表面処理用ブラシ
【課題】簡単な構成で、凹凸を有する処理対象に関しても均一な表面処理を行うとともに、材料の無駄を省くことができる表面処理用のブラシを提供する。
【解決手段】回転ブラシ50Aのローラ56の表面には、多数のブラシ体58が間欠的に配置されている。前記ローラ56には、該ローラ56の軸方向に対して傾斜した略リング状の凹部56Aと凸部56Bが複数形成されており、前記ブラシ体58は、前記凹部56Aに形成された溝56Cに、細帯状のサンドペーパー59を、紐60などで固定することで形成される。凹部58Aの側面は、サンドペーパー59の根元を把持する鍔部として作用する。傾いたブラシ体58を間欠的に配置することで、ブラシ体58をローラ56全面に設けることなく、凹凸を含む処理対象についても均一に表面処理を施すとともに、ブラシ体58を部分的に交換して材料の無駄を省くことができる。
【解決手段】回転ブラシ50Aのローラ56の表面には、多数のブラシ体58が間欠的に配置されている。前記ローラ56には、該ローラ56の軸方向に対して傾斜した略リング状の凹部56Aと凸部56Bが複数形成されており、前記ブラシ体58は、前記凹部56Aに形成された溝56Cに、細帯状のサンドペーパー59を、紐60などで固定することで形成される。凹部58Aの側面は、サンドペーパー59の根元を把持する鍔部として作用する。傾いたブラシ体58を間欠的に配置することで、ブラシ体58をローラ56全面に設けることなく、凹凸を含む処理対象についても均一に表面処理を施すとともに、ブラシ体58を部分的に交換して材料の無駄を省くことができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成形品の加工過程などにおいて生じるバリの除去や表面研磨などの表面処理を行うためのブラシに関し、更に具体的には、回転式の表面処理用ブラシに関するものである。
【背景技術】
【0002】
合成樹脂などの成形品の表面に、装飾や機能性の向上といった目的のため、フィルムや箔を設けることは広く行われている。このような成形品に被膜を設けるには、転写成形やインモールド成形のように、樹脂製品の成形と被膜の接触を同時に行う手法など様々なものがあるが、いずれの手法を用いても成形品の表面縁部にバリが生じる場合が多い。また、樹脂成形品に限らず、例えば、板金加工物の加工過程においても、縁部にバリが生じる。バリが残っていると、成形品の見栄えが低下するため取り除く必要がある。現状では、主に、(1)グラインダー,ベルトサンダー,ヤスリ等を用いた手作業による除去,(2)加工対象を固定し、ベルトサンダー等の研磨工具(ないし治具)をロボットに取り付けて除去する方法,(3)主として平面のバリ取りを目的とした平面バリ取り機などの技術がある。
【0003】
前記(3)の平面バリ取り機は、平面に対して垂直に立てた回転軸に対して、水平面内で回転する複数(例えば4〜6個)のブラシを配置した回転ブラシ構造を有しており、若干の突起部分のバリも取れるようになっている。このような平面バリ取り技術としては、例えば、以下の特許文献1に記載の「加工品表面のサンダー仕上げ方法」や、特許文献2に記載の「製品、特に金属製品のバリ取りの方法及びその方法の使用」がある。
【特許文献1】特表2001−521828公報
【特許文献2】特表2000−515434公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、以上のような背景技術には次のような不都合がある。まず、(1)の手作業での除去作業は、作業効率が低くて時間が掛かるほか、作業者の熟練度や能力によって製品の加工品の仕上がりに差がでたり、工具の選定に時間がかかったりするという不都合がある。次に、(2)のロボットを使用してのバリ取りは、作業スピードが遅く、また、治具交換やティーチングの時間と費用が掛かることから、多種少量生産には不向きである。
【0005】
次に、(3)の特許文献1及び2に記載の技術では、ワーク全体に均一に表面処理を施すため、ブラシ体をローラ表面全体に設ける必要がある。また、ブラシ体がローラの軸方向に対して略直交しているため、処理対象に凹凸部分が含まれると、該凹凸の立ち上がり部分の側面のバリにブラシの先端が当たらないため、バリ取りができないという不都合がある。更に、上述したブラシは、ローラにブラシ体が直接埋め込まれていることが多いため、ブラシ体が磨耗した場合には、ブラシ全体を交換しなければならず無駄が多い。従って、ブラシ体をローラ全面に設けることなく、凹凸を有する処理対象に関しても均一な表面処理を行うことができ、更には、所望部分のブラシ体のみを交換することができれば、材料の無駄も省くことができるため好都合である。
【0006】
本発明は、以上の点に着目したもので、その目的は、簡単な構成で、凹凸を有する処理対象についても均一な表面処理を行うとともに、材料の無駄を省くこともできる表面処理用のブラシを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため、本発明の表面処理用ブラシは、処理対象の表面に接触して所望の表面処理を施すブラシであって、回転可能なローラ,該ローラの軸方向に対して所定角度傾斜した複数のリングが、前記ローラの外周面に所定間隔で形成されるように設けられた多数のブラシ体,該ブラシ体の先端が所定の長さ露出するように、前記ブラシ体の根元側を把持する鍔部,を備えたことを特徴とする。
【0008】
主要な形態の一つは、前記ローラの外周面に、該ローラの軸方向に対して所定角度傾斜した略リング状の溝を多数形成するとともに、前記溝の側面を前記鍔部として利用することにより、該溝に埋め込まれた多数のブラシ体を把持することを特徴とする。あるいは、前記ローラの外周面に、該ローラの軸方向に対して一対の側面が略直交した略リング状の溝を多数形成するとともに、前記溝の側面を前記鍔部として利用することにより、該溝に埋め込まれた多数のブラシ体を把持することを特徴とする。他の形態は、前記溝を前記ローラの軸方向に複数連続形成した溝バンドを、前記ローラの外周面に所定間隔で複数設けたことを特徴とする。
【0009】
更に他の形態は、前記ローラの外周面に、該ローラの軸方向に対して一対の側面が所定角度傾斜し、かつ、該ローラの外周面に対して所定の深さの段差を有する略リング状の凹部が多数形成されており、該凹部の底面に、前記多数のブラシ体を埋め込む溝を形成するとともに、前記凹部の側面を前記鍔部として利用することにより、前記溝に埋め込まれた多数のブラシ体を把持することを特徴とする。あるいは、前記ローラの外周面に、該ローラの軸方向に対して一対の側面が略直交し、かつ、該ローラの外周面に対して所定の深さの段差を有する略リング状の凹部が多数形成されており、該凹部の底面に、前記多数のブラシ体を埋め込む溝を形成するとともに、前記凹部の側面を前記鍔部として利用することにより、前記溝に埋め込まれた多数のブラシ体を把持することを特徴とする。更に他の形態は、前記溝を、前記凹部の底面に、前記ローラの軸方向に複数形成したことを特徴とする。
【0010】
更に他の形態は、両端面が、前記ブラシ体によって形成されるリングと略同一勾配の斜面に形成されるとともに、前記両端面の近傍まで前記ブラシ体が設けられた複数のローラユニット,一方の端面が前記ローラユニットの端面と略同一勾配の斜面に形成されており、前記ブラシ体が表面に形成されていない一組の端部ユニット,に分割可能であることを特徴とする。更に他の形態は、前記複数のローラユニットが位置交換可能であることを特徴とする。
【0011】
更に他の形態は、前記ブラシ体が、細帯状のサンドペーパーを利用したものであることを特徴とする。更に他の形態は、前記サンドペーパーを、一つの溝に複数枚重ねて固定することを特徴とする。更に他の形態は、複数枚重ねたサンドペーパーのうち、外側のサンドペーパーを内側のサンドペーパーよりも短くしたことを特徴とする。
【0012】
他の発明の表面処理用ブラシは、処理対象の表面に接触して所望の表面処理を施すブラシであって、回転可能なローラ,該ローラの外周面に設けられた細帯状の多数のブラシ体,を備えるとともに、前記ブラシ体の長さ方向が前記ローラの軸方向に対して略直交し、かつ、前記ブラシ体の幅方向が前記ローラの軸方向に対して略平行ないし非直交となるように、前記ブラシ体を設けたことを特徴とする。
【0013】
主要な形態の一つは、前記ローラが、前記ブラシ体が挿通可能な多数の穴を有する中空のカバー,該カバーの中空部に嵌合し、前記穴に挿通された部分のブラシ体を押圧可能な本体,によって形成されることを特徴とする。他の形態は、前記ブラシ体が、サンドペーパーを利用したものであることを特徴とする。
【0014】
更に他の形態は、前記サンドペーパーの端部を、両角を落とした形状としたことを特徴とする。更に他の形態は、前記ブラシ体が、前記ローラに対して着脱可能であることを特徴とする。更に他の形態は、前記路ローラが、軸方向に沿って略対称に分割可能な一組の分割体の組み合わせによって形成されていることを特徴とする。本発明の前記及び他の目的,特徴,利点は、以下の詳細な説明及び添付図面から明らかになろう。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、(1)回転可能なローラの軸方向に対して所定角度傾斜した複数のリングが、前記ローラの外周面に所定間隔で形成されるようにブラシ体を多数設けるとともに、該ブラシ体の先端側が所定の長さ露出するように、前記ブラシ体の根元側を鍔部によって把持する,あるいは、(2)回転可能なローラの外周面に設ける細帯状の多数のブラシ体を、該ブラシ体の長さ方向が前記ローラの軸方向に対して略直交し、かつ、前記ブラシ体の幅方向が前記ローラの軸方向に対して略平行ないし非直交となるように設けることとしたので、処理対象が凹凸を含む場合であっても均一に表面処理を施すことができるととともに、材料の無駄を省くことができるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、実施例に基づいて詳細に説明する。
【実施例1】
【0017】
最初に、図1〜図11を参照しながら、本発明の実施例1を説明する。本発明の表面処理用ブラシは、各種成形品の縁のバリ取りや、ステンレス板などの研磨処理やヘアライン加工などを行うための装置に適用可能であって、処理対象としては、平面状のみならず、若干の凹凸(100mm前後)を有するものも含まれる。本実施例では、成形品の縁のバリ取りを行うバリ取り装置に、本発明のブラシを適用した場合を例に挙げて説明する。図1は、本実施例のバリ取り装置の外観斜視図であり、(A)はワーク(処理対象)の搬送方向前方から見た図,(B)は搬送方向後方から見た図である。図2は、前記バリ取り装置の内部構成を示す斜視図,図3は、前記図2を矢印F3方向から見た正面図,図4は、前記図2を矢印F4方向から見た側面図であり、(A)は外観図,(B)は内部構成図,図5は、前記図2を矢印F5方向から見た平面図である。図6は、本実施例のバリ取り装置の上部コンベアを示す図であり、(A)は搬送面を示す平面図,(B)は内部ハニカム構造を示す平面図,(C)は前記(B)を#A−#A線に沿って切断し矢印方向に見た断面図である。図7は、本実施例の回転ブラシの着脱部を示す図であり、(A)は正面図,(B)は分解斜視図,(C)は前記(B)を#B−#B線に沿って切断し矢印方向に見た断面図である。図8は、本実施例の回転ブラシを示す図であり、(A)は側面図,(B)は前記(A)を#C−#C線に沿って切断した断面図,(C)は前記(B)を#D−#D線に沿って切断し矢印方向に見た断面図,(D)はブラシ体の先端形状を示す図である。図9は、本実施例の回転ブラシを示す図であり、(A)は主要断面図,(B)及び(C)はブラシ体の傾斜角度についての説明図,(D)は他の実施例を示す図である。図10は、本実施例と背景技術の回転ブラシの作用を示す図、図11は、本実施例の回転ブラシの高さ調節の様子を示す斜視図である。
【0018】
図1〜図5に示すように、本実施例のバリ取り装置10は、サイドフレーム14A〜14D,上部フレーム16A〜16D,下部フレーム18A〜18Dにより本体フレーム12が構成されている。前記下部フレーム18A〜18Dには、キャスタ148が設けられており、バリ取り装置10全体が移動可能となっている。前記本体フレーム12には、上部コンベア28及び下部コンベア34,一対の回転ブラシ50A及び50B,ワークWを前記上部コンベア28から下部コンベア34へ送るための落下ガイド42,前記回転ブラシ50A及び50Bを回転駆動するためのモータ84A及び84Bなどが収納ないし支持されている。また、前記回転ブラシ50A及び50Bを支持する昇降フレーム52及び54,該昇降フレーム52及び54を昇降させるためのモータ132及び142,前記回転ブラシ50A及び50Bに前記モータ84A及び84Bの出力を伝達するためのベルト伝達機構や、ベルトのテンションを調整するためのテンション調整機構106なども、前記本体フレーム12に設けられている。
【0019】
前記本体フレーム12は、図1(A)及び(B)に示すように、正面側上部カバー20A,正面側下部カバー20B,背面側上部カバー22A,背面側下部カバー22B,側面カバー24A及び24B,上部カバー26によって適宜位置が覆われている。ここでいう正面側とはワークWの搬送方向前方(ないし出口側)であり、背面側とは搬送方向後方(ないし入口側)である。なお、前記側面カバー24Bには、図4(A)に示すように、回転ブラシ50A,50Bを外側から確認するための窓25が形成されており、該窓25には透明カバー25Aが設けられている。このような窓25を設けることにより、前記回転ブラシ50A及び50Bの減り具合を確認し、ブラシ交換時期が容易に分かるようになる。このほか、前記本体フレーム12には、ワークWの搬入口(入口)や排出口となる開口部などが、適宜位置に形成されている。
【0020】
前記上部コンベア28は、本体フレーム12の補助フレーム36A〜36Dに略水平方向に固定されたガイドフレーム29(図2及び図4(B)参照)に取り付けられている。該上部コンベア28は、ワークWを図2に矢印F1aで示す方向に搬送するためのものであって、その搬送機構は公知である。本実施例では、上部コンベア28は、排出側(図2の左側)の側面に駆動用の小型のモータ28Aを備えており、全体が前記ガイドフレーム29に対して着脱自在となっている。また、本実施例では、前記上部コンベア28の搬送面30には、図6(A)に示すように、前記ワークWを搬送面30上に吸着保持するための多数の丸穴32A及び長穴32Bが形成されている。更に、図6(C)に示すように、前記搬送面30の内側に形成された減圧室150A及び150Bは、吸引口152A及び152Bに接続されたホース156を介して減圧装置160に接続されており(図1参照)、該減圧装置160によって内部が減圧されている。
【0021】
本実施例では、図6(B)及び(C)に示すように、前記減圧室150A及び150Bの上方,すなわち、前記丸穴32A及び長穴32Bの下方に、ハニカム構造体154A及び154Bが設けられている。該ハニカム構造体154A,154Bは、空気の通路が略垂直方向となるように配置されており、これによって、吸引の流れが上部から下部へ向けて真っ直ぐになるように整流化し、吸引力の向上を図ると同時に、吸引時に発生する音を抑制している。以上のような構成とすることにより、前記搬送面30上に載置したワークWは、前記丸穴32A及び長穴32Bに吸着保持され、回転ブラシ50A及び50Bによるバリ取り加工時に位置ずれが生じることがない。前記丸穴32Aは、例えば、φ4mm程度であり、前記長穴32Bは、例えば、4mm×7mm程度に形成されている。このような形状の異なる穴を組み合わせることにより、ワークWが大きい場合から小さい場合まで良好に吸着させることができる。
【0022】
一方、下部コンベア34は、前記補助フレーム36A〜36Dに略水平に固定されたガイドフレーム35(図2及び図4(B)参照)に取り付けられている。該下部コンベア34は、前記上部コンベア28よりも下方に所定の間隔をおいて設置されており、バリ取り加工が済んだワークWを、図2に矢印F1bで示す方向に送り返すためのものである。下部コンベア34についても、前記上部コンベア28と同様にその搬送機構は公知である。また、ワークWを送り返す場合の排出側(図2の右側)の側面端部に駆動用の小型のモータ34Aを備えており、全体が前記ガイドフレーム35から着脱自在となっている。
【0023】
以上のような上部コンベア28の搬送方向前方には、前記ワークWを下部コンベア34へ送るための落下ガイド42が設けられている。該落下ガイド42は、前記上部コンベア28及び下部コンベア34の端部側面に取り付けられる略V字状の一対のアーム44A,44Bと、上部コンベア28を通過したワークWを受ける斜面46と、前記ワークWの脱落を防止するためのストッパ48により構成されている。前記斜面46は、一端に前記ストッパ48が設けられ、他端が前記下部コンベア34へ連結している。なお、前記ストッパ48は、前記上部コンベア28の搬送面30とほぼ同程度の高さとなるように設定されている。このような構成の落下ガイド42を設けることにより、前記上部コンベア28を通過したワークWは、斜面46に沿って落下し、下部コンベア34へ送られる。
【0024】
