説明

表示用パネル及び電子機器

【課題】簡易な構成で光の色を変更する。
【解決手段】本発明は、音楽再生装置1は、表示用パネル4を、FL管5の表示領域5a及び当該表示領域5aの周囲にパネル背面4aを向けて配置し、当該表示用パネル4のパネル背面4aの中でFL管5の表示領域5aに対応する表示対応領域4axに、表示対象5bを表示することに応じて表示領域5aから発せられた表示光から緑色の光を吸収して減衰する表示光変更塗料を塗布して、表示光変更膜MAを形成するようにしたことにより、表示領域5aに表示された表示対象5bの発した表示光から緑色の光を吸収して減衰するフィルタ板を設けることなく、表示光の色を変更でき、かくして、簡易な構成で光の色を変更できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は表示用パネル及び電子機器に関し、例えばオーディオコンポやプリンタ、電卓の表示部に用いられる表示用パネルに適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電気機器には、当該電気機器のメンテナンスの要求等をLED(Light Emitting Diode)の発光により示す表示部が設けられており、表示部や当該表示部の周囲に背面を向けるようにして、例えばプラスチックから形成された光透過性の板状の表示用パネルが設けられていた。そして電気機器は、表示用パネルの正面側から、当該表示用パネルを介して、表示部におけるLEDの発光をユーザに視認させることで、当該電気機器のメンテナンスが必要であることを通知するようになされていた(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−372935公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、従来、電気機器としては、表示部として、可視光のうち緑色の成分が他の色の成分に比して強い光を発光するFL(Fluorescent Luminescence)管が用いられるものがある。この場合、FL管が発光することによって当該FL管の表示領域に表示される文字や数字等(以下、これらを表示対象と呼ぶ)の色(以下、これを表示色と呼ぶ)は、FL管が可視光のうち緑色の成分が多い光を発光していることから、可視光のうち緑以外の他の色成分が含まれているにもかかわらず、全体として緑っぽい色(以下、これを単に緑色と呼ぶ)に見える。
【0004】
また従来、表示用パネルR1には、図1に示すように、表示部としてFL管R2が用いられている場合に、当該表示用パネルR1の背面R1aの中でFL管R2の表示領域R2aと対向する領域に対し、ワインカラー色に着色されたプラスチックから形成された光透過性のフィルタ板R3が設けられているものがある。このフィルタ板R3は、ワインカラー色の着色により、可視光のうち赤色及び青色の光を透過させると共に緑色の光を吸収して減衰させるように作用する。従って、フィルタ板R3は、FL管R2の表示領域R2aに対する表示対象R2bの表示に応じて当該表示領域R2aから発せられた光(すなわちFL管から発光された緑色の光であり、以下これを表示光と呼ぶ)が当該フィルタ板R3を透過するときに、当該表示光から緑色の成分を吸収して減衰させることができる。
【0005】
これにより、従来の表示用パネルR1は、表示対象R2bを表示することに応じてFL管R2の表示領域R2aから発せられた緑色の表示光を透過するときに、当該表示用パネルR1に設けられたワインカラー色のフィルタ板R3によって表示光から緑色の光を吸収して減衰することができ、あたかも表示光の緑色に対してフィルタ板のワインカラー色を光合成したかのように、表示光を緑色から白色に変更していた。
【0006】
ところがこの場合、表示用パネルR1は、表示光を緑色から白色に変更するために、フィルタ板R3を設ける必要があり、部品点数が増えて構成が煩雑になるという問題があった。
【0007】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、簡易な構成で光の色を変更する表示用パネル及び電子機器を実現する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる課題を解決するため本発明においては、表示部を有する電子機器に設けられる表示用パネルにおいて、表示部の表示領域及び当該表示領域の周囲に背面を向けて配置された光透過性の板部を有し、表示領域に対応する板部の正面及び又は背面の表示対応領域に、表示領域の発した表示光の色を変更する表示光変更膜を形成するようにした。
