説明

表示媒体、それを用いた表示素子及び表示方法

【課題】コントラストに優れた白黒表示に加え、発色性に優れたカラー表示を可能にする表示媒体、それを用いた表示素子及び表示方法を提供すること。
【解決手段】白色又は黒色を選択的に表示する表示層と、該表示層上に設けられた、分散状態で発色性を呈する移動性微粒子を含む調光層と、を有することを特徴とする表示媒体、前記表示層と前記調光層と表示層用の一対の電極と微粒子移動手段とを有する表示素子、及び前記表示媒体を用いた表示方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調光ガラス、調光素子、表示素子などの光学素子として広く利用可能な移動性微粒子を用いた表示媒体、それを用いた表示素子及び表示方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
高度情報化社会の進展にともない電子ペーパーシステム、カラー表示システム、大面積表示システムへのニーズが増大している。これらを実現する技術としてCRT、液晶、EL、LED、プラズマなどの表示技術が開発されてきた。また、これらの自発光システムのほかに、低消費電力で人間の目に違和感の少ない反射型表示システムの開発が検討されている。反射型表示システムとしては、反射型液晶技術などが有力なものとなっている。
【0003】
一方、次世代電子ペーパー表示システムに対するニーズは大きいが、それを実現する有望な技術が確立されていないのが現状である。候補方式としては、電気泳動方式、液晶方式、有機EL方式等が知られている。
液晶方式はフィルター方式のため、媒体の厚さと重さを薄く軽くすることが困難であり、また、有機EL方式は、自己発光性のため、メモリー性がなく用途の幅が制限されるという問題があった。
【0004】
一方、電気泳動方式を用いた表示素子は、以下のような技術が開示されている。
例えば、一対の電極間に分散媒及び電気泳動粒子を封入したマイクロカプセルを配送する方法が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。また、磁性流体を内包したマイクロカプセルを使用した磁気泳動方式が報告されている(例えば、特許文献2参照。)。
更に、単一のマイクロカプセル中に複数の着色粒子を混合状態で配設し、この粒子を選択的に駆動する方法が開示されている(例えば、特許文献3参照。)。
しかしながら、いずれの方法もマイクロカプセルを使用するため、微細なドット表示やフルカラー表示が困難であった。また、特許文献1では、同時表示できる色数としては2色であり多色表示(カラー表示)は困難であった。また、特許文献3は、粒子を選択的に駆動することは原理的に困難であった。
【0005】
また、所定間隙を開けた状態に配置された一対の基板の面に沿って分割された複数の区画にほぼ等しい量ずつ帯電泳動粒子を配置し、分散媒を青色、帯電泳動粒子を黒色とする構成が記載され、表示品質を向上できることが報告されている(例えば、特許文献4参照。)。
しかしながら、この構成においては,フルカラー化が困難であり、また、積層にしようとすると各層の粒子と組合せた減法混色法による色再現ができないため、並列にせざるを得ず、装置が複雑となる問題を有していた。
【0006】
更に、複数の色を表現するセル又はマイクロカプセルを並列的に配設してカラー表示を行う方法が開示されているが(例えば、特許文献5参照。)、十分なコントラストが得られないという問題を有していた。
加えて、光透過性を有する粒子/媒体を含む電気泳動部を縦方向に2層以上積層する方法が開示されている(例えば、特許文献6参照。)が、粒子を着色するためには染料を用いており、十分な着色濃度を得られない。
【0007】
一方、電気泳動した微粒子を収容する複数の収容部を設ける方法が開示されているが(例えば、特許文献7参照。)、カラー表示をする場合、色の異なる粒子を並列的に配設しなければならないため、色再現性がなく、高コントラストが得られない。
【0008】
また、重畳する位置に配置される2つの表示電極と、2つのコレクト電極と2種類の透光性の着色粒子とを含むセルを積層配置、又は並列配置する方法が開示されているが(例えば、特許文献8参照。)、染料によって着色された比較的大きい粒子を使用しているため、充分な着色濃度が得られず、また、着色剤の安定性が問題であった。
【0009】
以上のとおり、電気泳動方式においては、発色性に優れたカラー表示についての課題が多く存在し、それを解決する技術が求められているのが実状であった。
【特許文献1】特開昭64−86116号公報
【特許文献2】特開平4−199085号公報
【特許文献3】米国特許第6017584号明細書
【特許文献4】特開2000−322004号公報
【特許文献5】特開2000−35598号公報
【特許文献6】特開2002−333643号公報
【特許文献7】特開2002−162649号公報
【特許文献8】特開2004−20818号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、コントラストに優れた白黒表示に加え、発色性に優れたカラー表示を可能にする表示媒体、それを用いた表示素子及び表示方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成すべく鋭意検討を行った結果、本発明らは、下記の本発明を見出した。
即ち、本発明は、
【0012】
<1> 白色又は黒色を選択的に表示する表示層と、該表示層上に設けられた、分散状態で発色性を呈する移動性微粒子を含む調光層と、を有することを特徴とする表示媒体である。
【0013】
<2> 前記調光層が複数の調光単位セルからなり、該複数の調光単位セルは前記表示層上に積層されていることを特徴とする<1>に記載の表示媒体である。
【0014】
<3> 前記調光層が複数の調光単位セルからなり、該複数の調光単位セルは前記表示層に対し並列に配置されていることを特徴とする<1>に記載の表示媒体である。
【0015】
<4> 前記複数の調光単位セルが、赤色を呈する調光単位セル、緑色を呈する調光単位セル、及び青色を呈する調光単位セルを含むことを特徴とする<2>に記載の表示媒体である。
【0016】
<5> 前記複数の調光単位セルが、赤色を呈する調光単位セル、緑色を呈する調光単位セル、及び青色を呈する調光単位セルを含むことを特徴とする<3>に記載の表示媒体である。
【0017】
<6> 前記移動性微粒子が高分子樹脂中に分散されていることを特徴とする<1>に記載の表示媒体である。
【0018】
<7> 前記移動性微粒子が電荷移動性微粒子であることを特徴とする<1>に記載の表示媒体である。
【0019】
<8> 前記電荷移動性微粒子がプラズモン発色機能を有する金属コロイド粒子であることを特徴とする<7>に記載の表示媒体である。
【0020】
<9> 前記金属コロイド粒子を構成する金属が金又は銀であることを特徴とする<8>に記載の表示媒体である。
【0021】
<10> 前記電荷移動性微粒子の体積平均粒径が1〜100nmであることを特徴とする<7>に記載の表示媒体である。
【0022】
<11> 前記電荷移動性微粒子の体積平均粒径が2〜50nmであることを特徴とする<10>に記載の表示媒体である。
【0023】
<12> 前記表示層が、一対の基板間の空隙に白色粒子及び黒色粒子を封入した構成を含むことを特徴とする<1>に記載の表示媒体である。
【0024】
<13> 前記表示層が、白色顔料を含有するエレクトロクロミック層を含むことを特徴とする<1>に記載の表示媒体である。
【0025】
<14> 前記エレクトロクロミック層が、金属イオン及び電解質を含有することを特徴とする<13>に記載の表示媒体である。
【0026】
<15> 前記金属イオンが銀イオンであることを特徴とする<14>に記載の表示媒体である。
【0027】
<16> 白色又は黒色を選択的に表示する表示層と、該表示層上に設けられた、分散状態で発色性を呈する移動性微粒子を含む調光層と、前記表示層に接続する一対の電極と、前記調光層に近接して設けられる微粒子移動手段と、有することを特徴とする表示素子である。
【0028】
<17> 前記微粒子移動手段が、前記調光層に接続する一対の電極であることを特徴とする<16>に記載の表示素子である。
【0029】
<18> 前記調光層に接続する一対の電極のうち少なくとも一方が、該調光層の外周端部の一部に設けられていることを特徴とする<17>に記載の表示素子である。
【0030】
<19> 前記調光層が複数の調光単位セルからなり、該複数の調光単位セルは前記表示層上に積層されていることを特徴とする<16>に記載の表示素子である。
【0031】
<20> 前記調光層が複数の調光単位セルからなり、該複数の調光単位セルは前記表示層に対し並列に配置されていることを特徴とする<16>に記載の表示素子である。
【0032】
<21> 前記複数の調光単位セルが、赤色を呈する調光単位セル、緑色を呈する調光単位セル、及び青色を呈する調光単位セルを含むことを特徴とする<19>に記載の表示素子である。
【0033】
<22> 前記複数の調光単位セルが、赤色を呈する調光単位セル、緑色を呈する調光単位セル、及び青色を呈する調光単位セルを含むことを特徴とする<20>に記載の表示素子である。
【0034】
<23> 前記移動性微粒子が高分子樹脂中に分散されていることを特徴とする<16>に記載の表示素子である。
【0035】
<24> 前記移動性微粒子が電荷移動性微粒子であることを特徴とする<16>に記載の表示素子である。
【0036】
<25> 前記電荷移動性微粒子がプラズモン発色機能を有する金属コロイド粒子であることを特徴とする<24>に記載の表示素子である。
【0037】
<26> 前記金属コロイド粒子を構成する金属が金又は銀であることを特徴とする<25>に記載の表示素子である。
【0038】
<27> 前記電荷移動性微粒子の体積平均粒径が1〜100nmであることを特徴とする<24>に記載の表示素子である。
【0039】
<28> 前記電荷移動性微粒子の体積平均粒径が2〜50nmであることを特徴とする<27>に記載の表示素子である。
【0040】
<29> 前記表示層が、一対の基板間の空隙に白色粒子及び黒色粒子を封入した構成を含むことを特徴とする<16>に記載の表示素子である。
【0041】
<30> 前記表示層が、白色顔料を含有するエレクトロクロミック層を含むことを特徴とする<16>に記載の表示素子である。
【0042】
<31> 前記エレクトロクロミック層が、金属イオン及び電解質を含有することを特徴とする<30>に記載の表示素子である。
【0043】
<32> 前記金属イオンが銀イオンであることを特徴とする<31>に記載の表示素子である。
【0044】
<33> 白色又は黒色を選択的に表示する表示層と、該表示層上に設けられた、分散状態で発色性を呈する移動性微粒子を含む調光層と、を有する表示媒体を用いた表示方法であって、
前記表示層が白色を表示し、かつ、前記調光層が移動性微粒子の非分散状態により白色を表示する工程と、
前記表示層が黒色を表示し、かつ、前記調光層が移動性微粒子の非分散状態により黒色を表示する工程と、
前記表示層が白色を表示し、かつ、前記調光層が移動性微粒子の分散状態により発色する工程と、
から少なくとも1以上の工程を選択することを特徴とする表示方法である。
【0045】
<34> 前記表示層が、一対の基板を有し、該一対の基板間の空隙に白色粒子及び黒色粒子を封入しており、該白色粒子のみを前記一対の基板の調光層側に移動させて白色を表示する、又は、該黒色粒子のみを前記一対の基板の調光層側に移動させて黒色を表示することを特徴とする<33>に記載の表示方法である。
【0046】
<35> 前記表示層が、白色顔料を含有するエレクトロクロミック層を有し、該エレクトロクロミック層を消色状態にして該白色顔料により白色を表示する、又は、該エレクトロクロミック層を着色状態にして黒色を表示することを特徴とする<33>に記載の表示方法である。
【0047】
<36> 前記着色状態が前記エレクトロクロミック層中の金属イオンが析出することによるものであることを特徴とする<35>に記載の表示方法である。
【0048】
<37> 前記金属イオンが銀イオンであることを特徴とする<36>に記載の表示方法である。
【発明の効果】
【0049】
本発明によれば、コントラストに優れた白黒表示に加え、発色性に優れたカラー表示を可能にする表示媒体、それを用いた表示素子及び表示方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0050】
以下、本発明について詳細に説明する。
<表示媒体、及びそれを用いた表示方法>
本発明の表示媒体は、白色又は黒色を選択的に表示する表示層と、該表示層上に設けられた、分散状態で発色性を呈する移動性微粒子を含む調光層と、を有することを特徴とする。
また、本発明の表示方法は、本発明の表示媒体を用いた表示方法であって、前記表示層が白色を表示し、かつ、前記調光層が移動性微粒子の非分散状態により白色を表示する工程と、前記表示層が黒色を表示し、かつ、前記調光層が移動性微粒子の非分散状態により黒色を表示する工程と、前記表示層が白色を表示し、かつ、前記調光層が移動性微粒子の分散状態により発色する工程と、から少なくとも1以上の工程を選択することを特徴とする。
なお、ここで、本発明の表示媒体は、観察者に対して、調光層が手前にあり、その奥に表示層がある状態で、白黒表示及びカラー表示を可能とする。
【0051】
次に、本発明の表示媒体、及びそれを用いた表示方法について、具体的に説明する。まず、表示層において白色を表示した状態とし、その表示層上の調光層が所望の色を発色させた場合には、調光層の発色した色が表示される。つまり、所望のカラー表示が可能となる。この表示では、観察者に対して奥側に存在する表示層の白色による光散乱効果により、手前にある調光層の発色性を向上させることができる。その結果、本発明の表示媒体では、発色性に優れたカラー表示が可能となる。
一方、本発明の表示媒体は、表示層において白色を表示した状態とし、調光層の移動性微粒子を非分散状態にすることにより、白色を表示することができる。また、表示層において黒色を表示した状態とし、調光層の移動性微粒子を非分散状態にすることにより、黒色を表示することができる。したがって、調光層にて白色表示を行うのではなく、表示層を用いて白色表示することから、白色表示時の白色度を向上させることができる。それに加え、調光層を用いず、表示層により白色表示及び黒色表示を行うことから、得られた画像の白黒コントラストを向上させることができる。
本発明の表示媒体を構成する表示層及び調光層の詳細、更に、本発明の表示媒体を用いた本発明の表示方法の詳細については、以下に示す本発明の表示素子を説明する際にまとめて説明する。
【0052】
<表示素子>
本発明の表示素子は、白色又は黒色を選択的に表示する表示層と、該表示層上に設けられた、分散状態で発色性を呈する移動性微粒子を含む調光層と、前記表示層に接続する一対の電極と、前記調光層に近接して設けられる微粒子移動手段と、有することを特徴とする。
本発明の表示素子は、上述の本発明の表示媒体を用いたものであることから、コントラストに優れた白黒表示、及び発色性に優れたカラー表示が可能である。
下記に、本発明の表示素子の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0053】
〔表示層〕
本発明における表示層は、少なくとも、観察者に視認される面、即ち、調光層に隣接する面(以下、適宜、「表示面」と称する。)が白色又は黒色を選択的に表示しうる層であれば、その構成は特に限定されるものではない。表示層として、具体的には、例えば、(1)一対の基板間の空隙に白色粒子及び黒色粒子を封入させ、その粒子のいずれか一方を表示面を形成する基板側に移動させることにより白色又は黒色の表示を行うもの、(2)白色部位と黒色部位とを有する粒子を層中に包含させ、その粒子を反転させることで表示面にて白色又は黒色の表示を行うもの、(3)白色微粒子及び黒色微粒子を保持したマイクロカプセルを層中に包含させ、その微粒子のいずれか一方を電気泳動法により表示面側に移動させることにより白色又は黒色の表示を行うもの、(4)エレクトロクロミック現象による消色状態及び着色状態を利用して白色及び黒色の表示を行うもの、等が挙げられる。
以下、これらの4態様について具体的に説明する。
【0054】
[(1)一対の基板間の空隙に白色粒子及び黒色粒子を封入させ、その粒子のいずれか一方を表示面を形成する基板側に移動させることにより白色又は黒色の表示を行うもの表示層]
(1)のような表示層は、一対の基板間の空隙に白色粒子及び黒色粒子を封入した構成を含むことが好ましい。より具体的には、対向配置された一対の基板間の空隙に、帯電特性が異なる白色粒子及び黒色粒子が移動可能な状態で封入された構成とすることが好ましい。このような構成の表示層には、一対の電極が接続されており、封入されている白色粒子及び黒色粒子が互いに異なる帯電特性を有することから、その一対の電極により印加された電界の強度や極性に応じて基板間を移動することができる。
なお、ここで「基板間を移動する」とは、一方の基板側に存在するどちらかの粒子が電界印加によって他方の基板側に移動することを意味している。
したがって、このような構成を有する表示層は、上記のように基板の一方が表示面となり、この表示面側(調光層側)に白色粒子を選択的に移動させること白色の表示を行い、また、表示面側(調光層側)に黒色粒子を選択的に移動させることで黒色の表示を行う。
【0055】
このような表示層を構成する白色粒子及び黒色粒子は、摩擦帯電によって帯電する絶縁性粒子を用いてもよいし、電極を介して電荷注入させることにより帯電させる導電性粒子を用いてもよい。
より具体的には、黒色粒子及び白色粒子としては、少なくとも、着色剤、帯電制御剤、及び樹脂を含み形成される導電性粒子を用いることが好ましい。
以下に、白色粒子及び黒色粒子を構成する各成分について説明する。
【0056】
(着色剤)
黒色粒子の場合、使用される着色剤としては、カーボンブラック、チタンブラック、磁性粉、その他、有機、無機系の黒色顔料が挙げられる。また、白色粒子の場合は、ルチル型酸化チタン、アナターゼ型酸化チタン、亜鉛華、鉛白、硫化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化ジルコニウム等の白色顔料が挙げられる。
【0057】
これらの着色剤の添加量は、着色剤の比重を1としたとき、粒子構成成分全質量に対して、1〜60質量%、好ましくは、5〜30質量%が好ましい。
【0058】
(帯電制御剤)
白色粒子及び黒色粒子には、帯電性を制御するために、帯電制御剤が添加される。
帯電制御剤としては、電子写真用トナー材料に使用される公知のものが使用でき、例えば、セチルピリジルクロライド、P−51、P−53(オリエント化学工業社製)等の第4級アンモニウム塩、サリチル酸系金属錯体、フェノール系縮合物、テトラフェニル系化合物、カリックスアレン化合物、また、酸化金属微粒子、又は、各種カップリング剤により、表面処理された酸化金属微粒子を挙げることができる。また、帯電制御剤としては、無色のもの、或いは、着色力の低いものが好ましい。添加量は、粒子構成成分全質量に対して、0.1〜10質量%の範囲内であることが好ましく、0.5〜5質量%の範囲内がより好ましい。
【0059】
(抵抗調整剤)
白色粒子及び黒色粒子には、必要に応じて、抵抗調整剤を添加してもよい。
この抵抗調整剤としては、抵抗値が1×10Ωcm以下の無機微粉末を用いることができ、例えば、酸化スズ、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、各種導電性酸化物でコートされた微粒子(例えば、酸化スズコートされた酸化チタン等)などを挙げることができる。また、抵抗調整剤は、無色のもの、或いは、着色力の低いものが好ましい。添加量は、白色粒子及び黒色粒子の色を妨げない範囲であることが好ましく、具体的には、粒子構成成分全質量に対して、0.1質量%〜10質量%の範囲内が好ましい。
【0060】
