説明

表示素子

【課題】簡便な部材構成、低電圧で駆動可能で、表示コントラスト、白表示反射率が高く、かつ繰返し駆動での反射率の変動が少ない表示素子を提供する。
【解決手段】対向電極間に電解質、エレクトロクロミック色素及び白色散乱物を含有し、該対向電極の駆動操作により白表示及び着色表示をする表示素子において、表示部側の電極が、超臨界流体中でエレクトロクロミック色素を吸着させた半導体ナノ多孔質透明電極であることを特徴とする表示素子。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、単層構成で多色表示を可能とした新規の電気化学的な表示素子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、パーソナルコンピューターの動作速度の向上、ネットワークインフラの普及、データストレージの大容量化と低価格化に伴い、従来紙への印刷物で提供されたドキュメントや画像等の情報を、より簡便な電子情報として入手、電子情報を閲覧する機会が益々増大している。
【0003】
この様な電子情報の閲覧手段として、従来の液晶ディスプレイやCRT、また近年では、有機ELディスプレイ等の発光型が主として用いられているが、特に、電子情報がドキュメント情報の場合、比較的長時間にわたってこの閲覧手段を注視する必要があり、これらの行為は必ずしも人間に優しい手段とは言い難く、一般に発光型のディスプレイの欠点として、フリッカーで目が疲労する、持ち運びに不便、読む姿勢が制限され、静止画面に視線を合わせる必要が生じる、長時間読むと消費電力が嵩む等が知られている。
【0004】
これらの欠点を補う表示手段として、外光を利用し、像保持の為に電力を消費しない(メモリー性)反射型ディスプレイが知られているが、下記の理由で十分な性能を有しているとは言い難い。
【0005】
すなわち、反射型液晶等の偏光板を用いる方式は、反射率が約40%と低く白表示に難があり、また構成部材の作製に用いる製法の多くは簡便とは言い難い。また、ポリマー分散型液晶は高い電圧を必要とし、また有機物同士の屈折率差を利用しているため、得られる画像のコントラストが十分でない。また、ポリマーネットワーク型液晶は電圧高いことと、メモリー性を向上させるために複雑なTFT回路が必要である等の課題を抱えている。また、電気泳動法による表示素子は、10V以上の高い電圧が必要となり、電気泳動性粒子凝集による耐久性に懸念がある。
【0006】
これら上述の各方式の欠点を解消する表示方式として、エレクトロクロミック表示素子(以下、EC方式と略す)や金属または金属塩の溶解析出を利用するエレクトロデポジション方式(以下、ED方式と略す)が知られている。EC方式は、3V以下の低電圧でフルカラー表示が可能で、簡易なセル構成、白品質で優れる等の利点があり、ED方式もまた、3V以下の低電圧で駆動が可能で、簡便なセル構成、黒と白のコントラストや黒品質に優れる等の利点があり、様々な方法が開示されている(例えば、特許文献1〜6参照)。
【0007】
一方、EC方式を用いた表示装置として、透明電極の少なくとも一方に半導体ナノ多孔質層を設け、この半導体ナノ多孔質層にエレクトロクロミック色素を担持させた構成の表示装置に関する提案がなされている(例えば、特許文献7、8参照。)。
【0008】
この表示装置は、開回路を構成して電極間の電子の移動を遮断し酸化還元状態を保持するだけで表示状態を静止できるので、表示画像を維持する電力が不要であり、消費電力が極めて低いという点で優れている。しかしながらこれら従来技術では、半導体多孔質層への色素の固定化が充分では無く、充分高いコントラストが得られにくいこと、繰返し駆動させたときの反射率の安定性に課題があることが判明した。
【特許文献1】WO2004/068231号明細書
【特許文献2】WO2004/067673号明細書
【特許文献3】米国特許第4,240,716号明細書
【特許文献4】特許第3428603号公報
【特許文献5】特開2003−241227号公報
【特許文献6】特表2007−508587号公報
【特許文献7】特開2003−248242号公報
【特許文献8】特開2003−270670号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、簡便な部材構成、低電圧で駆動可能で、表示コントラスト、白表示反射率が高く、かつ繰返し駆動での反射率の変動が少ない表示素子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の上記目的は、以下の構成により達成される。
【0011】
1.対向電極間に電解質、エレクトロクロミック色素及び白色散乱物を含有し、該対向電極の駆動操作により白表示及び着色表示をする表示素子において、表示部側の電極が、超臨界流体中でエレクトロクロミック色素を吸着させた半導体ナノ多孔質透明電極であることを特徴とする表示素子。
【0012】
2.前記エレクトロクロミック色素が、酸化により着色状態となることを特徴とする前記1に記載の表示素子。
【0013】
3.前記エレクトロクロミック色素が、アゾール系色素であることを特徴とする前記1または2に記載の表示素子。
【0014】
4.前記エレクトロクロミック色素が、下記一般式(L)で表される化合物であることを特徴とする前記1〜3のいずれか1項に記載の表示素子。
【0015】
【化1】

【0016】
〔式中、Rl1は置換もしくは無置換のアリール基を表し、Rl2、Rl3は各々水素原子または置換基を表す。Xは>N−Rl4、酸素原子または硫黄原子を表し、Rl4は水素原子または置換基を表す。〕
5.対向電極間に更に金属塩化合物を含有し、該対向電極の駆動操作により実質的に黒表示、白表示及び黒以外の着色表示の3色以上の多色表示を行うことを特徴とする前記1〜4のいずれか1項に記載の表示素子。
【0017】
6.対向電極間に、更にN−オキシル誘導体を含有することを特徴とする前記1〜5のいずれか1項に記載の表示素子。
【0018】
7.前記N−オキシル誘導体が、下記一般式(M1)で表される化合物であることを特徴とする前記6に記載の表示素子。
【0019】
【化2】

