説明

表示装置及びプログラム

【課題】表示内容を変更するときに、その変更箇所に含まれる強調画像を目立つように表示する。
【解決手段】表示装置は、記憶性表示体の表示内容を変更するよう指示する操作が行われると、この記憶性表示体に表示されている変更前画像を消去し、変更が行われた後の変更後画像において変更前画像から変更された変更箇所を判別し、判別した変更箇所に含まれる強調画像を特定し、変更後画像から強調画像を除いた非強調画像を記憶性表示体に表示させた後、この非強調画像に強調画像を重ねて表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示内容を変更する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
文書の変更箇所を表示するときに、その変更箇所の色を変えたり、変更箇所にアンダーラインを付加したりする技術が知られている。例えば、特許文献1には、文書の更新箇所の色を変えて表示する技術が開示されている。
【特許文献1】特開2000−293519号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、表示装置において画像の書き換えが行われるときに、書き換え前の画像と書き換え後の画像とが類似する場合には、書き換えの前後でどこが変わったのかを把握しづらい。書き換えの前後で変更される部分には、利用者が注視したい画像が含まれていると考えられるため、強調して表示することが望まれている。
本発明は、表示内容を変更するときに、その変更箇所に含まれる強調画像を目立つように表示することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、画像を表示する表示手段と、前記表示手段の表示内容を変更するよう指示する操作が行われると、当該表示手段に表示されている変更前画像を消去する消去手段と、前記変更が行われた後の変更後画像において前記変更前画像から変更された変更箇所を判別し、判別した当該変更箇所に含まれる強調画像を特定する特定手段と、前記変更後画像から前記特定手段によって特定された強調画像を除いた非強調画像を前記表示手段に表示させた後、当該非強調画像に前記強調画像を重ねて表示させる表示制御手段とを備えることを特徴とする表示装置を提供する。これにより、表示内容を変更するときに、その変更箇所に含まれる強調画像を目立つように表示することができる。
【0005】
本発明の好ましい態様において、前記特定手段は、前記変更箇所のうち予め決められた種別の画像を前記強調画像として特定してもよい。これにより、変更箇所のうち予め決められた種別の画像だけを目立つように表示することができる。
【0006】
本発明の好ましい態様において、前記特定手段は、前記変更箇所に含まれる複数の前記強調画像を特定し、前記表示制御手段は、前記非強調画像に重ねて前記複数の強調画像を1つずつ順番に表示させていってもよい。これにより、複数の強調画像をそれぞれ目立つように表示することができる。
【0007】
本発明の好ましい態様において、前記複数の強調画像は、複数の操作者の指示によって入力されたものであり、前記特定手段は、互いに異なる操作者の指示によって入力された複数の強調画像を特定してもよい。これにより、同一の操作者の指示によって入力された強調画像を識別することができる。
【0008】
本発明の好ましい態様において、前記表示制御手段は、前記複数の強調画像を前記入力が行われた順に1つずつ表示させていってもよい。これにより、各々の強調画像が入力された順番を把握することができる。
【0009】
本発明は、コンピュータを、画像を表示する表示手段の表示内容を変更するよう指示する操作が行われると、当該表示手段に表示されている変更前画像を消去する消去手段と、前記変更が行われた後の変更後画像において前記変更前画像から変更された変更箇所を判別し、判別した当該変更箇所に含まれる強調画像を特定する特定手段と、前記変更後画像から前記特定手段によって特定された強調画像を除いた非強調画像を前記表示手段に表示させた後、当該非強調画像に前記強調画像を重ねて表示させる表示制御手段として機能させるためのプログラムを提供する。これにより、表示内容を変更するときに、その変更箇所に含まれる強調画像を目立つように表示することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
