複合型ロールベーラ
【課題】ロールベールからこぼれ落ちる被成形材料のロールベーラ内の残留を抑制する。
【解決手段】被成形材料を圧縮して円柱状のロールベールAを成形する成形室2と、被成形材料を成形室2に運搬する運搬コンベア5と、成形されたロールベールAをラップするラップマシン3と、被成形材料の少なくとも成形室2からラップマシン3への搬送中にこぼれ落ちる成形材料を、成形室2よりも上流側に搬送する搬送部7と、を備える。ラップマシン3は、成形されたロールベールAを載置して回転させる載置ベルト31cを有する。載置ベルト31cは、ロールベールAを載置する面が搬送部7方向に回転するように無限軌道状に巻回され、載置されるロールベールAからこぼれ落ちる被成形材料を受け止めるとともに、搬送部7へ移送する。
【解決手段】被成形材料を圧縮して円柱状のロールベールAを成形する成形室2と、被成形材料を成形室2に運搬する運搬コンベア5と、成形されたロールベールAをラップするラップマシン3と、被成形材料の少なくとも成形室2からラップマシン3への搬送中にこぼれ落ちる成形材料を、成形室2よりも上流側に搬送する搬送部7と、を備える。ラップマシン3は、成形されたロールベールAを載置して回転させる載置ベルト31cを有する。載置ベルト31cは、ロールベールAを載置する面が搬送部7方向に回転するように無限軌道状に巻回され、載置されるロールベールAからこぼれ落ちる被成形材料を受け止めるとともに、搬送部7へ移送する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被成形材料を圧縮してロールベールを成形し、成形されたロールベールをラッピングする複合型ロールベーラに関する。
【背景技術】
【0002】
複合型ロールベーラは、供給される被成形材料を成形室に運搬する運搬コンベアと、運搬される被成形材料を圧縮して円柱状のロールベールを成形する成形室と、成形室から排出されるロールベールをラップするラップマシンとを具備し、被成形材料の運搬時、成形時、排出時にこぼれ落ちる被成形材料を回収するとともに、運搬上流端側に戻し、この被成形材料を再び成形室に運搬するようにしたものが知られている。
【0003】
下記特許文献1に記載のものは、細断された被成形材料の運搬時からロールベールの成形室からの排出時にわたってこぼれ落ちる被成形材料を運搬コンベアの運搬上流端側に配設された貯留空間部に搬送し、この貯留空間部に貯留される被成形材料を、運搬コンベアによってすくい上げるとともに、再び成形室に運搬し、ロールベールの成型作業終了後に、貯留空間部に開口された開閉可能な排出口を開いて、この貯留空間部に残留した被成形材料をロールベーラ外に排出できるようになっている。
【0004】
また、ラップマシンは、成形室から排出されて搬送されるロールベールを載置するとともに、載置されるロールベールを回転させる載置台と、ラップフィルムに適当な張力を与えながらロールベールに巻き付けるフィルム繰出装置とが備えられており、載置台上で回転するロールベールの周りに、フィルム繰出装置が回転しながらラップフィルムを繰り出してロールベールに巻き付けた後、載置台がラップされたロールベールをロールベーラ外に排出するようになっている。
【0005】
この載置台は、ロールベールを載置及び回転させる載置ベルトが具備されている。この載置ベルトは、ラップ後に排出されるロールベールの排出方向に沿って無限軌道状に回転するように巻回されており、この載置ベルトの回転によって載置されるロールベールを回転させるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−55831号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の従来技術によると、放置すると腐敗して悪臭を放つ被成形材料を排出口から排出することにより、被成形材料のロールベーラ内の残留を抑制することができ、成形されたロールベールの排出から連続してロールベールをラップして、ラップされたロールベールを排出することができる。
【0008】
しかしながら、載置ベルトの回転方向がラップされたロールベールを排出する方向であるため、ロールベールの載置ベルトへの搬送時及びロールベールにラップフィルムを巻き付ける際の回転時に、ロールベールから被成形材料が載置ベルト上に崩れ落ち、崩れ落ちた被成形材料が載置ベルトの回転によりロールベーラ外に排出されてしまうという問題があった。
【0009】
本発明は、このような問題に対処することを課題の一例とするものである。すなわち、被成形材料の運搬時から成形されたロールベールのラップ時まで、一連のロールベールの成形作業動作においてこぼれ落ちる被成形材料のロールベーラ外への排出を抑制できるようにすること、被成形材料のロールベーラ内の残留を抑制できるようにすること、こぼれ落ちる被成形材料を再度成形室に運搬できるようにすること、こぼれ落ちる被成形材料の排出量及び残留量を低減するとともに、再度成形室に運搬することで、被成形材料の無駄や廃棄コストの低減を達成すること、等が本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
このような目的を達成するために、本発明による複合型ロールベーラは、以下の独立請求項に係る構成を少なくとも具備するものである。
【0011】