次に、回転ブラシ50A及び50Bとその支持機構について説明する。前記回転ブラシ50A及び50Bは、前記ワークWの搬送方向に略直交するように配置され、前記本体フレーム12内に設けられた昇降フレーム52及び54によって支持されている。これら回転ブラシ50A及び50Bの支持機構は基本的に同様となっているため、以下、回転ブラシ50Aを例に挙げて説明する。図3,図7,図8に示すように、回転ブラシ50Aは、略円柱状のローラ56の表面に多数のブラシ体58を有しており、両端が前記昇降フレーム52の取付面52A及び52Bに設けられた軸受62及び72に回転可能に支持されている。前記ローラ56は、図7(B)に示すように、略中央部に軸方向に沿って、断面略方形状の溝66Aを備えた中空部66が形成されている。該中空部66には、図7(B)及び(C)に示すように、前記溝66Aと係合する凸状のキー68Aを備えた略筒状の内挿体68が収納可能となっており、前記キー68Aと溝66Aの係合により、内挿体68がローラ56とともに回転可能となっている。
【0025】
ここで、一方の軸受62には、鍔65を備えた軸64が回転可能に支持されており、該鍔65よりも先端の部分を、前記内挿体68の中空部に差込むと、軸64に設けた突起と前記内挿体68に形成された溝(いずれも図示せず)が係合し、ローラ56と軸64が一体に回転可能となる。他方の軸受72には、回転軸74が回転可能に支持されており、該回転軸74の外周面には、鍔77,凸状のキー78A及び78B,締付棒80を備えた外筒76が設けられている。前記回転軸74の外周面と、前記外筒76の内周面には、ネジ部74A及び76Aが形成されており、本実施例では、前記ネジ部74Aが雄ネジ、前記ネジ部76Aが雌ネジとなっている。そして、前記締付棒80の操作によって外筒76を回転させると、該外筒76を、前記回転軸74に沿ってスライドさせることが可能となっている。一方、前記ローラ56の中空部66に収納される内挿体68の端部には、前記外筒76のキー78A及び78Bと係合可能なキー溝70A,70Bが形成されている。このため、前記締付棒80の操作によって、前記キー78A及び78Bが前記キー溝70A及び70Bに嵌るまで外筒76をスライドさせると、回転軸74の回転が外筒76及び内挿体68を介してローラ56に伝達し、回転軸74とローラ56が一体となって回転するようになる。なお、前記ネジ部74A及び76Aは、回転ブラシ50Aの回転方向と逆ネジとし、ブラシの緩み止めが図られている。
【0026】
ここで、前記回転ブラシ50Aの構造について、図8を参照して説明する。回転ブラシ50Aは、図8(A)に示すように、ローラ56の表面に所定の間隔をおいて多数のブラシ体58が配置されている。本実施例では、前記ローラ56には、図8(B)に示すように、該ローラ56の軸方向と略直交する面(図に点線で示す面)に対して所定の角度傾斜する凹部56Aと凸部56Bが略リング状に複数形成されている。本実施例では、前記ブラシ体58として細帯状のサンドペーパー59を利用しており、該サンドペーパー59の折り返し部分に紐60を通して、前記凹部56Aに形成された溝56Cに巻き付けて固定している。すなわち、前記凹部56Aの一対の側面57A,57Bが、前記サンドペーパー59の根元を把持する鍔部として作用しており、前記サンドペーパー59の根元が折れるのを防止している。本実施例では、前記図8(B)に示すように、前記溝56Aの側面57A,57Bが前記軸方向と略直交する面に対して傾斜しているため、前記サンドペーパー59も前記ローラ56の軸に対して傾いている。
【0027】
次に、図10(A)に示すワークWのように、立ち上がり部300を有する立体形状のワークを加工する場合について説明する。仮に、図10(B)に示すようにローラ312の軸に対して略垂直方向にサンドペーパー314が固定された回転ブラシ310を使用したとすると、図10(C)に示すように、サンドペーパー314の先端314Aは、前記立ち上がり部300の側面に形成されたバリ302に当たらないため、バリ取りができない。また、サンドペーパー314間に隙間があり、該隙間部分はワークWに当たらずバリ取りができないため、回転ブラシ310を矢印F10a方向に回転させたり、矢印F10b方向に揺動させたりしてサンドペーパー314をワークWに当てる必要がある。これに対して、本実施例の回転ブラシ50Aを使用すると、角度をもたせたサンドペーパー59が斜めに回転するため、図10(D)に示すように、先端304が前記バリ302に接触し、立ち上がり部300のバリ取りが可能となる。
【0028】
このように、傾いたブラシ体58を間欠的に配置することで、ブラシ体58をローラ56全面に設けることなく、ワークWに凹凸が含まれる場合であっても均一に表面処理を施すことができる。また、ブラシ体58が磨耗したときには、必要な部分のブラシ体58のみを凹部56Aから取り外して新しいブラシ体58と交換することができるため、材料の無駄を省くことができる。前記サンドペーパーの先端は、図8(D)に示すサンドペーパー59Dのように、両角が尖ったまま使用すると、ワークWの表面に傷がつきやすくなるため、サンドペーパー59,59A,59B,59Cに示すように、角を落とした形状のものを使用するようにすると良い。なお、図示の例は一例であり、サンドペーパー59以外の素材を用いてブラシ体58を形成するようにしてもよい。
【0029】
他方の回転ブラシ50Bについても基本的に同様の構成となっているが、本実施例では、前記ローラ56の軸に略直交する面に対して、ワークWの入口側の回転ブラシ50Aが約7度程度傾き、ワークWの出口側の回転ブラシ50Bの角度が約20度程度傾くように設定されている。このように回転ブラシの角度を設定すると、入口側の回転ブラシ50Aでは、ワークWの平面部分のバリ取りが良好に行われ、出口側の回転ブラシ50Bでは、ワークWの凹凸部分(立体部分)のバリ取りが良好に行われる。
【0030】
ここで前記サンドペーパー59の傾きについて説明する。ローラ56の軸に直交する面に対するサンドペーパー59の角度α(図9(A)参照)が、例えば5度よりも小さいと、サンドペーパー59でワークWを擦ることができる幅が狭くなるため、前記凸部56Bの幅Dを小さくしなければならない。しかしながら、前記ローラ56を構成する材料として、例えば、発泡スチロールなどを使用した場合、前記凸部56Bの幅Dが狭いと、厚みが不足して凸部56Bが折れやすくなってしまう。そこで、前記サンドペーパー59の傾斜角度αを、例えば、5度以上に設定して表面処理可能な面積を広げることにより、前記幅Dをある程度大きくして凸部58Bを折れにくくすることができる。
【0031】
また、図9(B)に示すように、複数のローラユニット200A〜200Cを軸方向に接続して前記回転ブラシ50Aを形成する場合、前記ローラユニット200A〜200Cの表面に設けたサンドペーパー59の傾きが小さいと、ローラユニット同士の接続面202近傍で、サンドペーパー59の間に隙間Iが生じてしまい、その部分では表面処理を行うことができない。これに対して、図9(C)に示すように、サンドペーパー59の傾きがある程度大きい(例えば7度以上)と、前記接続面202付近での隙間が生じないため、ワークWの表面を均一に処理することができる。むろん、複数のローラユニットを接続せずに、一つのローラで回転ブラシ50Aや50Bを構成する場合には、サンドペーパー59の傾斜角度αは5度程度としてもよい。
【0032】
次に、前記回転ブラシ50A及び50Bの回転駆動機構について説明する。前記本体フレーム12の下部フレーム18B側には、他の下部フレーム18A及び18Cにわたって、固定板82が設けられている。該固定板82上には、前記回転ブラシ50A及び50Bを、それぞれ独立して回転駆動させるためのモータ84A及び84Bが設けられている。これらモータ84A,84Bの出力軸の先端には、ベルト90A及び90Bを架けるためのプーリ88A及び88Bが設けられている。一方、前記昇降フレーム52及び54の軸受72に支持された回転軸74は、前記昇降フレーム52,54の側面の固定板52B及び54Bを貫通しており、その先端には、前記ベルト90A及び90Bを架けるためのプーリ86A及び86Bが設けられている。
【0033】
また、前記昇降フレーム52及び54の側面には、前記回転ブラシ50A及び50Bの反対側に、前記プーリ86A及び86Bを覆うカバー96A及び96Bが固定されている。該カバー96A及び96Bの底面には、前記ベルト90A及び90Bを通すためのスリット状の開口部98A及び98Bが形成されている。更に、前記カバー96A及び96Bの底面には、伸縮可能な中空の伸縮カバー94A及び94Bが取り付けられている。該伸縮カバー94A及び94Bは、前記側面フレーム14B及び14C側の適宜位置に設けられた補助フレーム38及び39上の固定板92に固定されている。また、前記カバー96A及び96Bの上方には、他の固定板93が、サイドフレーム14B及び14Cに固定されている。該固定板93と、下方の固定板92の間には、伸縮カバー94A及び94Bと、カバー96A及び96Bを貫通する支柱100A,102A,100B,102Bの両端がそれぞれ固定されている。また、前記カバー96A及び96B内の底面には、前記支柱100A,102A,100B,102Bがスライド可能に貫通する略筒状の受部104A,105A,104B,105Bの下端が固定されている。
【0034】
前記カバー94A,94B,伸縮カバー96A,96Bは、表面処理を行う際に生じる切粉や塵埃が、前記モータ84A及び84Bにかかるのを防止するためのものである。そして、前記昇降フレーム52及び54が、後述する機構により昇降する際には、ジャバラ状の伸縮カバー94A及び94Bが伸縮することにより、前記昇降フレーム52及び54に固定されたカバー96A及び96Bも昇降することが可能となっている。なお、このときの昇降は、前記受部104A,105A,104B,105Bが、前記支柱100A,102A,100B,102Bに沿ってスライドすることによりガイドされる。
【0035】
本実施例では、前記昇降フレーム52,54を後述する昇降機構により昇降させるため、上述したベルト伝達機構のベルト90A,90Bに弛みが生じる場合がある。本実施例では、前記本体フレーム12に、図4及び図11に示すようなテンション調整機構106を設けることによって、前記ベルト90A,90Bのテンションを適切に保つように調整している。該テンション調整機構106は、サイドフレーム14B及び14C側の補助フレーム39及び41に上下の縁部が固定された固定板108に、多数のローラを備えた構造となっている。詳述すると、前記固定板108の略中央部には、上下方向に4つのホルダ112A〜112Dが配置されており、該ホルダ112A〜112Dには、先端にローラ116A〜116Dが設けられたアーム114A〜114Dがスライド可能に収納されている。前記アーム114A〜114Dは、前記ホルダ112A〜112D内に設けられた公知の往復機構によりスライド可能となっており、前記ローラ116A〜116Dを前記ベルト90A及び90Bに押し付けることによって、前記ベルト90A及び90Bのテンションを適切に保っている。前記固定板108には、他のローラ110A〜110Dも設けられている。本実施例では、前記ローラ110C,116B,116D,110Dによってベルト90Aのテンションを調整し、前記ローラ110A,116A,116C,110Bによってベルト90Bのテンションを調整することとなっている。
【0036】
次に、前記昇降フレーム52及び54の昇降機構について説明する。前記昇降フレーム52及び54の上方には、前記ワークWの搬送方向に沿って固定板52C及び54Cが設けられている。該固定板52C及び54Cの略中央部には、略垂直方向に設置されるシリンダ122及び124の下端が適宜手段により固定されている。該シリンダ122及び124の上端側外周面には、図示しないラックが軸方向に間欠的に形成されている。一方、本体フレーム12の上部フレーム16A及び16Cの間には、支持板120が設けられている。該支持板120上には、前記シリンダ122及び124に対応する位置に、受部126及び136が設けられている。
【0037】
まず、受部126について説明すると、該受部126には、前記シリンダ122のラックと噛み合う歯車(図示せず)を備えた軸128が回転可能に支持されるとともに、前記シリンダ122の上部を覆う中空の筒部126Aが略垂直方向に設けられている。また、前記軸128の一端にはプーリ128Aが設けられている。一方、前記支持板120の上には、モータ132が固定されており、該モータ132の出力軸134の先端に設けられたプーリ134Aと、前記軸128のプーリ128Aの間にベルト130が掛け回される。そして、前記ベルト130を介して前記モータ132の出力を軸128に伝達して回転させると、該軸128の図示しない歯車とシリンダ122のラックが噛み合うことにより、前記シリンダ122が昇降する。そして、該シリンダ122の昇降に伴い、それに固定された昇降フレーム52及び回転ブラシ50Aが昇降する。
【0038】
他方の受部136についても同様の構成となっており、シリンダ124をスライド可能に受ける受部136Aを備えるとともに、前記シリンダ124に形成されたラックと噛み合う歯車(図示せず)を備えた軸138を回転可能に支持している。そして、前記軸138の先端のプーリ138Aと、前記支持板120上に設けられたモータ142の出力軸144の先端のプーリ144Aの間にベルト140を架け回すことにより、前記モータ142の出力をシリンダ124に伝達し、前記昇降フレーム54及び回転ブラシ50Bを昇降させることができる。
【0039】
ところで、前記支持板120には、表面処理によって発生した切粉ないし塵埃を回収するための吸引口146が支持部146Aによって取り付けられている。前記吸引口146は、図1に示すようにホース158を介して、前記減圧装置160に接続されている。すなわち、本実施例では、前記減圧装置160が、前記上部コンベア28の内側を減圧するための減圧手段と、集塵のための減圧手段を兼ねる構成となっている。なお、本実施例では、前記吸引口146を一対の回転ブラシ50A及び50Bの突き合わせ部分の上方に設けることとしたが、必要に応じて吸引口146の位置は適宜変更してよい。
【0040】
次に、本実施例の作用を説明する。まず、上述した方法によって、回転ブラシ50A及び50Bを、昇降フレーム52及び54の軸受62及び72に取り付ける。次に、モータ84A及び84Bを駆動し、ワークWの入口側となる回転ブラシ50Aを、図4に矢印F7aで示す方向に回転させ、ワークWの出口側となる回転ブラシ50Bを、図4に矢印F7bで示す方向に回転駆動する。また、ワークWの形状や,凹凸の有無,凹凸の寸法などに応じて、昇降用のモータ132及び142を駆動し、回転ブラシ50A及び50Bの高さを調節する。また、回転ブラシ50A及び50Bの高さに応じて、テンション調整機構106により、ベルト90A及び90Bのテンションを調整する。そして、上部コンベア28と下部コンベア34のモータ28A及34Aに通電し、前記上部コンベア28を図2に矢印F1aで示す方向に駆動し、下部コンベア34を図2に矢印F1bで示す方向に駆動する。また、上部コンベア28内の減圧室150A及び150Bを、前記減圧装置160により減圧し、上部コンベア28の搬送面30上のワークWを、丸穴32A及び長穴34Bによって吸着保持できるようにする。
【0041】
このような状態で、ワークWを上部コンベア28に載せると、搬送面30に設けられた丸穴32A及び長穴32BによりワークWが吸着保持されながら、矢印F1a方向に移動し、回転ブラシ50A及び50Bの下を通過する。このとき、回転ブラシ50A及び50Bのブラシ体58が、ワークWの表面に当たってバリ取りが行われる。また、ワークWに凹凸がある場合も、図10(D)に示すように、サンドペーパー59の先端304が、立ち上がり部300の側面のバリ302に接触するため、良好にバリ取りを行うことができる。また、100mm程度までの凹凸であれば、回転ブラシ50A又は50Bの高さを変えることでブラシ体58の先端が所望の部分に当たるようになるため、バリ取りを行うことができる。バリ取りされたワークWは、上部コンベア28を通過すると、落下ガイド42の斜面46に沿って下部コンベア34に送られ、該下部コンベア34によって、上部コンベア28の搬送方向の逆方向に送り返される。
【0042】
以上のような処理中に生じる切粉や塵埃は、2つの回転ブラシ50A及び50Bが逆方向に回転しているため、これらの突き合わせ部分に集まるようになる。このため、前記減圧装置160に接続されたホース158を介して、集まった切粉などを上方に設けられた吸引口146から回収すると、周囲への飛散を最小限に抑えることができる。なお、前記回転ブラシ50A及び50Bの高さは、処理中(回転中)であっても、上述した昇降機構により任意に変更することが可能である。回転ブラシ50Aや50Bを交換する際には、前記外筒76の締付棒80を回し、外筒76を受部72側へスライドさせると、キー78A及び78Bとローラ56の係合が解除されるため、工具を用いることなく回転ブラシ50Aや50Bを取り外すことができる。なお、前記側面カバー24Bの窓25から見たときに、前記回転ブラシ50Aや50Bのブラシ体58が支持金具により見えなくなった場合は、ブラシ体58が磨耗したものと判断して交換するが、これは一例であり、必要に応じて、その他のタイミングで交換するようにしてよい。
【0043】
このように、実施例1によれば、次のような効果がある。
(1)ローラ56の軸方向に対して所定角度傾斜するブラシ体58を、前記ローラ56の外周面に所定間隔で前記軸方向に対して傾斜した略リング状に多数設けるとともに、該ブラシ体58の先端側が所定の長さ露出するように、前記ブラシ体58の根元側を前記ローラ56に形成した凹部56Aの側面57A,57Bによって把持することとしたので、処理対象が凹凸を含む場合であっても、均一に表面処理を施すことができるとともに、材料の無駄も省くことができる。また、前記ブラシ体58を間欠的に設けることで、所望部分のブラシ体58のみを交換することができる。
