表示素子、表示素子積層体、表示装置および表示素子駆動方法
【課題】反射光、透過光どちらにも対応する薄型の表示素子、高いコントラストや色階調を表現できカラー3原色のいずれかを表示する際に非表示部分がない表示素子積層体、これらを使用した表示装置、前記表示素子を駆動する方法を提供する。
【解決手段】表示素子Uは、光透過性材料からなる中央部の平行面部分と軟質材料からなる周辺部の伸縮変形部分とで構成された軟質透明中空セル1と、セル1内部に封入された有色液体2とからなり、セル1を介して対向する電極が配置される。表示素子積層体は表示素子Uを2個以上重畳してなる。表示装置は表示素子Uまたは表示素子積層体を面状に配列し、またはさらに複数積層してなる。表示素子駆動方法は、表示素子Uの一対の電極に電圧を印加して静電気力により中央部が面接触するようセル1を変形させ、セル1の周辺部に有色液体2を偏在させる。
【解決手段】表示素子Uは、光透過性材料からなる中央部の平行面部分と軟質材料からなる周辺部の伸縮変形部分とで構成された軟質透明中空セル1と、セル1内部に封入された有色液体2とからなり、セル1を介して対向する電極が配置される。表示素子積層体は表示素子Uを2個以上重畳してなる。表示装置は表示素子Uまたは表示素子積層体を面状に配列し、またはさらに複数積層してなる。表示素子駆動方法は、表示素子Uの一対の電極に電圧を印加して静電気力により中央部が面接触するようセル1を変形させ、セル1の周辺部に有色液体2を偏在させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電子ペーパーに応用できる表示素子、表示素子積層体および表示装置に関し、より詳しくは有色液体を充填した軟質透明セルからなる表示素子、該表示素子を複数層重畳してなる表示素子積層体、複数個の該表示素子積層体を面状に配列してなる表示装置および前記表示素子の駆動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子ペーパーにも応用できる表示方式として、液晶、マイクロカプセル、電子粉流体、クロミズム、有機EL、液体レンズ等の様々な方法の応用が検討されている。
電子ペーパーは用途によって、優先される研究開発の目標が異なる。例えば、電子新聞、電子書籍用の電子ペーパーは視認性、書き換え性、記録保持性、可搬性、薄型性が重要視され、カラー表示が要求される場合がある。一方、屋外で使うポスター、案内板、時刻表などは、カラー表示や耐久性(紫外線、温度変化、湿度など)、大型化に重点が置かれる。また、表示面の輝度を得る方法として表示面の表示側で光を反射させる方法と、裏面から光を透過させる方法があり、使用される場所や用途によって適切な方法が選択される。重要度はその用途によって異なるが紙と同等の視認性が最も優先される開発目標である。
従来の一般的なカラー表示方法は、光の3原色もしくは色の3原色に相当する3色の単色素子を一組として同一面に並べて1つのカラー表示素子とし、これら3原色の組み合わせ混色により発色を行っている。このようなカラー表示素子において原色と同じ色を表示する際には、他の2色の表示部分を非表示とする必要がある。
従来技術の中で液晶表示板以外に液体を利用した表示体としては、特許文献1ではエレクトロウェッティングを応用し、互いに混ざり合わず屈折率および導電率の異なる2種の液体を焦点距離可変の液体レンズ(流体レンズ)として機能させる技術が開示されている。
特許文献2では表示面を上面に有する密閉容器の上部に画素孔なる空間を設置し、該画素孔に設けられた穴から調光液を注入・排出させ、その液量を調節することで色およびコントラストを調節できる表示を行うという技術が開示されており、同時に液量を調節する手段として、熱による液体の膨張、熱による密閉容器底膜の変形、電圧印加による圧電効果による該底膜の変形等を利用する方法が提案されている。
【0003】
【特許文献1】特開2007−072108
【特許文献2】特開2001−042794
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の一般的な表示装置におけるカラー表示方法では、光の3原色もしくは色の3原色に相当する3色の単色素子を一組として同一面に並べて1つのカラー表示素子としていた。このため、原色と同じ色を表示する際には、1素子のみ表示させて他の2色の素子は非表示とする必要があり、すなわち表示面の少なくとも2/3は表示面が無駄となっており、グラビア印刷等による印刷物や印画紙によるプリント写真の品質と比較すると、カラー画面の輝度やコントラストを得る際の弊害となっている。
また、液体を利用した表示体として、特許文献1に係る液体レンズの方法では、2種類の液体を2層構成で使用するために相応の厚さが必要となること、水平以外の角度に設置すると液体レンズ形状が変形して焦点がずれて表示不良が起こりやすいこと、反射光のみで視認可能であるため暗所では使用しにくいこと、表示非表示にかかわらず光が必ず液体層を通過するために光が減衰し、濃淡のコントラストを得にくいこと、表示濃度を段階的に変化させる階調表示は困難であること、等の仕様により、電子ペーパー等の表示装置への適用範囲を狭めている。
さらにまた、特許文献2に係る調光液の注入・排出による表示方法では、1画素を構成する密閉容器として、コントラストを得るために画素孔の空間とは別に画素孔を満たすことができるだけの調光液の全量を保持する別の空間が必要なので画素1つが嵩高くかつ重くなりやすいことに加え、小さな穴から液体を注入排出させるため素早い表示の切り替えができないこと、水平以外の角度に設置すると調光液が画素孔側へこぼれ出て表示を阻害する恐れがあること、反射光のみで視認可能であるため暗所では使用しにくいこと、さらに駆動方法として熱を使用した場合の冷却方法が開示されていないこと、変形する底膜の具体的な形状や材質が開示されていないことなど、実施にあたり多くの技術的課題を残している。
本発明は、表示素子の構造を紙等の基材への印刷(紙にインクが付着している状態)の構造に近づけて表示装置における表示品質を向上することを目的として表示媒体として液体を選択した表示素子に関し、反射光と透過光のどちらでも表示が視認可能であって、水平以外の角度にも設置でき、薄型にできる多用途な新規の表示素子を提供することを課題とする。
また、本発明は、単色表示においては高いコントラストあるいは色濃度の階調を表現できる表示素子積層体を提供することを課題とする。さらに、カラー表示においては3原色のいずれかを表示する際に表示面全体で表示できるすなわち表示面において非表示部分がない表示素子積層体を提供することを課題とする。
さらに、本発明は前記、新規の表示素子または表示素子積層体を使用した表示装置を提供することを課題とする。
さらにまた、本発明は前記、新規の表示素子を駆動する方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、下記の技術的構成により、前記課題を解決できたものである。
【0006】
本発明(1)は、両面もしくは片面が光透過性材料からなる中央部の平行面部分と軟質材料からなる周辺部の伸縮変形部分とで構成された軟質透明中空セルと、該軟質透明中空セルの内部に封入された有色液体とからなり、該軟質透明中空セルを介して少なくとも一対の対向する電極が配置されることを特徴とする表示素子である。
本発明(2)は、前記発明(1)の表示素子を2個以上重畳してなることを特徴とする表示素子積層体である。
本発明(3)は、重畳した表示素子それぞれにおける有色液体の種類が1種類もしくは2種類以上であることを特徴とする、前記発明(2)の表示素子積層体である。
本発明(4)は、請求項1の表示素子または前記発明(2)乃至(3)の表示素子積層体を複数個面状に配列してなることを特徴とする表示装置である。
本発明(5)は、前記発明(4)の表示装置を複数積層してなることを特徴とする表示装置である。
本発明(6)は、前記発明(1)の表示素子の、前記一対の電極の間に電圧を印加して静電気力を生じさせ、前記軟質透明中空セルの内面どうしが面接触するように該軟質透明中空セルの外形を変形せしめ、変形した軟質透明中空セルの面接触していない部分に前記封入された有色液体を偏在するように移動させることを特徴とする表示素子駆動方法である。
【発明の効果】
【0007】
本発明による表示素子は、平板状の軟質透明中空セルすなわち両面もしくは片面が光透過性材料からなる中央部の平行面部分と軟質材料からなる周辺部の伸縮変形部分とで構成された中空セルからなるので、表示媒体として液体を使用しているにもかかわらず、水平以外の角度にも設置でき、薄型にでき、さらに該軟質透明中空セルにおいて中央部の平行面部分の両面が光透過性材料からなる場合には、反射光のみならず透過光によっても表示を視認でき積層することもできるという複数の効果を奏する。さらに、これら複数の効果の結果として、本発明による表示素子は基材の直上に設置することができるので、表示素子の構造を紙等の基材への印刷物(紙にインクが付着している状態)の構造に近づけることができ、該表示素子を用いた表示装置において表示品質を向上することができるという効果を奏する。またさらに、これら複数の効果の結果として、本発明による表示素子は、設置角度を気にすることなく透過光か反射光かの採光条件に合わせた設計とすることができるので多方面の用途に応用できるという効果も奏する。
本発明による表示素子積層体は、前記表示素子を複数積層しているので、単色表示においては高いコントラストあるいは色濃度の階調を表現でき、カラー表示においては原色を表示する際に表示面全体で表示できるすなわち表示面において非表示部分がないため輝度やコントラストを得やすいという効果を奏する。
さらに、本発明による表示装置は、前記表示素子または前記表示素子積層体を使用することにより、表示媒体として液体を使用しているにもかかわらず反射光と透過光のどちらによっても画像表示でき、水平以外の角度にも設置でき、薄型にでき、単色画像表示においては高いコントラストあるいは色濃度の階調で表現でき、カラー画像表示においては3原色のいずれかを表示する際に表示面全体で表示できるすなわち表示面において非表示部分がないためにカラー画像の輝度やコントラストを得やすいという効果を奏する。
さらにまた、本発明による表示素子駆動方法によって、前記表示素子およびこれを組み合わせてなる表示素子積層体あるいは表示装置の表示を可能にする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
《表示素子》
本発明による表示素子は、軟質透明中空セル(以下、単にセルという。)の外形を表面に設けられた電極が発生する静電気力により該セルを変形させることにより、該セルの内部に充填、封入された有色液体を該セル中で移動させ、該セルの全体に存在させるか中央部のみに存在させる場合と、周辺部のみに偏在させる場合とのいずれかの状態に切り替えを行い、該セルに設けられた透明材料部分において内部の有色液体を見え隠れさせること、即ち有色液体の呈色を見え隠れ切り替えること、により情報を表示することができるというものである。表示素子の単体の大きさ(外形)は特に限定されるものではないが、全長0.1mm程度以上から200mm程度まで、厚さ下限0.03mm程度から最大1mm程度までが特に好適であり、適用するものの大きさ、形状(長方形にこだわることなく多角形、円形等)にこだわることなく適宜製作することができる。外形において特に厚さ(電極間距離)が1mmを超える場合には、外形を変形させるための外力として利用する前記静電気力が届かなくなる恐れがあり、表示素子が動作しなくなる恐れがある。以下、本発明による表示素子の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0009】
(実施形態1)
図1(a)および(b)は、本発明による表示素子Uの第1の形態を示す断面図である。図1(a)は色表示状態、図1(b)は色非表示状態である。本実施形態において表示素子Uは、色なし、色ありの2段階の色表示を行うことができる。
透明軟質中空セル1は、両面もしくは片面が光透過性材料からなる中央部の平行面部分と軟質材料からなる周辺部の伸縮変形部分とで構成されており、内部には有色液体2が封入されている。セル1において前記中央部の平行面部分の片面には透明電極Aが配置され、他面には透明電極Aに対向するように電極Bが配置されている。
図2(a)および(b)は、前記図1に対応する斜視図であり、(a)および(b)それぞれにおいて透明電極A側から見た斜視図と電極B側から見た斜視図とを示している。図2(a)は色表示状態、図2(b)は色非表示状態である。
図1(a)および図2(a)の状態では、セル1内部の全体が有色液体2に満たされ、電極A側からは有色液体2の呈する色が視認される(色表示状態)。
図1(b)および図2(b)の状態では、セル1の中央部にある電極Aおよび電極Bの部分が外力により押し合わされるように変形して内面が面接触した状態となり、有色液体2がセル1の周辺部の伸縮変形部分に偏在する結果、電極A側からは有色液体2の呈する色が視認されず、電極B側の面が透過して見える。セル1の中央部の平行面部分の両面が光透過性材料であって電極Bが透明電極である場合には、透明電極A側から透明電極Bの外が透けて見える(色非表示状態)。
【0010】
(実施形態2)
図3(a)および(b)は、本発明による表示素子Uの第2の形態を示す断面図である。図3(a)は色表示状態、図3(b)は色非表示状態である。本実施形態において表示素子Uは、色なし、色ありの2段階の色表示を行うことができる。
透明軟質中空セル1は、中央部の平行面部分の片面が周辺部まで拡大されて色表示状態および色非表示状態における形状が変化しないこと以外は実施形態1と同等の構成であり、内部には有色液体2が封入されている。セル1において前記中央部の平行面部分の片面には透明電極Aが配置され、他面には透明電極Aに対向するように電極Bが配置されているのも実施形態1と同等である。実施形態2は実施形態1と比較してセル1の変形が片面だけであるために表示素子を基材などに設置する際の空間的制約が少ない長所がある。
図4(a)および(b)は、前記図1に対応する斜視図であり、図4(a)は色表示状態、図4(b)は色非表示状態である。
図3(a)および図4(a)の状態では、セル1の全体が有色液体2に満たされ、透明電極A側からは有色液体2の呈する色が視認される。セル1の2平行面部分のうち大きな側が透明であって電極Bが透明電極である場合には、電極B側から有色液体2の呈する色が視認される(色表示状態)。
図3(a)および図4(b)の状態では、セル1の中央部にある透明電極Aおよび電極Bの部分が外力により押し合わされるように変形して内面が面接触した状態となり、有色液体2がセル1の周辺部の伸縮変形部分に偏在する結果、電極A側からは有色液体2の呈する色が視認されず、電極B側の面が透過して見える(色非表示状態)。セル1の中央部の平行面部分の両面が光透過性材料であって電極Bが透明電極である場合には、透明電極A側から透明電極Bの外が透けて見える(色非表示状態)。
【0011】
(実施形態3)
図5(a)および(b)は、本発明による表示素子Uの第3の形態を示す断面図である。図5(a)は色非表示状態、図5(b)は色表示状態である。本実施形態において表示素子Uは、色なし、色ありの2段階の色表示を行うことができる。
透明軟質中空セル1は、両面もしくは片面が光透過性材料からなる中央部の平行面部分と軟質材料からなる周辺部の伸縮変形部分とで構成されており、内部には有色液体2が封入されている。セル1において前記周辺部の片面には枠形状の電極Cが配置され、他面には電極Cに平行かつ対向するように枠形状の電極Dが配置されている。セル1は、外力の影響がない状態において、セル1中央部の平行面部分の両面が密着した形状である。
図6(a)および(b)は、前記図5に対応する斜視図である。図6(a)は色非表示状態、図6(b)は色表示状態である。
図5(a)および図6(a)の状態では、有色液体2がセル1周辺部の伸縮変形部分に偏在し、電極A側からは有色液体2の呈する色が視認されず、電極B側の面が透過して見える。セル1の中央部の平行面部分の両面が光透過性材料である場合には、反対面の外が透けて見える(色非表示状態)。
図5(b)および図6(b)の状態では、セル1の周辺部にある電極Cおよび電極Dの部分が外力により押し合わされるように変形して内面が面接触した状態となり、有色液体2がセル1の中央部に偏在する結果、中央部において有色液体2の呈する色が視認される(色表示状態)。
【0012】
(実施形態4)
図7(a)および(b)は、本発明による表示素子Uの第4の形態を示す断面図である。図7(a)は色非表示状態、図7(b)は色表示状態である。本実施形態において表示素子Uは、色なし、色ありの2段階の色表示を行うことができる。
透明軟質中空セル1は、中央部の平行面部分の片面が周辺部まで拡大されて色表示状態および色非表示状態における形状が変化しないこと以外は実施形態3と同等の構成であり、内部には有色液体2が封入されている。セル1において前記周辺部の片面には枠形状の電極Cが配置され、他面には電極Cに平行に対向するように枠形状の電極Dが配置されていること、さらにセル1は、外力の影響がない状態において、セル1中央部の平行面部分の両面が密着した形状であることも実施形態3と同等である。実施形態3の斜視図は図6と概略同様となるので省略する。実施形態4は実施形態3と比較してセル1の変形が片面だけであるために表示素子を基材などに設置する際の空間的制約が少ない長所がある。
図7(a)の状態では、有色液体2がセル1周辺部の伸縮変形部分に偏在し、電極C側のセルの中央部からは有色液体2の呈する色が視認されず、電極D側の面が透過して見える。セル1の中央部の平行面部分の両面が光透過性材料である場合には、反対面の外が透けて見える(色非表示状態)。
図7(b)の状態では、セル1の周辺部にある電極Cおよび電極Dの部分が外力により押し合わされるように変形して内面が面接触した状態となり、有色液体2がセル1の中央部に偏在する結果、中央部において有色液体2の呈する色が視認される(色表示状態)。
【0013】
(実施形態5)
図8(a)、(b)および(C)は、本発明による表示素子Uの第5の形態を示す断面図である。図8(a)は弱い色表示状態、図8(b)は色非表示状態、図8(c)は強い色表示状態である。本実施形態において表示素子Uは、色なし、薄色(弱い色)、濃色(強い色)の3段階の色階調表示を行うことができる。
透明軟質中空セル1は、両面もしくは片面が光透過性材料からなる中央部の平行面部分と軟質材料からなる周辺部の伸縮変形部分とで構成されており、内部には有色液体2が封入されている。セル1において前記中央部の平行面部分の片面には透明電極A、その外側の周辺部にあたる部分に電極Cが配置され、他面には透明電極Aに対向するように電極B、枠形の電極Cに対向するように枠形の電極Dが配置されている。
図9(a)、(b)および(c)は、前記図8に対応する斜視図であり、(a)、(b)および(c)それぞれにおいて透明電極A側から見た斜視図と電極B側から見た斜視図とを示している。図9(a)は弱い色表示状態、図9(b)は色非表示状態、図9(c)は強い色表示状態である。
図8(a)および図9(a)の状態では、セル1内部の全体が有色液体2に満たされ、電極A側からは有色液体2の呈する色が視認される(弱い色表示状態)。
図8(b)および図9(b)の状態では、セル1の中央部にある電極Aおよび電極Bの部分が外力により押し合わされるように変形して内面が面接触した状態となり、有色液体2がセル1の周辺部の伸縮変形部分に偏在する結果、電極A側からは有色液体2の呈する色が視認されず、電極B側の面が透過して見える(色非表示状態)。セル1の中央部の平行面部分の両面が光透過性材料であって電極Bが透明電極である場合には、透明電極A側から透明電極Bの外が透けて見える(色非表示状態)。
図8(c)および図9(c)の状態では、セル1の周辺部にある電極Cおよび電極Dの部分が外力により押し合わされるように変形して内面が面接触した状態となり、有色液体2がセル1の中央部に偏在する結果、電極A側からは有色液体2の呈する色が、図8(a)および図9(a)の状態よりも強く視認される(強い色表示状態)。
【0014】
(実施形態6)
図10(a)、(b)および(c)は、本発明による表示素子Uの第6の形態を示す断面図である。図10(a)は弱い色表示状態、図10(b)は色非表示状態、図10(c)は強い色表示状態である。本実施形態において表示素子Uは、色なし、薄色(弱い色)、濃色(強い色)の3段階の色階調表示を行うことができる。
透明軟質中空セル1は、中央部の平行面部分の片面が周辺部まで拡大されて色表示状態および色非表示状態における形状が変化しないこと以外は実施形態5と同等の構成であり、内部には有色液体2が封入されている。セル1において前記中央部の平行面部分の片面には透明電極A、その外側の周辺部にあたる部分に電極Cが配置され、他面には透明電極Aに対向するように電極B、枠形の電極Cに対向するように枠形の電極Dが配置されているのも実施形態5と同等である。実施形態6の斜視図は図9における透明電極A側から見た斜視図と概略同様となるので省略する。実施形態6は実施形態5と比較してセル1の変形が片面だけであるために表示素子を基材などに設置する際の空間的制約が少ない長所がある。
図10(a)の状態では、セル1内部の全体が有色液体2に満たされ、電極A側からは有色液体2の呈する色が視認される(弱い色表示状態)。セル1の2平行面部分のうち電極B側の面が透明であってさらに電極Bが透明電極である場合には、電極B側から有色液体2の呈する色が前記弱い色表示状態にて視認される。
図10(b)の状態では、セル1の中央部にある電極Aおよび電極Bの部分が外力により押し合わされるように変形して内面が面接触した状態となり、有色液体2がセル1の周辺部の伸縮変形部分に偏在する結果、電極A側からは有色液体2の呈する色が視認されず、電極B側の面が透過して見える。セル1の中央部の平行面部分の両面が光透過性材料であって電極Bが透明電極である場合には、透明電極A側から透明電極Bの外が透けて見える(色非表示状態)。
図10(c)の状態では、セル1の周辺部にある電極Cおよび電極Dの部分が外力により押し合わされるように変形して内面が面接触した状態となり、有色液体2がセル1の中央部に偏在する結果、電極A側からは有色液体2の呈する色が、図10(a)の状態よりも強く視認される(強い色表示状態)。セル1の2平行面部分のうち電極B側の面が透明であってさらに電極Bが透明電極である場合には、電極B側から有色液体2の呈する色が前記強い色表示状態にて視認される。
【0015】
(実施形態7)
