説明

製品タンク間配管系のクローズドピグ装置

【課題】 牛乳等の配管系のピグ装置を,配管部品を用いて安価に形成するとともに該配管部品によって括れ部のあるピグ洗浄を有効に行えるようにする。
【解決手段】 配管系Aに,配管部品の偏芯レデューサー3,4を介して同じく配管部品にしてピグ1の径より径大なクロス配管2を接続してランチャーとし,その交差する接続口にエアモーター5を設置し,このエアモーター5によってバルブステム21を進退可能とする。バルブステム21を後退し,ピグ1を製品移送方向に圧送して製品回収を行い,バルブステム21を前進し,ランチャーにピグ1を保持する揺動洗浄スペース22を形成して,洗浄液によってピグ1の揺動洗浄を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,牛乳,ヨーグルト,清涼飲料等の液状,ゾル乃至ゲル状製品又はその半製品を移送する配管系に好適に用いられる製品タンク間配管系のクローズドピグ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のクローズドピグ装置として,例えば製品タンク間の配管系から分岐した配管系外一方にランチャー,ピグ洗浄室,加圧流体管路を,他方にキャッチャーを設置して,ランチャー側の製品タンクの配管系を開閉弁操作によって閉鎖した上,ランチャーからピグを発射して,該ピグの進行によって配管系内残存の製品を製品移送方向に押出し回収することによって製品ロスを可及的に削減する一方,ピグ位置を定める押し棒を加圧流体管路側に後退させることによって,製品タンク近傍の洗浄液供給管からの加圧洗浄液によってピグをピグ洗浄室に送入し,該加圧洗浄水によって該ピグの洗浄を行うものが知られており,このときピグ洗浄室は,配管系より径大の内径を有するとともにピグ径と同一径をなす多数の格子状のピグホルダーをピグ送入方向に向けて配置したものとしてあり,ピグの洗浄は,該ピグホルダーによって送入したピグを保持して,上記加圧洗浄液をランチャーを介して加圧流体管路側に向けて供給し,ピグ長手方向に加圧した洗浄液を通過させるように行うものとされる。
【0003】
【特許文献1】特開平9−192620号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この場合,製品ロス発生の防止とその後のCIP洗浄を,クローズドシステムで行うことができるとともに上記液状製品やゲル状製品等の配管系に有効に使用することができる。
【0005】
しかし乍ら,この場合,製品タンク間の配管系の系外に,ランチャー,ピグ洗浄室,加圧流体管路等を設置するために構造が複雑化し,高コストのものとなる傾向があり,また部品点数が相当程度に多くなり,このため制御系とそのプログラムが複雑化するとともにメンテナンスが煩雑化し易いという問題点を残している。また,製品移送に用いられる配管系は,その長手方向中間で方向転換のために屈曲するケースが多く,このためその洗浄に用いるピグは,その形状を,配管系の屈曲部に沿ってスムーズな方向転換を行って該屈曲部をスムーズに通過できるように,配管系の内径に合せた一対の球体部とその間の括れ部とを備えたものとされるのが一般であるところ,上記ピグ洗浄は,ピグホルダーでピグを保持してピグ長手方向に加圧した洗浄水を通過させて行なうことによって,括れ部に対して洗浄液の加圧力が充分に作用しない場合には括れ部の洗浄が不充分になる可能性を残している。
【0006】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので,その課題とするところは,可及的簡易な構造によって,配管系の製品回収を可及的有効且つ適切になし得るとともにピグの形状を問わずにその洗浄を同じく可及的有効且つ適切になし得るようにした製品タンク間配管系のクローズドピグ装置を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題に沿って,本発明は,ピグの通過を阻止する先行接続管とピグを配管系に誘導する後続接続管を介して,製品タンク間の配管系の系内にランチャーを配置し,先行接続管側から