【0009】
これにより、表示領域の発した表示光の色を変更するフィルタ板を設けることなく、表示光の色を変更できる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、表示部を有する電子機器に設けられる表示用パネルにおいて、表示部の表示領域及び当該表示領域の周囲に背面を向けて配置された光透過性の板部を有し、表示領域に対応する板部の正面及び又は背面の表示対応領域に、表示領域の発した表示光の色を変更する表示光変更膜を形成するようにしたことにより、表示領域の発した表示光の色を変更するフィルタ板を設けることなく、表示光の色を変更でき、かくして、簡易な構成で光の色を変更し得る表示用パネル及び電子機器を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
(1)音楽再生装置の外観構成
図2において、1は全体として音楽再生装置を示す。かかる音楽再生装置1は、装置本体部2と、当該装置本体部2を挟むようにして設けられた一対のスピーカ3から構成されている。装置本体部2は、その本体正面2Aの略中央に、表示部としてのFL(Fluorescent Luminescence)管5が設けられている。また装置本体部2には、FL管5の表示領域を含む装置本体部2の本体正面2Aの略上半分をまとめて覆うようにして、当該FL管5の表示領域5aよりも大きい光透過性の表示用パネル4が設けられており、ユーザが本体正面2A側から見たときに、表示用パネル4を介してFL管5の表示領域5aを見ることができるようになされている。
【0012】
また、装置本体部2の本体正面2Aにおいて、表示用パネル4におけるFL管5よりも右側には、音楽の音量を調節するボリューム6が設けられている。さらに表示用パネル4におけるFL管5よりも左側には、当該音楽再生装置1の起動と停止とを示す電源ランプ7が設けられている。さらに装置本体部2の本体正面2Aにおいて、表示用パネル4の下方には、CD(Compact Disk)等の光ディスクを再生する光ディスクドライブ8が設けられており、当該光ディスクドライブ8のトレーの端部が装置本体部2の本体正面2Aに露出している。
【0013】
さらに装置本体部2は、その本体上面2Bに、音楽の再生、停止、早送り及び巻き戻し等の操作を行うための各種操作ボタン9が設けられている。
【0014】
(2)音楽再生装置の回路構成
つづいて、上述した外観構成をなす音楽再生装置1の回路構成について、図3を用いて説明する。音楽再生装置1は、制御部20が、記憶部21から読み出したプログラムに従って全体を統括的に制御すると共に各種処理を実行するようになされている。
【0015】
この音楽再生装置1の制御部20は、光ディスクドライブ8に光ディスクが装填された状態で、各種操作ボタン9及びボリューム6である操作部22を介して、光ディスクドライブ8に装填された光ディスクに記憶されている音楽データを再生する操作が行われたことを認識すると、これに応じて光ディスクから音楽データを読み出し、これを音声処理部23に入力する。音声処理部23は、音楽データに対して再生処理を施すことで音楽信号を得て、この音楽信号をスピーカ3に送出する。この結果、このスピーカ3から音楽信号に基づく音楽が放音される。このようにして、音楽再生装置1は、光ディスクに記憶されている音楽データを聴かせるようになされている。
【0016】
さらに、このような音楽データの再生時、音楽再生装置1の制御部20は、音楽データの再生順序や音量レベルを示す情報を、FL管5である表示部24に表示するようにもなされている。
【0017】
(3)FL管の構成
次いで、図4を用いて、FL管5の構成を説明する。かかるFL管5は、表示領域5aにおいて、例えば、縦に2つ繋がった正方形の各辺に対して発光素子30がそれぞれ配置されることで、例えば「a〜z」のようなアルファベットからなる文字や、「0〜9」の数字を示せるようになされており、表示領域5a全体で複数の文字を示せるように多数の発光素子が設けられている。そしてFL管5は、意味のある文字や文字列、数字等を示すように、各発光素子30を発光させることで、表示領域5aに対して意味のある文字や文字列、数字等(以下、これらを表示対象と呼ぶ)5bを表示するようになされている。
【0018】
またFL管は、可視光のうち緑色の成分が他の色の成分に比して強い光を発光している。従って、FL管5が発光することによって表示領域5aに表示される表示対象5bの色(以下、これを表示色と呼ぶ)は、可視光のうち緑以外の他の色成分が含まれているにもかかわらず、全体として緑っぽい色(以下、これを単に緑色と呼ぶ)に見える。
