説明

補高便座

【課題】使用者が様々な大きさの開口を有する便座に対して使用しても安定して着座でき、メーカにとっても製造コストの高騰化を生じない補高便座を提供する。
【解決手段】補高便座1は、洋風便器90上に設けられて中央にO字状の開口91aが形成された便座91上に載置され、着座面12を便座91よりも高くするものである。
この補高便座1は、便座91上に当接し得る本体部11と、本体部11の内縁から便座91側に延在する側壁部13と、側壁部13に付勢力を付与する付勢手段としてのU字状ばね15とを備え、付勢力により便座91の内縁91bに押圧固定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は補高便座に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に従来の補高便座が開示されている。この補高便座は、クッション性のある軟質材料からなる一体成形品であり、着座面を形成する本体部と、本体部の裏面の内縁側から下方に垂設されるフランジとを有する。
【0003】
このような構成である従来の補高便座は、洋風便器上に設けられて中央にO字状又はU字状の開口が形成された便座上に載置され、着座面を便座よりも高くする。この際、補高便座は、フランジが便座の開口の内縁に当接し、便座に対して位置決め固定される。
【0004】
このため、この補高便座は、例えば、老人、病人又は身障者等の弱者が洋風便器を使用する際の介護に利用される。そして、この補高便器は、洋風便器に腰掛けたり、洋風便器から立ち上がる際の動作を容易にしたり、座り心地を良くしたりして、洋風便器の使用時の快適性を向上させることができる。
【0005】
【特許文献1】特許3597093号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記従来の補高便座は、特定の大きさのフランジが本体部に一体成形されているものであるため、補高便座のフランジが当接可能な大きさの開口が形成された便座に装着された場合にしか、便座に対して位置決め固定されない。一方、便座には、使用者の体格等に応じ、一般に大型、標準及び共用のものが存在し、これらは開口に大小を有している。
【0007】
このため、補高便座を購入しようとする者は、使用している便座に適合したフランジをもつ補高便座を購入しなければならない。仮に便座に適合していないフランジをもつ補高便座を購入してしまった場合には、便座の開口の大きさと補高便座のフランジの大きさとが一致せず、フランジと開口の内縁との間にガタが生じてしまうという不具合が生じることが多かった。この場合、老人等の弱者は着座の姿勢が安定せず、危険でもある。この不具合には、介護用途に利用される補高便座の性質上、洋風便器の付属品として洋風便器と同時に購入されることが少ないという事情も影響している。
【0008】
また、メーカとしては、便座の種類に応じた補高便座を用意しなければならず、製造コストの高騰化を生じてしまう。
【0009】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、使用者が様々な大きさの開口を有する便座に対して使用しても安定して着座でき、メーカにとっても製造コストの高騰化を生じない補高便座を提供することを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の補高便座は、洋風便器上に設けられて中央にO字状又はU字状の開口が形成された便座上に載置され、着座面を該便座よりも高くする補高便座において、
前記便座上に当接し得る本体部と、該本体部の内縁又は外縁から前記便座側に延在する側壁部と、該本体部又は該側壁部に付勢力を付与する付勢手段とを備え、
該付勢力により、該便座の内縁又は外縁に押圧固定されることを特徴とする。
【0011】
このような構成である本発明の補高便座は便座上に載置され、着座面を便座よりも高くする。このため、この補高便座は、例えば、老人、病人又は身障者等の弱者が洋風便器を使用する際の介護に利用され、使用者が洋風便器に腰掛けたり、洋風便器から立ち上がる際の動作を容易にしたり、座り心地を良くしたりして、洋風便器の使用時の快適性を向上させることができる。
【0012】
ここで、本発明の補高便座は、便座上に載置される際、下記のようにして位置決め固定のための調整が実施される。ここでは、補高便座が便座上に当接し得る本体部と、本体部の内縁から便座側に延在する側壁部と、側壁部に付勢力を付与する付勢手段とを備え、付勢力により便座の内縁に押圧固定される場合について説明する。