,例えば加圧洗浄水を供給することによって配管系のピグ洗浄を行なうようにする一方,上記ランチャーの内径を,ピグ径より径大とし且つ該ランチャーに可動のピグストッパーを配置することによってランチャーに径大長寸のピグ揺動洗浄スペースを形成し,ピグストッパーの進出,即ち前進によるピグの保持状態で,同じく先行接続管側から,例えば加圧洗浄液を供給することによって,該ピグ揺動洗浄スペースを洗浄室とし,加圧洗浄液によりピグを揺動して,括れ部に対しても洗浄液の加圧力を充分に作用させるようにピグの揺動洗浄をなし得るようにすることで,クローズドシステムを維持しながら,ピグによる製品回収と該ピグの揺動による確実な洗浄を可能としたものであって,即ち,請求項1に記載の発明を,製品タンク間の配管系内に介設したクローズドシステムをなすピグ装置であって,上記配管系の内径より径大としたランチャーと,配管系接続側を該配管系の内径と同径とし且つランチャー接続側をピグの通過を阻止するように径小化して配管系とランチャー間に介設した製品移送方向前方の先行接続管と,ランチャーの内径から配管系の内径に順次無段階的に径小化したピグ誘導ガイドを有してランチャーと配管系間に介設した製品移送方向後方の後続接続管を備えるとともに上記先行接続管の径小部からピグ長さより長い間隔を隔ててランチャーに配置し,そのピグ通路に向けた進退動作によってピグの通過阻止又は許容を行うとともに進出時に上記先行接続管の径小側端部との間にピグの揺動洗浄用スペースを形成する可動のピグストッパーとを備えてなることを特徴とする製品タンク間配管系のクローズドピグ装置としたものである。
【0008】
請求項2に記載の発明は,上記に加えて,チーズ配管(ティといってもよい)及びクロス配管(単にクロスといってもよい)の市販の配管部品を用い,該配管部品を配管系に接続配置して,上記ランチャー,先行及び後続の接続管とすることによって,低コストにして配管系のピグ洗浄とピグの揺動による確実な洗浄の双方の機能を有効且つ適切に確保したものとするように,これを,上記ランチャーに,配管部品のチーズ配管又はクロス配管を,先行接続管及び後続接続管に,同じく配管部品の同芯又は偏芯レデューサーをそれぞれ用いてなることを特徴とする請求項2に記載の製品タンク間配管系のクローズドピグ装置としたものである。
【0009】
請求項3に記載の発明は,同じく上記に加えて,ランチャーに上記配管部品のチーズ配管又はクロス配管を使用したときに,該ランチャーに上記先行及び後続の接続管を直列に接続し,その残余の接続口に駆動装置を配置し,該駆動装置によって上記ピグストッパーを可動するようにして,ランチャーに対する可動のピグストッパーの配置を,特殊な加工を要することなく,既存の接続口を用いることによって可及的簡易且つ確実になし得るものとするように,これを,上記チーズ配管又はクロス配管によるランチャーの対向する接続口に上記先行接続管及び後続接続管を接続してこれら接続管を直列に配置する一方,残余の接続口に駆動装置を配置して該駆動装置によって上記ピグストッパーをランチャーの内外方向に向けて作動してなることを特徴とする請求項2に記載の製品タンク間配管系のクローズドピグ装置としたものである。
【0010】
請求項4に記載の発明は,同じく上記に加えて,キャッチャーを,上記先行接続管と同様な部材を製品移送方向に配置することによって,同じく製品移送方向の製品タンク側の配管系に配置したものとするように,これを,製品移送方向の製品タンク側配管系に,一方の配管系接続側を該配管系の内径と同径とし且つ他方の配管系接続側を径小化してピグの通過を阻止するキャッチャーを備えてなることを特徴とする請求項1,2又は3に記載の製品タンク間配管系のクローズドピグ装置としたものである。
【0011】
請求項5に記載の発明は,同じく上記に加えて,同様に市販の配管部品を用い,該配管部品を配管系に接続配置して上記キャッチャーとすることによって,低コストにして配管系のキャッチャーとしての機能を有効且つ適切に確保したものとするように,これを,上記キャッチャーに,配管部品の同芯又は偏芯レデューサーを用いてなることを特徴とする請求項4に記載の製品タンク間配管系のクローズドピグ装置としたものである。
