説明

被覆されたモレキュラーシーブ

【課題】小型化された装置において使用されるために十分に小さく、一方で、有機化合物(特に、非極性有機化合物)における均一な分散のためにもまた好適でなければならないモレキュラーシーブを提供すること。
【解決手段】本発明は、1000nm以下の粒子サイズを有する粒子を含み、粒子の表面が一般式SiRのシランにより被覆される疎水性被覆されたモレキュラーシーブ、同様にまた、その製造方法、および、その使用方法に関する。加えて、本発明は、そのような被覆されたモレキュラーシーブの使用、同様にまた、そのようなモレキュラーシーブを含む組成物、および、装置(例えば、電子的構成要素および電子デバイスなど)の製造における使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被覆されたモレキュラーシーブおよびその調製方法に関する。加えて、本発明は、被覆されたモレキュラーシーブの使用、および、モレキュラーシーブを含む組成物に関する。本発明はさらに、装置(例えば、電子的構成要素および電子デバイスなど)の製造におけるモレキュラーシーブの使用、および、モレキュラーシーブを含む組成物の使用、同様にまた、モレキュラーシーブを備える装置(例えば、電子的構成要素および電子デバイスなど)に関する。本発明は、特に、疎水性被覆されたモレキュラーシーブおよびその製造方法に関する。加えて、本発明は、疎水性被覆されたモレキュラーシーブの使用、および、疎水性被覆されたモレキュラーシーブを含む組成物に関する。本発明はさらに、装置(例えば、電子的構成要素および電子デバイスなど)の製造における疎水性被覆されたモレキュラーシーブの使用、および、疎水性被覆されたモレキュラーシーブを含む組成物の使用、同様にまた、疎水性被覆されたモレキュラーシーブを備える装置(例えば、電子的構成要素および電子デバイスなど)に関する。
【背景技術】
【0002】
現代の電気的および電子的な構成要素およびデバイスは多くの場合、周囲の雰囲気に由来するガス状分子(例えば、酸素または水蒸気など)に対して敏感である材料または物質を含んでおり、そのような構成要素およびデバイスはそのような分子の作用の結果として攻撃され、例えば、浸食または加水分解の結果として破壊されることがある。様々な構成要素およびデバイスにおけるそのような材料を保護する1つの慣用の方法が、構成要素およびデバイスが環境から気密に密封される封入によって提供される。これに関連して、それにもかかわらず内部に浸透する、そのようなガス分子を捕捉することができる、いわゆる「ゲッター」を、封入された構成要素またはデバイスの内部に取り込むこともまた常套手段である。
【0003】
慣用のゲッター材料は、化学反応によって小分子(例えば、ガス分子または水)と結合すること(「吸収」)ができる物質、または、小分子(例えば、ガス分子または水)を物理的に取り込むこと(「吸着」)ができる物質である。現在使用されているゲッター材料は金属または金属合金またはモレキュラーシーブである。材料または構成要素を湿気(水分)またはガス(例えば、酸素)の有害な影響から保護するために使用されるそのようなゲッター材料が、とりわけ、(特許文献1、特許文献2、特許文献3)に記載される。
【0004】
封入された構成要素またはデバイスの内部にゲッター材料を取り込むことのほかに、構成要素またはデバイスの内部の感受性材料を封じるために、あるいは、構成要素そのものまたはデバイスそのものを封じるために使用される有機材料に、ゲッター材料を取り込むこともまた可能である。例えば、ゲッター材料を、構成要素またはデバイスを封入するために、あるいは、その外皮と接着剤により結合するために、あるいは、構成要素またはデバイスを被覆により覆うためにその後で使用される有機ポリマー、接着剤または表面被覆組成物に配合することができる。バリア特性を有する接着剤組成物が(特許文献4)に開示され、また、(特許文献5)は無機/有機ポリシロキサンハイブリッドポリマーを記載する。さらには、(特許文献6)は、ゲッターの調製において使用される、ゼオライト、有機バインダーおよび溶媒を含む成形可能なペーストを開示する。特許文献7は、電子的構成要素の、湿気を含まない封じられた筺体を製造するために、プロトン化されたアルミノケイ酸塩の粉末と、ポリマーとからなる被覆物および接着剤を記載する。すべてのそのような組成物は、マトリックス(ペースト)において、均一に分散されずに、程度に差はあるが、粗く埋め込まれるゲッター材料を含む。そのような組成物はどれも、透明な層をもたらすことができず、また、印刷プロセスにおいて使用することもできない。
【0005】
近年では、多くの電気デバイスおよび電子デバイスの小型化への傾向がますます見られている。この進行し続けている小型化は、感受性の材料、構成要素またはデバイスを、周囲の雰囲気に由来する湿気または他の有害なガス分子から保護することに関して、特に多くの問題を生じさせている。一方では、保護されなければならない感受性材料の量がより一層少なくなり続けており、その結果、比較的少数のガス分子でさえ、感受性材料に損傷を与えるには十分である。したがって、保護は、可能な限り、たった1個の有害なガス分子が感受性材料に到達しないように良好でなければならない。他方では、封入された構成要素またはデバイスの内部において利用可能である空間が一層より小さくなり続けており、その結果、ゲッターは、そのような大きさの装置において使用することができるように、可能な限り小さい形態でなければならない。たとえ、ゲッターが、そのような大きさの構成要素またはデバイスを封じるために封印層または被覆層に取り込まれることになるとしても、ゲッターは、できる限り小さい形態でなければならない。これは、構成要素または材料を保護する層の厚さが減少し続けているだけでなく、領域に関する大きさ(幅および深さ)もまた減少し続けており、このことはゲッター材料の可能な粒子サイズを制限し、その結果、粒子サイズが数マイクロメートルの領域にある慣用のゲッター材料の使用は不都合または実現不可能であり得るからである。特に、電子的構成要素(例えば、MEMSデバイスなど)の現在、急速に進行し続けている小型化の流れ、および、例えば、電子的構成要素を含有する光学電子装置の一層さらに小型化の流れにおいて、慣用のゲッター材料の使用は今や、限られた程度でしか可能でない。これは、慣用ゲッター材料は、通常では数マイクロメートルのサイズを有する粒子で存在するという事実のためである。
【0006】
ポリマーと、表面被覆組成物または接着剤と、ゲッター材料とを含む複合材料が、感受性の材料、物質、構成要素またはデバイスを封入するために使用されることになるとき、個々の粒子が、複合材料からなる層の厚さと比較して、小さいならば、また、個々の粒子が均一に分布させられるならば、ゲッター材料は、そのような材料、構成要素またはデバイスを特に効果的に保護することができる。粒子が、コンポジット層の厚さと比較して、大きすぎるならば、ガスまたは水分のための通路が、図1に示されるように、層におけるゲッター粒子の統計学的分布のために、粒子が存在しない場所において形成され得る。他方で、ガスまたは水分のための通路はまた、図2に示されるように、ゲッター粒子の集積または凝集が生じる場所において形成され得る。そのような理由のために、ゲッター材料は、ゲッター材料が複合材料において一緒に存在する有機化合物における良好な分散性を有しなければならない。封じる目的のために習慣的に使用される多くの有機化合物(例えば、ポリマー、接着剤または表面被覆組成物など)における不良な分散性は、慣用のゲッター材料のさらなる欠点である。
【0007】
例えば、慣用のゲッター材料(例えば、ゼオライトなど)は、多くのポリマー、接着剤、表面被覆組成物および溶媒などがそうであるように、非極性媒体において、ただ単に不良な分散性を有するだけである。一般に、酸化物材料(これにはまた、ゼオライトが含まれる)は、非極性溶媒において分散性が不良であり、しかし、対照的に、良好な分散性を、水、酸水溶液および塩基水溶液において有する。そのような反応についての理由は、そのようなクラスの物質の表面化学にある。酸化物材料(これにはまた、ゼオライトが含まれる)の外側表面は通常、終端がOH基である(非特許文献1)。酸化物が水に分散されられるとき、そのようなOH基と、水との間における多様な相互作用が生じる。水素架橋による結合が形成されることができ、これにより、酸化物に付着する水層がもたらされる。酸化物表面におけるそのような付着する水層の存在は、酸化物を安定な水性懸濁物の形態で得ることを可能にさせるという結果をもたらす。これは、酸化物の粒子が互いに接触することができず、したがって、凝集することもまたできないからである。溶液のpHに依存して、ゼオライトは、表面に位置するOH基の一部がプロトンを失うか、または獲得することの結果として、プロトンを失い得るか、または、プロトンを獲得し得る。その後、問題としているOH基はO中心として存在するか、または、OH基として存在する。酸化物表面のさらなる電荷により、水性懸濁物のさらなる安定化がもたらされる。これは、互いに接近する粒子が反発力を受け、したがって、互いに接触すること、または、凝集すること、または、塊を形成することができないからである。
【0008】
しかしながら、非極性の環境では、例えば、有機溶媒(例えば、ヘキサン、トルエンまたは石油エーテルなど)または低極性の液状の融解ポリマー(ポリエチレンなど)では、溶媒分子は水素架橋による結合を形成することができないので、酸化物表面と、溶媒との間における上述の相互作用が生じ得ない。加えて、電荷が低極性の分子によって安定化されない。このことは、非極性溶媒における酸化物の表面は非常にわずかな程度にしか荷電するにすぎないことを意味する。したがって、酸化物粒子間の反発力が存在しないか、または、非常に小さい程度にしか存在しない。したがって、非極性溶媒における酸化物物質は、図3に示されるように、凝集体または塊になる。この場合には、表面に存在するOH基の縮合反応が生じることが多く、その結果、粒子相互の不可逆的成長が生じ、それにしたがって、大きい凝集体が形成される。これらの凝集物はもはや分散させることができない。
【0009】
酸化物粒子を非極性溶媒に分散させるために、問題としている酸化物の表面に位置するOH基を、問題としている溶媒に対してできる限り類似する有機基により官能基化することができる。そのような表面被覆物が、例えば、(特許文献8)に記載される。
【0010】
したがって、酸化物粒子の表面を非極性の共有結合した基により被覆することができる。共有結合による化学的に耐久性を有する結合の形成が望ましい。なぜなら、非極性基の喪失は、増大した凝集傾向を有する粒子をもたらし得るからである。例えば、「(非特許文献2)に記載されるように、イオン結合を上回る耐久性の共有結合の形成が好ましい。これは、イオン対の形成に基づくイオン結合は他のイオンによって容易に切断され得るからである。
【0011】
縮合反応は、そのような様式で被覆された粒子の表面における、反応が遅い有機基の間では起こり得ない。したがって、粒子間の相互作用は主としてファンデルワールス力に基づく。このことは、2つの粒子が互いに接触するならば、2つの粒子は永続的かつ不可逆的に凝集することができないことを意味する。そのような官能基化された酸化物は良好な分散性を非極性溶媒において有する。
【0012】
官能基化のための慣用の試薬はクロロシラン化合物であり、例えば、トリメチルクロロシラン(TMSC1)または同様にジエチルジクロロシランなどである。アルキルハロシランを使用して表面修飾されたゼオライト粉末が、例えば、(特許文献9)に記載される。酸化物がそのような種類の試薬と反応させられるとき、図4に示されるように、塩化水素が分離し、共有結合が、シラン基と、酸化物の表面との間において形成される。しかしながら、これらの試薬は、ゲッター材料が腐食性の塩化水素分子によって攻撃され得るという欠点を有する。本発明の発明者らによる研究では、特に、アルキルハロシランがゼオライト粒子の構造を破壊することが示されている;粒子が小さいほど、そのような粒子の相対的な外側表面積における増大のために、影響はより顕著である。一般に、多孔性の粒子は、おそらくは、腐食性のハロゲン化合物により、外側からだけでなく、同時に、内側からもまた攻撃されるので、特にそのような破壊に悩まされる。ハロシラン試薬が使用されるとき、多孔性の粒子が被覆されているときに、粒子の細孔、内部経路および空隙が被覆および/または遮断もしくは封鎖され得ることもまた不都合である。内部の表面が、図5に示されるように、被覆もされず、また、遮断もされず、したがって、その元の特性を保持するシステムが望ましい。
【0013】
したがって、酸化物のゲッター材料(例えば、ゼオライトなど)はまた、非特許文献3に記載されるように、外側表面をシラン化するためにアルコキシシランと反応させられる。しかしながら、そのような様式で修飾されたゼオライトは、さらなる修飾のための中間体として単に上記文献に記載されているだけである。このことは可能である。なぜなら、特に、そのように修飾されたゼオライトは、前記文献で記載されるように、修飾されていないゼオライトと類似する表面特性を有するからである。このプロセスにおいて、特に、水性媒体において相互に架橋することができるシランカップリング剤が使用される。この効果が、例えば、ゼオライト粒子のコロイド状の水性懸濁物を安定化させるために、シランカップリング剤のアミノプロピルトリメトキシシランまたはグリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン(これらは特許文献10に記載される)により被覆されるゼオライト粒子の場合において利用される。そのような様式で表面修飾されたゼオライトを製造するためのプロセス、ならびに、洗剤および清浄剤におけるその使用が、特許文献11に記載される。そのような表面修飾ゼオライトは、それらの使用によれば、親油性の有機化合物(例えば、アルカンなど)にそれに従って不均一に分散し得る親水性の粒子である。
【0014】
慣用のゼオライトは通常、数マイクロメートルの粒子サイズを有し(例えば、非特許文献4を参照のこと)、例えば、非特許文献5に記載されるように被覆することができる。しかしながら、そのような情報源には、ポリマーにおけるそのような被覆ゼオライト粒子の分散特性、または、より一般には、非極性媒体におけるそのような被覆ゼオライト粒子の分散特性が記載されていない。薄い層でのゲッター材料としての被覆ゼオライトの使用もまた記載されていない。
【0015】
