説明

被記録材収容器、自動給送装置

【課題】 多段構造の被記録材収容器において、第2収容部の撓み変形に対する強度を向上させる。
【解決手段】 第2給送カセット32は、上面が開口している箱形状の部分を含む部材であり、その箱形状部分の内部には複数の記録紙Pが内底面に積重されて収容される。回動軸部321は、第2給送カセット32の前方側の両側部に突設されており、第1給送カセット31の2つのスライド溝部312に嵌合している。収容される記録紙Pに面接触する底面部322、並びに底面部322から立ち上がるように形成された前側壁部323、左側壁部324、右側壁部325及び後側壁部326は、複数の記録紙Pが内底面に積重されて収容される箱形状の部分を構成する。第2給送カセット32は、これらが一体成形により一体に形成された単一部品を含んで構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェットプリンターやレーザープリンター等の記録装置に設けられ、被記録材を記録装置内へ自動給送する自動給送装置、及びこれに用いられる被記録材収容器に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェットプリンターやレーザープリンター等の記録装置には、記録装置内へ被記録材を自動給送する自動給送装置が設けられているのが一般的である。そして一般的な自動給送装置の一例としては、挿抜可能に設けられる被記録材収容器(給紙カセット等)と、被記録材収容器の開口を通じて被記録材収容器内の被記録材に対して進退可能に支持される給送ローラーとを備えたものが公知である。このような構成の自動給送装置においては、被記録材収容器内の被記録材に給送ローラーが当接した状態から、駆動力源の駆動力で給送ローラーを回転させることによって、その被記録材収容器内の被記録材が記録装置内へ給送される。
【0003】
また、このような自動給送装置に用いられる被記録材収容器の一例としては、被記録材が収容される第1収容部と、第1収容部に支持され、被記録材が収容される第2収容部とを備えた多段構造のものが公知である。このような構成の被記録材収容器は、例えば、第1収容部に収容された被記録材に給送ローラーが当接する状態では、その給送ローラーの回転によって、第1収容部に収容された被記録材が給送される。他方、第2収容部に収容された被記録材が給送ローラーに当接可能な位置まで第2収容部をスライド移動させた状態では、第2収容部に収容された被記録材を給送することが可能になる。つまり上記多段構造の被記録材収容器は、第2収容部をスライド移動させて第2収容部の支持位置を変更することによって、第1収容部に収容された被記録材を給送するか、第2収容部に収容された被記録材を給送するかを選択的に切り換えることができる(例えば特許文献1〜4を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4229129号公報
【特許文献2】特許第4265612号公報
【特許文献3】特許第4277223号公報
【特許文献4】特許第4285490号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら従来の多段構造の被記録材収容器は、第2収容部の被記録材が載置される部分が複数の部品によって構成されているため、第2収容部の撓み変形に対する強度を充分に確保することが困難となる。そして、この第2収容部の撓み変形は、第2収容部の被記録材を給送する際に被記録材のスキュー等の要因となるため、被記録材の給送精度が低下する虞を生じさせる。さらに第2収容部の撓み変形に対する強度が充分に確保できないと、撓み変形が許容限度を超えて第2収容部が破損等してしまう虞も生じる。
【0006】
このような状況に鑑み本発明は成されたものであり、本発明の目的は、多段構造の被記録材収容器において、第2収容部の撓み変形に対する強度を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様は、被記録材が収容される第1収容部と、前記第1収容部に支持され、被記録材が収容される第2収容部と、を備え、前記第2収容部は、少なくとも被記録材が載置される部分が単一部品で構成されている、ことを特徴とした被記録材収容器である。
