説明

製紙用シーム付きフェルト

【課題】基布を構成する経糸の折り返しにより端部接合用のループを形成した製紙用シーム付きフェルトにおいて、幅方向の端部で顕著に発生するループの摩耗を抑制して長寿命化を図る。
【解決手段】ループの基部においてその走行面側を通るように設けられると共に、幅方向の両端部の高摩耗領域にのみ延在する保護用緯糸11を設ける。特にこの保護用緯糸を、下糸5の下側に位置する割合が下糸の上側に位置する割合より大きくなるような絡合形態で下糸に絡み合うように設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基布を構成する経糸の折り返しにより端部接合用のループを形成した製紙用シーム付きフェルトに関するものである。
【背景技術】
【0002】
抄紙機への掛け入れ作業性を向上させるため、有端のフェルトをフェルトランに引き込んだ上でその両端部を互いに接合して無端とする、いわゆるシーム付きフェルトが広く普及している。この種のシーム付きフェルトでは、基布を構成する経糸の折り返しにより丈方向の端部に形成されたループを、互いの中心孔が整合するように交互にかみ合わせ、これにより形成された共通孔に芯線を通して両端部を接合する構成が一般的である。
【0003】
このようなシーム付きフェルトでは、シーム部を有するためにエンドレスフェルトでは生じない種々の問題点、例えばシーム部と地部との構造上の違いに起因して、製品にシームマークが発生したり、あるいはシーム部で不織繊維層が脱落したりする問題点が発生し、またループが変形することで端部接合時の作業性が低下するといった問題点が発生することから、これらの問題点に対して、ループの近傍に地部とは異なる糸を別に追加して対処するようにした種々の技術が知られている(例えば特許文献1〜15参照)。
【特許文献1】実公昭56−6479号公報
【特許文献2】実公昭55−47920号公報
【特許文献3】特表平02−68389号公報
【特許文献4】特許3027415号公報
【特許文献5】特許3629276号公報
【特許文献6】特表2002−523652号公報
【特許文献7】特表2002−523653号公報
【特許文献8】特表2003−504533号公報
【特許文献9】特開2002−294579号公報
【特許文献10】特許3677585号公報
【特許文献11】特開2003−239194号公報
【特許文献12】特開2003−247191号公報
【特許文献13】特開2002−294579号公報
【特許文献14】特開2004−232142号公報
【特許文献15】特開2004−285554号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかるに、前記のシーム付きフェルトでは、経糸となる糸の折り返しにより形成されるループがなす形状に湾曲した形状となり、このループの走行面側に膨らんだ部分に、抄紙機のロールなどが接触することにより摩耗が発生する。特にフェルトの幅方向の端部、具体的には湿紙が載る抄幅の端付近から外側の領域においてループの摩耗が顕著に発生する。これは潤滑剤として機能する水が少ないために起きるものと想定され、このループの摩耗が進行するとループが切断されるため、幅方向の中央部が未だ使用可能な状態でも両端部の摩耗が顕著なためにシーム部で胴切れを起こすといった問題が発生する。
【0005】
このようなループの摩耗の問題に対し、前記の従来の技術では、ループの近傍に追加された糸によりループの摩耗をある程度抑制する効果はあるものの、幅方向の端部で顕著に発生するループの摩耗を効果的に抑制することができないという不都合があった。
【0006】
本発明は、このような従来技術の問題点を解消するべく案出されたものであり、その主な目的は、幅方向の端部で顕著に発生するループの摩耗を抑制して長寿命化を図ることができるように構成された製紙用シーム付きフェルトを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような課題を解決するために、本発明においては、請求項1に示すとおり、2本の経糸の折り返し部で端部接合用のループが形成された基布を有する製紙用シーム付きフェルトにおいて、前記ループの走行面側を通るように設けられると共に、幅方向の両端部の高摩耗領域にのみ延在する部分保護用緯糸を有するものとした。
【0008】
これによると、幅方向の両端部の高摩耗領域において顕著に発生するループの走行面側の摩耗を部分保護用緯糸により抑制することができ、幅方向の中央部が未だ使用可能な状態でも両端部の摩耗が顕著なために使用ができなくなる不都合を回避して、フェルトの長寿命化を図ることができる。
【0009】
しかも、幅方向の両端部の高摩耗領域を除く他の領域には部分保護用緯糸が存在しないため、ループの近傍に糸を追加することによりシーム部の通気性が大幅に下がることで目詰まりや汚れが発生したり、また地部との物性が大幅に異なるためにシームマークが発生したりする問題も回避することができる。
【0010】
前記製紙用シーム付きフェルトにおいては、請求項2に示すとおり、前記部分保護用緯糸が、前記2本の経糸のうちの下糸の走行面側に位置する割合が前記下糸の製紙面側に位置する割合より大きくなるような絡合形態で、前記下糸に絡み合うように設けられた構成とすることができる。
