説明

製紙用フェルト

【課題】製紙用フェルトの内部構造を変化させることなく表面性状を幅方向における各部において変化させ、湿紙の運搬性を向上させる。
【解決手段】基布2と、前記基布にニードリングによって絡合され、製紙面5を形成するバット繊維層3とを有する製紙用フェルト1であって、前記製紙面が、幅方向における各部分において異なる条件の研磨処理がなされた研磨面を含み、幅方向において表面粗さが異なる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製紙用フェルトに関する。
【背景技術】
【0002】
製紙用フェルトに求められる機能の1つには、製紙機において湿紙を安定して運搬する湿紙運搬性があり、製紙用フェルトの製紙面の表面性状(表面粗さ)は、湿紙の運搬性に大きな影響を与える。例えば、製紙用フェルトの製紙面の表面粗さが大きい場合には、製紙面と湿紙との間に空隙が形成され易く、その空隙に空気が侵入することによって湿紙が製紙面から剥がれ易くなる。一方、表面粗さが小さい場合には、空気が侵入し得る空隙が少ないことから湿紙は製紙面に密着し易い。
【0003】
製紙機では、湿紙はフォーミングワイヤや、製紙用フェルト、トランスファーベルトなどの複数の製紙用布間で受け渡されながら運搬される。そのため、湿紙を安定的に運搬するために、製紙用フェルトについては、製紙用フェルトが湿紙を製紙面上に支持して共に移動する工程や、他の製紙用フェルトやフォーミングワイヤから湿紙を受け取る工程においては、製紙面と湿紙との密着性が高いことが好ましく、他の製紙用フェルトなどに湿紙を受け渡す工程においては、製紙面が湿紙から剥がれ易いことが好ましく、フェルトの製紙面には相反する特性が望まれている。これらの湿紙の受け渡しや運搬が理想的に行われない場合には、捨て耳とられ、紙とられ、耳剥がれといった現象が発生する。
【0004】
捨て耳とられとは、フォーミングワイヤから製紙用フェルト(ピックアップフェルト)に湿紙を受け渡す際に生じる現象であり、通常、フォーミングワイヤから製紙用フェルトに湿紙を受け渡す前に湿紙の両端部である捨て耳部を湿紙本体部から切り離し、湿紙本体部のみを製紙用フェルトに受け渡す一方、フォーミングワイヤが切り離された捨て耳部を引き続き運搬して湿紙本体部と捨て耳部分を分離するところ、切り離された捨て耳部と製紙用フェルトとの結合性(密着性)が高い場合に捨て耳部が湿紙本体部とともに製紙用フェルトに受け渡される現象をいう。紙とられとは、製紙用フェルト間や製紙用フェルトとプレスロールなどの間での湿紙の受け渡し時に生じる現象であり、受け渡し側の製紙フェルトと湿紙との密着性が高いことに起因して、湿紙が受け渡し側の製紙用フェルトから剥がれずに受け渡しが適切に行われない現象をいう。耳剥がれとは、製紙用フェルトがその製紙面上で湿紙を運搬する際に湿紙の耳部と製紙面との密着性が弱く、湿紙の耳部がフェルト製紙面から剥がれる(垂れる)現象をいう。
【0005】
捨て耳とられを抑制するためには製紙用フェルトの製紙面の捨て耳部に対応する部分と湿紙との結合力が小さい(剥がれ易い)ことが好ましく、紙とられを抑制するためには受け渡し側製紙用フェルトの製紙面の湿紙全体に対応する部分の湿紙との結合力が小さいことが好ましく、耳剥がれを防止するためには製紙面の湿紙の耳部に対応する部分と湿紙との結合力が大きい(密着性が高い)ことが好ましい。そのため、捨て耳とられ、紙とられ及び耳剥がれを同時に抑制するためには、製紙面の幅方向における各部分において、湿紙との所望の結合力を実現することが必要となる。このような製紙用フェルトを構成する一例として、製紙用フェルトの幅方向における中央部および耳部において、基布の糸密度、バット繊維層数、樹脂コーティングの有無、フィルムの有無を変化させる等、製紙用フェルトの構造を変化させたものがある(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特表2004−517224号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、製紙用フェルトの幅は、その製造工程中において、ニードリング工程におけるバット繊維の絡み合いによる密度上昇に伴う収縮や、樹脂加工やヒートセット工程における加熱による熱収縮などの影響を受け、大きく変化する。そのため、製織工程において部分的に糸密度や糸種を変化させることや、ニードリング工程においてバット繊維の繊度やバット繊維の目付などを部分的に変化させることや、部分的に樹脂コーティングを行う場合などの、物性を変化させるべき位置を正確に最終ヒートセット工程以前に特定することは難しい。また、部分的に糸密度、目付、厚さ、硬度といったフェルト物性を大きく変化させることは、フェルト使用中に湿紙運搬性以外のフェルト性能に悪影響を与える場合がある。例えば、前記耳剥がれを防止するために湿紙エッジ部のバット繊度を小さくしてしまうと、その部分の通気度が低下することにより汚れが蓄積し、その部分の搾水性能が低下してしまう。