[第1実施形態]
(構成)
まず、本発明の第1実施形態について説明する。
図1は、第1実施形態に係る表示装置1の外観を示す図であり、図2は、表示装置1の構成を示すブロック図である。この表示装置1は、例えば電子ペーパである。同2に示すように、表示装置1は、CPU(Central Processing Unit)11と、ROM(Read Only Memory)12と、RAM(Random Access Memory)13と、記憶部14と、電源15と、電源制御部16と、操作ボタン17と、入力検出部18と、入出力部19と、VRAM(Video Random Access Memory)20と、表示体制御部21と、記憶性表示体22とを備えている。
【0011】
CPU11は、ROM12に記憶されているプログラムを実行して、表示装置1の各部を制御する。ROM12は、CPU11によって実行される各種のプログラムやデータを記憶している。RAM13は、CPU11がプログラムを実行する際のワークエリアとして使用される。記憶部14は、例えばフラッシュメモリであり、記憶性表示体22に表示される画像を表す画像データなどを記憶している。電源15は、例えば充電可能な電池であり、表示装置1の各部に電力を供給する。電源制御部16は、電源15の電圧を制御して、表示装置1の各部に所定電圧の電力を供給させる。操作ボタン17は、図1に示すように表示装置1の前面に設けられており、操作者の操作を受け付けてその操作に応じた操作データを入出力部19に供給する。入力検出部18は、記憶性表示体22の表示面の背面側に設けられており、静電誘導方式によって、記憶性表示体22の表示面において操作者により指定された位置を検出する。このとき、操作者により指定された位置は、例えば記憶性表示体22の表示面の始点を原点0としたxy座標を用いて表される。そして、入力検出部18は、操作者により指定された位置を表す位置座標を入出力部19に供給する。入出力部19は、操作ボタン17又は入力検出部18とCPU11との間の各種データのやり取りを制御する。VRAM20は、記憶性表示体22に表示される1画面分の画像を表す画像データを記憶する。表示体制御部21は、記憶性表示体22を駆動して、VRAM20に記憶されている画像データに応じた画像を表示させる。記憶性表示体22は、表示体制御部21の駆動により電気泳動方式で画像を表示する表示手段である。
【0012】
図3は、記憶性表示体22の断面構造の一部を拡大して示す図である。この図では、操作者が、図中の矢線V方向から記憶性表示体22を視認するものとする。なお、以下の説明では、記憶性表示体22において図中の上方向側を前面と呼び、図中の下方向側を背面と呼ぶ。同図に示すように、記憶性表示体22は、透明電極101と、背面電極102と、表示層103とを備えている。透明電極101は、表示層103の前面側に設けられた透明な共通電極である。背面電極102は、表示層103の背面側において画素毎に設けられた画素電極である。表示層103は、複数の表示素子Pが配列された表示面であり、駆動電圧が印加されることにより画像を表示する。この表示素子Pは、透明な分散媒が充填されたマイクロカプセルである。各々の表示素子Pには、正に帯電した白色顔料WGと、負に帯電した黒色顔料BGとが封入されている。
【0013】
ここで、記憶性表示体22の表示原理について説明する。表示体制御部21が透明電極101及び背面電極102に駆動電圧を印加すると、表示層103の各表示素子Pの黒色顔料BG及び白色顔料WGは、この駆動電圧の向きに応じて移動する。例えば、透明電極101側が正、背面電極102側が負となる向きの駆動電圧が印加された場合には、黒色顔料BGが透明電極101側に移動し、白色顔料WGが背面電極102側に移動する。このように、黒色顔料BGが表示層103の前面側に移動した場合、その部分の画素の色は黒色になる。一方、透明電極101側が負、背面電極102側が正となる向きの駆動電圧が印加された場合には、白色顔料WGが透明電極101側に移動し、黒色顔料BGが背面電極102側に移動する。このように、白色顔料WGが表示層103の表面側に移動した場合、その部分の画素の色は白色になる。この黒色顔料BG及び白色顔料WGの位置は、一度移動すると電圧の印加がなくてもその状態が維持される。つまり、記憶性表示体22は、画像を表示した後は、電圧が印加されなくても表示した画像を保持することができる。
