説明

装飾組成物、およびそれを用いる方法

組成物は、全組成物の重量に基づいて少なくとも50重量%の第1フィラーと、任意成分である第2フィラーを含んでいる。装飾組成物のその他成分は、ポリマー樹脂、凝結溶剤、および水である。この組成物は、実質的に、硬化が組成物のバインダーとして作用するスタッコ、セメント、あるいはその他水硬性成分を含んでいない。室内壁あるいは天井の表面に構造物を作るに有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ジョイントコンパウンドよりも耐水性が大きく、耐久性のある装飾組成物、およびそれを用いる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プラスターやジョイントコンパウンドのような組成物は、ビルディング建設分野では良く知られている。これらは、殆ど如何なる形にもでき、サンドをかけて滑らかな平面にすることができ、また塗料や壁紙などの装飾が可能であるが故に多くの用途がある。これらの組成物は、比較的安価であり、住宅所持者が実施しても上手にできる。
【0003】
プラスターは、硫酸カルシウム半水和物を水と混合してスラリーにして作られる。水が水和反応で硫酸カルシウム半水和物に吸収され、硫酸カルシウム二水和物の相互結合されたマトリックスを形成し、硬く脆くなる。これらの材料は、非常に短い作業時間で実施できる。
【0004】
一方、この反応が進行すると、種々のマトリックスと結晶型を生成するので、スラリーの粘度と作業性は絶えず変化している。そこで、施工者は、プラスターを平らにするに必要な圧力を常に変えていかなければならない。乾燥してしまうと、サンドがけして表面を平らにするのが難しくなる。
【0005】
ジョイントコンパウンドには、硬化タイプと乾燥タイプの2つのタイプが良く知られている。硬化タイプジョイントコンパウンドは、スタッコや硫酸カルシウム半水和物などの水硬性成分の硬化作用によってジョイントコンパウンドを一緒に保持することに基づいている。プラスターのような硬化タイプジョイントコンパウンドは、その粘度や作業性が使用中に変わってくる。
【0006】
硬化タイプジョイントコンパウンドは、使用する前に混ぜ合わせ必要があるウェット成分とドライ成分の2成分システムであるという不利がある。水が加えられると、水和反応が始まり、ジョイントコンパウンドは硬化を始める。水和反応の開始を遅らせるために硬化遅延剤を用いたときには、水を予め加えておくこともできる。次いで、使用時に硬化促進剤を加えて水和反応を開始させる。
【0007】
水あるいは硬化促進剤は、使用のすぐ前に硬化タイプジョイントコンパウンドに加えられる。硬化促進剤や硬化遅延剤などの硬化時間調整剤を加えるときには、作業性と硬化時間に大きな影響をもつので注意が必要である。
【0008】
乾燥タイプジョイントコンパウンドは、使用の前に調製されて、水の蒸発および/またはラテックスエマルションの凝結させることに基いている。しかしながら、乾燥タイプジョイントコンパウンドは、硬化タイプの組成物よりも耐久性が劣り、脆いという欠点がある。湿潤時、あるいは乾燥後でも、表面は損傷を受け易い。
【0009】
どちらのタイプのジョイントコンパウンドも、壁または天井に構造物や建築上の細工を施すには耐久性が充分にない。この目的に使用される組成物は、非常に強く、耐水性で、耐久性であり、かつ、こてを用いて柔かい組成物を施工して細工ができるような成形性のあるものである。
【0010】
このように、装飾組成物は、壁を形成し、修理できるものであり、同時に、基板に形成できるものであるのが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の装飾組成物は、上記した問題点を解決し、超えるものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この組成物の実施形態では、全組成物重量に基いて少なくとも50%の量の第1フィラーを含んでいる。第2フィラーおよび/または湿潤剤は、任意に加えられる。この装飾組成物の少なくとも実施形態では、ポリマー樹脂、凝結溶剤、および水を含んでいる。本発明の組成物は、硬化作用で組成物のバインダーとなるスタッコ、セメント、あるいはその他水硬性成分を実質含んでいない。
【0013】
