説明

表示装置

【課題】 光の利用効率を向上できる表示装置を提供すること。
【解決手段】 導光体20に光源31の位置決め部(嵌合部21)を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、透光性材料からなる導光体と、導光体に光を入射可能に配置された光源とを備えた表示装置が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−170087号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載の装置は、光源と導光体との間の位置ズレに起因して、光源が出射する光の利用効率が低下するおそれがあった。
本発明の目的とするところは、光の利用効率を向上できる表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明の表示装置は、導光体に光源の位置決め部を設けた。
【発明の効果】
【0006】
よって、光源と導光体の位置ズレを抑制し、光源が出射する光の利用効率を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】実施例1の表示装置(バックライト部)の平面図である。
【図2】図1のA−A断面を示す。
【図3】実施例1の光源部の設置部位を模式的に示す斜視図である。
【図4】光源と導光体の位置関係を模式的に示す平面図である。
【図5】実施例2の表示装置(バックライト部)の平面図である。
【図6】図5のB−B断面を示す。
【図7】実施例4の表示装置(バックライト部)の平面図である。
【図8】図7のC−C断面を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の表示装置を実現する形態を、実施例を用いて図面に基づき説明する。
【実施例1】
【0009】
本実施例1の表示装置(以下、装置1という)は、自動車の車室内において自動車の各種情報を表示するコンビネーションメータ(計器パネル)に適用される。
装置1は、表示部とバックライト部を有している。
表示部は、文字盤を有している。文字盤は、コンビネーションメータにおいて人(運転者)に視認される目盛や数字等の意匠部分を有しており、バックライト部により透過照明されて各種情報を発光表示する。
バックライト部は、文字盤の背面側(裏側)に配置されて文字盤を照射する(表示部に光を供給する)部分であり、光拡散部2と光源部3を有している。
光拡散部2は、導光体20を有している。
光源部3は、子基板30と光源31を有している。
【0010】
図1は、バックライト部の平面図である。図2は図1のA−A断面(z軸方向断面)を示す。
なお、図1および図2では、バックライト部のみを示し、その他の部分(例えば表示部など)については図示を省略している。
以下、説明のため、子基板30の面に対して垂直方向にx軸を設け、子基板30に光源31が設置される側をx軸正方向とする。子基板30の面と平行にy軸を設け、図1の左側をy軸正方向とする。x軸およびy軸に対して直交する方向、すなわち導光体20の面に対して垂直方向にz軸を設け、導光体20において光源部3が設置される側をz軸正方向とする。
【0011】
光源31は、表面実装用の角型チップタイプの発光ダイオード(表面実装型LED)であり、略直方体形状を有して子基板30の表面に実装されている。
光源31は点光源として機能し、所定の照射角度で放射状に光を出射する。言い換えると、光源31から出射される光は光軸を中心とするある角度範囲内に分布しており、光軸付近の光の照度が最も高い。光源31は、導光体20に配置されており、導光体20に光を入射可能に設けられている。光源31の発光方向(光束の主な出射方向ないし光軸の方向)は、図2の矢印で示すようにx軸正方向であり、導光体20の面に略平行、かつ実装面である子基板30の面に略垂直である。
【0012】
子基板30は、光源31を点灯させるための電気回路の一部が形成された回路基板であり、薄板状であって略平面形状を有している。子基板30は、光源31を保持するとともに、光源31と親基板とを電気的に接続する機能を有している。子基板30は、光源31とともに導光体20に配置され、(基板とは別体に設けられた)導線を介して、(子基板30とは別体に設けられた)親基板に電気的に接続されている。
