説明

袋詰め包装機の包装処理方法及び袋詰め包装機

【課題】間欠回転式ロータリ型袋詰め包装機において、粉粒体や液状物等の被包装物が挟持部に付着することにより生じる袋(被包装物を充填した袋)の位置ずれの発生の検出、及び挟持部の清掃を、包装機を停止することなく自動的に行い、生産性を改善する。
【解決手段】挟持部3,3における袋4の位置ずれの有無を検出する位置ずれ検出センサ14〜17を停止位置VIに設置し、挟持部3,3にエアを噴射するエア噴射ノズル24,24を停止位置IXに設置する。位置ずれ検出センサ14〜17により、停止位置VIに停止した挟持部3,3に位置ずれ有りが検出された場合、当該挟持部3,3が停止位置IXに停止して開いたとき、エア噴射ノズル24,24から挟持部3,3に向けてエアを噴射し、付着した被包装物を吹き飛ばして清掃する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、袋の両側縁部を挟持する左右一対の挟持部を有するグリッパーが、所定の移動経路に沿って等間隔に複数組設置され、前記グリッパーが前記移動経路に沿って移動し、その移動の過程で所定の包装処理工程が順次行われる袋詰め包装機及びその包装処理方法に関し、特に挟持部の清掃が適宜自動的に行われる袋詰め包装機及びその包装処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
粉粒体や液状物等の被包装物を袋詰め包装する場合、充填時における充填ミス、舞い上がり(粉粒体の場合)、飛び散り(液状物の場合)等により、被包装物がグリッパーの挟持部(特に挟持面)に付着する場合がある。また、袋のプレス脱気(特許文献1参照)を行う場合にも、舞い上がり(粉粒体の場合)や飛び散り(液状物の場合)が生じ得る。さらに、充填時又はプレス脱気時以外でも、包装機周辺で被包装物を扱っている関係で、被包装物が不用意に挟持部に付着することがある。
【0003】
グリッパーの挟持部には、挟持した袋がずれないようにかつ袋にダメージを与えないように通常ゴムが貼り付けられ、かつ適度の挟圧力が付与されている。しかし、挟持部に上記のような被包装物が付着すると、挟持部の摩擦力が著しく低下するため、充填時の衝撃や被包装物の重さ、あるいは移送に伴う慣性力等により、袋は挟持部の規定位置から容易に位置ずれ(下方への位置ずれ)を起こしてしまう。
袋がグリッパーの挟持部の規定位置からずれると、袋口の所定位置にシールを行うことができず、シール不良が生じるほか、規定位置からのずれの大きさによっては袋が挟持部から脱落することもある。
【0004】
このような問題に対処するため、従来は包装機の運転中にオペレーターが挟持部における袋の位置ずれを監視し、あるいは包装機から放出された製品のシール部を検査して、挟持部の規定位置からの位置ずれが許容範囲を超えたと判断したとき、包装機を一旦停止して、袋の位置ずれが生じた挟持部を清掃(付着物を除去)していた。
しかし、このような対処方法では、オペレータの負担が大きいだけでなく、清掃のタイミングが曖昧となり、対処が遅れるという問題が生じ、また包装機を一旦停止させる関係で、生産性の低下が避けられない。
【0005】
一方、包装機の稼働中に発生する不良を検出するセンサーを設置することが特許文献2,3に記載されている。特許文献2には、被包装物の充填前に、挟持部に挟持された袋の位置をセンサーで検出し、袋の位置が許容範囲内にないとき、当該袋に以後の包装処理(被包装物の充填、袋口のシール等)を行わず、空袋のまま包装機外に排出することが記載されている。特許文献3には、包装機の稼働中に発生する不良(例えば給袋時点で生じた袋の位置ずれ)を検出するセンサーを設け、不良毎に検出回数をカウントし、同一の不良についてカウント数が設定数に達したとき、異常が発生したと判定して、ディスプレーにアラーム表示し、かつ包装機を停止することが記載されている。
さらに、特許文献4には、液状物が挟持部に付着すると、被包装物を充填する際に袋が下方に位置ずれを起こしやすいことに鑑み、挟持部に挟持された袋の位置をセンサーで検出し、基準位置からのずれの大きさに応じて、袋口をシールするシール部材の上下方向位置を調整することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−208603号公報
【特許文献2】特許第2578608号公報
