説明

表示装置及び表示システム

【課題】画素分割を行わず簡易な構成で良好な画質のカラーを表示できる表示装置及び表示システムを提供すること。
【解決手段】その表面に温度変化により発色・消色を繰り返す材料が形成されたベルト状部材1、2、3と、画像書込手段5、6、7と、画像消去手段8,9、10、ベルト駆動手段、及び前記ベルト状部材の内周に配置された背面板4を有し、前記画像書込手段として加熱手段を用い、該加熱手段、該画像消去手段により該ベルト状部材に所定の情報の書き込み・消去を行い、ベルト回動により画像を変えて表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メモリー性反射型カラーの表示装置及び表示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
表示装置の代表的な方式として、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、ELディスプレイ、LED表示素子等の発光型ディスプレイが既に実用化されているが、これら表示装置は同じ画像情報を表示する場合であっても、常に通電し続ける必要があり、屋外の広告や掲示板等の用途に用いる場合、動画表示が可能なメリットはあるが消費電力の面で反射型ディスプレイに対して非常に大きなデメリットを有している。これは以下の理由によるものである。
【0003】
一般事務所内の室内の明るさが数百ルクスであるのに対し、晴天時の屋外は1万ルクスを超える明るさであるため、この明るさでも視認できるようにディスプレイ側の発光強度(明るさ)を大きくする必要があるためである。例えば、比較的消費電力の小さなLED表示装置であっても、一般に表示面積1m2あたり約1KWhの電力を消費していた。
【0004】
また静止画の広告用途や掲示板の様に、同じ情報を長時間表示していた場合、液晶ディスプレイやプラズマディスプレイなどは、それまで表示していた情報の跡が画面上に残る、いわゆる焼き付きの現象が起き、特にプラズマディスプレイの様に蛍光体の発光により表示する方式では、焼き付きが顕著である。よって静止画表示にはこのようなことが起こらない方式が望まれる。
【0005】
電気泳動表示素子も既に実用化され、電子ブック等の用途に用いられている。電気泳動表示素子は、反射型表示素子であるため、明るい屋外であるほど視認性が良好であり、また表示メモリー性を有するため、通電は画面の書換え時のみであり消費電力は発光型ディスプレイと比較して大きく抑えられる。
【0006】
しかし、電気泳動表示素子でフルカラー表示を行う場合は、図12に示す様にカラーフィルタを用いて1画素を赤、緑、青の三色に分割する必要があるため、例えば1画素中で赤を表示させる場合は画素全体の1/3の面積しか赤を表示することができず、良好な画質でフルカラーを表示することは困難であった。
【0007】
前述の発光型ディスプレイでは、画素を3分割していたとしても、ディスプレイ側の発光強度を調節することで良好なフルカラー表示を可能としているが、反射型ディスプレイでは、そのようなことが原理的に不可能であった。
【0008】
(1):この様な問題を解決するためには、反射型表示装置においては画素分割を行わず、1画素内において多色表示を行う必要がある。例えば、メモリー性を有するエレクトロクロミック表示素子をアクティブマトリックスで駆動し、且つ表示セルを3層(Y、M、C)積層することで、フルカラー表示を可能としている表示方式がある(特許文献1参照)。
【0009】
しかしこの表示方式では、薄膜を何層にも積層するアクティブマトリックス表示素子を3層積層しているため、構成が複雑になり装置が高価になる。特に屋外広告のような、対角100インチ以上の大画面表示装置を作製しようとした場合、より高価な表示装置となる。
【0010】
また、一般に加熱による発色を表示に利用する場合、その経時変化が問題となり、長時間同じ表示を継続できない場合が生じる。これは感熱紙など、経時で白い紙が徐々に着色していく等、一般に見受けられるが、この問題は特に屋外における広告用途などで発生する可能性が高いといった問題を有していた。
【0011】
(2):また、加熱により画像の表示と消去を行うベルトを回動することにより様々な画像の表示を行う発明が開示されている(特許文献2参照)。しかし、この方法ではベルトがたわみ易く、このベルトの上から手書きで書き込む等の作業がし難いといった課題を有していた。これは、特にこの表示装置をオフィス等にあるその部門の予定表(個人名とその予定を示したもの)に適用する際、PC(パソコン)のデータ表示と手書き書き込みの両方を行うような利用形態の場合、問題が生じる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、上記の問題に鑑み、画素分割を行わず簡易な構成で良好な画質のカラーを表示できる表示装置及び表示システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、前記目的を達成するため、以下の構成とした。
