説明

製紙方法

【課題】 硫酸バンドを使用してもその効果が十分発揮できない抄造系における製紙方法を改良する。
【解決手段】 各種アクリルミド系ポリマーにアルミニウム化合物を混合してパルプスラリーに添加する工程に加え、アルミニウム化合物をポリマー添加工程の前後に分割して添加することにより、アクリルミド系ポリマーの効果を最大限に引き出す製紙方法。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、硫酸バンドを使用してもその効果が十分発揮できない抄造系における製紙方法の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より製紙業界において、アクリルアミド系重合体は、紙力増強剤,濾水性向上剤,歩留まり向上剤,凝集剤等、種々の用途に使用されている。近年、省エネルギー対策,環境対策の一環として、製紙工程のクローズド化が進み、抄造条件は従来よりも高電気伝導度化,高pH化,高温化へと変化している。さらに、生産性の向上を目的としてマシンの高速化や硫酸バンドの添加率の制限等もなされるようになり、従来の薬品では紙力向上効果が不十分な状況となっており、そう言った条件下においても適用可能な紙力増強剤が求められている。
【0003】このような要望にこたえるものとして、例えばイオン的な組成面からの改良をするもの(特開昭54−30913,特開昭60−94697)、ポリマー構造に架橋構造・分岐構造を導入することにより改良するもの(特開昭63−50597,特開平4−18190,特開平3−227489,特開平6−41898,特開平5−272092,特開平5−287693,特開平5−140892,特開平7−97790,特開平8−67715)等、数多く提案されている。
【0004】しかしながら、これらの薬品自身の改良では、得られる改善効果は十分でなく、より一層の改善効果をもたらす方法の開発が望まれている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】最近増えつつある、中性から弱酸性領域での抄造系で使用されるバンド量は比較的低いレベルにあり、しかも高pH条件下ではバンドはそのイオン性を失い、不活性化して定着効果が十分に発揮できず、一般にその薬品添加による効果は酸性系に比べ低いものである。さらに、紙の製造に使用される用水中の塩類、アニオントラッシュ等の増加に伴う水質の悪化により、酸性pH領域でもバンドの効果が十分に発揮し得ない状況が増加している。
【0006】本発明は、バンドを使用してもその効果が十分でない抄造系において、バンドの効果を有効に発揮させることができる抄紙方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、これまでの検討において、水溶性アルミニウム化合物とアクリルアミド系ポリマーの低濃度含有混合液(希釈液混合物)をパルプスラリーに添加することにより効果の改善が得られることを明らかにした(特開平8−226092)。さらに本発明者等は、水溶性アルミニウム化合物とアクリルアミド系ポリマーとの両希釈液を予め混合し添加する方法に加えて、別途、アルミニウム化合物を分割添加する方法を組み合わせることにより、より一層改善効果が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】すなわち本発明は、パルプスラリーに、両性、カチオン性およびアニオン性ポリアクリルアミド系ポリマーからなる群から選ばれた少なくとも1種を添加して抄紙するにあたり、両性、カチオン性およびアニオン性ポリアクリルアミド系ポリマーからなる群から選ばれた少なくとも1種の低濃度含有液と、水溶性アルミニウム化合物の低濃度含有水溶液の混合液を添加する工程と、さらに別途にアルミニウム化合物を分割して添加する工程を組み合わせることを特徴とする製紙方法を提供するものである。
【0009】特に、上記アクリルアミド系ポリマーを0.1〜10重量%、好ましくは0.2〜3重量%程度に含有する液に、アルミニウム化合物をアルミニウムイオン換算でポリマーに対し0.1〜200モル%、より好ましくは10〜100モル%添加したものを使用するのがよい。
【0010】本発明で用いられる共重合タイプのポリアクリルアミド系ポリマーは、アクリルアミド類とイオン性モノマーまたはノニオン性モノマーを以下に記載するように常法によって共重合させて得ることができる。アクリルアミド類としては、例えばアクリルアミド、メタアクリルアミドのほかにN−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、ダイアセトンアクリルアミド等の水溶性であるN置換低級アルキルアクリルアミド等が挙げられ、これらを1種又は2種以上を併用することができる。
【0011】また、アクリルアミド類と共重合するモノマーとして、アニオン又は/及びカチオンを有するイオン性モノマーのほかにノニオン性モノマーも適用できる。
