説明

被覆フィルムおよび蒸着フィルム

【課題】酸素、水蒸気のガスバリア性に優れ、かつガスバリア性が屈曲時でも低下しないガスバリア性を有する蒸着フィルムを提供することを目的とする。また、蒸着フィルムの基材として、高いガスバリア性を発現する被覆フィルムを提供する。
【解決手段】高分子樹脂組成物からなる基材上に、メラミン系化合物、ポリビニルアルコール系重合体、およびカルボキシル基を有する化合物を必須成分とした被覆層を積層した被覆フィルムであって、該被覆フィルムの厚みが5〜50μmであり、かつ130℃で加熱したときに該被覆フィルムから発生するホルムアルデヒドの質量およびアルコールの質量が、それぞれ該被覆フィルム試料の質量の50ppm以下であることを特徴とする被覆フィルム、および当該フィルムの被覆層上に無機薄膜層を蒸着した蒸着フィルム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品、医薬品等の包装分野に用いられるガスバリア性の被覆フィルムおよび蒸着フィルムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
食品、医薬品等に用いられる包装材料は、1)蛋白質、油脂の酸化抑制、2)味、鮮度の保持、3)医薬品の効能維持のために、酸素、水蒸気などのガスを遮断する性質、すなわちガスバリア性を備えることが求められている。
【0003】
そのため、従来からポリビニルアルコール(以下、PVAとする)、エチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)、或いはポリ塩化ビニリデン樹脂(以下、PVDCとする)など一般にガスバリア性が比較的高いと言われる高分子樹脂組成物を積層したフィルムが包装材料として使用されてきた。また、適当な高分子樹脂組成物(単独では、高いガスバリア性を有していない樹脂であっても)のフィルムにAlなどの金属を蒸着したものやアルミナ、シリカなどの無機酸化物を蒸着したものも包装材料として一般的に使用され始めている。
【0004】
ところが、上述のPVA、EVOH系の高分子樹脂組成物を用いてなるガスバリア性積層フィルムは、温度依存性および湿度依存性が大きいため、高温または高湿下においてガスバリア性の低下が見られる。すなわち、煮沸処理やレトルト処理を行うとガスバリア性が著しく低下してしまう。またPVDC系の高分子樹脂組成物を用いたガスバリア性積層フィルムは、ガスバリア性の湿度依存性は小さいが、酸素バリア性で10ml/m2・day・MPa以下とする様な高度のガスバリア性を実現することは困難である。また被膜中に塩素を多量に含むため、焼却処理やリサイクリングなど廃棄物処理の面で問題がある。
【0005】
さらに、上述の金属を蒸着したフィルムやアルミナ、シリカなどの無機酸化物を蒸着したフィルムは、蒸着物と樹脂フィルムの機械的性質、化学的性質、熱的性質などの物性が非常に異なっていることから、ガスバリア層に用いられる無機物の薄膜が可撓性に欠け、揉みや折り曲げに弱い。また、基材との密着性が悪いため、取り扱いに注意を要し、特に印刷、ラミネート、製袋など包装材料の後加工の際に、クラックを発生しガスバリア性が著しく低下する問題がある。さらに、真空プロセスを用いて形成するため装置が高価であったり、形成工程において局部的に高温となり、基材に損傷を生じたり、低分子量物や可塑剤などの添加剤の分解・脱ガスなどを起因として、蒸着層中に、欠陥、ピンホール等を発生することがある。すなわち、これまでの蒸着フィルムは高いガスバリア性を達成できない上に、コスト的に高価となるという問題を有している。
【0006】
また、特許文献1では、上記問題に対して基材に金属アルコキシドの被膜を形成してなるガスバリア材が提案されている。このガスバリア材は、ある程度の可撓性を有するとともに、液相コーティング法による製造ができるため、コスト的にも安価とすることができる。しかしながら、上記ガスバリア材は、基材単体の場合に比べて、ガスバリア性がやや向上するが十分ではなく、高度のガスバリア性が実現できていないのが現状である。
【特許文献1】特開昭62−295931号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、酸素、水蒸気のガスバリア性に優れ、かつガスバリア性が屈曲時でも低下しない蒸着フィルムを提供することを目的とする。また、蒸着フィルムの基材として用いられる高いガスバリア性を発現する被覆フィルムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決した本発明は、高分子樹脂組成物からなる基材上に、メラミン系化合物、ポリビニルアルコール系重合体およびカルボキシル基を有する化合物を必須成分とした被覆層を積層した被覆フィルムであって、該被覆フィルムの厚みが5〜50μmであり、かつ130℃で加熱したときに該被覆フィルムから発生するホルムアルデヒドの質量およびアルコールの質量が、それぞれ該被覆フィルム試料の質量の50ppm以下であるところに要旨を有する。
【0009】
上記カルボキシル基を有する化合物が(メタ)アクリル酸系ポリマーおよび/またはマレイン酸系ポリマーである態様、被覆層に、メラミン系化合物、ポリビニルアルコール系重合体およびカルボキシル基を有する化合物が、メラミン系化合物/ポリビニルアルコール系重合体/カルボキシル基を有する化合物の質量比として、24〜89/10〜75/1〜50含まれている態様、被覆層の厚みが0.05〜0.50μmである態様は、いずれも本発明の被覆フィルムの好ましい実施態様である。
【0010】
本発明には、上記被覆フィルムの被覆層上に無機薄膜層を蒸着して得られる蒸着フィルムも含まれる。この蒸着フィルムの耐水密着強度は、6N/15mm以上であることが好ましく、また、蒸着フィルムのゲルボ試験を行った場合に、ゲルボ試験前後の酸素透過度および水蒸気透過度が下式1)を満たすことが好ましい。
式1) (ゲルボ試験後の透過度−ゲルボ試験前の透過度)/ゲルボ試験前の透過度≦0.2
【発明の効果】
【0011】
本発明により、被覆層外観、酸素バリア性、水蒸気バリア性に優れ、かつ屈曲等の外力に対するバリア性の劣化も少なく、焼却排ガス中にダイオキシンや塩化水素ガスを含まず、環境保全に対して有効なフィルムを経済的に提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の被覆フィルムおよび蒸着フィルムの実施の形態を説明する。
【0013】
[基材層]
本発明で用いる基材層は、例えば、有機高分子を溶融押し出しして、必要に応じ、長手方向および/または幅方向に延伸、冷却、熱固定を施したフィルムであり、有機高分子としては、ナイロン4・6、ナイロン6、ナイロン6・6、ナイロン12などで代表されるポリアミド;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレートなどで代表されるポリエステル;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテンなどで代表されるポリオレフィンの他、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、全芳香族ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリスルホン、ポリスチレン、ポリ乳酸などを挙げることができる。