【特許文献3】特許第4297231号公報
【特許文献4】特開2009−298417号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
粉粒体や液状物等の被包装物が挟持部に付着することにより生じる袋(被包装物を充填した袋)の位置ずれの発生を、検出用のセンサーを設置し自動的に検出できるようにすれば、オペレーターの負担は軽減され、清掃のタイミングが明確化されて対処の遅れが生じるのも防止できる。しかし、位置ずれの発生を検出後、従来どおり包装機を停止して清掃するのであれば、従来同様に生産性の低下は免れない。
【0008】
従って、本発明は、粉粒体や液状物等の被包装物が挟持部に付着することにより生じる袋(被包装物を充填した袋)の位置ずれの発生をセンサーで自動的に検出するだけでなく、さらに検出結果に基づき挟持部の清掃を包装機を停止することなく行うようにして、包装機の生産性を改善することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明(請求項1)は、袋の両側縁部を挟持する左右一対の挟持部を有するグリッパーが複数組設置され、前記グリッパーが所定の移動経路に沿って移動し、その移動の過程で前記挟持部が所定のタイミングで開閉し、かつ前記挟持部が閉じて供給された袋の両側縁部を挟持する給袋工程、前記挟持部に挟持された袋へ被包装物を充填する充填工程、及び前記挟持部が開いて袋を解放する袋解放工程等の一連の包装処理工程が順次行われる袋詰め包装機の包装処理方法において、前記挟持部における袋の位置ずれの有無を位置ずれ検出センサにより検出する位置ずれ検出工程と、前記移動経路の近傍に配置されたエア噴射ノズルから前記挟持部にエアを噴射して清掃する清掃工程を有し、前記位置ずれ検出工程は、前記充填工程後前記挟持部が最初に開くまでの間に行われ、前記清掃工程は、前記位置ずれ検出行程で位置ずれが検出された場合に、位置ずれが検出された前記挟持部に対し、前記袋解放工程で前記挟持部が開いてから前記給袋工程で前記挟持部が閉じるまでの間で前記挟持部が開状態のときに行われることを特徴とする。
【0010】
本発明(請求項6)に係る袋詰め包装機は、袋の両側縁部を挟持する左右一対の挟持部を有するグリッパーが複数組設置され、前記グリッパーが所定の移動経路に沿って移動し、その移動の過程で前記挟持部が所定のタイミングで開閉し、かつ前記挟持部が閉じて供給された袋の両側縁部を挟持する給袋工程、前記挟持部に挟持された袋へ被包装物を充填する充填工程、及び前記挟持部が開いて袋を解放する袋解放工程等の一連の包装処理工程が順次行われる袋詰め包装機において、前記充填工程が行われる位置又はその下流側の前記移動経路に沿った位置に、前記挟持部における袋の位置ずれの有無を検出する位置ずれ検出センサが配置され、前記袋解放工程が行われる位置又はその下流側でかつ前記給袋工程が行われる位置又はその上流側の前記移動経路に沿った位置に、開状態の挟持部に向けてエアを噴射するエア噴射ノズルが配置され、さらに前記位置ずれ検出センサの検出信号に基づいて前記エア噴射ノズルを制御する制御装置を備え、前記制御装置は、前記位置ずれ検出センサが位置ずれを検出した場合に、前記エア噴射ノズルに位置ずれが検出された前記挟持部に対しエア噴射を行わせることを特徴とする。
【0011】
上記包装処理方法又は包装処理装置において、前記移動経路は直線状、又は環状の移動経路(円形、レーストラック形等)であり、複数組のグリッパーは前記移動経路に沿って等間隔に設置されていることが望ましい。前記グリッパーが直線状の移動経路に沿って所定距離移動し、又は環状の移動経路に沿って1回転する間に、前記一連の包装処理工程の1サイクルが行われる。グリッパーの移動(回転を含む)は間欠移動でも連続移動でもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、粉粒体や液状物等の被包装物が挟持部に付着することにより生じる袋(被包装物を充填した袋)の位置ずれの発生を、検出用センサを設置し自動的に検出できるようにしたので、従来のようなオペレーターの負担が軽減され、オペレーターの判断の遅れで清掃のタイミングが遅れるということも防止できる。また、包装機を停止することなく、位置ずれが発生した挟持部の清掃を自動的に行うことができるので、包装機の生産性の低下も防止でき、オペレーターが行っていた清掃、再稼働に伴う点検の負担も軽減される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る袋詰め包装機の斜視図である。
