説明

複合サッシ

【課題】できるだけ樹脂材に対する端部加工を減らすことができると共にカシメも不要な框体を有した複合サッシを提供する。
【解決手段】框体2には内周面にガラス体3を納めるガラス開口溝が形成され、上框50と下框40は両端部に縦框60と召合せ框70のガラス開口溝65、75にそれぞれ差込固定される横連結部を有すると共に、中央部を金属材41、51と樹脂材42、52で、横連結部46、56を金属材42、52で構成され、横連結部の金属材42、52にはその室内側面を覆う小口カバー80が設けられて縦框60、70と連結する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属材の室内側に樹脂材を配設した複合サッシに関し、特に横框と縦框の連結部分にカバー体を設けて被覆してなる内外障子を納めた複合サッシに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、金属材の室内側に樹脂材を配設してなる複合材によって構成した複合サッシが用いられている。複合サッシは、室内露出面を樹脂材で構成しているために、断熱性が高く、また室内側から見た意匠性を高めることができる。複合サッシは様々な種類の窓サッシを構成することができ、その中に内外の引き違い障子を枠体内に納めてなる引き違いサッシがある。
【0003】
障子は、上下の横框と左右の縦框とを方形状に框組みしてなる框体にガラス体を納めてなり、横框と縦框は複合材から構成される。この障子は、一般的に複合材から構成される枠体内に納められるもので、このような複合サッシとしては例えば特許文献1に挙げるようなものがある。
【特許文献1】特許第3507031号公報
【0004】
横框と縦框は、内周側にガラス体を納めるためのガラス開口溝を有しており、横框は縦框のガラス開口溝と略同じ幅に形成されており、横框の端部を縦框のガラス開口溝に飲み込ませた状態で両者を固定し連結している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の複合サッシにおいては、框を構成する金属材の略全長に渡って樹脂材を配設しているため、横框と縦框の連結部分において樹脂材に端部加工を施す必要があった。樹脂材に対する加工の工数が多くなると、寸法に誤差を生じやすい。また、樹脂材を金属材に取付ける際には、樹脂材を金属材にスライド状に取付けた上で、適所をカシメにより動かないように固定しているが、この工程も樹脂材の寸法精度を悪化させる原因となっていた。
【0006】
本発明は、上記課題を解決すべくなされたものであり、できるだけ樹脂材に対する端部加工を減らすことができると共にカシメも不要な框体を有した複合サッシを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明に係る複合サッシは、建物開口部に方形状の枠体を設け、該枠体の内部に内障子と外障子とを引き違い状に納めてなり、該内障子と外障子はそれぞれ金属材の室内側に樹脂材を配設した上框と下框と縦框及び召合せ框を方形状に框組みした框体にガラス体を納めてなる複合サッシにおいて、
上記框体は内周面に上記ガラス体を納めるガラス開口溝が形成され、上記上框と下框は両端部に上記縦框と召合せ框のガラス開口溝にそれぞれ差込固定される横連結部を有すると共に、中央部を上記金属材と樹脂材で、少なくとも1つの上記横連結部を上記金属材で構成し、該金属材で構成された上記横連結部にはその室内側面を覆う小口カバーが設けられて上記縦框または召合せ框と連結することを特徴として構成されている。
【0008】
また、本発明に係る複合サッシは、上記内障子の縦框と召合せ框は両端部に上記上框と下框を差込固定する縦連結部を有し、少なくとも1つの上記縦連結部は上記金属材で構成すると共に、該金属材で構成された上記縦連結部にはその室内露出面を覆う端部ブロックが設けられて上記上框または下框と連結することを特徴として構成されている。
【0009】
さらに、本発明に係る複合サッシは、上記内障子の端部ブロックは上記小口カバーの室内側面より室内側に配置され上記縦框または召合せ框の樹脂材の端部を覆う端部被覆部を有し、該端部被覆部は室外側に段部が形成され、上記内障子の小口カバーは室内側面に上記端部ブロックの段部に納められる突出面を有してなることを特徴として構成されている。
【0010】
さらにまた、本発明に係る複合サッシは、上記金属材で構成された横連結部は室内側面に嵌合孔を有し、上記小口カバーは室外側面に上記嵌合孔に嵌合する嵌合部を有してなることを特徴として構成されている。
【0011】
そして、本発明に係る複合サッシは、上記小口カバーは上記上框または下框の樹脂材の端面と当接する内側端面に弾性部を有し、該弾性部により上記樹脂材の端面を押圧することを特徴として構成されている。