(1):その表面に温度変化により発色・消色を繰り返す材料が形成されたベルト状部材と、画像書込手段と、画像消去手段、ベルト駆動手段、及び前記ベルト状部材の内周に配置された背面板を有し、前記画像書込手段として加熱手段を用い、該加熱手段、該画像消去手段により該ベルト状部材に所定の情報の書き込み・消去を行い、ベルト回動により画像を変えて表示することとした。
(2):(1)記載の表示装置において、
前記ベルト状部材の基材が可視光に対して透明であり、該ベルト状部材の内周又は外周に沿って、その基材が可視光に対して透明な1つ以上の他のベルト状部材が具備されており、さらにこれらベルト状部材への前記加熱手段、前記画像消去手段がそれぞれ具備され、各々のベルト状部材表面には加熱により発色・消色を繰り返す材料が形成されており、前記加熱手段により所定の情報が各々のベルト形状部材において異なる色で書き込まれた後、これらのベルト状部材を重ねることによりカラー表示を行うこととした。
(3):(1)または(2)に記載の表示装置において、ベルト状部材に書き込まれる情報の中に、ベルト状部材を各々所定の位置に合わせるための位置合わせ情報を含むこととした。
(4):(1)乃至(3)の何れか1つに記載の表示装置において、前記ベルト状部材の正転・逆転を可能としている。
(5):(1)乃至(4)の何れか1つに記載の表示装置において、前記加熱手段を前記ベルト状部材に沿って移動可能とした。
(6):(1)乃至(5)の何れか1つに記載の表示装置に加えて、該表示装置への情報転送手段、転送データを処理するデータ制御手段を備えることで表示システムを構成した。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、簡易な構成で良好な画質でフルカラーを表示できる表示装置及び表示システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】表示装置の斜視図である。
【図2】(a)は表示装置のベルト駆動時における平面図、(b)は表示装置のベルト停止時における平面図である。
【図3】(a)は3つのベルト状部材の分解図、(b)は正面図である。
【図4】(a)は3つのベルト状部材の分解図、(b)は正面図である。
【図5】表示装置の斜視図である。
【図6】表示装置の平面図である。
【図7】表示システムの斜視図である。
【図8】発色、消色プロセスを示した図表である。
【図9】表示装置の部分的な拡大斜視図である。
【図10】混色原理を図解した図である。
【図11】照明手段の斜視図である。
【図12】従来技術としてのカラー表示の模視的な説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施の形態を説明する。
【0017】
[表示装置の構成・動作]
図1は表示装置の外観斜視図、図2は上面図である。これらの図において、可視光に対して透明なシート状の基材の表面に発色剤を形成したベルト状部材が3個具備されている。本例ではベルト状部材はエンドレスベルトであり、ベルト状部材1の内周に沿ってベルト状部材2が具備されており、さらにベルト状部材2の内周に沿ってベルト状部材3が具備されている。
【0018】
各ベルト状部材はその長手方向(張設方向)両端部を対向ローラで支持されている。ベルト状部材1はベルト支持ローラR1a、R1b、ベルト状部材2はベルト支持ローラR2a、R2b、ベルト状部材3はベルト支持ローラR3a、R3bでそれぞれ支持されている。また、各ベルト内周部に接するようにして適宜テンションローラRが設けられている。最も内側に配置されたベルト状部材3の内側には支持ローラR3a、R3bの対向間隔にわたり、平たい矩形状をした背面板4が配置されている。背面板4はそのベルト状部材の幅(支持ローラの軸方向長さ)方向での寸法が該ベルト幅と略同じに合わせてある。また、背面板4の表側は画像が表示される画像表示領域4aを構成している。
【0019】
各ベルト状部材の外周部には支持ローラの軸方向に長さを有する加熱手段がベルト面に対向して設けられている。加熱手段としては例えば、サーマルヘッドを使用することができる。図の例では、ベルト状部材1、2、3に対する加熱手段5、6、7はローラR1a、R2a、R3aの近傍であって背面板4の画像表示領域4aを避けた位置にある。
