説明

袋保持枠

【課題】袋保持枠の構造を簡単にし、かつ、重量を軽くする。袋保持枠を一人の作業者で移動できるように軽くする。土壌などを充填した袋を袋保持枠から外し易くする。
【解決手段】支柱兼用の台1と2の直立部1bと2bの各上端は、半円形の保持部3の端部に固定され、保持部3を水平面内に保つ。第2の半円形保持部7は、蝶番部5と6を介して前記半円形の保持部3に連結されて、保持部3と7が水平面内で円形の保持部を形成する。図示されていない袋の上端部を3と7で形成した円形保持部に掛止させ、土壌などを袋に上方から投入充填する。充填後、掛止を外し、保持部7を蝶番部を支点として上方に170度開いて、袋保持枠を移動させ、袋から枠を外す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分別ごみや土砂等を袋に容入するときに、袋の開口部を広げて保持する袋保持枠の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
大型土嚢を作成する際、袋の中に土壌を入れやすくするために、袋の開口部を広げて保持する袋保持枠が公知である(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この袋保持枠は、コの字形の台枠の屈曲部と端部とに4本の支柱を直立させ、上部を台枠に対応してコの字形の架設枠により構成し、他の側面に片開き扉を取り付けると共に、支柱上部に同一周りの方向に掛止部を設けている。
【0004】
また、剛性が高い円筒状の筒体の外周面上端部から三本以上の支柱を略等間隔で垂下設し、筒体の下端と地面との間および筒体と支柱との間に、詰込袋を筒体の下方から該筒体の外周面を覆う状態で装着するに十分な空隙を形成した粒状物詰込装置が公知である(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
さらに、また、丸棒、パイプで台枠をその端部に支柱を直立させ上部に保持部を開口部は広、狭動作を可能にし、保持部の取付点を支点として、上昇・下降可能にした袋保持枠が公知である(例えば、特許文献3参照)。
【特許文献1】特開2000−25723号公報
【特許文献2】特開2001−348011号公報
【特許文献3】特開2003−267330号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記特許文献1の袋保持枠は、枠の構造が複雑で、質量が大きくなるので、保持枠を容易に移動させることが出来ないという問題点があるばかりでなく、袋に土壌を一杯に容入した状態で、上部のコの字形の架設枠から袋を外しにくいという問題点もあった。
【0007】
また、前記特許文献2の装置は、構造が複雑で、質量が大きく、袋に粒状物を詰め込んだ状態で、袋を移動させるためには、先ず装置としての袋保持枠を上方へ吊り上げて移動させる必要があり。相当の重機を使う必要があるという問題点があった。
【0008】
さらにまた、前記特許文献3の袋保持枠は、保持部の開口部としての開口兼保持部(9)(9’)が平行に形成されているので、土壌を一杯に容入した状態で開口兼保持部(9)(9’)を上方へ開くことがしにくいという問題点があり、取扱いが困難であった。
【0009】
そこで、本発明は、これらの問題点を解消し、軽量で、移動が簡単にでき、しかも袋に一杯容入した状態で、袋と保持枠とを容易に外すことができる保持枠を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、丸棒で形成した支柱兼用の台の上端部に、第1の半円形の保持部を固設し、該第1の半円形の保持部の開口端に第2の半円形の保持部を開口可能に連結したことを最も主要な特徴とする。
【0011】
そこで、上記目的を達成するために、請求項1の発明は、 単一の丸棒で形成した支柱兼用の台を2つ設け、その直立上端部に袋を保持するための第1の半円形の保持部を固定し、該半円形の保持部の開口端と連結されて前記第1の半円形の保持部と協働して円形の保持部を構成する第2の半円形の保持部を設け、該第2の半円形の保持部はその開口端を支点として、上方に上昇可能に第1の半円形の保持部に連結されていることを特徴とする袋保持枠である。
【0012】
請求項2の発明は、請求項1記載の袋保持枠において、第2の半円形の保持部が、上方へ160度以上開くことを特徴とするものである。
【0013】
請求項3の発明は、請求項1又は2記載の袋保持枠において、支柱兼用の台が、床面に沿う水平部分と、上端部に第1の半円形の保持部を固定する直立部と、第1の半円形の保持部の下方への移動を許容する弾性部とを有することを特徴とするものである。
【0014】
請求項4の発明は、請求項1、2又は3記載の袋保持枠において、第1の半円形の保持部と第2の半円形の保持部とで形成される円形の保持部で袋の上部を掛止することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明の袋保持枠は上述のように構成されているので、袋の上部開口部を第1と第2の半円形の保持部で形成される円形部に掛止させることで、袋の上部開口の何れの方向からも容易に土壌等を容入でき、容入後は、第2の半円形の保持部を上方に開くことで、保持枠と袋との係合を外し、容易に保持枠を移動させることが出来る。また、袋保持枠の質量(重量)を軽く出来るため取扱いが容易である。
【0016】
請求項2の発明では、第2の半円形の保持部がほぼ全開状態で、全く袋から外れるため、袋保持枠の移動がより容易となる。
【0017】
請求項3の発明では、袋に粒状体等を容入して、袋の上端開口が下方に動くときに、支柱兼用の2つの台が弾性変形するので、袋に一杯に詰めても、容入後の袋の取外しを容易に行なうことができる。
【0018】
請求項4の発明では、円形の保持部で袋の上端開口の全部を掛止できるので、粒状体等の容入に当り、確実に袋を保持することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