〔請求項1〕被成形材料を圧縮して円柱状のロールベールを成形する成形室と、前記被成形材料を前記成形室に運搬する運搬コンベアと、成形された前記ロールベールをラップするラップマシンと、前記被成形材料の少なくとも前記成形室からラップマシンへの搬送中にこぼれ落ちる前記成形材料を、前記成形室よりも上流側に搬送する搬送部と、を備え、前記ラップマシンは、成形された前記ロールベールを載置して回転させる載置ベルトを有し、該載置ベルトは、ロールベールを載置する面が前記搬送部方向に回転するように無限軌道状に巻回され、載置される前記ロールベールからこぼれ落ちる前記被成形材料を受け止めるとともに、前記搬送部へ移送するようにされていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
このような特徴を有することで本発明は以下の効果を奏する。すなわち、載置ベルトに載置されたロールベールからこぼれ落ちる被成形材料を、載置ベルトが受け止めるとともに、搬送部に移送するようにしているので、少なくとも前記成形室からラップマシンへの搬送中にこぼれ落ちる前記成形材料のロールベーラ外への排出を抑制できるとともに、被成形材料のロールベーラ内の残留を抑制でき、かつこぼれ落ちる被成形材料を再度成形室に運搬できる。したがって、こぼれ落ちる被成形材料の排出量及び残留量を低減するとともに、再度成形室に運搬することで、被成形材料の無駄や廃棄コストの低減を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】第1実施形態のロールベーラの概略側面図。
【図2】図1のラップマシン側の拡大図。
【図3】図1の搬送コンベア部分の拡大平面図。
【図4】図1の運搬コンベア側の拡大図。
【図5】図4の(5)-(5)線断面図。
【図6】案内面部の他の実施形態を示す拡大図。
【図7】案内面部の他の実施形態を示す拡大図。
【図8】他の実施形態のラップマシンの概略側面図。
【図9】第2実施形態のロールベーラの概略側面図。
【図10】図7の運搬コンベア側の拡大図。
【図11】図10の(11)-(11)線断面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明でいう被成形材料は、コーンや牧草等の飼料作物、食物加工後の食物残渣等の家畜用飼料に用いる各種材料、籾殻、麦殻、木屑、おがくず、敷料、家畜糞等の肥料に用いる各種材料等を含む。本発明の複合型ロールベーラは、特に、細断した被成形材料をロールベールに成形するのに効果的なものである。
【0015】
載置ベルトは、ロールベールからこぼれ落ちる被成形材料を受け止めて搬送部に移送できる構成であればよく、例えば、前記載置ベルトの回転方向と直交する方向の幅を、前記ロールベールの回転方向と直交する方向の幅よりも広くした形態が挙げられる。
【0016】
被成形材料を搬送部へ移送する形態として、例えば、載置ベルトと搬送部とにわたって、載置ベルトから移送される被成形材料を搬送部へ案内する案内面部を設けることが挙げられる。
【0017】
この案内面部は、該案内面部の一端を搬送部に固定し、他端を前記載置ベルトに対して接触又は近接させて配置することが好ましい。ここでいう近接とは、前述の他端が載置ベルトに対して接触せず、この他端と載置ベルトとの間隔を被成形材料が落下しない程度に確保した状態を意味する。
【0018】
被成形材料を搬送部へ移送する他の形態として、ラップマシン又は載置台、あるいは載置台の一部が、載置ベルトの搬送部側を搬送部に対して上方で重なり合う位置に変位させる方向に動作するようにした形態が挙げられる。
【0019】
以下、本発明に係る複合型ロールベーラ(以下「ロールベーラ」という)の1実施形態を図面に基づいて説明する。なお、本実施形態は、本発明を限定するものではない。
【0020】
図1〜図5は、本実施形態のロールベーラ1の概略構成を示す構成図である。
【0021】
ロールベーラ1は、被成形材料(図示せず)を圧縮して円柱状のロールベールAを成形する成形室2と、成形したロールベールAをラップフィルム(図示せず)によりラップするラップマシン3と、被成形材料を貯留するホッパ4と、ホッパ4から被成形材料が供給され、この被成形材料を成形室2内に運搬する運搬コンベア5と、ロールベールAを成形室2からラップマシン3に搬送する搬送コンベア6と、運搬コンベア5からラップマシン3にわたってこぼれ落ちる被成形材料を運搬コンベア5の運搬上流端51側に搬送する搬送部7とを具備している。
【0022】
成形室2は、運搬コンベア5側に区画形成された固定側半部20と、ラップマシン3側に区画形成された可動側半部21と、固定側半部20と可動側半部21とにわたって配置されたローラ式の成形装置22とを備えている。固定側半部20には、運搬コンベア5から運搬される被成形材料を成形室2内に投入する投入口23が形成されている。このような成形室2は、運搬コンベア5から投入口23を経て成形室2に投入された被成形材料を、成形装置22により回転させながら圧縮して円柱状のロールベールAに成形するようになっている。
【0023】
ロールベールAは、成形室2において軸線が排出方向と直交する方向となる姿勢で成形され、以後、ラップマシン3でラップされてロールベーラ1外に排出されるまで、この姿勢が保持される。
【0024】
ロールベールAの成形後、成形室2内には、ネット巻掛け装置(図示せず)からロールベールAを梱包するネット(図示せず)が供給されるようになっており、このネットを成形装置22により回転するロールベールAの外周に巻き付けることにより梱包するようになっている。ロールベールAの梱包後には、可動側半部21を上方に回転させて成形室2を開くことにより、梱包されたロールベールAを成形室2から排出するようになっている。
【0025】
成形装置22の形態は、例示したローラ式に限らず、ベルト式やチェーン式の成形装置を用いることもできる(図示せず)。また、前述のロールベールの梱包方式は、例示したネット巻掛け装置によるネット梱包に限らず、トワイン巻掛け装置(図示せず)によるトワイン梱包としてもよい(図示せず)。
