説明

表面実装用のデバイス

【課題】低ESLの表面実装型のコンデンサーデバイスを提供する。
【解決手段】基板10と、基板の搭載側の面に搭載されたコンデンサー素子とを有し、外装用の樹脂により基板10およびコンデンサー素子を含めて一体に成形された表面実装用のデバイス1を提供する。このデバイス1は、コンデンサー素子の陽極に電気的に接続された陽極端子51と、コンデンサー素子の陰極に電気的に接続された陰極端子52とを有し、陽極端子51および陰極端子52がデバイス1の実装面2の全周13にわたり近接配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種電子機器に採用されるコンデンサー素子を内蔵した実装用のデバイスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、チップ形固体電解コンデンサに関し、ESL特性を改善し、更なる低ESL化が可能なチップ形固体電解コンデンサを提供することを目的とする技術が開示されている。特許文献1のチップ形固体電解コンデンサは、コンデンサ素子と、このコンデンサ素子の陽極部が接合される陽極接合部を平面部の一端に設けると共に実装用の陽極端子部を下面に設けた陽極リードフレームと、上記コンデンサ素子の陰極部を搭載して接合すると共に上記陽極リードフレームの平面部上に絶縁層を介して載置される平面部、ならびに実装用の陰極端子部を下面に設けた陰極リードフレームからなる構成である。このチップ形固体電解コンデンサは、陰極リードフレームに流れる電流の向きと陽極リードフレームに流れる電流の向きが逆方向になって打ち消し合うようになり、ESLを大幅に低減することができる。
【0003】
特許文献2には、小型で大容量のチップコンデンサを提供する技術が開示されている。特許文献2には、一端に陽極リードを導出し、外周面に陰極を形成したコンデンサ素子に対して樹脂封止を行う固体電極コンデンサの製法において、コンデンサ完成品に対するコンデンサ素子の体積比率を向上させるために、内外両面に夫々プラス電極とマイナス電極を有し、同極どうしをスルーホールで導通した回路基板の内面にコンデンサ素子を接着して該面のマイナス電極とコンデンサ素子の陰極を電気的に接続するとともにコンデンサ素子の陽極リードをプラス電極に接合した後、回路基板の外面を露出させてコンデンサ素子に対して樹脂封止を行うことが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−80423号公報
【特許文献2】特開2001−102252号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電子機器の高周波化に伴って電子部品の一つであるコンデンサーにも高周波領域でのインピーダンス特性に優れるコンデンサーが求められている。パーソナルコンピュータのCPU周り等に固体電解コンデンサーが多く用いられている。電子機器のCPU周りに用いられるコンデンサーには、小型大容量であることに加え、さらに、高周波化に対応し、ノイズ除去や過渡応答性に優れた性能を得るために、低ESR(等価直列抵抗)および低ESL(等価直列インダクタンス)であることが要求されている。
【0006】
固体電解コンデンサーは、小型で大容量が得られるコンデンサーの1種であり、弁作用を備えたアルミニウムなどの金属箔の表面に誘電体酸化皮膜を形成して陽極部と陰極部に分離し、陰極部の誘電体酸化皮膜の上に導電性高分子からなる固体電解質層と陰極電極とを順次積層形成することにより構成されたものである。固体電解コンデンサーなどのコンデンサー素子を備えたチップ型の表面実装デバイスにおいて低ESL化する1つの方法は、陽極端子と陰極端子とを同一面に設け、それらを絶縁可能な範囲で近接配置することにより電流経路を短縮する(ループ面積を抑制する)ことである。低ESL化する他の方法の1つは、多端子化することにより、電流の流れる方向を多様化することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、基板と、基板の搭載側の面に搭載されたコンデンサー素子とを有し、外装用の樹脂により基板およびコンデンサー素子を含めて一体に成形された表面実装用のデバイスである。このデバイスは、コンデンサー素子の第1の電極に電気的に接続された第1の端子電極と、コンデンサー素子の第2の電極に電気的に接続された第2の端子電極とを有し、第1の端子電極および第2の端子電極が当該デバイスの実装面の全周にわたり近接配置されている。すなわち、このデバイスの実装面の全周に沿って第1の端子電極および第2の端子電極が隣り合った状態で外部接続可能なように現れ、第1の端子電極および第2の端子電極の少なくともいずれかにより、このデバイスの実装面の全周が実質的に形成されている。
