説明

表面の角度照射によって生成されるモアレパターン

偽造物の検出を改良することを目的として、医薬品(120)などの商業物品に関する情報を秘匿するための、改良された方法、デバイス、組成物およびシステムを提供する。表面を特定の角度またはそれに近い角度で照射した場合にのみ物品の表面上のモアレパターンが現出層を用いて検出可能になる態様を提供する。顕微鏡などの検出システムに現出層を組み入れる態様も提供する。1つの方法は以下の段階を含む:モアレベース層を提供するように適合化された少なくとも1つの領域(121、122、123)を含む少なくとも1つの表面を含む、少なくとも1つの薬学的組成物を用意する段階;その領域をある角度で照射する段階;照射された領域をモアレ現出層を用いて画像化して、モアレパターンを生成させる段階。そのような態様は、従来の偽造品検出法を上回るさらなる階層のセキュリティを提供する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2010年1月26日に提出された米国仮出願第61/298,457号の優先権を主張し、それはその全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【背景技術】
【0002】
背景
特に医薬品に対して、偽造およびグレーマーケット取引に対抗する、より優れた保護およびセキュリティを提供することには需要がある。医薬品の偽造およびその経済的影響に関する概説は、例えば、(1)"Counterfeit Pharmaceuticals: Current Status and Future Projections," A.I. Wertheimer, N.M. Chaney, T. Santella, J. Am. Pharm. Assoc. 43(6) 710-718 (2003)(非特許文献1)、および(2)書籍、Counterfeiting exposed: protecting your brand and your customers. D.M. Hopkins, L.T. Kontnik, M.T. Turnage (Wiley, Ed. 2003); ISBN: 0471269905の第4章(非特許文献2)に見ることができる。第12章は、ホログラム、凹版印刷、カラーシフト技術、および化学的または生化学的なタガントといった現行の偽造防止法を記述している。
【0003】
しかし、偽造者はより巧妙になっているため、医薬品および他の物品上の秘匿識別表示の付与および確認のための改良された手段により、偽造品の検出の改良が可能になると考えられる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】"Counterfeit Pharmaceuticals: Current Status and Future Projections," A.I. Wertheimer, N.M. Chaney, T. Santella, J. Am. Pharm. Assoc. 43(6) 710-718 (2003)
【非特許文献2】Counterfeiting exposed: protecting your brand and your customers. D.M. Hopkins, L.T. Kontnik, M.T. Turnage (Wiley, Ed. 2003); ISBN: 0471269905の第4章
【発明の概要】
【0005】
概要
本明細書において提供する態様は、デバイス、システム、物品およびキット、ならびにそれらの作製方法および使用方法を含む。
【0006】
例えば、1つの態様は、以下の段階を含む方法を提供する:モアレベース層を提供するように適合化された少なくとも1つの領域を含む少なくとも1つの表面を含む、少なくとも1つの薬学的組成物を用意する段階;その領域をある角度で照射する段階;照射された領域をモアレ現出層を用いて画像化して、モアレパターンを生成させる段階。1つの態様において、モアレ現出層はベース層と接触しない。1つの態様において、画像化は顕微鏡を用いて行われる。1つの態様において、領域はエンボス加工された領域を含む。1つの態様において、領域はナノスケールのエンボス加工された領域を含む。1つの態様において、領域はミクロスケールのエンボス加工された領域を含む。1つの態様において、領域はミクロスケールのエンボス加工された領域およびナノスケールのエンボス加工された領域を含む。1つの態様において、領域は周期的パターンを含む。1つの態様において、照射する段階は所定の角度および所定の方向で行われる。1つの態様において、現出層は顕微鏡の光路内の中間像面に配置される。1つの態様においては、モアレパターンを生成させるために位置合わせマークが用いられる。1つの態様において、モアレパターンは線状モアレパターンである。1つの態様において、モアレパターンは図形モアレパターンである。
【0007】
別の態様は、表面、現出層および光源を用意する段階;表面または光源のうち少なくとも1つを、光が所定の角度に近い角度で表面に当たるように調整する段階;現出層を表面に対して位置合わせする段階;ならびに、現出層を通して表面を見ることによって、秘匿された情報を取り出す段階を含む方法であって、光が所定の角度に近い照射角度で表面に当たる時にのみ、秘匿された情報を取り出すことのできる方法を提供する。表面は1つまたは複数のくぼみを含みうる。そのようなくぼみは、エンボス加工または成形などの方法によって形成されたものでよい。表面は、断面が三角形または台形であってもよい1つまたは複数のくぼみを含みうる。秘匿された情報は、例えば線状モアレパターンまたは図形モアレパターンを含む、1つまたは複数のモアレパターンを含みうる。秘匿された情報は、ドットまたは線または円または楕円または多角形または文字または数字またはバーコードを含みうる。秘匿された情報は、ロット番号、製品識別子、製造日などを含みうる。場合によっては、秘匿された情報を、顕微鏡を用いることによって取り出すことができ、この場合には任意で、現出層を顕微鏡の中、例えば接眼部内に組み込んでもよい。または、秘匿された情報を取り出すのに用いるための、顕微鏡および別個の現出層を含むキットを提供することもできるであろう。表面は、カプセル剤またはカプセル剤もしくは同様のものなどの薬学的組成物の一部であってもよい。本方法はまた、秘匿された情報を用いる、そのような薬学的組成物の真正性を確認する段階も含みうる。