本発明の少なくとも1つの実施形態では、炭酸カルシウムが、組成物中の第1フィラーである。
【0014】
装飾基板の製造方法は、装飾組成物を得る段階と、それを基板表面に適用する段階を含んでいる。装飾組成物は、室内壁などの基板を形成し、修理するのに役立ち、装飾構造物あるいは建築上の細工を施すに有用である。
【発明の効果】
【0015】
この装飾組成物は、他のプラスターおよびジョイントコンパウンドと比較して、非常に耐久性があり、脆くない。成型し、サンドがけすることで、欠けたり砕けることなく非常に平らな仕上げができる。
【0016】
このコンパウンドは、デザイナーの仕上げで色がつけられる。この装飾コンパウンドは、さらに従来のプラスターやジョイントコンパウンドでは見られなかった耐水性と柔軟性を持っている。装飾組成物のその他の性状では、それが下塗りを兼ねていることである。すなわち、施工者は、基材に下塗りすることなしに装飾仕上げをすることができる。
【0017】
さらに、この装飾組成物は、従来の装飾組成物よりも耐水性に優れている。これは、基板の表面が汚れたとき、洗い流すことができることを意味する。さらに、表面が水漏れや水がこぼれることがあっても、損害を受けることがない。
【0018】
この装飾組成物は、施工者に無限の色彩と構造パターンを実現することを可能にして、室内壁や天井の個性化ができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の装飾組成物は、組成物の全重量に基いて少なくとも50重量%の第1フィラーを含んでいる。この組成物は、さらにポリマー樹脂、凝結溶剤、増粘剤、および水を含んでいる。特に断りない限り、この組成物中の成分量は、全組成物重量に基いての重量で記載する。 任意成分として、第2フィラーと湿潤剤がある。
【0020】
この装飾組成物の少なくとも50重量%は、第1フィラーであり、それは炭酸カルシウム、石灰石、石膏、霞石響岩(nepheline phonolite)、二酸化チタン、リソフォン(lithophones)、珪灰石(wollastonite)、ビスマスオキシクロライド、タルク、クレイ、およびこれらからの混合物である。
【0021】
有用な霞石響岩は、典型的に結節状の粒子である。適切な霞石響岩は、ミネックス(MINEX)〔例えば、ミネックス3(MINEXR 3)〕〔ユニミン・コーポレーション(Unimin Corporation)、コネティカット州、ニューカーナン(New Caanan)〕の商品名で市販されている。
【0022】
その他適切な第1フィラーは、ミストロンZSC(MISTRON ZSC)などのミストロン(MISTRON)〔ルゼナック・ノース・アメリカ社(Luzenac North America)、コロラド州、グリーンウッドビレッジ(Greenwood Village)〕の商品名で市販されているタルク、スノーホワイト21(Snowwhite 21)やオムヤカーブ6−PT(OMYACARB 6−PT)などのオムヤカーブ(OMYACARB)〔オムヤ・ノース・アメリカ社(Omya North America)、ジョージア州、アルファレッタ(Alpharetta)〕の商品名で市販されている粉砕炭酸カルシウム、ヒューバー70−C(HUBER 70−C)などのヒューバー(HUBER)〔ヒューバー・エンジニアード・マテリアル社(Huber Engineered Materials)、ジョージア州、アトランタ(Atlanta)〕の商品名で入手できる焼成カオリンクレイ、ASP−400などASP〔BASF・コーポレーション(BASF Corporation)、ニュージャージー州、フォルハムパーク(Florham Park)〕の商品名で市販されている水和アルミノシリケート、M−60〔ミシシッピー・ライム・カンパニー(Mississippi Lime Company)、ミズーリ州、セントルイス(St.Louis)〕の商品名で入手できる析出炭酸カルシウム、P−80F〔ユナイテッド・ステイト・ジプサム・カンパニー(United States Gypsum Company)、イリノイ州、シカゴ(Chicago)〕の商品名で入手できる雲母、があるが、これらに限定されるものではない。
【0023】