【0020】
〔式中、Rm11及びRm12は各々独立に置換基を有しても良い脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、複素環基、若しくは>C=O、>C=Sまたは>C=N−Rm13を介して窒素原子と結合する基を表す。Rm13は、水素原子、置換基を有しても良い脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基または複素環基を表す。また、Rm11及びRm12は互いに連結して、環状構造を形成しても良い。〕
【発明の効果】
【0021】
本発明により、簡便な部材構成、低電圧で駆動可能で、表示コントラスト、白表示反射率が高く、かつ繰返し駆動での反射率の変動が少ない表示素子を提供することができた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
【0023】
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討を行った結果、対向電極間に電解質、エレクトロクロミック色素及び白色散乱物を含有し、かつ表示部側の電極が、超臨界流体中でエレクトロクロミック色素を吸着させた半導体ナノ多孔質透明電極であることを特徴とする表示素子により、簡便な部材構成、低電圧で駆動可能で、表示コントラスト、白表示反射率が高い表示素子であって、かつ繰返し駆動での反射率の変動が少ない表示素子を実現できることを見出し、本発明に至った次第である。
【0024】
以下、本発明の詳細について説明する。
【0025】
《表示素子の基本構成》
本発明の表示素子においては、表示部には、対応する1つの対向電極が設けられている。表示部に近い対向電極の1つである電極1にはITO電極等の透明電極、他方の電極2には導電性電極が設けられている。電極1上には半導体ナノ多孔質電極が形成されており、ナノ多孔質半導体にエレクトロクロミック色素を固定化させる工程を、超臨界流体中で行う。
【0026】
対向電極である電極1と電極2との間に、電解質及び白色散乱物が保持されており、好ましい態様は金属塩化合物及びN−オキシル誘導体が保持されている構成である。本発明に係るN−オキシル誘導体の保持は、電解質中に含有されていても、電極表面上に固定化されていてもよい。
【0027】
対向電極間に正負両極性の電圧を印加することにより、金属の溶解析出反応や前記エレクトロクロミック色素の酸化還元反応により、黒色、白色、黒以外の着色した状態を可逆的に切り替えることができる。
【0028】
《電極》
〔表示側電極〕
本発明の表示素子においては、対向電極のうち、表示側電極としては透明電極を用いる。透明電極としては、透明で電気を通じるものであれば特に制限はない。例えば、Indium Tin Oxide(ITO:インジウム錫酸化物)、Indium Zinc Oxide(IZO:インジウム亜鉛酸化物)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)、酸化インジウム、酸化亜鉛、白金、金、銀、ロジウム、銅、クロム、炭素、アルミニウム、シリコン、アモルファスシリコン、BSO(Bismuth Silicon Oxide)等が挙げられる。電極をこのように形成するには、例えば、基板上にITO膜をスパッタリング法等でマスク蒸着するか、ITO膜を全面形成した後、フォトリソグラフィ法でパターニングすればよい。表面抵抗値としては、100Ω/□以下が好ましく、10Ω/□以下がより好ましい。透明電極の厚みは特に制限はないが、0.1〜20μmであるのが一般的である。
【0029】
(半導体ナノ多孔質層)
本発明において、表示部側の透明電極上には超臨界流体中でエレクトロクロミック色素(以下、EC色素ともいう)を吸着させた半導体ナノ多孔質層が形成されていることを特徴とする。
【0030】
本発明に係る半導体ナノ多孔質層は、表面積を大きくするため、その表面及び内部に、エレクトロクロミック色素、必要に応じて電荷移動剤を担持可能な微細孔を有している。本発明に係る半導体ナノ多孔質層の比表面積は、1〜5000m2/gが好ましく、10〜2500m2/gがより好ましい。ここでいう比表面積は、窒素ガスの吸着量から求めたBET比表面積を意味する。比表面積が小さすぎるとEC色素の吸着量を増大させることができなり、本発明の目的を達成できなくなる場合がある。
【0031】
本発明に係る半導体ナノ多孔質層に含まれる半導体微粒子としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、単体半導体、酸化物半導体、化合物半導体、有機半導体、複合体酸化物半導体、又はこれらの混合物が挙げられ、これらにはドーパントとして不純物が含まれていてもよい。なお、半導体の形態の制限は特になく、単結晶、多結晶、非晶質又はこれらの混合形態であってもよい。
【0032】
半導体微粒子としては、酸化物半導体が好ましい。酸化物半導体は、金属酸化物で半導体の性質を持つものであり、例えば、TiO2、SnO2、Fe23、SrTiO3、WO3、ZnO、ZrO2、Ta25、Nb25、V25、In23、CdO、MnO、CoO、TiSrO3、KTiO3、Cu2O、チタン酸ナトリウム、チタン酸バリウム、ニオブ酸カリウム、などが挙げられる。
【0033】
半導体微粒子の形状は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選定することができ、球形、ナノチューブ状、棒状、ウィスカー状のいずれの形状であっても構わず、形状の異なる2種類以上の微粒子を混合することもできる。半導体微粒子が球形粒子である場合には、平均粒径が0.1〜1000nmが好ましく、1〜100nmがより好ましい。なお、粒径分布の異なる2種類以上の微粒子を混合しても構わない。また、半導体微粒子が棒状粒子である場合には、アスペクト比が2〜50000が好ましく、5〜25000がより好ましい。
【0034】
(ナノ多孔質半導体上へのEC色素の固定化方法)
本発明においては、本発明に係る半導体ナノ多孔質層へエレクトロクロミック色素を吸着させる工程を、超臨界流体中で行うことを特徴とする。本発明に適用可能な超臨界流体としては、二酸化炭素、アンモニア、プロパン、ヘキサン、オレフィン類、トルエン、テトラリン、アルコール類、水などを使用することができるが、二酸化炭素を使用することが好ましい。
【0035】
超臨界流体として用いる物質がEC色素を溶解しにくい場合には、アルコール類などの補助溶媒を併用することが好ましい。補助溶媒の中でも、メタノールが最も好ましい。
【0036】
本発明において、EC色素の吸着工程に用いる超臨界流体反応容器の例を示す。
【0037】
図1は、本発明に係る半導体ナノ多孔質透明電極の作製で、EC色素の吸着工程に用いる超臨界流体反応容器の一例を示す概略図である。
【0038】
以下、超臨界気体として二酸化炭素(炭酸ガス)を用いた透明電極上への半導体ナノ多孔質層の形成方法について説明する。
【0039】
図1に記載の超臨界炭酸ガスの圧力反応容器7内に、多孔質透明電極11を挿入する。次いで、反応液リザーバー13に、EC色素溶液を所定量添加する。コック2、3、14を閉め、コック1を開け、アスピレーター6を運転し、圧力反応容器7内を減圧にする。次いで、減圧になった時点で、コック1を閉じ、コック14、2を開け、サイフォン式液化炭酸ガスボンベ4より液化炭酸ガスを圧力反応容器7内に導入し、圧力反応容器7内の液化炭酸ガスの質量が、一定量になった時点でコック2、14を閉める。次いで、撹拌装置9を運転し、圧力反応容器7内部にあるヒーター15を用い加熱し、圧力反応容器7内の温度が所定の温度になった時点で、コック3を開け、EC色素溶液を導入する。EC色素を圧力反応容器7内に導入した後、徐々に温度を上げ、一定時間その条件を維持して、多孔質透明電極11にEC色素を吸着させる。吸着が完了した後冷却して、圧力を開放して、半導体ナノ多孔質透明電極を得ることができる。
【0040】
〔非表示側電極〕
本発明の表示素子において、非表示側電極としては金属電極であることが好ましい。金属電極としては、例えば、白金、金、銀、銅、アルミニウム、亜鉛、ニッケル、チタン、ビスマス、及びそれらの合金等の公知の金属種を用いることができる。金属電極は、電解質中の銀の酸化還元電位に近い仕事関数を有する金属が好ましく、中でも銀または銀含有率80%以上の銀電極が、銀の還元状態維持の為に有利であり、また電極汚れ防止にも優れる。電極の作製方法は、蒸着法、印刷法、インクジェット法、スピンコート法、CVD法等の既存の方法を用いることができる。
【0041】
《エレクトロクロミック色素(EC色素)》
本発明に係るEC色素としては、電気化学的な酸化反応及び還元反応の少なくとも一方により発色又は消色する作用を示す限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。EC色素としては、金属錯体、導電性高分子化合物及び有機色素等が挙げられる。
【0042】
EC特性を示す金属錯体としては、例えば、プルシアンブルー、金属−ビピリジル錯体、金属フェナントロリン錯体、金属−フタロシアニン錯体、フェロセン系色素、フタロシアニン系色素これらの誘導体などが挙げられる。
【0043】
EC特性を示す導電性高分子化合物としては、例えば、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリイソチアナフテン、ポリアニリン、ポリフェニレンジアミン、ポリアミノフェノール、ポリビニルカルバゾール、ポリカルバゾール及びこれらの誘導体などが挙げられる。
【0044】
EC特性を示す有機色素としては、ピリジン系化合物、フェノチアジン系色素、スチリル系色素、アントラキノン系色素、ピラゾリン系色素、フルオラン系色素等が挙げられる。前記ピリジン系化合物としては、例えば、ビオローゲン、ヘプチルビオローゲン、メチレンビスピリジニウム、フェナントロリン、アゾビピリジニウム、キノリン・イソキノリン、などが挙げられる。その他、特開2007−171781号公報、特開2007−219271号公報、特開2007−219272号公報、特開2007−279659号公報、特開2007−279570号公報、特開2007−279571号公報、特開2007−279572号公報等に記載の化合物が挙げられる。
【0045】
本発明に係るEC色素としては、酸化状態では無色あるいは極淡色を呈し、還元状態で発色する還元発色型の色素、還元状態では無色あるいは極淡色を呈し、酸化状態で発色する酸化発色型の色素、還元状態でも酸化状態でも発色を呈し、還元又は酸化の程度により数種類の色が発現する多色発色型の色素のいずれであってもよく、目的に応じて適宜選択することができるが、酸化発色型が好ましく、特にイミダゾール系色素が好ましい。
【0046】
本発明の表示素子において最も好ましいEC色素は、前記一般式(L)で表される化合物である。
【0047】
以下、本発明に係る一般式(L)で表されるエレクトロクロミック化合物について説明する。
【0048】
前記一般式(L)において、Rl1は置換もしくは無置換のアリール基を表し、Rl2、Rl3は各々水素原子または置換基を表す。Xは>N−Rl4、酸素原子または硫黄原子を表し、Rl4は水素原子、または置換基を表す。
【0049】
Rl1が置換基を有するアリール基を表す場合、置換基としては特に制限は無く、例えばアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等)、シクロアルキル基(例えば、シクロヘキシル基、シクロペンチル基等)、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基(例えば、プロパルギル基等)、グリシジル基、アクリレート基、メタクリレート基、芳香族基(例えば、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基等)、複素環基(例えば、ピリジル基、チアゾリル基、オキサゾリル基、イミダゾリル基、フリル基、ピロリル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、セレナゾリル基、スリホラニル基、ピペリジニル基、ピラゾリル基、テトラゾリル基等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ペンチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、メチルオキシカルボニル基、エチルオキシカルボニル基、ブチルオキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェニルオキシカルボニル基等)、スルホンアミド基(例えば、メタンスルホンアミド基、エタンスルホンアミド基、ブタンスルホンアミド基、ヘキサンスルホンアミド基、シクロヘキサンスルホンアミド基、ベンゼンスルホンアミド基等)、スルファモイル基(例えば、アミノスルホニル基、メチルアミノスルホニル基、ジメチルアミノスルホニル基、ブチルアミノスルホニル基、ヘキシルアミノスルホニル基、シクロヘキシルアミノスルホニル基、フェニルアミノスルホニル基、2−ピリジルアミノスルホニル基等)、ウレタン基(例えば、メチルウレイド基、エチルウレイド基、ペンチルウレイド基、シクロヘキシルウレイド基、フェニルウレイド基、2−ピリジルウレイド基等)、アシル基(例えば、アセチル基、プロピオニル基、ブタノイル基、ヘキサノイル基、シクロヘキサノイル基、ベンゾイル基、ピリジノイル基等)、カルバモイル基(例えば、アミノカルボニル基、メチルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、プロピルアミノカルボニル基、ペンチルアミノカルボニル基、シクロヘキシルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基、2−ピリジルアミノカルボニル基等)、アシルアミノ基(例えば、アセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、メチルウレイド基等)、スルホニル基(例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、ブチルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基、フェニルスルフォニル基、2−ピリジルスルホニル基等)、アミノ基(例えば、アミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ブチルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、アニリノ基、2−ピリジルアミノ基等)、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子、沃素原子等)、シアノ基、ニトロ基、スルホ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、ホスホノ基(例えば、ホスホノエチル基、ホスホノプロピル基、ホスホノオキシエチル基)等を挙げることができる。また、これらの基はさらにこれらの基で置換されていてもよい。
【0050】
Rl1としては、置換もしくは無置換のフェニル基が好ましく、更に好ましくは置換もしくは無置換の2−ヒドロキシフェニル基または4−ヒドロキシフェニル基である。
【0051】
Rl2、Rl3で表される置換基としては、特に制限は無く、前記Rl1のアリール基上への置換基として例示した置換基等が挙げられる。好ましくはRl2、Rl3は置換基を有しても良く、置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、芳香族基、複素環基である。Rl2、Rl3の組み合わせとしては、双方共に置換基を有しても良いフェニル基である場合、若しくは何れか一方が置換基を有しても良いフェニル基であり、他方が置換基を有しても良いアルキル基の組み合わせであることが好ましい。
【0052】
Xとして好ましくは>N−Rl4である。Rl4として好ましくは、水素原子、アルキル基、芳香族基、複素環基、アシル基であり、より好ましくは水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数5〜10のアリール基、アシル基である。
【0053】
以下に、一般式(L)で表されるエレクトロクロミック色素の具体的化合物例を示すが、本発明ではこれら例示する化合物にのみ限定されるものではない。
【0054】
【化3】