【0014】
(動作)
次に、第1実施形態に係る表示装置1の動作について説明する。
図4は、第1実施形態に係る表示装置1の画像の書き換え処理を示すフロー図であり、図5は、この画像の書き換え処理で用いられる画像の一例を示す図である。ここでは、記憶性表示体22の表示面には、図5(a)に示す画面Paが表示されている場合を想定する。同図に示すように、この画面Paには、ハイライト表示ボタンBと文書画像Tとが配置されている。このハイライト表示ボタンBは、ハイライト表示を指示する操作を受け付けるGUI(Graphical User Interface)のボタンである。このハイライト表示とは、予め決められた文字列や領域について、白黒を反転した状態で表示することをいう。この例では、ハイライト表示ボタンBが押されると、文書画像T中の「重要」という文字列がハイライト表示されるものとする。
【0015】
まず、操作者のタッチ操作によってハイライト表示ボタンBが押下されると、CPU11は、入力検出部18によってこの押下操作を検出する(ステップSA11)。ハイライト表示ボタンBの押下操作を検出すると、CPU11は、表示体制御部21に黒白のリセット駆動を行うよう指示する(ステップSA12)。表示体制御部21は、CPU11の指示に従って、黒白のリセット駆動を行う。具体的には、表示体制御部21は、まず記憶性表示体22の全画素が黒色になる向きの駆動電圧を透明電極101及び背面電極102に印加する。これにより、記憶性表示体21の表示面の全面が黒表示になる。続いて、表示体制御部21は、記憶性表示体22の全画素が白色になる向きの駆動電圧を透明電極101及び背面電極102に印加する。これにより、記憶性表示体21の表示面の全面が白表示になる。つまり、表示体制御部21は、記憶性表示体22の表示内容を変更するよう指示する操作が行われると、この記憶性表示体22に表示されている変更前画像(画面Pa)を消去する消去手段である。
【0016】
続いて、CPU11は、黒白のリセット駆動が行われている間に、ハイライト表示が行われた後の画面Pbを表す画像データを生成する(ステップSA13)。図5(b)は、この画面Pbの一例を示す図である。同図に示すように、この画面Pbでは、ハイライト表示ボタンBが白黒反転した状態になっている。さらに、この画面Pbでは、文書画像Tにおいて、ハイライト表示の対象となる「重要」という文字列が白黒反転した状態になっている。
【0017】
続いて、CPU11は、生成した画像データが表す画面Pbにおいて、記憶性表示体22の表示面に表示されていた画面Paから変更された変更箇所を判別する(ステップSA14)。つまり、CPU11は、変更が行われた後の変更後画像(画面Pb)において変更前画像(画面Pa)から変更された変更箇所を判別する。この例では、文書画像Tの「重要」という文字列とハイライト表示ボタンBとが変更箇所として判別される。続いて、CPU11は、判別した変更箇所に含まれる強調部分を特定し、上述したステップSA13にて生成した画像データからこの強調部分を抽出する(ステップSA15)。つまり、CPU11は、判別した変更箇所に含まれる強調画像(強調部分)を特定する特定手段である。図5(c)は、このとき抽出される強調部分の一例を示す図である。同図に示すように、この例では、ハイライト表示が行われた「重要」という文字列が強調部分として抽出される。なお、変更箇所に含まれるハイライト表示ボタンBについては、ハイライト表示が行われる対象ではなく、強調して表示する必要がないため、強調部分として特定されない。つまり、CPU11は、変更箇所のうち予め決められた種別の画像(ハイライト表示が行われる文字列)を強調画像(強調部分)として特定する。また、図5(d)は、強調部分が抽出された後の画像データが表す画面Pmを示す図である。同図に示すように、画面Pmでは、図5(b)に示した画面Pbから「重要」という文字列部分が削除されて、その部分が空白になっている。
