説明

表面プラズモン増強蛍光センサおよび表面プラズモン増強蛍光センサに用いられるチップ構造体ならびに表面プラズモン増強蛍光センサを用いた検体検出方法

【課題】励起光を金属薄膜に照射して粗密波(表面プラズモン)を生じさせて励起された蛍光物質が生ずる蛍光を正確に検出し、検出感度を上げても超高精度に蛍光検出を行うことのできる表面プラズモン増強蛍光センサに用るチップ構造体を提供する。
【解決手段】表面プラズモン増強蛍光センサに用いられるチップ構造体であって、前記チップ構造体は、金属薄膜と、前記金属薄膜の一方側面に形成された反応層と、前記金属薄膜の他方側面に形成された誘電体部材と、から少なくとも構成され、前記誘電体部材の外側から前記金属薄膜に光源より励起光を照射し、前記金属薄膜上の電場を増強させることにより、前記金属薄膜上に形成された前記反応層の蛍光物質を励起させる際、前記誘電体部材が、前記反応層の蛍光物質を励起させる励起波長の光を前記金属薄膜へ到達させ、前記蛍光物質の蛍光波長の光が前記金属薄膜に到達することを低減する励起光選択透過部を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面プラズモン励起増強蛍光分光法(SPFS;Surface Plasmon-field enhanced Fluorescence Spectroscopy)の原理に基づいた表面プラズモン増強蛍光センサおよびこの表面プラズモン増強蛍光センサに用いられるチップ構造体ならびにこの表面プラズモン増強蛍光センサを用いた検体検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、表面プラズモン励起増強蛍光分光法(SPFS)の原理に基づき、例えば生体内の極微少なアナライトの検出が行われている。
表面プラズモン励起増強蛍光分光法(SPFS)は、光源より照射したレーザ光(励起光)が金属薄膜表面で全反射減衰(ATR;attenuated total reflectance)する条件において、金属薄膜表面に粗密波(表面プラズモン)を発生させることによって、光源より照射したレーザ光(励起光)が有するフォトン量を数十倍〜数百倍に増やし(表面プラズモンの電場増強効果)、これにより金属薄膜近傍の蛍光物質を効率良く励起させることによって、極微量および/または極低濃度のアナライトを検出する方法である。
【0003】
近年、このような表面プラズモン励起増強蛍光分光法(SPFS)の原理に基づいた表面プラズモン増強蛍光センサの開発が進められており、例えば特許文献1や特許文献2などにその技術開示がなされている。
【0004】
このような表面プラズモン増強蛍光センサ100は、図6に示したように基本的な構造において、まず金属薄膜102と、金属薄膜102の一方側面に形成された反応層104と、他方側面に形成された誘電体部材106と、を有するチップ構造体108を備えている。
【0005】
そして、チップ構造体108の誘電体部材106側には、誘電体部材106内に入射され、金属薄膜102に向かって励起光110を照射する光源112を備え、さらに光源112から照射され金属薄膜102で反射した金属薄膜反射光114を受光する受光手段116が備えられている。
【0006】
一方、チップ構造体108の反応層104側には、反応層104で捕捉されたアナライトを標識した蛍光物質が発する蛍光118を受光する光検出手段120が設けられている。
【0007】
なお、反応層104と光検出手段120との間には、蛍光118を効率よく集光するための集光部材122と、蛍光118以外に含まれる光を除去し、必要な蛍光のみを選択する波長選択機能部材124が設けられている。
【0008】
そして、表面プラズモン増強蛍光センサ100の使用においては、金属薄膜102上に、あらかじめ蛍光物質で標識されたアナライトが捕捉された反応層104を形成しておき、この状態で光源112より誘電体部材106内に励起光110を照射し、この励起光110が特定の角度(共鳴角)θ1で金属薄膜102に入射することで、金属薄膜102上に粗密波(表面プラズモン)を生ずるようになっている。
【0009】
なお、金属薄膜102上に粗密波(表面プラズモン)が生ずる際には、励起光110と金属薄膜102中の電子振動とがカップリングし、金属薄膜反射光114の光量減少という現象が生ずる。
【0010】
このため、受光手段116で受光される金属薄膜反射光114のシグナルが変化(光量が減少)する地点を見つければ、粗密波(表面プラズモン)が生ずる共鳴角θ1を得ることができる。
【0011】
そして、この粗密波(表面プラズモン)を生ずる現象により、金属薄膜102上の反応層104の蛍光物質が効率良く励起され、これにより蛍光物質が発する蛍光118の光量が増大することとなる。
【0012】
