説明

装用感に優れたファッション眼鏡

【課題】 斬新なデザインで装飾性に優れるとともに、透明のリムを有したサブフレームを採用することによって、巧みに局所的な光学的歪みを生じさせて前方から眺めた際に左右のレンズが空中浮上状態に見えるような視覚的印象を与え、しかも、着用者が視界に開放感を感じることのできる装用感に優れたファッション眼鏡を提供すること。
【解決手段】 左右一対のレンズ11・11を対称並立状態に備えるとともに、合成樹脂材料によってリム12・12が透明に作製されたサブフレーム1と;このサブフレーム1の上部前面に沿って伸びる帯金から成り、当該帯金部材自体は、前記サブフレーム1におけるレンズ11とリム12との境界部13の少なくとも一部を前方から視認可能な状態でサブフレーム1に固定されてサブフレーム1を支持するメインフレーム2と;このメインフレーム2の左右両端に連結されたテンプル3・3とを含んで構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、眼鏡の改良に関し、更に詳しくは、装用時において視界に狭窄感を感じさせることなく、しかも前方から眺めた際に、左右のレンズが空中に浮上しているように見える斬新なファッション眼鏡に関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近においては、眼鏡は視力の矯正器具としてだけでなく、ファッションアイテムとしても重要な役割を果たしている。
【0003】
そして、このようなファッション用眼鏡に関して、本件出願人は、以前、装飾を施した補強板材を用いて合成樹脂製のリムに金属製のブリッジ及びテンプルを接続して作製することによって、合成樹脂材料のみで作製されたものよりデザインを向上させた眼鏡枠を提案した(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
しかしながら、上記従来の眼鏡にあっては、合成樹脂製リムと金属部材との組み合わせにおいて、リムに使用した合成樹脂の物性を充分に活かしたデザインとは云えず、そのデザインには今一つ物足りなさがあった。
【0005】
ところで、最近では、上下のリム幅が小さい細長い形状のレンズを使用するスクウェア型やブロー型のフレームが、その洗練された印象から若者を中心にファッションアイテムとして人気がある。
【0006】
しかしながら、上記の従来技術における補強板材は、ウェリントン型やボストン型等の頑強な印象のリムとは相性が良いものの、ブロー型やオーバル型等の繊細な印象を持つフレームには、補強板材が逆にフレームの洗練された雰囲気を台無しにしてしまうため、上記技術の適用は難しかった。
【0007】
また、これらブロー型やオーバル型のフレームにおいては、リムの上下幅が非常に狭かったことから、装用時にリムの上下部分と眼とが接近し過ぎて視界の邪魔になり、着用者が視界に狭窄感を感じてしまうことがあった。
【特許文献1】特開2002−182161号公報(第2−5頁、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記の如き問題に鑑みて為されたものであり、その目的とするところは、斬新なデザインで装飾性に優れるとともに、透明のリムを有したサブフレームを採用することによって、巧みに局所的な光学的歪みを生じさせて前方から眺めた際に左右のレンズが空中浮上状態に見えるような視覚的印象を与え、しかも、着用者が視界に開放感を感じることのできる装用感に優れたファッション眼鏡を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者が、上記課題を解決するために採用した手段を添付図面を参照して説明すれば次のとおりである。
【0010】
即ち、本発明は、左右一対のレンズ11・11を対称並立状態に備えるとともに、合成樹脂材料によってリム12・12が透明に作製されたサブフレーム1と;このサブフレーム1の上部前面に沿って伸びる帯金から成り、当該帯金部材自体は、前記サブフレーム1におけるレンズ11とリム12との境界部13の少なくとも一部を前方から視認可能な状態でサブフレーム1に固定されてサブフレーム1を支持するメインフレーム2と;このメインフレーム2の左右両端に連結されたテンプル3・3とを含んで構成した点に特徴がある。
【0011】
また、本発明においては、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、サブフレーム1に有色のレンズ11を使用するという技術的手段を採用することができる。
【0012】
また、本発明においては、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、メインフレーム2を、サブフレーム1におけるレンズ11とリム12との境界部13全部を前方から視認可能な状態でサブフレーム1に固定するという技術的手段を採用することができる。
【0013】
また、本発明においては、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、サブフレーム1のリム12・12を、上下幅の小さい細長のレンズ11・11を装着する形状に作製するという技術的手段を採用することができる。
【0014】
また、本発明においては、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、サブフレーム1を、レンズ11・11の上弦部をリム12・12が支持するハーフリム形態に構成するという技術的手段を採用することができる。
【0015】