慣用のゲッター材料をポリマーにおいて使用することのさらなる欠点は、ポリマーが、ポリマーの屈折率とは異なる屈折率、および、可視光についての約40nmのMie散乱限界をはるかに超える平均サイズを有するゲッター粒子により引き起こされる散乱プロセスによって曇るという可能性である。透明な層が、例えば、太陽電池またはOLEDを封入するために要求されるように作製されることになるならば、そのような曇りは避けなければならないか、または、できる限り低くしなければならない。
【0016】
慣用のゲッターのさらなる欠点は、そのサイズのために、慣用のゲッターは、小型化された電子的構成要素および電子デバイスを製造するための慣例の方法との適合性がないことである。そのような装置は、今日では通常、自動装置(例えば、印刷装置または噴霧装置など)を使用して機械によって好適な表面に印刷される。それにおいて使用される印刷用ノズルは数マイクロメートルの領域での内径を有する。そのために、処理されることになるゲッター含有液体は、ノズルの内径よりも大きいサイズを有する粒子を含有してはならないだけでなく、ノズルを詰まらせるかもしれない固体の凝集物もまた含有してはならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】DE3218625A1
【特許文献2】DE3511323A1
【特許文献3】DE3101128A1
【特許文献4】DE10344449A1
【特許文献5】DE19853971A1
【特許文献6】US2004/0132893A1
【特許文献7】米国特許第5,401,536号
【特許文献8】DE10319937A1
【特許文献9】EP1020403A1
【特許文献10】DE10056362A1
【特許文献11】EP0088158A1
【特許文献12】JP86−120459
【特許文献13】国際特許出願公開WO02/40403A1
【非特許文献】
【0018】
【非特許文献1】Nature and Estimation of Functional Groups on Solid Surfaces,H.P.Boehm,H.Knozinger,Catalysis Science and Technology,第4巻,Springer Verlag,Heidelberg,1983
【非特許文献2】「The surface modification of zeolite−4A by CTMAB and its properties」,L.Guo,Y.Chen,J.Yang,Journal of Wuhan University of Technology,Materials Science and Engineering,Wuhan University of Technology,Materials Science Edition(1999),14(4),18−23
【非特許文献3】「Surface organometallic chemistry on zeolites:a tool for modifying the sorption properties of zeolites」,A.Choplin,Journal of Molecular Catalysis(1994),86(1−3),501−512
【非特許文献4】Sudchemie AG社の情報小冊子「Dessipaste(商標)」
【非特許文献5】「Silylation of micro−,meso−,and non−porous oxides:a review」,N.Impens;P.Van der Voort;E.Vansant;Microporous and Mesoporous Materials(1999),28(2),217
【非特許文献6】「Chemical modifications of oxide surfaces」;P.Cool;E.Vansant;Trends in Physical Chemistry(1999),7,145−158
【非特許文献7】H.Liら、Nature、402(1999)、276
【非特許文献8】「Optical properties of natural and cation−exchanged heulandite group zeolites」,J.Palmer、M.Gunter;American Mineralogist(2000),85(1),225
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本明細書中下記に記載される本発明にとっての問題は、慣用の材料の上記の欠点を克服することであった。
【0020】
本発明は特に、小型化された装置において使用されるために十分に小さく、一方で、有機化合物(特に、非極性有機化合物)における均一な分散のためにもまた好適でなければならないモレキュラーシーブを提供しなければならない。そのようなモレキュラーシーブはまた、透明な層を製造するために好適でなければならない。さらには、そのようなモレキュラーシーブはまた、印刷方法における処理に好適でなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0021】
徹底した研究の後で、本発明の発明者らは、本発明のための問題が、1000nm以下の粒子サイズを有する粒子を含み、粒子の表面が、下記の一般式のシラン:
SiR
(式中、ラジカルR、R、RまたはRの少なくとも1つが加水分解可能な基を含有し、残りのラジカルR、R、R基およびRが互いに独立して、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロアリール、アルキルシクロアルキル、ヘテロ(アルキルシクロアルキル)、ヘテロシクロアルキル、アリール、アリールアルキルまたはヘテロ(アリールアルキル)ラジカルである)
により被覆されるモレキュラーシーブ(特に、疎水性被覆されたモレキュラーシーブ)によって解決されることを見出している。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】(a)有機ポリマーと、(b)ゲッター粒子とを含む2層システムの構造を概略的に示す図である。
【図2】a)ポリマー、クラスター(c)を形成するゲッター粒子b)とを含む層を概略的に示す図である。図面に含まれる矢印は、水が拡散するための最短経路を表す。
【図3】表面OH基を有する酸化物粒子が凝集することを概略的に示す図である。a)は酸化物粒子の内側を表す。
【図4】表面OH基を有する酸化物粒子の疎水性化を概略的に示す図である。a)は酸化物粒子の内側を表す。
【図5】細孔構造を有する酸化物粒子の疎水性化を概略的に示す図である。a)は酸化物粒子の内側を表す。
【図6】交互のバリア層(a)と、ポリマー/モレキュラーシーブコンポジット(b)とからなる多層構造を概略的に示す図である。
【図7】実施例において使用されるゼオライトLTAの粒子についての典型的なサイズ分布を示す図である。質量分布が粒子直径(nm単位)に対してプロットされる。
【図8】水透過試験のための構成を概略的に示す図であり、a)は、無水の青色の塩化コバルトを含浸させた紙を表し、b)はポリマー層を表し、c)は水を表す。
【図9】塩化コバルトを使用する複合材料のバリア特性の調査(水透過試験)の結果を記録する写真である。写真において、無水の青色の塩化コバルトが暗い灰色として現れ、水性のピンク色の塩化コバルトが明るい灰色として現れる。上段は比較用サンプルを示し、下段は本発明によるサンプルを示す(それぞれの場合において、試験開始時(3分)ならびに28分後および100分後)。
【図10】本発明によるモレキュラーシーブを含む表面被覆組成物の特性をカルシウムミラー試験によって調べた結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明は、1000nm以下の粒子サイズを有する粒子を含み、粒子の表面が、下記の一般式のシラン:
SiR
(式中、ラジカルR、R、RまたはRの少なくとも1つが加水分解可能な基を含有し、残りのラジカルR、R、RおよびRが互いに独立して、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロアリール、アルキルシクロアルキル、ヘテロ(アルキルシクロアルキル)、ヘテロシクロアルキル、アリール、アリールアルキルまたはヘテロ(アリールアルキル)ラジカルである)
により被覆される疎水性被覆されたモレキュラーシーブに関する。
【0024】
好ましい実施形態において、ラジカルR、R、RまたはRの少なくとも1つが、アルコキシ基およびシアニド基から選択される加水分解可能な基を含有する。
【0025】
これに関連して、用語「モレキュラーシーブ」は、特に、小分子と結合することができる化合物を意味する。この関連での表現「小分子」は、例えば、2個〜12個の原子からなる分子、好ましくは、2個〜6個の原子からなる分子、特に、2個〜3個の原子からなる分子を示す。これらの分子は、通常の条件のもとでは、例えば、周囲の雰囲気において見出され得るガスの形態であり得る。そのような分子の好ましい例が、空気に含有されるガスであり、例えば、酸素(O)、または、同様に、水(HO)などである。モレキュラーシーブによるこれらの分子の結合は一般には可逆的または不可逆的であり、好ましくは可逆的である。モレキュラーシーブは好ましくは、その表面においてだけでなく、その細孔の内部においてもまた小分子と結合することができる多孔性の化合物である。そのようなモレキュラーシーブの好ましい例が、例えば、古典的な固体酸化物または現在のハイブリッド材料である。
【0026】
これに関連して、用語「酸化物固体」は、特に、結晶性の固体、部分的に結晶性の固体または非結晶性の固体の形態で存在する無機化合物を意味する。周期律表の主族または亜族の1つまたは複数の元素のカチオンを含めて、金属カチオンのほかに、そのような種類の酸化物固体は、酸素原子を含むアニオンを含む。そのようなアニオンの好ましい例が、酸化物アニオン(O2−)、超酸化物アニオン(O)および過酸化物アニオン(O2−)のほかに、同様に、主族および亜族の1つまたは複数の元素の酸化物に基づくアニオンであり、例えば、イオウ酸化物アニオン、リン酸塩アニオン、ケイ酸塩アニオン、ホウ酸塩アニオン、アルミン酸塩アニオンおよびタングステン酸塩アニオンなどである。そのようなアニオンは、例えば、孤立した形態で存在し得るか、あるいは、例えば、鎖、群、層、構造体またはケージなどの形態で縮合し得る。そのような種類の縮合型アニオンには、主族および亜族の1つまたは複数の元素の酸化物が含まれ得る。この場合、多数の異なる元素が1つの縮合型アニオンに含まれることが可能である。
【0027】
用語「ハイブリッド材料」は、特に、無機化学だけでなく、有機化学にもまた、従来的に割り当てられてきた様々な元素を含有する化合物を意味する。そのような種類のハイブリッド材料の好ましい例が、例えば、金属原子のほかに、金属原子に結合した有機分子を含む有機金属化合物である。これに関連して、金属原子と、有機分子との間における結合はイオン性または共有結合性が可能である。そのような化合物の構成成分は、例えば、鎖、群、カラム、層、構造体およびケージなどを形成するために、2次元または3次元で一緒に連結され得る。その構成成分およびその結合の性質に依存して、そのような化合物は、剛直性または柔軟性の特性を有する固体の形態であり得る。好ましい例が、有機金属ポリマーのクラスに由来する化合物、または、いわゆるMOF(有機金属錯体の構造体)化合物のクラスに由来する化合物である。そのような種類のハイブリッド材料の好ましい例が、例えば、遷移金属元素(例えば、銅または亜鉛など)と、金属原子との結合の形成のために好適である2つ以上の官能基(例えば、カルボン酸官能基、アミン官能基およびチオール官能基など)を有機鎖または有機構造体または有機環系(例えば、ピリジン環、ピペリジン環、ピロール環、インドール環またはピラジン環など)に有する有機分子とを含む化合物である。好ましい例が、例えば、亜鉛と、長鎖(C6〜C18)の炭化水素骨格を有するα,ω−ジカルボン酸とのハイブリッド化合物、または、亜鉛と、カルボン酸官能基により置換された窒素含有環系との化合物である。そのような化合物は、例えば、H.Liら、Nature、402(1999)、276(非特許文献7)に記載されるMOF−5であり、3次元固体の形態で得ることができ、小分子と結合することができる。
【0028】
用語「粒子」は、特に、好ましくはばらばらの粒子の形態で存在するモレキュラーシーブの個々の粒子または小さい部分を意味する。粒子は単結晶の形態で存在し得るか、あるいは、粒子自身が、互いに固く結び付けられる凝集したより小さい結晶性または非結晶性の粒子を含むことができる。例えば、個々の粒子は、より小さい単結晶子からなるモザイク化合物の形態で存在することができる。粒子は、丸い形状(例えば、球状、卵形)で、または、楕円体などの形状で、または、角張った形状で、例えば、立方体、平行六面体もしくはフレークなどの形状で存在することができる。好ましくは、粒子は球状である。
【0029】
用語「粒子サイズ」は、本明細書中では、粒子の最大直径を意味する。この表現は、被覆されていない粒子の最大直径、および、シラン被覆された粒子の最大直径の両方について本明細書中では使用され、しかし、特に、被覆された粒子の最大直径について使用される。粒子の粒子サイズは、例えば、動的光散乱の原理を使用する従来の方法によって求められる。その目的のために、粒子は、好適な不活性な溶媒に懸濁または分散され、好適な測定デバイスを使用して測定される。粒子のサイズはまた、SEM(走査型電子顕微鏡)像を使用する測定によって求めることができる。個々の粒子は好ましくは球状である。粒子の粒子サイズは1000nm以下であり、好ましくは800nm以下であり、より好ましくは600nm以下であり、一層より好ましくは400nm以下であり、一層より好ましくは300nm以下であり、一層より好ましくは200nm以下であり、一層より好ましくは100nm以下であり、一層より好ましくは40nm以下であり、特に、26.6nm以下である。最小粒子サイズは2nm以上であり、好ましくは5nm以上であり、より好ましくは10nm以上であり、特に15nm以上である。
【0030】
用語「水酸化ラジカル」は−OH基を意味する。
【0031】
用語「アルキルラジカル」は、特に1個〜20個の炭素原子を有し、好ましくは1個〜12個の炭素原子を有し、より好ましくは1個〜8個の炭素原子を有し、非常に好ましくは1個〜6個の炭素原子を有する飽和した直鎖炭化水素基または分枝型炭化水素基を意味し、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、sec−ペンチル基、tert−ペンチル基、n−ヘキシル基、2,2−ジメチルブチル基またはn−オクチル基を意味する。一層より好ましいものが、3個〜8個の炭素原子(特に、3個〜6個の炭素原子)を有する分枝型炭化水素基であるアルキルラジカルであり、例えば、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、sec−ペンチル基、tert−ペンチル基または2,2−ジメチルブチル基である。分枝型アルキルラジカルを有するシランの使用は好都合には、大きな程度の疎水性を有する本発明によるモレキュラーシーブをもたらす。これは、おそらくは、親水性のモレキュラーシーブ表面が溶媒から良好に遮蔽されることによって引き起こされる。本発明によって理解されるようなアルキルラジカルはシランの中心のケイ素原子にケイ素−炭素の結合によって結合し、加水分解性ではない。