【0055】
【化4】

【0056】
【化5】

【0057】
【化6】

【0058】
【化7】

【0059】
【化8】

【0060】
【化9】

【0061】
【化10】

【0062】
【化11】

【0063】
【化12】

【0064】
【化13】

【0065】
【化14】

【0066】
【化15】

【0067】
【化16】

【0068】
【化17】

【0069】
【化18】

【0070】
〔吸着性基〕
本発明の表示素子においては、本発明に係る一般式(L)で表される化合物が、電極表面と化学吸着または物理吸着する吸着性基を有していることが好ましい。
【0071】
本発明に係る化学吸着とは、電極表面との化学結合による比較的強い吸着状態であり、本発明に係る物理吸着とは、電極表面と吸着物質との間に働くファンデルワールス力による比較的弱い吸着状態である。
【0072】
本発明に係る吸着性基は、化学吸着性の基である方が好ましく、化学吸着する吸着性基としては、−COOH、−P=O(OH)2、−OP=O(OH)2及び−Si(OR)3(Rは、アルキル基を表す)が好ましい。
【0073】
《N−オキシル誘導体》
本発明の表示素子においては、対向電極間にN−オキシル誘導体を含有することが好ましい。
【0074】
本発明に係るN−オキシル誘導体は、エレクトロデポジション反応やエレクトロクロミック反応のメディエータとして機能する場合や対極の反応物として機能する場合があり、メディエータとして機能する場合はエレクトロデポジション反応やエレクトロクロミック反応と同極の活性を有していることが望ましく、対極の反応物として機能する場合にはエレクトロデポジション反応やエレクトロクロミック反応と異極の活性を有していることが望ましい。
【0075】
本発明に係るN−オキシル誘導体は、電解質中に含有されていても、電極表面上に固定化されていてもよい。電極表面上に固定化する方法は、N−オキシル誘導体に電極表面と化学吸着または物理吸着する基を導入する方法やN−オキシル誘導体をポリマー化して電極表面上に薄膜を形成する方法などが挙げられる。尚、N−オキシル誘導体はN−オキシルラジカルの状態で添加しても良く、またN−ヒドロキシ化合物の状態で添加しても良い。
【0076】
はじめに、本発明に係るN−オキシル誘導体に係る一般式(M1)について説明する。
【0077】
〔一般式(M1)で表される化合物〕
本発明においては、本発明に係るN−オキシル誘導体が、前記一般式(M1)で表される化合物であることが好ましい態様の1つである。
【0078】
前記一般式(M1)において、Rm11及びRm12は各々独立に置換基を有しても良い脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、複素環基若しくは>C=O,>C=S,>C=N−Rm13を介して窒素原子と結合する基を表す。Rm13は水素原子、若しくは置換基を有しても良い脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基または複素環基を表す。また、Rm11及びRm12は互いに連結して、環状構造を形成しても良い。
【0079】
脂肪族炭化水素基には、鎖状及び環状のものが包含され、鎖状のものには直鎖状のもの及び分岐状のものが包含される。このような脂肪族炭化水素基には、メチル、エチル、ビニル、プロピル、イソプロピル、プロペニル、ブチル、iso−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、iso−ヘキシル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、オクチル、iso−オクチル、シクロオクチル、2,3−ジメチル−2−ブチル等が挙げられる。
【0080】
芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ナフチル基等が挙げられ、複素環基としては、ピリジル基、チアゾリル基、オキサゾリル基、イミダゾリル基、フリル基、ピロリル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、セレナゾリル基、スルホラニル基、ピペリジニル基、ピラゾリル基、テトラゾリル基、モルフォリノ基等が挙げられる。
【0081】
これら置換基は更に置換基を有していても良い。それらの置換基には、特に制限は無く例えば、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基等)、シクロアルキル基(例えば、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、アルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基、ブテニル基、オクテニル基等)、シクロアルケニル基(例えば、2−シクロペンテン−1−イル基、2−シクロヘキセン−1−イル基等)、アルキニル基(例えば、プロパルギル基、エチニル基、トリメチルシリルエチニル基等)、アリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基、p−トリル基、m−クロロフェニル基、o−ヘキサデカノイルアミノフェニル基等)、複素環基(例えば、ピリジル基、チアゾリル基、オキサゾリル基、イミダゾリル基、フリル基、ピロリル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、セレナゾリル基、スルホラニル基、ピペリジニル基、ピラゾリル基、テトラゾリル基、モルフォリノ基等)、複素環オキシ基(例えば、1−フェニルテトラゾール−5−オキシ基、2−テトラヒドロピラニルオキシ基、ピリジルオキシ基、チアゾリルオキシ基、オキサゾリルオキシ基、イミダゾリルオキシ基等)、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、フッ素原子等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基等)、シクロアルコキシ基(例えば、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、2−ナフチルオキシ基、2−メチルフェノキシ基、4−tert−ブチルフェノキシ基、3−ニトロフェノキシ基、2−テトラデカノイルアミノフェノキシ基等)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基、ドデシルチオ基等)、シクロアルキルチオ基(例えば、シクロペンチルチオ基、シクロヘキシルチオ基等)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基、1−ナフチルチオ基等)、複素環チオ基(例えば、ピリジルチオ基、チアゾリルチオ基、オキサゾリルチオ基、イミダゾリルチオ基、フリルチオ基、ピロリルチオ基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェニルオキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基等)、スルファモイル基(例えば、アミノスルホニル基、メチルアミノスルホニル基、ジメチルアミノスルホニル基、ブチルアミノスルホニル基、ヘキシルアミノスルホニル基、シクロヘキシルアミノスルホニル基、オクチルアミノスルホニル基、ドデシルアミノスルホニル基、フェニルアミノスルホニル基、ナフチルアミノスルホニル基、2−ピリジルアミノスルホニル基、モルフォリノスルホニル基、ピロリジノスルホニル基等)、ウレイド基(例えば、メチルウレイド基、エチルウレイド基、ペンチルウレイド基、シクロヘキシルウレイド基、オクチルウレイド基、ドデシルウレイド基、フェニルウレイド基、ナフチルウレイド基、2−ピリジルアミノウレイド基等)、アシル基(例えば、アセチル基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、ペンチルカルボニル基、シクロヘキシルカルボニル基、オクチルカルボニル基、2−エチルヘキシルカルボニル基、ドデシルカルボニル基、フェニルカルボニル基、ナフチルカルボニル基、ピリジルカルボニル基等)、アシルオキシ基(例えば、ホルミルオキシ基、アセチルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ステアロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、p−メトキシフェニルカルボニルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、ブチルカルボニルオキシ基、オクチルカルボニルオキシ基、ドデシルカルボニルオキシ基、フェニルカルボニルオキシ基等)、アシルアミノ基(例えば、アセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、ホルミルアミノ基、ピバロイルアミノ基、ラウロイルアミノ基、3,4,5−トリ−n−オクチルオキシフェニルカルボニルアミノ基等)、カルバモイル基(例えば、アミノカルボニル基、メチルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、プロピルアミノカルボニル基、ペンチルアミノカルボニル基、シクロヘキシルアミノカルボニル基、オクチルアミノカルボニル基、2−エチルヘキシルアミノカルボニル基、ドデシルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基、ナフチルアミノカルボニル基、2−ピリジルアミノカルボニル基、モルフォリノカルボニル基、ピペラジノカルボニル基等)、アルカンスルフィニル基またはアリールスルフィニル基(例えば、メタンスルフィニル基、エタンスルフィニル基、ブタンスルフィニル基、シクロヘキサンスルフィニル基、2−エチルヘキサンスルフィニル基、ドデカンスルフィニル基、フェニルスルフィニル基、ナフチルスルフィニル基、2−ピリジルスルフィニル基等)、アルカンスルホニル基またはアリールスルホニル基(例えば、メタンスルホニル基、エタンスルホニル基、ブタンスルホニル基、シクロヘキサンスルホニル基、2−エチルヘキサンスルホニル基、ドデカンスルホニル基、フェニルスルホニル基、ナフチルスルホニル基、2−ピリジルスルホニル基等)、アミノ基(例えば、アミノ基、メチルアミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ブチルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、ドデシルアミノ基、アニリノ基、N−メチルアニリノ基、ジフェニルアミノ基、ナフチルアミノ基、2−ピリジルアミノ基等)、シリルオキシ基(例えば、トリメチルシリルオキシ基、tert−ブチルジメチルシリルオキシ基等)、アミノカルボニルオキシ基(例えば、N,N−ジメチルカルバモイルオキシ基、N,N−ジエチルカルバモイルオキシ基、モルホリノカルボニルオキシ基、N,N−ジ−n−オクチルアミノカルボニルオキシ基、N−n−オクチルカルバモイルオキシ基等)、アルコキシカルボニルオキシ基(例えば、メトキシカルボニルオキシ基、エトキシカルボニルオキシ基、tert−ブトキシカルボニルオキシ基、n−オクチルカルボニルオキシ基等)、アリールオキシカルボニルオキシ基(例えば、フェノキシカルボニルオキシ基、p−メトキシフェノキシカルボニルオキシ基、p−n−ヘキサデシルオキシフェノキシカルボニルオキシ基等)、アルコキシカルボニルアミノ基(例えば、メトキシカルボニルアミノ基、エトキシカルボニルアミノ基、tert−ブトキシカルボニルアミノ基、n−オクタデシルオキシカルボニルアミノ基、N−メチル−メトキシカルボニルアミノ基等)、アリールオキシカルボニルアミノ基(例えば、フェノキシカルボニルアミノ基、p−クロロフェノキシカルボニルアミノ基、m−n−オクチルオキシフェノキシカルボニルアミノ基等)、スルファモイルアミノ基(例えば、スルファモイルアミノ基、N,N−ジメチルアミノスルホニルアミノ基、N−n−オクチルアミノスルホニルアミノ基等)、メルカプト基、アリールアゾ基(例えば、フェニルアゾ基、ナフチルアゾ基、p−クロロフェニルアゾ基等)、複素環アゾ基(例えば、ピリジルアゾ基、チアゾリルアゾ基、オキサゾリルアゾ基、イミダゾリルアゾ基、フリルアゾ基、ピロリルアゾ基、5−エチルチオ−1,3,4−チアジアゾール−2−イルアゾ基等)、イミノ基(例えば、N−スクシンイミド−1−イル基、N−フタルイミド−1−イル基等)、ホスフィノ基(例えば、ジメチルホスフィノ基、ジフェニルホスフィノ基、メチルフェノキシホスフィノ基等)、ホスフィニル基(例えば、ホスフィニル基、ジオクチルオキシホスフィニル基、ジエトキシホスフィニル基等)、ホスフィニルオキシ基(例えば、ジフェノキシホスフィニルオキシ基、ジオクチルオキシホスフィニルオキシ基等)、ホスフィニルアミノ基(例えば、ジメトキシホスフィニルアミノ基、ジメチルアミノホスフィニルアミノ基等)、シリル基(例えば、トリメチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、フェニルジメチルシリル基等)、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシル基、スルホ基、カルボキシル基等が挙げられる。
【0082】
一般式(M1)で表される化合物は、これら置換基で連結された二量体、三量体等の多量体であっても良く、また重合体で有ってもよい。
【0083】
以下に、一般式(M1)で表される化合物の具体例を示すが、本発明はこれら例示する化合物にのみ限定されるものではない。なお、本発明に係る一般式(M1)で表される化合物としては、後述する一般式(M2)〜(M5)で表される化合物の具体的化合物を包含する。
【0084】
【化19】

【0085】
また、本発明の表示素子においては、本発明に係るN−オキシル誘導体として、下記一般式(M2)〜(M5)で表される化合物を適用することができる。
【0086】
〔一般式(M2)で表される化合物〕
【0087】
【化20】

【0088】
上記一般式(M2)において、Rm21、Rm22、Rm23、Rm24は各々独立に水素原子若しくは置換基を有しても良い脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、または複素環基を表す。Z1は環状構造を形成するのに必要な原子群を表す。また、Rm21〜Rm24及びZ1を構成する原子は互いに連結して、環状構造を形成しても良く、Z1は更に置換基を有していても良い。
【0089】
上記一般式(M2)において、Rm21、Rm22、Rm23、Rm24における脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、複素環基は、前記一般式(M1)におけるそれぞれと同義である。
【0090】
1は環状構造を形成するのに必要な原子群を表し、5員環若しくは6員環を形成するのが好ましい。Z1は更に置換基を有していても良く、それらの置換基としては、前記一般式(M1)で例示したのと同様の置換基が挙げられる。また、Rm21〜Rm24及びZ1を構成する原子は互いに連結して、環状構造を形成しても良く、例えば、窒素原子と共にアザノルボルネン構造、アザアダマンタン構造等の多環式構造を取っても良い。
【0091】
一般式(M2)で表される化合物の環構造としては、ピペリジン環、若しくはピロリジン環、アザアダマンタン環が好ましい。
【0092】
以下に、一般式(M2)で表される化合物の具体例を示すが、本発明はこれら例示する化合物にのみ限定されるものではない。
【0093】
【化21】