また、本発明においては、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、サブフレーム1がフルリム形態を成して、レンズ11・11の全周囲をリム12・12が囲んで抱持するという技術的手段を採用することができる。
【0016】
また、本発明においては、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、サブフレーム1のリム12の材料として、アセテート樹脂を採用するという技術的手段を採用することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明では、レンズを備えた合成樹脂製のリムを有したサブフレームに、左右にテンプルが連結された帯金状のメインフレームを連結したことによって、金属材料及び合成樹脂材料の両方を用いた今までにない斬新なデザインの眼鏡を作製することができる。
【0018】
加えて、メインフレームをリムとレンズの境界部分が視認できるようにサブフレームに固定したことによって、光学的歪みを生じる透明なリムがメインフレームとレンズとの間に介されるため、その視覚的作用により、正面から見ると、左右のレンズが空中浮上状態に見えるというシュールレアリスム風の妙趣に溢れたデザインを呈するのである。
【0019】
また、サブフレームのリムを透明に形成したことにより、透光作用が働くため、リムの上下部分と眼とが過度に接近していたとしても、リムが視界の邪魔をして着用者が視界に狭窄感を感じることはない。
【0020】
したがって、本発明により、装用感に優れるとともに、ファッションアイテムとして充分な装飾性を備えた眼鏡を提供することができるため、本発明の実用的利用価値は頗る高い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
『第1実施形態』
まず、本発明の第1実施形態について、図1から図3に基いて説明する。まず、符号1で指示するものは合成樹脂製のサブフレームであり、符号2で指示するものは、メインフレームである。そして、符号3で指示するものは、テンプルである。
【0022】
しかして、本実施形態の構成を以下に説明する。まず、本実施形態では、左右一対のレンズ11・11をサブフレーム1に備えた際に、このレンズ11・11とサブフレーム1のリム12との境界部13が明確に表れるようにした。
【0023】
具体的には、サブフレーム1のレンズ11・11に有色レンズ12・12を採用し、かつ、合成樹脂材料によってリム12を無色透明に作製することにより、レンズ11とリム12との境界部13がはっきりと表れ、なおかつ、レンズ11自体の存在感も高まるようにしている。
【0024】
そして、このサブフレーム1においては、リム11・11を対称並立状態に形成するブリッジ14を介するとともに、このブリッジ14近辺にはノーズパッド15を形成した(図1、図2参照)。
【0025】
また、サブフレーム1を、レンズ11・11の上弦部をリム12が支持するハーフリム形態に構成するとともに、サブフレーム1のリム12の材料には、透明度が高く加工性に優れ、かつ、射出成形による量産も可能なアセテート樹脂を採用した。
【0026】
さらに、このサブフレーム1の上部前面に沿って伸び、前後方向に可撓性を有した帯金状のメインフレーム2を、サブフレーム1におけるレンズ11とリム12との境界部13が視認可能な状態でサブフレーム1に止着部材4を用いて固定した。
【0027】
そして、このメインフレーム2の左右両端には、テンプル3・3をヒンジ31で連結して全体を構成した。
【0028】
上記のように合成樹脂製のリム12を有したサブフレーム1に対し、左右にテンプル3・3が連結された帯金状のメインフレーム2を固定したことによって、斬新なデザインの眼鏡を作製することができる。
【0029】
また、サブフレーム1の透明なリム12・12が、レンズ11・11とメインフレーム2との間に介在することにより、透明なリム12の光学的歪みによってレンズ11・11が宙に浮いているような外観に形成することができる(図3参照)。
【0030】
また、サブフレーム1のリム12・12を透明(好ましくは無色)にすることによって、リム12の上下部分と眼とが過度に接近していた状態で着用したとしても、リム12の透光作用によって、着用者が視界に狭窄感を感じることはない。
【0031】
『第2実施形態』
次に、本発明の第2実施形態について図4に基いて説明する。本実施形態においては、サブフレーム1をハーフリム形態で作製するとともに、メインフレーム2の形状をフルリム状のレンズ11・11を包囲した形状で作製することによって、レンズ11・11上方に位置するリム12・12の光屈折及びレンズ11・11下方に形成されたメインフレーム2の隙間によってレンズ11・11が空中に浮いたような外観を作出している(図4参照)。
【0032】
『第3実施形態』
次に、本発明の第3実施形態について図5に基いて説明する。本実施形態においては、サブフレーム1に、リム12・12がレンズ11・11の全周囲を囲んで抱持したフルリム形態を採用するとともに、リム12・12の形状はオーバル型で形成した(図5参照)。
【0033】
また、本実施形態ではサブフレーム1とメインフレーム2とを接着材によってロウ付けして、サブフレーム1の上部前面に対して全体的に固着を行うことで、メインフレーム2をより強固に固定した。
【0034】
そして、メインフレーム2の前面に装飾を施し、この装飾によって眼鏡のファッション性を向上させるとともに、メインフレーム2の存在感を強めて、サブフレーム1の透明なリム12・12を目立たなくすることで、レンズ11・11があたかも空中浮上しているような視覚的効果をより高めている。
