説明

被包化された体空内から体組織を迅速に吸引及び採取するための装置

【課題】被包化された体腔から体組織を迅速に抽出するための装置および方法を提供する。
【解決手段】中空のエントリカニューレ101が体組織へのエントリを提供する。吸引カニューレ105は、エントリカニューレ101を通って挿入され、方向性を持ちながら体腔内を前進できるように操作される。オプションのスタイレット106が、吸引カニューレ105が体組織を通って前進することを補助し、吸引カニューレ105を通じた体組織抽出時には取り除かれる。吸引カニューレ105近端部にある陰圧源が制御陰圧を供給し、先端チップ130近くの吸い込み開口から組織が採取される。吸引カニューレ105は、同一エントリポイントを通って複数回挿入することが可能で、より多量の組織を吸引するために組織空間を通って次の吸引を行うために別の経路を辿る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願出願人は、2002年6月4日出願の米国仮特許出願番号第60/384,998号の優先日を主張する。
本発明は、概略的には医学分野に関し、より詳細には被包化された体腔から組織を迅速に抽出するための装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
骨髄は、赤血球、白血球及び血小板を形成する多能性造血幹細胞の豊富な供給源である。骨髄は、また、他の組織を再生する潜在性を備えた細胞の更なる母集団を含んでいる。
【0003】
1970年代初頭以来、骨髄移植及び造血幹細胞移植は、癌のみならず遺伝性及び自己免疫疾病をも含む様々な疾病治療に用いられている。現在、種々の適応症のために400,000を越す移植が毎年世界中で行われている。
【0004】
自家移植の場合、患者は高用量化学療法を受ける前に採取された自己の骨髄を保有する。骨髄機能を廃絶する高用量化学療法(患者骨髄幹細胞の大多数を廃絶する)の供与後に、貯蔵された自家骨髄(若しくは骨髄より精製又は濃縮された造血幹細胞)が輸液され、患者の血液リンパ系(hematolymphoid system)を『救助(rescue)』する。
【0005】
同種移植の場合、骨髄、若しくは、完全に又は部分的にヒト白血球抗原(HLA)と合致した兄弟、両親又は血縁関係を持たないドナーから取り出された造血幹細胞の他の源は、レシピエント患者に注入され、移植片の生着後、ドナーから取り出された細胞によってレシピエントの造血系(hematopoietic system)の再構成が行われる。
【0006】
化学療法及び/又は放射線療法を受けた患者の骨髄機能廃絶性又は非骨髄機能廃絶性の条件付けの後、骨髄はドナーの骨髄に含まれる造血幹細胞の投与及び生着を経て再生する。
【0007】
骨髄は、造血幹細胞及び造血前駆に加えて、筋肉、心筋層、血管系組織及び神経系組織、また場合によっては肝臓や膵臓などのある種の臓器組織へと分化する能力があると考えられている間葉及び他の幹細胞母集団も含む。前臨床動物試験及び臨床試験の最近の研究では、骨髄又は骨髄内に含まれる細胞のある部分が造血系以外の組織を再生する能力がある点を示唆する。前臨床動物試験の例としては、Rafii S等による「Contribution of marrow-derived progenitors to vascular and cardiac regeneration」、Semin Cell Dev Biol誌2002年2月;13(1):61−7が挙げられる。また、例えば臨床試験の方法としては、Strauer BE, Wernet P.等による「Repair of infracted myocardium by autologous intracoronary mononuclear bone marrow cell transplantation in humans」、 Circulation誌2002年10月8日;106(15):1913−8、及び、Stamm C等による論文「Autologous bone-marrow stem-cell transplantation for myocardial regeneration」、Lancet誌2003年1月4日;361(9351):45−6が挙げられる。ここでは、骨髄内の細胞に心筋梗塞後の心筋組織の再生能力乃至再生促進能力がある点に触れており、これは心機能及び患者の生存率が改善されていることからも明らかである(Strauer BE等による「Intracoronary, human autologous stem cell transplantation for myocardial regeneration following myocardial infarction」、 Dtsch Med Wochenschr誌、2001年8月24日;126(34−35):932−8)。
【0008】