【0094】
【化22】

【0095】
〔一般式(M3)で表される化合物〕
【0096】
【化23】

【0097】
上記一般式(M3)において、Rm31は直接、若しくは酸素原子、窒素原子、硫黄原子を介してカルボニル炭素原子に置換する、置換基を有してもよい脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、または複素環基を表し、Rm32は置換基を有しても良い脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、または複素環基を表す。また、Rm31及びRm32は互いに連結して、環状構造を形成しても良い。
【0098】
上記一般式(M3)において、Rm31における脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、複素環基は、一般式(M1)におけるそれぞれと同義である。
【0099】
また、Rm31及びRm32は互いに連結して、環状構造を形成してもよい。一般式(M3)において、Rm32は芳香族炭化水素基が好ましく、特に、置換基を有しても良いフェニル基が好ましい。フェニル基上の置換基としては、シアノ基、アルコキシカルボニル基、トリフルオロメチル基等の電子吸引性基が好ましい。Rm31としては、カルボニル炭素原子に直接結合したフェニル基若しくは脂肪族炭化水素基が好ましく、特に、分岐アルキル基及びシクロアルキル基が好ましい。
【0100】
以下に、一般式(M3)で表される化合物の具体例を示すが、本発明はこれら例示する化合物にのみ限定されるものではない。
【0101】
【化24】

【0102】
【化25】

【0103】
〔一般式(M4)で表される化合物〕
【0104】
【化26】

【0105】
上記一般式(M4)において、Z2は環状構造を形成するのに必要な原子群を表し、更に置換基を有していても良い。
【0106】
前記一般式(M4)において、Z2は環状構造を形成するのに必要な原子群を表し、5員環若しくは6員環を形成するのが好ましい。Z2は更に置換基を有していても良く、それらの置換基としては、一般式(M1)で例示した置換基が挙げられる。また、Z2は縮合環で有っても良い。
【0107】
以下に、一般式(M4)で表される化合物の具体例を示すが、本発明はこれら例示する化合物にのみ限定されるものではない。
【0108】
【化27】

【0109】
一般式(M4)で表される化合物としては、N−ヒドロキシコハク酸イミド、N−ヒドロキシマレイン酸イミド、N−ヒドロキシヘキサヒドロフタル酸イミド、N−ヒドロキシフタルイミドのラジカル化合物が好ましい。
【0110】
〔一般式(M5)で表される化合物〕
【0111】
【化28】

【0112】
上記一般式(M5)において、Rm51〜Rm55は各々独立に置換基を有しても良い脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基または複素環基を表す。これら脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、複素環基については、一般式(M1)におけるそれぞれと同義である。
【0113】
一般式(M5)において、Rm51は芳香族炭化水素基が好ましく、特に置換基を有しても良いフェニル基が好ましい。フェニル基上の置換基としてはシアノ基、アルコキシカルボニル基、トリフルオロメチル基等の電子吸引性基が好ましい。Rm52〜Rm55としては、炭素数1〜6のアルキル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。
【0114】
以下に、一般式(M5)で表される化合物の具体例を示すが、本発明はこれら例示する化合物にのみ限定されるものではない。
【0115】
【化29】

【0116】
本発明の表示素子においては、本発明に係るN−オキシル誘導体がポリマー構造であっても良い。前記一般式(M−1)〜(M−5)に示した部分構造を有するモノマーの単独重合体であっても良く、その他コモノマーとの共重合物であっても良い。そのようなN−オキシル構造を有するポリマーは、ラジカル電池等の電極活物質として知られており、例えば、特開2006−73240号、特開2007−35375号、特開2007−184227号に例示された化合物を、本発明に適用することができる。
【0117】
以下に、N−オキシル誘導体のポリマー体の具体例を示すが、本発明はこれら例示する化合物にのみ限定されるものではない。
【0118】
【化30】

【0119】
【化31】

【0120】
【化32】

【0121】
《金属塩化合物》
本発明に係る金属塩化合物とは、対向電極上の少なくとも1方の電極上で、該対向電極の駆動操作で、溶解・析出を行うことができる金属種を含む塩であれば、如何なる化合物であってもよい。好ましい金属種は、銀、ビスマス、銅、ニッケル、鉄、クロム、亜鉛等であり、特に好ましいのは銀、ビスマスである。
【0122】
〔銀塩化合物〕
本発明に係る銀塩化合物とは、銀または、銀を化学構造中に含む化合物、例えば、酸化銀、硫化銀、金属銀、銀コロイド粒子、ハロゲン化銀、銀錯体化合物、銀イオン等の化合物の総称であり、固体状態や液体への可溶化状態や気体状態等の相の状態種、中性、アニオン性、カチオン性等の荷電状態種は、特に問わない。
【0123】
本発明に係る電解質に含まれる金属イオン濃度は、0.2モル/kg≦[Metal]≦2.0モル/kgが好ましい。金属イオン濃度が0.2モル/kg以上であれば、十分な濃度の銀溶液となり所望の駆動速度を得ることができ、2モル/kg以下であれば析出を防止し、低温保存時での電解質液の安定性が向上する。
【0124】
〔ハロゲンイオン、金属イオン濃度比〕
本発明の表示素子においては、電解質に含まれるハロゲンイオンまたはハロゲン原子のモル濃度を[X](モル/kg)とし、前記電解質に含まれる銀または銀を化学構造中に含む化合物の銀の総モル濃度を[Metal](モル/kg)としたとき、下式(1)で規定する条件を満たすことが好ましい。
【0125】
式(1):0≦[X]/[Metal]≦0.1
本発明でいうハロゲン原子とは、ヨウ素原子、塩素原子、臭素原子、フッ素原子のことをいう。[X]/[Metal]が0.1よりも大きい場合は、金属の酸化還元反応時に、X-→X2が生じ、X2は析出した金属と容易にクロス酸化して析出した金属を溶解させ、メモリー性を低下させる要因の1つになるので、ハロゲン原子のモル濃度は金属銀のモル濃度に対してできるだけ低い方が好ましい。本発明においては、0≦[X]/[Metal]≦0.001がより好ましい。ハロゲンイオンを添加する場合、ハロゲン種については、メモリー性向上の観点から、各ハロゲン種モル濃度総和が[I]<[Br]<[Cl]<[F]であることが好ましい。
【0126】
《電解質》
本発明でいう「電解質」とは、一般に、水などの溶媒に溶けて溶液がイオン伝導性を示す物質(以下、「狭義の電解質」という。)をいうが、本発明の説明においては、狭義の電解質に電解質、非電解質を問わず他の金属、化合物等を含有させた混合物を電解質(「広義の電解質」)という。
【0127】
以下、電解質の構成要件について説明する。
【0128】
〔一般式(G−1)または一般式(G−2)で表される化合物〕
本発明の表示素子においては、電解質が、下記一般式(G−1)または一般式(G−2)で表される化合物の少なくとも1種を含有することが好ましい。一般式(G−1)及び(G−2)で表される化合物は、本発明の表示素子において、銀の溶解析出を生じさせるため、電解質中での銀の可溶化を促進する化合物である。
【0129】
一般に、銀の溶解析出を生じさせるためには、電解質中で銀を可溶化することが必要であり、例えば、銀と配位結合を生じさせたり、銀と弱い共有結合を生じさせるような、銀と相互作用を示す化学構造種を含む化合物が有用である。前記化学構造種として、ハロゲン原子、メルカプト基、カルボキシル基、イミノ基等が知られているが、本発明においては、チオエーテル基を含有する化合物及びメルカプトアゾール類は、銀溶剤として有用に作用しかつ、共存化合物への影響が少なく溶媒への溶解度が高い特徴がある。
【0130】
以下、一般式(G−1)、一般式(G−2)で表される化合物について説明する。
【0131】
一般式(G−1)
Rg11−S−Rg12
上記一般式(G−1)において、Rg11、Rg12は各々置換または無置換の炭化水素基を表す。また、これらの炭化水素基では、1個以上の窒素原子、酸素原子、リン原子、硫黄原子、ハロゲン原子を含んでも良く、Rg11とRg12が互いに連結し、環状構造を取っても良い。
【0132】
【化33】

【0133】
上記一般式(G−2)において、Mは水素原子、金属原子または4級アンモニウムを表す。Zは含窒素複素環を構成するのに必要な原子群表す。nは0〜5の整数を表し、Rg21は置換基を表し、nが2以上の場合、それぞれのRg21は同じであってもよく、異なってもよく、お互いに連結して縮合環を形成してもよい。
【0134】
前記一般式(G−1)において、Rg11、Rg12は各々置換または無置換の炭化水素基を表すが、炭化水素基に置換可能な基としては、例えば、アミノ基、グアニジノ基、4級アンモニウム基、ヒドロキシル基、ハロゲン化合物、カルボン酸基、カルボキシレート基、アミド基、スルフィン酸基、スルホン酸基、スルフェート基、ホスホン酸基、ホスフェート基、ニトロ基、シアノ基等を挙げることができる。
【0135】
以下、本発明に係る一般式(G−1)で表される化合物の具体例を示すが、本発明ではこれら例示する化合物にのみ限定されるものではない。
【0136】
G1−1:CH3SCH2CH2OH
G1−2:HOCH2CH2SCH2CH2OH
G1−3:HOCH2CH2SCH2CH2SCH2CH2OH
G1−4:HOCH2CH2SCH2CH2SCH2CH2SCH2CH2OH
G1−5:HOCH2CH2SCH2CH2OCH2CH2OCH2CH2SCH2CH2OH
G1−6:HOCH2CH2OCH2CH2SCH2CH2SCH2CH2OCH2CH2OH
G1−7:H3CSCH2CH2COOH
G1−8:HOOCCH2SCH2COOH
G1−9:HOOCCH2CH2SCH2CH2COOH
G1−10:HOOCCH2SCH2CH2SCH2COOH
G1−11:HOOCCH2SCH2CH2SCH2CH2SCH2CH2SCH2COOH
G1−12:HOOCCH2CH2SCH2CH2SCH2CH(OH)CH2SCH2CH2SCH2CH2COOH
G1−13:HOOCCH2CH2SCH2CH2SCH2CH(OH)CH(OH)CH2SCH2CH2SCH2CH2COOH
G1−14:H3CSCH2CH2CH2NH2
G1−15:H2NCH2CH2SCH2CH2NH2
G1−16:H2NCH2CH2SCH2CH2SCH2CH2NH2
G1−17:H3CSCH2CH2CH(NH2)COOH
G1−18:H2NCH2CH2OCH2CH2SCH2CH2SCH2CH2OCH2CH2NH2
G1−19:H2NCH2CH2SCH2CH2OCH2CH2OCH2CH2SCH2CH2NH2
G1−20:H2NCH2CH2SCH2CH2SCH2CH2SCH2CH2SCH2CH2NH2
G1−21:HOOC(NH2)CHCH2CH2SCH2CH2SCH2CH2CH(NH2)COOH
G1−22:HOOC(NH2)CHCH2SCH2CH2OCH2CH2OCH2CH2SCH2CH(NH2)COOH
G1−23:HOOC(NH2)CHCH2OCH2CH2SCH2CH2SCH2CH2OCH2CH(NH2)COOH
G1−24:H2N(O=)CCH2SCH2CH2OCH2CH2OCH2CH2SCH2C(=O)NH2
G1−25:H2N(O=)CCH2SCH2CH2SCH2C(=O)NH2
G1−26:H2NHN(O=)CCH2SCH2CH2SCH2C(=O)NHNH2
G1−27:H3C(O=)NHCH2CH2SCH2CH2SCH2CH2NHC(=O)CH3
G1−28:H2NO2SCH2CH2SCH2CH2SCH2CH2SO2NH2
G1−29:NaO3SCH2CH2CH2SCH2CH2SCH2CH2CH2SO3Na
G1−30:H3CSO2NHCH2CH2SCH2CH2SCH2CH2NHO2SCH3
G1−31:H2N(NH)CSCH2CH2SC(NH)NH2・2HBr
G1−32:H2(NH)CSCH2CH2OCH2CH2OCH2CH2SC(NH)NH2・2HCl
G1−33:H2N(NH)CNHCH2CH2SCH2CH2SCH2CH2NHC(NH)NH2・2HBr
G1−34:〔(CH33NCH2CH2SCH2CH2SCH2CH2N(CH332+・2Cl-
【0137】
【化34】