【0008】
本発明は以上の背景を鑑みてなされたものであって、最終ヒートセット後に、加熱などの幅変化を伴わない加工により、加工が必要な部分の位置特定をより正確に行える様にし、製紙用フェルトの内部構造を変化させることなく表面性状を幅方向における各部において変化させ、湿紙の運搬性を向上させることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明は、基布(2)と、前記基布にニードリングによって絡合され、製紙面(5)を形成するバット繊維層(3)とを有する製紙用フェルト(1)であって、前記製紙面が、幅方向における各部分において異なる条件の研磨処理がなされた研磨面を含み、幅方向において表面粗さが異なることを特徴とする。
【0010】
この構成によれば、研磨条件を変更するだけで、製紙面の表面粗さを幅方向において変化させることができる。製紙フェルトの製紙面の表面粗さは、湿紙の運搬性を考慮して設定するとよい。研磨処理は、熱セット後に行うことができるため、製紙面の表面粗さの分布を精密に設定することができる。
【0011】
本発明の他の側面は、前記製紙面の算術平均粗さ、または前記製紙面の平均圧力0.1MPa下での圧力分布の変動係数が、幅方向において、両端部(耳部9)が中央部(7)よりも大きいことを特徴とする。この構成によれば、製紙用フェルトの幅方向における両端部、すなわち湿紙の捨て耳部に対応する部分の表面粗さが大きくなり、製紙用フェルトと捨て耳部との密着性が低下し、捨て耳とられが抑制される。
【0012】
ここでの算術平均粗さ(Ra)とは、JIS_B0601に定義された算術平均粗さRaをいう。平均圧力0.1MPa下での圧力分布の変動係数(CV)とは、JISZ8101−1_1.15の定義に基づき、測定された表面の圧力分布の標準偏差を算出したのち、この標準偏差を圧力の平均値で割ったものである。この変動係数CVは、表面の圧力分布のばらつきを相対的に表したものであり、表面の凹凸のばらつきを表している。具体的には、フェルトの表面に圧力測定フィルムを重ねて0.1Paで加圧し、各サンプル表面の凹凸に応じた圧力斑像を圧力測定フィルム上に形成し、その圧力斑を解析することによって変動係数CVを得る。例えば、圧力測定フィルムには、富士フィルム社の「微圧用プレスケール(4LW)0.05MPa−0.2MPa」を用い、得られた圧力斑像の解析は、富士フィルム社の「FPD−9210」圧力画像解析システムを用いて行う。
【0013】
本発明の他の側面は、前記製紙面は、幅方向において、当該製紙面上に載置される湿紙の両端に対応する部分(エッジ対応部8)において算術平均粗さ、または前記製紙面の平均圧力0.1MPa下での圧力分布の変動係数が最も小さいことを特徴とする。この構成によれば、製紙用フェルトと湿紙の耳部との密着性が増大し、耳剥がれが抑制される。また、本発明の他の側面は、前記製紙面の算術平均粗さ、または前記製紙面の平均圧力0.1MPa下での圧力分布の変動係数が、幅方向において、両端部(耳部9)と中央部(7)とで同じであり、かつ当該製紙面上に載置される湿紙の両端に対応する部分(エッジ対応部8)が前記両端部および前記中央部よりも小さいことを特徴とする。この構成によれば、製紙用フェルトと湿紙の耳部との密着性が増大し、耳剥がれが抑制される。
【0014】
また、本発明の他の側面は、前記製紙面の算術平均粗さ、または前記製紙面の平均圧力0.1MPa下での圧力分布の変動係数が、幅方向において10%以上異なることが好ましい。ここでの変化率とは、幅方向における算術平均粗さ(または平均圧力0.1MPa下での圧力分布の変動係数)の内、最大値に対する最大値と最小値の差の割合を百分率で表したものである。また、前記製紙面の幅方向において算術平均粗さが最も小さくなる部分の当該算術平均粗さが、10μm〜38μmの範囲内となることが好ましく、前記製紙面の平均圧力0.1MPa下での圧力分布の変動係数が最も小さくなる部分の当該変動係数が、0〜0.25の範囲内となることが好ましい。算術平均粗さと圧力分布の変動係数を上記の範囲内とすることで、湿紙の密着性を向上させ、耳剥がれを確実に防止することが出来る。
【0015】
本発明の他の側面は、前記バット繊維層は、前記製紙面を形成する部分に芯鞘溶融繊維を含むことを特徴とする。この構成によれば、バット繊維層は、鞘部を溶融させて互いに結合させることができ、この結合された状態では研磨を効率良く受けることができる。
【発明の効果】
【0016】
以上の構成によれば、製紙用フェルトは、内部構造を変化させることなく、表面性状を幅方向における各部において変化させることができ、湿紙の運搬性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施形態に係るフェルトの要部を示す平面図