図11(a)、(b)および(c)は、本発明による表示素子Uの第7の形態を示す断面図である。図11(a)は弱い色表示状態、図10(b)は色非表示状態、図10(c)は強い色表示状態である。本実施形態において表示素子Uは、色なし、薄色(弱い色)、濃色(強い色)の3段階の色階調表示を行うことができる。
透明軟質中空セル1は、実施形態6と同等の構成であり、内部には有色液体2が封入されている。セル1において前記中央部の平行面部分の片面には透明電極A、その外側の周辺部にあたる部分に電極Cが配置され、他面には透明電極Aおよび枠形の電極Cに対向して透明電極Aおよび電極Cを覆うように電極Eが配置されている。実施形態6の斜視図は図9における透明電極A側から見た斜視図と概略同様となるので省略する。
図11(a)の状態では、セル1内部の全体が有色液体2に満たされ、電極A側からは有色液体2の呈する色が視認される(弱い色表示状態)。セル1の2平行面部分のうち電極E側の面が透明であってさらに電極Eが透明電極である場合には、電極E側の中央部から有色液体2の呈する色が前記弱い色表示状態にて視認される。
図11(b)の状態では、セル1の中央部にある電極Aおよび電極Eの中央部の部分が外力により押し合わされるように変形して内面が面接触した状態となり、有色液体2がセル1の周辺部の伸縮変形部分に偏在する結果、電極A側からは有色液体2の呈する色が視認されず、電極E側の面の中央部が透過して見える。セル1の中央部の平行面部分の両面が光透過性材料であって電極Eが透明電極である場合には、透明電極A側から透明電極Eの中央部の外が透けて見える(色非表示状態)。
図11(c)の状態では、セル1の周辺部にある電極Cおよび電極Eの周辺部分が外力により押し合わされるように変形して内面が面接触した状態となり、有色液体2がセル1の中央部に偏在する結果、電極A側からは有色液体2の呈する色が、図11(a)の状態よりも強く視認される(強い色表示状態)。セル1の2平行面部分のうち電極E側の面が透明であってさらに電極Eが透明電極である場合には、電極E側の中央部から有色液体2の呈する色が前記強い色表示状態にて視認される。
【0016】
次に、本発明による表示素子を構成する部材について説明する。
【0017】
透明軟質中空セル
透明軟質中空セル1は、両面もしくは片面が光透過性材料からなる中央部の平行面部分と軟質材料からなる周辺部の伸縮変形部分とで構成されている。
セル1からなる表示素子を透過光表示体もしくは積層体として利用する場合には、少なくともセル1の中央部の平行面部分(図1において電極Aおよび電極Bが配置される部分)は光透過性である必要がある。他方、セル1からなる表示素子を反射光表示体として利用する場合は、セル1の電極B側の面は必ずしも光透過性である必要はなく、適宜材料を選択することができる。
【0018】
セル1は、光透過性および軟質の両方の性質を併せ持つ単一の材料から構成されても良いし、光透過性材料と別の軟質材料とを融着あるいは接着剤等の適当な接合材を介した接合により複合体で構成されても良いし、さらに、光透過性材料、別の光不透過性材料、さらに別の軟質材料を融着あるいは接着剤等の適当な接合材を介した接合により複合体で構成されても良い。セル1を構成する材料全般に求められる特性としては、密閉性を確保できること、内部に封入した有色液体2に溶解しないことおよび有色液体2を漏出させないこと、有色液体2を変質させないこと、透明電極Aおよび電極Bから生じる電界を遮らないことが必要である。これらに加えて光透過性材料には可視光を透過することが必要である。一方、軟質材料には変形伸縮性、適度な復元性が必要である。
【0019】
このような光透過性材料の要件を満たす素材としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)等のアクリル樹脂、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)等の各種ポリエチレンおよびポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリスチレン(PS)、ポリフェニルサルフォン(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリカーボネート(PC)、ABS樹脂、AS樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ポリウレタン等の熱硬化性樹脂、その他各種の有機高分子共重合体やブレンドポリマー、ジメチルシリコーン等のシリコーン系樹脂、各種ガラス、などが好適に使用される。
【0020】
一方、軟質材料の要件を満たす素材としては、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン類および環状ポリオレフィン類、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン等の塩素化ポリオレフィン類、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等のフッ素樹脂、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル、ポリフェニルサルフォン(PPS)、エチレンビニルアルコール共重合体等の前記樹脂類のビニル重合性単量体を2種以上組み合わせて共重合した樹脂類、ナイロン等のポリアミド、セルロイド類、ブチルゴム等のゴム、ジメチルシリコーン等のシリコーン系樹脂、さらには前記各種高分子の共重合体やブレンドポリマー、などが好適に使用される。
【0021】
光不透過性材料の要件を満たす素材としては、前記光透過性材料群もしくは前記軟質材料群を準用することができるほか、金属、セラミックス等も選択可能であるが、選択材料が光透過性である場合には該選択材料と顔料とを混合した材料、該材料群の表面を有色塗料による塗装、金属蒸着、有色の別の物質を表面に貼り合わせるなどにより光不透過性とする必要がある。
【0022】
セル1を光透過性材料と軟質材料、場合によってはこれらと光不透過性材料とで構成する場合、該材料群どうしを熱融着、溶剤溶着、接合剤接着、圧着等のいずれか1方法もしくは複数方法組み合わせにより密着固定して、セル内部の中空部の密閉性を保つ必要がある。前記接着剤としては選択した材料に適合した汎用の接着剤を使用すればよく、メラミン系、フェノール系、エポキシ系等の熱硬化性樹脂系接着剤、天然ゴム、合成ゴム、等のエラストマー系接着剤、シリカ系接着剤、アクリル樹脂系、ウレタン樹脂系、エチレン−酢酸ビニル系、塩化ビニル樹脂溶剤系、酢酸ビニル樹脂系、シアノアクリレート樹脂系、スチレン−ブタジエン樹脂系、ニトリルゴム系、等の各種樹脂系接着剤、各種ホットメルト接着剤等から適宜選択することができる。
【0023】
一方、セル1を光透過性および軟質の両方の性質を併せ持つ単一の材料から構成する場合は、製造が複雑にならず接合部の劣化に起因する耐久性能の低下が起こりにくく、廃棄時のリサイクルのしやすさからも好ましい。このようなセル1を構成する単一の材料としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル、ポリプロピレン(PP)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリフェニルサルフォン(PPS)等の各種有機高分子材料、さらにはその他各種の有機高分子共重合体やブレンドポリマー、ジメチルシリコーン等のシリコーン系樹脂などが好適に使用できる。特に透明性の高いポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)等はより好適に使用できる。
【0024】
また、内部に封入する有色液体2の流動を補助するために、セル1の中空部の内壁面全体において、表面エネルギーを低くするような撥水処理等の表面処理を行うことがより好ましい。例えば、化学気相成長(CVD)法等を利用してシリコーン樹脂やポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などの薄膜をセル1内部の気密室の壁面全体に形成してもよい。
【0025】
電極
セル1からなる表示素子を透過光表示体もしくは積層体として利用する場合には、少なくともセル1の平行面部分、電極Aおよび電極Bは光透過性である必要がある。すなわちこの場合には電極Bは透明電極である。他方、セル1からなる表示素子を反射光表示体として利用する場合は、電極Bおよびセル1の電極B側の面は必ずしも光透過性である必要はなく、適宜材料を選択することができる。
前記透明電極の材質については電気伝導性を有する部材であれば特に制限はなく、酸化インジウムすず(ITO)、酸化亜鉛、酸化すず等の一般的な材料を好適に使用することができる。
光透過性が必要でない場合の電極B、電極Cおよび電極Dの材質については電気伝導性を有する部材であれば特に制限はなく、銅、アルミニウム、ニッケル、クロム、等の金属単体、ステンレスなどの合金等を好適に使用することができる。特に表示素子における光の反射効果や遮蔽効果を高めるためには、例えば、光反射性の高いアルミニウム、ニッケル、クロム等の金属電極や光吸収性の高いカーボン電極とすることがより好適である。酸化インジウムすず(ITO)、酸化亜鉛、酸化すず等の透明電極としても差し支えない。
【0026】
透明電極A、電極B、電極Cおよび電極Dの表面は、放電防止、電極の変質防止や保護等のために該表面全体を樹脂等で絶縁性保護膜を形成することが好ましい。絶縁性保護膜としては、耐電圧、酸素等の電極の変質を促進するガスのバリア性、さらに透明電極Aでは可視光の透過性があれば特に限定するものではないが、処理のしやすさ、入手のしやすさなどから、例えばポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、シリコーン等の膜を、溶媒キャスティング、単量体の塗工による重合膜形成、CVD等により直接形成するか、もしくは予めフィルム形成したものを熱圧着したり適当な接着剤で貼付したりしても良い。
【0027】
有色液体
有色液体2において、有色とは黒、青、赤、黄、白などの色を呈するような可視光線の特定波長を吸収・反射する場合だけでなく、透過もしくは反射する光の諸性質(例えば強度、波長、偏光性など)を変化させる性質を含む広義の意味で捉える。前記有色液体2としては、経時的な変質や変色が起こりにくい化学的に安定な液状物質であること、気化しにくいこと、表示の応答性を良くするために粘度が低いこと、セル1の外形を保持させるような補助力のために適度な凝集力や表面張力を有する材質であること、セル1の外側に設置する電極からの電界を妨げないこと、などを考慮すれば、各種の液体を採用することができる。着色については、液体の構成物質自体が有色であっても良いし、染料、顔料などの着色剤を液媒に分散させることにより着色しても良い。このような有色液体としては、例えば、各種の金属錯体溶液、染料インクおよびその水溶液または油溶液等を挙げることができる。着色剤を分散させる液媒の例としては、水、またはグリセリン、エチレングリコール、ブタノール、1−プロパノール等の炭素数3以上のアルコール類等の親水性物質単体もしくはその混合物、または各種飽和脂肪酸や不飽和脂肪酸等、前記アルコール類のエステル、前記飽和脂肪酸のエステルや不飽和脂肪酸のエステル等の疎水性物質単体もしくはその混合物がある。有色顔料として、無機顔料、有機顔料を区別無く用いることが出来るが、例えば、亜鉛華、二酸化チタン等の白色顔料、酸化鉄赤、キナクリドン等の赤色顔料、亜鉛黄、キノフタロン等の黄色顔料、プロシア青、フタロシアニン等の青色顔料、カーボンブラック等の黒色顔料等を用いることが出来る。染料としては、直接染料、酸性染料、塩基性染料、媒染染料、酸性媒染染料、建染染料、分散染料、反応染料、蛍光増白染料などを使用することが出来る。波長変換性のある液体としては蛍光物質分散液、偏光性のある液体としてはフタロシアニン系液晶、ビフェニル系液晶等の各種液晶物質、等が好適に使用される。特に、表面張力が高い液体としては水などの極性溶媒を使用した水溶液が好適である。
【0028】
《表示素子積層体》
本発明による表示素子積層体は、前記表示素子Uを単色で2個以上もしくは複数色2個以上重畳することにより、該表示素子単体では表現できなかった階調表示もしくは他の色の表示を同一視野角内(表示素子の中心部を表示素子と垂直の方向から視認することを指す)で行うものである。
本発明による表示素子Uを2個以上重畳することで表示素子単層では表現できなかった色の重ね合わせによる階調効果や混色効果を得ることができる。
以下に、本発明による表示素子積層体の実施の形態について、表示素子Uが3個重畳された態様を例として、図面を参照して実施形態を説明する。本発明による表示素子積層体は、重畳する表示素子Uの数が3個に限らずそれ以上の複数であっても同様に実施することができる。
【0029】
(実施形態8)
図12は、本発明による第8の形態として表示素子積層体Lの例を示す側面図である。本図の例においては、本発明による表示素子U1、U2およびU3の3枚が積層支持材4で固定されている。重畳する表示素子Uとして前記実施形態のいずれを何種類選択してもよく、また枚数の選択、組み合わせの選択は特に限定するものでなく、表示すべき色の階調、色の種類によって適宜設計することができる。
表示素子U1〜U3それぞれに封入されている前記有色液体は同じでも異なっていても構わないが、下層の色との重ね合わせ効果を得るためにある程度の光透過性を有する液体である。ただし、視認者から見て最深層に当たる表示素子のみ、光透過性が乏しい遮光性が高い液体とすることができる。
本発明による実施形態8のような表示素子積層体Lにおいて、重畳される表示素子U1〜U3それぞれに封入される有色液体を同じ色もしくは同系色とした表示素子積層体によれば、色濃度の階調を表現することができる。
本発明による実施形態8のような表示素子積層体Lにおいて、重畳される表示素子U1〜U3それぞれに封入される有色液体を色の3原色とすればカラー表示することができる。
例えば薄い単色の表示素子Uを重ねることで多段階の階調表示が可能である。
色の3原色の表示素子Uを重ねることで光反射方式のカラー表示が可能である。
光の3原色の表示素子Uを重ねることで光透過方式のカラー表示が可能である。
本発明による表示素子積層体Lにおいて、重畳する数は3に限らず自由に設計できるので、さらに重畳する数を増やすことにより、表現できる階調の段階および色合いを増やすことができる。
重畳される表示素子U間の距離は、表示素子Uの変形および表示素子U表面の電極による電界を妨げない程度の間隔をとればよく、概ね1mm程度の間隔をとればよい。
【0030】
(実施形態9)
図13は、本発明による第9の形態として前記実施形態8の表示素子積層体Lを、基材5の表面に固定した状態を示す側面図である。
表示素子積層体Lは積層支持材4による接合だけで構造を保つこともできるが、基材5が存在することで、より安定して構造を保つことができるようになる。基材5は表示素子積層体の構造を補強する以外に、基材全体の透明度、表面の色調や光反射率を選択することで表示素子積層体の表示を適宜調節する役割がある。
【0031】
(実施形態10)
図14は、本発明による第10の形態として前記実施形態9の表示素子積層体を構成する各表示素子U1、U2およびU3の電極への配線を示した側面図である。本図の例では表示素子Uは前記実施形態2(図3および図4)である。表示素子U1の電極Aに配線61A、電極Bに配線61Bが接続されている。表示素子U2の電極Aに配線62A、電極Bに配線62Bが接続されている。表示素子U3の電極Aに配線63A、電極Bに配線63Bが接続されている。使用する配線は、一般の銅線等を使用すればよいが、配線にあたって表示素子の変形を妨げないこと、別の配線との短絡を避けるように被覆線を使用する等を留意する。また配線は積層支持材に埋め込んでもよく、さらに積層支持材表面等にプリントしても良い。配線の接続は半田、導電性接着剤等の一般の方法を適宜採用することができる。
図14の表示素子積層体Lにおいて、表示素子U1〜U3の中央部に設置されている電極Aおよび電極B(図3および図4参照)は透明電極である。ただし、視認者から見て最深部となる電極Aもしくは電極Bは透明電極でなくても良い。
例えば、表示素子積層体Lが図3(a)の断面構造をもつ表示素子Uが3個重畳された図14の態様である場合、表示素子U1(下)側から基材5を通して視認する場合は基材5が透明材料であることが必要だが表示素子U3の上側の電極Aは透明電極でなくても良い。
また、同じ態様の表示素子積層体Lにおいて、表示素子U3(上)側から視認する場合は表示素子U1下側の電極Bは透明電極でなくても良い。
さらにまた、同じ態様の表示素子積層体Lにおいて、表示素子U1(下)側および表示素子U3(上)の両側から視認する場合には、基材5が透明材料であることが必要だが、表示素子U1上側の電極A、表示素子U2の電極A、表示素子U2の電極B、表示素子U3下側の電極Bのうち、いずれか1電極、もしくは隣接する別の表示素子の隣接する2電極は透明電極でなくても良い。このように表示素子積層体Lを構成する電極Aおよび電極Bの一部を透明電極としない場合には、両側で別の表示を行って視認することもできる。
【0032】
(実施形態11)
図15は、本発明による第11の形態として前記実施形態9の表示素子積層体を構成する各表示素子U1、U2およびU3の電極への配線を示した側面図である。本図の例では表示素子Uは前記実施形態5(図8および図9)である。表示素子U1の透明電極Aに配線61A、透明電極Bに配線61B、電極Cに配線61C、電極Dに配線61Dが接続されている。表示素子U2の透明電極Aに配線62A、透明電極Bに配線62B、電極Cに配線62C、電極Dに配線62Dが接続されている。表示素子U3の透明電極Aに配線63A、透明電極Bに配線63B、電極Cに配線63C、電極Dに配線63Dが接続されている。使用する配線は、一般の銅線等を使用すればよいが、配線にあたって表示素子の変形を妨げないこと、別の配線との短絡を避けるように被覆線を使用する等を留意する。また配線は積層支持材に埋め込んでもよく、さらに積層支持材表面等にプリントしても良い。配線の接続は半田、導電性接着剤等の一般の方法を適宜採用することができる。
図15の表示素子積層体Lにおいて、表示素子U1〜U3の中央部に設置されている電極Aおよび電極B(図8および図9参照)は透明電極である。ただし、視認者から見て最深部となる電極Aもしくは電極Bは透明電極でなくても良い。
例えば、表示素子積層体Lが図8(a)の断面構造をもつ表示素子Uが3個重畳された図15の態様である場合、表示素子U1(下)側から基材5を通して視認する場合は基材5が透明材料であることが必要だが表示素子U3の上側の電極Aは透明電極でなくても良い。
また、同じ態様の表示素子積層体Lにおいて、表示素子U3(上)側から視認する場合は表示素子U1下側の電極Bは透明電極でなくても良い。
さらにまた、同じ態様の表示素子積層体Lにおいて、表示素子U1(下)側および表示素子U3(上)の両側から視認する場合には、基材5が透明材料であることが必要だが、表示素子U1上側の電極A、表示素子U2の電極A、表示素子U2の電極B、表示素子U3下側の電極Bのうち、いずれか1電極、もしくは隣接する別の表示素子の隣接する2電極は透明電極でなくても良い。このように表示素子積層体Lを構成する電極Aおよび電極Bの一部を透明電極としない場合には、両側で別の表示を行って視認することもできる。
【0033】
図16(a)〜(h)は、前記実施形態8(図12)における3層の表示素子Uからなる表示素子積層体Lにおいて、表示素子Uの変形する組み合わせを断面図で例示したものである。図の上側から視認した場合の表示について順に説明する。
図16(a)は表示素子が3層ともセル中央部が面接触しているので、どの表示素子の有色液体も視認されず、色非表示状態である。
図16(b)は表示素子が3層ともセル中央部に有色液体が存在しているので、最上部のセルの有色液体による色表示状態である。ただし、有色液体の色が薄い場合には下2層の有色液体の呈色も視認でき、3層の混色による「最も濃い階調」の色表示状態である。
図16(c)は2層目の表示素子のみセル中央部が面接触し他層のセル中央部には有色液体が存在しているので、最上層のセルの有色液体による色表示状態である。ただし、有色液体の色が薄い場合には最下層の有色液体の呈色も視認でき、2層の混色による「やや濃い階調」の色表示状態である。
図16(d)は最下層の表示素子のみセル中央部が面接触し他層のセル中央部には有色液体が存在しているので、最上層のセルの有色液体による色表示状態である。ただし、有色液体の色が薄い場合には最下層の有色液体の呈色も視認でき、2層の混色による「やや濃い階調」の色表示状態である。
図16(e)は2層目および最下層の表示素子のセル中央部が面接触し、最上層のみセル中央部には有色液体が存在しているので、最上層のセルの有色液体による色表示状態である。ただし、有色液体の色が薄い場合には他層の有色液体が呈色せずに最下層まで透過して見えるため、混色がない「薄い階調」の色表示状態である。
図16(f)は最上層の表示素子のみセル中央部が面接触し、他層のセル中央部には有色液体が存在しているので、2層目のセルの有色液体による色表示状態である。ただし、有色液体の色が薄い場合には最下層の有色液体の呈色も視認でき、2層の混色による「やや濃い階調」の色表示状態である。
図16(g)は最上層および最下層の表示素子のセル中央部が面接触し、2層目のみセル中央部には有色液体が存在しているので、2層目のセルの有色液体による色表示状態である。ただし、有色液体の色が薄い場合には他層の有色液体が呈色せずに最下層まで透過して見えるため、混色がない「薄い階調」の色表示状態である。
図16(f)は最上層および2層目の表示素子のセル中央部が面接触し、最下層のみセル中央部には有色液体が存在しているので、最下層のセルの有色液体による色表示状態である。ただし、有色液体の色が薄い場合には他層の有色液体が呈色せずに最下層まで透過して見えるため、混色がない「薄い階調」の色表示状態である。
以上のように、前記実施形態8(図12)における3層の表示素子Uからなる表示素子積層体Lにおいては、表示素子Uの変形する組み合わせによって各層の色表示ができる。さらに、有色液体の色が薄い場合には、「最も濃い階調」、「やや濃い階調」、「薄い階調」、「色非表示状態」の少なくとも4種類の色階調を表現することができ、各層の有色液体の色が異なる場合には混色による色相の違いも表現できる。