【0011】
これによると、部分保護用緯糸によりループの走行面側を高い割合で保護することができ、摩耗抑制効果をより一層高めることができる。
【0012】
この場合、部分保護用緯糸は、n本(n=2以上)の下糸の走行面側を通った後に1本の下糸の製紙面側を通るn/1組織で織り込まれた構成が好適である。
【0013】
前記製紙用シーム付きフェルトにおいては、請求項3に示すとおり、少なくとも2本の前記部分保護用緯糸を有し、この2本の前記部分保護用緯糸が、そのいずれかが高摩耗領域において常に前記2本の経糸のうちの下糸の走行面側に位置するような絡合形態で、前記下糸に絡み合うように設けられた構成とすることができる。
【0014】
これによると、部分保護用緯糸によりループの走行面側を全体的に保護することができ、摩耗抑制効果をより一層高めることができる。
【0015】
前記製紙用シーム付きフェルトにおいては、請求項4に示すとおり、少なくとも2本の前記部分保護用緯糸を有し、一方の前記部分保護用緯糸が、前記2本の経糸のうちの下糸に絡み合うように設けられ、他方の前記部分保護用緯糸が、前記一方の部分保護用緯糸が前記下糸の走行面側を通る位置でその部分保護用緯糸に絡み合うように設けられた構成とすることができる。
【0016】
これによると、他方の部分保護用緯糸が常に下糸の走行面側に位置するため、この部分保護用緯糸によりループの走行面側を全体的に保護することができ、摩耗抑制効果をより一層高めることができる。
【0017】
前記製紙用シーム付きフェルトにおいては、請求項5に示すとおり、前記ループの走行面側を通るように設けられると共に、幅方向の全幅に延在する全体保護用緯糸をさらに有する構成とすることができる。
【0018】
これによると、高摩耗領域を除く他の領域におけるループの摩耗を抑制することができ、抄紙機のパートや構造などに応じて摩耗の激しい用途に用いられる場合の長寿命化を図ることができる。
【0019】
前記製紙用シーム付きフェルトにおいては、請求項6に示すとおり、前記部分保護用緯糸及び前記全体保護用緯糸が、そのいずれかが高摩耗領域において常に前記2本の経糸のうちの下糸の走行面側に位置するような絡合形態で、前記下糸に絡み合うように設けられた構成とすることができる。
【0020】
これによると、部分保護用緯糸及び全体保護用緯糸によりループの走行面側を全体的に保護することができ、摩耗抑制効果をより一層高めることができる。
【0021】
前記製紙用シーム付きフェルトにおいては、請求項7に示すとおり、前記全体保護用緯糸が、前記2本の経糸のうちの下糸に絡み合うように設けられ、前記部分保護用緯糸が、前記全体保護用緯糸が前記下糸の走行面側を通る位置でその全体保護用緯糸に絡み合うように設けられた構成とすることができる。
【0022】
これによると、部分保護用緯糸が常に下糸の走行面側に位置するため、部分保護用緯糸によりループの走行面側を全体的に保護することができ、摩耗抑制効果をより一層高めることができる。
【0023】
また本発明においては、請求項8に示すとおり、2本の経糸の折り返し部で端部接合用のループが形成された基布を有する製紙用シーム付きフェルトにおいて、前記ループの走行面側を通るように設けられると共に、幅方向の全幅に延在する全体保護用緯糸を有し、この全体保護用緯糸が、幅方向の両端部の高摩耗領域における前記2本の経糸のうちの下糸の走行面側に位置する割合が、前記高摩耗領域を除くその他の領域に比較して大きくなる絡合形態で、前記下糸に絡み合うように設けられたものとした。
【0024】
これによると、幅方向の両端部の高摩耗領域において顕著に発生するループの走行面側の摩耗を全体保護用緯糸により効果的に抑制することができ、幅方向の中央部が未だ使用可能な状態でも両端部の摩耗が顕著なために使用ができなくなる不都合を回避して、フェルトの長寿命化を図ることができる。
【0025】
この場合、全体保護用緯糸は、n本(n=1以上)の下糸の走行面側を通った後に1本の下糸の製紙面側を通るn/1組織とし、高摩耗領域において下糸の走行面側を連続して通過する本数nをその他の領域より大きくした態様で織り込まれた構成が好適である。
【0026】
また本発明においては、請求項9に示すとおり、2本の経糸の折り返し部で端部接合用のループが形成された基布を有する製紙用シーム付きフェルトにおいて、前記ループの製紙面側を通るように設けられると共に、幅方向の両端部の高摩耗領域にのみ延在する部分保護用緯糸を有するものとした。
【0027】
これによると、幅方向の両端部の高摩耗領域において顕著に発生するループの製紙面側の摩耗を部分保護用緯糸により抑制することができ、幅方向の中央部が未だ使用可能な状態でも両端部の摩耗が顕著なために使用ができなくなる不都合を回避して、フェルトの長寿命化を図ることができる。
【0028】
しかも、幅方向の両端部の高摩耗領域を除く他の領域には部分保護用緯糸が存在しないため、ループの近傍に糸を追加することによりシーム部の通気性が大幅に下がることで目詰まりや汚れが発生したり、また地部との物性が大幅に異なるためにシームマークが発生したりする問題も回避することができる。