【0008】
このデバイスにおいては、デバイスの実装面の全周、すなわち、方形または矩形のデバイスであれば、四角形の実装面の四方の辺および隅を含めた角形のリング状の周辺部分全体を実質的に端子電極部分とし、リング状の端子電極部分を第1の端子電極、典型的には陽極端子と、第2の端子電極、典型的には陰極端子とに分割している。デバイスの全周にわたり端子電極が近接配置されているので、電流経路を短縮でき、さらに、デバイス内を流れる電流の方向を多様化できる。したがって、デバイスのESLを抑制できる。また、デバイスの全周にわたり端子電極が配置されているので、デバイスが実装されるプリント配線板の配線パターンに対するフレキシビリティーが高い。
【0009】
第1および第2の端子電極がデバイスの実装面の全周に沿って配置されているデバイスの一形態は、全周に沿って複数の第1の端子電極および複数の第2の端子電極が交互に現れているデバイスである。一例は、複数の第1の端子電極が実装面の4隅を含む部分にそれぞれ現れ、複数の第2の端子電極が実装面の4辺にそれぞれ現れているデバイスである。実装面のコーナー部分も端子電極として使用できる。他の例は、複数の第2の端子電極が実装面の対向する2辺および4隅を含む部分にそれぞれ現れているデバイスである。典型的なデバイスは、第1の電極はコンデンサー素子の陽極であり、第2の電極はコンデンサー素子の陰極であり、第1の端子電極は陽極端子であり、第2の端子電極は陰極端子である。第2の端子電極が陰極端子であれば、陽極端子を挟んだ対向する辺に陰極端子を配置することにより、電源ラインを跨いで陰極端子を配置しやすい。
【0010】
第1および第2の端子電極がデバイスの実装面の全周に沿って配置されているデバイスの他の形態の1つは、全周に沿って第2の端子電極が連続して現れ、第2の端子電極の内側に第1の端子電極が現れているデバイスである。一例は、複数の第1の端子電極が第2の端子電極に囲われるように現れているデバイスである。第2の端子電極が陰極端子であれば、陽極端子を陰極端子で囲むことになるため実装する基板で発生するノイズをシールドしやすい。
【0011】
基板の実装側の面の少なくとも全周にわたり、第1の端子電極および第2の端子電極が近接配置されているデバイスであることが好ましい。すなわち、基板の実装側の面の少なくとも全周に沿って、第1の端子電極と、第2の端子電極とが隣り合った状態で、第1の端子電極および第2の端子電極が基板の実装側の面の全周を実質的に覆うように形成されていることが望ましい。基板がリードフレーム型であってもよいが、第1および第2の端子電極をデバイスの実装面の全周に沿って配置するためには複雑な形状のリードフレームが要求されることがある。基板がプリント配線型であれば、基板の全周に沿って形成された電極をパターニングすることにより、デバイスの実装面の全周に沿って現れる第1および第2の端子電極を形成しやすい。
【0012】
基板の実装側の面の第1の端子電極に対峙(対応)する、基板の搭載側の面に、コンデンサー素子の第1の電極に接続するための第1の接続電極が形成されていることが望ましい。また、基板の実装側の面の第2の端子電極に対峙(対応)する、基板の搭載側の面に、コンデンサー素子の第2の電極に接続するための第2の接続電極が形成されていることが望ましい。第1の端子電極および第1の接続電極と、第2の端子電極および第2の接続電極とは、それぞれ基板を貫通する貫通電極(スルーホール)により接続できる。基板に搭載されたコンデンサー素子と、基板の搭載側の面の第1および第2の接続電極とは、ワイヤーボンディングあるいは導電性ペーストなどの導電性部材により接続できる。
【0013】
