説明

表面処理組成物

本発明は、紙、厚紙または他の繊維ウェブのための表面処理組成物に関する。本発明の組成物は、活性物質および支持材を含む粒子、を含む。この活性物質は、多価金属、例えば、二価または三価の金属の塩を含む。本発明によれば、支持材は、熱および/または圧力および/またはpH変化を受ける場合、粒子から活性物質を放出するように適応している。その結果として、組成物のレオロジーに対する活性物質の有害作用は、回避される一方、表面特性に対するその所望の効果は、保持または増強される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙、厚紙または他の繊維ウェブのコーティングまたはサイジングを目的とする表面処理組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
紙、厚紙および他の繊維をベースとしたウェブは、印刷適性、例えば、紙の表面多孔性、吸収性、濡れ性、または表面エネルギー(インク付着性)に影響を与える紙の特性を改善するために、しばしば、表面がサイジング、顔料着色または無機コーティングされる。今日では、未コート紙の印刷適性は、しばしば、添加剤を表面のサイズまたは顔料着色処方に添加することによって最適化される。コート紙の印刷適性は、顔料特性、用いられるバインダーの量および種類を最適化することによって、または添加剤をコーティング組成物に添加することによって、しばしば最適化される。添加剤の添加に関する一つの問題は、添加剤が、コーティング、顔料着色またはサイジング組成物中の他の成分と必ずしも適合するとは限らないことである。
【0003】
新しい印刷技術、例えば、インクジェット印刷では、インクが、基材上で迅速に乾燥し、高い印字品質を与えなければならないので、印刷紙に高い要求がなされている。望ましい品質としては、高い光学印刷濃度、最小化されたフェザリングおよびブリーディングならびに低い裏抜けが挙げられる。近年、多価塩、例えば、塩化カルシウムなどが表面サイズに添加される場合、適用されたインクは、紙の表面上に速く沈着して、印字品質にかなりの改善をもたらすことが見出されている。これは、インクジェット印刷において特に有利である。米国特許第6207258号には、インクジェット印刷用のシート基材を表面処理するために有用な組成物が開示されており、その組成物は、二価の金属の塩を含む。
【0004】
多価カチオン、例えば、カルシウムは、潤滑剤、例えば、ステアリン酸カルシウムの形態でサイジングまたはコーティング組成物に添加されることがある。しかし、例えば、ステアリン酸カルシウム中のカルシウムの濃度は、印字品質に望ましい効果をもたらすには十分高くない。したがって、印字品質を改善するために、カルシウム量は、このような製品において従来使用されている量を超える必要がある。
【0005】
多価塩の、コーティングおよび/またはサイジング組成物への添加に関する一つの問題は、所望の効果を得るために必要とされる高濃度の塩が、レオロジー問題および望ましくない沈殿をしばしば引き起こすことである。これは、0.5〜5部の塩のような高い量を、アニオン性に荷電したサイジング、顔料着色またはコーティング組成物に添加する場合に、特に問題である。多価カチオンは、製紙で用いられる典型的なアニオン荷電ポリマーもしくは無機、または添加剤と強く相互作用する。アニオン荷電粒子の安定性は、例えば、立体的または静電立体的安定性を与えることによって改善することができる。しかし、高い量の電解質は、コロイド状フロック形成および沈殿を生じさせる。
【0006】
印刷適性はさらに、例えば、酸のコーティングまたはサイジング組成物への添加により、サイジング層またはコーティング層の組成物のpHを低下させることによって改善してもよい。しかし、サイジング剤またはコーティング剤のすべてが、低いpHと適合するわけではない。炭酸カルシウム顔料は、例えば、炭酸カルシウムが溶解し、酸性環境で炭酸カルシウムから二酸化炭素が放出される場合に泡を生成するので、低いpHで用いることができない。pHの低下は、レオロジー特性および抄紙機の操業性に悪い影響も有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、多価金属の塩などの添加剤を、サイジングおよび/またはコーティング組成物に、該組成物のレオロジープロファイルに支障を来たすことなく、添加する問題の解決策を見出すことである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的、および他の利点は、本発明の表面処理組成物および方法によって達成される。
【0009】
