へ移行する。
【0085】
一方、入力画像の明るさの差が所定値以上の場合は、制限範囲値が基準範囲値よりも大きくされる。具体的には、ステップS45において、制限範囲変更部32は、図示しない不揮発性記憶部から、解析部13が導出した、今回解析結果値と前回解析結果値との差(連続する入力画像の明るさの差)を検索キーにして、それに関連付けられた制限範囲値を検索して抽出する。その関連付けは、図10に示すようにその差が大きくなるほど制限範囲値が大きくなるように規定されており、かつ、差が小さい側では制限範囲値が大きくなる程度は小さく、差が大きい側では制限範囲値が大きくなる程度が大きくなるように関連付けられている。制限範囲値を大きくすることは、光量制御値を制限するための制限範囲を大きくすることに相当する。
【0086】
このような関連付けにより、表示制御部16は、繰り返し入力される画像に基づいてバックライトを制御する光量制御値に対する制限範囲を、今回解析結果と前回解析結果との差が大きくなるほど、大きくすることができる。
【0087】
ステップS46において、光量制御値制限部31は、ステップS41において導出した光量制御値へその制限範囲値を適用し、光量制御値を制限する。
【0088】
具体的には、光量制御値制限部31は、基準制御値に対する今回導出された光量制御値の変化量が制限範囲値を超える場合は、制限範囲値を限界に光量制御値の変化を制限する。すなわち、基準制御値に対して制限範囲値を加算した値を上限、制限範囲値を減算した値を下限とする制限範囲内におさまるように、光量制御値を制限する。
【0089】
逆に、光量制御値導出部14は、基準制御値に対する今回導出された光量制御値の変化量が制限範囲値を超えない場合は、光量制御値は制限範囲内におさまるため、光量制御量は導出されたままの値となる。次に、ステップS47へ移行する。
【0090】
ステップS47において、光量制御値制限部31は、制限処理がなされた光量制御値を、次回のバックライト5の制御に用いる光量制御値として揮発性記憶部11へ記憶する。
【0091】
ここで、光量制御値制限部31が、制限処理がなされた光量制御値を次回のバックライト制御用の光量制御値として揮発性記憶部11へ記憶する理由を説明する。
【0092】
表示制御部16にいては、それ自体が大型化しないようにするために、できるだけメモリを搭載しないように工夫がされている。
【0093】
表示制御部16においては、入力された画像を画面へ出力するタイミングと、入力画像を解析して導出した光量制御値になるようにバックライトを制御するタイミングと、を整合させる必要があるため、一時的にバッファメモリへ記憶させ、バッファメモリにおいて対応関係にある入力画像とその光量制御値とが揃ったタイミングにおいて、それら制御を同時に実行する技術が考えられるが、この場合はそのバッファメモリを搭載させる分、表示制御部16が大型化してしまうという問題がある。
【0094】
そこで、その問題を回避するために、繰り返して入力される画像間においては、シーンチェンジがない限り、さほど画像の解析結果が相違しない傾向にあることを考慮して、次回入力される画像を画面へ表示するときに、今回入力された画像の解析結果に基づいて導出した光量制御値でバックライトを制御する技術を採用する。
【0095】
つまり、光量制御値制限部31が、制限処理がなされた光量制御値を次回のバックライト制御用の光量制御値として揮発性記憶部11へ記憶している理由は、表示制御部16において、次回入力される画像を画面へ表示するときに、今回入力された画像の解析結果に基づいて導出した光量制御値でバックライトを制御するからである。
【0096】
次に、リターンへ移行し、図5のフローチャートに戻って、ステップS5へ移行する。
【0097】
ステップS5において、表示制御部16が備える光量制御値導出部14に導出された光量制御値(制限処理がなされた光量制御値)を画像調整部8へ送信する。次にステップS6及びステップS7へ移行する。
【0098】
ステップS6において、表示制御部16のバックライト調整部15は、光量制御値導出部14に導出された光量制御値(制限処理がなされた出力値、即ち、光量制御値)に基づいてバックライト5を構成するLED6をデューティ制御する。
【0099】
具体的には、バックライト調整部15は、LED6が制御する電流のデューティ比を大きくすれば、見かけ上明るくなり、デューティ比を小さくすれば、見かけ上暗くなるため、導出された光量制御値であるデューティ比でLED6を制御する電流を流す。