第2の端子電極が陰極端子であれば、第1の端子電極の面積より第2の端子電極の面積が大きいことが望ましい。第2の端子電極によるシールド効果を得やすい。第2の端子電極を基板の中心方向に広げることが望ましい。基板の実装側の面の第2の端子電極は、基板の周囲を除き、外装樹脂または絶縁性のマスキング部材により覆ってもよい。第2の端子電極が陰極であれば、第2の端子電極を基板の周囲の縁に沿って連続して形成することも有効である。
【0014】
コンデンサー素子は典型的にはアルミニウムを弁作用基体(弁作用金属)とする固体電解コンデンサー素子であるが、弁作用基体は、タンタルなどの他の弁作用基体であってもよく、さらに、電解液タイプのコンデンサー素子、セラミックタイプのコンデンサー素子、フィルムタイプのコンデンサー素子であってもよい。
【0015】
本発明の他の態様の1つは、上記のデバイスが実装されたプリント配線板およびそのプリント配線板を有する電子機器である。上記デバイスにより大容量、低ESRおよび低ESLの表面実装型(チップタイプ)を提供でき、デカップリングコンデンサーまたはバイパスコンデンサーとしてCPUなどの半導体デバイスとともに用いノイズの発生を抑制できる。また、上記デバイスは、DC/DC電源の平滑コンデンサーなどを含む様々な用途に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】デバイスの概要を示す斜視図。
【図2】デバイスの実装面を示す平面図(底面図)。
【図3】デバイスを、モールド樹脂を除いた状態で示す斜視図。
【図4】デバイスを基板とコンデンサー素子に展開した図。
【図5】デバイスの断面図。
【図6】デバイスを搭載したプリント配線板の一部を示す断面図。
【図7】異なるデバイスの実装面を示す図。
【図8】さらに異なるデバイスの実装面を示す図。
【図9】さらに異なるデバイスの実装面を示す図。
【図10】さらに異なるデバイスの実装面を示す図。
【図11】さらに異なるデバイスの実装面を示す図。
【図12】さらに異なるデバイスの実装面を示す図。
【図13】さらに異なるデバイスの実装面を示す図。
【図14】さらに異なるデバイスの実装面を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1に、本発明に係るデバイスの一例の外観を示している。このデバイス1は、基板10と、基板10の搭載側の面11に搭載されたコンデンサー素子20とを有し、外装用の樹脂(モールド樹脂)30により基板10およびコンデンサー素子20を含めて方形または矩形となるように一体に成形された表面実装用のデバイスである。
【0018】
図2に、デバイス1の実装面2を示している。このデバイス1では、基板10の実装側の面12が外装用の樹脂30に覆われておらず、実装面2として現れている。デバイス1の実装面2、すなわち、基板10の実装側の面12には、全周13にわたり、第1の端子電極51と、第2の端子電極52とが近接するように配置されている。すなわち、基板10の実装側の面12の4辺14a、14b、14cおよび14dと、4隅(4コーナー)15a、15b、15cおよび15dとの全体にわたり、第1の端子電極51と、第2の端子電極52とが絶縁用の隙間(ギャップ)59を介して隣り合う様に形成されている。このため、基板10の実装側の面12の全周13は、実質的に、交互に形成された第1の端子電極51と第2の端子電極52とによりに実質的に覆われている。さらに、デバイス1の実装面2は、全周(本例では基板10の全周13)にわたり、第1の端子電極51と、第2の端子電極52とにより形成され、それらの端子電極51および52が絶縁用の隙間(ギャップ)59を介して隣り合う様に現れており、外部のプリント配線板に設けられる接続端子などと電気的に接続できるようになっている。
【0019】
このデバイス1の第1の端子電極51は、コンデンサー素子20の第1の電極(陽極)に接続された陽極端子である。デバイス1は、4つの陽極端子51を備えており、基板10の実装側の面12の4隅15a〜15dのそれぞれに形成されている。デバイス1の第2の端子電極52は、コンデンサー素子20の第2の電極(陰極)に接続された陰極端子であり、基板10の実装側の面12の、陽極端子51を除いた部分に配置されている。すなわち、陰極端子52は、基板10の実装側の面12の中心部16および周囲の4辺14a〜14dを覆うように形成されている。陽極端子51および陰極端子52は、絶縁用のギャップ59により区切られている。絶縁用のギャップ59は、0.1mmから2mm程度であり、0.2mmから1mm程度であることがさらに好ましい。ギャップ59は、空間であっても、絶縁用の樹脂により埋められていてもよい。