に位置している。ベルト状部材1、2、3の表面に形成された発色剤は温度変化により発色、消色を繰り返す材料からなり、加熱手段5、6、7で加熱することにより発色するので、この原理を利用して情報を可視化して書き込むことができる。ここでは、ベルト状部材1にシアン、ベルト状部材2にマゼンタ、ベルト状部材3にイエローで情報が書き込まれるとする。
【0020】
ベルト状部材3の内周に設置された背面板4はその表面は白色であり、ベルト部材1、2、3の発色剤が共に消色(透明)となっている部位ではベルトを透かして背面板4が白く見え、ベルト状部材1、2、3の全てが発色している部位はシアン、イエロー、マゼンタが重なるので黒く見える。その他の部位はベルト状部材1、2、3に書き込まれた情報に応じて様々な色が表示される。
【0021】
加熱手段で書き込まれた情報は、画像消去手段によって消去される。画像消去手段はベルト状部材表面から熱を奪う機能を有し、加熱手段とは逆の作用により発色状態を消色する。画像消去手段は画像を書き込むため画素レベルで加熱することができる加熱手段とは異なり、一律に画像を消去すれば足るのでシート状の対象物から熱を奪う一対のヒートローラを用いることができる。図1、図2においてベルト状部材1、2、3に対応して画像消去手段8、9、10がローラR1a、R2a、R3aベルト状部材を挟むようにして設けられている。図の例ではローラR1a、R2a、R3aの近傍であって背面板4の画像表示領域4aを避けた位置にある。
【0022】
図1、図2に示した構成に加え、さらに4番目のベルト状部材を、上記加熱手段、上記画像消去手段と共に、ベルト状部材3の内側であって該ベルト状部材3と背面板4との間に設置してもよい。この場合、該4番目のベルト部材4で黒を発色表示させることにより、より高品質なカラー画像表示が可能となる。部材をさらに追加して多色化することにより、高品質なフルカラー表示が可能となる。
本例においては、背面板4の表面がイエローである場合は、ベルト状部材3を白と透明に変化させることにより、カラー表示を行うことも可能である。
【0023】
ローラR1a、R2a、R3aは図示を省略した各モータにより回転駆動され、これに伴い、ベルト状部材1、2、3は図中時計回りの向きに回転駆動されるようになっている。画像書き込み及び画像消去の際には、ベルト状部材1、2、3が回転されるが、その場合、図2(a)に示すように、ベルト状部材1、2、3同士、また、ベルト状部材3と背面板4とが各々擦れ合うと画像やベルトを損なうので、擦れ合わないようにテンションローラR等で位置間隔を調整している。
【0024】
これに対して、画像表示時には、図2(b)に示すように、ベルト状部材1、2、3の動きを停止して、画像表示領域4a側の背面板4側に移動させて各ベルト状部材1、2、3を密着させてもよい。これにより画像表示領域4aを見る角度によらず表示画像が鮮明となる。かかるベルト状部材1、2、3の移動は、テンションローラRの位置を変位させることにより可能である。
【0025】
支持ローラR1a、R2a、R3a(及びR1b、R2b、R3b)はベルト状部材1、2、3が滑らかに回動するように、内側に行くに従って、そのローラ半径が小さくなっている。ベルトの厚さ分だけローラ半径を小さくすることによって、各々の部材は密着した状態に近い状態で回動することが可能となる。ベルト状部材1、2、3が回動することで擦れあい、静電気を帯びる場合には、支持ローラR1a、R2a、R3a(及び/又はR1b、R2b、R3b)を導電性部材としこれをアースに落とし、さらにベルト状部材1、2、3と支持ローラR1a、R2a、R3a(及び/又はR1b、R2b、R3b)との接触部表面に透明導電膜を形成する等の導電処理を行うことで、静電気を防止することが可能となる。
【0026】
ベルト状部材1、2、3は接合ベルト、シームレスベルトのいずれも適用可能であるが、シームレス化することによりベルトの耐久性が向上する。また、接合ベルトの場合は表示装置の大画面化が容易である。
【0027】
ベルト状部材1、2、3は透明なベルト形状であればSiO2等の無機絶縁材料、ポリイミド樹脂、スチレン樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン、塩化ビニル系樹脂、ポリエステルアルキド樹脂、ポリアミド、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリスルホン、ジアリルフタレート樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、PFA等のフッ素系樹脂、パリレン樹脂、エポキシアクリレート、ウレタン−アクリレートに代表される光硬化性樹脂、プルラン・セルロースに代表される多糖類及びその誘導体等の有機絶縁材料が用いられる。