【0012】
また、本発明に係る複合サッシは、上記内障子に設けられる小口カバーはその室内側面に上記弾性部を有した内側端面より突出させたカバー部を有してなることを特徴として構成されている。
【0013】
さらに、本発明に係る複合サッシは、上記外障子の縦框と召合せ框は上記金属材の略全長に渡って樹脂材が配設されてなり、該樹脂材の室内側面は上記小口カバーの室内側面より室内側に配置されて被覆することを特徴として構成されている。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る複合サッシによれば、上框と下框は両端部に縦框と召合せ框のガラス開口溝にそれぞれ差込固定される横連結部を有すると共に、中央部を金属材と樹脂材で、少なくとも1つの横連結部を金属材で構成し、その横連結部の金属材にはその室内側面を覆う小口カバーが設けられて縦框及び召合せ框と連結することにより、上下框の樹脂材の端部を小口カバーで構成することになり、樹脂材の端部加工を減らすことができるので、樹脂材の寸法精度を充分に確保することができる。
【0015】
また、本発明に係る複合サッシによれば、内障子の縦框と召合せ框は両端部に上框と下框を差込固定する縦連結部を有し、少なくとも1つの縦連結部は金属材で構成すると共に、金属材の室内露出面を覆う端部ブロックが設けられて上框及び下框と連結することにより、縦框についても端部を端部ブロックで構成することになり、樹脂材の端部加工を減らすことができるので、樹脂材の寸法精度を充分に確保することができる。
【0016】
さらに、本発明に係る複合サッシによれば、内障子の端部ブロックは小口カバーの室内側面より室内側に配置され縦框及び召合せ框の樹脂材の端部を覆う端部被覆部を有し、端部被覆部は室外側に段部が形成され、内障子の小口カバーは室内側面に端部ブロックの段部に納められる突出面を有してなることにより、端部ブロックの突出面によって端部ブロックの端部被覆部を外側から固定することができるので、端部ブロックの端部被覆部が樹脂材の変形等によりめくれることを防ぐことができる。
【0017】
さらにまた、本発明に係る複合サッシによれば、上框と下框の連結部は室内側面に嵌合孔を有し、小口カバーは室外側面に嵌合孔に嵌合する嵌合部を有してなることにより、小口カバーにより樹脂材を位置決め固定することができるので、樹脂材に対するカシメが不要となり、より樹脂材の寸法精度を高めることができる。
【0018】
そして、本発明に係る複合サッシによれば、小口カバーは上框と下框の樹脂材の端面と当接する内側端面に弾性部を有し、弾性部により樹脂材の端面を押圧することにより、樹脂材の寸法誤差をその両側で吸収することができる。
【0019】
また、本発明に係る複合サッシによれば、内障子に設けられる小口カバーはその室内側面に弾性部を有した内側端面より突出させたカバー部を有してなることにより、樹脂材が温度変化等により収縮し小口カバーとの間に隙間が生じても、それを室内側から見えないようにすることができる。
【0020】
さらに、本発明に係る複合サッシによれば、外障子の縦框と召合せ框は金属材の略全長に渡って樹脂材が配設されてなり、樹脂材の室内側面は小口カバーの室内側面より室内側に配置されて被覆することにより、外障子についても上下框と縦框及び召合せ框の樹脂材端部加工を減らすことができて、その寸法精度を充分に確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明の実施形態について、図面に沿って詳細に説明する。図1は、本実施形態における複合サッシの縦断面図である。図2は、本実施形態における複合サッシの横断面図である。これら各図に示すように本実施形態における複合サッシは、建物開口部に設けられる枠体1内に外障子4と内障子5を引き違い状に納めてなるものである。
【0022】
枠体1は、下枠10上枠20及び左右の縦枠30、30を方形状に枠組みしてなり、それが建物開口部に対して固定されている。枠体1は、その見込方向中間位置に四周に渡って設けられるフィン8が建物躯体に当接し、ビス止めされることで固定されている。すなわち、このサッシはいわゆる半外付けサッシである。また、金属下枠11の室内面下端部には、室内側に向かって突出する固定部11dが形成されており、この固定部11dも建物躯体に対してビス止めされる。
【0023】
各枠材は複合材から構成されており、したがって金属材からなる金属下枠11と金属上枠21及び左右の金属縦枠31、31を方形状に枠組みしてそれが建物躯体70に対して固定され、金属下枠11の室内側には樹脂下枠12を、金属上枠21の室内側には樹脂上枠22を、金属縦枠31の室内側には樹脂縦枠32を、それぞれ配設して構成される。
