説明

表示装置

【課題】従属項目の表示開始から表示終了までの所要時間が主項目毎に異なることによる従属項目の表示における各主項目間の相対的遅延がユーザに与えがちの違和感又は不愉快感を防止することが出来る表示装置を提供する。
【解決手段】従属項目の表示指示を受付ける受付部13が一の主項目の従属項目の表示指示を受付けてから前記従属項目の表示が開始されるまでの待ち時間を決定する決定手段と、該決定手段の決定結果に基づき、前記従属項目の表示を開始する表示手段とを備え、各主項目の従属項目の表示が同一時刻に完了するように合わせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メニューを表示する表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の技術の発展は、各種電気機器における多機能化を実現してきた。つまり、各電気機器は高機能、使用上利便さ、省エネルギーなどを求めてその電気機器本来の機能に加え、様々な付加的又は補助的機能を備えることとなった。
【0003】
また、このような電気機器の多機能化により、ユーザが多機能を持つ電気機器を有効に使用できるようにするための機能、つまりその電気機器が有する機能、操作方法などをユーザに説明する例えば、メニュー表示機能の強化及び適切な活用が要求されることとなった。このような必要に応じて、特許文献1では、個々の機能に合わせてメニュー、アイコン等の操作オブジェクトの表示速度、例えばマウスポイントの移動速度などの表示方法を動的に制御し、ユーザに予測処理時間の長さを認識させることにより、ユーザが処理時間を予測して作業の順序を調整できるユーザインタフェース装置を提供している。
【特許文献1】特開平5−233190号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、電気機器の多機能化による電気機器の機能の増加は、メニューに説明すべき項目の増加を伴うので、使い勝手がむしろ悪くなるといった問題がある。
【0005】
例えば、複数の主項目を含むメニューが表示される場合、数多い従属項目を有する主項目と、従属項目の数が少ない主項目との間には、その従属項目の表示開始から表示完了までの所要時間に差が生じる。従って、ユーザが従属項目の表示に係る操作を連続的に複数の主項目に対して行った場合、所要時間が長い従属項目の表示に対しては遅延感を感じるようになる。また、このような主項目の従属項目の表示における相対的遅延は、ユーザに違和感又は不愉快感を与える恐れがある。しかしながら、特許文献1のユーザインタフェース装置ではこのような問題を解決することが出来ない。
【0006】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、従属項目の表示指示を受付けてから前記従属項目の表示が開始されるまでの待ち時間を決定する決定手段と、該決定手段の決定結果に基づき、前記従属項目の表示を開始する表示手段とを備えることにより、各主項目の従属項目の表示が同一時刻に完了するように合わせ、従属項目の表示における相対的遅延がユーザに与えがちの違和感又は不愉快感を防止することが出来る表示装置を提供することにある。
【0007】
また、本発明の他の目的は、主項目毎の前記所要時間を計時する計時手段を備え、該計時手段による各主項目の計時結果に基づき、前記決定手段が主項目毎の待ち時間を決定するように構成することにより、従属項目の増減に伴う主項目に係る前記所要時間の変更に対応することが出来る表示装置を提供することにある。
【0008】
また、本発明の他の目的は、主項目毎の所要時間又は前記待ち時間を記憶する記憶手段を備えることにより、各主項目に対する前記所要時間の計時を省略して前記記憶手段が記憶している所要時間又は待ち時間に基づいて従属項目の表示を行い、処理の簡略化が実現できる表示装置を提供することにある。
【0009】