【0019】
(4)表示用パネルの構成
次いで、図5を用いて、表示用パネル4の構成を説明する。かかる表示用パネル4は、ポリカーボネート等のプラスチック材料から形成された透明な板材でなり、ユーザが装置本体部2を本体正面側から見たときの当該表示用パネル4の正面(以下、これをパネル正面と呼ぶ)4bから背面(以下、これをパネル背面と呼ぶ)4a、又はパネル背面4aからパネル正面4bにかけて光を透過するようになされている。また表示用パネル4は、当該表示用パネル4のパネル正面4bがFL管5の表示領域5aよりも大きく選定されていることにより、音楽再生装置1の装置本体部2の本体正面2Aの略上半分をまとめて覆うと共に、当該表示用パネル4のパネル背面4a側の略中央が、FL管5の表示領域5aと対向するように音楽再生装置1に設けられている。
【0020】
これにより表示用パネル4は、FL管5の表示領域5aに対する表示対象5bの表示に応じて当該表示領域5aから発せられた光(以下、これを表示光と呼ぶ)を、当該表示用パネル4のパネル背面4a側からパネル正面4b側へと透過することができる。すなわち表示用パネル4は、当該表示用パネル4を介して、パネル背面4a側に設けられているFL管5の表示領域5aに表示されている表示対象5bをユーザに見せることができる。
【0021】
ここで、表示用パネル4のパネル背面4aのうち、FL管5の表示領域5aと対向することで当該表示領域5aと対応する領域(以下、これを表示対応領域と呼ぶ)4axには、FL管5の表示領域5aから発せられた表示光の色を変更する塗料(以下、これを表示光変更塗料と呼ぶ)が塗布されることで、FL管5の表示領域5aから発せられた表示光の色を変更する光透過性の膜(以下、これを表示光変更膜と呼ぶ)MAが予め形成されている。
【0022】
かかる表示光変更塗料には、可視光のうち赤色及び青色の成分(すなわち光)を透過すると共に緑色の光を吸収して減衰させるワインカラー色の光透過性の塗料と、可視光の各色の光を同程度に吸収して減衰させる(すなわち、可視光全体の明るさを低減する)グレースモーク色の光透過性の塗料とが混入されており、その結果、表示用パネル4のパネル背面4aの表示対応領域4axに形成された表示光変更膜MAは、FL管5から発せられた表示光を透過するときに、表示光のうち緑色の光を吸収して減衰させると共に、表示光全体の明るさを低減するようになされている。ちなみに、ここで言う光透過性の表示光変更膜MAとは、例えば、かかる表示光変更膜MAを介してFL管5の表示領域5aに表示されている表示対象5bを見たときに、表示光の色は変更されていても、表示対象5bの形状をそのまま視認できるような膜のことを指す。
【0023】
これにより表示用パネル4は、図6に示すように、FL管5の表示領域5aに表示対象5bが表示され、当該表示対象5bの表示色に応じた緑色の表示光が当該表示用パネル4を透過するとき、パネル背面4aの表示対応領域4axに形成された表示光変更膜MAのワインカラー色によって表示光から緑色の光を吸収して減衰することができ、あたかも表示光の緑色に対してフィルタ板のワインカラー色を光合成したかのように、表示光を緑色から白色に変更することができる。その結果、表示用パネル4は、例えば、可視光のうち赤色及び青色の光を透過すると共に緑色の光を吸収して減衰させるワインカラー色のフィルタ板を設けることなく、表示光変更膜MAにより表示光を緑色から白色に変更することができ、その結果、簡易な構成で表示光の色を緑色から白色に変更することができる。
【0024】
また表示用パネル4は、FL管5の表示領域5aに表示対象5bが表示され、当該表示対象5bの表示色に応じた緑色の表示光が当該表示用パネル4を透過するとき、パネル背面4aの表示対応領域4axに形成された表示光変更膜MAのグレースモーク色の成分によって表示光の明るさ(例えば、FL管5の表示領域5aにおける発光素子30の発光に応じたギラツキ)を低減して、発光している発光素子30とそれ以外との境界を見易くすることができ、その結果、表示対象5bを見易くすることができる(図6)。
【0025】
ところで、FL管5の表示領域5aにおいて、発光していない発光素子30からは、外部から入射した光や表示対象5bの表示光が反射することに応じた光(以下、これを反射光と呼ぶ)が発せられている。
【0026】
表示用パネル4は、表示領域5a上の発光していない発光素子30から反射された、外部から入射した光や表示対象5bの表示光に応じた反射光が当該表示用パネル4を透過するとき、パネル背面4aの表示対応領域4axに形成された表示光変更膜MAのグレースモーク色によって反射光の明るさを低減して見え難くすることができ、その結果、表示領域5a上の発光していない発光素子30をユーザに見せてしまうことを極力回避できる(図6)。
