説明

袋束の包装体

【課題】商品情報が十分に記載でき、剥がれたり、印刷情報が消えたりすることがなく、包材のデザイン性も損なわず、包装体の積み上げ状態においても商品の種類が識別できる袋束の包装体を提供する。
【解決手段】袋束の包装体は、上縁に開口部を有し、両側及び底部を閉塞してなる袋状であって、上端に折返しにより開口部を閉じるための封止片5を備え、表面の一部に透明部を設け、表面と封止片との境界部分の一部に側面透明部を設けた包材aと、前記包材に収納される複数枚束ねてなる袋束bと、前記包材の全長にわたる表示部20と、前記包材の上端において前記袋束を挟み込んだ折返し片21とからなる情報表示帯cとからなる。情報表示帯が包材の表面透明部及び側面透明部に位置するように包材内に収納してなることを特徴とするものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、袋を複数枚束ねてなる袋の束(以下、「袋束」という)を包材により包装した包装体に関し、特に袋束を情報表示帯と共に包装した包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば袋などの商品は、複数枚束ねてなる袋束を透明な包材に収納した包装体の形態で取り扱われている。そして、袋束の枚数、サイズ、材質などの種々の情報は別のラベルに表示され、この情報を表示したラベルが包装体の表面に貼付されるのが一般的である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記のようなラベルでは、その面積上、商品情報の記載に限界があり、また、貼付しているために部分的に剥がれたり、商品情報の印刷が摩耗などにより消えかかるなどの欠点があった。また、包材に美麗なデザインを施しても、ラベルを貼付することにより美麗さを損なうことにもなっている。さらに、包装体を積み重ねた場合には、その積み上げ状態における側面には何も表れないために、どのような種類の商品かを判別することができず、したがって、商品の種類を判別するための何らかの表示手段を講じなければならない欠点があると共に、売場に包装体を積み上げた状態が無味乾燥であり、売場に対して装飾性の乏しいものであった。
【0004】
本発明は、上記の実情に鑑みてなされたものであり、商品情報が十分に記載でき、剥がれたり、印刷情報が消えたりすることがなく、包材のデザイン性も損なわず、包装体の積み上げ状態においても商品の種類が識別でき、売場などに包装体を積み上げた場合に装飾的効果を果たす袋束の包装体を開発した。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る袋束の包装体は、上縁に開口部を有し、両側及び底部を閉塞してなる袋状であって、上端に折返しにより開口部を閉じるための封止片を備え、少なくとも表面の一部に表面透明部を設け、少なくとも表面と封止片との境界部分の一部に側面透明部を設けた包材と、前記包材に収納される複数枚束ねてなる袋束と、前記包材の全長にわたる長さの表示部と、前記包材の上端において前記袋束を挟み込んで折り返す折返し片とからなる情報表示帯とからなり、前記情報表示帯は、前記袋束の片面側上に重ねると共に袋束を折返し片により挟み込み、そして、情報表示帯が包材の表面透明部及び側面透明部に位置するように包材内に収納してなることを特徴とするものである。
【0006】
本発明に係る袋束の包装体を上記のように構成したため、情報表示帯の表示部により商品に関する情報が十分に記載できるスペースが得られる。包材表面の透明部分を通して情報表示帯の表示部に記載の商品情報が包材外部から目視できる。また、情報表示帯が包材の中に収納されているので、情報表示帯に対する外的影響が及ばず、包材のデザインに対する影響もない。さらに、包装体を積み上げた状態において、側面透明部から情報表示帯の一部である表示部と折返し片との境界部分が表れる。しかも、包装体を積み上げた状態においては、側部透明部から目視できる情報表示帯の一部である表示部と折返し片との境界部分が積み上げ方向に一筋に連なって表れる。さらにまた、包装体は、情報表示帯の表示部と折返し片とにより袋束を挟み込む状態で形成され、かつ、表示部が包材の全長にわたる長さであることにより、情報表示帯が包材内で移動するのが阻止される。