【0014】
また本発明における基材層は、積層型フィルムであってもよい。積層型フィルムとする場合の積層体の種類、積層数、積層方法等は特に限定されず、目的に応じて公知の方法から任意に選択することができる。
【0015】
[被覆層]
この様な基材層の少なくとも一方の面に、特定の被覆層が積層される。被覆層としては、メラミン系化合物、ポリビニルアルコール系重合体、カルボキシル基を有する化合物を必須成分とする。
【0016】
本発明に使用するメラミン系化合物は、トリアジン環に結合している3個のアミノ基の水素原子の少なくとも一部がメチロール基で置換されており、該メチロール基の数は一般に3〜6個であり、該メチロール基の一部または全部がアルキルエーテル化されているものである。アルキルエーテル化メラミン系化合物のアルキル部分は炭素を1〜6個、好ましくは1〜3個を有し、直鎖状または分岐鎖状である。その具体例としては、メチル、エチル、n−またはiso−プロピル、n−、iso−、またはtert−ブチル等である。具体的に本発明に用いられるメラミン系化合物を例示すれば、ヘキサメチロールメラミンヘキサメチルエーテル、ヘキサメチロールメラミンペンタメチルエーテル、ヘキサメチロールメラミンテトラメチルエーテル、ペンタメチロールメラミンペンタメチルエーテル、ペンタメチロールメラミンテトラメチルエーテル、ペンタメチロールメラミントリメチルエーテル、テトラメチロールメラミンテトラメチルエーテル、テトラメチロールメラミントリメチルエーテル、トリメチロールメラミントリメチルエーテル、トリメチロールメラミンジメチルエーテル等が挙げられるが、ポリビニルアルコール系重合体との相溶性の点から、トリメチロールメラミントリメチルエーテル、トリメチロールメラミンジメチルエーテルが好ましく用いられる。なお該メラミン系化合物は2量体などの縮合体を一部含んでも良い。
【0017】
一方、ポリビニルアルコール系重合体については、その重合度、鹸化度は、目的とするガスバリア性およびコーティング水系溶液の粘度などから定められる。重合度が高くなると、水系溶液粘度が高くなることから、コートが困難となり、重合度はコート作業性から2600以下が好ましい。鹸化度については、90%未満では高湿下での十分な酸素ガスバリア性が得られず、99.7%を超えると水系溶液の調整が困難で、ゲル化しやすく、工業生産には向かない。従って、鹸化度は90〜99.7%が好ましく、さらに好ましくは93〜99%である。なお、シラノール基を含有したポリビニルアルコール系重合体など、他の各種共重合または変性したポリビニルアルコール系重合体は、目的の透明性、ガスバリア性を阻害しない限り、任意に併用できる。
【0018】
本発明は、カルボキシル基を有する化合物を被覆層の必須成分としたことが特徴の一つである。カルボキシル基を有する化合物が、ポリビニルアルコール系重合体およびメラミン系化合物と反応することにより、被覆層はその親水性が低下し、ポリビニルアルコール系重合体とメラミン系化合物との相溶性が増加する。また、被覆層の水蒸気バリア性が向上し、蒸着フィルムにおいては、耐水密着強度が向上する。
【0019】
本発明に使用するカルボキシル基を有する化合物としては、飽和または不飽和の直鎖または分岐脂肪族モノカルボン酸、脂肪族置換モノカルボン酸、脂環式モノカルボン酸、芳香族モノカルボン酸、芳香族置換モノカルボン酸等のモノカルボン酸、ジカルボン酸類、多価カルボン酸類(3価以上)が挙げられる。
【0020】
飽和直鎖脂肪族モノカルボン酸の例としては、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、ペンタン酸、カプロン酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、モンタン酸等が挙げられる。不飽和直鎖脂肪族モノカルボン酸の例としては、アクリル酸、メタクリル酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸等が挙げられる。
【0021】
飽和分岐脂肪族モノカルボン酸の例としては、α−メチル酪酸、α,β−ジメチル吉草酸、2−メチルブタン酸、2−エチルヘキサン酸、イソステアリン酸等が挙げられる。不飽和分岐脂肪族モノカルボン酸の例としては、2−メチル−3−ブテン酸、4−エチル−6−オクタデセン酸等が挙げられる。脂肪族置換モノカルボン酸の例としては、2−ブロモプロパン酸、γ−クロロ−α−メチル酪酸等が挙げられる。
【0022】
脂環式モノカルボン酸の例としては、シクロヘキサンカルボン酸等が挙げられる。芳香族モノカルボン酸の例としては、フェニル酢酸、安息香酸、γ−フェニル酪酸、o−トルイル酸、3−フェニルプロパン酸等が挙げられる。芳香族置換モノカルボン酸の例としては、p−ニトロ安息香酸、p−メトキシ安息香酸、p−ブロモ安息香酸、3−(p−クロロフェニル)ブタン酸等が挙げられる。
【0023】
ジカルボン酸類の例としては、アルキレンジカルボン酸(例、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、オクタデカンジカルボン酸、ドデセニルコハク酸、ペンタデセニルコハク酸、オクタデセニルコハク酸、ダイマー酸など)、アルケニレンジカルボン酸(例、マレイン酸、フマール酸など)、芳香族ジカルボン酸(例、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸など)等が挙げられる。
【0024】
多価カルボン酸類(3価以上)の例としては、脂肪族ポリカルボン酸(例、クエン酸、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸、1,2,3,4,5−ペンタンペンタカルボン酸など)、芳香族ポリカルボン酸(例、トリメリット酸、ピロメリット酸、メリット酸など)、不飽和カルボン酸のビニル重合物(例、(メタ)アクリル酸系ポリマー(例、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、アクリル酸−メタクリル酸共重合体、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体等)、(メタ)アクリル酸系ポリマー部分中和物、ポリイタコン酸、マレイン酸系ポリマー(例、ポリマレイン酸、エチレン−無水マレイン酸に代表されるオレフィン−マレイン酸共重合体等)等)等が挙げられる。
【0025】
