説明

装飾製品

【課題】 従来の装飾板は、ガラス板やアクリル板等と布材の間の隙間から皺が寄る等して体裁が悪くなったりしていた。
【解決手段】 本発明の装飾製品は、溶融基材が浸透可能な開口部を備えた模様付きの又は模様なしの薄材に溶融基材を浸透させて薄材を溶融基材内に一体化して平面状又は立体状に成型されたものである。平面状のものを二次加工して立体状に成型することもできる。また、薄材をシート状の布材、木織材、木繊維材、竹織材、竹繊維材、カーボン材、天然皮革材、金属網のいずれか一又は二以上のものとしたり、記号、文字、図柄、絵柄等の装飾形状とし、その薄材を溶融基材内の一箇所又は二箇所以上に配置したりすることもできる。更に、薄材を溶融基材内の肉厚方向片面側又は両面側又は中程のいずれか一又は二以上の位置に配置することもできる。溶融基材を樹脂、FRP樹脂、ガラス等のいずれかまたはそれらを混合したものとすることもできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、建物の内外壁材、仕切材、建具材、内装材、家具材等の各種用途に使用可能な平面形状又は立体形状の装飾製品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
建物の内壁材、仕切材等として使用できる従来の装飾板は、模様や柄が織り込まれた布や印刷された布等の表裏面に透明なガラス板やアクリル板を接着したものであった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の装飾板は次のような課題があった。
(1)ガラス板やアクリル板等と布材とが接着剤で接着されているに過ぎないため、建物の内壁材、仕切材等として長期間使用すると、ガラス板やアクリル板等と布材の間に隙間ができ、そこから皺が寄ったり、剥離したりして、体裁が悪くなることがある。
(2)ガラス板やアクリル板では、用途によっては強度不足となるため用途が限られる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、強度に優れ、耐水性、耐光性、耐薬品性等に優れて広範囲の分野で使用でき、長期間使用しても劣化、汚損、破損等がしにくく、見栄えも良い平面状又は立体状の装飾製品を提供するものである。
【0005】
本件出願の請求項1記載の装飾製品は、溶融基材が浸透可能な開口部を備えた模様付きの又は模様なしの薄材に溶融基材を浸透させ、その薄材が溶融基材内に一体化されて平面状に又は立体状に成型されたものである。
【0006】
本件出願の請求項2記載の装飾製品は、溶融基材が浸透可能な開口部を備えた模様付きの又は模様なしの薄材に溶融基材を浸透させ、その薄材が溶融基材内に一体化された平面材が二次加工されて立体状に成型されたものである。
【0007】
本件出願の請求項3記載の装飾製品は、請求項1又は請求項2記載の装飾製品において、薄材を模様付きの又は模様の付かないシート状の布材、木織材、木繊維材、竹織材、竹繊維材、カーボン材、天然皮革材、金属網のいずれか一又は二以上のものとしたものである。
【0008】
本件出願の請求項4記載の装飾製品は、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の装飾製品において、薄材を記号、文字、図柄、絵柄等の装飾形状とし、その薄材を溶融基材内の一箇所又は二箇所以上に配置したものである。
【0009】
本件出願の請求項5記載の装飾製品は、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の装飾製品において、薄材が溶融基材内の肉厚方向片面側又は両面側又は中程のいずれか一又は二以上の位置に配置されたものである。
【0010】
本件出願の請求項6記載の装飾製品は、請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の装飾製品において、溶融基材が樹脂、FRP樹脂、ガラス等のいずれかまたはそれらを混合したものであることを特徴とする装飾製品。
【発明の効果】
【0011】
本件出願の請求項1記載の装飾製品は次のような効果がある。
(1)開口部を備えた模様付きの又は模様なしの薄材に溶融基材を浸透させて薄材を溶融基材内に一体化させたので、長期間使用しても溶融基材が損傷しない限り薄材が剥離しない。
(2)装飾製品が平面状の場合はそれを切断、孔あけ、曲げ等の加工をして各種分野に利用することができ、立体状の場合は予め用途に合った各種形状に成型しておけば、夫々の分野で利用することができる。
【0012】
本件出願の請求項2記載の装飾製品は、溶融基材が浸透可能な開口部を備えた模様付きの又は模様なしの薄材に溶融基材を浸透させ、その薄材が溶融基材内に一体化された平面材が二次加工されて立体状に成型されたものであるため、平面材を加熱して軟化させたり、溶融させたりして、所望形状に変形させて加工することができ、所望形状の立体製品を得ることができる。
【0013】
本件出願の請求項3記載の装飾製品は次のような効果もある。