【0027】
ところで、FL管5の周囲には、例えば、かかるFL管5に信号や電源を供給するための配線や、FL管5を固定するためのネジ、他の基板、装置本体部2の外枠といった部品(以下、これを周囲部品と呼ぶ)が存在している。かかる周囲部品からは、表示対象5bの表示光が反射することに応じた反射光が反射されている。
【0028】
ここで、表示用パネル4のパネル背面4aのうち、周囲部品と対向することで当該周囲部品と対応する領域(以下、これを周囲対応領域と呼ぶ)4ayには、光を遮光する遮光性の黒色の塗料(以下、これを遮光塗料と呼ぶ)が塗布されることで、周囲部品から発せられた、表示光に応じた反射光を遮光する膜(以下、これを遮光膜と呼ぶ)MBが予め形成されている(図5及び図6)。
【0029】
これにより表示用パネル4は、FL管5の表示領域5aに表示対象5bが表示されたことに応じ、周囲部品から発せられた、表示光に応じた反射光が当該表示用パネル4を透過するとき、パネル背面4aの周囲対応領域4ayに形成された遮光膜MBによって反射光を遮光して、ユーザに見せないようにすることができる。その結果、表示用パネル4は、例えば、光を遮光する遮光性の黒色の遮光板を設けることなく、表示光に応じた反射光を遮光してユーザに見せないようにすることができ、かくして、簡易な構成で遮光することができる。
【0030】
かかる構成に加えて、表示用パネル4のパネル背面4aにおいて表示対応領域4axは、当該表示対応領域4axの横方向が、FL管5の表示領域5aの横方向よりも僅かに広く設定されている。すなわち、表示対応領域4axに形成された表示光変更膜MAは、当該表示光変更膜MAの横方向が、FL管5の表示領域5aの横方向よりも僅かに広く設定されており、図7に示すように、装置本体部2の本体正面側から所定の角度(以下、これを視野角度と呼ぶ)θだけ斜め横方向からユーザに見られたときに、遮光膜MBで遮ることなく、FL管の表示領域5aの横方向の端から端までの全体を見せるようになされている。
【0031】
これにより表示用パネル4は、装置本体部2の本体正面側から視野角度θまでの斜め横方向からユーザに見られたときに、表示光変更膜MAを介して、遮光膜MBで遮ることなくFL管の表示領域5aの横方向の端から端までの全体をユーザに見せることができる。
【0032】
また、表示用パネル4は、表示対応領域4axに表示光変更塗料を塗布し、表示用パネル4の周囲対応領域4ayに黒色塗料を塗布することで、表示光変更膜MAと遮光膜MBとが形成されていることにより、設計変更等に応じて視野角度θを変更したい場合に、表示光変更塗料及び遮光塗料を塗布する領域の広さを変更するだけで、視野角度θを変更でき、その結果、簡易に視野角度を変更できる。
【0033】
(5)動作及び効果
以上の構成において音楽再生装置1は、パネル背面4aの中でFL管5の表示領域5aと対応する表示対応領域4axに対して表示光変更膜MAが形成された表示用パネル4を設けている。
【0034】
また表示光変更膜MAは、可視光のうち赤色及び青色の光を透過すると共に緑色の光を吸収して減衰させるワインカラー色の光透過性の表示光変更塗料が塗布されたことで形成されている。
【0035】
従って、音楽再生装置1は、可視光のうち赤色及び青色の光を透過すると共に緑色の光を吸収して減衰させるワインカラー色のフィルタ板を設けることなく、表示光変更膜MAにより表示光を緑色から白色に変更することができ、その結果、簡易な構成で表示光の色を緑色から白色に変更することができる。
【0036】
以上の構成によれば、音楽再生装置1は、表示用パネル4を、FL管5の表示領域5a及び当該表示領域5aの周囲にパネル背面4aを向けて配置し、当該表示用パネル4のパネル背面4aの中でFL管5の表示領域5aに対応する表示対応領域4axに対し、表示対象5bを表示することに応じて表示領域5aから発せられた表示光から緑色の光を吸収して減衰する表示光変更塗料を塗布して、表示光変更膜MAを形成するようにしたことにより、表示領域5aに表示された表示対象5bの発した表示光から緑色の成分を吸収して減衰するフィルタ板を設けることなく、表示光の色を変更でき、かくして、簡易な構成で光の色を変更できる。
【0037】