親基板は、導光体20の背面側(z軸負方向側)に、導光体20と対向して配置された回路基板であり、コンビネーションメータの電気回路部を形成するとともに、光源31への電力供給、すなわち点灯・消灯を制御する制御装置(IC)等が実装されている。
【0013】
導光体20は、光源31から入射された光を文字盤へ導く部材であり、光を通す材料(透光性材料)、例えば透明なポリカーボネート等の樹脂から形成されている。導光体20は薄板状の部材(導光板)であって略平面形状を有し、表示部の背面側(z軸負方向側)に、文字盤と対向して、文字盤と略平行に配置されている。
導光体20は、その平面視が、環状に形成された板部材である。
平面視での(z軸方向から見た)導光体20の形状は、文字盤の目盛りに沿うような略リング(円環)状である。光源部3が設置されるx軸負方向側の端部26は、上記リング状の内周側に切り込み部260を有し、上記リング状の外周側に突出部261を有することで、V字形に成形されている。切り込み部260の頂点Pと光源31とを結ぶ直線はx軸方向に延びるように配置されている。光源31から端部26に入射された光は、y軸正負両方向側の通路(円環部分)に分岐し、それぞれを透過してx軸正方向に向かって進行し、導光体20におけるx軸正方向側の端部で合流する。導光体20の内周面24および外周面25には、光を反射することで光源31から入射した光を導光体20の内部で進行(伝播)させる光伝播用反射面が形成されている。
【0014】
導光体20は、導光体20内を進行する光源31からの光を、表示部側(z軸正方向側)に向けて拡散反射させる光拡散手段を備えている。光拡散手段は、拡散反射層を有している。拡散反射層は、例えば導光体20の背面22(z軸負方向側の面)に形成されたシボ面(微細な凹凸形状)である。背面22に入射する光をシボ面により拡散反射させて表示部(z軸正方向)に向けて出射させることで、導光体20が面状に発光し、文字盤が透過照明される。
シボ面の密度(単位面積当たりの凹凸の個数)や凹凸の高さは、光の通過範囲との関係で調整されており、光束が主に通る領域では、シボ面の密度を低く、凹凸の高さを低くし、それ以外の部分では、シボ面の密度を高く、凹凸の高さを高くすることで、導光体20の面内輝度を均一化している。言い換えると、導光体20における光拡散手段の分布(背面22におけるシボ面の凹凸配置)は、光源31から出射されて導光体20内を伝播する光束の範囲(光の通過範囲)との関係で、予め調整され決定されている。
【0015】
リング状である導光体20の内周側の中空部分には、その中央部に、シャフト(指針軸)がz軸方向に貫通して設置されている。シャフトのz軸負方向側には、シャフトを回動させるムーブメントが設けられている。ムーブメントは、親基板に取り付けられており、外部からの電気信号に対応した角度分だけ駆動される。シャフトのz軸正方向側は、文字盤の表面側に延出し、その先端には指針が固定されている。
導光体20の内周側とシャフトの外周側との間には環状のスペースが存在しており、このスペースを利用して、(z軸正方向側でこの環状スペースに相当する部位の)表示部には、警告表示が配置される。この警告表示は、例えば文字盤と異なる色で発光させることとしてもよい。
【0016】
文字盤と親基板は、樹脂等からなる同一のケーシングに設置・保持されている。導光体20は、上記ケーシングまたは上記文字盤に設置・保持されている。
【0017】
図3は、バックライト部の端部26(光源部3の設置部位)を模式的に示す斜視図である。図3(a)は導光体20に光源部3が設置される工程を示し、図3(b)は導光体20に光源部3が設置された後の状態を示す。
端部26には、導光体20に対する光源部3の位置決め手段として、嵌合部21が設けられている。嵌合部21は、本実施例1では、導光体20のz軸正方向側の面23に開口する窪み部分(凹部)であり、子基板設置部としての第1溝211と、光源設置部としての第2溝212とを有している。
【0018】
