説明

表示装置

【課題】3種類の着色層が高精細に形成されたカラーフィルタを用いることなく、各有機EL素子から出射する光の色を意図した色に変換することが可能な表示装置を提供することである。
【解決手段】複数の赤色有機EL素子、複数の緑色有機EL素子、および複数の青色有機EL素子がそれぞれ支持基板上に設けられて構成される発光装置と、前記赤、緑、および青色有機EL素子がそれぞれ出射する光が通る位置に設けられる色味改善層とを有し、前記色味改善層は、赤、緑、および青色有機EL素子のうちの1つの素子が出射する光が当該色味改善層を通過する際にそのスペクトルを変化させる、表示装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は表示装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
表示装置にはその構成や原理を異にする種々の装置がある。そのひとつとして現在、画素の光源に有機EL(Electro Luminescence)素子を利用した表示装置が実用化されつつある。カラー表示装置ではたとえば3種類の有機EL素子が支持基板上に設けられる。すなわち(1)赤色の光を出射する赤色有機EL素子、(2)緑色の光を出射する緑色有機EL素子、および(3)青色の光を出射する青色有機EL素子が、それぞれ支持基板上に整列して配置されている。
【0003】
上記赤、緑、および青色有機EL素子にはそれぞれ所定の色の光を出射することが求められる。しかしながら一般に、意図した色の光を出射する有機EL素子を実現することは困難である。そこで、各有機EL素子から出射される光の色をさらに変換することによって、所期の色の光を実現することが検討されている。たとえば自身を透過する光の色を変換するカラーフィルタを、各有機EL素子上に設けた表示装置が提案されている(たとえば特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009‐265641号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のカラーフィルタは有機EL素子の種類に対応して3種類の着色層を備える。これら3種類の着色層は各有機EL素子の配置に対応してそれぞれ配置されている。すなわちカラーフィルタは、(1)赤色の光を変換する着色層、(2)緑色の光を変換する着色層、および(3)青色の光を変換する着色層を備える。そして各着色層は、平面視で、対応する有機EL素子に重なるように配置されており、赤、緑、および青色有機EL素子からそれぞれ出射される光が各着色層を個別に通過するように配置されている。このようにカラーフィルタは、各有機EL素子の配置と同様に、各着色層を高精細に形成する必要がある。そのため製造工程が複雑化し、ひいては高コスト化するという問題がある。
【0006】
またカラーフィルタを備える表示装置には視差の問題が生じる。表示装置は一般に、表示画面に対して垂直な方向から表示画面を視認する視聴者を基準にして設計されている。そのためたとえば青色の光を変換する着色層と青色有機EL素子とは、表示画面に対して垂直な方向に重ねて配置されている。この場合、表示画面に対して垂直な位置では、青色有機EL素子から出射された光は、青色の光を変換する着色層を通って視聴者に視認される。他方、表示画面に対して斜めまたは平行に近い位置では、赤または緑色有機EL素子から出射された光の一部が、青色の光を変換する着色層を通って視聴者に視認されるということがある。そのため視聴者の位置によって色の見え方が変化するという問題が生じる。
【0007】
したがって本発明の目的は3種類の着色層が高精細に形成されたカラーフィルタを用いることなく、各有機EL素子から出射する光の色を意図した色に変換することが可能な表示装置を提供することにある。
【0008】
また本発明の目的は視差の問題の生じない表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、複数の赤色有機EL素子、複数の緑色有機EL素子、および複数の青色有機EL素子がそれぞれ支持基板上に設けられて構成される発光装置と、
前記赤、緑、および青色有機EL素子がそれぞれ出射する光が通る位置に設けられる色味改善層とを有し、
前記色味改善層は、赤、緑、および青色有機EL素子のうちの1つの素子が出射する光が当該色味改善層を通過する際に、そのスペクトルを変化させる、発光装置に関する。
【0010】
また本発明は、前記色味改善層は、前記スペクトルの幅が小さくなるように、所定の波長範囲の光を吸収する、発光装置に関する。
【0011】
また本発明は、前記赤、緑、および青色有機EL素子と、前記色味改善層との間に円偏光板をさらに有する、発光装置に関する。
【0012】
また本発明は、偏光板をさらに備え、
前記色味改善層は、前記赤、緑、および青色有機EL素子と、前記偏光板との間に設けられ、かつλ/4板として機能し、
偏光板と色味改善層とは、一体として円偏光板として機能する位置関係で配置される、発光装置に関する。
【0013】
また本発明は、偏光板と位相差板とをさらに備え、