【0012】アニオン性モノマーの例としては、アクリル酸,メタクリル酸,クロトン酸等のモノカルボン酸系、マレイン酸,フタル酸,イタコン酸,シトラコン酸等のジカルボン酸系、ビニルスルホン酸,スチレンスルホン酸,2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等のスルホン酸系、又はこれらの各種有機酸のナトリウム塩,カリウム塩等を挙げることができる。これらは単独で用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。
【0013】カチオン性モノマーの例としては、第三級アミノ基を有するモノマーであるジアルキルアミノエチル(メタ)アクリレート,ジアルキルアミノプロピル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル誘導体,ジアルキルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド,ジアルキルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド,(メタ)アクリルアミド−3−メチルブチルジメチルアミン等の(メタ)アクリルアミド誘導体を挙げることができる。
【0014】なお、カチオン性モノマーとして、上記第三級アミノ基を有するモノマーの塩を用いることができる。塩としては、塩酸,硫酸のような無機酸との塩でもよいし、ギ酸,酢酸のような有機酸との塩でもよい。さらに、メチルクロリド,メチルブロマイドのようなアルキルハライド,ベンジルクロリド,ベンジルブロミドのようなアルキルハライド、ジメチル硫酸,エピクドルヒドリンなどで第三級アミノ基を四級化した第四級塩でもよい。また、カチオン性モノマーは単独で用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。
【0015】ノニオン性モノマーとしては、例えばメタクリロニトリル,アクリルニトリル,アルキルアクリレート,ヒドロキシアクリレート,酢酸ビニル,スチレン,α−メチルスチレンなどが挙げられ、これらはポリアクリルアミド系ポリマーの水溶性を阻害しない範囲で使用することが可能である。
【0016】また、共重合に際し、少量の架橋剤を使用することも可能であり、架橋剤の例としては、メチレンビス(メタ)アクリルアミド,エチレンビス(メタ)アクリルアミド,エチレングリコールジ(メタ)アクリルアミド,ジエチレングリコールジ(メタ)アクリルアミド,トリエチレングリコールジ(メタ)アクリルアミド,ジビニルベンゼン,ジアリルアクリルアミドなどの2官能性架橋剤、1,3,5−トリアクリロイルヘキサヒドロ−S−トリアジン,トリアリルイソシアヌレート,トリアクリル酸ペンタエリスリトール,トリメチロールプロパンアクリレート,ジアクリロイルイミド等の多官能性架橋剤、あるいはジメチルアクリルアミド,ダイアセトンアクリルアミド,イソプロピルアクリルアミド等のN−置換アクリルアミド系モノマーが挙げられる。
【0017】これらの架橋剤は1種もしくは2種以上を併用することができる。なお、架橋剤の添加量はモノマーの総量に対して0.005〜1モル%、好ましく0.01〜0.2モル%である。
【0018】また、連鎖移送剤は必ずしも必要とはしないが、本発明の目的をそこなわない範囲で、必要に応じ、使用することが可能である。連鎖移動剤の例としては、イソプロピルアルコールのほか、メルカプトエタノール,チオ尿素,チオグリコール酸,メルカプトプロピオン酸,チオサリチル酸,チオ乳酸,アミノエタンチオール,チオグリセロール,チオリンゴ酸等のメルカプト系、アリルアルコール,アリルスルホン酸ソーダ,メタアリルスルホン酸ソーダ等のアリル系、メタクリロニトリル等が挙げられる。
【0019】これらの連鎖移動剤は1種もしくは2種以上を併用使用することができる。これら連鎖移動剤の添加量は、モノマーの総量に対して0.01〜10モル%、好ましくは0.02〜4モル%である。
【0020】本発明において、ポリアクリルアミド系ポリマーの製造方法は、従来公知の各種方法により行うことができる。例えば、所定の反応容器に前記各種モノマー,必要に応じ架橋剤,連鎖移動剤及び水を仕込み、重合開始剤を加え、攪拌下、加温することにより目的の水溶性のポリアクリルアミド系ポリマーを得ることができる。また、モノマーの一部もしくは全部を反応容器中に滴下しながら重合させてもよい。触媒投入は1回でも可能であるが、触媒を追加することも可能である。反応温度は通常40〜100℃程度、反応時間は0.5〜8時間程度である。
【0021】重合開始剤は、水溶液で通常使用されるラジカル重合開始剤であれば特に制限されるものでなく、例えば過酸化水素,過酸化ベンドイル,t−ブチルパーオキシドのような過酸化物触媒、過硫酸アンモニウム,過硫酸ナトリウム,過硫酸カリウムのような過硫酸塩触媒、臭素酸ナトリウム,臭素酸カリウムのような臭素酸塩触媒、過ホウ素酸ナトリウムのような過ホウ素酸塩触媒が挙げられる。また、これらと還元剤として、亜硫酸塩,亜硫酸水素塩,遷移金属塩,有機アミなどとを組み合わせたレドックス系触媒やアゾ系触媒も使用することができる。これらは単独で用いてもよいし、また2種類以上を組み合わせて用いてもよい。重合開始剤の使用量は、モノマーの総重量に対し0.01〜10wt%、好ましくは0.05〜3wt%である。
