説明

製鉄ダストの亜鉛回収方法

【課題】従来の湿式法に比べて、工程が効率的で、かつ経済的に優れた製鉄ダストの亜鉛回収方法を提供することにある。
【解決手段】亜鉛溶出工程と、固液分離工程と、亜鉛回収工程とを具え、前記亜鉛回収工程はキレート塔等のキレート30を具えた設備に、前記溶出液21を通過させることことで、キレート30を前記溶出液21に接触させて、前記溶出液21中の亜鉛を、亜鉛アンモニア錯イオンから、亜鉛キレート錯体を経て、亜鉛単独イオンに変換させることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製鉄ダスト中に含まれる亜鉛を回収する方法、特に、炉ダスト、転炉ダスト又は電気炉などの製鉄ダストから、いわゆる湿式処理によって亜鉛を回収する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高炉ダスト、転炉ダスト又は電気炉ダスト等の製鉄ダストは、鉄、亜鉛及び炭素などが含まれており、製鉄原料として再利用することが望まれている。高炉法において、前記製鉄ダストを、再び高炉原料として再利用している。しかし、亜鉛含有量の高い製鉄ダストを高炉に投入する場合、亜鉛が炉壁レンガを侵食し、高炉操業に支障をきたすという問題が生じるため、前記製鉄ダストの再利用は制限されていた。
【0003】
そのため、前記製鉄ダストからの亜鉛分離技術が求められており、亜鉛分離技術の代表的なものとしては、いわゆる乾式法が挙げられる。乾式法はダストを高温下で還元して亜鉛を金属蒸気として揮発させ、分離・回収する方法であり、亜鉛含有量の多い電気炉ダストの処理に用いられている。しかしながら、かかる方法は、高温還元装置などの大規模な装置が必要なこと、及び加熱・還元工程に要するエネルギーが大きいことから、亜鉛の含有量が数%程度である高炉ダストや転炉ダストに用いた場合、回収亜鉛量が少ないため経済的に成立しないという問題があった。
【0004】
また、乾式法とは異なる前記製鉄ダストからの他の亜鉛分離技術としては、いわゆる湿式法が挙げられる。湿式法による亜鉛回収方法としては、例えば特許文献1に開示されているように、前記製鉄ダストを酸と接触させて亜鉛を溶出させる溶出工程と、その溶出液をアルカリで中和する中和工程と、中和工程の流出液を固液分離する分離工程とを有する亜鉛の回収方法や、特許文献2に開示されているように、前記製鉄ダストをアンモニア溶液中で処理して亜鉛をアンモニア錯イオンとして選択的に溶解させた後、溶解液を蒸留して塩基性炭酸亜鉛結晶を回収するとともに、アンモニアベーパーを直接炭酸ガスと共に、前記塩基性炭酸亜鉛溶液に吹込み、その炭酸アンモニウム濃度を高める亜鉛回収方法が挙げられる。
【0005】
しかしながら、特許文献1及び特許文献2の亜鉛回収方法は、いずれも酸のpHを制御することによって亜鉛を選択的に溶解させることができるものの、特許文献1の亜鉛回収方法は、亜鉛の溶解と同時に鉄も溶解させてしまうため、中和に必要なアルカリ量が増えるというコストの問題や、亜鉛と鉄の沈殿を分離するため、多段の中和が必要となるという工程の繁雑化という問題があった。
さらに、特許文献2の亜鉛回収方法は、塩基性炭酸亜鉛結晶の晶析にかかるエネルギーが大きく、亜鉛の含有量が数%程度である製鉄ダストの処理の場合には、経済的に成立しないという問題があった。
【特許文献1】特開平7−216470号公報