【0024】
下枠10の上面には、その長手方向略全長に渡って外レール11aと内レール11b及び網戸レール11cが形成されており、外レール11aは外障子4を、内レール11bは内障子5を、網戸レール11cは網戸6を、それぞれサッシの長手方向に案内する。また、上枠20の下面には、その長手方向略全長に渡って外レール25と内レール26及び網戸レール27が形成されている。これらは下枠10の各レールと対応した位置に形成されており、それぞれ外障子4と内障子5及び網戸6をサッシの長手方向に案内する。
【0025】
次に、外障子4と内障子5について説明する。これらの障子は、框40と上框50と縦框60及び召合せ框70とを方形状に框組みしてなる框体2の内部に、ガラス体3を納めてなるものである。そして、框体2は、室外側に金属材を配し、室内側に樹脂材を配した複合材からなるものである。
【0026】
下框40は、室外側の金属下框41と、その室内面に取付けられる樹脂下框42とから構成されている。下框40の上部は、長手方向略全長に渡って、グレチャン7を挟持しガラス体3を納めることができるように、凹形状とされた溝状のガラス開口溝45を形成している。ガラス開口部45の室外側は金属下框41、室内側は樹脂下框42により構成されている。また、ガラス開口部45の底面は室外側が金属下框41で、室内側が樹脂下框42で構成されている。下框40の下端部には戸車43が設けられて、枠体1内を走行自在となるようにされている。
【0027】
上框50は、室外側の金属上框51と、その室内面に取付けられる樹脂上框52とから構成されている。上框50の下部は、長手方向略全長に渡って、グレチャン7を挟持しガラス体3を納めることができるように、凹形状とされた溝状のガラス開口溝55を形成している。ガラス開口部55の室外側は金属上框51、室内側は樹脂上框52により構成されている。また、ガラス開口部55の底面は室外側が金属上框51で、室内側が樹脂上框52で構成されている。
【0028】
縦框60は、室外側の金属縦框61と、その室内面に取付けられる樹脂縦框62とから構成されている。縦框60の内周面は、長手方向略全長に渡って、グレチャン7を挟持しガラス体3を納めることができるように、凹形状とされた溝状のガラス開口溝65を形成している。召合せ框70も、室外側の金属召合せ框71と、その室内面に取付けられる樹脂召合せ框72とから構成されていて、内周面は長手方向略全長に渡って、グレチャン7を挟持しガラス体3を納めることができるように、凹形状とされた溝状のガラス開口溝75を形成している。
【0029】
内障子5の樹脂召合せ框72は、その室内面が金属召合せ框71の室内面と離隔するように形成され、召合せ框70が中空部を有し断熱性を有するように構成される。一方、外障子4の樹脂召合せ框72は、障子を閉じた状態では室内側に直接露出しないことから、意匠性を確保するために板状に形成されている。
【0030】
次に、内障子5を構成する各框の連結構造について説明する。図3には、内障子5を構成する框の分解斜視図を示している。この図に示すように、下框40は両端部に金属下框41のみから構成される横連結部46、46を有しており、一方の横連結部46は縦框60のガラス開口溝65に、他方の横連結部46は召合せ框70のガラス開口溝75に、それぞれ飲み込まれて連結される。樹脂下框42は、両端の横連結部46、46以外の領域である下框40の中央部に配置される。
【0031】
上框50も同様に、両端部に金属上框51のみから構成される横連結部56、56を有し、一方は縦框60のガラス開口溝65に、他方は召合せ框70のガラス開口溝75に、それぞれ飲み込まれて連結される。樹脂上框52は、両端の横連結部56、56以外の領域である上框50の中央部に配置される。
【0032】
縦框60は、上下端部が金属縦框61のみからなる縦連結部66、66として構成されている。この縦連結部66に対して下框40の横連結部46及び上框50の横連結部56が連結される。また、召合せ框70も、上下端部が金属召合せ框71のみからなる縦連結部76、76として構成されている。この縦連結部76に対して下框40の横連結部46及び上框50の横連結部56が連結される。
【0033】
図4には、内障子5を構成する各框について、カバー及びキャップを取付けた状態の分解斜視図を示している。下框40の横連結部46と上框50の横連結部56には、その室内側面を覆うようにそれぞれ内小口カバー80が設けられる。また、縦框60の下框40との縦連結部66には、その室内側面を覆うように下端ブロック82が設けられ、召合せ框70の下框40との縦連結部66には、その室内側面を覆うように下端キャップ83が設けられる。なお、召合せ框70下端面には、下端キャップ83より室外側から召合せ框70の側面にかけて下端ワイパー84が設けられる。下端ワイパー84の室外端部には、軟質樹脂からなるヒレ部84aが形成されており、これが外障子4の召合せ框70に当接することで、外障子4と内障子5の下端部における気密性を確保している。