【0008】
このような特徴によれば、第2収容部は、少なくとも被記録材が載置される部分が単一部品で構成されているので、少なくとも被記録材が載置される部分について一定以上の剛性を比較的容易に確保することができる。したがって本発明の第1の態様によれば、多段構造の被記録材収容器において、第2収容部の撓み変形に対する強度を向上させることができるという作用効果が得られる。
また本発明に係る被記録材収容器は、被記録材が載置される部分が複数の部品で構成された従来の被記録材収容器と比較して、より部品点数を少なくすることができるため、製造・組立コストを低減できるという作用効果も得られる。
【0009】
本発明の第2の態様は、前述した第1の態様に記載の被記録材収容器において、前記第2収容部の被記録材が載置される部分は、被記録材に面接触する底面部、及び前記底面部から立ち上がる側面部を含む、ことを特徴とした被記録材収容器である。
このような特徴によれば、被記録材に面接触する底面部及び底面部から立ち上がる側面部が単一部品で構成されるので、第2収容部の撓み変形に対する強度をより向上させることができる。
【0010】
本発明の第3の態様は、前述した第1の態様又は第2の態様に記載の被記録材収容器において、前記第1収容部に対して前記第2収容部をスライド移動可能に支持するスライド支持機構を含む、ことを特徴とした被記録材収容器である。
本発明の第3の態様によれば、第2収容部をスライド移動させて第2収容部の位置を変更することによって、第1収容部に収容された被記録材を給送するか、第2収容部に収容された被記録材を給送するかを選択的に切り換えることが可能な構成の被記録材収容器において、前述した第1の態様又は第2の態様に記載の発明による作用効果を得ることができる。
【0011】
本発明の第4の態様は、前述した第1〜第3の態様のいずれかに記載の被記録材収容器において、前記第1収容部に対して前記第2収容部を回動可能に支持する回動支持機構を含む、ことを特徴とした被記録材収容器である。
このような回動機構を設けることによって、第1収容部から第2収容部を取り外すことなく、第1収容部に被記録材を収容することが可能になる。すなわち本発明の第4の態様によれば、より高い被記録材収容器の操作性を確保しつつ、そのような被記録材収容器において、前述した第1の態様又は第2の態様に記載の発明による作用効果を得ることができる。
【0012】
本発明の第5の態様は、前述した第4の態様に記載の被記録材収容器において、前記回動支持機構は、前記第2収容部に設けられた軸部と、前記第1収容部に設けられ、前記軸部を受ける軸受部と、を含み、前記第2収容部は、被記録材が載置される部分及び前記軸部が単一部品で構成されている、ことを特徴とした被記録材収容器である。
このような特徴によれば、第2収容部の被記録材が載置される部分、及び支持荷重が集中する第2収容部の軸部も含めて、一定以上の剛性を比較的容易に確保することができる。したがって、第2収容部に設けられた軸部が第1収容部に設けられた軸受部に軸受けされる支持構造の被記録材収容器において、第2収容部の撓み変形に対する強度をさらに向上させることができるという作用効果が得られる。
【0013】
本発明の第6の態様は、前述した第4の態様に記載の被記録材収容器において、前記回動支持機構は、前記第2収容部に設けられた軸部と、前記第1収容部に設けられ、前記軸部を受ける軸受部と、を含み、前記軸部は、前記第2収容部に挿通される軸体である、ことを特徴とした被記録材収容器である。
このような特徴によれば、第2収容部に挿通される軸体によって、撓み変形に対する第2収容部の強度が補強されることになる。したがって、第2収容部に設けられた軸部が第1収容部に設けられた軸受部に軸受けされる支持構造の被記録材収容器において、第2収容部の撓み変形に対する強度をさらに向上させることができるという作用効果が得られる。
【0014】
本発明の第7の態様は、前述した第5の態様又は第6の態様に記載の被記録材収容器において、前記軸部は、前記第2収容部の被記録材が載置される部分の外側に回動軸心が構成されるように設けられている、ことを特徴とした被記録材収容器である。