【0026】
ラップマシン3は、梱包されたロールベールAを回転させるとともに、このロールベールを排出する載置台31と、前述のラップフィルムに適宜な張力を与えながらこのラップフィルムを回転するロールベールAに巻き付けるフィルム繰出装置32とが備えられており、載置台31上で回転するロールベールAの外周に、フィルム繰出装置32が回転しながらラップフィルムを繰り出して巻き付けるようになっている。このラップフィルムの巻付け後、載置台31が傾斜(2点鎖線で示す)することによって、ロールベールAをロールベーラ1外へ排出するようになっている。
【0027】
載置台31は、図1及び図3に示すように、ロールベールAの排出方向(搬送方向)に並列させた駆動ローラ31aと回転ローラ31bとにわたって、ロールベールAを載置するとともに、回転させる載置ベルト31cが無限軌道状のベルトコンベア状となるように巻回されている。載置ベルト31cは、駆動ローラ31aの駆動回転により、ロールベールAの排出方向と反対方向(搬送部7方向)に回転するようにされており、載置ベルト31cに載置されるロールベールAからこぼれ落ちる被成形材料を搬送部7に移送するようになっている。
【0028】
載置ベルト31cは、ロールベールAの軸方向(回転方向と直交する方向)の幅よりも広く形成されており、このロールベールAの軸方向の両端部から突出した部分で、最も崩れやすいロールベールAの両側面及びこの両側面の周縁部からこぼれ落ちる被成形材料を受け止めるようにしている。この載置ベルト31cの上面は、ロールベールAを載置する載置面310として確保されている。
【0029】
回転ローラ31bは、回転支点31dを回転中心として上下方向に回転するように支持された回転フレーム31eに軸支されており、この回転ローラ31bが上方にある状態(実線で示す)において、搬送コンベア6からロールベールAが載置台31に移送されるとともに、載置されたロールベールAが回転するとともに、このロールベールAに前述のラップフィルムが巻き付けられる。また、回転ローラ31bが上方にある状態では、載置ベルト31cの載置面310にたるみが生じるようにされており、このたるみ部分にロールベールAが嵌るようになっている。また、回転ローラ31bが下方にある状態(仮想線で示す)においては、載置面310が張られてたるみがない状態で下方へ傾斜するようにしており、ラップされたロールベールAがこの傾斜を転がりながらロールベーラ1外へ排出されるようになっている。
【0030】
このような載置台31により、ロールベールAからこぼれ落ちる被成形材料を載置ベルト31の搬送部方向への回転によって搬送部7へ移送することができる。また、最も崩れやすいロールベールAの両側面及びこの両側面の周縁部からこぼれ落ちる被成形材料を、ロールベーラ1外に落下させることなく搬送部へ搬送することができる。また、ロールベールAにラップフィルムをラップするとともに、ラップされたロールベールAをロールベーラ1外に排出することができる。
【0031】
本実施形態では、載置ベルト31cの駆動ローラ31a側の端部と搬送部7の一部を構成する受部70の載置台31側の端部とにわたって、載置ベルト31から移送される被成形材料を搬送部7へ案内する案内面部8が設けられている。
【0032】
案内面部8は、金属材や合成樹脂材等を用いて板状に形成し、この案内面部8の一端側を固定部81として、この固定部81を受部70の載置台31側の端部に固定し、他端側を接触部82として、この接触部82を載置ベルト31cの駆動ローラ31a側の端部に突き合わせるように接触させて配置することにより構成されている。この案内面部8は、載置台31と搬送コンベア6との間の隙間Sを塞ぐように位置しており、載置ベルト31cから移送される被成形材料を受け止めるとともに、受部70に案内するようになっている。この案内面部8は、受部70に対してボルト・ナット80により着脱可能に固定されており、破損や経年劣化等が生じたときに案内面部8を交換できるようになっている。更に、載置ベルト31cの駆動ローラ31a側の端部に接触する他端は、載置ベルト31cの表面にこびり付いた被成形材料をこそぎ取るスクレーパとして機能するようになっている。
【0033】
このような案内面部8によると、載置台31から移送される被成形材料を搬送部7へ移送できる。また、載置台31から移送される被成形材料及び搬送部7側から搬送される被成形材料の隙間Sからのロールベーラ1外への落下を防止することができる。更に、載置ベルト31cの表面にこびり付いた被成形材料をこそぎ取ることができるので、載置ベルト31cに対する被成形材料の残留量を低減することができる。なお、本発明では、案内面部8の接触部82を載置ベルト31cの駆動ローラ31a側の端部に接触させた形態に限るものではなく、接触部82を前述の端部に対してわずかに離間させて近接させた形態を含む。
【0034】
ホッパ4は、排出口41の下方に、この排出口41を塞ぐように配設されたコンベア42を有し、このコンベア42の搬送方向の下流端43を、運搬コンベア5の運搬面50の直上に位置させることにより、運搬コンベア5に被成形材料を供給するようになっている。
【0035】
運搬コンベア5は、無限軌道状のベルトコンベア構造のものであり、運搬コンベア5の運搬上流端51が投入口23よりにも下方に位置し、運搬コンベア5の運搬下流端52が投入口23に位置した上向き傾斜状となるように配されており、前述の被成形材料を下方から上方へ運搬して成形室2に対して上方から落とし込むように供給することにより、成形が困難な細断した被成形材料の成形容易性を向上させている。
【0036】
