説明

表示装置、センサ装置、表示画面の表示方法、および表示画面の表示プログラム

【課題】ベース画像と指針画像からなる表示用画像データの更新を、より高速に行うことができる表示装置を実現する。
【解決手段】CPU11は、前回の描画フレームでの指針角度を記憶しており、当該記憶した指針角度に基づいて、前回の描画フレームでの指針領域を含む長方形の領域に対応する部分的なベース画像データを抽出する。CPU11は、当該部分的なベース画像データをROM12のベース画像記録領域121から読み出し、描画用メモリ13の該当する領域にのみ上書きする。次に、CPU11はセンサ値に基づいて指針角度を算出する。CPU11は、当該指針角度に応じた指針画像データを、ROM12の指針画像記録領域122から読み出し、描画用メモリ13の更新されたベース画像データに上書きする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、指針と文字盤とから構成されるアナログ指針型の表示画面を有する表示装置および当該表示画面の表示方法、表示プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、指針と文字盤とを備える表示装置が各種分野で多く利用されている。このような表示装置として、指針を機械式で駆動させる機構が主流であった。しかしながら、昨今の表示装置の電子化に伴い、特許文献1〜特許文献3に示すように、液晶パネル上に、文字盤画像と指針画像とを合成して表示する表示装置が、各種考案されている。
【0003】
これら従来の表示装置は、文字盤を表示するベース画像をROMから読み出して描画用メモリに書き込み、センサ値に基づいてROMから指針画像を読み出して描画用メモリに書き込むことで、フレーム毎に表示用画像データを形成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−103473号公報
【特許文献2】特開2003−137007号公報
【特許文献3】特開2007−178179号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の各表示装置のように、フレーム毎にベース画像と指針画像とを全面で逐次更新処理する方法では、表示用画像データの更新を高速に行うことが容易ではない。
【0006】
この発明の目的は、ベース画像と指針画像からなる表示用画像データの更新を、より高速に行うことができる表示装置および表示画面の表示方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、アナログ型の指針表示を行う表示装置に関するものである。この表示装置は、複数の表示画素が配列された表示部と、複数の表示画素に与えられる各画素データが記憶された描画用メモリと、フレーム毎にベース画像データと指針画像データとを順に描画用メモリへ書き込み画素データを描画用メモリへ記憶させる制御部と、を備える。制御部は、前回フレームの指針を示す前回指針領域を基準として、該前回指針領域を含むベース画像データの部分的領域を、今回フレームのベース画像データとして書き込む。
【0008】
この構成では、今回フレームのベース画像データ全体を上書きするのではなく、前回フレームの指針領域に基づいて部分的に上書きする。これにより、今回フレームのベース画像データの書き込み処理負荷が軽減されるとともに、書き込み速度が向上する。
【0009】
また、この発明の表示装置の制御部は、前回指針領域を含む長方形の領域と同じベース画像データの領域を、今回フレームのベース画像データとして書き込む。
【0010】
また、この発明の表示装置の制御部は、前回指針領域と同じベース画像データの領域を、今回フレームのベース画像データとして書き込む。
【0011】
これらの構成では、上述の前回指針領域を含むベース画像データの上書き処理の具体的例を示す。そして、前回指針領域を含む長方形の領域で設定することにより、描画用メモリへの書き込みアドレスの設定が複雑にならない。また、前回指針領域のみで設定することにより、書き込みデータ量が低減する。
【0012】
また、この発明の表示装置は、複数の表示画素が配列された表示部と、複数の表示画素に与えられる各画素データが記憶された描画用メモリと、フレーム毎にベース画像データと指針画像データとを順に描画用メモリへ書き込み画素データを描画用メモリへ記憶させる制御部と、を備える。この際、制御部は、前回フレームの指針を示す前回指針領域と今回フレームの指針を示す今回指針領域とからなる比較対象領域における前回指針領域の今回指針領域に重ならない非重複領域と同じベース画像データの領域を、今回フレームのベース画像データとして書き込む。
【0013】