【0032】
用語「アルケニルラジカル」および用語「アルキニルラジカル」は、特に2個〜20個の炭素原子を有し、好ましくは2個〜12個の炭素原子を有し、非常に好ましくは2個〜6個の炭素原子を有する、少なくとも部分的に不飽和である直鎖炭化水素基または分枝型炭化水素基を示し、例えば、ビニル基またはエテニル基、アリル基、アセチレニル基、プロパルギル基、イソプレニル基またはヘキサ−2−エニル基を示す。好ましいものが、1つまたは2つ(特に1つ)の二重結合を有するアルケニル基、および、1つまたは2つ(特に1つ)の三重結合を有するアルキニル基である。本発明によって理解されるようなアルケニルラジカルまたはアルキニルラジカルはシランの中心のケイ素原子にケイ素−炭素の結合によって結合し、加水分解性ではない。
【0033】
さらには、用語「アルキルラジカル」、用語「アルケニルラジカル」および用語「アルキニルラジカル」は、例えば、1つまたは複数の水素原子が、それぞれの場合において、ハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素またはヨウ素)によって、あるいは、−COOH、−OH、−SH、−NH、−NO、=O、=S、=NHの1つまたは複数の、可能であれば異なる基によって、例えば、クロロメチル基、ブロモメチル基、トリフルオロメチル基、2−クロロエチル基、2−ブロモエチル基、2,2,2−トリクロロエチル基またはヘプタデカフルオロ−1,1,2,2,−テトラヒドロデシル基によって置換されている基を示す。
【0034】
用語「ヘテロアルキルラジカル」は、1つまたは複数(好ましくは、1個、2個または3個)の炭素原子が、酸素原子、窒素原子、リン原子、ホウ素原子、セレン原子、ケイ素原子またはイオウ原子(好ましくは、酸素、イオウまたは窒素)によって置換されているアルキル、アルケニルまたはアルキニルラジカルを示す。用語「ヘテロアルキル」はさらには、カルボン酸に由来する基を示し、例えば、アシル、アシルアルキル、アルコキシカルボニル、アシルオキシアルキルまたはカルボキシアルキルアミドなどを示す。
【0035】
ヘテロアルキル基の好ましい例が下記式の基である。R−O−Y−、R−S−Y−、R−N(R)−Y−、R−CO−Y−、R−O−CO−Y−、R−CO−O−Y−、R−CO−N(R)−Y−、R−N(R)−CO−Y−、R−O−CO−N(R)−Y−、R−N(R)−CO−O−Y■、R−N(R)−CO−N(R)−Y−、R−O−CO−O−Y−、R−N(R)−C(=NR)−N(R)−Y−、R−CS−Y−、R−O−CS−Y−、R−CS−O−Y−、R−CS−N(R)−Y−、R−N(R)−CS−Y−、R−O−CS−N(R)−Y−、R−N(R)−CS−O−Y−、R−N(R)−CS−N(R)−Y−、R−O−CS−O−Y−、R−S−CO−Y−、R−CO−S−Y−、R−S−CO−N(R)−Y−、R−N(R)−CO−S−Y−、R−S−CO−O−Y−、R−O−CO−S−Y−、R−S−CO−S−Y−、R−S−CS−Y−、R−CS−S−Y−、R−S−CS−N(R)−Y−、R−N(R)−CS−S−Y−、R−S−CS−O−Y−、R−O−CS−S−Y−、式中、Rは、水素原子、C〜Cアルキル基、C〜Cアルケニル基またはC〜Cアルキニル基であり、Rは、水素原子、C〜Cアルキル基、C〜Cアルケニル基またはC〜Cアルキニル基であり、Rは、水素原子、C〜Cアルキル基、C〜Cアルケニル基またはC〜Cアルキニル基であり、Rは、水素原子、C〜Cアルキル基、C〜Cアルケニル基またはC〜Cアルキニル基であり、Yは、直接の結合、C〜Cアルキレン基、C〜Cアルケニレン基またはC〜Cアルキニレン基であり、ただし、それぞれのヘテロアルキル基は少なくとも1個の炭素原子および1つまたは複数の水素原子を含有し、互いに独立して、それぞれの場合において、フッ素原子、塩素原子、ヨウ素原子または臭素原子によって置換されていてもよい。結合Yが、ケイ素原子と、ヘテロ原子(例えば、窒素、酸素またはイオウ)との間に存在するならば、その結合は一般に加水分解され得る。加水分解可能なヘテロアルキル基の好ましい例が、例えば、アルコキシ基であり、例えば、メトキシ、トリフルオロメトキシ、エトキシ、n−プロピルオキシ、イソプロピルオキシおよびtert−ブトキシ基である。加水分解可能なヘテロアルキル基のさらなる好ましい例がニトリル基またはシアニド基である。シランの中心のケイ素原子にケイ素−炭素の結合によって結合するヘテロアルキルラジカルは一般には加水分解性ではない。非加水分解性のヘテロアルキルラジカルの具体的な例が、メトキシメチル、エトキシメチル、メトキシエチル、メチルアミノメチル、エチルアミノメチルおよびジイソプロピルアミノエチルである。
【0036】
用語「シクロアルキルラジカル」は、特に3個〜14個の炭素原子、好ましくは3個〜10個の炭素原子(特に、3個、4個、5個、6個または7個の炭素原子)を含有する骨組みを形成する1つまたは複数の環(好ましくは、1つ、2つまたは3つ)を有する飽和した環状基または部分的に不飽和である環状基(例えば、シクロアルケニル基)を示す。用語「シクロアルキル」はさらには、1つまたは複数の水素原子が、互いに独立して、それぞれの場合において、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子によって、あるいは、−COOH基、−OH基、=O基、−SH基、=S基、−NH基、=NH基または−NO基の1つによって置換されている基を示し、例えば、非加水分解性の環状ケトン(例えば、シクロヘキサノン、2−シクロへキセノンまたはシクロペンタノンなど)を示す。本発明によるシクロアルキルラジカルは、置換された基(例えば、−OHまたは−SH)を介してシランの中心のケイ素原子に連結され得る。そのようなシクロアルキル基は一般に加水分解可能である。好ましくは、本発明によるシクロアルキル基はシランの中心のケイ素原子にケイ素−炭素の結合によって結合し、加水分解性ではない。非加水分解性のシクロアルキル基の好ましい例が、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、スピロ[4,5]デカニル基、ノルボルニル基、シクロヘキシル基、シクロペンテニル基、シクロヘキサジエニル基、デカリニル基、キュバニル基、ビシクロ[4.3.0]ノニル基、テトラリン基、シクロペンチルシクロヘキシル基、フルオロシクロヘキシル基、シクロヘキサ−2−エニル基またはアダマンチル基である。
【0037】
用語「ヘテロシクロアルキルラジカル」は、1つまたは複数(好ましくは、1個、2個または3個)の環炭素原子が、酸素原子、窒素原子、ケイ素原子、セレン原子、リン原子またはイオウ原子(好ましくは、酸素、イオウまたは窒素)によって置換されている本明細書中前述で定義されるようなシクロアルキル基を示す。ヘテロシクロアルキル基は、好ましくは3個〜10個(好ましくは、3個、4個、5個、6個または7個)の環原子を有する1つまたは2つの環を有する。用語「ヘテロシクロアルキルラジカル」はさらには、1つまたは複数の水素原子が、互いに独立して、それぞれの場合において、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子によって、あるいは、−COOH基、−OH基、=O基、−SH基、=S基、−NH基、=NH基または−NO基の1つによって置換されている基を示す。直接の結合が、シランのケイ素原子と、ヘテロシクロアルキル基のヘテロ原子(例えば、酸素、窒素またはイオウ)との間に存在するならば、この結合、および、結果として、完全な基が一般に加水分解され得る。好ましくは、本発明によるヘテロシクロアルキルラジカルはシランの中心のケイ素原子にケイ素−炭素の結合によって結合し、加水分解性ではない。加水分解可能なヘテロシクロアルキルラジカルの例が、例えば、1−ピペラジニル、N−ピロリジニルまたはN−ピペリジルであり、一方で、例えば、2−ピロリジニルまたは3−ピペリジルは非加水分解性のヘテロシクロアルキルラジカルの例である。
【0038】
用語「アルキルシクロアルキルラジカル」は、上記の定義に従ったシクロアルキル基と、同様に、上記の定義に従ったアルキル基、アルケニル基またはアルキニル基との両方を含有する基を示し、例えば、アルキルシクロアルキル基、アルキルシクロアルケニル基、アルケニルシクロアルキル基およびアルキニルシクロアルキル基を示す。アルキルシクロアルキル基は好ましくは、3個〜10個(特に、3個、4個、5個、6個または7個)の環炭素原子を有する1つまたは2つの環を含むシクロアルキル基と、1個または2個〜6個の炭素原子を有する1つまたは2つのアルキル基、アルケニル基またはアルキニル基とを含有する。
【0039】
用語「ヘテロ(アルキルシクロアルキル)ラジカル」は、1つまたは複数(好ましくは、1個、2個または3個)の環炭素原子および/または炭素原子が、酸素原子、窒素原子、ケイ素原子、セレン原子、リン原子またはイオウ原子(好ましくは、酸素、イオウまたは窒素)によって置換されている本明細書中前記で定義されるようなアルキルシクロアルキル基を示す。ヘテロ(アルキルシクロアルキル)基は好ましくは、3個〜10個(特に、3個、4個、5個、6個または7個)の環原子を有する1つまたは2つの環と、1個または2個〜6個の炭素原子を有する1つまたは2つのアルキル基、アルケニル基、アルキニル基またはヘテロアルキル基とを有する。直接の結合が、シランのケイ素原子と、ヘテロ(アルキルシクロアルキル)ラジカルのヘテロ原子(例えば、酸素、窒素またはイオウ)との間に存在するならば、この結合、および、したがって、ラジカル全体が一般に加水分解され得る。好ましくは、本発明によるアリールラジカルはシランの中心のケイ素原子にケイ素−炭素の結合によって結合し、加水分解性ではない。非加水分解性の基の好ましい例が、アルキルヘテロシクロアルキル、アルキルヘテロシクロアルケニル、アルケニルヘテロシクロアルキル、アルキニルヘテロシクロアルキル、ヘテロ(アルキルシクロアルキル)、ヘテロアルキルヘテロシクロアルキルおよびヘテロアルキルヘテロシクロアルケニルであり、この場合、環状基は、飽和、モノ不飽和、ジ不飽和またはトリ不飽和である。
【0040】
用語「アリールラジカル」は、特に6個〜14個の環炭素原子、好ましくは6個〜10個(特に、6個)の環炭素原子を有する1つまたは複数の環を有する芳香族基を示す。用語「アリールラジカル」(または「Ar」)はさらには、1つまたは複数の水素原子が、互いに独立して、それぞれの場合において、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子によって、あるいは、−COOH基、−OH基、−SH基、−NH基または−NO基の1つによって置換されている基を示す。直接の結合が、シランのケイ素原子と、対応する置換されたアリールラジカルのヘテロ原子(例えば、酸素、窒素またはイオウ)との間に存在するならば、この結合、および、したがって、ラジカル全体が一般に加水分解され得る。加水分解可能なアリールラジカルの例がフェノキシまたはアニリノラジカルである。好ましくは、本発明によるアリールラジカルはシランの中心のケイ素原子にケイ素−炭素の結合によって結合し、加水分解性ではない。非加水分解性の基およびラジカルの好ましい例が、フェニル、ベンジル、ナフチル、ビフェニル、2−フルオロフェニル、アニリニル、3−ニトロフェニル、4−ヒドロキシフェニルまたはペンタフルオロフェニルラジカルである。フェニルラジカルが特に好ましい。アリールラジカル(例えば、フェニルラジカルなど)を有するシランの使用は好都合には、大きな程度の疎水性を有する本発明によるモレキュラーシーブをもたらす。これは、おそらくは、親水性のモレキュラーシーブ表面が溶媒から良好に遮蔽されることによって引き起こされる。
【0041】
用語「ヘテロアリールラジカル」は、特に5個〜14個の環原子、好ましくは5個〜10個(特に、5個または6個)の環原子を有する1つまたは複数の環と、1つまたは複数(好ましくは、1個、2個、3個または4個)の酸素環原子、窒素環原子、リン環原子またはイオウ環原子(好ましくは、酸素、イオウまたは窒素)とを含有する芳香族基を示す。用語「ヘテロアリールラジカル」はさらには、1つまたは複数の水素原子が、互いに独立して、それぞれの場合において、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子によって、あるいは、−COOH基、−OH基、−SH基、−NH基または−NO基の1つによって置換されている基を示す。直接の結合が、シランのケイ素原子と、ヘテロアリールラジカルのヘテロ原子(例えば、酸素、窒素またはイオウ)との間に存在するならば、この結合、および、したがって、ラジカル全体が一般に加水分解され得る。加水分解可能なヘテロシクロアルキルラジカルの例が、例えば、1−ピリジルまたはN−ピロリルであり、一方で、例えば、2−ピリジルまたは2−ピロリルは非加水分解性のヘテロシクロアルキルラジカルの例である。
【0042】
用語「アリールアルキルラジカル」は、上記の定義に従ったアリール基と、同様に、上記の定義に従ったアルキル基、アルケニル基、アルキニル基および/またはシクロアルキル基との両方を含有する基を示し、例えば、アリールアルキル基、アルキルアリール基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アリールシクロアルキル基、アリールシクロアルケニル基、アルキルアリールシクロアルキル基およびアルキルアリールシクロアルケニル基を示す。アリールアルキルの具体的な例が、トルエン、キシレン、メシチレン、スチレン、ベンジルクロリド、o−フルオロトルエン、1H−インデン、テトラリン、ジヒドロナフタレン、インダノン、フェニルシクロペンチル、クメン、シクロヘキシルフェニル、フルオレンおよびインダンである。好ましくは、アリールアルキル基は、6個〜10個の環炭素原子を有する1つまたは2つの芳香族環と、1個または2個〜6個の炭素原子を有する1つまたは2つのアルキル基、アルケニル基および/またはアルキニル基、ならびに/あるいは、5個〜6個の環炭素原子を有するシクロアルキル基とを含有する。