【図2】上記袋詰め包装機で行われる位置ずれ検出工程を説明する正面図である。
【図3】その側面図である。
【図4】上記袋詰め包装機で行われる位置ずれ検出工程を説明する正面図である。
【図5】上記袋詰め包装機で行われる位置ずれ検出工程を説明する正面図である。
【図6】上記袋詰め包装機で行われる位置ずれ検出工程を説明する正面図である。
【図7】位置ずれ検出装置及びエア噴射装置の制御手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図1〜図7を参照して、本発明に係る袋詰め包装機及びその包装処理方法について説明する。
図1には間欠回転式のロータリー型袋詰め包装機が示されている。この袋詰め包装機は、ロータリー型袋移送装置1を備え、その一部として一方向(図1において左回り/白抜き矢印参照)に間欠回転するテーブル2と、その周囲に等間隔に配置された10組のグリッパー(左右一対の挟持部3,3のみが図示されている)を有する。グリッパーは、テーブル2の間欠回転に伴い円形の移動経路上を等角度間隔で間欠移動(間欠回転)し、その間欠移動の間、周知の如く所定のタイミングで一対の挟持部3,3が開閉し、かつ該一対の挟持部3,3の間隔が広がり又は狭まる。
【0015】
テーブル2の間欠回転に伴い、各グリッパーは水平面内で前記移動経路に沿って間欠的に移動する。テーブル2が一回転する間にグリッパーは10回停止し、各停止位置において一連の包装処理工程が順次行われ、1回の移動サイクル(一回転)で給袋から製品袋解放(放出)までの包装処理の1サイクルが完了する。
より具体的に説明すると、グリッパーの最初の停止位置Iにおいて給袋工程が行われる。停止位置Iの近傍に、グリッパーの挟持部3,3に袋4を供給するコンベアマガジン式給袋装置5が配置されている。挟持部3,3に供給される袋4は上縁が開口した袋であり、この停止位置Iで開いていた挟持部3,3が閉じ、供給された袋4は開口部(袋口)付近の両側縁を挟持され、開口部を上向きにして吊り下げられる。
グリッパーの2番目の停止位置IIにおいて印字工程が行われる。停止位置IIの近傍に、挟持部3,3に挟持された袋4の袋面に日付等を印字する印字装置6が配置されている。
【0016】
グリッパーの3番目の停止位置IIIにおいて開口工程が行われる。停止位置IIIの近傍に、挟持部3,3に挟持された袋4の袋口を開口する開口装置が配置され、その一部として、互いに接離可能な一対の吸盤7,7と、追従式開口ガイド8,8が図示されている。停止位置IIIにおいて、挟持部3,3に挟持された袋4は一対の吸盤7,7に両面を吸着されて袋口を広げられ(このとき挟持部3,3の間隔が狭まる)、続いて追従式開口ガイド8,8が下降して先端が袋4内に挿入される。その後、追従式開口ガイド8,8は、袋面に対して垂直方向にかつ互いに反対方向に移動して先端同士の間隔が広がり、これにより、吸盤7,7が袋面から離れた後も、袋4の開口状態が維持される。追従式開口ガイド8,8は、グリッパーが停止位置IIIから停止位置IVに向けて移動するとき一緒に移動し、停止位置IVで上昇して袋4内から抜け出し、停止位置IIIに向けて復帰移動する。
【0017】
グリッパーの4番目の停止位置IVにおいて充填工程が行われる。停止位置IVの近傍に、挟持部3,3に挟持された袋4に被包装物を充填する充填装置が配置され、その一部としてホッパー9が図示されている。ホッパー9は停止位置IVに停止した袋4の上方に位置し、その下端と袋4の上縁との間には所定の隙間が形成されている。
グリッパーが停止位置IVに停止した直後に、前記開口ガイド8,8が上昇して袋4から抜け出し、前記隙間を通り停止位置IIIに向け復帰移動を開始し、続いてホッパー9内の図示しないスクリューが回転して、ホッパー9内の被包装物が下端開口から下方に送り出され、袋4内に充填される。
【0018】