また、本発明の他の目的は、従属項目の数に変更があったか否かを判定し、変更があったと判定された場合、前記記憶手段が記憶している所要時間又は待ち時間の更新を行うことにより、従属項目の数に変更が発生した場合であっても、該変更に対応し、従属項目の表示を同一時刻に完了させることが出来る表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る表示装置は、メニューを構成する複数の主項目毎に一又は複数の従属項目が従属されており、従属項目の表示指示を受付ける受付手段が一の主項目の従属項目の表示指示を受付けて前記従属項目を表示する場合、前記主項目の全従属項目の表示開始から表示完了までの所要時間が主項目毎に異なる表示装置において、前記受付手段が従属項目の表示指示を受付けてから前記従属項目の表示が開始されるまでの待ち時間を、各主項目の所要時間に基づいて決定する決定手段と、該決定手段の決定結果に基づき、前記従属項目の表示を開始する表示手段とを備えることを特徴とする。
【0011】
本発明にあっては、前記受付手段が何れかの主項目の従属項目の表示指示を受付けた場合、前記決定手段により各主項目の所要時間に基づいて決定された待ち時間の経過後、前記表示手段が表示指示に係る前記従属項目の表示を開始する。
【0012】
本発明に係る表示装置は、主項目毎の前記所要時間を計時する計時手段を備え、前記決定手段は、前記計時手段による各主項目の所要時間の計時結果に基づき、主項目毎の待ち時間を決定するように構成してあることを特徴とする。
【0013】
前記計時手段が主項目毎の所要時間を計時し、前記決定手段は計時手段による各主項目の所要時間の計時結果に基づき、主項目毎の待ち時間の決定を行う。また、前記表示手段は前記決定手段により決定された待ち時間に基づき、従属項目の表示を開始する。
【0014】
本発明に係る表示装置は、主項目毎の前記所要時間又は待ち時間を記憶する記憶手段を備え、前記表示手段は、前記記憶手段が記憶している所要時間又は待ち時間に基づき、前記従属項目の表示を開始するように構成してあることを特徴とする。
【0015】
本発明にあっては、前記記憶手段が主項目毎の所要時間又は待ち時間を記憶しており、前記記憶手段が記憶している前記所要時間又は待ち時間に基づき、前記表示手段は従属項目の表示を開始する。
【0016】
本発明に係る表示装置は、従属項目の数に変更があったか否かを判定する項目変更有無判定手段と、該項目変更有無判定手段の判定結果に基づき、前記記憶手段が記憶している所要時間又は待ち時間の更新を行う更新手段とを備え、前記表示手段は、前記更新手段により更新された所要時間又は待ち時間に基づき、従属項目の表示を開始するように構成してあることを特徴とする。
【0017】
本発明にあっては、前記項目変更有無判定手段が従属項目の数に変更があったか否かを判定する。従属項目の数に変更があったと判定した場合、更新手段は前記記憶手段が既に記憶している所要時間又は待ち時間の更新を行い、更新された所要時間又は待ち時間に基づき、前記表示手段が従属項目の表示を開始する。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、従属項目の表示指示を受付けてから、前記従属項目の表示が開始されるまでの待ち時間を決定する決定手段と、該決定手段の決定結果に基づき、前記従属項目の表示を開始する表示手段とを備え、各主項目の従属項目の表示を同一時刻に完了させるので、従属項目を表示する際、各主項目に係る所要時間の差により、ユーザに与えがちの違和感又は不愉快感を防止する。
【0019】
本発明によれば、各主項目に係る前記所要時間を計時する計時手段を備え、該計時手段の計時結果に基づき、前記決定手段が前記待ち時間を決定するように構成しているので、従属項目の増減に伴う主項目に係る前記所要時間の変更に対応することが出来る。
【0020】
本発明によれば、主項目毎の所要時間又は待ち時間を記憶する記憶手段を備え、各主項目に対する前記所要時間の計時を省略して前記記憶手段が記憶している所要時間又は待ち時間に基づいて従属項目の表示を行うので、全体的に処理の簡略化が実現できる。
【0021】
本発明によれば、従属項目の数に変更があったか否かを判定し、変更があったと判定された場合は前記記憶手段が記憶している所要時間又は待ち時間の更新を行うので、従属項目の数に変更が発生した場合であっても、該変更に対応し、従属項目の表示を同一時刻に完了させることが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
(実施の形態1)
以下、本発明に係る表示装置を、投影型画像表示装置を例とし、その実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。図1は本発明の実施の形態1に係る投影型画像表示装置1の内部構成を示すブロック図である。本発明の実施の形態1に係る投影型画像表示装置1は光源装置3を備えている。光源装置3は、例えば超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ等の発光体4を有しており、発光体4が発した白色光は、回転放物面状の反射鏡によって反射されてカラーホイール5を透過し、ロッドインテグレータ9に入射する。