【0013】
補高便座が載置される便座には、使用者の体格等に応じ、一般に大型、標準及び共用のものが存在し、これらは開口に大小を有している。このため、まず、便座の中央に形成されたO字状又はU字状の開口に、補高便座の側壁部を挿入する。この際、付勢手段を一時的に付勢力を発揮しない状態として、側壁部と便座の内縁との間に隙間を生じさせることにより、側壁部を開口に挿入することを容易に実施できる。これにより本体部は便座上に当接し、側壁部は便座の内縁に対面することとなる。
【0014】
次に、付勢手段が側壁部に付勢力を付与することにより、側壁部が便座の内縁に押圧固定される。その結果、補高便座の便座に対するガタを小さくしつつ、補高便座を便座に対して位置決め固定することができる。こうして、この補高便座は、開口に大小を有する各種の便座に対して、位置決め固定することが可能である。
【0015】
このため、補高便座を購入しようとする者は、使用している便座に適合したフランジをもつ補高便座を購入しなくてもよい。また、補高便座の便座に対するガタを小さくできるので、老人等の弱者は着座の姿勢が安定し、安全に利用できる。
【0016】
また、メーカとしては、便座の種類に応じた補高便座を用意しなくてもよくなり、製造コストの高騰化を生じない。
【0017】
補高便座が便座上に当接し得る本体部と、本体部の外縁から便座側に延在する側壁部と、本体部又は側壁部に付勢力を付与する付勢手段とを備え、付勢力により便座の外縁に押圧固定される場合も同様である。
【0018】
したがって、本発明の補高便座は、使用者が様々な大きさの開口を有する便座に対して使用しても安定して着座でき、メーカにとっても製造コストの高騰化を生じない。
【0019】
補高便座を構成する材料としては、ゴム、エラストマー、発泡ポリウレタン樹脂、軟質塩ビ樹脂その他の軟質材料、ABS樹脂、PP樹脂その他の硬質材料等の一般的なものを採用可能である。軟質材料からなる補高便座の場合、クッション性や臀部の形状への追従性が高いので、着座の際の感触を快適にすることができる。
【0020】
本発明の補高便座において、前記本体部は、各々半円状をなし、各々の一端が互いに揺動可能に結合された一対の弧状体からなり、前記付勢手段は、両該弧状体を互いに離れる方向又は近づく方向に付勢するものであり得る。
【0021】
このような構成である補高便座の場合には、便座上に載置される際、下記のようにして位置決め固定のための調整が実施される。ここでは、補高便座が便座上に当接し得る本体部と、本体部の内縁から便座側に延在する側壁部と、本体部に付勢力を付与する付勢手段とを備えており、本体部が各々半円状をなし、各々の一端が互いに揺動可能に結合された一対の弧状体からなり、付勢手段が両弧状体を互いに離れる方向に付勢することにより便座の内縁に押圧固定される場合について説明する。
【0022】
まず、付勢手段を一時的に付勢力を発揮しない状態として、本体部である両弧状体を互いに近づく方向に変位させた上で、便座の開口に補高便座の側壁部を挿入する。こうすることで、側壁部と便座の内縁との間に隙間を生じさせ、側壁部を開口に挿入することを容易に実施できる。これにより本体部は、便座上に当接し、側壁部は、便座の内縁に対面することとなる。
【0023】
次に、付勢手段が両弧状体を互いに離れる方向に付勢することにより、側壁部が便座の内縁に押圧固定される。その結果、補高便座の便座に対するガタを小さくしつつ、補高便座を便座に対して位置決め固定することができる。こうして、この補高便座も、開口に大小を有する各種の便座に対して、位置決め固定することが可能である。このため、この補高便座も、本発明の効果を奏することができる。
【0024】
補高便座が便座上に当接し得る本体部と、本体部の外縁から便座側に延在する側壁部と、本体部又は側壁部に付勢力を付与する付勢手段とを備え、本体部が各々半円状をなし、各々の一端が互いに揺動可能に結合された弧状体からなり、付勢手段が両弧状体を互いに近づく方向に付勢するものである場合も同様である。
【0025】
本発明の補高便座において、前記付勢手段は、前記側壁部に設けられ、前記便座の前記内縁又は前記外縁を押圧する方向に付勢するものであり得る。
【0026】
この場合、付勢手段は、便座上に当接し得る本体部ではなく、便座の内縁又は外縁に当接し得る側壁部を直接付勢することができる。このため、この補高便座は、付勢手段が本体部に設けられる場合に比べて、便座の内縁又は外縁により確実に押圧固定される。