グリッパーの5番目の停止位置Vにおいて袋のシール予定部の清掃工程が行われる。停止位置Vの近傍に、清掃用ガスを噴射して袋4の内面のシール予定部に付着した被包装物を吹き飛ばす清掃装置が配置され、その一部として噴射ノズル11が図示されている。噴射ノズル11は昇降可能で、下端部外周にやや斜め上向きに清掃用ガスを噴射する複数の噴射口が形成されている。噴射ノズル11は、グリッパーが停止位置Vに停止すると下降し、その下端部が袋4内に少し挿入され、袋4の内面のシール予定部に清掃用ガスを噴射後上昇して袋4から抜け出す。
【0019】
グリッパーの6番目の停止位置VIにおいて、挟持部3,3における袋4の位置ずれの有無を検出する検出工程が行われる。停止位置VIには、袋4の位置ずれの有無を検出する位置ずれ検出装置が配置され、その一部として、停止位置VIに停止した袋4の左右両側縁近傍の上方位置に設置された左右一対のセンサ取付用プレート12,13と、位置ずれ検出センサ14〜17、及び位置ずれ検出センサ14,15に対向して設置された反射板18が図2,3に図示されている(位置ずれ検出センサ16,17に対向して設置された反射板は図示されていない)。なお、位置ずれ検出センサ14〜17はいずれも回帰反射型光電センサ(投受光器)である。
【0020】
センサ取付用プレート12は、袋4の上縁を挟むように形成された一対の垂下部12a,12bを有し、垂下部12aに前記位置ずれ検出センサ14,15が上下に所定間隔開けて設置され、垂下部12bに前記反射板18が設置され、位置ずれ検出センサ14,15と反射板18は、袋4の上縁部付近を挟むように対向配置されている。センサ取付用プレート13も同じく袋4の上縁を挟むように形成された一対の垂下部を有し、一方の垂下部に前記位置ずれセンサ16,17が上下に所定間隔開けて設置され、他方の垂下部に図示しない反射板が設置され、位置ずれ検出センサ16,17と前記反射板は、前記位置ずれ検出センサ14,15と反射板18と同様に、袋4の上縁部付近を挟むように対向配置されている。
【0021】
図2,3に示すように挟持部3,3に挟持された袋4の上縁4aが基準位置又はそのごく近傍にあるときは、上側の位置ずれ検出センサ14,16では、投光と反射光が袋4に当たらず遮られないので受光量が多い。一方、下側の位置ずれ検出センサ15,17では、袋4が光を通さない材料でできていることを前提とすれば(以下の例も同じ)、投光と反射光が袋4に当たって遮られるので受光量がゼロとなる。
一方、例えば図4に示すように、挟持部3,3に挟持された袋4が全体的に下方に位置し、基準位置からのずれ量h,hが比較的大きい場合、全ての位置ずれ検出センサ14〜17において、投光と反射光が袋4に遮られないので受光量が多い。
【0022】
また、例えば図5に示すように、挟持部3,3に挟持された袋4が全体的に下方に位置しているが、基準位置からのずれ量h,hが図4の例に比べて小さい場合、上側の位置ずれ検出センサ14,16では、投光と反射光が袋4に遮られないので受光量が多く、下側の位置ずれ検出センサ15,17では、投光と反射光の一部が袋4に当たって遮られ、受光量がその分少なくなる。この際の受光量は、基準位置からのずれ量h,hが大きいほど多くなる。
【0023】
さらに、例えば図6に示すように、挟持部3,3に挟持された袋4が傾斜し、袋4の上縁の左側で基準位置からのずれ量hが大きい場合、袋4の左側の位置ずれ検出センサ14,15では、投光と反射光が袋4に遮られないので受光量が多い。一方、袋4の右側では、基準位置からのずれ量hが小さく、上側の位置ずれ検出センサ16は投光と反射光が袋4に遮られないので受光量が多く、下側の位置ずれセンサ17は投光と反射光の大部分が袋4に遮られて受光量は極めて少ない。
【0024】
このように位置ずれ検出センサ14〜17の受光量の大きさにより、停止位置VIに停止した挟持部3,3について、袋4の基準位置からのずれ量h,hを知ることができ、またそのずれ量h,hから袋4の傾斜の有無も知ることができる。なお、この点は、袋4が投光及び反射光を一部透す材料でできている場合でも同様である。
検出センサ14〜17は反射光を受光し、その受光量の大きさに相応する出力信号を得て、その出力信号が検出信号として制御装置19に送られ、制御装置19において前記検出信号に基づき、位置ずれの有無が判定される。検出センサ14〜17からの検出信号に基づき制御装置19により位置ずれ有りの判定が出たとき、位置ずれ検出工程で位置ずれが検出されたということになる。
【0025】