このような特徴によれば、第2収容部を回動させる際に、第2収容部の被記録材が載置される部分の回動軌跡と第1収容部に収容されている被記録材とが干渉する虞を低減させることができる。つまり本発明の第7の態様によれば、第2収容部に設けられた軸部が第1収容部に設けられた軸受部に軸受けされる支持構造の被記録材収容器において、第2収容部を回動させるときに、第1収容部に収容されている被記録材に第2収容部が干渉してしまう虞を低減させることができる。
【0015】
本発明の第8の態様は、前述した第1〜第7の態様のいずれかに記載の被記録材収容器と、駆動力源の駆動力で回転する給送ローラーと、前記被記録材収容器に進入して被記録材に当接可能な進入位置、前記被記録材収容器に干渉しない退避位置をとり得るように、前記給送ローラーを変位可能に支持するローラー支持機構と、を備えた自動給送装置である。
本発明の第8の態様によれば、このような構成の自動給送装置において、前述した第1〜第7の態様のいずれかに記載の発明による作用効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】インクジェットプリンターの要部側面図。
【図2】第1実施例の給送カセットユニットの斜視図。
【図3】第1実施例の給送カセットユニットの側断面図。
【図4】第1実施例の自動給送装置の一部を拡大図示した側断面図。
【図5】第2実施例における第2給送カセットの要部平面図及び要部側断面図。
【図6】第3実施例における第2給送カセットの要部平面図及び要部側断面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
尚、本発明は、以下説明する実施例に限定されることなく、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で種々の変形が可能であり、それらも本発明の範囲内に含まれるものであることは言うまでもない。
【0018】
<第1実施例>
本発明の第1実施例について、図1〜図4を参照しながら説明する。まずインクジェットプリンター1の全体構成について図1を参照しながら説明した後、本発明の第1実施例に係る自動給送装置20及び給送カセットユニット30の詳細な構成について図2〜図4を参照しながら説明する。
【0019】
図1は、インクジェットプリンター1の要部側面図である。
インクジェットプリンター1は、搬送駆動ローラー11、搬送従動ローラー12、記録紙支持部材13、排出駆動ローラー14、排出従動ローラー15、キャリッジ16及び記録ヘッド17を備えている。
【0020】
搬送駆動ローラー11は、金属軸体の外周面に高摩擦被膜が施されて形成されており、搬送用モーター(図示せず)の回転駆動力が伝達されて回転する。搬送従動ローラー12は、搬送駆動ローラー11に当接する方向へ付勢された状態で従動回転可能に軸支されている。記録紙支持部材13は、記録ヘッド17からインクが噴射される領域で、「被記録材」としての記録紙Pの裏面に接して記録紙Pを支持する部材である。排出駆動ローラー14は、前記の搬送用モーターの回転駆動力が伝達されて回転する。排出従動ローラー15は、従動回転可能に軸支されるとともに、排出駆動ローラー14に当接する方向へ付勢されている。
【0021】
キャリッジ16は、キャリッジガイド軸18及びキャリッジ支持フレーム19によって、主走査方向Xへ往復動可能に支持されている。この主走査方向Xは、記録紙支持部材13に支持された状態の記録紙Pの記録面に沿って副走査方向Y(記録紙Pの搬送方向)と交差する方向である。キャリッジガイド軸18及びキャリッジ支持フレーム19は、主走査方向Xに沿って配設されている。キャリッジ16は、キャリッジ用モーター(図示せず)の回転駆動力で双方向回転する無端ベルト(図示せず)が連結されている。当該無端ベルトは、キャリッジ用モーターの駆動プーリーと従動プーリー(図示せず)に掛架され、キャリッジガイド軸18及びキャリッジ支持フレーム19に対して略平行に配設されている。つまりキャリッジ16は、キャリッジ用モーターの駆動力で当該無端ベルトを双方向回転させることによって主走査方向Xへ往復動させることができる。
【0022】
