複合パネルの取り付け方法及び複合パネル
【課題】複合パネルを軸組に取り付ける際の断熱パネルの圧壊を防止する。
【解決手段】複合パネル1を建物の軸組Aに取り付ける際に、外壁パネル10の裏面の下部領域10aに断熱パネル11の下部断熱パネル30が取り付けられた状態で、外壁パネル10の上部領域10bに吊りベルト40が巻き付けられる。その後、吊りベルト40により外壁パネル10が吊り上げられて移動され、軸組Aの下部取り付け部50に置かれる。次に、吊りベルト40が取り外される。次に、外壁パネル10の裏面の上部領域10bに、断熱パネル11の上部断熱パネル31が取り付けられる。次に外壁パネル10の下部ボルト20及び上部ボルト21が軸組Aの下部取り付け部50と上部取り付け部60に固定される。
【解決手段】複合パネル1を建物の軸組Aに取り付ける際に、外壁パネル10の裏面の下部領域10aに断熱パネル11の下部断熱パネル30が取り付けられた状態で、外壁パネル10の上部領域10bに吊りベルト40が巻き付けられる。その後、吊りベルト40により外壁パネル10が吊り上げられて移動され、軸組Aの下部取り付け部50に置かれる。次に、吊りベルト40が取り外される。次に、外壁パネル10の裏面の上部領域10bに、断熱パネル11の上部断熱パネル31が取り付けられる。次に外壁パネル10の下部ボルト20及び上部ボルト21が軸組Aの下部取り付け部50と上部取り付け部60に固定される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外壁パネルと断熱パネルとを有する複合パネルの取り付け方法及び複合パネルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、柱梁等の軸組に鉄骨部材を用いた鉄骨造建物において、外壁パネル裏面に沿って断熱材を配置することが行われている。
【0003】
この際、熱橋による断熱性の低下を防止する為に、外壁パネルが軸組を構成する柱や梁などと近接する部位も含め全面的に軸組の外側に断熱層を構成する(すなわち外貼り断熱工法とする)のが好ましい。
【0004】
一般に断熱材は繊維質材料や発泡性材料からなり、圧縮強度が低い。従って、スチール等金属製の枠体の中に断熱材を充填し断熱材に圧縮力が作用しないようにする工法が提案されている(例えば特許文献1、2)。
【0005】
しかしながら、このような枠体を設ける工法では、枠体が熱橋を形成してしまうという問題や、枠体の使用がコスト増に繋がるという問題がある。
【0006】
一方、本件出願人は、特許文献3において、枠体を用いることなく外貼り断熱工法を実現する、軸組への断熱材の取付構造を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平7−286404号公報
【特許文献2】特開平10−121649号公報
【特許文献3】特開2005−036583号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記断熱材の取付構造の施工では、予め工場等で外壁パネルと断熱パネルとを一体化し複合パネルを形成しておき、建築現場にて、複合パネルに吊りベルトを巻き付け、クレーンで吊り上げて、建物の軸組に取り付けるという工法が考えられる。このような複合パネル単位で取り付ける工法は、現場作業の省力化と品質の均一を図る上で有効である。しかしながら、この工法を採用した場合、複合パネルを吊り上げた際にクレーンのベルトで断熱パネルの側端部が押しつぶされ圧壊する恐れがある。
【0009】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、複合パネルを軸組に取り付ける方法において、断熱パネルの圧壊を防止することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するための本発明は、外壁パネルと、当該外壁パネルの裏面を覆う断熱パネルを有する複合パネルを建物の軸組に取り付ける方法であって、前記外壁パネルの裏面における前記軸組に固定するための下部固定部を含む下部領域に、前記断熱パネルが分割されて形成された下部断熱パネルが取り付けられた状態で、前記外壁パネルの前記下部断熱パネルが取り付けられていない部分に吊りベルトを巻き付ける工程と、前記吊りベルトにより前記外壁パネルを吊り上げて移動させ、前記軸組の下部取り付け部に置く工程と、前記吊りベルトを取り外す工程と、前記外壁パネルの裏面における前記軸組に固定するための上部固定部を含み前記下部断熱パネルが取り付けられていない上部領域に、前記断熱パネルが分割されて形成された上部断熱パネルを取り付ける工程と、前記外壁パネルの前記下部固定部及び前記上部固定部を前記軸組の下部取り付け部及び上部取り付け部に固定する工程と、を有する。
【0011】
本発明によれば、外壁パネルを吊り上げる際に、吊りベルトを断熱パネルに巻き付けないので、断熱パネルの圧壊を防止できる。また、外壁パネルを吊り上げる前に、外壁パネルに下部断熱パネルが取り付けられているので、複合パネルの軸組への取り付け作業が簡単になる。
【0012】
前記上部断熱パネルの前記外壁パネルへの取り付け時には、前記上部断熱パネルに形成された貫通孔を、前記外壁パネルの上部固定部のボルトに挿入することによって上部断熱パネルを位置決めするようにしてもよい。かかる場合、外壁パネルの裏面への断熱パネルの位置決め作業が容易になる。
【0013】