位置ずれの有無の判定の基準となる基準位置からのずれ量(基準ずれ量)H,Hの大きさは適宜設定される。実際のずれ量h,hが許容範囲を超えて大きくなるとシール不良等が発生するが、例えばずれ量h,hが許容範囲より相当程度小さい段階で早めにこれを解消することを対処方針とするのであれば、位置ずれの有無の判定基準となる基準ずれ量H,Hの大きさを、それなりに小さく設定すればよい。この場合、未然に不良袋(シール不良の発生した袋)の発生を防止し、さらには袋4の挟持部3,3からの脱落を防止できる利点があるが、後述する清掃行程においてエア噴射量の増大が避けられない。一方、実際のずれ量h,hが許容範囲を超えたとき、これを解消するという対処方針もあり得る。この場合、位置ずれの有無の判定基準となるずれ量H,Hの大きさを、前記許容範囲ギリギリに設定することになる。この場合、その包装処理サイクルでの不良袋の発生は避けられないが、エア噴射ノズル24,24によるエアの噴射量を節約できる。
【0026】
グリッパーの7番目の停止位置VIIにおいて袋口のシール工程が行われる。停止位置VIIの近傍に、グリッパーの挟持部3,3に挟持された袋4の袋口に熱シールを行うシール装置が配置され、その一部として袋4の袋口を挟持する一対のシールバー21が図1に図示されている。
グリッパーの8番目の停止位置VIIIにおいてシール部の冷却工程が行われる。停止位置VIIIの近傍に、グリッパーの挟持部3,3に挟持された袋4の袋口を冷却する冷却装置が配置され、その一部として袋4の袋口のシール部を挟持する一対の冷却バー22が図1に図示されている。
【0027】
グリッパーの9番目の停止位置IXにおいて、挟持部3,3に挟持された袋4を解放する袋解放工程が行われる。停止位置IXの近傍に製品袋放出シュート23が配置され、挟持部3,3が開き、製品となった袋4は挟持部3,3から解放されて落下し、製品袋放出シュート23を介して機外に放出される。
また、停止位置IXでは、挟持部3,3にエアを噴射し付着した被包装物を吹き飛ばして除去する清掃工程が行われる。停止位置IXの近傍にはエア噴射装置が配置され、その一部として挟持部3,3の直上に配置された一対のエア噴射ノズル24,24が図1に図示されている。エア噴射ノズル24,24は、挟持部3,3が停止位置IXに停止し開いて袋4を解放したとき、開いた状態の該挟持部3,3に加圧されたエアを噴射し、特に挟持面に付着した被包装物を吹き飛ばして除去、清掃するためのものである。なお、エア噴射ノズル24,24は図示しない開閉弁及び加圧エア源に接続され、前記開閉弁の制御は制御装置19により行われる。
グリッパーの10番目の停止位置Xは空き位置であり、包装処理工程は行われない。
【0028】
制御装置19による位置ずれ検出装置及びエア噴射装置の制御手順の一例を、図7に示すフローチャートを参照して説明する。
なお、このフローチャートは、制御手順として次の(1)〜(3)の点を含む。
(1)清掃行程は、挟持部3,3の移動サイクル(給袋工程から袋解放工程までの一連の包装処理工程)がn(n:複数)回繰り返して行われる間、位置ずれ検出行程において同じ挟持部3,3についてn回連続して位置ずれが検出されたとき(すなわち、検出センサ14〜17の検出信号に基づいて制御装置19がn回連続して位置ずれ有りと判定したとき)行われる。
位置ずれの検出が例えば1回限りであれば、偶発的に生じた位置ずれを検出した可能性があるが、同じ挟持部3,3がn回の移動サイクルを繰り返す間、毎回の検出工程で連続して位置ずれを検出した場合、その原因は被包装物の付着による可能性が高いと考えられる。このように、位置ずれを1回検出しただけで直ちに清掃工程を行わないことで、無駄なエアの噴出を避けることができる。
一方、nを複数でなく単数(=1)に設定することも本発明に含まれる(ただしフローチャートには反映されていない)。この場合、位置ずれ有りの判定が出る毎に清掃工程を実施することになり、清掃行程におけるエア噴射量の増大を招くが、迅速に位置ずれを解消してシール不良等の不良袋の発生あるいは挟持部3,3からの袋の脱落がより確実に防止できる。
【0029】
(2)位置ずれが検出された挟持部3,3に対し清掃工程が行われた後、同じ挟持部3,3が前記移動経路に沿ってm(m:1又は複数)回移動サイクルを繰り返す間、前記挟持部3,3に対し一連の包装処理工程が行われず、清掃(再清掃)工程のみがm回繰り返して行われる。