また、骨髄由来幹細胞(bone marrow derived stem cell)も、損傷を受けた肝臓及び肝細胞、及び、脊髄を含む神経系(nervous system)の一部を再生する能力のあることが立証されている。ここで、肝臓及び肝細胞の例としては、Lagasse E等による「Purified hematopoietic stem cells can differentiate into hepatocytes in vivo」, Nature Medicine誌2000年11月;6(11):1229−34、脊髄に関しては、Wu S等による「Bone marrow stromal cells enhance differentiation of cocultured neurosphere cells and promote regeneration of injured spinal cord」、J Neurosci Res誌2003年5月1日;72(3):343−51、神経系の例としては、Cuevas P等による 「Peripheral nerve regeneration by bone marrow stromal cells」、Neurol Res誌2002年10月;24(7):634−8、Arthritis Res Ther誌2003年;5(1):32−45が挙げられる。腎臓を含む付加的な臓器系(organ system)においても骨髄由来細胞のもつ利点が示されている(Poulsom R等による「Bone marrow stem cells contribute to healing of the kidney」、J Am Soc Nephrol誌2003年1月;14(Suppl 1):S48−54)。骨髄及び骨髄内に含まれる幹細胞の利用は、将来、患者の治療において臨床的有用性を益々高めることができるものと思われる。
【0009】
移植に用いられる幹細胞は主として、次の2つの方法のいずれかにより採取される。第1に、骨髄に直接アクセすることによって(骨髄採取(bone marrow harvest))患者から骨髄を取り出すものであり、通常は手術室で骨髄採取法により行われ、後部腸骨稜から複数回の骨髄吸引によって行われる。第2の採取方法は、ドナーの末梢血から単核細胞を採取することによって行われる(末梢血には、多数のT−細胞数を含む他の細胞母集団同様、造血幹細胞の分画が含まれている)。この方法の場合、末梢血幹細胞は、ドナーが化学療法(通常、シクロホスファミド)か、またはサイトカイン顆粒球コロニー刺激因子(GCSF)による処置を受けた後に血漿交換(apheresis)によって採取される。シクロホスファミド又はGCSFによる処置は、血液中を循環する造血幹細胞数を動員して増加させる機能がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従来の骨髄採取法に見られるいくつかの欠点:
【0011】
500〜1000ミリリットルの骨髄を採取するためには、十分な量の骨髄を取り出すために複数回にわたり骨髄腔へ入ることが要求される。骨髄穿刺針(鋭い金属トロカール)が軟組織を通り、腸骨稜の外皮質を貫いて骨髄腔(空間)にセットされる。穿刺針は骨髄腔2cm未満の深さまで挿入される。陰圧は中空採取針を通じて付与される(通常、5〜10ミリリットルの骨髄を吸引する針が取り付けられた注射器をオペレータが吸引操作することにより陰圧が加えられる)。針及び注射器がドナーから抜き取られて採取した骨髄を取り出した後、穿刺針は次の採取のために腸骨稜の他の場所にアクセスされる。これは、移植に要する十分な量の骨髄を採取するために複数回にわたって実行される(平均的な患者の場合で約100〜200回にわたる個別の挿入が行われる)。個々の穿刺及び骨髄腔へのエントリ(挿入)は骨髄空間の僅かな領域に限られており、専門家の多くはそれぞれの骨髄穿通によって取り出せる骨髄量も5〜10ミリリットルが限度である。1つの骨髄エントリ部位からより多くの骨髄を抜き取ろうとすれば、採取されたサンプルは末梢血によって非常に希釈化されたものとなる。
【0012】
全身麻酔−骨髄を採取する際には全身麻酔が必要になる。腸骨稜は鋭い骨髄トロカールで100〜300回にわたり穿通されるので全身麻酔が必要となる。穿刺する表面積の広さと、複数回に及ぶ骨穿刺が必要となる点を考慮すると、局部麻酔法は一般的に不可能である。
【0013】
回復時間−ドナーは数時間後に全身麻酔から回復するが、手術室での気管内挿管により、しばしば数日間の咽頭炎に苦しむことになる。
【0014】
患者に課せられる時間−手術前準備、採取処置、麻酔からの回復及び採取処置後の観察のためにドナーには一泊の入院が課せられる。
【0015】
医師に課せられる時間:従来の骨髄採取方法では一般手術室スタッフに加えて、2名の移植担当医が必要であり(各医師は腸骨稜の左右側から骨髄を吸引する)、各移植担当医は処置におおよそ1時間を費やす。
【0016】
痛み−多くのドナーは複数回にわたる吸引(骨穿刺)により数日から数週間続く深刻な痛みに悩む。
【0017】
合併症−従来の骨髄穿刺は末梢血による深刻な汚染を招く。末梢血は大量の成熟T細胞(純粋でない骨髄)を含む。このT細胞は移植片対宿主病(GVHD)と呼ばれる臨床的現象を誘引する原因となる。GVHDは、移植後、移植片内のドナーT細胞がレシピエント(ホスト)の組織に対して急性及び慢性の形で反応を起こすものであり、合併症発現頻度が高くかつ高い死亡率を同種移植のレシピエントに招くことになる。
【0018】
高価である−移植の費用は、手術室使用費用、麻酔費用及び専門家による処置費用や、手術後の介護費用及び回復をはかるための費用を含み1.0〜1.5万ドルかかる。
【0019】
末梢血幹細胞採取にも同様に見られるいくつかの欠点:
【0020】
手間がかかりかつ時間を消費する−ドナーは骨髄採取の前に7〜10日にわたり高用量のサイトカインGCSFによる皮下注射を毎日受けることが要求される。この毎日の注射は不快感及び痛みを伴う。末梢血幹細胞は7日プラスαの準備期間を置かなければ採取することができない。
【0021】
費用−毎日の血漿交換費用はおおよそ3000ドルかかり(血漿交換装置の費用に加え、看護、使い捨て器材及び精製加工費用も含む)、患者は十分な幹細胞数が採取されるまでは数日間、通院しなければならない。GCSF薬剤の費用だけをみても、患者の体重にもよるが(通常、10μg/kg/dayの服用量)、6,000〜10,000ドルはかかる。
【0022】
合併症−既知の事実として十分な数の幹細胞を採取するには数日間が要求され、末梢血製剤の個々の嚢はそれぞれ別個に処理及び冷凍される。これらの嚢は、その後、解凍されて移植の際にレシピエント患者の体内に戻される。生成した冷凍媒体に含まれる薬剤の量によっては、生着の際にいくつかの軽度な副作用を生じさせる可能性がある。
【0023】
従って、侵襲性が最小であり、低コストで、全身麻酔を要求せず、回復期間を早く出来、骨髄ドナーに深刻な痛みを与えない、合併症を最小限に抑える短時間の骨髄採取処置が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0024】
本発明は、被包化された体腔から体組織を迅速に抽出する装置及び方法であって、装置はトロカールを収める中空の挿入カニューレを含んで構成される。エントリカニューレ及びコア要素は腸骨又は他の骨内に存在する骨髄空間などの体組織に挿入される。吸引カニューレはエントリカニューレを通じて体組織に差し込まれ、体腔を通って前進する。吸引カニューレ内には、スタイレット(吸引スタイレット)が備えられても良く、これによりカニューレは腔内の前進が容易となり、吸引カニューレを通じて容易に体組織を抽出するための抜き取りが可能になる。吸引カニューレは先端チップ近くに組織を吸引する吸い込み開口を備えている。吸引カニューレの近位端部には陰圧(吸い込み)源により制御された陰圧が供給され、これにより組織が吸引カニューレを通じて採取貯蔵所へと容易に吸引される。吸引カニューレは、これを引き抜いて同一の組織エントリポイントを通じ複数回の挿入を行うように調整して組織空間内で異なる経路を辿り進み、更なる他の組織を吸引することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の一実施例に従う被包体内から体組織を迅速に吸引及び採取するための装置を示した図。
【図2】本発明の一実施例に従うコア要素104を備えたエントリカニューレ101を示した図。
【図3】本発明の一実施例に従う吸引カニューレを示した図。
【図4a】本発明の一実施例従う1以上のステアリングワイヤーを有する吸引カニューレを示す図。
【図4b】本発明の一実施例に従う吸引カニューレの有孔壁及び横断面を示す図。
【図4c】本発明の一実施例に従う吸引カニューレのユニバーサルジョイントを示す図。
【図4d】本発明の一実施例に従う吸引カニューレのスカッシュプレートを示す図。
【図4e】本発明の一実施例に従う吸引カニューレの予め設定された屈曲の程度を示す図。
【図5】本発明の一実施例に従う溝付きカップを示す図。
【図6a】本発明の一実施例に従う先端チップを示す図。
【図6b】本発明の一実施例に従う鋭い先端、回転ドリルチップ及び超音波処理装置を示す図。
【図6c】本発明の一実施例に従う音超音波処理装置及び超音波トランスデューサを示す図。
【図6d】本発明の一実施例に従う丸みを帯びた先端を備えるように変更された先端チップの一例を示す図。
【図7】本発明の一実施例に従う吸引カニューレの先端チップ近傍における吸い込み開口を示す図。
【図8】本発明の一実施例に従う吸引カニューレの追加的なポートを示す図。
【図9】本発明の一実施例に従う投与するための物質又は液体を貯蔵する選択的な貯蔵所及び選択的な電気モータを示す図。
【図10a】本発明の一実施例に従う被包体内から体組織を迅速に吸引及び採取するための装置がどのようにして一人の手術者により1つの骨エントリポイントを通じて骨髄採取を可能にするかを示す図。
【図10b】複数回の骨穿刺及び複数回に分けた少量吸引を行う従来の骨髄採取処置を示す図。
【図11】本発明の一実施例に従う被包体内から体組織を迅速に吸引及び採取するための方法を示す図。
【図12】本発明の一実施例に従う身体一方の側に多数の吸引経路を有するエントリ位置を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
(概略)
本発明に係る装置は、骨髄及び/又は組織を迅速に吸引しかつ腸骨、大腿骨又は他の骨髄を内包する骨髄腔から十分な量の骨髄を吸引する。本装置は細長い吸引カニューレを収めるように構成された管腔(lumen)を含んで構成される。吸引カニューレは、骨壁(bone wall)を通じて挿入した後、そのエントリポイントを通じて大部分の骨髄空間にアクセスすることが可能なように、骨髄腔内を非線形で動くように制御され得る。吸引力が吸引カニューレに加えられ、骨髄又は他の吸引可能な物質を採取することができる。吸引可能な物質の閾値量を採取できないと判断された場合、同一骨壁エントリから又は他の骨壁に設けられたエントリから更なる採取が可能なように吸引カニューレの位置が調整される。