(樹脂)
白色粒子及び黒色粒子を構成する樹脂としては、ポリオレフィン、ポリスチレン、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、塩化ビニル、ポリビニルブチラール等のポリビニル系樹脂;塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体;スチレン−アクリル酸共重合体;スチレン−メタクリル酸共重合体等の共重合樹脂、オルガノシロキサン結合からなるストレートシリコン樹脂、及びその変性樹脂;ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデンのようなフッ素樹脂;ポリエステル、ポリウレタン、ポリカーボネート;アミノ樹脂;エポキシ樹脂等が挙げられる。
また、白色粒子及び黒色粒子を構成する樹脂として、従来の電子写真用トナーの主成分として知られている公知の結着樹脂も問題なく用いることができる。
これらは単独で使用してもよいし、複数の樹脂を混合して使用してもよい。また、これら樹脂を架橋させたものを用いてもよい。中でも、特に、架橋成分を含んだ樹脂を用いることが好ましい。
これらの樹脂の添加量は、粒子構成成分全質量に対して、1質量%〜90質量%の範囲内が好ましい。
【0061】
(白色粒子及び黒色粒子の製造方法)
本発明における白色粒子及び黒色粒子は、懸濁重合、乳化重合、分散重合などの湿式製法により製造されてもよいし、従来の粉砕分級法により製造されてもよい。湿式製法により得られた粒子は球状粒子となり、粉砕分級法により得られた粒子は不定形粒子となる。
また、これらの製法により得られた球状粒子や不定形粒子の形状を揃えるために、熱処理を施してもよい。
粒度分布を揃える方法としては、上述の湿式製法における造粒条件を調整したり、一旦得られた粒子を分級操作する方法が挙げられる。
湿式製法における造粒条件を調整する場合には、水相中に、表示粒子を構成する材料を分散させた油相を分散させた際の攪拌速度を調整したり、界面活性剤を利用する場合には、その濃度を調整する等により粒子の粒度分布を制御することができる。
【0062】
このようにして作製された白色粒子及び黒色粒子の粒子径としては、一概には言えないが、良好な画像を得るためには、体積平均粒子径が、0.1〜30μm程度の範囲内が好ましく、2〜20μmの範囲内がより好ましく、2〜15μmの範囲内が更に好ましい。
【0063】
また、白色粒子及び黒色粒子の表示粒子の形状としては、真球に近いものであることが望ましい。真球に近い粒子とすれば、粒子相互間の接触は、ほぼ点接触となり、また、粒子と基板表面との接触もほぼ点接触となり、粒子相互間及び粒子と基板表面とのファンデルワールス力に基つく付着力が小さくなる。従って、基板表面が誘導体であっても、電界により帯電した粒子が基板内を円滑に移動できると考えられる。
【0064】
(基板)
次に、表示層を構成する対向配置された一対の基板について説明する。
本発明における基板は、外部刺激として電界を用いて白色粒子及び黒色粒子の帯電状態を制御する場合には、導電性を有する板状体(導電性基板)が用いられる。また、表示面となる基板は、透明な導電性基板であることが必要となり、両方の基板が透明な導電性基板であってもよい。
【0065】
導電性基板としては、基板自体が導電性であっても、絶縁性の支持体表面を導電化処理したものであってもよく、また、結晶であるか非晶質であるかは問わない。基板自体が導電性である導電性基板としては、アルミニウム、ステンレススチール、ニッケル、クロム等の金属及びその合金結晶、Si、GaAs、GaP、GaN、SiC、ZnOなどの半導体を挙げることができる。
【0066】
絶縁性の支持体としては、高分子フィルム、ガラス、石英、セラミック等を挙げることができる。絶縁性の支持体の導電化処理は、上記基板自体が導電性である導電性基板の具体例で挙げた金属又は金、銀、銅等を、蒸着法、スパッター法、イオンプレーティング法などにより成膜して行うことができる。
【0067】
また、透明導電性基板としては、絶縁性の透明支持体の片面に透明電極が形成された導電性基板、又はそれ自体導電性を有する透明支持体が用いられる。それ自体導電性を有する透明支持体としては、ITO(Indium−Tin Oxide)、酸化亜鉛、酸化錫、酸化鉛、酸化インジウム、ヨウ化銅等の透明導電性材料を挙げることができる。
【0068】
絶縁性の透明支持体としては、ガラス、石英、サファイア、MgO、LiF、CaF等の透明な無機材料、また、弗素樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、エポキシ等の透明な有機樹脂のフィルム又は板状体、更には、オプチカルファイバー、セルフォック光学プレート等が使用できる。
【0069】
上記透明支持体の片面に設ける透明電極としては、ITO、酸化亜鉛、酸化錫、酸化鉛、酸化インジウム、ヨウ化銅等の透明導電性材料を用い、蒸着、イオンプレーティング、スパッタリング等の方法により形成したもの、或いはAl、Ni、Au等の金属を蒸着やスパッタリングにより半透明になる程度に薄く形成したものが用いられる。
【0070】
なお、基板同士が対向する側の表面(以下、「対向面」と略す場合がある)は、白色粒子及び黒色粒子の帯電極性に影響を及ぼす場合がある。このため、対向面には適切な表面状態の保護層を設けることも好ましい。
この保護層は、主に基板対向面への粒子の接着性及び帯電性や、基板の透明性、更には、対向面表面の汚染防止の観点から選択することができる。具体的な保護層の材料としては、例えば、ポリカーボネート樹脂、ビニルシリコーン樹脂、フッ素基含有樹脂等を挙げることができる。樹脂の選択は、使用する表示粒子の表面を構成する材料や、表示粒子との摩擦帯電の差が小さいものが選択される。
【0071】
(一対の電極)
(1)のような表示層には、白色粒子及び黒色粒子を移動させるための電界を発生させるための一対の電極が設けられる。
通常、この一対の電極は、対向配置された一対の基板の対向面に接して設けられる。この電極としては、上述の透明電極として用いられる透明導電性材料や金属を蒸着、イオンプレーティング、スパッタリング等の方法により形成される。
このようにして形成された一対の電極により発生する電界により、白色粒子及び黒色粒子のいずれかが表示面に選択的に移動し、白色表示又は黒色表示を可能とする。
【0072】
以上説明したような(1)のような表示層には、例えば、特開2001−312225号公報に記載の画像表示媒体における表示機構を適用することができる。
【0073】
[(2)白色部位と黒色部位とを有する粒子を層中に包含させ、その粒子を反転させることで表示面にて白色又は黒色の表示を行う表示層]
(2)のような表示層は、対向配置された一対の基板間の空隙に、キャビティを備える支持体を有し、該キャビティ内に、電界により反転する白色部位と黒色部位とを有する粒子(以下、「白黒反転粒子」と称する。)を配置した構成とすることが好ましい。キャビティには、絶縁性の液体が充填されており、この液体との接触により、白黒反転粒子は、異なる帯電特性を有する2つの領域が形成される。また、このような構成の表示層には、一対の電極が接続されており、キャビティ内の白黒反転粒子は、その一対の電極により印加された電界の極性に応じて反転することができる。
このような構成を有する表示層は、基板の一方が表示面となり、この表示面側に白黒反転粒子の白色部位を視認できるようにすることで白色の表示を行い、また、表示面側に白黒反転粒子の黒色部位が視認できるようにすることで黒色の表示を行う。
【0074】
このような表示層に用いられる白黒反転粒子について説明する。
白黒反転粒子としては、例えば、図1に記載の粒子が用いられる。ここで、図1は、白黒反転粒子の構造の例示的一態様を示す概略断面図であり、(a)は白色表示の状態を示し、(b)は黒色表示の状態を示す。
図1のように、白黒反転粒子は、透明球体101の半球面に、黒色材料を成膜してなる黒色層102を有し、該黒色層102上に白色材料を成膜してなる白色層103を有する構成である。この構成であることから、図1(a)のように、観察側に対して、成膜された白色層103を向けることで、白色表示を行うことができる。また、図1(b)のように、観察側に対して、黒色層102及び白色層103が成膜されていない半球面を向けることで、透明球体101を透して、黒色層102が視認されて、黒色表示を行うことができる。
このように、白黒反転粒子は、黒色層102及び白色層103が形成された領域と、層が形成されていない領域と、を有する。この2つの領域は、帯電特性が互いに異なり、その結果、外部から印加される電界の極性に応じて反転することができる。
【0075】
このような白黒反転粒子の作製方法としては、例えば、特開平11−85067号公報の段落番号〔0015〕〜〔0016〕に記載の方法が用いられる。
また、この白黒反転粒子を用いた表示層の駆動原理と、その構成については、例えば、特開平11−85067号公報の段落番号〔0018〕〜〔0023〕に記載の方法が適用される。
【0076】
また、(2)のような表示層に用いられる白黒反転粒子は、上記の構成の粒子のみではなく、一方の半球面が白色で、他方の半球面が黒色となっている粒子であってもよい。このように、一方の半球面が白色で、他方の半球面が黒色となっている粒子としては、“A Twisting Ball Display”,Proc.of the SID,第18巻3/4号、289−293頁,1977年、米国特許4126854号、同4143103号、同5389945号、特開昭64−42683号公報の8頁左上欄11行目〜同頁右下欄8行目、特開平11−85069号公報の段落番号〔0037〕〜〔0038〕に記載の粒子を用いることができる。
このような構成の白黒反転粒子の作製方法、また、該白黒反射粒子を用いた表示層の駆動原理と、その構成については、同文献に記載の方法が適用される。
【0077】
[(3)白色微粒子及び黒色微粒子を保持したマイクロカプセル中を層中に包含させ、その微粒子のいずれか一方を電気泳動法により表示面側に移動させることにより白色又は黒色の表示を行う表示層]
(3)のような表示層は、対向配置された一対の基板間の空隙に、互いに帯電特性が異なる白色微粒子及び黒色微粒子を保持したマイクロカプセルを狭持させた構成とすることが好ましい。このような構成の表示層には、一対の電極が接続されており、マイクロカプセル内に封入されている白色微粒子及び黒色微粒子が互いに異なる帯電特性を有することから、その一対の電極により印加された電界の強度や極性に応じて、マクロカプセル内を移動することができる。
したがって、このような構成を有する表示層は、基板の一方が表示面となり、この表示面側にマイクロカプセル内の白色微粒子を選択的に移動させることで白色の表示を行い、また、表示面側にマイクロカプセル内の黒色微粒子を選択的に移動させることで黒色の表示を行う。
【0078】
上記で説明したような表示層には、例えば、特開2005−70567号公報や特表2004−526210号広報に記載のマイクロカプセルの製造方法や表示機構を適用することができる。
【0079】
[(4)エレクトロクロミック現象による消色状態及び着色状態を利用して白色及び黒色の表示を行う表示層]
(4)のような表示層は、白色基板、及び、該白色基板と前記調光層との間に設けられたエレクトロクロミック層を含む構成、又は、白色顔料を含有するエレクトロクロミック層を含む構成であることが好ましい。ここで、本発明におけるエレクトロクロミック層とは、エレクトロクロミック現象による消色状態及び着色状態を形成しうる層を指す。
この表示層として、より具体的には、対向配置された一対の基板間に、エレクトロクロミック現象を可能とする電解質と金属イオンとからなる電解質層(エレクトロクロミック層)が狭持された構成とすることが好ましい。また、白色表示の点から、一対の基板のうち一方が白色基板である、又は、電解質層中に白色顔料を含有することが好ましい。
このような構成の表示層には、一対の基板の対向面には、それぞれ電極が設けられており、この一対の電極により印加された電圧により、電解質層中において電気化学的な酸化又は還元が生じる。その結果、電解質層中で金属イオンを還元することで金属が析出し、また、析出した金属が酸化することで金属がイオン化して溶解する。
したがって、このような構成を有する表示層は、基板の一方が表示面となり、この表示面側の電極付近に金属を析出させることで着色状態を形成し、黒色を表示する。また、析出された金属を溶解させることで消色状態を形成し、白色顔料又は白色基板を視認させることで白色を表示する。
【0080】
まず、このような表示層を構成する電解質層(エレクトロクロミック層)について説明する。電解質層中には、金属イオンが含有され、その金属イオンが着色状態を形成するのに用いられる。この着色状態を形成するために用いられる金属イオンは、特に限定されるものではないが、ビスマス、銅、銀、リチウム、鉄、クロム、ニッケル、カドミウムの各イオン又はそれらの組み合わせからなるイオンを例示することができ、可逆反応の容易性と、高い着色度の観点から、ビスマス、銀のイオンが特に好ましい。
【0081】
また、電解質層を構成する電解質として固体電解質を用いることが好ましい。この固体電解質は、マトリックスとしての高分子化合物に電解質を溶解させることで得られる。
マトリックスとしての高分子化合物としては、骨格ユニットが、それぞれ−(C−C−O)−、−(C−C−N)−、若しくは−(C−C−S)−で表されるポリエチレンオキサイド、ポリエチレンイミン、ポリエチレンスルフィド等や、ポリメチルメタクリレート、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデンクロライト、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリビニルブチラール等が好ましいものとして挙げられる。
【0082】
なお、これらの高分子化合物は架橋されていてもよい。架橋には、開始剤を用いることが好ましく、その方法としては光架橋であってもよいし、熱架橋であってもよい。また、開始剤とモノマーとを光又は熱を用いて重合することで、架橋されている高分子化合物を得ることもできる。
【0083】
また、固体電解質を構成する電解質としては、リチウム塩(例えば、LiCl、LiBr、LiI、LiBF、LiClO、LiPF、LiCFSOなど)、カリウム塩(例えば、KCl、KI、KBrなど)、ナトリウム塩(例えば、NaCl、NaI、NaBr)、テトラアルキルアンモニウム塩(例えば、ほうフッ化テトラエチルアンモニウム、過塩素酸テトラエチルアンモニウム、ほうフッ化テトラブチルアンモニウム、過塩素酸テトラブチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウムハライド)などを挙げることができる。なお、テトラアルキルアンモニウム塩のアルキル鎖長は不揃いでもよい。
【0084】
固体電解質層を形成する際には、前記高分子化合物に必要に応じた量の可塑剤を加えることが好ましい。ここで用いられる可塑剤としては、高分子化合物が親水性の場合には、水、エチルアルコール、イソプロピルアルコール及びこれらの混合物等が好ましく、また、高分子化合物が疎水性の場合にはプロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、エチレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、アセトニトリル、スルフォラン、ジメトキシエタン、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、ジメチルフォルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、n−メチルピロリドン、ニトロメタン、ピリジン、ジピリジル及びこれらの混合物が好ましい。
【0085】
上記のような固体電解質は、析出した金属の保持性の観点から、ゲル状態であることが好ましい。固体電解質をゲル化させる手段としては、高分子化合物をUVや熱により硬化させる方法、物理的に流動性を低下させる方法など、一般に用いられている手法のどれを用いてもよい。
【0086】
ここで、(4)の表示層では、エレクトロクロミック現象により消色状態を形成すると共に、電解質層に白色顔料を含有させる方法、又は、白色基板を用いることで白色を表示する。
白色を表示させるために、電解質層に含有される白色顔料としては、二酸化チタン、酸化亜鉛等を用いることができる。中でも、高い白色度の点から、二酸化チタンや酸化亜鉛が特に好ましく用いられ、この2つを混合して用いることも好ましい態様である。
なお、二酸化チタンの結晶型は、ルチル型でもアナターゼ型でもよい。
【0087】
本発明において、白色顔料として好適な二酸化チタンは、耐光性を得るために、無機物、特に、Si(シリカ),Zr(ジルコニア),Zn(亜鉛),Al(アルミナ)などにより表面処理を施されることが好ましい。なお、表面処理に用いる無機物は一種類でも良く、また複数種を用いても良い。
また、二酸化チタンは電解質層中の分散安定性の点から、上記の無機物による表面処理に加え、その上から有機物で表面処理を行ってもよい。また、二酸化チタンの分散安定化のために、電解質層中に分散剤を併用することもできる。
【0088】
また、所望の白色度を得るため、また、他の部材の隠蔽のために、二酸化チタンの平均粒径は、一次粒径にて、0.03μm〜0.5μmの範囲であることが好ましく、0.1μm〜0.5μmの範囲であれば更に好ましく、0.2μm〜0.4μmの範囲であることが最も好ましい。
なお、二酸化チタンは、平均粒径の異なる2種類以上のものを混合して使用してもよい。
【0089】
白色顔料は、十分な白色度を得るために、その種類や使用量を適宜決定すればよい。例えば、固体電解質との屈折率の差が0.45以上である白色顔料を用いることや、固体電解質の体積中10%以上含有させることで、十分な白色度を得ることができる。
白色顔料の使用量としては、一般的に、電解質層中に質量あたり10%〜70%含有させることが好ましく、質量あたり15%〜60%含有させることがより好ましく、質量あたり20%〜60%含有させることが最も好ましい。
【0090】
また、白色顔料を電解質層中に分散させる方法としては、ホモジナイザー、ビーズミル、ボールミルその他公知の方式を使うことができる。
【0091】
一方、(4)の表示層において、白色基板を用いることで白色を表示する場合には、電解質層を狭持する一対の基板のうち表示面を形成しない基板のみを白色基板とする。
白色基板としては、酸化チタン微粒子を混合して白色化されたPET基板等が挙げられる。
なお、白色基板と電解質層との間には電極が設けられるが、この電極は、白色を隠蔽しないように、白色の電極又は透明の電極であることが必要である。
また、白色基板として、白色の導電性基板を用いてもよい。
【0092】
一方、一対の基板が透明基板である場合、前記(1)の表示層を構成する対向配置された一対の基板と同様のものが用いられる。
また、透明基板に設けられる電極も、前記(1)の表示層を構成する対向配置された一対の電極と同様のものが用いられる。
【0093】
以上説明したような(4)のような表示層には、例えば、特開2003−302658号公報の段落番号[0046]〜[0074]に記載の電気化学的な酸化、還元を利用して材料を変色させることを原理とする電気化学表示素子及び電気化学表示装置、特開平11−101994号公報の段落番号〔0015〕〜〔0062〕に記載のエレクトロデポジション型画像表示装置、特開2002−287173号公報の段落番号〔0017〕〜〔0078〕に記載の電気化学的な酸化、還元によって変色する材料を表示材料とするエレクトロクロミック表示素子、特開2003−241227号公報の段落番号〔0019〕〜〔0126〕、特開2005−92183号公報の段落番号〔0019〕〜〔0039〕に記載の電気化学的な酸化還元反応による表示素子における表示機構を適用することができる。
【0094】