一般に、本発明による表示素子積層体が実施形態1〜4のいずれかの表示素子からなる場合には、表示素子1個が2段階の色表示を行うことができるので、これをn層重畳した表示素子積層体であれば、最大(2のn乗)通りの色表示もしくは(n+1)通りの階調表示を行うことができる。例えば、実施形態1〜4のいずれかの表示素子を3層重畳した表示素子積層体であれば、最大8通りの色表示、もしくは4通りの階調表示を行うことができる。
また、本発明による表示素子積層体が実施形態5〜7のいずれかの表示素子からなる場合には、表示素子1個が3段階の色階調表示を行うことができるので、これをn層重畳した表示素子積層体であれば、最大(3のn乗)通りの色表示もしくは[1×(n+1)]+[2×n]+[3×(n−1)]+・・・+[(n−1)×3]+[n×2]+[(n+1)×1]通りの階調表示を行うことができる。例えば、実施形態5〜7のいずれかの表示素子を3層重畳した表示素子積層体であれば、最大27通りの色表示、もしくは10通りの階調表示を行うことができる。
【0034】
積層支持材
積層支持材4は、表示素子積層体Lにおいて重畳される複数の表示素子Uの間隔を一定に保って表示素子積層体Lの構造を保持するための部材である。表示素子の変形および表示を妨げないような任意の場所に適宜設置される。図12の例で柱状の積層支持材4が各表示体の端部を点で固定している。この場合、1個の表示素子積層体に対して積層支持材4が3個以上、好ましくは4個あれば表示素子どうしの間隔がずれないように固定することができる。1個の積層支持材4が隣接する複数の表示素子積層体Lに共有されてもよい。
積層支持材4は、表示素子積層体Lの形状を保つことができる部材であればその材質に制限はなく、プラスチック、セラミックス、木材、紙、金属などから適宜選択すれば良い。ただし、金属を選択する場合には、表示素子Uの電極による電界を妨げたりショートさせないように電極に直接接触しないように設置する工夫が必要がある。金属材を使用する場合には表面を絶縁材で被覆してもよい。積層支持材4への表示素子Uの固定は熱融着、溶剤溶着、接合剤もしくは粘着剤による接着、圧着等により固定すればよい。
前記接着剤もしくは粘着剤としては、選択した材料に適合した汎用の接着剤を使用すればよく、メラミン系、フェノール系、エポキシ系等の熱硬化性樹脂系接着剤、天然ゴム、合成ゴム、等のエラストマー系接着剤、シリカ系接着剤、アクリル樹脂系、ウレタン樹脂系、エチレン−酢酸ビニル系、塩化ビニル樹脂溶剤系、酢酸ビニル樹脂系、シアノアクリレート樹脂系、スチレン−ブタジエン樹脂系、ニトリルゴム系、等の各種樹脂系接着剤、各種ホットメルト接着剤等から適宜選択することができる。
【0035】
基材
表示素子積層体Lは積層支持材4による接合だけで構造を保つこともできるが、基材5が存在することで、より安定して構造を保つことができるようになる。基材5は表示素子積層体の構造を補強する以外に、基材全体の透明度、表面の色調や光反射率を選択することで表示素子積層体の表示を適宜調節する役割がある。
基材5は表示素子Uもしくは表示素子積層体Lを面状に配列して表示装置とする際に、表示体の配列の間隔や位置がずれないように固定する台座の役割と、表示体が表示する色調や光量を整える表示補助の役割がある。さらに、表示装置の各表示素子を駆動するための配線を具備しても良い。
基材5は単一の素材で構成する必要がなく、適宜必要な構成を複合してよい。また必ずしも平面でなく、球面など立体構造をなしていてもよい。さらにまた、貫通孔などの加工を行っても構わない。後述する遮光板に基材5の機能も併合して基材5を省略してもよい。本発明による表示装置において、基材5は、省略することができる。
例えば、基材5に表示体を積載した場合の表示方法において、反射光で表示体側から視認(片面表示)する場合は基材5の表示体積載側の面を背景色で塗装したり鏡面加工するなど反射性能を持たせれば良く、透過光で片面表示する場合は基材5を透明フィルムやガラス等の素材としても良いし、基材5の表示体積載側にバックライト等の自発光する構成要素を組み込んでも良いし、他の基材を採用してもよい。
さらに例えば、基材5に表示体を積載した場合の表示方法において、表示体側と基材側との両側から視認(両面表示)する場合には基材5を透明フィルムやガラス等の素材として両側から視認できるようにしてもよい。さらに、他の基材を採用してもよい。
さらに、各種基材の両面に表示体を積載して基材の両面が独立した表示装置としてもよい。
基材5は、表面の平面性と、表示素子積層体Lを支持できるものであればその材質に制限はなく、プラスチック、セラミックス、木材、紙、金属などから適宜選択すれば良いが、金属を選択する場合には、表示素子Uの電極による電界を妨げたりショートさせないように電極に直接接触しないように設置する工夫が必要がある。金属材を使用する場合には表面を絶縁材で被覆してもよい。シート形状であるの基材5を選択すれば、本発明の表示素子Uや表示素子積層体L等の電子ペーパーへの利用が可能である。表示素子Uの固定は熱融着、溶剤溶着、接合剤接着、圧着等により固定すればよい。前記接着剤としては選択した材料に適合した汎用の接着剤を使用すればよく、メラミン系、フェノール系、エポキシ系等の熱硬化性樹脂系接着剤、天然ゴム、合成ゴム、等のエラストマー系接着剤、シリカ系接着剤、アクリル樹脂系、ウレタン樹脂系、エチレン−酢酸ビニル系、塩化ビニル樹脂溶剤系、酢酸ビニル樹脂系、シアノアクリレート樹脂系、スチレン−ブタジエン樹脂系、ニトリルゴム系、等の各種樹脂系接着剤、各種ホットメルト接着剤等から適宜選択することができる。
【0036】
《表示装置》
本発明による表示素子Uまたは表示素子積層体Lを複数個面状に配列することにより、文字、図形、画像を表示する表示装置を形成することができる。以下、本発明による表示装置の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0037】
(実施形態12)
図17は、本発明による第12の形態として表示素子単層の集合体Fからなる表示装置の例を示す側面図である。図18は、前記図17に対応する斜視図である。図17および図18の例においては、本発明による表示素子U複数個が基材51上に設置されて面状に配列されている。配列する表示素子Uとして前記実施形態のいずれを何種類選択してもよく、表示すべき色の配置によって適宜設計することができる。面状に配列される表示素子U間の距離は、表示素子Uの変形、表示素子U表面の電極による電界および該電極への配線を妨げない範囲で狭い間隔をとればよい。
【0038】
(実施形態13)
図19は、本発明による第13の形態として表示素子単層の集合体Fによる表示装置の例を示す断面図である。軟質透明蓋体11は軟質材料による一体成型体であり、面状に配列された複数の表示素子Uの透明軟質中空セル片面を構成している。軟質透明蓋体11の片面に平面状の電気絶縁性の基材52が密着固定されており、一つ一つの透明軟質中空セルの内部が密閉されている。さらにそれぞれの透明軟質中空セルの密閉された内部にはそれぞれ有色液体2が封入されている。加えて軟質透明蓋体11の表面には全ての透明軟質中空セル個別に透明電極Aが配置されている。全ての透明電極Aは個別に導線等の配線が施されている(図面は省略)。さらに、基材52の軟質透明蓋体11と反対側には電極Eが面状に配置されている。
実施形態13は実施形態12(図17、図18)において表示素子Uを配列した状態で一体として製造できるので、表示素子単層の集合体Fを効率的に製造するのに適した優れた形態である。
軟質透明蓋体11を構成する材料は、前記透明軟質セルにおいてセル1を光透過性および軟質の両方の性質を併せ持つ単一の材料から構成する場合と同等である。基材52を構成する材料は、前記表示装置における基材と同等である。
【0039】
(実施形態14)
図20は、本発明による第14の形態として表示素子単層の集合体Fに遮光板8を組み合わせた表示装置の例を示す側面図である。図21(b)は、前記図20に対応する斜視図である。図21(a)は表示素子単層の集合体Fと遮光板8を層間支持材7により接合することを模式的に示した分解斜視図である。本実施形態においては、表示素子単層の集合体Fとして前記実施形態12または13のいずれであってもよい。
【0040】
遮光板
遮光板8は表示装置の視認者側に設置する光フィルターであり、表示素子Uを複数個面状に配列してなる表示装置の表示部(前記セルの周辺部の中央部分)からの光を透過させるとともに非表示部(前記セルの周辺部の伸縮変形部分)を一様な色調の覆いで隠すように加工されており、表示装置の表示面の地色を整える表示補助の役割がある。
さらに、表示素子Uを複数個面状に配列してなる表示装置において、遮光板8に表示素子の配列の間隔や位置がずれないように固定する台座の役割をも持たせて、表示素子単層の集合体Fを構成する基材5を省略することもできる。
さらにまた、表示装置の各表示素子を駆動するための配線を具備させることもできる。
このような遮光板8としては、表示装置における非表示部が適当な色(例えば黒色、白色など)で隠れるように印刷した透明フィルム、あるいは表示装置における非表示部を覆うように加工した網の表面を適当な色(例えば黒色、白色など)で着色した網状板などが挙げられる。遮光板6の色は、特に制限するものではないが、表示装置の表示面の地色とすれば、表示が見やすくなる。
【0041】
層間支持材
層間支持材7は遮光板8を表示素子単層の集合体Fに固定するもので、表示素子単層の集合体Fを構成する表示素子Uの表示を妨げない限り、表示素子Uの任意の部分で任意の方法で固定することができる。
このような層間支持材7としては、選択した材料に適合した汎用の接着剤を使用すればよく、メラミン系、フェノール系、エポキシ系等の熱硬化性樹脂系接着剤、天然ゴム、合成ゴム、等のエラストマー系接着剤、シリカ系接着剤、アクリル樹脂系、ウレタン樹脂系、エチレン−酢酸ビニル系、塩化ビニル樹脂溶剤系、酢酸ビニル樹脂系、シアノアクリレート樹脂系、スチレン−ブタジエン樹脂系、ニトリルゴム系、等の各種樹脂系接着剤、各種ホットメルト接着剤等から適宜選択することができる。
ただし、表示素子Uの非表示部の表面を直接塗装して遮光板8の代わりとする場合など、本発明による表示装置において、層間支持材7および遮光板8は、必要に応じて省略することができる。
【0042】
(実施形態15)
図22は、本発明による第15の形態として本発明による表示素子単層の集合体F1、F2およびF3の3層が層間支持材71、72により固定されて重畳され、遮光板81が該表示素子単層の集合体F1の基材側に設置され、更に遮光板83を層間支持材73で固定して重畳した表示装置の例を示す側面図である。本実施形態において各層の配置は、各層を構成する表示素子が、前記表示素子積層体と同様に同一視野角内(表示素子の中心部を表示素子と垂直の方向から視認することを指す)に入る位置に固定されている。本実施形態においては、表示素子単層の集合体Fとして前記実施形態12または13のいずれであってもよい。
表示素子単層の集合体Fの重畳する枚数は特に限定するものでなく、表示すべき色の階調や色の種類によって適宜設計することができる。
図23(b)は、前記図22に対応する斜視図である。図23(a)は表示素子単層の集合体F1、F2およびF3の3層と遮光板8とを層間支持材71〜73により接合することを模式的に示した分解斜視図である。
表示素子単層の集合体F1、F2およびF3を構成する前記表示素子それぞれに封入されている前記有色液体は同じでも異なっていても構わないが、下層の色との重ね合わせ効果を得るためにある程度の光透過性を有する液体である。ただし、視認者から見て最深層に当たる層のみ、光透過性が乏しい遮光性が高い液体とすることができる。
本発明による実施形態15のような表示装置において、重畳される表示素子U1〜U3それぞれに封入される有色液体を同じ色もしくは同系色とした表示素子積層体によれば、色濃度の階調を表現することができる。
本発明による実施形態8のような表示素子積層体Lにおいて、重畳される表示素子単層の集合体F1、F2およびF3それぞれに封入される有色液体を色の3原色とすればカラー表示することができる。
例えば薄い単色の表示素子単層の集合体Fを重ねることで多段階の階調表示が可能である。
色の3原色の表示素子単層の集合体Fを重ねることで光反射方式のカラー表示が可能である。
光の3原色の表示素子単層の集合体Fを重ねることで光透過方式のカラー表示が可能である。
本発明による表示装置において、重畳する表示素子単層の集合体Fの層数は3に限らず自由に設計できるので、さらに重畳する層数を増やすことにより、表現できる階調の段階および色合いを増やすことができる。
重畳される表示素子単層の集合体Fどうしの層間距離は、これらを構成する各表示素子Uの変形および各表示素子U表面の電極による電界を妨げない程度の間隔をとればよく、概ね1mm程度の間隔をとればよい。
【0043】
遮光板
遮光板81、83は表示装置の視認者側に設置する光フィルターであり、表示装置の表示面の地色を整える表示補助の役割のほか、台座の役割、表示装置の各表示素子を駆動するための配線を具備させることもできること等の機能は実施形態14の遮光板8と同等であり、材料も該遮光板8と同等に選択できる。なお、遮光板81は表示素子単層の集合体F1の基材面に直接各種の印刷、吹き付け、蒸着、溶射等により設置しても良い。
【0044】
層間支持材
層間支持材71、72および73は表示素子単層の集合体F1、F2、F3どうしおよび遮光板83を固定するもので、材料は実施形態14の層間支持材7と同等に選択できる。
ただし、表示素子Uの非表示部の表面を直接塗装して遮光板83の代わりとする場合など、本発明による表示装置において、層間支持材73および遮光板83は、必要に応じて省略することができる。
【0045】
(実施形態16)
図24は、本発明による第16の形態として基材53の両面に実施形態14(図20)の構成を配置した表示装置の例を示す側面図である。基材53を共有して両面に表示素子単層の集合体F4およびF5が配置されている。
基材53が透明材料であれば光透過によりF4とF5による階調表示もしくは混色表示が可能である。基材53が不透明材料であれば光反射によりF4側とF5側の両面独立表示が可能である。
本実施形態においては、表示素子単層の集合体Fとして前記実施形態12または13のいずれであってもよい。実施形態13とする場合には基材53内部に電極層(図19電極Eに相当)を設けるか、基材自体を導電性として電極Eとすることもできる。
【0046】
(実施形態17)
図25は、本発明による第17の形態として前記表示素子積層体Lの集合体Gからなる表示装置の例を示す側面図である。図26は表示素子積層体Lの斜視図、図27は前記図25に対応する斜視図である。図25および図27の例においては、本発明による表示素子積層体Lは複数個が基材5上に設置されて面状に配列され、隣接する表示素子積層体どうしは積層支持材41を共有し、基材5と積層支持材41とが固定されている。配列する表示素子積層体Lとして前記実施形態のいずれを何種類選択してもよく、表示すべき色の配置によって適宜設計することができる。面状に配列される表示素子積層体L間の距離は、表示素子積層体Lを構成する表示素子Uの変形、該表示素子U表面の電極による電界および該電極への配線を妨げない範囲で狭い間隔をとればよい。基材5と積層支持材41との固定は、固定は熱融着、溶剤溶着、接合剤接着、圧着等により固定すればよい。前記接着剤としては選択した材料に適合した汎用の接着剤を使用すればよく、メラミン系、フェノール系、エポキシ系等の熱硬化性樹脂系接着剤、天然ゴム、合成ゴム、等のエラストマー系接着剤、シリカ系接着剤、アクリル樹脂系、ウレタン樹脂系、エチレン−酢酸ビニル系、塩化ビニル樹脂溶剤系、酢酸ビニル樹脂系、シアノアクリレート樹脂系、スチレン−ブタジエン樹脂系、ニトリルゴム系、等の各種樹脂系接着剤、各種ホットメルト接着剤等から適宜選択することができる。
【0047】
(実施形態18)
図28は、本発明による第18の形態として実施形態17に遮光板8を組み合わせた表示装置の例を示す側面図である。遮光板8は前記表示素子積層体Lを構成する積層支持材42に固定されている。図のように遮光板8を固定しない積層支持材41があっても良いし、なくても良い。図29(b)は、前記図28に対応する斜視図である。図29(a)は表示素子積層体Lの集合体Gと遮光板8を前記積層支持材を介して固定することを模式的に示した分解斜視図である。
【0048】
遮光板
遮光板8は表示装置の視認者側に設置する光フィルターであり、表示装置の表示面の地色を整える表示補助の役割のほか、台座の役割、表示装置の各表示素子を駆動するための配線を具備させることもできること等の機能は実施形態14の遮光板8と同等であり、材料も該遮光板8と同等に選択できる。表示素子Uを複数個面状に配列してなる表示装置において、遮光板8に表示素子の配列の間隔や位置がずれないように固定する台座の役割を持たせた場合には、表示素子積層体の集合体Gを構成する基材5(図25参照)を省略することもできる。
遮光板8と積層支持材42との固定は、固定は熱融着、溶剤溶着、接合剤接着、圧着等により固定すればよい。前記接着剤としては選択した材料に適合した汎用の接着剤を使用すればよく、メラミン系、フェノール系、エポキシ系等の熱硬化性樹脂系接着剤、天然ゴム、合成ゴム、等のエラストマー系接着剤、シリカ系接着剤、アクリル樹脂系、ウレタン樹脂系、エチレン−酢酸ビニル系、塩化ビニル樹脂溶剤系、酢酸ビニル樹脂系、シアノアクリレート樹脂系、スチレン−ブタジエン樹脂系、ニトリルゴム系、等の各種樹脂系接着剤、各種ホットメルト接着剤等から適宜選択することができる。
【0049】
《表示素子駆動方法》
本発明による表示素子(以下の実施形態の説明において記号Uで示す)は、軟質透明中空セル(以下の実施形態の説明において記号1で示す)の外形を表面に設けられた電極が発生する静電気力により該セルを変形させることにより、該セルの内部に充填、封入された有色液体(以下の実施形態の説明において記号2で示す)を該セル中で移動させ、該セルの全体に存在させるか中央部のみに存在させる場合と、周辺部のみに偏在させる場合とのいずれかの状態に切り替えを行い、該セルに設けられた透明材料部分において内部の有色液体を見え隠れさせること、即ち有色液体の呈色を見え隠れ切り替えること、により情報を表示することができるというものである。
以下に、本発明による表示素子の駆動方法を図面を参照して説明する。
【0050】
図30(a)および(b)は、本発明の実施形態1にかかる図1で示した表示素子Uの動作原理を説明する断面図群であって、それぞれ図1(a)および(b)に対応している。図30(a)は色非表示状態、図30(b)は色表示状態である。
本実施形態において表示素子Uは、色なし、色ありの2段階の色表示を行うことができる。
透明軟質中空セル1中央部の平行面部分の片面には透明電極A、対向する他面には電極Bが配置されている。
透明電極Aおよび電極Bからはそれぞれ独立して電気配線が引き出される。透明電極Aからは単極スイッチ101を介して直流電源の正極に接続され、直流電源の負極はグラウンド接続している。電極Bから引き出されている電気配線は直接グラウンド接続している。
【0051】
図30(a)では、単極スイッチ101を開いており、電極Aおよび電極Bには通電しない。有色液体2は、セル1内部の全体が有色液体2に満たされ、電極A側からは有色液体2の呈する色が視認される(色表示状態)。
図30(b)では、単極スイッチ101を閉じて電極Aに通電することにより、電極Aと電極Bとの間の電位差のために電界が形成され、電極Aと電極Bとを引き寄せるような外力(静電力)が生じる。このためにセル1の中央部にある電極Aおよび電極Bの部分が静電力により押し合わされるように変形して内面が面接触した状態となり、有色液体2がセル1の周辺部の伸縮変形部分に偏在する結果、電極A側からは有色液体2の呈する色が視認されず、電極B側の面が透過して見える。セル1の中央部の平行面部分の両面が光透過性材料であって電極Bが透明電極である場合には、透明電極A側から透明電極Bの外が透けて見える(色非表示状態)。
【0052】
図31(a)および(b)は、本発明の実施形態2にかかる図3で示した表示素子Uの動作原理を説明する断面図群であって、それぞれ図3(a)および(b)に対応している。図30(a)は色非表示状態、図30(b)は色表示状態である。
本実施形態において表示素子Uは、色なし、色ありの2段階の色表示を行うことができる。
透明軟質中空セル1中央部の平行面部分の片面には透明電極A、対向する他面には電極Bが配置されている。
透明電極Aおよび電極Bからはそれぞれ独立して電気配線が引き出される。透明電極Aからは単極スイッチ101を介して直流電源の正極に接続され、直流電源の負極はグラウンド接続している。電極Bから引き出されている電気配線は直接グラウンド接続している。
【0053】
図31(a)では、単極スイッチ101を開いており、透明電極Aおよび電極Bには通電しない。セル1内部の全体が有色液体2に満たされ、電極A側からは有色液体2の呈する色が視認される(色表示状態)。
図31(b)では、単極スイッチ101を閉じて電極Aに通電することにより、電極Aと電極Bとの間の電位差のために電界が形成され、電極Aと電極Bとを引き寄せるような外力(静電力)が生じる。このためにセル1の中央部にある電極Aおよび電極Bの部分が静電力により押し合わされるように変形して内面が面接触した状態となり、有色液体2がセル1の周辺部の伸縮変形部分に偏在する結果、電極A側からは有色液体2の呈する色が視認されず、電極B側の面が透過して見える。セル1の中央部の平行面部分の両面が光透過性材料であって電極Bが透明電極である場合には、透明電極A側から透明電極Bの外が透けて見える(色非表示状態)。
【0054】
図32(a)および(b)は、本発明の実施形態3にかかる図5で示した表示素子Uの動作原理を説明する断面図群であって、それぞれ図5(a)および(b)に対応している。図32(a)は色表示状態、図32(b)は色非表示状態である。
本実施形態において表示素子Uは、色なし、色ありの2段階の色表示を行うことができる。
透明軟質中空セル1は、両面もしくは片面が光透過性材料からなる中央部の平行面部分と軟質材料からなる周辺部の伸縮変形部分とで構成されており、外力の影響がない状態において、セル1中央部の平行面部分の両面が密着した形状である。セル1の該周辺部には枠形状の電極Cと枠形状の電極Dとが対向して配置されている。電極Cおよび電極Dからはそれぞれ独立して電気配線が引き出される。電極Cからは単極スイッチ101を介して直流電源の正極に接続され、直流電源の負極はグラウンド接続している。電極Dから引き出されている電気配線は直接グラウンド接続している。