【0044】
(2)ワークWの搬送方向に略直交するように回転可能に支持した回転ブラシ50A及び50Bを、凹凸の嵌合及びネジ部の螺合を利用することにより、工具を用いることなく昇降フレーム52及び54に対して着脱可能としたので、回転ブラシ50A及び50Bの交換を容易に行うことができる。
(3)ワークWの形状や凹凸の有無及びその寸法に応じて、回転ブラシ50Aや50Bの高さを調節することとしたので、凹凸を有する3次元形状のワークWについても処理を行うことができる。また、回転ブラシ50A,50Bのブラシ体58の磨耗程度に応じて高さを調節するようにしてもよい。
【0045】
(4)上部コンベア28の搬送面30に多数の丸穴32A及び長穴32Bを設けるとともに、前記上部コンベア28内の減圧室150A,150Bを減圧することとしたので、ワークWを搬送面30に吸着保持することができる。また、前記減圧室150A,150Bにハニカム構造体154A,154Bを設けることとしたので、吸引の流れを整流化し、吸引力の向上とともに、吸引時の音の低減を図ることができる。更に、形状及び寸法の異なる丸孔32Aと長穴32Bを組み合わせることとしたので、ワークWのサイズ変化に良好に対応することができる。
【0046】
(5)テンション調整機構106を設けることとしたので、回転ブラシ50Aや50Bを昇降させる場合であっても、モータ84A,84Bの出力を回転ブラシ50A及び50Bに伝達するためのベルト90A及び90Bが弛むことなく、テンションを適切に保つことができる。
(6)上部コンベア28の下段に、該上部コンベア28の搬送方向と逆方向にワークWを搬送する下部コンベア34を設置するとともに、前記上部コンベア28を通過したワークWを、前記下部コンベア34へ送るための落下ガイド42を設けることとしたので、作業者が一人でも効率良く加工を行うことができる。
【0047】
(7)一対の回転ブラシ50A及び50Bを略平行に配置して互いに逆回転させることとしたので集塵効果が得られ、切粉や塵埃の回収が容易となる。
(8)前記回転ブラシ50A及び50Bを回転させるための回転軸74や、その先端のプーリ86A及び86B,ベルト90A及び90Bなどを覆うための伸縮カバー94A及び94B,カバー96A及び96Bを設けることとしたので、切粉や塵埃が電気系統へかかるのを防止することができる。
【0048】
(9)上部コンベア28及び下部コンベア34に小型のモータ28A及び34Aを設けることとしたので、必要に応じて、本体フレーム12から上部コンベア28又は下部コンベア34を容易に取り外すことができる。このため、メンテナンスなども容易となる。
(10)キャスタ148を設けることとしたので、設置場所の変更が容易である。
(11)回転ブラシ50A及び50Bを独立して駆動できるため、ブラシ体58の傾斜角度や粗さ,高さ,回転数などを変えることによって、効率的なバリ取りが可能となる。
【0049】
(12)減圧装置160が、上部コンベア28内を減圧する手段と、切粉ないし塵埃を集塵する手段を兼ねることとしたので、装置構成を簡略化することができる。
(13)側面カバー24Bに窓25及び透明カバー25Aを設けることとしたので、回転ブラシ50A及び50Bの様子を外部から確認し、交換時期などを容易に把握することができる。
【0050】
次に、図12を参照して、本実施例の変形例を説明する。まず、図12(A)に示す回転ブラシ220は、ローラ222の表面に形成した略リング状の溝224に直接サンドペーパー226を紐228によって固定した例である。また、図12(B)に示す回転ブラシ230のように、ローラ232の表面に溝234を複数連続形成した連続把持部236を適宜間隔で複数設け、前記溝234にサンドペーパー238を紐240で固定するようにしてもよい。このように、サンドペーパー238を束にして強くすることにより、遠心力によるバリ取り効果の向上を図るようにしてもよい。また、図12(C)に示す回転ブラシ250のように、ローラ252に適宜間隔で所定の深さの凹部254を複数形成し、該凹部254の底面に複数の溝256を形成して、サンドペーパー258を、前記溝256に紐260で固定するようにしてもよい。この場合、前記図12(B)に示す例と比べたときに、遠心力でサンドペーパー258が立つのを凹部254の内面で抑制することができるとともに、サンドペーパー258が凹部254の上端まで磨耗したときに交換するようにするなど、交換時期を把握しやすい。
【0051】
更に、図12(D)に示す回転ブラシ270Aのように、ローラ272の表面近傍に浅い溝274を適宜間隔で複数形成し、該溝274に、2枚のサンドペーパー276及び278を重ねて紐280で固定し、遠心力による角度変化の防止を図るようにしてもよい。このとき、外側のサンドペーパー278を、内側のサンドペーパー276を交換する目安の長さに設定しておくことにより、交換時期の明確化を図ることができる。また、図12(E)に示す回転ブラシ270Bのように、同じ長さのサンドペーパー276及び282を重ねて固定し、一層のバリ取り効率向上を図るようにしてもよい。
【実施例2】
【0052】
次に、図13を参照しながら本発明の実施例2を説明する。図13は、本実施例及び比較例の回転ブラシを示す側面図である。上述した実施例1では、回転ブラシの変形例として、該回転ブラシを軸方向と略直交する面で分割可能な構成としたが(前記図9(B)及び(C)参照)、本実施例では、回転ブラシを軸方向に対して斜めに分割した構成となっている。図13(A)に示すように、本実施例の回転ブラシ400は、ローラの表面に所定角度傾斜した略リング状の多数のブラシ体430を備えた構成となっている。該回転ブラシ400は、前記ブラシ体430の傾きと略同一勾配を有する分割面410によって、図13(B)に示すように、ローラユニット402及び404と、一組の端部ユニット406及び408に分割可能となっている。前記ローラユニット402,404は、両端近傍まで前記ブラシ体430が設けられている。これらローラユニット402,404及び端部ユニット406,408は、公知の各種の機構によって着脱可能となっている。
【0053】
回転ブラシ400は、通常、中央付近の使用頻度が高く、図13(A)に示すように磨耗部412が形成されてしまう。ところが、本実施例では、前記回転ブラシ400を図13(B)に示すように4つのパーツに分解したのち、ローラユニット402と404の位置を、図13(C)に示すように入れ替えが可能となっている。すなわち、ローラユニット402の端面402Aとローラユニット404の端面404Bを接続するとともに、前記ローラユニット402の端面402Bを端部ユニット408の端面408Aに接続し、更に、ローラユニット404の端面404Aを他方の端部ユニット406の端面406Aに接続することにより、磨耗部412を回転ブラシ400の両端側に移動することができる。
【0054】
また、ローラユニット402,404間のローテーションが可能なため、当たり面の均一性を保つことができる。また、前記ローラユニット端面402A,402B,404A,404Bを、ブラシ体430と略同一勾配を有する斜面に形成するとともに、前記端面近傍までブラシ体430を設けることにより、ローラユニット間の継目に隙間が生じない。例えば、図14(D)に示す比較例の回転ブラシ420のように、軸方向に略直交する分割面426において、ローラユニット422及び424に分割する構成の場合、これらの端面422Bと424A,あるいは、端面422Aと424Bを接続したときに、継目部分に隙間が生じることになる。前記実施例1では、図9(C)に示すように、ブラシ体の傾きを大きくすることにより隙間が生じるのを防止することとしたが、本実施例では、上述した構成とすることにより、ブラシ体の傾きを大きくせずにワークWの表面を均一に処理することができる。
【実施例3】
【0055】
次に、図14を参照しながら本発明の実施例3を説明する。上述した実施例1では、回転ブラシのローラの軸方向に対して所定角度傾斜した略リング状の溝ないし凹部に、多数のブラシ体を前記軸方向に対して傾けて固定することとしたが、本実施例は、前記ブラシ体を前記軸方向に略直交するように取り付けた例である。図14(A)は本実施例の回転ブラシを示す図であり、(A)は側面図,(B)は前記(A)を#D−#D線に沿って切断し矢印方向に見た断面図,(C)及び(D)は変形例を示す平面図である。図14(A)に示すように、本実施例の回転ブラシ500は、ローラ502の軸方向に対して所定角度傾斜した略リング状の溝504が、所定の間隔で軸方向に複数形成されており、該溝504にブラシ体506が固定されている。前記溝504は、図14(B)に示すように、一対の側面504A,504Bが前記ローラ502の軸方向に略直交しており、その底面504Cに、略帯状のサンドペーパーを二つ折りしたものが、紐510などによって前記溝504の底面504Cに固定されている。
【0056】
本実施例では、前記溝504の側面504A,504Bがローラ502の軸方向に略直交しており、前記ブラシ体506も前記軸方向に略直交しているが(別言すれば、ローラ502の表面の略法線方向となるようにブラシ体506が形成されている)、溝504自体がローラ502の軸方向に対して傾くように形成されている。このため、図14(A)に示すように、ブラシ体506で形成されるリング全体としてみると、前記軸方向に対して所定角度傾くようになり、上述した実施例1と同様の効果が得られる。また、ブラシ体506がローラ502に対して略直交している(法線方向を向いている)ため、遠心力の影響を考慮する必要がなくなり、溝504の深さを浅くすることが可能となる。なお、図14(A)及び(B)に示した例は一例であり、図14(C)に示す回転ブラシ520のように、前記溝504に、サンドペーパー508を階段状に適宜手段で固定するようにしてもよいし、図14(D)に示す回転ブラシ530のように、ローラ502に略階段状の溝532を形成し、各段に前記サンドペーパー508を適宜手段で固定するようにしてもよい。
【実施例4】
【0057】
次に、図15を参照しながら本発明の実施例4を説明する。図15は、本実施例の回転ブラシの取付角度に関する説明図である。なお、前記実施例1と同一ないし対応する構成要素には同一の符号を用いることとする(以下の実施例についても同様)。前記実施例1では、回転ブラシ50A,50Bを、図15(B-2)に示すようにワークWの搬送方向に対して略直交するように配置したが、本実施例は、図15(A)に示すように、回転ブラシ50Aが前記搬送方向に対して斜め配置されている。前記図15(B-2)に示す回転ブラシ50Aは、前記実施例1で説明したように、ローラ56の軸方向と略直交するブラシ体602を備えた回転ブラシ600(図15(B-1)参照)よりも、ワークWの側面L3,L4に形成されたバリを取りやすい構成となっている。しかしながら、ローラ56に対してほぼ直交するようにワークWが送られるため、側面L3,L4の縁部には、側面L1,L2と比較し、ブラシ回転数の半分しかサンドペーパー59の先端が当たらない。
【0058】
そこで、図15(A)に示すように、回転ブラシ50Aのローラ56を、図15(B-2)に示す状態から10〜20度程度傾けることにより、前記側面L3,L4に当たる面が増加して縁部のバリ取りが良好に行われる。むろん、上述した実施例1のように、ローラ56に対するブラシ体58の傾斜角度を深くするようにしてもよい。本実施例では、例えば、図15(C)に示すように、ワークWの搬送方向に対して角度がついた回転ブラシ50A,50Bによってバリ取りを行い、更に前記搬送方向に対してローラ56が略直交した他の回転ブラシ50Cによって表面処理を行うようにしているが、これは一例であり、搬送方向に対して角度をつけた回転ブラシを1本のみ使用するようにしてよい。あるいは、図15(D)に示すように、回転ブラシ50Aを矢印F15で示すように、一方の軸受を支点にして回動可能とし、ワークWに応じてローラ56の角度の調節を行うようにしてもよい。このように、回転ブラシのローラをワークWの搬送方向に対して斜めに設けることにより、本発明の回転ブラシによる処理の効果を一層向上させることが可能となる。むろん、上述した実施例2及び3についても同様に、回転ブラシを搬送方向に対して斜めに設置して利用するようにしてよい。
【実施例5】
【0059】
次に、図16を参照しながら本発明の実施例5を説明する。図16は、本発明の実施例5を示す図であり、(A)は回転ブラシのローラを溝と略平行な面で切断した断面図,(B)は前記ローラを示す外観斜視図,(C)は前記ローラ成型用の金型を示す斜視図である。上述した実施例1では、駆動手段であるモータの回転を回転ブラシに伝達するために、ローラの中空部66に内挿体68を挿通し、前記中空部66の溝66Aと内挿体68のキー68Aを係合させて、前記回転ブラシと内挿体を一体に回転させる構成とした。これに対し、図16(A)に示すように、本実施例のローラ610は、前記中空部66に一対の溝66A,66Bを対称に形成し、図示しない内挿体の一対のキーと係合させることとしている。本実施例では、前記ローラ610は、図16(B)に示すように、軸方向に沿って分割可能な一組の分割体610A,610Bの組み合わせによって形成されている。
【0060】
前記分割体610A,610は、ほぼ対称な形状となっており、例えば、図16(C)に示すような一組の金型620,630によって成型される。一方の金型620は、ローラ610の外周面を形成するための凹状曲面部622に、溝56Aを形成するための凸部624が設けられた構成となっており、他方の金型630は、前記中空部66を形成するための凸状曲面部632の略中央部に、前記溝66Aないし66Bを形成するための凸部634が設けられた構成となっている。このように、本実施例によれば、ローラ610の中空部66に、対向する溝66A,66Bを形成することにより回転ムラを防止することができる。また、前記ローラ610を軸方向に沿って略同一形状に分割可能とすることにより、金型を利用して容易に成型できるという効果が得られる。
【実施例6】
【0061】
次に、図17及び図18を参照しながら本発明の実施例6を説明する。図17(A)は本実施例の回転ブラシの平面図,図17(B)はブラシ体を示す斜視図,図17(C)は前記回転ブラシの分解斜視図,図17(D)はブラシ体の取付方法を示す説明図である。図18は、本実施例の変形例を示す図である。上述した実施例1〜5では、ローラの表面に設けた溝に多数のブラシ体を固定することによって、前記ローラの軸方向に対して所定角度傾斜した複数のリングを形成し、凹凸を有する3次元形状の処理対象の表面処理を行うこととしたが、本実施例は、ブラシ体による傾斜したリングを形成することなく、全方向の表面処理を行う構成とした例である。
【0062】
図17(A)に示すように、本実施例の回転ブラシ700は、ローラ702の表面に多数のブラシ体704が設けられた構造となっている。前記ブラシ体704は、図17(B)に示すように細帯状であって、本実施例ではサンドペーパーが用いられている。前記ブラシ体704は、その長さ方向が前記ローラ702の軸方向に対して略直交するとともに、幅方向が前記ローラ702の軸方向に対して非直交となるように、角度を付けて固定されている。
【0063】
本実施例では、前記ローラ702は、上述した実施例5と同様に、軸方向に沿って分割可能な一組の分割体702A,702Bの組み合わせによって形成されている。更に、前記分割体702A,702Bは、断面略弧状のカバー712A,712Bと、これらカバーの凹部に嵌合する本体710A,710Bによって構成されている。前記本体710A,710Bには、図示しない内挿体の一対のキーを係合させる溝66A,66Bが形成されている。また、前記カバー712A,712Bには、前記ブラシ体704の配列に対応した多数の穴714が設けられている。図17(D)に示すように、前記カバー712Aの穴714にブラシ体704の一方の端部704B側を挿通し、前記本体710Aにカバー712Aを被せると、前記端部704Bが本体710Aによって押さえられ、ブラシ体704がローラ702に固定される。他方の分割体702B側についても同様である。
【0064】
本実施例では、ブラシ体704に角度を付けて固定し、回転ブラシ700を回転することによって、処理対象の全方向のバリを除去することができる。一例を挙げると、前記実施例1のように回転ブラシ700を2本用意し、それぞれ回転が逆になるように、回転数1200rpm〜1500rpmで駆動し、搬送コンベア(上部コンベア28)を2m/分〜3m/分程度で駆動することにより、良好にバリを除去できることが確認できた。このように、本実施例によれば、細帯状のブラシ体704の長さ方向がローラ702の軸方向に対して略直交し、前記ブラシ704体の幅方向が前記ローラ702の軸方向に対して非直交となるように、多数のブラシ体704をローラ702の表面に設けることとしたので、遠心力の影響を考慮することなく、全方向のバリを良好に除去することができる。なお、前記ブラシ体704同士の距離や角度に応じて、前記回転ブラシ700を軸方向に揺動させる機構などを併用するようにしてもよい。
【0065】