【0043】
用語「ヘテロ(アリールアルキル)ラジカル」は、1つまたは複数(好ましくは、1個、2個、3個または4個)の環炭素原子および/または炭素原子が、酸素原子、窒素原子、ケイ素原子、セレン原子、リン原子、ホウ素原子またはイオウ原子(好ましくは、酸素、イオウまたは窒素)によって置換されている本明細書中前述で定義されるようなアリールアルキル基、すなわち、上記の定義に従ったアリール基またはヘテロアリール基と、同様に、上記の定義に従ったアルキル基、アルケニル基、アルキニル基および/またはヘテロアルキル基および/またはシクロアルキル基および/またはヘテロシクロアルキル基との両方を含有する基を示す。好ましくは、ヘテロ(アリールアルキル)基は、5個または6個〜10個の環炭素原子を有する1つまたは2つの芳香族環と、1個または2個〜6個の炭素原子を有する1つまたは2つのアルキル基、アルケニル基および/またはアルキニル基、ならびに/あるいは、5個または6個の環炭素原子を有するシクロアルキル基とを含有し、ただし、そのような炭素原子の1個、2個、3個または4個が、酸素原子、イオウ原子または窒素原子によって置換されている。好ましい例が、アリールヘテロアルキル基、アリールヘテロシクロアルキル基、アリールヘテロシクロアルケニル基、アリールアルキルヘテロシクロアルキル基、アリールアルケニルヘテロシクロアルキル基、アリールアルキニルヘテロシクロアルキル基、アリールアルキルヘテロシクロアルケニル基、ヘテロアリールアルキル基、ヘテロアリールアルケニル基、ヘテロアリールアルキニル基、ヘテロアリールヘテロアルキル基、ヘテロアリールシクロアルキル基、ヘテロアリールシクロアルケニル基、ヘテロアリールヘテロシクロアルキル基、ヘテロアリールヘテロシクロアルケニル基、ヘテロアリールアルキルシクロアルキル基、ヘテロアリールアルキルヘテロシクロアルケニル基、ヘテロアリールヘテロアルキルシクロアルキル基、ヘテロアリールヘテロアルキルシクロアルケニル基およびヘテロアリールヘテロアルキルヘテロシクロアルキル基であり、ただし、環状基は、飽和、あるいは、モノ不飽和、ジ不飽和またはトリ不飽和である。直接の結合が、シランのケイ素原子と、ヘテロ(アリールアルキル)ラジカルのヘテロ原子(例えば、酸素、窒素またはイオウ)との間に存在するならば、この結合は一般に加水分解され得る。ヘテロ(アリールアルキル)ラジカルがシランの中心のケイ素原子にケイ素−炭素の結合によって結合するならば、ヘテロ(アリールアルキル)ラジカルは一般に加水分解性ではない。
【0044】
用語「シクロアルキル」、「ヘテロシクロアルキル」、「アルキルシクロアルキル」、「ヘテロ(アルキルシクロアルキル)」、「アリール」、「ヘテロアリール」、「アリールアルキル」および「ヘテロ(アリールアルキル)」は、また1つまたは複数の水素原子が、互いに独立して、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子、あるいは、OH基、=O基、SH基、=S基、NH基、=NH基またはNO基によって置換されている基を示す。これらの用語はさらには、非置換のC〜Cアルキル基、C〜Cアルケニル基、C〜Cアルキニル基、C〜Cヘテロアルキル基、C〜C10シクロアルキル基、C〜Cヘテロシクロアルキル基、C〜C10アリール基、C〜Cヘテロアリール基、C〜C12アリールアルキル基またはC〜C11ヘテロ(アリールアルキル)基によって置換される基を示す。
【0045】
好ましくは、上記のラジカルのそれぞれにおいて、すべての水素原子が、ハロゲン原子によって、特に、フッ素原子によって置換され得る。特に、本発明によるモレキュラーシーブが液相において使用されるとき、例えば、本発明によるモレキュラーシーブが液体の有機化合物に分散されるとき、ペルフッ素化されたラジカルを有するシランの使用が好都合であり得る。例えば、液体の有機化合物における本発明によるモレキュラーシーブの分散物が、例えば、噴霧装置を使用する噴霧によるその適用のために、または、印刷装置を使用する印刷のために、または、その他のために機械類と併せて使用されるとき、ペルフッ素化されたラジカルを有するシランにより被覆されたモレキュラーシーブの粒子と、問題としている装置の表面(例えば、貯蔵槽、配管もしくはホース、または、ノズルなどの内側表面)との間における相互作用が、好都合なことに最小限に抑えられる。
【0046】
特に好ましいシランとは、アセトキシシラン類、アセチルシラン類、アクリルオキシシラン類、アダマンチルシラン類、アリルシラン類、アルキルシラン類、アリルオキシシラン類、アルケニルシラン類、アルコキシシラン類、アルキニルシラン類、アミノシラン類、アジドスルホニルシラン類、ベンゾイルオキシシラン類、ベンジルシラン類、ブロモアルキルシラン類、ブロモアルケニルシラン類、ブロモビニルシラン類、アルコキシカルボニルシラン類、クロロアルキルシラン類、クロロアルケニルシラン類、クロロビニルシラン類、シクロアルキルシラン類、シクロアルケニルシラン類、ジフェニルシラン類、ジトリルシラン類、エポキシシラン類、フッ素化シラン類(例えば、フッ素化アルキルアルコキシシラン類、例えば、(3−ヘプタフルオロイソプロポキシ)プロピルトリメトキシシラン類、(CFCF−O−CSi(OCH、または、フッ素化アルキルシラン類、例えば、(ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシル)トリエトキシシラン類)、メタクリルオキシシラン類、ナフチルシラン類、ペンタフルオロフェニルシラン類、フェニルシラン類、プロパルギルシラン類、プロパルギルオキシシラン類、シリルシアニド類、シリルホスファート類またはビニルシラン類である。
【0047】
そのようなシラン化合物のすべてが1つまたは複数のキラル中心を含有する場合がある。したがって、本発明は、すべての純粋なエナンチオマー、および、同様に、すべての純粋なジアステレオマー、ならびに、同様に、任意の混合比率でのそれらの混合物を含む。さらには、本発明はまた、化合物のすべてのシス/トランス異性体、および、同様に、その混合物を包含する。さらには、本発明はすべての互変異性形態を包含する。
【0048】
用語「加水分解可能な基」は、本明細書中では、特に、水との反応のときに切り離される基で、水との反応のとき、基の終端部分(すなわち、中心のケイ素原子から離れているそのような部分)が、中心のケイ素原子を含む分子残部から分離し、水酸化官能基、すなわち、−OH基が、中心のケイ素原子を含む分子残部に形成される基と定義される。言い換えれば、本発明によって理解されるような加水分解可能な基は、好ましくは、例えば、水と反応したとき、切り離されるか、または放出される潜在的な脱離基である。そのような種類の加水分解可能な基はまた、水のほかに、末端のヒドロキシ官能基(すなわち、−OH基)を有する他の分子によって、例えば、アルコール、プロトン酸(例えば、カルボン酸、イオウの酸素酸、または、リンの酸素酸)によって、または、同様に、酸化物固体の表面における遊離ヒドロキシ基によって切り離される。そのような加水分解可能な基の好ましい例が、カルボン酸またはスルホン酸およびアルコールなどを含有するエステル基などのラジカル(R、R、RまたはR)である。
【0049】
好ましくは、加水分解可能な基はラジカル全体(すなわち、R基、R基、R基またはR基の1つ)を構成し、その結果、加水分解条件のもとで、ラジカル全体(R、R、RまたはR)が、中心のケイ素原子を含む分子残部から分離し、Si−OH基が形成される。そのような種類の加水分解可能な基(これもまた、本発明の関連では、加水分解可能なラジカルとして示される)の好ましい例が、例えば、ヘテロアルキルラジカル(例えば、−ORの一般式を有する、酸素原子を介して結合するアルコキシラジカルなど)、ヘテロシクロアルキルラジカル(例えば、ピペリジンラジカルなど)、ヘテロアリールラジカル(例えば、ピリジルラジカルまたはピロールラジカルなど)、アミンラジカル(例えば、−NHまたはNMeなど)、シアニドラジカルまたはホスファートラジカルなどである。特に好ましいものが、酸素原子を介して結合するアルコキシラジカル(例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロパノキシ基、イソプロパノキシ基、n−ブタノキシ基、イソブタノキシ基、sec−ブタノキシ基、tert−ブタノキシラジカルまたはヘキサノキシラジカル、あるいは、フェニルオキシラジカル)、または、シアニド基である。
【0050】
加水分解反応は、好ましくは、通常の条件のもとでは水の存在下で自発的に進行する反応であり、しかし、例えば、高い温度の条件のもとで、または、触媒の存在下で進行する反応もまた包含する。そのような種類の触媒型加水分解反応の好ましい例が、求電子剤の存在下で進行する反応(例えば、(プロトン)酸による触媒反応)、または、求核剤存在下で進行する反応(例えば、塩基による触媒反応)である。
【0051】
モレキュラーシーブ粒子を、少なくとも1つの加水分解可能な基を含有するシランにより処理することにおいて、加水分解可能な基は粒子の表面における官能基と直接に反応させることができる。このプロセスにおいて、好ましいことは、加水分解可能な基が脱離基として分離すること、および、結合が、粒子の表面と、その残ったラジカルを有するシランとの間で形成されることである。そのような粒子は、本発明によって理解されるように、その表面がシランにより被覆される粒子として示される。本発明によるモレキュラーシーブは、本明細書中前記で定義されるシランにより疎水性被覆される。
【0052】
特に、本発明による疎水性被覆されたモレキュラーシーブをもたらす被覆反応の期間中に、シランの少なくとも1つの加水分解可能な基がモレキュラーシーブ粒子の表面における官能基によって置換され、その結果として、残ったラジカルを含有するシランがモレキュラーシーブ粒子の表面に結び付けられる。例えば、シランは、モレキュラーシーブ粒子としての固体酸化物と反応することができ、その結果、少なくとも1つの加水分解可能な基が無機固体の表面における水酸化物基と縮合し、これにより、その加水分解可能な基を放出し、その結果として、残ったラジカルを含有するシランラジカルが酸素−ケイ素の結合を介してモレキュラーシーブ粒子に結び付けられる。好ましくは、シランの加水分解可能な基のすべてがモレキュラーシーブ粒子の官能基と反応し、モレキュラーシーブ粒子との対応する結合を形成する。例えば、2つの加水分解可能な基を有するシランはモレキュラーシーブ粒子としての固体酸化物と反応することができ、その結果、その2つの加水分解可能な基が無機固体の表面における2つの水酸化基と縮合し、これにより、その加水分解可能な基を放出し、その結果として、残ったラジカルを含有するシランラジカルが2つの酸素−ケイ素の結合を介してモレキュラーシーブ粒子に結び付けられる。その場合において、無機固体の表面における2つの水酸化基は、好ましくは、無機固体の表面における2つの隣接する水酸化基である。対応する様式で、3つの加水分解可能な基を有するシランはモレキュラーシーブ粒子としての酸化物固体と反応することができ、その結果、その3つの加水分解可能な基が無機固体の表面における3つの水酸化基と縮合し、これにより、その3つの加水分解可能な基を放出し、その結果として、残ったラジカルを含有するシランラジカルが3つの酸素−ケイ素の結合を介してモレキュラーシーブ粒子に結び付けられる。その場合において、無機固体の表面における3つの水酸化基は、好ましくは、無機固体の表面における3つの隣接する水酸化基である。好ましくは、本発明による疎水性被覆されたモレキュラーシーブは、モレキュラーシーブ粒子を本明細書中前記で定義されるシランにより処理することによって得られるか、または、本明細書中前記で定義されるシランにより被覆されるので、残留する加水分解可能な基を含有しない。本発明によって理解されるように、本明細書中前述で定義されるシランによる処理によって被覆されている疎水性被覆されたモレキュラーシーブはまた、シランにより被覆されるモレキュラーシーブとして示される。本発明による疎水性被覆されたモレキュラーシーブは、本明細書中前記で定義されるシランにより被覆されるので、特に、モレキュラーシーブ粒子をシランにより処理することによって得ることができるモレキュラーシーブである。
【0053】
好ましくは、シランは、加水分解可能な基と、通常の条件のもとで、または、粒子を被覆するために使用される条件のもとで反応する官能基を含有するラジカルを含まない。そのような化合物は、本発明のためには不都合である。これは、そのような化合物は、例えば、述べられた条件のもとで自身と反応し(例えば、重合し)、したがって、粒子の表面を被覆するためにもはや利用できないか、または、反応して、したがって、結合した粒子を有するポリマー物を形成し、ばらばらの粒子の形態でもはや存在しないからである。
【0054】
本発明において、特徴は、互いに独立してアルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロアリール、アルキルシクロアルキル、ヘテロ(アルキルシクロアルキル)、ヘテロシクロアルキル、アリール、アリールアルキルまたはヘテロ(アリールアルキル)ラジカルであるラジカルR、R、RまたはRで、加水分解可能な基を含有するラジカルR、R、RまたはRと、残りのラジカルR、R、RおよびRとの間でなされることであり、それによる意図は、残りのラジカルが加水分解可能な基を含有しないことを保証することである。言い換えれば、本発明によれば、シランのラジカルR、R、RまたはRの少なくとも1つが加水分解可能な基を含有し、残りのラジカルR、R、RおよびRが、互いに独立して、非加水分解性のアルキル、非加水分解性のアルケニル、非加水分解性のアルキニル、非加水分解性のヘテロアルキル、非加水分解性のシクロアルキル、非加水分解性のヘテロアリール、非加水分解性のアルキルシクロアルキル、非加水分解性のヘテロ(アルキルシクロアルキル)ラ、非加水分解性のヘテロシクロアルキル、非加水分解性のアリール、非加水分解性のアリールアルキルまたは非加水分解性のヘテロ(アリールアルキル)ラジカルであり、ただし、それぞれが、本明細書中前述で示された定義に従う。
【0055】
本発明によれば、シランのラジカルR、R、RまたはRの少なくとも1つが加水分解可能な基を含有する。好ましくは、シランのラジカルR、R、RまたはRの少なくとも1つが、アルコキシ基およびシアニド基から選択される加水分解可能な基を含有する。好ましくは、シランのラジカルの1つまたは2つまたは3つが加水分解可能な基を含有し、特に、シランのラジカルの1つまたは3つが加水分解可能な基を含有する。
【0056】