また、前記断熱パネルは、前記下部断熱パネル、前記上部断熱パネル、及び中間断熱パネルに分割されており、前記中間断熱パネルを、前記外壁パネルを前記軸組に固定した後に、前記外壁パネルに取り付けるようにしてもよい。かかる場合、軸組への取り付けが行われる上部断熱パネルや下部断熱パネルの寸法を小さくすることができるので、例えば高所の不安定な場所での取り付け作業を速やかに行うことができる。
【0014】
別の観点による本発明は、建物の軸組に取り付けられ、外壁パネルと当該外壁パネルの裏面を覆う断熱パネルとからなる複合パネルであって、前記断熱パネルが少なくとも、前記外壁パネルの裏面における前記軸組に固定するための下部固定部を含む下部領域を覆う下部断熱パネルと、前記外壁パネルの裏面における前記軸組に固定するための上部固定部を含む上部領域を覆う上部断熱パネルに分割され、少なくとも前記上部断熱パネルが前記外壁パネルに着脱自在である。
【0015】
本発明によれば、複合パネルの軸組への取り付け作業において外壁パネルを吊り上げる際に、上部断熱パネルを外してできた外壁パネルの裏面が露出した部分に吊りベルトを巻き付けることができる。よって、外壁パネルの吊り上げの際に吊りベルトを断熱パネルに巻き付けなくてよいので、断熱パネルの圧壊を防止できる。
【0016】
別の観点による本発明は、建物の軸組に取り付けられ、外壁パネルと当該外壁パネルの裏面を覆う断熱パネルとを有する複合パネルであって、前記断熱パネルが少なくとも、前記外壁パネルの裏面における前記軸組に固定するための下部固定部を含む下部領域を覆う下部断熱パネルと、前記外壁パネルの裏面における前記軸組に固定するための上部固定部を含む上部領域を覆う上部断熱パネルと、前記外壁パネルの裏面における前記軸組に固定するための固定部を有さない、前記下部領域と上部領域の間の中間領域を覆う中間断熱パネルに分割され、少なくとも前記上部断熱パネル又は前記中間断熱パネルのいずれかが前記外壁パネルに対し着脱自在である。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、断熱パネルの圧壊が防止されるため、均質で質の高い外壁を有する建物を建築できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】(a)は、複合パネルの正面図であり、(b)は、複合パネルの側面図である。
【図2】外壁パネルに上部断熱パネルと下部断熱パネルを取り付ける様子を示す複合パネルの説明図である。
【図3】外壁パネルに下部断熱パネルを取り付けた様子を示す複合パネルの説明図である。
【図4】外壁パネルの上部領域に吊りベルトを巻き付けた様子を示す複合パネルの説明図である。
【図5】軸組の外壁パネル支持部で支持させた様子を示す複合パネルの説明図である。
【図6】外壁パネルに上部断熱パネルを取り付けた様子を示す複合パネルの説明図である。
【図7】外壁パネルを軸組に取り付けた様子を示す複合パネルの説明図である。
【図8】複合パネルが並べて設けられた壁面を示す説明図である。
【図9】(a)は、断熱パネルが3分割されている複合パネルの正面図であり、(b)は、複合パネルの側面図である。
【図10】外壁パネルに下部断熱パネルを取り付けた様子を示す複合パネルの説明図である。
【図11】外壁パネルの上部領域に吊下げベルトを巻き付けて軸組の下部取り付け部に置いた様子を示す複合パネルの説明図である。
【図12】外壁パネルに上部断熱パネルを取り付けた様子を示す複合パネルの説明図である。
【図13】外壁パネルを軸組に取り付けた様子を示す複合パネルの説明図である。
【図14】中間断熱パネルを取り付けた様子を示す複合パネルの説明図である。
【図15】複合パネルが並べて設けられた壁面を示す説明図である。
【図16】寸法の異なる中間断熱パネルが取り付けられた複合パネルの壁面を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して、本発明の好ましい実施の形態について説明する。図1は、本実施の形態に係る複合パネル1の構成の概略を示す説明図である。図1(a)は、複合パネル1の正面図であり、図1(b)は、複合パネル1の側面図である。
【0020】
本実施形態における建物は、例えば305mmの平面モジュールMを有する鉄骨造の工業化住宅である。複合パネル1は、建物の柱梁などからなる軸組に複数連接するように取り付けられ、建物の壁面を構成する。複合パネル1は、外壁パネル10と、外壁パネル10の裏面の全面を覆う断熱パネル11を有している。
【0021】
外壁パネル10は、例えば軽量気泡コンクリートからなる。例えば外壁パネル10の長さは、階高(下部梁天端から上部梁天端までの寸法)にほぼ等しく、幅寸法は基本的にM×1(305mm)とM×2(610mm)の2種類ある。
【0022】
外壁パネル10の裏面には、建物の軸組に固定するための下部固定部としての下部ボルト20と、上部固定部としての上部ボルト21が取り付けられている。下部ボルト20及び上部ボルト21は、外壁パネル10の裏面に対して垂直方向に立設されている。下部ボルト20及び上部ボルト21は、外壁パネル10に埋め込まれた埋め込みナット(図示せず)にねじ込まれて固定されている。
【0023】
断熱パネル11は、例えばフェノール樹脂発泡体(フェノールフォーム)の両面にポリエステル不織布を張り合わせたものである。断熱パネル11の全体の幅寸法及び高さ寸法は、外壁パネル10の幅寸法及び高さ寸法とほぼ等しく対応している。
【0024】