記録ヘッド17は、記録紙支持部材13に支持された状態の記録紙Pの記録面にヘッド面が対面するようにキャリッジ16に搭載されている。記録ヘッド17のヘッド面には、記録紙Pの記録面にインクを噴射してドットを形成するための多数の噴射ノズルが設けられている(図示せず)。記録ヘッド17へのインクの供給は、インクジェットプリンター1の本体に設けられたインクタンク(図示せず)からインクチューブ(図示せず)を介して行われる。
【0023】
またインクジェットプリンター1は、記録前の記録紙Pを自動給送する自動給送装置20を備えている。自動給送装置20は、ローラー支持部材21、給送ローラー22、第1駆動ローラー23、第1従動ローラー24、中間従動ローラー25、第2駆動ローラー26、第2従動ローラー27及び給送カセットユニット30を含む。
【0024】
「被記録材収容器」としての給送カセットユニット30は、符号Bで示した方向へ挿抜可能に設けられている。給送カセットユニット30の構成の詳細については後述する。
【0025】
ローラー支持部材21は、給送ローラー22を支持する部材であり、軸部211を揺動軸として符号Aで示した方向へ揺動可能に支持されている。より具体的にはローラー支持部材21は、給送カセットユニット30に進入して記録紙Pに当接可能な進入位置、給送カセットユニット30の挿抜に干渉しない退避位置をとり得るように、給送ローラー22を変位可能に支持する。給送ローラー22は、回転可能にローラー支持部材21に支持されている。ローラー支持部材21は、揺動用モーター(図示せず)を回転させることによって符号Aで示した方向へ揺動する。
【0026】
給送ローラー22は、自動給送用モーター(図示せず)の回転駆動力が伝達されて回転する。第1駆動ローラー23及び第2駆動ローラー26は、給送ローラー22によって繰り出された記録紙Pを記録実行領域へ給送するためのローラーであり、図示していない回転伝達機構を介して、前記の自動給送用モーターの回転駆動力が伝達されて回転する。第1従動ローラー24、中間従動ローラー25及び第2従動ローラー27は、従動回転可能に軸支されている。
【0027】
以上説明した構成のインクジェットプリンター1において、自動給送装置20から給送された記録紙Pは、記録紙支持部材13に支持され、主走査方向Xへ往復動する記録ヘッド17のヘッド面からインクが噴射されて記録面にドットが形成される主走査動作と、所定の搬送量で副走査方向Yへ搬送される副走査動作とが繰り返されることによって、記録面に記録が実行される。これらの一連の記録制御は、公知のマイコン制御回路を含む制御装置(図示せず)により実行される。
【0028】
図2は、第1実施例の給送カセットユニット30の斜視図である。図3は、第1実施例の給送カセットユニット30の側断面図である。図4は、第1実施例の自動給送装置20の一部を拡大図示した側断面図である。
給送カセットユニット30は、第1給送カセット31及び第2給送カセット32を含む多段構造である。
【0029】
「第1収容部」としての第1給送カセット31は、図示の如く上面が開口している箱形状の部材であり、その内部には複数の記録紙Pが内底面に積重されて収容される。例えば、第1給送カセット31には、A4サイズ等の比較的大きいサイズの記録紙Pが収容される。第1給送カセット31は、分離部311、2つのスライド溝部312及び2つのスライド支持部313を含む。
【0030】
分離部311は、公知の分離機構であり、給送ローラー22の回転により給送されるべき記録紙Pに重なった状態で給送されようとする他の記録紙Pの先端を係止して記録紙Pの重送を防止する。「軸受部」としての2つのスライド溝部312は、それぞれ側壁部(主走査方向Xの両端の壁部)の内側面に形成された長溝である。2つのスライド支持部313は、それぞれ側壁部の内側面に形成された突条である。このスライド溝部312及びスライド支持部313は、第1給送カセット31に対して第2給送カセット32を符号Dで示した方向へスライド移動可能に支持する「スライド支持機構」を構成する。またスライド溝部312は、第1給送カセット31に対して第2給送カセット32を符号Cで示した方向へ回動可能に支持する「回動支持機構」を構成する。
【0031】