【0022】本発明において、ポリアクリルアミド系ポリマー(以下、単にポリマーまたは重合体と称することもある)は、直鎖または分岐といったポリマー構造に関係なく適用が可能であり、通常、合成可能な固形分濃度5〜40重量%の範囲で使用できる。しかし、製紙用添加剤として使用する場合、15000cps以下の状態で使用するのが好ましく、固形分濃度としては5〜30重量%の範囲が好ましい。組成面でも両性、カチオン性およびアニオン性ポリアクリルアミド系ポリマーからなる群から選ばれる1種ならびに2種以上の混合液系も適用可能である。従って、重合反応に際し、溶媒や反応成分の量を調整するすることによって、ポリマー濃度が上記した範囲にある生成物を得るようにしてもよい。本発明において、ポリマーの低濃度含有液はこのようなものも包含される。
【0023】また、重合後、変成によりイオン性を導入する、マンニッヒ変成ポリマーやホフマン分解ポリマーも適用可能である。
【0024】本発明において、ポリアクリルアミド系ポリマーと混合して、あるいは別途に添加して使用できるアルミニウム化合物としては、水溶性であれば、混合比率に多少の違いはあるが、いずれも使用可能である。アルミニウム化合物としては、例えばポリ塩化アルミニウム、アルミナゾル,ポリ硫酸アルミニウム、ポリ硫酸ケイ酸アルミニウム、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム等が挙げられる。これらのアルミニウム化合物(以下、アルミ化合物と称することもある)は、単独または2種以上併用することも可能である。特に、製紙工程で使用される硫酸バンド(硫酸アルミニウム)が、取り扱いおよびコスト的に見て好ましい。
【0025】ポリマー希釈液へのアルミ化合物の混合は、混合によりポリマーが増粘し作業性に支障をきたさない程度の濃度に希釈して混合する。したがって水溶性アルミニウム化合物の希釈液の濃度は、ポリマー組成により異なり一概には言えないが、0.05〜8%以内、好ましくは0.2〜3%程度である。
【0026】両希釈液の混合時期は、パルプスラリーへの添加直前乃至添加10時間以内が好ましいが、更に好ましくは添加前1時間以内である。しかし、実際の使用に当たっては、添加直前に希釈された薬品にアルミ化合物を混合し、使用する方法が最も好ましい。
【0027】アルミニウム化合物の混合量は、ポリマー原液に混合する場合に比べて高濃度域まで混合可能で、アルミニウムイオン換算でポリマーに対し0.1モル%から200モル%であり、より好ましくは5モル%から100モル%である。
【0028】別途にアルミ化合物を添加する場合、分割して添加するが、添加方法としては(1)ポリアクリルアミド系ポリマーとアルミニウム化合物との両含有液混合物(以下、単に混合液と称することもある)のパルプスラリーへの添加工程より前の段階で2段添加する、(2)混合液の添加工程より後の段階で2段添加する、(3)混合液の添加工程を挟んで、その前後の段階でそれぞれ添加する、といういずれの方法も可能であるが、効果の改善面からは(3)が最も好ましい。
【0029】具体的には、ポリアクリルアミド系ポリマーの種箱に添加すると想定した場合、アルミ化合物の1段目の添加位置としてはマシンチェスト付近とし、2段目はファンポンプ付近とすることが考えられる。
【0030】アルミ化合物を別途に分割して添加する場合、アルミ化合物の分割比率は、95:5〜5:95の範囲であるが、好ましくは80:20〜20:80の範囲である。
【0031】本発明方法は、最近の、薬品効果の発揮し難い悪条件下での抄造系において、アルミニウムイオンの効果をより有効に利用する方法としてなされたものであり、ポリアクリルアミド系ポリマーにアルミ化合物を混合、使用すると共に、さらに別途に、アルミ化合物を2分割添加する方法を組み合わせる事によって、抄紙条件に大きな影響を受けることなくポリマーとアルミニウムイオン間のイオン的な作用が有効に働くことが可能となり、極めて優れた効果を奏し得る。
【0032】
【発明の実施の形態】以下に実施例および比較例を挙げて本発明をより具体的に説明する。なお、部及び%は、いずれも特記ない限り重量基準である。
【0033】
【ポリアクリルアミド系ポリマーの製造例−1】攪拌機,温度計,環流冷却管及び窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコに、40%アクリルアミド水溶液331部、80%アクリル酸13部および水450部を仕込み、硫酸にてpHを3.2に調節し、窒素ガスを通じて反応系内の酸素を除去した。系内を44℃にし、攪拌下に重合開始剤として10%過硫酸アンモニウム水溶液24部および5%亜硫酸水素ナトリウム水溶液15部を投入した。90℃まで昇温した後、更に10%過硫酸アンモニウム水溶液5部を追加して2時間温度を保持した。重合反応終了後、水150部を投入し、pH3.7,固形分15.4%、粘度(25℃)4600cpsの重合体水溶液S−1を得た。
【0034】
【ポリアクリルアミド系ポリマーの製造例−2〜9】製造例1において、モノマーの種類またはその使用割合を表1のように変えたほかは製造例1と同様な操作を行い、各種重合体水溶液を得た。得られた各種重合体水溶液の性状値を表2を示す。
【0035】
【表1】