前記色味改善層および前記位相差板は、前記赤、緑、および青色有機EL素子と、前記偏光板との間に設けられ、かつ、当該色味改善層と位相差板とをあわせてλ/4板として機能し、
偏光板と色味改善層と位相差板とは、一体として円偏光板として機能する位置関係で配置される表示装置に関する。
【0014】
また本発明は、前記表示装置の製造方法であって、
複数の赤色有機EL素子、複数の緑色有機EL素子、および複数の青色有機EL素子がそれぞれ支持基板上に設けられて構成される発光装置を用意する工程と、
前記赤、緑、および青色有機EL素子がそれぞれ出射する光が通る位置に、前記色味改善層を設ける工程とを含む、表示装置の製造方法に関する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、3種類の着色層が高精細に形成されたカラーフィルタを用いることなく、各有機EL素子から出射する光の色を意図した色に変換することが可能な表示装置を実現することができる。また視差の問題の生じない表示装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本実施形態の表示装置を模式的に示す図である。
【図2】本実施形態の表示装置を模式的に示す図である。
【図3】本実施形態の表示装置を模式的に示す図である。
【図4】本実施形態の表示装置を模式的に示す図である。
【図5】本実施形態の表示装置を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の表示装置は、複数の赤色有機EL素子、複数の緑色有機EL素子、および複数の青色有機EL素子がそれぞれ支持基板上に設けられて構成される発光装置と、前記赤、緑、および青色有機EL素子がそれぞれ出射する光が通る位置に設けられる色味改善層とを有し、前記色味改善層は、赤、緑、および青色有機EL素子のうちの1つの素子が出射する光が当該色味改善層を通過する際に、そのスペクトルを変化させる表示装置に関する。
【0018】
<表示装置の構成>
まず表示装置の構成について説明する。図1(1)は本実施形態の表示装置1を模式的に示す斜視図であり、図1(2)はその分解斜視図である。表示装置は上述したように、発光装置2と色味改善層3とを備える。
【0019】
発光装置2は、複数の赤色有機EL素子、複数の緑色有機EL素子、および複数の青色有機EL素子がそれぞれ支持基板上に設けられて構成される。なお本明細書において赤色有機EL素子とは、赤色に視認される光を出射する有機EL素子を意味し、通常610nm〜750nmの範囲にピークをもつスペクトルを有する。また緑色有機EL素子とは、緑色に視認される光を出射する有機EL素子を意味し、通常500nm〜560nmの範囲にピークをもつスペクトルを有する。また青色有機EL素子とは、青色に視認される光を出射する有機EL素子を意味し、通常435nm〜480nmの範囲にピークをもつスペクトルを有する。
【0020】
本実施形態では1つの赤色有機EL素子と、1つの緑色有機EL素子と、1つの青色有機EL素子とによって1つの画素が構成される。支持基板上には複数の画素が設けられ、これら複数の画素は支持基板上においてマトリクス状に配置される。すなわち複数の画素は支持基板上において行方向Xに所定の間隔をあけるとともに、列方向Yにも所定の間隔をあけて整列して配置される。なお本明細書において行方向Xおよび列方向Yとは、互いに垂直な方向であって、かつそれぞれが支持基板の厚み方向Zに対して垂直な方向を意味する。以下では支持基板の厚み方向Zを上下方向Zということがある。
【0021】
1つの画素において赤、緑、および青色有機EL素子はたとえば行方向Xに所定の間隔をあけて直線状に配置されている。なお「赤、緑、および青色有機EL素子」は、「赤色有機EL素子、緑色有機EL素子、および青色有機EL素子」を意味する。
【0022】
以下では支持基板上において複数の有機EL素子が設けられる領域を表示領域4ということがある。換言すると複数の有機EL素子は表示領域4内において整列して配置されている。
【0023】
各有機EL素子は上下方向Zの一方または他方に光を出射する。支持基板に向けて光を出射する有機EL素子はいわゆるボトムエミッション型の素子と呼称される。他方、支持基板とは反対側に向けて光を出射する有機EL素子はいわゆるトップエミッション型の素子と呼称される。支持基板に搭載される有機EL素子はボトムエミッション型であっても、トップエミッション型であってもよい。本実施形態では上下方向Zの一方(図1では「上方」)に光を出射する有機EL素子を備える発光装置2について説明する。
【0024】
色味改善層3は赤、緑、および青色有機EL素子がそれぞれ出射する光の通る位置に配置される。本実施形態では色味改善層3は、発光装置2の上下方向Zの一方(図1では「上方」)の表面上であって、有機EL素子が配置される表示領域4上に設けられる。色味改善層3がこのような配置で設けられるため、赤、緑、および青色有機EL素子からそれぞれ出射される光は一様に色味改善層3を通って外界に出射する。なお色味改善層3は支持基板の厚み方向の一方から見て(以下、「平面視で」ということがある。)少なくとも表示領域を覆うように設けられていればよく、必ずしもその外縁を表示領域4の外縁に一致させる必要はない。
【0025】
