説明

複合合成樹脂素材形成方法及び装置

複合合成樹脂素材形成装置は、外側排出口を有する外側流路と、外側流路中に開口する内側排出口を有する内側流路と、外側流路を通して外側合成樹脂を流動せしめる外側合成樹脂供給手段と、内側流路を通して内側合成樹脂を流動せしめる内側合成樹脂供給手段とを具備する。内側排出口を選択的に開閉せしめるための開閉手段が配設されている。外側合成樹脂供給手段は開閉手段による内側排出口の開閉に応じて外側流路に間欠的に外側合成樹脂を供給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、外側合成樹脂層とこの外側合成樹脂層に包み込まれた少なくとも1層の内側合成樹脂層とを含む複合合成樹脂素材を形成するための複合合成樹脂素材形成方法及び装置に関する。
【背景技術】
中空成形を加えて飲料用容器に成形される前成形体(一般にプリフォームと称されている)或いは容器蓋を形成するための合成樹脂素材として、当業者には周知の如く、外側合成樹脂層とこの外側合成樹脂層に包み込まれた少なくとも1層の内側合成樹脂層とを含む複合合成樹脂素材が使用されることが少なくない。通常、外側合成樹脂としては機械的特性及び衛生性に優れた合成樹脂が選定され、内側合成樹脂としてはガスバリヤー性に優れた合成樹脂が選定される。
特開平1−195016号公報には、最外側排出口を有する最外側流路と、最外側流路中に開口する外側排出口を有する外側流路と、外側流路中に開口する内側排出口を有する内側流路と、最外側流路を通して最外側合成樹脂を流動せしめる最外側合成樹脂供給手段と、外側流路を通して外側合成樹脂を流動せしめるための外側合成樹脂供給手段と、内側流路を通して内側合成樹脂を流動せしめる内側合成樹脂供給手段とを具備する複合合成樹脂素材形成装置が開示されている。内側排出口にはこれを選択的に開閉せしめるための開閉手段が付設されており、開閉手段による内側排出口の開閉に応じて、内側流路から外側流路を介して最外側流路に内側合成樹脂が間欠的に流入せしめられ、かかる内側合成樹脂が最外側流路に直接的に流入される最外側合成樹脂及び外側流路を介して最外側流路に流入される外側合成樹脂(外側合成樹脂と最外側合成樹脂とは同一の合成樹脂でよい)に包み込まれ、かくして複合合成樹脂素材が最外側排出口から流出せしめられる。
特開平6−15715号公報にも、最外側排出口を有する最外側流路と、最外側流路中に開口する外側排出口を有する外側流路と、外側流路中に開口する内側排出口を有する内側流路と、最外側流路を通して最外側合成樹脂を流動せしめる最外側合成樹脂供給手段と、外側流路を通して外側合成樹脂を流動せしめるための外側合成樹脂供給手段と、内側流路を通して内側合成樹脂を流動せしめる内側合成樹脂供給手段とを具備する複合合成樹脂素材形成装置が開示されている。最外側合成樹脂供給手段は連続的に作動せしめられて最外側流路に直接的に最外側合成樹脂を連続的に流入せしめる。内側合成樹脂供給手段は間欠的に作動せしめられて外側流路を介して最外側流路に内側合成樹脂を間欠的に流入せしめる。外側合成樹脂供給手段は、内側合成樹脂供給手段の間欠的作動に所要時間遅らせて間欠的に作動せしめられて外側流路に外側合成樹脂(外側合成樹脂と最外側合成樹脂と同一の合成樹脂でよい)を間欠的に流入せしめる。
而して、上記特開平1−195016号公報に開示されている複合合成樹脂素材形成装置には次のとおりの解決すべき問題が存在する。特に比較的高速で複合合成樹脂素材を最外側排出口から流出せしめる場合、最外側合成樹脂及び外側合成樹脂に包み込まれている内側合成樹脂が流動方向に比較的長く尾引きし、従って内側合成樹脂が存在しない領域の流動方向長さが著しく短くなる。それ故に、最外側排出口から排出された複合合成樹脂を流動方向に垂直な方向に切断して複合合成樹脂を複合合成樹脂形成装置から切り離す際に、複合合成樹脂の流動方向における著しく限定された領域において複合合成樹脂を切断することが必要である。切断における若干の誤差に起因して、切断面に内側合成樹脂が露呈した不良複合合成樹脂素材が形成される虞が少なくない。