【0008】
第2の態様は、表面を含む薬学的組成物を含み、ここで表面は少なくとも1つの第1の肉眼的くぼみを含み、このくぼみはさらに1つまたは複数の第2の微視的またはナノスケールのくぼみを含み、これらのくぼみは秘匿された情報を含む。場合によっては、第1のくぼみは深さ約20〜約100ミクロンである。第2のくぼみは典型的には、深さ約2〜約6ミクロンまたは深さ約90〜約250nmであってもよい。第2のくぼみは三角形または台形の断面を有していてもよい。第2のくぼみは少なくとも1つの陰影を含んでもよく、ここで、所定の角度に近い照射角度で照射される時に、表面はベース層を含む。そのような場合、ベース層は秘匿された情報を含みうる。薬学的組成物には錠剤またはカプセル剤などが含まれうる。
【0009】
第3の態様は、表面を含む組成物を提供し、ここで1つまたは複数のモアレパターンは、光源が表面に第1の角度で当たる時に現出層を通して表面を観察する場合には認知されうるが、光源が表面に第2の角度で当たり、この2つの角度が実質的に等しくない場合には、パターンは認知されない。組成物には医薬錠剤またはカプセル剤が含まれうる。1つまたは複数のモアレパターンは、ドット、線、円、楕円、多角形、文字、数字などのような記号を含みうる。表面は、断面が台形または三角形であるくぼみを含みうる。そのようなくぼみは、表面に対してある角度を形成する壁を含みうる。いくつかの態様において、その角度は約50〜約60度である。表面または現出層のいずれか一方またはその両方が、秘匿された情報を含みうる。表面は光を散乱させてもよく、または反射してもよい。
【0010】
別の態様は、現出層を含むデバイスを提供し、ここで1つまたは複数のモアレパターンは、光源が表面に第1の角度で当たる時に現出層を通して表面を観察する場合には認知されうるが、光源が表面に第2の角度で当たり、この2つの角度が実質的に等しくない場合には、パターンは認知されない。デバイスは光源も含みうる。光源は、例えば、少なくとも1つの白熱電球、蛍光灯、発光ダイオード、レーザーなどを含みうる。デバイスは顕微鏡でもよく、ここで現出層は顕微鏡の光路内の中間像面内に配置される。場合によっては、現出層が顕微鏡の接眼部の内部に配置されてもよい。場合によっては、現出層を回転させることができる。表面または現出層のいずれか一方またはその両方が、秘匿された情報を含みうる。
【0011】
さらに別の態様は、表面および現出層を含むシステムを提供し、ここで1つまたは複数のモアレパターンは、光源が表面に第1の角度で当たる時に現出層を通して表面を観察する場合には認知されうるが、光源が表面に第2の角度で当たり、この2つの角度が実質的に等しくない場合には、パターンは認知されない。表面は、断面が台形または三角形であるくぼみを含みうる。そのようなくぼみは、表面に対してある角度を形成する壁を含みうる;それらは床面も含みうる。いくつかの態様において、その角度は約50〜約60度である。いくつかの態様において、現出層を通して表面を見ている観察者によって認知される線の幅は、光源が表面に対して当たる角度、壁と表面との間の角度、および表面でのくぼみの幅、場合によってはさらに床面の幅によって決まる。表面または現出層のいずれか一方またはその両方が、秘匿された情報を含みうる。光源は例えば、少なくとも1つの白熱電球、蛍光灯、発光ダイオード、レーザーなどを含みうる。
【0012】
さらなる別の態様は、表面、現出層および光源を用意する段階であって、1つまたは複数のモアレパターンが、光源が表面に第1の角度で当たる時に現出層を通して表面を観察する場合には認知されうるが、光源が表面に第2の角度で当たり、この2つの角度が実質的に等しくない場合には、パターンが認知されない段階;光源からの光が第1の角度またはそれに近い角度で表面に当たるように光源を調整する段階;および、現出層を通して表面を観察し、それによって1つまたは複数のモアレパターンを認知する段階を含む方法を提供する。表面または現出層のいずれか一方またはその両方が、秘匿された情報を含みうる。光源は例えば、少なくとも1つの白熱電球、蛍光灯、発光ダイオード、レーザーなどを含みうる。
【0013】
別の態様は、表面と;表面上に形成された少なくとも1つのくぼみとを含む組成物を提供し、ここで表面は、現出層が表面の上において位置合わせされ、光が所定の角度に近い角度で表面に当たる時に所定のパターンが現出されるように構成されており、かつ表面は、光が所定の角度に近くない角度で表面に当たる時には、現出層が表面の上において位置合わせされているか否かにかかわらず、所定のパターンを現出しないように構成されており、かつ表面は、現出層が表面の上において位置合わせされていない時には、光が所定の角度に近い角度で表面に当たるか否かにかかわらず、所定のパターンを現出しないように構成されている。
【0014】
別の態様は、表面を用意する段階;現出させようとするパターンである第1のパターンを選択する段階;現出層内に設置しようとするパターンである第2のパターンを選択する段階;第1のパターンを現出させるために表面に当たる光の角度を選択する段階;および少なくとも1つのくぼみを表面上に形成させる段階を含む方法であって、少なくとも1つのくぼみが、第2のパターンが表面の上において位置合わせされ、かつ選択した角度に近い角度で光が表面に当たる時に、第1のパターンが現出層を通して表面を見ている観察者に現出されるように構成されており、かつ少なくとも1つのくぼみが、第2のパターンが表面の上において位置合わせされていない時には第1のパターンが現出されないように構成されており、かつ少なくとも1つのくぼみが、選択した角度に近い角度で光が表面に当たらない時には第1のパターンが現出されないように構成されている方法を提供する。
【0015】
少なくとも1つの態様に関する少なくとも1つの利点は、偽造に対するさらなる保護である。例えば、情報を隠して、それを現出層を通して目に見えるようにすることができる。同じく、優れたモアレフィーチャーのためには高レベルの寸法精度も必要と考えられ、それは標準的な隠されたフィーチャーの場合よりも高度であると考えられる。偽造するのがより困難であるため、これにより、セキュリティのレベルを高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】表面におけるくぼみの俯瞰図を描写している。
