説明

補助便座及びそれを用いた幼児用便器

【目的】 据え置き状態や吊り下げ状態等での保管時に、安定した形態で保管でき、保管時の外的負荷によるストッパ部の破損が生じ難い補助便座、及び、該補助便座を用いた、使い勝手がよく、より衛生的な幼児用便器を提供する。
【構成】 洋式便器の便座上に載置して使用する補助便座1であって、左右両側に座部21を有する環状の便座本体2と、前記両座部21の裏側の左右対称な位置に設けられる一対のストッパ部3とからなり、前記ストッパ部3が、座部21に対して平行方向に回転可能に支持される支持部31と、該支持部31に連設され、座部に対して垂直方向に横倒可能に支持される固定部32とからなる。前記補助便座1と、該補助便座1が載置可能であり、上方を開口する便器本体5とからなる幼児用便器8。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、補助便座及びそれを用いた幼児用便器に関する。更には、保管時の収容性に優れた補助便座及びそれを用いた幼児用便器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、幼児等が洋式便器を使用する際に、便座上に載置して使用する幼児用補助便座が開示されている(例えば特許文献1乃至3参照)。
前記補助便座は、載置時に洋式便器の便座内側(開口部)に係止するためのストッパ部を備えており、該ストッパ部を便座開口部の大きさに合わせて調整することで、使用時にガタついたり、ずれたりすることなく固定できるものである。
しかしながら、前記補助便座は、洋式便器に確実に固定するために、前記ストッパ部が補助便座底面より下方向に突出した構造を有しているので、保管時のバランス(安定感)が悪く、外的負荷によりストッパ部を破損し易いものであった。
また、前記補助便座をおまる本体に載置して幼児用便器(おまる)として使用する場合、おまる本体上に安定して載置するために、前記ストッパ部を取り外したり、おまる本体に凹部を形成してストッパ部を収容する必要があった。そのため、使用する目的に応じてストッパ部を着脱する手間が掛かったり、凹部内が汚れ易くなり衛生面に欠くものとなっていた。
【特許文献1】実用新案第3017865号公報
【特許文献2】特開2000−333877号公報
【特許文献3】実開平6−68596号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、据え置き状態や吊り下げ状態等での保管時に、安定した形状(形態)で保管でき、保管時の外的負荷によるストッパ部の破損が生じ難い補助便座を提供するものである。また、前記補助便座を用いることで、使い勝手がよく、より衛生的な幼児用便器を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、洋式便器の便座上に載置して使用する補助便座であって、左右両側に座部を有する環状の便座本体と、前記両座部の裏側の左右対称な位置に設けられる一対のストッパ部とからなり、前記ストッパ部が、座部に対して平行方向に回転可能に支持される支持部と、該支持部に連設され、座部に対して垂直方向に横倒可能に支持される固定部とからなる補助便座を要件とする。
更に、前記支持部と固定部との連設部分が、筒状部と、該筒状部に遊嵌する棒状部とからなること、前記便座本体の前方に着脱可能なハンドル部を有することを要件とする。
更に、前記いずれかの補助便座と、該補助便座が載置可能であり、上方を開口する便器本体とからなる幼児用便器を要件とする。
更には、前記便器本体の上方開口部から出入可能な桶体を備えてなること、前記上方開口部を塞ぐ天板を備えてなり、該天板が便器本体の下方に収容されることを要件とする。
尚、本発明において「前」とは、便座着座時の正面側を示し、「後」とは、便座着座時の背面側を示す。
【発明の効果】
【0005】
本発明により、非使用時にはストッパ部が補助便座底面から下方に突出することなく容易に収容できるので、据え置き状態や吊り下げ状態等での保管時に安定した形態を維持でき、保管時の外的負荷によるストッパ部の破損が生じ難いものとなる。
また、おまる本体と補助便座とからなる幼児用便器に、前記補助便座を用いることで、ストッパ部を取り外したり、おまる本体上面に凹部を設けたりすることなくおまる本体に補助便座を載置できるため、簡単に組み立てられると共に、凹部に汚れが溜まることなくより衛生的なものとなる。
更には、補助便座、幼児用便器、踏み台等、複数通りの使い方ができる、利便性に富んだものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明の補助便座及び幼児用便器について、以下の図面に従って説明する。
図1は補助便座の外観斜視図であり、図2は裏面図であり、図3、図4はストッパ部の要部を示す図である。また、図5、図6はそれぞれ幼児用便器、便器本体を示す図である。
【0007】
補助便座1(図1〜図4参照)は洋式便器を幼児が利用する際に、便座上に載置して使用するものであって、左右両側に座部21を有し、内方に孔部22を有する環状の樹脂製便座本体2と、該便座本体2の裏側(座部21の裏側)の左右対称な位置に設けられる一対のストッパ部3とから構成される。
【0008】