また音楽再生装置1は、表示用パネル4を、FL管5の表示領域5a及び当該表示領域5aの周囲にパネル背面4aを向けて配置し、当該表示用パネル4のパネル背面4aの中でFL管5の表示領域5aに対応する表示対応領域4axに、表示領域5aに表示された表示対象5bの発した表示光の各色の成分を同程度に吸収して減衰させる表示光変更塗料を塗布して、表示光変更膜MAを形成するようにしたことにより、表示領域5a上の発光していない発光素子30から発せられた、外部から入射した光や表示対象5bの表示光に応じた反射光が当該表示用パネル4を透過するとき、反射光の明るさを低減して見え難くすることができ、その結果、表示領域5a上の発光していない発光素子30をユーザに見せてしまうことを極力回避できる。
【0038】
さらに音楽再生装置1は、表示用パネル4のパネル背面4aのうち、周囲部品と対向することで当該周囲部品と対応する周囲対応領域4ayに、光を遮光する遮光性の黒色の遮光塗料を塗布して、周囲部品から発せられた、表示光に応じた反射光を遮光する遮光膜MBを形成するようにしたことにより、光を遮光する遮光性の黒色の遮光板を設けることなく、表示光に応じた反射光を遮光して、ユーザに見せないようにすることができ、その結果、簡易な構成で遮光することができる。
【0039】
さらに音楽再生装置1は、表示用パネル4のパネル背面4aにおいて表示対応領域4axは、当該表示対応領域4axの横方向が、FL管5の表示領域5aの横方向よりも僅かに広く設定されるようにしたことにより、装置本体部2の本体正面側から視野角度θまでの斜め横方向からユーザに見られたときに、表示光変更膜MAを介して、遮光膜MBで遮ることなくFL管の表示領域5aの横方向の端から端までの全体をユーザに見せることができ、その結果、表示を見易くできる。
【0040】
(6)他の実施の形態
なお上述した実施の形態においては、表示光の色を変更するために、表示用パネル4の表示対応領域4axに対して緑色の光を吸収して減衰させる表示光変更塗料を塗布することにより、緑色の光を吸収して減衰させる表示光変更膜MAを形成するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、緑色の光を吸収して減衰させる表示光変更膜MAを、真空蒸着等の手法により蒸着して形成するようにしても良い。また、真空蒸着等の手法を用いる場合、緑色の光を反射して減衰させるような反射膜(例えば、誘電体多層薄膜)を蒸着して形成するようにしても良く、その場合も、上述の実施の形態と同様の効果を得ることができる。また、表示光変更膜MAにより吸収(又は反射)して減衰させる光の色は、緑色でなくても良く、さらには複数の色の光をまとめて吸収(又は反射)して減衰させるようにしても良い。
【0041】
また上述した実施の形態においては、表示光変更膜MAを、表示用パネル4のパネル背面4aの表示対応領域4axに形成するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、表示用パネル4のパネル正面4bの中で表示対応領域4axの裏側に対応する領域に表示光変更膜MAを形成しても良い。また、表示光変更膜MAを形成するのはパネル背面4a及びパネル正面4bの一方だけであっても良いし、両方であっても良い。
【0042】
また上述した実施の形態においては、黒色の遮光膜MBを、表示用パネル4のパネル背面4aの周囲応領域4ayに形成するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、表示用パネル4のパネル正面4bの中で周囲応領域4ayの裏側に対応する領域に遮光膜MBを形成しても良い。また、遮光膜MBを形成するのはパネル背面4a及びパネル正面4bの一方だけであっても良いし、両方であっても良い。さらに遮光膜MBは、黒色でなくても良く、光を遮光できれば何色でも良い。
【0043】
さらに上述した実施の形態においては、表示部としてFL管5を用いるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、LED(Light Emitting Diode)やLD(Laser Diode)、バックライト付き液晶、有機EL(Electro Luminescence)、フィラメント発光、蛍光発光等を用いても良い。その場合も、表示対象5bから発せられた表示光の色を最終的に白色に変更できるように調色した表示光変更膜MAを形成することで、上述した実施の形態と同様の効果を得ることができる。また、最終的に変更する表示光の色は何色でも良い。つまりは、表示用パネル4のパネル背面4aの表示対応領域4axに形成された表示光変更膜MAにより、表示対象を表示することにより表示部の表示領域から発せられた表示光の色が変更できれば、変更前の表示光の色及び変更後の表示光の色は何でも良い。