この構成では、前回指針領域における今回指針領域は上書き対象にならず、前回指針領域における今回指針領域とは重複しない領域のみにベース画像データが上書きされる。この場合、前回指針領域における今回指針領域はベース画像データが上書きされず、前回フレームの指針画像データが残る。しかしながら、当該領域は、今回フレームにおいて指針画像データが上書きされるので、視覚上、特に大きな影響を与えるものではない。そして、この処理を行えば、更新するベース画像データの領域がより狭くなり、書込データ量がさらに低減される。
【0014】
また、この発明の表示装置は、ベース画像データおよび指針画像データが予め記憶されたROMを備える。そして、制御部は、ベース画像データおよび指針画像データをフレーム毎に、ROMから読み出して、描画用メモリへ書き込む。
【0015】
この構成では、上述の制御部によるベース画像データおよび指針画像データのデータ処理を、より具体的に示している。
【0016】
また、この発明はセンサ装置に関するものである。このセンサ装置は、上述の表示装置を備えるとともに、所定の物理量を検出して、センサ値を出力するセンサを備える。そして、制御部は、センサ値に基づいて指針画像データを決定する。
【0017】
この構成では、上述の表示装置を備えるセンサ装置について示している。上述の表示装置を備えることで、センサから出力されるセンサ値に対する指針の応答を早くすることが可能になる。これにより、視認性の良くユーザにとって計測しやすいセンサ装置を実現することができる。
【0018】
また、この発明は、表示画面の表示方法および表示プログラムに関するものである。この表示画面の表示方法および表示プログラムでは、前回フレームの指針を示す前回指針領域を基準として、該前回指針領域を含むベース画像データの部分的領域を、今回フレームのベース画像データとして書き込む。この表示画面の表示方法および表示プログラムでは、ベース画像データに今回フレームの指針画像データを上書きする。この表示画面の表示方法および表示プログラムでは、ベース画像データと指針画像データとからなる今回フレームの各画素データを、表示部に配設された各表示画素へ与える。
【0019】
この方法および処理では、今回フレームのベース画像データ全体を上書きするのではなく、前回フレームの指針領域に基づいて部分的に上書きする。これにより、今回フレームのベース画像データの書き込み処理負荷が軽減されるとともに、書き込み速度が向上する。具体的には、上述のように、前回指針領域を含む長方形の領域でベース画像データの更新領域を設定したり、前回指針領域のみでベース画像データの更新領域を設定する。さらには、前回フレームの指針を示す前回指針領域と今回フレームの指針を示す今回指針領域とからなる比較対象領域における前回指針領域の今回指針領域に重ならない非重複領域でベース画像データの更新領域を設定する。
【発明の効果】
【0020】
この発明によれば、表示画像データの更新の際に、今回フレームのベース画像データの書き込み処理負荷を軽減させることができる。これにより、書き込み速度を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】第1の実施形態の表示装置を含むセンサ装置の主要構成を示すブロック図である。
【図2】第1の実施形態におけるCPU11による描画用メモリ13への書き込み処理を示すフローチャートである。
【図3】第1の実施形態におけるCPU11による描画用メモリ13への書き込み処理の概念を説明するための図である。
【図4】第2の実施形態におけるCPU11による描画用メモリ13への更新書き込み処理を示すフローチャートである。
【図5】第2の実施形態におけるCPU11による描画用メモリ13への更新書き込み処理の概念を説明するための図である。
【図6】第3の実施形態におけるCPU11による描画用メモリ13への更新書き込み処理を示すフローチャートである。
【図7】第3の実施形態におけるCPU11による描画用メモリ13への更新書き込み処理の概念を説明するための図である。
【図8】第4の実施形態におけるCPU11による描画用メモリ13への更新書き込み処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の第1の実施形態に係る表示装置を含むセンサ装置について、図を参照して説明する。図1は、本実施形態の表示装置10を含むセンサ装置1の主要構成を示すブロック図である。
【0023】
本実施形態の表示装置10は、本発明の「制御部」に相当するCPU11、ROM12、描画用メモリ13、表示用ドライバIC14、本発明の「表示部」に相当するLCD(液晶表示パネル)15を備える。この表示装置10のCPU11には、センサ20が接続されており、当該表示装置10とセンサ20とによりセンサ装置1が構成される。
【0024】