【図2】表面におけるくぼみを側面から見た概略図である。
【図3】図3Aは、格子線によって形成される線状モアレパターンのベース層を描写している。図3Bは、格子線によって形成される線状モアレパターンの現出層を描写している。図3Cは、図3Aのベース層を図3Bの現出層を通して見ることによって観察される線状モアレパターンを描写している。
【図4】ベース層に対して垂直な方向から照射した医薬錠剤上の図形モアレパターンのベース層の光学顕微鏡画像である。
【図5】図5Aは、設計により指定される角度で照射した図形モアレパターンのベース層の光学顕微鏡画像である。図5Bは、設計により指定される角度とは異なる角度で照射した図形モアレパターンのベース層の光学顕微鏡画像である。
【図6A】設計により指定される角度で照射した図形モアレパターンのベース層の光学顕微鏡画像である。
【図6B】図6Aのベース層とともに用いる現出層を描写している。
【図6C】図6Aのベース層を図6Bの現出層を通して見ることによって観察しうると考えられる大文字「L」および大文字「T」を含むモアレパターンを描写している。
【図7】ベース層に対して垂直な方向から照射した医薬錠剤上の線状モアレパターンのベース層の光学顕微鏡画像である。
【図8A】設計により指定される角度で照射した医薬錠剤上の線状モアレパターンのベース層の光学顕微鏡画像である。
【図8B】設計により指定される角度とは異なる角度で照射した医薬錠剤上の線状モアレパターンのベース層の光学顕微鏡画像である。
【図8C】図8Bのベース層とともに用いる現出層を描写している。
【図8D】設計により指定される角度で表面を照射した時に、図8Aのベース層を図8Cの現出層を通して見ることによって観察しうると考えられるモアレパターンを描写している。
【図9】顕微鏡の光ビーム路を、試料表面および現出層の、一組の想定しうる位置を表示した上で描写している。
【図10A】有効な構造を含むベース層を描写している。
【図10B】図10Aのベース層を適切な現出層を用いて見ることによって観察しうると考えられる、大文字「L」および大文字「T」を含むモアレパターンを描写している。
【図10C】惑乱パターンを加えて強化した図10Aのベース層を描写している。
【図10D】図10Cのベース層を適切な現出層を用いて見ることによって観察しうると考えられるモアレパターンを描写している。
【図11A】直交方向に秘匿された2種類の構造を有するベース層を描写している。この図はまた、デザインの複雑さを高めるための惑乱パターンも含んでいる。
【図11B】図11Aのベース層を適切な現出層を通して見た場合の、菱形を含むモアレパターンを描写している。
【図11C】図11Bにおける向きから90度回転させて、11Aのベース層を同じ現出層を通して見た場合の、大文字「Z」を含む第2のモアレパターンを描写している。
【図12】肉眼的、微視的およびナノスケールのフィーチャーを有する薬学的組成物を描写している。
【発明を実施するための形態】
【0017】
詳細な説明
本出願に引用した参考文献はすべて、それらの全体が参照により本明細書に組み入れられる。参考文献の引用は、いずれかが先行技術であることを認めるものではない。
【0018】
モアレパターン
モアレパターンとは、サイズ、間隔および/または角度方向が幾分異なる2組またはそれ以上の組の類似した画像間の干渉に起因して観察者によって認知される視覚効果のことである。画像は線、曲線、記号、円、楕円、ドット、文字、数字などを含みうると考えられる。場合によっては、画像はバーコードを含んでもよい。画像は、印刷、エッチング、エンボス加工、および当技術分野において公知の他の方法などの方法によって形成しうる。場合によっては、この2組またはそれ以上の組の類似した画像が、単一の表面内または表面上にあってもよい。また別の場合には、1つまたは複数の画像が、観察者と、1つまたは複数の画像を含んでいてもよい表面との間に配置された、1つまたは複数の透明または半透明の層内または当該層上にあってもよい。
【0019】
モアレパターンの1つのタイプは線状モアレパターンであり、これは重ね合わせた時にモアレパターンを生成する2つまたはそれ以上の格子で構成される。格子は平行な線もしくは曲線を含んでもよく、または同心の円、楕円、多角形もしくは他の図形を含んでもよい。また別の場合には、線または曲線が、1つまたは複数の位置を基準として放射状の向きにあってもよい。これらおよび他の変形物は当技術分野において公知である。
【0020】
別のタイプのモアレパターンは図形モアレパターンであり、これは重ね合わせた2つまたはそれ以上の画像から記号、文字、数字および他の図形を生成することができる。画像は線、ドット、曲線などを含みうるが、それら自体が、生成されるモアレパターンと個別に類似している必要はない。
【0021】
モアレパターンおよび関連技術の例は、以下の特許公報および特許に提供されており、これらはそれぞれその全体が参照により組み入れられる:2009年4月23日に公開された国際特許公報WO 2009/051794号、「Pharmaceutical Moire Pill」;2009年1月8日に公開された米国特許公開第2009/0008923号、「Security Element」;2008年9月30日に発行された米国特許第7,429,062号、「Anti-Counterfeiting See-Through Moire Security Feature Using Frequency-Varying Patterns」;2008年2月19日に発行された米国特許第7,333,268号、「Micro-Optic Security and Image Presentation System」;2007年11月13日に発行された米国特許第7,295,717号、「Synthesis of Superposition Images for Watches, Valuable Articles and