上記のうち、ポリビニルアルコールおよびメラミン化合物との反応性の観点から、カルボキシル基を有する化合物としては多価カルボン酸類が好ましく、ポリ(メタ)アクリル酸等の(メタ)アクリル酸系ポリマーや、マレイン酸系ポリマーがより好ましい。なお、これらのカルボキシル基を有する化合物は、カルボキシル基の一部が中和されているものであってもよい。
【0026】
本発明においては、メラミン系化合物/ポリビニルアルコール系重合体/カルボキシル基を有する化合物の質量比は任意に選択できるが、ガスバリア性の点から、好ましくは24〜89/10〜75/1〜50である。なお、被覆層中では、これらの化合物はお互いに反応しているため単独で存在しているわけではないが、これらの化合物由来の部分の質量比として考える。当該質量比が上記範囲を外れると、目的の酸素バリア性、水蒸気バリア性が十分に発現しなかったり、耐水密着性が不充分となることがある。上記質量比は、39〜89/10〜60/1〜50がより好ましく、54〜89/10〜45/1〜36がさらに好ましい。
【0027】
本発明における被覆層においては、ポリアルキレングリコール系界面活性剤がポリビニルアルコール系重合体に対して0.01〜5質量%混合されていることが好ましい。ポリアルキレングリコール系界面活性剤を混合させることで、コート欠点が少ないフィルムが得られ、ガスバリア性も向上する。ポリアルキレングリコール系界面活性剤の混合量が0.01質量%未満であると、基材フィルムへの濡れ性が不十分となりやすく、コート欠点が多いフィルムになるおそれがある。一方、ポリアルキレングリコール系界面活性剤の混合量が5質量%を超える場合には、被覆層の親水性が高くなり、高湿度下での酸素バリア性が悪くなることがある。
【0028】
この様なポリアルキレングリコール系界面活性剤としては、高級アルコールエチレンオキサイド付加物、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物、脂肪酸エチレンオキサイド付加物、多価アルコール脂肪酸エステルエチレンオキサイド付加物、高級アルキルアミンエチレンオキサイド付加物、脂肪酸アミドエチレンオキサイド付加物、油脂のエチレンオキサイド付加物、ポリプロピレングリコールエチレンオキサイド付加物等が挙げられる。中でも、酸素ガスバリア性を低下させない点で、高級アルコールエチレンオキサイド付加物、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物、ポリプロピレングリコールエチレンオキサイド付加物が好ましい。またしばしば、これらの親水性を示す指標として、HLB(Hydrophile-Lipophile Balance)が用いられるが、ポリビニルアルコール系重合体との相溶性と造膜性の点から、HLBが10〜17のものが好ましい。
【0029】
この様なメラミン系化合物とポリビニルアルコール系重合体とカルボキシル基を有する化合物とを必須成分とした被覆層の水接触角は、無機薄膜層蒸着後の水蒸気バリア性発現の点から30度以上であることが好ましい。被覆層の水接触角が30度未満である場合には、十分な水蒸気バリア性が得られない。水接触角を上げるには、各化合物の反応温度を高くすることが有効である。
【0030】
本発明において、メチロール基の一部あるいは全てがアルキルエーテル化されているメラミン系化合物、ポリビニルアルコール系重合体およびカルボキシル基を有する化合物を必須成分とした被覆層は、通常、溶媒を用いてコートすることで形成される。コート液の溶媒としては、溶解性の点から、水100%または水/低級アルコール混合溶媒を用いることが好ましい。低級アルコールとは炭素数1〜3の直鎖または分岐鎖の脂肪族基を有するアルコール性化合物であり、具体例で示せばメチルアルコール、エチルアルコール、エチレングリコール、n−またはiso−プロピルアルコールが挙げられる。特にiso−プロピルアルコールが好ましい。当該コート液の全固形分濃度は2〜35質量%、通常5〜30質量%が好ましい。
【0031】
また、コート液原料の調合順序については、特別な限定はないが、原料の混和性の点から、上記の溶媒、ポリビニルアルコール系重合体、メラミン系化合物、カルボキシル基を有する化合物、触媒等の添加剤の順に混合・攪拌する方法が好ましい。コート液原料の調合にあたり、ポリビニルアルコール系重合体、メラミン系化合物およびカルボキシル基を有する化合物は、上記溶媒に溶解させた溶液の形態で混合しても構わない。
【0032】
さらに必要であれば、本被覆層中に、静電防止剤や滑り剤、アンチブロッキング剤等の公知の無機、有機の各種添加剤を加えることは本発明の目的を阻害しない限り任意である。
【0033】
コート液を用いることで、メラミン系化合物、ポリビニルアルコール系重合体、およびカルボキシル基を有する化合物を必須成分とした被覆層が基材上に形成される。被覆層を基材上に形成する方法としては、通常前述した様に水系溶液を基材にコートする方法が採られる。コートの方法は限定するものではないが、使用するコート液のコート量と粘度により選択される。ファウンテンバーコーティング法、ファウンテンリバースロールコーティング法、ダイコーティング法等から採用すればよい。
【0034】
本発明におけるコート厚み(被覆層の厚み)は、ガスバリア性、経済性の点から、0.05〜0.50μmであることが好ましく、0.10〜0.30μmであることが特に好ましい。コート厚みが0.05μmを下回ると、酸素バリア性、水蒸気バリア性が十分に発現しない。一方、コート厚みが0.50μmを超えると、フィルム中のホルムアルデヒド、低級アルコール成分が多くなり、ガスバリア性が低下するだけでなく、製造コストが高くなり、経済性が悪くなってしまう。
【0035】
コート時の乾燥、熱処理の条件はコート厚み、装置の条件にもよるが、コート後直ちに直角方向の延伸工程に送入し、延伸工程の予熱ゾーンあるいは延伸ゾーンで乾燥させることが好ましい。このような場合、通常50〜250℃程度で行う。これにより、本発明の被覆フィルムが得られる。なお、必要であれば、被覆層を形成させる前に基材フィルムに、コロナ放電処理やその他の表面活性化処理を施したり、公知のアンカー処理剤を用いてアンカー処理を施してもよい。
【0036】
本発明の被覆フィルムは、130℃で加熱したときに発生するホルムアルデヒド量およびアルコール量は、それぞれ、試料フィルムの質量の50ppm以下である。加熱時に発生するアルコールとしては、メチルアルコール、エチルアルコール、エチレングリコール、n−またはiso−プロピルアルコール、n−、iso−、またはtert−ブチルアルコール等の低級アルコールが挙げられる。ホルムアルデヒド量またはアルコール量が50ppmを超える場合、緻密な蒸着膜が得られず、十分なガスバリア性が得られない。発生するホルムアルデヒド量としては、試料フィルムの質量の40ppm以下であることが好ましく、30ppm以下であることが特に好ましい。発生するアルコール量としては、試料フィルムの質量の30ppm以下であることが好ましく、20ppm以下であることが特に好ましい。なお、後述する蒸着フィルムにすると、上記条件で発生するホルムアルデヒド量およびアルコール量は、さらに少なくなる。