本発明は、紙、厚紙または他の繊維ウェブのための表面処理組成物に関する。本発明の組成物は、活性物質および支持材を含む、粒子を含む。活性物質は、多価金属、例えば、二価または三価の金属の塩を含む。本発明によれば、支持材は、熱および/または圧力および/またはpH変化を受けた場合、粒子から活性物質を放出するように適応している。このように、少なくとも、組成物が繊維ウェブの表面に適用され、製紙工程の後段階で活性化または刺激されるまで、活性物質は、粒子中に「捕捉」される。その結果として、組成物のレオロジーに対する活性物質の有害作用は回避される一方、表面特性に対するその所望の効果は、保持または増強される。本発明は、より高い濃度の多価金属を、サイジングまたはコーティング組成物に対して、コロイド安定性、すなわち組成物のレオロジーに悪影響を及ぼすことなく、投与することを可能にする。このように、サイズ紙もしくはコート紙または厚紙の印刷適性が改善される。さらに、本発明による粒子の使用により、組成物中の多価塩の遊離アニオン、例えば、塩化物イオンの濃度も減少し、それにより、腐食のリスクが低下する。本発明の一つの好ましい実施形態において、多価金属塩は、塩化カルシウムである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書で使用される場合、「表面処理組成物」という用語は、コーティングまたは表面サイジング組成物などに関する。
【0011】
活性物質は、少なくとも1種の酸、例えば、クエン酸、過酢酸、塩酸またはリン酸を代替的または追加的に含む。このように、低いpHを通常は受け入れない炭酸カルシウムなどの成分を用いることができる一方、印刷品質に対する低いpHの利点についても得ることができる。一つの実施形態において、活性物質は、一価または多価の塩および酸を含む。このように、pHの低下および塩が印刷品質に対して二重の効果を有するので、印字品質は、さらに改善される。
【0012】
粒子の支持材は、ワックス(ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、カルナウバワックス、マイクロワックスなど)、トリグリセリド、PEG、金属石鹸、およびコポリマー(例えば、スチレン/アクリレートまたはスチレン/ブタジエンの)、ならびにこれらの任意の組合せからなる群から選択される。
【0013】
好ましくは、粒子の支持材は、不活性で、耐水性であるか、または所定の溶解速度を有する。
【0014】
支持材は、熱に対して敏感であってもよく、60〜180℃、好ましくは70〜110℃の融点またはガラス転移点を有する。これらの間隔内の融点またはガラス転移点を有する場合、支持材は、ウェブを本発明の組成物で表面処理することにより形成される繊維ウェブの乾燥またはカレンダー加工中に溶融することができ、それにより、活性物質は、乾燥またはカレンダー加工セクションにおいて粒子から放出され、ウェブの表面に被覆させることができる。
【0015】
支持材は、代替的にまたは追加的に、pH変化に敏感である。支持材は、例えば、低いpH、例えば、7未満、好ましくは5から7のpHにさらされると溶解する。pHに敏感である支持材は、例えば、メチル−アクリレート−メタクリル酸コポリマー、セルロースアセテートスクシネート、ヒドロキシルプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシルプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート、ヒプロメロースアセテートスクシネート、ポリビニルアセテートフタレート(PVAP)、メチルメタクリレート−メタクリル酸コポリマー、アルギン酸ナトリウムもしくはステアリン酸または上記の混合物の群から選択できる。ステアリン酸は、低いpHおよび高い温度の両方に敏感な支持材の一例である。
【0016】
粒子は、活性物質を含むコアを有していてもよく、そのコアは、支持材を含むシェルに封入されている。コア−シェル構造を作製することによって、より明確な粒子形態および懸濁液中のより良い安定性を得ることができる。シェルは、支持材、例えば、スチレン/アクリレートのコポリマーからできていてもよく、これは、熱および/または圧力および/またはpHの変化を受ける場合、溶融し、溶解しまたは破壊され、これにより、コア内の物質は、粒子から放出される。コアは、活性物質を結合形態または分離形態で含み得る。活性物質は、例えば、粒子状の結晶塩であってもよい。あるいは、コアは、活性物質および結合剤の複合物であってもよい。結合剤は、ワックス(ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスなど)、トリグリセリドおよび金属石鹸からなる群から選択される。結合剤は、60〜180℃、好ましくは70〜110℃の融点を有する。結合剤の融点は、支持材の融点と同様または同じであってもよい。コアは、界面活性剤および/またはキレート剤をさらに含み得る。
【0017】