【0028】
ベルト状部材1、2、3の厚さは、一般的なフィルムの厚さが適用可能であり、20μm〜200μmの厚さ、及びその前後の厚さが適宜使用可能である。
【0029】
本発明に適用可能な加熱により発色・消色を繰り返す材料の例として、トリフェニルメタンフタリド系化合物、フルオラン系化合物、フェノチアジン系化合物、ロイコオーラミン系化合物、ローダミンラクタム系化合物、スピロピラン系化合物、インドリノフタリド系化合物等、特開平5−63935に用いられている材料等が適用可能である。
【0030】
本例では、基材の表面に加熱により発色・消色を繰り返すトリフェニルメタンフタリド系化合物等の材料が形成されているベルト状部材1と、さらに加熱手段5と、ベルト駆動手段(支持ローラR1a及び該支持ローラに連結されたモータ等の駆動手段)がそれぞれ具備され、この加熱手段5により該部材1に所定の情報の書き込み・消去を行い、ベルト回動により様々な画像を表示する。さらに、ベルト状部材1の基材が可視光に対して透明であり、該基材の内周(又は外周)に、その基材が可視光に対して透明な1つ以上の他のベルト状部材(2、3)が具備されており、該部材に加熱を行う手段(6、7)がそれぞれ具備され、各々のベルト状部材(2、3)の表面に加熱により発色・消色を繰り返す材料(トリフェニルメタンフタリド系化合物等)が形成されており、加熱手段(6、7)により所定の情報が各々のベルト状部材(2、3)において異なる色で書き込まれた後、これらのベルト形状部材(1、2、3)を重ねることにより表示を行う。
【0031】
これにより情報が視覚的に保持される、表示メモリー性のある画像表示が可能となり、画像表示中の電力が殆ど不要のため、消費電力の大幅な低減が可能となる。また、ベルト状部材の内周に背面板4が設置されているため、サーマルペンによる書き込みも問題なく行うことが可能となる。また、仮に経時変化で画像が変色するような環境下であっても、変色に至る前に画像を消去し、同じ画像を書き込むことで、常に同じ表示を維持できる。さらに、1画素多色表示で、表示メモリー性を有する反射型カラー表示装置を提供することが可能となる。
【0032】
[位置合わせ手段]
本例では、複数のベルト状部材のそれぞれにできた単色画像を重ねてフルカラーを含む多色カラー画像を構成するのであるから、各ベルト状部材について基準位置を合わせることが重要となる。そこで上記の表示装置において、各ベルト形状部材に書き込まれた情報の中に、ベルト形状部材同士を各々所定の位置に合わせるための位置合わせ情報を含ませることとしている。これにより高精細なカラー画像の表示が可能となる。
【0033】
図2において、背面板4の画像表示領域4aの左端部にカメラ11が設置されている。このカメラ11は、ベルト状部材1、2、3にそれぞれ書き込まれた位置合わせ情報をそれぞれ読み取る。その読取情報は例えば図示しない制御手段に送られる。制御手段により、読取情報が同一位置で合致するようにベルトが駆動される。
【0034】
[位置合わせ情報の例1]
図3(a)において、手前側(表側)から、ベルト状部材1、2、3の順にベルト状部材が配置されており、ベルト状部材1には十字形M1、ベルト状部材2には小さい四角形M2、ベルト状部材3には大きい四角形M3からなる各位置合わせ情報が記録されている。
図3(b)に示したように、十字形M1の交点が小さい四角形M2及び大きい四角形M3の各対角線の交点と合致した状態を以って、位置合わせができた状態とする。そのための前提として、各ベルト状部材1、2、3には予め図3(b)に示した状態が実現される位置にそれぞれの位置合わせ情報が記録されるようになっている。
【0035】
[位置合わせ情報の例2]
図4(a)において、手前側(表側)から、ベルト状部材1、2、3の順にベルト状部材が配置されており、ベルト状部材1には小リングM4、ベルト状部材2には中リングM5、ベルト状部材3には大リングM6からなる各位置合わせ情報が記録されている。
図4(b)に示したように、小リングM4、中リングM5、大リングM6の各中心が重なり、同心円上に見えた状態を以って、位置合わせができた状態とする。そのための前提として、各ベルト状部材1、2、3には予め図4(b)に示した状態が実現される位置にそれぞれの位置合わせ情報が記録されるようになっている。
【0036】
回動可能なベルトを各々所定の位置に合わせるための情報は、一箇所以上、複数個所設置されていればより正確な位置合わせが可能となる。
【0037】
[ベルト状部材は正逆転可能]
本例において、回動可能な各ベルト状部材1、2、3は、且つ正転・逆転が可能である。ベルト状部材を適宜、正転・逆転させることによって、ベルト寄りを防ぐことが可能となる。
【0038】