【0044】
さらに上述した実施の形態においては、表示用パネル4は、光透過性のポリカーボネートから形成されている場合について述べたが、本発明はこれに限らず、表示用パネル4の材料としては、光透過性のアクリル、ポリプロピレン、エポキシ樹脂、及び石英ガラス等、この他種々の材料を用いるようにしても良い。また、表示用パネル4は、所定の色に着色された光透過性の材料から形成されていても良い。この場合、例えば表示用パネル4がグレースモーク色に着色された光透過性の材料から形成されている場合には、表示用パネル4のパネル背面4aの表示対応領域4axには、ワインカラー色の光透過性の塗料を塗布して表示光変更膜MAを形成するだけで、上述した実施の形態と同様の効果を得ることができる。ちなみに、ここで言う光透過性の材料とは、例えば、かかる材料を介してFL管5の表示領域5aに表示されている表示対象5bを見たときに、色は変更されていても、表示対象5bの形状をそのまま視認できるような材料のことを指す。
【0045】
さらに上述した実施の形態においては、表示用パネル4及びFL管5を装置本体部2の本体正面2Aに設けるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、表示用パネル4及びFL管5を設けるのは、装置本体部2の裏面や側面、上面であっても良く、さらにはスピーカ3の裏面や側面、上面であっても良く、表示用パネル4及びFL管5を設ける位置や方向は、装置のどこであっても良い。
【0046】
さらに上述した実施の形態においては、表示光変更膜MAが、表示対応領域4axの全体を透過する表示光の色を変更するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、表示対応領域4axを複数の部分に分割して、各部分毎に、表示光を別の色に変更するようにしても良い。
【0047】
さらに上述した実施の形態においては、表示用パネル4のパネル背面4aにおいて表示対応領域4axは、当該表示対応領域4axの横方向が、FL管5の表示領域5aの横方向よりも僅かに広く設定されるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、表示用パネル4のパネル背面4aにおいて表示対応領域4axは、当該表示対応領域4axの縦方向が、FL管5の表示領域5aの縦方向よりも僅かに広く設定されるようにしても良い。また、表示用パネル4のパネル背面4aにおいて表示対応領域4axは、当該表示対応領域4axの縦方向及び横方向が、FL管5の表示領域5aの縦方向及び横方向よりも僅かに広く設定されるようにしても良い。
【0048】
さらに上述した実施の形態においては、1つの表示部としてのFL管5の表示領域5aに対向するように表示用パネル4を設けるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、複数の表示部の表示領域に対向するように表示用パネル4を設けるようにしても良い。具体的には、図7に示すように、上述した実施の形態のFL管5に加えて、液晶により表示対象を表示する液晶表示部15と、LED発光により表示を行うLED25とを、表示用パネル4のパネル背面4aに対向するように設けても良い。この場合、表示用パネル4のパネル背面4aのうち、FL管5の表示領域5aと対向する表示対応領域4ax(以下、これを第1の表示対応領域20と呼ぶ)には、上述したように、緑色の光を吸収して減衰させる表示光変更膜MAを形成する。これに対し、表示用パネル4のパネル背面4aのうち液晶表示部15の表示領域15aと対向する表示対応領域4ax(以下、これを第2の表示対応領域21と呼ぶ)には、何も形成せずに、当該液晶表示部15の表示領域15aに表示される表示対象15bから発せられた表示光の色を変更しないようにすると共に、表示用パネル4のパネル背面4aのうちLED25の表示領域25aと対向する表示対応領域4ax(以下、これを第3の表示対応領域22と呼ぶ)にも、何も塗布せずに、LED25から発せられた表示光の色を変更しないようにするようにしても良い。つまりは、1つの表示用パネル4に対して複数の表示部(すなわち、FL管5、液晶表示部15及びLED25)が設けられている場合には、それぞれの表示部の表示領域に対向する当該表示用パネル4のパネル背面4aの各表示対応領域4axに対して、どんな色の光を吸収して減衰させる表示光変更膜MAを形成しても良いし、表示光変更膜MAを形成しなくても良く、表示光変更膜MAの色、及び表示光変更膜MAの形成の有無はユーザによって自由に選択できるものとする。
【0049】