センサ20は、例えば風向計であり、所定の基準方向に対する風上方向の角度を、センサ値として出力する。なお、ここで前記所定の基準方向とは例えば船首方向である。
【0025】
表示装置1のROM12は、ベース画像記録領域121と指針画像記録領域122とを備える。ベース画像記録領域121には、LCD15の表示画面上に表示させる文字盤等の固定画像からなるベース画像データが、予め記録されている。より具体的には、ベース画像記録領域121に記録されているベース画像データは、LCD15の表示画素単位に対応して設定されている個別の画素データ群からなる。これらの個別の画素データ群は、LCD15の表示画素の二次元配列に対応するように、二次元的に描画用メモリ13用のアドレス設定がされている。
【0026】
また、ベース画像データは、センサ値が変化しても不変であるので、ベース画像記録領域121には、一種類のベース画像データのみが記録されている。なお、ベース画像データ記録領域121に記録されるベース画像データは複数種類であってもよい。このような複数種類のベース画像データを用いる場合には、指定したベース画像データをCPU11で読み出すようにすればよい。
【0027】
ROM12の指針画像記録領域122には、LCD15の表示画面上に表示させる指針画像データが、予め記録されている。より具体的には、指針画像記録領域122には、予め設定した指針の角度毎に、指針画像データが記録されている。これら角度毎の指針画像データも、上述のベース画像データと同様に、LCD15の表示画素単位に対応して設定されている個別の画素データ群からなる。そして、これら角度毎の指針画像データをそれぞれに構成する個別の画素データは、LCD15の表示画素の二次元配列に対応するように、二次元的に描画用メモリ13用のアドレス設定がされている。
【0028】
表示装置1のCPU11は、後述する描画用メモリ13への描画フレーム単位でのベース画像データおよび指針画像データの書き込みを実行する機能部であり、図示しないプログラムROMに記憶された描画用書き込みプログラムを実行することで、当該機能を実現している。
【0029】
CPU11はベース画像記録領域121からベース画像データを読み出すとともに、指針画像記録領域122から指針画像データを読み出す。CPU11は、センサ20から順次入力されるセンサ値に基づいて指針画像データを選択して読み出す。より具体的には、センサ値毎に各指針角度の指針画像データが関連付けされており、CPU11は、センサ値が入力されると、センサ値に対応した指針角度を算出し、当該指針角度に基づいて指針画像記録領域122から指針画像データを読み出す。
【0030】
CPU11は、予め所定の時間間隔で設定された描画フレーム(本発明の「フレーム」に相当する。)毎に、読み出したベース画像データと指針画像データとを、順に描画用メモリ13へ書き込む。
【0031】
描画用メモリ13は、少なくともLCD15の表示画素数と同じ数の画素データを記憶可能な容量を備える。描画用メモリ13は、CPU11から書き込まれたベース画像データと指針画像データとの合成画像からなる表示用画像データを記憶する。描画用メモリ13に記憶される表示用画像データは、描画フレーム毎に更新される。
【0032】
なお、CPU11による描画用メモリ13への書き込みの更新処理については、図2、図3を用いて、詳細を後述する。
【0033】
表示用ドライバIC14は、所定の表示更新用タイミング毎に、描画用メモリ13に記憶された表示用画像データを読み出す。表示用ドライバIC14は、読み出した表示用画像データに基づいて、LCD15を駆動する。LCD15は、図示しないが液晶パネル、駆動回路、バックライトを備える。液晶パネルは、長方形状の表示領域や正方形状の表示領域となるように、直交する2軸に沿って2次元的に配列されたドットマトリクスの表示画素により構成される。各表示画素には、駆動回路を介して表示用ドライバIC14から与えられた表示用画像データの各画素データに基づく駆動信号が与えられ、当該駆動信号により、各表示画素の液晶のツイストが制御される。このツイスト制御により、バックライトからの透過光が制御され、所定の色調で表示画面が形成される。このような構成により、LCD15の表示画面上には、ベース画像データと指針画像データとが合成された表示用画像データに基づく表示画像が映し出される。なお、本実施形態では、LCD(液晶表示モジュール)を例に示したが、LED表示モジュール等のドットマトリクス表示が可能な表示部を用いてもよい。
【0034】
つぎに、CPU11の描画用メモリ13への表示用画像データの更新方法について、図2および図3を参照して、より具体的に説明する。図2は、本実施形態におけるCPU11による描画用メモリ13への書き込み処理を示すフローチャートであり、図2(A)が初期の書き込みフローを示し、図2(B)が更新書き込みフローを示す。図3は、図2に示すCPU11による描画用メモリ13への書き込み処理の概念を説明するための図である。