第1溝211は、端部26のy軸方向全範囲にわたり、y軸方向に直線状に延びて、z軸方向に所定の深さまで形成された溝部である。第1溝211の形状は、子基板30の形状に合わせて設けられており、第1溝211のx軸方向幅は、子基板30のx軸方向厚さよりも僅かに大きく設けられている。第1溝211のx軸正負両側面には、子基板30に圧接して子基板30を保持するための図外の突起が設けられている。突起の数や形状は特に限られない。第1溝211のz軸方向深さは、子基板30のz軸方向幅よりも若干小さく、かつ光源31のz軸方向幅よりも若干大きく設けられている。
【0019】
第2溝212は、第1溝211のy軸方向略中央位置に、x軸正方向に向かって窪むように第1溝211に連続して凹形状(矩形状)に形成された溝部である。第2溝212の形状は、光源31の形状に合わせて設けられており、第2溝212のx軸方向寸法は、子基板30に実装された光源31のx軸方向寸法(高さ)と略同じに設けられている。言い換えると、嵌合部21における第1溝211のx軸負方向側の面と第2溝212のx軸正方向側の面210との間の距離は、光源部3における子基板30のx軸負方向側の面と光源31のx軸正方向側の面310との間の距離よりも、僅かに大きく設けられている。また、第2溝212のy軸方向寸法は、光源31のy軸方向寸法よりも僅かに小さく設けられている。第2溝212のz軸方向深さは、第1溝211と同様に設けられている。
【0020】
図3(b)に示すように、子基板30は第1溝211に嵌合して設置される。
光源31は第2溝212に嵌合し、そのx軸正方向側の面(光束出射面)310が、第2溝212のx軸正方向側の面210に対して、僅かな距離を介して、略平行に対向するように設置される。第2溝212のx軸正方向側の面210は、光源31からの光を導光体20の内部へ導入する入射面(光束入射面)として機能する。光源31の主な光束出射方向、具体的には光軸の方向(x軸方向)が、導光体20の断面(光束入射面210)に対して面直方向に略一致する(略直交する)ように、光源31が嵌合部21(第2溝212)に配置されている。
【0021】
導光体20に対する光源部3の位置決めは、光源部3が嵌合部21に嵌合して設置されることで行われる。言い換えると、光源部3は、導光体20(嵌合部21)それ自体によって位置決めされる。具体的には、光源31が第2溝212に僅かな隙間を介して嵌合することで、光源31が導光体20に対して位置決めされ、同時に子基板30が第1溝211に嵌合して設置されることで、光源31の上記位置決めが補強される。また、子基板30が第1溝211に圧接して保持されることで、自動車の作動に伴い振動等が装置1に入力されても、光源部3の導光体20からの抜けが防止され、光源31(出射面310)の導光体20(入射面210)に対する位置が保持される。
【0022】
(作用)
[光束の利用率の向上]
光源が発する光束を有効に利用するためには、光源が発する光束をできるだけ多く導光体に取り込むことが重要であり、そのためには光源の出射面と導光体の入射面をなるべく近づけることが望ましい。
すなわち、図4に示すように、光源(出射面)と導光体(入射面)の間の距離Lの変化に応じて、導光体(入射面)の中心Cと光源(出射面)の中心Oと導光体(入射面)の端部Eがなす角度∠COEは変化する(Lが小さいほど∠COEは大きくなる)。この∠COEは、光源が発する光束が導光体に取り込まれる量を決定し、∠COEが大きいほど取り込み量は大きく、∠COEが小さいほど取り込み量は小さい。
また、光軸の方向が導光体の入射面に対してなす角度が直角よりも小さくなることによっても、光束の取り込み量は小さくなりうる。
【0023】
本実施例1の装置1では、導光体20に嵌合部21が設けられ、光源31は嵌合部21に嵌合して設置される。
このようにケーシングを介することなく導光体20に光源31を直接位置決めして設置するため、光源31と導光体20との間の距離Lを可能な限り小さく(具体的には、導光体20と光源31との間の公差分である0コンマ数ミリ程度の大きさに)設定しても、この設定値を実現することが可能である。よって、距離Lを小さくして、導光体20に取り込む光束量を増やす(具体的には光源31が出射する光束の略全てを導光体20に入射する)ことができる。したがって、光源31から出射される光束の利用率を向上できる。