ルチル二酸化チタンは、一般に白色および乳白色顔料として使用するに好ましいが、アナターゼ二酸化チタンおよびその他乳白色顔料も使用できる。有用な二酸化チタンは、TI−ピュア(TI−PURER)〔デュポン・カンパニー(DuPont Company)、デラウェア州、ウィルミントン(Wilmington)〕、チオナ(TIONA)〔ミレニアム・ケミカルズ(Millennium Chemicals)、メリーランド(Maryland)〕、トロノクス(TRONOX)〔トロノックス・インコーポレイテッド(Tronox Incorporated)、オクラハマ州、オクラホマシティ(Oklahoma City)〕、およびチオキシド(TIOXIDE)〔ハンツマン・ピグメンツ社(Huntsman Pigments)、英国〕の商品名で入手できる。適切な二酸化チタンは、チオナ−595(TIONA 595)およびトロノックス−CR821(TRONOX CR821)がある。
【0024】
第1フィラーのタイプが本発明に与える性状には、耐磨耗性、適用時のレオロジー性、洗浄性、耐摩擦性、隠蔽力、色、彩色力があるが、これだけではない。第1フィラーの粒子サイズ分布は、特別に必要ではないが、粒子サイズは、乾燥後の装飾組成物の平滑性にある程度の影響を及ぼす。
【0025】
粒子サイズがかなり大きい場合、より小さな粒子サイズを用いた場合より装飾化合物の表面は平滑性に劣るであろう。好ましい実施形態では、第1フィラーの粒子サイズは、約0.2ミクロンから約250ミクロンの範囲である。好ましい実施形態では、第1フィラーは、粒子サイズ分布が約10ミクロンから約25ミクロンである。
【0026】
タルクは、炭酸カルシウムや石灰石より遥かに微細であるので、タルクの粒子サイズ分布は、例えば3ミクロン以下であろうと考えられる。
【0027】
第1フィラーの量は、実施形態では好ましくは約50重量%から約85重量%の範囲である。好ましい実施形態では、第1フィラーは、約50重量%から約80重量%、あるいは約50重量%から約60重量%である。
【0028】
装飾組成物の他の成分は、ポリマー樹脂である。実施形態では、ポリマー樹脂は、組成物の重量に基いて約3重量%から約10重量%である。本発明の少なくとも1つの好ましい実施形態では、ラテックスエマルションを約6重量%から約9重量%で含んでいる。
【0029】
実施形態では、ラテックスが選ばれて、フィルム形成ポリマーとなっている。ラテックスエマルションの例は、スチレン/アクリル酸ポリマー、アクリル酸ポリマー、ポリウレタンポリマー、ビニル/アクリル酸ポリマー、およびこれらの混合物があるが、これらに限定されるものではない。
【0030】
ポリマー樹脂は、固体のフィルムを形成する、あるいは顔料を結合することができるフィルム形成性の樹脂であればよい。適切なポリマー樹脂は、ラテックスエマルション媒体およびオイルベース媒体があるが、これに限定したものではない。実施形態では、ポリマー樹脂は、エチレン酢酸ビニルなどの酢酸ビニル類、およびビニールアクリル酸類、スチレンを含むアクリル酸類などのアクリル酸類から選ばれるものである。
【0031】
適切なオイルベース媒体は、カルボキシル−およびヒドロキシル−官能基のあるアクリル酸類、アルキド類、ポリウレタン類、ポリエステル類、およびエポキシ類である。
【0032】
澱粉は、ポリマー樹脂とは考えられない。従来バインダーとして機能すると知られているその他ポリマー樹脂も、ポリマー樹脂としての使用に適している。初期の固体組成物は、典型的には組成物の重量で約5重量%から約40重量%である。
【0033】
有用なポリマーの樹脂は、アクリル酸ポリマー類、例えばビニルアセテート−ブチルアクリレートコポリマーなどのビニールアクリル酸ポリマー類、スチレンアクリル酸ポリマー類、およびユーカー−367(UCARR367)商品名のラテックス接着剤などのユーカー(UCAR)とネオカール(NEOCARR)〔ダウ・ケミカル・カンパニー(The Dow Chemical Company)、ミシガン州ミッドランド(Midland)〕で市販されているビニルアセテートポリマー類、ヴィンレズ(VINREZ)〔ハルテック社(Halltech,Inc.)、カナダ、オンタリオ(Ontario)〕の名前で市販されているエマルションポリマー類、アクリル酸類、ビニールアクリル酸類、そしてアクアクアマック(AQUAMAC)〔ヘキシオン・スペシャリティ・ケミカルズ(Hexion Specialty Chemicals)、オハイオ州、コロンブス(Columbus)〕商品名で市販されているスチレンアクリル酸ラテックスポリマー類、がある。