Publicity」;2007年3月20日に発行された米国特許第7,194,105号、「Authentication of Documents and Articles by Moire Patterns」;2007年1月2日に発行された米国特許第7,158,652号、「Method of Using Plural Watermarks to Prevent Unauthorized Image Copying」;2006年7月25日に発行された米国特許第7,081,282号、「Optically Variable Marking」;2006年5月4日に公開された国際特許公報WO 2006/047695号、「Dosage Forms Having a Microreliefed Surface and Methods and Apparatus for their Production」; 2002年5月9日に公開された米国特許公開第2002/0054680号、「Optical Watermark」;2008年5月6日に発行された米国特許第7,367,593号、「Security Documents and a Method and Apparatus for Printing and Authenticating such Documents」;2007年9月4日に発行された米国特許第7,265,904号、「Optical Security Element」;2006年2月7日に発行された米国特許第6,996,717号、「Semi-Fragile Watermarking System for MPEG Video Authentication」;および1989年12月4日に発行された米国特許第4,884,828号、「Security Documents」。
【0022】
ベース層、現出層、モアレ対および秘匿された情報
特に関心の対象となるのは、現出層を通してベース層を見る時にのみ少なくとも1つのモアレパターンが認知されうるように、2組またはそれ以上の組の画像をベース層と透明または半透明の現出層との間に置いた時に作り出される、モアレパターンである。そのようなベース層と現出層とはモアレ対を形作る。場合によっては、この2つの層上の画像が、モアレパターンが認知されるのに十分なように位置合わせされるために、ベース層または現出層を相互に対して回転させる必要がある。図3は、ベース層上の格子および現出層上の格子を、重ね合わせた現出層を通してベース層を見た時に結果として生じる線状モアレパターンとともに描写している。
【0023】
そのような立体配置を利用して、ベース層上またはベース層内に秘匿された情報を認知する目的に現出層の使用を必要とするように、情報をベース層上またはベース層内に秘匿することができる。または、現出層上または現出層内に秘匿された情報を認知する目的にベース層の使用を必要とするように、現出層上または現出層内に秘匿することもできる。さらに別の場合には、秘匿された情報が、表面上および現出層上の両方に存在してもよい。そのような秘匿された情報には隠されたフィーチャーが含まれうる。隠されたフィーチャーとは、特に裸眼、または光学画像検査などの従来の検査技術を用いたのでは、検出、位置特定または解読が典型的には困難であるもののことである。隠されたフィーチャーの例は、2005年4月20日に提出された米国特許出願第11/109,877号(米国特許公開第2010/0294844号として公開)および2005年12月19日に提出された第11/305,326号(米国特許公開第2010/0294146号として公開)に記載されており、これらはいずれもそれらの全体が参照により組み入れられる。そのような隠されたフィーチャーは、偽造者にそれらの存在への注意を喚起することなく、偽造品の検出を可能にしうると考えられる。または、それらは、商業的価値のある物または組成物、例えば医薬製品などの追跡可能性を、医薬品ロット番号、製品識別子、製造日などの情報を組み入れることによって可能にするとも考えられる。そのような隠されたフィーチャーの検出のためのシステムは、2006年9月12日に提出された米国特許出願11/519,199号(米国特許公開第2010/0294927号として公開)に記載されており、それはその全体が参照により組み入れられる。
【0024】
いくつかの態様においては、複数の組の情報をベース層上またはベース層内および現出層上または現出層内に秘匿し、現出層を表面に対して回転させると各情報セットが異なる回転角度で認知しうるようにすることができる。場合によっては、直交角度を用いることもでき、この場合は、秘匿されたさまざまな情報セットを現出させるために現出層を90度の倍数だけ回転させなければならない。さまざまなパターンに伴って周期性がある場合、各直交方向に対応する周期は同じである必要はない。
【0025】
いくつかの態様において、表面または現出層のいずれか一方または両方に惑乱(confusion)パターンを導入することもできる。惑乱パターンのある部分はモアレパターンに寄与し、その上で惑乱パターンの別の部分または全体を、モアレ対のもう一方のメンバー上のパターンによって遮断することができる。惑乱パターンは、秘匿された情報を偽造者が識別する難度を高めることができる。
【0026】
表面、くぼみ、壁、床面
表面はくぼみを含みうる。いくつかの態様において、くぼみは三角形または台形の断面を有してもよい。くぼみは、表面から床面まで延在する壁を含みうる。図1は、台形の断面を有するくぼみを含む表面の上面図の一例である。この例では、くぼみは4つの壁および1つの床面を含む。
【0027】
くぼみは、エッチング、型押し、エンボス加工、成形などの任意の公知の手段により、表面に導入することができる。いくつかの態様において、くぼみは、そのくぼみの反転像を有する押し型を用いることによって導入することができる。そのような押し型は、同様に、それ自体がくぼみを含むであろう型枠から作ることができる。
【0028】