この増大した蛍光118を、集光部材122および波長選択機能部材124を介して光検出手段120で受光することで、極微量および/または極低濃度のアナライトを検出することができるようになっている。
【0013】
このように、表面プラズモン増強蛍光センサ100は、特に生体分子間などの微細な分子活動を観察可能とする高感度計測センサである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特許第3294605号公報
【特許文献2】特開2006−208069号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら、上述したような従来の表面プラズモン増強蛍光センサ100において、光検出手段120の検出感度を高めて行くと、検出対象である「反応層104の蛍光物質が生じる蛍光118」以外に、この「蛍光118の波長に近い波長の光」、または「蛍光118の波長と重なる波長を有する光」についても合わさって検出されていることが本発明者らによって確認され、真の蛍光検出が行われていないことが判明した。
【0016】
つまり、このような従来の表面プラズモン増強蛍光センサ100では、波長選択機能部材124によって蛍光118以外の光を低減してはいるものの、蛍光118に近い波長の光,蛍光118蛍光波長と重なる波長を有する光については、従来の光検出手段120と反応層104との間に設けられた波長選択機能部材124では十分な除去はできず、特に極微量および/または極低濃度のアナライトを検出するための高精度で高感度の蛍光検出には不十分であることが分かった。
【0017】
また、従来の波長選択機能部材124によって、蛍光118の蛍光波長と重なる波長を有する不要な光を完全に除去しようとすると、検出対象である蛍光物質の蛍光118までをも低下させることにつながり、検出感度の向上が見込めなくなるという問題もある。
【0018】
このような蛍光118の蛍光波長に近い波長の光,蛍光波長と重なる波長を有する光は、蛍光118の検出感度が高まれば高まるほど、検出値の正確性に悪影響を及ぼすため、この蛍光118以外の光を確実に除去し、検出感度を上げても精度良く蛍光検出ができる表面プラズモン増強蛍光センサが望まれている。
【0019】
本発明はこのような従来技術の問題点に鑑みなされたものであって、検出対象である反応層の蛍光物質が発する蛍光を確実に検出し、検出感度を上げても超高精度に蛍光検出を行うことのできる表面プラズモン増強蛍光センサおよび表面プラズモン増強蛍光センサに用いられるチップ構造体ならびに表面プラズモン増強蛍光センサを用いた検体検出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明は、前述したような従来技術における問題点を解決するために発明されたものであって、
本発明の表面プラズモン増強蛍光センサに用いられるチップ構造体は、
金属薄膜と、
前記金属薄膜の一方側面に形成された反応層と、
前記金属薄膜の他方側面に形成された誘電体部材と、
から少なくとも構成され、
前記誘電体部材の外側から前記金属薄膜に光源より励起光を照射し、前記金属薄膜上の電場を増強させることにより、前記金属薄膜上に形成された前記反応層の蛍光物質を励起させる際において、
前記誘電体部材が、
前記反応層の蛍光物質を励起させる励起波長の光を前記金属薄膜へ到達させ、前記蛍光物質の蛍光波長の光が前記金属薄膜に到達することを低減する励起光選択透過部を有することを特徴とする。
【0021】
このように励起光選択透過部が設けられていれば、励起光は金属薄膜に到達し表面プラズモンを生じさせて反応層の蛍光物質を励起させることができ、かつ、反応層の蛍光物質の蛍光波長と重なる波長の不要な光を低減させることができるので、反応層の極微量の蛍光も超高精度に検出することができる。
【0022】
また、本発明のチップ構造体は、
前記励起光選択透過部が、
前記誘電体部材の基材上に形成された励起光選択透過層であり、前記誘電体部材の基材と前記金属薄膜との間に形成されていることを特徴とする。
【0023】
特に誘電体部材の基材と金属薄膜との間に形成された励起光選択透過層では、励起光を誘電体部材に入射することによって誘電体部材から生じる極微弱な蛍光(自家蛍光)などの光に、反応層の蛍光物質の蛍光波長と重なる波長の不要な成分があったとしても、その波長の光が金属薄膜に到達する前に低減させることができるので、励起光により金属薄膜の更に後方の反応層で生じる極微量の検出対象である蛍光を超高精度に検出することができる。
【0024】
また、本発明のチップ構造体は、
前記励起光選択透過部が、
前記誘電体部材の励起光入射面に形成された励起光選択透過層であることを特徴とする。
【0025】
このように誘電体部材の励起光入射面に励起光選択透過層を設けていれば、反応層の蛍光物質の蛍光波長と重なる波長の光を低減できるため、蛍光検出の際には、反応層の極微量の蛍光も超高精度に検出することができる。
