説明

表示装置

【課題】 操作性を損なうことなく、対面するユーザに見やすい映像を表示する表示装置を提供する。
【解決手段】 映像の回転角度を設定するための第1の指示と、前記表示装置の操作のための画像の回転角度を設定するための第2の指示を入力する指示入力手段と、前記第1の指示により設定された回転角度で前記映像が表示され、前記第2の指示により設定された回転角度で前記操作のための画像が表示されるように、前記映像と前記操作のための画像とを合成して表示する表示手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像を回転して表示する装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−312329号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、必ずしも映像と視聴者の位置関係が一定でない場合が存在する。例えば、プロジェクタの映像を机上に投影し、その映像を映像の操作者と視聴者が対面して視聴するという状況がある。このような状況では、映像を正対して見ることができるのは一部の視聴者のみであり、利便性が低下するという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は前記問題に鑑み、操作性を損なうことなく、対面するユーザに見やすい映像を表示する表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、映像の回転角度を設定するための第1の指示と、前記表示装置の操作のための画像の回転角度を設定するための第2の指示を入力する入力手段と、前記第1の指示により設定された回転角度で前記映像が表示され、前記第2の指示により設定された回転角度で前記操作のための画像が表示されるように、前記映像と前記操作のための画像とを合成して表示する表示手段とを備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、操作性を損なうことなく、対面するユーザに見やすい映像を表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】映像表示装置の構成を説明するブロック図である。
【図2】映像表示装置の使用形態を説明するための図である。
【図3】映像表示装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【図4】GUIを説明する図である。
【図5】GUIを説明する図である。
【図6】表示例を説明するための図である。
【図7】実施例における表示例を説明するための図である。
【図8】実施例における表示例を説明するための図である。
【図9】実施例における表示例を説明するための図である。
【図10】映像表示装置の構成を説明するブロック図である。
【図11】映像表示装置の使用形態を説明するための図である。
【図12】映像表示装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【図13】実施例における表示例を説明するための図である。
【図14】実施例における表示例を説明するための図である。
【図15】実施例における表示例を説明するための図である。
【図16】第二の実施例における表示例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。
【実施例1】
【0010】
実施例1においては、本発明による映像表示装置を、外部から入力された映像を壁などの面に投影する液晶プロジェクタに適用した場合を例にして説明する。
【0011】
<装置説明>
図1は本発明の実施例における映像表示装置100の内部構成を示すブロック図である。
【0012】
CPU101は、映像表示装置100の各ユニットを制御する。CPU101は、ユーザの設定と操作に応じて後述のRAM103上に投影するための映像データを生成し、その映像を後述のビデオコントローラ108とビデオ出力ユニット109を用いて投影する。
【0013】
メモリ102は、映像表示装置100を制御するプログラムとプログラムが使用するデータを格納する。電源が投入されると、CPU101はROM102からプログラムを読み込み、映像表示装置100の制御を開始する。
【0014】
メモリ103は、映像表示装置100を制御するプログラムが作業領域として使用するための書き換え可能なメモリ(RAM)である。また、後述のビデオコントローラ108が処理する映像データを一時的に保存するビデオバッファとしても使用される。
【0015】
ビデオ入力インターフェース104は、外部から映像を入力する。具体的には、HDMI(登録商標)入力端子やVGA入力端子などの1つ以上の入力端子とその受信ICから構成される。受信した映像信号は、アナログ信号の場合はデジタル化され、RAM103に順次格納される。メモリ105は、UIユニット106やRCU107でユーザの指定した設定値などのパラメータを保持するための書き換え可能な不揮発性メモリ(NVRAM)である。
【0016】