【0007】
なお、情報表示帯は、その折返し片により袋束を挟み込んだ状態で包材に収納され、封止片を折り返すことによって包材の開口部が閉じられてなる構成と、その折返し片により袋束を挟み込まない状態で包材に収納され、封止片と折返し片とを重ねて折り返し、折返し片により袋束を挟み込むのと共に封止片により包材の開口部が閉じられてなる構成とがある。
【発明の効果】
【0008】
上記のように本発明に係る袋束の包装体を構成したので、情報表示帯の表示部に商品に関する情報が十分に記載でき、包材表面の透明部分を通して情報表示帯の表示部に記載の商品情報を確認することができる。また、情報表示帯が包材の中に収納されているので、情報表示帯が剥がれたり、情報表示帯の記載内容が摩耗等によって消えるようなことがなく、かつ、包材のデザインを損なうおそれもない。さらに、包装体を積み上げた状態においても、側面透明部から情報表示帯の一部である表示部と折返し片との境界部分が表れるので、これにより商品の種類を判別することが可能となる。しかも、包装体を積み上げた状態においては、側部透明部から目視できる情報表示帯の一部である表示部と折返し片との境界部分が積み上げ方向に一筋に連なって表れるので、包装体の積み上げ状態が売場などの環境に一種の装飾的効果をもたらす。さらにまた、情報表示帯は、表示部と折返し片とにより袋束を挟み込む状態で包装体が形成され、表示部が包材の全長にわたる長さを有しているので、包材内で情報表示帯が移動することがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下に本発明の一実施例を添付の図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0010】
図1〜図7は本発明の実施例1に係る包装体を示し、図1は包装体を包材、袋束及び情報表示帯に分解した分解斜視図であり、図2は包装体について、包材に袋束及び情報表示帯を収納する第1の状態を裏面側から見た斜視図であり、図3は包装体について、包材に袋束及び情報表示帯を収納する第2の状態を裏面側から見た斜視図であり、図4は包装体の裏面側から見た斜視図であり、図5は包装体の要部の上部縦断面図であり、図6は包装体の表面側から見た斜視図であり、図7は包装体を積み上げた状態を示す斜視図である。
【0011】
図1において、aは包材を示し、bは包材A内に収納される商品であって、袋を複数枚束ねた袋束を示し、cは袋束bと共に包材A内に収納される情報表示帯を示す。
【0012】
包材aは、表裏2枚の透明樹脂フィルムa1、a2の両側及び底部を閉塞してなるものであって、上縁に開口部1を有し、両側2、3及び底部4を閉塞してなる袋状の形態をなしている。そして、表面フィルムのa1の上端には、開口部1を閉じるための封止片5が上縁から延設されており、該封止片5を裏面フィルムa2側に折返すことにより、開口部1が閉じられるようになっている。なお、本実施例においては、包材a全体を透明樹脂フィルムで構成しているが、これに限られるものではなく、後述する情報表示帯cの表示部20に記載されている商品に関する情報が透視できる程度に包材aの表面の一部に表面透明部6(図6において一点鎖線が囲まれる部分)を設け、それ以外の箇所は適当なデザインを施してもよい。また、包材aの表面と封止片5との境界部分7の一部に側面透明部8(図4において一点鎖線が囲まれる部分)を設け、情報表示帯cの一部である表示部20と折返し片21との境界部分22が表れるように構成してもよい。
【0013】
袋束bは、透明の合成樹脂製袋を例に挙げることができるが、これに限られるものではなく、束ねてひとまとまりにできる袋であれば、どのようなものでもよい。
【0014】