【0027】
本発明の補高便座において、前記側壁部から前記便座の裏面側に延在し、前記本体部とともに該便座を挟持可能な裏壁部を備えていることが好ましい。この場合、補高便座を便座に一層確実に位置決め固定することができる。
【0028】
本発明の補高便座において、前記裏壁部は、前記便座の裏面と平行な方向に揺動可能に前記側壁部に軸支された複数のアームであり得る。
【0029】
この場合、予め、側壁部に軸支された複数のアームを揺動させて、便座の裏面側に延在しない状態としておくことにより、便座の開口に補高便座の側壁部を挿入することを容易に実施できる。また、側壁部が便座の開口に挿入された後に、各アームを揺動させて、便座の裏面側に延在する状態をすることにより、各アームと本体部とが便座を挟持することができる。
【0030】
本発明の補高便座において、前記裏壁部は、弾性変形によって前記便座の裏面側に延在する複数のアームであり得る。
【0031】
この場合、便座の開口に補高便座の側壁部を挿入する際に、各アームが便座の裏面側に延在しない状態となるように弾性変形することにより、壁部を開口に挿入することを容易に実施できる。また、側壁部が便座の開口に挿入された後に、各アームが便座の裏面側に延在する状態となるように元の形状に弾性変形することにより、各アームと本体部とが便座を挟持することができる。
【0032】
本発明の補高便座において、付勢手段は、上述の作用を奏することが可能であればよく、具体的な手段は限定されない。
【0033】
例えば、本発明の補高便座において、前記付勢手段は、内部に流体が封入されて膨張する袋体であり得る。また、本発明の補高便座において、前記付勢手段は、バネ、ゴムその他の弾性体であり得る。
【0034】
これらの場合、本発明の補高便座は、付勢力を確実に発揮することができるので、本発明の効果を一層確実に奏することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下、本発明を具体化した実施例1〜5を図面を参照しつつ説明する。
【実施例1】
【0036】
図1に示すように実施例1の補高便座1は、洋風便器90上に設けられて中央にO字状の開口91aが形成された便座91上に載置されるものである。
【0037】
補高便座1は、図2〜図4に示すように、本体部11、側壁部13、U字状ばね15及び裏壁部16を備えている。
【0038】
本体部11は、後方側が開いたU字状をなしており、表面が着座面12とされている。また、本体部11の裏面14は、便座91上に当接し得るように平面とされている。
【0039】
側壁部13は、本体部11の内縁から便座91側、つまり下方側に延在するものであり、本体部11の内縁に沿ってU字状をなしている。
【0040】
U字状ばね15は、バネ鋼材がU字状に曲げられたものであり、側壁部13内に埋設されている。このU字状ばね15が側壁部13に付勢力を付与する付勢手段であり、後述する通り、側壁部13を便座91の内縁91bに押圧する方向に付勢するように作用する。
【0041】
裏壁部16は、側壁部13の底部から外周側に向かって水平方向に延在するものであり、後述する通り、本体部11の裏面14とともに便座91を挟持可能とされている。
【0042】
このような構成である補高便座1は、例えば、成形金型(図示しない)のキャビティ内の所定の位置にU字状ばね15が配置された後、キャビティ内にクッション性のある軟質材料である熱可塑性エラストマーが注入されることにより一体成形される。
【0043】
そして、補高便座1は便座91上に載置され、着座面12を便座91よりも高くする。このため、この補高便座1は、例えば、老人、病人又は身障者等の弱者が洋風便器90を使用する際の介護に利用され、使用者が洋風便器90に腰掛けたり、洋風便器90から立ち上がる際の動作を容易にしたり、座り心地を良くしたりして、洋風便器90の使用時の快適性を向上させることができている。
【0044】
ここで、実施例1の補高便座1は、便座91上に載置される際、下記のようにして位置決め固定のための調整が実施される。
【0045】
補高便座1が載置される便座91には、使用者の体格等に応じ、一般に大型、標準及び共用のものが存在し、これらは開口91aに大小を有している。このため、最初に、図5に示すように、便座91の中央に形成された開口91aの前後方向の長さL1及び幅W1を確認する。