【0023】
カラーホイール5は、赤・緑・青の光を夫々透過させる扇状のカラーフィルタを周方向に配しており、カラーフィルタの回転通過域に光源装置3の投光域が位置するように配置されている。
【0024】
カラーホイール5の中心部には、モータ駆動部6により回転駆動されるモータ7の出力軸が接続されており、モータ駆動部6はモータ7を等速回転させる。モータ7の回転は、マイクロコンピュータからなる制御部8によって制御される。
【0025】
カラーホイール5が等速回転している場合、白色光は赤色、緑色及び青色のカラーフィルタに順次的に入射し、時系列で赤・緑・青の光に色時分割される。色時分割された光は、略長方形のロッドインテグレータ9の入射口に入射し、入射した光は、ロッドインテグレータ9の内面で反射を繰り返して均一な光となり、出射口から照明レンズ群10に入射する。
【0026】
照明レンズ群10は、例えばコンデンサレンズ及びリレーレンズからなり、白色光を空間光変調素子11、例えばDMDに入射させる。DMDは、画像データに係る画像の各ドットに対応付けられた複数の微小可動ミラーを備えている。DMDにはDMD駆動部12が接続されており、DMD駆動部12は、制御部8から与えられた画像データに基づいて、色時分割された赤・緑・青の光が、投影レンズ2へ又は投影レンズ2外へ選択的に反射するように、各微小可動ミラーを選択的に±10度傾ける。DMDに入射した光は、DMDの微小可動ミラーにより光変調され、光変調された変調光は、投影レンズ2に入射する。
【0027】
投影レンズ2は、変調光、即ち画像を拡大表示する光を被投影体20に投影する。その結果、画像データに係る画像が被投影体20に色時分割表示される。
【0028】
図2は制御部8の要部構成を示すブロック図である。制御部8は、CPU81、ROM82、RAM83、計時部84、記憶部85及び入出力ポート86から成る。
【0029】
CPU81は、内部バスを介して前述した制御部8のハードウェア各部と接続されており、計時部84に計時の指示、記憶部85に計時部84による計時結果の記憶の指示などを行う。
【0030】
ROM82には各種処理を行うためのプログラム、メニュー画像を作成するためのメニュー画像情報が格納されている。また、ROM82にはメニューを構成する主項目に従属される各従属項目の操作および操作による設定に係る情報が記憶されている。CPU81のワーキングエリアとしての役割をなすRAM83は、プログラムの実行時に発生する一時的なデータを記憶する。
【0031】
計時部84はCPU81の指示に応じて主項目毎の所要時間の計時を行ない、入出力ポート86には、モータ駆動部6、DMD駆動部12、受付部13等が接続されている。
【0032】
記憶部85は例えばEPROM又はEEPROMからなり、計時部84により計時された所要時間と、所要時間に係る主項目とを記憶する。また、記憶部85には各主項目の従属項目の表示に係る情報及び各従属項目の設定値などが記憶される。
【0033】
また、投影型画像表示装置1はユーザからの指示を受付ける受付部13を備えている。受付部13は、オン/オフボタン、カーソルを移動させる移動ボタン、メニューを表示させるためのメニューボタンなどを備え、オン/オフ、メニュー表示、従属項目の表示などの指示を受付ける。メニューの主項目及び従属項目の選択並びに、各従属項目に対する設定・調整は、受付部13に備えた移動ボタンを操作することにより行われる。また、受付部13は遠隔で操作を行うリモートコントローラでも良く、投影型画像表示装置1の本体に設けた操作パネルであっても良い。以下では、操作パネルを使用する場合を例として説明する。
【0034】
図3は投影型画像表示装置1により被投影体20に投影される主項目のみからなるメニュー画像のイメージを示す説明図である。前記メニュー画像には被投影体20に投影される画像の明るさ、明暗などを調整するための主項目である画像調整と、画像の色の調整において、入力信号と出力信号のバランスつまり、ガンマの調整によって行うための主項目であるガンマと、周波数、トラッキングの値などを調整して位相調整を行うための主項目であるシンクと、オーディオデータ、ビデオデータなどに対する詳細な設定を行うための主項目であるオプションと、希望する言語を選択するための主項目である言語とが表示されている。