図18には、本実施例の変形例が示されている。まず、図18(A)〜(C)に示す回転ブラシ720では、ローラ722の表面に設けられた細帯状の多数のブラシ体724は、長さ方向が前記ローラ722の軸方向に略直交し、幅方向が前記ローラ722の軸方向に略平行となっている。前記ローラ722は、図18(C)に示すように、略円筒状のカバー728と、該カバー728の中空部に嵌合可能な本体726によって構成されており、前記カバー728には、前記ブラシ体724を挿通するための多数の穴730が設けられている。図示の例では、2つの穴730に一つのブラシ体724を挿通し、その両端部724A,724Bの長さが揃うように引き出した状態で、前記カバー728に本体726を差し込むようになっており、前記本体726によってブラシ体724の折り曲げ部724Cを押え付けることにより、前記ブラシ体724の固定が可能となっている。このような配列とした場合にも、前記図17に示す例と同一条件において良好にバリ取りできることが確認された。
【0066】
なお、本発明は、上述した実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることができる。例えば、以下のものも含まれる。
(1)前記実施例で示した各部の形状,大きさは一例であり、必要に応じて適宜変更可能である。例えば、前記実施例1で示した搬送面30の丸穴32A及び長穴32Bの形状・寸法も一例であり、いずれか一方の形状のものを多数形成するようにしてもよいし、更に他の形状の穴を組み合わせるようにしてもよい。
(2)前記実施例1では、上部コンベア28と下部コンベア34を設けたが、下部コンベア34は必要に応じて設けるようにすればよい。また、前記落下ガイド42も一例であり、同様の効果を奏するように適宜設計変更してよい。
【0067】
(3)前記実施例1では、一対の回転ブラシ50A及び50Bを略平行に設けることとしたが、これも一例であり、いずれか一方の回転ブラシを用いるようにしてもよいし、回転ブラシを軸方向に複数配置して、幅広のワークWの加工を行うようにしてもよい。また、図9(D)に示すように、サンドペーパー212Aを備えたローラユニット210Aと、サンドペーパー212Bを備えたローラユニット210Bを軸方向に接続して回転ブラシ210を構成し、前記サンドペーパー212A及び212Bとして番手が異なるものを使用する。このようにすると、例えば、前記ローラユニット210AでAl板などのワークWAの表面処理を行い、ローラユニット210BでFe板などのワークWBの表面処理を行うようにするなど、一つの回転ブラシ210で種類の異なる複数のワークを同時に表面処理することが可能となる。更に、前記実施例の装置構成は一例であり、本発明の表面処理用ブラシは、ワークWの搬送方向に対して略直交する方向のみならず、ワークWの搬送面と略直交する方向を軸として回転するブラシや、前記ワークWの搬送面に対して揺動するブラシについても適用可能である。
【0068】
(4)回転ブラシ50A及び50Bの構造も一例であり、前記実施例1では、ローラ56の軸に略直交する面に対して、ブラシ体58を7度及び20度傾斜させることとしたが、必要に応じて傾斜角度は適宜変更してよい。また、サンドペーパー59の利用も一例であり、他の公知の各種のブラシ体を用いてよい。更に、前記サンドペーパー59の粗さの粒度を変えることで、磨き粗さの調整を行うようにしてもよい。また、図8(A)に示したローラ56へのブラシ体58の取付形態や、図12に示した取付形態も一例であり、同様の効果を奏するように、必要に応じて適宜設計変更してよい。
【0069】
(5)上部コンベア28の搬送面30に、ワークWを吸着保持するのも一例であり、上部コンベア28内の減圧は必要に応じて行うようにすればよい。例えば、矢印F7b方向(上部コンベア28の搬送方向と逆方向)に回転する回転ブラシ50Bの下を通過しようとするワークWの寸法が大きく、他方の回転ブラシ50Aで押圧できるような場合には、必ずしも減圧による吸着は行わなくてもよい。
(6)前記実施例1では、回転ブラシ50A及び50Bを逆方向に回転させることとしたが、同方向に回転させることを妨げるものではない。
【0070】
(7)前記実施例1では、説明を容易にするため、図4及び図11で、入口側の回転ブラシ50Aを出口側の回転ブラシ50Bよりも高くなるように図示したが、これも一例であり、回転ブラシ50B側を高くなるように調整してもよい。
(8)前記実施例1の回転駆動機構,昇降機構,テンション調整機構も一例であり、同様の効果を奏するものであれば、他の公知の各種の機構を適用してよい。
(9)前記実施例1では、回転ブラシ50A及び50Bは、表面処理中は一定の高さに保つこととしたが、これも一例であり処理中に昇降するようにしてもよい。
【0071】
(10)前記実施例6で示したブラシ体の配列は一例であり、同様の効果を奏するように適宜変更してよい。例えば、図18(D)に示す回転ブラシ740のように、ローラ742の表面に多数のブラシ体746を設け、該ブラシ体746によって、前記ローラ742の軸方向に略直交する複数のブラシ列744A〜744Cを設けるようにしてよい。また、これらブラシ列744A〜744Cの位置ずれ具合も一例であり、必要に応じて適宜変更してよい。
(11)前記実施例6で示した前記ブラシ体704,724の固定方法も一例であり、同様の効果を奏するように適宜設計変更してよい。ブラシ体の取付形態も適宜変更してよく、例えば、上述した取付形態を組み合わせるようにしてもよい。
【0072】
(12)前記実施例1のバリ取り装置10は、例えば、鋼板及び表面処理鋼板の主としてプレス部品のバリ取りや、アルミニウム及びステンレス等の非鉄金属板の主としてプレス部品のバリ取りや、エポキシ樹脂及びフェノール樹脂などの合成樹脂の成形時のバリ取り及び部品加工時のバリ取り、凹凸が最大100mm程度の大きな寸法変化を持つ部品のバリ取りなど、公知の各種の成形品及び加工品のバリ取りに適用可能である。
【0073】
(13)前記実施例1では、本発明をバリ取り装置に適用することとしたが、これも一例であり、本発明は、薄板の表面研磨の加工仕上げや、木材表面の磨き上げ加工にも適用可能である。このほか、ステンレスのヘアライン加工にも適用可能であり、この場合は、ワークWを上部コンベア28に載せる方向を変えることにより、へアライン方向の調整が可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明によれば、(1)回転可能なローラの軸方向に対して所定角度傾斜した複数のリングが、前記ローラの外周面に所定間隔で形成されるようにブラシ体を多数設けるとともに、該ブラシ体の先端側が所定の長さ露出するように、前記ブラシ体の根元側を鍔部によって把持する,あるいは、(2)回転可能なローラの外周面に設ける細帯状の多数のブラシ体を、該ブラシ体の長さ方向が前記ローラの軸方向に対して略直交し、かつ、前記ブラシ体の幅方向が前記ローラの軸方向に対して略平行ないし非直交となるように設けることとしたので、表面処理用のブラシの用途に適用できる。特に、前記ブラシ体をローラに対して傾けるとともに間欠的に配置することとしたので、凹凸部分を有する処理対象の表面処理に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明の実施例1のバリ取り装置の外観斜視図であり、(A)はワークの搬送方向前方から見た図,(B)は前記搬送方向後方から見た図である。
【図2】前記実施例1のバリ取り装置の内部構成を斜視図である。
【図3】前記図2を矢印F3方向から見た正面図である。
【図4】前記図2を矢印F4方向から見た側面図であり、(A)は外観図,(B)は内部構成を示す図である。
【図5】前記図2を矢印F5方向から見た平面図である。
【図6】本実施例のバリ取り装置の上部コンベアを示す図であり、(A)は搬送面を示す平面図,(B)は内部ハニカム構造を示す平面図,(C)は前記(B)を#A−#A線に沿って切断し矢印方向に見た断面図である。
【図7】前記実施例1の回転ブラシの着脱部を示す図であり、(A)は正面図,(B)は分解斜視図,(C)は前記(B)を#B−#B線に沿って切断し矢印方向に見た断面図である。
【図8】前記実施例1の回転ブラシを示す図であり、(A)は側面図,(B)は前記(A)を#C―#C線に沿って切断した断面図,(C)は前記(B)を#D−#D線に沿って切断し矢印方向に見た断面図,(D)はブラシ体の先端形状を示す図である。
【図9】前記実施例1の回転ブラシを示す図であり、(A)は主要断面図,(B)及び(C)はブラシ体の傾斜角度についての説明図,(D)は他の実施例を示す図である。
【図10】前記実施例1と背景技術の回転ブラシの作用を示す図である。
【図11】前記実施例1の回転ブラシの高さ調節の様子を示す斜視図である。
【図12】前記実施例1の変形例を示す図である。
【図13】本発明の実施例2と比較例の回転ブラシを示す図である。
【図14】本発明の実施例3の回転ブラシを示す図であり、(A)は側面図,(B)は前記(A)を#D−#D線に沿って切断し矢印方向に見た断面図,(C)及び(D)は変形例を示す平面図である。
【図15】本発明の実施例4の回転ブラシの取付角度を示す説明図である。
【図16】本発明の実施例5を示す図であり、(A)は回転ブラシのローラを示す断面図,(B)は前記ローラを示す外観斜視図,(C)はローラ成型用の金型を示す斜視図である。
【図17】本発明の実施例6を示す図であり、(A)は回転ブラシの平面図,(B)はブラシ体を示す斜視図,(C)は前記回転ブラシの分解斜視図,(D)はブラシ体の取付方法を示す説明図である。
【図18】前記実施例6の変形例を示す図である。
【符号の説明】
【0076】
10:バリ取り装置
12:本体フレーム
14A〜14D:サイドフレーム
16A〜16D:上部フレーム
18A〜18D:下部フレーム
20A:正面側上部カバー
20B:正面側下部カバー
22A:背面側上部カバー
22B:背面側下部カバー
24A,24B:側面カバー
25:窓
25A:透明カバー
26:上部カバー
28:上部コンベア
28A,34A:モータ
29,35:ガイドフレーム
30:搬送面
32A:丸穴
32B:長穴
34:下部コンベア
36A〜36C,38,39,40A,40B,41:補助フレーム
42:落下ガイド
44A,44B:アーム
46:斜面
48:ストッパ
50A,50B,50C:回転ブラシ
52,54:昇降フレーム
52A,52B,54A,54B:取付面
52C,54C:固定板
56:ローラ
56A:凹部
56B:凸部
56C:溝
57A,57B:側面
58:ブラシ体
59,59A〜59D:サンドペーパー
60:紐
62:軸受
64:軸
65:鍔
66:中空部
66A,66B:溝
68:内挿体
68A:キー
70A,70B:キー溝
72:軸受
74:回転軸
74A,76A:ネジ部
76:外筒
77:鍔
78A,78B:キー
80:締付棒
82:固定板
84A,84B:モータ
86A,86B,88A,88B:プーリ
90A,90B:ベルト
92,93:固定板
94A,94B:伸縮カバー
96A,96B:カバー
98A,98B:開口部
100A,100B,102A,102B:支柱
104A,104B,105A,105B:受部
106:テンション調整機構
108:固定板
110A〜110D,116A〜116D:ローラ
112A〜112D:ホルダ
114A〜114D:アーム
120:支持板
122,124:シリンダ
126,136:受部
126A,136A:筒部
128,138:軸
128A,138A,134A,144A:プーリ
130,140:ベルト
132,142:モータ
134,144:出力軸
146:吸引口
146A:支持部
148:キャスタ
150A,150B:減圧室
152A,152B:吸引口
154A,154B:ハニカム構造体
156,158:ホース
160:減圧装置
200A〜200C,202A〜202C,210A,210B:ローラユニット
202:接続面
210,220,230,250,270A,270B:回転ブラシ
212A,212B:サンドペーパー
222,232,252,272:ローラ
224,234,274:溝
226,238,258,276,278,282:サンドペーパー
228,240,256,280:紐
236:連続把持部
254:凹部
256:溝
300:立ち上がり部
302:バリ
304:先端
310:回転ブラシ
312:ローラ
314:サンドペーパー
314A:先端
400:回転ブラシ
402,404:ローラユニット
402A,402B,404A,404B:端面
406,408:端部ユニット
406A,408A:端面
410:分割面
412:磨耗部
420:回転ブラシ
422,424:ローラユニット
426:分割面
430:ブラシ体
500:回転ブラシ
502,520,530:ローラ
504,532:溝
504A,504B:側面
504C:底面
506:ブラシ体
508:サンドペーパー
510:紐
600:回転ブラシ
602:ブラシ体
610:ローラ
610A,610B:分割体
620,630:金型
622:凹状曲面部
624:溝用凸部
632:凸状曲面部
634:溝用凸部
700,720,740:回転ブラシ
702,722,742:ローラ
702A,702B:分割体
704,724,746:ブラシ体
704A,704B,724A,724B:端部
724C:折り曲げ部
710A,710B,726:本体
712A,712B,728:カバー
714,730:穴
744A〜744C:ブラシ列
W,WA,WB:ワーク
【技術分野】
【0001】
本発明は、成形品の加工過程などにおいて生じるバリの除去や表面研磨などの表面処理を行うためのブラシに関し、更に具体的には、回転式の表面処理用ブラシに関するものである。
【背景技術】
【0002】
合成樹脂などの成形品の表面に、装飾や機能性の向上といった目的のため、フィルムや箔を設けることは広く行われている。このような成形品に被膜を設けるには、転写成形やインモールド成形のように、樹脂製品の成形と被膜の接触を同時に行う手法など様々なものがあるが、いずれの手法を用いても成形品の表面縁部にバリが生じる場合が多い。また、樹脂成形品に限らず、例えば、板金加工物の加工過程においても、縁部にバリが生じる。バリが残っていると、成形品の見栄えが低下するため取り除く必要がある。現状では、主に、(1)グラインダー,ベルトサンダー,ヤスリ等を用いた手作業による除去,(2)加工対象を固定し、ベルトサンダー等の研磨工具(ないし治具)をロボットに取り付けて除去する方法,(3)主として平面のバリ取りを目的とした平面バリ取り機などの技術がある。
【0003】
前記(3)の平面バリ取り機は、平面に対して垂直に立てた回転軸に対して、水平面内で回転する複数(例えば4〜6個)のブラシを配置した回転ブラシ構造を有しており、若干の突起部分のバリも取れるようになっている。このような平面バリ取り技術としては、例えば、以下の特許文献1に記載の「加工品表面のサンダー仕上げ方法」や、特許文献2に記載の「製品、特に金属製品のバリ取りの方法及びその方法の使用」がある。
【特許文献1】特表2001−521828公報
【特許文献2】特表2000−515434公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、以上のような背景技術には次のような不都合がある。まず、(1)の手作業での除去作業は、作業効率が低くて時間が掛かるほか、作業者の熟練度や能力によって製品の加工品の仕上がりに差がでたり、工具の選定に時間がかかったりするという不都合がある。次に、(2)のロボットを使用してのバリ取りは、作業スピードが遅く、また、治具交換やティーチングの時間と費用が掛かることから、多種少量生産には不向きである。
【0005】
次に、(3)の特許文献1及び2に記載の技術では、ワーク全体に均一に表面処理を施すため、ブラシ体をローラ表面全体に設ける必要がある。また、ブラシ体がローラの軸方向に対して略直交しているため、処理対象に凹凸部分が含まれると、該凹凸の立ち上がり部分の側面のバリにブラシの先端が当たらないため、バリ取りができないという不都合がある。更に、上述したブラシは、ローラにブラシ体が直接埋め込まれていることが多いため、ブラシ体が磨耗した場合には、ブラシ全体を交換しなければならず無駄が多い。従って、ブラシ体をローラ全面に設けることなく、凹凸を有する処理対象に関しても均一な表面処理を行うことができ、更には、所望部分のブラシ体のみを交換することができれば、材料の無駄も省くことができるため好都合である。
【0006】
本発明は、以上の点に着目したもので、その目的は、簡単な構成で、凹凸を有する処理対象についても均一な表面処理を行うとともに、材料の無駄を省くこともできる表面処理用のブラシを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため、本発明の表面処理用ブラシは、処理対象の表面に接触して所望の表面処理を施すブラシであって、回転可能なローラ,該ローラの軸方向に対して所定角度傾斜した複数のリングが、前記ローラの外周面に所定間隔で形成されるように設けられた多数のブラシ体,該ブラシ体の先端が所定の長さ露出するように、前記ブラシ体の根元側を把持する鍔部,を備えたことを特徴とする。
【0008】
主要な形態の一つは、前記ローラの外周面に、該ローラの軸方向に対して所定角度傾斜した略リング状の溝を多数形成するとともに、前記溝の側面を前記鍔部として利用することにより、該溝に埋め込まれた多数のブラシ体を把持することを特徴とする。あるいは、前記ローラの外周面に、該ローラの軸方向に対して一対の側面が略直交した略リング状の溝を多数形成するとともに、前記溝の側面を前記鍔部として利用することにより、該溝に埋め込まれた多数のブラシ体を把持することを特徴とする。他の形態は、前記溝を前記ローラの軸方向に複数連続形成した溝バンドを、前記ローラの外周面に所定間隔で複数設けたことを特徴とする。