【0138】
【化35】

【0139】
上記例示した各化合物の中でも、本発明の目的効果をいかんなく発揮できる観点から、特に、例示化合物G1−2が好ましい。
【0140】
次いで、一般式(G2)で表される化合物について説明する。
【0141】
前記一般式(G2)において、Mで表される金属原子としては、例えば、Li、Na、K、Mg、Ca、Zn、Ag等が挙げられ、4級アンモニウムとしては、例えば、NH4、N(CH34、N(C494、N(CH331225、N(CH331633、N(CH33CH265等が挙げられる。
【0142】
一般式(G2)のZを構成成分とする含窒素複素環としては、例えば、テトラゾール環、トリアゾール環、イミダゾール環、オキサジアゾール環、チアジアゾール環、インドール環、オキサゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンズイミダゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾセレナゾール環、ナフトオキサゾール環等が挙げられる。
【0143】
一般式(G2)のRg21で表される置換基としては、特に制限は無いが、例えば下記の様な置換基が挙げられる。
【0144】
ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、i−プロピル、ブチル、t−ブチル、ペンチル、シクロペンチル、ヘキシル、シクロヘキシル、オクチル、ドデシル、ヒドロキシエチル、メトキシエチル、トリフルオロメチル、ベンジル等)、アリール基(例えば、フェニル、ナフチル等)、アルキルカルボンアミド基(例えば、アセチルアミノ、プロピオニルアミノ、ブチロイルアミノ等)、アリールカルボンアミド基(例えば、ベンゾイルアミノ等)、アルキルスルホンアミド基(例えば、メタンスルホニルアミノ基、エタンスルホニルアミノ基等)、アリールスルホンアミド基(例えば、ベンゼンスルホニルアミノ基、トルエンスルホニルアミノ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ等)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ、エチルチオ、ブチルチオ等)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基、トリルチオ基等)、アルキルカルバモイル基(例えばメチルカルバモイル、ジメチルカルバモイル、エチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、ジブチルカルバモイル、ピペリジルカルバモイル、モルホリルカルバモイル等)、アリールカルバモイル基(例えば、フェニルカルバモイル、メチルフェニルカルバモイル、エチルフェニルカルバモイル、ベンジルフェニルカルバモイル等)、アルキルスルファモイル基(例えば、メチルスルファモイル、ジメチルスルファモイル、エチルスルファモイル、ジエチルスルファモイル、ジブチルスルファモイル、ピペリジルスルファモイル、モルホリルスルファモイル等)、アリールスルファモイル基(例えば、フェニルスルファモイル、メチルフェニルスルファモイル、エチルフェニルスルファモイル、ベンジルフェニルスルファモイル等)、アルキルスルホニル基(例えば、メタンスルホニル基、エタンスルホニル基等)、アリールスルホニル基(例えば、フェニルスルホニル、4−クロロフェニルスルホニル、p−トルエンスルホニル等)アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、ブトキシカルボニル等)、アリールオキシカルボニル基(例えばフェノキシカルボニル等)、アルキルカルボニル基(例えば、アセチル、プロピオニル、ブチロイル等)、アリールカルボニル基(例えば、ベンゾイル基、アルキルベンゾイル基等)、アシルオキシ基(例えば、アセチルオキシ、プロピオニルオキシ、ブチロイルオキシ等)、複素環基(例えば、オキサゾール環、チアゾール環、トリアゾール環、セレナゾール環、テトラゾール環、オキサジアゾール環、チアジアゾール環、チアジン環、トリアジン環、ベンズオキサゾール環、ベンズチアゾール環、インドレニン環、ベンズセレナゾール環、ナフトチアゾール環、トリアザインドリジン環、ジアザインドリジン環、テトラアザインドリジン環基等)が挙げられる。これらの置換基はさらに置換基を有するものを含む。
【0145】
次に、一般式(G2)で表される化合物の好ましい具体例を示すが、本発明はこれらの化合物に限定されるものではない。
【0146】
【化36】

【0147】
【化37】

【0148】
上記例示した各化合物の中でも、本発明の目的効果をいかんなく発揮できる観点から、特に例示化合物G2−12、G2−18が好ましい。
【0149】
〔一般式(S1)、(S2)で表される化合物〕
また、本発明の表示素子においては、電解質が、下記一般式(S1)または(S2)で表される化合物を含有することが好ましい。
【0150】
【化38】

【0151】
上記一般式(S1)において、Lは酸素原子またはアルキレン基を表し、Rs11〜Rs14は各々水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、シクロアルキル基、アルコキシアルキル基またはアルコキシ基を表す。
【0152】
【化39】

【0153】
上記一般式(S2)において、Rs21、Rs22は各々アルキル基、アルケニル基、アリール基、シクロアルキル基、アルコキシアルキル基またはアルコキシ基を表す。
【0154】
はじめに、一般式(S1)で表される化合物の詳細について説明する。
【0155】
上記一般式(S1)において、Lは酸素原子またはアルキレン基を表し、Rs11〜Rs14は各々水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、シクロアルキル基、アルコキシアルキル基またはアルコキシ基を表し、これらの置換基は更に任意の置換基で置換されていても良い。
【0156】
アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基等、アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基等、シクロアルキル基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等、アルコキシアルキル基として、例えば、β−メトキシエチル基、γ−メトキシプロピル基等、アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基等を挙げることができる。
【0157】
以下、一般式(S1)で表される化合物の具体例を示すが、本発明ではこれら例示する化合物にのみ限定されるものではない。
【0158】
【化40】

【0159】
次いで、一般式(S2)で表される化合物の詳細について説明する。
【0160】
前記一般式(S2)において、Rs21、Rs22は各々アルキル基、アルケニル基、アリール基、シクロアルキル基、アルコキシアルキル基またはアルコキシ基を表す。
【0161】
アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基等、アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基等、シクロアルキル基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等、アルコキシアルキル基として、例えば、β−メトキシエチル基、γ−メトキシプロピル基等、アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基等を挙げることができる。
【0162】
以下、一般式(S2)で表される化合物の具体例を示すが、本発明ではこれら例示する化合物にのみ限定されるものではない。
【0163】
【化41】