そのような方法の例は以下の特許出願に提供されており、これらはそれぞれその全体が参照により組み入れられる:2009年7月20日に提出された米国仮特許出願第61/227,012号、「Nano-Molding Micron and Nano Scale Features」(PCT/US2010/042468号も参照);2005年12月19日に提出された米国特許出願第11/305,327号、「Apparatus and Methods for Preparing Identification Features Including Pharmaceutical Features」(米国特許公開第2010/0294147号として公開);2005年12月19日に提出された米国特許出願第11/305,326号、「Stamps with Micrometer and Nanometer-Scale Features and Methods of Fabrication Thereof」(米国特許公開第2010/0294146号として公開);2005年12月19日に提出された米国特許出願第11/305,189号、「Overt Authentication Features for Compositions and Objects and Methods of Fabrication and Verification Thereof」(米国特許公開第2010/0297027号として公開);および2005年4月20日に提出された米国特許出願第11/109,877号、「Identification Features」(米国特許公開第2010/0294844号として公開)。また、例えば米国特許公開第2010/0297228号も参照されたい。
【0029】
くぼみが1つまたは複数の壁を含む場合には、表面と壁とは一般に、図2中に「α」と表記された、ある角度で交わると考えられる。型枠または表面が(100)シリコンウエハーでできていて、異方的にエッチングされている場合、この角度は約50〜約60度であると考えられ、それは2の平方根のアークタンジェントに等しい、(100)結晶面と(111)結晶面との間の理論上の角度に対応する。
【0030】
光源、照射角度、およびくぼみの形状
いくつかの態様において、表面は光源によって照射される。光源からの光は、図2中に「β」と表記された、表面に対するある照射角度で、表面に当たることができる。光源は例えば、少なくとも1つの白熱電球、蛍光灯、発光ダイオード、レーザーなどを含みうる。
【0031】
表面がくぼみを含む場合、光源からの照射の角度は、くぼみに投じられる陰影のサイズに影響を及ぼしうる。照射の特定の角度およびくぼみのサイズを選択することにより、表面上の各くぼみにおける陰影のサイズを設計することができる。照射の角度がその指定された角度から変化するにつれて、陰影のサイズはその設計されたサイズから変化すると考えられる。場合によっては、くぼみに投じられる陰影の形は、光が表面を照射する方向によって変化する。このため、くぼみと照射の方向との適正な位置合わせが確実に行われるように、表面を回転させること、または照射の方向を変化させることが必要なことがある。
【0032】
一例を図2に図示している。角度「α」は、表面とくぼみの壁との間の角度である。角度「β」は、光源からの光により表面に対して照射が当たる角度である。幅「W」のくぼみの場合、くぼみの照射される部分および陰影になる部分のサイズはそれぞれ「WL」および「WD」である。
【0033】
以下の式を用いて、角度「α」および「β」に適合する所望の陰影サイズ「WD」を実現するために必要なくぼみの幅を求めることができる:
三角形の断面を有するくぼみで、「α」が「β」よりも小さい場合、

台形の断面を有するくぼみで、くぼみの床面のどの部分も照射されない場合、

および
台形の断面を有するくぼみで、くぼみの床面の一部分が照射され、かつ床面が幅「WF」を有する場合(図2に示されている)、


【0034】
ベース層画像の秘匿
表面上または表面内にくぼみを設計し、くぼみの中の陰影を利用してベース層画像を構築することにより、ベース層画像を秘匿することができる。照射の角度が設計角度「β」に近い時にのみ、陰影は、表面がベース層として作用しうる正しいサイズになる。照射の角度が設計角度から、場合によっては10度、場合によっては5度、場合によっては2度隔たっていれば、現出層を通して表面を見た時にモアレパターンはもう認知できなくなると考えられる。そのような設計は、ベース層上、現出層上またはその両方の表面に含まれる情報をさらに秘匿するための、さらなる階層のセキュリティを導入することができる。
【0035】
光学顕微鏡、接眼部、中間像面
いくつかの態様において、現出層を、光学顕微鏡の中間像面内に配置してもよい。図9は、そのような態様の一例を描写している。そのような顕微鏡は、顕微鏡の接眼部の内部、例えば測定レチクルを配置しうる場所の、中間像面内に現出層が配置されるように設計することができる。そのような場合に、現出層内または現出層上の画像のサイズは、接眼部を通してベース層を観察した時に、観察者がモアレパターンを観察しうるように倍率変更されると考えられる。接眼部は、ベース層および現出層上の画像の位置合わせを補助するために回転可能であってもよい。
【0036】
他の態様において、現出層をベース層の上に直接配置し、両方が顕微鏡の対物面内またはその付近にあるようにしてもよい。そのような場合に、ベース層を得るために表面を適正な角度で照射する方法は、介在する現出層の存在を補正することを必要とする可能性がある。対物面内またはその付近に配置された現出層内または現出層上の画像は、中間像面で用いられるその種の画像よりも一般に小さいと考えられる。例えば、ベース層が微視的フィーチャーを含む場合、対物面内またはその付近に配置された現出層は一般に微視的フィーチャーも含み、一方、中間像面に配置されるものははるかに大きなフィーチャーを含みうると考えられる。
【0037】
さらに他の態様において、画像化システムを用いて、ベース層の画像をスクリーンまたはディスプレイ上に表示してもよい。この場合には、表示された画像を倍率変更された現出層を通して見ている人がモアレパターンを観察しうるように、現出層の倍率を変更することが可能である。場合によっては、表示された画像は、画像化システムから生成された走査線またはピクセルを含みうる。
【0038】
表面を含む薬学的組成物