断熱パネル11は、例えば下部断熱パネル30と上部断熱パネル31に2分割されている。下部断熱パネル30は、外壁パネル10の裏面の下部ボルト20を含む下部領域10aを覆い、上部断熱パネル31は、外壁パネル10の裏面の上部ボルト21を含む上部領域10bを覆っている。
【0025】
図2に示すように下部断熱パネル30と上部断熱パネル31には、それぞれ下部ボルト20、上部ボルト21が通る貫通孔32、33が設けられている。下部断熱パネル30と上部断熱パネル31は、貫通孔32、33を下部ボルト20や上部ボルト21に嵌め込むことにより、外壁パネル10の裏面の所定位置に保持される。なお、貫通孔32と下部ボルト20の間や、貫通孔33と上部ボルト21の間に、断熱パネル11の厚みより長く外壁パネル10の裏面に当接する円筒形のスペーサを設けて、外壁パネル10から断熱パネル11に伝わる圧力を低減してもよい。また、下部ボル20や上部ボルト21には、中間部に鍔を有し鍔の前後でネジの切り方が逆となっている特殊な固定ボルト(トルクレスボルト)を用いてもよく、かかる場合当該鍔を外壁パネル10の裏面に接触するようにねじ入れ、当該鍔と後述のナット71で断熱パネル30、31及び裏当てプレート70を挟むようにしてもよい。
【0026】
このように構成された外壁パネル10と断熱パネル11からなる複合パネル1は、建物の軸組に対し上下左右に並べられて取り付けられる。
【0027】
次に、複合パネル1の軸組への取り付け方法について説明する。
【0028】
先ず、例えば建築現場の空地や搬送用トラックの荷台等に裏面を上にした状態で置かれた外壁パネル10の下部領域10aに、例えば図3に示すように、下部ボルト20と上部ボルト21を取り付け、更に外壁パネル10の裏面に下部断熱パネル31を取り付ける。なお、工場等において、予め外壁パネル10に下部ボルト20、上部ボルト21、下部断熱パネル30の全てあるいは一部を取り付けておいてもよく、また、上部断熱パネル31も含めて取り付けておき、建築現場において、上部断熱パネル31を取り外してもよい。
【0029】
続いて、図4に示すようにクレーン用の吊りベルト(ナイロン等の合成繊維からなるスリングベルト)40を、上部断熱パネル31が取り付けられていない外壁パネル10の上部領域10bに巻きつける。その後、クレーンのフックに吊りベルト40のリング状の端部を引っ掛けて外壁パネル10を吊り上げる。そして、外壁パネル10を、図5に示すように所定の位置まで移動させ、下部梁の上フランジに固定された下部取り付け部50(外壁パネル1の荷重を支持するとともに高さ方向位置を規定する水平片50aと外壁パネル10の下端部の厚さ方向位置を規定する鉛直片50bとを有する)の水平片(外壁パネル支持部)50a上に置き支持させる。このとき、外壁パネル10の上部は、上部梁と離隔した状態(斜めの状態)を維持する。
【0030】
その後、外壁パネル10が作業員等の他の支持手段で支えられた状態で、図6に示すように吊りベルト40を取り外す。そして、外壁パネル10の上部領域10bに上部断熱パネル31を取り付ける。このとき、上部断熱パネル31の貫通孔33を上部ボルト21に嵌め込んで、上部断熱パネル31を位置決めも行う。
【0031】
その後、図7に示すように断熱パネル11(下部断熱パネル30と上部断熱パネル31)が取り付けられた外壁パネル10を起立させ、軸組Aの下部取り付け部50の鉛直片50bと上部梁の下フランジに固定された上部取り付け部60(複合パネル1の上部側の厚さ方向位置を規定する鉛直片60aを有する)の鉛直片60aに、断熱パネル11を当接させる。次に、鉛直片50bを挟んだ状態で、裏当てプレート70を下部ボルト20に挿入し、その外側からナット71を下部ボルト20にねじ入れて締め付ける。また、鉛直片60aを挟んだ状態で、裏当てプレート72を上部ボルト21に挿入し、その外側からナット73を上部ボルト21にねじ入れて締め付ける。こうして、複合パネル1が軸組Aに固定される。
【0032】
図8に示すように複数の複合パネル1を順次軸組Aに取り付け、建物の壁面を形成する。
【0033】
以上の実施の形態によれば、外壁パネル10を吊り上げて軸組Aに搬送する際に、外壁パネル10の裏面の上部断熱パネル31のない上部領域10bに吊りベルト40を巻き付けているので、断熱パネル11が圧壊することが防止される。また、軸組Aに搬送される前に、外壁パネル10に下部断熱パネル30を取り付けておくので、高所での不安定な状態での取り付け作業が減り、複合パネル1の軸組Aへの取り付け作業を安全且つ速やかに行うことができる。
【0034】
また、上部断熱パネル31の外壁パネル10への取り付け時には、上部断熱パネル31の貫通孔33を外壁パネル10の上部ボルト21に挿入することによって上部断熱パネル31を位置決めするようにしている。このため、外壁パネル10の裏面における上部断熱パネル31の位置決めを容易に行うことができる。
【0035】
以上の実施の形態では、断熱パネル11が2つに分割されていたが、3つに分割されていてもよい。かかる場合、例えば図9に示すように断熱パネル11が、下部断熱パネル30、上部断熱パネル31、及び中間断熱パネル80に分割されている。中間断熱パネル80は、外壁パネル10の裏面のボルト20、21がない中間領域10cに取り付け自在である。なお、中間断熱パネル80がある分、下部断熱パネル30と上部断熱パネル31の高さ寸法が小さくなっている。
【0036】
かかる場合の複合パネル1の取り付け作業では、先ず、図10に示すように上記実施の形態と同様に下部ボルト20と上部ボルト21を取り付けた外壁パネル10に、下部断熱パネル30を取り付ける。