本発明の好ましい実施形態において、好ましくは、シランの加水分解可能なラジカルのそれぞれが、互いに独立して、加水分解可能なアルコキシラジカルであり、残りのラジカルが、互いに独立して、非加水分解性のアルキルラジカル、アルケニルラジカル、アルキルラジカル、シクロアルキルラジカル、アルキルシクロアルキルラジカル、アリールラジカルおよびアリールアルキルラジカルから選択され、より好ましくは、アルキルラジカル、シクロアルキルラジカルおよびアリールラジカルから選択され、特に、分枝型アルキルラジカルから選択される。特に好ましいものが、3個〜8個の炭素原子を有する分枝型アルキルラジカルであるアルキルラジカルである。
【0057】
好ましくは、シランは1つまたは2つまたは3つの加水分解可能なアルコキシラジカルを含有し、残りのラジカルがアルキルラジカルである。これらのシランは、加水分解のとき、その毒性に従って選定することができるそれぞれのアルカノールを放出するという利点を有する。さらには、そのようなアルコールが、指定された条件のもとではモレキュラーシーブに対して不活性に挙動すること、すなわち、モレキュラーシーブと反応しないか、または、モレキュラーシーブによって収着され得ないことは好都合である。そのようなシランの好ましい例が、例えば、イソブチルトリエトキシシラン、ジイソブチルジエトキシシラン、トリイソブチルエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ジイソブチルジメトキシシラン、トリイソブチルメトキシシラン、イソブチルジメチルメトキシシラン、イソブチルジエチルメトキシシラン、イソプロピルトリエトキシシラン、ジイソプロピルジエトキシシラン、トリイソプロピルエトキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシランまたはトリイソプロピルメトキシシランである。
【0058】
特に好ましいものが、1つのアルキルラジカルと、3つの加水分解可能なアルコキシラジカルとを含有するシランである。そのようなシランの好ましい例が、例えば、イソブチルトリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、イソプロピルトリエトキシシランまたはイソプロピルトリメトキシシランである。
【0059】
同様に、特に好ましいものが、3つのアルキルラジカルと、1つの加水分解可能なアルコキシラジカルとを含有するシランである。そのようなシランの好ましい例が、例えば、イソブチルジメチルメトキシシランまたはイソブチルジエチルメトキシシランである。
【0060】
粒子の表面がシランにより被覆され、粒子の表面領域が、その残ったラジカル(すなわち、加水分解されないラジカル)を含むケイ素原子により被覆される。特に、粒子の表面がシランにより疎水性被覆される。このプロセスにおいて、粒子の表面領域はまた、多数のケイ素原子により被覆され得る。したがって、粒子の表面を、例えば、表面領域あたり2個、3個、4個または5個のケイ素原子により被覆することができ、そのような場合、ケイ素原子は、例えば、多数の層で互いの上に配置され得るか、または、互いにずれて配置され得る。好ましくは、被覆は単層である。すなわち、それぞれの表面領域が、その残ったラジカル(すなわち、加水分解されないラジカル)を含むまさに1個のケイ素原子により被覆されるだけである。
【0061】
OH基が酸化物材料(例えば、ゼオライトなど)の外側表面に存在する。そのような種類の酸化物粒子を、例えば、非極性溶媒に分散させることができるためには、問題としている酸化物の表面に位置するOH基が、本発明にしたがって、残った有機基を有するシランにより被覆または官能基化される。そのような場合、残った有機基は、問題としている溶媒とできる限り類似している。したがって、酸化物粒子の表面が、非極性の共有結合した基により被覆され得る。非極性基の喪失は、増大した凝集傾向を有する粒子をもたらし得るので、共有結合による化学的に抵抗性の結合の形成が好都合である。縮合反応が、本発明にしたがって疎水性被覆された粒子の表面における、反応が遅い有機基との間で生じることは不可能である。したがって、粒子間の相互作用は主としてファンデルワールス力に基づく。このことは、2つの粒子が互いに接触するならば、その2つの粒子は永続的かつ不可逆的に凝集することができないことを意味する。本発明にしたがって疎水性被覆されるか、または官能基化される酸化物は、非極性溶媒における良好な分散性を有する。
【0062】
酸化物が、本発明にしたがって定義されるシランと反応するとき、少なくとも1つの加水分解可能な基が切り離され、例えば、共有結合が、シランラジカルと、酸化物の表面との間で形成される。例えば、シランが少なくとも1つの加水分解可能なアルコキシラジカルを含有するとき、酸化物と反応したときに、加水分解により、対応するアルカノールまたはアルキルアルコールのみが放出されるだけであり、この場合、そのようなアルカノールまたはアルキルアルコールは、例えば、その毒性にしたがって選定することができる。加水分解可能な基または脱離基としてのアルコキシラジカルが好都合である。これはまた、アルコールが一般には、規定された条件のもとではモレキュラーシーブに対して不活性に挙動し、すなわち、モレキュラーシーブと反応しないか、または、モレキュラーシーブによって収着され得ないからである。
【0063】
本発明によるモレキュラーシーブは、ナノスケール領域でのその小さいサイズによって特徴付けられる。この小さいサイズは、本発明によるモレキュラーシーブが、対応する小さい大きさのデバイスにおいて使用されることを可能にする。例えば、本発明によるモレキュラーシーブは、大きさが1マイクロメートル以下である空隙または隙間のみが利用可能である装置において好適に使用することができる。
【0064】
さらには、本発明によるモレキュラーシーブの表面がシランにより被覆され、この場合、シランの非加水分解性のラジカルが、望ましい特性を粒子の表面に与えるように選択することが可能である。特に、本発明によるモレキュラーシーブの表面がシランにより疎水性被覆され、この場合、シランの非加水分解性のラジカルが、望ましい疎水性を粒子の表面に与えるように選択することが可能である。当業者は、シランのどのようなラジカルが、表面のための所望される特性を得るために選択されなければならないかを十分に理解している。したがって、例えば、親油性または疎水性の表面特性を、非加水分解性のアルカンラジカルを有するシランによって得ることができ、この場合、表面の親油性または疎水性の程度が、個々のアルカンラジカルの数および特徴(例えば、鎖の長さまたは枝分かれの程度)を選択することによって特定の目的のために改変させることが可能である。そのような種類のモレキュラーシーブは、塊の形成が材料において観測されることなく、アルカンに基づく有機化合物に、例えば、溶媒(例えば、ヘキサンまたはオクタン)に、または、ポリマー(例えば、ポリエチレンまたはポリプロピレン)に都合よく分散させることができる。対応する様式で、他の非加水分解性のラジカルを有するシランを、他の有機化合物または材料における分散を可能にする表面特性を得るために使用することができる。例えば、芳香族基を有する非加水分解性のラジカルを、芳香族化合物(例えば、芳香族溶媒、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、ピリジンまたはナフタレンなど)における分散を可能にするために、または、芳香族基を有する化合物(例えば、芳香族基を有するポリマー、例えば、ポリスチレンなど)における分散を可能にするために、または、芳香族基と類似する特性を有する化合物(例えば、炭素化合物、例えば、グラファイト、フラーレンまたは炭素ナノチューブなど)における分散を可能にするために使用することができる。さらには、例えば、ビニル基を含有する非加水分解性のラジカルを有するシランによって、ビニル含有モノマーとの架橋のために好適である表面を得ることができる。そのような種類のモレキュラーシーブはポリビニル材料の中に化学的に結合させることができる。一般に、非加水分解性のシランラジカルを好適に選択することによって、本発明によるモレキュラーシーブの表面特性を、意図された使用に応じて調節することができる。特に、非加水分解性のシランラジカルを好適に選択することによって、本発明によるモレキュラーシーブの疎水的な表面特性を、意図された使用に応じて調節することができる。
【0065】
用語「疎水性被覆される(された)」、「疎水性化される(された)」および「疎水性化」は、本発明の関連では、モレキュラーシーブ粒子を水に懸濁または分散させることができず、しかし、22未満の誘電率(好ましくは10未満の誘電率、特に3未満の誘電率)を有する非極性溶媒には容易に懸濁または分散させることができるという効果を有する疎水性または親油性を得られた表面に与える、モレキュラーシーブ粒子の表面処理を示す。したがって、疎水性被覆されたモレキュラーシーブは特に、3未満の誘電率を有する非極性溶媒(特に、非極性の有機溶媒)に懸濁または分散させることができるモレキュラーシーブである。そのような種類の非極性有機溶媒の例が、例えば、飽和した炭化水素またはアルカン(例えば、ペンタン、ヘキサンまたはオクタン)または芳香族炭化水素(例えば、ベンゼン)である。
【0066】
多孔性粒子の被覆において使用されるシランによる、粒子の細孔、内部の経路および空隙の被覆および/または遮蔽または詰まりを避けるために、シランのラジカルは、シラン分子が粒子の空隙および経路の中に浸透できないように選択することができる。したがって、外側表面だけの被覆を達成することができる。他方で、内部の表面は開かれたままであり、すなわち、被覆または遮蔽のいずれもされず、したがって、その元の特性を保持する。したがって、例えば、非極性物質における優れた分散性を有し、しかし、極性物質(例えば、水など)を吸着する能力を保持するモレキュラーシーブを得ることができる。さらに、粒子の細孔、内側の経路および空隙が、多孔性粒子の被覆において使用されるシランによる被覆および/または遮蔽または詰まりを受けることを避けることは、シランによる被覆の前に、例えば、大きいイオン(例えば、セシウムイオンまたはテトラアルキルアンモニウムイオン)を負荷することによって、粒子の細孔を可逆的に遮蔽するか、または、粒子の細孔のサイズを可逆的に小さくすることによって実現可能である。
【0067】
したがって、例えば、ゼオライトの進入開口部より大きい分子直径を有するシランを使用することが不可能であるとき、ゼオライトの進入開口部のサイズを可逆的に小さくすることができる。このプロセスにおいて、確立すべき細孔直径は、好都合にはシランの分子がもはや細孔の中に入ることができないように選択される。被覆後、より大きい細孔直径を再び確立することができる。細孔直径のそのような可逆的調節が、好ましくは、適切なサイズのイオンを使用してイオン交換によって行われる。したがって、例えば、ナトリウムが負荷されたゼオライトLTAは4Å(400pm)の速度論的な細孔直径を有することが知られている。他方で、カリウムが負荷されたときには、ゼオライトLTAは3Å(300pm)にすぎない細孔直径を有する。このイオン交換は可逆的に行うことができる。
【0068】
イオン交換法はまた、ゼオライトの屈折率を有機化合物の屈折率(例えば、ポリマーの屈折率)に一致させるために使用することができる。このことは、ポリマーに導入されるゼオライトの粒子サイズが、光学的透明性を保証するために大きすぎるとき(すなわち、屈折率における差が大きい場合)には望ましい。ゼオライトの骨格構造を改変するプロセスはまた、ゼオライトの屈折率を、ゼオライトが分散させられる有機化合物の屈折率に一致させるために使用することができる。このことは、有機化合物に導入されるゼオライトの粒子サイズが、光学的透明性を保証するために大きすぎるとき(すなわち、屈折率における差が大きい場合)には特に好都合である。骨格構造を改変することの詳細が、例えば、JP86−120459に記載される。屈折率をイオン交換によって改変するための可能性が、例えば、「天然ゼオライトおよびイオン交換された輝沸石基ゼオライトの光学特性」、J.Palmer、M.Gunter;American Mineralogist(2000)、85(1)、225に記載される。
【0069】
本発明によるモレキュラーシーブの小さいサイズは、特定の環境に適合化されるその被覆と相まって、好都合には、特に薄い層におけるその使用を可能にする。さらには、本発明によるモレキュラーシーブはまた、有機材料(例えば、ポリマー、接着剤または表面被覆組成物)に都合よく分散させることができ、そのような様式で得られる組成物は、その後、薄い層において使用することができる。したがって、本発明によるモレキュラーシーブを使用して、5μm未満の厚さを有する層を達成することができ、このことは、特に、小型化された電子的構成要素および電子デバイスにおいて好都合である。特に好都合な様式において、本発明によるモレキュラーシーブを含み、有機化合物(例えば、ポリマー、接着剤または表面被覆組成物)に分散され、5μm未満の層厚(好ましくは2μmの層厚、より好ましくは1μmの層厚、特に0.6μmの層厚)を有する複合材料の層を作製することができる。
【0070】
さらなる利点は、本発明によるモレキュラーシーブが、また、液状の有機化合物における分散のために好適であり、その結果、本発明によるモレキュラーシーブを含有する有機化合物が、慣用の印刷用ノズル(例えば、ジェット印刷用ノズル)を使用して加工され得ることである。したがって、本発明によるモレキュラーシーブと、有機化合物とを含む複合材料を、慣例の印刷方法を使用して、材料に、例えば、装置に配置される感受性材料(例えば、電子的構成要素または電子デバイスのウエハー)に印刷することができる。慣用のモレキュラーシーブとは対照的に、本発明のモレキュラーシーブは、そのサイズのために、ノズルを塞ぎ得る粒子を何ら含有しないだけでなく、結果的にはノズルを塞ぎ得る、有機層における凝集物もまた何ら形成しないという利点を有する。
【0071】
さらには、本発明のモレキュラーシーブの特性を調べたところ、本発明のモレキュラーシーブは、慣用のゲッター材料と比較して、有機化合物の比較的厚い層の中に導入されるときでさえ、感受性材料の特に良好な保護を可能にすることが示されている。
【0072】