【特許文献2】特開平6−107415号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、従来の湿式法による亜鉛の回収に比べて、効率的で、かつ経済的に優れた製鉄ダストの亜鉛回収方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、亜鉛を含む製鉄ダストに、アンモニア及び/又はアンモニウム塩を含有する溶解液を加えて製鉄ダスト中の亜鉛をアンモニウム錯イオンとして溶解させた固液物とする亜鉛溶出工程と、前記固液物中の亜鉛を含有する溶出液と前記固液物中の固形物とを分離する固液分離工程と、前記溶出液中の亜鉛アンモニウム錯イオンを、亜鉛単独イオンに変換した上で、亜鉛を回収する亜鉛回収工程とを具え、該亜鉛回収工程で、キレートを前記溶出液に接触させることにより、複雑な工程を必要とすることなく、前記溶出液中の亜鉛を、亜鉛アンモニア錯イオンから亜鉛キレート錯体にすることができる。より好適には、その後、前記亜鉛キレート錯体に対して酸による洗浄等を行えば、効率的に亜鉛単独イオンに変換させることができるとともに、前記酸洗浄によってキレートを再生し、繰り返し使用すれば、コストの低減を図れることを見出した。
【0008】
本発明は、このような知見に基づきなされたもので、その要旨は以下の通りである。
(1)亜鉛を含む製鉄ダストに、アンモニア及び/又はアンモニウム塩を含有する溶解液を加えて製鉄ダスト中の亜鉛をアンモニウム錯イオンとして溶解させた固液物とする亜鉛溶出工程と、前記固液物中の亜鉛を含有する溶出液と、前記固液物中の固形物とを分離する固液分離工程と、前記溶出液中の亜鉛アンモニウム錯イオンを、亜鉛キレート錯体を経て、亜鉛単独イオンに変換させる亜鉛回収工程とを具えることを特徴とする製鉄ダストの亜鉛回収方法。
【0009】
(2)前記溶出液は、前記亜鉛回収工程で、亜鉛アンモニア錯イオンを亜鉛キレート錯体へと変換した後に、回収されて、前記溶解液として再利用される上記(1)記載の製鉄ダストの亜鉛回収方法。
【0010】
(3)前記亜鉛回収工程は、前記亜鉛キレート錯体を酸溶液で洗浄し、前記亜鉛を酸溶液に溶解させて前記亜鉛単独イオンに変換することで前記亜鉛をキレートから分離し、分離したキレートを再利用することをさらに含む上記(1)又は(2)記載の製鉄ダストの亜鉛回収方法。
【0011】
(4)前記キレート洗浄に用いる酸溶液が、硫酸溶液である上記(3)記載の製鉄ダストの亜鉛回収方法。
【0012】
(5)前記固液分離工程で回収された前記固液物中の固形物を、製鉄原料として再利用する上記(1)〜(4)のいずれか1項記載の製鉄ダストの亜鉛回収方法。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、工程が効率的で、かつ経済的に優れた製鉄ダストの亜鉛回収方法を提供することが可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図を参照して、本発明の構成と限定理由を説明する。
図1は、本発明による製鉄ダストの亜鉛回収方法の流れを模式的に示した図である。
【0015】
本発明による製鉄ダストの亜鉛回収方法は、亜鉛溶出工程と、固液分離工程と、亜鉛回収工程とを具える。以下に、各工程の詳細な説明を行う。
【0016】
(亜鉛溶出工程)
本発明の亜鉛溶出工程は、図1に示すように、亜鉛を含む製鉄ダスト10に、アンモニア又はアンモニウム塩を含有する溶解液11を加えて、亜鉛溶出槽12で攪拌しながら、製鉄ダスト10中の亜鉛を、選択的にアンモニウム錯イオンとして溶解させた固液物13とする工程である。
【0017】
前記製鉄ダスト10は、既設されているダスト処理施設において処理される、高炉ダスト、転炉ダスト又は電気炉ダスト等の製鉄ダストであり、含水率70〜85%程度まで濃縮された後、フィルタプレス式脱水機などによる固液分離処理を受けた、含水率30〜40%程度の脱水ダストであることが望ましい。亜鉛溶出液の亜鉛濃度を高く維持することが容易であり、前記溶解液11の量を少なくすることができるからである。
【0018】