以上、表示層の4態様について説明したが、本発明における表示層はこれらの態様に限定されるものではない。
本発明における表示層の大きさは、製造される表示素子のサイズにあわせて決定されるものであり、1つの表示素子を1つの表示層にて形成してもよいし、1つの表示素子を複数の表示層により形成してもよい。
【0095】
〔調光層〕
本発明における調光層は、分散状態で発色性を呈する移動性微粒子(以下、適宜、「特定移動性微粒子」と称する。)を含むことを特徴とする。その他、必要に応じて、特定移動性微粒子以外の移動性微粒子、絶縁性液体、高分子樹脂、高分子量顔料分散剤等を併用することができる。
【0096】
前記「分散状態で発色性を呈する」とは、特定移動性微粒子が媒体に分散されている状態で目視により観測できる色相を呈することをいう。
前記色相は、特定移動性微粒子、特に、金属コロイド粒子の金属及びその形状や粒径(体積平均粒径)等を変化させることにより多彩とすることができる。
前記金コロイド等の金属コロイドによる発色は、電子のプラズマ振動に起因し、プラズモン吸収と呼ばれる発色機構によるものである。このプラズモン吸収による発色は、金属中の自由電子が光電場により揺さぶられ、粒子表面に電荷が現れ、非線形分極が生じるためであるとされている。この金属コロイドによる発色は、彩度や光線透過率が高く、耐久性等に優れている。このような金属コロイドによる発色は、粒径が数nm〜数十nm程度の、いわゆるナノ粒子において見られるものであり、着色材としては、粒径分布が狭いコロイドであることが有利である。
【0097】
(特定移動性微粒子)
本発明における特定移動性微粒子は、分散状態で発色性を呈し、かつ、外部から刺激を加えることで、移動性を有する微粒子であれば、特に限定されるものではない。このような特定移動性微粒子としては、電界(電圧)を印加することにより移動性を示す電荷移動性微粒子、磁気を印加することにより移動性を示す磁気移動性微粒子等が挙げられる。
本発明においては、分散性や移動性の観点から、電荷移動性微粒子や磁気移動性微粒子が好ましい。
なお、本発明における特定移動性微粒子は、一種のみを使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0098】
−特定移動性微粒子の一つである電荷移動性微粒子−
特定移動性微粒子の一つである電荷移動性微粒子としては、電気泳動法に用いられるものであれば、制限なく用いることができる。中でも、着色性、安定性の観点からプラズモン発色機能を有する金属コロイド粒子であることが好ましい。
以下、金属コロイド粒子を例に記載するがこれに限定されるものではない。
前記金属コロイド粒子を構成する金属としては、貴金属又は銅等(以下、合わせて「金属」という。)が挙げられ、前記貴金属としては特に限定されず、例えば、金、銀、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金等を挙げることができる。前記金属の中でも、金、銀、白金が好ましい。
【0099】
前記金属コロイド粒子は、金属イオンを還元して金属原子、金属クラスターを経てナノ粒子に調製する化学的方法や、バルク金属を不活性ガス中で蒸発させて微粒子となった金属をコールドトラップなどで捕捉したり、ポリマー薄膜上に真空蒸着させて金属薄膜を形成した後に加熱して金属薄膜を壊し、固相状態でポリマー中に金属微粒子を分散させる物理的方法が知られている。化学的方法は、特殊な装置を使わなくても良く、本発明の金属コロイド粒子調製に有利であるため、一般例を後述するが、これらに限定されるものではない。
前記金属コロイド粒子は、前記金属の化合物から形成される。該金属の化合物としては、前記金属を含むものであれば特に限定されず、例えば、塩化金酸、硝酸銀、酢酸銀、過塩素酸銀、塩化白金酸、塩化白金酸カリウム、塩化銅(II)、酢酸銅(II)、硫酸銅(II)等を挙げることができる。
【0100】
前記金属コロイド粒子は、前記金属の化合物を溶媒に溶解した後、金属に還元して分散剤で保護された金属コロイド粒子の分散液として得ることができるが、該分散液の溶媒を除去して固体ゾルの形態で得ることもできる。また、これら以外のいずれの形態であってもよい。
前記金属の化合物を溶解する際、後述の高分子量顔料分散剤を用いることも可能である。高分子顔料分散剤を用いることにより前記分散剤で保護された安定な金属コロイド粒子として得ることができる。
【0101】
本発明における金属コロイド粒子を用いる場合、前記で得られた金属コロイド粒子の分散液として用いても、また、前記の溶媒を除去した固体ゾルを溶媒に再分散させて使用することもでき、本発明においては特に限定されるものではない。
前記金属コロイド粒子の分散液として用いる場合、前記調製時の溶媒としては、後述の絶縁性液体であることが好ましい。また、前記固体ゾルを再分散して用いる場合、固体ゾル調製時の溶媒としては、いずれの溶媒を用いることができ、特に限定されるものではない。再分散する際の溶媒としては、後述の絶縁性液体であることが好ましい。
【0102】
前記電荷移動性微粒子の体積平均粒径としては、発色性の観点から、1〜100nmであることが好ましく、2〜50nmであることがより好ましく、5〜50nmであることが特に好ましい。
また、金属コロイド粒子は、その金属の種類や形状、体積平均粒径により、様々な色に発色させることができる。そのため、金属の種類や、形状、体積平均粒径を制御した前記電荷移動性微粒子を用いることにより、例えば、RGB発色、或いはYMC発色を含む様々な色相を得ることができる。これにより、本発明の表示媒体はフルカラー表示が可能となる。
【0103】
RGB方式のR、G、Bそれぞれの色を呈するための金属コロイド粒子の体積平均粒径としては、用いる金属や、粒子の調製条件、形状等に依存するため、特に限定することができないが、例えば、金コロイド粒子の場合、体積平均粒径は大きくなるに従って、R発色、G発色、B発色を呈する傾向にある。
【0104】
本発明における体積平均粒径の測定方法としては、粒子群にレーザ光を照射し、そこから発せられる回折、散乱光の強度分布パターンから平均粒径を測定する、レーザ回折散乱法を採用する。
【0105】
調光層中の全質量に対する特定移動性微粒子の一つである電荷移動性微粒子の含有量(質量%)としては、所望の色相が得られる濃度であれば特に限定されるものではなく、調光層の厚さにより含有量を調整することが有効である。即ち、所望の色相を得るために、調光層が厚い場合には含有量は少なく、調光層が薄い場合には含有量を多くすることができる。一般的には、0.01〜50質量%である。
【0106】
前記金属コロイド粒子の調製は、例えば、文献「金属ナノ粒子の合成・調製、コントロール技術と応用展開」(技術情報協会出版、2004年)に記載されている一般的な調製方法にて金属コロイド粒子を調製することができる。以下に、その一例を説明するが、これに限定されるものではない。
【0107】
−固体ゾル−
以下に、前記金属コロイド粒子の調製における金属の固体ゾルの一例について説明する。
本発明における金属の固体ゾルにおいて、着色性の観点から、上記金属のコロイド粒子は、後述の高分子量顔料分散剤1kgあたり、50mmol以上含有されることが好ましい。上記金属のコロイド粒子が50mmol未満であると、着色性が不充分となる。より好ましくは、100mmol以上である。
【0108】
本発明における金属の固体ゾルにおいて、金属のコロイド粒子は、体積平均粒径が1〜100nmであることが好ましい。1nm未満であると、着色力が低く、100nmを超えると、彩度が低くなる。また、本発明における金属の固体ゾルは、狭い粒度分布を示すものであることが好ましい。粒度分布が広いものであると、彩度が低くなるので好ましくない。
【0109】
本発明における金属の固体ゾルは、彩度が高く、金属のコロイド粒子を高い濃度で含有しているので、着色性が良好である。また、本発明における金属の固体ゾルは、樹脂等の高分子樹脂(バインダー)との相溶性が良好であり、このような高分子樹脂(バインダー)に添加しても安定で凝集せず、充分な着色性を有している。必要に応じてその他の添加物を添加することもできる。更に、適当な溶媒に溶解して、ヒドロゾルやオルガノゾルとした形態も用いることができる。
【0110】
−固体ゾルの製造方法−
前記金属の固体ゾルの製造方法の一例を以下に述べるがこれに限定されるものではない。即ち、金属の化合物を溶媒に溶解し、高分子量顔料分散剤を加えた後、金属に還元して上記高分子量顔料分散剤で保護された金属のコロイド粒子を形成し、その後、上記溶媒を除去することにより固体ゾルとするものである。
【0111】
前記製造方法において、上記金属の化合物は、溶媒に溶解して使用される。上記溶媒としては上記金属の化合物を溶解することができるものであれば特に限定されず、例えば、水、アセトン、メタノール、エチレングリコール等の水可溶性有機溶媒等を挙げることができる。これらは単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。本発明においては、水及び水可溶性有機溶媒を併用することが好ましい。
【0112】
上記溶媒が水及び水可溶性有機溶媒からなる混合溶媒である場合、まず、上記金属の化合物を水に溶解した後、水可溶性有機溶媒を添加して溶液とすることが好ましい。このとき、上記金属の化合物は、50mM以上となるように水に溶解されることが好ましい。50mM未満であると、金属のコロイド粒子を高い割合で含有した固体ゾルを得ることができない。より好ましくは、100mM以上である。
【0113】
金属として銀を使用する場合、上記水溶液は、pH7以下であることが好ましい。pHが7を超えると、例えば、上記銀の化合物として硝酸銀を用いる場合、銀イオンを還元する際に酸化銀等の副生成物が生成し、溶液が白濁するので好ましくない。上記水溶液のpHが7を超える場合には、例えば、0.1N程度の硝酸等を添加して、pHを7以下に調整することが好ましい。
【0114】
上記水可溶性有機溶媒は、上記金属の化合物を溶解する水に対して、体積比が1.0以上となるように添加することが好ましい。1.0未満であると、水不溶性の高分子量顔料分散剤が溶解しない。より好ましくは、5.0以上である。
【0115】
本発明における金属コロイド粒子の調製においては、上記金属の化合物の溶液に高分子量顔料分散剤を添加することも有効である。上記高分子量顔料分散剤は、上記溶媒が水及び水可溶性有機溶媒からなる混合溶媒である場合には、水不溶性のものであることが好ましい。水溶解性であると、水可溶性有機溶媒を除去して固体ゾルを得る際に、コロイド粒子を析出させるのが困難となる。上記水不溶性の高分子量顔料分散剤としては、例えば、ディスパービック161、ディスパービック166(ビックケミー社製)、ソルスパース24000、ソルスパース28000(ゼネカ社製)等を挙げることができる。
【0116】
上記高分子量顔料分散剤の添加量は、上記金属100質量部に対して20〜1000質量部が好ましい。20質量部未満であると、上記金属のコロイド粒子の分散性が不充分であり、1000質量部を超えると、塗料や樹脂成型物に配合した際に、バインダー樹脂に対する高分子量顔料分散剤の混入量が多くなり、物性等に不具合を生じやすくなる。より好ましくは、50〜650質量部である。
【0117】
本発明における金属コロイド粒子の調製においては、上記金属の化合物の溶液に上記高分子量顔料分散剤を添加した後、金属のイオンを還元する。上記還元の方法としては特に限定されず、例えば、化合物を添加して化学的に還元する方法、高圧水銀灯を用いた光照射により還元する方法等を挙げることができる。
【0118】
上記化合物としては特に限定されず、例えば、従来より還元剤として使用されている水素化ホウ素ナトリウム等のアルカリ金属水素化ホウ素塩;ヒドラジン化合物;クエン酸又はその塩、コハク酸又はその塩等を使用することができる。また、本発明においては、上記還元剤のほかに、アミンを使用することができる。
【0119】
上記アミンは、上記金属の化合物の溶液にアミンを添加して攪拌、混合することによって、金属イオン等が常温付近で金属に還元される。上記アミンを使用することにより、危険性や有害性の高い還元剤を使用する必要がなく、加熱や特別な光照射装置を使用することなしに、5〜100℃程度、好ましくは20〜80℃程度の反応温度で、金属の化合物を還元することができる。
【0120】
上記アミンとしては特に限定されず、例えば、プロピルアミン、ブチルアミン、ヘキシルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジメチルエチルアミン、ジエチルメチルアミン、トリエチルアミン、エチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,3−ジアミノプロパン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン等の脂肪族アミン;ピペリジン、N−メチルピペリジン、ピペラジン、N,N’−ジメチルピペラジン、ピロリジン、N−メチルピロリジン、モルホリン等の脂環式アミン;アニリン、N−メチルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、トルイジン、アニシジン、フェネチジン等の芳香族アミン;ベンジルアミン、N−メチルベンジルアミン、N,N−ジメチルベンジルアミン、フェネチルアミン、キシリレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルキシリレンジアミン等のアラルキルアミン等を挙げることができる。また、上記アミンとして、例えば、メチルアミノエタノール、ジメチルアミノエタノール、トリエタノールアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、プロパノールアミン、2−(3−アミノプロピルアミノ)エタノール、ブタノールアミン、ヘキサノールアミン、ジメチルアミノプロパノール等のアルカノールアミンも挙げることができる。これらのうち、アルカノールアミンが好ましい。
【0121】
上記アミンの添加量は、上記金属の化合物1molに対して1〜50molが好ましい。1mol未満であると、還元が充分に行われず、50molを超えると、生成したコロイド粒子の対凝集安定性が低下する。より好ましくは、2〜8molである。
【0122】
また、上記還元剤として上記水素化ホウ素ナトリウムを使用する場合、常温で還元することができるので、加熱や特別な光照射装置を使用する必要がない。
【0123】
上記水素化ホウ素ナトリウムの添加量は、上記金属の化合物1molに対して1〜50molが好ましい。1mol未満であると、還元が充分に行われず、50molを超えると、生成したコロイド粒子の対凝集安定性が低下する。より好ましくは、1.5〜10molである。
【0124】
上記還元剤としてクエン酸又はその塩を使用する場合、アルコールの存在下で加熱還流することによって金属イオン等を還元することができる。上記クエン酸又はその塩としては、クエン酸ナトリウムを使用することが好ましい。
【0125】
上記クエン酸又はその塩の添加量は、上記金属の化合物1molに対して1〜50molが好ましい。1mol未満であると、還元が充分に行われず、50molを超えると、生成したコロイド粒子の対凝集安定性が低下する。より好ましくは、1.5〜10molである。
【0126】
本発明における金属コロイド粒子の調製においては、上記金属のイオンを還元した後、上記高分子量顔料分散剤で保護された金属のコロイド粒子を沈殿させてから上記溶媒を除去する。上記溶媒として水及び水可溶性有機溶媒を使用する場合には、使用する高分子量顔料分散剤の性質に応じて以下の方法に従って上記溶媒を除去することができる。
【0127】
上記高分子量顔料分散剤が水不溶性のものである場合、まず、上記水可溶性有機溶媒を蒸発等により除去して、上記高分子量顔料分散剤で保護された金属のコロイド粒子を沈殿させた後、水を除去することが好ましい。上記高分子量顔料分散剤が水不溶性のものであるので、上記水可溶性有機溶媒を除去することにより、上記高分子量顔料分散剤により保護された金属のコロイド粒子が沈殿する。
【0128】
この場合において、上記水可溶性有機溶媒は、蒸発速度が水より大きいものであることが好ましい。蒸発速度が水より小さいものであると、上記高分子量顔料分散剤として水不溶性のものを使用した場合、溶媒を除去して固体ゾルとする際に、上記水可溶性有機溶媒を先に取り除くことができず、金属のコロイド粒子を沈殿させることができない。
【0129】
上記高分子量顔料分散剤が溶剤型のものである場合、該高分子量顔料分散剤を溶解しない非極性有機溶媒を過剰量添加して上記高分子量顔料分散剤で保護された金属のコロイド粒子を沈殿させた後、デカンテーション等により溶媒を除去することもできる。
【0130】
上記高分子量顔料分散剤で保護された金属のコロイド粒子は、上記溶媒を除去した後、上記高分子量顔料分散剤で保護された金属のコロイド粒子をイオン交換水で洗浄しても良い。上記高分子量顔料分散剤で保護された金属のコロイド粒子が過剰量の上記非極性溶媒により沈殿された場合は、上記非極性有機溶媒で洗浄することができる。
【0131】
本発明における金属の固体ゾルの製造方法において、得られる金属の固体ゾルは、コロイド平均粒径が1〜100nmであり、粒度分布が狭いので、濃色かつ彩度の高いものとなる。
【0132】
本発明における金属の固体ゾルの製造方法は、上記金属の化合物を溶媒に溶解して溶液とし、上記高分子量顔料分散剤を加えた後、金属に還元し、その後、溶媒を除去するといった少ない工程で簡便に行うことができ、しかも、彩度が高く、従来の金属の固体ゾルと比較して、金属のコロイド粒子を高い濃度で含有する金属の固体ゾルを製造することができる。特に、アルカノールアミンを使用することにより、20〜80℃程度の温和な条件で簡便に製造することができる。
【0133】
以上の方法によって金属コロイド粒子を調製することができるが、本発明における金属コロイド粒子は、分散状態で発色性を呈する粒子であれば、市販の金属コロイド粒子を用いることができる。
更に、前記金属コロイド粒子は、具体的には、下記の方法1)〜4)を用いることにより調製できるが、これに限定されるものではない。
【0134】
−金属コロイド粒子の分散液の調製方法−
本発明における前記金属コロイド粒子の分散液の調製方法としては、水系、非極性溶媒系のいずれの形態でも調製することができる。例えば、金及び銀を用いた金属コロイド粒子の分散液は、以下の調製方法により調製することができるが、これに限定されるものではない。
【0135】
1)金属化合物(例えば、テトラクロロ金(III)酸・4水和物)を絶縁性液体(例えば、水)に溶解後、金属(例えば、金)に対して1.5倍質量の高分子量顔料分散剤(例えば、ソルスパース20000)を含んだ水溶液を混合、攪拌する。
この混合液に脂肪族アミン(例えば、ジメチルアミノエタノール)を加えて金イオンの還元反応を開始した後、濾過、濃縮を行い、金コロイド粒子溶液を得る。
【0136】
2)金属化合物(例えば、テトラクロロ金(III)酸・4水和物)を水に溶解後、金属(例えば、金)に対して1.5倍質量の高分子量顔料分散剤(例えば、ソルスパース24000を非極性有機溶媒(例えば、アセトン)に溶解させた溶液を混合、攪拌する。
この混合液に脂肪族アミン(例えば、ジメチルアミノエタノール)を加えて金イオンの還元反応を開始した後、前記非極性溶媒を蒸発させ、金コロイド粒子と高分子量顔料分散剤からなる固体ゾルを得る。その後、デカンテーションにより固体ゾルを水で洗浄し、非極性有機溶媒(例えば、エタノール)を加えて金コロイド粒子溶液を得る。
【0137】
3)金属化合物(例えば、硝酸銀(I))を水に溶解後、金属(例えば、銀)に対して1.5倍質量の高分子量顔料分散剤(例えば、ソルスパース20000)を含んだ水溶液を混合、攪拌する。この混合液に脂肪族アミン(例えば、ジメチルアミノエタノール)を加えて銀イオンの還元反応を開始した後、濾過、濃縮を行い、水系銀コロイド粒子溶液を得る。
【0138】