【0018】
続いて、CPU11は、強調部分が抽出された後の画像データ、すなわち画面Pmを示す画像データをVRAM20に記憶させる。そして、CPU11は、表示体制御部21に書き込み駆動を行うよう指示する(ステップSA16)。表示体制御部21は、CPU11の指示に従って、VRAM20に記憶されている画像データに応じた駆動電圧を透明電極101及び背面電極102に印加し、書き込み駆動を行う。これにより、記憶性表示体22の表示面には、図5(d)に示した画面Pmが表示される。
【0019】
画面Pmが表示された後、CPU11は、上述したステップSA15にて抽出した強調部分を表す画像データをVRAM20に記憶させる。そして、CPU11は、表示体制御部21に上書き駆動を行うよう指示する(ステップSA17)。表示体制御部21は、CPU11の指示に従って、VRAM20に記憶されている画像データに応じた駆動電圧を透明電極101及び背面電極102に印加し、上書き駆動を行う。この上書き駆動では、上述したリセット駆動のように、表示面に表示されている画像の消去は行われず、表示層103において画像の書き換えが行われる表示素子Pだけが駆動される。これにより、記憶性表示体22の表示面には、図5(d)に示した画面Pmに対して、図5(c)に示した強調部分が上書き表示される。この上書き表示とは、画面Pmの上に重ねて強調部分を表示することをいう。つまり、CPU11は、変更後画像(画面Pa)から強調画像(強調部分)を除いた非強調画像(画面Pm)を記憶性表示体22に表示させた後、当該非強調画像に前記強調画像を重ねて表示させる表示制御手段である。
【0020】
図6は、この画像の書き換え処理における表示体制御部21の駆動を示す図である。上述した黒リセット駆動が行われると、図中の黒リセット期間L1となる。この黒リセット期間L1においては、上述したように、記憶性表示体22の表示面の全面が黒表示になる。続いて、上述した白リセット駆動が行われると、図中の白リセット期間L2となる。この白リセット期間L2においては、上述したように、記憶性表示体22の表示面の全面が白表示になる。続いて、上述した書き込み駆動が行われると、図中の一時表示期間L3となる。この一時表示期間L3においては、図に示すように、上述した画面Pmが記憶性表示体22の表示面に表示される。続いて、上述した上書き駆動が行われると、図中の上書き表示期間L4となる。この上書き表示期間L4においては、図に示すように、一時表示期間L3において表示される画面Pmの上に図5(c)に示した強調部分が上書き表示された画面、すなわち上述した画面Pbが記憶性表示体22の表示面に表示される。これを操作者から見ると、上書き表示期間L4において、「重要」という文字列が浮き出てくるように見える。
【0021】
仮に、本発明の構成を備えていない場合には、図5(a)に示した画面Paがリセットされると、図6に示す画面Pmが表示されずに、そのまま画面Pbが表示されることになる。このような場合には、ハイライト表示ボタンBを押下する操作に応じて、どの部分がハイライト表示されたのかが分かりにくい。これに対し、上述した第1実施形態では、図5(a)に示した画面Paがリセットされると、図6に示す画面Pmが一旦表示された後に、時間差をもってハイライト表示が行われた「重要」という文字列が表示される。このように、強調して表示する必要がない画面Pmと、強調部分とが時間差をもって段階的に表示されるため、強調部分を容易に把握することができる。このように、第1の実施形態によれば、表示面の表示内容を変更するときに、その変更箇所に含まれる強調部分を目立つように表示することができる。
【0022】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について説明する。なお、第2実施形態に係る表示装置1は、上述した第1実施形態の表示装置1と共通の構成を備えている。よって、ここでは、表示装置1の動作について説明する。
【0023】
(動作)