【0029】
前記製紙用シーム付きフェルトにおいては、請求項10に示すとおり、前記ループの製紙面側を通るように設けられると共に、幅方向の全幅に延在する全体保護用緯糸をさらに有する構成とすることができる。
【0030】
これによると、高摩耗領域を除く他の領域におけるループの摩耗を抑制することができ、抄紙機のパートや構造などに応じて摩耗の激しい用途に用いられる場合の長寿命化を図ることができる。
【0031】
なお、部分保護用緯糸は、予め全幅に渡って織り込まれた状態で基布を製織した上で高摩耗領域を除く他の領域の部分を取り除くことで形成すれば良く、また部分保護用緯糸がない状態で基布を製織した後に部分保護用緯糸を高摩耗領域にのみ縫い込むようにしても良い。
【発明の効果】
【0032】
このように本発明によれば、幅方向の両端部の高摩耗領域において顕著に発生するループの走行面側の摩耗を部分保護用緯糸により抑制することができ、幅方向の中央部が未だ使用可能な状態でも両端部の摩耗が顕著なために使用ができなくなる不都合を回避して、フェルトの長寿命化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
【0034】
図1は、本発明によるシーム付きフェルトの一例を示す丈方向の断面図である。このフェルト1は、基布2に不織繊維層3を積層一体化してなるものであり、基布2は、一対の経糸4・5の双方に緯糸6を絡合させた二重織りの織物組織をなし、経糸4・5となる糸の折り返しにより丈方向の両端部7・8に端部接合用のループ9がそれぞれ形成され、その互いの中心孔が整合するように交互にかみ合わされて形成された共通孔に幅方向の接合用芯線10を挿通することで両端部7・8が接合される。
【0035】
経糸4・5は、ポリアミドなどの合成樹脂材料からなるモノフィラメント糸であり、これと同様に緯糸6も、ポリアミドなどの合成樹脂材料からなるモノフィラメント糸である。
【0036】
基布2は、抄紙機上の経糸4・5を織機上で打込み糸として織り上げられ、抄紙機上の緯糸6は織機上では経糸(整経糸)となっており、ループ形成用芯材に打込み糸を絡めることでループ9が形成される。
【0037】
ループ9は、経糸4・5となる糸の折り返しによりなす形状に湾曲した形状に形成され、その基部には、ループ9の下側(走行面13側)を保護するための保護用緯糸11が設けられており、この保護用緯糸11は、ループ9を形成する2本の経糸4・5のうちの走行面側にある下糸5に絡み合うように織り込まれている。
【0038】
保護用緯糸11は、ポリアミドなどの合成樹脂材料からなるモノフィラメントとマルチフィラメントとの撚糸である。なお、この保護用緯糸11に用いる糸材は、これに限定されるものではなく、紡績糸、マルチフィラメント糸、モノフィラメント糸、モノフィラメントの撚糸なども可能であり、要求される機能に応じて適切な糸材を採用すれば良い。また保護用緯糸11の材質についても特に限定はなく、ポリアミドの他に耐摩耗性に優れた材質を適宜に選択すれば良い。これは、以下に示す各例での保護用緯糸(部分保護用緯糸及び全体保護用緯糸)でも同様である。
【0039】
なお、ループ9の上側(製紙面14側)は、抄紙機に掛け入れた状態で走行方向の前側に位置する端部7側の不織繊維層3を端部8側に突出させた形態のフラップ15で覆われている。
【0040】
図2は、図1に示したフェルト1の平面図である。このフェルト1は、抄紙機のプレスパート(圧搾・搾水部)で用いられ、前段のワイヤーパート(脱水部)から送られてきた湿紙が、図示する抄幅で移載され、湿紙内の水分を吸引脱水するサクションボックスや、湿紙内の水分を押圧脱水するプレスロールと、図示するサクション幅及びプレス幅で接触し、抄幅の端付近から外側の領域(高摩耗領域)においては、潤滑剤として機能する水が少ないため、サクションボックスやプレスロールとの摩擦によりシーム部のループ9の走行面側に顕著な摩耗が発生する。
【0041】
図3は、図1に示した基布2の幅方向の模式的な断面図である。ここでは、保護用緯糸(部分保護用緯糸)11が、基布2の幅方向の両端部の高摩耗領域にのみ延在している。この保護用緯糸11は、整経糸として予め全幅に渡って織り込まれた状態で基布を製織した上で高摩耗領域を除く他の領域(低摩耗領域)の部分を取り除くことで形成することができる。また部分保護用緯糸がない状態で基布を製織した後に部分保護用緯糸を高摩耗領域に縫い込むようにしても良い。
【0042】
特に図3(A)に示す例では、保護用緯糸11が下糸5の1本ごとに浮沈する平織りで織り込まれている。図3(B)に示す例では、保護用緯糸11が、下糸5の下側に位置する割合が下糸5の上側(製紙面側)に位置する割合より大きくなるような絡合形態で下糸5に絡み合うように設けられている。具体的には保護用緯糸11がn本(ここではn=3)の下糸5の下側を通った後に1本の下糸5の上側を通るn/1組織で織り込まれている。
【0043】
図3(A)の例では、1/2の割合で保護用緯糸11が下糸5の下側に位置するのに対して、図3(B)の例では、n/n+1(ここでは3/4)の割合で保護用緯糸11が下糸5の下側に位置し、図3(A)の例に比較して保護用緯糸11が下糸5の下側に位置する割合が大きいため、摩耗抑制効果をより一層高めることができる。