回動可能なベルト状部材1、2、3は、常時同じ方向に回動を続けた場合、ベルト支持ローラR1a、R1b、2a、R2b、R3a、R3bの取り付け精度やローラの部品精度(振れ・全振れ等)によって、ベルト状部材がローラ中央部から端部に移動していく、所謂「ベルト寄り」の現象を起こす場合がある。「ベルト寄り」が発生すると、ベルト形状部材同士を正確に位置あわせすることが困難となるが、正転後に逆転を行うことにより、「ベルト寄り」よって、ベルト支持ローラR1a、R1b、2a、R2b、R3a、R3b軸方向に移動したベルトをもとの位置に戻すことができ、正確な位置合わせが可能となる。
【0039】
[加熱手段、画像消去手段の自走]
加熱手段5、6、7は、図1、2に示したように、ローラR1a、R2a、R3aの近傍であって背面板4の画像表示領域4aを避けた位置に位置し、その配置位置を固定してもよいが、位置を固定せずに、自走可能とし移動させるようにすることもできる。自走手段としては、リニアモータ、ラックピニオン機構等を適宜適用し、直線状のガイドに案内されて裏側を走行させる。
【0040】
自動可能とした場合には、例えば、図2(b)のように、各ベルト状部材1、2、3を停止し、画像情報を表示している間に、他の情報を書き込むことが可能となり、画像情報の切り替えをスムーズに行うことが可能となる。加熱手段5が自走している状態を図5、図6に示す。
【0041】
図5、図6では、加熱手段5のみがベルト状部材1上を自走可能となっている例であるが、全ての加熱手段がそれぞれに対応するベルト状部材上を移動可能としてもよい。また、画像消去手段8、9、10も加熱手段と同様にベルト状部材1、2、3上を自走可能としてもよい。
【0042】
加熱により各ベルト状部材に異なる色で情報を書き込む際、発色速度・消色速度が各々の色で異なる場合がある。図5、図6の例では、発色速度が一番遅い色がシアンだった場合に、これを部材1上に形成し画像表示を行っている最中に、次に表示する画像中のシアン色が表示されるべき部位の書き込みを裏側で行うことができる利点がある。その後、ベルト状部材2、3上のマゼンタ、イエローの書き込みをそれぞれの加熱手段6、7を用いて行うことで、画像の表示を行う。
【0043】
[表示システム]
本例は、これまで説明した表示装置、該表示装置への情報転送・制御手段を具備する表示システムに関する。本例の表示システムでは、表示装置100と離れている場所からテキスト・画像情報等を送信して表示することが可能となる。
【0044】
図7に、表示装置100へのデータ転送手段101として無線通信を用いて表示装置100に内蔵したPC(パソコン)の受信部100aに送信している例を示す。データ制御手段としてはPC及びこのPCにインストールされているソフトウェアを用いる。このデータ制御手段により、例えば自動で定期的に情報を書き換えたりすることが可能となる。
【0045】
データ転送手段101による無線通信の規格として、IEEE802.11a、IEEE802.11b、IEEE802.11g、IEEE802.11n、IEEE802.16e等、既存の規格が用いられる。また、LANケーブルやUSBケーブル等有線のデータ転送手段を用いることも可能である。本例においては、PC、サーバーに情報の保存手段が具備されていてもよい。また、画像表示部に露出しているベルト状部材1に手書きで書き込める手段を付加してもよい。具体的には、電池等でペン先が加熱可能なサーマルペンが挙げられる。
【0046】
[発色、消色のしくみ]
本発明における発色、消色のしくみを補足する。発色と消色はベルト状部材を構成する基材の表面に形成された発色剤である例えば、トリフェニルメタンフタリド系化合物の加熱の条件の違いで起こる。図8において、(A)低温のr.tから、高い温度T1に加熱(たとえば160°C)すると融けて溶融状態となり(B)、ここから急冷すると発色する(C)。そして、この発色状態から再び少し低い温度T2へ加熱すると消色する。消色時には基材と同じく透明となる。発色させる部分だけを加熱手段としてのサーマルヘッドで加熱すれば文字等を書くことができる。また、ベルト状部材全体を画像消去手段としての例えばヒートローラで低い温度T2(T2<T1)に加熱すれば(D)、書き込まれた文字を完全に消去することができる。この現象は繰り返し起こすことができる。
【0047】
[発色、消色の例]
図9に加熱手段5としてサーマルヘッド、画像消去手段8としてヒートローラを用いてベルト状部材1に画像を形成し、また、形成した画像を消去する例を示す。ここで、サーマルヘッドとしては、例えば、印刷機用の製版に用いるサーマルヘッド等、印字用のものを適用できる。ヒートローラは図8からわかるようにベルト状部材1を所定の温度T2にする手段であり、加熱する態様もある。
