説明

表示装置

【課題】意匠的な美観を呈して、人目に付き易い場所に設置することができ、省エネルギーの意識を維持することに貢献することができる表示装置を提供する。
【解決手段】建物1内の監視対象としての電力消費量、蓄電量、ガス消費量、ガス残量、水使用量、貯水残量、温度及び湿度の状況を表示可能な表示装置2であって、建物1内の区画11A〜17A毎に、監視対象の状況を、ケーシング21A〜27A内の発光ダイオードの色及び光量により表示可能とされた構成とされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物内のエネルギー消費量、残量、内部状態などの監視対象の状況を表示可能な表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、国家・自治体レベルや企業レベルにとどまらず、家庭レベルにおいても省エネルギーの意識が高まりつつある。
【0003】
こうしたことから、監視対象としての電気、ガス、水などのエネルギー消費量や残量を表示可能な表示装置が従来から提案されている(特許文献1などを参照)。
【特許文献1】特開2004−170310号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記した特許文献1のような従来技術では、監視対象を、単にモニター上にグラフなどで表示するだけのものであった。
【0005】
よって、余程まめな人でなければ、こうした意匠的な美観を呈しないものへ目を向ける機会が少なくなるおそれが少なからずあった。
【0006】
また、こうした意匠的な美観を呈しないものは、通常、人目に付き難い場所に設置するため、ますます目を向ける機会が少なくなるおそれがあった。
【0007】
さらに、いやがおうなしにも、省エネルギーの意識を維持するには、面倒さを伴うのに、こうした背景では、マイナス面があっても、プラス面があるとは到底言えなかった。
【0008】
そこで、本発明は、意匠的な美観を呈して、人目に付き易い場所に設置することができ、省エネルギーの意識を維持することに貢献することができる表示装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するために、本発明の表示装置は、建物内のエネルギー消費量、残量及び内部状態の少なくとも1つを監視対象として、その状況を表示可能な表示装置であって、少なくとも前記建物内の間取りに区切りが設けられて区画表示可能とされ、前記区画毎に、前記監視対象の状況を、色及び光量の少なくとも一方により表示可能とされていることを特徴とする。
【0010】
ここで、前記監視対象は、少なくとも、電力消費量、蓄電量、ガス消費量、ガス残量、水使用量、貯水残量、温度、湿度のいずれかの内の複数を含んでおり、前記複数の監視対象の表示切り換えが可能であるとよい。
【0011】
また、前記監視対象が異なる毎に、異なる色で表示可能とされ、光量によって監視注目度の違いが表示可能とされているとよい。
【0012】
さらに、複数色の発光ダイオードが組み込まれており、前記色及び前記光量が再現可能とされているとよい。
【0013】
また、前記建物に設けた発信器からの前記監視対象の状況の信号を受信可能な受信器が設けられており、移動可能とされているとよい。
【発明の効果】
【0014】
このような本発明の表示装置は、建物内のエネルギー消費量、残量及び内部状態の少なくとも1つを監視対象として、その状況を表示可能な表示装置であって、少なくとも建物内の間取りに区切りが設けられて区画表示可能とされ、区画毎に、監視対象の状況を、色及び光量の少なくとも一方により表示可能とされた構成である。
【0015】
こうした構成なので、従来技術とは異なり、意匠的な美観を呈して、人目に付き易い場所に設置することができ、省エネルギーの意識を維持することに貢献することができる。
【0016】
ここで、監視対象は、少なくとも、電力消費量、蓄電量、ガス消費量、ガス残量、水使用量、貯水残量、温度、湿度のいずれかの内の複数を含んでおり、これら複数の監視対象の表示の切り換えが可能である場合は、1つの表示装置で複数の監視対象を監視できるため、便利である。
【0017】
また、監視対象が異なる毎に、異なる色で表示可能とされ、光量によって監視注目度の違いが表示可能とされている場合は、監視対象の監視機能を十分に発揮しながらも、見た目には、様々な色のグラデーションをかもしだす意匠的な美観を呈するオブジェにもなる。