【0035】
各主項目は夫々従属項目を有している。図4は従属項目を説明するためのメニュー画像のイメージを示す説明図である。図4には説明の便宜上、2つの主項目の従属項目を同時に示している。例えば主項目の画像調整は、明暗の差を調整するためのコントラスト、画像を明るく又は暗く調整するための明るさ、画像を薄く又は濃く調整するための色の濃さ、紫がかった色合い又は緑がかった色合いに調整するための色合い、画像の輪郭をやわらかく又はくっきりさせるためのシャープネス、温かい感じの色又はすっきりした感じの色に調整するための色温度、新しい従属項目を追加するためのアドバンスドなどの従属項目を有している。また、主項目のガンマは、ガンマ、白色、青色の調整において、全体的な色の調整により行うオールカラーと、赤(R)、緑(G)及び青(B)毎に行うための赤調整、緑調整、青調整の従属項目を夫々有している。
【0036】
図5は従属項目の操作を説明するための説明図である。図5には説明の便宜上、コントラスト、明るさ、色の濃さ、色合いの4つの従属項目が同時に選択された場合を示している。従属項目が選択された場合、左右の+又は−方向に移動するスライドバーと、スライドバーの移動を表す数字(括弧の中)が表示される。設定値が標準値である場合、スライドバーは+上限及び−下限の中心に位置しており、括弧の中には0の数字が表示される(色温度及び白伸長を除く)。ユーザは受付部13に備えた移動ボタンを操作することにより、スライドバーを+又は−方向に移動させ、設定値を変えることが出来、スライドバーの移動による設定値変化が数字として括弧の中に表示される。例えば、明るさの従属項目の場合、+方向に所定距離スライドバーを移動させており、移動距離に該当する数字15が括弧の中に表示されている。一方、色の濃さの従属項目の場合、−方向に所定距離スライドバーを移動させており、移動距離に該当する数字−30が括弧の中に表示されている。
【0037】
一方、各主項目は従属項目の数、各従属項目を表示するためのデータ量などが異なるので、各主項目の間には、従属項目の表示に要する所要時間、つまり表示開始から表示完了までの時間に差が発生する。また、このような従属項目の表示における各主項目間の相対的な遅延は、ユーザに違和感又は不愉快感を与えることになる。このような問題は各主項目の従属項目の表示完了時間、詳しくは従属項目の表示指示を受付けてから、表示を完了するまでの時間を同一にすることにより、解決される。
【0038】
表示完了時間を同一にすることは、各主項目の従属項目の表示を開始する時刻を調整することにより、実現できる。つまり、各主項目の従属項目の所要時間に基づき、従属項目の表示完了時間(又は表示完了時刻)が同一になるよう、表示開始時刻を調整することである。
【0039】
図6及び図7は前記所要時間を計時するためのCPU81の処理順序を説明するフローチャートである。
【0040】
受付部13がメニュー表示指示を受付けた場合(S101)、CPU81はROM82に記憶しているメニュー画像情報を読出してメニュー画像を作成し、被投影体20に主項目のみからなるメニューを表示する(S102)。
【0041】
また、受付部13が一の主項目の従属項目の表示指示を受付けた場合(S103)、CPU81は計時部84に所要時間の計時開始を指示し(S104)、記憶部85から前記一の主項目の従属項目の表示に係る情報を読出し、従属項目の表示を開始する。前記一の主項目の従属項目が表示された場合(S105)、つまり表示が完了した場合、CPU81は計時部84に所要時間の計時終了を指示する(S106)。計時部84により計時された所要時間は、該所要時間に係る主項目と共に記憶部85に記憶される(S107)。
【0042】
次いで、受付部13が何れかの主項目の従属項目の表示指示を受付けた場合(S108)、CPU81は記憶部85が記憶している情報に基づき、表示指示に係る主項目が既に所要時間の計時が行なわれた計時済みの主項目か否かを判定する(S109)。
【0043】