運搬面50には、被成形材料を支持して運搬する複数の運搬突起53が突設されている。運搬突起53は、図5に示すように、運搬面50の中心部を頂点とし、この頂点から運搬上流端51側(下側)に向かって運搬方向と交差する方向(図示では左右方向)に拡がるような下向きの傾斜面54を有する逆V型状に形成され、この運搬突起53が運搬方向に一定間隔をもって運搬面50の全域にわたって突設されている。
【0037】
すなわち、運搬突起53は、略逆V型状の下向きの傾斜面54により、運搬する被成形材料を運搬コンベア5の両外側(搬送方向と交差する)方向へ振り分けながら成形室2に投入するので、成形されるロールベールの両肩部を形成する成形室2の両端部側に、より多くの被成形材料を取り込ませることができる。したがって、成形されるロールベールの両肩部に位置する被成形材料が密になるので、両肩部の崩れが抑制された良好な成形状態のロールベールAを成形することができる。
【0038】
運搬突起53の形態は、例示した略逆V型状に限るものではなく、運搬中に被成形材料を、図示において運搬面50の左右端部方向に振り分け移動させながら成形室2に投入できる傾斜面54を有した形態であればよい(図示せず)。なお、図5では、運搬コンベア5を断面せず図示した。
【0039】
搬送コンベア6は、運搬コンベア5の直下から載置ベルト31cの移送側端部近くにわたる範囲に配されており、図3に示すように、無限軌道状、かつ搬送方向と交差する方向に離間して向かい合う2本のコンベア部材61,61を備えている。コンベア部材61、61の間隔は、このコンベア部材61,61の間にロールベールAが入り込む程度にされている。コンベア部材61,61の間は、運搬コンベア5から搬送コンベア6にわたってこぼれ落ちる被成形材料を落下させる落下空間部62として確保されている。
【0040】
コンベア部材61,61にわたって、ロールベールAを搬送するとともに、搬送部7の一部を構成する複数の搬送体71が架設されており、この搬送体71によりコンベア部材61,61の間が、ロールベールAが入り込む程度の大きさとして複数に区画され、区画された部分をロールベールAの支持空間部63にしている。落下空間部62には、搬送されるロールベールAを支持する支持部64が配置されている。搬送体71は、支持部64の上面をこするように移動するようにされており、この支持部64上にこぼれ落ちた被成形材料を落下空間部62から落下させるようになっている。
【0041】
このような搬送コンベア6は、成形室2から排出されるロールベールAを支持空間部63において支持部64が支持する。このロールベールAの成形室2側に位置する搬送体71が、コンベア部材61、61の回転にともなってラップマシン3方向へ移動することによって、支持されたロールベールAをラップマシン3方向に押動して載置台31に移送することができる。また、ロールベールAからこぼれ落ちる被成形材料を落下空間部62から受部70に落下させることができるとともに、支持部64上にこぼれ落ちた被成形材料を落下空間部62から受部70に落下させることができる
【0042】
支持部64は、搬送方向に長い長方形板状の複数の支持板640から構成されている。この支持部64は、2枚の支持板640を搬送方向と交差する方向に離間させて、落下空間部62を確保するように並列させてなる支持板列を構成し、更に、この支持板列を搬送方向に3列配して構成されている。以下では、前述の支持板列に符号A,B,Cを付して説明する。
【0043】
隣り合う支持板列A、B、Cの支持板640の端部同士は、この端部に沿う延長線L上に位置するようにしている。また、支持部64の中央部に位置する支持板列Bの2枚の支持板640の間隔を、その端部が搬送方向で隣り合う支持板列A、Bの支持板640の端部と対面しないように、支持板640間の間隔を狭くしている。
【0044】
このような支持部7によると、全ての支持板640周りを落下空間部62として確保することができる。すなわち、成形室2から排出されたロールベールAが支持板列A〜Cの順で支持されながら搬送体71で搬送される。このとき、搬送されるロールベールAからこぼれ落ちる被成形材料の一部が、支持板列A周りの落下空間部62を通過して受部70に落下し、他の被成形材料は、支持板列Aを構成する支持板640に落下する。支持板640に落下した被成形材料は、搬送体71及び搬送体71で搬送されるロールベールにより搬送方向へ押されながら、支持板640周りから全て落とされるとともに、落下空間部62を通過して受部70上に落下する。搬送されるロールベールAは、支持板列Aから支持板列Bを経て支持板列Cに搬送されるが、この支持板列B及び支持板列Cにおいても、支持板列Aと同様に被成形材料を受部70上に落下させることができる。
【0045】
搬送部7は、受部70と、搬送体71と、貯留空間部72とを備えている。受部70は、全長を搬送コンベア6の搬送方向の全長と同等とし、搬送コンベア6の全幅よりも大幅とする板状のものであり、搬送コンベア6の直下に配設されている。この受部70は、落下空間部62から落下する被成形材料及び載置台31から移送される被成形材料を受け止めるようになっている。
【0046】
搬送体71は、コンベア部材61、61の反転で成形室2方向へ移動するときに、受部70の上面に接触して、受部70上の被成形材料を貯留空間部72に搬送するようになっている。また、コンベア部材61、61の反転時に、載置ベルト31cから案内面部8に移送された被成形材料をかきとるようにして受部70に搬送するとともに、搬送した被成形材料を連続して貯留空間部72に搬送するようにされており、載置ベルト31cからの被成形材料の移送を効率的に行えるようになっている。
【0047】