好ましくは、粒子は無機粒子を含む。本発明によって理解されるような無機粒子は無機の固体であり、好ましくは、固体無機酸化物であり、この場合、表現「固体酸化物」は、特に、結晶性の固体、部分的に結晶性の固体または非結晶性の固体の形態で存在する無機化合物を意味する。周期律表の主族または亜族の1つまたは複数の元素のカチオンを含めて金属カチオンに加えて、そのような種類の固体酸化物は、酸素原子を含むアニオンを含む。そのようなアニオンの好ましい例が、酸化物アニオン(O2−)、超酸化物アニオン(O)および過酸化物アニオン(O2−)に加えて、同様に、主族および亜族の元素の酸化物に基づくアニオンであり、例えば、イオウの酸化物アニオン、リン酸塩アニオン、ケイ酸塩アニオン、ホウ酸塩アニオン、アルミン酸塩アニオンおよびタングステン酸塩アニオンなどである。そのようなアニオンは、例えば、孤立した形態で存在し得るか、あるいは、例えば、鎖、バンド、層、構造体またはケージなどの形態で縮合し得る。そのような種類の縮合型アニオンには、主族および亜族の1つまたは複数の元素の酸化物が含まれ得る。この場合、多数の異なる元素が1つの縮合型アニオンに含まれることが可能である。
【0073】
OH基がしばしば、そのような種類の酸化物材料の外側表面に存在する。そのような種類の酸化物材料が水に分散させられるとき、そのようなOH基と、水との間における多様な相互作用が生じる。したがって、そのような種類の酸化物材料は、水溶液のpHに依存して、表面に位置するOH基を介してプロトンを獲得し、または失う。加えて、水素架橋による結合が形成され得る。これにより、酸化物材料に付着する水層がもたらされる。酸化物表面におけるそのような付着する水層の存在は、酸化物材料を安定な水性懸濁物の形態で得ることを可能にさせるという結果をもたらす。これは、酸化物材料の個々の粒子が互いに接触することができず、したがって、凝集することもまたできないからである。したがって、そのような種類の無機酸化物材料の粒子は、好ましくは、例えば、本発明のモレキュラーシーブのために使用されるときには、真空下で加熱することによって、または、凍結乾燥することによって脱水される。
【0074】
特に好ましいことは、粒子が、多孔性アルミノリン酸塩、多孔性シリコアルミノリン酸塩またはゼオライトを含む粒子から選択される無機粒子であることである。そのようなアルミノリン酸塩の好ましい例が、例えば、AlPO−5、AlPO−8またはAlPO−18である。そのようなシリコアルミノリン酸塩の好ましい例が、例えば、SAPO−5、SAPO−16またはSAPO−17である。そのようなゼオライトの好ましい例が天然ゼオライトおよび合成ゼオライトであり、例えば、天然ゼオライトの水灰長石およびゼオライトNa−P1(GIS構造)、ならびに/あるいは、ABW型、BEA型またはFAU型のゼオライト、あるいは、合成ゼオライトのゼオライトLTA(Linde A型)、ゼオライトF、ゼオライトLTL、P1、P2およびP3である。特に好ましいことは、5Å(500pm)未満の細孔直径を有する小さい細孔のゼオライト、例えば、水灰長石、ゼオライトFまたはゼオライトLTAが粒子として使用されることである。
【0075】
本発明の好ましい実施形態において、粒子は、水灰長石、ゼオライトLTA、ゼオライトLTF、および、ゼオライトP1、ゼオライトP2またはゼオライトP3から選択され、シランは、1つのアルキルラジカルと、3つの加水分解可能なアルコキシラジカルとを含有する。そのような場合において、特に好ましいものが、イソブチルトリエトキシシラン、イソプロピルトリエトキシシランまたはフェニルトリメトキシシランにより被覆されるゼオライトLTAの粒子、および、イソブチルトリエトキシシラン、イソプロピルトリエトキシシランまたはフェニルトリメトキシシランにより被覆されるゼオライトLTFの粒子である。
【0076】
そのような好ましい実施形態は本発明によるモレキュラーシーブの好ましい例を構成するが、当業者であれば、本発明のモレキュラーシーブがそのような実施形態に限定されないことを十分に理解するであろう。
【0077】
本発明によれば、本発明のモレキュラーシーブはゲッター材料として使用される。したがって、本発明によるモレキュラーシーブは、そのサイズのために、小型化された装置において、例えば、電子的構成要素および電子デバイスにおいてゲッター材料として容易に使用することができる。特に、本発明によるモレキュラーシーブは、1μm未満(特に、500nm未満)の最大寸法を少なくとも1つの次元において有する空隙において好適に使用することができる。
【0078】
さらには、本発明は、本発明によるモレキュラーシーブと、有機化合物とを含む組成物に関する。用語「有機化合物」は、本明細書中では、慣用の有機化合物を意味し、例えば、有機溶媒、固体有機物、液体有機物または有機ポリマーなどを意味する。その関連において、固体有機物および/または有機ポリマーは任意の所望される形態で存在することができ、または、そのような形態にすることができる。例えば、任意の所望される直径または厚さを有する、顆粒、ストランド、プレートまたはフィルムなどの形態での有機ポリマーを使用することができる。
【0079】
さらには、用語「有機化合物」にはまた、1つまたは複数の有機化合物を含む組成物(複合材料)が含まれ、この場合、必要に応じて、非有機成分(例えば、無機フィラー、着色剤または電導体など)が含まれることもまた可能である。好都合なことに、本発明のモレキュラーシーブは、粒子の表面の特性が有機化合物の表面の特性と一致し、その結果、モレキュラーシーブが有機化合物に分散されるように被覆することができる。当業者は、本明細書中前術で記載されるように、どの被覆がどの有機化合物について好適であるかを理解する。
【0080】
好ましくは、組成物に含有される有機化合物はポリマー化合物を含む。用語「ポリマー化合物」には、すべての慣用のポリマーが含まれ、例えば、ホモポリマー、syn−タクチック性およびiso−タクチック性のポリマーおよびヘテロポリマー、統計学的ポリマー、ならびに、ブロックポリマーおよびブロックコポリマーなどが含まれる。ポリマー化合物には、鎖形態のポリマー、および、同様に、2次元的または3次元的に架橋されたポリマーが含まれる。これらのポリマーは、熱可塑性、弾性または熱硬化性などであり得る。用語「ポリマー化合物」にはまた、モノマー化合物、および/または、必要に応じてさらに重合され得るオリゴマー化合物が含まれる。ポリマー化合物は、純粋な化合物として、例えば、固体形態で存在することができ、あるいは、溶液または分散物の形態で存在することができる。好ましくは、ポリマー化合物は固体形態で存在し、例えば、任意の所望される直径または厚さを有する顆粒、ストランド、プレートまたはフィルムなどの形態で存在する。
【0081】
好ましくは、ポリマー化合物は熱可塑性化合物である。これに関連して、「熱可塑性」は、熱の影響下で、化合物が、可逆的に、(すなわち、化合物が破壊されることなく)軟化または液化し、その結果、熱の影響下で、化合物が加工され、例えば、形状化もしくは成形されるか、または、さらなる成分と混合されることを意味する。熱可塑性ポリマーの好ましい例が、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン(PE、HDPEまたはLDPE)またはポリプロピレン(PP))、ポリオキシオレフィン(例えば、ポリオキシメチレン(POM)またはポリオキシエチレン)、ポリメチルメタクリラート(PMMA)、または、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンコポリマー(ABS)などである。熱の影響下において、本発明によるモレキュラーシーブは、好都合には、さらに後でさえ、熱可塑性化合物に都合よく配合することができ、その結果、均一な分散物が、化合物が破壊されることなく形成される。
【0082】
特に好ましいものが、低い水透過性を有するポリマー化合物、すなわち、25℃において0%から90%の相対湿度の範囲での0.9g・mm/m・d未満(ここで、d=日)、好ましくは、0.63g・mm/m・d未満、特に、0.1g・mm/m・d未満の水透過性(これは100μm厚の層で測定される)を有するポリマー化合物である。そのような種類のポリマー化合物の好ましい例が、例えば、ポリエチレン(PE)(高密度ポリエチレン(HDPE)および低密度ポリエチレン(LDPE)の両方)、またはポリプロピレン(PP)などのポリオレフィンである。本発明のモレキュラーシーブと、低い水透過性を有するポリマー化合物とを含むそのような組成物は、所望される特性を特に都合よく示す。
【0083】
好ましくは、有機化合物は表面被覆組成物であり、好ましくは、無水の表面被覆組成物であり、特に、低い水透過性、すなわち、0%から90%の相対湿度の範囲での2g・mm/m・d未満(ここで、d=日)の水透過性(好ましくは、1g・mm/m・d未満の水透過性)を有する表面被覆組成物である。特に好ましいことは、表面被覆組成物が、UV光によって硬化され得る表面被覆組成物であることである。そのような表面被覆組成物の好ましい例が、例えば、表面被覆組成物EPO−TEC OG142−17(Polytec PT GmbH(76337 Waldbronn、ドイツ)から入手可能)、または、表面被覆組成物のUV被覆用Polyled Barriersyst.#401(これは、Eques C.V.(5340 AE Oss、オランダ)から入手可能)、または、表面被覆組成物のLoctite3301 Medical Grade(Henkel Loctite Deutschland GmbH(81925 Munich、ドイツ)から入手可能)である。
【0084】
好ましくは、粒子のサイズは、粒子が有機化合物に均一に分布され得るように選択される。問題としている化合物における粒子の均一な分布を得るためには、個々の粒子が、形成されるべき層の厚さと比較して、小さいだけでなく、個々の粒子が、均一に分散され得ることが重要である。その目的のために、本発明によるモレキュラーシーブは好都合に適する。
【0085】
本発明によれば、本発明のモレキュラーシーブと、有機化合物とを含む組成物が、装置を製造すること、または封じることにおいて使用される。
【0086】
好ましくは、装置は包装材である。したがって、本発明のモレキュラーシーブと、有機化合物とを含む組成物は、小分子により攻撃または破壊される化合物または組成物を含有する感受性製造物(例えば、電気的または電子的な構成成分またはデバイスなどの装置、あるいは、食物または医薬品)のための包装材を製造するために、または封じるために本発明にしたがって使用される。好ましい実施形態において、そのような包装材が、本発明のモレキュラーシーブと、有機化合物とを含む組成物から直接に製造される。例えば、一方を他方の上部に合わせる上面部分および底面部分を備える包装材、例えば、封じられたフィルム包装材(袋およびサシェなど)またはプラスチック包装材(例えば、食物または医薬品のための透明な包装材)を、本発明のモレキュラーシーブを含むポリマーから直接に製造することができる。別の好ましい実施形態において、他の材料(例えば、紙、厚紙、プラスチック材料またはポリマー、あるいは、金属など)でできた包装材が、本発明のモレキュラーシーブを含むポリマーフィルム、または、本発明のモレキュラーシーブを含む表面被覆組成物のフィルムにより被覆されることによって封じられる。その関連において、被覆は、包装材の外側、および、同様に、包装材の内側の両方に適用することができ、好ましくは、被覆は、包装材の外側、および、同様に、包装材の内側の両方に適用される。好ましくは、そのような被覆は、特に外側が透明であり、その結果、例えば、厚紙包装材に印刷された情報を、モレキュラーシーブを備える被覆層を通して読むことが可能である。さらなる好ましい実施形態において、別の材料(例えば、プラスチック材料または金属など)でできた包装用容器が、完全な包装材を製造するために、本発明のモレキュラーシーブを備えるポリマーから作製されるフィルム、キャップまたは同様のものにより封じられる。他の方法として、本発明のモレキュラーシーブと、有機化合物とを含むそのような組成物はまた、別の材料から作製される包装材の内部空間に導入することができ、例えば、管状の包装材(例えば、医薬品の管状包装材)を封じるキャップの内側に導入することができる。
【0087】
電気的または電子的な構成要素またはデバイスである装置も同様に好ましいものとされる。電気的または電子的な構成要素またはデバイスの好ましい例は、マイクロエレクトロメカニカルシステム(MEMS)、例えば、加速度センサー(例えば、エアーバッグ用加速度センサー)、マイクロエレクトロオプティカルシステム(MEOMS)、DMDチップ、システムオンチップ(SoC)、または、太陽電池などである。好ましい装置は、太陽電池(特に、薄層太陽電池)、診断キット、有機ホトクロミック眼用レンズ、「フリップチップ」またはOLED(有機発光デバイス)であり、特に、有機太陽電池、CIS太陽電池およびOLEDである。好ましくは、そのようなデバイスは、封印、接着剤による結合または被覆などが、本発明のモレキュラーシーブと、有機化合物とを含む組成物を使用して順々に行われる、しっかり閉じられる外皮に封入されることによって封じられる。特に好ましくは、外皮もまた、そのような組成物から作製されることである。
【0088】
他の方法として、保護される表面が、本発明のモレキュラーシーブと、有機化合物とを含む組成物により直接に被覆される。これに関連して、「保護される表面」は、小分子により攻撃される材料から作製される装置の表面を意味する。組成物は、任意の慣例の方法によって、例えば、注入、浸漬、噴霧、表面被覆、ロール塗りまたはブラシ塗布などによって表面に適用することができる。組成物の性質に依存して、適用はまた、さらなる工程を含むことができ、例えば、可溶性の組成物を適用する場合には、好適な溶媒に適用前において溶解すること、および、溶媒を、例えば、蒸発によって、適用後に除くことを含むことができ、あるいは、熱可塑性ポリマーを含む組成物を適用する場合には、適用前に加熱すること、および、適用後に冷却することを含むことができ、あるいは、重合可能なモノマーまたはオリゴマーを含む組成物を適用する場合には、重合反応を、例えば、UV照射または加熱によって、適用後に開始すること、場合により、その後、必要に応じて使用された溶媒を除くことを含むことができ、あるいは、その他の工程を含むことができる。必要な場合には、保護される表面を清浄化する工程を、組成物を適用する前に含むことができる。
【0089】
特に好ましいことは、本発明のモレキュラーシーブと、有機化合物とを含む組成物が、印刷用ノズルによって、保護される表面に印刷されることである。これに関連して、印刷による層の適用のために好適である任意の慣例の印刷用ノズルまたは印刷方法を使用することができる。例えば、組成物を、電気回路および/または電子回路のためのウエハーの製造、ならびに、そのようなウエハーに基づく装置の製造において使用されるような慣用のジェット印刷装置を使用して印刷することができる。そのような印刷用ノズルはしばしば、数マイクロメートルの領域でのノズル直径を有する。組成物は、1000nm以下の粒子サイズを有する粒子を有する本発明のモレキュラーシーブを含むので、ノズルが粒子または凝集物によって塞がれることなく、その印刷用ノズルを通過することができる。このことは、組成物が、従来のゲッター材料を含む組成物を使用する場合には不可能である自動化された操作(例えば、ロボットによる自動化された操作)において都合よく適用されることを可能にする。