【0044】
図4は、本発明によるシーム付きフェルトの別の例を示す丈方向の断面図である。このフェルト41では、前記の例と同様に、基布42を構成する2本の経糸4・5の折り返し部に端部接合用のループ9が形成されているが、ここでは、ループ9の下側(走行面13側)を保護するために、ループ9の基部に、第1・第2の2本の保護用緯糸43・44が丈方向に並べて設けられており、この保護用緯糸43・44は共に下糸5に絡み合うように織り込まれている。
【0045】
図5・図6は、図4に示した基布42の幅方向の模式的な断面図である。図5に示す例では、第1・第2の保護用緯糸(部分保護用緯糸)43・44が共に、基布42の幅方向の両端部の高摩耗領域にのみ延在する。一方、図6に示す例では、第1の保護用緯糸(部分保護用緯糸)43が高摩耗領域にのみ延在し、第2の保護用緯糸(全体保護用緯糸)44が基布42の全幅に延在する。
【0046】
特に図5(A)に示す例では、第1・第2の保護用緯糸43・44が共に平織りで織り込まれており、この2本の保護用緯糸43・44では下糸5に対する絡合形態が上下対称となっている。図5(B)に示す例では、第1・第2の保護用緯糸43・44が共に、n本(ここではn=3)の下糸5の下側を通った後に1本の下糸5の上側を通るn/1組織で織り込まれており、この2本の保護用緯糸43・44では下糸5に対する絡合位置が幅方向にずれている。
【0047】
この図5(A)・(B)の例では、高摩耗領域において第1・第2の保護用緯糸43・44のいずれか一方が常に下糸5の下側に位置するため、保護用緯糸43・44によりループ9の走行面側を全体的に保護することができ、摩耗抑制効果をより一層高めることができる。特に図5(B)の例では、高摩耗領域において2本の保護用緯糸43・44が共に下糸5の下側に位置する箇所があるため、摩耗抑制効果をさらに向上させることができる。
【0048】
図6(A)に示す例では、図5(A)の例と同様に、第1・第2の保護用緯糸43・44が共に平織りで織り込まれると共に、2本の保護用緯糸43・44で下糸5に対する絡合形態が上下対称となっている。
【0049】
図6(B)に示す例では、第1の保護用緯糸43が平織りで織り込まれているが、第2の保護用緯糸44はn/1組織(ここではn=3)で織り込まれている。図6(C)に示す例では、図6(B)の例とは逆に、第1の保護用緯糸43がn/1組織で織り込まれており、第2の保護用緯糸44が平織りで織り込まれている。図6(D)に示す例では、第1・第2の保護用緯糸43・44が共にn/1組織で織り込まれている。この図6(B)〜(D)の例では、2本の保護用緯糸43・44で下糸5の上側を通る位置がずれている。
【0050】
この図6(A)〜(D)の例では、高摩耗領域において第1・第2の保護用緯糸43・44のいずれか一方が常に下糸5の下側に位置するため、保護用緯糸43・44によりループ9の走行面側を全体的に保護することができ、摩耗抑制効果をより一層高めることができる。特に図6(B)〜(D)の例では、高摩耗領域において2本の保護用緯糸43・44が共に下糸5の下側に位置する箇所があるため、摩耗抑制効果をさらに向上させることができ、さらに図6(D)の例では、2本の保護用緯糸43・44が共に下糸5の下側に位置する箇所が多く存在するため、最も高い摩耗抑制効果を得ることができる。また図6(B)・(D)の例では、低摩耗領域において保護用緯糸44が下糸5の下側に位置する割合が大きくなるため、低摩耗領域での摩耗抑制効果を高めることができる。
【0051】
なお、図5に示すように、2本の保護用緯糸が共に高摩耗領域にのみ延在する構成において、図6(B)・(C)の例と同様に、一方の保護用緯糸を平織りで、他方の保護用緯糸をn/1組織で織り込む形態も可能である。
【0052】
図7は、本発明によるシーム付きフェルトの別の例を示す丈方向の断面図である。このフェルト71では、前記の例と同様に、基布72を構成する2本の経糸4・5の折り返し部に端部接合用のループ9が形成され、またループ9の下側(走行面13側)を保護するために、ループ9の基部に第1・第2の2本の保護用緯糸73・74が設けられているが、ここでは、第1の保護用緯糸73が下糸5に絡み合うように設けられているのに対し、第2の保護用緯糸74は、第1の保護用緯糸73が下糸5の下側を通る位置でその第1の保護用緯糸73に絡み合うように設けられており、第2の保護用緯糸74は下糸5に絡み合わず、常に下糸5の下側に位置する。
【0053】
図8・図9は、図7に示した基布の幅方向の模式的な断面図である。図8に示す例では、第1・第2の保護用緯糸(部分保護用緯糸)73・74が共に、基布72の幅方向の両端部の高摩耗領域にのみ延在する。一方、図9に示す例では、第1の保護用緯糸(全体保護用緯糸)73が基布72の全幅に延在し、第2の保護用緯糸(部分保護用緯糸)74が高摩耗領域にのみ延在する。
【0054】
