説明

製品ウェブを水噴射処理するための装置

【課題】 本発明の課題は、製品ウェブの立体構造付与のため、およびこの製品ウェブの固化のために使用され得る装置を発展させることである。
【解決手段】 水噴射処理によって固化、及び/または立体成形された、合成ステープル繊維、天然繊維、無端繊維、または、前記繊維の混合物を材料にした不織布、またはニット製品から成る、製品ウェブを製造するための装置が記載されており、この装置の場合、穿孔ドラム1の上に、目の粗い下側スクリーン2、およびこの目の粗い下側スクリーンを覆って、より細目の捲縮スクリーン3が配設されており、且つ、この捲縮スクリーンが、無端のチューブとして捲縮されているスクリーンウェブから成っている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水噴射処理によって固化(verfestigten)、及び/または立体成形された、合成ステープル繊維、天然繊維、無端繊維、または、前記繊維の混合物を材料にした不織布、またはニット製品から成る、製品ウェブを製造するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ドイツ連邦共和国特許出願公開第101 52 075号明細書(特許文献1)から、
既に、水噴射処理を用いての、製品ウェブの3次的な無色の模様を形成するための装置が公知である。高い圧力でもって付勢された水噴射、または高温の空気によって、パーフォレーションされた不織布材料を製造するための装置は、ヨーロッパ特許出願公開第511 025号明細書(特許文献2)内において記載されている。同様に、ヨーロッパ特許第223 614号明細書(特許文献3)、ヨーロッパ特許第215 684号明細書(特許文献4)、および、ヨーロッパ特許第1 001 964号明細書(特許文献5)において、装置が開示されており、これら装置は、前もって製造された不織布に、穿孔立体構造を形成する。その際、穿孔立体構造は、上方へと起立している可塑的な立ち上がり部を備えるベルトの上で、または上方へと起立している可塑的な立ち上がり部を備えるドラムの上で存在する不織布ウェブの、圧力で付勢された水噴射によって付与される。更に、ヨーロッパ特許第705 932号明細書(特許文献6)から、浮き彫り状の立体構造および穿孔を、全体的に所定の配設内において有している材料が公知である。
【特許文献1】ドイツ連邦共和国特許出願公開第101 52 075号明細書
【特許文献2】ヨーロッパ特許出願公開第511 025号明細書
【特許文献3】ヨーロッパ特許第223 614号明細書
【特許文献4】ヨーロッパ特許第215 684号明細書
【特許文献5】ヨーロッパ特許第1 001 964号明細書
【特許文献6】ヨーロッパ特許第705 932号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従って、本発明の課題は、製品ウェブの立体構造付与のため、およびこの製品ウェブの固化のために組み込まれ得る装置を発展させることである。この課題は、穿孔ドラムの上に無端のチューブとして捲縮された、異なる捲縮スクリーンによって解決され得る。この様式の異なる捲縮スクリーンでもって、本発明による装置の2つの全く異なる機能、即ち、一方では製品ウェブの立体構造付与、および他方ではこの製品ウェブの固化が満たされる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の対象は、従って、水噴射処理によって固化、及び/または立体成形された、合成繊維、天然繊維、無端繊維、または、前記繊維の混合物を材料にした不織布、またはニット製品から成る、製品ウェブを製造するための装置であり、
この装置の場合、穿孔ドラム1の上に、目の粗い下側スクリーン2、およびこの目の粗い下側スクリーンを覆って、より細目の捲縮スクリーン3が配設されており、且つ、この捲縮スクリーンが、無端のチューブとして捲縮されているスクリーンウェブから成っている。
【発明の効果】
【0005】