【0027】
被包化された体空間から最小の侵襲性で迅速に組織を吸引及び採取する本発明の装置及び方法は、本明細書に記載されているように、従来の採取システムに比し以下の利点がある:
【0028】
有効性−従来の抽出法の場合、個々の針挿入で採取できる骨髄量は僅かであり、陰圧は毛細血管から血液を吸い込み、抽出物を希釈していた。本明細書に記載されている発明の場合、骨髄腔のより広い範囲に直接接触しながら移動するので希釈化されないでより濃度の高い抽出物を吸い込むことができる。抽出された骨髄内の幹細胞は、装置が骨盤腔のより広い範囲に挿入されるのでその濃度は非常に高くなり、また、抽出によって形成される空隙には血液が引き込まれることになるので、その抽出物質が希釈化されることはほぼなくなる。汚染T細胞数の減少は、同種骨髄レシピエントの移植片対宿主病(GVHD)の発病率を低下させるものと思われる。骨髄の濃度がより高い分、摘出される骨髄の総量は少なくて済むことになる。
【0029】
効率−本明細書に記載された発明によって行われる採取は、骨髄腔へのアクセスポイントが身体の両側各1箇所で済むので、従来のトロカール採取よりも迅速に行われ、骨髄の濃度がより高いことから抽出される骨髄の総量がより少なくなる。1つの最善な骨髄アクセスポイントは、容易にアクセスできる前方腸骨稜アクセス部位である。これは患者の広範囲(痩せた人から肥満の人まで)に見つけること及びアクセスすることが容易なためであり、このエントリ部位の利用により採取時間の短縮化も期待できる。
【0030】
費用−本明細書に記載されている方法は、手術室を使用することなく、少ない補助員で済み麻酔医も不要であるので、従来の方法に比し相当安価である。血漿交換による末梢血造血幹細胞の吸引に関しては、GCSFサイトカイン処理のための6,000〜10,000ドルの費用で済み長時間にわたる(各4〜20+時間)血漿交換処理が不要となる。
【0031】
利便性:処置は手術室を使用せず単一のオペレータによって全身麻酔なしで実行されることが可能であるので、骨髄採取を実行するために要求される長時間の準備期間乃至前処理期間が不要となる。これは従来の採取方法では確実に耐えることができない危篤状態のレシピエント又は骨髄ドナーにとって有益である。また、骨髄及び/又は骨髄より取り出された幹細胞を後続の治療行為のために迅速に採取することができる。
【0032】
品質及び利点:
この装置及び方法は軟組織抽出分野に適用することがでる。具体的な用途としては、骨髄の吸引に限らず、脂肪の除去、血液及び筋肉の吸引が含まれる。骨髄採取法の更なる応用例を以下に説明する。
腸骨、大腿骨、骨髄を内包する骨髄腔若しくは骨髄空間から少量の又は多量の骨髄を迅速に抽出するための骨髄吸引装置を提供する。
骨髄腔への単一の皮膚及び骨穿刺部位を通じて骨髄などの組織を吸引する。
骨髄腔内におけるここに記載した本発明に係る方向性を制御する能力は、単一の挿入ポイントを通じて骨髄空間の広範囲にアクセスできる点にある。
本発明を通じて、骨髄又は他の吸引可能な物質(例えば脂肪)の吸引制御を提供する。
記載の発明は、骨髄採取時間を著しく短縮し、全身麻酔を必要としないので、従来の骨髄採取法に比し末梢血幹細胞採取費用を削減する結果となる。
骨髄腔内の様々な部位から多くの骨髄診断用サンプルへのアクセスが可能となる。
【0033】
図1は、本発明の一実施例に従う被包化された体空間内から体組織を迅速に吸引及び採取するための装置100(以下、「吸引装置」という)を示した図である。吸引カニューレ105にはハンドリングしやすく簡易操作のためのオプションのハンドル102が取り付けられている。
【0034】
図2は、本発明の一実施例に従うコア要素104を備えたエントリカニューレ101を示した図である。エントリカニューレ101は、コア要素104を収める中空の中央管腔を備える針を含んで構成され、例えば前部の腸骨稜、後部の腸骨稜、大腿骨側の転子、骨髄又は他の体組織を吸引するために他の部位を通って、骨髄腔や体組織への最初の挿入を行うために用いられる。吸引カニューレ105はエントリカニューレ101によって設けられたエントリを通じて体組織へ挿入される。
【0035】
コア要素104は、骨壁(又は他の組織境界)に切り口を入れ又は貫き、物質吸引用挿入口を作るトロカール又は他の要素を含んで構成される。オプションとして、エントリカニューレ101はコア要素104を用いずに骨壁に切り口を入れ又は穿刺するのに十分な強度を有することができる。
【0036】
他の実施例では、骨壁のエントリ(挿入孔)は、吸引カニューレ105の挿入のために骨(又は他の組織領域に)に対する準備処理として、エントリカニューレ101及び/又はコア要素104以外の例えば骨壁を砕き又は貫く別途のトロカール又は他の鋭利な道具などを使用して作られる。
【0037】
一旦、骨髄にエントリが作られてエントリカニューレ101が骨髄(又は吸引を目的とする他の体組織)に挿入されると、コア要素104は抜き取られ、骨髄腔へのアクセスを行うための中空エントリ管腔が後に残される。
【0038】