【0034】
典型的なビニルアクリル酸樹脂は、ヴィンレズ663V15(VINREZ663 V15)であり、これは、ガラス温度が約18℃で、平均粒子サイズが約0.35ミクロンである。別のビニルアクリル酸コポリマーは、商品番号HP−31−496〔ハルテック社、オンタリオ〕で市販されており、ガラス転移温度が約0℃である。
【0035】

適切な官能基化アクリル酸類、アルキド類、ポリウレタン類、ポリエステル類、およびエポキシ類は、ポリマー樹脂として有用であり、多くの販売元から入手できる。
【0036】
有用なアクリル酸類は、アクリロイド(ACRYLOID)〔ローム・アンド・ハース社(Rohm & Haas,Co.)、ペンシルヴェニア州、フィラデルフィア(Philadelphia)〕の名称で市販され、有用なエポキシ樹脂類は、エポン(EPON)〔ヘキシオン・スペシャリティ・ケミカルズ、オハイオ州〕の名称で市販され、有用なポリエステル樹脂類は、サイプレックス(CYPLEX)〔サイテック・インダストリーズ(Cytec Industries)、ニュージャージ州、ウェスト・パターソン(West Paterson)〕の名称で市販され、有用なビニル樹脂類は、ユーカー(UCAR)〔ダウ・ケミカル社、ミシガン州、ミッドランド〕の名称で市販されている。
【0037】
凝結溶剤は、装飾組成物のまた別の成分である。ポリマー樹脂がラテックス樹脂である場合、凝結溶剤は、ポリマー樹脂のフィルム形成を助けるために選ばれる。凝結溶剤は、樹脂のガラス転移温度、およびフィルム形成も所望乾燥時間に基いて選ばれる。従って、凝結溶剤は、特定の適用に使用されるポリマー樹脂のタイプおよび量によって正しく選択される。
【0038】
スチレン/アクリル酸ポリマー類と一緒に使用する凝結溶剤の別の例は、テネシー州キングスポート(Kingsport)にあるイーストマンケミカル社(Eastman Chemical Co.)のテキサノール(TEXANOL)商品名のエステルアルコールである。実施形態では、組成物の重量で1.5%から約3.5%の量である。
【0039】
揮発性成分の量によって、ある地域では使用することができる凝結溶剤の量が制限されるかもしれない。しかし、揮発性物質の最大量に限界のない地域では、凝結溶剤の含有量が高い程、有用であると予想される。
【0040】
水は、作業可能な組成物を形成するに充分な量で組成物に加えられる。好ましい実施形態では、約10%から約50%で水を含んでいる。組成物は、乾燥する迄壁あるいは天井に留まるに充分に粘稠で、かつ充分薄く適用される。特に、装飾組成物をこて板とこてを用いて手で適用する場合、装飾組成物は、施工者を過度に疲れさせるような粘稠であってはならない。
【0041】
装飾組成物の粘度は、任意に加える増粘剤で調節される。組成物の粘性変化に影響を与える増粘剤の力は、大きく変わる。上記したように、室内壁や天井のような基板上に構造物を作るためには、装飾組成物は、乾く迄、壁に留まる程に充分粘稠である。
【0042】
装飾組成物の実施形態は、ブラベンダー粘度が200〜600ユニットとなる量の増粘剤を含んでいる。適切な増粘剤は、セルロース系増粘剤、ゲル化クレイ、会合性増粘剤、これらの組合せがあるが、これらに限定されるものではない。
【0043】
少なくとも実施形態では、デラウェア州ウィルミントン(Wilmington)にあるアクアロン社(Aqualon Co.)からナトロゾル(NATROSOL)として市販されているヒドロキシメチルセルローズを使用している。その他の増粘剤または粘稠剤は、正しい適用に依り適切であることがある。少なくとも1つの好ましい実施形態では、組成物の全重量に基いて約0.1%から約2%の量で増粘剤を使用している。
【0044】
典型的な疎水性変性セルロース増粘剤は、約1000ダルトンから500,000ダルトンの間の分子量を持つセルローズエーテル類があり、例えば、アルキルヒドロキシプロピルセルロースエーテル、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、キサンタンガム、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸のその他の塩、カラギーナン、アラビアガム、トラガカンスガム、ガッチガム、グアーガムおよびその誘導体、ロカストビーンガム、タマリンドガム、サイリウムシードガム、キンスシードガム、ラーチガム、ペクチンおよびその誘導体、デキストラン、およびヒドロキシプロピルセルロースがある。