また、光源31が出射する光束の中心(光軸)の方向が導光体20の光束入射面210に対して略直交するように、嵌合部21が設けられている。なお、上記「直交」とは、厳密に直角である必要はなく、入射面210に対して光軸のなす角度が直角から若干変化しても、設定された距離Lとの関係において、光束の取り込み量が減少しない範囲内であればよい。
よって、装置1では、導光体20に取り込む光束量を最大として、光源31が発する光束の利用率を向上できる。
【0024】
[導光体の平均輝度のバラツキの低減]
上記のように、距離L(∠COE)がバラツクと、導光体に取り込まれる光束量もバラツクことになる。すなわち、導光体の照明輝度が、個体間で無視できないほど変化するおそれがある。
装置1では、光源31はケーシングを介することなく導光体20に直接配置され、導光体20に対して直接位置決めされるため、光源31と導光体20の相対位置ずれを小さくできる。相対位置ずれを小さくすることで、距離Lのバラツキ、すなわち導光体20に取り込む光束量のバラツキを小さくし、導光体20の照明輝度(光の強さ)を個体間で安定化できる。言い換えると、導光体20の平均輝度のバラツキ(個体間のバラツキ)を抑制できる。
【0025】
[導光体の面内での輝度ムラの低減]
光源が発する光束は、光の直進性および反射により、導光体内の所定領域を通り伝播していく。よって、導光体の面内輝度を均一化するため、一般に、導光体に設けられる光拡散手段(の分布)を調整することが行われる。例えば、シボ面(微細な凹凸形状)の密度、凹凸の高さ、または印刷の濃度等を調整することが行われる。光束が主に通る領域では、シボ面の密度を低く、凹凸の高さを低くし、それ以外の部分では、シボ面の密度を高く、凹凸の高さを高くする、というように、シボ面や印刷の設計最適化により、導光体の面内輝度が均一化される。
しかし、光源と導光体の相対位置ズレが大きく、設計時に想定した方向で光束が導光体内を伝播しない場合には、光束が主に通る領域が変動してしまい、最適化されたシボ面または印刷パターンとの不適合が生じ、導光体内の面内均一度が著しく劣化することになる。
よって、導光体の面内での輝度ムラを小さくするためには、導光体に対して光源の発する光束の実際の向きを、設計時に想定した方向に合わせることが重要である。
【0026】
装置1では、上記のように、光源31と導光体20の相対位置ずれを小さくできる。
よって、光源31から導光体20に入射される光束の方向のバラツキを小さくし、導光体20の輝度の分布(導光体20が面状に発光する際のz軸正方向から見た明暗の分布)をより均一化できる。すなわち、設置された光源31が出射する光束の伝播方向は、導光体20内の(予め設定された)伝播方向(すなわち輝度ムラを生じない光拡散手段の分布)と略一致するため、導光体20面内での輝度ムラを招かない。したがって、表示部における発光照度を均一にし、斑(部分的な輝度の高低)が発生することを抑制できる。
特に、導光体20は環状であり、光伝播用反射面により光を反射させることで光の方向を変更する構成であるため、光源31と導光体20の相対位置ずれによる輝度ムラが発生しやすい。装置1では、環状の導光体20に嵌合部21を設けて光源31を嵌合させたため、上記輝度ムラの抑制作用を効果的に得ることができる。
【0027】
また、光源31は、子基板30と一体になった状態で(すなわち光源部3として)、嵌合部21に嵌合して設置される。
よって、光源31よりも広い範囲で導光体20(嵌合部21)と接触可能な子基板30を嵌合部21に嵌合することにより、例えば光源31のみを嵌合部21に嵌合して設置した場合と比べ、嵌合部21(導光体20)における光源31の位置設定がより正確となる。したがって、上記各作用効果を向上できる。また、光源31をより確実に導光体20に保持・固定して抜けを防止することが容易となる。それだけでなく、光源31を嵌合部21に当接させることで(例えば第2溝の各面に圧接することで)保持した場合に比べ、光源31(発光ダイオード)に作用する荷重を小さくし、光源31の保護を図ることができる。
【0028】
また、装置1は、円環状の導光体20の一端に光入力部(端部26)を設け、この光入力部に光源31を1個設置しており、光入力部から導入した光源31の光を、導光体20の円周方向に沿って、時計回り・反時計回りの両方向側に分配している。