一度清掃工程を行った後、続くm回の移動サイクルにおいて1回ずつ合計m回の再清掃工程を繰り返し行うことにより、粘着性の高い被包装物でもより確実に除去、清掃できる。
一方、位置ずれが検出された挟持部3,3に対し清掃工程が行われた後、次の移動サイクルにおいて再清掃工程を行わない(m=0に相当)ことも本発明に含まれる(ただしフローチャートには反映されていない)。この場合、前記次の移動サイクルでは一連の包装処理工程を通常どおり行えばよい。
【0030】
(3)位置ずれが検出された挟持部3,3に対し清掃工程が行われた後、次の移動サイクルにおける位置ずれ検出工程で、同じ挟持部3,3に再び位置ずれが検出された場合(すなわち、検出センサ14〜17の検出信号に基づいて制御装置が再び位置ずれ有りと判定した場合)、アラーム表示又は/及び袋詰め包装機の停止を行う。
この場合、挟持部3,3の清掃後も続けて基準ずれ量H,Hを超えるずれ量h,hが生じたということであるから、位置ずれの原因が被包装物の挟持部3,3への付着ではなく、例えば挟持部3,3に貼り付けたゴムの摩耗・劣化、空袋供給時に生じた位置決め不良等、他の原因である可能性がある。
【0031】
(ステップS1)
包装機の電源がオンにされ、同時に制御装置19の制御手順が開始される。
(ステップS2)
間欠移動するグリッパーが停止する毎に、制御装置19から位置ずれ検出装置に対し位置ずれ検出指令が出る。検出センサ14〜17により、停止位置VIに停止した挟持部3,3について袋4の位置ずれの検出が行われる。
(ステップS3)
検出センサ14〜17からの検出信号に基づき、制御装置19により位置ずれ発生の有無が判定される。先に述べたとおり、検出されたずれ量h,hの大きさが、予め設定された前述の基準ずれ量H,Hを超えたとき、位置ずれ有りと判定される。
【0032】
(ステップS4)
ステップS3で位置ずれ無しと判定されたとき、位置ずれ有りのカウント値をリセットする。つまり、後述するステップS5で“1”カウントアップされた位置ずれ有りのカウント値が1以上であればこれを0に戻す。前回の移動サイクルでも位置ずれ無しと判定されていた場合、カウント値は0を継続する。
(ステップS5)
ステップS3で位置ずれ有りと判定された場合、位置ずれ有りのカウント値を“1”カウントアップする。カウントアップ後のカウント値は、該当する前記挟持部3,3(停止位置VIに停止した挟持部3,3)について、これまで連続して位置ずれ有りの判定が出た回数である。
【0033】
(ステップS6)
カウントアップ後、該当する前記挟持部3,3に対し前回の移動サイクルにおいて清掃工程が実施されたかされなかったかが確認される。
(ステップS7)
ステップS6で清掃工程の実施が確認された場合、制御装置19から異常信号が発信され、例えばディスプレイへのアラーム表示又は/及び包装機の停止が行われる。この異常信号が発信された場合、必要に応じて、オペレーターが挟持部3,3のゴム、コンベアマガジン式給袋装置5(特に袋の位置決めに関係する箇所)の点検を行う。
【0034】
(ステップS8)
ステップS6で清掃工程の実施が確認されなかった場合、該当する前記挟持部3,3についての位置ずれ有りのカウント値が、基準カウント値n(n:複数)と比較される。カウント値が基準カウント値n未満であった(基準カウント値nに達しなかった)とき、ステップS2に戻る。
(ステップS9)
ステップS8においてカウント値が基準カウント値nであった(基準カウント値に達した)とき、まず該当する挟持部3,3について位置ずれ有りの判定のカウント値をリセットする(0に戻す)。
【0035】
(ステップS10)
続いて制御装置19は、該当する挟持部3,3が停止位置IXに停止し、前記挟持部3,3が開いて袋4を解放したとき、清掃装置に対して清掃指令信号を出す。これにより、エア噴射ノズル24,24から前記挟持部3,3に向けて加圧エアが噴射され、清掃工程が行われる。
(ステップS11)
ステップS10で清掃工程の実施後、制御装置19は、前記挟持部3,3が次回の移動サイクルに入るとき、前記挟持部3,3に対する袋の供給停止の指令信号を出し、コンベアマガジン式給袋装置5の給袋操作を停止させる。これにより次回の移動サイクルでは給袋工程後の包装処理工程も全て実施されず、清掃工程のみが実施されることになる。
【0036】
(ステップS12)