【0164】
上記例示した一般式(S1)及び一般式(S2)で表される化合物の中でも、特に、例示化合物(S1−1)、(S1−2)、(S2−3)が好ましい。
【0165】
本発明に係る一般式(S1)、(S2)で表される化合物は電解質溶媒の1種であるが、本発明の表示素子においては、本発明の目的効果を損なわない範囲でさらに別の溶媒を併せて用いることができる。具体的には、テトラメチル尿素、スルホラン、ジメチルスルホキシド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、2−(N−メチル)−2−ピロリジノン、ヘキサメチルホスホルトリアミド、N−メチルプロピオンアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,Nジメチルホルムアミド、N−メチルホルムアミド、ブチロニトリル、プロピオニトリル、アセトニトリル、アセチルアセトン、4−メチル−2−ペンタノン、2−ブタノール、1−ブタノール、2−プロパノール、1−プロパノール、エタノール、メタノール、無水酢酸、酢酸エチル、プロピオン酸エチル、ジメトキシエタン、ジエトキシフラン、テトラヒドロフラン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、水等が挙げられる。これらの溶媒の内、凝固点が−20℃以下、かつ沸点が120℃以上の溶媒を少なくとも1種含むことが好ましい。
【0166】
さらに本発明で用いることのできる溶媒としては、J.A.Riddick,W.B.Bunger,T.K.Sakano,“Organic Solvents”,4th ed.,John Wiley & Sons(1986)、Y.Marcus,“Ion Solvation”,John Wiley & Sons(1985)、C.Reichardt,“Solvents and Solvent Effects in Chemistry”,2nd ed.,VCH(1988)、G.J.Janz,R.P.T.Tomkins,“Nonaqueous Electorlytes Handbook”,Vol.1,Academic Press(1972)に記載の化合物を挙げることができる。
【0167】
本発明において、電解質溶媒は単一種であっても、溶媒の混合物であってもよいが、エチレンカーボネートを含む混合溶媒が好ましい。エチレンカーボネートの添加量は、全電解質溶媒質量の10質量%以上、90質量%以下が好ましい。特に好ましい電解質溶媒は、プロピレンカーボネート/エチレンカーボネートの質量比が7/3〜3/7の混合溶媒である。プロピレンカーボネート比が7/3より大きいとイオン伝導性が劣り応答速度が低下し、3/7より小さいと低温時に電解質が析出しやすくなる。
【0168】
《白色散乱物》
本発明の表示素子においては、表示コントラスト及び白表示反射率をより高める観点から、白色散乱物を含有することが好ましく、多孔質白色散乱層を形成させて存在させてもよい。
【0169】
本発明に適用可能な多孔質白色散乱層は、電解質溶媒に実質的に溶解しない水系高分子と白色顔料との水混和物を塗布乾燥して形成することができる。
【0170】
本発明で適用可能な白色顔料としては、例えば、二酸化チタン(アナターゼ型あるいはルチル型)、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウムおよび水酸化亜鉛、水酸化マグネシウム、リン酸マグネシウム、リン酸水素マグネシウム、アルカリ土類金属塩、タルク、カオリン、ゼオライト、酸性白土、ガラス、有機化合物としてポリエチレン、ポリスチレン、アクリル樹脂、アイオノマー、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、尿素−ホルマリン樹脂、メラミン−ホルマリン樹脂、ポリアミド樹脂などが単体または複合混合で、または粒子中に屈折率を変化させるボイドを有する状態で使用されてもよい。
【0171】
本発明では、上記白色粒子の中でも、二酸化チタン、酸化亜鉛、水酸化亜鉛が好ましく用いられる。また、無機酸化物(Al23、AlO(OH)、SiO2等)で表面処理した二酸化チタン、これらの表面処理に加えて、トリメチロールエタン、トリエタノールアミン酢酸塩、トリメチルシクロシラン等の有機物処理を施した二酸化チタンを用いることができる。
【0172】
これらの白色粒子のうち、高温時の着色防止、屈折率に起因する素子の反射率の観点から、酸化チタンまたは酸化亜鉛を用いることがより好ましい。
【0173】
本発明において、電解質溶媒に実質的に溶解しない水系高分子としては、水溶性高分子、水系溶媒に分散した高分子を挙げることができる。
【0174】
水溶性化合物としては、ゼラチン、ゼラチン誘導体等の蛋白質またはセルロース誘導体、澱粉、アラビアゴム、デキストラン、プルラン、カラギーナン等の多糖類のような天然化合物や、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、アクリルアミド重合体やそれらの誘導体等の合成高分子化合物が挙げられる。ゼラチン誘導体としては、アセチル化ゼラチン、フタル化ゼラチン、ポリビニルアルコール誘導体としては、末端アルキル基変性ポリビニルアルコール、末端メルカプト基変性ポリビニルアルコール、セルロース誘導体としては、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース等が挙げられる。更に、リサーチ・ディスクロージャー及び特開昭64−13546号の(71)頁〜(75)頁に記載されたもの、また、米国特許第4,960,681号、特開昭62−245260号等に記載の高吸水性ポリマー、すなわち−COOMまたは−SO3M(Mは水素原子またはアルカリ金属)を有するビニルモノマーの単独重合体またはこのビニルモノマー同士もしくは他のビニルモノマー(例えば、メタクリル酸ナトリウム、メタクリル酸アンモニウム、アクリル酸カリウム等)との共重合体も使用される。これらのバインダーは2種以上組み合わせて用いることもできる。
【0175】
本発明においては、ゼラチン及びゼラチン誘導体、または、ポリビニルアルコールもしくはその誘導体を好ましく用いることができる。
【0176】
水系溶媒に分散した高分子としては、天然ゴムラテックス、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、ニトリルゴム、クロロプレンゴム、イソプレンゴム等のラテックス類、ポリイソシアネート系、エポキシ系、アクリル系、シリコーン系、ポリウレタン系、尿素系、フェノール系、ホルムアルデヒド系、エポキシ−ポリアミド系、メラミン系、アルキド系樹脂、ビニル系樹脂等を水系溶媒に分散した熱硬化性樹脂を挙げることができる。これらの高分子のうち、特開平10−76621号に記載の水系ポリウレタン樹脂を用いることが好ましい。
【0177】
本発明でいう電解質溶媒に実質的に溶解しないとは、−20℃から120℃の温度において、電解質溶媒1kgあたりの溶解量が0g以上、10g以下である状態と定義し、質量測定法、液体クロマトグラムやガスクロマトグラムによる成分定量法等の公知の方法により溶解量を求めることができる。
【0178】
本発明において、水系化合物と白色顔料との水混和物は、公知の分散方法に従って白色顔料が水中分散された形態が好ましい。水系化合物/白色顔料の混合比は、容積比で1〜0.01が好ましく、より好ましくは、0.3〜0.05の範囲である。
【0179】
本発明において、水系化合物と白色顔料との水混和物を塗布する媒体は、表示素子の対向電極間の構成要素上であればいずれの位置でもよいが、対向電極の少なくとも1方の電極面上に付与することが好ましい。媒体への付与の方法としては、例えば、塗布方式、液噴霧方式、気相を介する噴霧方式として、圧電素子の振動を利用して液滴を飛翔させる方式、例えば、ピエゾ方式のインクジェットヘッドや、突沸を利用したサーマルヘッドを用いて液滴を飛翔させるバブルジェット(登録商標)方式のインクジェットヘッド、また空気圧や液圧により液を噴霧するスプレー方式等が挙げられる。
【0180】
塗布方式としては、公知の塗布方式より適宜選択することができ、例えば、エアードクターコーター、ブレードコーター、ロッドコーター、ナイフコーター、スクイズコーター、含浸コーター、リバースローラーコーター、トランスファーローラーコーター、カーテンコーター、ダブルローラーコーター、スライドホッパーコーター、グラビアコーター、キスロールコーター、ビードコーター、キャストコーター、スプレイコーター、カレンダーコーター、押し出しコーター等が挙げられる。
【0181】
媒体上に付与した水系化合物と白色顔料との水混和物の乾燥は、水を蒸発できる方法であればいかなる方法であってもよい。例えば、熱源からの加熱、赤外光を用いた加熱法、電磁誘導による加熱法等が挙げられる。また、水蒸発は減圧下で行ってもよい。
【0182】
本発明でいう多孔質とは、前記水系化合物と白色顔料との水混和物を電極上に塗布乾燥して多孔質の白色散乱物を形成した後、該散乱物上に、銀または銀を化学構造中に含む化合物を含有する電解質液を与えた後に対向電極で挟み込み、対向電極間に電位差を与え、銀の溶解析出反応を生じさせることが可能で、イオン種が電極間で移動可能な貫通状態のことを言う。
【0183】
本発明の表示素子では、上記説明した水混和物を塗布乾燥中または乾燥後に、硬化剤により水系化合物の硬化反応を行うことが望ましい。
【0184】
本発明で用いられる硬膜剤の例としては、例えば、米国特許第4,678,739号の第41欄、同第4,791,042号、特開昭59−116655号、同62−245261号、同61−18942号、同61−249054号、同61−245153号、特開平4−218044号等に記載の硬膜剤が挙げられる。より具体的には、アルデヒド系硬膜剤(ホルムアルデヒド等)、アジリジン系硬膜剤、エポキシ系硬膜剤、ビニルスルホン系硬膜剤(N,N′−エチレン−ビス(ビニルスルホニルアセタミド)エタン等)、N−メチロール系硬膜剤(ジメチロール尿素等)、ほう酸、メタほう酸あるいは高分子硬膜剤(特開昭62−234157号等に記載の化合物)が挙げられる。水系化合物としてゼラチンを用いる場合は、硬膜剤の中で、ビニルスルホン型硬膜剤やクロロトリアジン型硬膜剤を単独または併用して使用することが好ましい。また、ポリビニルアルコールを用いる場合はホウ酸やメタホウ酸等の含ホウ素化合物の使用が好ましい。
【0185】
これらの硬膜剤は、水系化合物1g当たり0.001〜1g、好ましくは0.005〜0.5gが用いられる。また、膜強度を上げるため熱処理や、硬化反応時の湿度調整を行うことも可能である。
【0186】
《電子絶縁層》
本発明の表示素子においては、電気絶縁層を設けることができる。
【0187】
本発明に適用可能な電子絶縁層は、イオン電導性、電子絶縁性を合わせて有する層であればよく、例えば、極性基を有する高分子や塩をフィルム状にした固体電解質膜、電子絶縁性の高い多孔質膜とその空隙に電解質を担持する擬固体電解質膜、空隙を有する高分子多孔質膜、含ケイ素化合物の様な比誘電率が低い無機材料の多孔質体、等が挙げられる。
【0188】
多孔質膜の形成方法としては、燒結法(融着法)(高分子微粒子や無機粒子をバインダ等に添加して部分的に融着させ粒子間に生じた孔を利用する)、抽出法(溶剤に可溶な有機物又は無機物類と溶剤に溶解しないバインダ等で構成層を形成した後に、溶剤で有機物又は無機物類を溶解させ細孔を得る)、高分子重合体等を加熱や脱気するなどして発泡させる発泡法、良溶媒と貧溶媒を操作して高分子類の混合物を相分離させる相転換法、各種放射線を輻射して細孔を形成させる放射線照射法等の公知の形成方法を用いることができる。具体的には、特開平10−30181号、特開2003−107626号、特公平7−95403号、特許第2635715号、同第2849523号、同第2987474号、同第3066426号、同第3464513号、同第3483644号、同第3535942号、同第3062203号等に記載の電子絶縁層を挙げることができる。
【0189】
《電解質添加の増粘剤》
本発明の表示素子においては、電解質に増粘剤を使用することができ、例えば、ゼラチン、アラビアゴム、ポリ(ビニルアルコール)、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(アルキレングリコール)、カゼイン、デンプン、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メチルメタクリル酸)、ポリ(塩化ビニル)、ポリ(メタクリル酸)、コポリ(スチレン−無水マレイン酸)、コポリ(スチレン−アクリロニトリル)、コポリ(スチレン−ブタジエン)、ポリ(ビニルアセタール)類(例えば、ポリ(ビニルホルマール)及びポリ(ビニルブチラール))、ポリ(エステル)類、ポリ(ウレタン)類、フェノキシ樹脂、ポリ(塩化ビニリデン)、ポリ(エポキシド)類、ポリ(カーボネート)類、ポリ(ビニルアセテート)、セルロースエステル類、ポリ(アミド)類、疎水性透明バインダとして、ポリビニルブチラール、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアクリル酸、ポリウレタン等が挙げられる。
【0190】
これらの増粘剤は2種以上を併用して用いてもよい。また、特開昭64−13546号公報の71〜75頁に記載の化合物を挙げることができる。これらの中で好ましく用いられる化合物は、各種添加剤との相溶性と白色粒子の分散安定性向上の観点から、ポリビニルアルコール類、ポリビニルピロリドン類、ヒドロキシプロピルセルロース類、ポリアルキレングリコール類である。
【0191】
《その他の添加剤》
本発明の表示素子の構成層には、保護層、フィルター層、ハレーション防止層、クロスオーバー光カット層、バッキング層等の補助層を挙げることができ、これらの補助層中には、各種の化学増感剤、貴金属増感剤、感光色素、強色増感剤、カプラー、高沸点溶剤、カブリ防止剤、安定剤、現像抑制剤、漂白促進剤、定着促進剤、混色防止剤、ホルマリンスカベンジャー、色調剤、硬膜剤、界面活性剤、増粘剤、可塑剤、スベリ剤、紫外線吸収剤、イラジエーション防止染料、フィルター光吸収染料、防ばい剤、ポリマーラテックス、重金属、帯電防止剤、マット剤等を、必要に応じて含有させることができる。
【0192】
上述したこれらの添加剤は、より詳しくは、リサーチ・ディスクロージャー(以下、RDと略す)第176巻Item/17643(1978年12月)、同184巻Item/18431(1979年8月)、同187巻Item/18716(1979年11月)及び同308巻Item/308119(1989年12月)に記載されている。
【0193】
これら三つのリサーチ・ディスクロージャーに示されている化合物種類と記載箇所を以下に掲載した。
【0194】
添加剤 RD17643 RD18716 RD308119
頁 分類 頁 分類 頁 分類
化学増感剤 23 III 648右上 96 III
増感色素 23 IV 648〜649 996〜8 IV
減感色素 23 IV 998 IV
染料 25〜26 VIII 649〜650 1003 VIII
現像促進剤 29 XXI 648右上
カブリ抑制剤・安定剤
24 IV 649右上 1006〜7 VI
増白剤 24 V 998 V
硬膜剤 26 X 651左 1004〜5 X
界面活性剤 26〜7 XI 650右 1005〜6 XI
帯電防止剤 27 XII 650右 1006〜7 XIII
可塑剤 27 XII 650右 1006 XII
スベリ剤 27 XII
マット剤 28 XVI 650右 1008〜9 XVI
バインダー 26 XXII 1003〜4 IX
支持体 28 XVII 1009 XVII
《基板》
本発明で用いることのできる基板としては、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン類、ポリカーボネート類、セルロースアセテート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンジナフタレンジカルボキシラート、ポリエチレンナフタレート類、ポリ塩化ビニル、ポリイミド、ポリビニルアセタール類、ポリスチレン等の合成プラスチックフィルムも好ましく使用できる。また、シンジオタクチック構造ポリスチレン類も好ましい。これらは、例えば、特開昭62−117708号、特開平1−46912、同1−178505号の各公報に記載されている方法により得ることができる。更に、ステンレス等の金属製基盤や、バライタ紙、及びレジンコート紙等の紙支持体ならびに上記プラスチックフィルムに反射層を設けた支持体、特開昭62−253195号(29〜31頁)に支持体として記載されたものが挙げられる。RDNo.17643の28頁、同No.18716の647頁右欄から648頁左欄及び同No.307105の879頁に記載されたものも好ましく使用できる。これらの支持体には、米国特許第4,141,735号のようにTg以下の熱処理を施すことで、巻き癖をつきにくくしたものを用いることができる。また、これらの支持体表面を支持体と他の構成層との接着の向上を目的に表面処理を行っても良い。本発明では、グロー放電処理、紫外線照射処理、コロナ処理、火炎処理を表面処理として用いることができる。更に公知技術第5号(1991年3月22日アズテック有限会社発行)の44〜149頁に記載の支持体を用いることもできる。更にRDNo.308119の1009頁やプロダクト・ライセシング・インデックス、第92巻P108の「Supports」の項に記載されているものが挙げられる。その他に、ガラス基板や、ガラスを練りこんだエポキシ樹脂を用いることができる。
【0195】
《表示素子のその他の構成要素》
本発明の表示素子には、必要に応じて、シール剤、柱状構造物、スペーサー粒子を用いることができる。
【0196】
シール剤は外に漏れないように封入するためのものであり封止剤とも呼ばれ、エポキシ樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、エン−チオール系樹脂、シリコン系樹脂、変性ポリマー樹脂等の、熱硬化型、光硬化型、湿気硬化型、嫌気硬化型等の硬化タイプを用いることができる。
【0197】
柱状構造物は、基板間の強い自己保持性(強度)を付与し、例えば、格子配列等の所定のパターンに一定の間隔で配列された、円柱状体、四角柱状体、楕円柱状体、台形柱状体等の柱状構造物を挙げることができる。また、所定間隔で配置されたストライプ状のものでもよい。この柱状構造物はランダムな配列ではなく、等間隔な配列、間隔が徐々に変化する配列、所定の配置パターンが一定の周期で繰り返される配列等、基板の間隔を適切に保持でき、且つ、画像表示を妨げないように考慮された配列であることが好ましい。柱状構造物は表示素子の表示領域に占める面積の割合が1〜40%であれば、表示素子として実用上十分な強度が得られる。
【0198】
一対の基板間には、該基板間のギャップを均一に保持するためのスペーサーが設けられていてもよい。このスペーサーとしては、樹脂製または無機酸化物製の球体を例示できる。また、表面に熱可塑性の樹脂がコーティングしてある固着スペーサーも好適に用いられる。基板間のギャップを均一に保持するために柱状構造物のみを設けてもよいが、スペーサー及び柱状構造物をいずれも設けてもよいし、柱状構造物に代えて、スペーサーのみをスペース保持部材として使用してもよい。スペーサーの直径は柱状構造物を形成する場合はその高さ以下、好ましくは当該高さに等しい。柱状構造物を形成しない場合はスペーサーの直径がセルギャップの厚みに相当する。
【0199】
《表示素子駆動方法》
本発明の表示素子の透明状態及び着色状態の制御方法は、一般式(L)で表される化合物の酸化還元電位や銀イオンの析出過電圧を基に決められることが好ましい。
【0200】
例えば、一般式(L)で表される化合物と銀化合物を対向電極間に有する表示素子の場合、酸化側で黒以外の着色状態を示し、還元側で黒色状態を示す。この場合の制御方法の一例としては、一般式(L)で表される化合物の酸化還元電位より貴な電圧を印加することで一般式(L)で表される化合物を酸化し黒以外の着色状態を示し、一般式(L)で表される化合物の酸化還元電位と銀化合物の析出過電圧の間の電圧を印加することで一般式(L)で表される化合物を還元し白色状態に戻し、銀化合物の析出過電圧より卑な電圧を印加することで銀を電極上に析出させ黒色状態を示し、析出した銀の酸化電位と一般式(L)で表される化合物の酸化還元電位の間の電圧を印加することで析出した銀を溶解して消色する方法が挙げられる。
【0201】
本発明の表示素子の駆動操作は、単純マトリックス駆動であっても、アクティブマトリック駆動であってもよい。本発明でいう単純マトリックス駆動とは、複数の正極を含む正極ラインと複数の負極を含む負極ラインとが対向する形で互いのラインが垂直方向に交差した回路に、順次電流を印加する駆動方法のことを言う。単純マトリックス駆動を用いることにより、回路構成や駆動ICを簡略化でき安価に製造できるメリットがある。アクティブマトリックス駆動は、走査線、データライン、電流供給ラインが碁盤目状に形成され、各碁盤目に設けられたTFT回路により駆動させる方式である。画素毎にスイッチングが行えるので、階調やメモリー機能などのメリットがあり、例えば、特開2004−29327号の図5に記載されている回路を用いることができる。
【0202】
《商品適用》
本発明の表示素子は、電子書籍分野、IDカード関連分野、公共関連分野、交通関連分野、放送関連分野、決済関連分野、流通物流関連分野等の用いることができる。具体的には、ドア用のキー、学生証、社員証、各種会員カード、コンビニストアー用カード、デパート用カード、自動販売機用カード、ガソリンステーション用カード、地下鉄や鉄道用のカード、バスカード、キャッシュカード、クレジットカード、ハイウェーカード、運転免許証、病院の診察カード、電子カルテ、健康保険証、住民基本台帳、パスポート、電子ブック等が挙げられる。
【実施例】
【0203】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」あるいは「質量%」を表す。
【0204】
実施例1
《表示素子の作製》
〔表示電極(表示側電極)の作製〕
(多孔質TiO2電極1の作製)
チタニウムテトライソプロポキシド6.41gをエタノール20mlで希釈し、攪拌しながら比重1.38の硝酸を0.514g、水を0.2ml加えた。以上の混合操作は乾燥窒素雰囲気下で行った。この混合液を80℃に昇温し、乾燥窒素気流下で2時間還元して、無色透明のゾル液を得た。このゾル液を室温まで冷却した後、攪拌しながらゾル液2gに対してポリアクリル酸0.1gを溶解した。得られたゾル液に更に水2mlを加えて無色透明で均一なゾル液を得た。このゾル液をガラス容器に密閉して80℃に昇温した。ゾル液は5分ほどでゲル化し、ほぼ透明で均一なゲルとなった。80℃でさらに15時間保持するとゲルは再び溶解して白っぽい半透明のゾル液となった。
【0205】
このゾル液を、スピンコート法によりITOガラス基板上に塗布し、450℃に昇温して20分保持して焼成した。この塗布及び焼成の工程を繰り返し、膜厚3.5μmの多孔質TiO2膜からなる多孔質TiO2電極1を作製した。
【0206】
(表示電極1の作製)
上記多孔質TiO2電極1を、0.02mol/mlのビス−(2−ホスホノエチル)−4,4′−ビピリジニウムジブロミド(以下、EC−1と称す。)のアセトニトリル/エタノール混合溶媒(1/1)に浸漬して色素吸着処理を行い、室温で乾燥し、ビオローゲンの結合した表示電極1を作製した。
【0207】
(表示電極2、3の作製)
上記表示電極1の作製において、エレクトロクロミック色素としてEC−1に代えて、例示化合物L−116、L−119を用いた以外は同様にして、表示電極2、3を作製した。
【0208】
(表示電極4の作製)
上記多孔質TiO2電極を用いて、図1に記載の超臨界流体反応容器を用いて、下記の二酸化炭素超臨界条件下で、エレクトロクロミック色素EC−1を吸着させて、表示電極4を作製した。
【0209】
図1に記載の超臨界流体反応容器を用い、超臨界炭酸ガスの圧力反応容器7内に、上記作製した多孔質TiO2電極1(11)を設置した。次に、反応液リザーバー13にEC−1色素溶液(1.5×10-3モル/dm3、溶媒:メタノール)を2cm3入れた。コック2、3、14を閉め、コック1を開け、アスピレーター6を運転し、圧力反応容器7内を減圧にした。減圧になった時点で、コック1を閉じ、コック14、2を開け、サイフォン式液化炭酸ガスボンベ4より液化炭酸ガスを圧力反応容器7内に導入し、圧力反応容器7内の液化炭酸ガスの質量が、100gになった時点でコック2、14を閉めた(ただし、圧力反応容器7内容量は333mlである)。撹拌装置9を運転し、圧力反応容器7をヒーター15を用いて加熱し、圧力反応容器7内の温度が35℃になった時点で、コック3を開け、EC−1色素溶液を導入した。導入後、徐々に温度を40℃まで上げ、1時間放置した(この時点での圧力は約8Mpaで、圧力反応容器内は超臨界状態にあった)。放冷した後、圧力を開放し、電極を取り出し、表示電極4を得た。
【0210】
(表示電極5〜10の作製)
上記表示電極4の作製において、エレクトロクロミック色素EC−1を、表1に記載の各EC色素に変更した以外は同様にして、表示電極5〜10を作製した。
【0211】
表1に、各表示電極の作製に用いたEC色素の種類と、EC色素の多孔質TiO2電極への吸着方法を示す。
【0212】
【表1】