図7は、第2実施形態に係る表示装置1の画像の書き換え処理を示すフロー図であり、図8は、この画像の書き換え処理で用いられる画像の一例を示す図である。ここでは、記憶性表示体22の表示面には、図8(a)に示す画面Qaが表示されており、さらに、操作者Aによって図中の手書き画像m1,m2を描画する操作が行われ、操作者Bによって図中の手書き画像m3を描画する操作が行われ、操作者Cによって図中の手書き画像m4,m5を描画する操作が行われた場合を想定する。この場合、CPU11は、各々の手書き画像を表す手書き画像データを生成し、生成した手書き画像データを操作者毎に対応付けてRAM13に記憶させる。なお、どの操作者がどの手書き画像を描画する操作を行ったかは、例えば手書き画像の描画が行われる前に、各々の操作者を識別する識別する識別情報の入力を受け付けることにより、判別することができる。
【0024】
まず、いずれかの操作者によって操作ボタン17が用いられて手書き画像の表示を指示する操作が行われると、CPU11はこの操作を検出する(ステップSB11)。続いて、CPU11は、上述したステップSA12と同様に、表示体制御部21に黒白のリセット駆動を行うよう指示する(ステップSB12)。これにより、上述した第1実施形態と同様に、黒白のリセット駆動が行われる。続いて、CPU11は、黒白のリセット駆動が行われている間に、RAM13に記憶されている手書き画像データに基づいて、手書き画像が付加された画面Qbを表す画像データを生成する(ステップSB13)。図8(b)は、この画面Qbの一例を示す図である。同図に示すように、この画面Qbには、図8(a)に示した画面Qaに対して手書き画像m1〜m5が付加されている。
【0025】
続いて、CPU11は、生成した画像データが表す画面Qbにおいて、記憶性表示体22の表示面に表示されていた画面Qaから変更された変更箇所を判別する(ステップSB14)。この例では、手書き画像m1〜m5が変更箇所として判別される。続いて、CPU11は、判別した変更箇所に含まれる第1〜第3の強調部分を特定し、ステップSB13にて生成した画像データからこれら第1〜第3の強調部分を抽出する(ステップSB15)。つまり、CPU11は、変更箇所に含まれる複数の強調画像(強調部分)を特定する。図8(c)〜(e)は、このときに抽出される第1〜第3の強調部分の一例を示す図である。図8(c)に示すように、この例では、変更箇所のうち操作者Aによって描画された手書き画像m1及びm2が、第1の強調部分として抽出される。また、図8(d)に示すように、変更箇所のうち操作者Bによって描画された手書き画像m3が、第2の強調部分として抽出される。さらに、図8(e)に示すように、変更箇所のうち操作者Cによって描画された手書き画像m4及びm5が、第3の強調部分として抽出される。このように、複数の強調画像(強調部分)は、複数の操作者の指示によって入力されたものであり、CPU11は、互いに異なる操作者の指示によって入力された複数の強調画像(強調)を特定する。また、図8(f)は、第1〜第3の強調部分が抽出された後の画像データが表す画面Qm0を示す図である。図に示すように、この画面Qm0では、図8(b)に示した画面Qbから手書き入力画像m1〜m5が削除されて、図8(a)に示した画面Qaと同様に、文書画像Tだけが配置されている。
【0026】
続いて、CPU11は、第1〜第3の強調部分が抽出された後の画像データ、すなわち画面Qm0を表す画像データをVRAM20に記憶させる。そして、CPU11は、表示体制御部21に書き込み駆動を行うよう指示する(ステップSB16)。表示体制御部21は、CPU11の指示に従って、VRAM20に記憶されている画像データに応じた駆動電圧を透明電極101及び背面電極102に印加し、書き込み駆動を行う。これにより、記憶性表示体22の表示面には、図8(f)に示した画面Qm0が表示される。
【0027】
画面Qm0が表示された後、CPU11は、上述したステップSB15にて抽出した第1の強調部分を表す手書き画像データをVRAM20に記憶させる。そして、CPU11は、表示体制御部21に第1の上書き駆動を行うよう指示する(ステップSB17)。表示体制御部21は、上述と同様に、CPU11の指示に従って、VRAM20に記憶されている手書き画像データに応じた駆動電圧を透明電極101及び背面電極102に印加し、第1の上書き駆動を行う。これにより、記憶性表示体22の表示面には、図8(f)に示した画面Qm0に対して図8(c)に示した手書き画像m1及びm2が上書き表示される。
