説明

表示装置

【課題】 表示面に加わる外圧に対して優れた耐性を備えた表示装置を提供する。
【解決手段】発光ダイオードを用いて表示を行う表示部を有する表示装置において、表示部を封止する透明カバー部材と、透明カバー部材に対応した光学特性を有し、透明カバー部材及び表示部が形成する空間に封入される透光性液体材料と、を備える表示装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、街頭に設置され、提供者(例えば、広告代理業者)によって提供される情報(例えば、広告用の動画)を表示する表示装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
このような表示装置として、例えばマトリクス状に配置された複数のサブ画素を用いてカラー画像を表示する手法が知られている。このような表示装置としては、サブ画素としてR(赤色)、G(緑色)及びB(青色)の3色のLEDをそれぞれ発光させる構成が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−185962号公報
【特許文献2】特表2008−047862号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記表示装置は、例えばサッカースタジアム等の屋外で使用されることもあるが、サッカースタジアムの競技グランドに隣接した位置では競技中にサッカーボールが表示装置に衝突することが考えられる。しかしながら、従来の表示装置の表示面はこのような強い圧力に耐えられる構造を有していないため、LEDが破損してしまい表示不良が発生する可能性がある。
【0005】
本発明の態様は、表示面に加わる外圧に対して優れた耐性を備えた表示装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るに表示装置は、発光ダイオードを用いて表示を行う表示部を有する表示装置において、前記表示部を封止する透明カバー部材と、前記透明カバー部材に対応した光学特性を有し、前記透明カバー部材及び前記表示部が形成する空間に封入される透光性液体材料と、を備えることを特徴とする。
【0007】
また、上記表示装置においては、前記透光性液体材料の一部を前記空間に連通する連通路を介して収容可能な液体収容機構を備えていてもよい。
【0008】
また、上記表示装置においては、前記液体収容機構は、前記透光性液体材料を収容可能な収容部と、前記収容部と前記空間とを連通させる前記連通路を閉塞可能な閉塞弁と、を含み、前記閉塞弁は、前記空間の圧力が所定値以上となったときに前記連通路を開いて前記空間から溢れ出した前記透光性液体材料を前記収容部に収容するようにしてもよい。
【0009】
また、上記表示装置においては、前記透光性液体材料が前記空間から前記収容部に溢れ出した際、前記空間に前記透光性液体材料を補充する補充機構を備えていてもよい。
【0010】
また、上記表示装置においては、前記液体収容機構及び前記補充機構の少なくとも一方は、前記空間の圧力を計測する圧力計測部を含んでいてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の態様によれば、表示面に加わる外圧に対して優れた耐性を備えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】表示装置の概略構成を示す断面図。
【図2】表示装置の概略構成を示す平面図。
【図3】表示装置の作用を説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の表示装置に係る一実施例について説明する。なお、以下の各図面においては各構成要素を見やすくするため、構成要素によって寸法の縮尺を異ならせて示すことがある。
【0014】
図1は、本発明の一実施形態に係る表示装置100の構成の一例を示す断面構成図である。表示装置100は、図1に示すように、素子基板10と、該素子基板10に対して対向配置されるカバー基板(透明カバー部材)20と、素子基板10及びカバー基板20間(以下、基板10,20間と称す場合もある)に挟持されるマッチングオイル30と、を備えている。
【0015】
素子基板10は所望の画像を表示可能な表示部15を有している。表示部15は、素子基板10を構成する基材10aに平面視した状態でマトリクス状に配置されるサブ画素を含み、これらサブ画素には3色(例えば、R(赤色)、G(緑色)及びB(青色))の発光ダイオード(以下、LEDと称す)11が形成されている。そして、表示部15は不図示の駆動回路に接続されており、該駆動回路によってLED11を選択的に点灯させることで種々の画像を表示することが可能とされている。
【0016】
カバー基板20は、少なくとも素子基板10の表示部15を封止するためのものであり、透明なカバー部材により構成される。カバー基板20としては、例えばアクリル板や強化ガラス等が用いられる。なお、カバー基板20の表面は、表示部15の画像を外部に向けて表示する表示面20aを構成している。
【0017】
なお、本実施形態においてはカバー基板20として透明部材を採用しているが、本発明における透明部材とは表示部15の表示品質を損なわない程度の該表示部15が表示する画像を透過可能な程度の着色或いは被膜が施された部材も含む。着色或いは被膜の一例としては、表示部15を保護するためのUVコート層等を例示することができる。
【0018】