色味改善層3は、赤、緑、および青色有機EL素子のうちの1つの素子が出射する光が当該色味改善層3を通過する際に、そのスペクトルを変化させる層である。色味改善層3は複数層設けられてもよいが、本実施形態ではまず1層の色味改善層3が設けられる形態の表示装置1について説明する。
【0026】
1層の色味改善層としては、たとえば3種類の有機EL素子のうちで、求められる光の色からのずれが最も大きい光を出射する有機EL素子に対して、その出射する光のスペクトルを変化させる色味改善層が設けられることが好ましい。本実施形態では青色有機EL素子から出射される光のスペクトルを変換する1層の色味改善層3が設けられた表示装置について説明する。すなわち本実施形態の色味改善層3は、自身を通過する光のうちで、青色有機EL素子から出射する光のスペクトルを変化させるが、他の有機EL素子(赤色有機EL素子および緑色有機EL素子)から出射する光のスペクトルを変化させない。なお理想的には色味改善層3は、他の有機EL素子(赤色有機EL素子および緑色有機EL素子)から出射される光を、全スペクトルにおいて100%透過することが好ましいが、実際には他の有機EL素子(赤色有機EL素子および緑色有機EL素子)から出射される光の一部を吸収および反射する。そのため他の有機EL素子(赤色有機EL素子および緑色有機EL素子)から出射された光は、色味改善層3を透過することによってそのスペクトルが不可避的にわずかに変化する。
【0027】
色味改善層によるスペクトルの変化には、たとえばスペクトルを長波長化する変化や、スペクトルの幅が小さくなる変化などが考えられる。
【0028】
スペクトルを長波長化する変化をもたらす色味改善層はたとえばいわゆる色変換層によって実現することができる。またスペクトルの幅が小さくなる変化をもたらす色味改善層は、所定の波長λoに光吸収スペクトルのピークを有するフィルタによって実現することができる。
【0029】
本実施形態における色味改善層3は前記スペクトルの幅が小さくなるように、所定の波長範囲の光を吸収する。たとえば色味改善層3は青色有機EL素子から出射される青色の光のスペクトル幅を小さくする。これによってCIE色度図における座標値をスペクトル軌跡に近づけることができ、色味を改善することができる。なお青色の色味の改善としては、CIE色度図において、HDTVの色度座標である、(x,y)=(0.15,0.06)に近づくことが好ましい。なお赤色の色味の改善としては、CIE色度図において、HDTVの色度座標である、(x,y)=(0.64,0.33)に近づくことが好ましい。また緑色の色味の改善としては、CIE色度図において、HDTVの色度座標である、(x,y)=(0.30,0.60)に近づくことが好ましい。
【0030】
このような色味改善層3は所定の波長λoに光吸収スペクトルのピークを有するフィルタによって実現することができる。すなわち色味改善層3は、光吸収スペクトルのピーク波長λoの光透過率をAとし、光透過率が{(1−A)/2+A}となる2点の波長間の帯域を減衰帯域Bとするフィルタによって実現される。なおピーク波長λoは減衰帯域B内に含まれる。この色味改善層3は主に減衰帯域Bの光を減衰し、減衰帯域Bを除く帯域の光を透過する。なお色味改善層3は可視光を除く波長範囲の光を吸収してもよい。
【0031】
たとえば出射する光のスペクトルが色変換層によって変化する有機EL素子(本実施形態では青色有機EL素子)の出射する光のピーク波長をaとし、その半値全幅をbとすると、上述の色味改善層3の光吸収スペクトルのピーク波長λoは、a-2×b<λo<a+2×bの関係を満たすことが好ましい。また減衰帯域Bは、スペクトルを変換すべき色の光(本実施形態では青色光)以外の光(本実施形態では赤色光および緑色光)が減衰することを防ぐために、1/5b<B<1/2bが好ましい。
【0032】
つぎに表示装置の製造方法について説明する。
【0033】
まず発光装置を用意する。すなわち複数の赤色有機EL素子、複数の緑色有機EL素子、および複数の青色有機EL素子がそれぞれ支持基板上に設けられて構成される発光装置を用意する。
【0034】
支持基板には、複数の有機EL素子を個別に駆動するための回路が予め形成された基板を用いることができる。たとえばTFT(Thin Film Transistor)およびキャパシタなどが予め形成された基板を支持基板として用いることができる。
【0035】
支持基板には必要に応じて隔壁が設けられる。この隔壁は支持基板上の所定の区画を画定するために設けられ、たとえば格子状またはストライプ状に形成される。
【0036】
つぎに支持基板上に複数の有機EL素子を形成する。通常は上述の隔壁によって画定された区画にそれぞれ有機EL素子を形成する。有機EL素子は、高分子型の素子であっても、低分子型の素子であってもよい。また前述したようにボトムエミッション型の素子であってもトップエミッション型の素子であってもよい。
【0037】
有機EL素子は、陽極および陰極からなる一対の電極と、この電極間に設けられる1または複数の有機EL層とを含んで構成され、この有機EL層として少なくとも1層の発光層を有する。有機EL素子は電極および有機EL層を順次積層することによって形成することができる。電極および有機EL層はその材料に適した方法によって形成される。