【0055】
図32(a)では、単極スイッチ101を開いており、電極Cおよび電極Dには通電しないため、有色液体2がセル1周辺部の伸縮変形部分に偏在し、電極A側からは有色液体2の呈する色が視認されず、電極B側の面が透過して見える。セル1の中央部の平行面部分の両面が光透過性材料である場合には、反対面の外が透けて見える(色非表示状態)。
図32(b)では、単極スイッチ101を閉じて電極Cに通電することにより、電極Cと電極Dとの間の電位差のために電界が形成され、電極Cと電極Dとを引き寄せるような外力(静電力)が生じる。このためにセル1の周辺部にある電極Cおよび電極Dの部分が性電力により押し合わされるように変形して内面が面接触した状態となり、有色液体2がセル1の中央部に偏在する結果、中央部において有色液体2の呈する色が視認される(色表示状態)。
【0056】
図33(a)および(b)は、本発明の実施形態4にかかる図7で示した表示素子Uの動作原理を説明する断面図群であって、それぞれ図7(a)および(b)に対応している。図33(a)は色表示状態、図33(b)は色非表示状態である。
本実施形態において表示素子Uは、色なし、色ありの2段階の色表示を行うことができる。
透明軟質中空セル1は、両面もしくは片面が光透過性材料からなる中央部の平行面部分と軟質材料からなる周辺部の伸縮変形部分とで構成されており、外力の影響がない状態において、セル1中央部の平行面部分の両面が密着した形状である。セル1の該周辺部には枠形状の電極Cと枠形状の電極Dとが対向して配置されている。電極Cおよび電極Dからはそれぞれ独立して電気配線が引き出される。電極Cからは単極スイッチ101を介して直流電源の正極に接続され、直流電源の負極はグラウンド接続している。電極Dから引き出されている電気配線は直接グラウンド接続している。
【0057】
図33(a)では、単極スイッチ101を開いており、電極Cおよび電極Dには通電しないため、有色液体2がセル1周辺部の伸縮変形部分に偏在し、電極A側からは有色液体2の呈する色が視認されず、電極B側の面が透過して見える。セル1の中央部の平行面部分の両面が光透過性材料である場合には、反対面の外が透けて見える(色非表示状態)。
図33(b)では、単極スイッチ101を閉じて電極Cに通電することにより、電極Cと電極Dとの間の電位差のために電界が形成され、電極Cと電極Dとを引き寄せるような外力(静電力)が生じる。このためにセル1の周辺部にある電極Cおよび電極Dの部分が性電力により押し合わされるように変形して内面が面接触した状態となり、有色液体2がセル1の中央部に偏在する結果、中央部において有色液体2の呈する色が視認される(色表示状態)。
【0058】
図34(a)、(b)および(c)は、本発明の実施形態5にかかる図8で示した表示素子Uの動作原理を説明する断面図群であって、それぞれ図8(a)、(b)および(c)に対応している。図33(a)は弱い色表示状態、図33(b)は色非表示状態、図33(c)は強い色表示状態である。本実施形態において表示素子Uは、色なし、薄色(弱い色)、濃色(強い色)の3段階の色階調表示を行うことができる。
透明軟質中空セル1は、両面もしくは片面が光透過性材料からなる中央部の平行面部分と軟質材料からなる周辺部の伸縮変形部分とで構成されており、セル1において前記中央部の平行面部分の片面には透明電極A、その外側の周辺部にあたる部分に電極Cが配置され、他面には透明電極Aに対向するように電極B、枠形の電極Cに対向するように枠形の電極Dが配置されている。電極A、電極B、電極Cおよび電極Dからはそれぞれ独立して電気配線が引き出される。電極Aおよび電極Cからはそれぞれ独立して電気配線が引き出され、それぞれ2極スイッチ102の別端子に接続されている。さらに2極スイッチは直流電源の正極に接続され、直流電源の負極はグラウンド接続している。電極Bおよび電極Dから引き出されている電気配線はそれぞれ直接グラウンド接続している。
【0059】
図34(a)では、2極スイッチ102を中立しており、セル1内部の全体が有色液体2に満たされ、電極A側からは有色液体2の呈する色が視認される(弱い色表示状態)。
図34(b)では、2極スイッチ102を電極A側に閉じて通電することにより、電極Aと電極Bとの間の電位差のために電界が形成され、電極Aと電極Bとを引き寄せるような外力(静電力)が生じる。このため、セル1の中央部にある電極Aおよび電極Bの部分が静電力により押し合わされるように変形して内面が面接触した状態となり、有色液体2がセル1の周辺部の伸縮変形部分に偏在する結果、電極A側からは有色液体2の呈する色が視認されず、電極B側の面が透過して見える(色非表示状態)。セル1の中央部の平行面部分の両面が光透過性材料であって電極Bが透明電極である場合には、透明電極A側から透明電極Bの外が透けて見える(色非表示状態)。
図34(c)では、2極スイッチ102を電極C側に閉じて通電することにより、電極Cと電極Dとの間の電位差のために電界が形成され、電極Cと電極Dとを引き寄せるような外力(静電力)が生じる。このため、セル1の周辺部にある電極Cおよび電極Dの部分が外力により押し合わされるように変形して内面が面接触した状態となり、有色液体2がセル1の中央部に偏在する結果、電極A側からは有色液体2の呈する色が、図34(a)の状態よりも強く視認される(強い色表示状態)。
【0060】
図35(a)、(b)および(c)は、本発明の実施形態6にかかる図10で示した表示素子Uの動作原理を説明する断面図群であって、それぞれ図10(a)、(b)および(c)に対応している。図35(a)は弱い色表示状態、図35(b)は色非表示状態、図35(c)は強い色表示状態である。本実施形態において表示素子Uは、色なし、薄色(弱い色)、濃色(強い色)の3段階の色階調表示を行うことができる。
透明軟質中空セル1は、両面もしくは片面が光透過性材料からなる中央部の平行面部分と軟質材料からなる周辺部の伸縮変形部分とで構成されており、セル1において前記中央部の平行面部分の片面には透明電極A、その外側の周辺部にあたる部分に電極Cが配置され、他面には透明電極Aに対向するように電極B、枠形の電極Cに対向するように枠形の電極Dが配置されている。電極A、電極B、電極Cおよび電極Dからはそれぞれ独立して電気配線が引き出される。電極Aおよび電極Cからはそれぞれ独立して電気配線が引き出され、それぞれ2極スイッチ102の別端子に接続されている。さらに2極スイッチは直流電源の正極に接続され、直流電源の負極はグラウンド接続している。電極Bおよび電極Dから引き出されている電気配線はそれぞれ直接グラウンド接続している。
【0061】
図35(a)では、2極スイッチ102を中立しており、セル1内部の全体が有色液体2に満たされ、電極A側からは有色液体2の呈する色が視認される(弱い色表示状態)。
図35(b)では、2極スイッチ102を電極A側に閉じて通電することにより、電極Aと電極Bとの間の電位差のために電界が形成され、電極Aと電極Bとを引き寄せるような外力(静電力)が生じる。このため、セル1の中央部にある電極Aおよび電極Bの部分が静電力により押し合わされるように変形して内面が面接触した状態となり、有色液体2がセル1の周辺部の伸縮変形部分に偏在する結果、電極A側からは有色液体2の呈する色が視認されず、電極B側の面が透過して見える(色非表示状態)。セル1の中央部の平行面部分の両面が光透過性材料であって電極Bが透明電極である場合には、透明電極A側から透明電極Bの外が透けて見える(色非表示状態)。
図35(c)では、2極スイッチ102を電極C側に閉じて通電することにより、電極Cと電極Dとの間の電位差のために電界が形成され、電極Cと電極Dとを引き寄せるような外力(静電力)が生じる。このため、セル1の周辺部にある電極Cおよび電極Dの部分が外力により押し合わされるように変形して内面が面接触した状態となり、有色液体2がセル1の中央部に偏在する結果、電極A側からは有色液体2の呈する色が、図35(a)の状態よりも強く視認される(強い色表示状態)。
【0062】
図36(a)、(b)および(c)は、本発明の実施形態7にかかる図11で示した表示素子Uの動作原理を説明する断面図群であって、それぞれ図10(a)、(b)および(c)に対応している。図35(a)は弱い色表示状態、図35(b)は色非表示状態、図35(c)は強い色表示状態である。本実施形態において表示素子Uは、色なし、薄色(弱い色)、濃色(強い色)の3段階の色階調表示を行うことができる。
透明軟質中空セル1は、両面もしくは片面が光透過性材料からなる中央部の平行面部分と軟質材料からなる周辺部の伸縮変形部分とで構成されており、セル1において前記中央部の平行面部分の片面には透明電極A、その外側の周辺部にあたる部分に電極Cが配置され、他面には透明電極Aおよび枠形の電極Cに対向するように電極Eが配置されている。電極A、電極Cおよび電極Eからはそれぞれ独立して電気配線が引き出される。電極Aおよび電極Cからはそれぞれ独立して電気配線が引き出され、それぞれ2極スイッチ102の別端子に接続されている。さらに2極スイッチは直流電源の正極に接続され、直流電源の負極はグラウンド接続している。電極Eから引き出されている電気配線はそれぞれ直接グラウンド接続している。
【0063】
図36(a)では、2極スイッチ102を中立しており、セル1内部の全体が有色液体2に満たされ、電極A側からは有色液体2の呈する色が視認される(弱い色表示状態)。
図35(b)では、2極スイッチ102を電極A側に閉じて通電することにより、電極Aと電極Eとの間の電位差のために電界が形成され、電極Aと電極Eとを引き寄せるような外力(静電力)が生じる。このため、セル1の中央部にある電極Aおよび電極Eの中央部の部分が外力により押し合わされるように変形して内面が面接触した状態となり、有色液体2がセル1の周辺部の伸縮変形部分に偏在する結果、電極A側からは有色液体2の呈する色が視認されず、電極E側の面の中央部が透過して見える。セル1の中央部の平行面部分の両面が光透過性材料であって電極Eが透明電極である場合には、透明電極A側から透明電極Eの中央部の外が透けて見える(色非表示状態)。
図35(c)では、2極スイッチ102を電極C側に閉じて通電することにより、電極Cと電極Dとの間の電位差のために電界が形成され、電極Cと電極Dとを引き寄せるような外力(静電力)が生じる。このため、電極A側からは有色液体2の呈する色が、図36(a)の状態よりも強く視認される(強い色表示状態)。セル1の2平行面部分のうち大きな側が透明であって電極Eが透明電極である場合には、電極E側の中央部から有色液体2の呈する色が前記強い色表示状態にて視認される。
【0064】
図37(a)および(b)は、本発明の実施形態1にかかる図1で示した表示素子Uにおいて、軟質透明セル1の周辺部の伸縮変形部分にバネ押圧による圧縮機構9を設けた場合を例示するとともにその動作原理を説明する断面図群である。図37(a)は色表示状態、図37(b)は色非表示状態である。
本実施形態において表示素子Uは、色なし、色ありの2段階の色表示を行うことができる。
透明軟質中空セル1中央部の平行面部分の片面には透明電極A、対向する他面には電極Bが配置され、さらにセル1の周辺部の伸縮変形部分にバネ押圧による圧縮機構9が設置されている。圧縮機構9はバネ押圧を利用した態様に限定されず、重力等の他の外力を利用した態様であってもよい。
透明電極Aおよび電極Bからはそれぞれ独立して電気配線が引き出される。透明電極Aからは単極スイッチ101を介して直流電源の正極に接続され、直流電源の負極はグラウンド接続している。電極Bから引き出されている電気配線は直接グラウンド接続している。
【0065】
図37(a)では、単極スイッチ101を開いており、電極Aおよび電極Bには通電しない。セル1の周辺部は圧縮機構9により圧縮変形され有色液体2はセル中央部に偏在させられるため、電極A側からは有色液体2の呈する色が視認される(色表示状態)。特に、圧縮機構を用いない場合よりもセル中央部の厚さが厚くなるため実施形態1(図1)およびその動作原理(図30)の場合より濃い表示色を得る。
図37(b)では、単極スイッチ101を閉じて電極Aに通電することにより、電極Aと電極Bとの間の電位差のために電界が形成され、電極Aと電極Bとを引き寄せるような外力(静電力)が生じる。この際、該静電力が上記圧縮機構9によるセルへの押し圧力より大きくなるように調節してあるので、セル1の中央部にある電極Aおよび電極Bの部分が静電力により押し合わされて内面が面接触した状態となり、セル1の周辺部の伸縮変形部分に押し出された有色液体2が該圧縮機構9をセル1内側から押し開くように変形させ、圧縮機構9からの押し圧力に打ち勝って有色液体2がセル1の周辺部の伸縮変形部分に偏在する結果、電極A側からは有色液体2の呈する色が視認されず、電極B側の面が透過して見える。セル1の中央部の平行面部分の両面が光透過性材料であって電極Bが透明電極である場合には、透明電極A側から透明電極Bの外が透けて見える(色非表示状態)。
【0066】
以上のように、本発明による表示素子の各実施形態において、単極スイッチもしくは2極スイッチを切り替えて前記透明軟質中空セルに設けられた電極に適宜通電することにより、表示、非表示の状態を切り替えることができる。さらに、本発明による表示素子積層体においても同様に、該表示素子積層体を構成する複数の透明軟質中空セルを独立して、表示、非表示の状態を切り替えることができる。またさらに、本発明による表示装置においても同様に、該表示素子積層体を構成する複数の透明軟質中空セルを独立して、表示、非表示の状態を切り替えることができ、これにより、文字、図形、画像を表示することができる。
【0067】
単極スイッチおよび双極スイッチ
前記単極スイッチおよび双極スイッチは、手動で切り替えるような単純な構造であっても良いが、例えばプログラムで切り替えを制御できる電子スイッチ等を利用すれば、表示の切り替えをタイミングよくできるだけでなく、複数の表示素子を連動させて表示させることもできる。
【0068】
駆動電源として直流電源を用いても交流電源を用いても良い。直流電源を利用する場合は乾電池が利用でき携帯性に優れる。
電圧交流電源を使用する場合は、電圧を印加すると規則的に電界の方向が入れ替わるために有色液体2に残留電荷(帯電)が溜まりにくく、表示の応答性に優れる。
【0069】
表示素子に印加する電圧の大きさは適宜決めれば良いが、薄平板型セル1の寸法、材質、肉厚、あるいは有色液体の種類および量によりある程度適正値が決定され、概ね、100[V]〜2[kV]が好適である。
直流印加電圧が100[V]を下回ると有色液体2が移動しにくくなる。2[kV]を上回ると放電の恐れがあり、表示素子を表示素子積層体あるいは表示装置に応用した際に隣接する他の表示素子への電界の干渉が無視できなくなる。
【実施例】
【0070】
以下に、本発明を実施例によって説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。
【0071】
(実施例1)
市販の透明な低密度ポリエチレンフィルム(ノバテック(R)LF443)、日本ポリエチレン株式会社製)を原材料にして下記大きさのの表材と裏材を別に成型加工し、表材に電極A(図19参照)としてITOスパッタリングにて形成し、裏材に電極E(図19参照)として全面アルミニウム箔圧着により形成した。その後、表材を水平に設置しながら各セルに有色液体(パイロット社製ボトルインク青INK30L)を注ぎ、空隙が入らないように裏面材料を熱融着して貼り合わせて実施例1にかかる本発明の実施形態13で示した表示装置(表示素子単層の集合体)を作製した。電極Eをグランド接続した上で、直流電圧+100Vを各表示素子の電極Aそれぞれに印加、非印加し、すべての表示素子において色非表示と表示の切り替えが可能であることを確認した。
(表材)熱プレス成型品
シート外形:80mm×80mm×厚さ0.3mm
セル外形:10mm×10mm×1.0mm
セル個数:5列×5列の25セル
電極A単体の大きさ:5mm×5mm×0.01μm
(裏材)ポリエチレンフィルム単体
シート外形:80mm×80mm×厚さ0.3mm
電極Aの作成方法:ITOスパッタリング
電極E:アルミ箔(厚さ250μm;裏材に融着)
(有色液体の量)約0.1ml/セル
【0072】
(実施例2)
裏材の電極EをITOスパッタリング(厚さ0.01μm)とした以外は実施例1と同様の表示装置(表示素子単層の集合体)を作製した。電極Eをグランド接続した上で、直流電圧+100Vを各表示素子の電極Aそれぞれに印加、非印加し、すべての表示素子において色非表示と表示の切り替えが可能であることを確認した。
【0073】
(実施例3)
実施例1の表示装置(表示素子単層の集合体)の表材側に市販の透明な低密度ポリエチレンフィルム(ノバテック(R)LF443)を介して実施例2の表示装置(表示素子単層の集合体)を積層し、それぞれ電極Eをグランド接続した上で、直流電圧+100Vを各表示素子の電極Aそれぞれに任意に印加、非印加し、階調表示が可能であることを確認した。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】図1は、本発明による表示素子の実施形態1における(a)色表示状態および(b)色非表示状態を示す断面図である。
【図2】図2は、本発明による表示素子の実施形態1における(a)色表示状態および(b)色非表示状態を示す斜視図である。
【図3】図3は、本発明による表示素子の実施形態2における(a)色表示状態および(b)色非表示状態を示す断面図である。
【図4】図4は、本発明による表示素子の実施形態2における(a)色表示状態および(b)色非表示状態を示す斜視図である。
【図5】図5は、本発明による表示素子の実施形態3における(a)色非表示状態および(b)色表示状態を示す断面図である。
【図6】図6は、本発明による表示素子の実施形態3における(a)色非表示状態および(b)色表示状態を示す斜視図である。
【図7】図7は、本発明による表示素子の実施形態4における(a)色非表示状態および(b)色表示状態を示す断面図である。
【図8】図8は、本発明による表示素子の実施形態5における(a)弱い色表示状態、(b)色非表示状態および(c)強い色表示状態を示す断面図である。
【図9】図9は、本発明による表示素子の実施形態5における(a)弱い色表示状態、(b)色非表示状態および(c)強い色表示状態を示す斜視図である。
【図10】図10は、本発明による表示素子の実施形態6における(a)弱い色表示状態、(b)色非表示状態および(c)強い色表示状態を示す断面図である。
【図11】図11は、本発明による表示素子の実施形態7における(a)弱い色表示状態、(b)色非表示状態および(c)強い色表示状態を示す断面図である。
【図12】図12は、本発明による実施形態8の表示素子積層体を示す側面図である。
【図13】図13は、本発明による実施形態9の表示素子積層体を示す側面図である。
【図14】図14は、本発明による実施形態10の表示素子積層体を示す側面図である。
【図15】図14は、本発明による実施形態11の表示素子積層体を示す側面図である。
【図16】図16は、本発明による3層の表示素子からなる表示素子積層体において、表示素子の変形する組み合わせを例示した断面図である。
【図17】図17は、本発明による実施形態12の表示装置を示す側面図である。
【図18】図18は、本発明による実施形態12の表示装置を示す斜視図である。
【図19】図19は、本発明による実施形態13の表示装置を示す断面図である。
【図20】図20は、本発明による実施形態14の表示装置を示す断面図である。
【図21】図21は、本発明による実施形態14の表示装置を示す斜視図である。
【図22】図22は、本発明による実施形態15の表示装置を示す側面図である。
【図23】図23は、本発明による実施形態15の表示装置を示す斜視図である。
【図24】図24は、本発明による実施形態16の表示装置を示す側面図である。
【図25】図25は、本発明による実施形態17の表示装置を示す側面図である。
【図26】図26は、本発明による表示素子積層体の斜視図である。
【図27】図27は、本発明による実施形態17の表示装置を示す斜視図である。
【図28】図28は、本発明による実施形態18の表示装置を示す側面図である。
【図29】図28は、本発明による実施形態18の表示装置を示す斜視図である。
【図30】図30は、本発明による実施形態1の表示素子の動作原理を説明する断面図である。
【図31】図31は、本発明による実施形態2の表示素子の動作原理を説明する断面図である。
【図32】図32は、本発明による実施形態3の表示素子の動作原理を説明する断面図である。
【図33】図33は、本発明による実施形態4の表示素子の動作原理を説明する断面図である。
【図34】図34は、本発明による実施形態5の表示素子の動作原理を説明する断面図である。
【図35】図35は、本発明による実施形態6の表示素子の動作原理を説明する断面図である。
【図36】図36は、本発明による実施形態7の表示素子の動作原理を説明する断面図である。
【図37】図37は、本発明による実施形態1の表示素子に圧縮機構を設けた場合の動作原理を説明する断面図である。
【符号の説明】
【0075】
1 平板状の中空軟質透明セル
2 有色液体
4、41、42 積層支持材
5、51、52 基材
61A、61B、61C、61D、62A、62B、62C、62D、63A、63B、63C、63D 配線
7 層間支持材
8、81、83 遮光板
9 圧縮機構
11 軟質透明蓋体
101 単極スイッチ
102 2極スイッチ
A 透明電極
B、E 透明電極(または非透明電極)
C、D 電極
F 表示素子単層の集合体
G 表示素子積層体の集合体
U、U1、U2、U3 表示素子
L 表示素子積層体
【技術分野】
【0001】
この発明は、電子ペーパーに応用できる表示素子、表示素子積層体および表示装置に関し、より詳しくは有色液体を充填した軟質透明セルからなる表示素子、該表示素子を複数層重畳してなる表示素子積層体、複数個の該表示素子積層体を面状に配列してなる表示装置および前記表示素子の駆動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子ペーパーにも応用できる表示方式として、液晶、マイクロカプセル、電子粉流体、クロミズム、有機EL、液体レンズ等の様々な方法の応用が検討されている。