この装置が、立体構造付与のために組み込まれる場合、約5本線(Draehte)/cm(経糸および緯糸)を有する目の粗い捲縮スクリーンが使用される。この場合、既に前もって固化された不織布が、織物状の立体構造を備えており、および、しかもこの立体構造が、製品進展方向に、且つこの製品走行方向に対して直角に指向するように備えている。このことは、目の粗い捲縮スクリーンによって達成され、この目の粗い捲縮スクリーンの捲縮状の経糸が、直角にドラムの周りを回って指向し、且つ、この目の粗い捲縮スクリーンの捲縮していない緯糸が、このドラムに対して軸平行に配設されている。重い不織布がエネルギー豊富な水噴射に対して障壁を成し、且つ従って「通り抜け(Durchschiessen)」を防止するので、このように実施された立体成形の場合、同様に、100g/m以上を有する重い製品でもっても作業され得る。何故ならば、交絡(Vernadelung)の際に使用される水噴射の跳ね返り効果が生じること無く、且つ必要でもないからである。製品ウェブの固化は、このように実施された立体成形の場合に達成されず、従って、この不織布が、前もって既に、この不織布の強度を備えていなければならない。
【0006】
通常、立体成形のために組み込まれる捲縮スクリーンは、最後のベルトとして設備内において組み込まれる。何故ならば、この立体成形の後、如何なる更なる交絡段も、もはや使用されないからである。それぞれの更なる交絡は、形成された立体構造を、再び破壊する。この方法処理の場合、所定の残留湿度を有する製品を、後に続く乾燥プロセス内において、または他の後続のプロセス内において進展するために、湿った不織布を可能な限り最高に脱水する、最終吸引スリットも設けられている。
【0007】
本発明による装置の更に別の使用の可能性は、穿孔ドラムの上に載置された捲縮スクリーンが、同様に、これまで軽量な不織布(100g/mより小さな面積重量)の固化のために組み込まれている、微小な多孔性のシェル体のための代替としても代用され得るということにある。
【0008】
微小な多孔性のシェル体のこれまで通例の使用は欠点を伴っている。MPS(微小な多孔性のシェル体)の使用の際に、穿孔ドラムは、狭小な許容差でもって製造されねばならない。何故ならば、作動状態において、増大された縮充作用(Walkarbeit)によって損傷を与えられないために、このMPSは、僅かな遊隙でもってこのドラムの上に押込まれねばならないからである。このMPSを、例えば捲縮スクリーンに置換することが達成された場合、比較的に大きな許容差を有する支持状態の穿孔ドラムが仕上げられる。何故ならば、捲縮スクリーンは、ドラムの比較的に大きな直径の相違を補償するからである。更に、捲縮スクリーンが、MPSに対して、明確により僅かな投資コストを必要とし、且つ、損傷された、または摩耗された捲縮スクリーンが、比較的に容易に交換され得、これに対して、新しいMPSが、許容差域の理由で他の直径でもって供給され、且つ、まず間違いなく、従来使用されたMPSと同じくらい良好には、このドラムの上に適合しないという事情が出てくる。
【0009】
本発明により、しかしながら、0.15から0.2mmまでの直径を備える線を有し、且つ、走行方向に対して長手方向および横方向に25から45本線/cm(経糸および緯糸)までを有する、捲縮スクリーン3が組み込まれる場合、傑出した固化効果が達せられる。軽量な不織布の場合、200km/h以上の速度でもってこの不織布に衝突する、エネルギー豊富な水噴射が、容易にこの不織布を貫通するという危険が存在する。従って、この水噴射の運動エネルギーは、作用効果無く、且つ失われる。このことは機械の効率を低下させ、且つ、1kgの仕上がり製品当り消費されるべきエネルギーが著しく上昇する。
【0010】
本発明により、ここで、しかしながら、水噴射の運動エネルギーは、個別の繊維の状態を変化させること、および、従って、前もって緩められた繊維集合体の強度を向上させることに利用される。このことは、本発明により、軽量な不織布の場合に、ドラム3の上で、極めて細かな捲縮スクリーンが装着され、且つ、この細かな立体構造によって、その表面で水噴射が同様に再び跳ね返る、均一の表面が得られることによって達成される。高い速度でもってこの不織布に当った水噴射は、この不織布を通過し、捲縮スクリーン3の上に当り、且つ、そこからこの不織布に向かって跳ね返えされる。その際に生じる跳ね返り効果は、この不織布が、ここで、同様に下側から交絡され、且つ、このことによって、著しく高い強度が達せられることを誘起する。
【0011】
もちろん、このように固化された製品ウェブは、引き続いて、上記で細部においては記載されている立体構想成形段に進展可能である。
【0012】
本発明による装置内に組み込まれるスクリーンベルト内において、ノズルビームの多数の射出開口部から高圧でもって噴射された液体を導出するための、開いている面が設けられている。これら捲縮状のスクリーンベルトは、経糸および緯糸を備えており、これら経糸および緯糸が、熱可塑性のホモポリマー、またはコポリマーから成っていることは可能である。この捲縮状のスクリーンベルトが、金属線材から成る緯糸を備える場合、特に有利である。
【0013】