【0026】
特に、誘電体部材の励起光入射面に形成された励起光選択透過層では、励起光の光源から発せられる反応層の蛍光物質の蛍光波長と重なる光が誘電体部材に入射することを低減できる。
このため、反応層の蛍光物質の蛍光波長と重なる不要な光が金属薄膜に到達することを低減し、検出対象の反応層で発生する極微量の蛍光も超高精度に検出することができる。
【0027】
また、本発明のチップ構造体は、
前記励起光選択透過層が、
スパッタリング法および/または真空蒸着法により成膜されていることを特徴とする。
このようにスパッタリング法および/または真空蒸着法であれば、特に容易に励起光選択透過層を形成することができる。
【0028】
また、本発明のチップ構造体は、
前記励起光選択透過部は、
前記蛍光物質の蛍光波長の光を吸収する特性を有する添加剤を前記誘電体部材中に含有してなることを特徴とする。
【0029】
このように励起光選択透過部が、反応層の蛍光物質の蛍光波長と重なる不要な光を吸収する特性を有する添加剤を誘電体部材中に含有してなれば、誘電体部材そのものが、反応層の蛍光物質の蛍光波長と重なる波長の光、特に誘電体部材に励起光を入射することによって誘電体部材から生じる蛍光(自家蛍光)などを吸収できるため、検出対象の蛍光検出の際には、反応層の極微量の蛍光も超高精度に検出することができる。
【0030】
また、本発明のチップ構造体は、
前記添加剤が、
前記誘電体部材の全体に含有されていることを特徴とする。
【0031】
このように誘電体部材の全体が励起光選択透過部となっていれば、この添加剤を誘電体部材の基材の原材料中に添加しておき、この添加剤を含有した原材料を用いて誘電体部材を成形することなどで、誘電体部材の全体を簡単且つ容易に励起光選択透過部とすることができる。
【0032】
さらに励起光選択透過部が、反応層の蛍光物質の蛍光波長と重なる波長の光を低減できるため、検出対象である蛍光検出の際には、反応層の極微量の蛍光も超高精度に検出することができる。
【0033】
また、本発明のチップ構造体は、
前記添加剤が、
前記誘電体部材の一部分に含有されていることを特徴とする。
【0034】
このように誘電体部材の一部分だけが励起光選択透過部となっていても、それにより反応層の蛍光物質の蛍光波長と重なる波長の光を低減できるため、検出対象の蛍光検出の際には、反応層の極微量の蛍光も超高精度に検出することができる。
【0035】
なお、一部分だけが励起光選択透過部である誘電体部材を製造する場合には、誘電体部材の成形時に、例えば2色成形方法などの射出成形方法や、予め誘電体部材の一部分の励起光選択透過部だけを別に成形しておき、これを通常の誘電体部材と接着剤などで接合することで形成する方法などを用いることで容易に製造することができる。
【0036】
また、本発明のチップ構造体は、
前記励起光が、
前記金属薄膜に共鳴角で入射された励起光であることを特徴とする。
【0037】
また、本発明の表面プラズモン増強蛍光センサは、
上記のいずれかに記載のチップ構造体を配設してなることを特徴とする。
このように上記したチップ構造体を配設してなる表面プラズモン増強蛍光センサであれば、チップ構造体の誘電体部材の構造により、励起光は金属薄膜に到達し表面プラズモンを生じさせて反応層の蛍光物質を励起させることができ、かつ、反応層の蛍光物質の蛍光波長と重なる波長の不要な光を低減させることができるので、反応層の極微量の蛍光も超高精度に検出することができる。
【0038】
また、本発明の検体検出方法は、
上記した表面プラズモン増強蛍光センサを用いて行われることを特徴とする。
このように本発明の検体検出方法は、上記した励起光選択透過部を有する誘電体部材を用いたチップ構造体を備えて行われるので、所望のアナライトを高精度に検出することができる。
【発明の効果】
【0039】
本発明によれば、検出対象である反応層の蛍光物質が発する蛍光を確実に検出し、検出感度を上げても超高精度に蛍光検出を行うことのできる表面プラズモン増強蛍光センサおよび表面プラズモン増強蛍光センサに用いられるチップ構造体ならびに表面プラズモン増強蛍光センサを用いた検体検出方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】図1は、本発明の表面プラズモン増強蛍光センサの概略図である。
【図2】図2は、本発明の表面プラズモン増強蛍光センサに用いられる第1の実施例におけるチップ構造体の概略図である。
【図3】図3は、本発明の表面プラズモン増強蛍光センサに用いられる第2の実施例におけるチップ構造体の概略図である。
【図4】図4は、本発明の表面プラズモン増強蛍光センサに用いられる第3の実施例におけるチップ構造体の概略図である。
【図5】図5は、本発明の表面プラズモン増強蛍光センサに用いられる第4の実施例におけるチップ構造体の概略図である。