電子ペーパーは用途によって、優先される研究開発の目標が異なる。例えば、電子新聞、電子書籍用の電子ペーパーは視認性、書き換え性、記録保持性、可搬性、薄型性が重要視され、カラー表示が要求される場合がある。一方、屋外で使うポスター、案内板、時刻表などは、カラー表示や耐久性(紫外線、温度変化、湿度など)、大型化に重点が置かれる。また、表示面の輝度を得る方法として表示面の表示側で光を反射させる方法と、裏面から光を透過させる方法があり、使用される場所や用途によって適切な方法が選択される。重要度はその用途によって異なるが紙と同等の視認性が最も優先される開発目標である。
従来の一般的なカラー表示方法は、光の3原色もしくは色の3原色に相当する3色の単色素子を一組として同一面に並べて1つのカラー表示素子とし、これら3原色の組み合わせ混色により発色を行っている。このようなカラー表示素子において原色と同じ色を表示する際には、他の2色の表示部分を非表示とする必要がある。
従来技術の中で液晶表示板以外に液体を利用した表示体としては、特許文献1ではエレクトロウェッティングを応用し、互いに混ざり合わず屈折率および導電率の異なる2種の液体を焦点距離可変の液体レンズ(流体レンズ)として機能させる技術が開示されている。
特許文献2では表示面を上面に有する密閉容器の上部に画素孔なる空間を設置し、該画素孔に設けられた穴から調光液を注入・排出させ、その液量を調節することで色およびコントラストを調節できる表示を行うという技術が開示されており、同時に液量を調節する手段として、熱による液体の膨張、熱による密閉容器底膜の変形、電圧印加による圧電効果による該底膜の変形等を利用する方法が提案されている。
【0003】
【特許文献1】特開2007−072108
【特許文献2】特開2001−042794
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の一般的な表示装置におけるカラー表示方法では、光の3原色もしくは色の3原色に相当する3色の単色素子を一組として同一面に並べて1つのカラー表示素子としていた。このため、原色と同じ色を表示する際には、1素子のみ表示させて他の2色の素子は非表示とする必要があり、すなわち表示面の少なくとも2/3は表示面が無駄となっており、グラビア印刷等による印刷物や印画紙によるプリント写真の品質と比較すると、カラー画面の輝度やコントラストを得る際の弊害となっている。
また、液体を利用した表示体として、特許文献1に係る液体レンズの方法では、2種類の液体を2層構成で使用するために相応の厚さが必要となること、水平以外の角度に設置すると液体レンズ形状が変形して焦点がずれて表示不良が起こりやすいこと、反射光のみで視認可能であるため暗所では使用しにくいこと、表示非表示にかかわらず光が必ず液体層を通過するために光が減衰し、濃淡のコントラストを得にくいこと、表示濃度を段階的に変化させる階調表示は困難であること、等の仕様により、電子ペーパー等の表示装置への適用範囲を狭めている。
さらにまた、特許文献2に係る調光液の注入・排出による表示方法では、1画素を構成する密閉容器として、コントラストを得るために画素孔の空間とは別に画素孔を満たすことができるだけの調光液の全量を保持する別の空間が必要なので画素1つが嵩高くかつ重くなりやすいことに加え、小さな穴から液体を注入排出させるため素早い表示の切り替えができないこと、水平以外の角度に設置すると調光液が画素孔側へこぼれ出て表示を阻害する恐れがあること、反射光のみで視認可能であるため暗所では使用しにくいこと、さらに駆動方法として熱を使用した場合の冷却方法が開示されていないこと、変形する底膜の具体的な形状や材質が開示されていないことなど、実施にあたり多くの技術的課題を残している。
本発明は、表示素子の構造を紙等の基材への印刷(紙にインクが付着している状態)の構造に近づけて表示装置における表示品質を向上することを目的として表示媒体として液体を選択した表示素子に関し、反射光と透過光のどちらでも表示が視認可能であって、水平以外の角度にも設置でき、薄型にできる多用途な新規の表示素子を提供することを課題とする。
また、本発明は、単色表示においては高いコントラストあるいは色濃度の階調を表現できる表示素子積層体を提供することを課題とする。さらに、カラー表示においては3原色のいずれかを表示する際に表示面全体で表示できるすなわち表示面において非表示部分がない表示素子積層体を提供することを課題とする。
さらに、本発明は前記、新規の表示素子または表示素子積層体を使用した表示装置を提供することを課題とする。
さらにまた、本発明は前記、新規の表示素子を駆動する方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、下記の技術的構成により、前記課題を解決できたものである。
【0006】
本発明(1)は、両面もしくは片面が光透過性材料からなる中央部の平行面部分と軟質材料からなる周辺部の伸縮変形部分とで構成された軟質透明中空セルと、該軟質透明中空セルの内部に封入された有色液体とからなり、該軟質透明中空セルを介して少なくとも一対の対向する電極が配置されることを特徴とする表示素子である。
本発明(2)は、前記発明(1)の表示素子を2個以上重畳してなることを特徴とする表示素子積層体である。
本発明(3)は、重畳した表示素子それぞれにおける有色液体の種類が1種類もしくは2種類以上であることを特徴とする、前記発明(2)の表示素子積層体である。
本発明(4)は、請求項1の表示素子または前記発明(2)乃至(3)の表示素子積層体を複数個面状に配列してなることを特徴とする表示装置である。
本発明(5)は、前記発明(4)の表示装置を複数積層してなることを特徴とする表示装置である。
本発明(6)は、前記発明(1)の表示素子の、前記一対の電極の間に電圧を印加して静電気力を生じさせ、前記軟質透明中空セルの内面どうしが面接触するように該軟質透明中空セルの外形を変形せしめ、変形した軟質透明中空セルの面接触していない部分に前記封入された有色液体を偏在するように移動させることを特徴とする表示素子駆動方法である。
【発明の効果】
【0007】
本発明による表示素子は、平板状の軟質透明中空セルすなわち両面もしくは片面が光透過性材料からなる中央部の平行面部分と軟質材料からなる周辺部の伸縮変形部分とで構成された中空セルからなるので、表示媒体として液体を使用しているにもかかわらず、水平以外の角度にも設置でき、薄型にでき、さらに該軟質透明中空セルにおいて中央部の平行面部分の両面が光透過性材料からなる場合には、反射光のみならず透過光によっても表示を視認でき積層することもできるという複数の効果を奏する。さらに、これら複数の効果の結果として、本発明による表示素子は基材の直上に設置することができるので、表示素子の構造を紙等の基材への印刷物(紙にインクが付着している状態)の構造に近づけることができ、該表示素子を用いた表示装置において表示品質を向上することができるという効果を奏する。またさらに、これら複数の効果の結果として、本発明による表示素子は、設置角度を気にすることなく透過光か反射光かの採光条件に合わせた設計とすることができるので多方面の用途に応用できるという効果も奏する。
本発明による表示素子積層体は、前記表示素子を複数積層しているので、単色表示においては高いコントラストあるいは色濃度の階調を表現でき、カラー表示においては原色を表示する際に表示面全体で表示できるすなわち表示面において非表示部分がないため輝度やコントラストを得やすいという効果を奏する。
さらに、本発明による表示装置は、前記表示素子または前記表示素子積層体を使用することにより、表示媒体として液体を使用しているにもかかわらず反射光と透過光のどちらによっても画像表示でき、水平以外の角度にも設置でき、薄型にでき、単色画像表示においては高いコントラストあるいは色濃度の階調で表現でき、カラー画像表示においては3原色のいずれかを表示する際に表示面全体で表示できるすなわち表示面において非表示部分がないためにカラー画像の輝度やコントラストを得やすいという効果を奏する。
さらにまた、本発明による表示素子駆動方法によって、前記表示素子およびこれを組み合わせてなる表示素子積層体あるいは表示装置の表示を可能にする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
《表示素子》
本発明による表示素子は、軟質透明中空セル(以下、単にセルという。)の外形を表面に設けられた電極が発生する静電気力により該セルを変形させることにより、該セルの内部に充填、封入された有色液体を該セル中で移動させ、該セルの全体に存在させるか中央部のみに存在させる場合と、周辺部のみに偏在させる場合とのいずれかの状態に切り替えを行い、該セルに設けられた透明材料部分において内部の有色液体を見え隠れさせること、即ち有色液体の呈色を見え隠れ切り替えること、により情報を表示することができるというものである。表示素子の単体の大きさ(外形)は特に限定されるものではないが、全長0.1mm程度以上から200mm程度まで、厚さ下限0.03mm程度から最大1mm程度までが特に好適であり、適用するものの大きさ、形状(長方形にこだわることなく多角形、円形等)にこだわることなく適宜製作することができる。外形において特に厚さ(電極間距離)が1mmを超える場合には、外形を変形させるための外力として利用する前記静電気力が届かなくなる恐れがあり、表示素子が動作しなくなる恐れがある。以下、本発明による表示素子の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0009】
(実施形態1)
図1(a)および(b)は、本発明による表示素子Uの第1の形態を示す断面図である。図1(a)は色表示状態、図1(b)は色非表示状態である。本実施形態において表示素子Uは、色なし、色ありの2段階の色表示を行うことができる。
透明軟質中空セル1は、両面もしくは片面が光透過性材料からなる中央部の平行面部分と軟質材料からなる周辺部の伸縮変形部分とで構成されており、内部には有色液体2が封入されている。セル1において前記中央部の平行面部分の片面には透明電極Aが配置され、他面には透明電極Aに対向するように電極Bが配置されている。
図2(a)および(b)は、前記図1に対応する斜視図であり、(a)および(b)それぞれにおいて透明電極A側から見た斜視図と電極B側から見た斜視図とを示している。図2(a)は色表示状態、図2(b)は色非表示状態である。
図1(a)および図2(a)の状態では、セル1内部の全体が有色液体2に満たされ、電極A側からは有色液体2の呈する色が視認される(色表示状態)。
図1(b)および図2(b)の状態では、セル1の中央部にある電極Aおよび電極Bの部分が外力により押し合わされるように変形して内面が面接触した状態となり、有色液体2がセル1の周辺部の伸縮変形部分に偏在する結果、電極A側からは有色液体2の呈する色が視認されず、電極B側の面が透過して見える。セル1の中央部の平行面部分の両面が光透過性材料であって電極Bが透明電極である場合には、透明電極A側から透明電極Bの外が透けて見える(色非表示状態)。
【0010】
(実施形態2)
図3(a)および(b)は、本発明による表示素子Uの第2の形態を示す断面図である。図3(a)は色表示状態、図3(b)は色非表示状態である。本実施形態において表示素子Uは、色なし、色ありの2段階の色表示を行うことができる。
透明軟質中空セル1は、中央部の平行面部分の片面が周辺部まで拡大されて色表示状態および色非表示状態における形状が変化しないこと以外は実施形態1と同等の構成であり、内部には有色液体2が封入されている。セル1において前記中央部の平行面部分の片面には透明電極Aが配置され、他面には透明電極Aに対向するように電極Bが配置されているのも実施形態1と同等である。実施形態2は実施形態1と比較してセル1の変形が片面だけであるために表示素子を基材などに設置する際の空間的制約が少ない長所がある。
図4(a)および(b)は、前記図1に対応する斜視図であり、図4(a)は色表示状態、図4(b)は色非表示状態である。
図3(a)および図4(a)の状態では、セル1の全体が有色液体2に満たされ、透明電極A側からは有色液体2の呈する色が視認される。セル1の2平行面部分のうち大きな側が透明であって電極Bが透明電極である場合には、電極B側から有色液体2の呈する色が視認される(色表示状態)。
図3(a)および図4(b)の状態では、セル1の中央部にある透明電極Aおよび電極Bの部分が外力により押し合わされるように変形して内面が面接触した状態となり、有色液体2がセル1の周辺部の伸縮変形部分に偏在する結果、電極A側からは有色液体2の呈する色が視認されず、電極B側の面が透過して見える(色非表示状態)。セル1の中央部の平行面部分の両面が光透過性材料であって電極Bが透明電極である場合には、透明電極A側から透明電極Bの外が透けて見える(色非表示状態)。
【0011】
(実施形態3)
図5(a)および(b)は、本発明による表示素子Uの第3の形態を示す断面図である。図5(a)は色非表示状態、図5(b)は色表示状態である。本実施形態において表示素子Uは、色なし、色ありの2段階の色表示を行うことができる。
透明軟質中空セル1は、両面もしくは片面が光透過性材料からなる中央部の平行面部分と軟質材料からなる周辺部の伸縮変形部分とで構成されており、内部には有色液体2が封入されている。セル1において前記周辺部の片面には枠形状の電極Cが配置され、他面には電極Cに平行かつ対向するように枠形状の電極Dが配置されている。セル1は、外力の影響がない状態において、セル1中央部の平行面部分の両面が密着した形状である。
図6(a)および(b)は、前記図5に対応する斜視図である。図6(a)は色非表示状態、図6(b)は色表示状態である。
図5(a)および図6(a)の状態では、有色液体2がセル1周辺部の伸縮変形部分に偏在し、電極A側からは有色液体2の呈する色が視認されず、電極B側の面が透過して見える。セル1の中央部の平行面部分の両面が光透過性材料である場合には、反対面の外が透けて見える(色非表示状態)。
図5(b)および図6(b)の状態では、セル1の周辺部にある電極Cおよび電極Dの部分が外力により押し合わされるように変形して内面が面接触した状態となり、有色液体2がセル1の中央部に偏在する結果、中央部において有色液体2の呈する色が視認される(色表示状態)。
【0012】
(実施形態4)
図7(a)および(b)は、本発明による表示素子Uの第4の形態を示す断面図である。図7(a)は色非表示状態、図7(b)は色表示状態である。本実施形態において表示素子Uは、色なし、色ありの2段階の色表示を行うことができる。
透明軟質中空セル1は、中央部の平行面部分の片面が周辺部まで拡大されて色表示状態および色非表示状態における形状が変化しないこと以外は実施形態3と同等の構成であり、内部には有色液体2が封入されている。セル1において前記周辺部の片面には枠形状の電極Cが配置され、他面には電極Cに平行に対向するように枠形状の電極Dが配置されていること、さらにセル1は、外力の影響がない状態において、セル1中央部の平行面部分の両面が密着した形状であることも実施形態3と同等である。実施形態3の斜視図は図6と概略同様となるので省略する。実施形態4は実施形態3と比較してセル1の変形が片面だけであるために表示素子を基材などに設置する際の空間的制約が少ない長所がある。
図7(a)の状態では、有色液体2がセル1周辺部の伸縮変形部分に偏在し、電極C側のセルの中央部からは有色液体2の呈する色が視認されず、電極D側の面が透過して見える。セル1の中央部の平行面部分の両面が光透過性材料である場合には、反対面の外が透けて見える(色非表示状態)。
図7(b)の状態では、セル1の周辺部にある電極Cおよび電極Dの部分が外力により押し合わされるように変形して内面が面接触した状態となり、有色液体2がセル1の中央部に偏在する結果、中央部において有色液体2の呈する色が視認される(色表示状態)。
【0013】
(実施形態5)
図8(a)、(b)および(C)は、本発明による表示素子Uの第5の形態を示す断面図である。図8(a)は弱い色表示状態、図8(b)は色非表示状態、図8(c)は強い色表示状態である。本実施形態において表示素子Uは、色なし、薄色(弱い色)、濃色(強い色)の3段階の色階調表示を行うことができる。
透明軟質中空セル1は、両面もしくは片面が光透過性材料からなる中央部の平行面部分と軟質材料からなる周辺部の伸縮変形部分とで構成されており、内部には有色液体2が封入されている。セル1において前記中央部の平行面部分の片面には透明電極A、その外側の周辺部にあたる部分に電極Cが配置され、他面には透明電極Aに対向するように電極B、枠形の電極Cに対向するように枠形の電極Dが配置されている。
図9(a)、(b)および(c)は、前記図8に対応する斜視図であり、(a)、(b)および(c)それぞれにおいて透明電極A側から見た斜視図と電極B側から見た斜視図とを示している。図9(a)は弱い色表示状態、図9(b)は色非表示状態、図9(c)は強い色表示状態である。
図8(a)および図9(a)の状態では、セル1内部の全体が有色液体2に満たされ、電極A側からは有色液体2の呈する色が視認される(弱い色表示状態)。
図8(b)および図9(b)の状態では、セル1の中央部にある電極Aおよび電極Bの部分が外力により押し合わされるように変形して内面が面接触した状態となり、有色液体2がセル1の周辺部の伸縮変形部分に偏在する結果、電極A側からは有色液体2の呈する色が視認されず、電極B側の面が透過して見える(色非表示状態)。セル1の中央部の平行面部分の両面が光透過性材料であって電極Bが透明電極である場合には、透明電極A側から透明電極Bの外が透けて見える(色非表示状態)。
図8(c)および図9(c)の状態では、セル1の周辺部にある電極Cおよび電極Dの部分が外力により押し合わされるように変形して内面が面接触した状態となり、有色液体2がセル1の中央部に偏在する結果、電極A側からは有色液体2の呈する色が、図8(a)および図9(a)の状態よりも強く視認される(強い色表示状態)。
【0014】
(実施形態6)
図10(a)、(b)および(c)は、本発明による表示素子Uの第6の形態を示す断面図である。図10(a)は弱い色表示状態、図10(b)は色非表示状態、図10(c)は強い色表示状態である。本実施形態において表示素子Uは、色なし、薄色(弱い色)、濃色(強い色)の3段階の色階調表示を行うことができる。
透明軟質中空セル1は、中央部の平行面部分の片面が周辺部まで拡大されて色表示状態および色非表示状態における形状が変化しないこと以外は実施形態5と同等の構成であり、内部には有色液体2が封入されている。セル1において前記中央部の平行面部分の片面には透明電極A、その外側の周辺部にあたる部分に電極Cが配置され、他面には透明電極Aに対向するように電極B、枠形の電極Cに対向するように枠形の電極Dが配置されているのも実施形態5と同等である。実施形態6の斜視図は図9における透明電極A側から見た斜視図と概略同様となるので省略する。実施形態6は実施形態5と比較してセル1の変形が片面だけであるために表示素子を基材などに設置する際の空間的制約が少ない長所がある。
図10(a)の状態では、セル1内部の全体が有色液体2に満たされ、電極A側からは有色液体2の呈する色が視認される(弱い色表示状態)。セル1の2平行面部分のうち電極B側の面が透明であってさらに電極Bが透明電極である場合には、電極B側から有色液体2の呈する色が前記弱い色表示状態にて視認される。
図10(b)の状態では、セル1の中央部にある電極Aおよび電極Bの部分が外力により押し合わされるように変形して内面が面接触した状態となり、有色液体2がセル1の周辺部の伸縮変形部分に偏在する結果、電極A側からは有色液体2の呈する色が視認されず、電極B側の面が透過して見える。セル1の中央部の平行面部分の両面が光透過性材料であって電極Bが透明電極である場合には、透明電極A側から透明電極Bの外が透けて見える(色非表示状態)。
図10(c)の状態では、セル1の周辺部にある電極Cおよび電極Dの部分が外力により押し合わされるように変形して内面が面接触した状態となり、有色液体2がセル1の中央部に偏在する結果、電極A側からは有色液体2の呈する色が、図10(a)の状態よりも強く視認される(強い色表示状態)。セル1の2平行面部分のうち電極B側の面が透明であってさらに電極Bが透明電極である場合には、電極B側から有色液体2の呈する色が前記強い色表示状態にて視認される。
【0015】
(実施形態7)
図11(a)、(b)および(c)は、本発明による表示素子Uの第7の形態を示す断面図である。図11(a)は弱い色表示状態、図10(b)は色非表示状態、図10(c)は強い色表示状態である。本実施形態において表示素子Uは、色なし、薄色(弱い色)、濃色(強い色)の3段階の色階調表示を行うことができる。
透明軟質中空セル1は、実施形態6と同等の構成であり、内部には有色液体2が封入されている。セル1において前記中央部の平行面部分の片面には透明電極A、その外側の周辺部にあたる部分に電極Cが配置され、他面には透明電極Aおよび枠形の電極Cに対向して透明電極Aおよび電極Cを覆うように電極Eが配置されている。実施形態6の斜視図は図9における透明電極A側から見た斜視図と概略同様となるので省略する。
図11(a)の状態では、セル1内部の全体が有色液体2に満たされ、電極A側からは有色液体2の呈する色が視認される(弱い色表示状態)。セル1の2平行面部分のうち電極E側の面が透明であってさらに電極Eが透明電極である場合には、電極E側の中央部から有色液体2の呈する色が前記弱い色表示状態にて視認される。
図11(b)の状態では、セル1の中央部にある電極Aおよび電極Eの中央部の部分が外力により押し合わされるように変形して内面が面接触した状態となり、有色液体2がセル1の周辺部の伸縮変形部分に偏在する結果、電極A側からは有色液体2の呈する色が視認されず、電極E側の面の中央部が透過して見える。セル1の中央部の平行面部分の両面が光透過性材料であって電極Eが透明電極である場合には、透明電極A側から透明電極Eの中央部の外が透けて見える(色非表示状態)。
図11(c)の状態では、セル1の周辺部にある電極Cおよび電極Eの周辺部分が外力により押し合わされるように変形して内面が面接触した状態となり、有色液体2がセル1の中央部に偏在する結果、電極A側からは有色液体2の呈する色が、図11(a)の状態よりも強く視認される(強い色表示状態)。セル1の2平行面部分のうち電極E側の面が透明であってさらに電極Eが透明電極である場合には、電極E側の中央部から有色液体2の呈する色が前記強い色表示状態にて視認される。
【0016】
次に、本発明による表示素子を構成する部材について説明する。
【0017】
透明軟質中空セル
透明軟質中空セル1は、両面もしくは片面が光透過性材料からなる中央部の平行面部分と軟質材料からなる周辺部の伸縮変形部分とで構成されている。