【0100】
ステップS7において、表示制御部16が備える画像調整部8は、導出された光量制御値に基づいて画素データ係数を不揮発性記憶部から読み出して、読み出した画素データ係数を入力画像を構成する画素データへ乗算する。
【0101】
具体的には、画像調整部8は、導出された光量制御値に応じた画素データ係数を不揮発性記憶部から、光量制御値を検索キーにして、それに関連付けられた画素データ係数を検索して抽出し、入力画像の画素データへ画素データ係数を乗算する。その関連付けは、図11に示すように、バックライト5を構成するLED6を制御するデューティが大きくなるほど画素データを補正する係数が小さくなるように関連付けられている。次に、ステップS8へ移行する。
【0102】
ステップS8において、表示制御部16が備えるTFT制御部9は、画素データ係数が乗算された画像が表示部7へ表示されるよう、TFT3を制御する。
【0103】
つまり、不揮発性記憶部において、画素データと光量制御値との関連付ける設定は、TFT制御部9において、画像を表示部7へ表示させる際の画像の目標とする明るさを、画素データによる明るさと、光量制御値で制御したバックライトによる明るさと、のトータルで実現するため、バックライト5の電力が低減されるように、バックライトの光量制御値を基準となる光量制御値よりも下げたことにより暗くなる画像の明るさを、画素データによる明るさにより増幅してフォロー可能な範囲で設定されている。次に、リターンへ移行する。
【0104】
次に、光量制御値導出部14が、上述した光量制御値の制限処理を実行しない場合の問題点を、図12に示す比較例を参照しながら説明する。また、光量制御値導出部14が、光量制御値の制限処理において、制限範囲値を一定とする場合の問題点を図13に基づいて説明する。さらに、今回解析結果値と前回解析結果値との差(入力画像の明るさの差)に基づいて制限範囲値を変更する場合の効果を図14及び図16に基づいて説明する。
【0105】
<<比較例1(制限処理の非実行の場合)>>
まず、光量制御値導出部14が、光量制御値の制限処理を実行しない場合の比較例の問題点を、図12に基づいて説明する。
【0106】
図12は、表示制御部16へ複数の画像、例えば、画像1Gから画像5Gが順に入力された場合に、それら画像それぞれに基づいてヒストグラム生成部12が生成したヒストグラムHを解析部13が解析して導出したヒストグラムポジションHP(入力画像の明るさ)、それらヒストグラムポジションHPに基づいて導出した光量制御値であるバックライト5を制御する制御デューティ、及び、画像データの補正係数の変化を表している。
【0107】
図12の例では、画像1GのヒストグラムポジションHPが「20」、画像2GのヒストグラムポジションHPが「80」、画像3GのヒストグラムポジションHPが「15」、画像4GのヒストグラムポジションHPが「40」、画像5GのヒストグラムポジションHPが「30」へと変化している。このように入力される複数の画像それぞれの明るさにバラつきがある場合は、それらヒストグラムポジションHPに応じて、表示制御部16において導出されるバックライト制御デューティ、及び、画像データ補正係数もバラついてしまう。
【0108】
結果、表示制御部16が、それら制御値に基づいて、画面へ複数の画像を短時間に繰り返して映すと、その画面をみる看者に対してチラつきを感じさせてしまうという問題が発生する。
【0109】
そこで、本実施の形態における、表示制御部16においては、それら制御値の変動を一定に制限することによって、看者に対してチラつきを感じさせないようにしている。
【0110】
<<比較例2(制限範囲値を一定とする場合)>>
次に、光量制御値導出部14が、光量制御値の制限処理において制限範囲値を一定とする場合の比較例の問題点を、図13に基づいて説明する。
【0111】
図13は、表示制御部16へ複数の画像、例えば、画像1Gから画像5Gが順に入力された場合に、それら画像に基づくヒストグラムポジションHP(入力画像の明るさ)、バックライト5を制御する制御デューティ(光量調整に用いる光量制御値)、制限範囲値及び画像データの補正係数の変化を表している。
【0112】