いくつかの態様において、表面は、錠剤またはカプセル剤などの薬学的組成物の一部であってもよい。モアレパターンの明領域の均一性を得るためには、光を強く散乱するようにそのような表面を設計するとよい。例えば、非コーティング錠剤、または光散乱を増大させるための不均一成分を含むコーティングを有する錠剤を用いうると考えられる。同様に、不均一成分を含む薄膜でカプセル剤を形成すること、または光散乱を増大させるコーティングで被覆することもできると考えられる。散乱性表面の使用により、表面上または表面内のフィーチャーを認知しうる視野角の範囲は一般に大きくなる。散乱性の高い表面の使用は全体的コントラストを低くする可能性があるため、均一なモアレパターンを作り出すために、現出層上の画像をグレー階調で描写することが必要な場合がある。
【0039】
代替的な戦略は、反射性の高い表面を用い、それによって明領域と暗領域との間の全体的コントラストを高めることであると考えられる。錠剤またはカプセル剤である医薬組成物、およびコントラストを最大限に高めるためのコーティングを選択することにより、現出層上に暗画像を用いて均一なモアレパターンを得ることが可能になると考えられる。このアプローチの潜在的な短所は、非散乱性表面では、表面上または表面内のフィーチャーを認知しうるようにするために、観察角度(または、表面を画像化システムを用いて見る場合には、集光角度)を大きくすることが一般に必要なことである。
【0040】
図12は、例示的な薬学的組成物120、例えば錠剤またはカプセル剤などを描写している。薬学的組成物120は1つまたは複数の肉眼的くぼみ121を有してもよく、それは裸眼で視認しうる。肉眼的くぼみは典型的には、錠剤の場合は深さ20〜50ミクロンであってもよく、またはカプセル剤の場合は深さ50〜100ミクロンであってもよい。そのような肉眼的くぼみは、より小規模なフィーチャーを、例えば、出荷および運送時の摩耗などの損傷から守ることができる。ベース層が肉眼的くぼみを含んでもよい。
【0041】
肉眼的くぼみ121には、1つまたは複数の微視的くぼみ122があってもよい。微視的くぼみは典型的には、肉眼的くぼみ121の床面を基準とした測定で、例えば約2〜6ミクロンの深さを有しうる。そのような微視的くぼみは、顕微鏡などのツールを用いて観察しうるフィーチャーを含みうる。ベース層が微視的くぼみを含んでもよい。
【0042】
肉眼的くぼみ121または微視的くぼみ122には、1つまたは複数のナノスケールのくぼみ123があってもよい。そのようなナノスケールのくぼみは、肉眼的くぼみ121または微視的くぼみ122の床面を基準とした測定で、典型的には90〜250nmの深さを有しうる。そのようなナノスケールのくぼみは、原子間力顕微鏡などのツールを用いて観察しうるフィーチャーを含みうる。ベース層がナノスケールのくぼみを含んでもよい。
【実施例】
【0043】
実施例1:図形モアレ
図形モアレ対のベース層の反転像である押し型を用意した。この押し型を用いて、医薬錠剤の表面をエンボス加工した。図4は、錠剤上にエンボス加工された、その結果得られたベース層構造の光学画像である。光源は、錠剤の表面に対して垂直に向けた。顕微鏡観察角度も表面に対して垂直とした。
【0044】
照射の角度を変更した。図5Aは、照射角度が設計によって指定されるものと同じであった場合の光学画像である。この図の中の暗領域(陰影)は図4には存在しないことに注意されたい。図5Bは、照射角度が図4のものと図5Aのものとの間にある光学画像である。この図における暗領域は図5Aにおけるものよりも小さい。
【0045】
図6Aは、同じように調製した別の表面の光学画像である。図6Bは、用いうると考えられる現出層を描写している。図6Cは、図6Bの現出層を図6Aのベース層の上に重ね合わせ、照射角度が設計によって指定されるものと同じである場合に観察しうると考えられる図形モアレパターンを描写している。この描写において、大文字「L」および「T」は、現出層を通してベース層を見た時に観察しうると考えられる。(この図において、現出層の画像は電子的に作成したものであり、光学顕微鏡像の一部ではないことに留意されたい)
【0046】
実施例2:線状モアレ
線状モアレ対のベース層の反転像である押し型を用意した。この押し型を用いて、医薬錠剤の表面をエンボス加工した。図7は、錠剤上にエンボス加工された、その結果得られたベース層構造の光学画像である。光源は、錠剤の表面に対して垂直に向けた。顕微鏡観察角度も表面に対して垂直とした。
【0047】
照射の角度を変更した。図8Aは、照射角度が設計によって指定されるものと同じであった場合の光学画像である。この図の中の暗領域(陰影)は図7には存在しないことに注意されたい。図8Bは、照射角度が図7のものと図8Aのものとの間にある光学画像である。この図における暗領域は図8Aにおけるものより小さい。
【0048】
図8Cは、用いうる現出層を描写している。図8Dは、現出層をベース層の上に重ね合わせ、照射角度が設計によって指定されるものと同じである場合に観察しうると考えられる線状モアレパターンを描写している。この図の上に重ね合わせて、生成された線状モアレパターンの左側にあるのは、当初に設計した線状モアレパターンである。(この図において、現出層の画像は電子的に作成したものであり、光学顕微鏡像の一部ではないことに留意されたい)。
【0049】
実施例3. 有効な構造(予測的)
有効な構造を含むモアレ対のベース層の反転像の押し型を用意する。この押し型を用いて、医薬錠剤の表面をエンボス加工する。図10Aは、有効な構造を含むベース層を描写している。
【0050】
図10Bは、図10Aのベース層を適切な現出層を通して見た場合に観察されるモアレパターンを描写している。文字「L」および「T」はベース層の部分および現出層の部分から形作られることに留意されたい。
【0051】
実施例4. 惑乱パターン(予測的)
有効な構造および惑乱パターンの両方を含むモアレ対のベース層の反転像を有する押し型を用意する。この押し型を用いて、医薬錠剤の表面をエンボス加工する。図10Cはベース層を描写している。この図における文字を識別することは、惑乱パターンを含まない図10Aにおけるものよりも難しいことに留意されたい。
【0052】
図10Dは、図10Cのベース層を適切な現出層を通して見た場合に観察されるモアレパターンを描写している。惑乱パターンが現出層によって遮断されて、大文字「L」および「T」を識別することが可能になる。
【0053】