【図2】図1のA、B、C部分をそれぞれ拡大して示す断面図
【図3】研磨装置の概略構成を示す側面図
【図4】研磨装置の概略構成を示す裏面図
【図5】図1のB部分の製紙面の顕微鏡写真
【図6】製紙機の概略構成を示す図
【図7】(A)サンプル1、(B)サンプル3、(C)サンプル4の圧力斑像
【図8】湿紙運搬性試験装置の概略構成を示す図
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。以下の実施形態に係る製紙用フェルトは、製紙機において湿紙を運搬する搬送手段として使用されるものであり、湿紙の加圧脱水(搾水)工程等に使用される。
【0019】
<フェルトの構成>
実施形態に係る製紙用フェルト(以下、単にフェルトという)1は、無端状に製作されたエンドレスフェルトであってもよいし、使用時に端部をつなぎ合わせ無端状とするシームフェルトであってもよい。
【0020】
図2A〜Cに示すように、フェルト1は、基布2にニードリングによってバット繊維層3を積層一体化した複層構造をなす。基布2は、ポリアミド等のモノフィラメント糸や、複数のモノフィラメントを撚り合わせた撚り糸等からなる経糸および緯糸を機織した織布である。基布2には、その他、多層の織布や、経糸または緯糸のみで形成された織布や樹脂シート等を適用することができる。
【0021】
バット繊維層3は、ポリアミドやポリエステル等のステープルや、2種類の異なる高分子成分からなる芯鞘繊維等から構成されている。芯鞘繊維は、高融点高分子からなる芯部と、芯部よりも低融点の低融点高分子からなる鞘部とから構成されており、例えば、芯部は、融点が200℃以上の高融点ポリアミドであり、鞘部は、融点が140℃〜160℃の低融点ポリアミドである。芯鞘繊維を使用した場合には、熱セットによって鞘部が互いに溶融、結合し、バット繊維層3の形態がより安定化する。
【0022】
図1に示すように、フェルト1は、幅方向において中央に位置する中央部7と、中央部7の両側部に位置するエッジ対応部8と、両エッジ対応部8の幅方向における外方に位置し、フェルト1の幅方向における両端部を構成する耳部9とに区画されている。中央部7、エッジ対応部8および耳部9のそれぞれは、丈方向に延在している。湿紙11がフェルト1の製紙面5上に載置された状態で、耳部9は湿紙11の湿紙本体部12から切り離される捨て耳部13に対向し、エッジ対応部8は湿紙本体部12の幅方向における両端部14に対向する。すなわち、湿紙本体部12の幅方向における両端縁は、耳部9とエッジ対応部8との境界線上に配置されるようになっている。エッジ対応部8および耳部9の幅方向における長さは、例えば10cmであってよい。
【0023】
図2A〜Cに示すように、中央部7、エッジ対応部8および耳部9の製紙面5は、表面性状、すなわち表面粗さ(凹凸)が相違する。フェルト1の製紙面5の表面粗さは、耳部9>中央部7>エッジ対応部8の順で大きくなっている。この各部7〜9における製紙面5の表面粗さの差は、後述する表面研磨の有無および程度に起因している。製紙面5の耳部9における算術平均粗さRaは、エッジ対応部8に対して10%以上大きいことが好ましく、より好ましくは20%以上大きい。他のパラメータを用いて表すと、製紙面5の耳部9における0.1MPa下での圧力分布の変動係数CVは、エッジ対応部8に対して10%以上大きいことが好ましく、より好ましくは20%以上大きい。製紙面5のエッジ対応部8における算術平均粗さRaは、10μm〜38μmの範囲内であることが好ましい。他のパラメータを用いて表すと、製紙面5のエッジ対応部8における0.1MPa下での圧力分布の変動係数CVは、0〜0.25の範囲内となることが好ましい。また、なお、フェルト1の中央部7、エッジ対応部8および耳部9の走行面6は、表面研磨を行わないため、表面粗さは概ね同じとなっている。
【0024】
<フェルトの製紙面の形成方法>
図3および図4は、本発明のフェルトを製作するための装置の一例として、フェルト1の製紙面5を研磨する研磨装置20の概略図を示す。研磨装置20は、無端状のフェルト1を丈方向に走行させるための駆動ロール21およびストレッチロール22と、フェルト1の製紙面5を研磨する第1研磨ロール23および第2研磨ロール24とを備えている。ここで、駆動ロール21は、最終ヒートセットを含めたフェルトの仕上げ加工時に用いられることが多い、加熱オイルや蒸気を用いたドライヤーシリンダーロールでもよい。第1研磨ロール23および第2研磨ロール24は、駆動ロール21およびストレッチロール22にフェルト1が巻き掛けられた状態で、フェルト1の製紙面5に接触可能に支持されている。
【0025】