支持材は、酸、例えば、クエン酸、過酢酸、塩酸またはリン酸の分散微粉化粒子をさらに含み得る。一つの実施形態において、粒子は、コア/シェル構造からなり、コアは、活性物質として一価または多価の塩を含み、シェルは、酸の分散微粉化粒子を含む。このように、酸および塩の両方が、通常は低いpHおよび/または金属塩と適合しないコーティング/サイジング組成物に添加され得る。組成物が、繊維ウェブ上に適用された後で、支持材が溶融し、溶解しまたは破壊される場合、酸が、放出されて、pH低下を引き起こし、それにより、印刷適性は改善される。同時に、塩が放出され、それにより、印刷適性はさらに改善される。
【0018】
本発明の一つの実施形態において、粒子は、支持材および活性物質の複合物である。このような複合粒子は、例えば、活性物質として多価金属塩および支持材としてステアリン酸カルシウムから形成することができる。
【0019】
粒子は、活性物質、例えば、多価金属塩を、少なくとも、30重量%、好ましくは40〜70重量%、最も好ましくは70〜80重量%の量含む。このように、本組成物は、高濃度の活性物質を含む。したがって、粒子は、例えば、コロイド不安定化を引き起こすことなく、コーティング組成物に添加することができる。
【0020】
支持材は、組成物が繊維ウェブの表面に適用された後、抄紙機上の後工程で粒子から活性物質を放出するように適応することができる。支持材は、例えば、ウェブのその後の乾燥またはカレンダー加工において活性物質を放出するように適応することができる。あるいは、支持材は、本発明によって形成された紙または厚紙の印刷における印刷機で活性物質を放出するように適応してもよい。
【0021】
粒子は、少なくとも1種の安定剤、例えば、界面活性剤または親水コロイドをさらに含み得る。安定剤は、それが組成物中の他のコーティングまたはサイジング成分の電荷と適合するように選択されるべきである。例えば、組成物が、アニオン性成分を含む場合、安定剤は、好ましくは中性、両性またはアニオン性であるべきである。
【0022】
本発明は、多価金属の塩を、アニオン性に荷電している表面処理組成物に添加する場合に特に有利であり、このような組成物が、低濃度でさえも、多価イオンに特に敏感であるからである。
【0023】
本発明の表面処理組成物は、コーティングまたはサイジング組成物に一般に用いられる他の成分をさらに含み得る。該組成物は、例えば、デンプン、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリビニルアルコール(PVA)、一般に用いられるサイジング剤(アルキルケテンダイマー(AKD)またはアクリルコポリマーなど)をさらに含み得る。該組成物は、酸コポリマー、例えば、メチルアクリレートをさらに含み得る。
【0024】
粒子の平均球径は、100〜0.01μm、好ましくは50〜0.1μm、さらにより好ましくは10〜0.5μm、または1〜5μm、もしくは0.5〜1.5μmである。これらの間隔内の球径を有する粒子は、顔料粒子とほぼ同じサイズを有し、したがって、例えば、フィルムプレスまたはブレードコーティングにおいて、レオロジー問題またはコーティング欠点をなにも生じさせない。
【0025】
本発明はさらに、表面処理されたおよび印刷された紙または厚紙、例えば、インクジェットまたはフレキソ印刷された紙もしくは厚紙、または他の繊維ウェブの製造方法に関する。前記方法は、パルプから繊維ウェブを形成する工程、および該繊維ウェブを本発明の表面処理組成物の少なくとも1層でコーティングまたは表面サイジングする工程を含む。本発明による繊維ウェブの表面サイジングは、乾燥セクション、例えば、サイズプレスにおいて、または抄紙機のウェットエンドにおいて適用される。該方法は、活性物質が、繊維ウェブの表面上の粒子から放出されるように、繊維ウェブを処理する後工程をさらに含む。これは、抄紙機の後工程で、例えば、表面処理ウェブの乾燥もしくはカレンダー加工で、またはpHを変化させることによって、例えば、熱をかけることにより組成物中に含まれる酸を活性化させることによって達成される。該方法は、得られたコーティングまたは表面サイジングされた紙または厚紙をインクジェットおよび/またはフレキソ印刷技術を用いて印刷する工程をさらに含む。
【0026】
本発明はさらに、上記の表面処理組成物を含む紙または厚紙製品、および好ましくはインクジェットおよび/またはフレキソ印刷技術によって印刷されている、これらの製品を含む印刷された紙または厚紙に関する。これらの紙または厚紙製品を含む印刷された紙または厚紙は、好ましくは、水系顔料インクを用いてインクジェット技術によって印刷される。しかし、本発明は、単にインクジェットに限定されず、さらに、水系染料または顔料インクが用いられる場合、例えば、フレキソ印刷における印字品質を改善するために用いられる。本発明はさらに、印刷方法の一つが顔料水系インクジェットインクに基づく、ハイブリッド印刷製品に適用できる。さらに、本発明は、ハイブリッドインクを用いた印刷にも適用でき、これは、ここで、染料および顔料粒子の両方を含有するインクに関する。