さらに上述した実施の形態においては、表示部と、表示部の表示領域及び当該表示領域の周囲に背面を向けて配置された光透過性の板部を有し、表示領域に対応する板部の正面及び又は背面の表示対応領域に、表示領域の発した表示光の色を変更する表示光変更膜が形成された表示用パネルとを具える電子機器として、図1乃至図8について上述した音楽再生装置1を適用するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、DVD(Digital Versatile Disk)レコーダやハードディスクレコーダ等の動画記録再生装置、携帯型オーディオプレイヤ、オーディオコンポ、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、プリンタ、パーソナルコンピュータ、電卓、時計、携帯電話、PDA(Personal Digital Assistant)等、種々の電子機器に適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明はオーディオコンポやプリンタ、電卓の表示部に用いられる表示用パネルに利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】従来の表示用パネルの構成を示す略線的斜視図である。
【図2】音楽再生装置の外観構成を示す略線図である。
【図3】音楽再生装置の回路構成を示す略線図である。
【図4】FL管の構成を示す略線図である。
【図5】本実施の形態における表示用パネルの構成を示す略線的斜視図である。
【図6】表示光の色を変更する様子を示す略線図である。
【図7】視野角度の説明に供する略線図である。
【図8】他の実施の形態における表示用パネルの構成を示す略線的斜視図である。
【符号の説明】
【0052】
1……音楽再生装置、2……装置本体部、4……表示用パネル、4a……パネル背面、4ax……表示対応領域、4ay……周囲対応領域、4b……パネル正面、5……FL管、5a……表示領域、5b……表示対象、MA……表示光変更膜、MB……遮光膜。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示部を有する電子機器に設けられる表示用パネルにおいて、
上記表示部の表示領域及び当該表示領域の周囲に背面を向けて配置された光透過性の板部を有し、上記表示領域に対応する上記板部の正面及び又は上記背面の表示対応領域に、上記表示領域の発した表示光の色を変更する表示光変更膜が形成された
ことを特徴とする表示用パネル。
【請求項2】
上記板部は、
上記表示部の上記表示領域の周囲に対応する上記正面及び又は上記背面の上記周囲対応領域に遮光性の遮光膜が形成された
ことを特徴とする請求項1に記載の表示用パネル。
【請求項3】
上記板部は、
上記表示部の上記表示領域の大きさよりも僅かに大きい上記表示対応領域に上記表示光変更膜が形成された
ことを特徴とする請求項1に記載の表示用パネル。
【請求項4】
上記板部は、
上記表示対応領域に光透過性の塗料が塗布され上記表示光変更膜が形成された
ことを特徴とする請求項1に記載の表示用パネル。
【請求項5】
表示部と、
上記表示部の表示領域及び当該表示領域の周囲に背面を向けて配置された光透過性の板部を有し、上記表示領域に対応する上記板部の正面及び又は上記背面の表示対応領域に、上記表示領域の発した表示光の色を変更する表示光変更膜が形成された表示用パネルと
を具えることを特徴とする電子機器。
【請求項6】
上記表示用パネルは、
上記表示部の上記表示領域の周囲に対応する、上記板部の上記正面及び又は上記背面の上記周囲対応領域に遮光性の遮光膜が形成された
ことを特徴とする請求項5に記載の電子機器。
【請求項7】
上記表示用パネルは、
上記板部の、上記表示部の上記表示領域の大きさよりも僅かに大きい上記表示対応領域に上記表示光変更膜が形成された
ことを特徴とする請求項5に記載の電子機器。
【請求項8】
上記表示用パネルは、
上記板部の上記表示対応領域に光透過性の塗料が塗布され上記表示光変更膜が形成された
ことを特徴とする請求項5に記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−216886(P2008−216886A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−57320(P2007−57320)
【出願日】平成19年3月7日(2007.3.7)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】