【0038】
有機EL素子はたとえば発光層を構成する発光材料をそれぞれ異ならせることによって、出射する光の色を異ならせることができる。
【0039】
有機EL素子は、有機EL層として少なくとも1層の発光層を有するが、たとえば有機EL層として、正孔注入層、正孔輸送層、電子ブロック層、正孔ブロック層、電子輸送層、および電子注入層などを有する。有機EL素子のとりうる層構成の一例を以下に示す。
a)陽極/発光層/陰極
b)陽極/正孔注入層/発光層/陰極
c)陽極/正孔注入層/発光層/電子注入層/陰極
d)陽極/正孔注入層/発光層/電子輸送層/陰極
e)陽極/正孔注入層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
f)陽極/正孔輸送層/発光層/陰極
g)陽極/正孔輸送層/発光層/電子注入層/陰極
h)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
i)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
j)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/陰極
k)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子注入層/陰極
l)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
m)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
n)陽極/発光層/電子注入層/陰極
o)陽極/発光層/電子輸送層/陰極
p)陽極/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
(ここで、記号「/」は、記号「/」を挟む各層が隣接して積層されていることを示す。以下同じ。)
以下、一対の電極および有機EL層についてさらに詳しく説明する。
【0040】
<陽極>
発光層から放たれる光が陽極を通って素子外に出射する構成の有機EL素子の場合、陽極には光透過性を示す電極が用いられる。光透過性を示す電極としては、金属酸化物、金属硫化物および金属などの薄膜を用いることができ、電気伝導度および光透過率の高いものが好適に用いられる。具体的には酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ITO、インジウム亜鉛酸化物(Indium Zinc Oxide:略称IZO)、金、白金、銀、および銅などから成る薄膜が用いられ、これらの中でもITO、IZO、または酸化スズから成る薄膜が好適に用いられる。
【0041】
陽極の膜厚は、求められる特性や成膜工程の簡易さなどを考慮して適宜設定され、たとえば10nm〜10μmであり、好ましくは20nm〜1μmであり、さらに好ましくは40nm〜500nmである。
【0042】
<陰極>
陰極の材料としては、仕事関数が小さく、発光層への電子注入が容易で、電気伝導度の高い材料が好ましい。また陽極側から光を取出す構成の有機EL素子では、発光層から放たれる光を陰極で陽極側に反射するために、陰極の材料としては可視光に対する反射率の高い材料が好ましい。陰極には、たとえばアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属および周期表の13族金属などを用いることができる。陰極の材料としては、たとえばリチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、アルミニウム、スカンジウム、バナジウム、亜鉛、イットリウム、インジウム、セリウム、サマリウム、ユーロピウム、テルビウム、イッテルビウムなどの金属、前記金属のうちの2種以上の合金、前記金属のうちの1種以上と、金、銀、白金、銅、マンガン、チタン、コバルト、ニッケル、タングステン、錫のうちの1種以上との合金、またはグラファイト若しくはグラファイト層間化合物などが用いられる。合金の例としては、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、マグネシウム−アルミニウム合金、インジウム−銀合金、リチウム−アルミニウム合金、リチウム−マグネシウム合金、リチウム−インジウム合金、カルシウム−アルミニウム合金などを挙げることができる。また陰極としては導電性金属酸化物および導電性有機物などから成る透明導電性電極を用いることができる。具体的には、導電性金属酸化物として酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ITO、およびIZOを挙げることができ、導電性有機物としてポリアニリンもしくはその誘導体、ポリチオフェンもしくはその誘導体などを挙げることができる。なお陰極は、2層以上を積層した積層体で構成されていてもよい。なお電子注入層が陰極として用いられることもある。
【0043】
陰極の膜厚は、求められる特性や成膜工程の簡易さなどを考慮して適宜設定され、たとえば10nm〜10μmであり、好ましくは20nm〜1μmであり、さらに好ましくは40nm〜500nmである。
