説明

表示装置及び空気調和機の室内機

【課題】LED等の光源が発する光を所定の形状に投影して情報を表示する表示装置における光源の個数を減らすことを目的とする。
【解決手段】LED表示装置は、光が透過する各光透過部18が各表示情報を表す形状に形成された印刷シート13と、印刷シート13の背面側に配置され、光源であるLED16が設置された基板15と、基板15を印刷シート13の背面に沿って移動させる移動機構19とを備える。LED表示装置は、どの表示情報を表示させるかに応じて、移動機構19を制御して基板15を移動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、光源が発する光を所定の形状に投影して情報を表示する表示装置と、前記表示装置を備える空気調和機の室内機とに関する。
【背景技術】
【0002】
光を透過する複数の光透過部が、文字、図形、記号状に形成されたシートと、シートの裏側における全ての光透過部に対応する位置にLED(Light Emitting Diode)が配置された基板とを備える表示装置がある。この表示装置では、表示する情報に応じてLEDが点灯制御される。そして、点灯したLEDに対応する位置に形成された光透過部をLEDが発する光が透過して、所定の平面に投影されることで情報が表示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平1−164482号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した表示装置では、シートに形成されている文字、図形、記号を表示させるために、シートの裏側における全ての文字、図形、記号に対応する位置にLEDを配置する必要があり、多くのLEDが必要となる。表示させる情報が多い場合には、特に多くのLEDが必要となり、コストアップの要因となる。
この発明は、LED等の光源の個数を減らすことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明に係る表示装置は、
光が透過する複数の光透過部を有し、前記複数の光透過部の各光透過部が複数の表示情報の各表示情報を表す形状に形成されたシートと、
前記シートの背面側に配置された基盤であって、光源が設置された基盤と、
前記基盤を前記シートの背面に沿って移動させる移動機構と、
前記複数の表示情報のどの表示情報を表示させるかに応じて、前記移動機構を制御して前記基盤を移動させる制御部と
を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
この発明に係る表示装置では、光源が設置された基盤を移動させる移動機構を備え、どの表示情報を表示させるかに応じて基盤を移動させる。そのため、この表示装置は、全ての光透過部に対応する位置に光源を配置する必要はなく、光源の数を減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】空気調和機の室内機の分解斜視図。
【図2】図1に示す空気調和機の室内機の断面図。
【図3】基本的な構成のLED表示装置3の分解斜視図。
【図4】図3に示すLED表示装置3の断面図。
【図5】実施の形態1に係るLED表示装置3を示す明図。
【図6】図5とは異なる構成のLED表示装置3を示す図。
【図7】図5とは異なる構成のLED表示装置3を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
実施の形態1.
図1は、空気調和機の室内機の分解斜視図である。
図2は、図1に示す空気調和機の室内機の断面図である。
空気調和機の室内機は、意匠パネル1、筐体2、LED表示装置3、フィルター自動清掃機構4、ドレンパンユニット5、熱交換器6、送風ファン7、電気品箱8、基台9を備える。フィルター自動清掃機構4は、フィルター10と、ダストボックス11とを備える。電気品箱8には、LED表示装置3や送風ファン7等を駆動させるための電気部品が収納される。
ドレンパンユニット5、熱交換器6、送風ファン7、電気品箱8は、基台9に固定される。フィルター自動清掃機構4は、熱交換器6の天面側を覆うように配置される。フィルター自動清掃機構4は、天面側で基台9に爪を引っ掛けて固定されるとともに、基台9に装着された熱交換器6にネジ止め固定される。LED表示装置3は、前面側に配置され、ドレンパンユニット5とフィルター自動清掃機構4とに固定される。筐体2は、基台9との間に、LED表示装置3、フィルター自動清掃機構4、ドレンパンユニット5、熱交換器6、送風ファン7、電気品箱8を収納する。筐体2は、基台9、フィルター自動清掃機構4、LED表示装置3にネジ固定される。なお、筐体2の前面側には開口部2aが設けられ、天面側には開口部2bが設けられている。LED表示装置3は、筐体2の開口部2a部分に配置される。意匠パネル1は、開閉取り外し可能に筐体2に取り付けられる。