図3は本発明の一実施例に従う吸引カニューレ105を示した図である。吸引装置100は吸引カニューレ105を含んで構成され、該吸引カニューレ105は骨壁(又は他の組織領域)を貫いて骨髄空間にエントリする中空エントリカニューレ101を通じて挿入される。吸引カニューレ105は湾曲を与えるフレキシブルな材質で構成されており、骨髄腔(又は他の組織領域)を辿って進むことが可能である。一実施例において、吸引カニューレ105は長さが6〜16インチである。吸引カニューレ105のサイズは、患者及び/又は採取を目的とする骨髄腔(又は他の体組織領域)の大きさ及び骨格により様々に異なる。
【0039】
吸引カニューレ105はオプションとして、スタイレット(stylet)106(吸引スタイレット)を含んで構成される。オプションのスタイレット106が吸引カニューレ105内に挿入された場合、構造上の強度を向上させ、骨髄腔(又は他の組織領域)の中(例えば腸骨や大腿骨の骨髄内の骨髄空間)を通る吸引カニューレ105に、先立つ補助を提供する。オプションとして、吸引スタイレット106は、エントリカニューレ101を通じて体腔にエントリする前後に湾曲する所定の曲率で構成される。吸引スタイレット106を吸引カニューレ105から取り去ることで、吸引カニューレ105を通じて骨髄(又は他の体組織)を吸引することが可能になる。オプションとして、吸引スタイレット106は吸引カニューレ105内の閉塞物、例えば、骨破片、脂肪、凝固物、血塊又は吸引を遮断する他の物質などを取り除き及び/又は破砕するために用いられる。
【0040】
オプションとして、吸引カニューレ105は操作可能で方向付けが可能である。図4aは、本発明の一実施例に従う1以上のステアリングワイヤー107を備えた吸引カニューレ105を示している。オペレータの操作によるステアリングワイヤー107の伸縮は、該ステアリングワイヤー107の収縮及び/又は引っ張りの方向及び/又は位置に従って吸引カニューレ105に湾曲を生じさせる。オプションとして、図4bに示したように吸引カニューレ105は、フレキシブルな材質、及び/又は、湾曲や側面のフレキシブル性を高めるための吸引カニューレ105壁に設けられる有孔壁、及び/又は、湾曲軸を制限するための楕円形横断面を含んで構成される。また、オプションとして、吸引カニューレ105が体組織又は体腔に挿入される際、その吸引カニューレ105に方向性を提供するため、例えば、形状記憶合金(ニチノールなど)、形状記憶プラスチックなどの形状記憶物質、又は、例えば、吸引カニューレ105の湾曲形状を可能にする形状を記憶する他の金属又は非金属物質で構成される。
【0041】
オプションとして、図4cに示すように、吸引カニューレ105は回動中心を提供するユニバーサルジョイント109を含んで構成され、ステアリングワイヤー107の収縮乃至引っ張りによって吸引カニューレ105の操縦及び/又は方向付けが可能となる。
【0042】
オプションとして、図4dに示すように、吸引カニューレ105はスカッシュプレート110で構成され、ステアリングワイヤー107の伸縮によって吸引カニューレ105の操縦及び/又は方向付けが可能となる。
【0043】
オプションとして、図4eに示したように、吸引カニューレ105は、所定の曲率を備えて構成され、エントリカニューレ101を通って骨髄腔内に挿入された後、所定の曲率に従って湾曲し腔内を進む際の方向付けが容易となる。
【0044】
オプションとして、図5に示すように、溝(案内路)付きの案内カップ120は吸引カニューレ105を骨髄(又は他の体組織)内へ導くために用いられる。溝付きカップ120は1以上の溝121を含んで構成され、該溝121は吸引カニューレ105が骨髄へ挿入される際の方向付けを提供する。吸引カニューレ105を適切な溝121内に設置することにより、吸引カニューレ105はその選択された溝121に従った方向で挿入される。オプションとして、溝付きカップ120は溝121の簡易選択のための選択ダイヤル122を備え、該選択した溝121を通じて吸引カニューレ105を骨髄空間へ案内する。
【0045】
図6aに示したように本発明の一実施例によれば、吸引装置100は、骨髄腔(又は他の体組織)を貫いて進むために、吸引カニューレ105の遠位端部又はオプションの吸引スタイレット106の遠位端部に先端チップ130を含んで構成される。
【0046】
図6bに示したように、先端チップ130は、シャープチップ131、回転ドリルチップ132(回転ドリルチップ132は手動式又は動力式である。動力式回転ドリルチップの場合、例えば図9に示したように電気モータ162を動力源とし、バッテリー163又は外部電源からの電力を使用するモーター106によって作動される。オプションとして、可変速度を制御可能及び/又は可逆可能なドリルチップで構成されることができる)、超音波処理装置133(組織破砕のための装置)又は骨髄(又は他の体組織)を貫いて突き通り及び/又は前進するためのその他の組織を破砕するものを含んで構成される。
【0047】
オプションとして図6cに示したように、先端チップ130は、例えば、骨壁(又は他の組織境界)への先端チップ130又は吸引カニューレ105の接近を表示するフィードバックを行うなど、吸引カニューレ105の操縦性を補助するために、骨髄腔(又は他の体組織)内のナビゲーション及び/又は可視誘導を行う超音波トランスデューサ乃至他のナビゲーション要素134を含んで構成される。
【0048】