【0012】
本発明は,これらをそれぞれ発明の要旨として上記課題解決の手段としたものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明は以上のとおりに構成したから,請求項1に記載の発明は,ピグの通過を阻止する先行接続管とピグを配管系に誘導する後続接続管を介して,製品タンク間の配管系の系内にランチャーを配置し,先行接続管側から,例えば加圧洗浄水を供給することによって配管系のピグ洗浄を行なうようにする一方,上記ランチャーの内径を,ピグ径より径大とし且つ該ランチャーに可動のピグストッパーを配置することによってランチャーに径大長寸のピグ揺動洗浄スペースを形成し,ピグストッパーの進出,即ち前進によるピグの保持状態で,同じく先行接続管側から,例えば加圧洗浄液を供給することによって,該ピグ揺動洗浄スペースを洗浄室とし,加圧洗浄液によりピグを揺動して,括れ部に対しても洗浄液の加圧力を充分に作用させるようにピグの揺動洗浄をなし得るようにすることで,クローズドシステムを維持しながら,ピグによる製品回収と該ピグの揺動による確実な洗浄を可能とし,配管系の製品回収を可及的有効且つ適切になし得るとともにピグの形状を問わずにその洗浄を同じく可及的有効且つ適切になし得るようにした製品タンク間配管系のクローズドピグ装置を提供することができる。
【0014】
請求項2に記載の発明は,上記に加えて,チーズ配管及びクロス配管の市販の配管部品を用い,該配管部品を配管系に接続配置することによって,上記ランチャー,先行及び後続の接続管とすることによって,低コストにして配管系のピグ洗浄とピグの揺動洗浄の双方の機能を有効且つ適切に確保したものとすることができる。
【0015】
請求項3に記載の発明は,同じく上記に加えて,ランチャーに上記配管部品のチーズ配管又はクロス配管を使用したときに,該ランチャーに上記先行及び後続の接続管を直列に接続し,その残余の接続口に駆動装置を配置し,該駆動装置によって上記ピグストッパーを可動するようにして,ランチャーに対する可動のピグストッパーの配置を,特殊な加工を要することなく,既存の接続口を用いることによって可及的簡易且つ確実になし得るものとすることができる。
【0016】
請求項4に記載の発明は,同じく上記に加えて,キャッチャーを,上記先行接続管と同様な部材を製品移送方向に配置することによって,同じく製品移送方向の製品タンク側の配管系に配置したものとすることができる。
【0017】
請求項5に記載の発明は,同じく上記に加えて,同様に市販の配管部品を用い,該配管部品を配管系に接続配置して上記キャッチャーとすることによって,低コストにして配管系のキャッチャーとしての機能を有効且つ適切に確保したものとすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下図面の例に従って本発明を更に具体的に説明すれば,Aは,例えば牛乳,ヨーグルト,清涼飲料等の液状,ゾル乃至ゲル状製品又はその半製品を,図示省略の送出タンクから受入タンクに移送するように配置した製品タンク間の配管系を示し,Bは,該配管系A内に介設したクローズドシステムをなすピグ装置をそれぞれ示す。
【0019】
ピグ装置Bは,上記配管系Aの内径より径大としたランチャー2と,配管系接続側を該配管系Aの内径と同径とし且つランチャー2接続側をピグ1の通過を阻止するように径小化して配管系Aとランチャー2間に介設した製品移送方向前方の先行接続管3と,ランチャー2の内径から配管系Aの内径に順次無段階的に径小化したピグ誘導ガイド41を有してランチャー2と配管系A間に介設した製品移送方向後方の後続接続管4を備えるとともに上記先行接続管3の径小部からピグ長さより長い間隔を隔ててランチャー2に配置し,そのピグ通路に向けた進退動作によってピグ1の通過阻止又は許容を行うとともに進出時に上記先行接続管3の径小側端部との間にピグ1の揺動洗浄用スペース22を形成する可動のピグストッパー21とを備え,また製品移送方向の製品タンク側配管系Aに,一方の配管系接続側を該配管系Aの内径と同径とし且つ他方の配管系接続側を径小化してピグ1の通過を阻止するキャッチャー6を備えたものとしてある。