言い換えると、光源31から入射される一部の光は導光体20の周方向一方側に進行するとともに、光源31から入射される他の一部の光は導光体20の周方向他方側に向けて進行するように、光源31が配置されている。
よって、光源31の個数は1個で済み、部品点数を節減できる。
また、上記構成とした場合、光源31との相対位置ずれによる導光体20の輝度ムラが発生しやすいが、導光体20に嵌合部21を設けて光源31を嵌合させたため、上記輝度ムラを効果的に抑制することができる。
【0029】
[従来技術]
従来、透光性材料からなる導光体と、導光体に光を入射可能に配置された光源とを備えた表示装置(コンビネーションメータ)が知られている(例えば、特許文献1)。光源は基板に実装され、基板はケーシングに取り付けられている。文字盤もケーシングに取り付けられ、導光体は文字盤に取り付けられている。光源は、導光体の端面に密着して配置されるように設計されている。
なお、光源から導光体に入射される光束の方向は、導光体内を光束が進行(伝播)する方向と略一致しているため、光束の伝播方向を偏向する必要がなく、そのため、偏向に起因するロスがない。
しかし、この装置(以下、従来装置という。)では、以下のような問題があった。
【0030】
上記のように、光源は導光体に密着するように配置することが好ましい。すなわち、光源と導光体の間の距離は限りなく小さく、また光源が発する光束の光軸は導光体の入射面に直交するように配置されることが理想的である。しかし現実には、このような配置の実現は、実際の部品の寸法精度や組立工程を考えると、非常に困難である。
すなわち、従来装置では、光源と基板との間の位置ズレが十分に小さいと仮定しても、光源と導光体の間には、基板、ケーシング、文字盤という3つの(樹脂を主材料とする)部品が介在するため、光源と導光体の位置ズレを精度良く管理することは困難である。例えば、各部品間に±xmm(規格値における一般公差相当)の位置ズレが存在する場合、これらが累積すると、光源と導光体の間には、最大として±3×xmmの位置ズレが起こりうる。各部品の寸法および組立工程の精度を上げても、光源と導光体とが干渉することを回避するために、設計値としては、3×xmmよりも大きな距離だけ光源と導光体を離して配置することが必要となる。また、位置ズレが精度良く管理できないということは、光源と導光体の向きも精度良く管理できないということである。
よって、従来装置では、導光体に取り込む光束量を十分に向上できない。このため、光源が発する光束の利用率が低くなる。また、導光体面内での輝度ムラを招き、個体間で導光体(文字盤)の輝度がばらつくおそれもあった。
【0031】
さらに、近年のコンビネーションメータの高機能化に伴い、基板上に搭載する電子部品が多くなっており、電子部品を基板の導光体側の面にも実装する場合がある。この場合、電子部品を避けて導光体を基板から離す必要があり、この導光体の端面に光源の出射面を届かせるため、(底面サイズに比べて)高さが高い光源(LED)を用いることになる。しかし、このように高さが高い光源は、基板に光源を例えば半田加熱により実装する工程で、基板に対する位置ズレを起こす可能性が高い。この場合、光源と導光体の上記位置ズレが更に促進されてしまう。
【0032】
これに対し、本実施例1の装置1は、上記のように、ケーシングを介することなく導光体20に光源31を直接位置決めして設置するため、導光体20に取り込む光束量を増大し、光源31が発する光束の利用率を向上できる。また、光源31と導光体20の相対位置ずれを小さくできるため、導光体20面内での輝度ムラを抑制し、個体間でも導光体20の平均輝度のバラツキを防止できる。
さらに、親基板と分離された光源部3を導光体20に設置する構成であるため、導光体の端面に光源の出射面を届かせるために高さが高い光源を用いる必要もなく、そもそも上記位置ズレの問題を生じない。
以下、実施例1から把握される装置1の効果を列挙する。
【0033】
(1)装置1は、表示部と、透光性材料からなり、表示部に光を供給する導光体20と、導光体20に光を入射可能に配置された光源31と、を備え、導光体20に嵌合部21を設け、光源31を嵌合部21に嵌合して設置した。
よって、光源31から出射される光束の利用率を向上できるとともに、導光体20の照明輝度(光の強さ)のバラツキを抑制できる。
【0034】