【0048】
矢印で示す向きに移動するベルト状部材1には、加熱手段5を通過する際に画像が書き込まれ、また、書き込まれた画像は、画像消去手段8を通過する際に消去される。よって、背面板4の表側(画像表示領域4a)には加熱手段5により書き込まれた新しい画像を表示することができる。
【0049】
[混色の表示]
イエローとマゼンタの混色で赤を表示する場合を図10により説明する。シアン、マゼンタ、イエローの3色で混色を表示する場合、図10に示すようにイエローで発色したベルト状部材3にマゼンタで発色したベルト状部材2を重ねることでこれらを透かして赤が認識される。階調はイエローとマゼンタの濃度で調節する。
【0050】
[背面板の光源]
以上の実施例において、屋外において夜間他に外灯等の光源がなく、表示情報が見えないときには背面板4に光源を設置する。その設置場所として以下の箇所が適当である。
(1):図1における画像表示領域4aの前面に図11に示すように矩形透明板12を配置し、その四隅表面に棒状の発光体であるライトポール13を立てる。表示装置が屋外に設置されている大型のポスターの様に、夜間時に前面からライトアップことにより行う。消費電力の面からLEDライトが好ましい。
(2):背面板4おいて、液晶のバックライト同様に背面照射を行う。光源としては(1)と同様にLEDが消費電力の面から好ましい。
【符号の説明】
【0051】
1、2、3 ベルト状部材
4 背面板
4a 画像表示領域
5、6、7 加熱手段
8、9、10 画像消去手段
11 カメラ
12 透明板
13 ライトポール
100 表示装置
101 データ転送手段
R1a、R1b、R2a、R2b、R3a、R3b ベルト支持ローラ
M1 十字形
M2 小さい四角形
M3 大きい四角形
M4 小リング
M5 中リング
M6 大リング
R テンションローラ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0052】
【特許文献1】特開2008−122797号公報
【特許文献2】特許第2866223号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
その表面に温度変化により発色・消色を繰り返す材料が形成されたベルト状部材と、画像書込手段と、画像消去手段、ベルト駆動手段、及び前記ベルト状部材の内周に配置された背面板を有し、前記画像書込手段として加熱手段を用い、該加熱手段、該画像消去手段により該ベルト状部材に所定の情報の書き込み・消去を行い、ベルト回動により画像を変えて表示することを特徴とする表示装置。
【請求項2】
請求項1記載の表示装置において、
前記ベルト状部材の基材が可視光に対して透明であり、該ベルト状部材の内周又は外周に沿って、その基材が可視光に対して透明な1つ以上の他のベルト状部材が具備されており、さらにこれらベルト状部材への前記加熱手段、前記画像消去手段がそれぞれ具備され、各々のベルト状部材表面には加熱により発色・消色を繰り返す材料が形成されており、前記加熱手段により所定の情報が各々のベルト形状部材において異なる色で書き込まれた後、これらのベルト状部材を重ねることによりカラー表示を行うことを特徴とする表示装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の表示装置において、ベルト状部材に書き込まれる情報の中に、ベルト状部材を各々所定の位置に合わせるための位置合わせ情報が含まれていることを特徴とする表示装置。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか1つに記載の表示装置において、前記ベルト状部材の正転・逆転が可能であることを特徴とする表示装置。
【請求項5】
請求項乃至4の何れか1つに記載の表示装置において、前記加熱手段が前記ベルト状部材に沿って移動可能であることを特徴とする表示装置。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れか1つに記載の表示装置に加えて、該表示装置への情報転送手段、転送データを処理するデータ制御手段を具備したことを特徴とする表示システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2012−48146(P2012−48146A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−192580(P2010−192580)
【出願日】平成22年8月30日(2010.8.30)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】