特に図8(A)に示す例では、第1の保護用緯糸73が平織りで織り込まれており、第2の保護用緯糸74は、第1の保護用緯糸73が下糸5の下側を通る位置で第1の保護用緯糸73に絡み合うように縫い込まれている。図8(B)に示す例では、第1の保護用緯糸73がn本(ここではn=3)の下糸5の下側を通った後に1本の下糸5の上側を通るn/1組織で織り込まれており、第2の保護用緯糸74は、第1の保護用緯糸73が下糸5の下側を通る位置で第1の保護用緯糸73に絡み合うように縫い込まれている。
【0055】
この図8(A)・(B)の例では、高摩耗領域において第2の保護用緯糸74が常に下糸5の下側に位置するため、この第2の保護用緯糸74によりループ9の走行面側を全体的に保護することができ、摩耗抑制効果をより一層高めることができる。特に図8(B)の例では、2本の保護用緯糸73・74が共に下糸5の下側に位置する箇所が多く存在するため、高い摩耗抑制効果を得ることができ、また第1の保護用緯糸73に対する第2の保護用緯糸74の絡合箇所が少なくなるため、第2の保護用緯糸74を縫い込むための製造工数を削減することができる。
【0056】
図9(A)に示す例では、図8(A)の例と同様に、第1の保護用緯糸73が平織りで織り込まれると共に、第2の保護用緯糸74が、第1の保護用緯糸73が下糸5の下側を通る位置で第1の保護用緯糸73に絡み合うように縫い込まれている。図9(B)に示す例では、図9(A)の例と同様に、第1の保護用緯糸73が平織りで織り込まれているのに対して、第2の保護用緯糸74は、第1の保護用緯糸73に対する絡合箇所が図9(A)の例より少なくなっている。
【0057】
図9(C)に示す例では、図8(B)の例と同様に、第1の保護用緯糸73がn/1組織(ここではn=3)で織り込まれると共に、第2の保護用緯糸74が、第1の保護用緯糸73が下糸5の下側を通る位置で第1の保護用緯糸73に絡み合うように縫い込まれている。図9(D)に示す例では、図9(C)の例と同様に、第1の保護用緯糸73がn/1組織で織り込まれると共に、第2の保護用緯糸74が第1の保護用緯糸73に絡み合うように縫い込まれているが、ここでは、第1の保護用緯糸73に対する第2の保護用緯糸74の絡合位置が図9(C)の例とはずれている。
【0058】
この図9(A)〜(D)の例では、高摩耗領域において第2の保護用緯糸74が常に下糸5の下側に位置するため、第2の保護用緯糸74によりループの走行面側を全体的に保護することができ、摩耗抑制効果をより一層高めることができる。特に図9(C)・(D)の例では、2本の保護用緯糸73・74が共に下糸5の下側に位置する箇所が多く存在するため、高い摩耗抑制効果を得ることができる。また図9(B)〜(D)の例では、第1の保護用緯糸73に対する第2の保護用緯糸74の絡合箇所が少なくなるため、第2の保護用緯糸74を縫い込むための製造工数を削減することができる。
【0059】
なお、図8に示すように、2本の保護用緯糸が共に高摩耗領域にのみ延在する構成において、図9(B)の例と同様に、一方の保護用緯糸に対する他方の保護用緯糸の絡合箇所を少なくした形態も可能である。また図9(D)の例と同様に、一方の保護用緯糸に対する他方の保護用緯糸の絡合箇所をずらした形態も可能である。
【0060】
図10は、本発明によるシーム付きフェルトの別の例を示す基布の幅方向の模式的な断面図である。ここでは、前記の例と同様に、基布101を構成する2本の経糸4・5の折り返し部に端部接合用のループ9が形成され、またループ9の下側(走行面側)を保護するために、ループ9の基部に保護用緯糸102が設けられているが、この保護用緯糸(全体保護用緯糸)102は、基布101の幅方向の全幅に延在し、幅方向の両端部の高摩耗領域における下糸5の下側に位置する割合が、高摩耗領域を除くその他の領域(低摩耗領域)に比較して大きくなる絡合形態で、下糸5に絡み合うように設けられている。なお、基布101の丈方向の断面の状態は、図1の例と同様である。
【0061】
特に図10(A)に示す例では、保護用緯糸102が、高摩耗領域において、n本(ここではn=3)の下糸5の下側を通った後に1本の下糸5の上側を通るn/1組織で織り込まれ、高摩耗領域を除くその他の領域(低摩耗領域)においては、平織りで織り込まれている。図10(B)に示す例では、保護用緯糸102が、高摩耗領域において、n/1組織(ここではn=7)で織り込まれており、低摩耗領域においては、下糸5の走行面側を連続して通過する本数nを高摩耗領域より小さくしたn/1組織(ここではn=3)で織り込まれている。
【0062】
この図10(A)・(B)の例では、高摩耗領域における保護用緯糸102が下糸5の下側に位置する割合が低摩耗領域より大きくなり、高摩耗領域において顕著に発生するループ9の走行面側の摩耗を、基布101の幅方向の全幅に延在する1本の保護用緯糸102により効果的に抑制することができる。
【0063】
図11は、本発明によるシーム付きフェルトの別の例を示す丈方向の断面図である。このフェルト111では、前記の例と同様に、基布112を構成する2本の経糸4・5の折り返し部に端部接合用のループ9が形成され、またループ9の下側(走行面13側)を保護するために、保護用緯糸113が下糸5に絡み合うように織り込まれているが、ここではさらに、ループ9の上側(製紙面14側)を保護するために、保護用緯糸114が2本の経糸4・5のうちの製紙面側にある上糸4に絡み合うように設けられている。