【0034】
縦框60の上框50との縦連結部66には、その室内側面を覆うように上端ブロック85が設けられ、召合せ框70の縦連結部76には、その室内側面を覆うように上端キャップ86が設けられる。なお、召合せ框70の上端面には、上端キャップ86より室外側に上端ブロック85が設けられる。
【0035】
下框40に内小口カバー80を設けることなく、樹脂下框42を金属下框41の横連結部46まで設ける場合、図4に示す内小口カバー80の上方部分について樹脂下框42を切り欠く端部加工が必要となる。これに対して内小口カバー80を横連結部46に設けると、樹脂下框42に対する端部加工が不要となる。上框50についても同様に樹脂上框52に対する端部加工が不要となる。このように、横連結部46、56には内小口カバー80が設けられることにより、樹脂下框42及び樹脂上框52は端部を切欠くなどの加工を必要としないため、寸法精度を充分に確保することができる。
【0036】
内小口カバー80についてより詳細に説明する。図5には、上框50の縦框60との横連結部56に取付けられる内小口カバー80の斜視図を示している。内小口カバー80は、室外側面に突起状の嵌合部80aを有し、樹脂上框52側の側面の上下部にはそれぞれ弾性状に形成された突起として弾性部80bを有している。図3に示すように、金属上框51の横連結部56には、室内側面に嵌合孔57が形成されており、内小口カバー80の嵌合部80aが嵌合して内小口カバー80を上框50に対して位置決め固定する。下框40についても同様で、金属下框41の横連結部46には、室内側面に嵌合孔47が形成されていて、内小口カバー80の嵌合部80aが嵌合する。
【0037】
また、上下の弾性部80b、80b間の室内側面は、樹脂上框52側にやや突出するように形成されてカバー部80cを構成している。さらに、室内側面の中央よりやや下方には、室内側に向かって突出する突出面80dが形成されている。この突出面80dより上方の室内側面が上框50と縦框60が連結された際に室内側に露出する。
【0038】
図6には、内小口カバー80を上框50に取付けた状態における室内側から見た拡大正面図を示している。内小口カバー80は上述のように金属上框51の横連結部56の室内側面を略覆うように設けられる。室外側面に設けられる嵌合部80aは、上框50の端部側に配置されていて、これが金属上框51の嵌合孔57に嵌合し固定されている。
【0039】
内小口カバー80の弾性部80bは、樹脂上框52の端面に当接し、これを内側に向かって押圧付勢した状態とする。樹脂上框52の他端部においても同様に、内小口カバー80の弾性部80bにより樹脂上框52が内側に向かって押圧付勢される。これにより、樹脂上框52の寸法誤差を吸収することができる。
【0040】
さらに、内小口カバー80のカバー部80cにより、樹脂上框52の端部を室内側から覆うようにしている。これにより、樹脂上框52が温度変化などにより寸法変化して内小口カバー80の端面との間に隙間が生じても、それが室内側に露出しないようにすることができて、意匠性の高いサッシとすることができる。なお、下框40においても、同様の構造により隙間が室内側に露出しないようにしている。
【0041】
図7には、内障子5を構成する召合せ框70の上端に設けられる上端キャップ86の室外側から見た斜視図を示している。上端キャップ86は、内小口カバー80の室内側面より室内側に配置され、樹脂召合せ框72の上縁を覆う端部被覆部86aを有し、その上面室外側には段部86bが形成されている。内小口カバー80の突出面80dは、この段部86bに納められるように配置される。上端ブロック85や下端ブロック82及び下端キャップ83にも、同様に端部被覆部及び段部が形成されており、段部には内小口カバー80の突出面80dが配置される。
【0042】
図8には、組立てられた内障子5の斜視図を、図9には、組立てられた内障子5の正面図を、それぞれ示している。これらの図に示すように、下框40と上框50の横連結部46、56は内小口カバー80により覆われ、また縦框60と召合せ框70の縦連結部66、76は下端ブロック82と下端キャップ83、上端ブロック85及び上端キャップ86により覆われており、室内側に露出しないようにされている。
【0043】