図13の例では、画像1GのヒストグラムポジションHPが「20」、画像2GのヒストグラムポジションHPが「240」、画像3GのヒストグラムポジションHPが「230」、画像4GのヒストグラムポジションHPが「230」、画像5GのヒストグラムポジションHPが「230」へと変化している。この場合に、表示制御部16において、ヒストグラムポジションHPの変化に応じて、そのヒストグラムポジションHPに基づいて導出した理想のバックライト制御デューティでバックライト5を制御するのではく、一定の制限範囲値(例えば、「5」)をバックライト制御デューティ(光量制御値)の変動の限界値とする。
【0113】
つまり、表示制御部16は、ヒストグラムポジションHPの変化に応じて、バックライト制御デューティを直ぐに追従させないで、制限範囲値である「5」以内の値でバックライト制御デューティを変化させる。このようなバックライト制御デューティの変化を繰り返すことで、やがて、理想のバックライト制御デューティでバックライト5を制御する。
【0114】
結果、表示制御部16が、入力される複数の画像におけるヒストグラムポジションHPが短時間において変動したとしても、バックライト制御デューティの変動が一定の制限範囲に制限される。このため、画面の明るさに変動が少なく、その画面をみる看者に対してチラつきを感じさせることを防ぐことができる。
【0115】
しかしながら一方で、図13に示すように、表示制御部16において、入力画像G1から入力画像G2へと遷移した場合に、ヒストグラムポジションHPが20から240へと急激に変動している。即ち、表示制御部16において、短時間にシーンチェンジがなどの現象が発生した場合に、即ち、繰り返して入力される画像が、比較的暗い画像から極端に明るい画像へと遷移した場合に、バックライト制御デューティの変動を一定の制限範囲に制限してしまうと、ヒストグラムポジションHPに基づいて導出した理想のバックライト制御デューティでバックライト5を制御可能にするまで時間がかかってしまう。
【0116】
そこで、本実施の形態の表示制御部16においては、制限範囲値を一定とはせず可変にすることによって、看者に対してチラつきを感じさせないようにしつつ、理想のバックライト制御デューティへ早期に終息できるようにしている。この技術を以降において、具体的に説明する。
【0117】
<<制限範囲値を変化させる場合>>
次に、本実施の形態のように、光量制御値導出部14の制限範囲変更部32が、光量制御値の制限処理において制限範囲値を変化させる場合の効果を、図14に基づいて説明する。なお、前述した図9に示制御すフローにおいては、ステップS45以降の処理が、図12で示す処理の一部に相当する。
【0118】
図14は図13と同様に、表示制御部16へ複数の画像、例えば、画像1Gから画像5Gが順に入力された場合に、それら画像に基づくヒストグラムポジションHP(入力画像の明るさ)、バックライト5を制御する制御デューティ(光量調整に用いる光量制御値)、制限範囲値及び画像データの補正係数の変化を表している。更に、制限範囲値の変化についても表している。
【0119】
図14の例では、画像1GのヒストグラムポジションHPが「20」、画像2GのヒストグラムポジションHPが「25」、画像3GのヒストグラムポジションHPが「200」、画像4GのヒストグラムポジションHPが「200」、画像5GのヒストグラムポジションHPが「200」へと変化している。また、入力された画像2G及び画像3GそれぞれのヒストグラムポジションHPの差(連続する入力画像の明るさの差)が所定値(前例では60)以上である。この場合、繰り返して入力される画像が、比較的暗い画像から比較的明るい画像へと急に変化するシーンチェンジが発生していることになる。このため、画像2Gが理想とするバックライト制御デューティと、画像3Gが理想とするバックライト制御デューティとは大きな差が発生する。
【0120】
つまり、表示制御部16において、比較的暗い画像1G及び画像2Gが入力されているときは、それら画像に対する理想のバックライト制御デューティは小さかったが、比較的暗い画像2Gが入力された後に比較的明るい画像3G、4G、及び、5Gが入力されたため、それら画像に対する理想のバックライト制御デューティは大きくなってしまっている。
【0121】
このような状況において、上述した比較例2のように、表示制御部16が、バックライト制御デューティの変動を一定の制限範囲にのみ制限してしまうと、小さいバックライト制御デューティから大きいバックライト制御デューティへと到達するのに時間がかかってしまう。
【0122】