【0035】
まず、初期の描画用メモリ13への書き込み処理について説明する。図示しないセンサ装置の作動開始の操作入力が行われると、CPU11には、センサ20から初期センサ値が入力される(S11)。この時点では、図3の[状態A]に示すように、描画用メモリ13には、画像データが書き込まれていない。
【0036】
CPU11は、ROM12のベース画像用メモリ121からベース画像データの全領域(図3の[全領域ベース画像])を読み出す(S12)。CPU11は、図3の[状態B]に示すように当該全領域のベース画像データを描画用メモリ13へ書き込む(S13)。
【0037】
CPU11は、センサ値に基づいて指針角度を算出し(S14)、当該指針角度に準じた指針画像データ(図3の[指針画像A])を、ROM12の指針画像用メモリ122から読み出す(S15)。CPU11は、図3の[状態C]に示すように、読み出した指針画像データ(図3の[指針画像A])を、指針部分を除きベース画像データが表示されるように、描画用メモリ13への書き込む(S16)。これにより、初期センサ値に基づく表示用画像データが、描画用メモリ13上に形成される。このように形成された表示用画像データは、所定の表示用読出タイミングで、表示用ドライバIC14により読み出され、LCD15の表示画面に表示される。
【0038】
次に、描画用メモリ13への更新の書き込み処理について説明する。なお、図3では初期センサ値に基づく表示用画像データからの更新の場合について示しているが、各描画フレームで同様の処理が行われる。
【0039】
CPU11は、前回フレームの指針画像データの書き込み処理時に算出した指針角度を記憶している。この状態で、CPU11は、センサ20からセンサ値が入力されると(S101)、記憶している指針角度から、図3の[部分ベース画像A]に示すように、前回フレームの指針画像データの指針の領域を含む長方形状の領域を抽出し、当該長方形状の領域に対応する部分的なベース画像データのみを読み出す(S102)。より具体的に、長方形状の領域とは、LCD15の長方形状の表示画面の各辺に対してそれぞれに平行な辺から構成される領域で設定される。そして、この長方形状の領域は、指針の領域を含む最小の面積となるように設定される。例えば、指針の先端位置と根元位置とを対角線の略両端とする長方形状の領域で設定される。
【0040】
CPU11は、読み出した前回の描画フレームの指針の領域を含む部分的なベース画像データを、既に描画用メモリ13上に記憶された表示画用画像データへ上書きする(S103)。このような処理を行うことで、部分的なベース画像データが前回の描画フレームで指針が描画されている領域を、指針のないベース画像で上書きすることになるので、図3の[状態D]に示すように、描画用メモリ13上では、単なるベース画像データのみからなる表示画用画像データが形成される。
【0041】
CPU11は、センサ値に基づいて、今回の描画フレームでの指針角度を算出し(S104)、当該指針角度に準じた指針画像データ(図3の[指針画像B])を、指針画像用メモリ122から読み出す(S105)。CPU11は、図3の[状態E]に示すように、読み出した指針画像データ(図3の[指針画像B])を、指針部分を除きベース画像データが表示されるように、描画用メモリ13への書き込む(S106)。これにより、センサ値に基づく指針表示を含む今回の描画フレームの表示用画像データが、描画用メモリ13上に形成される。このように形成された表示用画像データは、所定の表示用読出タイミングで、表示用ドライバIC14により読み出され、LCD15の表示画面に表示される。
【0042】
このような構成および処理を行うことで、描画フレーム単位での表示画用画像データの更新を行う際に、ベース画像データの全領域を読み出して書き込む必要が無く、部分的にベース画像データを更新すればよい。これにより、描画用メモリへの更新データ量を低減し、更新処理速度を高速化することができる。そして、本実施形態に示すように、指針を含む四角形の領域を設定することで、描画用メモリへの書き込みアドレスの設定処理が容易になり、比較的単純な更新処理が実現できる。
【0043】
次に、第2の実施形態に係る表示装置について、図を参照して説明する。本実施形態の表示装置は、CPU11による描画用メモリ13への更新処理が異なるのみで、他の構成および処理は同じである。したがって、CPU11による描画用メモリ13への更新処理のみを具体的に説明する。図4は、本実施形態におけるCPU11による描画用メモリ13への更新書き込み処理を示すフローチャートである。図5は、図4に示すCPU11による描画用メモリ13への更新書き込み処理の概念を説明するための図である。
【0044】