なお、搬送体71に、支持部64、受部7、案内面部8に対面して接触するブラシ状体を設けてもよい(図示せず)。すなわち、搬送体71の移動により、このブラシ状体が搬送体71の支持部64、受部7、案内面部8の被成形材料をこするように動作するため、支持部62状の被成形材料を受部7に落下させること、受部7上の被成形材料を搬送すること、案内面部8上の被成形材料を受部7に移送することを行える上に、支持部64、受部7、案内面部8の清掃を効率的に行うことができる。
【0048】
貯留空間部72は、受部70の運搬コンベア5側の端部から延設され、ホッパ4から落下する被成形材料と、搬送部7で受部70から搬送される被成形材料を貯留するようになっている。この貯留空間部72に貯留される被成形材料は、運搬コンベア5に突設された運搬突起53によりすくい上げられて成形室2に運搬される(図1、図5参照)。
【0049】
貯留空間部72の底面部720には、貯留された被成形材料を排出するための排出口721が開口されている。排出口721は、底面部720を比較的大きな面積で開口してあり、貯留空間部72の外側から開閉蓋722により開閉可能に塞がれている。開閉蓋722は、底面部720の外側面に対して、一端縁を軸支する軸支部723を回転中心として上下方向に回転することで、排出口721を開閉するように支持されている。開閉蓋722は、排出口721に対する閉鎖状態を、例えば、ボルト・ナット(図示せず)等の締め付け具により保持し、この締め付け具を締め付け解除することで、開閉蓋722の開動作を行うようになっている。
【0050】
本実施形態のロールベーラ1によると、被成形材料の供給から成形されたロールベールAのラップ時に、ロールベールAからこぼれ落ちる被成形材料を貯留空間部72に搬送し、搬送された被成形材料を再び成形室2に供給することができる。したがって、ロールベールAからこぼれ落ちる被成形材料のロールベーラ1外への排出量を低減できるとともに、ロールベールAからこぼれ落ちる被成形材料のロールベーラ1内への残留量を低減できるので、被成形材料を無駄なく使用できるとともに、ロールベーラ1内への被成形材料の残留によって発生する悪臭を抑制できる。
【0051】
図6、図7は、案内面部8の他の実施形態を示す概略構成図である。図6に示す案内面部8は、固定部81から接触部82へ上方に向けて傾斜するように配置した形態のものであり、載置ベルト31cから移送される被成形材料を受け止めるとともに、受部70に案内するようになっている。
【0052】
図7に示す案内面部8は、固定部81と接触部82との間に溝部83を備えた形態のものであり、この溝部83で載置ベルト31cから移送される被成形材料を貯留するようになっている。貯留された被成形材料は作業終了後に取り除くようにし、溝部83からオーバーフローする被成形材料は、連続して移送される被成形材料によって受部70へ押し出されるように案内されるようになっている。
【0053】
このような案内面部8によると、載置台31から移送される被成形材料を搬送部7へ移送できる。また、載置台31から移送される被成形材料及び搬送部7側から搬送される被成形材料の隙間Sからのロールベーラ1外への落下を防止することができる。更に、載置ベルト31cの表面にこびり付いた被成形材料をこそぎ取ることができるので、載置ベルト31cに対する被成形材料の残留量を低減することができる。
【0054】
図8は、ラップマシン3の他の実施形態を示す概略構成図である。なお、第1実施形態のラップマシン3と重複する部位についての説明は、同符号を付すことにより省略する。
【0055】
本実施形態のラップマシン3は、ロールベールAをラップするときに、載置台31の回転ローラ31a側(搬送部7側)を、搬送コンベア6及び受部70とその上方で重なり合う位置に変位させる方向に動作するようにされている。すなわち、載置台31から移送される被成形材料は、この載置台31から搬送コンベア6方向へ落下するとともに、落下空間部62を通過して受部70に落下して、搬送体71によって運搬コンベア5の運搬上流端51側へ搬送される。したがって、本実施形態のラップマシン3によっても、ラップ時にこぼれ落ちる被成形材料をロールベーラ1外に排出させずに、受部70に移送することができる。
【0056】
ラップマシン3の前述した動作は、例えば、モータ、油圧シリンダ、リンク機構等を適宜組み合わせて構成した動作機構を用いることにより達成できる(図示せず)。本発明では、例示したラップマシン3の全体が動作するようにした形態に限らず、例えば、載置台31、あるいは、載置台の一部(例えば、回転ローラ31a)が動作して、この載置台31の回転ローラ31a側を搬送コンベア6及び受部70とその上方で重なり合う位置に変位させる形態としてもよい(図示せず)。
【0057】
次に、本発明に係るロールベーラ1の第2実施形態を図面に基づいて説明する。なお、第1実施形態と重複する部位については、図面に同符号を付すことにより説明は省略する。
【0058】
図9〜図11は、本実施形態のロールベーラ1の概略構成を示す構成図である。本実施形態のロールベーラ1は、搬送部7が、こぼれ落ちる被成形材料を運搬コンベア5に戻す戻しコンベア9を備えたものであり、この戻しコンベア9が第1実施形態の貯留空間部72に換えて配設されている。
【0059】
戻しコンベア9は、搬送体71によって搬送される受部70上の被成形材料を受けて運搬コンベア5側に搬送するとともに、搬送される被成形材料を運搬コンベア5と協働して運搬面50に戻すものである。
【0060】
戻しコンベア9は、受部70の被成形材料排出側の端部(運搬コンベア5側の運搬上流側端51側の端部)から排出される被成形材料を受けるとともに、運搬コンベア5側に搬送する搬送面部A1と、この搬送面部A1と連続し、運搬コンベア5の運搬上流端51の反転面部55に対して対面する対面搬送部A2とを備えた無限軌道状のベルトコンベア構造のものである。