そこで、表示制御部16は、今回の画像の明るさと前回の画像の明るさの差が所定値以上の場合に、制限範囲値をその差に基づいて可変させる。即ち、表示制御部16は、今回の画像に基づくヒストグラムポジションHPと前回の画像に基づくヒストグラムポジションHPとの差が所定値以上の場合に、図示しない不揮発性記憶部に記憶された、図10に示すような制限範囲値と差との関係から成るマップから、差を検索キーにして制限範囲値を抽出する。
【0123】
なお、マップは、前述した通り、図10に示すようにその差が大きくなるほど制限範囲値が大きくなるように規定されており、かつ、差が小さい側では制限範囲値が大きくなる程度は小さく、差が大きい側では制限範囲値が大きくなる程度が大きくなるように関連付けられている。このように制限範囲値を大きくすることで、光量制御値の制限範囲は、基準範囲値(例えば「5」)に基づく基準範囲よりも大きくなる。
【0124】
表示制御部16は、ヒストグラムポジションHPに基づいて導出された光量制御値を、抽出した制限範囲値に基づく制限範囲に制限する。
【0125】
このような処理により、表示制御部16において、繰り返して入力される画像が、比較的暗い画像から比較的明るい画像へと遷移した場合で、かつ、シーンチェンジが発生した場合においては、制限範囲値を大きくする。
【0126】
より具体的に説明すると、図15に示すように、表示制御部16において、繰り返して入力される画像が、比較的暗い画像から比較的明るい画像へと遷移した場合に、シーンチェンジが発生する前は、導出値が比較的小さい制限範囲値Aによって適用された出力値にもとづいてバックライト5を制御する。他方で、そのシーンチェンジが発生した後は、導出値が比較的大きい制限範囲値Bによって適用された出力値に基づいてバックライト5を制御する。このため、表示制御部16は、制限される前の理想の光量制御値へ早期に終息させることができる。
【0127】
なお、この場合の導出値とは、前述した通り、表示制御部16へ、繰り返し入力される画像の明るさに基づいて導出したバックライト5の光量を規定する光量制御値である。また、この場合の出力値とは、前述した通り、その導出値を制限範囲値に基づく範囲に制限した光量制御値である。
(画像の明るさに基づいて導出したバックライトの光量を規定する光量制御値)、
また、表示制御部16においてその他の技術を採用することによっても、表示制御部16の大型化を回避している。例えば、入力画像の画素数が多ければ多いほど、メモリの容量は多くなりこれに伴ってASICの規模も大きくなってしまうが、入力画像を複数の領域に区分するとともに複数の領域のそれぞれから最大画素データを抽出し、抽出した画素データに基づいてヒストグラムを生成させることによって、ASICである表示制御部16に搭載のメモリ容量を小さくさせることができる。つまり小さいサイズのメモリを搭載することによって、ASICである表示制御部16の大型化を防ぎ、高精細の液晶画面を照明するバックライトの光量を適切に導出することができ、搭載エリアが限定された小型の車両28へ搭載することができる。
【0128】
<変形例>
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、この発明は上記実施の形態に限定されるものではなく様々な変形が可能である。以下では上記実施の形態の変形例について説明する。もちろん、以下で説明する変形例を適宜組み合わせても良い。
【0129】
<変形例1>
上記代表の実施の形態においては「表示制御部16は、今回の画像の明るさと前回の画像の明るさの差が所定値以上の場合に、制限範囲値をその差に基づいて可変させる」と説明したが、繰り返して入力される画像が比較的明るい画像から比較的暗い画像へと遷移した場合においては、制限範囲変更部32の機能を無効化して、制限範囲値を一定にするようにしても良い。その詳細を図16に基づいて説明する。
【0130】
図16は図14と同様に、表示制御部16へ複数の画像、例えば、画像1Gから画像5Gが順に入力された場合に、それら画像に基づくヒストグラムポジションHP(入力画像の明るさ)、光量制御値であるバックライト5をする制御デューティ(光量調整に用いる光量制御値)、制限範囲値、及び、画像データの補正係数の変化を表している。
【0131】