【0036】表1中、アクリルアミド系モノマーとして、AM:アクリルアミド、アニオン性モノマーとして、AA:アクリル酸、IA:イタコン酸、FA:フマル酸、MA:マレイン酸、カチオン性モノマーとして、DM:ジメチルアミノエチルメタクリレート、DMAPAA:ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、DMBQ:DMの塩化ベンジルによる四級化物、架橋性モノマーとして、MBAM:メチレンビスアクリルアミド、DMAM:ジメチルアクリルアミド、連鎖移動剤として、IPA:イソプロピルアルコール,MAS:メタアリルスルホン酸ソーダ、AS:アリルスルホン酸ソーダ、をそれぞれ示す。
【0037】
【表2】


【0038】
【性能評価−1】段ボール古紙をナイアガラ式ビーターにて叩解し、カナディアン・スタンダード・フリーネス(C.S.F)410mlに調節したパルプにトータルで硫酸バンドを3.0%添加しpH5.4となる条件に設定し、パルプスラリーとした。パルプスラリーを十分に攪拌した後、攪拌条件下において表3に示した添加位置及び添加量でアルミ化合物およびアルミ化合物とポリアクリルアミド系ポリマーの混合液を所定量添加した。
【0039】
【表3】


【0040】表3に示した各添加工程(添加位置)は表4の添加の時間間隔で実施した。
【0041】
【表4】


【0042】初期パルプ濃度は2.8%で3.5分後にpH調整水で1%まで希釈した。■から■の各添加位置は、標準的な実機マシンのミキシングチェスト、マシンチェスト、種箱、ファンポンプ前付近を想定した。次いで、パルプスラリー濃度を0.07%に希釈し、タッピ・シートマシンにて坪量100g/m2 となるよう抄紙してウェットシートを得た。得られたシートを5kg/cm2 で1分プレス脱水し、回転型ドラムドライヤーで105℃において3分間乾燥した。さらに、20℃、65%R.H.の条件下に24時間調湿したのち、JIS P 8112に準じて比破裂強度を測定した。結果を表3に示す。今回の検討におけるポリアクリルアミド系ポリマー0.4%に対しAlum1%混合は、アルミニウムイオン換算でポリマーに対し28モル%の添加量に相当する。
【0043】
【性能評価−2】段ボール古紙をナイアガラ式ビーターにて叩解し、カナディアン・スタンダード・フリーネス(C.S.F)410mlに調節したパルプにトータルで硫酸バンドを2.5%添加しpH6.2となる条件に設定し、パルプスラリーとした。パルプスラリーを十分に攪拌した後、攪拌条件下において表5に示した添加位置及び添加量でアルミ化合物およびアルミ化合物とポリアクリルアミド系ポリマーの混合液を各所定量添加した。表5に示した各添加位置は性能評価−1の添加位置と同様である。
【0044】次いでパルプスラリー濃度を0.07%まで希釈し、タッピ・シートマシンにて坪量100g/m2 となるよう抄紙してウェットシートを得た。シートを5kg/cm2 で1分プレス脱水し、回転型ドラムドライヤーで105℃において3分間乾燥した。さらに、20℃、65%R.H.の条件下に24時間調湿したのち、JIS P 8112に準じて比破裂強度を測定した。結果を表5に示す。
【0045】
【表5】