上記特開平6−15715号公報に開示されている複合合成樹脂素材形成装置においては、内側合成樹脂の間欠的流入に所定時間遅れて外側合成樹脂を間欠的に流入せしめて内側合成樹脂を流動方向上流側から加圧せしめることによって、内側合成樹脂の流動方向長さを短縮し、かくして上記特開平1−195016号公報1に開示されている複合合成樹脂素材形成装置における上記問題を解決せんとしている。しかしながら、上記特開平6−15715号公報に開示されている複合合成樹脂素材形成装置も未だ充分に満足し得るものではなく、特に複合合成樹脂の流動を相当高速にせしめた場合、内側排出口に開閉手段が付設されていないこと等に起因して、内側合成樹脂の尾引き現象が充分には抑制されず、比較的細い尾引き現象が生成される傾向にある。
【発明の開示】
従って、本発明の主たる目的は、複合合成樹脂の排出速度を充分に高速化しても、外側合成樹脂(或いは外側合成樹脂及び最外側合成樹脂)に包み込まれた内側合成樹脂の流動方向長さを充分短くせしめることができる、新規且つ改良された複合合成樹脂素材形成方法及び装置を提供することである。
本発明者等は鋭意研究の結果、外側排出口を有する外側流路を通して外側合成樹脂を流動せしめると共に外側流路中に開口する内側排出口を有する内側流路を通して内側合成樹脂を流動せしめる複合合成樹脂素材形成様式において、内側排出口を選択的に開閉し、そして内側排出口の開閉に応じて外側流路に外側合成樹脂を間欠的に供給することによって、上記主たる目的を達成することができることを見出した。
即ち、本発明の第一の局面によれば、上記主たる目的を達成する複合合成樹脂素材形成方法として、外側排出口を有する外側流路を通して外側合成樹脂を流動せしめると共に、該外側流路中に開口する内側排出口を有する内側排出路を通して内側合成樹脂を流動せしめる複合合成樹脂素材形成方法において、該内側排出口を選択的に開閉せしめ、そして該内側排出口の開閉に応じて該外側合成樹脂を該外側流路に間欠的に供給する、ことを特徴とする複合合成樹脂素材形成方法が提供される。
更に、最外側排出口を有する最外側流路を通して最外側合成樹脂を流動せしめることを含み、該外側排出口は該最外側流路中に開口するのが好適である。
本発明の第二の局面によれば、上記主たる目的を達成する複合合成樹脂素材形成装置として、外側排出口を有する外側流路と、該外側流路中に開口する内側排出口を有する内側流路と、該外側流路を通して外側合成樹脂を流動せしめる外側合成樹脂供給手段と、該内側流路を通して内側合成樹脂を流動せしめる内側合成樹脂供給手段とを具備する複合合成樹脂素材形成装置において、
該内側排出口を選択的に開閉せしめるための開閉手段を備え、該外側合成樹脂供給手段は該開閉手段による該内側排出口の開閉に応じて間欠的に作動せしめられて該外側流路に間欠的に外側合成樹脂を供給する、ことを特徴とする複合合成樹脂素材形成装置が提供される。
該外側合成樹脂供給手段は、該開閉手段が該内側排出口を閉じると同時或いはその前に該外側合成樹脂の供給を開始し、該開閉手段が該内側排出口を開くと同時或いはその前に該外側合成樹脂の供給を停止するのが好適である。該内側合成樹脂供給手段は連続的に作動せしめられるのが好ましい。好適実施形態においては、更に、最外側排出口を有する最外側流路と、該最外側流路を通して最外側合成樹脂を流動せしめる最外側合成樹脂供給手段とが配設され、該外側排出口は該最外側流路中に開口する。該最外側合成樹脂供給手段は連続的又は間欠的に作動せしめられる。