【0018】
さらに、複数色の発光ダイオードが組み込まれており、色及び光量が再現可能とされている場合は、消費電力の少ない発光ダイオードを用いるため、無駄な電力を消費しないで済む。
【0019】
また、建物に設けた発信器からの監視対象の状況の信号を受信可能な受信器が設けられており、移動可能とされている場合は、監視者が建物の内部の何処に居ても、監視対象を監視可能であり、見た目には、意匠的な美観を呈するオブジェが移動しただけのようにすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明を実現する最良の形態を、図面に示す実施例1,2に基づいて説明する。
【実施例1】
【0021】
先ず、実施例1について説明する。
【0022】
図1は、実施例1の表示装置2を備えた建物1の概略構成を示している。
【0023】
この建物1は、玄関13を入ると、右側にリビング・ダイニングルーム11があり、正面にキッチン12がある。また、左側にトイレと洗顔室とが一体となった化粧室15があり、その奥に浴室14がある。さらに、廊下16を通って左側に寝室17がある。
【0024】
この実施例1の表示装置2は、一例として、リビング・ダイニングルーム11の壁に設けてある。
【0025】
図3は、実施例1の表示装置2の概略構成を示したものであり、図2に示した建物1の見取り図をもとに構成されている。
【0026】
この表示装置2は、基本的には、上記した建物1の間取りに区切られており、さらにこの間取りに加え、近傍にエネルギー関連設備などが設けられた部分でも区切られている。
【0027】
具体的には、リビング・ダイニングルーム11の部分は、近傍に蓄電池Bが設けられている奥側の区画11Aと太陽光発電パネルSが上部に設けられている手前側の区画11Bとに区切られ、ケーシング21A,21Bにそれぞれ対応している。
【0028】
また、キッチン12の部分の区画12Aと玄関13の周辺の区画13Aとに区切られ、ケーシング22A,23Aにそれぞれ対応している。
【0029】
さらに、近傍に非常用のプロパンガスPが設けられた浴室14の部分は、区画14Aとされ、ケーシング24Aに対応している。
【0030】
また、化粧室15の部分は、トイレの部分の区画15Aと洗顔室の部分の区画15Bとに区切られ、ケーシング25A,25Bにそれぞれ対応している。
【0031】
さらに、廊下16の部分は、化粧室の手前側の部分の区画16Aと上部に貯水タンクTが設けられた寝室17の手前側の部分の区画16Bとに区切られ、ケーシング26A,26Bにそれぞれ対応している。
【0032】
また、寝室17の部分は、区画17Aとされ、ケーシング27Aに対応している。
【0033】
そして、これらのケーシング21A〜27A内には、図示を省略した赤色、青色、黄色の発光ダイオードがいずれにも組み込まれており、監視対象としての電力消費量、蓄電量、ガス消費量、ガス残量、水使用量、貯水残量、温度及び湿度の状況を、様々な色及び光量で発光して切り換え表示可能とされている。
【0034】
勿論、建物1内、蓄電池B、プロパンガスP及び貯水タンクTには、それぞれの監視対象の状況を把握するための測定センサーがそれぞれ設けられている。
【0035】
そして、建物1内の図示を省略した中央処理装置に、それらの測定値を有線又は無線で伝えることが可能とされており、その演算処理結果が表示装置2で表示される。
【0036】
次に、この実施例1の表示装置2の使用例について説明する。
【0037】
ここで、図示を省略したリモコンの切り換えボタンにより電力消費量の状態を選択すると、建物1の全体に対応するケーシング21A〜27Aが赤色に発光する。
【0038】
例えば、寝室17の部分の区画17Aに対応するケーシング27Aが強く発光している場合は、エアコンディショナーの消し忘れなどの可能性があるので、確認することができる。
【0039】
また、リモコンの切り換えボタンにより蓄電量の状態を選択すると、リビング・ダイニングルーム11の部分における近傍に蓄電池Bが設けられている奥側の区画11Aに対応するケーシング21Aのみが黄色に発光する。
【0040】
例えば、ケーシング21Aの全体が強く発光しているときは、蓄電量がフル充電されていることが分かる。
【0041】