図16の例では、画像1GのヒストグラムポジションHPが「200」、画像2GのヒストグラムポジションHPが「200」、画像3GのヒストグラムポジションHPが「25」、画像4GのヒストグラムポジションHPが「20」、画像5GのヒストグラムポジションHPが「20」へと変化している。また、入力された画像2G及び画像3GそれぞれのヒストグラムポジションHPの差が所定値(前例では60)以上である。この場合、繰り返して入力される画像が、比較的明るい画像から比較的暗い画像へと急に変化するシーンチェンジが発生していることになる。このため、画像2Gが理想とするバックライト制御デューティと、画像3Gが理想とするバックライト制御デューティとは大きな差が発生する。
【0132】
つまり、表示制御部16において、比較的暗い画像1G及び比較的画像2Gが入力されているときは、それら画像に対する理想のバックライト制御デューティは大きくなかったが、比較的暗い画像2Gが入力された後に比較的明るい画像3G、4G、及び、5Gが入力されたため、それら画像に対する理想のバックライト制御デューティは小さくなってしまっている。
【0133】
このような状況においては、代表の実施の形態のように、連続する入力画像の明るさの差に応じて制限範囲値を大きくすることが考えられる。
【0134】
しかしながら、繰り返して入力される画像が比較的暗い画像から比較的明るい画像へと遷移する場合とは異なり、入力される画像が比較的明るい画像から比較的暗い画像へと遷移する場合は、比較的暗い画像を画面に映したときに、比較的明るい画像に応じた比較的大きいデューティでバックライトを制御しても、その画面を看る看者に対しては視認性を大きく低下させることは無い。
【0135】
そこで、表示制御部16は、今回の画像の明るさと前回の画像の明るさの差が所定値以上の場合で、入力される画像が比較的明るい画像から比較的暗い画像へと遷移する場合は、制限範囲値をその差に応じて可変させる制限範囲変更部32の機能を無効にして、制限範囲値を一定にする。
【0136】
これにより、入力される画像が比較的明るい画像から比較的暗い画像へと遷移した場合で、かつ、シーンチェンジが発生した場合においても、比較的簡便な処理により、視認性を悪化させること無く、バックライトにより照明される画面のちらつきを防止することができる。
【0137】
<変形例2>
上記代表の実施の形態におけるステップS41において「ヒストグラムHに基づいて算出したヒストグラムポジションHPに基づいて理想の光量制御値を算出する」旨を説明し、更に、ステップS45及びステップS46において「可変の制限範囲値に基づいて光量制御値を制限する」旨を説明した。これに対して、表示制御部16は、制限された光量制御値でバックライト5を制御して行き、やがて、制限された光量制御値が、制限される前の光量制御値、即ち、理想の光量制限値に達した後は、制限範囲値を基準範囲である一定の制限範囲値に戻すようにしても良い。
【0138】
具体的には、表示制御部16は、制限された光量制御値が、理想の光量制御値と一致した場合、又は、略一致した場合に、前記フラグをオフにする。
【0139】
これにより、制限前の理想の光量制御値へ、より早期に終息させることができるとともに、画面のちらつきを防止することができる。
【0140】
<変形例3>
また、光量制御値を制限する制限処理を実行するごとに、制限範囲値を大きくするようにしてもよい。例えば、画像が繰り返し入力されるたびに、図5、図8、及び、図9に示す制御を実行する際に、ステップS45及びステップS46において適用される制限範囲値の基準範囲値からの変更幅を大きくすることになる。表示制御部16は、このように制限範囲値を徐々に大きくする制御を、制限された光量制御値が、制限される前の光量制御値、即ち、理想の光量制限値に達するまで実行することができる。
【0141】
これにより、画面のちらつきを防止できるとともに、制限前の理想の光量制御値へ、より早期に終息させることができる。
【0142】
<変形例4>
また、このように制限範囲値を大きくする速度を変化させることができる。例えば、
繰り返し入力される画像が比較的暗い画像から比較的明るい画像へと遷移する場合は、制限範囲を大きくする速度を速くし、繰り返し入力される画像が比較的明るい画像から比較的暗い画像へと遷移する場合は、制限範囲を大きくする速度を遅くすることができる。
【0143】
繰り返し入力される画像が暗い画像から明るい画像へと遷移する場合は、ハレーションが発生する可能性が高いため、その制限範囲を大きくする速度を速くすることにより、制限された光量制御値が制限前の理想の光量制御値へ早期に終息させることができる。また、繰り返し入力される画像が明るい画像から暗い画像へと遷移する場合は、ハレーションが発生する可能性が低いため、制限範囲を大きくする速度を遅くするため、画面のちらつきを防止させることができる。