【0037】
次に、図11に示すようにクレーン用の吊りベルト40を、外壁パネル10の上部断熱パネル31及び中間断熱パネル80が取り付けられていない上部領域10b又は中間領域10cに巻きつける。その後、上記実施の形態と同様に、クレーンのフックに吊りベルト40の端部を引っ掛けて外壁パネル10を吊り上げ、所定位置まで移動させ、下部取り付け部50の水平片50a上に置き支持させる。
【0038】
その後、上記実施の形態と同様に外壁パネル10を作業員等の他の支持手段で支えた状態で、図12に示すように吊りベルト40を取り外し、外壁パネル10の上部領域10bに上部断熱パネル31を取り付ける。
【0039】
次に、図13に示すように下部断熱パネル30と上部断熱パネル31を取り付けた外壁パネル10を起立させ、外壁パネル10を軸組Aに対し上記実施の形態と同様に下部断熱パネル30及び上部断熱パネル31を介して固定する。その後、図14に示すように中間断熱パネル80を外壁パネル10の中間領域10cに嵌め込むことで、複合パネル1が軸組Aに取り付けられる。
【0040】
図15に示すように複数の複合パネル1を順次軸組Aに取り付け、建物の壁面が形成される。
【0041】
本実施の形態によれば、断熱パネル11を3つに分割することにより、下部断熱パネル30と上部断熱パネル31の高さ寸法を小さくすることができ、不安定な場所での軸組Aへの下部断熱パネル30や上部断熱パネル31の取り付け作業を安全且つ速やかに行うことができる。
【0042】
また、中間断熱パネル80は、ボルト20、21等の固定部分がない分、着脱が容易になるため、例えば断熱パネル11の交換を簡単に行うことができる。また、図16に示すように複合パネル1が並べられた場合に、隣同士の複合パネル1に亘って中間断熱パネル80を渡すこともでき、例えば寸法の大きな中間断熱パネル80を用いて作業性を向上させることも可能になる。
【0043】
なお、本実施の形態において、中間断熱パネル80がさらに複数に分割され、断熱パネル11全体が4つ以上に分割されていてもよい。
【0044】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0045】
例えば以上の実施の形態において、外壁パネル10と、軸組Aの取り付け部50、60との固定手段は、他の手段を用いてもよい。また、以上の実施の形態では、外壁パネル10に対し下部断熱パネル30と上部断熱パネル31が着脱自在であったが、少なくとも上部断熱パネル31が着脱自在であればよい。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、複合パネルを軸組に取り付ける際の断熱パネルの圧壊を防止する際に有用である。
【符号の説明】
【0047】
1 複合パネル
10 外壁パネル
11 断熱パネル
20 下部ボルト
21 上部ボルト
30 下部断熱パネル
31 上部断熱パネル
32、33 貫通孔
40 吊りベルト
50 下部取り付け部
60 上部取り付け部
70、72 裏当てプレート
71、73 ナット
A 軸組
【技術分野】
【0001】
本発明は、外壁パネルと断熱パネルとを有する複合パネルの取り付け方法及び複合パネルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、柱梁等の軸組に鉄骨部材を用いた鉄骨造建物において、外壁パネル裏面に沿って断熱材を配置することが行われている。
【0003】
この際、熱橋による断熱性の低下を防止する為に、外壁パネルが軸組を構成する柱や梁などと近接する部位も含め全面的に軸組の外側に断熱層を構成する(すなわち外貼り断熱工法とする)のが好ましい。
【0004】
一般に断熱材は繊維質材料や発泡性材料からなり、圧縮強度が低い。従って、スチール等金属製の枠体の中に断熱材を充填し断熱材に圧縮力が作用しないようにする工法が提案されている(例えば特許文献1、2)。
【0005】
しかしながら、このような枠体を設ける工法では、枠体が熱橋を形成してしまうという問題や、枠体の使用がコスト増に繋がるという問題がある。
【0006】
一方、本件出願人は、特許文献3において、枠体を用いることなく外貼り断熱工法を実現する、軸組への断熱材の取付構造を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平7−286404号公報
【特許文献2】特開平10−121649号公報
【特許文献3】特開2005−036583号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記断熱材の取付構造の施工では、予め工場等で外壁パネルと断熱パネルとを一体化し複合パネルを形成しておき、建築現場にて、複合パネルに吊りベルトを巻き付け、クレーンで吊り上げて、建物の軸組に取り付けるという工法が考えられる。このような複合パネル単位で取り付ける工法は、現場作業の省力化と品質の均一を図る上で有効である。しかしながら、この工法を採用した場合、複合パネルを吊り上げた際にクレーンのベルトで断熱パネルの側端部が押しつぶされ圧壊する恐れがある。