【0090】
さらなる好ましい実施形態において、本発明のモレキュラーシーブと、有機化合物とを含む組成物は、膜の製造において使用される。
【0091】
本発明はまた、本発明によるモレキュラーシーブを備える装置、または、本発明のモレキュラーシーブと、有機化合物とを含む組成物に関する。用語「装置」は、本明細書中では、本明細書中前述で規定された意味を有する。そのような装置において、本発明の好都合な効果が特に前面に押し出される。
【0092】
好ましくは、本発明による装置は、本発明によるモレキュラーシーブと、有機化合物(例えば、ポリマー、接着剤または表面被覆組成物など)とを含む複合材料の2つ以上の層(特に、2層、3層または4層)を含む。好ましくは、これらの層は互いに上部に連続して適用される。他の実施形態において、これらの層は他の材料層と交互に適用される。好ましくは、そのような他の材料層は感受性材料からなり、その結果、感受性材料が本発明による複合材料の2つの層の間に積層化される。他の方法として、例えば、装置のさらなる機能(例えば、抑制機能、光学的機能または冷却/加熱機能)を満たす他の材料、または、例えば、電磁放射線(例えば、光またはUV光など)に対するさらなる保護機能を有する他の材料、または、拡散バリアを形成することができる他の材料もまた使用することができる。したがって、多数の層からなり、また、問題としている層または層の連続体に依存して、考えられる適用の多重性をもたらし得る積層連続体を製造することができる。多層構造物の一例が図6に示される。
【0093】
本発明はさらに、本発明によるモレキュラーシーブを製造する方法に関連し、この場合、1000nm以下の粒子サイズを有する粒子が、下記の一般式の少なくとも1つのシランと反応するように作製される。
SiR
(式中、ラジカルR、R、RまたはRの少なくとも1つが加水分解可能な基を含有し、残りのラジカルR、R、RおよびRが互いに独立して、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロアリール、アルキルシクロアルキル、ヘテロ(アルキルシクロアルキル)、ヘテロシクロアルキル、アリール、アリールアルキルまたはヘテロ(アリールアルキル)ラジカルである)。
【0094】
これに関連して、すべての用語が、本明細書中前述で定義されるように使用される。
【0095】
本発明によれば、粒子は、少なくとも1つのシランと反応するように作製される。好ましくは、互いに異なる1つ、2つ、3つまたはそれ以上のシランを反応において使用することができる。好ましくは、粒子が、1つのシランと反応するように作製される。
【0096】
本発明の製造方法の好ましい実施形態において、使用されるシランのラジカルR、R、RまたはRの少なくとも1つが、アルコキシ基およびシアニド基から選択される加水分解可能な基を含有する。
【0097】
1000nm以下の粒子サイズを有する使用される粒子は様々な公知の方法によって製造することができる。例えば、1000nm未満の粒子サイズを有するゼオライト粒子を、国際特許出願公開WO02/40403A1に記載される方法にしたがって製造することができる。
【0098】
本発明によれば、粒子は、シランと反応するように作製され、この場合、すべての反応条件が含まれる。例えば、2つの反応剤が互いに接触するとき、2つの反応剤は自発的に互いに反応することができる。その場合、本発明の方法を、好適な希釈条件のもとで、または、冷却を伴って行うことができる。しかしながら、互いに反応する反応剤の遅さに依存して、エネルギーを、例えば、電磁放射線(例えば、熱、可視光またはUV光)の形で導入すること、または、好適な触媒を使用することもまた必要である場合がある。当業者は、この技術分野の知識を使用して、それぞれの具体的な場合において適切である手段を選択することができる。
【0099】
好ましくは、反応剤は、好適な溶媒において反応するように作製される。好適な溶媒は、粒子およびシランに関して不活性である任意の溶媒である。好ましいものが、非プロトン性の有機溶媒であり、例えば、飽和炭化水素(例えば、ヘキサン、ヘプタンまたはオクタンなどのアルカン)、芳香族炭化水素(例えば、ベンゼン、トルエンまたはキシレンなど)、ハロゲン化炭化水素(例えば、四塩化炭素、ジクロロメタン、ヘキサフルオロエタンまたはヘキサフルオロベンゼンなど)、ジメチルスルホキシド(DMSO)またはジメチルホルムアミド(DMF)などである。
【0100】
好ましくは、反応剤は、加熱により好適な溶媒において反応するように作製される。そのような場合、特に好ましいことが、還流下での沸騰である。好ましくは、反応が、好適な不活性保護ガス(例えば、アルゴンまたは窒素)のもとで行われる。
【0101】
好ましくは、本発明のモレキュラーシーブを製造することにおいて、粒子は最初に乾燥され、その後、その表面がシランにより被覆される。乾燥された粒子は、本発明によるモレキュラーシーブを製造するために特に好都合に適している。これは、例えば、シランとの反応を遅くし得るか、または、反応を不均一にし得るか、または、そうでない場合には、反応を妨害し得る望ましくない分子(例えば、水分子)が表面から除かれるからである。したがって、凝集物を全く含有しないモレキュラーシーブを都合よく得ることができる。同様に、そのような様式では、望ましくない分子を粒子の細孔から除くことができる。必要な場合には、清浄化工程を乾燥工程の前に行うことができ、この場合、粒子は、例えば、分子またはイオンによる望ましくない負荷を表面および/または細孔から除くために、好適なシステムを使用して洗浄される。特に、粒子に存在するイオンはまた、特定の目的と一致させて粒子の特性(例えば、細孔サイズ)を改変するために、イオン交換反応によって交換することができる。
【0102】
特に好ましいことが、粒子を、真空中での加熱および凍結乾燥から選択される方法によって乾燥することである。加熱については、粒子は、望ましくない分子を表面から除くために、好ましくは、少なくとも12時間、好ましくは少なくとも24時間、特に少なくとも48時間、電子レンジにおいて、10−2mbarの真空のもと、少なくとも150℃の温度で、特に少なくとも180℃の温度で加熱される。好ましい方法において、粒子は、シランによる被覆の前に、加熱することによって乾燥される。好ましい方法において、粒子は、シランによる被覆の後で、加熱することによって乾燥される。したがって、粒子は、凝集物を形成することを都合よく防止することができる。特に好ましい方法において、粒子は、シランによる被覆の前、および、同様に、シランによる被覆の後の両方で、加熱することによって乾燥される。
【0103】
好ましくは、粒子は、第1の工程において、凍結乾燥される。凍結乾燥するために、粒子は、望ましくない分子を表面から除くために、例えば、少なくとも12時間、好ましくは少なくとも24時間、特に少なくとも48時間、真空(10−2mbar)下、25℃以下の温度で、好ましくは20℃以下の温度で適切な装置において凍結乾燥される。したがって、粒子が何らかの凝集物を形成しないことが好都合には可能である。凍結乾燥は、モレキュラーシーブが水性の懸濁状態で製造されるときには特に好都合である。この懸濁物を、粒子が凝集物を形成することを都合よく防止するために、凍結乾燥によって凍結および乾燥することができる。特に好ましい方法において、粒子は最初に凍結乾燥によって乾燥され、その後、真空中での加熱によって乾燥され、その後、シランにより被覆される。必要な場合には、粒子は、被覆後、真空中での加熱によって乾燥することができる。したがって、粒子が凝集物を形成することを好都合に防止することができる。
【0104】
他の特に好ましい方法において、粒子が最初に凍結乾燥によって乾燥され、その後、シランにより被覆され、被覆後、真空中での加熱によって乾燥される。ゼオライトがモレキュラーシーブとして使用されるときには、特に、ゼオライトを被覆前において凍結乾燥によって乾燥し、被覆後において真空中での加熱によって乾燥することは極めて重要である。この特に好ましい方法によって、製造物の特性の損壊を防止することが可能であることが見出されている。
【0105】
本発明による粒子を製造する好ましい方法において、シランによる被覆のために、粒子が、第1の工程において、好適な溶媒に懸濁され、次の工程において、シランがその懸濁物に加えられる。好適な溶媒は、粒子およびシランに対して不活性である任意の溶媒である。好ましいものが非プロトン性の有機溶媒であり、例えば、飽和炭化水素(例えば、アルカン、例えば、ヘキサン、ヘプタンまたはオクタンなど)、芳香族炭化水素(例えば、ベンゼン、トルエンまたはキシレンなど)、ハロゲン化炭化水素(例えば、四塩化炭素、ジクロロメタン、ヘキサフルオロエタンまたはヘキサフルオロベンゼンなど)、ジメチルスルホキシド(DMSO)またはジメチルホルムアミド(DMF)などである。好ましくは、シランは、必要な場合には溶媒との混合で、少量ずつ、例えば、滴下による添加によって加えられる。好ましくは、反応は不活性ガス(例えば、アルゴンまたは窒素)のもとで行われる。
【0106】
粒子を本発明にしたがって製造する他の方法において、シランによる被覆のために、シランが、第1の工程において、好適な溶媒と混合され、次の工程において、粒子が加えられる。好適な溶媒は、本明細書中前述で定義された通りである。好ましくは、粒子は、必要な場合には溶媒との混合で、少量ずつ加えられる。好ましくは、反応は不活性ガス(例えば、アルゴンまたは窒素)のもとで行われる。
【実施例】
【0107】
粒子サイズの測定
モレキュラーシーブ粒子のサイズ分布を動的光散乱測定によって求めた。その目的のために、それぞれの場合において、好適な溶媒または、組成物に測定すべき粒子を含有する分散液約2mlを、ALV−NIBS Particle Sizer(ALV−GmbH社(Langen)から入手可能)を使用して測定した。典型的なサイズ分布が図7に示される。
【0108】
別途言及されない限り、本明細書中以下において記載される実施例のすべてについて、約300nmの粒子サイズ(図7を参照)を有するゼオライトLTAが使用され、これは、国際特許出願公開WO02/40403A1に記載される方法にしたがって製造された。
【0109】
実施例1−モレキュラーシーブの被覆
a)イソブチルトリエトキシシランによるゼオライトLTAの被覆:
300nmの粒子サイズを有するゼオライトLTAの20%水性懸濁物の100mlを凍結乾燥した。大きい冷却速度が凍結工程中に確保された。高真空(10−2mbar)において150℃の温度で脱水されている粉末を、混合とともに、100mlの乾燥トルエンおよび10mlのイソブチルトリエトキシシランの混合物に攪拌しながら導入し、還流下で1時間煮沸した。混合物を冷却した後、生成物をろ過した。白色の、著しく疎水性の粉末が得られた。この粉末は、アルカン(例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン)、アルコール(例えば、エタノール、イソプロパノール)およびジエチルエーテルにおいて非常に容易に分散させることができる。この疎水性化されたゼオライトは、対照的に、水にはもはや分散させることができない。
【0110】
b)フェニルトリメトキシシランによるゼオライトLTAの被覆:
手順は、フェニルトリメトキシシランがイソブチルトリエトキシシランの代わりに使用されたことを除いて、実施例1a)の場合と同様であった。白色の、著しく疎水性の粉末が得られた。この粉末は、o−キシレン、p−キシレン、トルエンおよびベンゼンにおいて非常に容易に分散させることができ、しかし、水には分散させることができない。
【0111】
c)イソブチルトリエトキシシランによるゼオライトFの被覆:
手順は、ゼオライトLTAの20%水性懸濁物の100mlの代わりに、400nmの粒子サイズを有するゼオライトFの20%水性懸濁物の100mlが使用されたことを除き、実施例1a)の場合と同様であった。白色の、著しく疎水性の粉末が得られた。この粉末は、アルカン(例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン)、アルコール(例えば、エタノール、イソプロパノール)およびジエチルエーテルにおいて非常に容易に分散させることができる。この疎水性化されたゼオライトは、対照的に、水にはもはや分散させることができない。
【0112】
比較例1
比較例として、約5μm(DLSによる測定)の粒子サイズを有するゼオライトLTAを、実施例1に記載される方法にしたがって乾燥し、疎水性化した。
【0113】
実施例2−水取込み能の試験
実施例1a)の脱水および疎水性化されたゼオライトの10gを押出し機において90gのエチレンポリエチレン(m.p.:約125℃)に導入する。得られたポリマーコンポジットによる水の取込みが、周囲空気中で貯蔵したときの重量における増大によって確認される。その結果、約40%の相対的大気湿度および約20℃の温度での1週間で、1.3gの重量増大が確認された。
【0114】
実施例3−複合材料の調製
実施例1a)による被覆されたゼオライト材料の2gを8gのUV硬化性のN,N−ジメチルアクリルアミド系接着剤(「Locktite3301」、これはHenkel Loctide Deutschland GmbHから得ることができる)の中に撹拌する。得られた懸濁物を超音波浴に5分間置く。この接着剤コンポジットは、UV光を使用して硬化させることができ、湿気感受性物質を覆って被覆するために使用することができる。
【0115】
実施例4−複合材料のバリア特性
湿気感受性物質を保護する能力(バリア特性)を試験するために、図8に示される試験構造物を使用した。湿気の不存在下において、15mmのサイズ/直径を有し、それぞれの場合に、5mgの無水の、青色の塩化コバルトを指示薬物質として含浸させた紙片をそれぞれ、20cmの面積を有するガラスプレートの上に置く。その後、実施例3で作製された接着剤組成物を、ガラスプレート上における指示薬物質含浸紙片の周りの8mmのさらなる縁まで接着剤組成物によって覆われるようにガラスプレートの1つの上に注ぎ、接着剤組成物を、UV光を使用して硬化させる。同様な方法で、しかし、純粋な接着剤組成物(「Locktite3301」、Henkel Loctide Deutschland GmbHから入手可能)を使用して、比較サンプルを作製する。両方のサンプルを水により覆い、変化を目視により観察する。試験の経過の写真が図9に示される。水による表面被覆組成物層の浸透が、塩化コバルト指示薬の色の青色(図9における暗い灰色)からピンク色(図9における明るい灰色)への変化によって示される。図9から明確に見て取れるように、水による浸透が、比較サンプルの場合では、28分後において既に認められ、また、100分後では、ほとんど指示薬全体がピンク色であり(図9における明るい灰色)、すなわち、水と接触している。他方で、本発明によるサンプルは、その試験期間中に、いかなる変化も示していない。すなわち、指示薬は青色のままである(図9における暗い灰色)。この試験では、水指示薬(塩化コバルト)による湿気の取込みが、処理されていない接着剤との比較において、本発明の実施例3による接着剤組成物によって著しく遅くなることが示される。