4)金属化合物(例えば、硝酸銀(I))を水に溶解後、金属(例えば、銀)に対して1.5倍質量の高分子量顔料分散剤(例えば、ソルスパース24000)を非極性有機溶媒(例えば、アセトン)に溶解させた溶液を混合、攪拌する。この混合液に脂肪族アミン(例えば、ジメチルアミノエタノール)を加えて銀イオンの還元反応を開始した後、非極性溶媒を蒸発させ、銀コロイド粒子と高分子量顔料分散剤からなる固体ゾルを得る。その後、デカンテーションにより固体ゾルを水で洗浄し、非極性有機溶媒(例えば、トルエン)を加えて溶媒系銀コロイド粒子溶液を得る。
【0139】
なお、前記金属コロイド粒子及びその溶液等については、特開平11−76800号公報に記載のものを好適に用いることができる。
【0140】
−特定移動性微粒子の一つである磁気移動性微粒子−
特定移動性微粒子の一つである磁気移動性微粒子としては、磁気泳動法に用いられるものであれば、制限なく用いることができる。カラー表示の観点からは、磁性粒子を所望の色彩に着色した磁気移動性微粒子を用いることが好ましい。所望の色彩に着色された磁気移動性微粒子として、具体的には、特開平4−175196号公報2頁右下欄29行目から3頁左下欄5行目までに記載された磁性粒子(各色磁性粒子)を用いることができる。
【0141】
本発明において用いられる磁気移動性微粒子の体積平均粒径としては、発色性の観点から、1〜50μmであることが好ましく、5〜20μmであることが特に好ましい。
【0142】
また、調光層中の全質量に対する特定移動性微粒子の一つである磁気移動性微粒子の含有量(質量%)としては、所望の色相が得られる濃度であれば特に限定されるものではなく、調光層の厚さにより含有量を調整することが有効である。即ち、所望の色相を得るために、調光層が厚い場合には含有量は少なく、調光層が薄い場合には含有量を多くすることができる。一般的に、具体的には、1〜50質量%である。
【0143】
(特定移動性微粒子以外の移動性微粒子)
本発明における調光層は、本発明の効果を損なわない範囲で、特定移動性微粒子以外の移動性微粒子を含んでいてもよい。
特定移動性微粒子以外の移動性微粒子としては、例えば、以下に示す電荷移動性微粒子を用いることができる。
即ち、プラチナ、パラジウム、ルテニウム、ロジウム、イリジウム、又はこれらの合金等の導体を用いて形成されたナノ粒子;
ミクロパール(積水化学工業(株)製)、エポカラー粒子(日本触媒化学工業(株)製)、ケミスノー(綜研化学(株)製)、テクポリマー(積水化成品工業)等の市販の電気泳動粒子;
アゾ系顔料、ポリ縮合アゾ系顔料、メタルコンプレックスアゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、キナクリドン系顔料、アントラキノン系顔料、ピランスロン系顔料、ジオキサジン系顔料、ペリレン系顔料等の有機顔料を含む着色電気泳動粒子;
酸化チタン、酸化亜鉛、カーボンブラック、鉄黒、アルミナホワイト等の無機顔料を含む着色電気泳動粒子;
フタロシアニン系染料、アゾ系染料、アントラキノン系染料等の染料を含む着色電気泳動粒子;
上記有機顔料、無機顔料、染料と分散剤などの添加物との混合系、若しくは、有機顔料、無機顔料、染料と樹脂との混合物からなるカプセル化微粒子;
二酸化チタン、シリカ、黄色酸化鉄、チタンイエロー、褐色酸化鉄、コバルトグリーン、コバルトクロムグリーン、チタンコバルトグリーン、紺青、コバルトブルー、群青、セルリアンブルー、コバルトアルミニウムクロムブルー、コバルトバイオレット、カーボンブラック、鉄黒、マンガンフェライトブラック、チタンブラック、コバルトフェライトブラック、アルミニウム粉、黒色低次酸化チタン、銅粉、鈴粉、亜鉛粉等の無機顔料粒子;
ジスアゾイエロー、縮合アゾイエロー、ローダミン6Gレーキ、アントラキノニルレッド、ペリレンレッド、ペリレンマルーン、キナクリドンマルーン、キナクリドンスカーレッド、キナクリドンレッド、フタロシアニングリーン、フタロシアニンブルー、ローダミンBレーキ、ジオキサジンバイオレット、ナフトールバイオレット等の有機顔料粒子;
スチレン系、スチレン−アクリル系、アクリレート系、メタクリレート系、メチルメタクリレート系、メチルアクリレート系、エチルメタクリレート系、エチルアクリレート系、n−ブチルアクリレート系、エステル系、アクリル酸系、アクリルゴム−メタクリレート系、ナイロン系、シリコーン系、ウレタン系、メラミン系、塩化ビニリデン系、4級ピリジニウム塩系、セルロース等の高分子微粒子;
等が挙げられる。
【0144】
本発明において、これらの特定移動性微粒子以外の移動性微粒子を、特定移動性微粒子と併用した場合、調光層中の全移動性微粒子の含有量に対して、特定移動性微粒子以外の移動性微粒子は、70質量%以下であることが好ましく、35質量%以下であることがより好ましい。
【0145】
(絶縁性液体)
本発明における移動性微粒子(特定移動性微粒子、及びそれ以外の移動性微粒子を含む)の分散媒としては、絶縁性液体であることが好ましい。
前記絶縁性液体として具体的には、ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、デカン、ヘキサデカン、ケロセン、パラフィン、イソパラフィン、シリコーンオイル、ジククロロエチレン、トリクロロエチレン、パークロロエチレン、高純度石油、エチレングリコール、アルコール類、エーテル類、エステル類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、2−ピロリドン、N−メチルホルムアミド、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ベンジン、ジイソプロピルナフタレン、オリーブ油、イソプロパノール、トリクロロトリフルオロエタン、テトラクロロエタン、ジブロモテトラフルオロエタンなどや、それらの混合物が好適に使用できる。
また、下記体積抵抗値となるよう不純物を除去することで、水(所謂、純水)も好適に使用することができる。該体積抵抗値としては、10Ωcm以上であることが好ましく、より好ましくは10Ωcm〜1019Ωcmであり、更に好ましくは1010〜1019Ωcmである。このような体積抵抗値とすることで、より効果的に、電極反応に起因する液体の電気分解による気泡の発生が抑制され、通電毎に粒子の電気泳動特性が損なわれることがなく、優れた繰り返し安定性を付与することができる。
なお、絶縁性液体には、必要に応じて、酸、アルカリ、塩、分散安定剤、酸化防止や紫外線吸収などを目的とした安定剤、抗菌剤、防腐剤などを添加することができるが、上記で示した特定の体積抵抗値の範囲となるように添加することが好ましい。
【0146】
(高分子樹脂)
本発明における電荷移動性微粒子(金属コロイド粒子)は、高分子樹脂に分散されていることも好ましい。該高分子樹脂としては、高分子ゲル、ネットワークポリマー等であることも好ましい。
該高分子樹脂としては、アガロース、アガロペクチン、アミロース、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、イソリケナン、インスリン、エチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、カードラン、カゼイン、カラギーナン、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルデンプン、カロース、寒天、キチン、キトサン、絹フィブロイン、クアーガム、クインスシード、クラウンゴール多糖、グリコーゲン、グルコマンナン、ケラタン硫酸、ケラチン蛋白質、コラーゲン、酢酸セルロース、ジェランガム、シゾフィラン、ゼラチン、ゾウゲヤシマンナン、ツニシン、デキストラン、デルマタン硫酸、デンプン、トラガカントゴム、ニゲラン、ヒアルロン酸、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、プスツラン、フノラン、分解キシログルカン、ペクチン、ポルフィラン、メチルセルロース、メチルデンプン、ラミナラン、リケナン、レンチナン、ローカストビーンガム等の天然高分子由来の高分子ゲルが挙げられる他、合成高分子の場合にはほとんどすべての高分子ゲルが挙げられる。
更に、アルコール、ケトン、エーテル、エステル、及びアミドの官能基を繰り返し単位中に含む高分子等が挙げられ、例えば、ポリビニルアルコール、ポリ(メタ)アクリルアミドやその誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキシドやこれら高分子を含む共重合体を挙げることができる。
これら中でも、製造安定性、電気泳動特性等の観点から、ゼラチン、ポリビニルアルコール、ポリ(メタ)アクリルアミド等が好ましく用いられる。
これら高分子樹脂は、前記絶縁性液体と共に用いることが好ましい。
【0147】
(高分子量顔料分散剤)
本発明において、特定移動性微粒子として金属コロイド粒子を用いる場合、高分子量顔料分散剤を併用することが好ましい。この高分子量顔料分散剤としては特に限定されないが、以下に説明するものを好適に使用することができる。
即ち;(i)顔料親和基を主鎖及び/又は複数の側鎖に有し、かつ、溶媒和部分を構成する複数の側鎖を有する櫛形構造の高分子、(ii)主鎖中に顔料親和基からなる複数の顔料親和部分を有する高分子、(iii)主鎖の片末端に顔料親和基からなる顔料親和部分を有する直鎖状の高分子
【0148】
ここで、上記顔料親和基とは、顔料の表面に対して強い吸着力を有する官能基をいい、例えば、オルガノゾルにおいては、第3級アミノ基、第4級アンモニウム、塩基性窒素原子を有する複素環基、ヒドロキシル基、カルボキシル基;ヒドロゾルにおいては、フェニル基、ラウリル基、ステアリル基、ドデシル基、オレイル基等を挙げることができる。本発明において、上記顔料親和基は、金属に対して強い親和力を示す。上記高分子量顔料分散剤は、上記顔料親和基を有することにより、金属の保護コロイドとして充分な性能を発揮することができる。
【0149】
上記櫛形構造の高分子(i)は、上記顔料親和基を有する複数の側鎖とともに、溶媒和部分を構成する複数の側鎖を主鎖に結合した構造のものであり、これらの側鎖があたかも櫛の歯のように主鎖に結合されているものである。本明細書中、上述の構造を櫛形構造と称する。上記櫛形構造の高分子(i)において、上記顔料親和基は、側鎖末端に限らず、側鎖の途中や主鎖中に複数存在していてもよい。なお、上記溶媒和部分は、溶媒に親和性を有する部分であって、親水性又は疎水性の構造をいう。上記溶媒和部分は、例えば、水溶性の重合鎖、親油性の重合鎖等から構成されている。
【0150】
上記櫛形構造の高分子(i)としては特に限定されず、例えば、特開平5−177123号公報に開示されている1個以上のポリ(カルボニル−C3〜C6−アルキレンオキシ)鎖を有し、これらの各鎖が3〜80個のカルボニル−C3〜C6−アルキレンオキシ基を有しかつアミド又は塩架橋基によってポリ(エチレンイミン)に結合されている構造のポリ(エチレンイミン)又はその酸塩からなるもの;特開昭54−37082号公報に開示されているポリ(低級アルキレン)イミンと、遊離のカルボン酸基を有するポリエステルとの反応生成物よりなり、各ポリ(低級アルキレン)イミン連鎖に少なくとも2つのポリエステル連鎖が結合されたもの;特公平7−24746号公報に開示されている末端にエポキシ基を有する高分子量のエポキシ化合物に、アミン化合物と数平均分子量300〜7000のカルボキシル基含有プレポリマーとを同時に又は任意順に反応させて得られる顔料分散剤等を挙げることができる。
【0151】
上記櫛形構造の高分子(i)は、顔料親和基が1分子中に2〜3000個存在するものが好ましい。2個未満であると、分散安定性が充分ではなく、3000個を超えると、粘度が高すぎて取り扱いが困難となり、また、コロイド粒子の粒度分布が広くなり、彩度が低下する。より好ましくは、25〜1500個である。
【0152】
上記櫛形構造の高分子(i)は、溶媒和部分を構成する側鎖が1分子中に2〜1000存在するものが好ましい。2未満であると、分散安定性が充分ではなく、1000を超えると、粘度が高すぎて取り扱いが困難となり、また、コロイド粒子の粒度分布が広くなり、彩度が低下する。より好ましくは、5〜500である。
【0153】
上記櫛形構造の高分子(i)は、数平均分子量が2000〜1000000であることが好ましい。2000未満であると、分散安定性が充分ではなく、1000000を超えると、粘度が高すぎて取り扱いが困難となり、また、コロイド粒子の粒度分布が広くなり、彩度が低下する。より好ましくは、4000〜500000である。
【0154】
上記主鎖中に顔料親和基からなる複数の顔料親和部分を有する共重合体(ii)は、複数の顔料親和基が主鎖にそって配置されているものであり、上記顔料親和基は、例えば、主鎖にペンダントしているものである。本明細書中、上記顔料親和部分は、上記顔料親和基が1つ又は複数存在して、顔料表面に吸着するアンカーとして機能する部分をいう。
【0155】
上記共重合体(ii)としては、例えば、特開平4−210220号公報に開示されているポリイソシアネートと、モノヒドロキシ化合物及びモノヒドロキシモノカルボン酸又はモノアミノモノカルボン酸化合物の混合物、並びに、少なくとも1つの塩基性環窒素とイソシアネート反応性基とを有する化合物との反応物;特開昭60−16631号公報、特開平2−612号公報、特開昭63−241018号公報に開示されているポリウレタン/ポリウレアよりなる主鎖に複数の第3級アミノ基又は塩基性環式窒素原子を有する基がペンダントした高分子;特開平1−279919号公報に開示されている水溶性ポリ(オキシアルキレン)鎖を有する立体安定化単位、構造単位及びアミノ基含有単位からなる共重合体であって、アミン基含有単量単位が第3級アミノ基若しくはその酸付加塩の基又は第4級アンモニウムの基を含有しており、該共重合体1g当たり0.025〜0.5ミリ当量のアミノ基を含有する共重合体;特開平6−100642号公報に開示されている付加重合体からなる主鎖と、少なくとも1個のC1〜C4アルコキシポリエチレン又はポリエチレン−コプロピレングリコール(メタ)アクリレートからなる安定化剤単位とからなり,かつ、2500〜20000の重量平均分子量を有する両親媒性共重合体であって、主鎖は、30重量%までの非官能性構造単位と、合計で70重量%までの安定化剤単位及び官能性単位を含有しており、上記官能性単位は、置換されているか又は置換されていないスチレン含有単位、ヒドロキシル基含有単位及びカルボキシル基含有単位であり、ヒドロキシル基とカルボキシル基、ヒドロキシル基とスチレン基及びヒドロキシル基とプロピレンオキシ基又はエチレンオキシ基との比率が、それぞれ、1:0.10〜26.1;1:0.28〜25.0;1:0.80〜66.1である両親媒性高分子等を挙げることができる。
【0156】
上記共重合体(ii)は、顔料親和基が1分子中に2〜3000個存在するものが好ましい。2個未満であると、分散安定性が充分ではなく、3000個を超えると、粘度が高すぎて取り扱いが困難となり、また、コロイド粒子の粒度分布が広くなり、彩度が低下する。より好ましくは、25〜1500個である。
【0157】
上記共重合体(ii)は、数平均分子量が2000〜1000000であることが好ましい。2000未満であると、分散安定性が充分ではなく、1000000を超えると、粘度が高すぎて取り扱いが困難となり、また、コロイド粒子の粒度分布が広くなり、彩度が低下する。より好ましくは、4000〜500000である。
【0158】
上記主鎖の片末端に顔料親和基からなる顔料親和部分を有する直鎖状の高分子(iii)は、主鎖の片末端のみに1つ又は複数の顔料親和基からなる顔料親和部分を有しているが、顔料表面に対して充分な親和性を有するものである。
【0159】
上記直鎖状の高分子(iii)としては特に限定されず、例えば、特開昭46−7294号公報に開示されている一方が塩基性であるA−Bブロック型高分子;米国特許第4656226号明細書に開示されているAブロックに芳香族カルボン酸を導入したA−Bブロック型高分子;米国特許第4032698号明細書に開示されている片末端が塩基性官能基であるA−Bブロック型高分子;米国特許第4070388号明細書に開示されている片末端が酸性官能基であるA−Bブロック型高分子;特開平1−204914号公報に開示されている米国特許第4656226号明細書に記載のAブロックに芳香族カルボン酸を導入したA−Bブロック型高分子の耐候黄変性を改良したもの等を挙げることができる。
【0160】
上記直鎖状の高分子(iii)は、顔料親和基が1分子中に2〜3000個存在するものが好ましい。2個未満であると、分散安定性が充分ではなく、3000個を超えると、粘度が高すぎて取り扱いが困難となり、また、コロイド粒子の粒度分布が広くなり、彩度が低下する。より好ましくは、5〜1500個である。
【0161】
上記直鎖状の高分子(iii)は、数平均分子量が1000〜1000000であることが好ましい。1000未満であると、分散安定性が充分ではなく、1000000を超えると、粘度が高すぎて取り扱いが困難となり、また、コロイド粒子の粒度分布が広くなり、彩度が低下する。より好ましくは、2000〜500000である。
【0162】
上記高分子量顔料分散剤としては、市販されているものを使用することもできる。上記市販品としては、例えば、ソルスパース20000、ソルスパース24000、ソルスパース26000、ソルスパース27000、ソルスパース28000(ゼネカ社製);ディスパービック160、ディスパービック161、ディスパービック162、ディスパービック163、ディスパービック166、ディスパービック170、ディスパービック180、ディスパービック182、ディスパービック184、ディスパービック190(ビックケミー社製);EFKA−46、EFKA−47、EFKA−48、EFKA−49(EFKAケミカル社製);ポリマー100、ポリマー120、ポリマー150、ポリマー400、ポリマー401、ポリマー402、ポリマー403、ポリマー450、ポリマー451、ポリマー452、ポリマー453(EFKAケミカル社製);アジスパーPB711、アジスパーPA111、アジスパーPB811、アジスパーPW911(味の素社製);フローレンDOPA−158、フローレンDOPA−22、フローレンDOPA−17、フローレンTG−730W、フローレンG−700、フローレンTG−720W(共栄社化学社製)等を挙げることができる。
【0163】
上記高分子量顔料分散剤は、顔料親和基が側鎖に存在し、溶媒和部分を構成する側鎖を有するグラフト構造のもの〔上記櫛形構造の高分子(i)〕;主鎖に、顔料親和基を有するもの〔上記共重合体(ii)及び上記直鎖状の高分子(iii)〕であるので、コロイド粒子の分散性が良好であり、金属のコロイド粒子に対する保護コロイドとして好適である。上記高分子量顔料分散剤を使用することにより、金属のコロイド粒子を高い濃度で含有する金属のコロイド粒子分散体を得ることができる。
【0164】
本発明において、上記高分子量顔料分散剤は、軟化温度が、30℃以上であることが好ましい。30℃未満であると、得られる金属の固体ゾルが貯蔵中にブロッキングしてしまう。より好ましくは、40℃以上である。
【0165】
上記高分子量顔料分散剤の含有量は、上記金属100質量部に対して20〜1000質量部が好ましい。20質量部未満であると、上記金属のコロイド粒子の分散性が不充分であり、1000質量部を超えると、塗料や樹脂成型物に配合した際に、バインダー樹脂に対する高分子量顔料分散剤の混入量が多くなり、物性等に不具合が生じやすくなる。より好ましくは、50〜650質量部である。
【0166】
本発明における調光層に電荷移動性微粒子を用いる場合、対向配置された一対の透明基板間の空隙中に、上述の電荷移動性微粒子を、移動可能に保持する構成を有することが好ましい。つまり、この場合、調光層に近接して設けられる微粒子移動手段は、一対の電極となる。