【0037】
このホルムアルデヒドまたはアルコールは、メラミン化合物の分解、自己縮合反応またはメラミン化合物とポリビニルアルコール系重合体の縮合反応により発生するものであり、温度上昇によりその発生量は飛躍的に増大する。従って、通常使用される温度では、ホルムアルデヒドまたはアルコール総量はさらに少なくなる。また、実際の使用態様では、被覆フィルムに対し、蒸着層に加えて、接着剤層、シーラント等が積層されることもあり、加熱時であっても、ホルムアルデヒドフリー、アルコールフリーとなる。
【0038】
[無機薄膜蒸着層]
以上の被覆フィルムの被覆層上に無機薄膜層が蒸着されると、本発明の蒸着フィルムが得られる。この無機薄膜層は、ガスバリア性を向上させるもので、無機薄膜の材料としては、Al、Si、Ti、Zn、Zr、Mg、Sn、Cu、Fe等の金属や、これら金属の酸化物、窒化物、フッ素物、硫化物等が挙げられ、具体的には、SiOx(x=1.0〜2.0)、アルミナ、マグネシア、硫化亜鉛、チタニア、ジルコニア、酸化セリウム、あるいはこれらの混合物が例示される。無機薄膜層は1層でもあるいは2層以上の積層体であってもよい。
【0039】
上記無機薄膜層の膜厚は、好ましくは10〜5000Å、より好ましくは50〜2000Åである。膜厚が10Å未満の場合は十分なガスバリア性が得られない恐れがあり好ましくない。逆に5000Åを超える場合、それに相当する効果は奏されず、また耐屈曲性が低下し、さらに製造コストの点で不利となり好ましくない。
【0040】
上記無機薄膜層の蒸着方法としては、公知の方法、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理蒸着法や、PECVD等の化学蒸着法等が採用される。
【0041】
真空蒸着法においては、蒸着材料としてアルミニウム、珪素、チタン、マグネシウム、ジルコニウム、セリウム、亜鉛等の金属、また、SiOx(x=1.0〜2.0)、アルミナ、マグネシア、硫化亜鉛、チタニア、ジルコニア等の化合物およびそれらの混合物が用いられる。加熱方法としては、抵抗加熱、誘導加熱、電子線加熱等が採用される。また、反応ガスとして、酸素、窒素、水素、アルゴン、炭素ガス、水蒸気等を導入したり、オゾン添加、イオンアシスト等の手段を用いた反応性蒸着法を採用してもよい。さらに、基材にバイアスを印加したり、加熱・冷却する等の方法を採用してもよい。上記蒸着材料、反応ガス、バイアス印加、加熱・冷却は、スパッタリング法、CVD法においても採用され得る。
【0042】
本発明の被覆フィルムおよび蒸着フィルムの厚みは、通常包装材料で使用されることから、5〜50μmであることが必要である。望ましくは被覆フィルムおよび蒸着フィルムの厚みは10〜30μmである。
【0043】
メラミン系化合物、ポリビニルアルコール系重合体およびカルボキシル基を有する化合物を被覆層の必須成分とした蒸着フィルムは、耐水密着強度が高いという特徴を有する。蒸着フィルムの耐水密着強度は、6N/15mm以上であることが好ましく、7N/15mm以上がより好ましく、8N/15mm以上であることがさらに好ましい。耐水密着強度が6N/15mm未満であると、例えば、包装袋に加工して内容物を充填した後にボイルレトルト処理等を行った場合に、破袋することがあって好ましくない。本発明では、カルボキシル基を有する化合物によってポリビニルアルコール系重合体とメラミン化合物との相溶性が高まった結果、緻密でかつ親水性が低下した被覆層を無機薄膜層と基材フィルムとの間に形成することができたため、本発明の蒸着フィルムは良好な耐水密着強度を発揮するのである。
【0044】
本発明のガスバリア性の蒸着フィルムは上記被覆層の存在によって、酸素バリア性、水蒸気バリア性にも非常に優れるものである。酸素透過度については10ml/m2・day・MPa以下、水蒸気透過度については、1.0g/m2・day以下の値になる。また、屈曲等の外力を受けたときのバリア性の劣化が小さいという特徴をも有している。外力を受けたときのバリア性の劣化度合いを評価する方法の一例としてゲルボ処理試験が挙げられるが、本発明の蒸着フィルムは、ゲルボ試験後のガス透過度の変化が小さく、酸素、水蒸気ともに、下式1)で示される透過度増加割合(劣化度)は0.2以下である。
【0045】
例えば本発明の蒸着フィルムは、ゲルボ試験を行った場合に、ゲルボ試験前後の酸素透過度および水蒸気透過度が下式1)を満たすことが好ましい。
式1) (ゲルボ試験後の透過度−ゲルボ試験前の透過度)/ゲルボ試験前の透過度≦0.2
【0046】
式1)の関係を満たすフィルムは、耐屈曲性に優れ有用である。また、上記劣化度は、0.15以下であることが好ましく、0.10以下であることが特に好ましい。
【0047】
なお、ゲルボ試験は、まず、蒸着フィルムの蒸着面にポリウレタン系接着剤を約3μmコートし、80℃で熱処理した後、低密度ポリエチレンフィルムを80℃に加熱した金属ロール上で490KPaのニップ圧力でドライラミネートし、ラミネートフィルムとしてゲルボ試験サンプルを得る。そして当該ゲルボ試験サンプルについて、ゲルボフレックステスターを用いて、20℃、65%RH、50回ひねり/1分の条件で、50回ひねり処理を行うことにより行う。この様にして作製したゲルボ試験後のサンプルとゲルボ試験前のサンプル(ラミネートフィルム)につき、酸素透過度、水蒸気透過度を測定する。
【0048】
次に、本発明の被覆フィルムを得るための好ましい製造方法について説明する。本発明者らが、本発明の主目的であるガスバリア性につき検討した結果、主として、被覆層が重要であり、そのコート性、揮発成分量により大きく影響を受けることが判明した。すなわち、以下の手段を講じることにより、被覆層の外観、ガスバリア性に優れたフィルムを得ることが可能になることを突き止めた。
【0049】
1)被覆層を形成するコート液の組成
a)相溶化ポリマーの添加
b)温度依存性触媒系の使用
2)コート・乾燥プロセス
a)乾燥ゾーン(テンター)の排気量、温度
b)延伸前の被覆層の水分量
c)コート厚みを制御するバーの回転方向
【0050】
1)-a)相溶化ポリマーの添加
本発明の被覆フィルムの製造においては、メラミン系化合物/ポリビニルアルコール系重合体/カルボキシル基を有する化合物から得られる被覆層は相分離構造をとりやすく、被覆層が不均一になりやすい。その結果、無機薄膜蒸着後のガスバリア性の低下が部分的に起こり、ガスバリア性の変動も大きくなる。また、被覆層が相分離構造をとると、未反応のアルキルエーテル化されているメラミン系化合物が多くなり、その結果、ホルムアルデヒド、低級アルコールの成分が残存しやすくなり、無機薄膜蒸着後のガスバリア性が低下する。
【0051】