【0009】
送風ファン7は、筐体2の開口部2bを介して室内空気を筐体2の内部へ吸い込む。筐体2の内部へ吸い込まれた室内空気は、熱交換器6によって図示されていない室外機から送られた冷媒と熱交換され、冷気又は暖気となる。そして、送風ファン7は、冷気又は暖気を、フラップを備えるドレンパンユニット5から室内へ送風する。これにより、室内の冷房又は暖房がされる。
フィルター自動清掃機構4が備えるフィルター10は、筐体2の開口部2bと熱交換器6との間、つまり、熱交換器6の風上側に配置されている。そのため、送風ファン7により室内空気が筐体2の内部へ吸い込まれる際、フィルター10により室内空気中の塵や埃が取り除かれ、塵や埃が熱交換器6に付着するのが防止される。フィルター自動清掃機構4は、フィルター10に付着した塵、埃を除去する機能を備えている。フィルター自動清掃機構4によって除去された塵、埃は、ダストボックス11に蓄積される。
【0010】
図3は、基本的な構成のLED表示装置3の分解斜視図である。
図4は、図3に示すLED表示装置3の断面図である。
LED表示装置3は、表示部カバー12、印刷シート13、基板ホルダー14、基板15、表示部ホルダー17を備える。
基板15は、基板ホルダー14にネジ止めされる。基板ホルダー14の前面側には印刷シート13が貼り付けられる。そして、印刷シート13、基板ホルダー14、基板15は、表示部ホルダー17と表示部カバー12に挟み込まれて固定される。
【0011】
印刷シート13には、表示情報を表す文字、記号、図形状の輪郭が複数印刷されている。印刷シート13は、文字、記号、図形状の輪郭が印刷された部分のみが光を透過する光透過部18となる。つまり、印刷シート13のうち、文字、記号、図形状の輪郭が印刷された部分以外は、遮光性である。なお、印刷シート13には文字、記号、図形状の輪郭が複数印刷されているため、光透過部18は複数存在する。
基板15には、全ての文字、記号、図形状の輪郭が印刷された部分、つまり全ての光透過部18のそれぞれに対応して、LED16が配置されている。
【0012】
LED表示装置3は、図示されていない制御部により、表示する表示情報に対応して配置されたLED16のみを点灯させ、その他のLED16を消灯させる。点灯したLED16から発生された光は、対応する光透過部18を透過して、意匠パネル1に投影される。光透過部18は、表示情報を表す文字、記号、図形状の輪郭に形成されているため、意匠パネル1には、表示情報を表す文字、記号、図形状の輪郭が投影される。これにより、LED表示装置3は、表示する表示情報を表す文字、記号、図形状の輪郭を意匠パネル1に投影して表示する。
なお、意匠パネル1は、透明樹脂材料で成形されるとともに、光が透過可能な色に塗装されているため、LED表示装置3が表示する表示情報は前面側からも視認可能となる。
【0013】
図5は、実施の形態1に係るLED表示装置3を示す図である。なお、図5では、簡単のため表示部カバー12と表示部ホルダー17とを省略している。
図5に示すLED表示装置3は、図3に示すLED表示装置3の構成に加え、移動機構19を備える。移動機構19は、モーター20、歯車21、シャフト22、ベルト23を備える。基板15は、移動機構19のベルト23に取り付けられている。LED表示装置3は、制御部により、モーター20を動作させることで、歯車21、シャフト22を回転させ、ベルト23を移動させる。これにより、基板15を印刷シート13の背面に沿って横方向(図5のX方向)へスライド移動させることができる。
図5に示すLED表示装置3では、図3に示すLED表示装置3に比べ、基板15が備えるLED16の数が少ない。つまり、図3に示すLED表示装置3では、全ての光透過部18のそれぞれに対応してLED16が配置されていたが、図5に示すLED表示装置3では、同時に点灯させることが必要となる最低限の数のLED16が配置されている。
図5に示すLED表示装置3は、制御部により、表示する表示情報に応じて、移動機構19のモーター20を制御し、その表示情報を示す光透過部18の背面へ基板15を移動させるとともに、その表示情報に対応して配置されたLED16のみを点灯させ、その他のLED16を消灯させる。これにより、LED表示装置3は、表示する表示情報を表す文字、記号、図形状の輪郭を意匠パネル1に投影して表示する。
【0014】