一対の透明基板としては、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート、)、ポリイミド、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリアミド、ナイロン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリカーボネート、ポリエーテルスルフォン、シリコーン樹脂、ポリアセタール樹脂、フッ素樹脂、セルロース誘導体、ポリオレフィンなどの高分子のフィルムや板状基板、ガラス基板、金属基板、セラミック基板等の無機基板などが好ましく用いられる。なお、透明基板としては、少なくとも50%以上の光透過率(可視光)を有することが好ましい。
また、透明基板間の距離(調光層の厚み)としては、製造される調光素子のサイズや重さ、発色性等により、適宜、決定される。一般的には、2〜1000μm程度である。
【0167】
本発明における調光層には一対の電極が接続しており、この電極により発生する電界により、電荷移動性微粒子が電気泳動する。この一対の電極の少なくとも一方の電極は、特に、調光層の外周端部の一部に設けられることが好ましい。調光層の外周端部の一部に設けられた電極に向かい、特定移動性微粒子である電荷移動性微粒子が移動することで、電荷移動性微粒子の分散状態、即ち、発色状態が解消される。
【0168】
このような電極としては、少なくとも50%以上の光透過率(可視光)を有する透明電極が用いられる。具体的には、酸化錫−酸化インジウム(ITO)、酸化錫、酸化亜鉛などに代表される金属酸化物層が好ましく用いられる。また、電極は、これらの材料を単独で用いて形成されていてもよいし、複数種の材料を積層したものであってもよい。
なお、電極の厚みや大きさは、表示素子によって様々なものが利用でき、特に限定されるものではない。
【0169】
また、本発明における調光層に磁気移動性微粒子を用いる場合、対向配置された一対の基板間の空隙中に、上述の磁気移動性微粒子を、移動可能に保持する構成を有することが好ましく、この調光層に近接して設けられる微粒子移動手段として、磁石等の磁力発生装置が用いられることが好ましい。
この微粒子移動手段として用いられる磁力発生装置としては、調光層内の移動性微粒子の量、移動性等により適宜決定される。
【0170】
本発明における調光層は複数の調光単位セルから構成されていることが好ましい。具体的には、例えば、複数の調光単位セルが、赤色、緑色、及び青色のいずれかを呈する調光単位セルを含む態様が好ましく、また、フルカラー表示を可能とするためには、複数の調光単位セルが、少なくとも、赤色(R)を呈する調光単位セル、緑色(G)を呈する調光単位セル、及び青色(B)を呈する調光単位セルの3種類を含むことが好ましい態様である。
このような複数の調光単位セルは、前記表示層上に積層されて調光層を構成してもよいし(例えば、図7における調光層)、また、前記表示層上に並列に配置されて調光層を構成していてもよい(例えば、図9における調光層)。
また、調光単位セルの大きさは、表示素子の解像度と密接な関係にあり、セルが小さいほど高解像度の表示素子を作製することができる。そのため、解像度向上の観点からは、複数の調光単位セルは、前記表示層上に積層されていることが好ましい。調光単位セルの大きさとしては、通常、10μm〜1mm程度である。
【0171】
以下、図面を参照して、本発明の表示素子における調光層の構成例について説明する。
なお、同様の機能を有する部材には、全図面を通して同じ符合を付与し、その説明を省略する。また、以下に示す調光層の構成例においては、第2の透明基板8により観察面が形成されているものとする。
以下に示す調光層の構成例、及び本発明の表示素子の実施形態においては、調光層中に含まれる電荷移動性微粒子又は磁気移動性微粒子の全てが、分散状態で発色性を呈する移動性微粒子(特定移動性微粒子)である態様について説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、上述したように、調光層は、特定移動性微粒子以外の移動性微粒子を含んでいてもよい。
【0172】
図2は、本発明における調光層の第1の例を示す概略断面図である。
図2(a)に示す調光層は、第1の透明基板1上の全面に第1の電極2、その上に絶縁層5を有し、更に、絶縁層5上の一方の端部に、図面の手前から奥まで連続するライン状の第2の電極4を備える。また、第2の電極4上と、絶縁層5上であって第2の電極4とは反対側の端部とに、対向した2つの隔壁6を備え、更に、2つの隔壁6を介して、第1の透明基板1に対向した第2の透明基板8を備える。即ち、第2の電極4が調光層の外周端部の一部に設けられている態様である。上記の各部材により囲まれて形成された内部空間には、電荷移動性微粒子10及び絶縁性液体9を含む分散液が封入されている。また、隔壁6と第2の透明基板8との接合面は熱融着性の接着層7により接着している。
上記のような構成により、本発明における調光層の第1の例は1つのセルを形成することになる。
また、図2(a)及び(b)の紙面手前側と奥側は、他のセルとの隔壁(図示せず)が設けられている。
【0173】
図2に示される第1の透明基板1は、図示されない表示層を構成する基板と共用であってもよいし、また、形状保持性を有する絶縁層により代用されていてもよい。
また、絶縁層5の材料としては、特に限定されず、公知の絶縁材料を用いることができ、例えば、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、アモルファスフッ素樹脂等を用いることができる。
【0174】
更に、隔壁6の材料としては、特に限定されず、公知の樹脂材料を用いることができるが、製造上の観点から、感光性樹脂を用いることが好ましい。なお、後述の図4に示すように、隔壁と電極を同一の部材により構成される場合には、電極を構成する材料により隔壁6が形成される。
隔壁6の高さは、特に限定されるものではなく、通常、2μm〜1mm程度である。
前記隔壁6の幅は、特に限定されるものではないが、一般的には幅が小さい方が、表示素子の解像度の観点より有効であり、通常、1μm〜1mm程度である。
【0175】
接着層7の材料としては、特に限定されず、熱硬化性樹脂、紫外光硬化性樹脂等を使用することができるが、隔壁6の材料や、絶縁性液体9等の素子を構成する材料に影響を与えない材料が選択される。
【0176】
本発明における調光層の第1の例の動作について、図2(a)及び(b)を用いて以下に説明する。図2(b)は、図2(a)に電圧を印加した状態の調光層の概略構成図である。
電圧の印加がない場合は、図2(a)に示すとおり、電荷移動性微粒子10はセルの内部中に一様に分散しており、電荷移動性微粒子10の色が調光層の色(例えば、赤色)として観察される。一方、電圧を印加したとき、例えば、電荷移動性微粒子10がマイナスに帯電している場合には、プラス電極(ここでは、第2の電極4)側へ移動するため、第1の透明基板1、第2の透明基板8、及び第1の電極2を透かして図示されない表示層が現れることとなり、表示素子は白色表示又は黒色表示として観察される。
ここで、電荷移動性微粒子10の電圧印加時の移動は、両透明基板1、8の面に対して平行方向である。
【0177】
続いて、本発明における調光層の第2の例について、図3を参照して説明する。
図3(a)に示される調光層は、第1の電極2A及び第2の電極4Aを、第1の透明基板1上の両側に、図面の手前から奥まで連続するライン状に備える。また、両電極2A、4A上にそれぞれ隔壁6を備え、更に、2つの隔壁6を介して、第1の透明基板1に対向した第2の透明基板8を備える。上記の各部材により囲まれて形成された内部空間には、電荷移動性微粒子10及び絶縁性液体9を含む分散液が封入されている。
上記のような構成により、本発明における調光層の第2の例は1つのセルを形成することになる。
また、図3(a)及び(b)の紙面手前側と奥側は、他のセルとの隔壁(図示せず)が設けられている。
【0178】
図3に示される両電極2A、4Aの線幅(ライン幅)は、特に限定されるものではないが、通常、2μm〜1mm程度である。
また、両電極2A、4Aの厚さとしては、特に限定されるものではないが、通常、10nm〜1μm程度である。
【0179】
図3(a)及び(b)に示される調光層の動作としては、図2(a)及び(b)に示される調光層と同様である。ここで、図3(b)は、図3(a)に電圧を印加した状態の調光層の概略構成図である。
つまり、図3(a)に示すとおり、電圧の印加がない場合は、電荷移動性微粒子10はセルの空間中に一様に分散しており、電荷移動性微粒子10の色がセルの色として観察される。一方、図3(b)に示すとおり、電圧を印加したときには、例えば、電荷移動性微粒子10がマイナスに帯電している場合には、プラス電極(ここでは、第1の電極2A)側へ移動するため、第1の透明基板1、及び第2の透明基板8を透かして図示されない表示層が現れることとなり、表示素子は白色表示又は黒色表示として観察される。
ここで、電荷移動性微粒子10の電圧印加時の移動は、両透明基板1、8の面に対して平行方向である。
【0180】
本発明における調光層の第3の例について、図4を参照して説明する。
図4(a)に示される調光層は、第1の透明基板1上の両側に、第1の電極2B、第2の電極4Bを、図面の手前から奥まで連続するライン状に設け、更に、両電極2B、4Bを介して、第1の透明基板1と対向した第2の透明基板8を備える。ここで、両電極2B、4Bは、電極としての機能と隔壁としての機能とをいずれも有している。上記の各部材により囲まれて形成された内部空間には、電荷移動性微粒子10及び絶縁性液体9を含む分散液が封入されている。また、両電極2B、4Bと第2の透明基板8との接合面は熱融着性の接着層7により接着している。
上記のような構成により、本発明における調光層の第3の例は1つのセルを形成することができる。
また、図4(a)及び(b)の紙面手前側と奥側は、他のセルとの隔壁(図示せず)が設けられている。
【0181】
図4に示される両電極2B、4Bの線幅は、特に限定されるものではないが、通常、1μm〜1mm程度である。
また、両電極2B、4Bの高さは、特に限定されるものではないが、2μm〜1mm程度である。
【0182】
図4(a)及び(b)に示される調光層の動作としては、図3(a)及び(b)に示される調光層と同様である。ここで、図4(b)は、図4(a)に電圧を印加した状態の調光層の概略構成図である。
つまり、図4(a)に示すとおり、電圧の印加がない場合は、電荷移動性微粒子10はセルの内部中に一様に分散しており、電荷移動性微粒子10の色がセルの色として観察される。一方、図4(b)に示すとおり、電圧を印加したときには、例えば、電荷移動性微粒子10がマイナスに帯電している場合には、隔壁の機能をも有するプラス電極(ここでは、第1の電極2B)側へ移動するため、第1の透明基板1、及び第2の透明基板8を透かして図示されない表示層が現れることとなり、表示素子は白色表示又は黒色表示として観察される。
ここで、電荷移動性微粒子10の電圧印加時の移動は、両透明基板1、8の面に対して平行方向である。
【0183】
本発明における調光層の第4の例について、図5を参照して説明する。
図5(a)に示される調光層は、3種類の調光単位セル13R、13G、及び13Bを積層した態様を示すものである。即ち、前記図3で示した1つのセルを調光単位セルとし、その調光単位セルを縦に3つ積層された3層構造となっている。即ち、複数の調光単位セルが積層された構造となっている。
この構成の調光層は、最下層の赤色(R)調光単位セル13Rを図3と同様に作製し、続いて、最下層の赤色(R)調光単位セルの第2の透明基板8Rを第1の基板に見立てて、中段層の緑色(G)調光単位セル13Gを作製し、更に、中段層の緑色(G)調光単位セルの第2の透明基板8Gを第1の基板に見立てて、最後に最上層の青色(B)調光単位セル13Bを作製することにより得ることができる。得られた調光層は、調光単位セルを積層しており、フルカラー表示が可能となる。
また、上記のような構成の調光層は、RGBの調光単位セルを別々に作製し、それらを接続することで得ることもできる。
【0184】
図5に示される調光層は、第1の透明基板1に最も近接した調光単位セル13Rには、赤色(R)の電荷移動性微粒子10を封入し、その上部の調光単位セル13Gには、緑色(G)の電荷移動性微粒子11を封入し、更にその上部の調光単位セル13Bには、青色(B)の電荷移動性微粒子12を封入していることを除き、両透明基板1、8(8R、8G、8B)、両電極2A、4A、及び隔壁6等の材質、大きさ等は、図3と同様である。
【0185】
このように調光単位セルが積層されてなる調光層の動作について説明する。例えば、調光単位セル13R及び調光単位セル13Bの電極2A、4A間に40Vの電圧を印加したとき、図5(b)に示すように動作する。
例えば、分散された赤色(R)の電荷移動性微粒子10、及び、青色(B)電荷移動性微粒子(B)12がいずれもマイナスに帯電している場合、直流電圧印加によりプラス側電極への移動が観察される。これにより、調光単位セル13Rの赤色の電荷移動性微粒子10、及び、調光単位セル13Bの青色の電荷移動性微粒子12は、いずれも、プラス電極側(ここでは、第1の電極2A)へ移動し、調光単位セル13Gの緑色の電荷移動性微粒子11のみが分散状態を維持することとなる。その結果、調光層を、調光単位セル13Bの第2の透明基板8B側から観察すると、調光単位セル13Gの緑色の電荷移動性微粒子11の色による調光単位セルの色(緑色)が観察される。
同様な操作、例えば、調光単位セル13Rと調光単位セル13Gとに電圧を印加したときには、調光単位セル13Bの電荷移動性微粒子12の色(青色)が観察され、調光単位セル13Gと調光単位セル13Bとに電圧を印加したときには、調光単位セル13Rの粒子の電荷移動性微粒子10の色(赤色)が観察される。その結果、これらの3つの調光単位セルの電圧印加状態を制御することにより、フルカラーの表示が観察される。
【0186】
本発明における調光層の第5の例について、図6を参照して説明する。
図6(a)に示される調光層は、複数の調光単位セルにより構成されている態様を示すものである。即ち、前記図4で示した調光単位セルが、横に3つ並列に配置された構造となっている。
図6に示される調光層は、3種類の調光単位セル13R、13G、及び13Bを並列に配置した態様を示すものである。具体的には、前記図4で示した1つのセルを調光単位セルとし、その調光単位セルを基板に対して配列に配置された構造となっている。
この構成の調光層は、赤色(R)調光単位セル13R、緑色(G)調光単位セル13G、及び青色(B)調光単位セル13Bを、図4のように、別々に作製し、それらを絶縁壁14にて接続することで得ることができる。得られた調光層は、赤色(R)、緑色(G)、及び青色(B)の調光単位セルを備えており、フルカラー表示が可能となる。
【0187】
図6に示される調光層は、調光単位セル13Rには、赤色(R)の電荷移動性微粒子10を封入し、調光単位セル13Gには、緑色(G)の電荷移動性微粒子11を封入し、更に、調光単位セル13Bには、青色(B)の電荷移動性微粒子12を封入していることを除き、両透明基板1、8、及び両電極2B、4B等の材質、大きさ等は、図4と同様である。
【0188】
図6に示される絶縁壁14は、調光単位セル13Rと調光単位セル13Gとの間を絶縁するため、また、調光単位セル13Gと調光単位セル13Bとを絶縁するために用いられる部材であり、その材料としては、図2に示される絶縁層5と同様のものを用いることができる。
この絶縁壁14の高さとしては、2μm〜1mmが好ましい。
また、絶縁壁14の幅としては、1μm〜1mmが好ましい。
【0189】
このように調光単位セルが並列配置されてなる調光層の動作について説明する。例えば、調光単位セル13R及び調光単位セル13Bの電極2B、4B間に40Vの電圧を印加したとき、図6(b)に示すように動作する。
例えば、分散された赤色(R)の電荷移動性微粒子10、及び、青色(B)電荷移動性微粒子(B)12がいずれもマイナスに帯電している場合、直流電圧印加によりプラス側電極への移動が観察される。これにより、調光単位セル13Rの赤色の電荷移動性微粒子10、及び、調光単位セル13Bの青色の電荷移動性微粒子12は、いずれも、プラス電極側(ここでは、第1の電極2B)へ移動し、調光単位セル13Gの緑色の電荷移動性微粒子11のみが分散状態を維持することとなる。その結果、調光層を、第2の透明基板8側から観察すると、調光単位セル13Gの緑色の電荷移動性微粒子11の色(緑色)による調光単位セルの色が観察される。
同様な操作、例えば、調光単位セル13Rと調光単位セル13Gとに電圧を印加したときには、調光単位セル13Bの電荷移動性微粒子12の色(青色)が観察され、調光単位セル13Gと調光単位セル13Bとに電圧を印加したときには、調光単位セル13Rの粒電荷移動性微粒子10の色(赤色)が観察される。その結果、これらの3つの調光単位セルの電圧印加状態を制御することにより、フルカラーの表示が観察される。
【0190】
以上、本発明の表示素子を構成する表示層及び調光層の構成について各々説明したが、本発明の表示素子は、これらの表示層と調光層とを任意に組み合わせて作製することができる。
下記に、図面を参照して、本発明の表示素子の実施形態について説明する。
【0191】
図7を用いて、本発明の表示素子の第1の実施態様について説明する。
図7に示される表示素子は、上述の(1)一対の基板間の空隙に白色粒子及び黒色粒子を封入させ、その粒子のいずれか一方を表示面を形成する基板側に移動させることにより白色又は黒色の表示を行う表示層と、上述の第4の例である調光層と、を組み合わせた構成を有する。
なお、このような構成の表示素子における調光層については、上述の、3種類の調光単位セル13R、13G、及び13Bを積層した態様(第4の例)として説明しているため、ここでの説明は省略する。
【0192】
以下、図7に示される表示層について説明する。この表示層は、基板20と、基板20の対向基板として機能する絶縁層15と、の間に形成された空隙中に、黒色粒子17及び白色粒子18を移動可能な状態で封入したものである。また、基板20の絶縁層15との対向面には表示層用の第1の電極19が設けられ、一方、絶縁層15の基板20との対向面には表示層用の第2の電極16が設けられている。この第1の電極19、及び第2の電極16により印加された電界により、空隙内に封入された黒色粒子17及び白色粒子18は、基板20と絶縁層15との間を移動することができる。
【0193】
次に、図8を用いて、図7に示される表示素子の動作について説明する。
図8(a)は、図7に示される表示素子による白色表示を示す概略断面図である。
図8(a)に示すように、調光単位セル13R、13G、及び13Bには、いずれも、電圧が印加されており、赤色(R)の電荷移動性微粒子10、緑色の電荷移動性微粒子11、及び青色(B)電荷移動性微粒子(B)12は、いずれもプラス電極側(ここでは、第1の電極2A)へ移動している状態である。
一方、表示層では、電極16をプラス側、電極19をマイナス側として電圧を印加することにより、電界が生じ、白色粒子18が表示層用の電極16側(絶縁層15側)に、また、黒色粒子17が表示層用電極19側(基板20側)に移動している状態である。
これらの結果、この表示素子は、第1の透明基板8B側から観察すると、表示層中の白色粒子18の色のみ表示されることとなる。
【0194】
図8(b)は、図7に示される表示素子による黒色表示を示す概略断面図である。
図8(b)においても、調光単位セル13R、13G、及び13Bには、いずれも、電圧が印加されており、赤色(R)の電荷移動性微粒子10、緑色の電荷移動性微粒子11、及び青色(B)電荷移動性微粒子(B)12は、いずれもプラス電極側(ここでは、第1の電極2A)へ移動している状態である。
一方、表示層では、電極16をマイナス側、電極19をプラス側として電圧を印加することにより、電界が生じ、黒色粒子17が表示層用の電極16側(絶縁層15側)に、また、白色粒子18が表示層用電極19側(基板20側)に移動している状態である。
これらの結果、この表示素子は、第2の透明基板8B側から観察すると、表示層中の黒色粒子17の色のみ表示されることとなる。