上端キャップ86は、上述のように段部86bを内小口カバー80の突出面80dにより覆われている。これによって、端部被覆部86aがめくれることを防止している。また、上端ブロック85も同様に端部被覆部85aが内小口カバー80の突出面80dに当接し、さらに下端ブロック82及び下端キャップ83も同様に端部被覆部82a、83aがそれぞれ内小口カバー80の突出面80dに当接し、端部被覆部85a、82a、83aがめくれることを防止している。
【0044】
次に、外障子4を構成する各框の連結構造について説明する。図10には、外障子4を構成する框の分解斜視図を示している。この図に示すように、外障子4においても下框40は両端部に横連結部46、46を有し、一方の横連結部46は縦框60のガラス開口溝65に、他方の横連結部46は召合せ框70のガラス開口溝75に、それぞれ飲み込まれて連結される。樹脂下框42は、両端の横連結部46、46以外の領域である下框40の中央部に配置される。また、樹脂下框42の一端部には、端面から長方形状に切り欠かれた挿入孔48が形成されている。この挿入孔48には、内外障子のストッパとして機能する簡易ロック部44が取付けられる。
【0045】
上框50も同様に、両端部に横連結部56、56を有し、一方は縦框60のガラス開口溝65に、他方は召合せ框70のガラス開口溝75に、それぞれ飲み込まれて連結される。樹脂上框52は、両端の横連結部56、56以外の領域である上框50の中央部に配置される。
【0046】
縦框60は、樹脂縦框62が金属縦框61の略全長に渡って設けられている。すなわち、樹脂縦框62は縦框60の縦連結部66も構成している。召合せ框70についても、樹脂召合せ框72が縦連結部76を含む召合せ框70の略全長に渡って設けられている。外障子4は内障子5と異なり上下に段部を有しておらず、端部を切り欠き等する必要がないため、樹脂縦框62や樹脂召合せ框72を縦框60や召合せ框70の略全長に渡って設けても端部加工の必要がほとんどない。
【0047】
図11には、外障子4を構成する框に外小口カバー81及び端部カバーを取付けた状態の分解斜視図を示している。下框40と上框50には、内障子5の場合と同様に外小口カバー81が横連結部46、56にそれぞれ設けられる。また、縦框60と召合せ框70には、それぞれ上端ブロック85と下端ブロック82が設けられる。樹脂下框42の挿入孔48には、内部にシーソー部44aを納めた簡易ロック部44が端部からスライド状に挿入され取付けられる。横連結部46に外小口カバー81を設けることとしたので、樹脂下框42の挿入孔48は端部と連通させることができ、簡易ロック部44を挿入孔48に対して容易に挿入固定することができる。
【0048】
外小口カバー81については、その斜視図を図12に示している。外小口カバー81は、図12に図示した面の反対側に嵌合部81aを有し、また内小口カバー80と同様に側面には弾性部81bを有している。弾性部80bは内小口カバー80と同様、樹脂下框42及び樹脂上框52の側面をそれぞれ両側から内側に向かって押圧付勢する。ただし、外小口カバー81は内小口カバー80と異なり室内側に露出しないブロック状に形成されている。
【0049】
図13には、組立てられた外障子4の斜視図を、図14には、組立てられた外障子4の正面図を、それぞれ示している。これらの図に示すように、外小口カバー81は縦連結部66、76まで設けられた樹脂縦框62及び樹脂召合せ框72によって覆われており、室内側には露出しない。また、下端ブロック82及び上端ブロック85も縦框60及び召合せ框70の上下端面をそれぞれ覆うもので、召合せ框70の下端ブロック82に形成されるヒレ部82a以外は室内側に露出しない。
【0050】
このように、外障子4については、下框40と上框50の横連結部46、56に外小口カバー81を設けた上で、縦框60と召合せ框70の縦連結部76で覆うように連結することにより、下框40と上框50について内障子5と同様に樹脂材の端部加工を要しないようにすることができる。
【0051】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の適用は本実施形態には限られず、その技術的思想の範囲内において様々に適用されうるものである。例えば、本実施形態では、下框40と上框50の各両端部を金属材のみからなる横連結部46、56として、それぞれに内小口カバー80または外小口カバー81を設けているが、全ての横連結部46、56をこのように構成する必要はなく、上框50の横連結部56のみ、あるいは召合せ框70と連結する横連結部46、56のみ、ないし1か所のみに小口カバーを設ける構成とすることもできる。また、縦框60と召合せ框70についても、少なくとも1か所について金属材のみからなる縦連結部66、76として、それを被覆する下端ブロック82等を設けるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本実施形態における複合サッシの縦断面図である。