セル1からなる表示素子を透過光表示体もしくは積層体として利用する場合には、少なくともセル1の中央部の平行面部分(図1において電極Aおよび電極Bが配置される部分)は光透過性である必要がある。他方、セル1からなる表示素子を反射光表示体として利用する場合は、セル1の電極B側の面は必ずしも光透過性である必要はなく、適宜材料を選択することができる。
【0018】
セル1は、光透過性および軟質の両方の性質を併せ持つ単一の材料から構成されても良いし、光透過性材料と別の軟質材料とを融着あるいは接着剤等の適当な接合材を介した接合により複合体で構成されても良いし、さらに、光透過性材料、別の光不透過性材料、さらに別の軟質材料を融着あるいは接着剤等の適当な接合材を介した接合により複合体で構成されても良い。セル1を構成する材料全般に求められる特性としては、密閉性を確保できること、内部に封入した有色液体2に溶解しないことおよび有色液体2を漏出させないこと、有色液体2を変質させないこと、透明電極Aおよび電極Bから生じる電界を遮らないことが必要である。これらに加えて光透過性材料には可視光を透過することが必要である。一方、軟質材料には変形伸縮性、適度な復元性が必要である。
【0019】
このような光透過性材料の要件を満たす素材としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)等のアクリル樹脂、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)等の各種ポリエチレンおよびポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリスチレン(PS)、ポリフェニルサルフォン(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリカーボネート(PC)、ABS樹脂、AS樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ポリウレタン等の熱硬化性樹脂、その他各種の有機高分子共重合体やブレンドポリマー、ジメチルシリコーン等のシリコーン系樹脂、各種ガラス、などが好適に使用される。
【0020】
一方、軟質材料の要件を満たす素材としては、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン類および環状ポリオレフィン類、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン等の塩素化ポリオレフィン類、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等のフッ素樹脂、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル、ポリフェニルサルフォン(PPS)、エチレンビニルアルコール共重合体等の前記樹脂類のビニル重合性単量体を2種以上組み合わせて共重合した樹脂類、ナイロン等のポリアミド、セルロイド類、ブチルゴム等のゴム、ジメチルシリコーン等のシリコーン系樹脂、さらには前記各種高分子の共重合体やブレンドポリマー、などが好適に使用される。
【0021】
光不透過性材料の要件を満たす素材としては、前記光透過性材料群もしくは前記軟質材料群を準用することができるほか、金属、セラミックス等も選択可能であるが、選択材料が光透過性である場合には該選択材料と顔料とを混合した材料、該材料群の表面を有色塗料による塗装、金属蒸着、有色の別の物質を表面に貼り合わせるなどにより光不透過性とする必要がある。
【0022】
セル1を光透過性材料と軟質材料、場合によってはこれらと光不透過性材料とで構成する場合、該材料群どうしを熱融着、溶剤溶着、接合剤接着、圧着等のいずれか1方法もしくは複数方法組み合わせにより密着固定して、セル内部の中空部の密閉性を保つ必要がある。前記接着剤としては選択した材料に適合した汎用の接着剤を使用すればよく、メラミン系、フェノール系、エポキシ系等の熱硬化性樹脂系接着剤、天然ゴム、合成ゴム、等のエラストマー系接着剤、シリカ系接着剤、アクリル樹脂系、ウレタン樹脂系、エチレン−酢酸ビニル系、塩化ビニル樹脂溶剤系、酢酸ビニル樹脂系、シアノアクリレート樹脂系、スチレン−ブタジエン樹脂系、ニトリルゴム系、等の各種樹脂系接着剤、各種ホットメルト接着剤等から適宜選択することができる。
【0023】
一方、セル1を光透過性および軟質の両方の性質を併せ持つ単一の材料から構成する場合は、製造が複雑にならず接合部の劣化に起因する耐久性能の低下が起こりにくく、廃棄時のリサイクルのしやすさからも好ましい。このようなセル1を構成する単一の材料としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル、ポリプロピレン(PP)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリフェニルサルフォン(PPS)等の各種有機高分子材料、さらにはその他各種の有機高分子共重合体やブレンドポリマー、ジメチルシリコーン等のシリコーン系樹脂などが好適に使用できる。特に透明性の高いポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)等はより好適に使用できる。
【0024】
また、内部に封入する有色液体2の流動を補助するために、セル1の中空部の内壁面全体において、表面エネルギーを低くするような撥水処理等の表面処理を行うことがより好ましい。例えば、化学気相成長(CVD)法等を利用してシリコーン樹脂やポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などの薄膜をセル1内部の気密室の壁面全体に形成してもよい。
【0025】
電極
セル1からなる表示素子を透過光表示体もしくは積層体として利用する場合には、少なくともセル1の平行面部分、電極Aおよび電極Bは光透過性である必要がある。すなわちこの場合には電極Bは透明電極である。他方、セル1からなる表示素子を反射光表示体として利用する場合は、電極Bおよびセル1の電極B側の面は必ずしも光透過性である必要はなく、適宜材料を選択することができる。
前記透明電極の材質については電気伝導性を有する部材であれば特に制限はなく、酸化インジウムすず(ITO)、酸化亜鉛、酸化すず等の一般的な材料を好適に使用することができる。
光透過性が必要でない場合の電極B、電極Cおよび電極Dの材質については電気伝導性を有する部材であれば特に制限はなく、銅、アルミニウム、ニッケル、クロム、等の金属単体、ステンレスなどの合金等を好適に使用することができる。特に表示素子における光の反射効果や遮蔽効果を高めるためには、例えば、光反射性の高いアルミニウム、ニッケル、クロム等の金属電極や光吸収性の高いカーボン電極とすることがより好適である。酸化インジウムすず(ITO)、酸化亜鉛、酸化すず等の透明電極としても差し支えない。
【0026】
透明電極A、電極B、電極Cおよび電極Dの表面は、放電防止、電極の変質防止や保護等のために該表面全体を樹脂等で絶縁性保護膜を形成することが好ましい。絶縁性保護膜としては、耐電圧、酸素等の電極の変質を促進するガスのバリア性、さらに透明電極Aでは可視光の透過性があれば特に限定するものではないが、処理のしやすさ、入手のしやすさなどから、例えばポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、シリコーン等の膜を、溶媒キャスティング、単量体の塗工による重合膜形成、CVD等により直接形成するか、もしくは予めフィルム形成したものを熱圧着したり適当な接着剤で貼付したりしても良い。
【0027】
有色液体
有色液体2において、有色とは黒、青、赤、黄、白などの色を呈するような可視光線の特定波長を吸収・反射する場合だけでなく、透過もしくは反射する光の諸性質(例えば強度、波長、偏光性など)を変化させる性質を含む広義の意味で捉える。前記有色液体2としては、経時的な変質や変色が起こりにくい化学的に安定な液状物質であること、気化しにくいこと、表示の応答性を良くするために粘度が低いこと、セル1の外形を保持させるような補助力のために適度な凝集力や表面張力を有する材質であること、セル1の外側に設置する電極からの電界を妨げないこと、などを考慮すれば、各種の液体を採用することができる。着色については、液体の構成物質自体が有色であっても良いし、染料、顔料などの着色剤を液媒に分散させることにより着色しても良い。このような有色液体としては、例えば、各種の金属錯体溶液、染料インクおよびその水溶液または油溶液等を挙げることができる。着色剤を分散させる液媒の例としては、水、またはグリセリン、エチレングリコール、ブタノール、1−プロパノール等の炭素数3以上のアルコール類等の親水性物質単体もしくはその混合物、または各種飽和脂肪酸や不飽和脂肪酸等、前記アルコール類のエステル、前記飽和脂肪酸のエステルや不飽和脂肪酸のエステル等の疎水性物質単体もしくはその混合物がある。有色顔料として、無機顔料、有機顔料を区別無く用いることが出来るが、例えば、亜鉛華、二酸化チタン等の白色顔料、酸化鉄赤、キナクリドン等の赤色顔料、亜鉛黄、キノフタロン等の黄色顔料、プロシア青、フタロシアニン等の青色顔料、カーボンブラック等の黒色顔料等を用いることが出来る。染料としては、直接染料、酸性染料、塩基性染料、媒染染料、酸性媒染染料、建染染料、分散染料、反応染料、蛍光増白染料などを使用することが出来る。波長変換性のある液体としては蛍光物質分散液、偏光性のある液体としてはフタロシアニン系液晶、ビフェニル系液晶等の各種液晶物質、等が好適に使用される。特に、表面張力が高い液体としては水などの極性溶媒を使用した水溶液が好適である。
【0028】
《表示素子積層体》
本発明による表示素子積層体は、前記表示素子Uを単色で2個以上もしくは複数色2個以上重畳することにより、該表示素子単体では表現できなかった階調表示もしくは他の色の表示を同一視野角内(表示素子の中心部を表示素子と垂直の方向から視認することを指す)で行うものである。
本発明による表示素子Uを2個以上重畳することで表示素子単層では表現できなかった色の重ね合わせによる階調効果や混色効果を得ることができる。
以下に、本発明による表示素子積層体の実施の形態について、表示素子Uが3個重畳された態様を例として、図面を参照して実施形態を説明する。本発明による表示素子積層体は、重畳する表示素子Uの数が3個に限らずそれ以上の複数であっても同様に実施することができる。
【0029】
(実施形態8)
図12は、本発明による第8の形態として表示素子積層体Lの例を示す側面図である。本図の例においては、本発明による表示素子U1、U2およびU3の3枚が積層支持材4で固定されている。重畳する表示素子Uとして前記実施形態のいずれを何種類選択してもよく、また枚数の選択、組み合わせの選択は特に限定するものでなく、表示すべき色の階調、色の種類によって適宜設計することができる。
表示素子U1〜U3それぞれに封入されている前記有色液体は同じでも異なっていても構わないが、下層の色との重ね合わせ効果を得るためにある程度の光透過性を有する液体である。ただし、視認者から見て最深層に当たる表示素子のみ、光透過性が乏しい遮光性が高い液体とすることができる。
本発明による実施形態8のような表示素子積層体Lにおいて、重畳される表示素子U1〜U3それぞれに封入される有色液体を同じ色もしくは同系色とした表示素子積層体によれば、色濃度の階調を表現することができる。
本発明による実施形態8のような表示素子積層体Lにおいて、重畳される表示素子U1〜U3それぞれに封入される有色液体を色の3原色とすればカラー表示することができる。
例えば薄い単色の表示素子Uを重ねることで多段階の階調表示が可能である。
色の3原色の表示素子Uを重ねることで光反射方式のカラー表示が可能である。
光の3原色の表示素子Uを重ねることで光透過方式のカラー表示が可能である。
本発明による表示素子積層体Lにおいて、重畳する数は3に限らず自由に設計できるので、さらに重畳する数を増やすことにより、表現できる階調の段階および色合いを増やすことができる。
重畳される表示素子U間の距離は、表示素子Uの変形および表示素子U表面の電極による電界を妨げない程度の間隔をとればよく、概ね1mm程度の間隔をとればよい。
【0030】
(実施形態9)
図13は、本発明による第9の形態として前記実施形態8の表示素子積層体Lを、基材5の表面に固定した状態を示す側面図である。
表示素子積層体Lは積層支持材4による接合だけで構造を保つこともできるが、基材5が存在することで、より安定して構造を保つことができるようになる。基材5は表示素子積層体の構造を補強する以外に、基材全体の透明度、表面の色調や光反射率を選択することで表示素子積層体の表示を適宜調節する役割がある。
【0031】
(実施形態10)
図14は、本発明による第10の形態として前記実施形態9の表示素子積層体を構成する各表示素子U1、U2およびU3の電極への配線を示した側面図である。本図の例では表示素子Uは前記実施形態2(図3および図4)である。表示素子U1の電極Aに配線61A、電極Bに配線61Bが接続されている。表示素子U2の電極Aに配線62A、電極Bに配線62Bが接続されている。表示素子U3の電極Aに配線63A、電極Bに配線63Bが接続されている。使用する配線は、一般の銅線等を使用すればよいが、配線にあたって表示素子の変形を妨げないこと、別の配線との短絡を避けるように被覆線を使用する等を留意する。また配線は積層支持材に埋め込んでもよく、さらに積層支持材表面等にプリントしても良い。配線の接続は半田、導電性接着剤等の一般の方法を適宜採用することができる。
図14の表示素子積層体Lにおいて、表示素子U1〜U3の中央部に設置されている電極Aおよび電極B(図3および図4参照)は透明電極である。ただし、視認者から見て最深部となる電極Aもしくは電極Bは透明電極でなくても良い。
例えば、表示素子積層体Lが図3(a)の断面構造をもつ表示素子Uが3個重畳された図14の態様である場合、表示素子U1(下)側から基材5を通して視認する場合は基材5が透明材料であることが必要だが表示素子U3の上側の電極Aは透明電極でなくても良い。
また、同じ態様の表示素子積層体Lにおいて、表示素子U3(上)側から視認する場合は表示素子U1下側の電極Bは透明電極でなくても良い。
さらにまた、同じ態様の表示素子積層体Lにおいて、表示素子U1(下)側および表示素子U3(上)の両側から視認する場合には、基材5が透明材料であることが必要だが、表示素子U1上側の電極A、表示素子U2の電極A、表示素子U2の電極B、表示素子U3下側の電極Bのうち、いずれか1電極、もしくは隣接する別の表示素子の隣接する2電極は透明電極でなくても良い。このように表示素子積層体Lを構成する電極Aおよび電極Bの一部を透明電極としない場合には、両側で別の表示を行って視認することもできる。
【0032】
(実施形態11)
図15は、本発明による第11の形態として前記実施形態9の表示素子積層体を構成する各表示素子U1、U2およびU3の電極への配線を示した側面図である。本図の例では表示素子Uは前記実施形態5(図8および図9)である。表示素子U1の透明電極Aに配線61A、透明電極Bに配線61B、電極Cに配線61C、電極Dに配線61Dが接続されている。表示素子U2の透明電極Aに配線62A、透明電極Bに配線62B、電極Cに配線62C、電極Dに配線62Dが接続されている。表示素子U3の透明電極Aに配線63A、透明電極Bに配線63B、電極Cに配線63C、電極Dに配線63Dが接続されている。使用する配線は、一般の銅線等を使用すればよいが、配線にあたって表示素子の変形を妨げないこと、別の配線との短絡を避けるように被覆線を使用する等を留意する。また配線は積層支持材に埋め込んでもよく、さらに積層支持材表面等にプリントしても良い。配線の接続は半田、導電性接着剤等の一般の方法を適宜採用することができる。
図15の表示素子積層体Lにおいて、表示素子U1〜U3の中央部に設置されている電極Aおよび電極B(図8および図9参照)は透明電極である。ただし、視認者から見て最深部となる電極Aもしくは電極Bは透明電極でなくても良い。
例えば、表示素子積層体Lが図8(a)の断面構造をもつ表示素子Uが3個重畳された図15の態様である場合、表示素子U1(下)側から基材5を通して視認する場合は基材5が透明材料であることが必要だが表示素子U3の上側の電極Aは透明電極でなくても良い。
また、同じ態様の表示素子積層体Lにおいて、表示素子U3(上)側から視認する場合は表示素子U1下側の電極Bは透明電極でなくても良い。
さらにまた、同じ態様の表示素子積層体Lにおいて、表示素子U1(下)側および表示素子U3(上)の両側から視認する場合には、基材5が透明材料であることが必要だが、表示素子U1上側の電極A、表示素子U2の電極A、表示素子U2の電極B、表示素子U3下側の電極Bのうち、いずれか1電極、もしくは隣接する別の表示素子の隣接する2電極は透明電極でなくても良い。このように表示素子積層体Lを構成する電極Aおよび電極Bの一部を透明電極としない場合には、両側で別の表示を行って視認することもできる。
【0033】
図16(a)〜(h)は、前記実施形態8(図12)における3層の表示素子Uからなる表示素子積層体Lにおいて、表示素子Uの変形する組み合わせを断面図で例示したものである。図の上側から視認した場合の表示について順に説明する。
図16(a)は表示素子が3層ともセル中央部が面接触しているので、どの表示素子の有色液体も視認されず、色非表示状態である。
図16(b)は表示素子が3層ともセル中央部に有色液体が存在しているので、最上部のセルの有色液体による色表示状態である。ただし、有色液体の色が薄い場合には下2層の有色液体の呈色も視認でき、3層の混色による「最も濃い階調」の色表示状態である。
図16(c)は2層目の表示素子のみセル中央部が面接触し他層のセル中央部には有色液体が存在しているので、最上層のセルの有色液体による色表示状態である。ただし、有色液体の色が薄い場合には最下層の有色液体の呈色も視認でき、2層の混色による「やや濃い階調」の色表示状態である。
図16(d)は最下層の表示素子のみセル中央部が面接触し他層のセル中央部には有色液体が存在しているので、最上層のセルの有色液体による色表示状態である。ただし、有色液体の色が薄い場合には最下層の有色液体の呈色も視認でき、2層の混色による「やや濃い階調」の色表示状態である。
図16(e)は2層目および最下層の表示素子のセル中央部が面接触し、最上層のみセル中央部には有色液体が存在しているので、最上層のセルの有色液体による色表示状態である。ただし、有色液体の色が薄い場合には他層の有色液体が呈色せずに最下層まで透過して見えるため、混色がない「薄い階調」の色表示状態である。
図16(f)は最上層の表示素子のみセル中央部が面接触し、他層のセル中央部には有色液体が存在しているので、2層目のセルの有色液体による色表示状態である。ただし、有色液体の色が薄い場合には最下層の有色液体の呈色も視認でき、2層の混色による「やや濃い階調」の色表示状態である。
図16(g)は最上層および最下層の表示素子のセル中央部が面接触し、2層目のみセル中央部には有色液体が存在しているので、2層目のセルの有色液体による色表示状態である。ただし、有色液体の色が薄い場合には他層の有色液体が呈色せずに最下層まで透過して見えるため、混色がない「薄い階調」の色表示状態である。
図16(f)は最上層および2層目の表示素子のセル中央部が面接触し、最下層のみセル中央部には有色液体が存在しているので、最下層のセルの有色液体による色表示状態である。ただし、有色液体の色が薄い場合には他層の有色液体が呈色せずに最下層まで透過して見えるため、混色がない「薄い階調」の色表示状態である。
以上のように、前記実施形態8(図12)における3層の表示素子Uからなる表示素子積層体Lにおいては、表示素子Uの変形する組み合わせによって各層の色表示ができる。さらに、有色液体の色が薄い場合には、「最も濃い階調」、「やや濃い階調」、「薄い階調」、「色非表示状態」の少なくとも4種類の色階調を表現することができ、各層の有色液体の色が異なる場合には混色による色相の違いも表現できる。
一般に、本発明による表示素子積層体が実施形態1〜4のいずれかの表示素子からなる場合には、表示素子1個が2段階の色表示を行うことができるので、これをn層重畳した表示素子積層体であれば、最大(2のn乗)通りの色表示もしくは(n+1)通りの階調表示を行うことができる。例えば、実施形態1〜4のいずれかの表示素子を3層重畳した表示素子積層体であれば、最大8通りの色表示、もしくは4通りの階調表示を行うことができる。
また、本発明による表示素子積層体が実施形態5〜7のいずれかの表示素子からなる場合には、表示素子1個が3段階の色階調表示を行うことができるので、これをn層重畳した表示素子積層体であれば、最大(3のn乗)通りの色表示もしくは[1×(n+1)]+[2×n]+[3×(n−1)]+・・・+[(n−1)×3]+[n×2]+[(n+1)×1]通りの階調表示を行うことができる。例えば、実施形態5〜7のいずれかの表示素子を3層重畳した表示素子積層体であれば、最大27通りの色表示、もしくは10通りの階調表示を行うことができる。
【0034】
積層支持材
積層支持材4は、表示素子積層体Lにおいて重畳される複数の表示素子Uの間隔を一定に保って表示素子積層体Lの構造を保持するための部材である。表示素子の変形および表示を妨げないような任意の場所に適宜設置される。図12の例で柱状の積層支持材4が各表示体の端部を点で固定している。この場合、1個の表示素子積層体に対して積層支持材4が3個以上、好ましくは4個あれば表示素子どうしの間隔がずれないように固定することができる。1個の積層支持材4が隣接する複数の表示素子積層体Lに共有されてもよい。
積層支持材4は、表示素子積層体Lの形状を保つことができる部材であればその材質に制限はなく、プラスチック、セラミックス、木材、紙、金属などから適宜選択すれば良い。ただし、金属を選択する場合には、表示素子Uの電極による電界を妨げたりショートさせないように電極に直接接触しないように設置する工夫が必要がある。金属材を使用する場合には表面を絶縁材で被覆してもよい。積層支持材4への表示素子Uの固定は熱融着、溶剤溶着、接合剤もしくは粘着剤による接着、圧着等により固定すればよい。
前記接着剤もしくは粘着剤としては、選択した材料に適合した汎用の接着剤を使用すればよく、メラミン系、フェノール系、エポキシ系等の熱硬化性樹脂系接着剤、天然ゴム、合成ゴム、等のエラストマー系接着剤、シリカ系接着剤、アクリル樹脂系、ウレタン樹脂系、エチレン−酢酸ビニル系、塩化ビニル樹脂溶剤系、酢酸ビニル樹脂系、シアノアクリレート樹脂系、スチレン−ブタジエン樹脂系、ニトリルゴム系、等の各種樹脂系接着剤、各種ホットメルト接着剤等から適宜選択することができる。