【0028】
続いて、CPU11は、上述したステップSB15にて抽出した第2の強調部分を表す手書き画像データをVRAM20に記憶させる。そして、CPU11は、表示体制御部21に第2の上書き駆動を行うよう指示する(ステップSB18)。表示体制御部21は、上述と同様に、CPU11の指示に従って、VRAM20に記憶されている手書き画像データに応じた駆動電圧を透明電極101及び背面電極102に印加し、第2の上書き駆動を行う。これにより、記憶性表示体22の表示面には、さらに図8(d)に示した手書き画像m3が上書き表示される。
【0029】
続いて、CPU11は、上述したステップSB15にて抽出した第3の強調部分を表す手書き画像データをVRAM20に記憶させる。そして、CPU11は、表示体制御部21に第3の上書き駆動を行うよう指示する(ステップSB19)。表示体制御部21は、上述と同様に、CPU11の指示に従って、VRAM20に記憶されている手書き画像データに応じた駆動電圧を透明電極101及び背面電極102に印加し、第3の上書き駆動を行う。これにより、記憶性表示体22の表示面には、さらに図8(e)に示した手書き画像m4及びm5が上書き表示される。つまり、CPU11は、非強調画像(画面Qm0)に重ねて複数の強調画像(強調部分)を1つずつ順番に表示させていく。
【0030】
図9は、この画像の書き換え処理における表示体制御部21の駆動を示す図である。上述した第1実施形態と同様に、黒リセット期間L1,白リセット期間L2を経た後、一時表示期間L3となる。この一時表示期間L3においては、図に示すように、上述した画面Qm0が記憶性表示体22の表示面に表示される。続いて、上述した第1の上書き駆動が行われると、図中の第1の上書き表示期間L4−1となる。この第1の上書き表示期間L4−1においては、一時表示期間L3において表示された画面Qm0に対して、図8(c)に示した手書き画像m1及びm2が上書き表示された、図中の画面Qm1が記憶性表示体22の表示面に表示される。続いて、上述した第2の上書き駆動が行われると、図中の第2の上書き表示期間L4−2となる。この第2の上書き表示期間L4−2においては、第1の上書き表示期間L4−1において表示された画面Qm1に対して、図8(d)に示した手書き画像m3が上書き表示された、図中の画面Qm2が記憶性表示体22の表示面に表示される。続いて、上述した第3の上書き駆動が行われると、図中の第3の上書き表示期間L4−3となる。この第3の上書き表示期間L4−3においては、第2の上書き表示期間L4−2において表示された画面Qm2に対して、図8(e)に示した手書き画像m4及びm5が上書き表示された画面、すなわち上述した画面Qbが記憶性表示体22の表示面に表示される。
【0031】
これを操作者から見ると、第1の上書き表示期間L4−1において、操作者Aの操作によって描画された手書き画像m1及びm2が浮き出てくるように見える。また、第2の上書き表示期間L4−2においては、操作者Bの操作によって描画された手書き画像m3が浮き出てくるように見える。そして、第3の上書き表示期間L4−3においては、操作者Cの操作によって描画された手書き画像m4及びm5が浮き出てくるように見える。
【0032】
仮に、本発明の構成を備えていない場合には、図8(a)に示した画面Qaがリセットされると、図9に示す画面Qm0〜Qm2が表示されずに、一気に画面Qbが表示されることになる。このような場合には、手書き画像の表示を指示する操作に応じて、どの部分が新たに表示されたのかが分かりにくい。また、同一の操作者の操作によって描画された手書き画像がどれであるのかを識別することができない。これに対し、上述した第2実施形態では、図8(a)に示した画面Qaがリセットされると、図9に示す画面Qm0が一旦表示された後に、操作者Aにより描画された手書き画像m1及びm2が表示され、時間差をもって操作者Bにより描画された手書き画像m3が表示され、再び時間差をもって操作者Cにより描画された手書き画像m4及びm5が表示される。