【0020】
図3にデバイス1のモールド樹脂30を除いた状態を示している。図4に基板10とコンデンサー素子20とを分離した状態を示している。図5にデバイス1の断面図を示している。デバイス1の基板10はほぼ正方形にカットされたガラス布・エポキシ樹脂銅張積層板(ガラエポ基板)である。基板10の搭載側の面11および実装側の面12の銅箔がエッチングなどによりパターニングされ、両方の面11および12に同一の電極パターンが形成されている。したがって、基板10の搭載側の面11には、実装側の面12の複数の陽極端子51に対峙する位置に陽極端子51と同じ形状の複数の接続電極が形成されており、コンデンサー素子20の陽極21に接続するための陽極接続電極56となっている。また、基板10の搭載側の面11には、実装側の面12の陰極端子52に対峙する位置に、陰極端子52と同じ形状の接続電極が形成されており、コンデンサー素子20の陰極22に接続するための陰極接続電極57となっている。
【0021】
すなわち、基板10の搭載側の面11においても、全周13に沿って陽極接続電極56および陰極接続電極57が配置されており、4つの陽極接続電極56は搭載側の面11の4隅15a〜15dのそれぞれに形成されている。陰極接続電極57は、基板10の搭載側の面11の、陽極接続電極56を除いた部分に配置されている。すなわち、陰極接続電極57は、基板10の搭載側の面11の中心部16および周囲の4辺14a〜14dを覆うように形成されている。陽極接続電極56および陰極接続電極57は、実装側の面12と同様に絶縁用のギャップ59により分離されている。
【0022】
さらに、それぞれの陽極端子51と陽極接続電極56とは基板10を貫通する貫通電極(スルーホール、ビアホール)55により電気的に接続されている。また、陰極端子52と陰極接続電極57も基板10を貫通する貫通電極55により電気的に接続されている。貫通電極55は、陽極端子51と陽極接続電極56との間、陰極端子52と陰極接続電極57との間の電気抵抗(接続抵抗)を抑制するように適当な数が適当なピッチで設けられている。
【0023】
デバイス1のコンデンサー素子(コンデンサーコア)20は、固体電解コンデンサー(固体電解コンデンサー素子)であり、ほぼ正方形にカットされた薄膜状の弁作用基体23を有し、弁作用基体23の表面23aおよび裏面23bに誘電体酸化被膜24および固体電解質層25が積層されている。固体電解質層25の上には、さらに、陰極22となる導電性ペースト層26が積層されている。弁作用基体23の表面23aおよび裏面23bの導電性ペースト層26は、弁作用基体23を貫通するように弁作用基体23の中央(中心)またはその近傍に形成された貫通電極27により電気的に接続されている。貫通電極27は、弁作用基体23を貫通するスルーホールに銀ペーストなどの導電性ペースト28を充填したものである。このコンデンサー素子20は、裏面23bが基板10に面して搭載される。弁作用基体23の表面23a、すなわち、搭載される側と反対側の面の4方の辺および4隅を含む周囲(全周)は、弁作用基体23が現れており陽極21が形成されている。一方、弁作用基体23の裏面23bの周囲は、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂などの絶縁膜29により覆われている。
【0024】
弁作用基体23としては、エッチドアルミニウム箔、タンタル焼結体、ニオブ焼結体またはチタン焼結体があげられる。表面実装用の薄型のデバイス1を形成するという点を考慮すると、エッチドアルミニウム箔を用いたコンデンサー素子20が適している。エッチドアルミニム箔23の表面には酸化アルミニウムが誘電体酸化被膜24として形成される。固体電解質層25は、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアニリン等の導電性高分子を電解重合などにより誘電体酸化被膜24の上に積層させることにより形成できる。なお、コンデンサー素子20を覆う外装用の樹脂(モールド樹脂)30としては、エポキシ樹脂などの封止樹脂があげられる。