【0009】
更に他の形態は、前記ローラの外周面に、該ローラの軸方向に対して一対の側面が所定角度傾斜し、かつ、該ローラの外周面に対して所定の深さの段差を有する略リング状の凹部が多数形成されており、該凹部の底面に、前記多数のブラシ体を埋め込む溝を形成するとともに、前記凹部の側面を前記鍔部として利用することにより、前記溝に埋め込まれた多数のブラシ体を把持することを特徴とする。あるいは、前記ローラの外周面に、該ローラの軸方向に対して一対の側面が略直交し、かつ、該ローラの外周面に対して所定の深さの段差を有する略リング状の凹部が多数形成されており、該凹部の底面に、前記多数のブラシ体を埋め込む溝を形成するとともに、前記凹部の側面を前記鍔部として利用することにより、前記溝に埋め込まれた多数のブラシ体を把持することを特徴とする。更に他の形態は、前記溝を、前記凹部の底面に、前記ローラの軸方向に複数形成したことを特徴とする。
【0010】
更に他の形態は、両端面が、前記ブラシ体によって形成されるリングと略同一勾配の斜面に形成されるとともに、前記両端面の近傍まで前記ブラシ体が設けられた複数のローラユニット,一方の端面が前記ローラユニットの端面と略同一勾配の斜面に形成されており、前記ブラシ体が表面に形成されていない一組の端部ユニット,に分割可能であることを特徴とする。更に他の形態は、前記複数のローラユニットが位置交換可能であることを特徴とする。
【0011】
更に他の形態は、前記ブラシ体が、細帯状のサンドペーパーを利用したものであることを特徴とする。更に他の形態は、前記サンドペーパーを、一つの溝に複数枚重ねて固定することを特徴とする。更に他の形態は、複数枚重ねたサンドペーパーのうち、外側のサンドペーパーを内側のサンドペーパーよりも短くしたことを特徴とする。
【0012】
他の発明の表面処理用ブラシは、処理対象の表面に接触して所望の表面処理を施すブラシであって、回転可能なローラ,該ローラの外周面に設けられた細帯状の多数のブラシ体,を備えるとともに、前記ブラシ体の長さ方向が前記ローラの軸方向に対して略直交し、かつ、前記ブラシ体の幅方向が前記ローラの軸方向に対して略平行ないし非直交となるように、前記ブラシ体を設けたことを特徴とする。
【0013】
主要な形態の一つは、前記ローラが、前記ブラシ体が挿通可能な多数の穴を有する中空のカバー,該カバーの中空部に嵌合し、前記穴に挿通された部分のブラシ体を押圧可能な本体,によって形成されることを特徴とする。他の形態は、前記ブラシ体が、サンドペーパーを利用したものであることを特徴とする。
【0014】
更に他の形態は、前記サンドペーパーの端部を、両角を落とした形状としたことを特徴とする。更に他の形態は、前記ブラシ体が、前記ローラに対して着脱可能であることを特徴とする。更に他の形態は、前記路ローラが、軸方向に沿って略対称に分割可能な一組の分割体の組み合わせによって形成されていることを特徴とする。本発明の前記及び他の目的,特徴,利点は、以下の詳細な説明及び添付図面から明らかになろう。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、(1)回転可能なローラの軸方向に対して所定角度傾斜した複数のリングが、前記ローラの外周面に所定間隔で形成されるようにブラシ体を多数設けるとともに、該ブラシ体の先端側が所定の長さ露出するように、前記ブラシ体の根元側を鍔部によって把持する,あるいは、(2)回転可能なローラの外周面に設ける細帯状の多数のブラシ体を、該ブラシ体の長さ方向が前記ローラの軸方向に対して略直交し、かつ、前記ブラシ体の幅方向が前記ローラの軸方向に対して略平行ないし非直交となるように設けることとしたので、処理対象が凹凸を含む場合であっても均一に表面処理を施すことができるととともに、材料の無駄を省くことができるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、実施例に基づいて詳細に説明する。
【実施例1】
【0017】
最初に、図1〜図11を参照しながら、本発明の実施例1を説明する。本発明の表面処理用ブラシは、各種成形品の縁のバリ取りや、ステンレス板などの研磨処理やヘアライン加工などを行うための装置に適用可能であって、処理対象としては、平面状のみならず、若干の凹凸(100mm前後)を有するものも含まれる。本実施例では、成形品の縁のバリ取りを行うバリ取り装置に、本発明のブラシを適用した場合を例に挙げて説明する。図1は、本実施例のバリ取り装置の外観斜視図であり、(A)はワーク(処理対象)の搬送方向前方から見た図,(B)は搬送方向後方から見た図である。図2は、前記バリ取り装置の内部構成を示す斜視図,図3は、前記図2を矢印F3方向から見た正面図,図4は、前記図2を矢印F4方向から見た側面図であり、(A)は外観図,(B)は内部構成図,図5は、前記図2を矢印F5方向から見た平面図である。図6は、本実施例のバリ取り装置の上部コンベアを示す図であり、(A)は搬送面を示す平面図,(B)は内部ハニカム構造を示す平面図,(C)は前記(B)を#A−#A線に沿って切断し矢印方向に見た断面図である。図7は、本実施例の回転ブラシの着脱部を示す図であり、(A)は正面図,(B)は分解斜視図,(C)は前記(B)を#B−#B線に沿って切断し矢印方向に見た断面図である。図8は、本実施例の回転ブラシを示す図であり、(A)は側面図,(B)は前記(A)を#C−#C線に沿って切断した断面図,(C)は前記(B)を#D−#D線に沿って切断し矢印方向に見た断面図,(D)はブラシ体の先端形状を示す図である。図9は、本実施例の回転ブラシを示す図であり、(A)は主要断面図,(B)及び(C)はブラシ体の傾斜角度についての説明図,(D)は他の実施例を示す図である。図10は、本実施例と背景技術の回転ブラシの作用を示す図、図11は、本実施例の回転ブラシの高さ調節の様子を示す斜視図である。
【0018】
図1〜図5に示すように、本実施例のバリ取り装置10は、サイドフレーム14A〜14D,上部フレーム16A〜16D,下部フレーム18A〜18Dにより本体フレーム12が構成されている。前記下部フレーム18A〜18Dには、キャスタ148が設けられており、バリ取り装置10全体が移動可能となっている。前記本体フレーム12には、上部コンベア28及び下部コンベア34,一対の回転ブラシ50A及び50B,ワークWを前記上部コンベア28から下部コンベア34へ送るための落下ガイド42,前記回転ブラシ50A及び50Bを回転駆動するためのモータ84A及び84Bなどが収納ないし支持されている。また、前記回転ブラシ50A及び50Bを支持する昇降フレーム52及び54,該昇降フレーム52及び54を昇降させるためのモータ132及び142,前記回転ブラシ50A及び50Bに前記モータ84A及び84Bの出力を伝達するためのベルト伝達機構や、ベルトのテンションを調整するためのテンション調整機構106なども、前記本体フレーム12に設けられている。
【0019】
前記本体フレーム12は、図1(A)及び(B)に示すように、正面側上部カバー20A,正面側下部カバー20B,背面側上部カバー22A,背面側下部カバー22B,側面カバー24A及び24B,上部カバー26によって適宜位置が覆われている。ここでいう正面側とはワークWの搬送方向前方(ないし出口側)であり、背面側とは搬送方向後方(ないし入口側)である。なお、前記側面カバー24Bには、図4(A)に示すように、回転ブラシ50A,50Bを外側から確認するための窓25が形成されており、該窓25には透明カバー25Aが設けられている。このような窓25を設けることにより、前記回転ブラシ50A及び50Bの減り具合を確認し、ブラシ交換時期が容易に分かるようになる。このほか、前記本体フレーム12には、ワークWの搬入口(入口)や排出口となる開口部などが、適宜位置に形成されている。
【0020】
前記上部コンベア28は、本体フレーム12の補助フレーム36A〜36Dに略水平方向に固定されたガイドフレーム29(図2及び図4(B)参照)に取り付けられている。該上部コンベア28は、ワークWを図2に矢印F1aで示す方向に搬送するためのものであって、その搬送機構は公知である。本実施例では、上部コンベア28は、排出側(図2の左側)の側面に駆動用の小型のモータ28Aを備えており、全体が前記ガイドフレーム29に対して着脱自在となっている。また、本実施例では、前記上部コンベア28の搬送面30には、図6(A)に示すように、前記ワークWを搬送面30上に吸着保持するための多数の丸穴32A及び長穴32Bが形成されている。更に、図6(C)に示すように、前記搬送面30の内側に形成された減圧室150A及び150Bは、吸引口152A及び152Bに接続されたホース156を介して減圧装置160に接続されており(図1参照)、該減圧装置160によって内部が減圧されている。
【0021】
本実施例では、図6(B)及び(C)に示すように、前記減圧室150A及び150Bの上方,すなわち、前記丸穴32A及び長穴32Bの下方に、ハニカム構造体154A及び154Bが設けられている。該ハニカム構造体154A,154Bは、空気の通路が略垂直方向となるように配置されており、これによって、吸引の流れが上部から下部へ向けて真っ直ぐになるように整流化し、吸引力の向上を図ると同時に、吸引時に発生する音を抑制している。以上のような構成とすることにより、前記搬送面30上に載置したワークWは、前記丸穴32A及び長穴32Bに吸着保持され、回転ブラシ50A及び50Bによるバリ取り加工時に位置ずれが生じることがない。前記丸穴32Aは、例えば、φ4mm程度であり、前記長穴32Bは、例えば、4mm×7mm程度に形成されている。このような形状の異なる穴を組み合わせることにより、ワークWが大きい場合から小さい場合まで良好に吸着させることができる。
【0022】
一方、下部コンベア34は、前記補助フレーム36A〜36Dに略水平に固定されたガイドフレーム35(図2及び図4(B)参照)に取り付けられている。該下部コンベア34は、前記上部コンベア28よりも下方に所定の間隔をおいて設置されており、バリ取り加工が済んだワークWを、図2に矢印F1bで示す方向に送り返すためのものである。下部コンベア34についても、前記上部コンベア28と同様にその搬送機構は公知である。また、ワークWを送り返す場合の排出側(図2の右側)の側面端部に駆動用の小型のモータ34Aを備えており、全体が前記ガイドフレーム35から着脱自在となっている。
【0023】
以上のような上部コンベア28の搬送方向前方には、前記ワークWを下部コンベア34へ送るための落下ガイド42が設けられている。該落下ガイド42は、前記上部コンベア28及び下部コンベア34の端部側面に取り付けられる略V字状の一対のアーム44A,44Bと、上部コンベア28を通過したワークWを受ける斜面46と、前記ワークWの脱落を防止するためのストッパ48により構成されている。前記斜面46は、一端に前記ストッパ48が設けられ、他端が前記下部コンベア34へ連結している。なお、前記ストッパ48は、前記上部コンベア28の搬送面30とほぼ同程度の高さとなるように設定されている。このような構成の落下ガイド42を設けることにより、前記上部コンベア28を通過したワークWは、斜面46に沿って落下し、下部コンベア34へ送られる。
【0024】
次に、回転ブラシ50A及び50Bとその支持機構について説明する。前記回転ブラシ50A及び50Bは、前記ワークWの搬送方向に略直交するように配置され、前記本体フレーム12内に設けられた昇降フレーム52及び54によって支持されている。これら回転ブラシ50A及び50Bの支持機構は基本的に同様となっているため、以下、回転ブラシ50Aを例に挙げて説明する。図3,図7,図8に示すように、回転ブラシ50Aは、略円柱状のローラ56の表面に多数のブラシ体58を有しており、両端が前記昇降フレーム52の取付面52A及び52Bに設けられた軸受62及び72に回転可能に支持されている。前記ローラ56は、図7(B)に示すように、略中央部に軸方向に沿って、断面略方形状の溝66Aを備えた中空部66が形成されている。該中空部66には、図7(B)及び(C)に示すように、前記溝66Aと係合する凸状のキー68Aを備えた略筒状の内挿体68が収納可能となっており、前記キー68Aと溝66Aの係合により、内挿体68がローラ56とともに回転可能となっている。
【0025】
ここで、一方の軸受62には、鍔65を備えた軸64が回転可能に支持されており、該鍔65よりも先端の部分を、前記内挿体68の中空部に差込むと、軸64に設けた突起と前記内挿体68に形成された溝(いずれも図示せず)が係合し、ローラ56と軸64が一体に回転可能となる。他方の軸受72には、回転軸74が回転可能に支持されており、該回転軸74の外周面には、鍔77,凸状のキー78A及び78B,締付棒80を備えた外筒76が設けられている。前記回転軸74の外周面と、前記外筒76の内周面には、ネジ部74A及び76Aが形成されており、本実施例では、前記ネジ部74Aが雄ネジ、前記ネジ部76Aが雌ネジとなっている。そして、前記締付棒80の操作によって外筒76を回転させると、該外筒76を、前記回転軸74に沿ってスライドさせることが可能となっている。一方、前記ローラ56の中空部66に収納される内挿体68の端部には、前記外筒76のキー78A及び78Bと係合可能なキー溝70A,70Bが形成されている。このため、前記締付棒80の操作によって、前記キー78A及び78Bが前記キー溝70A及び70Bに嵌るまで外筒76をスライドさせると、回転軸74の回転が外筒76及び内挿体68を介してローラ56に伝達し、回転軸74とローラ56が一体となって回転するようになる。なお、前記ネジ部74A及び76Aは、回転ブラシ50Aの回転方向と逆ネジとし、ブラシの緩み止めが図られている。
【0026】
ここで、前記回転ブラシ50Aの構造について、図8を参照して説明する。回転ブラシ50Aは、図8(A)に示すように、ローラ56の表面に所定の間隔をおいて多数のブラシ体58が配置されている。本実施例では、前記ローラ56には、図8(B)に示すように、該ローラ56の軸方向と略直交する面(図に点線で示す面)に対して所定の角度傾斜する凹部56Aと凸部56Bが略リング状に複数形成されている。本実施例では、前記ブラシ体58として細帯状のサンドペーパー59を利用しており、該サンドペーパー59の折り返し部分に紐60を通して、前記凹部56Aに形成された溝56Cに巻き付けて固定している。すなわち、前記凹部56Aの一対の側面57A,57Bが、前記サンドペーパー59の根元を把持する鍔部として作用しており、前記サンドペーパー59の根元が折れるのを防止している。本実施例では、前記図8(B)に示すように、前記溝56Aの側面57A,57Bが前記軸方向と略直交する面に対して傾斜しているため、前記サンドペーパー59も前記ローラ56の軸に対して傾いている。
【0027】
次に、図10(A)に示すワークWのように、立ち上がり部300を有する立体形状のワークを加工する場合について説明する。仮に、図10(B)に示すようにローラ312の軸に対して略垂直方向にサンドペーパー314が固定された回転ブラシ310を使用したとすると、図10(C)に示すように、サンドペーパー314の先端314Aは、前記立ち上がり部300の側面に形成されたバリ302に当たらないため、バリ取りができない。また、サンドペーパー314間に隙間があり、該隙間部分はワークWに当たらずバリ取りができないため、回転ブラシ310を矢印F10a方向に回転させたり、矢印F10b方向に揺動させたりしてサンドペーパー314をワークWに当てる必要がある。これに対して、本実施例の回転ブラシ50Aを使用すると、角度をもたせたサンドペーパー59が斜めに回転するため、図10(D)に示すように、先端304が前記バリ302に接触し、立ち上がり部300のバリ取りが可能となる。
【0028】
このように、傾いたブラシ体58を間欠的に配置することで、ブラシ体58をローラ56全面に設けることなく、ワークWに凹凸が含まれる場合であっても均一に表面処理を施すことができる。また、ブラシ体58が磨耗したときには、必要な部分のブラシ体58のみを凹部56Aから取り外して新しいブラシ体58と交換することができるため、材料の無駄を省くことができる。前記サンドペーパーの先端は、図8(D)に示すサンドペーパー59Dのように、両角が尖ったまま使用すると、ワークWの表面に傷がつきやすくなるため、サンドペーパー59,59A,59B,59Cに示すように、角を落とした形状のものを使用するようにすると良い。なお、図示の例は一例であり、サンドペーパー59以外の素材を用いてブラシ体58を形成するようにしてもよい。
【0029】
他方の回転ブラシ50Bについても基本的に同様の構成となっているが、本実施例では、前記ローラ56の軸に略直交する面に対して、ワークWの入口側の回転ブラシ50Aが約7度程度傾き、ワークWの出口側の回転ブラシ50Bの角度が約20度程度傾くように設定されている。このように回転ブラシの角度を設定すると、入口側の回転ブラシ50Aでは、ワークWの平面部分のバリ取りが良好に行われ、出口側の回転ブラシ50Bでは、ワークWの凹凸部分(立体部分)のバリ取りが良好に行われる。
【0030】
ここで前記サンドペーパー59の傾きについて説明する。ローラ56の軸に直交する面に対するサンドペーパー59の角度α(図9(A)参照)が、例えば5度よりも小さいと、サンドペーパー59でワークWを擦ることができる幅が狭くなるため、前記凸部56Bの幅Dを小さくしなければならない。しかしながら、前記ローラ56を構成する材料として、例えば、発泡スチロールなどを使用した場合、前記凸部56Bの幅Dが狭いと、厚みが不足して凸部56Bが折れやすくなってしまう。そこで、前記サンドペーパー59の傾斜角度αを、例えば、5度以上に設定して表面処理可能な面積を広げることにより、前記幅Dをある程度大きくして凸部58Bを折れにくくすることができる。