図4に示すように、第1研磨ロール23および第2研磨ロール24は、円柱状の軸体の周面に紙やすり等の研磨布紙を貼付して研磨材表面25、26を形成したものであり、それぞれ駆動源に連結されて回転可能となっている。なお、研磨材表面25,26は加工によって軸体の周面に一体的に形成してもよい。第1研磨ロール23の研磨材表面25は、フェルト1の湿紙本体部12に対応する部分に一致するように、その幅方向長さが設定されている。第2研磨ロール24は2つ設けられ、それぞれの研磨材表面26は、第1研磨ロール23の研磨材表面25の幅方向における両端部と重畳する部分に設定されている。第2研磨ロール24の研磨材表面26と、第1研磨ロール23の研磨材表面25との粗さは、中央部7およびエッジ対応部8に応じて適宜変更することができ、例えば、両研磨材表面25,26の粗さを同じにしてもよいし、研磨材表面26の粗さを研磨材表面25よりも小さくしてもよい。
【0026】
フェルト1の製紙面5の研磨は、研磨装置20の駆動ロール21およびストレッチロール22によってフェルト1を丈方向に走行させた状態で、回転した第1研磨ロール23および第2研磨ロール24の研磨材表面25,26を製紙面5に接触させることによって行う。フェルト1は、第1研磨ロール23によって湿紙本体部12に対応する部分が研磨され、第2研磨ロール24によって湿紙本体部12の幅方向における両端部14に対応する部分が重畳して研磨される。これにより、フェルト1の製紙面5には、研磨処理を受けていない(すなわち、当初のバット繊維層3の表面が露出した)耳部9と、第1研磨ロール23のみによって研磨処理がなされた中央部7と、第1研磨ロール23および第2研磨ロール24による研磨処理がなされたエッジ対応部8とが形成される。エッジ対応部8は、第1研磨ロール23に加えて、第2研磨ロール24によって研磨処理がなされるため、中央部7よりも表面粗さが小さくすることができる。研磨は、第1研磨ロール23によって研磨した後に第2研磨ロール24によって研磨してもよいし、第1研磨ロール23および第2研磨ロール24を同時に用いて研磨してもよい。
【0027】
図5は、研磨処理を受けた中央部7の製紙面5の顕微鏡写真である。図5に示されるように、バット繊維層3を構成する各繊維は、同一の方向に削られ、扁平化していることが確認される。このように各繊維が切削されることによって、バット繊維層3の表面、すなわちフェルト1の製紙面5が平滑化される。バット繊維層3を構成する繊維が芯鞘繊維であり、熱セットによって互いの鞘部同士が溶融・連結している場合には、各繊維の相対変位が規制されるため、研磨処理によってより平滑な表面を形成することができる。この繊維の切削による扁平化や微細な傷およびバリの形成は、繊維の表面積を増大させるため、フェルト1の親水性を高め、湿紙11とのなじみ(初期親和性)を向上させる。研磨ロールの回転方向は、研磨加工の最終段階前はフェルト進行方向と同じ方向でも、フェルト進行方向に対し相対する方向でもよい。しかし、研磨加工の最終段階においては、フェルトの進行方向と相対する方向とすることが望ましい。このことにより、図5にあるように、研磨加工によりバット繊維上に形成されるバリの向きを、製紙工程においてフェルトの進行方向をバリが抑えられる方向に設定することが可能となり、研磨された繊維が脱毛し難くなる。
【0028】
中央部7、エッジ対応部8および耳部9の大きさおよび配置は、第1研磨ロール23および第2研磨ロール24の研磨材表面25,26の幅方向における長さおよび位置を変更することで適宜変更可能である。また、中央部7およびエッジ対応部8の表面性状は、第1研磨ロール23および第2研磨ロール24の研磨材表面25,26の粗さ、第1研磨ロール23および第2研磨ロール24とフェルト1との接触圧、フェルト1の回転数、第1研磨ロール23および第2研磨ロール24の回転数、フェルト1と第1研磨ロール23および第2研磨ロール24との相対回転方向を変更することで適宜変更可能である。なお、他の実施形態では、異なる研磨材表面を備えた研磨ロールの3本以上設け、フェルト1の製紙面5の表面を中央部7、エッジ対応部8および耳部9に加えて、さらに細かく領域を区画するようにしてもよい。
【0029】
フェルトの幅方向で研磨条件を変更することによって、幅方向における各部分での研磨量(研磨により除去されるバット繊維の目付)が異なり、その結果、仕上り後のフェルト目付が幅方向で異なる。特に、湿紙本体が接触する範囲において幅方向での目付差が大きくなると、製紙機にてフェルトを使用する際に、部分的な搾水性の低下などの湿紙運搬性以外のトラブルが発生する虞がある。よって、通常フェルトには5%以内の目付斑が存在することを考慮すると、研磨条件の異なる各部分における研磨量の差は、5%以内とすることが望ましい。ただし、フェルト幅方向において研磨量の差を5%以上としても湿紙運搬性以外にトラブルを引き起こさないことが予めわかっていて、研磨量の差を5%以上とすることが有用である場合にはこの限りでない。