【0009】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、複合パネルを軸組に取り付ける方法において、断熱パネルの圧壊を防止することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するための本発明は、外壁パネルと、当該外壁パネルの裏面を覆う断熱パネルを有する複合パネルを建物の軸組に取り付ける方法であって、前記外壁パネルの裏面における前記軸組に固定するための下部固定部を含む下部領域に、前記断熱パネルが分割されて形成された下部断熱パネルが取り付けられた状態で、前記外壁パネルの前記下部断熱パネルが取り付けられていない部分に吊りベルトを巻き付ける工程と、前記吊りベルトにより前記外壁パネルを吊り上げて移動させ、前記軸組の下部取り付け部に置く工程と、前記吊りベルトを取り外す工程と、前記外壁パネルの裏面における前記軸組に固定するための上部固定部を含み前記下部断熱パネルが取り付けられていない上部領域に、前記断熱パネルが分割されて形成された上部断熱パネルを取り付ける工程と、前記外壁パネルの前記下部固定部及び前記上部固定部を前記軸組の下部取り付け部及び上部取り付け部に固定する工程と、を有する。
【0011】
本発明によれば、外壁パネルを吊り上げる際に、吊りベルトを断熱パネルに巻き付けないので、断熱パネルの圧壊を防止できる。また、外壁パネルを吊り上げる前に、外壁パネルに下部断熱パネルが取り付けられているので、複合パネルの軸組への取り付け作業が簡単になる。
【0012】
前記上部断熱パネルの前記外壁パネルへの取り付け時には、前記上部断熱パネルに形成された貫通孔を、前記外壁パネルの上部固定部のボルトに挿入することによって上部断熱パネルを位置決めするようにしてもよい。かかる場合、外壁パネルの裏面への断熱パネルの位置決め作業が容易になる。
【0013】
また、前記断熱パネルは、前記下部断熱パネル、前記上部断熱パネル、及び中間断熱パネルに分割されており、前記中間断熱パネルを、前記外壁パネルを前記軸組に固定した後に、前記外壁パネルに取り付けるようにしてもよい。かかる場合、軸組への取り付けが行われる上部断熱パネルや下部断熱パネルの寸法を小さくすることができるので、例えば高所の不安定な場所での取り付け作業を速やかに行うことができる。
【0014】
別の観点による本発明は、建物の軸組に取り付けられ、外壁パネルと当該外壁パネルの裏面を覆う断熱パネルとからなる複合パネルであって、前記断熱パネルが少なくとも、前記外壁パネルの裏面における前記軸組に固定するための下部固定部を含む下部領域を覆う下部断熱パネルと、前記外壁パネルの裏面における前記軸組に固定するための上部固定部を含む上部領域を覆う上部断熱パネルに分割され、少なくとも前記上部断熱パネルが前記外壁パネルに着脱自在である。
【0015】
本発明によれば、複合パネルの軸組への取り付け作業において外壁パネルを吊り上げる際に、上部断熱パネルを外してできた外壁パネルの裏面が露出した部分に吊りベルトを巻き付けることができる。よって、外壁パネルの吊り上げの際に吊りベルトを断熱パネルに巻き付けなくてよいので、断熱パネルの圧壊を防止できる。
【0016】
別の観点による本発明は、建物の軸組に取り付けられ、外壁パネルと当該外壁パネルの裏面を覆う断熱パネルとを有する複合パネルであって、前記断熱パネルが少なくとも、前記外壁パネルの裏面における前記軸組に固定するための下部固定部を含む下部領域を覆う下部断熱パネルと、前記外壁パネルの裏面における前記軸組に固定するための上部固定部を含む上部領域を覆う上部断熱パネルと、前記外壁パネルの裏面における前記軸組に固定するための固定部を有さない、前記下部領域と上部領域の間の中間領域を覆う中間断熱パネルに分割され、少なくとも前記上部断熱パネル又は前記中間断熱パネルのいずれかが前記外壁パネルに対し着脱自在である。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、断熱パネルの圧壊が防止されるため、均質で質の高い外壁を有する建物を建築できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】(a)は、複合パネルの正面図であり、(b)は、複合パネルの側面図である。
【図2】外壁パネルに上部断熱パネルと下部断熱パネルを取り付ける様子を示す複合パネルの説明図である。
【図3】外壁パネルに下部断熱パネルを取り付けた様子を示す複合パネルの説明図である。
【図4】外壁パネルの上部領域に吊りベルトを巻き付けた様子を示す複合パネルの説明図である。
【図5】軸組の外壁パネル支持部で支持させた様子を示す複合パネルの説明図である。
【図6】外壁パネルに上部断熱パネルを取り付けた様子を示す複合パネルの説明図である。
【図7】外壁パネルを軸組に取り付けた様子を示す複合パネルの説明図である。
【図8】複合パネルが並べて設けられた壁面を示す説明図である。
【図9】(a)は、断熱パネルが3分割されている複合パネルの正面図であり、(b)は、複合パネルの側面図である。
【図10】外壁パネルに下部断熱パネルを取り付けた様子を示す複合パネルの説明図である。
【図11】外壁パネルの上部領域に吊下げベルトを巻き付けて軸組の下部取り付け部に置いた様子を示す複合パネルの説明図である。
【図12】外壁パネルに上部断熱パネルを取り付けた様子を示す複合パネルの説明図である。
【図13】外壁パネルを軸組に取り付けた様子を示す複合パネルの説明図である。
【図14】中間断熱パネルを取り付けた様子を示す複合パネルの説明図である。
【図15】複合パネルが並べて設けられた壁面を示す説明図である。
【図16】寸法の異なる中間断熱パネルが取り付けられた複合パネルの壁面を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して、本発明の好ましい実施の形態について説明する。図1は、本実施の形態に係る複合パネル1の構成の概略を示す説明図である。図1(a)は、複合パネル1の正面図であり、図1(b)は、複合パネル1の側面図である。