【図6】図6は、従来の表面プラズモン増強蛍光センサの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいてより詳細に説明する。
図1は、本発明の表面プラズモン増強蛍光センサの概略図、図2〜図5は、本発明の表面プラズモン増強蛍光センサに用いられるチップ構造体の実施例1〜実施例4における概略図である。
【0042】
本発明の表面プラズモン増強蛍光センサおよび表面プラズモン増強蛍光センサに用いられるチップ構造体は、励起光を金属薄膜に照射して粗密波(表面プラズモン)を生じさせて励起された蛍光物質が生ずる蛍光を正確に検出し、検出感度を上げても超高精度に蛍光検出を行うことを可能とするものである。
【0043】
<表面プラズモン増強蛍光センサ10およびこの表面プラズモン増強蛍光センサ10による検体検出方法>
本発明の表面プラズモン増強蛍光センサ10は、図1に示したように、まず金属薄膜12と、金属薄膜12の一方側面に形成された反応層14と、他方側面に形成された誘電体部材16と、を有するチップ構造体18を備えている。
【0044】
そして、チップ構造体18の誘電体部材16側には、誘電体部材16内に入射され、金属薄膜12に向かって励起光20を照射する光源22を備え、さらに光源22から照射され金属薄膜12に反射した金属薄膜反射光24を受光する受光手段26を備えている。
【0045】
ここで光源22から照射される励起光20としてはレーザ光が好ましく、波長200〜1000nmのガスレーザまたは固体レーザ、波長385〜800nmの半導体レーザが好適である。
【0046】
一方、チップ構造体18の反応層14側には、反応層14で生じた蛍光28を受光する光検出手段30が設けられている。
光検出手段30としては、超高感度の光電子増倍管、または多点計測が可能なCCDイメージセンサを用いることが好ましい。
【0047】
なお、チップ構造体18の反応層14と光検出手段30との間には、光を効率よく集光するための集光部材32と、光の内で蛍光28とは異なる波長の光の透過を低減して蛍光28を選択的に透過するように形成された波長選択機能部材34が設けられている。
【0048】
集光部材32としては、光検出手段30に蛍光シグナルを効率よく集光することを目的とするものであれば、任意の集光系で良い。簡易な集光系としては、顕微鏡などで使用されている市販の対物レンズを転用してもよい。対物レンズの倍率としては、10〜100倍が好ましい。
【0049】
一方、波長選択機能部材34としては、光学フィルタ,カットフィルタなどを用いることができる。
光学フィルタとしては、減光(ND)フィルタ,ダイアフラムレンズなどが挙げられる。
【0050】
さらにカットフィルタとしては、外光(装置外の照明光),励起光(励起光の透過成分),迷光(各所での励起光の散乱成分),プラズモンの散乱光(励起光を起源とし、プラズモン励起センサ表面上の構造体または付着物などの影響で発生する散乱光),酵素蛍光基質の自家蛍光などの各種ノイズ光を除去するフィルタであって、例えば干渉フィルタ,色フィルタなどが挙げられる。
【0051】
そして、このような表面プラズモン増強蛍光センサ10を用いた検体検出方法では、金属薄膜12上に、例えばあらかじめ蛍光物質で標識されたアナライトが捕捉された反応層14を設け、この状態で、光源22より誘電体部材16に励起光20を照射し、この励起光20が特定の角度(共鳴角(電場増強時に励起光20と金属薄膜12の垂線とから成る角度)θ1)で金属薄膜12に入射することで、金属薄膜12上に粗密波(表面プラズモン)を生ずるようになる。
【0052】
なお、金属薄膜12上に粗密波(表面プラズモン)が生ずる際には、励起光20と金属薄膜12中の電子振動とがカップリングし、金属薄膜反射光24のシグナルが変化(光量が減少)することとなるため、受光手段26で受光される金属薄膜反射光24のシグナルが変化(光量が減少)する地点を見つければ良い。
【0053】
そして、この粗密波(表面プラズモン)により、金属薄膜12上の反応層14で生じた蛍光物質が効率良く励起され、これにより蛍光物質が発する蛍光28の光量が増大し、この蛍光28を集光部材32および波長選択機能部材34を介して光検出手段30で受光することで、極微量および/または極低濃度のアナライトを検出することができる。
【0054】
なお、チップ構造体18の金属薄膜12の材質としては、好ましくは金,銀,アルミニウム,銅,および白金からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属からなり、より好ましくは金からなり、さらにこれら金属の合金から成ることである。
【0055】
このような金属は、酸化に対して安定であり、かつ粗密波(表面プラズモン)による電場増強が大きくなることから金属薄膜12に好適である。