【0035】
基材
表示素子積層体Lは積層支持材4による接合だけで構造を保つこともできるが、基材5が存在することで、より安定して構造を保つことができるようになる。基材5は表示素子積層体の構造を補強する以外に、基材全体の透明度、表面の色調や光反射率を選択することで表示素子積層体の表示を適宜調節する役割がある。
基材5は表示素子Uもしくは表示素子積層体Lを面状に配列して表示装置とする際に、表示体の配列の間隔や位置がずれないように固定する台座の役割と、表示体が表示する色調や光量を整える表示補助の役割がある。さらに、表示装置の各表示素子を駆動するための配線を具備しても良い。
基材5は単一の素材で構成する必要がなく、適宜必要な構成を複合してよい。また必ずしも平面でなく、球面など立体構造をなしていてもよい。さらにまた、貫通孔などの加工を行っても構わない。後述する遮光板に基材5の機能も併合して基材5を省略してもよい。本発明による表示装置において、基材5は、省略することができる。
例えば、基材5に表示体を積載した場合の表示方法において、反射光で表示体側から視認(片面表示)する場合は基材5の表示体積載側の面を背景色で塗装したり鏡面加工するなど反射性能を持たせれば良く、透過光で片面表示する場合は基材5を透明フィルムやガラス等の素材としても良いし、基材5の表示体積載側にバックライト等の自発光する構成要素を組み込んでも良いし、他の基材を採用してもよい。
さらに例えば、基材5に表示体を積載した場合の表示方法において、表示体側と基材側との両側から視認(両面表示)する場合には基材5を透明フィルムやガラス等の素材として両側から視認できるようにしてもよい。さらに、他の基材を採用してもよい。
さらに、各種基材の両面に表示体を積載して基材の両面が独立した表示装置としてもよい。
基材5は、表面の平面性と、表示素子積層体Lを支持できるものであればその材質に制限はなく、プラスチック、セラミックス、木材、紙、金属などから適宜選択すれば良いが、金属を選択する場合には、表示素子Uの電極による電界を妨げたりショートさせないように電極に直接接触しないように設置する工夫が必要がある。金属材を使用する場合には表面を絶縁材で被覆してもよい。シート形状であるの基材5を選択すれば、本発明の表示素子Uや表示素子積層体L等の電子ペーパーへの利用が可能である。表示素子Uの固定は熱融着、溶剤溶着、接合剤接着、圧着等により固定すればよい。前記接着剤としては選択した材料に適合した汎用の接着剤を使用すればよく、メラミン系、フェノール系、エポキシ系等の熱硬化性樹脂系接着剤、天然ゴム、合成ゴム、等のエラストマー系接着剤、シリカ系接着剤、アクリル樹脂系、ウレタン樹脂系、エチレン−酢酸ビニル系、塩化ビニル樹脂溶剤系、酢酸ビニル樹脂系、シアノアクリレート樹脂系、スチレン−ブタジエン樹脂系、ニトリルゴム系、等の各種樹脂系接着剤、各種ホットメルト接着剤等から適宜選択することができる。
【0036】
《表示装置》
本発明による表示素子Uまたは表示素子積層体Lを複数個面状に配列することにより、文字、図形、画像を表示する表示装置を形成することができる。以下、本発明による表示装置の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0037】
(実施形態12)
図17は、本発明による第12の形態として表示素子単層の集合体Fからなる表示装置の例を示す側面図である。図18は、前記図17に対応する斜視図である。図17および図18の例においては、本発明による表示素子U複数個が基材51上に設置されて面状に配列されている。配列する表示素子Uとして前記実施形態のいずれを何種類選択してもよく、表示すべき色の配置によって適宜設計することができる。面状に配列される表示素子U間の距離は、表示素子Uの変形、表示素子U表面の電極による電界および該電極への配線を妨げない範囲で狭い間隔をとればよい。
【0038】
(実施形態13)
図19は、本発明による第13の形態として表示素子単層の集合体Fによる表示装置の例を示す断面図である。軟質透明蓋体11は軟質材料による一体成型体であり、面状に配列された複数の表示素子Uの透明軟質中空セル片面を構成している。軟質透明蓋体11の片面に平面状の電気絶縁性の基材52が密着固定されており、一つ一つの透明軟質中空セルの内部が密閉されている。さらにそれぞれの透明軟質中空セルの密閉された内部にはそれぞれ有色液体2が封入されている。加えて軟質透明蓋体11の表面には全ての透明軟質中空セル個別に透明電極Aが配置されている。全ての透明電極Aは個別に導線等の配線が施されている(図面は省略)。さらに、基材52の軟質透明蓋体11と反対側には電極Eが面状に配置されている。
実施形態13は実施形態12(図17、図18)において表示素子Uを配列した状態で一体として製造できるので、表示素子単層の集合体Fを効率的に製造するのに適した優れた形態である。
軟質透明蓋体11を構成する材料は、前記透明軟質セルにおいてセル1を光透過性および軟質の両方の性質を併せ持つ単一の材料から構成する場合と同等である。基材52を構成する材料は、前記表示装置における基材と同等である。
【0039】
(実施形態14)
図20は、本発明による第14の形態として表示素子単層の集合体Fに遮光板8を組み合わせた表示装置の例を示す側面図である。図21(b)は、前記図20に対応する斜視図である。図21(a)は表示素子単層の集合体Fと遮光板8を層間支持材7により接合することを模式的に示した分解斜視図である。本実施形態においては、表示素子単層の集合体Fとして前記実施形態12または13のいずれであってもよい。
【0040】
遮光板
遮光板8は表示装置の視認者側に設置する光フィルターであり、表示素子Uを複数個面状に配列してなる表示装置の表示部(前記セルの周辺部の中央部分)からの光を透過させるとともに非表示部(前記セルの周辺部の伸縮変形部分)を一様な色調の覆いで隠すように加工されており、表示装置の表示面の地色を整える表示補助の役割がある。
さらに、表示素子Uを複数個面状に配列してなる表示装置において、遮光板8に表示素子の配列の間隔や位置がずれないように固定する台座の役割をも持たせて、表示素子単層の集合体Fを構成する基材5を省略することもできる。
さらにまた、表示装置の各表示素子を駆動するための配線を具備させることもできる。
このような遮光板8としては、表示装置における非表示部が適当な色(例えば黒色、白色など)で隠れるように印刷した透明フィルム、あるいは表示装置における非表示部を覆うように加工した網の表面を適当な色(例えば黒色、白色など)で着色した網状板などが挙げられる。遮光板6の色は、特に制限するものではないが、表示装置の表示面の地色とすれば、表示が見やすくなる。
【0041】
層間支持材
層間支持材7は遮光板8を表示素子単層の集合体Fに固定するもので、表示素子単層の集合体Fを構成する表示素子Uの表示を妨げない限り、表示素子Uの任意の部分で任意の方法で固定することができる。
このような層間支持材7としては、選択した材料に適合した汎用の接着剤を使用すればよく、メラミン系、フェノール系、エポキシ系等の熱硬化性樹脂系接着剤、天然ゴム、合成ゴム、等のエラストマー系接着剤、シリカ系接着剤、アクリル樹脂系、ウレタン樹脂系、エチレン−酢酸ビニル系、塩化ビニル樹脂溶剤系、酢酸ビニル樹脂系、シアノアクリレート樹脂系、スチレン−ブタジエン樹脂系、ニトリルゴム系、等の各種樹脂系接着剤、各種ホットメルト接着剤等から適宜選択することができる。
ただし、表示素子Uの非表示部の表面を直接塗装して遮光板8の代わりとする場合など、本発明による表示装置において、層間支持材7および遮光板8は、必要に応じて省略することができる。
【0042】
(実施形態15)
図22は、本発明による第15の形態として本発明による表示素子単層の集合体F1、F2およびF3の3層が層間支持材71、72により固定されて重畳され、遮光板81が該表示素子単層の集合体F1の基材側に設置され、更に遮光板83を層間支持材73で固定して重畳した表示装置の例を示す側面図である。本実施形態において各層の配置は、各層を構成する表示素子が、前記表示素子積層体と同様に同一視野角内(表示素子の中心部を表示素子と垂直の方向から視認することを指す)に入る位置に固定されている。本実施形態においては、表示素子単層の集合体Fとして前記実施形態12または13のいずれであってもよい。
表示素子単層の集合体Fの重畳する枚数は特に限定するものでなく、表示すべき色の階調や色の種類によって適宜設計することができる。
図23(b)は、前記図22に対応する斜視図である。図23(a)は表示素子単層の集合体F1、F2およびF3の3層と遮光板8とを層間支持材71〜73により接合することを模式的に示した分解斜視図である。
表示素子単層の集合体F1、F2およびF3を構成する前記表示素子それぞれに封入されている前記有色液体は同じでも異なっていても構わないが、下層の色との重ね合わせ効果を得るためにある程度の光透過性を有する液体である。ただし、視認者から見て最深層に当たる層のみ、光透過性が乏しい遮光性が高い液体とすることができる。
本発明による実施形態15のような表示装置において、重畳される表示素子U1〜U3それぞれに封入される有色液体を同じ色もしくは同系色とした表示素子積層体によれば、色濃度の階調を表現することができる。
本発明による実施形態8のような表示素子積層体Lにおいて、重畳される表示素子単層の集合体F1、F2およびF3それぞれに封入される有色液体を色の3原色とすればカラー表示することができる。
例えば薄い単色の表示素子単層の集合体Fを重ねることで多段階の階調表示が可能である。
色の3原色の表示素子単層の集合体Fを重ねることで光反射方式のカラー表示が可能である。
光の3原色の表示素子単層の集合体Fを重ねることで光透過方式のカラー表示が可能である。
本発明による表示装置において、重畳する表示素子単層の集合体Fの層数は3に限らず自由に設計できるので、さらに重畳する層数を増やすことにより、表現できる階調の段階および色合いを増やすことができる。
重畳される表示素子単層の集合体Fどうしの層間距離は、これらを構成する各表示素子Uの変形および各表示素子U表面の電極による電界を妨げない程度の間隔をとればよく、概ね1mm程度の間隔をとればよい。
【0043】
遮光板
遮光板81、83は表示装置の視認者側に設置する光フィルターであり、表示装置の表示面の地色を整える表示補助の役割のほか、台座の役割、表示装置の各表示素子を駆動するための配線を具備させることもできること等の機能は実施形態14の遮光板8と同等であり、材料も該遮光板8と同等に選択できる。なお、遮光板81は表示素子単層の集合体F1の基材面に直接各種の印刷、吹き付け、蒸着、溶射等により設置しても良い。
【0044】
層間支持材
層間支持材71、72および73は表示素子単層の集合体F1、F2、F3どうしおよび遮光板83を固定するもので、材料は実施形態14の層間支持材7と同等に選択できる。
ただし、表示素子Uの非表示部の表面を直接塗装して遮光板83の代わりとする場合など、本発明による表示装置において、層間支持材73および遮光板83は、必要に応じて省略することができる。
【0045】
(実施形態16)
図24は、本発明による第16の形態として基材53の両面に実施形態14(図20)の構成を配置した表示装置の例を示す側面図である。基材53を共有して両面に表示素子単層の集合体F4およびF5が配置されている。
基材53が透明材料であれば光透過によりF4とF5による階調表示もしくは混色表示が可能である。基材53が不透明材料であれば光反射によりF4側とF5側の両面独立表示が可能である。
本実施形態においては、表示素子単層の集合体Fとして前記実施形態12または13のいずれであってもよい。実施形態13とする場合には基材53内部に電極層(図19電極Eに相当)を設けるか、基材自体を導電性として電極Eとすることもできる。
【0046】
(実施形態17)
図25は、本発明による第17の形態として前記表示素子積層体Lの集合体Gからなる表示装置の例を示す側面図である。図26は表示素子積層体Lの斜視図、図27は前記図25に対応する斜視図である。図25および図27の例においては、本発明による表示素子積層体Lは複数個が基材5上に設置されて面状に配列され、隣接する表示素子積層体どうしは積層支持材41を共有し、基材5と積層支持材41とが固定されている。配列する表示素子積層体Lとして前記実施形態のいずれを何種類選択してもよく、表示すべき色の配置によって適宜設計することができる。面状に配列される表示素子積層体L間の距離は、表示素子積層体Lを構成する表示素子Uの変形、該表示素子U表面の電極による電界および該電極への配線を妨げない範囲で狭い間隔をとればよい。基材5と積層支持材41との固定は、固定は熱融着、溶剤溶着、接合剤接着、圧着等により固定すればよい。前記接着剤としては選択した材料に適合した汎用の接着剤を使用すればよく、メラミン系、フェノール系、エポキシ系等の熱硬化性樹脂系接着剤、天然ゴム、合成ゴム、等のエラストマー系接着剤、シリカ系接着剤、アクリル樹脂系、ウレタン樹脂系、エチレン−酢酸ビニル系、塩化ビニル樹脂溶剤系、酢酸ビニル樹脂系、シアノアクリレート樹脂系、スチレン−ブタジエン樹脂系、ニトリルゴム系、等の各種樹脂系接着剤、各種ホットメルト接着剤等から適宜選択することができる。
【0047】
(実施形態18)
図28は、本発明による第18の形態として実施形態17に遮光板8を組み合わせた表示装置の例を示す側面図である。遮光板8は前記表示素子積層体Lを構成する積層支持材42に固定されている。図のように遮光板8を固定しない積層支持材41があっても良いし、なくても良い。図29(b)は、前記図28に対応する斜視図である。図29(a)は表示素子積層体Lの集合体Gと遮光板8を前記積層支持材を介して固定することを模式的に示した分解斜視図である。
【0048】
遮光板
遮光板8は表示装置の視認者側に設置する光フィルターであり、表示装置の表示面の地色を整える表示補助の役割のほか、台座の役割、表示装置の各表示素子を駆動するための配線を具備させることもできること等の機能は実施形態14の遮光板8と同等であり、材料も該遮光板8と同等に選択できる。表示素子Uを複数個面状に配列してなる表示装置において、遮光板8に表示素子の配列の間隔や位置がずれないように固定する台座の役割を持たせた場合には、表示素子積層体の集合体Gを構成する基材5(図25参照)を省略することもできる。
遮光板8と積層支持材42との固定は、固定は熱融着、溶剤溶着、接合剤接着、圧着等により固定すればよい。前記接着剤としては選択した材料に適合した汎用の接着剤を使用すればよく、メラミン系、フェノール系、エポキシ系等の熱硬化性樹脂系接着剤、天然ゴム、合成ゴム、等のエラストマー系接着剤、シリカ系接着剤、アクリル樹脂系、ウレタン樹脂系、エチレン−酢酸ビニル系、塩化ビニル樹脂溶剤系、酢酸ビニル樹脂系、シアノアクリレート樹脂系、スチレン−ブタジエン樹脂系、ニトリルゴム系、等の各種樹脂系接着剤、各種ホットメルト接着剤等から適宜選択することができる。
【0049】
《表示素子駆動方法》
本発明による表示素子(以下の実施形態の説明において記号Uで示す)は、軟質透明中空セル(以下の実施形態の説明において記号1で示す)の外形を表面に設けられた電極が発生する静電気力により該セルを変形させることにより、該セルの内部に充填、封入された有色液体(以下の実施形態の説明において記号2で示す)を該セル中で移動させ、該セルの全体に存在させるか中央部のみに存在させる場合と、周辺部のみに偏在させる場合とのいずれかの状態に切り替えを行い、該セルに設けられた透明材料部分において内部の有色液体を見え隠れさせること、即ち有色液体の呈色を見え隠れ切り替えること、により情報を表示することができるというものである。
以下に、本発明による表示素子の駆動方法を図面を参照して説明する。
【0050】
図30(a)および(b)は、本発明の実施形態1にかかる図1で示した表示素子Uの動作原理を説明する断面図群であって、それぞれ図1(a)および(b)に対応している。図30(a)は色非表示状態、図30(b)は色表示状態である。
本実施形態において表示素子Uは、色なし、色ありの2段階の色表示を行うことができる。
透明軟質中空セル1中央部の平行面部分の片面には透明電極A、対向する他面には電極Bが配置されている。
透明電極Aおよび電極Bからはそれぞれ独立して電気配線が引き出される。透明電極Aからは単極スイッチ101を介して直流電源の正極に接続され、直流電源の負極はグラウンド接続している。電極Bから引き出されている電気配線は直接グラウンド接続している。
【0051】
図30(a)では、単極スイッチ101を開いており、電極Aおよび電極Bには通電しない。有色液体2は、セル1内部の全体が有色液体2に満たされ、電極A側からは有色液体2の呈する色が視認される(色表示状態)。
図30(b)では、単極スイッチ101を閉じて電極Aに通電することにより、電極Aと電極Bとの間の電位差のために電界が形成され、電極Aと電極Bとを引き寄せるような外力(静電力)が生じる。このためにセル1の中央部にある電極Aおよび電極Bの部分が静電力により押し合わされるように変形して内面が面接触した状態となり、有色液体2がセル1の周辺部の伸縮変形部分に偏在する結果、電極A側からは有色液体2の呈する色が視認されず、電極B側の面が透過して見える。セル1の中央部の平行面部分の両面が光透過性材料であって電極Bが透明電極である場合には、透明電極A側から透明電極Bの外が透けて見える(色非表示状態)。
【0052】
図31(a)および(b)は、本発明の実施形態2にかかる図3で示した表示素子Uの動作原理を説明する断面図群であって、それぞれ図3(a)および(b)に対応している。図30(a)は色非表示状態、図30(b)は色表示状態である。
本実施形態において表示素子Uは、色なし、色ありの2段階の色表示を行うことができる。
透明軟質中空セル1中央部の平行面部分の片面には透明電極A、対向する他面には電極Bが配置されている。
透明電極Aおよび電極Bからはそれぞれ独立して電気配線が引き出される。透明電極Aからは単極スイッチ101を介して直流電源の正極に接続され、直流電源の負極はグラウンド接続している。電極Bから引き出されている電気配線は直接グラウンド接続している。
【0053】
図31(a)では、単極スイッチ101を開いており、透明電極Aおよび電極Bには通電しない。セル1内部の全体が有色液体2に満たされ、電極A側からは有色液体2の呈する色が視認される(色表示状態)。
図31(b)では、単極スイッチ101を閉じて電極Aに通電することにより、電極Aと電極Bとの間の電位差のために電界が形成され、電極Aと電極Bとを引き寄せるような外力(静電力)が生じる。このためにセル1の中央部にある電極Aおよび電極Bの部分が静電力により押し合わされるように変形して内面が面接触した状態となり、有色液体2がセル1の周辺部の伸縮変形部分に偏在する結果、電極A側からは有色液体2の呈する色が視認されず、電極B側の面が透過して見える。セル1の中央部の平行面部分の両面が光透過性材料であって電極Bが透明電極である場合には、透明電極A側から透明電極Bの外が透けて見える(色非表示状態)。
【0054】
図32(a)および(b)は、本発明の実施形態3にかかる図5で示した表示素子Uの動作原理を説明する断面図群であって、それぞれ図5(a)および(b)に対応している。図32(a)は色表示状態、図32(b)は色非表示状態である。
本実施形態において表示素子Uは、色なし、色ありの2段階の色表示を行うことができる。
透明軟質中空セル1は、両面もしくは片面が光透過性材料からなる中央部の平行面部分と軟質材料からなる周辺部の伸縮変形部分とで構成されており、外力の影響がない状態において、セル1中央部の平行面部分の両面が密着した形状である。セル1の該周辺部には枠形状の電極Cと枠形状の電極Dとが対向して配置されている。電極Cおよび電極Dからはそれぞれ独立して電気配線が引き出される。電極Cからは単極スイッチ101を介して直流電源の正極に接続され、直流電源の負極はグラウンド接続している。電極Dから引き出されている電気配線は直接グラウンド接続している。
【0055】
図32(a)では、単極スイッチ101を開いており、電極Cおよび電極Dには通電しないため、有色液体2がセル1周辺部の伸縮変形部分に偏在し、電極A側からは有色液体2の呈する色が視認されず、電極B側の面が透過して見える。セル1の中央部の平行面部分の両面が光透過性材料である場合には、反対面の外が透けて見える(色非表示状態)。
図32(b)では、単極スイッチ101を閉じて電極Cに通電することにより、電極Cと電極Dとの間の電位差のために電界が形成され、電極Cと電極Dとを引き寄せるような外力(静電力)が生じる。このためにセル1の周辺部にある電極Cおよび電極Dの部分が性電力により押し合わされるように変形して内面が面接触した状態となり、有色液体2がセル1の中央部に偏在する結果、中央部において有色液体2の呈する色が視認される(色表示状態)。
【0056】
図33(a)および(b)は、本発明の実施形態4にかかる図7で示した表示素子Uの動作原理を説明する断面図群であって、それぞれ図7(a)および(b)に対応している。図33(a)は色表示状態、図33(b)は色非表示状態である。
本実施形態において表示素子Uは、色なし、色ありの2段階の色表示を行うことができる。
透明軟質中空セル1は、両面もしくは片面が光透過性材料からなる中央部の平行面部分と軟質材料からなる周辺部の伸縮変形部分とで構成されており、外力の影響がない状態において、セル1中央部の平行面部分の両面が密着した形状である。セル1の該周辺部には枠形状の電極Cと枠形状の電極Dとが対向して配置されている。電極Cおよび電極Dからはそれぞれ独立して電気配線が引き出される。電極Cからは単極スイッチ101を介して直流電源の正極に接続され、直流電源の負極はグラウンド接続している。電極Dから引き出されている電気配線は直接グラウンド接続している。
【0057】
図33(a)では、単極スイッチ101を開いており、電極Cおよび電極Dには通電しないため、有色液体2がセル1周辺部の伸縮変形部分に偏在し、電極A側からは有色液体2の呈する色が視認されず、電極B側の面が透過して見える。セル1の中央部の平行面部分の両面が光透過性材料である場合には、反対面の外が透けて見える(色非表示状態)。