実施例5.直交方向を向く複数のパターン(予測的)
直交する2つの方向から見るように設計された2つのパターンを含むモアレ対のベース層の反転像を有する押し型を用意する。このベース層は惑乱パターンも含む。この押し型を用いて、医薬錠剤の表面をエンボス加工する。図11Aはベース層を描写している。
【0054】
図11Bは、図11Aのベース層を、第1の方向を向いた現出層を通して見た場合に観察されるモアレパターンを描写している。菱形図形が識別される。
【0055】
図11Cは、現出層を90度回転した時に観察されるモアレパターンを描写している。大文字「Z」が識別される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面、現出層および光源を用意する段階;
該表面または該光源のうち少なくとも1つを、該光源からの光が所定の角度に近い照射角度で該表面に当たるように調整する段階;
該現出層を該表面に対して位置合わせする段階;ならびに
該現出層を通して該表面を見ることによって、秘匿された情報を取り出す段階、
を含み、
該光源からの光が該所定の角度に近い照射角度で該表面に当たる時にのみ、該秘匿された情報を取り出すことができる、
方法。
【請求項2】
表面が少なくとも1つのくぼみを含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
表面が、エンボス加工または成形によって形成された少なくとも1つのくぼみを含む、請求項1記載の方法。
【請求項4】
表面が、断面が三角形である少なくとも1つのくぼみを含む、請求項1記載の方法。
【請求項5】
表面が、断面が三角形である少なくとも1つのくぼみを含み、該少なくとも1つのくぼみが1つまたは複数の壁を含み、該1つまたは複数の壁が該表面と角度αを形成し、
照射角度がβであり、該照射角度が該角度αよりも小さいかまたはそれと等しく、かつ
該少なくとも1つのくぼみが、該表面において測定された第1の幅Wを含み、かつ
該少なくとも1つのくぼみが、

によって与えられる第2の幅WDを有する陰影を含む、請求項1記載の方法。
【請求項6】
表面が、断面が台形である少なくとも1つのくぼみを含む、請求項1記載の方法。
【請求項7】
表面が、断面が台形である少なくとも1つのくぼみを含み、該少なくとも1つのくぼみが1つまたは複数の壁および床面を含み、該1つまたは複数の壁が該表面と角度αを形成し、
照射角度がβであり、該照射角度が、該床面のいずれの部分も光源によって照射されないほどに十分に小さく、
該少なくとも1つのくぼみが、該表面において測定された第1の幅Wを含み、かつ
該少なくとも1つのくぼみが、

によって与えられる第2の幅WDを有する陰影を含む、請求項1記載の方法。
【請求項8】
表面が、断面が台形である少なくとも1つのくぼみを含み、該少なくとも1つのくぼみが壁および床面を含み、該壁が該表面と角度αを形成し、
照射角度がβであり、該照射角度が、該床面の少なくとも一部分が光源によって照射される程度に十分に大きく、該照射角度がまた、該角度αよりも小さいかまたはそれと等しく、かつ
該少なくとも1つのくぼみが、該表面において測定された第1の幅Wを含み、
該床面が第2の幅WFを含み、かつ
該少なくとも1つのくぼみが、

によって与えられる第3の幅WDを有する陰影を含む、請求項1記載の方法。
【請求項9】
角度αが50〜60度である、請求項5、7または8記載の方法。
【請求項10】
表面が、陰影を含むベース層を含む、請求項5、7または8記載の方法。
【請求項11】
光源からの光が所定の角度から約10度以内の照射角度で表面に当たる時にのみ、秘匿された情報を取り出すことができる、請求項1記載の方法。
【請求項12】
光源からの光が所定の角度から約5度以内の照射角度で表面に当たる時にのみ、秘匿された情報を取り出すことができる、請求項1記載の方法。
【請求項13】
光源からの光が所定の角度から約2度以内の照射角度で表面に当たる時にのみ、秘匿された情報を取り出すことができる、請求項1記載の方法。
【請求項14】
情報が表面上または現出層上のうち少なくとも1つに秘匿されている、請求項1記載の方法。
【請求項15】
秘匿された情報が少なくとも1つのモアレパターンを含む、請求項1記載の方法。
【請求項16】
秘匿された情報が少なくとも1つの線状モアレパターンを含む、請求項1記載の方法。
【請求項17】
秘匿された情報が少なくとも1つの図形モアレパターンを含む、請求項1記載の方法。
【請求項18】
秘匿された情報がドットまたは線または円または楕円または多角形または文字または数字またはバーコードを含む、請求項1記載の方法。
【請求項19】
表面および現出層のうち少なくとも1つが少なくとも1つの惑乱(confusion)パターンを含む、請求項1記載の方法。
【請求項20】
秘匿された情報を取り出す段階が顕微鏡を用いて行われる、請求項1記載の方法。
【請求項21】
現出層が顕微鏡の中間像面内に配置される、請求項1記載の方法。
【請求項22】
現出層が顕微鏡の接眼部内に配置される、請求項1記載の方法。
【請求項23】
現出層が表面に接触している、請求項1記載の方法。
【請求項24】
現出層を位置合わせする段階が現出層を回転させる段階を含む、請求項1記載の方法。
【請求項25】
光源が少なくとも1つの白熱電球、蛍光灯、発光ダイオードまたはレーザーを含む、請求項1記載の方法。
【請求項26】
表面が薬学的組成物の一部である、請求項1記載の方法。
【請求項27】
表面が薬学的組成物の一部であり、前記方法が、秘匿された情報を用いて該薬学的組成物の真正性を確認する段階をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項28】
請求項1記載の方法によって取り出し得る秘匿された情報を含む表面を含む、薬学的組成物。
【請求項29】
請求項1記載の方法に用いるために構成された光源および現出層を含む、キット。
【請求項30】
請求項1記載の方法に用いるために構成された現出層を含む顕微鏡。
【請求項31】
表面を含む薬学的組成物であって、該表面が少なくとも1つの第1の肉眼的くぼみを含み、該第1の肉眼的くぼみが少なくとも1つの第2の微視的またはナノスケールのくぼみを含み、
該少なくとも1つの第2のくぼみが秘匿された情報を含む、薬学的組成物。