【0025】
このコンデンサー素子20は、裏面23bの中央部分に陰極22が現れており、裏面23bの周囲の陽極に相当する部分は絶縁膜29により覆われている。したがって、基板10の搭載側の面11に裏面23bを向け、素子固定用の導電性ペースト61を介してコンデンサー素子20を載せることにより、コンデンサー素子20の陰極22と基板10の陰極接続電極57とを電気的に接続できる。
【0026】
さらに、コンデンサー素子20の表面23aの周囲に沿って現れている陽極21と、基板10の陽極接続電極56とは、金線、銅線、アルミニウム線などの導電性の金属ワイヤー62によりボンディングすることにより電気的に接続できる。陽極21が、平面視四角形のコンデンサー素子20の表面23aの全周に沿って現れているので、基板10の陽極接続電極56がコーナー部分に限らず、基板10の搭載側の面11の周囲に沿った位置に設けられていれば、ワイヤーボンディング62により接続できる。したがって、このタイプのコンデンサー素子20は、基板10の様々な電極配置に対してフレキシブルに対応できる。コンデンサー素子20は、平面視多角形あるいは円形であってもよいが、表面実装用のデバイス1の平面視はほとんど四角形であり、大容量のコンデンサーデバイスを提供するためのスペース効率を考慮すると、コンデンサー素子20も平面視が四角形であることが望ましい。
【0027】
図6に、デバイス1が搭載されたプリント配線板70の一部を断面により示している。プリント配線板(プリント基板)70の上面71にはCPU75が搭載されており、プリント配線板70の下面72の、CPU75の中央部分の電源端子76に対峙する位置に本例のコンデンサーデバイス1が搭載されている。CPU75の電源端子76とデバイス1の実装面2の端子電極51および52は、プリント配線板70を貫通する複数の貫通電極79により電気的に接続され、デバイス1はデカップリングコンデンサーあるいはバイパスコンデンサーとして機能する。
【0028】
デバイス1は、たとえば、1辺の長さが10mm程度、厚さが2〜4mm程度の薄くコンパクトな表面実装用のコンデンサーチップであり、固体電解コンデンサー素子20を内蔵した低ESR、低ESLで大容量の薄くコンパクトなコンデンサーデバイスである。このため、デバイス1の実装に要するスペースは小さい。また、デバイス1は実装面2に複数の陽極端子51が設けられた多極化デバイスなので従来複数のコンデンサーを搭載していた用途を1つまたは数少ないデバイス1によりカバーできる。このため、コンパクト化が進んでいるノート型のパーソナルコンピュータなどの情報処理端末や、携帯電話、PDAなどの携帯型の情報処理端末などの電子機器に好適である。
【0029】
さらに、図2に示したように、全ての陽極端子51および陰極端子52が近接して配置されているので電流経路を短縮しループ面積を低減でき、ESLを抑制できる。また、陽極端子51および陰極端子52がデバイス1の周囲に沿ってデバイス1の四方に配置されており、デバイス1の内部を流れる電流の向きが多様になり、電流による磁場をキャンセルしやすい。このため、さらにESLを抑制でき、高周波領域のノイズ除去にさらに適したデバイスを提供できる。
【0030】
また、陽極端子51および陰極端子52とコンデンサー素子20の陽極21および陰極22とは短い距離で接続され、コンデンサー素子20においては中央に貫通電極27が配置され陽極21および陰極22との距離が短くなるように構成されている。したがって、ESRもさらに抑制できる。このため、急速な充放電にも対応が可能で、パーソナルコンピュータなどのCPUのバックアップ用としてさらに適したデバイスを提供できる。このように、デバイス1により、さらにコンパクトで、低ESR、低ESLおよび大容量のコンデンサーデバイスを提供でき、携帯型の電子機器などにいっそう好適なデバイスを提供できる。
【0031】
