説明

製造管理システム及び製造管理方法

【課題】製造現場の情報を集中管理し、障害時に短時間で復旧可能な製造管理システムおよび製造管理方法を提供する。
【解決手段】前記第1の情報を記憶する第1の記憶手段と、第1のデータベースと、を有し、第2のネットワークに接続可能な第1のサーバと、前記第1の情報を記憶可能な第2の記憶手段と、前記第1の情報が第2の情報として前記製品の製造工程に対応付けて格納される第2のデータベースと、を有し、前記第1及び第2のネットワークに接続された第2のサーバと、を備え、前記第1のサーバは、前記第2のデータベースが更新されたときに前記第2のデータベースに格納されたデータを前記第2のデータベースのバックアップとして前記第1のデータベースに格納して更新し、前記第2のサーバは、前記第2のデータベースから前記第2の情報を検索して前記第2のネットワークに送信することを特徴とする製造管理システムが提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製造管理システム及び製造管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
工場には、市場の要求に応じて製品を供給し、販売機会を損失することなく、かつ在庫を極小化することが求められている。また、原価低減のために、製造の効率化も求められている。そのために、生産進捗の統制と品質の作り込みを中心とする製造管理の果たす役割が重要になっている。
【0003】
製造管理システムは、製造状況を常に監視して製造管理の支援をするものである。すなわち、日々刻々と変化する製造現場の情報を的確に把握・統合することにより、これをすばやいアクションに結びつけるためのものである。そのため、製造現場ごとに製造管理システムを構築する必要があり、適用する製品や製造現場の要件に適合するものを短時間で構築できる製造管理方法及びそのシステムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
一方、生産形態が多様化し、複数の工場で同一製品を製造することも多く、製造現場の情報を集中管理する必要もある。そのため、各製造現場における製造管理システムの共通化が必要とされる。
また、製造管理システムの障害による製造ラインの停止は、損失に相当するため、短時間で復旧可能なシステムとする必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−175108号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、製造現場の情報を集中管理し、障害時に短時間で復旧可能な製造管理システムおよび製造管理方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、製造現場において製品の製造工程を監視して前記製品の製造を支援する製造管理システムであって、第1のネットワークを介して前記製品の製造工程に関する第1の情報を受信して前記第1の情報を記憶する第1の記憶手段と、第1のデータベースと、を有し、第2のネットワークに接続可能な第1のサーバと、前記第1のネットワークを介して前記第1の情報を受信して前記第1の情報を記憶可能な第2の記憶手段と、前記第1の情報または前記第1の情報の一部の情報が第2の情報として前記製品の製造工程に対応付けて格納される第2のデータベースと、を有し、前記第1のサーバと前記第1のネットワークで接続され、かつ前記第2のネットワークに接続された第2のサーバと、を備え、前記第1のサーバは、前記第2のデータベースが更新されたときに前記第2のデータベースに格納されたデータを前記第2のデータベースのバックアップとして前記第1のデータベースに格納して更新し、前記第2のサーバは、前記第2のデータベースから前記第2の情報を検索して前記第2のネットワークに送信することを特徴とする製造管理システムが提供される。
【0008】