オプションとして、先端チップ130が、例えば骨壁や境界面に接触した場合、体空間又は腔(例えば、骨髄腔又は他の体組織領域など)の中から外に穿刺しないように、その骨壁や境界に沿って横滑り移動するよう一部変更される。このように機能するよう、図6dに示した先端チップ130の他の例では丸みを帯びた(先端が尖っていない)チップ135を備えるように一部変更される。
【0049】
オプションとして、吸引装置100は、吸引カニューレ105の位置を視認できるよう、例えばX線や超音波装置などの撮像装置と連動して使用するために放射線不透過性(radio-opaque)物質及び/又は放射線透過性(radio-transparent)物質との組み合わせを含んで構成される。例えば、吸引カニューレ105及び/又は他の部品は放射線透過性であって、吸引カニューレ105が該吸引カニューレ105の長さに沿った放射線不透過性の視覚ガイド(例えば、X線や他の放射線透過法を使用する)を含んで構成されればよい(例えば、骨髄腔又は他の体組織領域を吸引カニューレ105がどれだけ進んだかを示す視覚的な距離標識を持つストリップ)。
【0050】
図7に示したように、本発明の一実施例に従う吸引カニューレ105は、陰圧を利用することにより骨髄又は他の組織を吸い込むことができる、先端チップ130近傍に設けられた1以上の吸い込み開口150を含んで構成される。陰圧要素は吸引カニューレ105の近端部に連結されており、陰圧を加えて骨髄(又は他の体組織)貯蔵所に骨髄(又は他の体組織)を吸引(吸込み)する。一実施例において、陰圧要素は注射器を含んで構成される。他の実施例では、陰圧要素は電力供給装置(例えば、制御された陰圧を提供する壁掛け式連続陰圧装置又は他の電力供給装置など)を含んで構成される。ハンドル102は、例えば適切な陰圧を与える圧力ゲートを制御するなど吸引陰圧又は吸引度を制御するための選択的なトリガー要素103(図9参照)を備える。
【0051】
オプションとして、吸引装置100は、吸引処置の間、痛みを和らげ及び/又は感覚を弱めるための減痛装置を含んで構成される。例えば、吸引カニューレ105は、骨髄採取領域の痛みを和らげる電気的神経刺激を提供する(1998年5月、シュトラウス等による米国特許第6,159、163号参照)1以上の部位を含んで構成されることも可能である。
【0052】
オプションとして、エントリカニューレ101及び/又は吸引カニューレ105の内壁を抗凝血性物質(例えばヘパリン)で覆い、血液及び/又は骨髄が凝固して骨髄又は体組織の吸引を妨げるのを防止する。オプションとして、エントリカニューレ101及び/又は吸引カニューレ105は凝血を防ぎ及び/又は凝血塊を溶かすために抗凝血性溶剤で洗浄される。
【0053】
オプションとして、図8に示すように、吸引カニューレ105は、物質又は液体(例えば前述の抗凝血剤など)を投与することができる1以上の追加ポート160を備える。吸引カニューレ105のオプションポートは、その吸引カニューレに発生する血液又は組織の凝塊を取り除き又は除去するスタイレットの挿入を可能にする。図9に示すように、吸引装置100は、物質又は液体(例えば前述の抗凝血剤など)を投与するためのオプションである貯蔵所161を含んで構成される。
【0054】
図9に、吸引カニューレ105が骨髄空間(又は他の体組織領域)外側にあり及び/又は内側に挿入されている間、当該吸引カニューレ105を操作し、案内し、挿入(前進)し及び/又は引き込むステアリング制御手段140の一例を示す。前述の実施例において、吸引カニューレ105は1以上のステアリングワイヤー107を含んで構成され、ステアリング制御手段140の動作が1以上のステアリングワイヤー107の伸縮を生じさせ、これにより吸引カニューレ105に湾曲及び/又は方向変化がもたらされる。一実施例において、ステアリング制御手段140は、例えば、吸引カニューレ105の操縦又は操作を手で行うことができる手動制御である。例えば、装置100を前方へ動かすと吸引カニューレ105に前進を生じさせ、装置100を後方へ動かすと吸引カニューレ105に後退をもたらし、ステアリング制御手段140を異なる方向(例えば、左右上下など)に操作する動作は吸引カニューレ105にそれに対応する方向(例えば左右上下など)への湾曲を生じさせる。他の実施例では、ステアリング制御手段140は、例えば、吸引カニューレ105(図9参照)を操作し及び/又は前進させ及び後退させる、複数の操作方向を持つ親指スティック又は1以上のボタンなどの電力供給制御手段を含んで構成される。
【0055】
エントリカニューレ101及び/又は吸引カニューレ105の長さ及び/又は直径及び/又はフレキシブル性(柔軟性)及び/又は曲率は、異なる骨格に対応するように(例えば、年齢、骨サイズ、体脂肪量及び患者を特徴づける他の要因などの相違に対応するように)、そして、例えば、骨髄、脂肪(脂肪吸引)、患者腹部の体液(例えば肝疾患の場合)などの体組織を採取するために、又は、例えば腫瘍などの軟組織塊から低侵襲を除去するために、選択されることができる。例を挙げると、小児であれば吸引カニューレ105はより短く、よりフレキシブルに富むことが要求される。他の例として、大腿骨側の転子又は前方の腸骨稜を経た骨髄の吸引は、軟組織で骨が覆われている後方の腸骨稜を経た骨髄吸引に比し、より短いエントリカニューレ101及び/又は吸引カニューレ105が要求されてもよい。
【0056】