また、図2に示すように、デバイス1の実装面2には、全周13にわたり陽極端子51および陰極端子52が交互に外部接続が可能な状態で現れている。したがって、多様なCPU75の電源端子76の配置や、プリント配線板70の配線パターンに対しフレキシブルに対応しやすい。また、デバイス1の実装面2の全周13にわたり端子電極51または52が配置されており、特に、陰極端子52が全周13に沿って配置される面積あるいは長さを増加できる。このため、陰極端子52をシールド電極として活用し、ノイズ漏れを抑制できる。また、陽極端子51は少なくとも2方向で陰極端子52と接する(近接する)ので、陽極端子51を陰極端子52でシールドしやすい。さらに、陰極端子52は、基板10の中央部分16を広く覆うように形成されている。このため、コンデンサー素子20を陰極端子52によりシールドしやすい。このように、このデバイス1は、プリント配線板70に実装しやすく、さらに、ノイズ除去にも適しているデバイスとなっている。
【0032】
図7ないし図14に、本発明に係る異なるデバイスの例を示している。以下の例は、デバイスの実装面2の配置を変えており、基板10に搭載されたコンデンサー素子20は共通するので、説明を省略する。図7に、異なるデバイス81の実装面2を示している。このデバイス81では実装面2の中央部分16をポリイミド樹脂あるいはエポキシ樹脂の絶縁シート(マスキング部材)35により覆い、実装面2の全周13に沿った部分にのみ、陽極端子51および陰極端子52が現れるようにしている。すなわち、陽極端子51が実装面2の4隅15a〜15dにそれぞれ現れ、陰極端子52が実装面2の4辺14a〜14dにそれぞれ現れている。したがって、実装面2の全周13に陽極端子51および陰極端子52が交互に、実装面2の枠あるいは縁を構成するように現れている。
【0033】
陽極端子51および陰極端子52が実装面2に現れる面積を減らすことにより、プリント配線板70の配線との接続に要する半田などの量を低減でき、より実装に適したデバイスにすることができる。なお、以下に示す各実施例においても、図7に示した例と同様に、実装面2の中央部分を絶縁シートあるいは絶縁膜により覆い、同様の効果を得ることができる。
【0034】
図8は、さらに異なるデバイス82の実装面2および基板10の実装側の面12を示している。このデバイス82では、陰極端子52が基板10の実装側の面12の全周13に沿って実装側の面12を囲うように連続して形成されている。さらに、4つの陽極端子51は、それぞれが、連続した陰極端子52の内側に、陰極端子52に囲われるように設けられている。したがって、デバイス82の実装面2においても、陰極端子52は実装面2の全周13に沿って実装面2を囲うように連続して現れる。さらに、4つの陽極端子51は、それぞれが、連続した陰極端子52の内側に、陰極端子52に囲われるように現れ、外部接続可能になっている。このデバイス1においては、それぞれの陽極端子51が陰極端子52に囲われているのでノイズ漏れをさらに抑制できる。
【0035】
図9は、さらに異なるデバイス83の実装面2および基板10の実装側の面12を示している。このデバイス83では、陽極端子51が基板10の実装側の面12の各コーナー15a〜15dに、各コーナー15a〜15dに沿ってL字形に形成されている。したがって、デバイス83の実装面2においても、L字形の陽極端子51が各コーナー15a〜15dのそれぞれに現れ、外部接続可能になっている。この例のように、デバイスの基板10の実装側の面12に形成され、デバイスの実装面2に現れる端子の形状は四角に限定されず、L字形であってもよい。
【0036】
図10は、さらに異なるデバイス84の実装面2および基板10の実装側の面12を示している。このデバイス84では、陰極端子52が基板10の実装側の面12の全周13に沿って実装側の面12を囲うように連続して形成され、その内側にL字形の陽極端子51が各コーナー15a〜15dに形成されている。したがって、デバイス84の実装面2においても、陰極端子52が実装面2の全周13に沿って実装面2を囲うように連続して現れ、4つのL字形の陽極端子51が、陰極端子52の内側に、陰極端子52に囲われるように現れ、外部接続可能になっている。陰極端子52の内側に配置される陽極端子51は、四角に限定されず、この例のようにL字形であってもよく、また、円形であってもよい。
【0037】