【0061】
この戻しコンベア9を詳述すると、図9及び図10に示すように、3箇所に軸支されたスプロケットA3,A4,A5及び対面搬送部A2の反転面部55に対する対面状態を保持する保持部A6に対して、無限軌道状に巻掛られ、搬送方向と交差する方向に離間して向かい合う2本のチェーン部材A7、A8と、チェーン部材A7、A8の全周にわたって掛渡された搬送部材A9と、を備えている。
【0062】
スプロケットA3は、運搬コンベア5の反転面部55の運搬上流端51近くの上方に軸支され、スプロケットA4は、受部70の中途部分の下側に軸支され、スプロケットA5は、スプロケットA4と同じ程度の高さ位置として、スプロケットA3よりもホッパ4側(ホッパ4の被成形材料の供給方向上流側)となる位置に軸支されている。保持部A6は、反転面部55の支軸56とチェーン部材A7,A8の間に位置し、チェーン部材A7,A8を反転面部55から離間するように押し出して、反転面部55と搬送部材A9との間に通路90を形成するように支持されている。
【0063】
保持部A6は、反転面部55の円弧の径よりも大径とする円弧を有する板状のものであり、円弧面をチェーン部材A7,A8に接触して支える接触部A61になっており、チェーン部材A7,A8が接触部A61に対して滑るように案内されるようになっている。また、保持部A6のチェーン部材A7,A8を押し出す方向は、運搬コンベア5の傾斜方向に沿う支軸56の中心線と平行方向である。
【0064】
保持部A6には、チェーン部材A7,A8を押し出す方向に沿う長孔A62が開孔されている。長孔A62は、保持部A6の位置調整をするためのものであり、長孔A62とフレーム(図示せず)等の不動部に対して貫通したボルト・ナット等の締め付け具A63を締め付けて保持部A6を固定し、締め付け具A63を緩めて保持部A6を長孔A62の長手方向にスライド移動させることにより、保持部A6の位置を調整できるようになっている。
【0065】
保持部A6は、接触部A61の円弧が支軸56と同心となる位置を通常の位置として、通路90の幅を反転面部55に沿って同幅になるように保持するが、例えば、前述の被成形材料の種類によって、保持部A6の位置を前述の通常の位置からスライド調整することにより、通路90の幅を広くしたり狭くしたりすることができる。
【0066】
保持部A6は、チェーン部材A7,A8が接触部A61に対して滑るように案内される形態に限らず、例えば、チェーン部材A7,A8をスプロケットによって支持して案内するようにしてもよい。また、スライド可能な形態に限らず、定位置固定形態であってもよい。
【0067】
搬送部材A9は、柔軟なシート材からなり、チェーン部材A7、A8の内周側に位置するように固着されている。
【0068】
このような構成の戻しコンベア9によると、搬送面部A1がスプロケットA4から反転面部55の下方にわたる範囲に設定され、対面搬送部A2が反転面部55の周りに被成形材料の通路90を確保するように設定される。すなわち、運搬コンベア5の被成形材料の成形室2への運搬動作とともに、前述の被成形材料を運搬コンベア5側へ搬送する動作をすることにより、搬送体71によって受部70から落下した被成形材料を、搬送面部A1で受けて運搬コンベア5方向に搬送する。搬送される被成形材料が対面搬送部A2に至ると、この被成形材料を運搬コンベア5の運搬突起53がすくい上げて運搬面50に戻す。このとき、対面搬送部A2が反転面部55と同方向に動作し、運搬突起53による被成形材料のすくい上げに対して、対面搬送部A2がアシストするようにこの被成形材料を運搬面50に戻す状態になる。したがって、対面搬送部A2に搬送された被成形材料を効率的、かつ確実に搬送面50に戻すことができる。
【0069】
本実施形態のロールベーラ1によると、第1実施形態と同様に、被成形材料の供給から成形されたロールベールAのラップ時に、ロールベールAからこぼれ落ちる被成形材料を貯留空間部72に搬送し、搬送された被成形材料を再び成形室2に供給することができる。更に、運搬コンベア5と戻しコンベア9とにより、効率的、かつ確実に被成形材料を運搬面50に戻すことができるため、受部70から搬送された被成形材料の戻しコンベア9への残留量を大幅に減らすことができる。したがって、作業後におけるロールベーラ1内の清掃が容易であり、被成形材料の廃棄量を大幅に減らすことができる。
【0070】
戻しコンベア9は、前述の被成形材料を運搬面50に戻す動作と逆動作を行って、戻しコンベア9に残留する被成形材料をスプロケットA4側の端部から排出するようにしてもよい。この場合、運搬コンベア5を運搬動作と逆動作させることによって、運搬面に残留する被成形材料を戻しコンベア9に戻すようにしてもよい。
【0071】
戻しコンベア9の被成形材料の搬送動作の速度は、運搬コンベア5の運搬動作の速度と同じであることが好ましい。この両速度を同じにする構成として、例えば、同一のモータ(図示せず)の駆動をチェーンやベルト等の回転伝達装置(図示せず)を介して、運搬コンベア5と戻しコンベア9に対して同回転数として振り分けて伝達するようにした構成が挙げられる。他の構成として、戻しコンベア9側と運搬コンベア5側とに、同じ出力とするモータを夫々設け(図示せず)、このモータの動力源(図示せず)を同一とすることによって、戻しコンベア9の搬送動作と運搬コンベア5の運搬動作を同速度にする構成が挙げられる。
【0072】
戻しコンベア9の搬送動作と運搬コンベア5の運搬動作の速度は、対面搬送部A2に搬送された被成形材料を効率的、かつ確実に搬送面50に戻すことができる速度であれば、前述したような同速度に限らない。
【0073】