【0044】
陰極の作製方法としては、真空蒸着法、イオンプレーティング法などを挙げることができる。
【0045】
<正孔注入層>
正孔注入層を構成する正孔注入材料としては、酸化バナジウム、酸化モリブデン、酸化ルテニウム、および酸化アルミニウムなどの酸化物や、フェニルアミン系化合物、スターバースト型アミン系化合物、フタロシアニン系化合物、アモルファスカーボン、ポリアニリン、およびポリチオフェン誘導体などを挙げることができる。
【0046】
正孔注入層の膜厚は、求められる特性および成膜工程の簡易さなどを考慮して適宜設定され、たとえば1nm〜1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、さらに好ましくは5nm〜200nmである。
【0047】
<正孔輸送層>
正孔輸送層を構成する正孔輸送材料としては、ポリビニルカルバゾール若しくはその誘導体、ポリシラン若しくはその誘導体、側鎖若しくは主鎖に芳香族アミンを有するポリシロキサン誘導体、ピラゾリン誘導体、アリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、トリフェニルジアミン誘導体、ポリアニリン若しくはその誘導体、ポリチオフェン若しくはその誘導体、ポリアリールアミン若しくはその誘導体、ポリピロール若しくはその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)若しくはその誘導体、又はポリ(2,5−チエニレンビニレン)若しくはその誘導体などを挙げることができる。
【0048】
正孔輸送層の膜厚は、求められる特性および成膜工程の簡易さなどを考慮して設定され、たとえば1nm〜1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、さらに好ましくは5nm〜200nmである。
【0049】
<発光層>
発光層は、通常、主として蛍光及び/又はりん光を発光する有機物、または該有機物とこれを補助するドーパントとから形成される。ドーパントは、たとえば発光効率の向上や、発光波長を変化させるために加えられる。なお発光層を構成する有機物は、低分子化合物でも高分子化合物でもよく、塗布法によって発光層を形成する場合には、発光層は高分子化合物を含むことが好ましい。発光層を構成する高分子化合物のポリスチレン換算の数平均分子量はたとえば10〜10程度である。発光層を構成する発光材料としては、たとえば以下の色素系材料、金属錯体系材料、高分子系材料、ドーパント材料を挙げることができる。
【0050】
(色素系材料)
色素系材料としては、たとえば、シクロペンダミン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体化合物、トリフェニルアミン誘導体、オキサジアゾール誘導体、ピラゾロキノリン誘導体、ジスチリルベンゼン誘導体、ジスチリルアリーレン誘導体、ピロール誘導体、チオフェン環化合物、ピリジン環化合物、ペリノン誘導体、ペリレン誘導体、オリゴチオフェン誘導体、オキサジアゾールダイマー、ピラゾリンダイマー、キナクリドン誘導体、クマリン誘導体などを挙げることができる。
【0051】
(金属錯体系材料)
金属錯体系材料としては、たとえばTb、Eu、Dyなどの希土類金属、またはAl、Zn、Be、Ir、Ptなどを中心金属に有し、オキサジアゾール、チアジアゾール、フェニルピリジン、フェニルベンゾイミダゾール、キノリン構造などを配位子に有する金属錯体を挙げることができ、たとえばイリジウム錯体、白金錯体などの三重項励起状態からの発光を有する金属錯体、アルミニウムキノリノール錯体、ベンゾキノリノールベリリウム錯体、ベンゾオキサゾリル亜鉛錯体、ベンゾチアゾール亜鉛錯体、アゾメチル亜鉛錯体、ポルフィリン亜鉛錯体、フェナントロリンユーロピウム錯体などを挙げることができる。
【0052】
(高分子系材料)
高分子系材料としては、ポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、ポリシラン誘導体、ポリアセチレン誘導体、ポリフルオレン誘導体、ポリビニルカルバゾール誘導体、上記色素系材料や金属錯体系発光材料を高分子化したものなどを挙げることができる。
【0053】
発光層の厚さは、通常約2nm〜200nmである。
【0054】
<電子輸送層>
電子輸送層を構成する電子輸送材料としては、公知のものを使用でき、オキサジアゾール誘導体、アントラキノジメタン若しくはその誘導体、ベンゾキノン若しくはその誘導体、ナフトキノン若しくはその誘導体、アントラキノン若しくはその誘導体、テトラシアノアンスラキノジメタン若しくはその誘導体、フルオレノン誘導体、ジフェニルジシアノエチレン若しくはその誘導体、ジフェノキノン誘導体、又は8−ヒドロキシキノリン若しくはその誘導体の金属錯体、ポリキノリン若しくはその誘導体、ポリキノキサリン若しくはその誘導体、ポリフルオレン若しくはその誘導体などを挙げることができる。
【0055】
電子輸送層の膜厚は、求められる特性や成膜工程の簡易さなどを考慮して適宜設定され、たとえば1nm〜1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、さらに好ましくは5nm〜200nmである。