該外側合成樹脂供給手段は、連続的に作動せしめられる押出機、及び該押出機の下流に接続され且つ間歇的に作動せしめられるギアポンプから構成することができる。或いは、該外側合成樹脂供給手段は、連続的に作動せしめられる押出機、2個のプランジャ手段、及び該プランジャ手段の一方を該押出機に連通し該プランジャ手段の他方を該外側流路に連通する第一の状態と該プランジャ手段の該一方を該外側流路に連通し該プランジャ手段の該他方を該押出機に連通する第二の状態とに交互に設定される切替手段から構成することができる。該外側合成樹脂供給手段は、連続的に作動せしめられる押出機、及び該押出機を該外側流路に間歇的に連通せしめる間歇的連通手段から構成することもできる。形成される複合合成樹脂素材は、例えば後にブロー成形されて容器に成形される前成形体(通常プリフォームと称されている)に圧縮成形される。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明に従って構成された複合合成樹脂素材形成装置の好適実施形態の主要部を示す部分断面図。
図2は、図1の複合合成樹脂素材形成装置における、最外側流路中の最外側合成樹脂の圧力、外側流路中の外側合成樹脂の圧力及び内側流路中の内側合成樹脂の圧力の変動を示す線図。
図3は、図1の複合合成樹脂素材形成装置における、種々の時点における最外側流路、外側流路及び内側流路内における最外側合成樹脂、外側合成樹脂及び内側合成樹脂の状態を示す分断面図。
図4(i)及び(ii)は、外側合成樹脂供給手段の変形例を示す簡略図。
図5は、外側合成樹脂供給手段の更に他の変形例を示す簡略図。
【発明を実施するための最良の形態】
以下、添付図面を参照して、本発明に従って構成された複合合成樹脂素材形成方法及び装置の好適実施形態について、更に詳細に説明する。
図1には、本発明に従って構成された複合合成樹脂素材形成装置の主要部が図示されている。この装置は先端部のみを図示しているノズル手段2を具備している。適宜の金属から形成することができる複数個の部材を組み合わせて構成することができるノズル手段2には、最外側流路4、外側流路6及び内側流路8が形成されている。最外側流路4は、横断面形状がリング状である導入部4aと横断面形状が円形である排出部4bとを含んでいる。導入部4aの下流部は下流に向かって漸次半径方向内方に傾斜して延びており、導入部4aの下流端は排出部4bの上流端周縁部に接続されている。排出部4bの下流端には最外側排出口4cが形成されている。外側流路6も、横断面形状がリング状である導入部6aと横断面形状が円形である排出部6bとを含んでいる。導入部6aの下流部は下流に向かって漸次半径方向内方に傾斜して延びており、導入部6aの下流端は排出部6bの上流端周縁部に接続されている。排出部6bは比較的短く、その下流端には外側排出口6cが形成されており、かかる外側排出口6cは上記最外側流路4の排出部4bにおける上流端中央部に開口せしめられている。内側流路8も、横断面形状がリング状である導入部8aと横断面形状が円形である排出部8bとを含んでいる。導入部8aの下流部は下流に向かって半径方向内方に傾斜して延びており、導入部8aの下流端は排出部8bに接続されている。排出部8bは比較的短く、その下流端には内側排出口8cが形成されており、かかる排出口8cは上記外側流路6の排出部6bにおける上流端に開口せしめられている。