ユーザインターフェース(UI)106は、電源の投入やビデオ入力インターフェース104において使用する入力端子を選択などの基本的な操作を行うためと、本映像表示装置の動作状態を提示する。具体的には、図示しない複数のボタンとLEDから構成される。リモートコントロールユニット(RCU)107は複数のボタンを有し、RCU107におけるユーザの操作は赤外線通信によりCPU100に通知される。ビデオコントローラ108は、映像信号を処理する。ビデオコントローラ108は、RAM103上に構成された映像データを入力し、ビデオ出力ユニット109を通じて映像を出力(表示)する。また、ビデオコントローラ108は、2つの映像データを入力し合成して出力する。ビデオ出力ユニット109は、映像を壁などの面に投影する。具体的には、映像を形成するための液晶パネルと、映像を投影するための光学系(ランプおよびレンズ)からなる。ビデオ出力ユニット109は、ビデオコントローラ108が生成し出力した映像データに従い液晶パネルを駆動する。
【0017】
システムバス110は、各部の間でデータ等を送受信する。外部装置111は、映像表示装置100と接続し、映像データを出力する。例えば、プレゼンテーションソフトウェアが導入されたパーソナルコンピュータ等が該当する。勿論、ビデオプレーヤなどの他の映像を出力する外部装置も用いることができる。
【0018】
図2は、映像表示装置100を利用している状況を説明するための図である。図2において、映像表示装置100は図示しないパーソナルコンピュータ111と接続されている。映像表示装置100の投影している映像は、机201の天板上に表示されている。机201には投影映像202が表示される。操作者203は、リモートコントローラユニット107で映像表示装置100の操作をしながら、投影映像202の内容を後述する視聴者204に説明している。視聴者は図2に示すように操作者203の対面に位置している。
【0019】
<動作説明>
映像表示装置100の動作を、図3のフローチャートに基づいて説明する。図3のフローチャートに先立ち、本映像表示装置100はパーソナルコンピュータ111と接続され、パーソナルコンピュータ111は映像を本映像表示装置100に出力しているとする。
【0020】
ステップS301では、パーソナルコンピュータ111が出力した映像を、ビデオ入力インターフェース104を介して受信し、そのデータをRAM103に格納する。
ステップS302では、NVRAM105に保持されているGUI設定値を確認し、操作者が選択している回転・反転モードを判定する。
【0021】
図4と図5は、回転・反転モードを選択するためのGUIを説明する図である。リモートコントロールユニット107を用いて、映像表示装置100にメニューの表示を指示すると、投影映像202中にGUI401が表示される。ここで、操作者203はリモートコントロールユニット107を用いて設定したいメニュー項目を選択することができる。402で示される「回転・反転」メニュー項目を選択すると、図5の501で示すGUIが表示される。操作者203は、GUI501から所望の回転・反転モードを選択することができる(第1の指示)。
【0022】
また、本実施形態では、このGUI画像自体も、ユーザの操作により任意の向きに回転させることができる。ユーザはリモートコントロールユニット107を操作することにより、GUI画像の向きを、所定の回転角度、例えば、0度、90度、180度、の中から選択し、設定することができる(第2の指示)。設定されたGUI画像の回転角度の情報は、メモリ105に記憶される。
【0023】
図3のフローチャートに戻り、ステップS303では、選択されている回転・反転モードに従ってステップS301でRAM103に格納した映像データを回転する。なお、図4あるいは図5のGUIにおいて「プレゼンテーションモード」という動作モードを選択できるようにし、その場合は180度回転として扱うようにしても良い。
【0024】
ステップS304では、RAM103に格納されている映像データをビデオコントローラ108に転送する。ステップS305では、図4や図5の様にGUIの表示が要求されているか否かを判定する。ステップS306では、表示するGUIに対応した映像データをRAM103に形成する。この際、メモリ105に記憶された回転角度の情報に対応した向きにGUI画像を表示する。ステップS307では、ステップS306で形成したRAM103上の映像データをビデオコントローラ108に転送する。ステップS308では、ビデオコントローラ108は、ステップS304による映像データと、ステップS307によるGUIデータを合成し、最終的な映像データを生成する。合成は、ステップS304の映像データにステップS307のGUIデータがオーバレイするように行う。なお、GUI表示が要求されていない場合(ステップS305でNO)は、ステップS304による映像データがそのまま最終的な映像データとなる。ステップS309では、ステップS308で生成した最終的な映像データに基づき、ビデオ出力ユニット109を駆動する。
【0025】
図6〜9に、図3のフローチャートに従って映像を表示した場合の例を示す。
【0026】