また、前記アンモニア及び/又はアンモニウム塩を含有する溶解液11の組成は、特に限定はされず、任意に設定することができるが、亜鉛アンモニア錯イオンを形成しやすい点から、そのpHを、8.0〜10.0の範囲に調整することが望ましい。なお、pHの調整は、アンモニア水及び/又はアンモニウム塩溶液の濃度や、それぞれの混合比で調整することができ、アンモニウム塩としては、例えば、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム又は炭酸アンモニウム等用いることができるが、資源を有効活用する点から、製鉄所で副生する硫酸アンモニウムを用いることが好ましい。前記アンモニア水及び/又はアンモニウム塩溶液の濃度については、特に限定はされず、任意に設定することができるが、可能な限りアンモニア濃度を高くすることが望ましい。ただし、経済的な観点から、前記溶解液11のアンモニア濃度としては、1リットルあたり1モルから3モル程度となるように調整することが好ましい。
【0019】
さらに、前記固液物13中の、製鉄ダスト10に対する、前記溶解液11の割合(以下、固液比とする)は、質量比で1〜10の範囲で任意に設定して固液物13とすることができる。前記固液比が質量比で10よりも大きくなると、処理時間や前記亜鉛溶出槽12の容積も大きくなる結果、処理コストがかさむだけであるからであり、一方、質量比で1未満の場合には、前記製鉄ダスト10の均一な分散が難しく、操業が困難だからである。また、前記亜鉛溶出槽12中の、反応時間や、温度、攪拌条件についても、任意に設定することができるが、亜鉛の溶出率が向上する点から、反応時間を長く(1〜3時間程度)、高い温度(50〜70℃程度)で、強く攪拌することが好ましい。なお、製鉄ダスト中の亜鉛に金属亜鉛を含む場合には、アンモニア錯イオンを形成しないため、浸出槽2に酸化剤を添加するか、製鉄ダスト1を空気中で混練するなどの前処理を行って金属亜鉛を酸化亜鉛に変換しておくことが望ましい。
【0020】
(固液分離工程)
本発明の固液分離工程は、図1に示すように、前記固液物13を、固液分離装置20を用いることにより、溶出液21と、前記固液物中の固形物22とを分離する工程である。
【0021】
前記固液分離装置20としては、前記固液物13を、亜鉛を含有する溶出液21と、前記固液物中の固形物22とに分離することのできる装置であれば、特に限定されないが、前記固形物22を、低含水率になるまで脱水可能なフィルタプレス方式の固液分離装置であることが好ましい。前記固形物22の含水率が高い場合、前記溶解液11に溶解した亜鉛が付着水として固形物22中に残存するためであり、脱水後の固形物22を洗浄する必要が生じるためである。ただし、前記フィルタプレス方式を用いた場合であっても、固液分離後の前記固形物22には、水や空気を導入して、前記亜鉛を含む溶解液11を洗浄する工程を加えることがより好適である。
【0022】
また、前記固液分離工程で回収された固形物22は、図1に示されているように、コストの削減及び資源の活用という点から、高炉23等の各種の溶融炉へ移送され、製鉄原料として再利用されることが好ましい。
【0023】
(亜鉛回収工程)
本発明の亜鉛回収工程は、前記溶出液21中の亜鉛アンモニウム錯イオンを、亜鉛単独イオンに変換した上で、亜鉛を回収する工程である。
【0024】
前記亜鉛回収工程は、図1に示すように、キレート30を具えたキレート塔等の設備に、前記溶出液21を通過させることことで、キレート30を前記溶出液21に接触させて、前記溶出液21中の亜鉛を、亜鉛アンモニア錯イオンから、亜鉛キレート錯体を経て、亜鉛単独イオンに変換させることを特徴とする。
【0025】
ここで、図2は、前記溶出液21と、例としてホスホン酸系キレート剤であるキレート30との反応を示した反応式の一例である。
前記亜鉛溶出工程での、前記製鉄ダスト10に含まれる亜鉛と、アンモニア又はアンモニウム塩を含有する溶解液11との反応は、下式で示すことができる。
Zn+[(NH4)2]SO4+2NH4OH → [Zn(NH3)4]SO4+2H2O+H2