また、金属薄膜12の形成方法としては、例えばスパッタリング法,蒸着法(抵抗加熱蒸着法,電子線蒸着法など),電解メッキ,無電解メッキ法などが挙げられる。中でもスパッタリング法,蒸着法は、薄膜形成条件の調整が容易であるため好ましい。
【0056】
さらに金属薄膜12の厚さとしては、金:5〜500nm、銀:5〜500nm、アルミニウム:5〜500nm、銅:5〜500nm、白金:5〜500nm、およびそれらの合金:5〜500nmの範囲内であることが好ましい。
【0057】
電場増強効果の観点からは、金:20〜70nm、銀:20〜70nm、アルミニウム:10〜50nm、銅:20〜70nm、白金:20〜70nm、およびそれらの合金:10〜70nmの範囲内であることがより好ましい。
【0058】
金属薄膜12の厚さが上記範囲内であれば、粗密波(表面プラズモン)が発生し易く好適である。また、このような厚さを有する金属薄膜12であれば、大きさ(縦×横)は特に限定されないものである。
【0059】
一方、反応層14は、アナライトに蛍光物質を結合させたものを検体中に含有したものであり、このような検体としては、血液,血清,血漿,尿,鼻孔液,唾液,便,体腔液(髄液,腹水,胸水等)などが挙げられる。
【0060】
また、検体中に含有されるアナライトは、例えば、核酸(一本鎖であっても二本鎖であってもよいDNA,RNA,ポリヌクレオチド,オリゴヌクレオチド,PNA(ペプチド核酸)等、またはヌクレオシド,ヌクレオチドおよびそれらの修飾分子),タンパク質(ポリペプチド、オリゴペプチド等),アミノ酸(修飾アミノ酸も含む。),糖質(オリゴ糖,多糖類,糖鎖等),脂質,またはこれらの修飾分子,複合体などが挙げられ、具体的には、AFP(αフェトプロテイン)等のがん胎児性抗原や腫瘍マーカー,シグナル伝達物質,ホルモンなどであってもよく、特に限定されない。
【0061】
さらに蛍光物質としては、所定の励起光20を照射するか、または電界効果を利用することで励起し、蛍光28を発する物質であれば特に限定されないものである。なお本明細書でいう蛍光28とは、燐光など各種の発光も含まれるものである。
【0062】
また、誘電体部材16としては、光学的に透明な各種の無機物,天然ポリマー,合成ポリマーを用いることができ、化学的安定性,製造安定性および光学的透明性の観点から、二酸化ケイ素(SiO2)または二酸化チタン(TiO2)を含むことが好ましい。
【0063】
さらに、このような表面プラズモン増強蛍光センサ10は、光源22から金属薄膜12に照射される励起光20による表面プラズモン共鳴の最適角(共鳴角θ1)を調整するため、角度可変部(図示せず)や、光検出手段30に入力された情報を処理するためのコンピュータ(図示せず)などを有しても良いものである。
【0064】
ここで、角度可変部(図示せず)は、サーボモータで全反射減衰(ATR)条件を求めるために受光手段26と光源22とを同期し、45〜85°の角度変更を可能とし、分解能が0.01°以上であることが好ましい。
【0065】
上記した構成を有する本発明の表面プラズモン増強蛍光センサ10は、特にチップ構造体18の誘電体部材16において特徴的な構成を有している。
このような誘電体部材16の代表的な一つの態様は、金属薄膜12との界面において、反応層14の蛍光物質の蛍光波長の光を低減して金属薄膜12まで到達しないようにし、励起光20の少なくとも主波長を透過させて金属薄膜12へ到達させる励起光選択透過部36としての励起光選択透過層38が形成されている。
以下、このような構成の誘電体部材16を有するチップ構造体18の実施例について説明する。
【0066】
<チップ構造体18>
チップ構造体18の開発にあたり、光検出手段30による極微量および/または極低濃度のアナライトの蛍光検出では、励起光20を入射することにより誘電体部材16から生じる極微弱な蛍光(自家蛍光)や、励起光20の光源22から発せられる主波長以外の波長を有する極微弱な光が、蛍光検出の感度を低下させていることが本発明者らにより確認された。
【0067】
このため、図2に示した第1の実施例であるチップ構造体18では、誘電体部材16と金属薄膜12との界面に励起光選択透過層38を形成し、この励起光選択透過層38により、光源22から誘電体部材16に照射され、粗密波(表面プラズモン)を生ずる共鳴角θ1で入射された励起光20だけを、金属薄膜12まで到達させるようにしている。
【0068】
このような励起光選択透過層38により、反応層14の蛍光物質の蛍光波長と重なる波長の光(例えば誘電体部材16が生ずる極微弱な蛍光(自家蛍光))が金属薄膜12に到達しないようにすることができる。
【0069】
このような励起光選択透過層38としては、例えば上記した反応層14と光検出手段30の間に配設された波長選択機能部材34で使用される光学フィルタ,カットフィルタなどの層構成を用いることができる。
【0070】