図6は、回転・反転モードが選択されておらず(ステップS302でNO)、GUI表示も要求されていない(ステップS305でNO)場合の例である。この場合、投影映像601は、操作者203に正対するように投影される。この場合、視聴者204からは映像が反転しており、視聴者にとって見やすい映像とはいえない。
【0027】
図7は、回転・反転モードが選択されておらず(ステップS302でNO)、GUI表示が要求されている(ステップS305でYES)場合の例である。この場合、投影映像701とGUI702は共に、操作者203に正対するように投影される。この場合、GUIは操作者に正対しており操作しやすい状況であるが、図6と同様に視聴者に提示すべき映像が視聴者204から見ると反転しており、視聴者にとって見やすい映像とはいえない。
【0028】
図8は、回転・反転モードとして180度回転が選択されており(ステップS302でYES)、GUI表示が要求されていない(ステップS305でNO)場合の例である。この場合、投影映像801は、視聴者204に正対するように投影される。この場合、視聴者204に対して映像が正対しており、視聴者にとって見やすい映像が提供することができている。
【0029】
図9は、回転・反転モードとして180度回転が選択されており(ステップS302でYES)、GUI表示が要求されている(ステップS305でYES)場合の例である。この場合、投影映像901は、視聴者204に正対するように投影され、GUI902は操作者203に正対するように投影される。この場合は、図8と同様に視聴者に提示すべき映像が視聴者204にしており、視聴者にとって見やすい映像を提供していると共に、GUIは操作者203に正対しており、操作者にとって操作しやすい環境を提供している。
【0030】
以上の様に本実施例に拠れば、操作者と視聴者が対面して映像を視聴する際に、視聴のための映像を対面者に正対するように回転して表示する。一方、操作のための映像を回転せずに操作者に正対するように回転せずに表示することで、対面するユーザに見やすい映像を、操作性を損なうことなく表示する映像表示装置を提供することができる。また、GUI画像の向きも任意に変えることができる。そのため、操作者203と視聴者204の位置に応じて、最適な向きでGUI画像と映像を表示することができる。
【実施例2】
【0031】
他の実施例として、本発明による映像表示装置を、タッチパネルを供えた液晶ディスプレイを持つコンピュータ(いわゆるタブレットコンピュータ)に適用した場合を例にして説明する。
【0032】
<装置説明>
図10は本発明の実施例における映像表示装置1000の内部構成を示すブロック図である。CPU1001は、映像表示装置1000の各ユニットを制御する。CPU1001は、ユーザの設定と操作に応じて後述のGPU1006に指示することにより後述のVRAM1007上に映像データを生成し、その映像を後述のLCD1008に表示する。メモリ1002は、映像表示装置1000を制御するプログラムとプログラムが使用するデータを格納する。電源が投入されると、CPU1001はROM1002からプログラムを読み込み、映像表示装置1000の制御を開始する。メモリ1003は、映像表示装置1000を制御するプログラムが作業領域として使用するための書き換え可能なメモリ(RAM)である。メモリ1004は、各種のパラメータを保持するための書き換え可能な不揮発性メモリ(NVRAM)である。ユーザインターフェース1005は、電源ボタン・リセットボタン・プレゼンテーションモードボタンや、LCD1008に組み込まれているタッチパネルである。グラフィックスプロセッサ1006は、映像関連の処理を専門に行う。GPU1006は、CPU1001の指示に従い映像データをVRAM1007上に生成したり、VRAM1007上の映像データを回転したり合成したりすることができる。メモリ1007は、GPU1006が作業領域として使用するための書き換え可能メモリであり、映像に関するデータを取り扱うのでビデオRAMと呼ばれる。LCD1008は、タッチパネル機能を備え、ビデオRAM1007上に形成された映像データを表示する。1009は、システムバスである。
【0033】
図11は、本映像表示装置1000を利用している状況を説明するための図である。映像表示装置1000は、机1101上に置かれている。1102は、本映像表示装置1000のユーザインターフェースユニット1005のひとつであるプレゼンテーションモードボタンである。このボタンを押すと本映像表示装置をプレゼンテーションモードとすることができる。操作者1103は、本映像表示装置1000のタッチパネル(ユーザインターフェースユニット1005)を操作しながら、LCD1008の内容を後述する視聴者1104に説明している。視聴者は図11に示すように操作者1103の対面に位置している。
【0034】
<動作説明>
映像表示装置1000の動作を、図12のフローチャートに基づいて説明する。
ステップS1201では、CPU1001は表示しようとする画面を各コンポーネント(背景・ボタン・写真などの画面の構成要素)に分解し、GPU1006に各コンポーネントの描画を指示する。GPU1006は生成した各コンポーネントの映像データをVRAM1007に保持する。例えば、写真を表示する場合は、CPU1001は写真データをRAM1003に展開し、GPU1006へ転送する。また、ボタンなどの矩形を表示する場合は、CPU1001はGPU1006に矩形描画コマンドを発行する。