【0020】
本例にあって上記ランチャー2は,これに,配管部品のクロス配管を,先行接続管3及び後続接続管4に,同じく配管部品の偏芯レデューサーをそれぞれ用いたものとし,また上記キャッチャー6に,同様に配管部品の偏芯レデューサーを用いたものとしてあり,本例の配管部品は,それぞれフランジ又はネジを備えたものとすることによって,そのフランジをボルトナットで締着し又はネジを螺着することによってその相互の接続を行ったものとしてあり,このとき本例の先行接続管の偏芯レデューサーのクロス配管に対する接続部材31として,これらの間に介設する偏芯板レデューサーを用い,またキャッチャー6の製品移送方向の配管系に対する接続部材61として,同じくこれらの間に介設する偏芯板レデューサーを用いたものとしてある。
【0021】
このとき上記クロス配管によるランチャー2と先行接続管3及び後続接続管4は,該ランチャー2の対向する接続口に接続してこれら接続管を直列に配置することによって,これらランチャー2,先行及び後続の接続管3,4は,これらを配管系Aの系内に該配管系Aと一連の直列をなすように介設し,またキャッチャー6も同じく配管系Aの系内に一連の直列をなすように介設して,これらの配置を行ってある。本例にあって配管系Aは,呼び径で,例えば2s,ランチャー2のクロス配管は2.5s,先行接続管3の偏芯レデューサーは2s×1.5s,偏芯板レデューサーは2.5s×1.5s,後続接続管4の偏芯レデューサーは2.5s×2sのそれぞれ市販の規格品とし,配管系Aの系内にランチャー2と配管系Aとの径の差を吸収してその上記直列の接続を行い,またキャッチャー6の偏芯レデューサーは2s×1.5s,偏芯板レデューサーは2s×1.5sの同じく市販の規格品とし,同様にキャッチャー6と配管系Aとの径の差を吸収してその上記直列の接続を行ってある。
【0022】
上記クロス配管によるランチャー2には,該ランチャー2にピグ1の上記揺動洗浄用スペース22を形成する可動のピグストッパー21を配置してあり,本例にあって該ピグストッパー21は,上記先行接続管3の径小部からピグ長さより長い間隔を隔ててランチャー2に可動配置し,そのランチャー2の内外方向に向けた進退動作によってピグ1通過の阻止又は許容し且つ上記先行接続管3の径小側端部との間に該揺動洗浄用スペース22を形成するものとしてあり,該ピグストッパー21は,これを上記先行及び後続の接続管3,4を接続した残余の接続口に駆動装置5を配置して該駆動装置5によって上記ランチャー2の内外方向に向けて作動するものとしてある。
【0023】
即ちクロス配管を用いたランチャー2は,十字状に接続口を開口してあり,そのうち対向する一対の接続口に上記先行及び後続の接続管3,4を接続することによって残った対向する残余一対の接続口に駆動装置5,例えば一対のエアモーターを,例えば双方のフランジをボルトナットで締着することによって接続し,これらエアモーターがランチャー2を挟んでその両側に突出するように同じく直列に配置してある。このとき該エアモーターをサニタリーバルブ用とし,該エアモーターが,所定のストロークでエアモーターからランチャーの内側に突没するようにした,先端を,例えば軟質樹脂で被覆したバルブステムを一体に備え,該バルブステムを,上記ピグ1通過を阻止又は許容する上記可動のピグストッパー21としてある。これによって,エアモーターの作動によってバルブステムの突出長さを長短2様に変化し,その先端が,ランチャーの接続口交差部の中心位置に至るようにランチャー2内にその両側から内側に向けて長く突出するように進出して,該接続口交差部を狭小化することによって,ピグ1がバルブステムのピグストッパー21間を通過するのを阻止して,該ランチャー2の内部に上記ピグ1の揺動洗浄スペース22を形成自在とする一方,バルブステムの先端がランチャー2の接続口側の両側に向けて短くするように後退することによって,該接続口交差部を開放して,ピグ1がバルブステムのピグストッパー21間を通過するのを許容して,該ランチャー2から配管系Aに脱出し,該ピグの進行によって配管系A内に残存している製品を製品移送方向の製品タンクに向けて押出し回収するようにして,該製品のロスを可及的に削減するものとしてある。