図11は、さらに異なるデバイス85の実装面2および基板10の実装側の面12を示している。このデバイス85では、陰極端子52が、基板10の実装側の面12の対向する2辺14bおよび14d、さらに、4隅15a〜15dを含む部分にそれぞれ形成されている。また、4つの陽極端子51が、2つ辺14bおよび14dに沿って延びた陰極端子52に挟まれた辺14aおよび14cに陰極端子52をはさんで形成されている。したがって、デバイス85の実装面2においても、陰極端子52が2辺14bおよび14dにそって、4つのコーナー15a〜15dを含むように現れ、4つの陽極端子51が実装面2の辺14aおよび14cに陰極端子52を挟んで現れている。このタイプのデバイス85においては、辺14bおよび14dに沿って配置された陰極端子52により、陽極端子51に接続される電源配線を挟み込むことができ、ノイズの漏れを抑制しやすい。
【0038】
図12は、さらに異なるデバイス86の実装面2および基板10の実装側の面12を示している。このデバイス86では、陽極端子51が、基板10の実装側の面12の全周13に沿って連続的に配置されており、その内側に、陰極端子52が4辺14a〜14dに沿って、陽極端子51に近接するように配置されている。したがって、デバイス86の実装面2においては、陽極端子51が全周13に沿って現れ、その内側に4辺14a〜14dに沿って陰極端子52が陽極端子51に近接するように現れている。このように、1つの連続した陽極端子51と、1つの連続した陰極端子52とによっても、デバイス86の実装面2および基板10の実装側の面12の全周13にわたり、陽極端子51と陰極端子52とを近接配置できる。
【0039】
図13は、さらに異なるデバイス87の実装面2および基板10の実装側の面12を示している。このデバイス87では、陰極端子52が、基板10の実装側の面12の対向する2辺14bおよび14d、さらに、4隅15a〜15dを含む部分にそれぞれ形成されている。また、6つの陽極端子51が、2つ辺14bおよび14dに沿って延びた陰極端子52に挟まれた辺14aおよび14cに陰極端子52をはさんで形成されている。したがって、デバイス87の実装面2においても、陰極端子52が2辺14bおよび14dに沿って、4つのコーナー15a〜15dを含むように現れ、6つの陽極端子51が実装面2の辺14aおよび14cに陰極端子52を挟んで現れている。このタイプのデバイス87においては、辺14bおよび14dに沿って配置された陰極端子52により、多数の陽極端子51に接続される電源配線を挟み込むことができ、ノイズの漏れを抑制しやすい。このように、デバイス87においては、5つ以上の陽極端子51を含む端子の組み合わせであっても、容易に実装面2および基板10の実装側の面12の全周13に沿って配置できる。
【0040】
図14は、さらに異なるデバイス88の実装面2および基板10の実装側の面12を示している。このデバイス88では、1または複数の陽極端子51が各辺14a〜14dに配置されており、全周13の残りの部分に陰極端子52が配置されている。したがって、デバイス88の実装面2においても、1または複数の陽極端子51が各辺14a〜14dに現れ、全周13の残りの部分に陰極端子52が現れている。このように、デバイス88においては、複数の陽極端子51が配置されている。陰極端子52が2辺14bおよび14dに沿って、4つのコーナー15a〜15dを含むように現れ、6つの陽極端子51が実装面2の辺14aおよび14cに陰極端子52を挟んで現れている。このタイプのデバイス88においては、辺14bおよび14dに沿って配置された陰極端子52により、多数の陽極端子51に接続される電源配線を挟み込むことができ、ノイズの漏れを抑制しやすい。このように、デバイス88においては、5つ以上の陽極端子51を含む端子の組み合わせであっても、容易に実装面2および基板10の実装側の面12の全周13に沿って配置できる。
【0041】
なお、上記に示した配置の陽極端子51および陰極端子52を備えたデバイスは、本発明に含まれるデバイスのいくつかの例であり、本発明は上記に限定されない。また、コンデンサー素子も、弁作用基体が積層されている積層型の固体電解コンデンサー素子であってもよい。コンデンサー素子は、さらに、非固体の電解コンデンサー、セラミックタイプのコンデンサー、フィルムタイムのコンデンサーなどの他のタイプのコンデンサー素子であってもよい。また、本発明にかかる表面実装用のデバイスは、CPUとの組み合わせだけではなく、他の回路素子と組み合わせて用いることも可能であり、たとえば、DC−DCコンバータの平滑回路などにも適用できる。