【0030】
例えば、通常のフェルト幅は、プレスロールの幅よりも広い。そのため、フェルトの幅方向にはプレスを受ける部分(プレス幅内)とプレスを受けない部分(プレス幅外)がある。プレス幅内ではプレス時にフェルト内の汚れが搾り出される水と一緒にフェルト外へ出されるが、プレス幅外では汚れがプレス下でフェルト外に出されることが無いため汚れが溜まりやすく、このことがフェルトの走行性に悪影響を及ぼす場合がある。このような場合において、このプレス幅外の部分の研磨量を他の部分に比べて5%以上増やし、この部分の目付を少なくすることで、汚れの溜まりやすさを抑制することができる。本発明のフェルトは、最終ヒートセット後に研磨加工を行うため加工位置の設定が容易であるため、目付が5%以上異なる部分を搾水性に影響のないプレスされない位置に確実に設定することが可能である。
【0031】
<作用効果>
上記のように構成したフェルト1の作用効果について、以下に示す製紙機40に適用した一例を挙げて説明する。図6に示すように、フェルト1は、製紙機40のピックアップフェルト(以下、Puフェルトという)41として使用される。製紙機40は、パルプを含む懸濁液からシート状の湿紙11を形成するフォーミングワイヤ42と、形成された湿紙11をフォーミングワイヤ42上で湿紙本体部12と捨て耳部13に切断するウォータジェット43と、湿紙本体部12を順次搬送するPuフェルト41、1PBフェルト44および2PTフェルト45と、湿紙本体部12を圧搾するための一対のプレスロール47,48と、湿紙本体部12をフォーミングワイヤ42からPuフェルト41に吸着させるためのPuロール51、Puフェルト41から1PBフェルト44に吸着させるための第1サクションロール52、1PBフェルト44から2PTフェルト45に吸着させるための第2サクションロール53とを備えている。
【0032】
ウォータジェット43は、フォーミングワイヤ42上の湿紙11に対して、湿紙本体部12と捨て耳部13との境界に切り目を形成する。Puフェルト41は、Puロール51によって、フォーミングワイヤ42上の湿紙11に接するように配置されており、湿紙11から湿紙本体部12のみを吸着し搬送する。湿紙11の捨て耳部13は、引き続きフォーミングワイヤ42によって搬送され、湿紙本体部12から分離される。1PBフェルト44の一部は、Puフェルト41上に保持された湿紙本体部12に当接可能に配置されている。一対のプレスロール47,48は、湿紙本体部12、Puフェルト41、1PBフェルト44がともに併走する部分に設けられ、これらをまとめて挟み込み、圧搾する。第1サクションロール52は、一対のプレスロール47,48の下流側に設けられ、Puフェルト41の製紙面5から湿紙本体部12を分離させ、湿紙本体部12を1PBフェルト44に吸着させる。第2サクションロール53は、2PTフェルト45を1PBフェルト44上の湿紙本体部12に接するように配置されており、湿紙本体部12を2PTフェルト45に吸着させる。
【0033】
以上の製紙機40において、Puフェルトとして使用されるフェルト1は、捨て耳部13に対応する耳部9の表面粗さが、湿紙本体部12に対応する中央部7およびエッジ対応部8よりも大きくなっており、湿紙との吸着性が小さいため、フォーミングワイヤ42から湿紙本体部12を受け取る際に、捨て耳部13を受け取らずに湿紙本体部12のみを確実に受け取ることができ、捨て耳とられを抑制することができる。
【0034】
また、フェルト1は、湿紙本体部12の幅方向における両端部14に対応するエッジ対応部8の表面粗さが、中央部7よりも小さくなっているため、湿紙本体部12の両端部14とより密着することができ、耳剥がれを抑制することができる。また、フェルト1は、湿紙本体部12の大部分に対応する中央部7の表面粗さが、エッジ対応部8よりも大きくなっており、湿紙本体部12との密着性が比較的低減されているため、Puフェルト41から1PBフェルト44への湿紙本体部12の受け渡しの際に湿紙本体部12がPuフェルト41から剥がれやすく、受け渡しが円滑に行われ、紙とられが抑制される。
【0035】
以上のように、フェルト1は、製紙面5の表面粗さが幅方向において異なるため、捨て耳とられ、耳剥がれ、紙とられを同時に抑制することができる。フェルト1の製紙面5の表面粗さは、表面研磨の有無および程度を幅方向における各部において変化させることによって形成されているため、表面性以外のフェルト物性に大きな差は生じず、部分的な通気度低下による部分的な目詰まりの発生など、湿紙運搬性以外のフェルトに要求される性能について悪影響を与えることはない。また、表面研磨はフェルト1の熱セット後に行うことができるため、中央部7、エッジ対応部8、耳部9の位置を精密に設定することができる。
【0036】
<実験例および実施例>