【0024】
以上のように形成した本例のピグ装置Bによる配管系Aのピグ1による製品回収とその該ピグの揺動洗浄を説明すれば,配管系Aの製品回収は,上記エアモーターとした駆動装置5の操作によってピグストッパー21を後退して,ランチャー2の接続口交差部をピグ1が通過する通過許容状態とし,例えば送出タンク側において配管系Aに直列又は分岐して接続した図示省略のエアコンプレッサーから殺菌した圧搾空気を供給することによって,ランチャー2配置のピグ1を該ランチャー2からキャッチャー6に向けて配管系内を圧送することによってこれを行うものとしてある。このときピグ1は,ランチャー2から後続接続管4のピグ誘導ガイド41に沿って配管系Aに導入されてその圧送がなされるとともに,本例にあっては該後続接続管4を偏芯レデューサーとし,その水平部分を下位に配置することによって,ピグ1は圧搾空気の圧力で水平部分に沿って後続接続管4を進行しピグ誘導ガイド41に至るために,該ピグ1がスムーズにピグ誘導ガイド41に入るとともにその誘導で配管系Aに容易且つ確実に導入されるようになり,製品回収にトラブルが生じることが有効に防止できる。このとき先行接続管3,ピグ揺動洗浄用スペース22部分に製品実液を残しておくと更に有効である。圧送されて配管系Aの製品回収を行ったピグ1は,キャッチャー6に近付くにつれ圧力を可及的に減じる制御をすることでキャッチャー6の狭小部に至って停止するとともに配管系Aの製品残液を配管系Aの終端に直列又は分岐して設置した図示省略の排出管から排出する。一方製品回収後のキャッチャー6側からランチャー2に向けたピグ1の返送は,同様に受入タンク側において配管系に接続した図示省略のエアコンプレッサーから圧搾空気を供給することによって該ピグ1を逆送するように行い,これによって該ピグ1は,後続接続管4を介してランチャー2の接続口交差部に放出されるとともに先行接続管3の狭小部に至って停止する。このときランチャー2はピグ1より径大であるからランチャー2の水平部分に水平に載置するように復帰する。
【0025】
このときピグ1の揺動洗浄は,上記エアモーターの操作によってピグストッパー21を進出,即ち前進して,ランチャー2の接続口交差部をピグ1の通過阻止状態として,ランチャー2にピグ1の揺動洗浄スペース22を形成することによって,ピグ1が後続接続管4に送られるのを防止し,同じく送出タンク側において配管系に直列又は分岐して接続した図示省略の洗浄液供給装置から先行接続管3を介してランチャー2に加圧洗浄液を供給することによってこれを行うものとしてある。ランチャー2に形成した揺動洗浄スペース22は,ピグ1の径より径大にしてその長さより長いから,加圧洗浄液の加圧力を受けて,上記ランチャー2の水平部分に載置して復帰しているピグ1は,該揺動洗浄スペース22内で浮き上がるとともに上下,左右,傾斜方向等に無方向的に揺動してその揺動洗浄がなされる。ピグ1は,例えば一般に使用される両端に球体部を,中間に括れ部を備えたものを用いるものとしてあるところ,該揺動によって,括れ部が加圧洗浄液の加圧力を直接に受けるようになり,従ってピグ1の洗浄を,括れ部を含め有効且つ適切に行うことができる。その後に加圧洗浄液を配管系に直列又は分岐して設置した図示省略の排出口から排出することによって該洗浄を終了すればよい。
【0026】
本例のピグ装置Bは,ランチャー2,キャッチャー6,ランチャー2配置用の先行接続管3,後続接続管4に,市販にして規格の配管部品を用いたことによって,クローズドのピグ装置Bとして,可及的低コストなものとして構成できるとともに上記配管系Aにおける製品回収とピグ1の揺動洗浄の双方を有効且つ適切に行うものとする一方,該配管部品の接続管のない接続口に,ピグストッパー21をなすバルブステムを有する駆動装置5としてエアモーターを設置し,該接続口をピグの揺動洗浄用の洗浄室をなすようにすることによって,ランチャー2に対する可動のピグストッパー21の配置を,特殊な加工を要することなく可及的簡易且つ確実に行うことができ,液状,ゲル状の製品やゾル状の半製品等の各種飲食物の配管系に好適なものとすることができる。