「第2収容部」としての第2給送カセット32は、図示の如く上面が開口している箱形状の部分を含む部材であり、その箱形状部分の内部には複数の記録紙Pが内底面に積重されて収容される。例えば第2給送カセット32には、L判サイズや名刺サイズ等の比較的小さいサイズの記録紙Pが収容される。第2給送カセット32は、回動軸部321、底面部322、前側壁部323、左側壁部324、右側壁部325、後側壁部326及び2つの突条部327を含む。
【0032】
「軸部」としての回動軸部321は、第2給送カセット32の前方側(副走査方向Yの下流側)の両側部に突設されており、第1給送カセット31の2つのスライド溝部312に嵌合している。収容される記録紙Pに面接触する底面部322、並びに底面部322から立ち上がるように形成された「側面部」としての前側壁部323、左側壁部324、右側壁部325及び後側壁部326は、複数の記録紙Pが内底面に積重されて収容される前記箱形状の部分を構成する。突条部327は、左側壁部324及び右側壁部325の外側面に形成されており、第1給送カセット31の2つのスライド支持部313に当接している。
【0033】
このような構成の給送カセットユニット30は、回動軸部321を回動中心として符号Cで示した方向へ第2給送カセット32を回動させることができる(回動支持機構)。それによって、第1給送カセット31から第2給送カセット32を取り外すことなく、第1給送カセット31に記録紙Pを収容することが可能になるので、より高い給送カセットユニット30の操作性を確保することができる。
【0034】
また第2給送カセット32は、第1給送カセット31のスライド溝部312に回動軸部321を介して支持されるとともに、第1給送カセット31のスライド支持部313に突条部327を介して支持される。それによって給送カセットユニット30は、符号Dで示した方向へ第2給送カセット32をスライド移動させることができる(スライド支持機構)。そしてユーザーが第2給送カセット32をスライド移動させて第2給送カセット32の位置を変更することによって、第1給送カセット31に収容された記録紙Pを給送するか、第2給送カセット32に収容された記録紙Pを給送するかを選択的に切り換えることができる。
【0035】
より具体的には、第2給送カセット32を引き出し方向D1へスライド移動させた状態では(図4(a))、給送ローラー22を進入位置へ変位させることによって、第1給送カセット31に収容された記録紙Pに給送ローラー22が当接する状態となる。したがって、その状態から給送ローラー22を回転させることによって、第1給送カセット31に収容された記録紙Pを給送することができる。他方、第2給送カセット32を押し入れ方向D2へスライド移動させた状態では(図4(b))、給送ローラー22を進入位置へ変位させることによって、第2給送カセット32に収容された記録紙Pに給送ローラー22が当接する状態となる。したがって、その状態から給送ローラー22を回転させることによって、第2給送カセット32に収容された記録紙Pを給送することができる。
【0036】
そして第2給送カセット32は、2つの回動軸部321、底面部322、前側壁部323、左側壁部324、右側壁部325、後側壁部326及び2つの突条部327が一体成形により一体に形成された単一部品である。それによって第2給送カセット32は、少なくとも記録紙Pが載置される部分(底面部322、前側壁部323、左側壁部324、右側壁部325及び後側壁部326により構成される部分)について一定以上の剛性を比較的容易に確保することができる。したがって本発明によれば、多段構造の給送カセットユニット30において、第2給送カセット32の撓み変形に対する強度を向上させることができる。特に第2給送カセット32は、前述したように、第1給送カセット31に比べ内部に積重される記録紙Pのサイズは小さくなることが多い。しかしながら記録紙Pのサイズは小さくても、例えばL判サイズや名刺サイズ等は、記録紙Pの厚みが比較的厚い場合が多い。したがって第2給送カセット32においては、記録紙Pの給送の際に比較的大きな力が作用する傾向となるため、本発明のように第2給送カセット32の撓み変形に対する強度を向上させることが非常に有効となる。また第2給送カセット32は、支持荷重が集中する回動軸部321が一体成形により一体に形成されている。これは本発明に必須の構成要素ではないが、このような構成を採用することによって、第2給送カセット32の撓み変形に対する強度をさらに向上させることができる。さらに本発明によれば、多段構造の給送カセットユニット30において、記録紙Pが載置される部分が複数の部品で構成された従来のものと比較して、より部品点数を少なくすることができるため、製造・組立コストを低減させることができる。