(2)光源31が出射する光束の中心(光軸)の方向が導光体20の光束入射面210に対して略直交するように、嵌合部21を設けた。
よって、光源31が発する光束の利用率を更に向上できる。
【0035】
(3)導光体20は、表示部の背面側に表示部と対向して配置される板部材であり、導光体20内を進行する光源31からの光を表示部に向けて拡散反射させる光拡散手段(シボ面)を備える。
よって、導光体20内の輝度(光の分布)を均一化し、表示部における輝度のバラツキを抑制できる。
【0036】
(4)導光体20は、環状である。
よって、環状であり光束の方向のバラツキによる影響が大きい導光体20内の輝度(光の分布)を、効果的に均一化できる。また、導光体20の内周側の環状のスペースを利用して、文字盤の意匠面内に警告表示を配置することができる。
【0037】
(5)光源31は、光源31が設置される子基板30と一体になった状態で、嵌合部21に嵌合して設置されている。
よって、嵌合部21に子基板30を嵌合することで、光源31を導光体20に対してより正確に位置決めすることが可能であり、上記(1)〜(4)の効果を向上できる。
【実施例2】
【0038】
実施例2の装置1は、円環状の導光体20に光源31を複数(4個)設置しており、導光体20の時計回り・反時計回りの両方向側に配置された光源31の光を、円周方向に沿って、それぞれの側から導光体20に導入する。以下、実施例1と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
【0039】
図5は、バックライト部を示す平面図である。図6は図5のB−B断面(z軸方向断面)を示す。光源31は、子基板30のx軸正方向側の面に(y軸方向に)並んで2個、x軸負方向側の面に(y軸方向に)並んで2個、それぞれ子基板30を挟んで(x軸方向で)対向する位置に設置されている。
【0040】
嵌合部21の第1溝211は、導光体20の径方向(y軸方向)に直線状に延びて、導光体20のリング部分の径方向全範囲にわたり、所定深さまで形成されている。
第2溝212は、第1溝211に連続して、第1溝211のy軸方向略中央位置に、導光体20の周方向(x軸方向)に向かって窪むように凹形状(矩形状)に形成されている。第2溝212は、x軸正方向およびx軸負方向の両側に窪むように設けられている。
【0041】
子基板30は第1溝211に嵌合して設置されている。
子基板30のx軸正方向側の面に設置された2個の光源31は、x軸正方向側の第2溝212に嵌合して設置され、それらのx軸正方向側の面(光束出射面)310は、その全範囲が、第2溝212のx軸正方向側の面(光束入射面)210に対して、僅かな距離を介して略平行に対向している。同様に、子基板30のx軸負方向側の面に設置された2個の光源31は、x軸負方向側の第2溝212に嵌合して設置されている。
導光体20に対する光源部3の位置決めは、実施例1と同様、光源部3が嵌合部21に嵌合して設置されることで行われる。
【0042】
以上の構成を有する実施例2の装置1は、実施例1と同様の作用効果のほか、以下の作用効果を得ることができる。
光源31は複数(4個)設けられており、一部の光源31は導光体20の周方向一方側に光を入射し、他の一部の光源31は導光体20の周方向他方側に光を入射するように配置されている。
このように光源31を複数とすることで、導光体20の輝度をより容易に確保できる。また、実施例1のような形状の光入力部(端部26)を導光体20に設ける必要がない。
【0043】
複数の光源31は同一の子基板30の両面に配置されており、光源31及び子基板30が一体となって嵌合部21に嵌合して設置されている。
よって、光源31の入射方向に応じて(x軸正方向用とx軸負方向用とで)光源31と子基板30のセットを別々に設けた場合に比べ、光源31間で子基板30を共通化できるため、部品点数を削減できる。また、導光体20において光源部3が占める体積(厚さ)を低減でき、スペースを節約できる。
【0044】
(6)光源31は複数設けられ、子基板30の両面に配置されている。
よって、複数の光源31を共通の基板に設置することで、部品点数を削減するとともに、省スペースを図ることができる。
【実施例3】
【0045】
実施例3の装置1は、実施例2の基板(子基板30)をフレキシブル基板としたものである。