励起光選択透過層38の形成方法は、公知の成膜方法であれば如何なる方法であってもかまわないが、例えばスパッタリング法や真空蒸着法を用いて形成することが好ましい。
励起光選択透過層38が波長選択機能部材34と大きく異なる点は、波長選択機能部材34は検出対象の蛍光28とそれ以外の光が混ざった後に波長選択を行うため、検出対象の蛍光28の蛍光波長と重なる波長の不要な光を、検出対象の蛍光28と分離できないのに対し、反応層14よりも前の金属薄膜12に励起光20が到達する前に励起光選択透過層38を設けることで、反応層14から発せられる蛍光28とそれ以外の光が混ざる前に、不要な光を排除できることである。
【0071】
通常、波長選択機能部材34の一例である光学フィルタやカットフィルタは、特定の波長を有する垂直に入射する光に対して、透過,吸収,反射などの特性を示すように構成されている。
【0072】
これに対して励起光選択透過層38は、共鳴角θ1で入射する励起光20を透過させるように構成されており、励起光選択透過層38の面に対して垂直に入射する光、特に反応層14の蛍光28の蛍光波長と重なる波長の光を低減することができるようになっている。
【0073】
なお、励起光選択透過層38は、反応層14の蛍光物質の蛍光波長と重なる波長の光を、吸収するよう構成されていても反射するように構成されていても良く、共鳴角θ1で入射された励起光20の少なくとも主波長の光が金属薄膜12へ到達するようにさえなっていれば如何なる構成でも良いものである。
【0074】
このように、実施例1におけるチップ構造体18では、励起光選択透過層38によって反応層14の蛍光物質の蛍光波長の光を金属薄膜12に到達させず、蛍光波長と重なる波長の不要な光を低減することができる。
【0075】
このため、このようなチップ構造体18を用いた表面プラズモン増強蛍光センサ10を用いれば、金属薄膜12上の電場を増強させて金属薄膜12上に形成された反応層14の蛍光物質を励起させる際において、検出対象である反応層14の蛍光物質から生じる蛍光28をより正確に光検出手段30で検出することができ、超高精度な蛍光検出を行うことができる。
【0076】
したがって、このようなチップ構造体18を用いた表面プラズモン増強蛍光センサ10を用いて検体検出を行えば、所望のアナライトを高精度に検出することができる。
次に、図3に示したチップ構造体18は、第2の実施例における概略図である。
【0077】
図3に示したチップ構造体18は、図2に示した第1の実施例のチップ構造体18と基本的には同じ構成であるので、同じ構成部材には同じ参照番号を付してその詳細な説明を省略する。
【0078】
図3に示したチップ構造体18は、励起光選択透過層38が誘電体部材16の励起光入射面40に形成されている点で、実施例1とは異なっている。
この場合には、特に励起光20の光源22から発せられる反応層14の蛍光物質の蛍光波長と重なる波長の極微弱な光を除去できる。
【0079】
つまり、反応層14の蛍光物質の蛍光波長と重なる波長の余計な光を低減することができるため、検出対象である反応層14の蛍光物質から生じる蛍光28をより正確に検出することができるようになっている。
【0080】
また、従来より用いられている波長選択機能部材34を、光源22と誘電体部材16との間に配設することで、上記した励起光選択透過層38と同じような作用を持たせることが可能であるが、この場合にはチップ構造体18とは別に波長選択機能部材34を用意する必要があり、部品点数が増えてコストがかかるとともに、設置スペースが増えることとなるため、望ましくない。
【0081】
これに対して、図3に示したように、励起光選択透過層38が誘電体部材16の励起光入射面40に形成されていれば、チップ構造体18として一体的であるため、部品点数を増やすことがなく、また設置スペースも必要ないため望ましい。
【0082】
なお、励起光選択透過層38の形成方法は、上記した実施例1の場合と同じく、公知の成膜方法であれば如何なる方法であってもかまわないが、例えばスパッタリング法や真空蒸着法を用いて形成することが好ましい。
【0083】
次に、図4に示したチップ構造体18は、第3の実施例における概略図である。
図4に示したチップ構造体18は、図2に示した第1の実施例のチップ構造体18と基本的には同じ構成であるので、同じ構成部材には同じ参照番号を付してその詳細な説明を省略する。
【0084】
図4に示したチップ構造体18は、誘電体部材16における励起光選択透過部36が、反応層14の蛍光物質の蛍光波長の光を吸収する特性を有する添加剤を誘電体部材16中に含有してなる点で、実施例1とは異なっている。
【0085】
このようなチップ構造体18の誘電体部材16は、誘電体部材16の全体が励起光選択透過部36となっている。
全体が励起光選択透過部36である誘電体部材16を製造する際には、予め反応層14の蛍光物質の蛍光波長の光を吸収する特性を有する添加剤を誘電体部材16の原材料中に添加しておき、これを用いて誘電体部材16を成形することで、容易に製造することができる。