【0064】
この保護用緯糸114は、図3の例での保護用緯糸11と同様に、基布112の幅方向の両端部の高摩耗領域にのみ延在するように設けられる。この場合、保護用緯糸114は、図3の例での保護用緯糸11を上下を逆した状態で上糸4に絡み合うように設ければ良い。
【0065】
図12・図13は、本発明によるシーム付きフェルトの別の例を示す基布の幅方向の模式的な断面図である。これらの例は、図11と同様に、ループ9の下側を保護する保護用緯糸と共に、ループ9の上側を保護する保護用緯糸を設けたものである。
【0066】
図12(A)に示す例では、ループ9の下側を保護するために高摩耗領域にのみ延在する2本の保護用緯糸(部分保護用緯糸)121・122が設けられ、またループ9の上側を保護するために高摩耗領域にのみ延在する1本の保護用緯糸(部分保護用緯糸)123が設けられている。図12(B)に示す例では、図12(A)の例とは逆に、ループ9の下側を保護する1本の保護用緯糸(部分保護用緯糸)124が設けられ、ループ9の上側を保護する2本の保護用緯糸(部分保護用緯糸)125・126が設けられている。
【0067】
図12(C)に示す例では、ループ9の下側を保護するために高摩耗領域にのみ延在する2本の保護用緯糸(部分保護用緯糸)127・128が設けられ、またループ9の上側を保護するために高摩耗領域にのみ延在する2本の保護用緯糸(部分保護用緯糸)129・130が設けられ、下側の保護用緯糸127・128は、n本の下糸5の下側を通った後に1本の下糸5の上側を通るn/1組織(ここではn=3)で織り込まれており、上側の保護用緯糸129・130は、1本の上糸4の下側を通った後にn本の上糸4の上側を通る1/n組織(ここではn=3)で織り込まれている。
【0068】
図12(A)の例では、高摩耗領域におけるループ9の下側の摩耗抑制効果を高めることができ、一方、図12(B)の例では、高摩耗領域におけるループ9の上側の摩耗抑制効果を高めることができる。また図12(C)の例では、保護用緯糸127〜130が下糸5の下側及び上糸4の上側に位置する割合が高くなるため、高摩耗領域におけるループ9の上下双方の摩耗抑制効果をより一層高めることができる。
【0069】
なお、図12(A)・(B)の例では、全ての保護用緯糸が平織りで織り込まれ、また図12(C)の例では、全ての保護用緯糸がn/1組織及び1/n組織で織り込まれているが、平織りとn/1組織及び1/n組織(例えばn=3、5など)とを適宜に組み合わせることも可能である。
【0070】
図13(A)に示す例では、ループ9の下側を保護するために高摩耗領域にのみ延在する保護用緯糸(部分保護用緯糸)131と基布の全幅に延在する保護用緯糸(全体保護用緯糸)132とが設けられ、これと同様にループ9の上側を保護するために高摩耗領域にのみ延在する保護用緯糸(部分保護用緯糸)133と基布の全幅に延在する保護用緯糸(全体保護用緯糸)134とが設けられている。
【0071】
図13(B)に示す例では、図13(A)の例と同様に、ループ9の下側及び上側を保護するために高摩耗領域にのみ延在する保護用緯糸(部分保護用緯糸)135・137と基布の全幅に延在する保護用緯糸(全体保護用緯糸)136・138とが設けられているが、下側の保護用緯糸135・136は、n/1組織(ここではn=3)で織り込まれ、上側の保護用緯糸137・138は、1/n組織(ここではn=3)で織り込まれている。
【0072】
図13(A)の例では、高摩耗領域におけるループ9の上下双方の摩耗抑制効果を高めると共に、低摩耗領域におけるループ9の上下双方の摩耗抑制効果も得ることができる。図13(B)の例では、保護用緯糸が下糸5の下側及び上糸4の上側に位置する割合が高くなるため、高摩耗領域におけるループ9の上下双方の摩耗抑制効果をより一層高めることができ、さらに低摩耗領域におけるループ9の上下双方の摩耗抑制効果もより一層高めることができる。
【0073】
なお、図13(A)の例では、全ての保護用緯糸が平織りで織り込まれ、また図13(B)の例では、全ての保護用緯糸がn/1組織及び1/n組織で織り込まれているが、平織りとn/1組織及び1/n組織(例えばn=3、5など)とを適宜に組み合わせることも可能である。
【0074】
この他、ループ9の上側を保護する保護用緯糸を、図7の例での保護用緯糸73・74と同様に2本設け、上糸4に絡み合う一方の保護用緯糸に他方の保護用緯糸が絡み合う形態も可能であり、この場合、図8・図9の例での保護用緯糸73・74を上下を逆した状態で設ければ良い。また、ループ9の上側を保護する保護用緯糸を、図10の例での保護用緯糸102と同様に設ける形態も可能であり、この場合も、保護用緯糸102を上下を逆した状態で上糸4に絡み合うように設ければ良い。
【0075】
図14・図15は、本発明によるシーム付きフェルトの別の例を示す基布の幅方向の模式的な断面図である。これらの例は、ループ9の下側あるいは上側を保護する保護用緯糸と共に、ループ9の摩耗防止を目的としない追加緯糸を設けたものである。
【0076】