図1を参照して説明を続けると、最外側流路4の上流端は適宜の連通路(図示していない)を介して最外側合成樹脂供給手段10に接続されている。最外側合成樹脂供給手段10は、押出機12とその下流に接続されたギアポンプ14とを含んでおり、押出機12から押し出された溶融状態の最外側合成樹脂A(図3)がギアポンプ14を介して最外側流路4に供給される。外側流路6の上流端は適宜の連通路(図示していない)を介して外側合成樹脂供給手段16に接続されている。外側合成樹脂供給手段16は、押出機18とその下流に接続されたギアポンプ20とを含んでおり、押出機18から押し出された溶融状態の外側合成樹脂B(図3)がギアポンプ20を介して外側流路6に供給される。最外側合成樹脂Aと外側合成樹脂Bとは同一のものでよく、ポリエステル、特にポリエチレンテレフタレートが好都合である。内側流路8の上流端は内側合成樹脂供給手段22に接続されている。内側合成樹脂供給手段22は、押出機24とその下流に接続されたギアポンプ26とを含んでおり、押出機24から押し出された溶融状態の内側合成樹脂C(図3)がギアポンプ26を介して内側流路8に供給される。
本発明に従って構成された装置においては、上記内側流路8の下流端に配設されてる内側排出口8cを選択的に開閉せしめるための開閉手段28が配設されていることが重要である。図示の実施形態における開閉手段28はロッド30及び作動手段32を含んでいる。ロッド30は上記内側流路8の排出部8bの内径と実質上同一の外径を有し、その先端部は円錐形状にせしめられている。カム機構或いは流体圧シリンダ機構から構成することができる作動手段32はロッド28を実線で示す開位置と二点鎖線で示す閉位置とに選択的に位置せしめる。ロッド28が開位置に位置せしめられると、内側流路8の下流端に配設されている内側排出口8cが開かれて、内側流路8が外側流路6に連通せしめられる。ロッド28が閉位置に位置せしめられると、内側流路8の下流端に配設されている内側排出口8cが閉じられ、内側流路8が外側流路6から遮断される。
上述したとおりの装置において、最外側合成樹脂供給手段10は好適には連続的に作動せしめられて(押出機10が連続的に作動せしめられると共にギアポンプ14も連続的に作動せしめられる)最外側流路4に最外側合成樹脂Aを連続的に供給する。所望ならば、最外側合成樹脂供給手段10を間欠的に作動せしめる(押出機10は連続的に作動せしめるがギアポンプ14は間歇的に作動せしめる)こともできる。内側合成樹脂供給手段22も連続的に作動せしめられる(押出機24が連続的に作動せしめられると共にギアポンプ26も連続的に作動せしめられる)のが好都合であるが、内側流路8に付設されている開閉手段28は開位置と閉位置とに交互に位置せしめられることが重要である。開閉手段28が開位置に位置せしめられている時には、内側合成樹脂供給手段22から内側流路8に供給された内側合成樹脂Cは、外側流路6の排出部6bを介して最外側流路4の排出路4bに流入せしめられる。開閉手段28が閉位置に位置せしめられている時には、内側流路8の内側排出口8cが閉じられ、従って内側合成樹脂Cが外側流路6の排出部6bに流入することはない。一方、外側合成樹脂供給手段16は、内側流路8に付設せしめられている開閉手段28の開閉に応じて間欠的に作動せしめられる(押出機18は連続的に作動せしめられるがギアポンプ26は間歇的に作動せしめられる)ことが重要である。好ましくは、開閉手段28が閉位置に位置せしめられて内側排出口8cを閉じられると同時或いはその前に作動開始され、開閉手段28が開位置に位置せしめられて内側排出口8cが開かれると同時或いはその前に作動停止せしめられる。開閉手段28が閉位置に位置せしめられて内側排出口8cを閉じられている時間間隔は、開閉手段28が開位置に位置せしめられて内側排出口8cが開かれている時間間隔の1乃至4倍程度であるのが好都合である。
最外側合成樹脂供給手段10及び/又は内側合成樹脂供給手段22は連続的に作動せしめられて合成樹脂を連続的に供給する場合、所望ならばギヤポンプ14及び/又は26を省略することもできる。しかしながら、連続的に供給される合成樹脂の流動を均一且つ円滑にせしめるためにはギアポンプ14及び/又は26を配設するのが望ましい。