更に、特別の場合に、1つの装置を有することは特に有利であり、この装置の場合、目の粗い下側スクリーン2と捲縮スクリーン3との間に、更に別のスクリーン挿入され、従って、穿孔ドラム1の上で、総じて3つのスクリーンが重なり合って位置している。このことは、特に、下側スクリーンまたは捲縮スクリーンのメッシュナンバー、及び/または線材太さにおいて、大きな相違のある場合に得策である。
【0014】
本発明による装置でもって、例えば、70:30のビスコース/ポリエステルから成る組成において、および、70m/mimの製造速度において、以下の緒元を有している、57g/mの不織布が製造され得る。
【0015】
本発明による捲縮スクリーンを使用した場合、機械方向において93Nの強度、および横方向において20Nの強度が、0.72mmの不織布厚さにおいて達せられる。
【0016】
通例の微小な多孔性のシェル体を有するこの様式の製品ウェブが製造される場合、機械方向において95Nの強度、および横方向において20Nの強度が、並びに0.73mmの不織布厚さが観察される。
【0017】
次に、図を参照して本発明の実施の形態を詳しく説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
添付した図1は、概略的に、ドラムの構造を示している。最も下側の層は、穿孔ドラム1を形成している。この最も下側の層を覆って、目の粗い下側スクリーン2が位置しており、従って経糸4も認識され得る。上方に、この層構造は、捲縮スクリーン3によって閉鎖される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】概略的に、ドラムの構造を示した図である。
【符号の説明】
【0020】
1 穿孔ドラム
2 粗い下側スクリーン
3 捲縮スクリーン
4 経糸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水噴射処理によって固化、及び/または立体成形された、合成ステープル繊維、天然繊維、無端繊維、または、前記繊維の混合物を材料にした不織布、またはニット製品から成る、製品ウェブを製造するための装置において、
穿孔ドラム(1)の上に、目の粗い下側スクリーン(2)、およびこの目の粗い下側スクリーンを覆って、より細目の捲縮スクリーン(3)が配設されており、且つ、この捲縮スクリーンが、無端のチューブとして捲縮されているスクリーンウェブから成っていることを特徴とする装置。
【請求項2】
立体構造付与する捲縮スクリーンは、約5本線/cm(経糸および緯糸)を有することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
捲縮状の経糸は、直角に、穿孔ドラムの周囲を回って、および、捲縮していない緯糸が、このドラム軸線に対して軸平行に配設されていることを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項4】
その装置の上で、既に固化された製品ウェブは、この装置の最後のベルトとしての立体構造付与する捲縮スクリーンに導かれるように構成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載の装置。
【請求項5】
固化のために、捲縮スクリーン(3)が組み込まれ、この捲縮スクリーンは、0.15〜0.2mmの直径を備える線を有し、且つ、走行方向に対して長手方向および横方向に25〜45本線/cm(経糸および緯糸)を有することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項6】
スクリーンベルト内において、ノズルビームの多数の射出開口部から高圧でもって噴射された液体を導出するための、開いている面が設けられていることを特徴とする請求項1から5のいずれか一つに記載の装置。
【請求項7】
捲縮状のスクリーンベルトは、経糸および緯糸を備えており、これら経糸および緯糸が、熱可塑性のホモポリマー、またはコポリマーから成っていることを特徴とする請求項1から6のいずれか一つに記載の装置。
【請求項8】
捲縮状のスクリーンベルトは、金属線材から成る緯糸を備えることを特徴とする請求項1から7のいずれか一つに記載の装置。
【請求項9】
目の粗い下側スクリーン(2)と捲縮スクリーン(3)との間に、更に別のスクリーン挿入され、従って、穿孔ドラム(1)の上で、総じて3つのスクリーンが重なり合って位置していることを特徴とする請求項1から8のいずれか一つに記載の装置。

【図1】
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