このように、強調する必要がない画面Qm0と、第1の強調部分、第2の強調部分、第3の強調部分とがそれぞれ時間差をもって段階的に表示されるため、これらの強調部分をそれぞれ容易に把握できるとともに、同一の操作者の操作によって描画された手書き画像がどれであるのかを識別することができる。つまり、第2の実施形態によれば、表示面の表示内容を変更するときに、その変更箇所に含まれる複数の強調部分をそれぞれ目立つように表示することができるとともに、同一の操作者の操作によって描画された手書き画像がどれであるのかを識別することができる。
【0033】
[変形例]
以上が実施形態の説明であるが、この実施形態の内容は以下のように変形し得る。また、以下の変形例を適宜組み合わせてもよい。
(変形例1)
上述した第2実施形態において、第1〜第3の強調部分は、その強調部分をなす手書き画像が描画された日時に応じた順番で上書き表示されてもよい。この場合、CPU11は、各々の手書き画像が描画された日時をRAM13などに記憶しておく。そして、CPU11は、例えば手書き画像が描画された日時が古い順に第1〜第3の強調部分をVRAM20に記憶させていき、上述と同様に第1〜第3の上書き駆動を行うよう指示する。このとき、上述した第1の上書き表示期間L4−1〜L4−3においては、手書き画像が描画された日時が古い順に第1〜第3の強調部分が上書き表示されていく。つまり、CPU11は、複数の強調画像(強調部分)を入力が行われた順に1つずつ表示させていく。これにより、各々の強調部分をなす手書き画像が描画された順番を把握することができる。
また、表示装置1がユーザ認証機能を有している場合には、手書き画像の表示を指示する操作を行った操作者を識別し、その操作者の操作によって描画された手書き画像を最後に上書き表示してもよい。
【0034】
(変形例2)
上述した実施形態では、ハイライト表示を行う場合又は手書き画像を表示する場合を例に挙げて説明したが、記憶性表示体22の表示内容を変更する処理はこれに限らない。例えば、操作者の操作によって付加された装飾情報を表示するものであってもよい。この修飾情報としては、例えばアンダーライン、マーカ、電子付箋などがある。
また、例えば赤色のアンダーラインの優先度が1番、黄色のアンダーラインの優先度が2番、緑色のアンダーラインの優先度が3番というような対応関係をROM12などに記憶しておき、優先度が低い順番、すなわち緑色のアンダーライン→黄色のアンダーライン→赤色のアンダーラインの順に上書き表示を行ってもよい。
【0035】
(変形例3)
上述した第1実施形態では、変更箇所のうちハイライト表示が行われる文字列だけを強調部分として特定していたが、強調部分として特定されるものはこれに限らない。例えば、変更箇所が全て強調部分として特定されてもよい。また、強調部分として特定する画像の種別をROM12などに記憶しておき、変更箇所のうち該当する種別の画像を強調部分として特定してもよい。
【0036】
(変形例4)
表示装置1において、記憶性表示体22の表示面に複数のGUIボタンを配置した画面が表示される場合には、それらのGUIボタンが操作されるべき順番に沿って1つずつ上書き表示されていってもよい。
【0037】
(変形例5)
上述した実施形態では、強調部分を単に上書き表示していたが、上書き表示→非表示→上書き表示を繰り返して、点滅表示させてもよい。これにより、強調部分をより目立たせることができる。
【0038】
(変形例6)
上述した実施形態では、記憶性表示体22が電気泳動方式で画像の表示を行う場合を例に挙げて説明したが、記憶性表示体22の表示方式はこれに限らない。例えば、コレステリック液晶を用いて画像を表示するものであってもよい。
【0039】
(変形例7)