続いて制御装置19は、該当する挟持部3,3が再び停止位置IXに停止し、前記挟持部3,3が開いたとき、清掃装置に対して清掃指令信号を出す。これにより、エア噴射ノズル24,24から前記挟持部3,3に向けて加圧エアが噴射され、清掃工程(再清掃工程)が行われる。
(ステップS13)
最初の清掃工程後の清掃工程、すなわち再清掃工程のカウント値を“1”カウントアップする。カウントアップ後のカウント値は、ステップS10で行われた清掃工程後の移動サイクルにおいて、該当する挟持部3,3が再清掃工程を受けた回数(複数の場合は連続して再清掃工程を受けた回数)である。
【0037】
(ステップS14)
制御装置19において再清掃工程のカウント値(再清掃工程の連続実施回数)が、基準カウント値m(m:1又は複数)と比較される。このカウント値が基準カウント値m未満のとき(基準カウント値mに達しなかったとき)、次回の移動サイクルで再清掃工程を繰り返し行うため、ステップ11に戻る。
(ステップS15)
ステップS14において再清掃工程のカウント値が基準カウント値mであったとき(基準カウント値mに達したとき)、該当する挟持部3,3について清掃工程の連続カウント値をリセットし(0に戻す)、ステップ2に戻る。
【0038】
以上、特定の間欠回転式ロータリー型袋詰め包装機を例に、本発明に係る包装処理方法及び袋詰め包装機について説明したが、本発明を実施する上で、例えば次のような実施の形態も考えられる。
(1)上記の例では、位置ずれ検出センサ14〜17を停止位置VIに設置したが、これは充填工程が行われる位置(停止位置V)又はその下流側の前記移動経路に沿った適宜位置(当然停止位置IXより上流側)に設置することができる。
(2)上記の例では、エア噴出ノズル24,24を停止位置IXに設置したが、これは停止位置IXから停止位置Iまでの前記移動経路に沿った適宜位置に設置することができる。ただし、エア噴出ノズル24,24の噴射のタイミングは、停止位置IXに設置した場合は挟持部3,3が開いてから、停止位置Iに設置した場合は挟持部3,3が閉じるまでの範囲で設定される。
【0039】
(3)上記の例では、不良袋排出工程を考慮していなかったが、仮に同工程を行うことが必要な場合、停止位置IXの下流側、具体的には空き位置である停止位置Xで行うことができる(例えば特開2007−269401号公報参照)。この場合、エア噴出ノズル24,24は、停止位置Xから停止位置Iまでの前記移動経路に沿った適宜位置に設置する。
(4)上記の例では、停止位置IXにおいて袋4を挟持部3,3から解放し、落下させたが、本発明は、例えば特開2001−39408号公報に記載された充填機21のように、他の包装処理装置(具体的には同公報に記載された真空包装機22)に袋を受け渡しする袋詰め包装機にも適用できる。
【0040】
(5)以上の説明は、円形の移動経路を有する間欠回転式のロータリー型袋詰め包装機を例にして行ったが、先に述べたとおり、本発明は直線状やレーストラック形等の移動経路を有する袋詰め包装機、あるいはグリッパーが連続移動するタイプの袋詰め包装機にも適用できる。グリッパーが連続移動する場合、エア噴射ノズル24,24はグリッパーの挟持部3,3に所定距離追従移動し、次いで元の位置に復帰移動するタイプ(追従式開口ガイド8,8参照)であることが望ましい。
【符号の説明】
【0041】
2 テーブル
3 グリッパーの挟持部
4 袋
14〜17 位置ずれ検出センサ
18 反射板
24 エア噴射ノズル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
袋の両側縁部を挟持する左右一対の挟持部を有するグリッパーが複数組設置され、前記グリッパーが所定の移動経路に沿って移動し、その移動の過程で前記挟持部が所定のタイミングで開閉し、かつ前記挟持部が閉じて供給された袋の両側縁部を挟持する給袋工程、前記挟持部に挟持された袋へ被包装物を充填する充填工程、及び前記挟持部が開いて袋を解放する袋解放工程等の一連の包装処理工程が順次行われる袋詰め包装機の包装処理方法において、前記挟持部における袋の位置ずれの有無を検出する位置ずれ検出工程と、前記移動経路の近傍に配置されたエア噴射ノズルから前記挟持部にエアを噴射して清掃する清掃工程を有し、前記位置ずれ検出工程は、前記充填工程後前記挟持部が最初に開くまでの間に行われ、前記清掃工程は、前記位置ずれ検出行程で位置ずれが検出された場合に、位置ずれが検出された前記挟持部に対し、前記袋解放工程で前記挟持部が開いてから前記給袋工程で前記挟持部が閉じるまでの間で前記挟持部が開状態のときに行われることを特徴とする袋詰め包装機の包装処理方法。