これらの課題を解決する方法として、被覆層の相溶性を高めることが重要になってくる。そこで、相溶化ポリマーを使用することが好ましい。ここで相溶化ポリマーとは、使用されるメラミン系化合物とポリビニルアルコール系重合体の相溶性を高めるような機能を有するポリマーのことをいう。相溶化ポリマーを含むことで、各成分の相溶性が高まり、被覆層の透明性が改善されるだけでなく、塗膜(被覆層)を延伸する場合は塗膜に延展性を付与できる。これにより被覆層の良好な外観が確保され、高度なバリア性を達成することが可能であり、さらに、相溶化ポリマーを含むことで、コート液の反応性が低下し、コート液の粘度安定性も向上する。
【0052】
相溶化ポリマーの例としては、エチレン成分含有のポリビニルアルコール系重合体;カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体;酸化でんぷん、エーテル化でんぷん、デキストリン等のでんぷん類;一酸化炭素−エチレン系共重合体からなるポリケトンを還元して得たポリアルコール;ポリビニルピロリドン;ポリエチレングリコール等のポリアルキレングリコール;ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリ(メタ)アクリル酸(塩)、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸(塩)等をモノマー成分とするコポリマー等の(メタ)アクリル酸系ポリマー;スルホイソフタル酸等の極性基を含有する共重合ポリエステル等が挙げられる。これらのうち、好ましくは、エチレン成分含有のポリビニルアルコール系重合体、ヒドロキシエチルセルロースである。
【0053】
エチレン成分含有のポリビニルアルコール重合体とは、化学構造式上、エチレンとビニルアルコールが共重合した形式になっている重合体のことをいい、実際は、エチレンと酢酸ビニルより製造される都合上、エチレン成分、ビニルアルコール成分、酢酸ビニル成分等のモノマーユニットが当該重合体に含まれている。重合体中のエチレン成分量は、1〜50モル%であることが好ましく、2〜10モル%であることがさらに好ましい。エチレン成分量が1モル%未満では、前記した被覆層の相溶性が悪く不透明になり、50モル%を超えるとコート溶媒への溶解性が悪く、加工性が低下する。
【0054】
本発明で使用する相溶化ポリマーの量としては、ポリビニルアルコール系重合体と相溶化ポリマーの合計量を100質量%として、1質量%以上95質量%以下が好ましく、より好ましくは3質量%以上70質量%以下、特に好ましくは3質量%以上50質量%以下、さらに特に好ましくは3質量%以上35質量%以下、最も好ましくは3質量%以上20質量%以下である。相溶化ポリマーの使用量が1質量%未満であれば、塗膜成分の相溶性が悪いため透明性が悪く、製膜延伸時にコートする場合は塗膜が割れやすい。また、未反応のメラミン系化合物が多くなり、ホルムアルデヒド、低級アルコールの成分が残存しやすくなる。その結果、本発明の目的であるガスバリア性が低下する現象が起こりやすい。ただし、相溶化ポリマーの使用量が95質量%を超えると、相溶化ポリマー自身の増膜性が悪い影響を受け、透明性が悪化してしまうことがある。
【0055】
ただし、エチレン成分含有のポリビニルアルコール重合体を相溶化ポリマーとして使用する場合には、相溶化ポリマーの使用量は、ポリビニルアルコール系重合体とエチレン成分含有のポリビニルアルコール重合体の合計量を100質量%として、1質量%以上90質量%以下であり、より好ましくは1質量%以上50質量%以下である。使用量の範囲の限定理由としては、上記と同様である。
【0056】
なお、エチレン成分含有のポリビニルアルコール重合体を相溶化ポリマーとして使用する場合、エチレン成分含有のポリビニルアルコール重合体は、ポリビニルアルコール系重合体に含めて考える。すなわち、例えば、メラミン化合物、カルボキシル基を有する化合物および温度依存性触媒の使用量の計算等については、エチレン成分含有のポリビニルアルコール重合体とポリビニルアルコール系重合体の合計量を基準として考えて計算する。
【0057】
1)-b)温度依存性触媒系の使用
本発明の被覆フィルムの製造において、メラミン系化合物、ポリビニルアルコール系重合体およびカルボキシル基を有する化合物を必須成分とした被覆層を形成するコート液は、コート液中および乾燥ゾーンの両方で縮合反応が進行する。コート液中で反応が進行しすぎると、コート液が白濁し、粘度が高くなる現象がおこり、その結果、得られる塗膜の透明性が悪くなるばかりでなく、コート厚みが変動し、無機薄膜蒸着後のガスバリア性が不十分になる現象がおきてしまう。一方、乾燥ゾーンでは、反応度が低いと、塗膜の親水性が高く、目的のガスバリア性の一つである水蒸気バリア性を発現させることができない。すなわち、単純に反応を制御するだけでは、十分なガスバリア性が得られにくい。
【0058】
この二律背反する課題を解決するためには、コート液の反応性を低くし、被覆層(乾燥した塗膜)の反応性を高くすることが必要であると考えられ、触媒活性の温度依存性の大きい触媒(本発明においては、これを温度依存性触媒と呼ぶ。)の使用が有効である。すなわちこれにより、コート液の反応性と被覆層の反応性との差が大きくなり、コート液中では反応性を低く、乾燥ゾーン中では反応性を高くすることが実現でき、十分なガスバリア性を得ることが可能になる。
【0059】
温度依存性触媒は、コート液が扱われる温度では触媒活性が低く、乾燥ゾーンの温度では顕著な触媒活性を示すような触媒であれば、その種類には制限はなく、具体的な例としては、酸/揮発性アミン触媒;塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、塩化亜鉛、硝酸亜鉛、ホウフッ化亜鉛、塩化マグネシウム、ホウフッ化マグネシウム等の無機金属塩;塩酸、硫酸、りん酸等の無機酸;ベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、酢酸、乳酸、酒石酸、クエン酸、グリコール酸等の有機酸等が挙げられる。なかでも、酸/揮発性アミン触媒、塩化マグネシウムが好ましい。
【0060】
酸/揮発性アミン触媒としては、カルボキシル基、スルホン酸基等の様な酸性基を含む化合物のアミン塩、アンモニウム塩の様にアミンやアンモニウムを解離することで酸性になる潜在的なもの等を使用することができる。例示すると、ベンゼンスルホン酸のアミン塩およびそのアンモニウム塩、ナフタレンスルホン酸誘導体のアミン塩およびそのアンモニウム塩、りん酸のアミン塩およびそのアンモニウム塩等であり、詳細としては、ドデシルベンゼンスルホン酸のアミン塩、アンモニウム塩、ジノニルナフタレンスルホン酸のアミン塩、アンモニウム塩、p−トルエンスルホン酸のアミン塩、アンモニウム塩、りん酸のアミン塩、りん酸二水素アンモニウム、りん酸一水素アンモニウム、キャタリスト500(三井サイアナミド製)、キャタリスト600(同)、キャタリスト4040(同)等を挙げることができる。酸と揮発性アミンの比率については、これも触媒の種類にもよるが、酸に対して揮発性アミンを0.1〜2.0当量添加するのが通常である。
【0061】