また、本発明の他の一態様によれば、製造現場において製品の製造工程を監視して前記製品の製造を支援する製造管理方法であって、第1の記憶手段と第1のデータベースとを有し、第1のネットワークに接続された第1のサーバと、第2の記憶手段と第2のデータベースとを有し、前記第1のネットワークに接続された第2のサーバと、を用いて、前記第1のサーバに、前記第1のネットワークを介して前記製品の製造工程に関する第1の情報を受信させて、前記第1の記憶手段に記憶させる工程と、前記第1の情報または前記第1の情報の一部の情報を第2の情報として前記第2のサーバの第2のデータベースに格納させる工程と、前記第1のデータベースに、前記第2のデータベースに格納されたデータを前記第2のデータベースのバックアップとして格納させて更新させる工程と、前記第2のサーバに、前記第2のネットワークからの要求に応じて、前記第2のデータベースから前記第2の情報を検索させて前記第2のネットワークに送信させる工程と、前記第1のサーバに障害があったときは、前記第2のサーバに、前記第1のネットワークを介して前記第1の情報を受信させて前記第2の記憶手段に記憶させる工程と、前記第2のサーバに障害があったときは、前記第2のネットワークからの要求に応じて、前記第1のサーバに、前記第1のデータベースから前記第2の情報を検索させて前記第2のネットワークに送信させる工程と、を備えたことを特徴とする製造管理方法が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、製造現場の情報を集中管理し、障害時に短時間で復旧可能な製造管理システムおよび製造管理方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態に係る製造管理システムの構成を例示する模式図である。
【図2】図1に表した製造管理システムの正常動作時の構成を例示する模式図である。
【図3】正常動作時の製造管理方法を例示するフローチャートである。
【図4】製造管理システムの障害発生を判断するフローチャートである。
【図5】図1に表した製造管理システムの障害発生時の構成を例示する模式図である。
【図6】障害発生時の製造管理方法を例示する他のフローチャートである。
【図7】図1に表した製造管理システムの障害発生時の構成を例示する模式図である。
【図8】障害発生時の製造管理方法を例示する他のフローチャートである。
【図9】第2のサーバによるバックアップ機能を動作させるためのフローチャートである。
【図10】第1のサーバによるバックアップ機能を動作させるためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
なお、本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0012】
図1は、本発明の実施形態に係る製造管理システムの構成を例示する模式図である。
図1に表したように、製造管理システム1は、製造ライン100と同じ製造拠点に設けられ、製造ライン100の製造情報を収集し、製品の製造工程を監視して製品の製造を支援、管理する。
【0013】
製造ライン100は、製品Pを製造するラインであり、例えば、パーソナルコンピュータの組立ラインである。製造ライン100においては、複数の工程が設けられており、例えば図1には、工程100a〜100dが示されている。工程100aは、前加工工程であり、投入された部材Rをユニットなどに前加工する。工程100bは、組み立て工程であり、前加工されたユニットなどを製品に組み立てる。工程100cは、検査工程であり、組み立てられた製品を検査する。工程100dは、後工程であり、検査の終了した製品を梱包照合するなどして、製品Pとして出荷できる状態にする。
【0014】
また、製造ライン100には、各工程における製品の工程実績として第1の情報を送信する第1のネットワーク8が設けられている。第1の情報とは、製品の製造工程に関する情報であり、各工程における製品の工程実績、例えば各工程における製品の通過日時、構成部品の情報及び製造番号などの個体識別情報である。また、第1のネットワーク8は、例えば有線、無線のローカルネットワークで構成される。
【0015】
そして、製造管理システム1は、第1のサーバ2と、第2のサーバ5とを備える。
第1のサーバ2は、第1の記憶手段3、第1のデータベース4を有し、第1のネットワークに接続されている。
第1のサーバ2は、製造ライン100から第1のネットワーク8を介して第1の情報を受信して、第1の記憶手段3に記憶する。この第1の情報は、製造ライン100における製品Pの製造を支援するために用いられる。
【0016】
また、第1のサーバ2は、製造ライン100の製造拠点に設けられた第2のネットワーク9に接続可能に構成されている。ここで、第2のネットワーク9は、製造ライン100の製造拠点とは離れた場所にある他のコンピュータと通信するためのグローバルネットワークであり、例えばインターネットである。
【0017】
第2のサーバ5は、第2の記憶手段6、第2のデータベース7を有し、第1及び第2のネットワーク8、9に接続されている。