【0195】
図8(c)は、図7に示される表示素子による緑色(G)表示を示す概略断面図である。
図8(c)においては、調光単位セル13R及び13Bには、いずれも、電圧が印加されており、赤色(R)の電荷移動性微粒子10、及び青色(B)電荷移動性微粒子(B)12は、いずれもプラス電極側(ここでは、第1の電極2A)へ移動している状態である。また、調光単位セル13Gには、電圧が印加されておらず、緑色の電荷移動性微粒子11はセルの内部で分散している状態である。
一方、表示層では、電極16をプラス側、電極19をマイナス側として電圧を印加することにより、電界が生じ、白色粒子18が表示層用の電極16側(絶縁層15側)に、また、黒色粒子17が表示層用電極19側(基板20側)に移動している状態である。
これらの結果、この表示素子は、第2の透明基板8B側から観察すると、調光単位セル13Gの緑色(G)が表示されることとなる。なお、ここで、調光層の背部に設けられる表示層が白色表示状態となっているため、その白色表示による光散乱効果により、調光単位セル13Gの緑色(G)は発色性に優れるものとなる。
【0196】
図9を用いて、本発明の表示素子の第2の実施態様について説明する。
図9に示される表示素子は、上述の(1)一対の基板間の空隙に白色粒子及び黒色粒子を封入させ、その粒子のいずれか一方を表示面を形成する基板側に移動させることにより白色又は黒色の表示を行う表示層と、上述の第5の例である調光層と、を組み合わせた構成を有する。
なお、このような構成の表示素子における調光層については、上述の、3種類の調光単位セル13R、13G、及び13Bを並列配置した態様(第5の例)として説明しているため、ここでの説明は省略する。
また、表示層の構成についても、上記表示素子の第1の実施態様と同様であるため、ここでの説明は省略する。
【0197】
次に、図10を用いて、図9に示される表示素子の動作について説明する。
図10(a)は、図9に示される表示素子による白色表示を示す概略断面図である。
図10(a)に示すように、調光単位セル13R、13G、及び13Bには、いずれも、電圧が印加されており、赤色(R)の電荷移動性微粒子10、緑色の電荷移動性微粒子11、及び青色(B)電荷移動性微粒子(B)12は、いずれもプラス電極側(ここでは、第1の電極2B)へ移動している状態である。
一方、表示層では、電極16をプラス側、電極19をマイナス側として電圧を印加することにより、電界が生じ、白色粒子18が表示層用の電極16側(絶縁層15側)に、また、黒色粒子17が表示層用電極19側(基板20側)に移動している状態である。
これらの結果、この表示素子は、第2の透明基板8側から観察すると、表示層中の白色粒子18の色のみ表示されることとなる。
【0198】
図10(b)は、図9に示される表示素子による黒色表示を示す概略断面図である。
図10(b)においても、調光単位セル13R、13G、及び13Bには、いずれも、電圧が印加されており、赤色(R)の電荷移動性微粒子10、緑色の電荷移動性微粒子11、及び青色(B)電荷移動性微粒子(B)12は、いずれもプラス電極側(ここでは、第1の電極2B)へ移動している状態である。
一方、表示層では、電極16をマイナス側、電極19をプラス側として電圧を印加することにより、電界が生じ、黒色粒子17が表示層用の電極16側(絶縁層15側)に、また、白色粒子18が表示層用電極19側(基板20側)に移動している状態である。
これらの結果、この表示素子は、第2の透明基板8側から観察すると、表示層中の黒色粒子17の色のみ表示されることとなる。
【0199】
図10(c)は、図9に示される表示素子による緑色(G)表示を示す概略断面図である。
図10(c)においては、調光単位セル13R及び13Bには、いずれも、電圧が印加されており、赤色(R)の電荷移動性微粒子10、及び青色(B)電荷移動性微粒子(B)12は、いずれもプラス電極側(ここでは、第1の電極2B)へ移動している状態である。また、調光単位セル13Gには、電圧が印加されておらず、緑色の電荷移動性微粒子11はセルの内部で分散している状態である。
一方、表示層では、電極16をプラス側、電極19をマイナス側として電圧を印加することにより、電界が生じ、白色粒子18が表示層用の電極16側(絶縁層15側)に、また、黒色粒子17が表示層用電極19側(基板20側)に移動している状態である。
これらの結果、この表示素子は、第2の透明基板8側から観察すると、調光単位セル13Gの緑色(G)が表示されることとなる。なお、ここで、調光層の背部に設けられる表示層が白色表示状態となっているため、その白色表示による光散乱効果により、調光単位セル13Gの緑色(G)は発色性に優れるものとなる。
【0200】
図11を用いて、本発明の表示素子の第3の実施態様について説明する。
図11に示される表示素子は、上述の(2)白色部位と黒色部位とを有する粒子を層中に包含させ、その粒子を反転させることで表示面にて白色又は黒色の表示を行う表示層と、上述の第5の例である調光層と、を組み合わせた構成を有する。
なお、このような構成の表示素子における調光層については、上述の、3種類の調光単位セル13R、13G、及び13Bを並列配置した態様(第5の例)として説明しているため、ここでの説明は省略する。
【0201】
以下、図11に示される表示層について説明する。この表示層は、基板20と、基板20の対向基板として機能する絶縁層15と、の間に、白黒反転粒子21を、キャビティを備える支持体22により、回転可能なように配置されたものである。また、基板20の絶縁層15との対向面には表示層用の第1の電極19が設けられ、一方、絶縁層15の基板20との対向面には表示層用の第2の電極16が設けられている。この第1の電極19、及び第2の電極16により印加された電界により、白黒反転粒子21は反転し、白色部位又は黒色部位が観察される方向(図11においては、第2の透明基板8側)に向くことになる。
【0202】
次に、図12を用いて、図11に示される表示素子の動作について説明する。
図12(a)は、図11に示される表示素子による白色表示を示す概略断面図である。
図12(a)に示すように、調光単位セル13R、13G、及び13Bには、いずれも、電圧が印加されており、赤色(R)の電荷移動性微粒子10、緑色の電荷移動性微粒子11、及び青色(B)電荷移動性微粒子(B)12は、いずれもプラス電極側(ここでは、第1の電極2B)へ移動している状態である。
一方、表示層では、電極16をプラス側、電極19をマイナス側として電圧を印加することにより、電界が生じ、白黒反転粒子21の白色部位が表示層用の電極16側(絶縁層15側)に向いている状態である。
これらの結果、この表示素子は、第2の透明基板8側から観察すると、表示層中の白黒反転粒子21の白色部位の色のみ表示されることとなる。
【0203】
図12(b)は、図11に示される表示素子による黒色表示を示す概略断面図である。
図12(b)においても、調光単位セル13R、13G、及び13Bには、いずれも、電圧が印加されており、赤色(R)の電荷移動性微粒子10、緑色の電荷移動性微粒子11、及び青色(B)電荷移動性微粒子(B)12は、いずれもプラス電極側(ここでは、第1の電極2B)へ移動している状態である。
一方、表示層では、電極16をマイナス側、電極19をプラス側として電圧を印加することにより、電界が生じ、白黒反転粒子21の黒色部位が表示層用の電極16側(絶縁層15側)に向いている状態である。
これらの結果、この表示素子は、第2の透明基板8側から観察すると、表示層中の白黒反転粒子21の黒色部位の色のみ表示されることとなる。
【0204】
図12(c)は、図11に示される表示素子による緑色(G)表示を示す概略断面図である。
図12(c)においては、調光単位セル13R及び13Bには、いずれも、電圧が印加されており、赤色(R)の電荷移動性微粒子10、及び青色(B)電荷移動性微粒子(B)12は、いずれもプラス電極側(ここでは、第1の電極2B)へ移動している状態である。また、調光単位セル13Gには、電圧が印加されておらず、緑色の電荷移動性微粒子11はセルの内部で分散している状態である。
一方、表示層では、電極16をプラス側、電極19をマイナス側として電圧を印加することにより、電界が生じ、白黒反転粒子21の白色部位が表示層用の電極16側(絶縁層15側)に向いている状態である。
これらの結果、この表示素子は、第2の透明基板8側から観察すると、調光単位セル13Gの緑色(G)が表示されることとなる。なお、ここで、調光層の背部に設けられる表示層が白色表示状態となっているため、その白色表示による光散乱効果により、調光単位セル13Gの緑色(G)は発色性に優れるものとなる。
【0205】
図13を用いて、本発明の表示素子の第4の実施態様について説明する。
図13に示される表示素子は、上述の(3)白色微粒子及び黒色微粒子を保持したマイクロカプセル中を層中に包含させ、その微粒子のいずれか一方を電気泳動法により表示面側に移動させることにより白色又は黒色の表示を行う表示層と、上述の第5の例である調光層と、を組み合わせた構成を有する。
なお、このような構成の表示素子における調光層については、上述の、3種類の調光単位セル13R、13G、及び13Bを並列配置した態様(第5の例)として説明しているため、ここでの説明は省略する。
【0206】
以下、図13に示される表示層について説明する。この表示層は、基板20と、基板20の対向基板として機能する絶縁層15と、の間に、白色微粒子及び黒色微粒子を保持したマイクロカプセル23が狭持されたものである。また、基板20の絶縁層15との対向面には表示層用の第1の電極19が設けられ、一方、絶縁層15の基板20との対向面には表示層用の第2の電極16が設けられている。この第1の電極19、及び第2の電極16により印加された電界により、マイクロカプセル23の内部の白色微粒子又は黒色微粒子が観察される方向(図13においては、第2の透明基板8側)に移動することになる。
【0207】
次に、図14を用いて、図13に示される表示素子の動作について説明する。
図14(a)は、図13に示される表示素子による白色表示を示す概略断面図である。
図14(a)に示すように、調光単位セル13R、13G、及び13Bには、いずれも、電圧が印加されており、赤色(R)の電荷移動性微粒子10、緑色の電荷移動性微粒子11、及び青色(B)電荷移動性微粒子(B)12は、いずれもプラス電極側(ここでは、第1の電極2B)へ移動している状態である。
一方、表示層では、電極16をマイナス側、電極19をプラス側として電圧を印加することにより、電界が生じ、マイクロカプセル23内の白色微粒子が表示層用の電極16側(絶縁層15側)に移動した状態である。
これらの結果、この表示素子は、第2の透明基板8側から観察すると、表示層中のマイクロカプセル23内の白色微粒子による色のみ表示されることとなる。
【0208】
図14(b)は、図13に示される表示素子による黒色表示を示す概略断面図である。
図14(b)においても、調光単位セル13R、13G、及び13Bには、いずれも、電圧が印加されており、赤色(R)の電荷移動性微粒子10、緑色の電荷移動性微粒子11、及び青色(B)電荷移動性微粒子(B)12は、いずれもプラス電極側(ここでは、第1の電極2B)へ移動している状態である。
一方、表示層では、電極16をプラス側、電極19をマイナス側として電圧を印加することにより、電界が生じ、マイクロカプセル23内の黒色微粒子が表示層用の電極16側(絶縁層15側)に移動した状態である。
これらの結果、この表示素子は、第2の透明基板8側から観察すると、表示層中のマイクロカプセル23内の黒色微粒子による色のみ表示されることとなる。
【0209】
図14(c)は、図13に示される表示素子による緑色(G)表示を示す概略断面図である。
図14(c)においては、調光単位セル13R及び13Bには、いずれも、電圧が印加されており、赤色(R)の電荷移動性微粒子10、及び青色(B)電荷移動性微粒子(B)12は、いずれもプラス電極側(ここでは、第1の電極2B)へ移動している状態である。また、調光単位セル13Gには、電圧が印加されておらず、緑色の電荷移動性微粒子11はセルの内部で分散している状態である。
一方、表示層では、電極16をマイナス側、電極19をプラス側として電圧を印加することにより、電界が生じ、マイクロカプセル23内の白色微粒子が表示層用の電極16側(絶縁層15側)に移動した状態である。
これらの結果、この表示素子は、第2の透明基板8側から観察すると、調光単位セル13Gの緑色(G)が表示されることとなる。なお、ここで、調光層の背部に設けられる表示層が白色表示状態となっているため、その白色表示による光散乱効果により、調光単位セル13Gの緑色(G)は発色性に優れるものとなる。
【0210】
図15を用いて、本発明の表示素子の第5の実施態様について説明する。
図15に示される表示素子は、上述の(1)一対の基板間の空隙に白色粒子及び黒色粒子を封入させ、その粒子のいずれか一方を表示面を形成する基板側に移動させることにより白色又は黒色の表示を行う表示層と、磁気移動性微粒子を含む調光層と、を組み合わせた構成を有する。
なお、このような構成の表示素子における表示層の構成については、上記表示素子の第1の態様と同様であるため、ここでの説明は省略する。
【0211】
以下、図15に示される調光層について説明する。
この調光層は、第1の透明基板1と、第2の透明基板8と、の間に、磁気移動性微粒子24とその分散剤25封入したものであり、その端部は、隔壁6により封止されている。この調光層中の磁気移動性微粒子24は、磁石等の磁力発生装置により、両基板1、8間を容易に移動することができる。
【0212】
図16を用いて、図15に示される表示素子の動作について説明する。
図16においては、調光層の末端に外部から磁石26を近づけたことにより、磁気移動性微粒子24が、その磁石26による磁界の影響を受け、磁石26の方向へと移動している状態である。
一方、表示層では、電極16をプラス側、電極19をマイナス側として電圧を印加することにより、電界が生じ、白色粒子18が表示層用の電極16側(絶縁層15側)に、また、黒色粒子17が表示層用電極19側(基板20側)に移動している状態である。
これらの結果、この表示素子は、第2の透明基板8側から観察すると、表示層中の白色粒子18の色のみ表示されることとなる。
また、図6の状態の表示素子から、磁石26を遠ざけ、磁界の影響をなくすることで、調光層中の磁気移動性微粒子24は、再度、分散状態を形成する。その場合には、磁気移動性微粒子24による色、例えば、青色が表示される。また、調光層の背部に設けられる表示層が白色表示状態となっているため、その白色表示による光散乱効果により、調光層は発色性に優れるものとなる。
【0213】
図17を用いて、本発明の表示素子の第6の実施態様について説明する。
図17に示される表示素子は、上述の(4)エレクトロクロミック現象による消色状態及び着色状態を利用して白色及び黒色の表示を行う表示層、上述の第2の例である調光層と、を組み合わせた構成を有する。
なお、このような構成の表示素子における調光層については、第2の例として説明しているため、ここでの説明は省略する。
【0214】
以下、図17に示される表示層について説明する。
この表示層は、基板20と、基板20の対向基板として機能する絶縁層15と、の間に、エレクトロクロミック現象を可能とする、銀イオン(金属イオン)を含有する電解質層(エレクトロクロミック層)27が狭持されたものである。なお、電解質層27には、白色表示に用いられる図示されない白色顔料が含有されている。また、基板20の絶縁層15との対向面には表示層用の第1の電極19が設けられ、一方、絶縁層15の基板20との対向面には表示層用の第2の電極16が設けられている。この第1の電極19、及び第2の電極16により印加された電圧により、電解質層27中に銀が析出し、着色状態を形成することができる。また、電圧を印加していない状態では、電解質層27は消色状態となり、電解質層27中に存在する白色顔料により白色が表示される。
【0215】
なお、図17に示される表示素子は、調光層に電圧が印加されておらず、電荷移動性微粒子10が分散状態で存在することから、この電荷移動性微粒子10による色、例えば、赤色が表示される。
一方、表示層では、電圧が印加されておらず、エレクトロクロミック現象による消色状態が形成され、白色顔料の色のみ表れる。
これにより、この表示素子は、第2の透明基板8側から観察すると、調光層の背部にある表示層が白色顔料の色による白色表示状態となっているため、その白色表示による光散乱効果により、調光層の発色性に優れることとなる。
【0216】
次に、図18を用いて、図17に示される表示素子の動作について説明する。
図18(a)は、図17に示される表示素子による白色表示を示す概略断面図である。
図18(a)に示すように、調光層には、電圧が印加されており、電荷移動性微粒子10は、プラス電極側(ここでは、第1の電極2A)へ移動している状態である。
一方、表示層では、電圧が印加されておらず、エレクトロクロミック現象による消色状態が形成され、白色顔料の色のみ表れる。
したがって、この表示素子は、第2の透明基板8側から観察すると、表示層中の白色顔料の色のみ表示されることとなる。
【0217】
図18(b)は、図17に示される表示素子による黒色表示を示す概略断面図である。
図18(b)においても、調光層には、電圧が印加されており、電荷移動性微粒子10は、プラス電極側(ここでは、第1の電極2A)へ移動している状態である。
一方、表示層では、電極16をマイナス側、電極19をプラス側として電圧を印加することにより、エレクトロクロミック現象による着色状態が形成される。即ち、マイナス側の電極16の表面に、銀(金属)28が析出した状態となる。
これらの結果、この表示素子は、第2の透明基板8側から観察すると、表示層中の銀28の色、即ち、黒色が表示されることとなる。
【0218】
図19を用いて、本発明の表示素子の第7の実施態様について説明する。
図19に示される表示素子は、上述の(4)エレクトロクロミック現象による消色状態及び着色状態を利用して白色及び黒色の表示を行う表示層と、上述の第4の例である調光層と、を組み合わせた構成を有する。
なお、このような構成の表示素子における調光層については、上述の、3種類の調光単位セル13R、13G、及び13Bを積層した態様(第4の例)として説明しているため、ここでの説明は省略する。
また、表示層の構成についても、上記表示素子の第6の実施態様と同様であるため、ここでの説明は省略する。
【0219】
次に、図20を用いて、図19に示される表示素子の動作について説明する。
図20(a)は、図19に示される表示素子による白色表示を示す概略断面図である。
図20(a)に示すように、調光単位セル13R、13G、及び13Bには、いずれも、電圧が印加されており、赤色(R)の電荷移動性微粒子10、緑色の電荷移動性微粒子11、及び青色(B)電荷移動性微粒子(B)12は、いずれもプラス電極側(ここでは、第1の電極2A)へ移動している状態である。
一方、表示層では、電圧が印加されておらず、エレクトロクロミック現象による消色状態が形成され、白色顔料の色のみ表れる。
これらの結果、この表示素子は、第2の透明基板8B側から観察すると、表示層中の白色顔料の色のみ表示されることとなる。
【0220】
図20(b)は、図19に示される表示素子による黒色表示を示す概略断面図である。
図20(b)においても、調光単位セル13R、13G、及び13Bには、いずれも、電圧が印加されており、赤色(R)の電荷移動性微粒子10、緑色の電荷移動性微粒子11、及び青色(B)電荷移動性微粒子(B)12は、いずれもプラス電極側(ここでは、第1の電極2A)へ移動している状態である。
一方、表示層では、電極16をマイナス側、電極19をプラス側として電圧を印加することにより、エレクトロクロミック現象による着色状態が形成される。即ち、マイナス側の電極16の表面に、銀(金属)28が析出した状態となる。
これらの結果、この表示素子は、第2の透明基板8B側から観察すると、表示層中の銀28の色、即ち、黒色が表示されることとなる。