【0056】
<電子注入層>
電子注入層を構成する材料としては、発光層の種類に応じて最適な材料が適宜選択され、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アルカリ金属およびアルカリ土類金属のうちの1種類以上を含む合金、アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属の酸化物、ハロゲン化物、炭酸塩、またはこれらの物質の混合物などを挙げることができる。アルカリ金属、アルカリ金属の酸化物、ハロゲン化物、および炭酸塩の例としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、酸化リチウム、フッ化リチウム、酸化ナトリウム、フッ化ナトリウム、酸化カリウム、フッ化カリウム、酸化ルビジウム、フッ化ルビジウム、酸化セシウム、フッ化セシウム、炭酸リチウムなどを挙げることができる。また、アルカリ土類金属、アルカリ土類金属の酸化物、ハロゲン化物、炭酸塩の例としては、マグネシウム、カルシウム、バリウム、ストロンチウム、酸化マグネシウム、フッ化マグネシウム、酸化カルシウム、フッ化カルシウム、酸化バリウム、フッ化バリウム、酸化ストロンチウム、フッ化ストロンチウム、炭酸マグネシウムなどを挙げることができる。電子注入層は、2層以上を積層した積層体で構成されてもよく、たとえばLiF/Caなどを挙げることができる。
【0057】
電子注入層の膜厚としては、1nm〜1μm程度が好ましい。
【0058】
上述の各有機EL層は、たとえばノズルプリンティング法、インクジェットプリンティング法、凸版印刷法、凹版印刷法、およびスピンコーティング法などの塗布法や、真空蒸着法、スパッタリング法、およびCVD法などによって形成することができる。
【0059】
なお塗布法では、各有機EL層となる有機EL材料を含むインキを塗布成膜し、さらにこれを固化することによって有機EL層を形成するが、その際に使用されるインキの溶媒には、たとえばクロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタンなどの塩素系溶媒、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセルソルブアセテートなどのエステル系溶媒、および水などが用いられる。
【0060】
有機EL素子は必要に応じて封止される。たとえば支持基板に封止基板を貼り合せることによって、有機EL素子を気密に封止することができる。また他の方法として、たとえば無機物または有機物からなる封止膜を有機EL素子上に形成することによって、有機EL素子を封止することもできる。
【0061】
つぎに色味改善層を形成する。色味改善層は、予め所定の基台上に色味改善層を形成し、その後、この色味改善層を発光装置上に貼り合せてもよく、また発光装置上に直接色味改善層を形成してもよい。
【0062】
色味改善層は、たとえば色味改善層となる材料を含むインキを塗布成膜することによって形成することができる。塗布方法としてはスピンコート法、スリットコート法、スリット&スピンコート法、キャピラリーコート法、キャスト法などを用いることができる。またたとえばポリカーボネートやアクリル樹脂などの樹脂基材中に色素を添加し、溶融押出成型法や溶液流延法などを用いてフィルム状に形成してもよい。
【0063】
色味改善層はたとえば光学フィルター用の吸収色素や色素レーザーに使用される色素などを用いて形成することができる。具体的には、Exciton社製のABS 510、ABS 511、ABS 526N、ABS 647、およびABS 658などを色味改善層の材料として使用することができる。
【0064】
また色味改善層には、光の干渉や回折などの光学的な現象を利用した光学素子を用いてもよい。たとえば屈折率の異なる薄膜を積層した誘電体膜干渉フィルターを用いてもよく、また透過型ホログラムを利用した光学素子を用いてもよい。
【0065】
以上説明したように本実施形態では青色有機EL素子から出射される光のスペクトルを変換し、かつ赤および緑色有機EL素子から出射される光のスペクトルを実質的に変換しない1層の色味改善層が設けられる。そのため青色有機EL素子から出射される光の色を所定の色に変換することができる。他方、赤および緑色有機EL素子から出射される光は、色味改善層を通過するが、そのさいにスペクトルは変化しない。このように1層の色味改善層を設けることによって青色有機EL素子から出射される光の色のみを改善することができる。
【0066】
色味改善層は、従来の技術のように特定の有機EL素子から出射される光が通過する位置に設けられるわけではなく、すべての種類の有機EL素子から出射される光が通過する位置に設けられる。すなわち色味改善層は有機EL素子の配置とは無関係に設けられる。このように本実施形態では有機EL素子の配置に対応させて色味改善層を高精細に形成する必要がないため、色味改善層を簡易に形成することができる。
【0067】