【0046】
次に、図6に示すように、補高便座1の本体部11の後方側の開いた部分を近づけるように押して、弾性変形させる。この際、埋設されたU字状ばね15も押されて、一時的に付勢力を発揮しない状態となる。その結果、補高便座1において、裏壁部16の外周縁の前後方向の長さL2及び幅W2は、便座91の開口91aの前後方向の長さL1及び幅W1よりも小さくされる。
【0047】
この状態で、図7(a)に示すように、便座91の上方から開口91aに側壁部13及び裏壁部16を挿入することにより、図7(b)に示すように、本体部11の裏面14が便座91上に当接し、側壁部13が便座91の内縁91bに対面することとなる。この際、側壁部13と便座91の内縁91bとの間に隙間を生じているので、側壁部13を開口91aに挿入することを容易に実施することができている。
【0048】
そして、図7(c)に示すように、補高便座1の本体部11の変形を解除することにより、側壁部13に設けられたU字状ばね15が付勢力を発揮する状態となる。そして、U字状ばね15が側壁部13に付勢力を付与することにより、側壁部13が便座91の内縁91bに押圧固定される。この際、裏壁部16は、便座91の裏面側に移動し、本体部11の裏面14とともに便座91を挟持することとなる。その結果、補高便座1の便座91に対するガタを小さくしつつ、補高便座1を便座91に対して位置決め固定することができる。こうして、この補高便座1は、開口91aに大小を有する各種の便座91に対して、位置決め固定することが可能となっている。
【0049】
このため、補高便座1を購入しようとする者は、使用している便座91に適合したフランジをもつ補高便座を購入しなくてもよい。また、補高便座1の便座91に対するガタを小さくできるので、老人等の弱者は着座の姿勢が安定し、安全に利用できる。
【0050】
また、メーカとしては、便座91の種類に応じた補高便座を用意しなくてもよくなってなり、製造コストの高騰化を生じない。
【0051】
したがって、実施例1の補高便座1は、使用者が様々な大きさの開口を有する便座に対して使用しても安定して着座でき、メーカにとっても製造コストの高騰化を生じない。
【0052】
また、この補高便座1は、側壁部13から便座91の裏面側に延在し、本体部11とともに便座91を挟持可能な裏壁部16を備えていることから、補高便座1を便座91により確実に位置決め固定することができている。
【0053】
さらに、この補高便座1において、付勢手段がバネ鋼材製のU字状バネ15であることから、付勢力を確実に発揮することができており、本発明の効果を一層確実に奏することができている。
【実施例2】
【0054】
実施例2の補高便座2は、実施例1の補高便座1の本体部11及び付勢手段としてのU字状ばね15の代わりに、図8に示すように、本体部211及び付勢手段としての線細工ばね215を採用している。その他の構成は実施例1の補高便座1と同様であるので、説明は省く。
【0055】
本体部211は、各々の前端が互いに揺動可能となるように、各々の後端が軸部70によって結合された一対の弧状体211a、211bからなる。
【0056】
線細工ばね215は、軸部70の近傍に配置され、両端が弧状体211a、211bに固定されることにより、両弧状体211a、211bを互いに離れる方向に付勢するものである。
【0057】
このような構成である実施例2の補高便座2も、図9に示すように、両弧状体211a、211bの前端側を押して、各々の前端が近づく方向に変位させることができる。その結果、この補高便座2において、裏壁部16の外周側の前後方向長さL3及び幅W3は、便座91の開口91aの前後方向の長さL1及び幅W1よりも小さくされる。このため、この補高便座2も、側壁部13及び裏壁部16を便座91の開口91aに挿入することに容易に実施できる。
【0058】
そして、補高便座2が便座91上に載置された後は、線細工ばね215が両弧状体211a、211bを互いに離れる方向に付勢することにより、側壁部13が便座91の内縁91bに押圧固定される。このため、この補高便座2も、実施例1の補高便座1と同様の効果を奏することができている。
【実施例3】
【0059】
実施例3の補高便座3は、実施例1の補高便座1の側壁部13、側壁部13に埋設される付勢手段としてのU字状ばね15及び裏壁部16の代わりに、図10〜図12に示すように、側壁部313及び付勢手段としての袋体315を採用している。その他の構成は実施例1の補高便座1と同様であるので、説明は省く。