【符号の説明】
【0042】
1 表面実装用のデバイス(チップ型コンデンサー)
2 デバイスの実装面
10 基板、 11 基板の搭載側の面、 12 基板の実装側の面、 13 全周
20 コンデンサー素子
30 モールド樹脂
51 陽極端子、 52 陰極端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、前記基板の搭載側の面に搭載されたコンデンサー素子とを有し、外装用の樹脂により前記基板および前記コンデンサー素子を含めて一体に成形された表面実装用のデバイスであって、
前記コンデンサー素子の第1の電極に電気的に接続された第1の端子電極と、
前記コンデンサー素子の第2の電極に電気的に接続された第2の端子電極とを有し、
前記第1の端子電極および前記第2の端子電極が当該デバイスの実装面の全周にわたり近接配置されている、デバイス。
【請求項2】
請求項1において、前記基板の実装側の面の少なくとも全周にわたり、前記第1の端子電極および前記第2の端子電極が近接配置されている、デバイス。
【請求項3】
請求項2において、前記基板の実装側の面の前記第1の端子電極に対峙する前記基板の前記搭載側の面に前記コンデンサー素子の前記第1の電極に接続するための第1の接続電極が形成され、前記基板の実装側の面の前記第2の端子電極に対峙する前記基板の前記搭載側の面に前記コンデンサー素子の前記第2の電極に接続するための第2の接続電極が形成されており、前記第1の端子電極および前記第1の接続電極と、前記第2の端子電極および前記第2の接続電極とがそれぞれ前記基板を貫通する貫通電極により接続されている、デバイス。
【請求項4】
請求項2または3において、前記第1の電極は前記コンデンサー素子の陽極であり、前記第2の電極は前記コンデンサー素子の陰極であり、前記第1の端子電極の面積より前記第2の端子電極の面積が大きい、デバイス。
【請求項5】
請求項4において、前記第2の端子電極は、前記基板の中心方向に広がっている、デバイス。
【請求項6】
請求項4または5において、前記第2の端子電極は、前記基板の周囲の縁に沿って連続して形成されている、デバイス。
【請求項7】
請求項1において、当該デバイスの前記実装面の全周に沿って、複数の前記第1の端子電極および複数の前記第2の端子電極が交互に現れている、デバイス。
【請求項8】
請求項7において、前記複数の第1の端子電極は前記実装面の4隅を含む部分にそれぞれ現れ、前記複数の第2の端子電極は、前記実装面の4辺にそれぞれ現れている、デバイス。
【請求項9】
請求項7において、前記複数の第2の端子電極は、前記実装面の対向する2辺および4隅を含む部分にそれぞれ現れている、デバイス。
【請求項10】
請求項1において、当該デバイスの前記実装面の全周に沿って、前記第2の端子電極が連続して現れ、前記第2の端子電極の内側に前記第1の端子電極が現れている、デバイス。
【請求項11】
請求項10において、複数の前記第1の端子電極が前記第2の端子電極に囲われるように現れている、デバイス。
【請求項12】
請求項7ないし請求項11のいずれかにおいて、前記第1の電極は前記コンデンサー素子の陽極であり、前記第2の電極は前記コンデンサー素子の陰極である、デバイス。
【請求項13】
請求項1ないし12のいずれかにおいて、前記コンデンサー素子は、固体電解コンデンサー素子である、デバイス。
【請求項14】
請求項1ないし13のいずれかに記載のデバイスが実装されたプリント配線板。
【請求項15】
請求項14に記載のプリント配線板を有する電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−272591(P2010−272591A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−121303(P2009−121303)
【出願日】平成21年5月19日(2009.5.19)
【出願人】(000190091)ルビコン株式会社 (38)
【出願人】(509140548)ルビコン・カーリット株式会社 (5)
【出願人】(000228349)日本カーリット株式会社 (269)