また各有機EL素子から出射される光は一様に色味改善層を通って外界に出射する。したがって視聴者が表示画面に対して垂直な位置にいたとしても、また表示画面に対して斜めまたは平行に近い位置にいたとしても、各有機EL素子から出射された光は全て色味改善層を通って視認されることになる。そのため本実施形態の表示装置は視差の問題が生じない。
【0068】
図2は本発明の他の実施形態の表示装置を模式的に示す分解斜視図である。
【0069】
前述の実施形態では1層の色味改善層が設けられるとしたが、本実施形態では3層の色味改善層が設けられる。すなわち表示装置には(1)赤色有機EL素子から出射される光のスペクトルを変化させる色味改善層3R、(2)緑色有機EL素子から出射される光のスペクトルを変化させる色味改善層3G、および(3)青色有機EL素子から出射される光のスペクトルを変化させる色味改善層3Bが設けられる。
【0070】
3層の色味改善層3R,3G,3Bは赤、緑、および青色有機EL素子がそれぞれ出射する光が通る位置に設けられる。3層の色味改善層3R,3G,3Bは、発光装置2の上下方向Zの一方(図2では「上方」)の表面上であって、有機EL素子が配置される表示領域4上に積層して設けられる。なお3層の色味改善層3R,3G,3Bの積層順はとくに限定されない。色味改善層3R,3G,3Bがこのような配置で設けられるため、赤、緑、および青色有機EL素子からそれぞれ出射される光は一様に色味改善層3R,3G,3Bを通って外界に出射する。
【0071】
色味改善層3Rは赤色有機EL素子から出射される光のスペクトルのみを変化させ、色味改善層3Gは緑色有機EL素子から出射される光のスペクトルのみを変化させ、色味改善層3Bは青色有機EL素子から出射される光のスペクトルのみを変化させる。このような色味改善層3R,3G,3Bを設けることによって、赤、緑、および青色有機EL素子からそれぞれ出射される光のスペクトルを変化させることができ、意図した色味の色を出射する表示装置を実現することができる。
【0072】
本実施形態の3層の色味改善層3R,3G,3Bは、前述の実施形態と同様に有機EL素子の配置とは無関係に設けられる。本実施形態では有機EL素子の配置に対応させて色味改善層を高精細に形成する必要がないため、色味改善層を簡易に形成することができる。
【0073】
また各青色有機EL素子からそれぞれ出射される光は、一様に3層の色味改善層3R,3G,3Bを通って外界に出射するため、視差の問題の生じない表示装置を実現することができる。
【0074】
上述の各実施形態の表示装置は円偏光板をさらに備えることが好ましい。円偏光板は表示装置に入射する光が表示装置によって反射されるのを防ぐために設けられる。円偏光板は、上下方向Zに発光装置、円偏光板、色味改善層の順で配置されていてもよく、また上下方向Zに発光装置、色味改善層、円偏光板の順で配置されていてもよい。なお色味改善層は波長板としても機能することがあるため、発光装置と円偏光板との間に色味改善層が介在する場合、この色味改善層の存在によって円偏光板の反射光を抑える機能が妨げられることがある。そのため円偏光板は赤、緑、および青色有機EL素子と、前記色味改善層との間に設けられることが好ましい。
【0075】
図3は発光装置と色味改善層3との間に円偏光板5が設けられた表示装置を模式的に示す分解斜視図である。
【0076】
円偏光板5は偏光板とλ/4波長板とから構成される。そしてλ/4波長板は偏光板に対して発光装置寄りに配置される。
【0077】
本実施形態では円偏光板5が発光装置と色味改善層3との間に設けられるため、たとえ色味改善層3が波長板として機能したとしても、円偏光板5は、色味改善層3に影響されることなく、外界から入射する光が表示装置によって反射されることを防ぐことができる。
【0078】
なお本実施形態では色味改善層とは別に円偏光板を設けるとしたが、他の実施形態として、円偏光板を別に設けるのではなく、円偏光板の一部として機能する色味改善層を設けてもよい。
【0079】
図4は円偏光板の一部としても機能する色味改善層を備える表示装置を模式的に示す分解斜視図である。
【0080】
本実施形態では表示装置は偏光板6をさらに備える。また前記色味改善層は、前記赤、緑、および青色有機EL素子と、前記偏光板6との間に設けられ、かつλ/4板として機能する。偏光板と色味改善層とは、一体として円偏光板として機能する位置関係で配置される。すなわち偏光板に対して色味改善層は、偏光板を通過した直線偏光の光を色味改善層が円偏光の光に変換し、かつ、発光装置によって反射された円偏光の反射光を色味改善層が直線偏光の光に変換するように配置される。
【0081】
本実施形態では色味改善層3に加えて偏光板6を設けるだけで、外界から入射する光が表示装置によって反射されるのを防ぐことができる。これによって装置構成を簡易にすることができる。
【0082】
なお色味改善層3が複数層設けられる場合には、複数層からなる色味改善層が一体としてλ/4板として機能すればよい。
【0083】
なお図4に示す本実施形態ではλ/4板として機能する色味改善層を設けるとしたが、他の実施形態として、所定の位相差板と一体としてλ/4板として機能する色味改善層を設けてもよい。
【0084】
図5は上記色味改善層3と位相差板7とを備える表示装置を模式的に示す分解斜視図である。
【0085】