マッチングオイル30はカバー基板20に対応した光学特性を有する透光性液体材料から構成されるものである。マッチングオイル30は、所定の圧力で基板10,20間に封入されており、これにより後述のように表示面20aに外圧(衝撃)が加わったときに力を分散して均一化してマッチングオイル30内に設けられている表示部15へ伝達できるようになっている。
【0019】
ここで、カバー基板20に対応した光学特性を有する透光性液体材料とは、該カバー基板20と同じ屈折率を有した液体(ゲルを含む)から構成され、表示部15からの画像光を透過可能であることを意味している。
【0020】
なお、マッチングオイル30としては光学的に透明なものが望ましいが、黒色塗料を加えることで表示部15による黒表示を引き立たせるようにしても構わない。マッチングオイル30は表示部15を囲むようにして配置された封止部材12により素子基板10とカバー基板20との間に形成される空間に封入されている。
【0021】
マッチングオイル30は上述したようにカバー基板20と同じ屈折率を有しているため、表示部15からの画像光がカバー基板20との境界部分において屈折させることがない。これにより、カバー基板20は、屈折率差によって表示部15が表示する画像を歪ませるといった不具合の発生を防止し、クリアな画像が表示可能となることで良好な表示品質が得られるようになっている。
【0022】
本実施形態に係る表示装置100は、表示面20aに外圧が加わるおそれのある環境下、例えばサッカースタジアムの競技グランドに隣接した広告用表示部として用いられるのが望ましい。
【0023】
このように競技グランドに隣接した場所では、サッカーボールが表示装置100の表示面20aに衝突し、表示面20aに局所的な外圧が加わる可能性がある。このとき、本実施形態に係る表示装置100によれば、基板10,20間の空間Kに封入されたマッチングオイル30の働きにより、表示面20aに加わった外圧が均一化することができる。これにより、表示部15に局所的に強い圧力が加わるのを緩和することができ、表示部15が外圧により破損するといった不具合の発生を防止することができる。
【0024】
図2は表示装置100の概略構成を示す平面図であり、図3は表示装置100の作用を説明するための図である。
図2に示すように、表示装置100の側面部には、マッチングオイル30が封入されている空間Kに連通する連通路42を介してマッチングオイル30を収容可能なオイル収容機構(液体収容機構)40を備えている。
【0025】
オイル収容機構40は、マッチングオイル30を収容可能なオイル収容タンク(収容部)41と、該オイル収容タンク41と空間Kとを連通させる連通路42と、該オイル収容タンク41に設けられて当該連通路42を閉塞可能な閉塞弁43と、を備えている。
【0026】
連通路42はチューブ状の部材から構成されるものである。閉塞弁43は、図3に示すように表示装置100におけるマッチングオイル30を封入している空間K内の圧力が所定の閾値(上限値)以上となるような外圧が表示面20aに加わったときに連通路42を開いて空間Kから溢れ出したマッチングオイル30をオイル収容タンク41に収容することができるようになっている。ここで、閉塞弁43が開く空間Kの圧力の上限値は、マッチングオイル30による均一化後の圧力であって表示部15にダメージを与えるおそれがある値に基づいて規定される。
【0027】
なお、空間Kから溢れ出したマッチングオイル30がオイル収容タンク41内に収容されると、空間Kに封入されているマッチングオイル30の量が不足する。このようにマッチングオイル30の量が不足した状態では空間K内の圧力が低くなるため、表示面20aに外圧が再度加わると上述のように外圧を均一化できず、表示部15にダメージが及ぶおそれがある。
【0028】
これに対し、本実施形態に係る表示装置100は、図2に示すように側面部に空間Kからマッチングオイル30が溢れ出した際、空間Kにマッチングオイル30を補充するオイル補充機構(補充機構)50を備えている。
【0029】
オイル補充機構50は、補充するマッチングオイル30を貯留しているタンク51と、タンク51から空間Kにマッチングオイル30を供給するポンプ52と、タンク51と空間Kとを連通させる連通路53と、空間K内の圧力を検出可能なセンサー(圧力計測部)54と、を含む。
【0030】
オイル補充機構50はセンサー54によって空間K内の内部圧力を検出し、空間K内の圧力が上記上限値を超えた場合、すなわち空間Kからマッチングオイル30が溢れ出す場合にポンプ52を駆動し、図3に示すようにタンク51内に貯留されているマッチングオイル30を空間K内に供給する。
【0031】
なお、オイル補充機構50は、センサー54により空間Kの圧力を測定しながらマッチングオイル30の供給を行うようにしている。これにより、空間K内にマッチングオイル30が過剰に供給されるのを防止することができる。
【0032】
このように、オイル補充機構50は空間K内に不足したマッチングオイル30を補充することで表示面20aに再度外圧が加わった場合でも外圧を均一化し、表示部15にダメージが及ぶのを防止するようになっている。
【0033】
以上のように、本実施形態によれば、基板10、20間にマッチングオイル30が封入されているので、例えば表示装置100の表示面20aに競技中のサッカーボールが衝突し、表示面20aに局所的に外圧が加わった場合であっても、マッチングオイル30の働きにより表示面20aに加わった外圧を均一化することができる。これにより、表示部15に加わる圧力を緩和することができ、表示部15が外圧により破壊されるのを防止できる。
【0034】