【0020】
本実施形態における建物は、例えば305mmの平面モジュールMを有する鉄骨造の工業化住宅である。複合パネル1は、建物の柱梁などからなる軸組に複数連接するように取り付けられ、建物の壁面を構成する。複合パネル1は、外壁パネル10と、外壁パネル10の裏面の全面を覆う断熱パネル11を有している。
【0021】
外壁パネル10は、例えば軽量気泡コンクリートからなる。例えば外壁パネル10の長さは、階高(下部梁天端から上部梁天端までの寸法)にほぼ等しく、幅寸法は基本的にM×1(305mm)とM×2(610mm)の2種類ある。
【0022】
外壁パネル10の裏面には、建物の軸組に固定するための下部固定部としての下部ボルト20と、上部固定部としての上部ボルト21が取り付けられている。下部ボルト20及び上部ボルト21は、外壁パネル10の裏面に対して垂直方向に立設されている。下部ボルト20及び上部ボルト21は、外壁パネル10に埋め込まれた埋め込みナット(図示せず)にねじ込まれて固定されている。
【0023】
断熱パネル11は、例えばフェノール樹脂発泡体(フェノールフォーム)の両面にポリエステル不織布を張り合わせたものである。断熱パネル11の全体の幅寸法及び高さ寸法は、外壁パネル10の幅寸法及び高さ寸法とほぼ等しく対応している。
【0024】
断熱パネル11は、例えば下部断熱パネル30と上部断熱パネル31に2分割されている。下部断熱パネル30は、外壁パネル10の裏面の下部ボルト20を含む下部領域10aを覆い、上部断熱パネル31は、外壁パネル10の裏面の上部ボルト21を含む上部領域10bを覆っている。
【0025】
図2に示すように下部断熱パネル30と上部断熱パネル31には、それぞれ下部ボルト20、上部ボルト21が通る貫通孔32、33が設けられている。下部断熱パネル30と上部断熱パネル31は、貫通孔32、33を下部ボルト20や上部ボルト21に嵌め込むことにより、外壁パネル10の裏面の所定位置に保持される。なお、貫通孔32と下部ボルト20の間や、貫通孔33と上部ボルト21の間に、断熱パネル11の厚みより長く外壁パネル10の裏面に当接する円筒形のスペーサを設けて、外壁パネル10から断熱パネル11に伝わる圧力を低減してもよい。また、下部ボル20や上部ボルト21には、中間部に鍔を有し鍔の前後でネジの切り方が逆となっている特殊な固定ボルト(トルクレスボルト)を用いてもよく、かかる場合当該鍔を外壁パネル10の裏面に接触するようにねじ入れ、当該鍔と後述のナット71で断熱パネル30、31及び裏当てプレート70を挟むようにしてもよい。
【0026】
このように構成された外壁パネル10と断熱パネル11からなる複合パネル1は、建物の軸組に対し上下左右に並べられて取り付けられる。
【0027】
次に、複合パネル1の軸組への取り付け方法について説明する。
【0028】
先ず、例えば建築現場の空地や搬送用トラックの荷台等に裏面を上にした状態で置かれた外壁パネル10の下部領域10aに、例えば図3に示すように、下部ボルト20と上部ボルト21を取り付け、更に外壁パネル10の裏面に下部断熱パネル31を取り付ける。なお、工場等において、予め外壁パネル10に下部ボルト20、上部ボルト21、下部断熱パネル30の全てあるいは一部を取り付けておいてもよく、また、上部断熱パネル31も含めて取り付けておき、建築現場において、上部断熱パネル31を取り外してもよい。
【0029】
続いて、図4に示すようにクレーン用の吊りベルト(ナイロン等の合成繊維からなるスリングベルト)40を、上部断熱パネル31が取り付けられていない外壁パネル10の上部領域10bに巻きつける。その後、クレーンのフックに吊りベルト40のリング状の端部を引っ掛けて外壁パネル10を吊り上げる。そして、外壁パネル10を、図5に示すように所定の位置まで移動させ、下部梁の上フランジに固定された下部取り付け部50(外壁パネル1の荷重を支持するとともに高さ方向位置を規定する水平片50aと外壁パネル10の下端部の厚さ方向位置を規定する鉛直片50bとを有する)の水平片(外壁パネル支持部)50a上に置き支持させる。このとき、外壁パネル10の上部は、上部梁と離隔した状態(斜めの状態)を維持する。
【0030】
その後、外壁パネル10が作業員等の他の支持手段で支えられた状態で、図6に示すように吊りベルト40を取り外す。そして、外壁パネル10の上部領域10bに上部断熱パネル31を取り付ける。このとき、上部断熱パネル31の貫通孔33を上部ボルト21に嵌め込んで、上部断熱パネル31を位置決めも行う。
【0031】
その後、図7に示すように断熱パネル11(下部断熱パネル30と上部断熱パネル31)が取り付けられた外壁パネル10を起立させ、軸組Aの下部取り付け部50の鉛直片50bと上部梁の下フランジに固定された上部取り付け部60(複合パネル1の上部側の厚さ方向位置を規定する鉛直片60aを有する)の鉛直片60aに、断熱パネル11を当接させる。次に、鉛直片50bを挟んだ状態で、裏当てプレート70を下部ボルト20に挿入し、その外側からナット71を下部ボルト20にねじ入れて締め付ける。また、鉛直片60aを挟んだ状態で、裏当てプレート72を上部ボルト21に挿入し、その外側からナット73を上部ボルト21にねじ入れて締め付ける。こうして、複合パネル1が軸組Aに固定される。
【0032】
図8に示すように複数の複合パネル1を順次軸組Aに取り付け、建物の壁面を形成する。