以上のように、図5に示すLED表示装置3では、LED16の数を減らすことができ、コストダウンすることができる。
【0015】
なお、上記説明では、光透過部18は、印刷シート13に印刷されて形成されるものとして説明した。しかし、光透過部18は、例えば、孔によって形成されていてもよい。
また、上記説明における移動機構19の構成は一例であり、他の構成であってもよい。特に、図5では、移動機構19は基板15を横方向(図5のX方向)にのみ移動可能な構成であったが、上下方向(図5のY方向)へも移動可能な構成であってもよい。
【0016】
また、図5に示すLED表示装置3では、全ての表示情報を同時に表示することはできない。したがって、表示する表示情報が多数存在する場合には、基板15を移動させて各表示情報を順に切り替えて表示することになる。
図6に示すように、光透過部18Aの背面のみ移動可能な移動機構19を備え、光透過部18Bの背面には基板15を固定して配置してもよい。この場合、光透過部18Aによって表される表示情報は順に切り替えて表示することになる。しかし、光透過部18Bによって表される表示情報は、光透過部18Aによって表される表示情報と同時に表示することができる。
また、図7に示すように、光透過部18Cの背面のみ移動可能な移動機構19Aと、光透過部18Dの背面のみ移動可能な移動機構19Bとを備えてもよい。この場合、光透過部18Cによって表される表示情報は順に切り替えて表示され、光透過部18Dによって表される表示情報も順に切り替えて表示される。しかし、光透過部18Cによって表される表示情報と、光透過部18Dによって表される表示情報とを同時に表示することができる。
【0017】
以上をまとめると、LED表示装置3は、文字、図形、記号状に光を透過するように縁取られて印刷された印刷シート13と、LED16を複数個配置した基板15が印刷シート13裏側に沿って移動可能な移動機構19とを備え、表示目的により印刷シート裏側の指定の位置に基板15が移動することにより、文字、図形、記号状に印刷シート13を発光させることを特徴とする。
【符号の説明】
【0018】
1 意匠パネル、2 筐体、3 LED表示装置、4 フィルター自動清掃機構、5 ドレンパンユニット、6 熱交換器、7 送風ファン、8 電気品箱、9 基台、10 フィルター、11 ダストボックス、12 表示部カバー、13 印刷シート、14 基板ホルダー、15 基板、16 LED、17 表示部ホルダー、18 光透過部、19 移動機構、20 モーター、21 歯車、22 シャフト、23 ベルト。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光が透過する複数の光透過部を有し、前記複数の光透過部の各光透過部が複数の表示情報の各表示情報を表す形状に形成されたシートと、
前記シートの背面側に配置された基盤であって、光源が設置された基盤と、
前記基盤を前記シートの背面に沿って移動させる移動機構と、
前記複数の表示情報のどの表示情報を表示させるかに応じて、前記移動機構を制御して前記基盤を移動させる制御部と
を備えることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記基盤には、複数の光源が設置され、
前記制御部は、どの表示情報を表示させるかに応じて、前記移動機構を制御して前記基盤を移動させるとともに、前記基盤に設けられた複数の光源のうちどの光源を点灯させるかを制御する
ことを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
空気調和機の室内機であり、
熱交換器を収納する本体と、
前記本体の前面側に配置されたシートであって、光が透過する複数の光透過部を有し、前記複数の光透過部の各光透過部が複数の表示情報の各表示情報を表す形状に形成されたシートと、
前記シートの背面側に設けられた基盤であって、光源が設置された基盤と、
前記基盤を前記シートの背面に沿って移動させる移動機構と、
前記複数の表示情報のどの表示情報を表示させるかに応じて、前記移動機構を制御して前記基盤を移動させる制御部と
を備えることを特徴とする空気調和機の室内機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−163616(P2011−163616A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−25392(P2010−25392)
【出願日】平成22年2月8日(2010.2.8)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】