【0221】
図20(c)は、図19に示される表示素子による緑色(G)表示を示す概略断面図である。
図20(c)においては、調光単位セル13R及び13Bには、いずれも、電圧が印加されており、赤色(R)の電荷移動性微粒子10、及び青色(B)電荷移動性微粒子(B)12は、いずれもプラス電極側(ここでは、第1の電極2A)へ移動している状態である。また、調光単位セル13Gには、電圧が印加されておらず、緑色の電荷移動性微粒子11はセルの内部で分散している状態である。
一方、表示層では、電圧が印加されておらず、エレクトロクロミック現象による消色状態が形成され、白色顔料の色のみ表れる。
これらの結果、この表示素子は、第2の透明基板8B側から観察すると、調光単位セル13Gの緑色(G)が表示されることとなる。なお、ここで、調光層の背部にある表示層が白色顔料の色による白色表示状態となっているため、その白色表示による光散乱効果により、調光単位セル13Gの緑色(G)は発色性に優れるものとなる。
【0222】
図21を用いて、本発明の表示素子の第8の実施態様について説明する。
図21に示される表示素子は、上述の(4)エレクトロクロミック現象による消色状態及び着色状態を利用して白色及び黒色の表示を行う表示層と、上述の第5の例である調光層と、を組み合わせた構成を有する。
なお、このような構成の表示素子における調光層については、上述の、3種類の調光単位セル13R、13G、及び13Bを並列配置した態様(第5の例)として説明しているため、ここでの説明は省略する。
また、表示層の構成についても、上記表示素子の第6の実施態様と同様であるため、ここでの説明は省略する。
【0223】
次に、図22を用いて、図21に示される表示素子の動作について説明する。
図22(a)は、図21に示される表示素子による白色表示を示す概略断面図である。
図22(a)に示すように、調光単位セル13R、13G、及び13Bには、いずれも、電圧が印加されており、赤色(R)の電荷移動性微粒子10、緑色の電荷移動性微粒子11、及び青色(B)電荷移動性微粒子(B)12は、いずれもプラス電極側(ここでは、第1の電極2B)へ移動している状態である。
一方、表示層では、電圧が印加されておらず、エレクトロクロミック現象による消色状態が形成され、白色顔料の色のみ表れる。
これらの結果、この表示素子は、第2の透明基板8側から観察すると、表示層中の白色顔料の色のみ表示されることとなる。
【0224】
図22(b)は、図21に示される表示素子による黒色表示を示す概略断面図である。
図22(b)においても、調光単位セル13R、13G、及び13Bには、いずれも、電圧が印加されており、赤色(R)の電荷移動性微粒子10、緑色の電荷移動性微粒子11、及び青色(B)電荷移動性微粒子(B)12は、いずれもプラス電極側(ここでは、第1の電極2B)へ移動している状態である。
一方、表示層では、電極16をマイナス側、電極19をプラス側として電圧を印加することにより、エレクトロクロミック現象による着色状態が形成される。即ち、マイナス側の電極16の表面に、銀(金属)28が析出した状態となる。
これらの結果、この表示素子は、第2の透明基板8側から観察すると、表示層中の銀28の色、即ち、黒色が表示されることとなる。
【0225】
図22(c)は、図21に示される表示素子による青色(B)表示を示す概略断面図である。
図22(c)においては、調光単位セル13R及び13Gには、いずれも、電圧が印加されており、赤色(R)の電荷移動性微粒子10、及び緑色(G)電荷移動性微粒子(B)11は、いずれもプラス電極側(ここでは、第1の電極2B)へ移動している状態である。また、青色(B)の調光単位セル13Bには、電圧が印加されておらず、青色の電荷移動性微粒子12はセルの内部で分散している状態である。
一方、表示層では、電圧が印加されておらず、エレクトロクロミック現象による消色状態が形成され、白色顔料の色のみ表れる。
これらの結果、この表示素子は、第2の透明基板8側から観察すると、調光単位セル13Bの青色(B)が表示されることとなる。なお、ここで、調光層の背部にある表示層が白色顔料の色による白色表示状態となっているため、その白色表示による光散乱効果により、調光単位セル13Bの青色(B)は発色性に優れるものとなる。
【0226】
以上、本発明の表示素子の様々な実施形態を説明してきたが、本発明はこれらの構成に限定されるものではない。
また、本発明の表示素子は、その用途に応じて、基板には、配線、薄膜トランジスタ、金属・絶縁層・金属構造を持つダイオード、バリアブルコンデンサ、強誘電体等の駆動用スイッチング素子を形成してもよい。
【実施例】
【0227】
以下、本発明を、実施例を挙げて更に具体的に説明する。ただし、これら各実施例は、本発明を制限するものではない。
【0228】
〔実施例1(第1の実施態様)〕
図7及び図8に示される第1の実施形態の表示素子を下記のように作製した。
先ず、透明電極ITO(19)付きガラス基板20(厚さ0.7mm)上に、ポリカーボネート樹脂(PC−Z)を厚さ5μmになるように塗布する。その後、光感光性ポリイミドワニスを用いて、隔壁のための層を塗布した後、露光、及びウエットエッチングにより高さ300μm、幅300μmの隔壁(図示せず)を形成した。前記隔壁の表面に熱融着性の接着剤を形成した後、イソプロピルメトキシシラン処理したチタニアの微粉末を質量比100対0.4の割合で混合した体積平均粒子径20μmの酸化チタン含有架橋ポリメチルメタクリレートの球状微粒子(積水化成品工業製テクポリマーMBX−20−ホワイトを分級)と、体積平均粒子径20μmのカーボン含有架橋含有架橋ポリメチルメタクリレートの球状微粒子(積水化成品工業製テクポリマーMBX−20−ブラックを分級)と、を質量比2対1の割合で混合し、この混合粒子を前記隔壁内に充填した。
【0229】
一方、透明電極ITO(16)付きガラス基板(絶縁層)15(厚さ0.7mm)のガラス面側に、ITOをスパッタリング法により50nmの厚さで成膜し、ライン状にパターンニングし電極2A、4Aを形成した。電極間距離は1mm、ITOの線幅は100μmとした。その後、光感光性ポリイミドワニスを用いて、隔壁のための層を塗布した後、露光、及びウエットエッチングにより高さ50μm、幅20μmの隔壁6を形成した。前記隔壁6と第2の基板8Rとの接合面に熱融着性の接着剤7を形成した後、隔壁6で囲まれたセル内に金コロイド粒子(赤色)10(日本ペイント製ファインスフェアーゴールド、体積平均粒子径20nm)を含む水9を充填した後、片面に厚さ50nmのITOが成膜されたガラス基板(第2の基板)8Rに熱をかけて張り合わせて、金コロイド粒子(赤色)が分散された赤色調光単位セルを作製した。
【0230】
続いて、前記第2の基板8R上に、緑色及び青色調光単位セルを以下のように作製した。
即ち、前記赤色調光単位セルの作製における「ITOのパターニングから第2の基板の張り合わせまでの工程」において、金コロイド粒子(赤色)を用いる代わりに金コロイド粒子(緑色、体積平均粒子径30nm)を用いた以外は、同様の操作を行って、前記赤色調光単位セルの第2の基板8R上に、緑色調光単位セルを作製した。
更に、前記赤色調光単位セルの作製における「ITOのパターニングから第2の基板の張り合わせまでの工程」において、成膜されたITOを有する第2の基板8Rを用いる代わりにITOが成膜されていない第2の基板8Bを用い、更に金コロイド粒子(赤色)を用いる代わりに金コロイド粒子(青色、体積平均粒子径50nm)を用いた以外は、前記赤色調光単位セルを作製する操作と同様に行って青色調光単位セルを作製した。
【0231】
以上のようにして作製したRGBの3色からなる積層構造をした調光素子を、前記混合粒子を隔壁内に充填した基板上に熱をかけながら張り合わせて、表示層と調光層が積層された表示素子を作製した。
このようにして作製した表示素子を用いて、図8(a)に示されるように、表示層用の電極16をプラス側、電極19をマイナス側として400Vの電圧を印加し、更に、調光単位セル13R、13G、及び13Bの電極2Aをプラス側、電極4Aをマイナス側として50Vの電圧を印加し、第2の基板8B側から観察したところ、赤色(R)の電荷移動性微粒子10、緑色の電荷移動性微粒子11、及び青色(B)電荷移動性微粒子(B)12は、いずれもプラス電極側(電極2A)へ移動し、表示層の白色が確認された。
次に、この状態から、図8(b)に示されるように、表示層用の電極16をマイナス側、電極19をプラス側として400Vの電圧を印加したところ、白粒子と黒粒子が移動し、表示素子を第2の基板8B側から観察したところ、表示層の黒色が確認された。
更に、続けて、図8(c)に示されるように、表示層用の電極16をプラス側、電極19をマイナス側として400Vの電圧を印加し、緑色の調光単位セル13Gの電極2A、4Aのみにプラスマイナス50Vの交流電圧を印加した後、緑色の調光単位セル13Gの電圧をOFFしたところ、緑色の調光単位セル13Gのみ、緑色粒子が分散された状態となり、この表示素子を第2の基板8B側から観察したところ、緑色が確認された。
【0232】
〔実施例2(第2の実施態様)〕
図9及び図10に示される第2の実施形態の表示素子を下記のように作製した。
先ず、表示層用の白粒子、黒粒子、及び、表示層は、混合粒子を隔壁(図示せず)内に充填した工程まで、実施例1と同様にして作製した。
一方、透明電極ITO(電極16)付きガラス基板(絶縁層)15(厚さ0.7mm)のガラス面側に、光感光性ポリイミドワニスを用いて、隔壁のための層を塗布した後、露光、及びウエットエッチングにより高さ50μm、幅20μm、隔壁間幅1mmの絶縁壁14を形成した。その後、絶縁壁14の側面にITOが成膜されるように、フォトリソグラフィ工程、スパッタリング工程により、ITO電極2B、4Bを成膜した。その後、前記絶縁壁14と第2の基板8との接合面に熱融着性の接着剤(図示せず)を付与した後、絶縁壁14で囲まれたセル内に金コロイド粒子10(赤色、日本ペイント製ファインスフェアーゴールド、体積平均粒子径20nm)、金コロイド粒子11(緑色、体積平均粒子径30nm)、金コロイド粒子12(青色、体積平均粒子径50nm)を含む水を図9のように充填した後、ガラス基板(第2の基板)8に熱をかけて張り合わせて、RGBの3色が並列に並んだ調光層を作製した。
【0233】
以上のようにして作製したRGBの3色からなる調光素子を、前記混合粒子を隔壁内に充填した基板上に熱をかけながら張り合わせて、表示層と調光層が積層された表示素子を作製した。
このようにして作製した表示素子を用いて、図10(c)に示されるように、表示層用の電極16をプラス側、電極19をマイナス側として400Vの電圧を印加し、更に、赤色調光単位セル13R、青色調光単位セル13Bの電極に、電極2Bをプラス側、電極4Bをマイナス側として50Vの電圧をかけたところ、赤色粒子、及び青色粒子がそれぞれプラス側電極(2B)側へ移動し、第2の基板8側から観察したところ、緑色が確認された。
続いて、図10(a)に示されるように、緑色調光単位セル13Gの電極に、電極2Bをプラス側、電極4Bをマイナス側として50Vの電圧を印加し、この表示素子を第2の基板8側から観察したところ、緑色粒子の移動とともに、表示層の色、即ち、白色が確認された。
次に、この状態から、図10(b)に示されるように、表示層用の電極16をマイナス側、電極19をプラス側として400Vの電圧を印加したところ、白粒子と黒粒子が移動し、この表示素子を第2の基板8側から観察したところ、黒色が確認された。
【0234】
〔実施例3(第3の実施態様)〕
図11及び図12に示される第3の実施形態の表示素子を下記のように作製した。
シリコーンウエハからなる基板上に環化ゴム系樹脂(東京応化製フォトレジストOMR83)を厚さ25μmになるようにバーコート法により塗布し、その後、直径50μmの透明なガラスボールを散布し、熱処理を施してフォトレジストを硬化させることにより、ガラスボールの半球がフォトレジストに埋め込まれた状態にした。次に、この表面にTiCをスパッタリング法により100nm成膜した。続けて、インジウムを抵抗加熱蒸着法により1μm形成した。この後、OMR剥離剤(東京応化製)によりフォトレジストを溶解除去することにより、黒色の層と白色の層が積層された半球面を有し、他方の半球面が透明な白黒反転粒子を形成した。
この白黒反転粒子を2液型シリコーンゴム(ダウコーニング製シルポット184)中に分散させ、ガラス基板上で厚さ100μmの膜状に伸ばし、100℃1時間の条件で加熱硬化させた。次に、白黒反転粒子が分散されたシリコーンゴムをガラス基板より剥離し、粘度1cpsのシリコーンオイル(東芝シリコーン製)中に24時間浸漬し、白黒反転粒子の周辺にキャビティを形成させた後、ITO(19)付きガラス基板20のITO上へ貼り付けた。
【0235】
一方、実施例2と同様に、透明電極ITO(16)付きガラス基板(絶縁層)15(厚さ0.7mm)のガラス面側に、RGBの3色が並列に並んだ調光層を作製し、白黒反転粒子が分散されたシリコーンゴム上に張り合わせることにより表示素子を作製した。
このようにして作製した表示素子を用いて、図12(c)に示されるように、表示層用の電極16にプラス側、電極19をマイナス側として100Vの電圧を印加し、更に、赤色調光単位セル13R、青色調光単位セル13Bの電極に、電極2Bをプラス側、電極4Bをマイナス側として50Vの電圧をかけたところ、赤色粒子、及び青色粒子がそれぞれプラス側電極(2B)側へ移動し、第2の基板8側から観察したところ、緑色が確認された。
更に、続けて、図12(a)に示されるように、緑色調光単位セル13Gの電極に、電極2Bをプラス側、電極4Bをマイナス側として50Vの電圧を印加し、この表示素子を第2の基板8側から観察したところ、緑色粒子の移動とともに、表示層の色、即ち、白色が確認された。
次に、この状態から、図12(b)に示されるように、表示層用の電極16をマイナス側、電極19をプラス側として100Vの電圧を印加したところ、白黒反転粒子が反転し、この表示素子を第2の基板8側から観察したところ、黒色が確認された。
【0236】
〔実施例4(第4の実施態様)〕
図13及び図14に示される第4の実施形態の表示素子を下記のように作製した。
表示層は、特表2004−526210号公報の実施例5〜実施例7に記載の方法を忠実に再現して、白色粒子、黒色粒子、及びこれらのマイクロカプセル化、基板上への形成を行うことにより作製した。
一方、実施例2と同様に、透明電極ITO(16)付きガラス基板(絶縁層)15(厚さ0.7mm)のガラス面側に、RGBの3色が並列に並んだ調光層を作製し、前記表示層上に張り合わせることにより表示素子を作製した。
このようにして作製した表示素子を用いて、図14(c)に示されるように、表示層用の電極16をマイナス側、電極19をプラス側として40Vの電圧を印加し、更に、赤色調光単位セル13R、青色調光単位セル13Bの電極に、電極2Bをプラス側、電極4Bをマイナス側として50Vの電圧をかけたところ、赤色粒子、及び青色粒子がそれぞれプラス側電極(2B)側へ移動し、第2の基板8側から観察したところ、緑色が確認された。
更に、続けて、図14(a)に示されるように、緑色調光単位セル13Gの電極に、電極2Bをプラス側、電極4Bをマイナス側として50Vの電圧を印加し、この表示素子を第2の基板8側から観察したところ、緑色粒子の移動とともに、表示層の色、即ち、白色が確認された。
次に、この状態から、図14(b)に示されるように、表示層用の電極16をマイナス側、電極19をプラス側として4Vの電圧を印加したところ、白黒反転粒子が反転し、この表示素子を第2の基板8側から観察したところ、黒色が確認された。
【0237】
〔実施例5(第4の実施態様)〕
図13及び図14に示される第4の実施形態の表示素子を下記のように作製した。
まず、チタニヤ系カップリング剤(味の素製 KR−TTS)とアルミ系カップリング剤(味の素製 AL−M)で表面処理したチタニヤ粒子(石原産業製)をドデシルベンゼン(関東化学製)に分散し、更に、アントラキノン系染料(中央合成化学製)を加え、分散した。この分散液をアラビヤゴムとゼラチンを溶解した溶液に滴下し、回転速度は1300rpmで撹拌した。次に、酢酸によって溶液のpHを3.7に調節し、その後、氷冷することによってカプセルを析出させた。更に、ホルムアルデヒドを加え、カプセルに架橋構造を形成した。その後、一昼夜撹拌を続けた後、分級することで、粒径50〜60μmのマイクロカプセルを作製した。
作製したマイクロカプセルと、水系エマルジョン型のバインダー材(信越化学製、「ポロン」)と、水とを混合し、水にマイクロカプセル及びバインダー材が分散されたマイクロカプセル分散液を調製した。このとき、マイクロカプセル分散液中のバインダー材の濃度は、5質量%とした。
このようにして作製したマイクロカプセル分散液を、透明電極ITO(19)付きガラス基板20(厚さ0.7mm)上に、ドクターブレード法によって塗布することで、60μmの厚み(マイクロカプセルの平均粒径と略同じ厚み)の表示層を形成した。
【0238】
一方、実施例2と同様に、透明電極ITO(16)付きガラス基板15(厚さ0.7mm)のガラス面側に、RGBの3色が並列に並んだ調光層を作製し、前記表示層上に張り合わせることにより表示素子を作製した。
このようにして作製した表示素子を用いて、図14(c)に示されるように、表示層用の電極16をマイナス側、電極19をプラス側として40Vの電圧を印加し、更に、赤色調光単位セル13R、青色調光単位セル13Bの電極に、電極2Bをプラス側、電極4Bをマイナス側として50Vの電圧をかけたところ、赤色粒子、及び青色粒子がそれぞれプラス側電極(2B)側へ移動し、第2の基板8側から観察したところ、緑色が確認された。
更に、続けて、図14(a)に示されるように、緑色調光単位セル13Gの電極に、電極2Bをプラス側、電極4Bをマイナス側として50Vの電圧を印加し、この表示素子を第2の基板8側から観察したところ、緑色粒子の移動とともに、表示層の色、即ち、白色が確認された。
次に、この状態から、図14(b)に示されるように、表示層用の電極16をマイナス側、電極19をプラス側として4Vの電圧を印加したところ、白黒反転粒子が反転し、この表示素子を第2の基板8側から観察したところ、黒色が確認された。
【0239】
〔実施例6(第5の実施態様)〕
図15及び図16に示される第5の実施形態の表示素子を下記のように作製した。
まず、ペンタカルボニル鉄(USP4,803,143)を250℃でスプレードライして粒子径4μmの鉄粉を準備した。次に、酸化防止剤0.3gとエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂30gとを500gのTHFに溶解し溶液に酸化チタン12g、銅フタロシアニン18g及び上記鉄粉90gを分散させ、この分散液を50℃でスプレードライすることにより粒子径10μmの青色磁性粒子(磁気移動性微粒子24)を得た。
厚さ0.7mmのガラス基板(第1の透明基板1)上に、光感光性ポリイミドワニスを用いて、隔壁のための層を塗布した後、露光、及びウエットエッチングを行うことにより高さ300μm幅200μmの隔壁6を形成した。隔壁6と第2の透明基板8との接合面に熱融着性の接着層7を設けた後、隔壁6内に上記青色磁性粒子を分散させたイソパラフィン溶剤(分散剤25)を充填し、ガラスよりなる第2の透明基板8を接着層7に当接し、その後、熱をかけて張り合わせることにより調光層が形成した。
【0240】
そして、実施例1と同様にして予め作製しておいた、表示層上に得られた調光層を張り合わせることにより表示素子を作製した。
このようにして作製した表示素子を用いて、表示層用の電極16をプラス側、電極19をマイナス側として400Vの電圧を印加したところ、第2の基板8側から観察したところ、表示層中の白色粒子が調光層側へ移動し、調光層の色、即ち、青色が観察された。
更に、続けて、図16に示されるように、調光層の末端に外部から磁石26を近づけたところ、磁気移動性微粒子24が、その磁石26による磁界の影響を受け、磁石26の方向へと移動して、第2の基板8側から観察したところ、表示層の色、即ち、白色として観察された。