【0033】
以上の実施の形態によれば、外壁パネル10を吊り上げて軸組Aに搬送する際に、外壁パネル10の裏面の上部断熱パネル31のない上部領域10bに吊りベルト40を巻き付けているので、断熱パネル11が圧壊することが防止される。また、軸組Aに搬送される前に、外壁パネル10に下部断熱パネル30を取り付けておくので、高所での不安定な状態での取り付け作業が減り、複合パネル1の軸組Aへの取り付け作業を安全且つ速やかに行うことができる。
【0034】
また、上部断熱パネル31の外壁パネル10への取り付け時には、上部断熱パネル31の貫通孔33を外壁パネル10の上部ボルト21に挿入することによって上部断熱パネル31を位置決めするようにしている。このため、外壁パネル10の裏面における上部断熱パネル31の位置決めを容易に行うことができる。
【0035】
以上の実施の形態では、断熱パネル11が2つに分割されていたが、3つに分割されていてもよい。かかる場合、例えば図9に示すように断熱パネル11が、下部断熱パネル30、上部断熱パネル31、及び中間断熱パネル80に分割されている。中間断熱パネル80は、外壁パネル10の裏面のボルト20、21がない中間領域10cに取り付け自在である。なお、中間断熱パネル80がある分、下部断熱パネル30と上部断熱パネル31の高さ寸法が小さくなっている。
【0036】
かかる場合の複合パネル1の取り付け作業では、先ず、図10に示すように上記実施の形態と同様に下部ボルト20と上部ボルト21を取り付けた外壁パネル10に、下部断熱パネル30を取り付ける。
【0037】
次に、図11に示すようにクレーン用の吊りベルト40を、外壁パネル10の上部断熱パネル31及び中間断熱パネル80が取り付けられていない上部領域10b又は中間領域10cに巻きつける。その後、上記実施の形態と同様に、クレーンのフックに吊りベルト40の端部を引っ掛けて外壁パネル10を吊り上げ、所定位置まで移動させ、下部取り付け部50の水平片50a上に置き支持させる。
【0038】
その後、上記実施の形態と同様に外壁パネル10を作業員等の他の支持手段で支えた状態で、図12に示すように吊りベルト40を取り外し、外壁パネル10の上部領域10bに上部断熱パネル31を取り付ける。
【0039】
次に、図13に示すように下部断熱パネル30と上部断熱パネル31を取り付けた外壁パネル10を起立させ、外壁パネル10を軸組Aに対し上記実施の形態と同様に下部断熱パネル30及び上部断熱パネル31を介して固定する。その後、図14に示すように中間断熱パネル80を外壁パネル10の中間領域10cに嵌め込むことで、複合パネル1が軸組Aに取り付けられる。
【0040】
図15に示すように複数の複合パネル1を順次軸組Aに取り付け、建物の壁面が形成される。
【0041】
本実施の形態によれば、断熱パネル11を3つに分割することにより、下部断熱パネル30と上部断熱パネル31の高さ寸法を小さくすることができ、不安定な場所での軸組Aへの下部断熱パネル30や上部断熱パネル31の取り付け作業を安全且つ速やかに行うことができる。
【0042】
また、中間断熱パネル80は、ボルト20、21等の固定部分がない分、着脱が容易になるため、例えば断熱パネル11の交換を簡単に行うことができる。また、図16に示すように複合パネル1が並べられた場合に、隣同士の複合パネル1に亘って中間断熱パネル80を渡すこともでき、例えば寸法の大きな中間断熱パネル80を用いて作業性を向上させることも可能になる。
【0043】
なお、本実施の形態において、中間断熱パネル80がさらに複数に分割され、断熱パネル11全体が4つ以上に分割されていてもよい。
【0044】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0045】
例えば以上の実施の形態において、外壁パネル10と、軸組Aの取り付け部50、60との固定手段は、他の手段を用いてもよい。また、以上の実施の形態では、外壁パネル10に対し下部断熱パネル30と上部断熱パネル31が着脱自在であったが、少なくとも上部断熱パネル31が着脱自在であればよい。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、複合パネルを軸組に取り付ける際の断熱パネルの圧壊を防止する際に有用である。
【符号の説明】
【0047】
1 複合パネル
10 外壁パネル
11 断熱パネル
20 下部ボルト
21 上部ボルト
30 下部断熱パネル
31 上部断熱パネル
32、33 貫通孔
40 吊りベルト
50 下部取り付け部
60 上部取り付け部
70、72 裏当てプレート
71、73 ナット
A 軸組
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外壁パネルと、当該外壁パネルの裏面を覆う断熱パネルを有する複合パネルを建物の軸組に取り付ける方法であって、
前記外壁パネルの裏面における前記軸組に固定するための下部固定部を含む下部領域に、前記断熱パネルが分割されて形成された下部断熱パネルが取り付けられた状態で、前記外壁パネルの前記下部断熱パネルが取り付けられていない部分に吊りベルトを巻き付ける工程と、
前記吊りベルトにより前記外壁パネルを吊り上げて移動させ、前記軸組の外壁パネル支持部に支持させる工程と、
前記吊りベルトを取り外す工程と、
前記外壁パネルの裏面における前記軸組に固定するための上部固定部を含み前記下部断熱パネルが取り付けられていない上部領域に、前記断熱パネルが分割されて形成された上部断熱パネルを取り付ける工程と、