【0035】
本発明は、概ね上記のように構成されるが、図示の実施形態に限定されるものでは決してなく、「特許請求の範囲」の記載内において種々の変更が可能であって、例えば、サブフレーム1のレンズ11・11は、有色レンズだけでなく、図6に示すように無色の度付きレンズを用いて矯正用眼鏡として使用してもよい。この際、サブフレーム1に備えるレンズ11・11が無色でも、サブフレーム1の光学的歪み作用によってレンズ11とリム12の境界部13ははっきりと表れるため、前記同様、レンズ11・11が浮上しているような視覚的効果が得られる。
【0036】
また、実施形態ではサブフレーム1のリム12を無色透明に作製しているけれども、レンズ11とのコントラストを得るために、図7に示すように、リム12を有色透明に作製することもでき、その組み合わせによって、デザインのバリエーションを拡げることもできる。なお、この際、レンズ11・11を除いたサブフレーム1全体を有色透明にする場合には、ノーズパッド15を覆うような形状でメインフレーム2を作製して、視覚作用をレンズ11・11の上方部分のみに限定すれば、空中浮上効果をより効果的に得ることができる。
【0037】
また、サブフレーム1とメインフレーム2の固定方法は、係着部材や接着材によるロウ付けだけでなく、作業が簡単な溶接を採用してもよい。
【0038】
そしてまた、サブフレーム1の形状は、バー型やオーバル型だけでなく、上下幅の小さい細長のレンズを使用する枠型であればスクウェア型等を採用してもよく、何れも本発明の技術的範囲に属する。
【産業上の利用可能性】
【0039】
最近では、眼鏡がファッションアイテムとして大変重用されており、着用者の印象が眼鏡によって左右されることも多々ある。そのような中で、本発明のファッション眼鏡は、代わり映えしない市場の製品群の中で、新鮮さを感じられるシュールレアリスム風の妙趣に富んだデザインの眼鏡として眼鏡一般需要者の購買意欲をそそることができる。
【0040】
また、本発明のファッション眼鏡は、眼鏡業界において革新的なデザインであるだけでなく、近年流行しているブロー型やオーバル型等のフレーム型の問題を解消することもできることから、市場における需要は非常に大きく、本発明の産業上の利用価値は非常に高いと云える。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の第1実施形態における眼鏡を表わす全体斜視図である。
【図2】本発明の第1実施形態における眼鏡を表わす全体上面図である。
【図3】本発明の第1実施形態における眼鏡を表わす全体正面図である。
【図4】本発明の第2実施形態における眼鏡を表わす全体正面図である。
【図5】本発明の第3実施形態における眼鏡を表わす全体正面図である。
【図6】本発明の変形例における眼鏡を表わす全体正面図である。
【図7】本発明の変形例における眼鏡を表わす全体正面図である。
【符号の説明】
【0042】
1 サブフレーム
11 レンズ
12 リム
13 境界部
14 ブリッジ
15 ノーズパッド
2 メインフレーム
3 テンプル
31 ヒンジ
4 止着部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右一対のレンズ11・11を対称並立状態に備えるとともに、合成樹脂材料によってリム12・12が透明に作製されたサブフレーム1と;このサブフレーム1の上部前面に沿って伸びる帯金から成り、当該帯金部材自体は、前記サブフレーム1におけるレンズ11とリム12との境界部13の少なくとも一部を前方から視認可能な状態でサブフレーム1に固定されてサブフレーム1を支持するメインフレーム2と;このメインフレーム2の左右両端に連結されたテンプル3・3とを含んで構成され、前記左右のレンズ11・11が、透明のサブフレーム1の介在による光学的歪み作用によって空中浮上状態に見えることを特徴とする装用感に優れたファッション眼鏡。
【請求項2】
サブフレーム1に使用するレンズ11が有色であることを特徴とする請求項1記載の装用感に優れたファッション眼鏡。
【請求項3】
メインフレーム2が、サブフレーム1におけるレンズ11とリム12との境界部13全部を前方から視認可能な状態でサブフレーム1に固定されていることを特徴とする請求項1または2に記載の装用感に優れたファッション眼鏡。
【請求項4】
サブフレーム1のリム12・12が、上下幅の小さい細長のレンズ11・11を装着する形状に作製されていることを特徴とする請求項1〜3の何れか一つに記載の装用感に優れたファッション眼鏡。
【請求項5】
サブフレーム1が、レンズ11・11の上弦部をリム12・12が支持するハーフリム形態に構成されていることを特徴とする請求項1〜4の何れか一つに記載の装用感に優れたファッション眼鏡。
【請求項6】
サブフレーム1がフルリム形態を成して、レンズ11・11の全周囲をリム12・12が囲んで抱持していることを特徴とする請求項1〜4の何れか一つに記載の装用感に優れたファッション眼鏡。
【請求項7】
サブフレーム1のリム12の材料として、アセテート樹脂が採用されていることを特徴とする請求項1〜6の何れか一つに記載の装用感に優れたファッション眼鏡。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−156302(P2007−156302A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−354637(P2005−354637)
【出願日】平成17年12月8日(2005.12.8)
【出願人】(390013907)増永眼鏡株式会社 (7)
【Fターム(参考)】