次に、磁石26を遠ざけ、磁界の影響をなくすることで、調光層中の磁気移動性微粒子24は、再度、分散状態を形成し、青色が観察された。
【0241】
〔実施例7(第6の実施態様)〕
図17及び図18に示される第6の実施形態の表示素子を下記のように作製した。
厚さ0.7mmのガラス基板20上に、ITOをスパッタリング法により100nmの厚さで成膜して、表示層用の第1の電極19を形成した。
2質量部のAgI、及び3質量部のNaIをジメチルスルホキシド20質量部に溶解し、更に分子量20万のポリエチレンオキシド25質量部及びUV開始剤を7.5質量部溶解して、高分子固体電解質を調製した。次いで、平均粒子径0.25μmの二酸化チタン35質量部を添加し、ビーズミルで均一に分散した液を、上記ITO電極19上に、ドクターブレードにより塗布(厚さ100μm)し、電解質層27を形成した。
【0242】
一方、厚さ0.7mmのガラス基板(絶縁層)15の一方の面に、スパッタリング法により厚さ300nmのパラジオン膜からなる表示層用の第1の電極16を形成した。次いで、ガラス基板15の他方の面に、ITOをスパッタリング法により80nmの厚さで成膜し、フォトリソグラフィー法、及びドライエッチング法によりライン状にパターンニングし、電極2A、4Aを形成した。ITOのライン幅100μmであった。
続いて、電極2A、4Aが設けられた面に、光感光性ポリイミドワニスを用いて隔壁のための層を塗布した後、露光、及びウエットエッチングを行うことにより高さ50μm、幅50μmの隔壁6を形成した。
このように、電極2A、4A、隔壁6、及び表示層用の第1の電極16が設けられたガラス基板15を、上記電解質層27と表示層用の第1の電極16とが当接するようにして、張り合わせた。
【0243】
その後、前記隔壁6とガラス基板15との接合面に熱融着性の接着層7を形成した後、隔壁6で囲まれたセル内に金コロイド粒子10(赤色、日本ペイント製、ファインスフェアゴールド、体積平均粒子径20nm)を含む水9を充填した後、厚さ0.7mmのガラス基板8に熱をかけて張り合わせて、表示素子を作製した。
【0244】
このようにして作製した表示素子は、図17に示されるように、電荷移動性微粒子10は分散状態で赤色を示しているため、ガラス基板8側から観察したところ、赤色として確認された。
続いて、図18(a)に示されるように、電極2Aをプラス側、電極4Aをマイナス側として、40Vの電圧を印加したところ、電荷移動性微粒子10は、マイナスに帯電していたため、電極2A側へと移動した。これにより、表示素子は、ガラス基板8側から観察したところ、背面である表示層中の白色顔料の色が観察された。この白色度をマクベス濃度計にて反射率として評価したところ、65%と良好な値を示した。
その後、この状態から、図18(b)に示されるように、電極16をマイナス側、電極19をプラス側として5Vの電圧を印加したところ、電極16の表面に溶解していた銀イオンが析出して銀の膜28を形成した。これにより、ガラス基板8側から観察したところ、表示素子は、銀の色、黒色が確認された。
【0245】
〔実施例8(第7の実施態様)〕
図19及び図20に示される第7の実施形態の表示素子を下記のように作製した。
実施例7における、高分子固体電解質をドクターブレードにより塗布する工程までを行って、実施例7と同様の、電解質層27を形成した。
次いで、厚さ0.7mmのガラス基板(絶縁層)15の一方の面に、スパッタリング法により厚さ300nmのパラジオン膜からなる表示層用の第1の電極16を形成した。次いで、ガラス基板15の他方の面に、ITOをスパッタリング法により80nmの厚さで成膜し、フォトリソグラフィー法、及びドライエッチング法によりライン状にパターンニングし、電極2A、4Aを形成した。電極間距離1mm、ITOのライン幅100μmであった。
続いて、電極2A、4Aが設けられた面に、光感光性ポリイミドワニスを用いて隔壁のための層を塗布した後、露光、及びウエットエッチングを行うことにより高さ50μm、幅50μmの隔壁6を形成した。
このように、電極2A、4A、隔壁6、及び表示層用の第1の電極16が設けられたガラス基板(絶縁層)15を、上記電解質層27と表示層用の第1の電極16とが当接するようにして、張り合わせた。
【0246】
その後、前記隔壁6と第2の基板8Rとの接合面に熱融着性の接着剤7を形成した後、隔壁6で囲まれたセル内に金コロイド粒子(赤色)10(日本ペイント製ファインスフェアーゴールド、体積平均粒子径20nm)を含む水9を充填した後、片面に厚さ80nmのITOが成膜されたガラス基板8Rに熱をかけて張り合わせて、金コロイド粒子(赤色)が分散された赤色調光単位セルを作製した。
【0247】
続いて、前記第2の基板8R上に、緑色及び青色調光単位セルを以下のように作製した。
即ち、前記赤色調光単位セルの作製における「ITOのパターニングから第2の基板の張り合わせまでの工程」において、金コロイド粒子(赤色)を用いる代わりに金コロイド粒子(緑色、体積平均粒子径30nm)を用いた以外は、同様の操作を行って、前記赤色調光単位セルの第2の基板8R上に、緑色調光単位セルを作製した。
更に、前記赤色調光単位セルの作製における「ITOのパターニングから第2の基板の張り合わせまでの工程」において、成膜されたITOを有する第2の基板8Rを用いる代わりにITOが成膜されていない第2の基板8Bを用い、更に金コロイド粒子(赤色)を用いる代わりに金コロイド粒子(青色、体積平均粒子径50nm)を用いた以外は、前記赤色調光単位セルを作製する操作と同様に行って青色調光単位セルを作製した。
【0248】
このようにして作製した表示素子を用いて、図20(a)に示されるように、調光単位セル13R、13G、及び13Bの電極2Aをプラス側、電極4Aをマイナス側として40Vの電圧を印加し、第2の基板8B側から観察したところ、赤色(R)の電荷移動性微粒子10、緑色の電荷移動性微粒子11、及び青色(B)電荷移動性微粒子(B)12は、いずれもプラス電極側(電極2A)へ移動し、表示層の白色が確認された。そのときの白色度をマクベス濃度計にて反射率として測定したところ、62%と良好な値を示した。
続いて、緑色の調光単位セル13Gの電極2A、4Aのみにプラスマイナス50Vの交流電圧を印加し、その後、図20(c)に示されるように、緑色の調光単位セル13Gの電圧をOFFしたところ、緑色の調光単位セル13Gのみ、緑色粒子が分散された状態となり、この表示素子を第2の基板8B側から観察したところ、緑色が確認された。
更に、この状態から、図20(b)に示されるように、緑色の調光単位セル13Gの電極2A、4Aに、電極2Aをプラス側、電極4Aをマイナス側として40Vの電圧を印加し、また、表示層用の電極16をマイナス側、電極19をプラス側として5Vの電圧を印加したところ、電極16の表面に溶解していた銀イオンが析出して銀の膜28を形成した。これにより、第2の基板8B側から観察したところ、表示素子は、銀の色、黒色が確認された。
【0249】
〔実施例9(第8の実施態様)〕
図21及び図22に示される第8の実施形態の表示素子を下記のように作製した。
実施例7における、高分子固体電解質をドクターブレードにより塗布する工程までを行って、実施例7と同様の、電解質層27を形成した。
次いで、厚さ0.7mmのガラス基板(絶縁層)15の一方の面に、スパッタリング法により厚さ300nmのパラジオン膜からなる表示層用の第1の電極16を形成した。次いで、ガラス基板15の他方の面に、光感光性ポリイミドワニスを用いて隔壁のための層を塗布した後、露光、及びウエットエッチングを行うことにより高さ50μm、幅20μm、1mmの間隔を隔てた絶縁壁14を2つ形成した。
その後、ガラス基板15上の絶縁壁14以外の箇所にITOをスパッタリング法により50nmの厚さで成膜し、フォトリソグラフィー法、及びドライエッチング法によりライン状にパターンニングし、絶縁壁14の側面に接する電極2B、4Bを形成した。ITOのライン幅は1μmであった。
このように、電極2B、4B、及び表示層用の第1の電極16が設けられたガラス基板15を、上記電解質層27と表示層用の第1の電極16とが当接するようにして、張り合わせた。
【0250】
その後、前記絶縁壁14と第2の基板8との接合面に熱融着性の接着剤(図示せず)を付与した後、絶縁壁14で囲まれたセル内に金コロイド粒子10(赤色、日本ペイント製ファインスフェアーゴールド、体積平均粒子径20nm)、金コロイド粒子11(緑色、体積平均粒子径30nm)、金コロイド粒子12(青色、体積平均粒子径50nm)を含む水を、図21のようにそれぞれ充填した後、ガラス基板(第2の透明基板)8に熱をかけて張り合わせて、RGBの3色が並列に並んだ調光層を作製した。
【0251】
このようにして作製した表示素子を用いて、図22(a)に示されるように、調光単位セル13R、13G、及び13Bの電極2Bをプラス側、電極4Bをマイナス側として40Vの電圧を印加し、ガラス基板8側から観察したところ、赤色(R)の電荷移動性微粒子10、緑色の電荷移動性微粒子11、及び青色(B)電荷移動性微粒子(B)12は、いずれもプラス電極側(電極2B)へ移動し、表示層の白色が確認された。そのときの白色度をマクベス濃度計にて反射率として測定したところ、65%と良好な値を示した。
続けて、青色の調光単位セル13Bの電極2B、4Bのみにプラスマイナス50Vの交流電圧を印加し、その後、図22(c)に示されるように、青色の調光単位セル13Bの電圧をOFFしたところ、青色の調光単位セル13Bのみ、青色粒子が分散された状態となり、この表示素子を第2の基板8側から観察したところ、青色が確認された。
更に、この状態から、図22(b)に示されるように、青色の調光単位セル13Bの電極2B、4Bに、電極2Bをプラス側、電極4Bをマイナス側として40Vの電圧を印加し、また、表示層用の電極16をマイナス側、電極19をプラス側として5Vの電圧を印加したところ、電極16の表面に溶解していた銀イオンが析出して銀の膜28を形成した。これにより、第2の基板8側から観察したところ、表示素子は、銀の色、黒色が確認された。
【図面の簡単な説明】
【0252】
【図1】白黒反転粒子の構造の例示的一態様を示す概略断面図であり、(A)は白色表示の状態を示し、(B)は黒色表示の状態を示す。
【図2】本発明における調光層の第1の例を示す概略断面図である。
【図3】本発明における調光層の第2の例を示す概略断面図である。
【図4】本発明における調光層の第3の例を示す概略断面図である。
【図5】本発明における調光層の第4の例を示す概略断面図である。
【図6】本発明における調光層の第5の例を示す概略断面図である。
【図7】本発明の表示素子の第1の実施態様を説明するための概略断面図である。
【図8】図7に示される表示素子の動作を説明するための概略断面図である。
【図9】本発明の表示素子の第2の実施態様を説明するための概略断面図である。
【図10】図9に示される表示素子の動作を説明するための概略断面図である。
【図11】本発明の表示素子の第3の実施態様を説明するための概略断面図である。
【図12】図11に示される表示素子の動作を説明するための概略断面図である。
【図13】本発明の表示素子の第4の実施態様を説明するための概略断面図である。
【図14】図13に示される表示素子の動作を説明するための概略断面図である。
【図15】本発明の表示素子の第5の実施態様を説明するための概略断面図である。
【図16】図15に示される表示素子の動作を説明するための概略断面図である。
【図17】本発明の表示素子の第6の実施態様を説明するための概略断面図である。
【図18】図17に示される表示素子の動作を説明するための概略断面図である。
【図19】本発明の表示素子の第7の実施態様を説明するための概略断面図である。
【図20】図19に示される表示素子の動作を説明するための概略断面図である。
【図21】本発明の表示素子の第8の実施態様を説明するための概略断面図である。
【図22】図21に示される表示素子の動作を説明するための概略断面図である。
【符号の説明】
【0253】
1 第1の透明基板(第1の基板)
2 第1の電極
4 第2の電極
5 絶縁層
6 隔壁
7 接着層
8 第2の透明基板(第2の基板)
9 絶縁性液体
10 電荷移動性微粒子(R)
11 電荷移動性微粒子(G)
12 電荷移動性微粒子(B)
13R、13G、13B 調光単位セル
14 絶縁壁
15 絶縁層
16 表示層用の第2の電極
17 白色粒子
18 黒色粒子
19 表示層用の第1の電極
20 基板
21 白黒反転粒子
22 支持体
23 マイクロカプセル
24 磁気移動性微粒子
25 分散剤
26 磁石(磁界発生装置)
27 電解質層(エレクトロクロミック層)
28 銀の膜(析出した金属)
101 透明球体
102 黒色層
103 白色層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
白色又は黒色を選択的に表示する表示層と、該表示層上に設けられた、分散状態で発色性を呈する移動性微粒子を含む調光層と、を有することを特徴とする表示媒体。
【請求項2】
前記調光層が複数の調光単位セルからなり、該複数の調光単位セルは前記表示層上に積層されていることを特徴とする請求項1に記載の表示媒体。
【請求項3】
前記調光層が複数の調光単位セルからなり、該複数の調光単位セルは前記表示層に対し並列に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の表示媒体。
【請求項4】
前記複数の調光単位セルが、赤色を呈する調光単位セル、緑色を呈する調光単位セル、及び青色を呈する調光単位セルを含むことを特徴とする請求項2に記載の表示媒体。
【請求項5】
前記複数の調光単位セルが、赤色を呈する調光単位セル、緑色を呈する調光単位セル、及び青色を呈する調光単位セルを含むことを特徴とする請求項3に記載の表示媒体。
【請求項6】
前記移動性微粒子が高分子樹脂中に分散されていることを特徴とする請求項1に記載の表示媒体。
【請求項7】
前記移動性微粒子が電荷移動性微粒子であることを特徴とする請求項1に記載の表示媒体。
【請求項8】
前記電荷移動性微粒子がプラズモン発色機能を有する金属コロイド粒子であることを特徴とする請求項7に記載の表示媒体。
【請求項9】
前記金属コロイド粒子を構成する金属が金又は銀であることを特徴とする請求項8に記載の表示媒体。
【請求項10】
前記電荷移動性微粒子の体積平均粒径が1〜100nmであることを特徴とする請求項7に記載の表示媒体。
【請求項11】
前記電荷移動性微粒子の体積平均粒径が2〜50nmであることを特徴とする請求項10に記載の表示媒体。
【請求項12】
前記表示層が、一対の基板間の空隙に白色粒子及び黒色粒子を封入した構成を含むことを特徴とする請求項1に記載の表示媒体。
【請求項13】
前記表示層が、白色顔料を含有するエレクトロクロミック層を含むことを特徴とする請求項1に記載の表示媒体。
【請求項14】
前記エレクトロクロミック層が、金属イオン及び電解質を含有することを特徴とする請求項13に記載の表示媒体。
【請求項15】
前記金属イオンが銀イオンであることを特徴とする請求項14に記載の表示媒体。
【請求項16】
白色又は黒色を選択的に表示する表示層と、該表示層上に設けられた、分散状態で発色性を呈する移動性微粒子を含む調光層と、前記表示層に接続する一対の電極と、前記調光層に近接して設けられる微粒子移動手段と、有することを特徴とする表示素子。
【請求項17】
前記微粒子移動手段が、前記調光層に接続する一対の電極であることを特徴とする請求項16に記載の表示素子。
【請求項18】
前記調光層に接続する一対の電極のうち少なくとも一方が、該調光層の外周端部の一部に設けられていることを特徴とする請求項17に記載の表示素子。
【請求項19】
前記調光層が複数の調光単位セルからなり、該複数の調光単位セルは前記表示層上に積層されていることを特徴とする請求項16に記載の表示素子。
【請求項20】
前記調光層が複数の調光単位セルからなり、該複数の調光単位セルは前記表示層に対し並列に配置されていることを特徴とする請求項16に記載の表示素子。
【請求項21】
前記複数の調光単位セルが、赤色を呈する調光単位セル、緑色を呈する調光単位セル、及び青色を呈する調光単位セルを含むことを特徴とする請求項19に記載の表示素子。
【請求項22】
前記複数の調光単位セルが、赤色を呈する調光単位セル、緑色を呈する調光単位セル、及び青色を呈する調光単位セルを含むことを特徴とする請求項20に記載の表示素子。
【請求項23】
前記移動性微粒子が高分子樹脂中に分散されていることを特徴とする請求項16に記載の表示素子。
【請求項24】
前記移動性微粒子が電荷移動性微粒子であることを特徴とする請求項16に記載の表示素子。
【請求項25】
前記電荷移動性微粒子がプラズモン発色機能を有する金属コロイド粒子であることを特徴とする請求項24に記載の表示素子。
【請求項26】
前記金属コロイド粒子を構成する金属が金又は銀であることを特徴とする請求項25に記載の表示素子。
【請求項27】
前記電荷移動性微粒子の体積平均粒径が1〜100nmであることを特徴とする請求項24に記載の表示素子。
【請求項28】
前記電荷移動性微粒子の体積平均粒径が2〜50nmであることを特徴とする請求項27に記載の表示素子。
【請求項29】
前記表示層が、一対の基板間の空隙に白色粒子及び黒色粒子を封入した構成を含むことを特徴とする請求項16に記載の表示素子。
【請求項30】
前記表示層が、白色顔料を含有するエレクトロクロミック層を含むことを特徴とする請求項16に記載の表示素子。
【請求項31】
前記エレクトロクロミック層が、金属イオン及び電解質を含有することを特徴とする請求項30に記載の表示素子。
【請求項32】
前記金属イオンが銀イオンであることを特徴とする請求項31に記載の表示素子。
【請求項33】
白色又は黒色を選択的に表示する表示層と、該表示層上に設けられた、分散状態で発色性を呈する移動性微粒子を含む調光層と、を有する表示媒体を用いた表示方法であって、
前記表示層が白色を表示し、かつ、前記調光層が移動性微粒子の非分散状態により白色を表示する工程と、
前記表示層が黒色を表示し、かつ、前記調光層が移動性微粒子の非分散状態により黒色を表示する工程と、
前記表示層が白色を表示し、かつ、前記調光層が移動性微粒子の分散状態により発色する工程と、
から少なくとも1以上の工程を選択することを特徴とする表示方法。
【請求項34】
前記表示層が、一対の基板を有し、該一対の基板間の空隙に白色粒子及び黒色粒子を封入しており、該白色粒子のみを前記一対の基板の調光層側に移動させて白色を表示する、又は、該黒色粒子のみを前記一対の基板の調光層側に移動させて黒色を表示することを特徴とする請求項33に記載の表示方法。
【請求項35】
前記表示層が、白色顔料を含有するエレクトロクロミック層を有し、該エレクトロクロミック層を消色状態にして該白色顔料により白色を表示する、又は、該エレクトロクロミック層を着色状態にして黒色を表示することを特徴とする請求項33に記載の表示方法。
【請求項36】
前記着色状態が前記エレクトロクロミック層中の金属イオンが析出することによるものであることを特徴とする請求項35に記載の表示方法。
【請求項37】
前記金属イオンが銀イオンであることを特徴とする請求項36に記載の表示方法。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図1】
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【公開番号】特開2007−86729(P2007−86729A)
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−114745(P2006−114745)
【出願日】平成18年4月18日(2006.4.18)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.セルフォック
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】