そして、前記亜鉛回収工程での、前記溶出液21中の亜鉛は、図2に示されているように、亜鉛アンモニア錯イオン([Zn(NH3)4]2+)から、亜鉛キレート錯体(図2参照)へと変換し、その後、酸(図1及び図2中では硫酸)と前記亜鉛キレート錯体とを反応させることにより、前記亜鉛キレート錯体から亜鉛単独イオン(Zn2+)に変換していることがわかる。
【0026】
なお、前記亜鉛回収工程に用いるキレート30は、特に限定はせず、任意のものを用いることができるが、処理効率の点から反応槽に充填して使用できる形態のものが好ましい。例えば、繊維に金属キレート官能基を導入したキレートを用いることができる。
【0027】
また、前記亜鉛回収工程において、亜鉛を亜鉛アンモニア錯イオンから前記亜鉛キレート錯体へと変換した後に、回収される前記アンモニア及び/又はアンモニウム塩を含有する溶解液11´は、図1に示すように、溶解液貯留槽14へ移送し、前記溶解液11として再利用されることが好ましい。
【0028】
さらに、前記亜鉛回収工程は、図1及び図2に示されているように、前記亜鉛キレート錯体として、キレート30に捕捉された亜鉛を溶離(分離)させて、前記キレート30を再生するために、前記亜鉛キレート錯体を酸溶液(より好適には硫酸溶液31)を用いて洗浄し、前記亜鉛を酸溶液に溶解させて、亜鉛をキレートから分離し、分離されたキレート30を再利用することが好ましい。キレート30を再利用することで、コストの削減につながるためであり、さらに、前記洗浄に硫酸溶液31を用いれば、亜鉛を硫酸亜鉛溶液32として回収することができるため、図1に示されているように、その後、遊離酸回収装置34により硫酸溶液31´として回収するとともに、残存する濃縮硫酸亜鉛溶液35を、亜鉛精錬原料として利用することができるからである。
【0029】
なお、前記硫酸溶液31の濃度や通水量は、特に限定はせずに、任意に設定することができるが、キレート能力を最大限に発揮させるように再生する点から、1リットルあたり1モル〜2モルの濃度となる硫酸溶液を、キレート充填容積の2倍から3倍通水させることが望ましい。
【0030】
上述したところは、この発明の実施形態の一例を示したにすぎず、請求の範囲において種々の変更を加えることができる。
【実施例】
【0031】
本発明の実施例について説明する。
(実施例1)
実施例1は、表1に示す組成の含水率が30質量%である製鉄ダスト50gに、硫酸アンモニウムとアンモニア水を混合した溶解液(アンモニア濃度:3mol/l、pH:9)を500ml加えて3時間攪拌し、製鉄ダスト中の亜鉛を溶解させた固液物とした(亜鉛溶出工程)後、前記固液物を遠心分離により脱水し、1μmフィルタでろ過した(固液分離工程)後、溶出液となるろ液を回収した。その後、回収した溶出液500mlを、(株)キレスト製のキレート繊維(製品名「キレストファイバーIRY」)を25g充填したカラムに通過させた。前記溶出液を通過させて得られる処理液は、溶解液として再利用するため採取した。その後、前記キレート繊維に硫酸溶液(濃度:1mol/l)を500ml通水洗浄し、通過させた処理液(硫酸亜鉛溶液)を回収した(亜鉛回収工程)。
【0032】
(実施例2)
実施例2は、実施例1と同様の工程を行った後、回収した前記溶解液500mlに、表1に示す組成の含水率が30質量%である製鉄ダスト50gを加え、3時間攪拌した(2回目の亜鉛溶出工程)後、1μmフィルタでろ過し(2回目の固液分離工程)、溶出液を回収した。
【0033】
(比較例1)
比較例1は、前記溶解液として硫酸溶液(濃度:1mol/l)を500ml加えて30分間攪拌したこと及び亜鉛回収工程においてキレート処理を行わなかったこと以外は、実施例1と同様の工程(亜鉛溶出工程及び固液分離工程)により、溶出液を回収した。
【0034】
【表1】

【0035】
以上のようにして得られた実施例1の硫酸亜鉛溶液、並びに、実施例2及び比較例1で得られた溶出液について評価を行った。
【0036】
(評価方法)