CPU11は、センサ20からセンサ値が入力されると(S201)、記憶している指針角度から、図5の[部分ベース画像B]に示すように、前回フレームの指針画像データの指針の領域を抽出し、当該指針の領域に対応する部分的なベース画像データのみを読み出す(S202)。
【0045】
CPU11は、読み出した前回の描画フレームの指針の領域からなる部分的なベース画像データを、既に描画用メモリ13上に記憶された表示画用画像データへ上書きする(S203)。このような処理を行うことで、部分的なベース画像データが前回の描画フレームで指針が描画されている領域を、指針のないベース画像で上書きすることになるので、図5の[状態D’]に示すように、描画用メモリ13上では、単なるベース画像データのみからなる表示画用画像データが形成される。
【0046】
CPU11は、センサ値に基づいて、今回の描画フレームでの指針角度を算出し(S204)、当該指針角度に準じた指針画像データ(図5の[指針画像B])を、指針画像用メモリ122から読み出す(S205)。CPU11は、図5の[状態E]に示すように、読み出した指針画像データ(図5の[指針画像B])を、指針部分を除きベース画像データが表示されるように、描画用メモリ13への書き込む(S206)。これにより、センサ値に基づく指針表示を含む今回の描画フレームの表示用画像データが、描画用メモリ13上に形成される。このように形成された表示用画像データは、所定の表示用読出タイミングで、表示用ドライバIC14により読み出され、LCD15の表示画面に表示される。
【0047】
このような処理を行っても、描画フレーム単位での表示画用画像データの更新を行う際に、ベース画像データの全領域を読み出して書き込む必要が無く、部分的にベース画像データを更新すればよい。これにより、描画用メモリへの更新データ量を低減し、更新処理速度を高速化することができる。
【0048】
そして、本実施形態に示すように、指針の領域のみを設定することで、描画用メモリへ書き込むデータ量を、第1の実施形態の場合よりも、さらに低減できる。
【0049】
なお、上述の第1の実施形態や第2の実施形態では、センサ値の入力後に、前回の描画フレームでの指針角度に準じた部分的なベース画像データの設定処理を行っているが、センサ値の入力前に、当該処理を行ってもよい。
【0050】
次に、第3の実施形態に係る表示装置について、図を参照して説明する。本実施形態の表示装置は、CPU11による描画用メモリ13への更新処理が異なるのみで、他の構成および処理は、第1の実施形態と同じである。したがって、CPU11による描画用メモリ13への更新処理のみを具体的に説明する。図6は、本実施形態におけるCPU11による描画用メモリ13への更新書き込み処理を示すフローチャートである。図7は、図6に示すCPU11による描画用メモリ13への更新書き込み処理の概念を説明するための図である。
【0051】
CPU11は、センサ20からセンサ値が入力されると(S301)、センサ値に基づいて、今回の描画フレームでの指針角度を算出し(S302)、当該指針角度に準じた指針画像データ(図5の[指針画像B])を、指針画像用メモリ122から読み出す(S303)。
【0052】
CPU11は、記憶している前回の描画フレームの指針角度に基づく前回の描画フレームでの指針画像データ(図5の[指針画像A])と、読み出した今回の描画フレームの指針画像データ(図5の[指針画像B])とを比較する。具体的には、CPU11は、前回の描画フレームの指針画像の領域における今回の描画フレームでの指針画像の領域と重複しない非重複領域を抽出し、図7の濃色の実線で囲まれる[部分ベース画像C]に示すような部分的なベース画像データのみを読み出す(S304)。
【0053】
CPU11は、読み出した前回の描画フレームの指針の領域からなる部分的なベース画像データを、既に描画用メモリ13上に記憶された表示画用画像データへ上書きする(S305)。このような処理を行うことで、部分的なベース画像データが前回の描画フレームで指針が描画されている領域で、且つ今回の描画フレームでは指針が描画されない領域を、指針のないベース画像で上書きすることになる。これにより、図7の[状態F]に示すように、描画用メモリ13上では、一時的に、今回の描画フレームでの指針の一部が前回の描画フレームから継続して存在し、今回の描画フレームでは指針画像とはならない全領域がベース画像データからなる表示画用画像データが形成される。
【0054】
CPU11は、図7の[状態E]に示すように、読み出した指針画像データ(図5の[指針画像B])を、指針部分を除きベース画像データが表示されるように、描画用メモリ13への書き込む(S306)。これにより、センサ値に基づく指針表示を含む今回の描画フレームの表示用画像データが、描画用メモリ13上に形成される。このように形成された表示用画像データは、所定の表示用読出タイミングで、表示用ドライバIC14により読み出され、LCD15の表示画面に表示される。