【0144】
<変形例5>
上記代表の実施の形態における、バックライトはLEDであると説明したが、液晶画面を照明するとともに光量を調整制御できる光源であれば良く、例えば、蛍光灯などであっても良い。
【0145】
<変形例6>
上記代表の実施の形態においては、入力画像の明るさとして、解析部13による解析結果であるヒストグラムポジションHPを利用していたが、例えば、画像を構成する複数の画素データの平均値などの他の値を用いてもよい。また、画素データの値としては、画素ごとに充てられたレッド(R)値、グリーン(G)値、ブルー(B)値、輝度値、又は、色差値などを利用できる。
【0146】
<変形例7>
上記代表の実施の形態においては、バックライト5を導出した光量制御値に基づいて一律に制御すると説明したが、バックライト5を構成する複数のLED6を個別に制御するものであっても良い。
【0147】
その場合は、表示制御部16は、生成したヒストグラムHを解析するのではなく、複数のLED5それぞれが照明する画面の縦方向と対応する、画面へ映す画像の縦方向の平均輝度を導出し、それぞれの平均輝度に基づいてそれぞれのLED6を制御する。
【0148】
<変形例8>
上記代表の実施の形態においては、「制限範囲値を超える場合は、基準制御値に対して制限範囲値を加算した値を上限、制限範囲値を減算した値を下限とする制限範囲内におさまるように、光量制御値を制限する」としたが、基準制御値は、光量制御値、即ち、導出値でってもよく、光量制御値、即ち、出力値であっても良い。
【符号の説明】
【0149】
10 サンプリング部
11 揮発性記憶部
12 ヒストグラム生成部
13 解析部
14 光量制御値導出部
15 バックライト調整部
16 表示制御部
30 光量制御値算出部
31 光量制御値制限部
32 制限範囲変更部
8 画像調整部
H ヒストグラム
HP ヒストグラムポジション
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を表示する画面を照明するバックライトを制御する表示制御装置であって、
繰り返し入力される前記画像の明るさに基づいて、前記バックライトの光量を規定する光量制御値を導出する導出手段と、
前記導出手段によって前記光量制御値として導出された導出値を、制限範囲値に基づく範囲に制限して出力値とする制限手段と、
前記出力値を前記光量制御値として用いて、前記バックライトの光量を調整する調整手段と、
前記制限範囲値を、連続する前記画像の明るさの差に基づいて変更する変更手段と、
を備えることを特徴とする表示制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の表示制御装置において、
前記変更手段は、連続する前記画像の明るさの差が大きいほど、前記制限範囲値を大きくすることを特徴とする表示制御装置。
【請求項3】
請求項1に記載の表示制御装置において、
前記変更手段は、連続する前記画像の明るさの差が所定値以上の場合に、前記制限範囲値を基準値より大きくすることを特徴とする表示制御装置。
【請求項4】
請求項2又は請求項3に記載の表示制御装置において、
前記変更手段は、
前記出力値が前記導出値に達するまで、前記制限範囲を基準値より大きくし、
前記出力値が前記導出値に達した後は、前記制限範囲を前記基準値にすることを特徴とする表示制御装置。
【請求項5】
請求項1に記載の表示制御装置において、
前記繰り返し入力される画像が比較的明るい画像から比較的暗い画像へと遷移する場合は、前記変更手段を無効化する無効化手段、
をさらに備えることを特徴とする表示制御装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5の何れかに記載の表示制御装置において、
前記調整手段が用いる前記光量制御値の基準光量からの低下の程度に応じて、前記画面へ表示する画像を構成する画素データを増幅する画像増幅手段と、
増幅された前記画素データから構成される前記画像を、前記画面へ表示させる表示制御手段と、
をさらに備えたことを特徴とする表示制御装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6の何れかに記載の表示制御装置と、前記バックライトと、前記画面とを備えることを特徴とする表示制御装置。