【0035】
ステップS1202では、ステップS1201で描画したコンポーネントがGUIを構成するコンポーネントが否かを判定する。GUIを構成するコンポーネントとは、タッチパネルでユーザが操作できるボタンなどのコンポーネントである。
【0036】
ステップS1203では、本映像表示装置がボタン1102によってプレゼンテーションモードになっているかどうかを判定する。
【0037】
ステップS1204では、GUIコンポーネント以外をプレゼンテーションモードで描画した場合(ステップS1202でNO、ステップS1203でYES)に、GPU1006はステップS1201で生成した映像データを180度回転する。回転された映像データは再びVRAM1007に保持される。なお、ボタン1102に替わりLCD1008に任意の回転量を選択できるGUIを表示し、ユーザに回転量を選択させるようにしても良い。この場合は、選択した回転量に従ってステップS1201で生成した映像データを回転する。
【0038】
ステップS1205では、表示しようとする画面の全コンポーネントの描画が完了しているか否かを判定する。すなわち、S1201〜S1204までの処理を、画面上の各コンポーネントに対し実施することになる。ステップS1206では、GPU1006は、ステップS1201〜S1204で生成した各コンポーネントの映像データを合成し、1画面の映像データを生成する。ステップS1207では、ステップS1206で合成した映像をLCD1008に表示する。
【0039】
図13〜16に、図12のフローチャートに従って映像を表示した場合の例を示す。
【0040】
図13は、プレゼンテーションモードが選択されておらず(ステップS1203でNO)、GUIも表示されていない(ステップS1202でNO)場合の例である。この場合、LCD1008上の映像1301は、操作者1103に正対するように表示される。この場合、視聴者1104からは映像が反転しており、視聴者にとって見やすい映像とはいえない。
【0041】
図14は、プレゼンテーションモードが選択されておらず(ステップS1203でNO)、GUIが表示されている(ステップS1202でYES)場合の例である。この場合、LCD1008上の映像1401とボタン群であるGUI1402は共に、操作者1103に正対するように投影される。この場合、GUIは操作者に正対しており操作しやすい状況であるが、図13と同様に視聴者に提示すべき映像が視聴者1104から見ると反転しており、視聴者にとって見やすい映像とはいえない。
【0042】
図15は、プレゼンテーションモードが選択されており(ステップS1203でYES)、GUIが表示されていない(ステップS1202でNO)場合の例である。この場合、LCD1008上の映像1501は、視聴者1104に正対するように表示される。この場合、視聴者1104に対して映像が正対しており、視聴者にとって見やすい映像が提供することができている。
【0043】
図16は、プレゼンテーションモードが選択されており(ステップS1203でYES)、GUIが表示されている(ステップS1202でYES)場合の例である。この場合、LCD1008上の映像1601は、視聴者1104に正対するように投影され、ボタン群であるGUI1602は操作者203に正対するように投影される。この場合は、図15と同様に視聴者に提示すべき映像が視聴者1104にしており、視聴者にとって見やすい映像を提供していると共に、GUIは操作者1103に正対しており、操作者にとって操作しやすい環境を提供している。
【0044】
また、本実施例においても、第1の実施例と同様、GUI画像の向きを操作者が任意に変更することができる。
【0045】
以上の様に本実施例に拠れば、操作者と視聴者が対面して映像を視聴する際に、視聴のための映像を対面者に正対するように回転して表示する。一方、操作のための映像を回転せずに操作者に正対するように回転せずに表示することで、対面するユーザに見やすい映像を、操作性を損なうことなく表示する映像表示装置を提供することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像の回転角度を設定するための第1の指示と、前記表示装置の操作のための画像の回転角度を設定するための第2の指示を入力する入力手段と、
前記第1の指示により設定された回転角度で前記映像が表示され、前記第2の指示により設定された回転角度で前記操作のための画像が表示されるように、前記映像と前記操作のための画像とを合成して表示する表示手段とを備える表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2013−64766(P2013−64766A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−201818(P2011−201818)
【出願日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】