【0213】
〔対向電極(非表示側電極)の作製〕
(対向電極1の作製)
厚さ1.5mmで2cm×4cmのガラス基板上に、公知の方法を用いて、電極厚みが0.1μm、ピッチが145μm、電極間隔が130μmのニッケル電極を形成し、得られた電極をさらに置換金メッキ浴に浸漬し、電極表面から深さ0.05μmが金で置換された金−ニッケル電極(対向電極1)を得た。
【0214】
(対向電極2の作製)
上記作製した対向電極1上に、厚さ5μmの二酸化チタン(平均粒子径17nmの粒子が4〜10個程度ネッキング済み)膜を形成した。得られた電極を0.02mol/mlのN−オキシル誘導体として例示化合物M3−17のアセトニトリル/エタノール混合溶媒(1/1)に浸漬して吸着処理を行った後、室温で乾燥し、N−オキシル誘導体である例示化合物M3−17が結合した対向電極2を作製した。
【0215】
〔電解液の調製〕
(電解液1の調製)
ジメチルスルホキシド(DMSO)2.5g中に、テトラブチルアンモニウムパークロレート0.025gを溶解させて、電解液1を得た。
【0216】
(電解液2の調製)
例示化合物(S1−4)の2.5g中に、テトラフルオロホウ酸スピロ−(1,1′)−ビピロリジニウム0.025gを溶解させて、電解液2を得た。
【0217】
(電解液3の調製)
例示化合物(S1−4)の2.5g中に、テトラフルオロホウ酸スピロ−(1,1′)−ビピロリジニウム0.025g及びN−オキシル誘導体として例示化合物M2−1の0.05g溶解させて、電解液3を得た。
【0218】
(電解液4、5の調製)
上記電解液3の調製において、N−オキシル誘導体として例示化合物M2−1に代えてを、各々例示化合物M2−14、例示化合物M2−26を用いた以外は同様にして、電解液4、5を調製した。
【0219】
(電解液6、7の調整)
上記電解液5の調製において、N−オキシル誘導体として例示化合物M3−14、例示化合物M3−15を0.1gを、それぞれ追加した以外は同様にして、電解液6、7を調製した。
【0220】
〔表示素子1−1の作製〕
周辺部を、平均粒径が40μmのガラス製球形ビーズ状スペーサーを体積分率として10%含むオレフィン系封止剤で縁取りした対向電極1の上に、ポリビニルアルコール(平均重合度3500、けん化度87%)2質量%を含むイソプロパノール溶液中に、石原産業社製の二酸化チタンCR−90を20質量%相当添加し、超音波分散機で分散させて混和液を、乾燥後の膜厚が20μmになるように塗布し、その後15℃で30分間乾燥して溶媒を蒸発させた後、45℃の雰囲気中で1時間乾燥させた。得られた二酸化チタン層上に平均粒径が20μmのガラス製球形ビーズ状スペーサーを散布した後に、対向電極1と表示電極1を貼り合わせ、加熱押圧して空セルを作製した。該空セルに電解液1を真空注入し、注入口をエポキシ系の紫外線硬化樹脂にて封止し、表示素子1−1を作製した。
【0221】
〔表示素子1−2〜表示素子1−20の作製〕
上記表示素子1−1の作製において、表示電極の種類、対向電極の種類及び電解液の種類を、表2に記載の様に変更した以外は同様にして、表示素子1−2〜表示素子1−20を作製した。
【0222】
【表2】