次に本発明を実施するための最良の形態を図の実施例に基づいて説明する。
【実施例】
【0020】
図1乃至図4において、1と2はそれぞれ単一の丸棒で形成された支柱兼用の台で、φ16mmで全長が2120mmの鉄製の丸棒で形成され、全高が1000
mm、底部は床面に沿う水平部分で幅200mm、奥行き758mmになるように、1と2が左右対称形に曲げ加工されて形成されている。水平部分を1a、2a、垂直部を1b、2b、傾斜した弾性部を符号1c、2cで示す。垂直部1b、2bの各上端にはM16mmの雄ねじが刻設してある。
【0021】
支柱兼用の台1と2の上端には、半円形の第1の保持部3が前記雄ねじとナット4、4で固定されている。即ち、半円形の第1の保持部3は、厚み3mmで、40mm×40mmの断面L字形の鉄材からなるアングルを図示のように内径1000mmの半円形に曲げ加工し、その両端部に前記支柱兼用の台1と2の上端雄ねじ部を連結するφ18mmの穴をあけて固定する。
【0022】
この第1の半円形の保持部3の両端部は、蝶番部5と6を介して第2の半円形の保持部7の端部と連結されている。蝶番部5と6は図6に示すように、第1の半円形の保持部3の端部に前記雄ねじとナット4で固定され、L形部材5aと、第2の半円形の保持部7の端部に固定されるL形部材5bと、両L形部材を結合する蝶番5cとからなり、こうして蝶番部5と6で第1と第2の半円形の保持部3と7の両端部同士を連結している。そして、通常は、常時図1乃至図4に示す状態のように、第1と第2の保持部3と7が同一平面内にあって、内径がφ1000mmの円形の保持部を形成している。8は蝶番部5の一方のL形部材5bを第2の半円形の保持部7の端部に固定するボルト・ナット部である。
【0023】
土壌などの粉粒体を袋にいれるには、図7、8に示すように袋9の上端部9aを第1と第2の半円形の保持部で形成される円形の保持部に掛止して折り返し、上方から矢印Dで示すように、例えば土壌などの粉粒体を容入する。一杯に入れると袋の下部が膨らんで、その径が第1と第2の半円形の保持部3、7の内径のφ1000mmよりも大きくなる。そこで、折り返しである袋の上端部9aを保持部3と7から外し、蝶番5の部分で、第2の半円形の保持部7を図9のように上方に折って開口し、袋の紐を図示右方へ移動させることが可能となる。
【0024】
なお、第2の半円形の保持部7は、図5に示すように、160度以上の角度Cだけ開口することが可能で、本実施例では、角度Cは170度に定めてある。また、支柱兼用の台1と2の斜めの弾性部1c、2cは、図4に符号2c’で示すように弾性変形して、符号Bで示す寸法だけ下方に下降することが出来る。これは、保持(掛止)した袋に内容物を容入したときの重みで、弾性変形するようにしてあるからである。この弾性変形で半円形の保持部3と7が図3の符号Aで示す寸法だけ下降できる。
【0025】
実施例では、鉄製でありながら総重量が約13kgと軽量であり、容入(充填)後袋を残し、袋保持部を簡単に移動できる。充填後は、袋上端部の掛止を外し、半円形の保持部7を上方に持ち上げて開口することで、袋を斜め方向に取り出すこともできる。第1と第2の半円形の保持部により、投入口が円形の最大開口面積に開くので、充填後の袋の取外しが容易で、保持枠の移動は一人の作業者で容易に持ち運び可能で、従来技術のように分解運搬することを要しない。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明は土壌などを容入する土嚢の他に、工事現場、ごみ集積場などでのごみ投入に用いる袋の保持枠に広く適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施例の斜視図。
【図2】本発明の実施例の平面図。
【図3】本発明の実施例の正面図。
【図4】本発明の実施例の側面図。
【図5】本発明の実施例の第2の半円形の保持部を上げて開口した状態の側面図。
【図6】本発明の実施例に用いる蝶番部で、(a)は平面図、(b)は側面図。
【図7】本発明の実施例の保持枠に袋を掛止した状態の斜視図。
【図8】図7の側面図。
【図9】図7の状態から、第2の半円形の保持部を上げて開口し、袋を持ち上げる状態を示す図。
【符号の説明】
【0028】
1、2 支柱兼用の台
1a、2a 水平部分
1b、2b 垂直部
1c、2c 弾性部
3、7 半円形の保持部
5、6 蝶番部
8、8A ボルト・ナット
9 袋
9a 折り返した上端部
9b 紐

【特許請求の範囲】
【請求項1】
単一の丸棒で形成した支柱兼用の台を2つ設け、その直立上端部に袋を保持するための第1の半円形の保持部を固定し、該半円形の保持部の開口端と連結されて前記第1の半円形の保持部と協働して円形の保持部を構成する第2の半円形の保持部を設け、該第2の半円形の保持部はその開口端を支点として、上方に上昇可能に第1の半円形の保持部に連結されていることを特徴とする袋保持枠。
【請求項2】
第2の半円形の保持部が、上方へ160度以上開くことを特徴とする請求項1記載の袋保持枠。
【請求項3】
支柱兼用の台が、床面に沿う水平部分と、上端部に第1の半円形の保持部を固定する直立部と、第1の半円形の保持部の下方への移動を許容する弾性部とを有することを特徴とする請求項1又は2記載の袋保持枠。
【請求項4】
第1の半円形の保持部と第2の半円形の保持部とで形成される円形の保持部で袋の上部を掛止することを特徴とする請求項1、2又は3記載の袋保持枠。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2006−347561(P2006−347561A)
【公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−173079(P2005−173079)
【出願日】平成17年6月14日(2005.6.14)
【出願人】(505222901)有限会社田中鉄工所 (2)
【Fターム(参考)】