すなわち、実施例3の基板はフレキシブルな(柔軟性がある)回路基板であるため、大きく変形する(折れ曲がる)ことが可能である。よって、子基板30と親基板は一体の回路基板として設けられ、親基板から延びる子基板30が途中で折れ曲がって嵌合部21に嵌合している。言い換えると、子基板30と親基板を接続する別体の導線が省略されている。
このように、光源素子が実装される子基板30(サブ基板)と、光源31の点灯等を制御するための素子が実装される(または文字盤の針の駆動軸等が設置される)親基板(メイン基板)とを共通部品化することができるため、両基板間で配線が不要となり、部品点数を削減できる。また、フレキシブル基板は薄いため、実施例2よりもスペースを節約できる。
【0046】
(7)基板は、フレキシブル基板である。
よって、実施例2と同様の効果のほか、部品点数を削減することが可能である。
【実施例4】
【0047】
実施例4では、実施例2の装置1において、光源31として用いる発光ダイオード(LED)のタイプ(形状)を表面実装型ではなく砲弾型とし、それに伴い、子基板30を省略している。以下、実施例2と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
【0048】
図7は、バックライト部を示す平面図である。図8は図7のC−C断面(z軸方向断面)を示す。
光源31としての発光ダイオードは、発光素子の周りを樹脂等で砲弾形状にモールドした砲弾型(リードタイプ)であり、y軸方向およびz軸方向から見た形状が半楕円状である。
図7に示すように、嵌合部21の第1溝211は、導光体20の径方向(y軸方向)に直線状に延びて、導光体20の径方向全範囲にわたり、所定深さまで形成されている。
第2溝212は、各光源31に対応して4つ設けられており、第1溝211のx軸正方向側の面に(y軸方向に)並んで2つ、x軸負方向側の面に(y軸方向に)並んで2つ、それぞれ第1溝211を挟んで(x軸方向で)対向する位置に設けられている。第2溝212は、第1溝211のx軸方向側の面から、導光体20の周方向(x軸方向)に向かって窪むように、凹形状(z軸方向から見て光源31の砲弾形状と略同じ形状)に形成されている。
【0049】
導光体20に対する各光源31の位置決めは、各光源31が嵌合部21(各第2溝212)に嵌合して設置されることで行われる。
光源31の光束出射面310は、第2溝212の面(光束入射面)に対して、僅かな距離を介して対向し、または当接している。
各光源31から延びる(各極に対応する)2本の導線(リード)は、一旦略直角に折り曲げられた後、第1溝211に設けられた貫通穴にそれぞれ挿通され、z軸負方向側に延びて親基板に接続されている。
【0050】
(8)光源31を砲弾型LEDとした。
よって、実施例2と同様の効果のほか、子基板30が不要となり、部品点数を削減できる。
【0051】
(他の実施例)
以上、実施例1〜4に基づいて説明してきたが、本発明の具体的な構成は実施例1〜4に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても、本発明に含まれる。
例えば、本発明の表示装置を、自動車のコンビネーションメータ以外の表示装置に適用してもよい。光源31として、発光ダイオードに限らず、電球、放電管、電界発光ディスプレイ等でもよい。
【0052】
導光体20の形状は限定されず、平面形状でなく、例えば曲面形状や折曲形状でもよい。また、平面視での形状は円環状ではなく例えば円弧状でもよい。
シボ面加工を、導光体20の表示部側(z軸正方向側)の面23に施してもよい。また、導光体20の面22ないし面23に印刷や白色塗装を施したり、導光体20内に光を拡散反射させる微粒子(セラミックスや金属の粒子)を分散させたりすることにより、光拡散手段を構成してもよい。
【0053】
実施例1〜3において、第1溝211に子基板30を保持するため、第1溝211の側に子基板30に圧接する突起を設けるのではなく、子基板30の側に第1溝211に圧接する突起を設けることとしてもよい。