図14(A)に示す例では、ループ9の下側を保護するために高摩耗領域にのみ延在する保護用緯糸(部分保護用緯糸)141が設けられ、またループ9の上側を保護するために高摩耗領域にのみ延在する保護用緯糸(部分保護用緯糸)142が設けられており、これらの保護用緯糸とは別に、下糸5と絡み合うように追加緯糸143が基布の全幅に渡って織り込まれている。図14(B)に示す例では、図14(A)の例と同様に、ループ9の下側及び上側を保護するために高摩耗領域にのみ延在する保護用緯糸(部分保護用緯糸)144・145が設けられているが、図14(A)の例とは逆に、上糸4と絡み合うように追加緯糸146が基布の全幅に渡って織り込まれている。
【0077】
図14(A)・(B)の例では、高摩耗領域におけるループ9の上下双方の摩耗抑制効果を得ることができる他に、追加緯糸143・146によりシーム部の物性を地部に近付けることで、シーム部と地部と構造上の違いが原因で生じるシームマークや抄紙機内を走行中の振動・異音を低減することができる。特に図14(B)の例では、追加緯糸146を、不織繊維層の形成繊維の絡み付きが良い糸材、すなわちステープル及びフィラメントのいずれか一方あるいは双方を多数集合させた集合糸材からなるものとすれば、不織繊維層を強固に保持し、不織繊維層の摩耗、特にループ9の上側を覆うように不織繊維層から突出させたフラップの脱落を防止することができる。
【0078】
なお、前記の集合糸材からなる糸としては、多数のフィラメントを束ねたマルチフィラメント糸、ステープルを紡いで得られる紡績糸、並びにマルチフィラメント糸及び紡績糸の少なくともいずれかを含む撚糸などがある。
【0079】
図15(A)に示す例では、ループ9の下側を保護する1本の保護用緯糸(部分保護用緯糸)151が設けられ、またループ9の上側を保護する2本の保護用緯糸(部分保護用緯糸)152・153が設けられており、さらに下糸5と絡み合うように追加緯糸154が基布の全幅に渡って織り込まれている。図15(B)に示す例では、ループ9の下側を保護するために高摩耗領域にのみ延在する2本の保護用緯糸(部分保護用緯糸)155・156が設けられ、またループ9の上側を保護するために高摩耗領域にのみ延在する1本の保護用緯糸(部分保護用緯糸)157が設けられており、さらに上糸4と絡み合うように追加緯糸158が基布の全幅に渡って織り込まれている。
【0080】
図15(C)に示す例では、ループ9の下側を保護する保護用緯糸(部分保護用緯糸)159が設けられ、またループ9の上側を保護する保護用緯糸(部分保護用緯糸)160が設けられており、さらに下糸5及び上糸4にそれぞれ絡み合うように2本の追加緯糸161・162が基布の全幅に渡って織り込まれている。
【0081】
図15(A)〜(C)の例では、高摩耗領域におけるループ9の上下双方の摩耗抑制効果を得ると共に、シーム部の物性の改善によるシームマーク及び振動・異音の抑制、並びに不織繊維層の脱落の抑制を図る効果を得ることができ、特に図15(A)の例では、高摩耗領域におけるループ9の上側の摩耗抑制効果を高めると共にシーム部の下側の物性の改善を図ることができ、図15(B)の例では、逆に高摩耗領域におけるループ9の下側の摩耗抑制効果を高めると共にシーム部の上側の物性の改善及び不織繊維層の脱落の抑制を図ることができ、図15(C)の例では、シーム部の上下双方の物性の改善及び不織繊維層の脱落の抑制を図ることができる。
【0082】
なお、図14・図15の例では、保護用緯糸が平織りで織り込まれているが、保護用緯糸の一部あるいは全てをn/1組織及び1/n組織(例えばn=3、5など)で織り込むことも可能である。また追加緯糸も、保護用緯糸と同様に、必要に応じてn/1組織及び1/n組織(例えばn=3、5など)で織り込むことが可能である。
【0083】
また、前記のように保護用緯糸(部分保護用緯糸及び全体保護用緯糸)は、ループ9の摩耗抑制効果を高める観点から、n/1組織及び1/n組織で織り込むことが好適であるが、本発明はこれに限定されるものではなく、前記のような平織り(1/1)の他に、2/3組織や、絡み織り(リノ織り)などの種々の組織が可能である。
【0084】
なお、図3・図5・図6・図8〜図10・図12〜図15では、緯糸の絡合状況を分かり易く記載するため、緯糸の太さを変えて図示しているが、緯糸の実際の太さは図示するような太さと関係するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明にかかる製紙用シーム付きフェルトは、幅方向の端部で顕著に発生するループの摩耗を抑制して長寿命化を図ることができる効果を有し、基布を構成する経糸の折り返しにより端部接合用のループを形成した製紙用シーム付きフェルト、特に抄紙機のプレスパートで用いられるプレスフェルトなどとして有用である。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】本発明によるシーム付きフェルトの一例を示す丈方向の断面図である。
【図2】図1に示したフェルトの平面図である。
【図3】図1に示した基布の幅方向の模式的な断面図である。
【図4】本発明によるシーム付きフェルトの別の例を示す丈方向の断面図である。
【図5】図4に示した基布の幅方向の模式的な断面図である。