【0223】
《表示素子の評価》
〔表示素子1−1及び1−4の評価:評価1〕
(繰返し駆動させたときの反射率安定性の評価)
定電圧電源の両端子に作製した表示素子の両電極を接続し、+1.5Vの電圧を1.5秒間印加した後に−1.5Vの電圧を2秒間印加して着色表示させたときの可視光領域の極大吸収波長での反射率をコニカミノルタセンシング社製の分光測色計CM−3700dで測定した。同様な駆動条件で合計10回駆動させ、得られた反射率の平均値をRave3とした。さらに1万回繰返し駆動させた後に同様な方法でRave4を求めた。RCOLOR2=|Rave3−Rave4|とし、RCOLOR2を繰返し駆動させたときの反射率の安定性の指標とした。ここでは、RCOLOR2の値が小さいほど、繰返し駆動させたときの反射率の安定性に優れることを表す。
【0224】
〔表示素子1−2、1−3及び表示素子1−5〜1−20の評価:評価2〕
(繰返し駆動させたときの反射率安定性の評価)
−1.5Vの電圧を1.5秒間印加した後に+1.5Vの電圧を1秒間印加して着色表示させた以外は、評価1と同様にして、表示素子1−2、1−3及び表示素子1−5〜1−20を評価した。
【0225】
以上により得られた各表示素子の評価結果を、表3に示す。
【0226】
【表3】

【0227】
表3に記載の結果より明らかな様に、本発明の構成を満たす表示素子は、比較例に対し、繰返し駆動させたときの反射率の安定性が改善されているのが分かる。
【0228】
また、駆動電圧を±1.5Vから±1.0Vに変更して繰り返し駆動させて、着色及び消色状態を目視で観察した結果、表示素子1−1〜1−3では充分なコントラスト変化が認められなかったが、本発明の表示素子1−4〜1−20では充分なコントラストの変化が認められた。特に、表示素子1−11〜1−20は、1秒以内の短時間で充分なコントラストの変化が認められた。
【0229】
実施例2
〔表示電極〕
実施例1で作製した表示電極3、6、7、8、9、10を使用した。
【0230】
〔対向電極〕
、実施例1で作製した対向電極1、2を使用した。
【0231】
〔電解液の調製〕
(電解液8の調製)
例示化合物(S1−4)の2.5g中に、p−トルエンスルフォン酸銀0.1gと、例示化合物(G2−12)を0.2gと、テトラフルオロホウ酸スピロ−(1,1′)−ビピロリジニウム0.025gを溶解させて、電解液8を得た。
【0232】
(電解液9の調製)
上記電解液8に、例示化合物(M3−14)0.1gを添加し、電解液9を得た。
【0233】
(電解液10の調製)
上記電解液8に、例示化合物(M2−26)0.05gを添加し、電解液10を得た。
【0234】
(電解液11の調製)
ジメチルスルホキシド2.5g中に、塩化ビスマス0.1gと臭化リチウム0.1gとと例示化合物(M3−14)0.1gとテトラブチルアンモニウムパークロレート0.025gを溶解させて、電解液11を得た。
【0235】
〔表示素子の作製〕
(表示素子2−1の作製)
周辺部を、平均粒径が40μmのガラス製球形ビーズ状スペーサーを体積分率として10%含むオレフィン系封止剤で縁取りした対向電極1の上に、ポリビニルアルコール(平均重合度3500、けん化度87%)2質量%を含むイソプロパノール溶液中に、石原産業社製の二酸化チタンCR−90を20質量%添加し、超音波分散機で分散させた混和液を、乾燥後の膜厚が20μmになるように塗布し、その後15℃で30分間乾燥して溶媒を蒸発させた後、45℃の雰囲気中で1時間乾燥させた。得られた二酸化チタン層上に平均粒径が20μmのガラス製球形ビーズ状スペーサーを散布した後に、対向電極1と表示電極3を貼り合わせ、加熱押圧して空セルを作製した。該空セルに電解液8を真空注入し、注入口をエポキシ系の紫外線硬化樹脂にて封止し、表示素子2−1を作製した。
【0236】
(表示素子2−2〜2−11の作製)
上記表示素子2−1の作製において、表示電極の種類、対向電極の種類及び電解液の種類を表4に示すように変更した以外は同様にして、表示素子2−2〜2−11を作製した。
【0237】
《表示素子の評価》
〔繰返し駆動させたときの反射率安定性の評価〕
定電圧電源の両端子に作製した表示素子の両電極を接続し、−1.5Vの電圧を1.5秒間印加してグレー表示させたときの波長550nmと+1.5Vの電圧を1.5秒間印加して着色表示させたときの可視光領域の極大吸収波長での反射率をコニカミノルタセンシング社製の分光測色計CM−3700dで測定した。同様な駆動条件で合計10回駆動させ、得られたグレーの反射率と着色状態の反射率の平均値を別々に算出し、それぞれRave5、Rave6とした。さらに1万回繰返し駆動させた後に同様な方法でRave7、Rave8を求めた。RBK3=|Rave5Rave7|、RCOLOR3=|Rave6Rave8|とし、RBK3とRCOLOR3を繰返し駆動させたときの反射率の安定性の指標とした。ここでは、RBK3とRCOLOR3の値が小さいほど、繰返し駆動させたときの反射率安定性に優れることを表す。
【0238】
以上により得られた各表示素子の評価結果を、表4に示す。
【0239】
【表4】

【0240】
表4に記載の結果より明らかな様に、本発明の構成を満たす表示素子は、比較例に対し、繰返し駆動させたときの反射率の安定性が改善されているのが分かる。
【図面の簡単な説明】
【0241】
【図1】本発明に係る半導体ナノ多孔質透明電極の作製で、EC色素の吸着工程に用いる超臨界流体反応容器の一例を示す概略図である。
【符号の説明】
【0242】
1、2、3、14 コック
4 サイフォン式液化炭酸ガスボンベ
5 温度センサー
6 アスピレーター
7 圧力反応容器
8 観察窓
9 攪拌装置
10 網
11 多孔質TiO2電極
12 圧力ゲージ
13 反応リザーバー
15 ヒーター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向電極間に電解質、エレクトロクロミック色素及び白色散乱物を含有し、該対向電極の駆動操作により白表示及び着色表示をする表示素子において、表示部側の電極が、超臨界流体中でエレクトロクロミック色素を吸着させた半導体ナノ多孔質透明電極であることを特徴とする表示素子。
【請求項2】
前記エレクトロクロミック色素が、酸化により着色状態となることを特徴とする請求項1に記載の表示素子。
【請求項3】
前記エレクトロクロミック色素が、アゾール系色素であることを特徴とする請求項1または2に記載の表示素子。
【請求項4】
前記エレクトロクロミック色素が、下記一般式(L)で表される化合物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の表示素子。
【化1】

〔式中、Rl1は置換もしくは無置換のアリール基を表し、Rl2、Rl3は各々水素原子または置換基を表す。Xは>N−Rl4、酸素原子または硫黄原子を表し、Rl4は水素原子または置換基を表す。〕
【請求項5】
対向電極間に更に金属塩化合物を含有し、該対向電極の駆動操作により実質的に黒表示、白表示及び黒以外の着色表示の3色以上の多色表示を行うことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の表示素子。
【請求項6】
対向電極間に、更にN−オキシル誘導体を含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の表示素子。
【請求項7】
前記N−オキシル誘導体が、下記一般式(M1)で表される化合物であることを特徴とする請求項6に記載の表示素子。
【化2】

〔式中、Rm11及びRm12は各々独立に置換基を有しても良い脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、複素環基、若しくは>C=O、>C=Sまたは>C=N−Rm13を介して窒素原子と結合する基を表す。Rm13は、水素原子、置換基を有しても良い脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基または複素環基を表す。また、Rm11及びRm12は互いに連結して、環状構造を形成しても良い。〕

【図1】
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【公開番号】特開2009−186730(P2009−186730A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−26262(P2008−26262)
【出願日】平成20年2月6日(2008.2.6)
【出願人】(000001270)コニカミノルタホールディングス株式会社 (4,463)
【Fターム(参考)】