【0060】
側壁部313は、本体部11の内縁から便座91側に延在するものであり、本体部11の内縁に沿ってU字状をなしている。そして、側壁部313の外周側の側面に沿って、袋体315が配設されている。
【0061】
袋体315は、内部に水を封入可能な弾性チューブからなり、封入される水の量を増減させることにより、膨張又は収縮させることが可能とされている。
【0062】
このような構成である実施例3の補高便座3は、図12に示すように、実施例1の補高便座1の裏壁部16のような突出物がないので、袋体315を収縮させた状態とすることにより、側壁部313及び袋体315を便座91の開口91aに挿入することに容易に実施できる。
【0063】
そして、補高便座3が便座91上に載置された後、図13に示すように、袋体315を膨張させることにより、袋体315が付勢力を発揮する状態となる。そして、袋体315が便座91の内縁91bを押圧する方向に付勢することにより、側壁部313が便座91の内縁91bに袋体315を介して押圧固定される。この際、袋体315の下方が便座91の裏面側に移動するように膨張し、本体部11の裏面14とともに便座91を挟持することができる。その結果、補高便座3の便座91に対するガタを小さくしつつ、補高便座3を便座91に対して位置決め固定することができる。このため、この補高便座3も、実施例1の補高便座1と同様の効果を奏することができている。
【実施例4】
【0064】
実施例4の補高便座4は、実施例1の補高便座1の裏壁部16の代わりに、図14及び図15に示すように、裏壁部としての複数のアーム416を採用している。その他の構成は実施例1の補高便座1と同様であるので、説明は省く。
【0065】
複数のアーム416は、側壁部13の底面に所定の間隔を有して軸支されており、図16に示すように、便座91の裏面と平行な方向に揺動可能とされている。
【0066】
このような構成である実施例4の補高便座4は、予め、側壁部13に軸支された複数のアーム416を揺動させて、図16に示すように、便座91の裏面側に延在しない状態としておくことにより、便座91の開口91aに補高便座4の側壁部13を挿入することを容易に実施できる。また、側壁部13が便座91の開口91aに挿入された後に、各アーム416を揺動させて、便座91の裏面側に延在する状態とすることにより、各アーム416と本体部11とが便座91を挟持することができる。このため、この補高便座4も、実施例1の補高便座1と同様の効果を奏することができている。
【実施例5】
【0067】
実施例5の補高便座5は、実施例1の補高便座1の側壁部13、付勢手段としてのU字状ばね15及び裏壁部16の代わりに、図17〜図19に示すように、側壁部513、付勢手段としてのU字状ばね515及び裏壁部としての複数のアーム516を採用している。そして、この補高便座5は、U字状の本体部11を拡げるように変形させて、便座91に載置し、位置決め固定するものである。その他の構成は実施例1の補高便座1と同様であるので、説明は省く。
【0068】
側壁部513は、本体部11の外縁から便座91側、つまり下方側に延在するものであり、本体部11の外縁に沿ってU字状をなしている。
【0069】
U字状ばね515は、バネ鋼材がU字状に曲げられたものであり、側壁部513内に埋設されている。このU字状ばね15が側壁部513に付勢力を付与する付勢手段であり、側壁部513を便座91の外縁に押圧する方向に付勢するように作用する。
【0070】
複数のアーム516は、側壁部513の底面に所定の間隔を開けて配設される略「J」字断面の弾性体である。各アーム516は、略「J」字の下側端部が弾性変形によって便座91の裏面側に延在可能とされており、便座91の外周面と当接する際には、外周面から逃げる方向に弾性変形するようになっている。
【0071】
このような構成である実施例5の補高便座5は、補高便座1の本体部11の後方側の開いた部分を離すように拡げることにより、容易に便座91に載置することができる。そして、本体部11の変形を解除することにより、U字状ばね515が付勢力を発揮する状態となる。そして、U字状ばね515が側壁部513に付勢力を付与することにより、側壁部513が便座91の外縁に押圧固定される。この際、複数のアーム516は、図20(a)に示すように、一端、便座91の外周面に当接し、外周面から逃げるように弾性変形した後、図20(b)に示すように、便座91の裏面側に延在する状態となるように元の形状に弾性変形する。このため、各アーム516は、本体部11ともに便座91を挟持することができる。このため、この補高便座5も、実施例1の補高便座1と同様の効果を奏することができている。