温度依存性触媒の添加量は、触媒の種類にもよるが、通常、メラミン系化合物、ポリビニルアルコール系重合体およびカルボキシル基を有する化合物の固形分総量に対して、0.1〜10質量%添加される。
【0062】
本発明においては、当該温度依存性触媒と上記1)-a)の相溶化ポリマーを併用することの相乗効果によって良好な外観および優れたガスバリア性を有する被覆フィルムが得られるが、その理由は以下のように推測される。
【0063】
温度依存性触媒の添加により、コート液の反応性と被覆層の反応性との差を大きくすることができるが、温度依存性触媒の添加量が増加していった場合には、コート液の反応性が増大する傾向にあり、コート液の粘度安定性が損なわれていく傾向にある。一方、相溶化ポリマーは、コート液の反応性を低下(コート液の粘度安定性を向上)させるものであって、さらに被覆層の相溶性を上げ、その結果被覆層の反応性を向上させるものである。従って、相溶化ポリマーを温度依存性触媒と併用することによって、温度依存性触媒の添加量を抑制することができ、コート液の反応性と、被覆層の反応性のバランスが適切に調整されるものと考えられる。
【0064】
2)-a)乾燥ゾーン(テンター)の排気量と温度
本発明の被覆フィルムの製造において、乾燥ゾーンの排気量と温度も、ガスバリア性の発現の点で重要である。乾燥ゾーンの排気量を高めることで、塗膜中の揮発成分が少なくなり、ガスバリア性が発現する。すなわち、乾燥ゾーンの排気量が低いと、塗膜中に未反応メラミンのホルムアルデヒド、低級アルコール等の揮発成分が多く残存し、その上に蒸着される無機薄膜が緻密でなくなり、十分なガスバリア性が得られない。一方、乾燥ゾーンの排気量を高くすると、乾燥ゾーンの温度斑により、メラミン系化合物/ポリビニルアルコール系重合体/カルボキシル基を有する化合物の3元系の反応斑が発生しやすい状態になり、ガスバリア性が不十分となりやすい。
【0065】
そこでこれらの課題を解決する手段を検討した結果、乾燥ゾーンの温度を高くする手段を併用することで、十分なガスバリア性が得られることが判った。ただ、温度が高すぎると、フィルム流れ方向での温度変動が大きくなったり、基材の強度低下等の弊害が起こり得るので、適切な温度設定をすることが重要である。
【0066】
具体的には、乾燥ゾーンの排気量、温度を以下に設定し、精密な制御をすることにより、その様な弊害をおこさず、良好なガスバリア性が発現する。
【0067】
1)乾燥ゾーンの排気量(m3/分)=コート厚み(μm)×被覆層中のメラミン量(質量%)×係数a a:40〜70
2)乾燥ゾーンの最高温度(熱固定温度):220〜235℃
【0068】
また、温度変動を少なくする方法として、インバーターを取り付けた風速変動抑制設備を用いたり、熱源に500KPa以下の低圧蒸気を使用して、フィルムに当てる熱風の温度変動を抑制できる設備等を用いるのも有効である。この方法を使用することで、特にこれらの方法を併用することで、ガスバリア性のレベルをさらに高めることが可能である。
【0069】
2)-b)延伸前の被覆層の水分量
製膜中にコートする方式においては、被覆層の延展性の点から、延伸前の被覆層の水分量の調整が重要である。適切な水分量に制御することで、十分なガスバリア性を達成できる被覆層が形成できる。コートされる液には、前述した様に水系溶媒が使用され、乾燥ゾーン中で溶媒の水分が揮発する。その後、それにより形成された被覆層が基材とともに延伸される。ここで延伸直前の水分量が低すぎると、被覆層の温度が高くなりすぎ、メラミン系化合物とポリビニルアルコール系重合体とカルボキシル基を有する化合物の3種の反応が進みすぎる。その結果、被覆層の延展性が悪く、外観の良好な被覆層が得られない。一方、延伸直前の水分量が高すぎると、基材の温度が低くなりすぎるため、基材の安定した延伸が不可能になる。外観の良好な被覆層および安定した基材の延伸ができる適切な被覆層の水分量としては0.5〜2.0質量%である。なおこれらの水分量の制御は、コート厚みにより異なるが、通常乾燥ゾーンにおける予熱ゾーンの温度、風速、通過時間、ゾーン長、温度、風速の流れ方向での設定パターンなどの制御により可能である。外観の良好な被覆層を得るためには、徐々に乾燥させることが重要であり、コート後、流れ方向で、温度、風速共に徐々に上げていくのが効果的である。例えば、予熱ゾーンの温度は105℃以下とし、延伸は110〜130℃程度で行い、最終的な熱固定を前記したとおり220〜235℃で行うことが好ましい。
【0070】
2)-c) コート厚みを制御するバーの回転方向
本発明の被覆フィルムの被覆層を形成する方式として、コート液をバーでかきとり、コート厚みを制御する方式が、安価な設備で可能な理由からよく使われる。この方式において検討した結果、バーに適度な回転を与え、かつその回転方向がコートの均一性において重要なことが判った。すなわち、バーの回転をフィルムの進行方向と同方向の回転(コート部において同方向の回転、すなわち正回転)を与えることで、均一なコートが可能なロールコーティングと同等のコート性が実現できることを見出した。回転速度については、フィルムの走行速度の1/500〜1/50が好ましい。走行速度の1/500未満になると、コート筋が出やすく、1/50を超えると、今度はコート厚みの変動が大きくなり、無機薄膜蒸着後のガスバリア性が不均一になる。
【0071】
なお、上記した1)-a)b)、2)-a)b)c)の手段の内の特定の何れかのみが、フィルムのガスバリア性の発現、被覆層の外観に有効に寄与するものでなく、これらの手段を組み合わせて用いることにより、非常に効率的に、十分でかつ均一なガスバリア性が実現できる。
【0072】
本発明の被覆フィルムの製造において、上述した点以外の製造条件ついては、通常の被覆フィルムの製造条件から適宜最適な条件を選択して適用すればよい。
【0073】
本発明の蒸着フィルムの製造方法については、上述の製造方法により得られる被覆フィルムを、前記の蒸着方法により蒸着すればよい。
【0074】
なお、本発明の被覆フィルムおよび蒸着フィルムは、通常、包装材料として使用するため、無機薄膜層上にシーラントと呼ばれるヒートシール性樹脂層が形成されることが多い。ヒートシール性樹脂層の形成は、通常押出しラミネート法あるいはドライラミネート法によりなされる。ヒートシール性樹脂層を形成する熱可塑性重合体としては、シーラント接着性が十分に発現できるものであればよく、HDPE、LDPE、LLDPE等のポリエチレン樹脂類、PP樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−αオレフィンランダム共重合体、アイオノマー樹脂等を使用できる。
【実施例】
【0075】
以下、実施例によって本発明を詳細に説明する。各実施例で得られたフィルム特性は以下の方法により測定、評価した。
【0076】
1)ホルムアルデヒド量
25℃、65%RHの条件で3時間放置したフィルム試料1gを130℃で3分間加熱し、発生ガスを1L/分のAir下において、DNPH(2,4−ジニトロフェニルヒドラジン)カートリッジで誘導体化し、捕集した。捕集したホルムアルデヒド誘導体は高速液体クロマトグラフィーにて定量化し、ホルムアルデヒド換算を行った。