前記便座本体2の前方上面には、着座した幼児がつかまるためのハンドル部4が着脱可能に取り付けられており、幼児の成長に応じて取り外したり、収納時に取り外すことが可能である。尚、前記ハンドル部4は、アヒルの顔を模した形象部41と一体に形成されている。
更に、前記ハンドル部4が取り付けられた位置の下面(即ち、便座本体2の前方裏面)には、非使用時に補助便座1を吊り下げ収容するために使用する吊下部28が設けられており、座部21に対して平行方向に回転可能に取り付けられている。尚、前記吊下部28も着脱可能に取り付けられている。
また、前記孔部22を形成する縁部分(即ち、両座部及びこれらを繋ぐ前後部分の内縁)には、連続して鉛直方向に延びる壁部23が設けられており、該壁部23の前方には、小水受け24となる窪みが一体に形成されている。
【0009】
前記ストッパ部3は、座部21の略中心に配設されており、該座部21に対して平行方向に回転可能に支持される支持部31と、該支持部31に連設され、座部21に対して垂直方向に横倒可能に支持される固定部32とから構成されている。
【0010】
前記支持部31は、便座本体2と一体に成形した円柱部25と螺設されており、円柱部25と接触する部分には放射状に凹凸が形成されると共に、該凹凸内に螺孔が設けられている。更に、座部21と平行方向に貫通孔を備えた筒状部311を備えている。
また、前記円柱部25は底面部分(図3においては上端部)を放射状凹凸面とし、中心に鉛直方向の螺孔が形成されている。尚、前記凹凸面は、支持部31の凹凸に噛合する形状である。
前記支持部31は、円柱部25と凹凸同士を噛み合わせると共に、支持部31を上下に貫通する連結螺子33を螺孔に螺合して座部21裏面に連結される。その際、前記連結螺子33には、支持部31を円柱部25方向に付勢するバネが介設している。
【0011】
前記固定部32は、棒状部321と係止部322とからなる略L字状の樹脂成形物であり、該棒状部321が支持部31に形成される筒状部311内に挿入されて遊嵌状態に連設されている。
そのため、前記固定部32は非使用時には、係止部322が座部21に対して平行方向に横倒された状態で保持される。その際、係止部322は座部21裏面に係止されるため、不用意な可動が防止できる。
また、使用時には、固定部32が座部21裏面から外され、座部21に対して垂直方向に縦立された状態で保持される。尚、縦立状態における固定部32(係止部322)の上端部分は、壁部23上端よりも上方に突出した位置で保持される(図4参照)。その際、縦立状態での不用意な横倒を防ぐための係合部が、支持部31と固定部32に形成されている。
【0012】
また、縦立状態においてストッパ部3は、円柱部25から支持部31を引き上げて凹凸間に隙間を設けた状態で連結螺子33を重心に回動し、再び凹凸間を噛み合わせることにより任意の位置に調整できる。その際、係止部322が筒状部311から外れることを防止するためのガイド部26が設けられている。
前記構成により、簡単な調整で種々の大人用便座に安定した状態で取り付けられると共に、収容時に固定部32が壁部23端面から突出することなく収納されて安定した形態で保管可能となるので、外的負荷によるストッパ部3の破損を生じ難いものとなる。
【0013】
また、便座本体2(座部21)の裏側には、大人用便座に載置した際の安定性をより高めるための脚部27が四隅に設けられる。前記脚部27は、ゴム、エラストマー、軟質樹脂等からなる弾性部材として形成することで滑り止め効果を付与できる。
更に、便座本体2裏面のストッパ部3後方に、一または二以上の掛止フックを設けて大人用便座に掛止可能とし、補助便座1を載置した際の安定性をより高めることもできる。
また、便座本体2には、座部21を覆う便座カバーを取り付けるための孔部、突起部、ボタン等を設けることもできる。
【0014】
更に、前記補助便座1を用いて、該補助便座1が載置される便器本体5と、該便器本体5内に収容される中桶6と、補助便座1の孔部22に被せられる蓋体7と、便器本体5の下方に収納される天板(ステップ板)とから、幼児用便器8を構成できる(図5、図6参照)。
【0015】
便器本体5は、上方に窪み状開口部51を備え、該開口部51を取り囲むように載置部52が形成されている。更に、載置部52の縁から下方に延びる外周部53が形成されており、該外周部53の下端は、窪み状開口部51の底面より長く延出されることで、外周部53内(開口部51下方)にステップ板を着脱可能に収容できる収納スペースを形成している。尚、使用時に床面と当接する外周部53下端には、滑り止め部材を設け、使用時に滑らないようにすることもできる。
【0016】
前記窪み状開口部51には中桶6が収容されているため、幼児が使用した後に中桶6を取り外して糞尿を棄てることができるので、掃除や後始末を容易に行うことができ、衛生的且つ利便性の高いものとなる。
【0017】
前記載置部52には、補助便座1を載置した際の位置決めとなる受部54が四箇所に設けられており、補助便座1の脚部27と対応する形状(具体的には脚部27を圧入して保持できる形状)に形成される。尚、該受部54は、便器本体5にステップ板を載置した際には、該ステップ板の位置決めとして使用される。
尚、本発明においては、ストッパ部3を下方に突出した状態で補助便座1を便器本体5に載置することがなくなるので、載置部52にストッパ部3を収容するための窪みを形成する必要がなくなる。そのため、従来のように窪み内が汚れることがなくなり、幼児用便器8を衛生的に維持できる。
【0018】