前記判定の結果、表示指示に係る主項目が計時済みの主項目であると判定した場合(S109:YES)、CPU81は表示指示に係る主項目の従属項目を被投影体20に表示する(S110)。一方、表示指示に係る主項目が計時済みの主項目でないと判定した場合(S109:NO)、CPU81は計時部84に所要時間の計時開始を指示し(S111)、従属項目の表示を開始する。前記主項目の従属項目が表示された場合(S112)、つまり表示が完了した場合、CPU81は計時部84に所要時間の計時終了を指示する(S113)。計時部84により計時された所要時間は、該所要時間に係る主項目と共に記憶部85に記憶される(S114)。
【0044】
次いで、CPU81は記憶部85が記憶している情報に基づき、全主項目に対する所要時間の計時が完了したか否かを判定する(S115)。全主項目に対する所要時間の計時が完了していないと判定した場合(S115:NO)、CPU81はS108に戻る。
【0045】
一方、全主項目に対する所要時間の計時が完了したと判定した場合(S115:YES)、CPU81は記憶部85が記憶している情報に基づき、全ての主項目の中、最長所要時間に係る主項目を記憶部85に記憶する(S116)。
【0046】
上述のような処理を行うことにより、記憶部85には各主項目の所要時間及び最長所要時間に係る主項目の情報が記憶されることとなる。この処理は、最初のセットアップの際又は一定時間毎に行う。
【0047】
図8は記憶部85が記憶している情報に基づき、各主項目の従属項目の表示を同一時刻に完了させるためのCPU81の処理順序を説明するフローチャートである。
【0048】
受付部13がメニュー表示指示を受付けた場合(S201)、CPU81はROM82に記憶しているメニュー画像情報を読出して主項目のみからなるメニュー画像を作成し、被投影体20にメニューを表示する(S202)。
【0049】
また、受付部13が一の主項目の従属項目の表示指示を受付けた場合(S203)、CPU81は記憶部85が記憶している情報に基づき、表示指示に係る主項目が最長所要時間に係る主項目であるか否かを判定する(S204)。
【0050】
判定の結果、表示指示に係る主項目が最長所要時間に係る主項目であると判定した場合(S204:YES)、CPU81は表示指示に係る主項目の従属項目を被投影体20に表示する(S205)。
【0051】
一方、表示指示に係る主項目が最長所要時間に係る主項目でないと判定した場合(S204:NO)、CPU81は記憶部85が記憶している情報に基づき、前記主項目に係る待ち時間を決定する(S206)。詳しくは、表示指示に係る主項目の所要時間と最長所要時間との差を求めることである。
【0052】
次いで、CPU81は計時部84に表示指示に係る主項目の従属項目の所要時間と最長所要時間との差に係る時間の計時の開始を指示する(S207)。計時部84は、前記差の時間が経過した場合、その旨をCPU81に通知する。
【0053】
計時部84により前記差に係る時間の経過が通知された場合、CPU81は計時部84に計時の終了を指示し(S208)、表示指示に係る主項目の従属項目を被投影体20に表示する(S209)。詳しくは、前記差に係る時間の経過が通知された場合、表示指示に係る主項目の従属項目の表示が開始され、所要時間経過後に表示が完了される。
【0054】
例えば最長所要時間が416msecであって最長所要時間に係る主項目が言語である場合、所要時間が324である主項目の画像調整の従属項目の表示指示を受付けた場合、S206にて待ち時間(92msec)が決定される。次いで、計時部84が92msecの計時を行ない、92msec経過後から、主項目の画像調整の従属項目の表示が開始される。
【0055】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2に係る投影型画像表示装置1は、実施の形態1に係る投影型画像表示装置1と同一の構成であるが、記憶部85において相違する。
【0056】
実施の形態2に係る投影型画像表示装置1の記憶部85は、例えばEPROM又はEEPROMからなり、デフォルトデータとして出荷時に予め各主項目に対する所要時間の情報が記憶されている。この所要時間の情報は、実施の形態2に係る投影型画像表示装置1の使用言語環境の変化に備えた使用言語毎の各主項目に係る所要時間の情報である。
【0057】
図9は記憶部85に記憶された所要時間の情報の一例を示す例示図であり、単位はmsecである。例えば、使用言語が英語である場合、各主項目の画像調整、ガンマ、シンク、オプション、言語の従属項目を表示するための所要時間は、夫々96、77、324、91、354msecである。また、この場合の最長所要時間は354msecであり、最長所要時間に係る主項目は言語である。また、最長所要時間に係る主項目はRAM83に記憶される。以下、実施の形態2に係る投影型画像表示装置1の構成に対する詳細な説明は省略する。