【0037】
尚、本発明に係る第2給送カセット32は、上記第1実施例のように、底面部322、前側壁部323、左側壁部324、右側壁部325及び後側壁部326の全てを連続的に一体成形した箱形状とすれば、記録紙Pが載置される部分の強度をより向上させる上で好ましいが、必ずしもこのような態様に限定されない。例えば、前側壁部323、左側壁部324、右側壁部325又は後側壁部326の一部を設けずに、より簡略な構成としてもよい。
【0038】
<第2実施例>
本発明の第2実施例について、図5を参照しながら説明する。
図5は、第2実施例における第2給送カセット32の要部を図示した平面図(図5(a))及びその一部を拡大図示した要部側断面図(図5(b))である。
ここで、第2実施例のインクジェットプリンター1の全体構成については、第1実施例と同じであるため説明を省略する。また第2実施例の自動給送装置20の構成は、以下に説明する部分以外の部分については、第1実施例の自動給送装置20と同じであるため説明を省略する。
【0039】
第2実施例の第2給送カセット32は、記録紙Pが載置される部分(底面部322、前側壁部323、左側壁部324、右側壁部325及び後側壁部326により構成される部分)の外側に回動軸心が構成されるように回動軸部321が設けられている。より具体的には第2実施例の第2給送カセット32は、左側壁部324及び右側壁部325に沿う方向へ前側壁部323側に一体成形により延設された2つの腕部328を含み、回動軸部321は、この2つの腕部328にそれぞれ一体成形により形成されている。
【0040】
このような構造であることによって第2実施例の自動給送装置20は、第2給送カセット32を回動させる際に、第2給送カセット32の記録紙Pが載置される部分の回動軌跡と第1給送カセット31に収容されている記録紙Pとが干渉する虞を低減させることができる。つまり第2実施例の自動給送装置20は、第2給送カセット32の撓み変形に対する強度をさらに向上させることができることに加えて、第2給送カセット32を回動させるときに、第1給送カセット31に収容されている記録紙Pに第2給送カセット32が干渉してしまう虞を低減させることができる。
尚、このような効果を奏するために回動軸部321は、当該実施例においては前側壁部323の外側、つまり第2給送カセット32の押し入れ方向D2における前側壁部323より前方に位置しているが(図5(b))、少なくとも前側壁部323の先端よりも前方に位置していればよい。
【0041】
<第3実施例>
本発明の第3実施例について、図6を参照しながら説明する。
図6は、第3実施例における第2給送カセット32の要部を図示した平面図(図6(a))及びその一部を拡大図示した要部側断面図(図6(b))である。
ここで、第3実施例のインクジェットプリンター1の全体構成については、第1実施例と同じであるため説明を省略する。また第3実施例の自動給送装置20の構成は、以下に説明する部分以外の部分については、第1実施例の自動給送装置20と同じであるため説明を省略する。
【0042】
第3実施例の第2給送カセット32は、回動軸心が一本の金属軸体32aによって構成されている点で第1実施例と異なる。より具体的には第3実施例の第2給送カセット32は、左側壁部324側の端面から右側壁部325側の端面へ貫通する貫通孔329が前側壁部323側に形成されている。そして貫通孔329には、この貫通孔329を貫通して両端が突出する長さの一本の金属軸体32aが挿通されている。金属軸体32aの両端は、第1給送カセット31の2つのスライド溝部312に嵌合する。つまり第3実施例の第2給送カセット32は、貫通孔329に挿通された金属軸体32aによって、第2給送カセット32の回動軸部が構成されている。
【0043】