本実施形態のロールベーラ1は、受部70を介してこぼれ落ちる被成形材料を戻しコンベア9に搬送する形態を例示しているが、受部70を備えない形態にすることもできる。この形態のロールベーラ1では、戻しコンベア9の搬送面部A1を搬送コンベア6の搬送方向下流端部まで延長することによって、搬送コンベア6側からこぼれ落ちる被成形材料を運搬コンベア方向へ搬送することができる(図示せず)。
【符号の説明】
【0074】
A:ロールベール
1:ロールベーラ
2:成形室2
3:ラップマシン
5:運搬コンベア
7:搬送部
8:案内面部
31:載置台
31c:載置ベルト
310:載置面
81:固定部
82:接触部
【技術分野】
【0001】
本発明は、被成形材料を圧縮してロールベールを成形し、成形されたロールベールをラッピングする複合型ロールベーラに関する。
【背景技術】
【0002】
複合型ロールベーラは、供給される被成形材料を成形室に運搬する運搬コンベアと、運搬される被成形材料を圧縮して円柱状のロールベールを成形する成形室と、成形室から排出されるロールベールをラップするラップマシンとを具備し、被成形材料の運搬時、成形時、排出時にこぼれ落ちる被成形材料を回収するとともに、運搬上流端側に戻し、この被成形材料を再び成形室に運搬するようにしたものが知られている。
【0003】
下記特許文献1に記載のものは、細断された被成形材料の運搬時からロールベールの成形室からの排出時にわたってこぼれ落ちる被成形材料を運搬コンベアの運搬上流端側に配設された貯留空間部に搬送し、この貯留空間部に貯留される被成形材料を、運搬コンベアによってすくい上げるとともに、再び成形室に運搬し、ロールベールの成型作業終了後に、貯留空間部に開口された開閉可能な排出口を開いて、この貯留空間部に残留した被成形材料をロールベーラ外に排出できるようになっている。
【0004】
また、ラップマシンは、成形室から排出されて搬送されるロールベールを載置するとともに、載置されるロールベールを回転させる載置台と、ラップフィルムに適当な張力を与えながらロールベールに巻き付けるフィルム繰出装置とが備えられており、載置台上で回転するロールベールの周りに、フィルム繰出装置が回転しながらラップフィルムを繰り出してロールベールに巻き付けた後、載置台がラップされたロールベールをロールベーラ外に排出するようになっている。
【0005】
この載置台は、ロールベールを載置及び回転させる載置ベルトが具備されている。この載置ベルトは、ラップ後に排出されるロールベールの排出方向に沿って無限軌道状に回転するように巻回されており、この載置ベルトの回転によって載置されるロールベールを回転させるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−55831号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の従来技術によると、放置すると腐敗して悪臭を放つ被成形材料を排出口から排出することにより、被成形材料のロールベーラ内の残留を抑制することができ、成形されたロールベールの排出から連続してロールベールをラップして、ラップされたロールベールを排出することができる。
【0008】
しかしながら、載置ベルトの回転方向がラップされたロールベールを排出する方向であるため、ロールベールの載置ベルトへの搬送時及びロールベールにラップフィルムを巻き付ける際の回転時に、ロールベールから被成形材料が載置ベルト上に崩れ落ち、崩れ落ちた被成形材料が載置ベルトの回転によりロールベーラ外に排出されてしまうという問題があった。
【0009】
本発明は、このような問題に対処することを課題の一例とするものである。すなわち、被成形材料の運搬時から成形されたロールベールのラップ時まで、一連のロールベールの成形作業動作においてこぼれ落ちる被成形材料のロールベーラ外への排出を抑制できるようにすること、被成形材料のロールベーラ内の残留を抑制できるようにすること、こぼれ落ちる被成形材料を再度成形室に運搬できるようにすること、こぼれ落ちる被成形材料の排出量及び残留量を低減するとともに、再度成形室に運搬することで、被成形材料の無駄や廃棄コストの低減を達成すること、等が本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
このような目的を達成するために、本発明による複合型ロールベーラは、以下の独立請求項に係る構成を少なくとも具備するものである。
【0011】
〔請求項1〕被成形材料を圧縮して円柱状のロールベールを成形する成形室と、前記被成形材料を前記成形室に運搬する運搬コンベアと、成形された前記ロールベールをラップするラップマシンと、前記被成形材料の少なくとも前記成形室からラップマシンへの搬送中にこぼれ落ちる前記成形材料を、前記成形室よりも上流側に搬送する搬送部と、を備え、前記ラップマシンは、成形された前記ロールベールを載置して回転させる載置ベルトを有し、該載置ベルトは、ロールベールを載置する面が前記搬送部方向に回転するように無限軌道状に巻回され、載置される前記ロールベールからこぼれ落ちる前記被成形材料を受け止めるとともに、前記搬送部へ移送するようにされていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
このような特徴を有することで本発明は以下の効果を奏する。すなわち、載置ベルトに載置されたロールベールからこぼれ落ちる被成形材料を、載置ベルトが受け止めるとともに、搬送部に移送するようにしているので、少なくとも前記成形室からラップマシンへの搬送中にこぼれ落ちる前記成形材料のロールベーラ外への排出を抑制できるとともに、被成形材料のロールベーラ内の残留を抑制でき、かつこぼれ落ちる被成形材料を再度成形室に運搬できる。したがって、こぼれ落ちる被成形材料の排出量及び残留量を低減するとともに、再度成形室に運搬することで、被成形材料の無駄や廃棄コストの低減を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】第1実施形態のロールベーラの概略側面図。