【0058】
図10は記憶部85が記憶している所要時間の情報に基づき、各主項目の従属項目の表示を同一時刻に完了させるためのCPU81の処理順序を説明するフローチャートである。
【0059】
受付部13がメニュー表示指示を受付けた場合(S301)、CPU81はROM82に記憶しているメニュー画像情報を読出してメニュー画像を作成し、被投影体20に主項目のみからなるメニューを表示する(S302)。
【0060】
次いで、CPU81は記憶部85から現使用の言語に係る所要時間の情報を読出し、RAM83に記憶する(S303)。また、現使用の言語に係る各主項目の所要時間の内、最長所要時間に係る主項目をRAM83に記憶する(S304)。
【0061】
また、受付部13が一の主項目の従属項目の表示指示を受付けた場合(S305)、CPU81はRAM83が記憶している情報に基づき、表示指示に係る主項目が最長所要時間に係る主項目であるか否かを判定する(S306)。
【0062】
判定の結果、表示指示に係る主項目が最長所要時間に係る主項目であると判定した場合(S306:YES)、CPU81は表示指示に係る主項目の従属項目を被投影体20に表示する(S307)。
【0063】
一方、表示指示に係る主項目が最長所要時間に係る主項目でないと判定した場合(S306:NO)、CPU81はRAM83が記憶している情報に基づき、前記主項目に係る待ち時間を決定する(S308)。詳しくは、表示指示に係る主項目の所要時間と最長所要時間との差を求めることである。
【0064】
次いで、CPU81は計時部84に表示指示に係る主項目の従属項目の所要時間と最長所要時間との差に係る時間の計時の開始を指示する (S309)。計時部84は、前記差の時間が経過した場合、その旨をCPU81に通知する。
【0065】
計時部84により前記差に係る時間の経過が通知された場合、CPU81は計時部84に計時の終了を指示し(S310)、表示指示に係る主項目の従属項目を被投影体20に表示する(S311)。
【0066】
実施の形態2においては、記憶部85が予め各主項目に対する所要時間の情報を記憶し、該情報に基づいて表示指示に係る主項目の従属項目の表示を行う場合について説明したが、これに限るものでない。記憶部85が各主項目に対する所要時間の情報の代わりに、予め最長所要時間と、各主項目に係る所要時間との差、つまり待ち時間の情報を各言語別に記憶し、これに基づいて表示指示に係る主項目の従属項目の表示を行うように構成しても良い。
【0067】
実施の形態1と同様の部分については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0068】
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3に係る投影型画像表示装置1は、メニュー画像において、表示される主項目の従属項目の数が変更される。つまり、ユーザが必要に応じて画像調整の主項目に従属する従属項目のアドバンスドを操作することにより、従属項目を増減させることが可能である。
【0069】
一般にメニュー画面に表示される従属項目は、表示スペースの問題上、比較的に頻繁に使用される従属項目のみを集めて表示しており、使用頻度の低い従属項目は表示されないようにしている。例えば、図4に示すような従属項目のアドバンスドはこのように表示されていない従属項目を全部表示させるための従属項目である。さらに、ユーザは従属項目のアドバンスドを操作することにより、必要なメニューだけをカスタマイズして表示させることも可能である。また、このような従属項目の数の変化は、従属項目の表示開始から表示完了までの時間、つまり所要時間の変更を招く。
【0070】
本発明の実施の形態3に係る投影型画像表示装置1は、実施の形態1に係る投影型画像表示装置1と同一の構成であるが、記憶部85において相違する。
【0071】
実施の形態3に係る投影型画像表示装置1の記憶部85は、例えばEPROM又はEEPROMからなり、デフォルトデータとして出荷時に予め各主項目に対する所要時間の情報が記憶されているが、従属項目の数の変更が生じた場合は、前記変更に対応して各主項目に対する所要時間の情報が更新される。また、記憶部85には各主項目の従属項目の表示における一つの従属項目当たりの平均所要時間を予め記憶している。各主項目に対する所要時間の情報及び一つの従属項目当たりの平均所要時間は、実施の形態3に係る投影型画像表示装置1の使用言語環境の変化に備え、使用言語毎に記憶されている。以下、実施の形態3に係る投影型画像表示装置1の構成に対する詳細な説明は省略する。