【0045】
コンパウンド組成物は、典型的にはセルロース増粘剤を約0.01重量%からの約2 重量%含んでいる。
【0046】
有用なアルキルヒドロキシプロピルセルローズのアルキル基は、炭素原子が9までであるが、通常はアルキル基は1〜3つの原子である。アンヒドログルコースユニットに対し平均で約2つのヒドロキシプロピルおよび/またはメトキシプロピル基を持つヒドロキシプロピルメチルセルローズが、しばしば使用される。
【0047】
適切なアルキルヒドロキシプロピルセルローズエーテルの約2重量%水溶液の粘度は、20°Cでウベロードチューブ毛細管粘度計で測定して約60,000センチポイズ(cps)から約90,000cpsである。また、同様の測定は、ブルックフィールド回転粘度計で約2.5rpmと5rpmの間の速度で行うことができる。一つの例では、固体−彩色コーティング組成物は、アルキルヒドロキシプロピルセルローズエーテルを約0.25重量%含んでいる。
【0048】
もちろん、別のタイプのセルロース増粘剤も使用でき、低粘性の増粘剤を使用する程、必要量が多くなる(あるいはこの逆)。典型的なアルキルヒドロキシプロピルセルローズエーテルは、メトセル(METHOCEL)〔ダウ・ケミカル社、ミシガン州、ミッドランド〕商品名で市販されている。
【0049】
コーティング組成物で使用される適切なゲル化クレイは、天然および/または合成で、四面体配位シリカが、八面体配位アルミナ、酸化マグネシウム、ケイ酸塩、および/またはフィロシリケートの平行シートに結合して立体的層状構造となったホルマイトクレイ(hormite clays)である。
【0050】
このようなゲル化クレイには、アタパルジャイト(attapulgites)、セピオライト(sepiolites)、ベントナイト(bentonites)、ラポナイト(laponites)、ノントロナイト(nontronites)、バイデライト(beidellites)、ラポナイト(laponites)、ヤコーントヴァイト(yakhontovites)、ジンクシリケート(zincsilites)、ヴォルコンスコイト(volkonskoites)、ヘクトライト(hectorites)、サポナイト(saponites)、フェロサポナイト(ferrosaponites)、ソーコナイト(sauconites)、スワインフォルダイト(swinefordites)、ピメライト(pimelites)、ソボッカイト(sobockites)、ステヴェンサイト(stevensites)、スヴィンフォルダイト(svinfordites)、ヴァーミキュライト(vermiculites)、水膨潤性合成クレイ、スメクライト(smectites)、例えば、モンモリロナイト(montmorillonites)、特にナトリウムモンモリロナイト、マグネシウムモンモリロナイト、イライト(illites)、レクトライト(rectorites)などの混合層状イライト(illites)/スメクタイト(smectite)鉱物 、タロソヴァイト(tarosovites)、およびレディカイト(ledikites)、マグネシウム・アルミニウム・シリケート、上記クレイの混合物がある。
【0051】
パリゴルスカイト・アタパルジャイト・クレイ(Palygorskite attapulgite clays)が、一般的に好ましい。装飾組成物は、典型的にはゲル化クレイを約0.01重量%から約10重量%含んでいる。有用なゲル化クレイは、MIN−U−GEL〔フロリディン・コーポレーション(Floridin Company)、フロリダ州、クィンシー、(Quincy)〕、アッタゲル(ATTAGEL)〔エンゲルハルド・コーポレーション(Engelhard Corporation)、ニュージャージー州、アイセリン(Iselin)〕の商品名で市販されている。これらのクレイは、種々の粒子サイズで入手できる。
【0052】
コーティング組成物に使用される適切な会合性増粘剤は、疎水化変性エトキシ化ウレタン(HEUR)、疎水化変性アルカリ−膨潤性エマルション(HASE)、およびスチレン−無水マレイン酸ターポリマー(SMAT)がある。
【0053】