図2は、時間の経過に応じた、好適実施形態における最外側流路4における最外側合成樹脂Aの圧力、外側流路6における外側合成樹脂Bの圧力及び内側流路8における内側合成樹脂Cの圧力の変動を示している。図3−i乃至viは、種々の時点における最外側流路4、外側流路6及び内側流路8内における最外側合成樹脂A、外側合成樹脂B及び内側合成樹脂Cの状態を示している。図1と共に図2及び図3を参照して更に詳細に説明すると、図示の実施形態においては、図2における時点0.0Tにて開閉手段28が開位置にせしめられて、内側排出口8cが開かれる。この時点において、外側合成樹脂供給手段16は作動停止せしめられている。開閉手段28が開位置にせしめられて内側排出口8cが開かれると、図3−i及びiiに図示する如く、内側合成樹脂Cが内側流路8から外側流路6の排出部8bを介して最外側流路4の排出部4b内に流入せしめられる。最外側流路4の排出部4bの中央部には外側流路6から流入された外側合成樹脂Bが存在しており、最外側流路4の排出部4bの周縁部には最外側合成樹脂Aが存在している。従って、内側合成樹脂Cは外側合成樹脂B内に流入せしめられる。
図2の時点0.25Tにおいては、図3−iiiに図示する如く、開閉手段28が閉位置にせしめられて内側排出口8cが閉じられる。従って、内側流路8から外側流路6及び最外側流路4への内側合成樹脂Cの流入が停止される。一方、外側合成樹脂供給手段16は、時点0.25Tよりも若干前に(或いは時点0.25Tにて)作動開始され、時点0.75Tにおいて作動停止される。従って、外側合成樹脂供給手段16の作動開始から作動停止までの間に、外側流路6内の外側合成樹脂Bの圧力は漸次増大し、次いで漸次減少する。外側合成樹脂供給手段16が作動せしめられている間には、図3−iv、v及びviを参照することによって理解される如く、外側合成樹脂Bが外側流路6から最外側流路4の排出部4bに流入し、先に外側合成樹脂B中に流入せしめられた内側合成樹脂Cの上流側に作用し、内側合成樹脂Cの流動方向長さを短縮しながら内側合成樹脂Cを漸次下流に流動せしめる。かくして、最外側流路4の排出部4bにおいて内側合成樹脂Cは先に流入せしめられた外側合成樹脂Bと時間間隔をおいて次に流入せしめられた外側合成樹脂Bとの間に位置せしめられ、先に流入せしめられた内側合成樹脂Cと時間間隔をおいて次に流入せしめられた内側合成樹脂Cとの間には相当な長さに渡って外側合成樹脂Bが存在する状態が達成される。
開閉手段28が閉位置にせしめられている間も内側合成樹脂供給手段22は作動せしめられている故に、開閉手段28が閉位置にせしめられてから再び開位置にせしめられるまでの間に、内側流路8内の内側合成樹脂Cの圧力は漸次増大せしめられる。そして、時点Tにおいて開閉部材28が開位置にせしめられると、再び内側合成樹脂Cが内側流路8から外側流路6の排出部8bを介して最外側流路4の排出部4b内に流入せしめられ、内側流路8内の内側合成樹脂Cの圧力は漸次低減せしめられる。最外側合成樹脂供給手段10は連続的に作動せしめられている故に、最外側流路4内の最外側合成樹脂Aの圧力は実質上一定に維持される。
最外側流路4の最外側排出口4cから流出せしめられる、最外側合成樹脂A、外側合成樹脂B及び内側合成樹脂Cから成る複合合成樹脂は、2個の内側合成樹脂Cの間にて切断されて複合合成樹脂素材D(図3−vi)が形成される。複合合成樹脂の切断は、例えば最外側排出口4cを横切って移動せしめられる切断部材(図示していない)によって遂行することができる。図3−viから明確に理解される如く、形成された複合合成樹脂素材Dにおいては、内側合成樹脂Cが外側合成樹脂B及び最外側合成樹脂Aによって完全に包み込まれている。加えて、内側合成樹脂Cはその上流側が外側合成樹脂Bの作用を受けて幾分凹状にせしめられる傾向があり、圧縮成形して前成形体に成形する複合合成樹脂素材として好適に使用することができる。