【0072】
図11は記憶部85が記憶している所要時間の情報の更新におけるCPU81の処理順序を説明するフローチャートである。
【0073】
受付部13がメニュー表示指示を受付けた場合(S401)、CPU81はROM82に記憶しているメニュー画像情報を読出してメニュー画像を作成し、被投影体20に主項目のみからなるメニューを表示する(S402)。
【0074】
次いで、CPU81は記憶部85から現使用の言語に係る所要時間の情報を読出し、RAM83に記憶する(S403)。また、現使用の言語に係る各主項目の所要時間の内、最長所要時間に係る主項目をRAM83に記憶する(S404)。
【0075】
また、CPU81は各主項目の従属項目の数に変更があったか否かを判定する(S405)。各主項目の従属項目の数に変更がないと判定した場合(S405:NO)、各主項目の従属項目の数に変更があるまで待つ。一方、各主項目の従属項目の数に変更があったと判定した場合(S405:YES)、記憶部85に記憶している所要時間の情報の更新を行う(S406)。
【0076】
該更新は、記憶部85が記憶している使用言語毎の一つの従属項目当たりの表示に要する平均所要時間に、前記変更の後の各主項目の従属項目の数を乗算して夫々得た値を、既に記憶部85に記憶している所要時間の情報の代わりに、記憶部85に記憶することにより行う。
【0077】
次いで、CPU81は更新された記憶部85の所要時間の情報に基づき、現使用の言語に係る所要時間の情報を更新する(S407)。つまり、記憶部85から現使用の言語に係る更新された所要時間の情報を読出し、RAM83に記憶する。
【0078】
また、更新された現使用の言語に係る所要時間の情報に基づいて、最長所要時間に係る主項目をRAM83に記憶することにより、既に記憶していた最長所要時間に係る主項目を更新する(S408)。
【0079】
以降、従属項目の表示指示を受付けた場合、CPU81は上述のように更新された、記憶部85が記憶している所要時間の情報に基づき、各主項目の従属項目の表示を同一時刻に完了させるための処理を行うが、該処理順序は実施の形態2と同様であるので詳しい説明は省略する。
【0080】
実施の形態2と同様の部分については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0081】
実施の形態3においては、記憶部85が記憶している一つの従属項目当たりの表示に要する平均所要時間に、変更の後の各主項目の従属項目の数を乗算して夫々得た値を、既に記憶部85に記憶している所要時間の情報の代わりに、記憶部85に記憶することにより所用時間の更新を行う場合について説明したが、これに限るものでない。従属項目の数に変更が生じたと判定された場合、計時部84が各主項目に係る所要時間を実際に計時し、計時結果に基づき、所要時間の更新を行うように構成しても良い。
【0082】
実施の形態3においては、S406での所要時間の情報の更新において、各主項目に係る所要時間を夫々求め、記憶部85に新たに記憶することにより行う場合について説明したが、これに限るものでない。CPU81が従属項目の数の変更が生じた主項目を特定し、該主項目に係る所要時間のみを求めて既に記憶している所要時間の代わりに記憶するようにしても良い。
【0083】
また、上述の実施の形態1,2及び3においては、投影型画像表示装置を例として説明したが、これに限るものではなく、例えばパソコン、テレビジョン受像機、PDA(Personal Digital Assistants)などにも適用できる。
【0084】
また、上述の実施の形態1,2及び3においては、主項目及び主項目に従属する従属項目の場合を例として説明したが、これに限るものでなく、従属項目及び従属項目に更に従属する下位項目に対しても適用可能である。
【0085】