【請求項2】
前記移動経路が環状の移動経路であり、前記グリッパーが前記移動経路に沿って1回転する間に前記一連の包装処理工程が行われることを特徴とする請求項1に記載された袋詰め包装機の包装処理方法。
【請求項3】
前記清掃行程は、前記一連の包装処理工程がn(n:複数)回繰り返して行われる間、前記位置ずれ検出行程において同一の挟持部についてn回連続して位置ずれが検出されたとき行われることを特徴とする請求項1又は2に記載された袋詰め包装機の包装処理方法。
【請求項4】
位置ずれが検出された挟持部に対し前記清掃工程が行われた後、前記挟持部が前記移動経路に沿ってm(m:1又は複数)回移動する間、前記挟持部に対し袋の供給が行われず、再清掃工程がm回繰り返して行われることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載された袋詰め包装機の包装処理方法。
【請求項5】
位置ずれが検出された挟持部に対し前記清掃工程が行われた後、次の位置ずれ検出工程において前記挟持部に再び位置ずれが検出された場合、アラーム表示又は/及び袋詰め包装機の停止を行うことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載された袋詰め包装機の包装処理方法。
【請求項6】
袋の両側縁部を挟持する左右一対の挟持部を有するグリッパーが複数組設置され、前記グリッパーが所定の移動経路に沿って移動し、その移動の過程で前記挟持部が所定のタイミングで開閉し、かつ前記挟持部が閉じて供給された袋の両側縁部を挟持する給袋工程、前記挟持部に挟持された袋へ被包装物を充填する充填工程、及び前記挟持部が開いて袋を解放する袋解放工程等の一連の包装処理工程が順次行われる袋詰め包装機において、前記充填工程が行われる位置又はその下流側の前記移動経路に沿った位置に、前記挟持部における袋の位置ずれの有無を検出する位置ずれ検出センサが配置され、前記袋解放工程が行われる位置又はその下流側でかつ前記給袋工程が行われる位置又はその上流側の前記移動経路に沿った位置に、開状態の挟持部に向けてエアを噴射するエア噴射ノズルが配置され、さらに前記位置ずれ検出センサの検出信号に基づいて前記エア噴射ノズルを制御する制御装置を備え、前記制御装置は、前記位置ずれ検出センサが位置ずれを検出した場合に、前記エア噴射ノズルに位置ずれが検出された前記挟持部に対しエア噴射を行わせることを特徴とする袋詰め包装機。
【請求項7】
前記移動経路が環状の移動経路であり、前記グリッパーが前記移動経路に沿って1回転する間に前記一連の包装処理工程が行われることを特徴とする請求項6に記載された袋詰め包装機。
【請求項8】
前記制御装置は、前記一連の包装処理工程がn(n:複数)回繰り返して行われる間、前記位置ずれ検出センサが同一の挟持部についてn回連続して位置ずれを検出した場合に、前記挟持部に対し前記エア噴射ノズルにエア噴射を行わせることを特徴とする請求項6又は7に記載された袋詰め包装機
【請求項9】
前記制御装置は、前記位置ずれ検出センサが位置ずれを検出した後、位置ずれが検出された挟持部に対し前記エア噴射ノズルにエア噴射を行わせ、さらに同一の挟持部が前記移動経路に沿ってm(m:1又は複数)回移動する間、前記挟持部に対し袋の供給を行わせず、前記エア噴射ノズルにm回繰り返してエア噴射を行わせることを特徴とする請求項6〜8のいずれかに記載された袋詰め包装機。
【請求項10】
前記制御装置は、前記エア噴射ノズルにエア噴射を行わせた後、次の位置ずれ検出工程において位置ずれが検出された場合、アラーム表示又は/及び袋詰め包装機の停止を行うことを特徴とする請求項6〜9のいずれかに記載された袋詰め包装機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−232780(P2012−232780A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−102558(P2011−102558)
【出願日】平成23年4月29日(2011.4.29)
【出願人】(000222727)東洋自動機株式会社 (91)
【Fターム(参考)】