第2の記憶手段は、図5及び図6において説明するように、第1のサーバ2の障害時に使用する。通常動作時は使用されない。第2のデータベース7は、第1の情報またはその一部を第2の情報として格納したデータベースである。
【0018】
ここで、第2の情報とは、第2のネットワークからの要求により第2のネットワークを介して他のコンピュータに送信する情報であり、第1の情報またはその一部である。例えば、上記のとおり第1の情報が、各工程における製品の通過日時、構成部品の情報及び製造番号などの個体識別情報であるとする。第2の情報は、第1の情報の一部の工程における製品の通過日時と製造番号などの一部の個体識別情報である。
第2の情報は、製造ライン100を第2のネットワーク9を介して集中管理するために用いられる。
【0019】
第1及び第2のサーバ2、5は、第1のネットワークを介して相互に通信可能である。
また、第1及び第2のサーバ2、5は、それぞれコンピュータにより構成され、第1及び第2の記憶手段3、6、第1及び第2のデータベース4、7は、例えばHDD(Hard Disk Drive:ハードディスクドライブ)により構成される。
【0020】
図2は、図1に表した製造管理システムの正常動作時の構成を例示する模式図である。
図2に表したように、正常動作時においては、製造管理システム1aは、第1のサーバ2の第2のネットワーク9との接続、及び第2のサーバ5の第2の記憶手段6を用いない点が、図1に表した製造管理システム1と異なる。なお、図2においては、物の流れは実線の矢印で表し、情報の流れは破線の矢印で表している。
【0021】
次に、製造管理システム1aの動作、すなわち、正常動作時の製造管理方法について説明する。
上記のとおり、製造ライン100は、製品Pとして例えばパーソナルコンピュータを組み立てるラインである。部材Rの投入から製品Pの完成まで、製品の製造工程に関する情報、すなわち各工程における製品の工程実績として第1の情報が、第1のネットワーク8を介して第1のサーバ2に送信される。第1の情報は、上記のとおり、例えば各工程における製品の通過日時、構成部品の情報及び製造番号などの個体識別情報である。
【0022】
図3は、正常動作時の製造管理方法を例示するフローチャートである。
図3に表したように、第1のサーバ2は、第1の情報を受信したか監視し(ステップS10)、第1の情報を受信するまでステップS10の処理を繰り返す(ステップS10:No)。第1の情報を受信した場合は、ステップS11に移行する(ステップS10:Yes)。
【0023】
第1の情報を第1の記憶手段3に記憶する(ステップS11)。
なお、第1の記憶手段3は、例えばHDD上の共有フォルダなどであり、第1の情報は、例えばCSV(Comma-Separated Values)形式などで保存される。
次に第1の情報またはその一部を第2の情報として第2のデータベース7を更新する(ステップS13)。
【0024】
第1のサーバ2はステップS12で第2のデータベース7を更新する要求を第2のサーバ5に送信して、次のステップS13に移行する。
第1のサーバ2は、第2の情報を第1のデータベース4に格納して第1のデータベース4を更新して処理を完了する(ステップS13)。
【0025】
一方、第2のサーバ5は、ステップS12における第1のサーバ2からの第2のデータベース7の更新要求を受けて、第2の情報を第2のデータベース7に格納する(ステップS21)。
次に第2のサーバ5は、第2のネットワーク9からの送信要求があるか監視する(ステップS22)。
【0026】
送信要求がない場合(ステップS22:No)、第2のサーバ5の処理が完了する。
送信要求がある場合(ステップS22:Yes)、第2のネットワーク9に第2の情報を送信して第2のサーバの処理が完了する(ステップS23)。
【0027】
なお、図3においては、第2のサーバ5は、ステップS22で第2のネットワーク9からの送信要求を監視して、送信要求がない場合は処理を完了している。しかし、第2のサーバ5は、ステップS21の処理で完了して、ステップS22、S23の処理は、別のプロセスとして処理する方法も可能である。
【0028】
また、図3においては、第1のサーバ2は、ステップS13で第1のデータベースを更新して処理を完了する。しかし、第1のサーバ2は、第2のデータベース7の更新を監視して、第2のデータベース7が更新されたときに第1のデータベース4も更新するように処理してもよい。
【0029】