図示の好適実施形態においては、内側流路8及び外側流路6に加えて最外側流路4も配設しているが、所望ならば最外側流路4及びこれに関連せしめて配設されている最外側合成樹脂供給手段10を省略することもできる。この場合には、内側合成樹脂Cが外側合成樹脂Bに確実に包み込まれるようになすために、外側流路6の排出部を比較的小径の上流部(図1における外側流路6の排出部6bに対応)に加えて比較的大径の下流部(図1における最外側流路4の排出部4bに対応)を有する形態にせしめるのが好都合である。また、図示の実施形態においては内側合成樹脂Cが外側合成樹脂B及び最外側合成樹脂A(外側合成樹脂Bと最外側合成樹脂Aとは同一でよい)によって包み込まれた2層構成の複合合成樹脂素材を形成しているが、所望ならば、内側合成樹脂C自体が他の1層乃至複数層の合成樹脂を包み込んだ3層以上の複合合成樹脂素材の形成にも本発明を適用することができる。この場合には、内側合成樹脂Cの流動とこれに包み込まれる他の合成樹脂の流動との関係を、図示の実施形態における外側合成樹脂B(及び最外側合成樹脂A)の流動と内側合成樹脂Cの流動との関係と実質上同一にせしめることができる。
図4−i及びiiは外側合成樹脂供給手段の変形例を図示している。この外側合成樹脂供給手段116は、押出機118、2個のプランジャ手段119a及び119b、並びに切替手段121から構成されている。2個の連通路を有する弁から構成することができる切替手段121は図4−iに図示する第一の状態と図4−iiに図示する第二の状態とに交互に設定される。切替手段121が図4−iに図示する第一の状態に設定されている時には、プランジャ119aは押出機118に連通せしめられ、押出機118から押し出される合成樹脂がプランジャ119a内に蓄積される。プランジャ119bは外側流路6(図1)に連通せしめられており、所要時点にてピストン作動手段(図示していない)が作動されてプランジャ119bのピストンが前進(図4−iにおいて右方に移動)せしめられ、プランジャ119b内に蓄積されていた合成樹脂が外側流路6(図1)に供給される。切替手段121が図4−iiに図示する第二の状態に設定されると、プランジャ119aは外側流路6(図1)に連通せしめられ、所要時点にてピストン作動手段(図示していない)が作動されてプランジャ119aのピストンが前進(図4−iにおいて左方に移動)せしめられ、プランジャ119a内に蓄積されていた合成樹脂が外側流路6(図1)に供給される。プランジャ119bは押出機118に連通せしめられ、押出機118から押し出される合成樹脂がプランジャ119b内に蓄積される。所望ならば、押出機118と切替手段121との間にギアポンプを配設して、切替手段121への合成樹脂の流動を均一且つ円滑なものにせしめることもできる。
図5は外側合成樹脂供給手段の更に他の変形例を図示している。この外側合成樹脂供給手段216は、押出機218とその下流に配設された間歇的連通手段219とから構成されている。間歇的連通手段219は連通路221が形成されている静止部材223と連通路225が形成されている回転部材227とから構成されている。回転部材227は連続的に或いは間歇的に回転せしめられ、回転部材227に形成されている連通路225が静止部材223に形成されている連通路221と間歇的に連通せしめられると、押出機218から押し出される合成樹脂が連通路221及び225を通して外側流路6(図1)に供給される。所望ならば、押出機218と間歇的連通手段219との間にギアポンプを配設して、間歇的連通手段219への合成樹脂の流動を均一且つ円滑なものにせしめることもできる。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