本実施形態では表示装置は、偏光板6と位相差板7とをさらに備える。また前記色味改善層3および位相差板7は、前記赤、緑、および青色有機EL素子と、前記偏光板6との間に設けられる。また前記色味改善層3および位相差板7は、該色味改善層と位相差板とをあわせてλ/4板として機能する。さらに偏光板と色味改善層と位相差板とは、一体として円偏光板として機能する位置関係で配置される。すなわち偏光板に対して色味改善層と位相差板とからなるλ/4板は、偏光板を通過した直線偏光の光を当該λ/4板が円偏光の光に変換し、かつ、発光装置によって反射された円偏光の反射光を当該λ/4板が直線偏光の光に変換するように配置される。
【0086】
前記色味改善層3と位相差板7の積層順はとくに限定されない。すなわち色味改善層3および位相差板7のうちで、色味改善層3を偏光板6寄りに配置してもよく、逆に、図5に示すように位相差板7を偏光板6寄りに配置してもよい。
【0087】
所定の位相差板(たとえばλ/4板)として機能する色味改善層3はたとえば色味改善層3を構成する材料を配向さることによって実現することができる。たとえば配向膜上に色味改善層を形成することによって、所定の位相差板(たとえばλ/4板)として機能する色味改善層を形成することができる。またたとえば一軸延伸フィルムによって所定の位相差板(たとえばλ/4板)として機能する色味改善層3を実現することもできる。
【実施例】
【0088】
より深い青色を表示可能なディスプレイを作製するため、青色有機EL素子から出射される光のスペクトルを変化させる色味改善層を作製した。ポリカーボネートに色素(Exciton社製、ABS 510)を0.5g/Lの割合で添加し、さらにこれをMethylene chlorideに溶解した。この溶液をキャスティング法によって成膜し、膜厚が200μmの色味改善層を形成した。
【0089】
この色味改善層の透過スペクトルを測定した。色味改善層を通過させた場合のスペクトルの変化を透過スペクトルの測定結果に基づいて算出し、さらにこの測定結果に基づいて、CIE色度図における座標値の変化も算出した。表1に、色味改善層に入射する入射光、および色味改善層を透過した出射光のCIE色度図における座標値を示す。
【0090】
【表1】

【0091】
表1に示すように色味改善層を用いることによって、青色の光のCIE1931色度座標におけるy座標値が小さくなることが確認され、より深い青色を表現可能となった。また、赤色の色度座標はほとんど変化しないことが確認された。緑色の色度座標はやや悪化したが、結果として青色を改善する目的は達成された。
【符号の説明】
【0092】
1 表紙装置
2 発光装置
3,3B,3G,3R 色味改善層
4 表示領域
5 円偏光板
6 偏光板
7 位相差板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の赤色有機EL素子、複数の緑色有機EL素子、および複数の青色有機EL素子がそれぞれ支持基板上に設けられて構成される発光装置と、
前記赤、緑、および青色有機EL素子がそれぞれ出射する光が通る位置に設けられる色味改善層とを有し、
前記色味改善層は、赤、緑、および青色有機EL素子のうちの1つの素子が出射する光が当該色味改善層を通過する際にそのスペクトルを変化させる、表示装置。
【請求項2】
前記色味改善層は、前記スペクトルの幅が小さくなるように、所定の波長範囲の光を吸収する、請求項1記載の表示装置。
【請求項3】
前記赤、緑、および青色有機EL素子と、前記色味改善層との間に円偏光板をさらに有する、請求項1または2記載の表示装置。
【請求項4】
偏光板をさらに備え、
前記色味改善層は、前記赤、緑、および青色有機EL素子と、前記偏光板との間に設けられ、かつλ/4板として機能し、
偏光板と色味改善層とは、一体として円偏光板として機能する位置関係で配置される、請求項1または2記載の表示装置。
【請求項5】
偏光板と位相差板とをさらに備え、
前記色味改善層および前記位相差板は、前記赤、緑、および青色有機EL素子と、前記偏光板との間に設けられ、かつ、当該色味改善層と位相差板とをあわせてλ/4板として機能し、
偏光板と色味改善層と位相差板とは、一体として円偏光板として機能する位置関係で配置される、請求項1または2記載の表示装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1つに記載の表示装置の製造方法であって、
複数の赤色有機EL素子、複数の緑色有機EL素子、および複数の青色有機EL素子がそれぞれ支持基板上に設けられて構成される発光装置を用意する工程と、
前記赤、緑、および青色有機EL素子がそれぞれ出射する光が通る位置に、前記色味改善層を設ける工程とを含む、表示装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−49010(P2012−49010A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−190573(P2010−190573)
【出願日】平成22年8月27日(2010.8.27)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】