再度図2に戻ると、正常動作時の製造管理システム1aにおいては、第1のサーバ2は製造ライン100と第1のネットワーク8を介して第1の情報を受信し、第2のネットワーク9とは直接通信しない構成となっている。また、第2のサーバ5は、第2のネットワーク9を介して第2の情報を送信し、製造ライン100とは直接通信しない構成となっている。
【0030】
第1のサーバ2により、第1の情報が第1の記憶手段3に記憶される処理は、製造ライン100における製品Pの製造工程を監視するために必要な処理である。従って、第1のサーバ2及び第1の情報は、製造ラインごとに異なる構成となり得る。
それに対して第2の情報は、第2のネットワーク9を介して集中管理されるため、製造ラインによらない共通の構成である。
【0031】
製造管理システム1、1aにおいては、第1のサーバ2と第2のサーバ5とを分離したことにより、システムの構築が容易となっている。すなわち、短期間に少ないリソースで製造管理システムを構築できる。
また、第1のデータベース4は、第2のデータベース7が更新される際に同時に更新されるため、最新のバックアップとなっている。
【0032】
次に、製造管理システム1に障害が発生した場合について説明する。
図4は、製造管理システムの障害発生を判断するフローチャートである。
図4に表したように、製造管理システム1の障害発生時には、第1のサーバ2または第2のサーバ5のどちらに障害が発生したかを判断する。そして、製造管理システム1を障害時の構成、すなわちバックアップ機能に切替える。
【0033】
まず、障害が発生したことを検出する(ステップS30)。
すなわち、第2の情報にエラーがあるデータエラーや第2のネットワーク9を介して第2の情報の送信を要求しても、送信されないなどの障害を検出する。
障害が発生した場合、まず第2のサーバ5に接続可能か確認する(ステップS31)。
【0034】
すなわち、第2のネットワーク9を介して、第2のサーバ5に接続できなければ、第2のサーバ5の障害と判断してステップS34に進む(ステップS31:No)。
第2のサーバ5に接続可能であれば、第2のサーバ5のエラー履歴を見る(ステップS32)。
第2のサーバ5にエラー履歴がない場合(ステップS32:No)、第1のサーバ2の障害と判断し、ステップS37に移行する。
【0035】
第2のサーバ5にエラー履歴が有る場合(ステップS32:Yes)、エラー履歴により第2の情報のデータエラーか確認する(ステップS33)。
データエラーの場合(ステップS33:Yes)、製造管理システム1の障害ではないと判断して完了する。
データエラーではない場合(ステップS33:No)、第2のサーバ5の障害と判断し、ステップS34に移行する。
【0036】
第2のサーバ5の障害と判断された場合は、第2のサーバ5の第2のネットワーク9との接続状況、第2のデータベース7の状況、OS及びハードウェアの状況などの障害状況を確認する(ステップS34)。
第2のサーバ5の障害状況の確認の結果、早期復旧が可能か判断か否か判断する(ステップS35)。
【0037】
早期復旧が可能な場合(ステップS35:Yes)、第2のサーバ5、製造管理システム1を復旧させ、完了する。
早期復旧が可能でない場合(ステップS35:No)、第2のサーバ5のバックアップ機能、すなわち第2のサーバ障害時の製造管理システム1cの構成に切替えて完了する(ステップS36)。
【0038】
また、ステップS32において第1のサーバ2の障害と判断された場合は、第1のサーバ2の障害状況を確認する(ステップS37)。
すなわち、第1のサーバ2のエラー履歴、OS及びハードウェアの状況などの障害状況を確認する。
【0039】
早期復旧が可能な場合(ステップS38:Yes)、第1のサーバ2、製造管理システム1を復旧させ、完了する。
早期復旧が可能でない場合(ステップS38:No)、第1のサーバ2のバックアップ機能、すなわち第1のサーバ障害時の製造管理システム1bの構成に切替えて完了する(ステップS39)。
【0040】
このように、製造管理システム1においては、障害発生時の対応が容易であり、早期にバックアップ機能によりシステムを復旧させることができる。
次にバックアップ機能、すなわち第1のサーバ2の障害時の製造管理システム1b及び第2のサーバ5の障害時の製造管理システム1cについて順に説明する。
【0041】
図5は、図1に表した製造管理システムの障害発生時の構成を例示する模式図である。
図5においては、第1のサーバ2に障害が発生した場合の製造管理システム1bの構成を表している。
図5に表したように、第1のサーバ2の障害時の製造管理システム1bにおいては、第1のサーバ2が用いられない点が、図1に表した製造管理システム1と異なる。すなわち、第2のデータベース5は、第2の記憶手段6に第1の情報を記憶する。なお、図5においては、物の流れは実線の矢印で表し、情報の流れは破線の矢印で表している。