情報表示帯cは、包材aの全長にわたる長さの表示部20と、該表示部20の上端に連設する折返し片21とから構成される。表示部には、商品である袋束の袋の枚数、サイズ、材質、用途、用法などの商品の情報を記載することができる。該折返し片21は、包材aの上端において前記袋束bを挟み込むように折り返して使用する。22は表示部20と折返し片21との境界部分を表す。なお、前記表示部20の下端にも袋束bを挟み込むための折返し片を設けた構成としてもよい。
【0015】
そして、図2及び図3に示すように、情報表示帯cは、その表示部20を袋束bの片面側上(図においては裏面側)に重ね、折返し片21を袋束bの上端b1において折り返して袋束bを挟み込んだ状態で、袋束bを情報表示帯cと共に包材a内に収納する。この収納の際、本実施例においては、包材全体が透明であるので、特に注意を要しないが、前述したように、包材aにデザインを施し、表面の一部に表面透明部6を設け、包材aの表面と封止片5との境界部分7の一部に側面透明部8を設けた場合には、表面透明部6の位置に情報表示帯cにおける表示部20に記載の商品情報が合致するように、また、側面透明部8の位置に情報表示帯cの一部である表示部20と折返し片21との境界部分22が合致するように、それぞれ位置決めして包材aに収納する。そして、図4〜図6に示すように、封止片5を裏面フィルムa2側に折り返すことにより、包材aの開口部1が閉塞され、包装体Aが完成する。本実施例においては、図5の拡大断面図示すように、情報表示帯cの折返し片21は裏面フィルムa2の内側に位置することとなる。
【0016】
この完成した包装体Aを、図7に示すように、積み上げた場合には、側面透明部8から表れる情報表示帯cの一部である表示部20と折返し片21との境界部分22が積み上げ方向、通常は上下方向に一筋に連なって表れる。したがって、包装体Aを積み上げた場合には、前記境界部分22により縦方向のストライプ柄として表れ、また、商品の種類によって境界部分22の色等を変更すれば、商品の種類が判別できて便利である。
【0017】
上記のように本実施例1に係る包装体Aを構成することにより、情報表示帯cの表示部20に商品に関する情報が十分に記載でき、包材aの表面透明部6を通して情報表示帯cの表示部20に記載の商品情報を確認することができる。また、情報表示帯cが包材aの中に収納されているので、情報表示帯cが剥がれたり、情報表示帯cの記載内容が摩耗等によって消えるようなことがなく、かつ、包材aのデザインを損なうおそれもない。さらに、包装体Aを積み上げた状態においても、側面透明部8から情報表示帯cの一部である表示部20と折返し片21との境界部分22が表れるので、これにより商品の種類を判別することが可能となる。しかも、包装体Aを積み上げた状態においては、側部透明部8から目視できる情報表示帯cの一部である表示部20と折返し片21との境界部分22が積み上げ方向に一筋に連なって表れるので、包装体Aの積み上げ状態が売場などの環境に一種の装飾的効果をもたらす。さらにまた、情報表示帯cは、表示部20と折返し片21とにより袋束bを挟み込む状態になり、かつ、包材aのの全長にわたる長さを有していて遊びがないので、包材a内で情報表示帯cが移動することがない。
【実施例2】
【0018】
図8〜図11は本発明の実施例2に係る包装体を示し、図8は包装体について、包材に袋束及び情報表示帯を収納する第1の状態を裏面側から見た斜視図であり、図9は包装体について、包材に袋束及び情報表示帯を収納する第2の状態を裏面側から見た斜視図であり、図10は包装体の裏面側から見た斜視図であり、図11は包装体の要部の上部縦断面図である。
【0019】
実施例1における包装体Aは、情報表示帯cの表示部20と折返し部22とにより袋束bを挟み込んだ状態で包材aに収納して形成されたものであるが、本実施例2における包装体Bは、折返し片22を折り返す工程が実施例1と相違するものである。したがって、実施例1における包材a、袋束b及び情報表示帯cの構成自体は変わらないので、実施例1における図1、図6及び図7は実施例2においても共通であり、符号も共通とする。
【0020】