【0077】
2)アルコール量
25℃、65%RHの条件で3時間放置したフィルム試料約10mgを、ガラスインサート法ガスクロマトグラフィー(島津製作所製、GC-9A)にて測定した。注入口温度を130℃にして3分間捕集し、低級アルコール(メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール)の定量化を行った。
【0078】
3)コート厚み:測定点数
透過電子顕微鏡での観察により測定した。フィルム試料をエポキシ樹脂で包埋し、室温で超薄切片を作製した。これをRuO4蒸気中で3分間染色し、カーボン蒸着を施して観察用試料とした。日本電子製JEM2010透過型電子顕微鏡で加速電圧200KV、直接倍率50000倍で、観察、写真撮影を行った。適宜、フィルムを切り出し、フィルム幅方向に沿った長さを5等分する点において厚みを測定し(つまり、試料のフィルム幅が0.4mの場合には、幅方向に0.08m、0.16m、0.24m、0.32m、0.4mの点の厚みを測定する)、その平均値を各試料のコート厚み(μm)とした。
【0079】
なお、メラミン系化合物にメチロールメラミン化合物を使用した場合には、当該メラミン化合物のIRのC=N吸収バンドを利用して、コート厚みを求めることができる。ATR−IR吸光度比と透過電子顕微鏡厚みとの相関から求めた以下の計算式を使い、IR吸光度比を測定し、コート厚みを求め、上記と同じコート厚みとなることを確認した。
コート厚み(μm)=A1540cm-1(メラミンの吸光度)/A1340cm-1×0.15
【0080】
4)水接触角
25℃、65%RHの条件で3時間放置した被覆フィルムの被覆面表面に対して、接触角計(DropMaster500;協和界面科学製)を用いて測定した。水はイオン交換水を使用した。イオン交換水の水滴を滴下してから、10分後の値を測定した。
【0081】
5)酸素透過度
蒸着フィルムの酸素透過度につき、23℃、85%RHの条件で3時間調温・調湿後、酸素透過率測定装置(モダンコントロールズ社製;OX−TRAN100)を用いて測定した。適宜、切り出された試料について、コート厚みの場合と同様に、フィルム幅方向に沿った長さを5等分する点において酸素透過度を測定し、その平均値を各試料の酸素透過度(ml/m2・day・MPa)とした。
【0082】
6)水蒸気透過度
蒸着フィルムの水蒸気透過度につき、40℃、90%RHの条件で3時間調温・調湿後、米国、モコン(MOCON)社製の測定機(PARMATRAN−W)を用いて測定した。適宜、切り出された試料について、コート厚みの場合と同様に、フィルム幅方向に沿った長さを5等分する点において水蒸気透過度を測定し、その平均値を各試料の水蒸気透過度(g/m2・day)とした。
【0083】
7)ゲルボ試験
耐屈曲性の評価のためゲルボ処理を行った。蒸着フィルムの蒸着面にポリウレタン系接着剤(東洋モートン社製;TM590/CAT56)を約3μmコートし、80℃で熱処理した後、低密度ポリエチレンフィルム(東洋紡績社製;L6102;厚み40μm)を80℃に加熱した金属ロール上で490KPaのニップ圧力でドライラミネートし、ラミネートフィルムとなし、これを試料とした。ゲルボ処理については、ゲルボフレックステスター(理学工業社製)を用いて評価した。20℃、65%RH、50回ひねり/1分の条件で、50回ひねり処理を行った。この様にして作製したゲルボ処理後の試料とゲルボ処理前の試料につき、酸素透過度、水蒸気透過度を測定し、下式1)により、劣化度を算出した。
式1) 劣化度=(ゲルボ試験後の透過度−ゲルボ試験前の透過度)/ゲルボ試験前の透過度
【0084】
8)耐水密着強度
7)で作成したラミネートフィルムにつき、フィルム製膜流れ方向を長手方向として、15mm幅の短冊状にサンプリングを行った。そのサンプルにつき、引張試験機(東洋測機社製;テンシロンUTM)にて、剥離部に水滴を連続してつけながら、引張速度200mm/分で、T型剥離強度を測定した。
【0085】
実験例1
[コート液の製造]
水39.6kgを攪拌しながら、無変性のポリビニルアルコール重合体(鹸化度98.5mol%;重合度500)4.86kg、エチレン成分含有のポリビニルアルコール重合体(クラレ製;エクセバール(登録商標)RS−4105;エチレン含量5mol%;鹸化度98.5mol%;重合度500)0.54kgを徐々に投入した。次に90℃まで加熱して、完全にポリビニルアルコール重合体を溶解した。その後25℃まで冷却を行い、ポリビニルアルコール重合体の12%(mol%と断らない限り、質量%を表す。以下同じ)水溶液を調製した。次にこのポリビニルアルコール重合体水溶液45kg、メラミン系化合物(三井サイテック製;サイメル(登録商標)327;77%液)12.3kg、カルボキシル基を有する化合物としてポリアクリル酸水溶液(日本触媒製;HL415;分子量10000;45%液)2.73kg、水31.6kg、イソプロピルアルコール7.0kg、りん酸20%水溶液1.8kg、モノエタノールアミン20%水溶液1.12kg(りん酸はポリビニルアルコール重合体、メラミン系化合物およびカルボキシル基を有する化合物の固形分総量に対して2%。モノエタノールアミンはりん酸に対して1/3当量)、ポリアルキレングリコール系界面活性剤0.018kg(第一工業製薬製;ノイゲン(登録商標)EA110;HLB11;0.1%対被覆層)を順に混合し、固形分濃度18%のコート液を調製した。この例では、メラミン系化合物/ポリビニルアルコール重合体/カルボキシル基を有する化合物=60/30/10(質量比率)である。
【0086】
[被覆フィルムの製造]
極限粘度0.62(30℃、フェノール/テトラクロロエタン=60/40)、シリカを700質量ppm含むポリエチレンテレフタレート(PET)を予備結晶化後、本乾燥し、Tダイを有する押出し機を用いて280℃で押出し、表面温度40℃のドラム上で急冷固化して無定形シートを得た。次に得られたシートを加熱ロールと冷却ロールの間で縦方向に100℃で4.0倍延伸を行った。一方、上記コート液(固形分濃度18%)をフィルム表面へ吐出するファウンテンがつながった温調タンクに投入し、攪拌しながら、25℃に制御した。30μm孔のポリプロピレン製カプセルフィルターを通して異物を濾別したクリーンな液を、吐出量0.028m3/分の条件で、得られた一軸延伸フィルムの片面にファウンテンを接面し、液をコートした。その後、14mm直径の平滑なバーを液面につけ、コート液をかきとり、延伸後のコート厚みが0.15μmとなる様にコートを行った。コート速度(製膜速度)は150m/分である。コート性に関連するバーの回転速度については、フィルムの進行方向と同方向で、60rpm(周速で2.6m/分)とした。次に、乾燥ゾーン(テンター)にフィルムを導き、予熱温度100℃で、溶媒を揮発、乾燥し、乾燥後の被覆層の水分率を1.0%に調整した。そして、120℃の温度で4.0倍横方向に延伸し、6%の横方向の弛緩を行いながら、225℃の温度で熱固定処理を行った。各温度での処理時間は、予熱温度100℃で3秒、延伸温度120℃で5秒、熱固定処理温度225℃で8秒である。また、このときのフィルムに吹き付ける熱風の風速は、予熱、延伸、熱固定各工程共に、15m/秒とした。風速設備にインバーターを取り付けることで風速の変動を±0.5m/秒以内に制御した。なお、ガスバリア性の発現、均一性を出すため、乾燥ゾーンの排気量は以下の式に基づき、480m3/分とした。