【請求項8】
画像を表示する画面を照明するバックライトを制御する表示制御方法であって、(a)繰り返し入力される前記画像の明るさに基づいて、前記バックライトの光量を規定する光量制御値を導出する工程と、(b)前記光量制御値を用いて、前記バックライトの光量を調整する工程と、(c)前記(a)工程で導出され前記(b)工程で用いる前の前記光量制御値を、過去に前記(b)工程で用いた前記光量制御値を基準とした制限範囲に制限する工程と、(d)前記制限範囲を、連続する前記画像の明るさの差に基づいて変更する工程と、を備えることを特徴とする表示制御方法。
【請求項1】
画像を表示する画面を照明するバックライトを制御する表示制御装置であって、
繰り返し入力される前記画像の明るさに基づいて、前記バックライトの光量を規定する光量制御値を導出する導出手段と、
前記導出手段によって前記光量制御値として導出された導出値を、制限範囲値に基づく範囲に制限して出力値とする制限手段と、
前記出力値を前記光量制御値として用いて、前記バックライトの光量を調整する調整手段と、
前記制限範囲値を、連続する前記画像の明るさの差に基づいて変更する変更手段と、
を備えることを特徴とする表示制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の表示制御装置において、
前記変更手段は、連続する前記画像の明るさの差が大きいほど、前記制限範囲値を大きくすることを特徴とする表示制御装置。
【請求項3】
請求項1に記載の表示制御装置において、
前記変更手段は、連続する前記画像の明るさの差が所定値以上の場合に、前記制限範囲値を基準値より大きくすることを特徴とする表示制御装置。
【請求項4】
請求項2又は請求項3に記載の表示制御装置において、
前記変更手段は、
前記出力値が前記導出値に達するまで、前記制限範囲を基準値より大きくし、
前記出力値が前記導出値に達した後は、前記制限範囲を前記基準値にすることを特徴とする表示制御装置。
【請求項5】
請求項1に記載の表示制御装置において、
前記繰り返し入力される画像が比較的明るい画像から比較的暗い画像へと遷移する場合は、前記変更手段を無効化する無効化手段、
をさらに備えることを特徴とする表示制御装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5の何れかに記載の表示制御装置において、
前記調整手段が用いる前記光量制御値の基準光量からの低下の程度に応じて、前記画面へ表示する画像を構成する画素データを増幅する画像増幅手段と、
増幅された前記画素データから構成される前記画像を、前記画面へ表示させる表示制御手段と、
をさらに備えたことを特徴とする表示制御装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6の何れかに記載の表示制御装置と、前記バックライトと、前記画面とを備えることを特徴とする表示制御装置。
【請求項8】
画像を表示する画面を照明するバックライトを制御する表示制御方法であって、(a)繰り返し入力される前記画像の明るさに基づいて、前記バックライトの光量を規定する光量制御値を導出する工程と、(b)前記光量制御値を用いて、前記バックライトの光量を調整する工程と、(c)前記(a)工程で導出され前記(b)工程で用いる前の前記光量制御値を、過去に前記(b)工程で用いた前記光量制御値を基準とした制限範囲に制限する工程と、(d)前記制限範囲を、連続する前記画像の明るさの差に基づいて変更する工程と、を備えることを特徴とする表示制御方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2012−13858(P2012−13858A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−149075(P2010−149075)
【出願日】平成22年6月30日(2010.6.30)
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月30日(2010.6.30)
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】
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