【請求項32】
少なくとも1つの第1のくぼみが深さ約20〜約100ミクロンである、請求項31記載の薬学的組成物。
【請求項33】
少なくとも1つの第2のくぼみが深さ約2〜約6ミクロンである、請求項31記載の薬学的組成物。
【請求項34】
少なくとも1つの第2のくぼみが深さ約90〜約250 nmである、請求項31記載の薬学的組成物。
【請求項35】
少なくとも1つの第2のくぼみが、断面が三角形または台形である少なくとも1つのくぼみを含む、請求項31記載の薬学的組成物。
【請求項36】
少なくとも1つの第2のくぼみが少なくとも1つの陰影を含み、前記表面が所定の角度に近い照射角度で照射された時に該少なくとも1つの陰影を含むベース層を該表面が含む、請求項31記載の薬学的組成物。
【請求項37】
少なくとも1つの第2のくぼみが少なくとも1つの陰影を含み、前記表面が所定の角度に近い照射角度で照射された時に該少なくとも1つの陰影を含むベース層を該表面が含み、該ベース層が秘匿された情報を含む、請求項31記載の薬学的組成物。
【請求項38】
錠剤またはカプセル剤を含む、請求項31記載の薬学的組成物。
【請求項39】
秘匿された情報が、少なくとも1つのドットまたは線または円または楕円または多角形または文字または数字またはバーコードを含む、請求項31記載の薬学的組成物。
【請求項40】
秘匿された情報が少なくとも1つのロット番号、製品識別子または製造日を含む、請求項31記載の薬学的組成物。
【請求項41】
モアレベース層を提供するように適合化された少なくとも1つの領域を含む少なくとも1つの表面を含む、少なくとも1つの薬学的組成物を用意する段階;
該領域をある角度で照射する段階;
照射された領域をモアレ現出層を用いて画像化して、モアレパターンを生成させる段階
を含む方法。
【請求項42】
モアレ現出層がベース層と接触しない、請求項41記載の方法。
【請求項43】
画像化が顕微鏡を用いて行われる、請求項41記載の方法。
【請求項44】
領域がエンボス加工された領域を含む、請求項41記載の方法。
【請求項45】
領域がナノスケールのエンボス加工された領域を含む、請求項41記載の方法。
【請求項46】
領域がミクロスケールのエンボス加工された領域を含む、請求項41記載の方法。
【請求項47】
領域がミクロスケールのエンボス加工された領域およびナノスケールのエンボス加工された領域を含む、請求項41記載の方法。
【請求項48】
領域が周期的パターンを含む、請求項41記載の方法。
【請求項49】
照射が所定の角度および所定の方向で行われる、請求項41記載の方法。
【請求項50】
現出層が顕微鏡の光路内の中間像面に配置される、請求項41記載の方法。
【請求項51】
モアレパターンを生成させるために位置合わせマークが用いられる、請求項41記載の方法。
【請求項52】
モアレパターンが線状モアレパターンである、請求項41記載の方法。
【請求項53】
モアレパターンが図形モアレパターンである、請求項41記載の方法。
【請求項54】
表面;および
該表面上に形成された少なくとも1つのくぼみ、
を含む組成物であって、
現出層が該表面の上において位置合わせされ、かつ所定の角度に近い角度で光が該表面に当たる時に所定のパターンが現出されるように、該表面が構成されており、
所定の角度に近くない角度で光が該表面に当たる時には、該現出層が該表面の上において位置合わせされているか否かにかかわらず、所定のパターンが現出されないように、該表面が構成されており、かつ
該現出層が該表面の上において位置合わせされていない時には、所定の角度に近い角度で光が該表面に当たるか否かにかかわらず、所定のパターンが現出されないように、該表面が構成されている、組成物。
【請求項55】
表面を用意する段階;
現出させようとするパターンである第1のパターンを選択する段階;
現出層内に設置しようとするパターンである第2のパターンを選択する段階;
第1のパターンを現出させるために該表面に当たる光の角度を選択する段階;および
少なくとも1つのくぼみを該表面上に形成させる段階、
を含む方法であって、
第2のパターンが該表面の上において位置合わせされ、かつ選択した角度に近い角度で光が該表面に当たる時に、第1のパターンが該現出層を通して該表面を見ている観察者に現出されるように、該少なくとも1つのくぼみが構成されており、
第2のパターンが該表面の上において位置合わせされていない時には第1のパターンが現出されないように、該少なくとも1つのくぼみが構成されており、かつ
選択した角度に近い角度で光が該表面に当たらない時には第1のパターンが現出されないように、該少なくとも1つのくぼみが構成されている、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図8D】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図10D】
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【図11A】
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【図11B】
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【図11C】
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【図12】
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【公表番号】特表2013−518328(P2013−518328A)
【公表日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−550209(P2012−550209)
【出願日】平成23年1月25日(2011.1.25)
【国際出願番号】PCT/US2011/022442
【国際公開番号】WO2011/094221
【国際公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【出願人】(508311352)ナノインク インコーポレーティッド (16)
【Fターム(参考)】