骨髄由来幹細胞は、心筋梗塞(MI)後の損傷を受けた心筋層の機能を再生し又は向上するために利用されることができ、及び鬱血性心不全の治療や再発防止に有益とされる科学的な証拠が多数存在する。心臓の再生に用いる骨髄由来幹細胞及び他の治療に用いる再生幹細胞を迅速にかつ容易に得ることが重要である。例えば;最近、重度の心筋梗塞と診断された一人の患者は、カテーテル法を行う特別室に運ばれ、インターベーショナル心臓専門医によって閉塞冠動脈を広げるための血管形成手術を受ける。血管形成手術前又は手術中若しくは手術後に、吸引装置100を使用して多量の骨髄が採取される。骨髄は造血幹細胞又は他の母集団又は骨髄に含まれる細胞の分画を濃縮するために迅速に処理が施される。これらの細胞は、その後、梗塞や損傷又は急性心虚血による二次的な壊死又は他の急性又は心筋組織に対する慢性的な発作を受けた心臓部位へ、他の抽出装置のカテーテルを経て送られる。この送られた骨髄又は幹細胞要素は、心筋の再生、又は、心機能及び患者の機能状態及び死亡率の改善のために梗塞領域乃至誘導領域における心機能向上のための他の行為に寄与する。選択的に、骨髄は初期の心臓カテーテル処置とは別個に採取されることもあり(例えば、MI発症7日後)、その別個の処置において、幹細胞又は幹細胞用の濃縮された骨髄が、例えば冠動脈注射又は筋肉注射など多数の搬送手段によって送られることができる。最小侵襲性採取装置100の使用は、重症な患者から及び従来の骨髄採取処置に耐えることが困難な患者からの採取を容易にする。
【0057】
吸引装置100は、図10bに示した数十回から数百回にもおよぶ骨穿刺及び個別の少量吸引の代わりに、図10aに示したように1つの骨エントリポイントを通じて一人のオペレータによる骨髄採取を可能とするので、従来の骨髄採取処置を大幅に改善する。
【0058】
図11に、本発明の一実施例に従う被包化された体空間から体組織を迅速に吸引及び採取するための方法を示す。エントリカニューレ101(及び/又は、エントリを提供した後に取り除かれるエントリカニューレ101のコア要素104)を用いて骨髄にエントリを提供(200)した後、中空エントリ管腔が骨髄腔へアクセスするためにそのまま残される。次に、吸引カニューレ105が中空エントリカニューレ101を通じて配置され(201)、骨髄空間へと案内される。次に、吸引カニューレ105は、先端チップ130の補助を受け、続いて行う骨髄腔を辿った移動のために操作(ステアリング制御手段140を用いて)される(202)。
【0059】
前述したように、吸引カニューレ105は、フレキシブル性及び/又は湾曲性を備えているため、腔内(例えば、腸骨又は大腿骨の骨髄内の骨髄空間)の湾曲部に辿って進むことが可能であり、吸引カニューレ105の先端チップ130にあるオプションとしての超音波トランスデューサによって移動が補助され及び腔の広さを明確にすることができる。
【0060】
一旦、吸引カテーテルが完全に体腔内に挿入されると、例えば注射器又は前述した電力が供給された陰圧装置により陰圧が加えられる(203)。骨髄が吸引されるにつれて、吸引カニューレ105は吸引を続けながら緩やかに収納(回収)される(204)。十分な量の骨髄が吸引されると(205)、吸引過程は終了する(206)。一方、吸引量が不十分な場合(207)、吸引カニューレ105の収納の後、その吸引カニューレ105の湾曲率及び/又は方向が調整され(208)、そして、吸引カニューレ105は、エントリを通じて骨髄腔へ再び挿入され、異なる経路を辿るように空間内で操作されて更なる骨髄を吸引する。この過程は例えば3〜4回繰り返すことができ、その結果、骨髄腔(例えば腸骨稜)から広範囲にわたる骨髄を吸引することが可能となる。この過程は必要に応じて身体の両側(図12には身体の一方側に複数の吸引経路を有するエントリ位置を示している)で繰り返し行うことができる。
【0061】
前述の通り、ここでは、異なる個々の患者の骨格及び腸骨又は他の骨組織に適応するために、所定の又は修正可能な湾曲率及び/又は長さ及び/又は直径及び/又はフレキシブル性を備えた1以上の吸引カニューレ105のオプションがある。前述の通り、吸引された骨髄は、初期貯蔵のために及び/又は後の操作(例えば、フィルタリング、幹細胞の濃縮化、又は骨髄の他の後続操作又は処理)のために閉システムを通じて直接、骨髄貯蔵所又は容器に入れられる。
【0062】
本明細書において例示した装置および方法は、被包化された体空間内から体組織を迅速に吸引及び採取する上で多くの利点を備えている。オペレータによる吸引カニューレの方向制御は、カニューレによる骨髄腔への直接の広範囲にわたる接触を可能にし、その結果、従来技術に比しより凝縮した骨髄を吸引することを可能にする。加えて、本明細書に示した装置によって実行される採取は、人体のそれぞれの片側に1箇所のアクセスポイントしか取れず採取物質の総容量も少ないトロカールを用いて採取する従来技術よりも、迅速に行うことができる。最後に、上述した概要の処置は、その処置時間が短縮され及び補助員を減らすことができるので、骨髄及び/又は組織の採取費用を軽減することができる。
【0063】