(1)薄材を模様付きの又は模様の付かないシート状の布材、木織材、木繊維材、竹織材、竹繊維材、カーボン材、天然皮革材、金属網のいずれか一又は二以上のものとしたので、それら薄材の素材の美感を利用することができる。
(2)薄材がカーボン材の場合は強度が一層向上する。
【0014】
本件出願の請求項4記載の装飾製品は、記号、文字、図柄、絵柄等の装飾形状の薄材が溶融基材内の一箇所又は二箇所以上に配置されているので、装飾に変化をもたせることができる。
【0015】
本件出願の請求項5記載の装飾製品は、薄材が溶融基材内の肉厚方向片面側又は両面側又は中程の一又は二以上の位置に配置されたので、薄材の配置により装飾に変化をもたせたり、奥行きをもたせたりすることもできる。
【0016】
本件出願の請求項6記載の装飾製品は、溶融基材が樹脂、FRP樹脂、ガラス等のいずれか又はそれらを混合したものとしたので、次のような効果がある。
(1)溶融基材がFRP樹脂の場合は耐水性、耐光性、耐候性、耐薬品性に優れるため、外壁材として使用しても、室内の水回りに使用しても耐久性がある。
(2)溶融基材がFRP樹脂の場合は、強度にも優れ、建物の内外壁材、仕切材、建具材、内装材、家具材等の広い分野での利用が可能である。
(3)溶融基材がガラスやその他の樹脂の場合、それら素材の美感を利用した装飾製品を成型することができる。特に、溶融基材をガラスとし、薄材に金属網を用いた場合、耐火性、耐熱性に優れた装飾製品を成型することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
(実施形態1)
本発明の装飾製品の実施形態の一例を図1、図2に基づいて説明する。この装飾製品1は溶融基材にFRP(Fiber Reinforced Plastics)樹脂を使用した例であり、装飾製品が平面状のものの場合である。この装飾製品1は溶融基材の一つであるFRP樹脂が浸透可能な開口部(目、織り目、孔等)を備えた薄材2を、間隔をあけて二枚配置し、それら薄材2にFRP樹脂を浸透させてFRP樹脂3内に一体化させると共に、その薄材2をFRP樹脂3の肉厚方向表面側と裏面側の両面側に配置してある。
【0018】
図1の装飾製品1は板状であるが、その形状は例えば細長板状、円盤、角棒状といった他の任意形状とすることができる。FRP樹脂3には透明、半透明、着色されたもの等の任意のものを使用することができる。
【0019】
前記薄材2の開口部(目、織り目、孔等)の形状や大きさは任意のものとすることができる。薄材2はFRP樹脂3内に一体化させることで装飾や補強の役割を果たす。本実施形態では薄材2に、成型される装飾製品1と同形、同サイズのシート状の布材が用いられている。薄材2は図1に示すような模様4が付されたものであっても模様なしのものであってもよく、模様4は絵模様、図柄、記号、幾何学模様等任意とすることができ、織り込み、刺繍、印刷等の所望手段で表示することができる。
【0020】
薄材2としては不織布、織物、編み物、キャンバス地等のFRP樹脂を浸透可能な開口部(目、織り目、孔等)を備える布材であれば任意のものを用いることができ、その素材も絹、綿、麻等、紙、木繊維材、木織材、竹繊維材、竹織材、カーボン材、天然皮革、金属網等、他の任意のものとすることができる。特にカーボン材等を使用すると装飾製品1の補強材としての効果が発揮される。前記薄材2は同じ材質のものを二以上組み合わせて使用することも、異なる材質のものを二種類以上組み合わせて使用することもできる。これらの場合、二以上の薄材2を重ねて配置することもFRP樹脂3の肉厚方向に離して使用することもできる。薄材2は模様やデザインが同じもの或いは異なるものを組み合わせて使用することもできる。いずれの場合も薄材2の模様やデザインは装飾製品1の表面と裏面で同じであっても異なってもよい。
【0021】
薄材2は図2のようにFRP樹脂3の肉厚方向表面と裏面の両面側に配置することも、そのいずれか一方の片面側にのみ配置一体化することも、図3のように肉厚方向中程に配置一体化することも、図4のように表・裏面の両面と中程に配置一体化することもできる。FRP樹脂3内への薄材2の配置は前記以外とすることもでき、FRP樹脂3を肉厚板状に成型する場合はFRP樹脂3内に三層以上積層することもできる。いずれの配置の場合も、FRP樹脂3の内部に配置一体化されている薄材2はFRP樹脂3を透過して装飾製品1の外部から透視することができる。
【0022】
(実施形態2)
この実施形態も溶融基材がFRP樹脂の場合の例である。薄材2の形状は図1に示すように成型される装飾製品1と同形のシート状に限らず、図5に示すような模様、記号、文字、数字等の形状とすることもでき、その場合はそれらをFRP樹脂3の平面上の一箇所に限られず二箇所以上の位置に配置してFRP樹脂3と一体化したり、記号、文字、数字等の形状の薄材2を組み合わせて使用したりすることもできる。また、それら薄材2の配置位置も自在とすることができる。薄材2は、記号、文字、数字等の他にも任意の図柄や絵柄等とすることも、目のあるシートに写真、絵等を印刷したもの、或いは絵を描いたキャンパスそのものを使用することもできる。薄材2は同じ形状、サイズのものを、或いは異なる形状、サイズのものを組み合わせて使用することもできる。