【0027】
本発明の表面処理組成物は、高濃度の活性物質を含む粒子を含み、その活性物質は、組成物がウェブの表面上に適用された後で、制御された仕方で粒子から放出される。組成物中のこのような粒子の使用により、本発明の組成物と同じ程度に高濃度の活性物質を含む従来技術の組成物と関連があるレオロジーおよび粘度の問題が低減する。その結果として、より高い濃度の活性物質が、レオロジーまたは粘度の問題を引き起こすことなく使用される。
【0028】
本明細書で使用される場合の「粒子から・・・を放出する」という表現は、活性物質が、粒子内に保持されているかあるいは活性物質が粒子の一部である状態から、活性物質が、粒子形態の一部ではないが、ウェブの表面と接触している状態に変えられることを意味する。したがって、活性物質は、別個の物質として粒子から放出され得るか、またはそれは、結合形態、例えば、支持材または結合剤に結合するかあるいは付着した粒子から放出される。
【0029】
本発明は、紙または厚紙のインクジェット印刷適性を向上させるために、多価イオンの塩をサイジング組成物に、特にアニオン性に荷電したサイジング組成物に投与する場合、特に有利である。前記塩は、例えば、塩化カルシウム、塩化アルミニウム、塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、臭化カルシウム、塩化バリウム、硝酸カルシウム、硝酸マグネシウム、硝酸バリウム、酢酸カルシウム、酢酸マグネシウムまたは酢酸バリウムであり得る。前記アニオン性サイジング組成物は、例えば、アニオン性ロジン石鹸サイジング剤、アニオン性ポリマー性スチレン無水マレイン酸サイジング剤またはポリ塩化アルミニウムを含み得る。
【0030】
本発明の粒子は、シェル/コア構造からなることができ、活性物質は、支持材のシェル内のコアとして封入されている。このような粒子は、例えば、乳化重合法を用いて製造される。
【0031】
あるいは、粒子は、活性物質および支持材の混合物を含む、複合構成からなっていてもよい。例えば、シェル/コア構造を形成する代わりに、粒子は、ステアリン酸カルシウムおよび塩化カルシウムの複合物でもよい。このような粒子は、カルシウムを50重量%以上の量まで含み得る。ステアリン酸カルシウム/塩化カルシウム粒子は、バッチ法でステアリン酸カルシウムと塩化カルシウムを混合することによって形成される。形成された粒子は、その後、例えば、デンプンおよび界面活性剤を用いて安定化される。
【0032】
粒子は、例えば、ステアリン酸カルシウムおよび塩化カルシウムを乾燥ブレンドすることによっても形成することができ、その後、その混合物は粉砕されて、最終的に分別される。次いで、粒子は、前記安定系を用いることにより溶液中で安定化される。
【0033】
複合物質は、スピニング法、例えば、ウェットスピニング、エレクトロスピニングまたはエレクトロスプレイ法を用いて作製することもできる。このような方法では、水溶性ワックスが、例えば、塩化カルシウムとブレンドされ、次いで、回転される。溶液の温度は、添加された成分との溶解性およびブレンド性を確保するために、好ましくは、支持材または結合剤、例えば、ワックスの融点を超えているべきである。この物質は、基材上に直接にもしくは別のコレクタ板に間接に、あるいは溶液中に(粒子を)回転または噴霧することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多価金属の塩を含む活性物質、および支持材を含む、粒子を含み、前記支持材が、熱および/もしくはpH変化を受ける場合または熱および圧力を受ける場合に、前記粒子から前記活性物質を放出するように適応している、紙、厚紙または他の繊維ウェブのための表面処理組成物。
【請求項2】
前記活性物質が、カルシウム塩、例えば、塩化カルシウムを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記活性物質が、酸を含む、請求項1から2のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項4】
前記支持材が、ワックス(ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスなど)、トリグリセリド、金属石鹸、およびコポリマー(例えば、スチレン/アクリレートまたはスチレン/ブタジエン)、ならびにこれらのいずれかの組合せからなる群から選択される、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記支持材が、熱に敏感であり、60〜180℃、好ましくは70〜110℃の融点またはガラス転移点を有する、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記粒子が、前記活性物質を含むコアを有し、そのコアが、前記支持材を含むシェル中に封入されている、請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記コアが、前記活性物質および結合剤を含み、前記シェルが、前記支持材からできている、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