【0031】
また、図9(B)に示すように、複数のローラユニット200A〜200Cを軸方向に接続して前記回転ブラシ50Aを形成する場合、前記ローラユニット200A〜200Cの表面に設けたサンドペーパー59の傾きが小さいと、ローラユニット同士の接続面202近傍で、サンドペーパー59の間に隙間Iが生じてしまい、その部分では表面処理を行うことができない。これに対して、図9(C)に示すように、サンドペーパー59の傾きがある程度大きい(例えば7度以上)と、前記接続面202付近での隙間が生じないため、ワークWの表面を均一に処理することができる。むろん、複数のローラユニットを接続せずに、一つのローラで回転ブラシ50Aや50Bを構成する場合には、サンドペーパー59の傾斜角度αは5度程度としてもよい。
【0032】
次に、前記回転ブラシ50A及び50Bの回転駆動機構について説明する。前記本体フレーム12の下部フレーム18B側には、他の下部フレーム18A及び18Cにわたって、固定板82が設けられている。該固定板82上には、前記回転ブラシ50A及び50Bを、それぞれ独立して回転駆動させるためのモータ84A及び84Bが設けられている。これらモータ84A,84Bの出力軸の先端には、ベルト90A及び90Bを架けるためのプーリ88A及び88Bが設けられている。一方、前記昇降フレーム52及び54の軸受72に支持された回転軸74は、前記昇降フレーム52,54の側面の固定板52B及び54Bを貫通しており、その先端には、前記ベルト90A及び90Bを架けるためのプーリ86A及び86Bが設けられている。
【0033】
また、前記昇降フレーム52及び54の側面には、前記回転ブラシ50A及び50Bの反対側に、前記プーリ86A及び86Bを覆うカバー96A及び96Bが固定されている。該カバー96A及び96Bの底面には、前記ベルト90A及び90Bを通すためのスリット状の開口部98A及び98Bが形成されている。更に、前記カバー96A及び96Bの底面には、伸縮可能な中空の伸縮カバー94A及び94Bが取り付けられている。該伸縮カバー94A及び94Bは、前記側面フレーム14B及び14C側の適宜位置に設けられた補助フレーム38及び39上の固定板92に固定されている。また、前記カバー96A及び96Bの上方には、他の固定板93が、サイドフレーム14B及び14Cに固定されている。該固定板93と、下方の固定板92の間には、伸縮カバー94A及び94Bと、カバー96A及び96Bを貫通する支柱100A,102A,100B,102Bの両端がそれぞれ固定されている。また、前記カバー96A及び96B内の底面には、前記支柱100A,102A,100B,102Bがスライド可能に貫通する略筒状の受部104A,105A,104B,105Bの下端が固定されている。
【0034】
前記カバー94A,94B,伸縮カバー96A,96Bは、表面処理を行う際に生じる切粉や塵埃が、前記モータ84A及び84Bにかかるのを防止するためのものである。そして、前記昇降フレーム52及び54が、後述する機構により昇降する際には、ジャバラ状の伸縮カバー94A及び94Bが伸縮することにより、前記昇降フレーム52及び54に固定されたカバー96A及び96Bも昇降することが可能となっている。なお、このときの昇降は、前記受部104A,105A,104B,105Bが、前記支柱100A,102A,100B,102Bに沿ってスライドすることによりガイドされる。
【0035】
本実施例では、前記昇降フレーム52,54を後述する昇降機構により昇降させるため、上述したベルト伝達機構のベルト90A,90Bに弛みが生じる場合がある。本実施例では、前記本体フレーム12に、図4及び図11に示すようなテンション調整機構106を設けることによって、前記ベルト90A,90Bのテンションを適切に保つように調整している。該テンション調整機構106は、サイドフレーム14B及び14C側の補助フレーム39及び41に上下の縁部が固定された固定板108に、多数のローラを備えた構造となっている。詳述すると、前記固定板108の略中央部には、上下方向に4つのホルダ112A〜112Dが配置されており、該ホルダ112A〜112Dには、先端にローラ116A〜116Dが設けられたアーム114A〜114Dがスライド可能に収納されている。前記アーム114A〜114Dは、前記ホルダ112A〜112D内に設けられた公知の往復機構によりスライド可能となっており、前記ローラ116A〜116Dを前記ベルト90A及び90Bに押し付けることによって、前記ベルト90A及び90Bのテンションを適切に保っている。前記固定板108には、他のローラ110A〜110Dも設けられている。本実施例では、前記ローラ110C,116B,116D,110Dによってベルト90Aのテンションを調整し、前記ローラ110A,116A,116C,110Bによってベルト90Bのテンションを調整することとなっている。
【0036】
次に、前記昇降フレーム52及び54の昇降機構について説明する。前記昇降フレーム52及び54の上方には、前記ワークWの搬送方向に沿って固定板52C及び54Cが設けられている。該固定板52C及び54Cの略中央部には、略垂直方向に設置されるシリンダ122及び124の下端が適宜手段により固定されている。該シリンダ122及び124の上端側外周面には、図示しないラックが軸方向に間欠的に形成されている。一方、本体フレーム12の上部フレーム16A及び16Cの間には、支持板120が設けられている。該支持板120上には、前記シリンダ122及び124に対応する位置に、受部126及び136が設けられている。
【0037】
まず、受部126について説明すると、該受部126には、前記シリンダ122のラックと噛み合う歯車(図示せず)を備えた軸128が回転可能に支持されるとともに、前記シリンダ122の上部を覆う中空の筒部126Aが略垂直方向に設けられている。また、前記軸128の一端にはプーリ128Aが設けられている。一方、前記支持板120の上には、モータ132が固定されており、該モータ132の出力軸134の先端に設けられたプーリ134Aと、前記軸128のプーリ128Aの間にベルト130が掛け回される。そして、前記ベルト130を介して前記モータ132の出力を軸128に伝達して回転させると、該軸128の図示しない歯車とシリンダ122のラックが噛み合うことにより、前記シリンダ122が昇降する。そして、該シリンダ122の昇降に伴い、それに固定された昇降フレーム52及び回転ブラシ50Aが昇降する。
【0038】
他方の受部136についても同様の構成となっており、シリンダ124をスライド可能に受ける受部136Aを備えるとともに、前記シリンダ124に形成されたラックと噛み合う歯車(図示せず)を備えた軸138を回転可能に支持している。そして、前記軸138の先端のプーリ138Aと、前記支持板120上に設けられたモータ142の出力軸144の先端のプーリ144Aの間にベルト140を架け回すことにより、前記モータ142の出力をシリンダ124に伝達し、前記昇降フレーム54及び回転ブラシ50Bを昇降させることができる。
【0039】
ところで、前記支持板120には、表面処理によって発生した切粉ないし塵埃を回収するための吸引口146が支持部146Aによって取り付けられている。前記吸引口146は、図1に示すようにホース158を介して、前記減圧装置160に接続されている。すなわち、本実施例では、前記減圧装置160が、前記上部コンベア28の内側を減圧するための減圧手段と、集塵のための減圧手段を兼ねる構成となっている。なお、本実施例では、前記吸引口146を一対の回転ブラシ50A及び50Bの突き合わせ部分の上方に設けることとしたが、必要に応じて吸引口146の位置は適宜変更してよい。
【0040】
次に、本実施例の作用を説明する。まず、上述した方法によって、回転ブラシ50A及び50Bを、昇降フレーム52及び54の軸受62及び72に取り付ける。次に、モータ84A及び84Bを駆動し、ワークWの入口側となる回転ブラシ50Aを、図4に矢印F7aで示す方向に回転させ、ワークWの出口側となる回転ブラシ50Bを、図4に矢印F7bで示す方向に回転駆動する。また、ワークWの形状や,凹凸の有無,凹凸の寸法などに応じて、昇降用のモータ132及び142を駆動し、回転ブラシ50A及び50Bの高さを調節する。また、回転ブラシ50A及び50Bの高さに応じて、テンション調整機構106により、ベルト90A及び90Bのテンションを調整する。そして、上部コンベア28と下部コンベア34のモータ28A及34Aに通電し、前記上部コンベア28を図2に矢印F1aで示す方向に駆動し、下部コンベア34を図2に矢印F1bで示す方向に駆動する。また、上部コンベア28内の減圧室150A及び150Bを、前記減圧装置160により減圧し、上部コンベア28の搬送面30上のワークWを、丸穴32A及び長穴34Bによって吸着保持できるようにする。
【0041】
このような状態で、ワークWを上部コンベア28に載せると、搬送面30に設けられた丸穴32A及び長穴32BによりワークWが吸着保持されながら、矢印F1a方向に移動し、回転ブラシ50A及び50Bの下を通過する。このとき、回転ブラシ50A及び50Bのブラシ体58が、ワークWの表面に当たってバリ取りが行われる。また、ワークWに凹凸がある場合も、図10(D)に示すように、サンドペーパー59の先端304が、立ち上がり部300の側面のバリ302に接触するため、良好にバリ取りを行うことができる。また、100mm程度までの凹凸であれば、回転ブラシ50A又は50Bの高さを変えることでブラシ体58の先端が所望の部分に当たるようになるため、バリ取りを行うことができる。バリ取りされたワークWは、上部コンベア28を通過すると、落下ガイド42の斜面46に沿って下部コンベア34に送られ、該下部コンベア34によって、上部コンベア28の搬送方向の逆方向に送り返される。
【0042】
以上のような処理中に生じる切粉や塵埃は、2つの回転ブラシ50A及び50Bが逆方向に回転しているため、これらの突き合わせ部分に集まるようになる。このため、前記減圧装置160に接続されたホース158を介して、集まった切粉などを上方に設けられた吸引口146から回収すると、周囲への飛散を最小限に抑えることができる。なお、前記回転ブラシ50A及び50Bの高さは、処理中(回転中)であっても、上述した昇降機構により任意に変更することが可能である。回転ブラシ50Aや50Bを交換する際には、前記外筒76の締付棒80を回し、外筒76を受部72側へスライドさせると、キー78A及び78Bとローラ56の係合が解除されるため、工具を用いることなく回転ブラシ50Aや50Bを取り外すことができる。なお、前記側面カバー24Bの窓25から見たときに、前記回転ブラシ50Aや50Bのブラシ体58が支持金具により見えなくなった場合は、ブラシ体58が磨耗したものと判断して交換するが、これは一例であり、必要に応じて、その他のタイミングで交換するようにしてよい。
【0043】
このように、実施例1によれば、次のような効果がある。
(1)ローラ56の軸方向に対して所定角度傾斜するブラシ体58を、前記ローラ56の外周面に所定間隔で前記軸方向に対して傾斜した略リング状に多数設けるとともに、該ブラシ体58の先端側が所定の長さ露出するように、前記ブラシ体58の根元側を前記ローラ56に形成した凹部56Aの側面57A,57Bによって把持することとしたので、処理対象が凹凸を含む場合であっても、均一に表面処理を施すことができるとともに、材料の無駄も省くことができる。また、前記ブラシ体58を間欠的に設けることで、所望部分のブラシ体58のみを交換することができる。
【0044】
(2)ワークWの搬送方向に略直交するように回転可能に支持した回転ブラシ50A及び50Bを、凹凸の嵌合及びネジ部の螺合を利用することにより、工具を用いることなく昇降フレーム52及び54に対して着脱可能としたので、回転ブラシ50A及び50Bの交換を容易に行うことができる。
(3)ワークWの形状や凹凸の有無及びその寸法に応じて、回転ブラシ50Aや50Bの高さを調節することとしたので、凹凸を有する3次元形状のワークWについても処理を行うことができる。また、回転ブラシ50A,50Bのブラシ体58の磨耗程度に応じて高さを調節するようにしてもよい。
【0045】
(4)上部コンベア28の搬送面30に多数の丸穴32A及び長穴32Bを設けるとともに、前記上部コンベア28内の減圧室150A,150Bを減圧することとしたので、ワークWを搬送面30に吸着保持することができる。また、前記減圧室150A,150Bにハニカム構造体154A,154Bを設けることとしたので、吸引の流れを整流化し、吸引力の向上とともに、吸引時の音の低減を図ることができる。更に、形状及び寸法の異なる丸孔32Aと長穴32Bを組み合わせることとしたので、ワークWのサイズ変化に良好に対応することができる。
【0046】
(5)テンション調整機構106を設けることとしたので、回転ブラシ50Aや50Bを昇降させる場合であっても、モータ84A,84Bの出力を回転ブラシ50A及び50Bに伝達するためのベルト90A及び90Bが弛むことなく、テンションを適切に保つことができる。
(6)上部コンベア28の下段に、該上部コンベア28の搬送方向と逆方向にワークWを搬送する下部コンベア34を設置するとともに、前記上部コンベア28を通過したワークWを、前記下部コンベア34へ送るための落下ガイド42を設けることとしたので、作業者が一人でも効率良く加工を行うことができる。
【0047】
(7)一対の回転ブラシ50A及び50Bを略平行に配置して互いに逆回転させることとしたので集塵効果が得られ、切粉や塵埃の回収が容易となる。
(8)前記回転ブラシ50A及び50Bを回転させるための回転軸74や、その先端のプーリ86A及び86B,ベルト90A及び90Bなどを覆うための伸縮カバー94A及び94B,カバー96A及び96Bを設けることとしたので、切粉や塵埃が電気系統へかかるのを防止することができる。
【0048】
(9)上部コンベア28及び下部コンベア34に小型のモータ28A及び34Aを設けることとしたので、必要に応じて、本体フレーム12から上部コンベア28又は下部コンベア34を容易に取り外すことができる。このため、メンテナンスなども容易となる。
(10)キャスタ148を設けることとしたので、設置場所の変更が容易である。
(11)回転ブラシ50A及び50Bを独立して駆動できるため、ブラシ体58の傾斜角度や粗さ,高さ,回転数などを変えることによって、効率的なバリ取りが可能となる。
【0049】
(12)減圧装置160が、上部コンベア28内を減圧する手段と、切粉ないし塵埃を集塵する手段を兼ねることとしたので、装置構成を簡略化することができる。
(13)側面カバー24Bに窓25及び透明カバー25Aを設けることとしたので、回転ブラシ50A及び50Bの様子を外部から確認し、交換時期などを容易に把握することができる。
【0050】
次に、図12を参照して、本実施例の変形例を説明する。まず、図12(A)に示す回転ブラシ220は、ローラ222の表面に形成した略リング状の溝224に直接サンドペーパー226を紐228によって固定した例である。また、図12(B)に示す回転ブラシ230のように、ローラ232の表面に溝234を複数連続形成した連続把持部236を適宜間隔で複数設け、前記溝234にサンドペーパー238を紐240で固定するようにしてもよい。このように、サンドペーパー238を束にして強くすることにより、遠心力によるバリ取り効果の向上を図るようにしてもよい。また、図12(C)に示す回転ブラシ250のように、ローラ252に適宜間隔で所定の深さの凹部254を複数形成し、該凹部254の底面に複数の溝256を形成して、サンドペーパー258を、前記溝256に紐260で固定するようにしてもよい。この場合、前記図12(B)に示す例と比べたときに、遠心力でサンドペーパー258が立つのを凹部254の内面で抑制することができるとともに、サンドペーパー258が凹部254の上端まで磨耗したときに交換するようにするなど、交換時期を把握しやすい。
【0051】
更に、図12(D)に示す回転ブラシ270Aのように、ローラ272の表面近傍に浅い溝274を適宜間隔で複数形成し、該溝274に、2枚のサンドペーパー276及び278を重ねて紐280で固定し、遠心力による角度変化の防止を図るようにしてもよい。このとき、外側のサンドペーパー278を、内側のサンドペーパー276を交換する目安の長さに設定しておくことにより、交換時期の明確化を図ることができる。また、図12(E)に示す回転ブラシ270Bのように、同じ長さのサンドペーパー276及び282を重ねて固定し、一層のバリ取り効率向上を図るようにしてもよい。
【実施例2】
【0052】
次に、図13を参照しながら本発明の実施例2を説明する。図13は、本実施例及び比較例の回転ブラシを示す側面図である。上述した実施例1では、回転ブラシの変形例として、該回転ブラシを軸方向と略直交する面で分割可能な構成としたが(前記図9(B)及び(C)参照)、本実施例では、回転ブラシを軸方向に対して斜めに分割した構成となっている。図13(A)に示すように、本実施例の回転ブラシ400は、ローラの表面に所定角度傾斜した略リング状の多数のブラシ体430を備えた構成となっている。該回転ブラシ400は、前記ブラシ体430の傾きと略同一勾配を有する分割面410によって、図13(B)に示すように、ローラユニット402及び404と、一組の端部ユニット406及び408に分割可能となっている。前記ローラユニット402,404は、両端近傍まで前記ブラシ体430が設けられている。これらローラユニット402,404及び端部ユニット406,408は、公知の各種の機構によって着脱可能となっている。