これに対し、ケーシング21Aの下部のみが強く発光しているときは、もうすぐ充電された電力がなくなってしまうことが分かる。
【0042】
さらに、リモコンの切り換えボタンによりガス消費量の状態を選択すると、キッチン12の部分の区画12Aに対応するケーシング22Aと浴室14の部分の区画14Aと対応するケーシング24Aとが黄色に発光する。
【0043】
例えば、キッチン12の部分の区画12Aに対応するケーシング22Aが強く発光している場合は、ガスの消し忘れなどの可能性があるので、確認することができる。
【0044】
また、リモコンの切り換えボタンによりガス残量の状態を選択すると、近傍に非常用のプロパンガスPが設けられた浴室14の部分の区画14Aに対応するケーシング24Aのみが赤色に発光する。
【0045】
例えば、ケーシング24Aの全体が強く発光しているときは、プロパンガスPに漏れがなく満タンであることが分かる。
【0046】
これに対し、ケーシング24Aの上部の発光が弱いときは、ガス漏れしている可能性があるので、確認することができる。
【0047】
さらに、リモコンの切り換えボタンにより水使用量の状態を選択すると、キッチン12の部分の区画12Aと対応するケーシング22Aと、浴室14の部分の区画14Aと対応するケーシング24Aと、トイレの部分の区画15Aと対応する25Aと、洗顔室の部分の区画15Bと対応するケーシング25Bとが青色に発光する。
【0048】
例えば、洗顔室の部分の区画15Bと対応するケーシング25Bが強く発光している場合は、蛇口の閉め忘れなどの可能性があるので、確認することができる。
【0049】
また、リモコンの切り換えボタンにより貯水残量の状態を選択すると、廊下16の部分の上部に貯水タンクTが設けられた寝室17の手前側の部分の区画16Bに対応するケーシング26Bのみが青色に発光する。
【0050】
例えば、ケーシング26Bの全体が強く発光しているときは、貯水タンクTが満タンであることが分かる。
【0051】
これに対し、ケーシング26Bの下部のみが強く発光しているときは、もうすぐ貯水された水がなくなってしまうことが分かる。
【0052】
さらに、リモコンの切り換えボタンにより温度の状態を選択すると、建物1の全体に対応するケーシング21A〜27Aが赤色、青色、黄色を合わせたサーモグラフィのように発光する。
【0053】
例えば、冬場に、寝室17の部分の区画17Aに対応するケーシング27Aが青色に強く発光している場合は、窓の閉め忘れなどで寝室17内が冷え込んでいる可能性があるので、確認することができる。
【0054】
また、リモコンの切り換えボタンにより湿度の状態を選択すると、建物1の全体に対応するケーシング21A〜27Aが青色に発光する。
【0055】
例えば、トイレの部分の区画15Aと対応するケーシング25Aと、洗顔室の部分の区画15Bと対応するケーシング25Bとが強く発光している場合は、浴室14のドアの閉め忘れなどの可能性があるので、確認することができる。
【0056】
なお、監視対象に対応する色や区画の配置などは、これに限定されず、使用者それぞれの好みに合わせて実施してもよい。
【0057】
次に、実施例1の作用効果について説明する。
【0058】
このような実施例1の表示装置2は、建物1内の間取り及び近傍にエネルギー設備などが設けられた部分に区切りが設けられて区画表示可能とされ、区画11A〜17A毎に、監視対象の状況を、ケーシング21A〜27Aにおける色及び光量により表示可能とされた構成である。
【0059】
こうした構成なので、従来技術とは異なり、意匠的な美観を呈して、人目に付き易い場所に設置することができ、省エネルギーの意識を維持することに貢献することができる。
【0060】
ここで、監視対象は、電力消費量、蓄電量、ガス消費量、ガス残量、水使用量、貯水残量、温度、湿度であり、これら複数の監視対象の表示の切り換えが可能であるので、1つの表示装置2で複数の監視対象を監視できるため、便利である。
【0061】
また、監視対象が異なる毎に、異なる色で表示可能とされ、光量によって監視注目度の違いが表示可能とされているので、監視対象の監視機能を十分に発揮しながらも、見た目には、様々な色のグラデーションをかもしだす意匠的な美観を呈するオブジェにもなる。
【0062】
また、複数色の発光ダイオードが内部に組み込まれており、色及び光量が再現可能とされているので、消費電力の少ない発光ダイオードを用いるため、無駄な電力を消費しないで済む。