前記外壁パネルの前記下部固定部及び前記上部固定部を前記軸組の下部取り付け部及び上部取り付け部に固定する工程と、を有する、複合パネルの取り付け方法。
【請求項2】
前記上部断熱パネルの前記外壁パネルへの取り付け時には、前記上部断熱パネルに形成された貫通孔を、前記外壁パネルの上部固定部のボルトに挿入することによって上部断熱パネルを位置決めする、請求項1に記載の複合パネルの取り付け方法。
【請求項3】
前記断熱パネルは、前記下部断熱パネル、前記上部断熱パネル、及び中間断熱パネルに分割されており、
前記中間断熱パネルを、前記外壁パネルを前記軸組に固定した後に、前記外壁パネルに取り付ける、請求項1又は2に記載の複合パネルの取り付け方法。
【請求項4】
建物の軸組に取り付けられ、外壁パネルと当該外壁パネルの裏面を覆う断熱パネルとを有する複合パネルであって、
前記断熱パネルが少なくとも、前記外壁パネルの裏面における前記軸組に固定するための下部固定部を含む下部領域を覆う下部断熱パネルと、前記外壁パネルの裏面における前記軸組に固定するための上部固定部を含む上部領域を覆う上部断熱パネルに分割され、
少なくとも前記上部断熱パネルが前記外壁パネルに対し着脱自在である、複合パネル。
【請求項5】
建物の軸組に取り付けられ、外壁パネルと当該外壁パネルの裏面を覆う断熱パネルとを有する複合パネルであって、
前記断熱パネルが少なくとも、前記外壁パネルの裏面における前記軸組に固定するための下部固定部を含む下部領域を覆う下部断熱パネルと、前記外壁パネルの裏面における前記軸組に固定するための上部固定部を含む上部領域を覆う上部断熱パネルと、前記外壁パネルの裏面における前記軸組に固定するための固定部を有さない、前記下部領域と上部領域の間の中間領域を覆う中間断熱パネルに分割され、
少なくとも前記上部断熱パネル又は前記中間断熱パネルのいずれかが前記外壁パネルに対し着脱自在である、複合パネル。
【請求項1】
外壁パネルと、当該外壁パネルの裏面を覆う断熱パネルを有する複合パネルを建物の軸組に取り付ける方法であって、
前記外壁パネルの裏面における前記軸組に固定するための下部固定部を含む下部領域に、前記断熱パネルが分割されて形成された下部断熱パネルが取り付けられた状態で、前記外壁パネルの前記下部断熱パネルが取り付けられていない部分に吊りベルトを巻き付ける工程と、
前記吊りベルトにより前記外壁パネルを吊り上げて移動させ、前記軸組の外壁パネル支持部に支持させる工程と、
前記吊りベルトを取り外す工程と、
前記外壁パネルの裏面における前記軸組に固定するための上部固定部を含み前記下部断熱パネルが取り付けられていない上部領域に、前記断熱パネルが分割されて形成された上部断熱パネルを取り付ける工程と、
前記外壁パネルの前記下部固定部及び前記上部固定部を前記軸組の下部取り付け部及び上部取り付け部に固定する工程と、を有する、複合パネルの取り付け方法。
【請求項2】
前記上部断熱パネルの前記外壁パネルへの取り付け時には、前記上部断熱パネルに形成された貫通孔を、前記外壁パネルの上部固定部のボルトに挿入することによって上部断熱パネルを位置決めする、請求項1に記載の複合パネルの取り付け方法。
【請求項3】
前記断熱パネルは、前記下部断熱パネル、前記上部断熱パネル、及び中間断熱パネルに分割されており、
前記中間断熱パネルを、前記外壁パネルを前記軸組に固定した後に、前記外壁パネルに取り付ける、請求項1又は2に記載の複合パネルの取り付け方法。
【請求項4】
建物の軸組に取り付けられ、外壁パネルと当該外壁パネルの裏面を覆う断熱パネルとを有する複合パネルであって、
前記断熱パネルが少なくとも、前記外壁パネルの裏面における前記軸組に固定するための下部固定部を含む下部領域を覆う下部断熱パネルと、前記外壁パネルの裏面における前記軸組に固定するための上部固定部を含む上部領域を覆う上部断熱パネルに分割され、
少なくとも前記上部断熱パネルが前記外壁パネルに対し着脱自在である、複合パネル。
【請求項5】
建物の軸組に取り付けられ、外壁パネルと当該外壁パネルの裏面を覆う断熱パネルとを有する複合パネルであって、
前記断熱パネルが少なくとも、前記外壁パネルの裏面における前記軸組に固定するための下部固定部を含む下部領域を覆う下部断熱パネルと、前記外壁パネルの裏面における前記軸組に固定するための上部固定部を含む上部領域を覆う上部断熱パネルと、前記外壁パネルの裏面における前記軸組に固定するための固定部を有さない、前記下部領域と上部領域の間の中間領域を覆う中間断熱パネルに分割され、
少なくとも前記上部断熱パネル又は前記中間断熱パネルのいずれかが前記外壁パネルに対し着脱自在である、複合パネル。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2012−122299(P2012−122299A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−275513(P2010−275513)
【出願日】平成22年12月10日(2010.12.10)
【出願人】(303046244)旭化成ホームズ株式会社 (703)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月10日(2010.12.10)
【出願人】(303046244)旭化成ホームズ株式会社 (703)
【Fターム(参考)】
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