説明

表示装置

【課題】
長さ・荷重・電圧・電流等の測定信号の視認性を安価に向上させる手段としてアナログメータがあるが、測定領域に対する判定領域の割合が小さくななった場合の視認性の改善が課題である。
【解決手段】
判定領域があらかじめ見やすい範囲に書き込まれたアナログメータ8を用い、表示変換データ入力部10により設定した表示変換データにより表示信号変換部4にてデータを変換し、指針駆動手段5に出力することで判定領域周辺を拡大表示させ、課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は長さ・荷重・電圧・電流等の測定において、測定結果を表示する表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
長さ・荷重・電圧・電流等の測定結果の表示にはデジタル表示器を用い、並行して測定結果が定められた範囲に入っているか(良否の判定)を知らせる目的でランプやブザーなどのオン/オフで知らせる方式が多く用いられている。目的を良否の判定に限定する場合には問題ないが、測定値をより詳細に把握したい場合(たとえばが毎回安定しているのか、ばらつきが大きいのか、傾向があるかなど)に作業者が目視で把握することは困難である。
【0003】
作業者が目視で判断するにはアナログメータのよる表示が優れているが、アナログメータは最小値と最大値の間を直線的に動作するため、測定領域に対する判定領域の割合が小さくなると、判定領域として表示される範囲が小さくなり判断しにくくなるという欠点がある。また、測定範囲や判定領域が変った時にはアナログメータを変更しなければならないという欠点がある。そのため判定を目的とした表示装置としてはあまり利用されてこなかった。
【0004】
その欠点を補う方法として、デジタル表示とアナログ表示を併用し切り替えて表示する案(特開2000−88611号公報)が提案されているが、2つの表示を切換えながら読み取ることは作業者の負担が大きくなり、目的に合致しない。
【0005】
大型のアナログメータを使う方法も提案されているが(特開平2ー257016号公報)大型のアナログメータは大きさの問題と精度を確保するための構造上の問題から非常に高価格になり、設置スペースも大きくなるので実用的でない。
【0006】
液晶表示する案も提案されているが( 特開平8ー327403号公報)体温のように変化する範囲が限定されている場合には良いが、変化する範囲が大きい場合には表示部を大きくする必要がある。その場合、パソコン等の画面を使って実現することは可能であるが高価なものになってしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−88611号公報
【特許文献2】特開平2ー257016号公報
【特許文献3】特開平8ー327403号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
測定領域に対する判定領域の割合が小さい場合でも目視で容易に認識でき、測定領域や判定領域が変化しても装置は変更せず簡単な設定で対応できるアナログメータ式表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、アナログ指針、指針駆動手段、判定領域が記入された目盛り板よりなるアナログメータを使用し、表示データ記憶部のデータに基づき表示信号変換部において測定信号を変換し、指針駆動手段に入力することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
目盛り板上の判定領域が広く設定されているため視認性が大幅に改善されると同時に、装置の変更をせずに表示データのみを変更することで測定領域や判定領域の変更に容易に対応できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明を利用した表示装置のブロック図である。
【図2】視認性を比較した説明図である。
【図3】表示信号変換部4における入力と出力の関係を示した説明図である。
【図4】アナログメータの誤差を補正する時の状態を示した説明図である。
【図5】本発明を実施する形態の一例を示した説明図である。(実施例1)
【図6】本発明を実施する形態の一例を示した説明図である。(実施例2)
【図7】判定領域を3分割した目盛り板の表示例である。(実施例3)
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は本発明を利用した表示装置のブロック図であって、検出器1からの測定信号を測定信号入力部2から取り込み、表示変換データ入力部10によって変換データ記憶部3に入力された表示変換データを使用し表示信号変換部4にて変換し、指針駆動手段5に入力することでアナログ指針6を動作させる。
【0013】
目盛り板7の色帯9は視認性を良くするため判定領域の割合を大きく設定する。判定領域の色帯の色は合格を示す緑色等の安全色、両サイドの色帯の色は不合格を示す赤等の危険色を用いるとわかりやすい。変換データはパネルの表示にあわせて設定してあるので、表示領域の拡大の伴い、指針の動きは判定領域では拡大され、判定領域以外は縮小される。
【0014】
具体的な例で説明すると、針式アナログメータのレンジは5Vを選定した時、判定領域が3.5Vから4Vとすると、変換する前は判定領域の割合は10%である。
判定領域を30%〜70%に設定すると、表示信号変換後では判定領域の割合は40%となり、4倍に拡大される。その結果、目視で良否判定がしやすいばかりでなく、その中での位置を判断することが出来るようになる。(図2)
【0015】
実際の目視判定では判定領域前後が重要になる。判定領域の境目で拡大比率が変化すると、目視での判定を誤る可能性がある。そこで判定領域から外れた一定量の領域内は判定領域と同じ傾きを持たせるようにする。この領域を比例領域と呼ぶ。
判定領域より10%広げて、比例領域は20%〜80%に設定した場合の変換前と変換後の出力の関係を示す。(図3)
【0016】