実施例1で使用した溶解液、得られた溶出液、硫酸亜鉛溶液及び再利用する溶解液についての、亜鉛濃度及び鉄濃度を測定した。測定値を表2に示す。
また、実施例1、2及び比較例1で使用した溶解液及び得られた溶出液についての、亜鉛濃度及び鉄濃度を測定した。それぞれについての測定値を表3に示す。
【0037】
【表2】

【0038】
【表3】

【0039】
表2の結果から、実施例1で、キレート塔に捕捉された亜鉛がほぼ硫酸亜鉛溶液中に回収できていることがわかった。さらに、硫酸亜鉛溶液中の硫酸を、遊離酸回収装置で回収することで、硫酸使用量が削減され、さらに硫酸亜鉛濃度の高い溶液を回収することが可能となるため、電解亜鉛精錬の原料として利用できると考えられる。
また、表3の結果から、キレートを用いた亜鉛回収工程を行っている実施例1及び実施例2は、キレート処理を行っていない比較例1に比べて、製鉄ダストから、鉄を溶出させることなく、亜鉛だけを選択的に分離ができていることがわかった。また、実施例2の結果から、溶出液の亜鉛アンモニア錯イオンを亜鉛キレート錯体へ変換した後、残った液は、溶解液として再利用できることがわかった。さらに、亜鉛回収工程に用いたキレートは、洗浄すれば、同様の亜鉛回収効果を奏する。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明によれば、工程が効率的で、かつ経済的に優れた製鉄ダストの亜鉛回収方法を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明による製鉄ダストの亜鉛回収方法の流れを模式的に示した図である。
【図2】溶出液と、キレートとの反応を示した反応式の一例である。
【符号の説明】
【0042】
1 製鉄ダストの亜鉛回収方法
10 製鉄ダスト
11 アンモニア又はアンモニウム塩を含有する溶解液
12 亜鉛溶出槽
13 固液物
14 溶解液貯留槽
20 固液分離装置
21 溶出液
22 固形物
23 高炉
30 キレート
31 硫酸溶液
32 硫酸亜鉛溶液
33 硫酸貯留槽
34 遊離酸回収装置
35 濃縮硫酸亜鉛溶液

【特許請求の範囲】
【請求項1】
亜鉛を含む製鉄ダストに、アンモニア及び/又はアンモニウム塩を含有する溶解液を加えて製鉄ダスト中の亜鉛をアンモニウム錯イオンとして溶解させた固液物とする亜鉛溶出工程と、前記固液物中の亜鉛を含有する溶出液と、前記固液物中の固形物とを分離する固液分離工程と、前記溶出液中の亜鉛アンモニウム錯イオンを、亜鉛キレート錯体を経て、亜鉛単独イオンに変換させる亜鉛回収工程とを具えることを特徴とする製鉄ダストの亜鉛回収方法。
【請求項2】
前記溶出液は、前記亜鉛回収工程で、亜鉛アンモニア錯イオンを亜鉛キレート錯体へと変換した後に、回収されて、前記溶解液として再利用される請求項1記載の製鉄ダストの亜鉛回収方法。
【請求項3】
前記亜鉛回収工程は、前記亜鉛キレート錯体を酸溶液で洗浄し、前記亜鉛を酸溶液に溶解させて前記亜鉛単独イオンに変換することで前記亜鉛をキレートから分離し、分離したキレートを再利用することをさらに含む請求項1又は2記載の製鉄ダストの亜鉛回収方法。
【請求項4】
前記キレート洗浄に用いる酸溶液が、硫酸溶液である請求項3記載の製鉄ダストの亜鉛回収方法。
【請求項5】
前記固液分離工程で回収された前記固液物中の固形物を、製鉄原料として再利用する請求項1〜4のいずれか1項記載の製鉄ダストの亜鉛回収方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−179824(P2009−179824A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−17706(P2008−17706)
【出願日】平成20年1月29日(2008.1.29)
【出願人】(000001258)JFEスチール株式会社 (8,589)
【Fターム(参考)】