【0053】
回転ブラシ400は、通常、中央付近の使用頻度が高く、図13(A)に示すように磨耗部412が形成されてしまう。ところが、本実施例では、前記回転ブラシ400を図13(B)に示すように4つのパーツに分解したのち、ローラユニット402と404の位置を、図13(C)に示すように入れ替えが可能となっている。すなわち、ローラユニット402の端面402Aとローラユニット404の端面404Bを接続するとともに、前記ローラユニット402の端面402Bを端部ユニット408の端面408Aに接続し、更に、ローラユニット404の端面404Aを他方の端部ユニット406の端面406Aに接続することにより、磨耗部412を回転ブラシ400の両端側に移動することができる。
【0054】
また、ローラユニット402,404間のローテーションが可能なため、当たり面の均一性を保つことができる。また、前記ローラユニット端面402A,402B,404A,404Bを、ブラシ体430と略同一勾配を有する斜面に形成するとともに、前記端面近傍までブラシ体430を設けることにより、ローラユニット間の継目に隙間が生じない。例えば、図14(D)に示す比較例の回転ブラシ420のように、軸方向に略直交する分割面426において、ローラユニット422及び424に分割する構成の場合、これらの端面422Bと424A,あるいは、端面422Aと424Bを接続したときに、継目部分に隙間が生じることになる。前記実施例1では、図9(C)に示すように、ブラシ体の傾きを大きくすることにより隙間が生じるのを防止することとしたが、本実施例では、上述した構成とすることにより、ブラシ体の傾きを大きくせずにワークWの表面を均一に処理することができる。
【実施例3】
【0055】
次に、図14を参照しながら本発明の実施例3を説明する。上述した実施例1では、回転ブラシのローラの軸方向に対して所定角度傾斜した略リング状の溝ないし凹部に、多数のブラシ体を前記軸方向に対して傾けて固定することとしたが、本実施例は、前記ブラシ体を前記軸方向に略直交するように取り付けた例である。図14(A)は本実施例の回転ブラシを示す図であり、(A)は側面図,(B)は前記(A)を#D−#D線に沿って切断し矢印方向に見た断面図,(C)及び(D)は変形例を示す平面図である。図14(A)に示すように、本実施例の回転ブラシ500は、ローラ502の軸方向に対して所定角度傾斜した略リング状の溝504が、所定の間隔で軸方向に複数形成されており、該溝504にブラシ体506が固定されている。前記溝504は、図14(B)に示すように、一対の側面504A,504Bが前記ローラ502の軸方向に略直交しており、その底面504Cに、略帯状のサンドペーパーを二つ折りしたものが、紐510などによって前記溝504の底面504Cに固定されている。
【0056】
本実施例では、前記溝504の側面504A,504Bがローラ502の軸方向に略直交しており、前記ブラシ体506も前記軸方向に略直交しているが(別言すれば、ローラ502の表面の略法線方向となるようにブラシ体506が形成されている)、溝504自体がローラ502の軸方向に対して傾くように形成されている。このため、図14(A)に示すように、ブラシ体506で形成されるリング全体としてみると、前記軸方向に対して所定角度傾くようになり、上述した実施例1と同様の効果が得られる。また、ブラシ体506がローラ502に対して略直交している(法線方向を向いている)ため、遠心力の影響を考慮する必要がなくなり、溝504の深さを浅くすることが可能となる。なお、図14(A)及び(B)に示した例は一例であり、図14(C)に示す回転ブラシ520のように、前記溝504に、サンドペーパー508を階段状に適宜手段で固定するようにしてもよいし、図14(D)に示す回転ブラシ530のように、ローラ502に略階段状の溝532を形成し、各段に前記サンドペーパー508を適宜手段で固定するようにしてもよい。
【実施例4】
【0057】
次に、図15を参照しながら本発明の実施例4を説明する。図15は、本実施例の回転ブラシの取付角度に関する説明図である。なお、前記実施例1と同一ないし対応する構成要素には同一の符号を用いることとする(以下の実施例についても同様)。前記実施例1では、回転ブラシ50A,50Bを、図15(B-2)に示すようにワークWの搬送方向に対して略直交するように配置したが、本実施例は、図15(A)に示すように、回転ブラシ50Aが前記搬送方向に対して斜め配置されている。前記図15(B-2)に示す回転ブラシ50Aは、前記実施例1で説明したように、ローラ56の軸方向と略直交するブラシ体602を備えた回転ブラシ600(図15(B-1)参照)よりも、ワークWの側面L3,L4に形成されたバリを取りやすい構成となっている。しかしながら、ローラ56に対してほぼ直交するようにワークWが送られるため、側面L3,L4の縁部には、側面L1,L2と比較し、ブラシ回転数の半分しかサンドペーパー59の先端が当たらない。
【0058】
そこで、図15(A)に示すように、回転ブラシ50Aのローラ56を、図15(B-2)に示す状態から10〜20度程度傾けることにより、前記側面L3,L4に当たる面が増加して縁部のバリ取りが良好に行われる。むろん、上述した実施例1のように、ローラ56に対するブラシ体58の傾斜角度を深くするようにしてもよい。本実施例では、例えば、図15(C)に示すように、ワークWの搬送方向に対して角度がついた回転ブラシ50A,50Bによってバリ取りを行い、更に前記搬送方向に対してローラ56が略直交した他の回転ブラシ50Cによって表面処理を行うようにしているが、これは一例であり、搬送方向に対して角度をつけた回転ブラシを1本のみ使用するようにしてよい。あるいは、図15(D)に示すように、回転ブラシ50Aを矢印F15で示すように、一方の軸受を支点にして回動可能とし、ワークWに応じてローラ56の角度の調節を行うようにしてもよい。このように、回転ブラシのローラをワークWの搬送方向に対して斜めに設けることにより、本発明の回転ブラシによる処理の効果を一層向上させることが可能となる。むろん、上述した実施例2及び3についても同様に、回転ブラシを搬送方向に対して斜めに設置して利用するようにしてよい。
【実施例5】
【0059】
次に、図16を参照しながら本発明の実施例5を説明する。図16は、本発明の実施例5を示す図であり、(A)は回転ブラシのローラを溝と略平行な面で切断した断面図,(B)は前記ローラを示す外観斜視図,(C)は前記ローラ成型用の金型を示す斜視図である。上述した実施例1では、駆動手段であるモータの回転を回転ブラシに伝達するために、ローラの中空部66に内挿体68を挿通し、前記中空部66の溝66Aと内挿体68のキー68Aを係合させて、前記回転ブラシと内挿体を一体に回転させる構成とした。これに対し、図16(A)に示すように、本実施例のローラ610は、前記中空部66に一対の溝66A,66Bを対称に形成し、図示しない内挿体の一対のキーと係合させることとしている。本実施例では、前記ローラ610は、図16(B)に示すように、軸方向に沿って分割可能な一組の分割体610A,610Bの組み合わせによって形成されている。
【0060】
前記分割体610A,610は、ほぼ対称な形状となっており、例えば、図16(C)に示すような一組の金型620,630によって成型される。一方の金型620は、ローラ610の外周面を形成するための凹状曲面部622に、溝56Aを形成するための凸部624が設けられた構成となっており、他方の金型630は、前記中空部66を形成するための凸状曲面部632の略中央部に、前記溝66Aないし66Bを形成するための凸部634が設けられた構成となっている。このように、本実施例によれば、ローラ610の中空部66に、対向する溝66A,66Bを形成することにより回転ムラを防止することができる。また、前記ローラ610を軸方向に沿って略同一形状に分割可能とすることにより、金型を利用して容易に成型できるという効果が得られる。
【実施例6】
【0061】
次に、図17及び図18を参照しながら本発明の実施例6を説明する。図17(A)は本実施例の回転ブラシの平面図,図17(B)はブラシ体を示す斜視図,図17(C)は前記回転ブラシの分解斜視図,図17(D)はブラシ体の取付方法を示す説明図である。図18は、本実施例の変形例を示す図である。上述した実施例1〜5では、ローラの表面に設けた溝に多数のブラシ体を固定することによって、前記ローラの軸方向に対して所定角度傾斜した複数のリングを形成し、凹凸を有する3次元形状の処理対象の表面処理を行うこととしたが、本実施例は、ブラシ体による傾斜したリングを形成することなく、全方向の表面処理を行う構成とした例である。
【0062】
図17(A)に示すように、本実施例の回転ブラシ700は、ローラ702の表面に多数のブラシ体704が設けられた構造となっている。前記ブラシ体704は、図17(B)に示すように細帯状であって、本実施例ではサンドペーパーが用いられている。前記ブラシ体704は、その長さ方向が前記ローラ702の軸方向に対して略直交するとともに、幅方向が前記ローラ702の軸方向に対して非直交となるように、角度を付けて固定されている。
【0063】
本実施例では、前記ローラ702は、上述した実施例5と同様に、軸方向に沿って分割可能な一組の分割体702A,702Bの組み合わせによって形成されている。更に、前記分割体702A,702Bは、断面略弧状のカバー712A,712Bと、これらカバーの凹部に嵌合する本体710A,710Bによって構成されている。前記本体710A,710Bには、図示しない内挿体の一対のキーを係合させる溝66A,66Bが形成されている。また、前記カバー712A,712Bには、前記ブラシ体704の配列に対応した多数の穴714が設けられている。図17(D)に示すように、前記カバー712Aの穴714にブラシ体704の一方の端部704B側を挿通し、前記本体710Aにカバー712Aを被せると、前記端部704Bが本体710Aによって押さえられ、ブラシ体704がローラ702に固定される。他方の分割体702B側についても同様である。
【0064】
本実施例では、ブラシ体704に角度を付けて固定し、回転ブラシ700を回転することによって、処理対象の全方向のバリを除去することができる。一例を挙げると、前記実施例1のように回転ブラシ700を2本用意し、それぞれ回転が逆になるように、回転数1200rpm〜1500rpmで駆動し、搬送コンベア(上部コンベア28)を2m/分〜3m/分程度で駆動することにより、良好にバリを除去できることが確認できた。このように、本実施例によれば、細帯状のブラシ体704の長さ方向がローラ702の軸方向に対して略直交し、前記ブラシ704体の幅方向が前記ローラ702の軸方向に対して非直交となるように、多数のブラシ体704をローラ702の表面に設けることとしたので、遠心力の影響を考慮することなく、全方向のバリを良好に除去することができる。なお、前記ブラシ体704同士の距離や角度に応じて、前記回転ブラシ700を軸方向に揺動させる機構などを併用するようにしてもよい。
【0065】
図18には、本実施例の変形例が示されている。まず、図18(A)〜(C)に示す回転ブラシ720では、ローラ722の表面に設けられた細帯状の多数のブラシ体724は、長さ方向が前記ローラ722の軸方向に略直交し、幅方向が前記ローラ722の軸方向に略平行となっている。前記ローラ722は、図18(C)に示すように、略円筒状のカバー728と、該カバー728の中空部に嵌合可能な本体726によって構成されており、前記カバー728には、前記ブラシ体724を挿通するための多数の穴730が設けられている。図示の例では、2つの穴730に一つのブラシ体724を挿通し、その両端部724A,724Bの長さが揃うように引き出した状態で、前記カバー728に本体726を差し込むようになっており、前記本体726によってブラシ体724の折り曲げ部724Cを押え付けることにより、前記ブラシ体724の固定が可能となっている。このような配列とした場合にも、前記図17に示す例と同一条件において良好にバリ取りできることが確認された。
【0066】
なお、本発明は、上述した実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることができる。例えば、以下のものも含まれる。
(1)前記実施例で示した各部の形状,大きさは一例であり、必要に応じて適宜変更可能である。例えば、前記実施例1で示した搬送面30の丸穴32A及び長穴32Bの形状・寸法も一例であり、いずれか一方の形状のものを多数形成するようにしてもよいし、更に他の形状の穴を組み合わせるようにしてもよい。
(2)前記実施例1では、上部コンベア28と下部コンベア34を設けたが、下部コンベア34は必要に応じて設けるようにすればよい。また、前記落下ガイド42も一例であり、同様の効果を奏するように適宜設計変更してよい。
【0067】
(3)前記実施例1では、一対の回転ブラシ50A及び50Bを略平行に設けることとしたが、これも一例であり、いずれか一方の回転ブラシを用いるようにしてもよいし、回転ブラシを軸方向に複数配置して、幅広のワークWの加工を行うようにしてもよい。また、図9(D)に示すように、サンドペーパー212Aを備えたローラユニット210Aと、サンドペーパー212Bを備えたローラユニット210Bを軸方向に接続して回転ブラシ210を構成し、前記サンドペーパー212A及び212Bとして番手が異なるものを使用する。このようにすると、例えば、前記ローラユニット210AでAl板などのワークWAの表面処理を行い、ローラユニット210BでFe板などのワークWBの表面処理を行うようにするなど、一つの回転ブラシ210で種類の異なる複数のワークを同時に表面処理することが可能となる。更に、前記実施例の装置構成は一例であり、本発明の表面処理用ブラシは、ワークWの搬送方向に対して略直交する方向のみならず、ワークWの搬送面と略直交する方向を軸として回転するブラシや、前記ワークWの搬送面に対して揺動するブラシについても適用可能である。
【0068】
(4)回転ブラシ50A及び50Bの構造も一例であり、前記実施例1では、ローラ56の軸に略直交する面に対して、ブラシ体58を7度及び20度傾斜させることとしたが、必要に応じて傾斜角度は適宜変更してよい。また、サンドペーパー59の利用も一例であり、他の公知の各種のブラシ体を用いてよい。更に、前記サンドペーパー59の粗さの粒度を変えることで、磨き粗さの調整を行うようにしてもよい。また、図8(A)に示したローラ56へのブラシ体58の取付形態や、図12に示した取付形態も一例であり、同様の効果を奏するように、必要に応じて適宜設計変更してよい。
【0069】
(5)上部コンベア28の搬送面30に、ワークWを吸着保持するのも一例であり、上部コンベア28内の減圧は必要に応じて行うようにすればよい。例えば、矢印F7b方向(上部コンベア28の搬送方向と逆方向)に回転する回転ブラシ50Bの下を通過しようとするワークWの寸法が大きく、他方の回転ブラシ50Aで押圧できるような場合には、必ずしも減圧による吸着は行わなくてもよい。
(6)前記実施例1では、回転ブラシ50A及び50Bを逆方向に回転させることとしたが、同方向に回転させることを妨げるものではない。
【0070】
(7)前記実施例1では、説明を容易にするため、図4及び図11で、入口側の回転ブラシ50Aを出口側の回転ブラシ50Bよりも高くなるように図示したが、これも一例であり、回転ブラシ50B側を高くなるように調整してもよい。
(8)前記実施例1の回転駆動機構,昇降機構,テンション調整機構も一例であり、同様の効果を奏するものであれば、他の公知の各種の機構を適用してよい。
(9)前記実施例1では、回転ブラシ50A及び50Bは、表面処理中は一定の高さに保つこととしたが、これも一例であり処理中に昇降するようにしてもよい。
【0071】
(10)前記実施例6で示したブラシ体の配列は一例であり、同様の効果を奏するように適宜変更してよい。例えば、図18(D)に示す回転ブラシ740のように、ローラ742の表面に多数のブラシ体746を設け、該ブラシ体746によって、前記ローラ742の軸方向に略直交する複数のブラシ列744A〜744Cを設けるようにしてよい。また、これらブラシ列744A〜744Cの位置ずれ具合も一例であり、必要に応じて適宜変更してよい。
(11)前記実施例6で示した前記ブラシ体704,724の固定方法も一例であり、同様の効果を奏するように適宜設計変更してよい。ブラシ体の取付形態も適宜変更してよく、例えば、上述した取付形態を組み合わせるようにしてもよい。
【0072】
(12)前記実施例1のバリ取り装置10は、例えば、鋼板及び表面処理鋼板の主としてプレス部品のバリ取りや、アルミニウム及びステンレス等の非鉄金属板の主としてプレス部品のバリ取りや、エポキシ樹脂及びフェノール樹脂などの合成樹脂の成形時のバリ取り及び部品加工時のバリ取り、凹凸が最大100mm程度の大きな寸法変化を持つ部品のバリ取りなど、公知の各種の成形品及び加工品のバリ取りに適用可能である。
【0073】