以下に示す実験例では、フェルトの製紙面の表面性状が湿紙の運搬性に与える影響を確認した。実験に使用したサンプル1〜5を以下の表1に示す。これらのサンプルのフェルトは、基布にニードリングによってバット繊維層を積層一体化した複層構造をなし、バット繊度および製紙面の研磨条件を除いて他の構成は全て同じとなっている。製紙面の研磨は、上述した実施形態の研磨装置20を用いて行った。本実験での研磨は、第1研磨ロール23のみを使用して、製紙面上に研磨処理がなされた中央部と、研磨処理がなされていない耳部とを形成した。研磨は、第1研磨ロール23を各サンプルの走行方向と逆転の回転方向で約800回転/分で回転させ、サンプルを20m/分の速度で所定の研磨周回数回転させた。
【0037】
【表1】

【0038】
ここでの、0.1MPa下での圧力分布の変動係数CVは、富士フィルム社の「微圧用プレスケール(4LW)0.05MPa−0.2MPa」を圧力測定フィルムとして用い、得られた圧力斑像の解析は、富士フィルム社の「FPD−9210」圧力画像解析システムを用いて行った。なお、フェルト表面の圧力測定時の圧力は、0.1MPaで行うことが最適である。フェルトの圧力均一性は、主に基布層に起因する圧力均一性と、表バット層に起因する圧力均一性(=表面圧力均一性)に分けることができるが、基布層に起因する圧力斑は0.1MPa程度の圧力下では発生しない(測定されない)ために、0.1MPaの圧力測定によりフェルト表面圧力均一性のみを評価することができる。表1中のサンプル2〜5について、算術平均粗さRaおよび0.1MPa下での圧力分布の変動係数CVについてカッコ中に示す値は、サンプル1を基準とした変化率を表し、次式を用いて求めることができる。
変化率(%)=(サンプル1のRa(またはCV)−各サンプルのRa(またはCV))/サンプル1のRa(またはCV)×100
【0039】
表1のサンプル1とサンプル2との比較から、バット繊度を小さくすることによって、表面粗さが小さくなることが確認できるが、通気度も低下することが確認できる。サンプル1とサンプル3〜5との比較から、研磨の程度に応じて表面粗さが小さくなることが確認できる。図7は、サンプル1,3、4について、上記の圧力測定フィルムを用いて圧力測定を行った際に、圧力測定フィルム上に形成された圧力斑像であり、Aはサンプル1、Bはサンプル3、Cはサンプル4を示す。これらの図からも、研磨処理の程度に応じてフェルト表面の凹凸が減少していることが確認できる。また、研磨処理を行った場合には、通気度はほとんど変化しないことが確認できる。サンプル5とサンプル2との比較から、研磨によってもバット繊度を小さくした場合と同程度の表面粗さを得ることができる。サンプル1は、算術平均粗さRaおよび0.1MPa下での圧力分布の変動係数CVにおいて、サンプル4に対して10%以上、サンプル5に対して20%以上大きくなっている。
【0040】
これらのサンプル1〜5を図8に示す湿紙運搬性試験装置70にて評価した。湿紙運搬性試験装置70は、ガイドロール71,72,73,74に巻き掛けられ、丈方向に走行する無端状のフォーミングワイヤ75を備えている。フォーミングワイヤ75の経路上には、フォーミングワイヤ75を湿潤させるためのシャワー76と、シャワー76によって湿潤したフォーミングワイヤ75から水分を吸引するサクションボックス77とが設けられており、フォーミングワイヤ75は一定の湿潤状態に維持されている。また、湿紙運搬性試験装置70は、各サンプル1〜5からなる無端状のフェルトを巻きかけるためのガイドロール81,82,83,84およびサクションロール85と、各サンプル1〜5を圧搾するための一対のプレスロール86,87と、各サンプル1〜5を湿潤させるためのシャワー88と、シャワー88によって湿潤した各サンプル1〜5から水分を吸引するサクションボックス89とを備えている。各サンプル1〜5は、シャワー88およびサクションボックス89によって一定の湿潤状態に維持され、サクションロール85によってフォーミングワイヤ75の表面近傍に近接して配置されている。
【0041】
評価試験は、各サンプル1〜5およびフォーミングワイヤ75を、それぞれ図中の矢印の方向に100m/分の速度で走行させた状態で、予め水分を80%に調整した湿紙91を図中のA地点においてフォーミングワイヤ75上に載せ、湿紙91が図中のB地点でフォーミングワイヤ75から各サンプル1〜5に受け渡されるか否かを測定した。測定は、サクションロールの吸引力を5kPa、10kPa、20kPaの3段階で変化させ、それぞれについて20回測定を行った。20回の測定中、図中のC地点に湿紙が到達した回数が17回以上のものを○評価、4〜16回のものを△評価、3回以下のものを×評価とした。結果を次の表2に示す。
【0042】
【表2】

【0043】