HEUR増粘剤(一般にポリウレタンまたはPUR会合性増粘剤として知られている)は、水性ラテックスベース組成物であることが好ましい。エチルアクリレートとメタクリル酸の酸性アクリレートコポリマー(架橋化)、およびエチルアクリレート、メタクリル酸、および非イオン性ウレタン界面活性モノマーのアクリルターポリマー(架橋化)も、会合性増粘剤として使用できる。
【0054】
1つ以上の適切な会合性増粘剤が使用されると、会合性増粘剤と、コンパウンド組成物(例えば、顔料粒子または樹脂粒子)あるいは別の会合性増粘剤分子の少なくとも1つの他の粒子との間で部分的に会合して、増粘反応が起きる。
【0055】
様々な実施形態で、固体−彩色コーティング組成物は、会合性増粘剤を約0.01重量%から約10重量%で含んでいる。有用な会合性増粘剤は、アルコガム(ALCOGUM)〔アルコ・ケミカルカンパニー(Alco Chemical Company)、テネシー州、チャタノーガ(Chattanooga)〕、ビスカレックス(VISCALEX)〔チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(Ciba Specialty Chemicals)、ニューヨーク州、タリータウン(Tarrytown)〕、およびアクリゾール(ACRYSOL)〔ローム・アンド・ハース社、ペンシルヴァニア州、フィラデルフィア〕の商品名で市販されているものがある。
【0056】
装飾組成物の色あるいはコンシステンシーを変えるために、任意に第2フィラーが、装飾組成物に加えられる。第2フィラーは、装飾組成物の強度を高め、かつ組成物が乾燥したときに発生するクラッキングを減らすように選択される。
【0057】
少なくとも1つの実施形態では、フィラーとして雲母を使用している。その他好ましいフィラーは、雲母、板状クレイ、タルク、板状タルク、およびファイバーである。第2フィラーの量はいろいろあるが、好ましくは約3%から約6%の範囲である。実施形態では、第2フィラーを3%から約8%の量で使用している。
【0058】
装飾組成物の別の任意成分は、殺微生物剤である。装飾組成物が製造されて短時間に使用される場合には、殺微生物剤を使用する必要はない。しかしながら、微生物は、暗く、湿気があり、ポリマー樹脂とその他材料によって供給された栄養分がある環境で繁殖することができる。パッケージされた商品が、数週間または数月間商品棚に置かれるときには、容器中にバクテリアやカビの成長を阻害する殺微生物剤を加えることが必要になる。
【0059】
ビルディングパネル、コーティング、その他、人やペットが触れることが多い製品で使用に適した殺微生物剤は、この組成物に使用することができる。
【0060】
水系における殺カビ剤および/または缶内防腐剤として使用が知られている製品は、装飾組成物に特に有用である。メルガル174(MERGAL174)防腐剤〔トロイ・コーポレーション(Troy Corp.)、ニュージャージー州、フローハムパーク(Florham Park)〕は、有用な缶内防腐剤の例である。
【0061】
適切な殺微生物剤の別の例は、ピリチオン塩である。抗微生物特性のあるピリチオンの如何なる水溶性塩も、この組成物に有用である。ピリチオンは、2−メルカプトピリジン−N−オキシド、2−ピリジンチオール−1−オキシド(CAS 登録番号1121−31−9)、1−ヒドロキシピリジン−2−チオン、および1−ヒドロキシ−2(1H)−ピリジンチオン(CAS登録番号1121−30−8)を含めいくつかの名前で知られている。
【0062】
ピリチオンナトリウム塩(CAS登録番号3811−73−2)として知られているナトリウム誘導体(CNOSNa)は、特に有用な塩の1つの実施形態である。ピリチオン塩は、コネチカット州ノーウォーク(Norwalk)にあるアーコ・ケミカルス(Arch Chemicals)社から商品名がナトリウム−オマジン(OMADINE)あるいは亜鉛−オマジン(OMADINE)の殺微生物化合物などが、商業的に入手できる。
【0063】
その他の好ましい殺微生物剤は、ジヨードメチル−4−トリルスルホン、チアベンダゾール(thiabendazole)、テブコナゾール(tebuconazole)、3−ヨード−2−プロピニルブチルカルバメート、およびこれらの組合わせがある。商品名がメルガル(MERGAL)の殺微生物剤〔トロイ・コーポレーション、ニュージャージー州フローハムパーク〕は、装飾組成物において有用な3−ヨード−プロピルブチルカルバメートの特定な例である。