【図6】図4に示した基布の幅方向の模式的な断面図である。
【図7】本発明によるシーム付きフェルトの別の例を示す丈方向の断面図である。
【図8】図7に示した基布の幅方向の模式的な断面図である。
【図9】図7に示した基布の幅方向の模式的な断面図である。
【図10】本発明によるシーム付きフェルトの別の例を示す基布の幅方向の模式的な断面図である。
【図11】本発明によるシーム付きフェルトの別の例を示す丈方向の断面図である。
【図12】本発明によるシーム付きフェルトの別の例を示す基布の幅方向の模式的な断面図である。
【図13】本発明によるシーム付きフェルトの別の例を示す基布の幅方向の模式的な断面図である。
【図14】本発明によるシーム付きフェルトの別の例を示す基布の幅方向の模式的な断面図である。
【図15】本発明によるシーム付きフェルトの別の例を示す基布の幅方向の模式的な断面図である。
【符号の説明】
【0087】
2・42・72・101・112 基布
3 不織繊維層
4 経糸(上糸)
5 経糸(下糸)
6 緯糸
9 ループ
11・43・44・73・74・102・113・114・121〜137・141・142・144・145・151〜153・155〜157・159・160 保護用緯糸
143・146・154・158・161・162 追加緯糸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2本の経糸の折り返し部で端部接合用のループが形成された基布を有する製紙用シーム付きフェルトであって、
前記ループの走行面側を通るように設けられると共に、幅方向の両端部の高摩耗領域にのみ延在する部分保護用緯糸を有することを特徴とする製紙用シーム付きフェルト。
【請求項2】
前記部分保護用緯糸が、前記2本の経糸のうちの下糸の走行面側に位置する割合が前記下糸の製紙面側に位置する割合より大きくなるような絡合形態で、前記下糸に絡み合うように設けられたことを特徴とする請求項1に記載の製紙用シーム付きフェルト。
【請求項3】
少なくとも2本の前記部分保護用緯糸を有し、この2本の前記部分保護用緯糸が、そのいずれかが高摩耗領域において常に前記2本の経糸のうちの下糸の走行面側に位置するような絡合形態で、前記下糸に絡み合うように設けられたことを特徴とする請求項1若しくは請求項2に記載の製紙用シーム付きフェルト。
【請求項4】
少なくとも2本の前記部分保護用緯糸を有し、一方の前記部分保護用緯糸が、前記2本の経糸のうちの下糸に絡み合うように設けられ、他方の前記部分保護用緯糸が、前記一方の部分保護用緯糸が前記下糸の走行面側を通る位置でその部分保護用緯糸に絡み合うように設けられたことを特徴とする請求項1若しくは請求項2に記載の製紙用シーム付きフェルト。
【請求項5】
前記ループの走行面側を通るように設けられると共に、幅方向の全幅に延在する全体保護用緯糸をさらに有することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の製紙用シーム付きフェルト。
【請求項6】
前記部分保護用緯糸及び前記全体保護用緯糸が、そのいずれかが高摩耗領域において常に前記2本の経糸のうちの下糸の走行面側に位置するような絡合形態で、前記下糸に絡み合うように設けられたことを特徴とする請求項5に記載の製紙用シーム付きフェルト。
【請求項7】
前記全体保護用緯糸が、前記2本の経糸のうちの下糸に絡み合うように設けられ、前記部分保護用緯糸が、前記全体保護用緯糸が前記下糸の走行面側を通る位置でその全体保護用緯糸に絡み合うように設けられたことを特徴とする請求項5に記載の製紙用シーム付きフェルト。
【請求項8】
2本の経糸の折り返し部で端部接合用のループが形成された基布を有する製紙用シーム付きフェルトであって、
前記ループの走行面側を通るように設けられると共に、幅方向の全幅に延在する全体保護用緯糸を有し、この全体保護用緯糸が、幅方向の両端部の高摩耗領域における前記2本の経糸のうちの下糸の走行面側に位置する割合が、前記高摩耗領域を除くその他の領域に比較して大きくなる絡合形態で、前記下糸に絡み合うように設けられたことを特徴とする製紙用シーム付きフェルト。
【請求項9】
2本の経糸の折り返し部で端部接合用のループが形成された基布を有する製紙用シーム付きフェルトであって、
前記ループの製紙面側を通るように設けられると共に、幅方向の両端部の高摩耗領域にのみ延在する部分保護用緯糸を有することを特徴とする製紙用シーム付きフェルト。
【請求項10】
前記ループの製紙面側を通るように設けられると共に、幅方向の全幅に延在する全体保護用緯糸をさらに有することを特徴とする請求項9に記載の製紙用シーム付きフェルト。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2008−138315(P2008−138315A)
【公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−325375(P2006−325375)
【出願日】平成18年12月1日(2006.12.1)
【出願人】(000229852)日本フエルト株式会社 (55)
【Fターム(参考)】