上述した実施形態において、CPU11が実行する処理は、CPU11と他のハードウェアとの協働によって行われてもよいし、CPU11に代えて1又は複数のハードウェアが行ってもよい。また、CPU11によって行われる処理は、単一のプログラムによって実現されてもよいし、複数のプログラムによって実現されてもよい。また、CPU11によって実行される各プログラムは、磁気テープや磁気ディスクなどの磁気記録媒体、光ディスクなどの光記録媒体、光磁気記録媒体、半導体メモリなどの、コンピュータ装置が読み取り可能な記録媒体に記憶された状態で提供し得る。また、このプログラムを、インターネットのようなネットワーク経由でダウンロードさせることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】第1実施形態に係る表示装置の外観を示す図である。
【図2】前記表示装置の構成を示すブロック図である。
【図3】前記表示装置の記憶性表示体の断面構造の一部を拡大して示す図である。
【図4】前記表示装置の画像の書き換え処理を示すフロー図である。
【図5】前記画像の書き換え処理で用いられる画像の一例を示す図である。
【図6】前記画像の書き換え処理における表示体制御部の駆動を示す図である。
【図7】第2実施形態に係る表示装置の画像の書き換え処理を示すフロー図である。
【図8】第2実施形態に係る画像の書き換え処理で用いられる画像の一例を示す図である。
【図9】第2実施形態に係る画像の書き換え処理の表示体制御部の駆動を示す図である。
【符号の説明】
【0041】
1…表示装置、11…CPU、12…ROM、13…RAM、14…記憶部、15…電源、16…電源制御部、17…操作ボタン、18…入力検出部、19…入出力部、20…VRAM、21…表示体制御部、22…記憶性表示体。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を表示する表示手段と、
前記表示手段の表示内容を変更するよう指示する操作が行われると、当該表示手段に表示されている変更前画像を消去する消去手段と、
前記変更が行われた後の変更後画像において前記変更前画像から変更された変更箇所を判別し、判別した当該変更箇所に含まれる強調画像を特定する特定手段と、
前記変更後画像から前記特定手段によって特定された強調画像を除いた非強調画像を前記表示手段に表示させた後、当該非強調画像に前記強調画像を重ねて表示させる表示制御手段と
を備えることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記特定手段は、前記変更箇所のうち予め決められた種別の画像を前記強調画像として特定する
ことを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記特定手段は、前記変更箇所に含まれる複数の前記強調画像を特定し、
前記表示制御手段は、前記非強調画像に重ねて前記複数の強調画像を1つずつ順番に表示させていく
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記複数の強調画像は、複数の操作者の指示によって入力されたものであり、
前記特定手段は、互いに異なる操作者の指示によって入力された複数の強調画像を特定する
ことを特徴とする請求項3に記載の表示装置。
【請求項5】
前記表示制御手段は、前記複数の強調画像を前記入力が行われた順に1つずつ表示させていく
ことを特徴とする請求項4に記載の表示装置。
【請求項6】
コンピュータを、
画像を表示する表示手段の表示内容を変更するよう指示する操作が行われると、当該表示手段に表示されている変更前画像を消去する消去手段と、
前記変更が行われた後の変更後画像において前記変更前画像から変更された変更箇所を判別し、判別した当該変更箇所に含まれる強調画像を特定する特定手段と、
前記変更後画像から前記特定手段によって特定された強調画像を除いた非強調画像を前記表示手段に表示させた後、当該非強調画像に前記強調画像を重ねて表示させる表示制御手段
として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−152630(P2010−152630A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−329828(P2008−329828)
【出願日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】