(13)前記実施例1では、本発明をバリ取り装置に適用することとしたが、これも一例であり、本発明は、薄板の表面研磨の加工仕上げや、木材表面の磨き上げ加工にも適用可能である。このほか、ステンレスのヘアライン加工にも適用可能であり、この場合は、ワークWを上部コンベア28に載せる方向を変えることにより、へアライン方向の調整が可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明によれば、(1)回転可能なローラの軸方向に対して所定角度傾斜した複数のリングが、前記ローラの外周面に所定間隔で形成されるようにブラシ体を多数設けるとともに、該ブラシ体の先端側が所定の長さ露出するように、前記ブラシ体の根元側を鍔部によって把持する,あるいは、(2)回転可能なローラの外周面に設ける細帯状の多数のブラシ体を、該ブラシ体の長さ方向が前記ローラの軸方向に対して略直交し、かつ、前記ブラシ体の幅方向が前記ローラの軸方向に対して略平行ないし非直交となるように設けることとしたので、表面処理用のブラシの用途に適用できる。特に、前記ブラシ体をローラに対して傾けるとともに間欠的に配置することとしたので、凹凸部分を有する処理対象の表面処理に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明の実施例1のバリ取り装置の外観斜視図であり、(A)はワークの搬送方向前方から見た図,(B)は前記搬送方向後方から見た図である。
【図2】前記実施例1のバリ取り装置の内部構成を斜視図である。
【図3】前記図2を矢印F3方向から見た正面図である。
【図4】前記図2を矢印F4方向から見た側面図であり、(A)は外観図,(B)は内部構成を示す図である。
【図5】前記図2を矢印F5方向から見た平面図である。
【図6】本実施例のバリ取り装置の上部コンベアを示す図であり、(A)は搬送面を示す平面図,(B)は内部ハニカム構造を示す平面図,(C)は前記(B)を#A−#A線に沿って切断し矢印方向に見た断面図である。
【図7】前記実施例1の回転ブラシの着脱部を示す図であり、(A)は正面図,(B)は分解斜視図,(C)は前記(B)を#B−#B線に沿って切断し矢印方向に見た断面図である。
【図8】前記実施例1の回転ブラシを示す図であり、(A)は側面図,(B)は前記(A)を#C―#C線に沿って切断した断面図,(C)は前記(B)を#D−#D線に沿って切断し矢印方向に見た断面図,(D)はブラシ体の先端形状を示す図である。
【図9】前記実施例1の回転ブラシを示す図であり、(A)は主要断面図,(B)及び(C)はブラシ体の傾斜角度についての説明図,(D)は他の実施例を示す図である。
【図10】前記実施例1と背景技術の回転ブラシの作用を示す図である。
【図11】前記実施例1の回転ブラシの高さ調節の様子を示す斜視図である。
【図12】前記実施例1の変形例を示す図である。
【図13】本発明の実施例2と比較例の回転ブラシを示す図である。
【図14】本発明の実施例3の回転ブラシを示す図であり、(A)は側面図,(B)は前記(A)を#D−#D線に沿って切断し矢印方向に見た断面図,(C)及び(D)は変形例を示す平面図である。
【図15】本発明の実施例4の回転ブラシの取付角度を示す説明図である。
【図16】本発明の実施例5を示す図であり、(A)は回転ブラシのローラを示す断面図,(B)は前記ローラを示す外観斜視図,(C)はローラ成型用の金型を示す斜視図である。
【図17】本発明の実施例6を示す図であり、(A)は回転ブラシの平面図,(B)はブラシ体を示す斜視図,(C)は前記回転ブラシの分解斜視図,(D)はブラシ体の取付方法を示す説明図である。
【図18】前記実施例6の変形例を示す図である。
【符号の説明】
【0076】
10:バリ取り装置
12:本体フレーム
14A〜14D:サイドフレーム
16A〜16D:上部フレーム
18A〜18D:下部フレーム
20A:正面側上部カバー
20B:正面側下部カバー
22A:背面側上部カバー
22B:背面側下部カバー
24A,24B:側面カバー
25:窓
25A:透明カバー
26:上部カバー
28:上部コンベア
28A,34A:モータ
29,35:ガイドフレーム
30:搬送面
32A:丸穴
32B:長穴
34:下部コンベア
36A〜36C,38,39,40A,40B,41:補助フレーム
42:落下ガイド
44A,44B:アーム
46:斜面
48:ストッパ
50A,50B,50C:回転ブラシ
52,54:昇降フレーム
52A,52B,54A,54B:取付面
52C,54C:固定板
56:ローラ
56A:凹部
56B:凸部
56C:溝
57A,57B:側面
58:ブラシ体
59,59A〜59D:サンドペーパー
60:紐
62:軸受
64:軸
65:鍔
66:中空部
66A,66B:溝
68:内挿体
68A:キー
70A,70B:キー溝
72:軸受
74:回転軸
74A,76A:ネジ部
76:外筒
77:鍔
78A,78B:キー
80:締付棒
82:固定板
84A,84B:モータ
86A,86B,88A,88B:プーリ
90A,90B:ベルト
92,93:固定板
94A,94B:伸縮カバー
96A,96B:カバー
98A,98B:開口部
100A,100B,102A,102B:支柱
104A,104B,105A,105B:受部
106:テンション調整機構
108:固定板
110A〜110D,116A〜116D:ローラ
112A〜112D:ホルダ
114A〜114D:アーム
120:支持板
122,124:シリンダ
126,136:受部
126A,136A:筒部
128,138:軸
128A,138A,134A,144A:プーリ
130,140:ベルト
132,142:モータ
134,144:出力軸
146:吸引口
146A:支持部
148:キャスタ
150A,150B:減圧室
152A,152B:吸引口
154A,154B:ハニカム構造体
156,158:ホース
160:減圧装置
200A〜200C,202A〜202C,210A,210B:ローラユニット
202:接続面
210,220,230,250,270A,270B:回転ブラシ
212A,212B:サンドペーパー
222,232,252,272:ローラ
224,234,274:溝
226,238,258,276,278,282:サンドペーパー
228,240,256,280:紐
236:連続把持部
254:凹部
256:溝
300:立ち上がり部
302:バリ
304:先端
310:回転ブラシ
312:ローラ
314:サンドペーパー
314A:先端
400:回転ブラシ
402,404:ローラユニット
402A,402B,404A,404B:端面
406,408:端部ユニット
406A,408A:端面
410:分割面
412:磨耗部
420:回転ブラシ
422,424:ローラユニット
426:分割面
430:ブラシ体
500:回転ブラシ
502,520,530:ローラ
504,532:溝
504A,504B:側面
504C:底面
506:ブラシ体
508:サンドペーパー
510:紐
600:回転ブラシ
602:ブラシ体
610:ローラ
610A,610B:分割体
620,630:金型
622:凹状曲面部
624:溝用凸部
632:凸状曲面部
634:溝用凸部
700,720,740:回転ブラシ
702,722,742:ローラ
702A,702B:分割体
704,724,746:ブラシ体
704A,704B,724A,724B:端部
724C:折り曲げ部
710A,710B,726:本体
712A,712B,728:カバー
714,730:穴
744A〜744C:ブラシ列
W,WA,WB:ワーク
【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理対象の表面に接触して所望の表面処理を施すブラシであって、
回転可能なローラ,
該ローラの軸方向に対して所定角度傾斜した複数のリングが、前記ローラの外周面に所定間隔で形成されるように設けられた多数のブラシ体,
該ブラシ体の先端が所定の長さ露出するように、前記ブラシ体の根元側を把持する鍔部,
を備えたことを特徴とする表面処理用ブラシ。
【請求項2】
前記ローラの外周面に、該ローラの軸方向に対して一対の側面が所定角度傾斜した略リング状の溝を多数形成するとともに、
前記溝の側面を前記鍔部として利用することにより、該溝に埋め込まれた多数のブラシ体を把持することを特徴とする請求項1記載の表面処理用ブラシ。
【請求項3】
前記ローラの外周面に、該ローラの軸方向に対して一対の側面が略直交した略リング状の溝を多数形成するとともに、
前記溝の側面を前記鍔部として利用することにより、該溝に埋め込まれた多数のブラシ体を把持することを特徴とする請求項1記載の表面処理用ブラシ。
【請求項4】
前記溝を前記ローラの軸方向に複数連続形成した溝バンドを、前記ローラの外周面に所定間隔で複数設けたことを特徴とする請求項2又は3記載の表面処理用ブラシ。
【請求項5】
前記ローラの外周面に、該ローラの軸方向に対して一対の側面が所定角度傾斜し、かつ、該ローラの外周面に対して所定の深さの段差を有する略リング状の凹部が多数形成されており、
該凹部の底面に、前記多数のブラシ体を埋め込む溝を形成するとともに、
前記凹部の側面を前記鍔部として利用することにより、前記溝に埋め込まれた多数のブラシ体を把持することを特徴とする請求項1記載の表面処理用ブラシ。
【請求項6】
前記ローラの外周面に、該ローラの軸方向に対して一対の側面が略直交し、かつ、該ローラの外周面に対して所定の深さの段差を有する略リング状の凹部が多数形成されており、
該凹部の底面に、前記多数のブラシ体を埋め込む溝を形成するとともに、
前記凹部の側面を前記鍔部として利用することにより、前記溝に埋め込まれた多数のブラシ体を把持することを特徴とする請求項1記載の表面処理用ブラシ。
【請求項7】
前記溝を、前記凹部の底面に、前記ローラの軸方向に複数形成したことを特徴とする請求項5又は6記載の表面処理用ブラシ。
【請求項8】
両端面が、前記ブラシ体によって形成されるリングと略同一勾配の斜面に形成されるとともに、前記両端面の近傍まで前記ブラシ体が設けられた複数のローラユニット,
一方の端面が前記ローラユニットの端面と略同一勾配の斜面に形成されており、前記ブラシ体が表面に形成されていない一組の端部ユニット,
に分割可能であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の表面処理用ブラシ。
【請求項9】
前記複数のローラユニットが、位置交換可能であることを特徴とする請求項8記載の表面処理用ブラシ。
【請求項10】
前記ブラシ体が、細帯状のサンドペーパーを利用したものであることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の表面処理用ブラシ。
【請求項11】
前記サンドペーパーを、一つの溝に複数枚重ねて固定することを特徴とする請求項10記載の表面処理用ブラシ。
【請求項12】
複数枚重ねたサンドペーパーのうち、外側のサンドペーパーを内側のサンドペーパーよりも短くしたことを特徴とする請求項11記載の表面処理用ブラシ。
【請求項13】
処理対象の表面に接触して所望の表面処理を施すブラシであって、
回転可能なローラ,
該ローラの外周面に設けられた細帯状の多数のブラシ体,
を備えるとともに、
前記ブラシ体の長さ方向が前記ローラの軸方向に対して略直交し、かつ、前記ブラシ体の幅方向が前記ローラの軸方向に対して略平行ないし非直交となるように、前記ブラシ体を設けたことを特徴とする表面処理用ブラシ。
【請求項14】
前記ローラが、
前記ブラシ体が挿通可能な多数の穴を有する中空のカバー,
該カバーの中空部に嵌合し、前記穴に挿通された部分のブラシ体を押圧可能な本体,
によって形成されることを特徴とする請求項13記載の表面処理用ブラシ。
【請求項15】
前記ブラシ体が、サンドペーパーを利用したものであることを特徴とする請求項13又は14記載の表面処理用ブラシ。
【請求項16】
前記サンドペーパーの端部を、両角を落とした形状としたことを特徴とする請求項10〜12,15のいずれかに記載の表面処理用ブラシ。
【請求項17】
前記ブラシ体が、前記ローラに対して着脱可能であることを特徴とする請求項1〜16のいずれかに記載の表面処理用ブラシ。
【請求項18】
前記ローラが、軸方向に沿って略対称に分割可能な一組の分割体の組み合わせによって形成されていることを特徴とする請求項1〜17のいずれかに記載の表面処理用ブラシ。
【請求項1】
処理対象の表面に接触して所望の表面処理を施すブラシであって、
回転可能なローラ,
該ローラの軸方向に対して所定角度傾斜した複数のリングが、前記ローラの外周面に所定間隔で形成されるように設けられた多数のブラシ体,
該ブラシ体の先端が所定の長さ露出するように、前記ブラシ体の根元側を把持する鍔部,
を備えたことを特徴とする表面処理用ブラシ。
【請求項2】
前記ローラの外周面に、該ローラの軸方向に対して一対の側面が所定角度傾斜した略リング状の溝を多数形成するとともに、
前記溝の側面を前記鍔部として利用することにより、該溝に埋め込まれた多数のブラシ体を把持することを特徴とする請求項1記載の表面処理用ブラシ。
【請求項3】
前記ローラの外周面に、該ローラの軸方向に対して一対の側面が略直交した略リング状の溝を多数形成するとともに、
前記溝の側面を前記鍔部として利用することにより、該溝に埋め込まれた多数のブラシ体を把持することを特徴とする請求項1記載の表面処理用ブラシ。
【請求項4】
前記溝を前記ローラの軸方向に複数連続形成した溝バンドを、前記ローラの外周面に所定間隔で複数設けたことを特徴とする請求項2又は3記載の表面処理用ブラシ。
【請求項5】
前記ローラの外周面に、該ローラの軸方向に対して一対の側面が所定角度傾斜し、かつ、該ローラの外周面に対して所定の深さの段差を有する略リング状の凹部が多数形成されており、
該凹部の底面に、前記多数のブラシ体を埋め込む溝を形成するとともに、
前記凹部の側面を前記鍔部として利用することにより、前記溝に埋め込まれた多数のブラシ体を把持することを特徴とする請求項1記載の表面処理用ブラシ。
【請求項6】
前記ローラの外周面に、該ローラの軸方向に対して一対の側面が略直交し、かつ、該ローラの外周面に対して所定の深さの段差を有する略リング状の凹部が多数形成されており、
該凹部の底面に、前記多数のブラシ体を埋め込む溝を形成するとともに、
前記凹部の側面を前記鍔部として利用することにより、前記溝に埋め込まれた多数のブラシ体を把持することを特徴とする請求項1記載の表面処理用ブラシ。
【請求項7】
前記溝を、前記凹部の底面に、前記ローラの軸方向に複数形成したことを特徴とする請求項5又は6記載の表面処理用ブラシ。
【請求項8】
両端面が、前記ブラシ体によって形成されるリングと略同一勾配の斜面に形成されるとともに、前記両端面の近傍まで前記ブラシ体が設けられた複数のローラユニット,
一方の端面が前記ローラユニットの端面と略同一勾配の斜面に形成されており、前記ブラシ体が表面に形成されていない一組の端部ユニット,
に分割可能であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の表面処理用ブラシ。
【請求項9】
前記複数のローラユニットが、位置交換可能であることを特徴とする請求項8記載の表面処理用ブラシ。
【請求項10】
前記ブラシ体が、細帯状のサンドペーパーを利用したものであることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の表面処理用ブラシ。
【請求項11】
前記サンドペーパーを、一つの溝に複数枚重ねて固定することを特徴とする請求項10記載の表面処理用ブラシ。
【請求項12】
複数枚重ねたサンドペーパーのうち、外側のサンドペーパーを内側のサンドペーパーよりも短くしたことを特徴とする請求項11記載の表面処理用ブラシ。
【請求項13】
処理対象の表面に接触して所望の表面処理を施すブラシであって、
回転可能なローラ,
該ローラの外周面に設けられた細帯状の多数のブラシ体,
を備えるとともに、
前記ブラシ体の長さ方向が前記ローラの軸方向に対して略直交し、かつ、前記ブラシ体の幅方向が前記ローラの軸方向に対して略平行ないし非直交となるように、前記ブラシ体を設けたことを特徴とする表面処理用ブラシ。
【請求項14】
前記ローラが、
前記ブラシ体が挿通可能な多数の穴を有する中空のカバー,
該カバーの中空部に嵌合し、前記穴に挿通された部分のブラシ体を押圧可能な本体,
によって形成されることを特徴とする請求項13記載の表面処理用ブラシ。
【請求項15】
前記ブラシ体が、サンドペーパーを利用したものであることを特徴とする請求項13又は14記載の表面処理用ブラシ。
【請求項16】
前記サンドペーパーの端部を、両角を落とした形状としたことを特徴とする請求項10〜12,15のいずれかに記載の表面処理用ブラシ。
【請求項17】
前記ブラシ体が、前記ローラに対して着脱可能であることを特徴とする請求項1〜16のいずれかに記載の表面処理用ブラシ。
【請求項18】
前記ローラが、軸方向に沿って略対称に分割可能な一組の分割体の組み合わせによって形成されていることを特徴とする請求項1〜17のいずれかに記載の表面処理用ブラシ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2008−207316(P2008−207316A)
【公開日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−284609(P2007−284609)
【出願日】平成19年10月31日(2007.10.31)
【出願人】(593199080)三光産業株式会社 (7)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年10月31日(2007.10.31)
【出願人】(593199080)三光産業株式会社 (7)
【Fターム(参考)】
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