【0023】
(実施形態3)
本発明の装飾製品は板状のものに限られず、棒状、球状、円板状といった任意形状とすることができる。更には、図6に示すような浴槽の形状とか、他の立体形状、例えば、食器、装飾品、家具、建具といった所望の立体形状に成型することもできる。立体形状の場合は溶融基材を成型型に流し込んで成型することもできるが、例えば平面状(板状)に成型したものを、加熱して軟化あるいは溶融させたものを曲げ加工したり、別途用意した部材を溶着させたりして、所望の立体形状に加工したりすることができる。
【0024】
(実施形態4)
本発明の装飾製品は薄材2と一体化して平面状或いは立体状に成型可能であれば、基材にはFRP樹脂以外のものを使用することができ、例えば、FRP以外の各種樹脂、ガラス、強化ガラス、耐熱ガラス等を使用することができ、用途や、装飾製品の形状、製作し易さ等に合せて任意に選択して使用することができる。ガラス、強化ガラス、耐火ガラス、耐熱ガラス等を使用する場合は、薄材2として金属網を使用し、それを二枚の板状の装飾製品で挟んで固定することもできる。この場合、ガラス製の二枚の基板の内面を加熱して軟化或いは溶融させ、その内面間に金属網を挟んで軟化状態或いは溶融状態の両内面同士を金属網の目を通して一体化させて金属網入りの耐熱性ガラス板或いは耐火性ガラス板とすることができる。この場合、ガラスに耐火性ガラスを使用すれば耐火性ガラス板の耐火性能が一層向上する。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明の装飾製品はFRP樹脂を基材に使用すれば強度にも、耐水性、耐光性、耐薬品性にも優れるため、建物の内外壁材、仕切材、建具材、内装材、テーブルや椅子等の家具等は勿論のこと、食器、容器、日用品、置物、額等の装飾品等、FRP樹脂を立体成型可能なものであれば、どのようなものにも利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の装飾製品の実施形態の一例を示す斜視図。
【図2】図1の装飾製品を示す断面正面図。
【図3】本発明の装飾製品の実施形態の他の一例を示す断面正面図。
【図4】本発明の装飾製品の実施形態のその他の一例を示す断面正面図。
【図5】本発明の装飾製品の実施形態のその他の一例を示す斜視図。
【図6】本発明の装飾製品の実施形態のその他の一例を示す斜視図。
【符号の説明】
【0027】
1 装飾製品
2 薄材
3 FRP樹脂
4 模様

【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶融基材が浸透可能な開口部を備えた模様付きの又は模様なしの薄材に溶融基材を浸透させ、その薄材が溶融基材内に一体化されて平面状に又は立体状に成型されたことを特徴とする装飾製品。
【請求項2】
溶融基材が浸透可能な開口部を備えた模様付きの又は模様なしの薄材に溶融基材を浸透させ、その薄材が溶融基材内に一体化された平面材が二次加工されて立体状に成型されたことを特徴とする装飾製品。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の装飾製品において、薄材が模様付きの又は模様の付かないシート状の布材、木織材、木繊維材、竹織材、竹繊維材、カーボン材、天然皮革材、金属網のいずれか一又は二以上のものであることを特徴とする装飾製品。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の装飾製品において、薄材が記号、文字、図柄、絵柄等の装飾形状とされ、その薄材が溶融基材内の一箇所又は二箇所以上に配置されたことを特徴とする装飾製品。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の装飾製品において、薄材が溶融基材内の肉厚方向片面側又は両面側又は中程のいずれか一又は二以上の位置に配置されたことを特徴とする装飾製品。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の装飾製品において、溶融基材が樹脂、FRP樹脂、ガラス等のいずれか又はそれらを混合したものであることを特徴とする装飾製品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−195031(P2008−195031A)
【公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−35357(P2007−35357)
【出願日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【出願人】(507050920)株式会社ウエストセブンコンサルタンツ (1)
【Fターム(参考)】