【実施例2】
【0063】
次に、実施例2について説明する。
【0064】
なお、上記実施例1で説明した内容と同一乃至均等な部分の説明については同一符号を付して説明する。
【0065】
この実施例2の表示装置2では、図4に示したように、受信器3が設けられており、図5に示したように、建物1のリビング・ダイニングルーム11の壁に設けた発信器4からの監視対象の状況の信号を受信可能である。
【0066】
すなわち、この表示装置2は、建物1内の様々な箇所に移動可能とされている。
【0067】
このため、監視者が建物1の内部の何処に居ても、監視対象を監視可能であり、見た目には、意匠的な美観を呈するオブジェが移動しただけのようにすることができる。
【0068】
例えば、図5に示したように、この表示装置2を、寝室17に持っていけば、監視対象の状況を全て確認してから安心して就寝することができる。
【0069】
これらのことが、上記実施例1と主に異なる。
【0070】
なお、他の構成及び作用効果については、上記実施例1と略同様であるので説明を省略する。
【0071】
以上、図面を参照して、本発明の最良の実施の形態について実施例1,2をもとに詳述してきたが、具体的な構成は、上記した実施例1,2に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。
【0072】
例えば、上記実施例1,2では、建物1を、説明が簡単なように、単純な平屋の構造としたが、これに限定されず、より複雑な構造として実施してもよい。
【0073】
また、上記実施例1,2では、表示装置2のケーシング21A〜27Aの形状を単純な直方体として実施したが、これに限定されず、様々な形状で実施してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】実施例1の建物内の概略構成を示す平断面図である。
【図2】実施例1の建物内の区画を示す説明図である。
【図3】実施例1の表示装置の概略構成を示す斜視図である。
【図4】実施例2の表示装置の概略構成を示す斜視図である。
【図5】実施例2の建物内の概略構成を示す平断面図である。
【符号の説明】
【0075】
1 建物
11A〜17A 区画
2 表示装置
3 受信器
4 発信器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物内のエネルギー消費量、残量及び内部状態の少なくとも1つを監視対象として、その状況を表示可能な表示装置であって、
少なくとも前記建物内の間取りに区切りが設けられて区画表示可能とされ、前記区画毎に、前記監視対象の状況を、色及び光量の少なくとも一方により表示可能とされていることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記監視対象は、少なくとも、電力消費量、蓄電量、ガス消費量、ガス残量、水使用量、貯水残量、温度、湿度のいずれかの内の複数を含んでおり、
前記複数の監視対象の表示の切り換えが可能であることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記監視対象が異なる毎に、異なる色で表示可能とされ、光量によって監視注目度の違いが表示可能とされていることを特徴とする請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
複数色の発光ダイオードが組み込まれており、前記色及び前記光量が再現可能とされていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項5】
前記建物に設けた発信器からの前記監視対象の状況の信号を受信可能な受信器が設けられており、移動可能とされていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−107816(P2010−107816A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−281004(P2008−281004)
【出願日】平成20年10月31日(2008.10.31)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】