表2に示すように、サンプル1とサンプル2との比較から、バット繊維層のバット繊度を小さくすることで、フェルト1の表面粗さが小さくなり、湿紙との密着性が向上することが確認できる。サンプル1および3〜5の比較から、研磨量を増加させることで、表面粗さが低減され、湿紙との密着性が向上することが確認できる。また、サンプル1、サンプル3、サンプル4について見ると、表面研磨による算術平均粗さRaおよび0.1MPa下での圧力分布の変動係数CVの変化率が10%未満の場合(サンプル3)では、湿紙密着性の変化は小さいことがわかる。サンプル4の結果からわかるように、湿紙密着性を確実に変化させるためには、表面研磨により算術平均粗さRaおよび0.1MPa下での圧力分布の変動係数CVを10%以上変化させることが望ましい。
【0044】
以下に本発明の実施例について説明する。実施例1〜3と比較例1〜3を以下の表3に示す。これらの実施例1〜3および比較例1〜3のフェルトは、基布2にニードリングによってバット繊維層3を積層一体化した複層構造をなし、バット繊度および製紙面5の研磨条件を除いて他の構成は全て同じとなっている。製紙面5の研磨は、上述した実施形態の研磨装置20を用いて行った。各実施例および比較例での研磨は、互いに同じ粗さを有する研磨材表面25,26を備え、直径が互いに等しい第1研磨ロール23および第2研磨ロール24を使用して、製紙面5上の中央部7、エッジ対応部8、捨て耳部9に所定の表面性状を設定した。なお、第1研磨ロール23および第2研磨ロール24の各実施例および比較例に係るフェルトへの接触圧は概ね同一である。各実施例でのエッジ対応部8の幅方向長さBおよび捨て耳部9の幅方向長さCは、それぞれ10cmである。
【0045】
【表3】

【0046】
実施例1では、第1研磨ロール23のみを使用し、第1研磨ロール23をフェルト1の走行方向と逆転の回転方向で約800回転/分で回転させ、フェルト1を20m/分の速度で16周回転させた。実施例2では、第1研磨ロール23と第2研磨ロール24を同時に用いて研磨を行った。第1研磨ロール23をフェルト1の走行方向と逆転の回転方向で約800回転/分で回転させ、フェルト1を20m/分の速度で8周回転させて第1研磨ロール23で研磨した後、第2研磨ロール24をフェルト1の走行方向と逆転の回転方向で約800回転/分で回転させ、フェルト1を20m/分の速度で8周回転させて第2研磨ロール24で研磨した。すなわち、実施例2では、中央部7はフェルトの8周分、エッジ対応部8はフェルトの16周分の研磨を受けている。実施例3では、第2研磨ロール24のみを使用し、第2研磨ロール24をフェルト1の走行方向と逆転の回転方向で約800回転/分で回転させ、フェルト1を20m/分の速度で16周回転させた。すなわち、実施例3では、エッジ対応部8のみがフェルトの16周分の研磨を受けている。比較例3では、第1研磨ロール23の研磨材表面25を捨て耳部9に対応する部分まで拡張した比較例用研磨ロールを第1研磨ロール23に代えて使用し、その比較例用研磨ロールをフェルト1の走行方向と逆転の回転方向で約800回転/分で回転させ、フェルト1を20m/分の速度で16周回転させた。
【0047】
表3中において、カッコ書きで記載したものは、各部が前述した実験例の各サンプルと対応した表面性状(表面粗さ)を有することを示している。比較例1の仕様のフェルトで耳剥がれが発生した場合や湿紙平滑性を向上させたい場合に、従来の対策では、より繊度の小さいバット繊維を使用する比較例2の仕様へ変更する。上記表1の測定結果より、この仕様変更によりフェルト平滑性が向上し、湿紙平滑性を向上させることが可能であり、また、上記表2の試験結果より、この仕様変更により湿紙密着性が向上し、耳剥がれを防止できることがわかる。しかし、比較例2の仕様変更により、捨て耳部の湿紙密着性も向上してしまうため、今度は捨て耳とられが発生する危険性があり、また、フェルトの通気度が低下してしまうために汚れが蓄積しやすく、フェルトの使用期間が短くなる危険性も新たに発生する。この比較例2対し比較例3は、バット繊度は変更せず、表面研磨によりフェルト平滑性と湿紙密着性を向上させている。このことにより、比較例2の様な通気度低下による汚れの問題は解決できる。しかし、フェルト2と同様にフェルト全体の湿紙密着性を向上させてしまうために、捨て耳とられ発生の危険性を回避することは出来ない。上記のような比較例2や3に対し、実施例1は湿紙本体部分のみを研磨することにより、湿紙本体部分のフェルト平滑性と湿紙密着性を比較例1に比べて向上させ、捨て耳部の湿紙密着性は比較例1と同じとしている。このため、湿紙平滑性向上や耳剥がれを防止し、かつ、捨て耳とられが新たに発生することを防ぐことができる。また、フェルト通気度も比較例1と実施例1では同じレベルであり、汚れが溜まりやすくなる心配も無い。また、フェルトの使用場所の条件次第では、実施例1や比較例2や3のフェルトでは、紙とられが発生してしまう場合がある。この様な場合には、実施例2や3の仕様とすることが有効であり、紙とられ防止と湿紙平滑性を両立したいのであれば実施例2の仕様とし、湿紙平滑性向上には効果が無いが、より確実に紙とられを防止したいのであれば実施例3の仕様とすることが有効となる。