【0042】
次に、製造管理システム1bの動作、すなわち、第2のサーバによるバックアップの製造管理方法について説明する。
図6は、障害発生時の製造管理方法を例示する他のフローチャートである。
図6に表したように、第1のサーバ2は、障害が発生して稼働していない。
第2のサーバ5の動作について説明する。
【0043】
第1の情報を受信したか監視し(ステップS40)、第1の情報を受信するまでステップS40の処理を繰り返す(ステップS40:No)。第1の情報を受信した場合は、ステップS41に移行する(ステップS40:Yes)。
【0044】
第1の情報を第2の記憶手段6に記憶する(ステップS41)。
なお、第2の記憶手段6は、例えばHDD上の共有フォルダなどであり、第1の情報は、例えばCSV(Comma-Separated Values)形式などで保存されることは第1の記憶手段3と同様である。
【0045】
次に第1の情報またはその一部を第2の情報として第2のデータベース7を更新する(ステップS42)。すなわち、第2の情報を第2のデータベース7に格納する。
次に第2のサーバ5は、第2のネットワーク9からの送信要求があるか監視する(ステップS43)。
【0046】
送信要求がない場合(ステップS43:No)、第2のサーバ5の処理が完了する。
送信要求がある場合(ステップS43:Yes)、第2のネットワーク9に第2の情報を送信して第2のサーバの処理が完了する(ステップS44)。
【0047】
なお、図6においては、第2のサーバ5は、ステップS43で第2のネットワーク9からの送信要求を監視して、送信要求がない場合は処理を完了している。しかし、第2のサーバ5は、ステップS42の処理で完了して、ステップS43、S44の処理は、別のプロセスとして処理する方法も可能である。
【0048】
このように、第1のサーバ2に障害が発生して通常動作が不可能な場合でも、第2のサーバ5のバックアップ機能により、短時間に復旧可能である。また、第2のサーバ5は、第2の情報を蓄積した第2のデータベース7を有し、第2のネットワーク9に接続されている。そのため、製造管理システム1bは、集中管理可能である。
【0049】
次に、第2のサーバ5の障害時の製造管理システム1cについて説明する。
図7は、図1に表した製造管理システムの障害発生時の構成を例示する模式図である。
図7においは、第2のサーバ5に障害が発生した場合の製造管理システム1cの構成を表している。
図7に表したように、第2のサーバ5の障害時の製造管理システム1cにおいては、第2のサーバ5が用いられない点が、図1に表した製造管理システム1と異なる。すなわち、第2の情報は第1のデータベース4に格納され、第2のネットワーク9に送信される。なお、図7においては、物の流れは実線の矢印で表し、情報の流れは破線の矢印で表している。
【0050】
次に、製造管理システム1cの動作、すなわち、第1のサーバによるバックアップの製造管理方法について説明する。
図8は、障害発生時の製造管理方法を例示する他のフローチャートである。
図8に表したように、第2のサーバ5は、障害が発生して稼働していない。
第1のサーバ2の動作について説明する。
【0051】
第1の情報を受信したか監視し(ステップS50)、第1の情報を受信するまでステップS50の処理を繰り返す(ステップS50:No)。第1の情報を受信した場合は、ステップS51に移行する(ステップS50:Yes)。
第1の情報を第1の記憶手段3に記憶する(ステップS51)。
【0052】
次に第1の情報またはその一部を第2の情報として第1のデータベース4を更新する(ステップS52)。すなわち、第2の情報を第1のデータベース4に格納する。
次に第1のサーバ2は、第2のネットワーク9からの送信要求があるか監視する(ステップS53)。
【0053】
送信要求がない場合(ステップS53:No)、第1のサーバ2の処理が完了する。
送信要求がある場合(ステップS53:Yes)、第2のネットワーク9に第2の情報を送信して第2のサーバの処理が完了する(ステップS54)。
【0054】
なお、図8においては、第1のサーバ2は、ステップS53で第2のネットワーク9からの送信要求を監視して、送信要求がない場合は処理を完了している。しかし、第1のサーバ2は、ステップS52の処理で完了して、ステップS53、S54の処理は、別のプロセスとして処理する方法も可能である。
【0055】