コート厚み:0.20(μm)×被覆層中のメラミン量:60(%)×係数:40
=排気量:480m3/分
【0087】
その後冷却し、両縁部を裁断除去することによって、厚さ12μmの二軸延伸ポリエステルフィルムを1000m以上に亘って連続的に製膜してミルロールを作製した。得られたミルロールについて、幅400mm、長さ1000mにスリットして、3インチ紙管に巻き取り、本発明の被覆層を有するフィルムロールを得た。
【0088】
[蒸着フィルムの製造]
次にこのフィルムロールを用いて、フィルムの被覆面側に、各種の金属あるいは金属酸化物を下記条件で蒸着した。
【0089】
a)アルミニウム蒸着
蒸着源として、8〜10mm程度の大きさの粒子状のアルミニウム(純度99.9%)を用い、上記の如く得られたフィルムロールの被覆層面側に、電子ビーム蒸着法により、アルミニウム薄膜を形成した。加熱源として、電子銃(以下、EB銃という)を用い、エミッション電流を0.5Aとした。フィルム送り速度を130m/分とし、50nm厚の膜を作った。なお、蒸着時の圧力は1×10-2Paに、蒸着時のフィルムを冷却するためのロールの温度は−10℃に調整した。
【0090】
b)酸化アルミニウム蒸着
蒸着源として、3〜5mm程度の大きさの粒子状のAl23(純度99.9%)を用い、上記の如く得られたフィルムロールの被覆層面側に、電子ビーム蒸着法により、酸化アルミニウム薄膜を形成した。加熱源として、EB銃を用い、エミッション電流を1.3Aとした。フィルム送り速度を130m/分とし、20nm厚の膜を作った。なお、蒸着時の圧力は1×10-2Paに、蒸着時のフィルムを冷却するためのロールの温度は−10℃に調整した。
【0091】
c)酸化ケイ素蒸着
蒸着源として、3〜5mm程度の大きさの粒子状Si(純度99.99%)とSiO2(純度99.9%)を用い、上記の如く得られたフィルムロールの被覆層面側に、電子ビーム蒸着法により、酸化ケイ素薄膜を形成した。蒸着材料は混合せずに、2つに区切って投入した。加熱源として、EB銃を用い、SiとSiO2のそれぞれを時分割で加熱した。そのときのEB銃のエミッション電流を0.8Aとし、SiとSiO2との組成比が1:9となるように、各材料を加熱した。フィルム送り速度を130m/分とし、20nm厚の膜を作った。なお、蒸着時の圧力は1×10-2Paに、蒸着時のフィルムを冷却するためのロールの温度は−10℃に調整した。
【0092】
d)複合蒸着
蒸着源として、3〜5mm程度の大きさの粒子状のSiO2(純度99.99%)とAl23(純度99.9%)を用い、上記の如く得られたフィルムロールの被覆層面側に、電子ビーム蒸着法により、酸化アルミニウムと二酸化ケイ素との混合薄膜の形成を行った。蒸着材料は、混合せずに、2つに区切って投入した。加熱源として、EB銃を用い、Al23とSiO2のそれぞれを時分割で加熱した。そのときのEB銃のエミッション電流を1.2Aとし、Al23とSiO2との組成比が45:55となるように、各材料を加熱した。フィルム送り速度を130m/minとし、20nm厚の膜を作った。なお、蒸着時の圧力は1×10-2Paに、蒸着時のフィルムを冷却するためのロールの温度は−10℃に調整した。
【0093】
実験例2〜38
表1、2に示したように試料の作製条件を変更し、被覆フィルムおよび蒸着フィルムを作製した。これらにつき、実施例冒頭で示した方法・条件で、被覆フィルムおよび蒸着フィルム中のホルムアルデヒド量、低級アルコール量総量、被覆フィルムのコート厚み、水接触角、および蒸着フィルムの酸素・水蒸気透過度(耐屈曲性評価も含む)、耐水密着強度を測定した。実験例1〜19(表1)は本発明例、実験例20〜38(表2)は本発明の好適な製造例や構成材料から外れる条件で作製した参考例である。表3〜表5に評価結果を示す。
【0094】
【表1】

【0095】
【表2】

【0096】
【表3】

【0097】
【表4】

【0098】
【表5】

【産業上の利用可能性】
【0099】
本発明により、被覆層外観、酸素バリア性、水蒸気バリア性、耐屈曲性、耐水密着性に非常に優れ、かつ焼却排ガス中にダイオキシン、塩化水素ガスを含まず、環境保全に対して有効なフィルムを経済的に提供できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高分子樹脂組成物からなる基材上に、メラミン系化合物、ポリビニルアルコール系重合体およびカルボキシル基を有する化合物を必須成分とした被覆層を積層した被覆フィルムであって、
該被覆フィルムの厚みが5〜50μmであり、かつ130℃で加熱したときに該被覆フィルムから発生するホルムアルデヒドの質量およびアルコールの質量が、それぞれ該被覆フィルム試料の質量の50ppm以下であることを特徴とする被覆フィルム。
【請求項2】
カルボキシル基を有する化合物が、(メタ)アクリル酸系ポリマーおよび/またはマレイン酸系ポリマーである請求項1に記載の被覆フィルム。
【請求項3】
被覆層には、メラミン系化合物、ポリビニルアルコール系重合体およびカルボキシル基を有する化合物が、メラミン系化合物/ポリビニルアルコール系重合体/カルボキシル基を有する化合物の質量比として、24〜89/10〜75/1〜50含まれている請求項1または2に記載の被覆フィルム。
【請求項4】
被覆層の厚みが、0.05〜0.50μmである請求項1〜3のいずれかに記載の被覆フィルム。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の被覆フィルムの被覆層上に、無機薄膜層を蒸着して得られることを特徴とする蒸着フィルム。
【請求項6】
耐水密着強度が6N/15mm以上である請求項5に記載の蒸着フィルム。
【請求項7】
蒸着フィルムのゲルボ試験を行った場合に、ゲルボ試験前後の酸素透過度および水蒸気透過度が下式1)を満たす請求項5または6に記載の蒸着フィルム。
式1) (ゲルボ試験後の透過度−ゲルボ試験前の透過度)/ゲルボ試験前の透過度≦0.2

【公開番号】特開2008−307757(P2008−307757A)
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−156800(P2007−156800)
【出願日】平成19年6月13日(2007.6.13)
【出願人】(000003160)東洋紡績株式会社 (3,622)
【Fターム(参考)】