【0048】
以上で具体的実施形態の説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限定されることなく幅広く変形実施することができる。例えば、フェルト1の製紙面5の幅方向において、表面粗さが異なる部位を4つ以上設けてもよい。その他、所望の表面性状に応じて、適宜研磨箇所や研磨の程度を変更してよい。
【符号の説明】
【0049】
1…製紙用フェルト、2…基布、3…バット繊維層、5…製紙面、6…走行面、7…中央部、8…エッジ対応部、9…耳部、11…湿紙、12…湿紙本体部、13…耳部、14…両端部、20…研磨装置、21…駆動ロール、22…ストレッチロール、23…第1研磨ロール、24…第2研磨ロール、40…製紙機、41…Puフェルト、42…フォーミングワイヤ、43…ウォータジェット、44…1PBフェルト、45…2PTフェルト、47…プレスロール、51…Puロール、52…第1サクションロール、53…第2サクションロール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基布と、前記基布にニードリングによって絡合され、製紙面を形成するバット繊維層とを有する製紙用フェルトであって、
前記製紙面が、幅方向における各部分において異なる条件の研磨処理がなされた研磨面を含み、幅方向において表面粗さが異なることを特徴とする製紙用フェルト。
【請求項2】
前記製紙面の算術平均粗さが、幅方向において、両端部が中央部よりも大きいことを特徴とする、請求項1に記載の製紙用フェルト。
【請求項3】
前記製紙面は、幅方向において、当該製紙面上に載置される湿紙の両端に対応する部分において算術平均粗さが最も小さいことを特徴とする、請求項2に記載の製紙用フェルト。
【請求項4】
前記製紙面の算術平均粗さが、幅方向において、両端部と中央部とで同じであり、かつ当該製紙面上に載置される湿紙の両端に対応する部分が前記両端部および前記中央部よりも小さいことを特徴とする、請求項1に記載の製紙用フェルト。
【請求項5】
前記製紙面の算術平均粗さが、幅方向において10%以上異なることを特徴とする、請求項2〜4のいずれか1つの項に記載の製紙用フェルト。
【請求項6】
前記製紙面の幅方向において算術平均粗さが最も小さくなる部分の当該算術平均粗さが、10μm〜38μmの範囲内となることを特徴とする、請求項2〜5のいずれか1つの項に記載の製紙用フェルト。
【請求項7】
前記製紙面の平均圧力0.1MPa下での圧力分布の変動係数が、幅方向において、両端部が中央部よりも大きいことを特徴とする、請求項1に記載の製紙用フェルト。
【請求項8】
前記製紙面は、幅方向において、当該製紙面上に載置される湿紙の両端に対応する部分において平均圧力0.1MPa下での圧力分布の変動係数が最も小さいことを特徴とする、請求項7に記載の製紙用フェルト。
【請求項9】
前記製紙面の平均圧力0.1MPa下での圧力分布の変動係数が、幅方向において、両端部と中央部とで同じであり、かつ当該製紙面上に載置される湿紙の両端に対応する部分が前記両端部および前記中央部よりも小さいことを特徴とする、請求項1に記載の製紙用フェルト。
【請求項10】
前記製紙面の平均圧力0.1MPa下での圧力分布の変動係数が、幅方向において10%以上異なることを特徴とする、請求項7〜9のいずれか1つの項に記載の製紙用フェルト。
【請求項11】
前記製紙面の平均圧力0.1MPa下での圧力分布の変動係数が最も小さくなる部分の当該変動係数が、0〜0.25の範囲内となることを特徴とする、請求項7〜10のいずれか1つの項に記載の製紙用フェルト。
【請求項12】
前記バット繊維層は、前記製紙面を形成する部分に芯鞘溶融繊維を含むことを特徴とする、請求項1〜請求項11のいずれか1つの項に記載の製紙用フェルト。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図8】
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【図5】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−97365(P2012−97365A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−244093(P2010−244093)
【出願日】平成22年10月29日(2010.10.29)
【出願人】(000229852)日本フエルト株式会社 (55)
【Fターム(参考)】