このように、第2のサーバ5に障害が発生して通常動作が不可能な場合でも、第1のサーバ2のバックアップ機能により、短時間に復旧可能である。また、第1のサーバ2は、第2の情報を蓄積した第1のデータベース4を有し、第2のネットワーク9に接続されている。そのため、製造管理システム1cは、集中管理可能である。
【0056】
ところで、第1または第2のサーバ2、5に障害が発生した場合は、それぞれ第2または第1のサーバ5、2によるバックアップ機能に切替える必要がある。すなわち、図4に表したステップS36、S39の処理である。
図9は、第2のサーバによるバックアップ機能を動作させるためのフローチャートである。
図9においては、第1のサーバの障害時の製造管理システム1bを起動するための処理を表している。
【0057】
第1のサーバ2の障害発生を確認する(ステップSS10)。これは、図4に表したように、ステップS32:Noの場合である。
第1のサーバ2の障害発生が確認できた場合は、第2のサーバ5によるバックアップ機能を動作させる処理に進む。
【0058】
第2のサーバ5の第2の記憶手段6を使用可能となるように設定する(ステップSS11)。
製造ライン100の第1の情報の受信先を、第2のサーバ5に変更する(ステップSS12)。
また、第1のサーバ2の第1の記憶手段3に第1の情報が残っている場合は、その情報を第2の記憶手段6に移動する(ステップSS13)。
【0059】
第2のサーバ5によるバックアップ機能の動作を開始する(ステップSS14)。
エラーログなどにより、第2のサーバ5によるバックアップ機能の稼働を確認して完了する(ステップSS15)。
【0060】
図10は、第1のサーバによるバックアップ機能を動作させるためのフローチャートである。
図10においては、第2のサーバの障害時の製造管理システム1cを起動するための処理を表している。
【0061】
図10に表したように、まず第2のサーバ5の障害発生を確認する(ステップSS20)。これは、図4に表したように、第2のサーバ5にエラー履歴がない場合(ステップS31:No)またはデータエラーでない場合(S33:No)である。
第2のサーバ5の障害発生が確認できた場合は、第1のサーバ2によるバックアップ機能を動作させる処理に進む。
【0062】
第1のサーバ2の第1のデータベース7を使用可能となるように設定する(ステップSS21)。
第2のネットワーク9からの第2の情報の送信先を、第1のサーバ2に変更する(ステップSS22)。
第1のサーバ2によるバックアップ機能の動作を開始する(ステップSS23)。
エラーログなどにより、第1のサーバ2によるバックアップ機能の稼働を確認して完了する(ステップSS24)。
【0063】
このように、製造管理システム1によれば、第1及び第2のサーバ2、5の障害発生時においても、短時間でバックアップ機能を動作させ復旧させることができる。
【0064】
既存の製造管理システムにバックアップ機能を付加するためには、ハード、ソフトともに大きなリソースを必要とする。例えば定期的に製造管理システムの停止時にデータベースのバックアップをとる構成もある。少ないリソースでバックアップ機能を確保することができる。しかし、システム障害時にバックアップ機能を動作させて復旧させるためには、バックアップのデータベースを最新のデータに更新する必要がある。そのため、復旧には時間がかかる。
【0065】
これに対して製造管理システム1においては、第1及び第2のサーバ2、5のバックアップ機能は、製造管理システム1に組み込まれている。すなわち、通常動作時において第1のデータベース4は、第2のデータベース7の更新時に同期して同一内容に更新される。そのため、第2のサーバ5の障害時に第1のデータベース4を用いて復旧させることができる。
また、製造管理システム1によれば、第2のネットワーク9を介して第2の情報を集中管理することができる。
【0066】
このように、本実施形態に係る製造管理システム及び製造管理方法は、製造現場の情報を集中管理し、障害時に短時間で復旧可能な製造管理システム及び製造管理方法である。
【0067】
以上、具体例を参照しつつ、本発明の実施形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。例えば、製造管理システムおよび製造管理方法を構成する各要素の具体的な構成に関しては、当業者が公知の範囲から適宜選択することにより本発明を同様に実施し、同様の効果を得ることができる限り、本発明の範囲に包含される。
また、各具体例のいずれか2つ以上の要素を技術的に可能な範囲で組み合わせたものも、本発明の要旨を包含する限り本発明の範囲に含まれる。