【0072】
以上において、本発明を実施例1〜5に即して説明したが、本発明は上記実施例1〜5に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用できることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明は補高便座に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】実施例1の補高便座及び補高便座が載置される洋風便器の斜視図である。
【図2】実施例1の補高便座の概略断面図である。
【図3】実施例1の補高便座の下面図である。
【図4】実施例1の補高便座に係り、図2のA−A断面図である。
【図5】実施例1の補高便座に係り、補高便座が載置される洋風便器の便座の拡大斜視図である。
【図6】実施例1の補高便座に係り、変形状態を示す下面図である。
【図7】実施例1の補高便座に係り、洋風便器に位置決め固定する手順を示す図5のD−D断面図である。
【図8】実施例2の補高便座の下面図である。
【図9】実施例2の補高便座に係り、変形状態を示す下面図である。
【図10】実施例3の補高便座の概略断面図である。
【図11】実施例3の補高便座の下面図である。
【図12】実施例3の補高便座に係り、図10のB−B断面図である。
【図13】実施例3の補高便座に係り、洋風便器に位置決め固定した状態を示す概略断面図である。
【図14】実施例4の補高便座の概略断面図である。
【図15】実施例4の補高便座の下面図である。
【図16】実施例4の補高便座に係り、アームを揺動させた状態を示す下面図である。
【図17】実施例5の補高便座の概略断面図である。
【図18】実施例5の補高便座の下面図である。
【図19】実施例5の補高便座に係り、図17のC−C断面図である。
【図20】実施例5の補高便座に係り、洋風便器に位置決め固定する手順を示す概略断面図である。
【符号の説明】
【0075】
1、2、3、4、5…補高便座
11、211…本体部
12…着座面
13、313、513…側壁部
15、215、315…付勢手段(15…U字状ばね、215…線細工ばね、315…袋体)
16、416、516…裏壁部(416、516…アーム)
211a、211b…弧状体
90…洋風便器
91…便座
91a…開口
91b…便座の内縁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
洋風便器上に設けられて中央にO字状又はU字状の開口が形成された便座上に載置され、着座面を該便座よりも高くする補高便座において、
前記便座上に当接し得る本体部と、該本体部の内縁又は外縁から前記便座側に延在する側壁部と、該本体部又は該側壁部に付勢力を付与する付勢手段とを備え、
該付勢力により該便座の内縁又は外縁に押圧固定されることを特徴とする補高便座。
【請求項2】
前記本体部は、各々半円状をなし、各々の一端が互いに揺動可能に結合された一対の弧状体からなり、前記付勢手段は、両該弧状体を互いに離れる方向又は近づく方向に付勢するものである請求項1記載の補高便座。
【請求項3】
前記付勢手段は、前記側壁部に設けられ、前記便座の前記内縁又は前記外縁を押圧する方向に付勢するものである請求項1記載の補高便座。
【請求項4】
前記側壁部から前記便座の裏面側に延在し、前記本体部とともに該便座を挟持可能な裏壁部を備えている請求項1乃至3のいずれか1項記載の補高便座。
【請求項5】
前記裏壁部は、前記便座の裏面と平行な方向に揺動可能に前記側壁部に軸支された複数のアームである請求項4記載の補高便座。
【請求項6】
前記裏壁部は、弾性変形によって前記便座の裏面側に延在する複数のアームである請求項4記載の補高便座。
【請求項7】
前記付勢手段は、内部に流体が封入されて膨張する袋体である請求項1乃至6のいずれか1項記載の補高便座。
【請求項8】
前記付勢手段は、バネ、ゴムその他の弾性体である請求項1乃至6のいずれか1項記載の補高便座。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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