また、表示装置100はオイル収容機構40を備えるので、表示面20aに非常に強い外圧が加わることで空間K内の圧力が所定の閾値を超えると、閉塞弁43が開いて空間K内のマッチングオイル30をオイル収容タンク41に逃がすことができる。
【0035】
よって、マッチングオイル30がオイル収容タンク41に逃げることができない構成と比べ、空間Kの圧力上昇を抑えることができ、表示部15にダメージが及ぶのを防止できる。
【0036】
さらに、表示装置100はオイル補充機構50を備えるので、上述のように空間Kからオイル収容タンク41にマッチングオイル30が収容された場合に、ポンプ52を駆動することで空間Kにマッチングオイル30を補充できる。
【0037】
よって、オイル補充機構50は空間K内にマッチングオイル30を補充することで空間K内の圧力を所定の圧力に保つことができ、再度表示面20aに外圧が加わった場合でも圧力を均一化し、表示部15にダメージが及ぶのを防止できる。
【0038】
また、マッチングオイル30がカバー基板20と同じ屈折率を有しているので、表示部15の画像がカバー基板20の境界部分で屈折して歪むことが防止され、画像がクリアなものとなることで良好な表示品質を得ることができる。
【0039】
なお、本発明は上記実施形態に限定されることはなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において適宜変更可能である。
【0040】
例えば、上記実施形態では、オイル補充機構50が空間K内の圧力を検出するセンサー54を備える場合について説明したが、オイル収容機構40がセンサー54を備えていてもよい。この場合、センサー54が検出した圧力信号に基づいてオイル補充機構50のポンプ52が駆動される。また、オイル収容機構40は、センサー54の検出信号に基づいて閉塞弁43の開閉を制御する構成であっても構わない。センサー54はオイル収容機構40及びオイル補充機構50のそれぞれに設けるようにしてもよい。
【0041】
また、上記実施形態では、表示装置100をサッカースタジアムの広告用表示部として用いる場合について例示したが、本発明に係る表示装置100の用途はこれに限定されることはない。
【0042】
例えば、表示装置100をプールの床面に配置することでユーザー(遊泳者)が所望の画像を見ながら泳ぐことができるといった用途に応用可能である。この場合、表示装置100は少なくとも表示面側に防水加工が施されている。
【0043】
このようにプールの床面に配置された表示装置100は、泳いでいたユーザーが途中で立ち止まり、床面上に立った場合にユーザーの足により衝撃が表示面側に加わることがある。また、プールの床面にはプール内に貯留された水によって常に水圧がかかるため、床面に配置された表示装置100の表示面20aにも水圧がかかった状態となっている。
【0044】
このような場合であっても、本発明の表示装置100によれば、上述したように素子基板10とカバー基板20との間に封入されたマッチングオイル30の働きにより、表示面20aに局所的に加わった外圧を均一化することで表示部15に加わる圧力を緩和することができる。よって、本発明の表示装置100は、表示面20aに局所的な外圧を受ける可能性があるプールの床面に配置した場合であっても効果的である。
【0045】
なお、本発明の表示装置は上述したサッカースタジアムの広告用表示部或いはプールの底面に設置する表示部以外にも、例えば局所的に外圧を受けるおそれがあって従来の表示装置では設置することが難しい種々の場所に採用することが可能である。
【符号の説明】
【0046】
K…空間、11…LED(発光ダイオード)、15…表示部、20…カバー基板(透明カバー部材)、30…マッチングオイル(透光性液体材料)、40…オイル収容機構(液体収容機構)、41…オイル収容タンク(収容部)、42…連通路、43…閉塞弁、50…オイル補充機構(補充機構)、54…センサー(圧力計測部)、100…表示装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光ダイオードを用いて表示を行う表示部を有する表示装置において、
前記表示部を封止する透明カバー部材と、
前記透明カバー部材に対応した光学特性を有し、前記透明カバー部材及び前記表示部が形成する空間に封入される透光性液体材料と、を備える表示装置。
【請求項2】
前記透光性液体材料の一部を前記空間に連通する連通路を介して収容可能な液体収容機構を備える請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記液体収容機構は、前記透光性液体材料を収容可能な収容部と、前記収容部と前記空間とを連通させる前記連通路を閉塞可能な閉塞弁と、を含み、
前記閉塞弁は、前記空間の圧力が所定値以上となったときに前記連通路を開いて前記空間から溢れ出した前記透光性液体材料を前記収容部に収容する請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記透光性液体材料が前記空間から前記収容部に溢れ出した際、前記空間に前記透光性液体材料を補充する補充機構を備える請求項3に記載の表示装置。
【請求項5】
前記液体収容機構及び前記補充機構の少なくとも一方は、前記空間の圧力を計測する圧力計測部を含む請求項3又は4に記載の表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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