本発明による前述に記載の一実施例は、具体例及びその解説として提供したものである。これらは、本発明が記述のものと寸分違わない形態に限定されることを意図したものではない。このことを考慮すれば、本発明をその他に変形し及びその他の実施形態も可能であり、それ故、本発明の範囲は、「詳細な説明」によって限定されるものではなく、むしろ「請求の範囲」によるものであることを意図している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレキシブル性を全長に備え、体組織を取り入れる開口が1以上設けられた第1端部と、体組織を吸引する吸引要素に連結される第2端部とを含む中空の吸引カニューレと、
前記吸引カニューレの前記第1端部の先端に設けられ、前記吸引カニューレが体組織を前進するときに前記吸引カニューレの軸心回りに回転可能なチップと、
前記吸引カニューレが体組織へ挿入される際の方向付けを提供する案内路が複数設けらると共に該案内路を選択するための選択ダイヤルを備え、該選択ダイヤルにより選択された前記案内路を通じて前記吸引カニューレを案内する案内カップと、
を含んで構成され、
前記チップは、体組織を破砕し、前記吸引カニューレが体組織を前進すること及び体組織を吸引することを可能にし、及び、前記フレキシブル性は、前記吸引カニューレが前記チップに補助されながら体組織内で線形又は非線形経路を辿って進むことを可能にする、
ことを特徴とする組織を吸引する装置。
【請求項2】
フレキシブル性を全長に備え、体組織を取り入れる開口が1以上設けられた第1端部と、体組織を吸引する吸引要素に連結される第2端部とを含む中空の吸引カニューレと、
前記吸引カニューレの前記第1端部の先端に設けられ、前記吸引カニューレが体組織を前進するときに前記吸引カニューレの軸心回りに回転可能なチップと、
を含んで構成され、
前記チップは、体組織を破砕し、前記吸引カニューレが体組織を前進すること及び体組織を吸引することを可能にし、及び、前記フレキシブル性は、前記吸引カニューレが前記チップに補助されながら体組織内で線形又は非線形経路を辿って進むことを可能にし、
そして、前記吸引カニューレは、湾曲軸を制限するための非正円形の横断面を有する、
ことを特徴とする組織を吸引する装置。
【請求項3】
フレキシブル性を全長に備え、体組織を取り入れる開口が1以上設けられた第1端部と、体組織を吸引する吸引要素に連結される第2端部とを含む中空の吸引カニューレと、
前記吸引カニューレの前記第1端部の先端に設けられ、前記吸引カニューレが体組織を前進するときに前記吸引カニューレの軸心回りに回転可能なチップと、
前記吸引カニューレの長さに沿った放射線不透過性の視覚ガイドと、
を含んで構成され、
前記チップは、体組織を破砕し、前記吸引カニューレが体組織を前進すること及び体組織を吸引することを可能にし、及び、前記フレキシブル性は、前記吸引カニューレが前記チップに補助されながら体組織内で線形又は非線形経路を辿って進むことを可能にする、
ことを特徴とする組織を吸引する装置。
【請求項4】
前記チップは、体組織を被包化する境界の内壁に接触したときに該境界を貫通しないように回転しながら内壁に沿って横滑り移動可能である、請求項1〜3のいずれかに記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4a】
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【図4b】
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【図4c】
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【図4d】
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【図4e】
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【図5】
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【図6a】
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【図6b】
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【図6c】
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【図6d】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10a】
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【図10b】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−229938(P2011−229938A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−152419(P2011−152419)
【出願日】平成23年7月11日(2011.7.11)
【分割の表示】特願2004−508671(P2004−508671)の分割
【原出願日】平成15年6月4日(2003.6.4)
【出願人】(504448782)オフィス オブ テクノロジー ライセンシング スタンフォード ユニバーシティ (1)
【氏名又は名称原語表記】OFFICE OF TECHNOLOGY LICENSING STANFORD UNIVERSITY
【Fターム(参考)】