前記便器本体5を踏み台として使用する場合(即ち、幼児用便器8の状態から補助便座1を大人用便座に取り付けて使用する場合)、外周部53内に収納されるステップ板を取り外し、補助便座1に代えて載置部52上に載置して便器本体5の開口部51を覆うことにより、踏み台形態で利用可能となる。
前記ステップ板には、載置部52上に取り付ける際に受部54に圧入される凸部が四箇所設けられている。また、前記凸部は、非使用時に便器本体5下方の収納スペースに収容された際に外周部53内で圧入保持されるためにも用いられる。尚、前記ステップ板を収納スペースに収容保持する方法としてはこれに限らず、螺子止めや係止等の方法を用いてもよい。
【0019】
尚、前記便器本体5、中桶6、蓋体7、ステップ板は、いずれも比較的硬質なプラスチック(ポリプロピレンやABS等)を成型することにより形成さているため、任意の形状で一体的に形成できる。
【0020】
前記幼児用便器8及び補助便座1の使用方法としては、まず幼児が小さいうちには、補助便座1を便器本体5の上に載置して使用する。そして、幼児が洋式便器(大人用便座)を使用できるようになると、補助便座1を便器本体5から外し、大人用便座上に載置する。その際、補助便座1裏面に位置する左右のストッパ部3の固定部32を縦立させ、大人用便座の開口内に挿入する。このとき、左右のストッパ部3(固定部32)が大人用便座開口の内側縁に当接し、補助便座1をガタ無く固定できる。
その際、左右のストッパ部3(固定部32)が大人用便座の内側縁から離れており、補助便座1がガタつく場合、円柱部25から支持部31を引き上げて凹凸間に隙間を設けた状態で連結螺子33を重心に回動し、再び凹凸間を噛み合わせることによりストッパ部3を大人用便座開口の内側縁に当接する位置に調整できる。
【0021】
大人用便座に載置した補助便座1への幼児の昇降は、大人が幼児を持ち上げて補助便座1に座らせてもよいし、便器本体5を踏み台として使用してもよい。
便器本体5を踏み台として使用する場合には、便器本体5の外周部53内の収納スペースからステップ板を取り外し、該ステップ板を便器本体5の載置部52上に載置する。このとき、ステップ板裏面に設けられた四個の凸部を、載置部52の各受部54に合わせて上方より挿入する。そして、ステップ板を便器本体5に向かって押さえ付けることで、四個の凸部を各各受部54に圧入する。これにより、ステップ板が便器本体5から外れなくなる。
【0022】
その後、便器本体5を洋式便器の横に置くことで、昇降時に幼児がステップ板の上に足を載せることが可能となるので、便器本体5を踏み台として使用できる。
また、補助便座1のハンドル部4が不要になった場合には、裏側の螺子を緩めることで、便座本体2から取り外すことができる。
【0023】
更に、便器本体5を踏み台として使用する際には、取り外したハンドル部4を中桶6内部に収納できるように、ハンドル部4の寸法を設定することもできる。そのように設定することで、ハンドル部4の格納場所を確保できる。また、ハンドル部4や蓋体7を、便器本体5の外周部53内側の収納スペースに収容して固定するための係合部を設けることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の補助便座の一実施例を示す外観斜視図である。
【図2】補助便座の裏面図である。
【図3】ストッパ部の拡大図である。
【図4】ストッパ部の拡大図である。
【図5】本発明の幼児用便器の一実施例を示す外観斜視図である。
【図6】便器本体の一実施例を示す上面図である。
【符号の説明】
【0025】
1 補助便座
2 便座本体
21 座部
22 孔部
23 壁部
24 小水受け
25 円柱部
26 ガイド部
27 脚部
28 吊下部
3 ストッパ部
31 支持部
311 筒状部
32 固定部
321 棒状部
322 係止部
33 連結螺子
4 ハンドル部
41 形象部
5 便器本体
51 開口部
52 載置部
53 外周部
54 受部
6 中桶
7 蓋体
8 幼児用便器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
洋式便器の便座上に載置して使用する補助便座であって、左右両側に座部を有する環状の便座本体と、前記両座部の裏側の左右対称な位置に設けられる一対のストッパ部とからなり、前記ストッパ部が、座部に対して平行方向に回転可能に支持される支持部と、該支持部に連設され、座部に対して垂直方向に横倒可能に支持される固定部とからなる補助便座。
【請求項2】
前記支持部と固定部との連設部分が、筒状部と、該筒状部に遊嵌する棒状部とからなる請求項1記載の補助便座。
【請求項3】
前記便座本体の前方に着脱可能なハンドル部を有する請求項1又は2に記載の補助便座。
【請求項4】
前記請求項1乃至3のいずれかに記載の補助便座と、該補助便座が載置可能であり、上方を開口する便器本体とからなる幼児用便器。
【請求項5】
前記便器本体の上方開口部から出入可能な桶体を備えてなる請求項4記載の幼児用便器。
【請求項6】
前記上方開口部を塞ぐ天板を備えてなり、該天板が便器本体の下方に収容される請求項4又は5に記載の幼児用便器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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