【0086】
なお予め反応層14の蛍光物質の蛍光波長の光を吸収する特性を有する添加剤としては、例えばフタロシアニン化合物などの近赤外吸収剤を用いることができる。
このように実施例3におけるチップ構造体18では、上記した励起光選択透過層38の代わりに誘電体部材16そのものが、励起光選択透過部36としての役割をなすため、誘電体部材16上に新たに励起光選択透過層38を形成する必要がなく製造が容易である。
【0087】
この場合においても、反応層14の蛍光物質の蛍光波長と重なる波長の不要な光を低減することができるため、実施例3におけるチップ構造体18を用いた表面プラズモン増強蛍光センサ10を用いれば、金属薄膜12上の電場を増強させて金属薄膜12上に形成された反応層14の蛍光物質を励起させる際において、検出対象である反応層14の蛍光物質から生じる蛍光28をより正確に光検出手段30で検出することができ、超高精度な蛍光検出を行うことができる。
【0088】
次に、図5に示したチップ構造体18は、第4の実施例における概略図である。
図5に示したチップ構造体18は、図4に示した第3の実施例のチップ構造体18と基本的には同じ構成であるので、同じ構成部材には同じ参照番号を付してその詳細な説明を省略する。
【0089】
図5に示したチップ構造体18は、図4に示したチップ構造体18と同じように、誘電体部材16が反応層14の蛍光物質の蛍光波長の光を吸収する特性を有する添加剤を誘電体部材16中に含有してなるが、誘電体部材16の一部分が励起光選択透過部36となっている点で図4に示したチップ構造体18とは異なっている。
【0090】
ここで用いられる添加剤については、実施例3のものと同じものが使用できる。
また、一部分が励起光選択透過部36である誘電体部材16を製造する際には、誘電体部材16の成形時に、例えば2色成形方法などの射出成形方法や、予め誘電体部材16の一部分の励起光選択透過部36だけを別に成形しておき、これを通常の誘電体部材と接着剤などで接合することで形成する方法などを用いることができ、特に限定されない。
【0091】
この場合においても、反応層14の蛍光物質の蛍光波長の余計な光を低減することができるため、実施例4におけるチップ構造体18を用いた表面プラズモン増強蛍光センサ10を用いれば、金属薄膜12上の電場を増強させて金属薄膜12上に形成された反応層14の蛍光物質を励起させる際において、検出対象である反応層14の蛍光物質から生じる蛍光28をより正確に光検出手段30で検出することができ、超高精度な蛍光検出を行うことができる。
【0092】
以上、本発明における表面プラズモン増強蛍光センサ10およびこれに用いられるチップ構造体18ならびに表面プラズモン増強蛍光センサを用いた検体検出方法の好ましい形態(実施例)について説明したが、本発明は上記の形態(実施例)に限定されるものではないものである。
【0093】
例えば実施例1から実施例4を適宜組み合わせるなど、如何なる組み合わせであっても良く、本発明の目的を逸脱しない範囲で種々の変更が可能なものである。
【実施例】
【0094】
[実施例1]
<条件>
・励起光の波長 635nm
・反応層の蛍光材料 Alexa Fluor(登録商標)647(Molecular Probes社製)(蛍光ピーク波長670nm程度)
・誘電体部材の材質 BK7(SCHOTT社製)
・金属薄膜の材質 金(Au)
・金属薄膜の膜厚 50nm
・励起光選択透過層 二酸化ケイ素(SiO2)と二酸化チタン(TiO2)の交互多層膜(750nm以下の垂直に入射する光をブロッキングする表1に記載の特性を有する一般的なバンドパスフィルター構造)
【0095】
【表1】

<試験>
誘電体部材と金属薄膜との界面に、上記条件を満たした励起光選択透過層を設けたチップ構造体を作成し、チップ構造体の誘電体部材側から波長635nmの励起光を照射し、反応層で励起された蛍光を光検出手段で検出した(図1の構成)。
【0096】
検出の結果、金属薄膜に垂直に入射した光に対しては、表1に示したバンドパスフィルターの特性を示し、反応層の蛍光の波長と重なる波長の光を低減できていることが確認された。
【0097】
また、共鳴角で入射する励起光は、表2に示したように金属薄膜上に電場増強エリアを局在化させることがシミュレーションにて確認できた。
【0098】
【表2】

[比較例1]
<条件>
・励起光の波長 635nm
・反応層の蛍光材料 Alexa Fluor(登録商標)647(Molecular Probes社製)(蛍光ピーク波長670nm程度)
・誘電体部材の材質 BK7(SCHOTT社製)
・金属薄膜の材質 金(Au)
・金属薄膜の膜厚 50nm
【0099】
<試験>
誘電体部材と金属薄膜との間に、励起光選択透過層を設けていないこと以外は、上記した実施例1と同じようにして、蛍光の検出を行った(図6の構成)。