【0046】表3及び表5に示すように、実施例において紙力効果の改善が認められるが、表3の様にアルミ化合物が十分にある条件ではその効果は少なく、濾水性面では逆に低下する場合がある。しかし、表5のようにアルミ化合物の添加量が少ないか、またはpHが高い条件では紙力向上効果だけでなく濾水性面でも少し改善効果が認められる。
【0047】
【性能評価−3】広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)をナイアガラ式ビーターにて叩解し、カナディアン・スタンダード・フリーネス(C.S.F)390mlに調節したパルプに填料としての炭酸カルシウム15%およびトータルで硫酸バンドを1.5%添加しpH7.8となる条件に設定し、パルプスラリーとした。パルプスラリー及び炭酸カルシウム混合物を十分に攪拌した後、攪拌条件下において表6に示した添加位置で、アルミ化合物およびアルミ化合物とポリマクリルアミド系ポリマーの混合液を各所定量添加した。表6に示した各添加位置は性能評価−1の添加位置と同様である。
【0048】次いでパルプスラリー濃度を0.07%に希釈し、タッピ・シートマシンにて坪量70g/m2 となるよう抄紙してウェットシートを得た。シートを5kg/cm2 で1分プレス脱水し、回転型ドラムドライヤーで105℃において3分間乾燥した。さらに、20℃、65%R.H.の条件下に24時間調湿したのち、JIS P 8112に準じて比破裂強度を測定した。結果を表6に示す。
【0049】
【表6】


【0050】pHが7以上と高く硫酸バンド使用量が少ない条件では、表6に示すように実施例において濾水性および紙力向上効果で比較例に対し優れた効果を発揮している。
【0051】表1、表3、表5および表6中におけるアルミニウム化合物の略号は次の通りである。
Alum:液体硫酸バンドPAC:ポリ塩化アルミニウム(LOCRONS,ヘキストジャパン製)
AS:アルミナゾル(アルミナゾル100,日産化学(株)製)
PASS:ポリ硫酸ケイ酸アルミニウム(日本軽金属(株)製)

【特許請求の範囲】
【請求項1】 パルプスラリーに両性、カチオン性およびアニオン性ポリアクリルアミド系ポリマーからなる群から選ばれた少なくとも1種を添加して抄紙するにあたり、両性、カチオン性およびアニオン性ポリアクリルアミド系ポリマーからなる群から選ばれた少なくとも1種の低濃度含有液と、水溶性アルミニウム化合物の低濃度含有水溶液との混合液を添加する工程と、別途、水溶性アルミニウム化合物を分割して添加する工程を併用することを特徴とする製紙方法。
【請求項2】 混合液が、両性、カチオン性およびアニオン性ポリアクリルアミド系ポリマーからなる群から選ばれた少なくとも1種の0.1〜10重量%含有液に、水溶性アルミニウム化合物をアルミニウムイオン換算でポリマーに対し0.1〜200モル%添加したものである請求項1記載の製紙方法。
【請求項3】 別途、水溶性アルミニウム化合物を分割して添加する工程が、ポリアクリルアミド系ポリマーの添加工程の前後に分割してなされるものである請求項1記載の製紙方法。

【公開番号】特開2001−11787(P2001−11787A)
【公開日】平成13年1月16日(2001.1.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平11−179457
【出願日】平成11年6月25日(1999.6.25)
【出願人】(000233860)ハリマ化成株式会社 (167)
【Fターム(参考)】