【図2】本実施形態における複合サッシの横断面図である。
【図3】内障子を構成する框の分解斜視図である。
【図4】内障子を構成する框に小口カバー及び端部カバーを取付けた状態の分解斜視図である。
【図5】内障子用の小口カバーの斜視図である。
【図6】小口カバーを上框に取付けた状態の拡大正面図である。
【図7】内障子召合せ框の上端キャップを室外側から見た斜視図である。
【図8】組立てられた内障子の斜視図である。
【図9】組立てられた内障子の正面図である。
【図10】外障子を構成する框の分解斜視図である。
【図11】外障子を構成する框に小口カバー及び端部カバーを取付けた状態の分解斜視図である。
【図12】外障子用の小口カバーの斜視図である。
【図13】組立てられた外障子の斜視図である。
【図14】組立てられた外障子の正面図である。
【符号の説明】
【0053】
1 枠体
2 框体
3 ガラス体
4 外障子
5 内障子
10 下枠
20 上枠
30 縦枠
40 下框
41 金属下框
42 樹脂下框
45 ガラス開口溝
46 横連結部
47 嵌合孔
50 上框
51 金属上框
52 樹脂上框
55 ガラス開口溝
56 横連結部
57 嵌合孔
60 縦框
61 金属縦框
62 樹脂縦框
65 ガラス開口溝
66 縦連結部
70 召合せ框
71 金属召合せ框
72 樹脂召合せ框
75 ガラス開口溝
76 縦連結部
80 内小口カバー
81 外小口カバー
82 下端ブロック
83 下端キャップ
84 下端ワイパー
85 上端ブロック
86 上端キャップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物開口部に方形状の枠体を設け、該枠体の内部に内障子と外障子とを引き違い状に納めてなり、該内障子と外障子はそれぞれ金属材の室内側に樹脂材を配設した上框と下框と縦框及び召合せ框を方形状に框組みした框体にガラス体を納めてなる複合サッシにおいて、
上記框体は内周面に上記ガラス体を納めるガラス開口溝が形成され、上記上框と下框は両端部に上記縦框と召合せ框のガラス開口溝にそれぞれ差込固定される横連結部を有すると共に、中央部を上記金属材と樹脂材で、少なくとも1つの上記横連結部を上記金属材で構成し、該金属材で構成された上記横連結部にはその室内側面を覆う小口カバーが設けられて上記縦框または召合せ框と連結することを特徴とする複合サッシ。
【請求項2】
上記内障子の縦框と召合せ框は両端部に上記上框と下框を差込固定する縦連結部を有し、少なくとも1つの上記縦連結部は上記金属材で構成すると共に、該金属材で構成された上記縦連結部にはその室内露出面を覆う端部ブロックが設けられて上記上框または下框と連結することを特徴とする請求項1記載の複合サッシ。
【請求項3】
上記内障子の端部ブロックは上記小口カバーの室内側面より室内側に配置され上記縦框または召合せ框の樹脂材の端部を覆う端部被覆部を有し、該端部被覆部は室外側に段部が形成され、上記内障子の小口カバーは室内側面に上記端部ブロックの段部に納められる突出面を有してなることを特徴とする請求項2記載の複合サッシ。
【請求項4】
上記金属材で構成された横連結部は室内側面に嵌合孔を有し、上記小口カバーは室外側面に上記嵌合孔に嵌合する嵌合部を有してなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の複合サッシ。
【請求項5】
上記小口カバーは上記上框または下框の樹脂材の端面と当接する内側端面に弾性部を有し、該弾性部により上記樹脂材の端面を押圧することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の複合サッシ。
【請求項6】
上記内障子に設けられる小口カバーはその室内側面に上記弾性部を有した内側端面より突出させたカバー部を有してなることを特徴とする請求項5記載の複合サッシ。
【請求項7】
上記外障子の縦框と召合せ框は上記金属材の略全長に渡って樹脂材が配設されてなり、該樹脂材の室内側面は上記小口カバーの室内側面より室内側に配置されて被覆することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の複合サッシ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2006−291478(P2006−291478A)
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−110209(P2005−110209)
【出願日】平成17年4月6日(2005.4.6)
【出願人】(000191065)新日軽株式会社 (545)
【Fターム(参考)】