【0027】
図示した例は以上のとおりとしたが,ランチャーに配管部品を用いるとき,上記クロス配管に代えてチーズ配管を使用すること,このときチーズ配管はT字状をなすために,先行及び後続の接続管を直列に接続した残余1ヶ所の接続口に,ランチャーにおける直列の接続口交差部の中間乃至底面に至るように進退自在のバルブステムを配置することによって,同様に可動のピグストッパーとすること,先行接続管及び後続接続管に配管部品を使用するとき,上記偏芯レデューザーに代えて,同心レデューザーを用いること,キャッチャーを,配管系に起立配置した,ピグを受け止めするバー状のストッパーによって配管系内に設置すること等を含めて,製品タンク,ピグ装置,配管系,ランチャー,先行接続管,後続接続管,ピグストッパー,ピグ,キャッチャー,必要に応じて用いる配管部品,チーズ配管,クロス配管,レデューサー,駆動装置等の各具体的形状,構造,材質,これらの関係,これらに対する付加等は,上記発明の要旨に反しない限り様々な形態のものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】配管系とピグ装置の関係を示す平面状態の横断面図である。
【図2】図1の縦断面図である。
【符号の説明】
【0029】
A 配管系
B ピグ装置
1 ピグ
2 ランチャー
21 ピグストッパー
22 ピグ揺動洗浄用スペース
3 先行接続管
31 接続部材
4 後続接続管
41 ピグ誘導ガイド
5 駆動装置
6 キャッチャー
61 接続部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
製品タンク間の配管系内に介設したクローズドシステムをなすピグ装置であって,上記配管系の内径より径大としたランチャーと,配管系接続側を該配管系の内径と同径とし且つランチャー接続側をピグの通過を阻止するように径小化して配管系とランチャー間に介設した製品移送方向前方の先行接続管と,ランチャーの内径から配管系の内径に順次無段階的に径小化したピグ誘導ガイドを有してランチャーと配管系間に介設した製品移送方向後方の後続接続管を備えるとともに上記先行接続管の径小部からピグ長さより長い間隔を隔ててランチャーに配置し,そのピグ通路に向けた進退動作によってピグの通過阻止又は許容を行うとともに進出時に上記先行接続管の径小側端部との間にピグの揺動洗浄用スペースを形成する可動のピグストッパーとを備えてなることを特徴とする製品タンク間配管系のクローズドピグ装置。
【請求項2】
上記ランチャーに,配管部品のチーズ配管又はクロス配管を,先行接続管及び後続接続管に,同じく配管部品の同芯又は偏芯レデューサーをそれぞれ用いてなることを特徴とする請求項2に記載の製品タンク間配管系のクローズドピグ装置。
【請求項3】
上記チーズ配管又はクロス配管によるランチャーの対向する接続口に上記先行接続管及び後続接続管を接続してこれら接続管を直列に配置する一方,残余の接続口に駆動装置を配置して該駆動装置によって上記ピグストッパーをランチャーの内外方向に向けて作動してなることを特徴とする請求項2に記載の製品タンク間配管系のクローズドピグ装置。
【請求項4】
製品移送方向の製品タンク側配管系に,一方の配管系接続側を該配管系の内径と同径とし且つ他方の配管系接続側を径小化してピグの通過を阻止するキャッチャーを備えてなることを特徴とする請求項1,2又は3に記載の製品タンク間配管系のクローズドピグ装置。
【請求項5】
上記キャッチャーに,配管部品の同芯又は偏芯レデューサーを用いてなることを特徴とする請求項4に記載の製品タンク間配管系のクローズドピグ装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−259989(P2008−259989A)
【公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−106048(P2007−106048)
【出願日】平成19年4月13日(2007.4.13)
【出願人】(390001270)グリコ乳業株式会社 (29)
【Fターム(参考)】