【0116】
実施例5
平均で150nmの粒子サイズを有するゼオライトLTLの1gを50mlの濃CsCl溶液とともに室温で1時間撹拌し、ろ過し、洗浄し、水に再分散し、凍結乾燥する。高真空中において室温で乾燥した後、ゼオライトを50mlのトルエンおよび5mlのイソブチルジエチルエトキシシランとともに還流下で1時間煮沸する。冷却後、ゼオライトをろ過し、アセトンにより洗浄する。
【0117】
上記により得られた材料を、120℃の温度で小型の押出し機を用いて10gのポリエチレン(m.p.:約125℃)に導入する。複合材料の光学特性は、肉眼では、使用されたポリエチレンの光学特性と区別することができない。
【0118】
実施例6−表面被覆組成物に対するカルシウムミラー試験
表面被覆組成物の特性をカルシウムミラー試験によって試験するために、下記のサンプルおよび比較サンプルを調製した。
【0119】
サンプルA) 純粋な表面被覆組成物(トルエンに溶解されたポリマー);20gのTOPAS8007顆粒(Ticona社(Kelsterbach)から入手可能)を100gのトルエンに溶解することによって調製した。
【0120】
サンプルB) サンプルA)の表面被覆組成物に300nmの粒子サイズを有するゼオライトLTAの10重量%が加えて得られた表面被覆組成物。
【0121】
サンプルC) サンプルB)において、実施例1a)に従った、300nmの粒子サイズを有する被覆されたゼオライトLTAの10重量%が加えられた表面被覆組成物。
【0122】
サンプルD) サンプルB)において、5μmの粒子サイズを有する被覆されたゼオライトLTAの10重量%が加えられた表面被覆組成物。
【0123】
カルシウムを真空法で4枚のガラス製スライドに蒸着した。蒸着後、これらのスライドをそれぞれ、湿気の不存在下、浸漬法でサンプルA)〜サンプルD)の表面被覆組成物の1つにより被覆した。このとき、引き上げ速度は2cm/sの一定であった。サンプルA)〜サンプルD)の表面被覆組成物により被覆されたスライドを不活性な雰囲気(アルゴン、99.999%)において室温で2日間乾燥させた。
【0124】
その後、被覆および乾燥されたスライドのそれぞれの片側における表面被覆組成物を、ナイフを使用してこすり取った。スライドの反対側(それらの各々が、時間0で、完全な鏡面を示した)を周囲の雰囲気(空気)において数日間貯蔵し、調べ、比較した。スライドB)およびスライドD)の場合には、鏡の点別の曇りが急速に認められ、これに対して、スライドA)の場合には、非常に多数の小さい曇った領域がしばらくして認められた。スライドC)は、最も長く鏡の損壊を何ら示さなかった。図10は、得られたデータを示す。
【0125】
雰囲気の湿度における変化を補償するために、データを相対的な時間軸に対してプロットした。結果が表1にまとめられ、この場合、カルシウムミラーの寿命が、目に見える曇りが生じない時間として与えられる。この実験では、本発明による被覆されたゼオライトの添加がカルシウムミラーについてのより長い寿命をもたらすことが示される(サンプルC)。同じサイズの被覆されていないゼオライト(サンプルB)の添加、および、同様に、約5マイクロメートルのより大きい粒子サイズを有する被覆されたゼオライト(サンプルD)の使用は、寿命の低下をもたらす。300nmの粒子サイズを有する被覆されていないゼオライト粒子(サンプルB)の添加、および、より大きい被覆されたゼオライト粒子(サンプルD)の添加がともに、使用された表面被覆組成物のバリア特性の損壊をもたらすことは驚くべきことである。したがって、本発明によるゼオライトによるバリア特性の著しい改善はなお一層驚くべきことである。
【表1】

【0126】
実施例7−透明なフィルム
フィルムの特性を試験するために、下記のサンプルおよび比較サンプルを調製した。
【0127】
サンプルE) 約400μmの粒子サイズを有する1000gのポリエチレン顆粒(m.p.:約116℃)を、約30mmの幅および1mmの厚さを有するバンドを形成するために、スロットダイを有する2軸スクリュー押出し機を使用して加工した。押出し物から、200℃での熱間プレス機で、100μmの厚さを有するフィルムを作製した。
【0128】
サンプルF) 300nmの平均粒子サイズを有するゼオライトLTAの100gを、約400μmの粒子サイズを有する900gのポリエチレン顆粒に加えた。得られた混合物を、丸形ダイを有する2軸スクリュー押出し機を使用して、約2mmの直径を有するポリマーストランドに200℃で加工した。冷却後、ポリマーストランドを短くして、顆粒を作製した。得られた顆粒を、サンプルA)において記載されるのと同じ様式で加工して、フィルムを形成した。
【0129】
サンプルG) フィルムを、100gのゼオライトLTAの代わりに、実施例1a)で作製された、300nmの粒子サイズを有する被覆されたゼオライトLTAの100gが使用されたことを除いて、サンプルF)の場合に記載されるのと同じ様式で作製した。
【0130】
サンプルH) フィルムを、100gのゼオライトLTAの代わりに、実施例1)と同じ方法で作製された、約5000nm(約5μm)の粒子サイズを有する被覆されたゼオライトLTAの100gが使用されたことを除いて、サンプルF)の場合に記載されるのと同じ様式で作製した。
【0131】
そのような様式で作製されたフィルムサンプルE)〜フィルムサンプルH)を、目視検査、および、同様に、触覚試験の両方に供した。結果が表2にまとめられる。
【表2】

【0132】
サンプルE)は、ゼオライトを含有しておらず、従来型フィルムの特性(例えば、透明性および粗さ)についての比較として役立つ。フィルムE)は、調べられたとき、完全に透明であり、滑らかな感触を有する。比較例のサンプルF)は、300nmの粒子サイズを有するナノゼオライトLTAを含む。しかしながら、このゼオライトは被覆されておらず、したがって、非極性ポリマーにおけるただ単に不良な分散性を有するだけである。凝集物の形成が生じる。凝集物は、目立つほど粗いフィルムをもたらす。いくつかの領域において、凝集物が肉眼に認められる。フィルムG)は、本発明にしたがってイソブチル基により被覆された、300nmの粒子サイズを有するゼオライトLTAを含む。このフィルムは比較フィルムE)と非常に類似する。このフィルムはまさに滑らかであり、また、その透明性は後者とほとんど区別することができない。フィルムH)は、被覆されたゼオライトLTAを含むが、約5マイクロメートルの粒子サイズを有する。フィルムH)は滑らかな感触を有するが、フィルムE)およびフィルムG)よりも実質的に曇っている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1000nm以下の粒子サイズの粒子を含み、前記粒子の表面が一般式SiRのシランにより被覆される疎水性被覆されたモレキュラーシーブであって、式中、ラジカルR、R、RまたはRの少なくとも1つが加水分解可能な基を含有し、残りのラジカルR、R、RおよびRが互いに独立して、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロアリール、アルキルシクロアルキル、ヘテロ(アルキルシクロアルキル)、ヘテロシクロアルキル、アリール、アリールアルキルまたはヘテロ(アリールアルキル)ラジカルであるモレキュラーシーブ。
【請求項2】
前記シランが1つまたは2つまたは3つの加水分解可能な基を含有する、請求項1に記載のモレキュラーシーブ。
【請求項3】
前記シランの前記加水分解可能な基のそれぞれが互いに独立して、加水分解可能なアルコキシラジカルであり、残りのラジカルが、非加水分解性のアルキルラジカル、アルケニルラジカル、アルキルラジカル、シクロアルキルラジカル、アルキルシクロアルキルラジカル、アリールラジカルおよびアリールアルキルラジカルから選択される、請求項1または2のいずれかに記載のモレキュラーシーブ。
【請求項4】
前記シランの前記加水分解可能なラジカルのそれぞれが互いに独立して、加水分解可能なアルコキシラジカルであり、残りのラジカルが非加水分解性のアルキルラジカルである、請求項1〜3のいずれかに記載のモレキュラーシーブ。
【請求項5】
前記アルキルラジカルが、3個〜8個の炭素原子を有する分枝型アルキルラジカルである、請求項1〜4のいずれかに記載のモレキュラーシーブ。
【請求項6】
前記粒子が無機粒子を含む、請求項1〜5のいずれかに記載のモレキュラーシーブ。
【請求項7】
前記無機粒子が、多孔性アルミノリン酸塩、多孔性シリコアルミノリン酸塩またはゼオライトを含む粒子から選択される、請求項6に記載のモレキュラーシーブ。
【請求項8】
前記粒子が、ゼオライトNa−P1(GIS構造)、ゼオライトFおよびゼオライトLTAから選択され、前記シランが、1つのアルキルラジカルと、3つの加水分解可能なアルコキシラジカルとを含有する、請求項1〜7のいずれかに記載のモレキュラーシーブ。
【請求項9】
1000nm以下の粒子サイズを有する粒子が、一般式SiRの少なくとも1つのシランと反応するように作製される、請求項1〜8のいずれかに記載されるモレキュラーシーブを製造する方法。
式中、ラジカルR、R、RまたはRの少なくとも1つが加水分解可能な基を含有し、残りのラジカルR、R、RおよびRが互いに独立して、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロアリール、アルキルシクロアルキル、ヘテロ(アルキルシクロアルキル)、ヘテロシクロアルキル、アリール、アリールアルキルまたはヘテロ(アリールアルキル)ラジカルである
【請求項10】
前記粒子が前記シランとの反応の前に乾燥される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記粒子が、真空中での加熱および凍結乾燥から選択される方法によって乾燥される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記粒子が凍結乾燥によって最初に乾燥され、次いで、真空中での加熱によって乾燥され、その後、前記シランにより被覆される、請求項9または10に記載の方法。
【請求項13】
前記粒子が、前記シランによる被覆の後、真空中での加熱によって乾燥される、請求項9〜12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
前記粒子が凍結乾燥によって最初に乾燥され、次いで、前記シランにより被覆され、その後、真空中での加熱によって乾燥される、請求項9〜13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
前記シランによる被覆のために、前記粒子が、第1の工程において、好適な溶媒に懸濁され、次の工程において、前記シランがその懸濁物に加えられる、請求項9〜14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
前記シランによる被覆のために、前記シランが、第1の工程において、好適な溶媒と混合され、次の工程において、前記粒子が加えられる、請求項9〜14のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
請求項9〜16のいずれかに記載される方法によって得ることができるモレキュラーシーブ。
【請求項18】
請求項1〜8または17のいずれかに記載されるモレキュラーシーブと、有機化合物とを含む組成物。
【請求項19】
前記有機化合物がポリマー化合物を含む、請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
前記ポリマー化合物が熱可塑性である、請求項19に記載の組成物。
【請求項21】
前記ポリマー化合物が、0%から90%の相対湿度の範囲での0.9g・mm/m・d未満の水透過性を有する、請求項18〜20のいずれかに記載の組成物。
【請求項22】
透明であることを特徴とする、請求項18〜21のいずれかに記載の組成物。
【請求項23】
請求項1〜8または17〜22のいずれかに記載されるモレキュラーシーブまたは組成物を備える装置。
【請求項24】
請求項18〜22のいずれかに記載される組成物を使用して製造されているか、または封じられていることを特徴とする、請求項23に記載の装置。
【請求項25】
包装材であることを特徴とする、請求項23または24に記載の装置。
【請求項26】
電子的構成要素であることを特徴とする、請求項23または24に記載の装置。
【請求項27】
前記電子的構成要素がMEMSおよびOLEDから選択される、請求項26に記載の装置。
【請求項28】
保護される表面が前記組成物により直接に被覆される、請求項23〜27のいずれかに記載の装置。
【請求項29】
前記組成物が、前記保護される表面に印刷ノズルを介して印刷される、請求項28に記載の装置。
【請求項30】
膜であることを特徴とする、請求項23、24、25、28または29のいずれかに記載の装置。
【請求項31】
請求項1〜8または17〜22のいずれかに記載されるモレキュラーシーブまたは組成物の、ゲッター材料としての使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2009−541200(P2009−541200A)
【公表日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−516984(P2009−516984)
【出願日】平成19年6月27日(2007.6.27)
【国際出願番号】PCT/EP2007/005679
【国際公開番号】WO2008/000457
【国際公開日】平成20年1月3日(2008.1.3)
【出願人】(509002039)ナノスケペ アーゲー (1)
【氏名又は名称原語表記】NANOSCAPE AG
【出願人】(509002051)
【氏名又は名称原語表記】SAES GETTERS S.P.A.
【Fターム(参考)】