外側排出口を有する外側流路を通して外側合成樹脂を流動せしめると共に、該外側流路中に開口する内側排出口を有する内側排出路を通して内側合成樹脂を流動せしめる複合合成樹脂素材形成方法において、
該内側排出口を選択的に開閉せしめ、そして該内側排出口の開閉に応じて該外側合成樹脂を該外側流路に間欠的に供給する、ことを特徴とする複合合成樹脂素材形成方法。
【請求項2】
更に、最外側排出口を有する最外側流路を通して最外側合成樹脂を流動せしめることを含み、該外側排出口は該最外側流路中に開口する、請求項1記載の複合合成樹脂素材形成方法。
【請求項3】
外側排出口を有する外側流路と、該外側流路中に開口する内側排出口を有する内側流路と、該外側流路を通して外側合成樹脂を流動せしめる外側合成樹脂供給手段と、該内側流路を通して内側合成樹脂を流動せしめる内側合成樹脂供給手段とを具備する複合合成樹脂素材形成装置において、
該内側排出口を選択的に開閉せしめるための開閉手段を備え、該外側合成樹脂供給手段は該開閉手段による該内側排出口の開閉に応じて該外側流路に間欠的に外側合成樹脂を供給する、ことを特徴とする複合合成樹脂素材形成装置。
【請求項4】
該外側合成樹脂供給手段は、該開閉手段が該内側排出口を閉じると同時或いはその前に該外側合成樹脂の供給を開始し、該開閉手段が該内側排出口を開くと同時或いはその前に該外側合成樹脂の供給を停止する、請求項3記載の複合合成樹脂素材形成装置。
【請求項5】
該内側合成樹脂供給手段は連続的に作動せしめられる、請求項3又は4記載の複合合成樹脂素材形成装置。
【請求項6】
更に、最外側排出口を有する最外側流路と、該最外側流路を通して最外側合成樹脂を流動せしめる最外側合成樹脂供給手段とを具備し、該外側排出口は該最外側流路中に開口する、請求項3から5までのいずれかに記載の複合合成樹脂素材形成装置。
【請求項7】
該最外側合成樹脂供給手段は連続的又は間欠的に作動せしめられる、請求項6記載の複合合成樹脂素材形成装置。
【請求項8】
該外側合成樹脂供給手段は、連続的に作動せしめられる押出機、及び該押出機の下流に接続され且つ間歇的に作動せしめられるギアポンプから構成されている、請求項3から7までのいずれかに記載の複合合成樹脂素材形成装置。
【請求項9】
該外側合成樹脂供給手段は、連続的に作動せしめられる押出機、2個のプランジャ手段、及び該プランジャ手段の一方を該押出機に連通し該プランジャ手段の他方を該外側流路に連通する第一の状態と該プランジャ手段の該一方を該外側流路に連通し該プランジャ手段の該他方を該押出機に連通する第二の状態とに交互に設定される切替手段から構成されている、請求項3から7までのいずれかに記載の複合合成樹脂素材形成装置。
【請求項10】
該外側合成樹脂供給手段は、連続的に作動せしめられる押出機、及び該押出機を該外側流路に間歇的に連通せしめる間歇的連通手段から構成されている、請求項3から7までのいずれかに記載の複合合成樹脂素材形成装置。
【請求項11】
形成される複合合成樹脂素材は所要形状に圧縮成形される、請求項3から10までのいずかに記載の複合合成樹脂素材形成装置。

【国際公開番号】WO2004/065101
【国際公開日】平成16年8月5日(2004.8.5)
【発行日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−508115(P2005−508115)
【国際出願番号】PCT/JP2004/000530
【国際出願日】平成16年1月22日(2004.1.22)
【出願人】(000003768)東洋製罐株式会社 (1,150)
【Fターム(参考)】