比例領域の外は判定には関係ないが、傾きのある直線で結んでいる。、動作中に少ないながら変化していれば、検出器1が動作していることを確認できるというメリットがある。
【0017】
アナログメータの誤差を補正する方法として、アナログメータの調整は行わず、表示変換データ入力部10を利用して出力を補正する。表示変換データ入力部10には表示変換データ入力ボタン12があり、このボタン操作で判定領域の下限または上限を選択すると、アナログメータの指針6が設定値を示す。具体例を挙げると、良否判定結果の下限が30%でアナログメータのフルスケールが5Vの場合、誤差がない場合には指針は1.5Vを示すが、誤差があればずれて表示される。(図4)
この状態で指針6が指している位置と目盛り板7に記された判定領域の下限とのずれを目視で確認し(このずれがアナログメータの誤差である)、ずれがなくなるようボタン操作で修正し、補正値を記憶させることによりアナログメータ表示の誤差は補正される。
【0018】
測定信号出力部13は入力された信号と同一の信号を出力する機能である。既存のデジタル表示システムがある場合や、アナログ表示装置にない機能有する機器を接続して使う時に有効である。この機能を含むか含まないかは自由に選択出来る。
【0019】
表示信号変換部4の機能として入力信号の最大値表示(ピークホールド)や最小値表示(ボトムホールド)や最大値と最小値の差(振れ量)等の処理を行うことも可能である。
【0020】
外部との制御信号14をやり取りする制御信号入力部15を用意し、外部から本装置の動作を制御をしたり、判定結果等を外部に出力することが可能である。
【0021】
表示変換データ入力部10の目的は、表示変換データの設定をすることであるが、一旦設定してしまえば使用しない。そのため通常の使用中には表示変換データ表示部11に測定値やその他必要な情報を表示することが出来る。
【0022】
変換データ記憶部3と表示信号変換部4はワンチップマイコンを利用して構成する。
ワンチップマイコンの機能を有効活用するため、アナログメータ8の入力仕様は最大入力電圧がDC3〜5V、表示信号変換部4の出力はPWM(パルス幅制御)方式を採用する。
【実施例1】
【0023】
図5は機械設備に組み込むことを想定して、アナログメータと表示変換データ入力部を前面に配置し、測定信号入力部と制御信号入力部を背面に配置した例である。
【0024】
表示信号変換部4及び変換データ記憶部はメイン基板23上に構成され、表示変換データ入力部10は表示基板22に構成されている。
【実施例2】
【0025】
図6は検出器31を内蔵し、表示変換データ入力部は必要な時だけ接続するように外部接続用コネクタ32を用意した表示装置の例である。 専用の入力装置やパソコン等を利用して表示変換データの入力を行う。表示に消費される電流が少なくなるため、電池駆動が出来るようになり、可搬性に優れた表示装置が実現できる。
【実施例3】
【0026】
図6は目盛り板7の判定領域の分割数を3に増やした例である。測定結果によるランク分けを行いたい場合に使用する。
目盛り板7の表示は分割数に応じて作成する必要があるが、設定値の変更はデータで行えるので、品種を少なくすることが出来る。
【産業上の利用可能性】
【0027】
一般的に測定を単独で行うことは少なく、測定データによって何らかの対応が必要となる場合が多い。特に生産現場では品質管理の手段としての測定は重要である。
現在はデジタル的にOKまたはNGと判断する方法がほとんどであるが、より高い品質を求めていくためにはOKの中でどのような状態なのかを判断することが必要になる。そのための手段としてアナログ表示は非常に有効であり、本発明が利用される可能性は大きい。
【符号の説明】
【0028】
1 検出器
2 測定信号入力部
3 変換データ記憶部
4 表示信号変換部
5 指針駆動手段
6 アナログ指針
7 目盛り板
8 アナログメータ
9 色帯
10 表示変換データ入力部
11 表示変換データ表示部
12 表示変換データ入力ボタン
13 測定信号出力部
14 制御信号
15 制御信号入出力部
16 制御信号入出力部
21 ケース
22 表示基板
23 メイン基板
24 裏カバー
31 検出器
32 外部接続用コネクタ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定信号を表示する表示装置において、
アナログ指針と、
前記アナログ指針を駆動する指針駆動手段と、
前記アナログ指針の示す領域区分を示す色帯が書き込まれた目盛り板と、
測定信号を変換し、前記指針駆動手段に入力する表示信号変換部と、
前記表示信号変換部にて信号変換するためのデータを記憶する変換データ記憶部からなる表示装置。
【請求項2】
前記表示信号変換データ記憶部に前記アナログ指針が持つ表示誤差を補正するための表示誤差補正データを持つことを特徴とする請求項1に示す表示装置。
【請求項3】
前記表示誤差補正データを決めるときに、前記表示誤差補正データを前記指針駆動手段に入力することによって前記アナログ指針を動作させ、前記目盛り板に記された領域区分を示す色帯の境界との位置関係を目視で比較しながら補正データを決めることを特徴とする請求項1または請求項2に示す表示装置。
【請求項4】
前記目盛り板に記された判定領域から外れた範囲で判定領域と同一ゲインで動作する比例領域を持つことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに示す表示装置。
【請求項5】
入力レンジがDC3V〜5Vのアナログメータを使用し、PWM(パルス幅制御)出力で動作させる方式を採用した請求項1から請求項4のいずれかにに示す表示装置。
【請求項6】
目盛り板に記入された判定領域を示す色帯の下限を25%〜35%、上限を65%〜75%、比例域の下限を15%〜25%、上限を75%〜85%に設定した請求項1から請求項5のいずれかにに示す表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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