実施例2における包装体Bは、図8に示すように、折返し片22により袋束bを挟み込まない状態で包材aに収納し、図9に示すように、袋束bをある程度収納した時点で、折返し片22が包材a内に入らないよう折り返す。そして、封止片5と折返し片22とを重ねて包材aの裏面フィルムa2側に折り返し、図10に示すように、折返し片22により袋束bを挟み込むのと共に封止片5により包材aの開口部1を閉塞する。包装体Bは、表面側の外観としては、図6に示す実施例1の包装体Aと同様となる。
【0021】
この包装体Bにおいては、図11に示すように、情報表示帯cの折返し片22が裏面フィルムa2と封止片5とにより挟み込まれる状態となるので、実施例1の包装体Aよりも情報表示帯cが移動しない利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】実施例1に係る包装体を包材、袋束及び情報表示帯に分解した分解斜視図である。
【図2】実施例1に係る包装体について、包材に袋束及び情報表示帯を収納する第1の状態を裏面側から見た斜視図である。
【図3】実施例1に係る包装体について、包材に袋束及び情報表示帯を収納する第2の状態を裏面側から見た斜視図である。
【図4】実施例1に係る包装体の裏面側から見た斜視図である。
【図5】実施例1に係る包装体の要部の上部縦断面図である。
【図6】実施例1に係る包装体の表面側から見た斜視図である。
【図7】実施例1に係る包装体を積み上げた状態を示す斜視図である。
【図8】実施例2に係る包装体について、包材に袋束及び情報表示帯を収納する第1の状態を裏面側から見た斜視図である。
【図9】実施例2に係る包装体について、包材に袋束及び情報表示帯を収納する第2の状態を裏面側から見た斜視図である。
【図10】実施例2に係る包装体の裏面側から見た斜視図である。
【図11】実施例2に係る包装体の要部の上部縦断面図である。
【符号の説明】
【0023】
A・・・・包装体
B・・・・包装体
a・・・・包材
a1・・・表面フィルム
a2・・・裏面フィルム
1・・・・開口部
2・・・・左側部
3・・・・右側部
4・・・・底部
5・・・・封止片
6・・・・表面透明部
7・・・・境界部分
8・・・・側面透明部
b・・・・袋束
b1・・・袋束の上端
c・・・・情報表示帯
20・・・表示部
21・・・折返し片
22・・・境界部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上縁に開口部を有し、両側及び底部を閉塞してなる袋状であって、上端に折返しにより開口部を閉じるための封止片を備え、少なくとも表面の一部に表面透明部を設け、少なくとも表面と封止片との境界部分の一部に側面透明部を設けた包材と、
前記包材に収納される複数枚束ねてなる袋束と、
前記包材の全長にわたる長さの表示部と、前記包材の上端において前記袋束を挟み込んで折り返す折返し片とからなる情報表示帯とからなり、
前記情報表示帯は、前記袋束の片面側上に重ねると共に袋束を折返し片により挟み込み、そして、情報表示帯が包材の表面透明部及び側面透明部に位置するように包材内に収納してなる、
ことを特徴とする袋束の包装体。
【請求項2】
情報表示帯が、その折返し片により袋束を挟み込んだ状態で包材に収納され、封止片を折り返すことによって、包材の開口部が閉じられてなることを特徴とする請求項1に記載の袋束の包装体。
【請求項3】
情報表示帯が、その折返し片により袋束を挟み込まない状態で包材に収納され、封止片と折返し片とを重ねて折り返し、折返し片により袋束を挟み込むのと共に封止片により包材の開口部が閉じられてなることを特徴とする請求項1に記載の袋束の包装体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−100322(P2010−100322A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−274519(P2008−274519)
【出願日】平成20年10月24日(2008.10.24)
【出願人】(392030900)株式会社三寳 (1)
【Fターム(参考)】