前記結合剤が、ワックス(ポリエチレンワックスなど)、トリグリセリド、金属石鹸、またはコポリマー(例えば、スチレン/アクリレートまたはスチレン/ブタジエン)からなる群から選択される、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
前記粒子が、前記活性物質を、少なくとも50重量%、好ましくは75重量%まで、最も好ましくは80重量%までの量で含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
前記支持材が、前記組成物で表面処理されている紙、厚紙または繊維ウェブのカレンダー加工の間に、前記活性物質を放出するように適応している、請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
前記支持材が、前記組成物で処理されている紙、厚紙または繊維ウェブの乾燥の間に、前記活性物質を放出するように適応している、請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
前記粒子が、少なくとも1種の安定剤、例えば、親水コロイドおよび/または界面活性剤をさらに含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
前記組成物が、アニオン性、両イオン性、または非イオン性に荷電している、請求項1から12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
前記組成物が、少なくとも1種のサイジンング剤またはコーティング剤をさらに含む、請求項1から13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
前記粒子の球径が、100〜0.01μm、好ましくは50〜0.1μm、最も好ましくは10〜0.5μmである、請求項1から14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
以下の工程:
a)パルプから繊維ウェブを形成する工程、
b)前記繊維ウェブを少なくとも一層でコーティングまたは表面サイジングする工程であって、前記繊維ウェブが、表面処理組成物でコーティングまたは表面サイジングされ、その組成物が、多価金属の塩を含む活性物質、および支持材、を含む粒子を含む、工程、
c)熱および/または圧力および/またはpH変化の適用によって、前記繊維ウェブの表面上の前記粒子から前記活性物質を放出する工程、ならびに
d)得られたコーティングまたは表面サイジングされた紙、厚紙または繊維ウェブを、インクジェットおよび/またはフレキソ印刷技術を用いて印刷する工程
を含む、表面処理され、印刷された紙、厚紙または他の繊維ウェブを製造する方法。
【請求項17】
前記粒子から前記活性物質を放出する前記工程c)が、繊維ウェブの乾燥中に実行される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記粒子から前記活性物質を放出する前記工程c)が、繊維ウェブのカレンダー加工中に実行される、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
請求項1から15に記載の表面処理組成物を含む、紙または厚紙製品。
【請求項20】
多価金属の塩を含む活性物質、および支持材、を含む粒子を含む組成物で表面処理されている紙または厚紙製品を含む、インクジェットまたはフレキソ印刷された紙または厚紙であって、前記支持材は、熱および/または圧力および/またはpH変化を受ける場合、前記粒子から前記活性物質を放出するように適応している、インクジェットまたはフレキソ印刷された紙または厚紙。

【公表番号】特表2013−519802(P2013−519802A)
【公表日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−552513(P2012−552513)
【出願日】平成23年2月11日(2011.2.11)
【国際出願番号】PCT/IB2011/050578
【国際公開番号】WO2011/098973
【国際公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【出願人】(508189175)
【氏名又は名称原語表記】STORA ENSO OYJ
【Fターム(参考)】