【0055】
このような処理を行っても、描画フレーム単位での表示画用画像データの更新を行う際に、ベース画像データの全領域を読み出して書き込む必要が無く、部分的にベース画像データを更新すればよい。これにより、描画用メモリへの更新データ量を低減し、更新処理速度を高速化することができる。
【0056】
そして、本実施形態に示すように、指針の領域のさらに一部のみを設定することで、描画用メモリへ書き込むデータ量を、第2の実施形態の場合よりも、さらに低減できる。
【0057】
次に、第4の実施形態に係る表示装置について、図を参照して説明する。上述の各実施形態では、前回の描画フレームと今回の描画フレームとで、指針画像の領域が重ならなくても処理は可能である。しかしながら、センサ値が急激に大きく変化する等により、これら連続する描画フレームにおいて、指針画像位置が大きく変化すると、ユーザにとっては、指針の動きが連続的に見えず、違和感を感じる可能性がある。このような場合に本実施形態の処理を用いるとよい。本実施形態の表示装置は、上述の各実施形態の表示装置に対して、CPU11による描画用メモリ13への更新処理が異なるのみで、他の構成および処理は同じである。したがって、CPU11による描画用メモリ13への更新処理のみを具体的に説明する。なお、本実施形態の処理は、第1の実施形態の処理および第2の実施形態の処理に対しても適用できるが、本実施形態では第3の実施形態に適用する場合を示す。図8は、本実施形態におけるCPU11による描画用メモリ13への更新書き込み処理を示すフローチャートである。
【0058】
CPU11は、センサ20からセンサ値が入力されると(S401)、センサ値に基づいて指針角度を算出し(S402)、当該指針角度に準じた指針画像データを、指針画像用メモリ122から読み出す(S403)。
【0059】
CPU11は、記憶している前回の描画フレームの指針角度と、算出した指針角度とに基づいて、中間描画指針角度を設定する。この際、CPU11は、前回の描画フレームの指針角度と、算出した指針角度との差分値、および設定する中間描画指針数に基づいて、回転ピッチ角を算出する。CPU11は、前回の描画フレームの指針角度と、算出した指針角度と、回転ピッチ角とから、中間描画指針角度を算出して設定する(S404)。
【0060】
CPU11は、それぞれの中間描画指針角度に基づく指針画像データを読み出す(S405)。
【0061】
CPU11は、連続する各描画フレームに中間描画指針角度を対応させて、指針の回転方向、すなわち前回の描画フレームでの指針の方向から、算出した指針の方向に向けて回転する方向へ、順次、上述の第3の実施形態に示したような部分的なベース画像データによるベース画像データの更新を行いながら、指針画像データを上書きする(S406〜S408)。
【0062】
より具体的には、CPU11は、S406およびS407に示すように、指針の回転方向、すなわち前回の描画フレームでの指針方向から、算出した指針の方向に向けて回転する方向において、隣り合う指針画像データ同士の重複部を除く、回転の過去側の指針画像の領域を抽出する。そして、CPU11は、当該抽出した領域に対応する部分的なベース画像データのみを読み出して、描画用メモリ13へ書き込む。
【0063】
このような処理を行うことで、指針方向が急激に変化する場合であっても、徐々に指針が回転するように表示されるので、視認性がよい表示画像を形成することができる。そして、このような処理を行う場合であっても、更新するベース画像データのデータ量を低減でき、描画用メモリへの書き込みを高速化することができる。
【0064】
また、上述のように回転ピッチ角を一定にした場合、各描画フレームでの指針領域の非重複部の面積および指針に対する位置は同じとなる。したがって、前回の描画フレームから最初の中間描画指針角度の描画フレームへ更新する際の部分的なベース画像データを一旦設定すれば、当該部分的なベース画像データの設定アドレスを回転ピッチ角に応じて回転座標変換することで、各中間描画指針角度の描画フレームに対する部分的なベース画像データを設定することができる。これにより、描画フレーム毎に、隣り合う指針画像データ同士を読み出して、非重複部を設定するよりも、簡素な処理で部分的なベース画像データを設定することができる。
【0065】
なお、本実施形態に示した回転ピッチ角は、前回の描画フレームでの指針角度と算出した指針角度との差分値に関係なく、予め所定値に固定してもよい。この場合、差分値が回転ピッチ角で割り切れない場合があるが、この場合は、中間描画指針間の一箇所の角度を回転ピッチ角と異なる角度に設定すればよい。
【0066】