図33(b)では、単極スイッチ101を閉じて電極Cに通電することにより、電極Cと電極Dとの間の電位差のために電界が形成され、電極Cと電極Dとを引き寄せるような外力(静電力)が生じる。このためにセル1の周辺部にある電極Cおよび電極Dの部分が性電力により押し合わされるように変形して内面が面接触した状態となり、有色液体2がセル1の中央部に偏在する結果、中央部において有色液体2の呈する色が視認される(色表示状態)。
【0058】
図34(a)、(b)および(c)は、本発明の実施形態5にかかる図8で示した表示素子Uの動作原理を説明する断面図群であって、それぞれ図8(a)、(b)および(c)に対応している。図33(a)は弱い色表示状態、図33(b)は色非表示状態、図33(c)は強い色表示状態である。本実施形態において表示素子Uは、色なし、薄色(弱い色)、濃色(強い色)の3段階の色階調表示を行うことができる。
透明軟質中空セル1は、両面もしくは片面が光透過性材料からなる中央部の平行面部分と軟質材料からなる周辺部の伸縮変形部分とで構成されており、セル1において前記中央部の平行面部分の片面には透明電極A、その外側の周辺部にあたる部分に電極Cが配置され、他面には透明電極Aに対向するように電極B、枠形の電極Cに対向するように枠形の電極Dが配置されている。電極A、電極B、電極Cおよび電極Dからはそれぞれ独立して電気配線が引き出される。電極Aおよび電極Cからはそれぞれ独立して電気配線が引き出され、それぞれ2極スイッチ102の別端子に接続されている。さらに2極スイッチは直流電源の正極に接続され、直流電源の負極はグラウンド接続している。電極Bおよび電極Dから引き出されている電気配線はそれぞれ直接グラウンド接続している。
【0059】
図34(a)では、2極スイッチ102を中立しており、セル1内部の全体が有色液体2に満たされ、電極A側からは有色液体2の呈する色が視認される(弱い色表示状態)。
図34(b)では、2極スイッチ102を電極A側に閉じて通電することにより、電極Aと電極Bとの間の電位差のために電界が形成され、電極Aと電極Bとを引き寄せるような外力(静電力)が生じる。このため、セル1の中央部にある電極Aおよび電極Bの部分が静電力により押し合わされるように変形して内面が面接触した状態となり、有色液体2がセル1の周辺部の伸縮変形部分に偏在する結果、電極A側からは有色液体2の呈する色が視認されず、電極B側の面が透過して見える(色非表示状態)。セル1の中央部の平行面部分の両面が光透過性材料であって電極Bが透明電極である場合には、透明電極A側から透明電極Bの外が透けて見える(色非表示状態)。
図34(c)では、2極スイッチ102を電極C側に閉じて通電することにより、電極Cと電極Dとの間の電位差のために電界が形成され、電極Cと電極Dとを引き寄せるような外力(静電力)が生じる。このため、セル1の周辺部にある電極Cおよび電極Dの部分が外力により押し合わされるように変形して内面が面接触した状態となり、有色液体2がセル1の中央部に偏在する結果、電極A側からは有色液体2の呈する色が、図34(a)の状態よりも強く視認される(強い色表示状態)。
【0060】
図35(a)、(b)および(c)は、本発明の実施形態6にかかる図10で示した表示素子Uの動作原理を説明する断面図群であって、それぞれ図10(a)、(b)および(c)に対応している。図35(a)は弱い色表示状態、図35(b)は色非表示状態、図35(c)は強い色表示状態である。本実施形態において表示素子Uは、色なし、薄色(弱い色)、濃色(強い色)の3段階の色階調表示を行うことができる。
透明軟質中空セル1は、両面もしくは片面が光透過性材料からなる中央部の平行面部分と軟質材料からなる周辺部の伸縮変形部分とで構成されており、セル1において前記中央部の平行面部分の片面には透明電極A、その外側の周辺部にあたる部分に電極Cが配置され、他面には透明電極Aに対向するように電極B、枠形の電極Cに対向するように枠形の電極Dが配置されている。電極A、電極B、電極Cおよび電極Dからはそれぞれ独立して電気配線が引き出される。電極Aおよび電極Cからはそれぞれ独立して電気配線が引き出され、それぞれ2極スイッチ102の別端子に接続されている。さらに2極スイッチは直流電源の正極に接続され、直流電源の負極はグラウンド接続している。電極Bおよび電極Dから引き出されている電気配線はそれぞれ直接グラウンド接続している。
【0061】
図35(a)では、2極スイッチ102を中立しており、セル1内部の全体が有色液体2に満たされ、電極A側からは有色液体2の呈する色が視認される(弱い色表示状態)。
図35(b)では、2極スイッチ102を電極A側に閉じて通電することにより、電極Aと電極Bとの間の電位差のために電界が形成され、電極Aと電極Bとを引き寄せるような外力(静電力)が生じる。このため、セル1の中央部にある電極Aおよび電極Bの部分が静電力により押し合わされるように変形して内面が面接触した状態となり、有色液体2がセル1の周辺部の伸縮変形部分に偏在する結果、電極A側からは有色液体2の呈する色が視認されず、電極B側の面が透過して見える(色非表示状態)。セル1の中央部の平行面部分の両面が光透過性材料であって電極Bが透明電極である場合には、透明電極A側から透明電極Bの外が透けて見える(色非表示状態)。
図35(c)では、2極スイッチ102を電極C側に閉じて通電することにより、電極Cと電極Dとの間の電位差のために電界が形成され、電極Cと電極Dとを引き寄せるような外力(静電力)が生じる。このため、セル1の周辺部にある電極Cおよび電極Dの部分が外力により押し合わされるように変形して内面が面接触した状態となり、有色液体2がセル1の中央部に偏在する結果、電極A側からは有色液体2の呈する色が、図35(a)の状態よりも強く視認される(強い色表示状態)。
【0062】
図36(a)、(b)および(c)は、本発明の実施形態7にかかる図11で示した表示素子Uの動作原理を説明する断面図群であって、それぞれ図10(a)、(b)および(c)に対応している。図35(a)は弱い色表示状態、図35(b)は色非表示状態、図35(c)は強い色表示状態である。本実施形態において表示素子Uは、色なし、薄色(弱い色)、濃色(強い色)の3段階の色階調表示を行うことができる。
透明軟質中空セル1は、両面もしくは片面が光透過性材料からなる中央部の平行面部分と軟質材料からなる周辺部の伸縮変形部分とで構成されており、セル1において前記中央部の平行面部分の片面には透明電極A、その外側の周辺部にあたる部分に電極Cが配置され、他面には透明電極Aおよび枠形の電極Cに対向するように電極Eが配置されている。電極A、電極Cおよび電極Eからはそれぞれ独立して電気配線が引き出される。電極Aおよび電極Cからはそれぞれ独立して電気配線が引き出され、それぞれ2極スイッチ102の別端子に接続されている。さらに2極スイッチは直流電源の正極に接続され、直流電源の負極はグラウンド接続している。電極Eから引き出されている電気配線はそれぞれ直接グラウンド接続している。
【0063】
図36(a)では、2極スイッチ102を中立しており、セル1内部の全体が有色液体2に満たされ、電極A側からは有色液体2の呈する色が視認される(弱い色表示状態)。
図35(b)では、2極スイッチ102を電極A側に閉じて通電することにより、電極Aと電極Eとの間の電位差のために電界が形成され、電極Aと電極Eとを引き寄せるような外力(静電力)が生じる。このため、セル1の中央部にある電極Aおよび電極Eの中央部の部分が外力により押し合わされるように変形して内面が面接触した状態となり、有色液体2がセル1の周辺部の伸縮変形部分に偏在する結果、電極A側からは有色液体2の呈する色が視認されず、電極E側の面の中央部が透過して見える。セル1の中央部の平行面部分の両面が光透過性材料であって電極Eが透明電極である場合には、透明電極A側から透明電極Eの中央部の外が透けて見える(色非表示状態)。
図35(c)では、2極スイッチ102を電極C側に閉じて通電することにより、電極Cと電極Dとの間の電位差のために電界が形成され、電極Cと電極Dとを引き寄せるような外力(静電力)が生じる。このため、電極A側からは有色液体2の呈する色が、図36(a)の状態よりも強く視認される(強い色表示状態)。セル1の2平行面部分のうち大きな側が透明であって電極Eが透明電極である場合には、電極E側の中央部から有色液体2の呈する色が前記強い色表示状態にて視認される。
【0064】
図37(a)および(b)は、本発明の実施形態1にかかる図1で示した表示素子Uにおいて、軟質透明セル1の周辺部の伸縮変形部分にバネ押圧による圧縮機構9を設けた場合を例示するとともにその動作原理を説明する断面図群である。図37(a)は色表示状態、図37(b)は色非表示状態である。
本実施形態において表示素子Uは、色なし、色ありの2段階の色表示を行うことができる。
透明軟質中空セル1中央部の平行面部分の片面には透明電極A、対向する他面には電極Bが配置され、さらにセル1の周辺部の伸縮変形部分にバネ押圧による圧縮機構9が設置されている。圧縮機構9はバネ押圧を利用した態様に限定されず、重力等の他の外力を利用した態様であってもよい。
透明電極Aおよび電極Bからはそれぞれ独立して電気配線が引き出される。透明電極Aからは単極スイッチ101を介して直流電源の正極に接続され、直流電源の負極はグラウンド接続している。電極Bから引き出されている電気配線は直接グラウンド接続している。
【0065】
図37(a)では、単極スイッチ101を開いており、電極Aおよび電極Bには通電しない。セル1の周辺部は圧縮機構9により圧縮変形され有色液体2はセル中央部に偏在させられるため、電極A側からは有色液体2の呈する色が視認される(色表示状態)。特に、圧縮機構を用いない場合よりもセル中央部の厚さが厚くなるため実施形態1(図1)およびその動作原理(図30)の場合より濃い表示色を得る。
図37(b)では、単極スイッチ101を閉じて電極Aに通電することにより、電極Aと電極Bとの間の電位差のために電界が形成され、電極Aと電極Bとを引き寄せるような外力(静電力)が生じる。この際、該静電力が上記圧縮機構9によるセルへの押し圧力より大きくなるように調節してあるので、セル1の中央部にある電極Aおよび電極Bの部分が静電力により押し合わされて内面が面接触した状態となり、セル1の周辺部の伸縮変形部分に押し出された有色液体2が該圧縮機構9をセル1内側から押し開くように変形させ、圧縮機構9からの押し圧力に打ち勝って有色液体2がセル1の周辺部の伸縮変形部分に偏在する結果、電極A側からは有色液体2の呈する色が視認されず、電極B側の面が透過して見える。セル1の中央部の平行面部分の両面が光透過性材料であって電極Bが透明電極である場合には、透明電極A側から透明電極Bの外が透けて見える(色非表示状態)。
【0066】
以上のように、本発明による表示素子の各実施形態において、単極スイッチもしくは2極スイッチを切り替えて前記透明軟質中空セルに設けられた電極に適宜通電することにより、表示、非表示の状態を切り替えることができる。さらに、本発明による表示素子積層体においても同様に、該表示素子積層体を構成する複数の透明軟質中空セルを独立して、表示、非表示の状態を切り替えることができる。またさらに、本発明による表示装置においても同様に、該表示素子積層体を構成する複数の透明軟質中空セルを独立して、表示、非表示の状態を切り替えることができ、これにより、文字、図形、画像を表示することができる。
【0067】
単極スイッチおよび双極スイッチ
前記単極スイッチおよび双極スイッチは、手動で切り替えるような単純な構造であっても良いが、例えばプログラムで切り替えを制御できる電子スイッチ等を利用すれば、表示の切り替えをタイミングよくできるだけでなく、複数の表示素子を連動させて表示させることもできる。
【0068】
駆動電源として直流電源を用いても交流電源を用いても良い。直流電源を利用する場合は乾電池が利用でき携帯性に優れる。
電圧交流電源を使用する場合は、電圧を印加すると規則的に電界の方向が入れ替わるために有色液体2に残留電荷(帯電)が溜まりにくく、表示の応答性に優れる。
【0069】
表示素子に印加する電圧の大きさは適宜決めれば良いが、薄平板型セル1の寸法、材質、肉厚、あるいは有色液体の種類および量によりある程度適正値が決定され、概ね、100[V]〜2[kV]が好適である。
直流印加電圧が100[V]を下回ると有色液体2が移動しにくくなる。2[kV]を上回ると放電の恐れがあり、表示素子を表示素子積層体あるいは表示装置に応用した際に隣接する他の表示素子への電界の干渉が無視できなくなる。
【実施例】
【0070】
以下に、本発明を実施例によって説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。
【0071】
(実施例1)
市販の透明な低密度ポリエチレンフィルム(ノバテック(R)LF443)、日本ポリエチレン株式会社製)を原材料にして下記大きさのの表材と裏材を別に成型加工し、表材に電極A(図19参照)としてITOスパッタリングにて形成し、裏材に電極E(図19参照)として全面アルミニウム箔圧着により形成した。その後、表材を水平に設置しながら各セルに有色液体(パイロット社製ボトルインク青INK30L)を注ぎ、空隙が入らないように裏面材料を熱融着して貼り合わせて実施例1にかかる本発明の実施形態13で示した表示装置(表示素子単層の集合体)を作製した。電極Eをグランド接続した上で、直流電圧+100Vを各表示素子の電極Aそれぞれに印加、非印加し、すべての表示素子において色非表示と表示の切り替えが可能であることを確認した。
(表材)熱プレス成型品
シート外形:80mm×80mm×厚さ0.3mm
セル外形:10mm×10mm×1.0mm
セル個数:5列×5列の25セル
電極A単体の大きさ:5mm×5mm×0.01μm
(裏材)ポリエチレンフィルム単体
シート外形:80mm×80mm×厚さ0.3mm
電極Aの作成方法:ITOスパッタリング
電極E:アルミ箔(厚さ250μm;裏材に融着)
(有色液体の量)約0.1ml/セル
【0072】
(実施例2)
裏材の電極EをITOスパッタリング(厚さ0.01μm)とした以外は実施例1と同様の表示装置(表示素子単層の集合体)を作製した。電極Eをグランド接続した上で、直流電圧+100Vを各表示素子の電極Aそれぞれに印加、非印加し、すべての表示素子において色非表示と表示の切り替えが可能であることを確認した。
【0073】
(実施例3)
実施例1の表示装置(表示素子単層の集合体)の表材側に市販の透明な低密度ポリエチレンフィルム(ノバテック(R)LF443)を介して実施例2の表示装置(表示素子単層の集合体)を積層し、それぞれ電極Eをグランド接続した上で、直流電圧+100Vを各表示素子の電極Aそれぞれに任意に印加、非印加し、階調表示が可能であることを確認した。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】図1は、本発明による表示素子の実施形態1における(a)色表示状態および(b)色非表示状態を示す断面図である。
【図2】図2は、本発明による表示素子の実施形態1における(a)色表示状態および(b)色非表示状態を示す斜視図である。
【図3】図3は、本発明による表示素子の実施形態2における(a)色表示状態および(b)色非表示状態を示す断面図である。
【図4】図4は、本発明による表示素子の実施形態2における(a)色表示状態および(b)色非表示状態を示す斜視図である。
【図5】図5は、本発明による表示素子の実施形態3における(a)色非表示状態および(b)色表示状態を示す断面図である。
【図6】図6は、本発明による表示素子の実施形態3における(a)色非表示状態および(b)色表示状態を示す斜視図である。
【図7】図7は、本発明による表示素子の実施形態4における(a)色非表示状態および(b)色表示状態を示す断面図である。
【図8】図8は、本発明による表示素子の実施形態5における(a)弱い色表示状態、(b)色非表示状態および(c)強い色表示状態を示す断面図である。
【図9】図9は、本発明による表示素子の実施形態5における(a)弱い色表示状態、(b)色非表示状態および(c)強い色表示状態を示す斜視図である。
【図10】図10は、本発明による表示素子の実施形態6における(a)弱い色表示状態、(b)色非表示状態および(c)強い色表示状態を示す断面図である。
【図11】図11は、本発明による表示素子の実施形態7における(a)弱い色表示状態、(b)色非表示状態および(c)強い色表示状態を示す断面図である。
【図12】図12は、本発明による実施形態8の表示素子積層体を示す側面図である。
【図13】図13は、本発明による実施形態9の表示素子積層体を示す側面図である。
【図14】図14は、本発明による実施形態10の表示素子積層体を示す側面図である。
【図15】図14は、本発明による実施形態11の表示素子積層体を示す側面図である。
【図16】図16は、本発明による3層の表示素子からなる表示素子積層体において、表示素子の変形する組み合わせを例示した断面図である。
【図17】図17は、本発明による実施形態12の表示装置を示す側面図である。
【図18】図18は、本発明による実施形態12の表示装置を示す斜視図である。
【図19】図19は、本発明による実施形態13の表示装置を示す断面図である。
【図20】図20は、本発明による実施形態14の表示装置を示す断面図である。
【図21】図21は、本発明による実施形態14の表示装置を示す斜視図である。
【図22】図22は、本発明による実施形態15の表示装置を示す側面図である。
【図23】図23は、本発明による実施形態15の表示装置を示す斜視図である。
【図24】図24は、本発明による実施形態16の表示装置を示す側面図である。
【図25】図25は、本発明による実施形態17の表示装置を示す側面図である。
【図26】図26は、本発明による表示素子積層体の斜視図である。
【図27】図27は、本発明による実施形態17の表示装置を示す斜視図である。
【図28】図28は、本発明による実施形態18の表示装置を示す側面図である。
【図29】図28は、本発明による実施形態18の表示装置を示す斜視図である。
【図30】図30は、本発明による実施形態1の表示素子の動作原理を説明する断面図である。
【図31】図31は、本発明による実施形態2の表示素子の動作原理を説明する断面図である。
【図32】図32は、本発明による実施形態3の表示素子の動作原理を説明する断面図である。
【図33】図33は、本発明による実施形態4の表示素子の動作原理を説明する断面図である。
【図34】図34は、本発明による実施形態5の表示素子の動作原理を説明する断面図である。
【図35】図35は、本発明による実施形態6の表示素子の動作原理を説明する断面図である。
【図36】図36は、本発明による実施形態7の表示素子の動作原理を説明する断面図である。
【図37】図37は、本発明による実施形態1の表示素子に圧縮機構を設けた場合の動作原理を説明する断面図である。
【符号の説明】
【0075】
1 平板状の中空軟質透明セル
2 有色液体
4、41、42 積層支持材
5、51、52 基材
61A、61B、61C、61D、62A、62B、62C、62D、63A、63B、63C、63D 配線
7 層間支持材
8、81、83 遮光板
9 圧縮機構
11 軟質透明蓋体
101 単極スイッチ
102 2極スイッチ
A 透明電極
B、E 透明電極(または非透明電極)
C、D 電極
F 表示素子単層の集合体
G 表示素子積層体の集合体
U、U1、U2、U3 表示素子
L 表示素子積層体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
両面もしくは片面が光透過性材料からなる中央部の平行面部分と軟質材料からなる周辺部の伸縮変形部分とで構成された軟質透明中空セルと、該軟質透明中空セルの内部に封入された有色液体とからなり、該軟質透明中空セルを介して少なくとも一対の対向する電極が配置されることを特徴とする表示素子。
【請求項2】
請求項1記載の表示素子を2個以上重畳してなることを特徴とする表示素子積層体。
【請求項3】
重畳した表示素子それぞれにおける有色液体の種類が1種類もしくは2種類以上であることを特徴とする、請求項2記載の表示素子積層体。
【請求項4】
請求項1の表示素子または請求項2乃至3の表示素子積層体を複数個面状に配列してなることを特徴とする表示装置。
【請求項5】
請求項4の表示装置を複数積層してなることを特徴とする表示装置。
【請求項6】
請求項1の表示素子の、前記一対の電極の間に電圧を印加して静電気力を生じさせ、前記軟質透明中空セルの内面どうしが面接触するように該軟質透明中空セルの外形を変形せしめ、変形した軟質透明中空セルの面接触していない部分に前記封入された有色液体を偏在するように移動させることを特徴とする表示素子駆動方法。
【請求項1】
両面もしくは片面が光透過性材料からなる中央部の平行面部分と軟質材料からなる周辺部の伸縮変形部分とで構成された軟質透明中空セルと、該軟質透明中空セルの内部に封入された有色液体とからなり、該軟質透明中空セルを介して少なくとも一対の対向する電極が配置されることを特徴とする表示素子。
【請求項2】
請求項1記載の表示素子を2個以上重畳してなることを特徴とする表示素子積層体。
【請求項3】
重畳した表示素子それぞれにおける有色液体の種類が1種類もしくは2種類以上であることを特徴とする、請求項2記載の表示素子積層体。
【請求項4】
請求項1の表示素子または請求項2乃至3の表示素子積層体を複数個面状に配列してなることを特徴とする表示装置。
【請求項5】
請求項4の表示装置を複数積層してなることを特徴とする表示装置。
【請求項6】
請求項1の表示素子の、前記一対の電極の間に電圧を印加して静電気力を生じさせ、前記軟質透明中空セルの内面どうしが面接触するように該軟質透明中空セルの外形を変形せしめ、変形した軟質透明中空セルの面接触していない部分に前記封入された有色液体を偏在するように移動させることを特徴とする表示素子駆動方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【公開番号】特開2009−251073(P2009−251073A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−95687(P2008−95687)
【出願日】平成20年4月2日(2008.4.2)
【出願人】(000153591)株式会社巴川製紙所 (457)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年4月2日(2008.4.2)
【出願人】(000153591)株式会社巴川製紙所 (457)
【Fターム(参考)】
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