また、上述の実施の形態1,2及び3においては、従属項目の表示において表示開始時刻を調整することにより、他の従属項目の表示完了時刻を最長所要時間に係る主項目の従属項目の表示完了時刻に一致させる場合について説明したが、これに限るものでなく、他の従属項目の表示完了時刻が、最長所要時間に係る主項目の従属項目の表示完了時刻に対して所定の誤差範囲を有するように構成しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】本発明の実施の形態1に係る投影型画像表示装置の内部構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る投影型画像表示装置の制御部の要部構成を示すブロック図である。
【図3】投影型画像表示装置により被投影体に投影される主項目のみからなるメニュー画像のイメージを示す説明図である。
【図4】従属項目を説明するためのメニュー画像のイメージを示す説明図である。
【図5】従属項目の操作を説明するための説明図である。
【図6】所要時間を計時するためのCPUの処理順序を説明するフローチャートである。
【図7】所要時間を計時するためのCPUの処理順序を説明するフローチャートである。
【図8】本発明の実施の形態1に係る投影型画像表示装置の記憶部が記憶している情報に基づき、各主項目の従属項目の表示を同一時刻に完了させるためのCPUの処理順序を説明するフローチャートである。
【図9】本発明の実施の形態2に係る投影型画像表示装置の記憶部に記憶された所要時間の情報の一例を示す例示図である。
【図10】本発明の実施の形態2に係る投影型画像表示装置の記憶部が記憶している所要時間の情報に基づき、各主項目の従属項目の表示を同一時刻に完了させるためのCPUの処理順序を説明するフローチャートである。
【図11】本発明の実施の形態3に係る投影型画像表示装置の記憶部が記憶している所要時間の情報の更新におけるCPUの処理順序を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0087】
2 投影レンズ
8 制御部
81 CPU
82 ROM
83 RAM
84 計時部
85 記憶部
13 受付部
20 被投影体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メニューを構成する複数の主項目毎に一又は複数の従属項目が従属されており、従属項目の表示指示を受付ける受付手段が一の主項目の従属項目の表示指示を受付けて前記従属項目を表示する場合、前記主項目の全従属項目の表示開始から表示完了までの所要時間が主項目毎に異なる表示装置において、
前記受付手段が従属項目の表示指示を受付けてから前記従属項目の表示が開始されるまでの待ち時間を、各主項目の所要時間に基づいて決定する決定手段と、
該決定手段の決定結果に基づき、前記従属項目の表示を開始する表示手段と
を備えることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
主項目毎の前記所要時間を計時する計時手段を備え、
前記決定手段は、前記計時手段による各主項目の所要時間の計時結果に基づき、主項目毎の待ち時間を決定するように構成してあることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
主項目毎の前記所要時間又は待ち時間を記憶する記憶手段を備え、
前記表示手段は、前記記憶手段が記憶している所要時間又は待ち時間に基づき、前記従属項目の表示を開始するように構成してあることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
従属項目の数に変更があったか否かを判定する項目変更有無判定手段と、
該項目変更有無判定手段の判定結果に基づき、前記記憶手段が記憶している所要時間又は待ち時間の更新を行う更新手段とを備え、
前記表示手段は、前記更新手段により更新された所要時間又は待ち時間に基づき、従属項目の表示を開始するように構成してあることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一つに記載の表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−108218(P2008−108218A)
【公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−292935(P2006−292935)
【出願日】平成18年10月27日(2006.10.27)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】