上述の説明では、センサ装置に備えられた表示装置を例に示したが、外部入力端子を備え、外部から観測値を入力して、当該観測値に基づく指針表示を行う単独の表示装置であってもよい。また、上述の説明では、センサとして風向計を例に示したが、速度計や回転数計等を用いてもよい。
【0067】
また、上述の説明では、センサ装置および表示装置を機能部毎に説明しているが、表示装置を構成する各機能部は、上述の構成に限るものではなく、上述の表示画面の表示方法が実現可能な他の構成や方法を用いてもよい。また、このような表示画面の表示方法を予めプログラム化して、所定の記憶媒体に記憶しておき、当該記憶媒体記憶されたプログラムを実行することで、上述の表示画面の表示方法を実現してもよい。
【符号の説明】
【0068】
1−センサ装置、10−表示装置、11−CPU、12−ROM、121−ベース画像記憶領域、122−指針画像記録領域、13−描画用メモリ、14−表示用ドライバIC、15−LCD

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の表示画素が配列された表示部と、
前記複数の表示画素に与えられる各画素データが記憶された描画用メモリと、
フレーム毎にベース画像データと指針画像データとを順に前記描画用メモリへ書き込み前記画素データを前記描画用メモリへ記憶させる制御部と、を備え、
前記制御部は、前回フレームの指針を示す前回指針領域を基準として、該前回指針領域を含むベース画像データの部分的領域を、今回フレームのベース画像データとして書き込む、表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の表示装置であって、
前記制御部は、前記前回指針領域を含む長方形の領域と同じベース画像データの領域を、今回フレームのベース画像データとして書き込む、表示装置。
【請求項3】
請求項1に記載の表示装置であって、
前記制御部は、前記前回指針領域と同じベース画像データの領域を、今回フレームのベース画像データとして書き込む、表示装置。
【請求項4】
複数の表示画素が配列された表示部と、
前記複数の表示画素に与えられる各画素データが記憶された描画用メモリと、
フレーム毎にベース画像データと指針画像データとを順に前記描画用メモリへ書き込み前記画素データを前記描画用メモリへ記憶させる制御部と、を備え、
前記制御部は、前回フレームの指針を示す前回指針領域と今回フレームの指針を示す今回指針領域とからなる比較対象領域における前記前回指針領域の前記今回指針領域に重ならない非重複領域と同じベース画像データの領域を、前記今回フレームのベース画像データとして書き込む、表示装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の表示装置であって、
前記ベース画像データおよび前記指針画像データが予め記憶されたROMを備え、
前記制御部は、前記ベース画像データおよび前記指針画像データを前記フレーム毎に、前記ROMから読み出して、前記描画用メモリへ書き込む、表示装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の表示装置を備えるとともに、
所定の物理量を検出して、センサ値を出力するセンサを備え、
前記制御部は、前記センサ値に基づいて前記指針画像データを決定する、センサ装置。
【請求項7】
請求項6に記載のセンサ装置であって、
前記センサが検出する前記所定の物理量は風向である、センサ装置。
【請求項8】
前回フレームの指針を示す前回指針領域を基準として、該前回指針領域を含むベース画像データの部分的領域を、今回フレームのベース画像データとして書き込む工程と、
前記ベース画像データに今回フレームの指針画像データを上書きする工程と、
前記ベース画像データと前記指針画像データとからなる今回フレームの各画素データを、表示部に配設された各表示画素へ与える工程と、を有する表示画面の表示方法。
【請求項9】
前回フレームの指針を示す前回指針領域を基準として、該前回指針領域を含むベース画像データの部分的領域を、今回フレームのベース画像データとして書き込む処理と、
前記ベース画像データに今回フレームの指針画像データを上書きする処理と、
前記ベース画像データと前記指針画像データとからなる今回フレームの各画素データを、表示部に配設された各表示画素へ与える処理と、を含む表示画面の表示プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−113041(P2011−113041A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−271845(P2009−271845)
【出願日】平成21年11月30日(2009.11.30)
【出願人】(000166247)古野電気株式会社 (441)
【Fターム(参考)】