また、導光体20に対する光源部3の位置決め手段(嵌合部21)としては、凹部や溝のほか、導光体20を貫通する穴でもよい。例えば、導光体20に凹部(第1溝211)を設けるのではなく、導光体20(または光源部3)にスナップフィットを設け、これに対応して光源部3(または導光体20)にスナップフィットに嵌合する穴を設けることとしてもよい。これらを嵌合させることで、光源31を導光体20に対して位置決めすると同時に、光源部3を導光体20に保持することができる。
光源31の発光方向(光軸方向)は、導光体20に入射可能に設けられていればよく、子基板30の面に対して任意の角度を有することとしてもよい。例えば、実装される子基板30の面に対して略平行に光を出射する横向きの発光ダイオードを用い、光軸方向が導光体20の面に略平行となるように導光体20に配置することとしてもよい。この場合、導光体20に光源31が嵌合する凹部のみを設け、子基板30を設置するための溝を省略することもできる。このように子基板30を設置するための溝を省略した場合、上記のように、子基板30(または導光体20)にスナップフィットを設けるとともに、これに対応して導光体20(または子基板30)にスナップフィットが嵌合する穴を設けてもよい。この場合、光源31を上記凹部に嵌合させる際、スナップフィットも同時に嵌合させることで、光源31を導光体20に対して位置決めすると同時に、光源部を導光体20に保持することができる。
【0054】
実施例2において、第2溝212を、光源31ごとに分けて(4つ)設けることとしてもよい。また、光源31の数は、適宜増減可能である。例えば、子基板30の両側面に1個ずつ、計2個設けることとしてもよい。
実施例4において、第2溝212の形状を、光源31の砲弾型に沿った立体形状に形成してもよい。この場合、位置決めをより正確にできる。また、砲弾型に限らず、発光素子の周りを樹脂等で直方体形状にモールドしたフラット型の光源にも適用可能である。
さらに、実施例1〜4を適宜組み合わせてもよい。例えば、実施例1の光源31に砲弾型LEDを用いてもよいし、実施例1の基板(子基板30)にフレキシブル基板を用いてもよい。
【符号の説明】
【0055】
1 表示装置
2 光拡散部
3 光源部
20 導光体
30 子基板
31 光源
21 嵌合部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示部と、
透光性材料からなり、前記表示部に光を供給する導光体と、
前記導光体に光を入射可能に配置された光源と、を備え、
前記導光体に嵌合部を設け、
前記光源を前記嵌合部に嵌合して設置したことを特徴とする表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の表示装置において、
前記光源が出射する光束の中心の方向が前記導光体の光束入射面に対して略直交するように、前記嵌合部を設けたことを特徴とする表示装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の表示装置において、
前記導光体は、
前記表示部の背面側に前記表示部と対向して配置される板部材であり、
前記導光体内を進行する前記光源からの光を前記表示部に向けて拡散反射させる光拡散手段を備えることを特徴とする表示装置。
【請求項4】
請求項3に記載の表示装置において、
前記導光体は、環状であることを特徴とする表示装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の表示装置において、
前記光源は、該光源が設置される基板と一体になった状態で、前記嵌合部に嵌合して設置されていることを特徴とする表示装置。
【請求項6】
請求項5に記載の表示装置において、
前記基板は、フレキシブル基板であることを特徴とする表示装置。
【請求項7】
請求項5に記載の表示装置において、
前記光源は複数設けられ、前記基板の両面に配置されていることを特徴とする表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−123109(P2011−123109A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−278517(P2009−278517)
【出願日】平成21年12月8日(2009.12.8)
【出願人】(000004765)カルソニックカンセイ株式会社 (3,404)
【Fターム(参考)】