【0064】
好ましい殺カビ剤の例は、ニュージャージー州ウェイン(Wayne)にあるインターナショナル・スペシャルティ・プロダクツ社(International Specialty Products, Inc.)から商品名がファンジトール920(FUNGITROL 920)の殺微生物剤がある。
【0065】
使用される殺微生物剤の量は、組成物の貯蔵期間で微生物の成長を防ぐに必要とされる範囲である。缶内防腐剤を殺微生物剤として使用する場合、殺微生物剤を約0.1%から約0.5%の範囲で使用する。少なくとも1つの好ましい実施形態では、殺微生物剤を、組成物の重量に基づいて約0.05%から約0.2%の量で使用している。
【0066】
湿潤剤は、コンパウンドの乾燥を遅くし、より均一な仕上がりとするためにコーティング組成物に使用するのが好ましい。これは、また凍結融解安定性をも与えることができる。
【0067】
有用な湿潤剤は、多価アルコールがあるが、これに限定するものではない。適切な多価アルコールの例は、エチレングリコール、ジエチレングリコール(DEG)、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、テトラエチレングリコール、およびポリエチレングリコールなどのグリコール類である。
【0068】
微粉化されたワックスあるいはワックスエマルションは、撥水性、耐損傷性、耐引っかき傷性を向上させる表面性状の改善に有用である。適切なワックスは、変性パラフィンワックス、変性ポリエチレンワックス、微粉化PTFEがある。
【0069】
装飾組成物は、実質的に水硬性成分を含んでいないのが好ましい。硬化反応は、水硬性成分が水を一緒になったときに始まる。
【0070】
組成物が混合され、水和反応が進んでもよい状態になると、組成物は、製造後数時間または数日間で硬化する。貯蔵期間を延ばすには、組成物に水を与えないでおくか、硬化遅延剤を加えて硬化反応を遅らせることである。
【0071】
使用に先立って、装飾組成物に硬化促進剤あるいは水を混合するのであれば、予め混合することの便利さが小さくなるであろう。さらに、装飾組成物は、水硬性成分を加えないので、乾燥が速く、表面性状も良い。
【0072】
装飾基板の製造方法は、第1および第2フィラー、ポリマー樹脂、ポリマー樹脂からフィルム形成するための凝結溶剤、増粘剤、および水を含んでなる装飾組成物を得る段階を有している。
【0073】
装飾組成物は、所定量の第1および第2フィラー、ポリマー樹脂、凝結溶剤、および水を集め、これらの成分を混合して、パテ状の組成物にする。少なくとも1つの好ましい実施形態では、ポリマー樹脂、殺微生物剤および凝結溶剤を含む液体成分を水に加えて混合する。ドライ成分も一緒に混合しておき、液体成分と一緒にして合わせる。初めの粘度を、最終製品で所望する粘度より僅かに高く設定する。
【0074】
装飾組成物を作る成分と相対的な量を正しく選択するには、少なくとも3つのファクターがある。上記したように、装飾組成物の粘度は、考えなければならないファクターの1つである。
【0075】
所望するパラメーターで乾燥時間は、考えなければならない2つ目のファクターである。少なくとも1つの好ましい実施形態では、45〜50分で触れる程度に乾燥することである。しかしながら、別な乾燥時間も考えられ、この乾燥時間は、装飾組成物が適用された後の比較的短時間で、シーラーまたはペンキが塗布できる時間である。
【0076】
考えなければならない3つ目のファクターは、装飾組成物の密度である。組成物の重量は、施工者が、僅かな量の材料を適用した後でも疲れさせるような重さではいけない。装飾組成物の少なくとも1つの実施形態では、密度が約12.5から約14ポンド/ガロンである。
【0077】
装飾組成物は、基板に適用される。装飾組成物は、適切な道具を用い適切な方法で適用される。少なくとも1つの実施形態では、こておよびこて板を使用して適用する。こては、基板上に滑らかなあるいは構造のある表面を作るに適しているものとして利用できる。
【0078】
装飾組成物が適用された後、乾燥させる。好ましくは、乾燥した装飾組成物は、サンドがけあるいは仕上げして表面を平坦にする。
【実施例1】
【0079】