検出の結果、金属薄膜に入射する光に対して、金属薄膜の透過率分のみの低減であり、金膜を透過した光については反応層の蛍光と混ざって検出されることが確認された。
また、表3に示したように、実施例1の場合よりも電場増強効果が低いことがシミュレーションにより確認できた。
【0100】
【表3】

実施例1と比較例1の検出結果から、比較例1のように励起光選択透過層が設けられていない従来のチップ構造体を用いて蛍光検出を行うよりも、実施例1のように励起光選択透過層が設けられているチップ構造体を用いて蛍光検出を行う方が、電場増強効果が高まることが確認された。
【符号の説明】
【0101】
10・・・表面プラズモン増強蛍光センサ
12・・・金属薄膜
14・・・反応層
16・・・誘電体部材
18・・・チップ構造体
20・・・励起光
22・・・光源
24・・・金属薄膜反射光
26・・・受光手段
28・・・蛍光
30・・・光検出手段
32・・・集光部材
34・・・波長選択機能部材
36・・・励起光選択透過部
38・・・励起光選択透過層
40・・・励起光入射面
θ1・・共鳴角(電場増強時に励起光と金属薄膜の垂線とから成る角度)
100・・・表面プラズモン増強蛍光センサ
102・・・金属薄膜
104・・・反応層
106・・・誘電体部材
108・・・チップ構造体
110・・・励起光
112・・・光源
114・・・金属薄膜反射光
116・・・受光手段
118・・・蛍光
120・・・光検出手段
122・・・集光部材
124・・・波長選択機能部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面プラズモン増強蛍光センサに用いられるチップ構造体であって、
前記チップ構造体は、
金属薄膜と、
前記金属薄膜の一方側面に形成された反応層と、
前記金属薄膜の他方側面に形成された誘電体部材と、
から少なくとも構成され、
前記誘電体部材の外側から前記金属薄膜に光源より励起光を照射し、前記金属薄膜上の電場を増強させることにより、前記金属薄膜上に形成された前記反応層の蛍光物質を励起させる際において、
前記誘電体部材が、
前記反応層の蛍光物質を励起させる励起波長の光を前記金属薄膜へ到達させ、前記蛍光物質の蛍光波長の光が前記金属薄膜に到達することを低減する励起光選択透過部を有することを特徴とする表面プラズモン増強蛍光センサに用いられるチップ構造体。
【請求項2】
前記励起光選択透過部が、
前記誘電体部材の基材上に形成された励起光選択透過層であり、前記誘電体部材の基材と前記金属薄膜との間に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の表面プラズモン増強蛍光センサに用いられるチップ構造体。
【請求項3】
前記励起光選択透過部が、
前記誘電体部材の励起光入射面に形成された励起光選択透過層であることを特徴とする請求項1に記載の表面プラズモン増強蛍光センサに用いられるチップ構造体。
【請求項4】
前記励起光選択透過層が、
スパッタリング法および/または真空蒸着法により成膜されていることを特徴とする請求項2または3に記載の表面プラズモン増強蛍光センサに用いられるチップ構造体。
【請求項5】
前記励起光選択透過部は、
前記蛍光物質の蛍光波長の光を吸収する特性を有する添加剤を前記誘電体部材中に含有してなることを特徴とする請求項1に記載の表面プラズモン増強蛍光センサに用いられるチップ構造体。
【請求項6】
前記添加剤が、
前記誘電体部材の全体に含有されていることを特徴とする請求項5に記載の表面プラズモン増強蛍光センサに用いられるチップ構造体。
【請求項7】
前記添加剤が、
前記誘電体部材の一部分に含有されていることを特徴とする請求項5に記載の表面プラズモン増強蛍光センサに用いられるチップ構造体。
【請求項8】
前記励起光が、
前記金属薄膜に共鳴角で入射された励起光であることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の表面プラズモン増強蛍光センサに用いられるチップ構造体。
【請求項9】
請求項1から8のいずれかに記載のチップ構造体を配設してなることを特徴とする表面プラズモン増強蛍光センサ。
【請求項10】
請求項9に記載の表面プラズモン増強蛍光センサを用いて行われることを特徴とする検体検出方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2010−271124(P2010−271124A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−122046(P2009−122046)
【出願日】平成21年5月20日(2009.5.20)
【出願人】(000001270)コニカミノルタホールディングス株式会社 (4,463)
【Fターム(参考)】