このような構造であることによって第3実施例の自動給送装置20は、第2給送カセット32に挿通される金属軸体32aによって、撓み変形に対する第2給送カセット32の強度が補強されることになる。したがって第3実施例の自動給送装置20は、第1実施例又は第2実施例と比較して、第2給送カセット32の撓み変形に対する強度をさらに向上させることができる。
【0044】
また第3実施例の第2給送カセット32の貫通孔329は、記録紙Pが載置される部分(底面部322、前側壁部323、左側壁部324、右側壁部325及び後側壁部326により構成される部分)の外側に金属軸体32aによって回動軸心が構成される位置に形成されている。したがって第3実施例の第2給送カセット32は、第2実施例と同様に、第2給送カセット32を回動させるときに、第1給送カセット31に収容されている記録紙Pに第2給送カセット32が干渉してしまう虞を低減させることができる。
【符号の説明】
【0045】
1 インクジェットプリンター、20 自動給送装置、21 ローラー支持部材、22 給送ローラー、30 給送カセットユニット、31 第1給送カセット、32 第2給送カセット、211 ローラー支持部材の軸部、311 分離部、312 スライド溝部、313 スライド支持部、321 回動軸部、322 底面部、323 前側壁部、324 左側壁部、325 右側壁部、326 後側壁部、327 突条部、328 腕部、329 貫通孔、32a 金属軸体、P 記録紙、X 主走査方向、Y 副走査方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被記録材が収容される第1収容部と、
前記第1収容部に支持され、被記録材が収容される第2収容部と、を備え、
前記第2収容部は、少なくとも被記録材が載置される部分が単一部品で構成されている、ことを特徴とした被記録材収容器。
【請求項2】
請求項1に記載の被記録材収容器において、前記第2収容部の被記録材が載置される部分は、被記録材に面接触する底面部、及び前記底面部から立ち上がる側面部を含む、ことを特徴とした被記録材収容器。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の被記録材収容器において、前記第1収容部に対して前記第2収容部をスライド移動可能に支持するスライド支持機構を含む、ことを特徴とした被記録材収容器。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の被記録材収容器において、前記第1収容部に対して前記第2収容部を回動可能に支持する回動支持機構を含む、ことを特徴とした被記録材収容器。
【請求項5】
請求項4に記載の被記録材収容器において、前記回動支持機構は、前記第2収容部に設けられた軸部と、前記第1収容部に設けられ、前記軸部を受ける軸受部と、を含み、前記第2収容部は、被記録材が載置される部分及び前記軸部が単一部品で構成されている、ことを特徴とした被記録材収容器。
【請求項6】
請求項4に記載の被記録材収容器において、前記回動支持機構は、前記第2収容部に設けられた軸部と、前記第1収容部に設けられ、前記軸部を受ける軸受部と、を含み、前記軸部は、前記第2収容部に挿通される軸体である、ことを特徴とした被記録材収容器。
【請求項7】
請求項5又は6に記載の被記録材収容器において、前記軸部は、前記第2収容部の被記録材が載置される部分の外側に回動軸心が構成されるように設けられている、ことを特徴とした被記録材収容器。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の被記録材収容器と、
駆動力源の駆動力で回転する給送ローラーと、
前記被記録材収容器に進入して被記録材に当接可能な進入位置、前記被記録材収容器に干渉しない退避位置をとり得るように、前記給送ローラーを変位可能に支持するローラー支持機構と、を備えた自動給送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−35986(P2012−35986A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−179207(P2010−179207)
【出願日】平成22年8月10日(2010.8.10)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】