【0068】
その他、本発明の実施形態として上述した製造管理システムおよび製造管理方法を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての製造管理システムおよび製造管理方法も、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
【0069】
その他、本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0070】
1、1a、1b 製品管理システム
2 第1のサーバ
3 第1の記憶手段
4 第1のデータベース
5 第2のサーバ
6 第2の記憶手段
7 第2のデータベース
8 第1のネットワーク
9 第2のネットワーク
100 製造ライン
100a〜100d 製造工程
R 部材
P 製品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
製造現場において製品の製造工程を監視して前記製品の製造を支援する製造管理システムであって、
第1のネットワークを介して前記製品の製造工程に関する第1の情報を受信して前記第1の情報を記憶する第1の記憶手段と、第1のデータベースと、を有し、第2のネットワークに接続可能な第1のサーバと、
前記第1のネットワークを介して前記第1の情報を受信して前記第1の情報を記憶可能な第2の記憶手段と、前記第1の情報または前記第1の情報の一部の情報が第2の情報として前記製品の製造工程に対応付けて格納される第2のデータベースと、を有し、前記第1のサーバと前記第1のネットワークで接続され、かつ前記第2のネットワークに接続された第2のサーバと、
を備え、
前記第1のサーバは、前記第2のデータベースが更新されたときに前記第2のデータベースに格納されたデータを前記第2のデータベースのバックアップとして前記第1のデータベースに格納して更新し、
前記第2のサーバは、前記第2のデータベースから前記第2の情報を検索して前記第2のネットワークに送信することを特徴とする製造管理システム。
【請求項2】
前記第1のサーバに障害があったときは、前記第2のサーバは、前記第1のネットワークを介して前記第1の情報を受信して前記第2の記憶手段に記憶するとともに、前記第2のデータベースに前記第2の情報を格納することを特徴とする請求項1記載の製造管理システム。
【請求項3】
前記第2のサーバに障害があったときは、前記第1のサーバは、前記第2の情報を前記第1のデータベースに格納し、前記第2の情報を前記第2のネットワークに送信することを特徴とする請求項1記載の製造管理システム。
【請求項4】
前記第1のデータベースは、前記第2のデータベースが更新されたときに更新することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の製造管理システム。
【請求項5】
製造現場において製品の製造工程を監視して前記製品の製造を支援する製造管理方法であって、
第1の記憶手段と第1のデータベースとを有し、第1のネットワークに接続された第1のサーバと、
第2の記憶手段と第2のデータベースとを有し、前記第1のネットワークに接続された第2のサーバと、
を用いて、
前記第1のサーバに、前記第1のネットワークを介して前記製品の製造工程に関する第1の情報を受信させて、前記第1の記憶手段に記憶させる工程と、
前記第1の情報または前記第1の情報の一部の情報を第2の情報として前記第2のサーバの第2のデータベースに格納させる工程と、
前記第1のデータベースに、前記第2のデータベースに格納されたデータを前記第2のデータベースのバックアップとして格納させて更新させる工程と、
前記第2のサーバに、前記第2のネットワークからの要求に応じて、前記第2のデータベースから前記第2の情報を検索させて前記第2のネットワークに送信させる工程と、
前記第1のサーバに障害があったときは、前記第2のサーバに、前記第1のネットワークを介して前記第1の情報を受信させて前記第2の記憶手段に記憶させる工程と、
前記第2のサーバに障害があったときは、前記第2のネットワークからの要求に応じて、前記第1のサーバに、前記第1のデータベースから前記第2の情報を検索させて前記第2のネットワークに送信させる工程と、
を備えたことを特徴とする製造管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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