装飾コンパウンド組成物は、第1および第2フィラーと、ポリマー樹脂を含有させて製造した。
表1に示す原材料の量を順に混合して、目的の彩色である深い色彩ベースの装飾組成物を製造した。組成物は、1ガロン当たり約13.6〜約13.8ポンドで、固形分が約67重量%〜約70重量%であった。装飾コンパウンド組成物は、粘度が約300〜400のブラベンダー(Brabender)ユニットであった。
【0080】
【表1】

【実施例2】
【0081】
装飾コンパウンド組成物は、乳白色顔料、第1および第2フィラー、およびポリマー樹脂を含有させて製造した。
表2に示した原材料の量を、順に混合して、目的の彩色である白色ベースの装飾組成物を製造した。組成物は、1ガロン当たり約14.4〜約14.6ポンドで、固形分が約70〜約73重量%であった。装飾コンパウンド組成物は、粘度が約350〜450ブラベンダーユニットであった。
【0082】
【表2】

【0083】
装飾組成物の特別の実施形態を示し記載したが、当業者であれば、特許請求の範囲に記載した本発明から逸脱することなしに変更修正できるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも50重量%の量の第1フィラーと、
ポリマー樹脂と、
前記ポリマー樹脂の膜形成をするための凝結溶剤と、
約10〜約50重量%の量の水と、でなる装飾組成物であって、
実質的に水硬性成分を含まないことを特徴とする装飾組成物。
【請求項2】
さらに殺微生物剤を含むことを特徴とする請求項1に記載の装飾組成物。
【請求項3】
さらに第2フィラーを含むことを特徴とする請求項1に記載の装飾組成物。
【請求項4】
前記第2フィラーが、組成物中に約1重量%から約10重量%の範囲にあることを特徴とする請求項3に記載の装飾組成物。
【請求項5】
前記第1フィラーが、組成物中に約50重量%から約70重量%の範囲にあることを特徴とする請求項1に記載の装飾組成物。
【請求項6】
前記ポリマー樹脂が、アクリル酸ラテックスエマルション、ビニル/アクリル酸ラテックスエマルション、スチレン/アクリル酸ラテックスエマルション、ポリウレタン、およびこれらの混合物でなるグループから選ばれることを特徴とする請求項1に記載の装飾組成物。
【請求項7】
前記ポリマー樹脂が、水が50重量%である組成物中に約10重量%から約20重量%の範囲にあることを特徴とする請求項1に記載の装飾組成物。
【請求項8】
さらに、湿潤剤を含むことを特徴とする請求項1に記載の装飾組成物。
【請求項9】
前記凝結溶剤が、組成物中に約1重量%から約5重量%の範囲にあることを特徴とする請求項1に記載の装飾組成物。
【請求項10】
さらに、増粘剤を含むことを特徴とする請求項1に記載の装飾組成物。
【請求項11】
前記増粘剤が、組成物中に約0.05重量%から約0.5重量%の範囲にあることを特徴とする請求項1に記載の装飾組成物。
【請求項12】
前記水が、組成物中に約15重量%から約30重量%の範囲にあることを特徴とする請求項1に記載の装飾組成物。
【請求項13】
実質的に、
少なくとも50重量%の量の炭酸カルシウムと、
ポリマー樹脂と、
前記ポリマー樹脂の膜形成をするための凝結溶剤と、
殺微生物剤と、
第2フィラーと、
増粘剤と、
約10から約25重量%の範囲の水と、でなることを特徴とする装飾組成物。
【請求項14】
請求項1に記載の装飾組成物を製造する段階、前記装飾組成物を基板に適用する段階を有してなることを特徴とする装飾基板の製造方法。
【請求項15】
さらに、前記装飾組成物を製造する段階が、第1フィラー、ポリマー樹脂、凝結溶剤、増粘剤、水を一緒にして混合して、パテ状組成物にすることを特徴とする請求項14に記載の装飾基板の製造方法。

【公表番号】特表2011−522108(P2011−522108A)
【公表日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−512555(P2011−512555)
【出願日】平成21年6月1日(2009.6.1)
【国際出願番号】PCT/US2009/045780
【国際公開番号】WO2009/148986
【国際公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【出願人】(596172325)ユナイテッド・ステイツ・ジプサム・カンパニー (100)
【Fターム(参考)】