【図2】図1のラップマシン側の拡大図。
【図3】図1の搬送コンベア部分の拡大平面図。
【図4】図1の運搬コンベア側の拡大図。
【図5】図4の(5)-(5)線断面図。
【図6】案内面部の他の実施形態を示す拡大図。
【図7】案内面部の他の実施形態を示す拡大図。
【図8】他の実施形態のラップマシンの概略側面図。
【図9】第2実施形態のロールベーラの概略側面図。
【図10】図7の運搬コンベア側の拡大図。
【図11】図10の(11)-(11)線断面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明でいう被成形材料は、コーンや牧草等の飼料作物、食物加工後の食物残渣等の家畜用飼料に用いる各種材料、籾殻、麦殻、木屑、おがくず、敷料、家畜糞等の肥料に用いる各種材料等を含む。本発明の複合型ロールベーラは、特に、細断した被成形材料をロールベールに成形するのに効果的なものである。
【0015】
載置ベルトは、ロールベールからこぼれ落ちる被成形材料を受け止めて搬送部に移送できる構成であればよく、例えば、前記載置ベルトの回転方向と直交する方向の幅を、前記ロールベールの回転方向と直交する方向の幅よりも広くした形態が挙げられる。
【0016】
被成形材料を搬送部へ移送する形態として、例えば、載置ベルトと搬送部とにわたって、載置ベルトから移送される被成形材料を搬送部へ案内する案内面部を設けることが挙げられる。
【0017】
この案内面部は、該案内面部の一端を搬送部に固定し、他端を前記載置ベルトに対して接触又は近接させて配置することが好ましい。ここでいう近接とは、前述の他端が載置ベルトに対して接触せず、この他端と載置ベルトとの間隔を被成形材料が落下しない程度に確保した状態を意味する。
【0018】
被成形材料を搬送部へ移送する他の形態として、ラップマシン又は載置台、あるいは載置台の一部が、載置ベルトの搬送部側を搬送部に対して上方で重なり合う位置に変位させる方向に動作するようにした形態が挙げられる。
【0019】
以下、本発明に係る複合型ロールベーラ(以下「ロールベーラ」という)の1実施形態を図面に基づいて説明する。なお、本実施形態は、本発明を限定するものではない。
【0020】
図1〜図5は、本実施形態のロールベーラ1の概略構成を示す構成図である。
【0021】
ロールベーラ1は、被成形材料(図示せず)を圧縮して円柱状のロールベールAを成形する成形室2と、成形したロールベールAをラップフィルム(図示せず)によりラップするラップマシン3と、被成形材料を貯留するホッパ4と、ホッパ4から被成形材料が供給され、この被成形材料を成形室2内に運搬する運搬コンベア5と、ロールベールAを成形室2からラップマシン3に搬送する搬送コンベア6と、運搬コンベア5からラップマシン3にわたってこぼれ落ちる被成形材料を運搬コンベア5の運搬上流端51側に搬送する搬送部7とを具備している。
【0022】
成形室2は、運搬コンベア5側に区画形成された固定側半部20と、ラップマシン3側に区画形成された可動側半部21と、固定側半部20と可動側半部21とにわたって配置されたローラ式の成形装置22とを備えている。固定側半部20には、運搬コンベア5から運搬される被成形材料を成形室2内に投入する投入口23が形成されている。このような成形室2は、運搬コンベア5から投入口23を経て成形室2に投入された被成形材料を、成形装置22により回転させながら圧縮して円柱状のロールベールAに成形するようになっている。
【0023】
ロールベールAは、成形室2において軸線が排出方向と直交する方向となる姿勢で成形され、以後、ラップマシン3でラップされてロールベーラ1外に排出されるまで、この姿勢が保持される。
【0024】
ロールベールAの成形後、成形室2内には、ネット巻掛け装置(図示せず)からロールベールAを梱包するネット(図示せず)が供給されるようになっており、このネットを成形装置22により回転するロールベールAの外周に巻き付けることにより梱包するようになっている。ロールベールAの梱包後には、可動側半部21を上方に回転させて成形室2を開くことにより、梱包されたロールベールAを成形室2から排出するようになっている。
【0025】
成形装置22の形態は、例示したローラ式に限らず、ベルト式やチェーン式の成形装置を用いることもできる(図示せず)。また、前述のロールベールの梱包方式は、例示したネット巻掛け装置によるネット梱包に限らず、トワイン巻掛け装置(図示せず)によるトワイン梱包としてもよい(図示せず)。
【0026】
ラップマシン3は、梱包されたロールベールAを回転させるとともに、このロールベールを排出する載置台31と、前述のラップフィルムに適宜な張力を与えながらこのラップフィルムを回転するロールベールAに巻き付けるフィルム繰出装置32とが備えられており、載置台31上で回転するロールベールAの外周に、フィルム繰出装置32が回転しながらラップフィルムを繰り出して巻き付けるようになっている。このラップフィルムの巻付け後、載置台31が傾斜(2点鎖線で示す)することによって、ロールベールAをロールベーラ1外へ排出するようになっている。
【0027】
載置台31は、図1及び図3に示すように、ロールベールAの排出方向(搬送方向)に並列させた駆動ローラ31aと回転ローラ31bとにわたって、ロールベールAを載置するとともに、回転させる載置ベルト31cが無限軌道状のベルトコンベア状となるように巻回されている。載置ベルト31cは、駆動ローラ31aの駆動回転により、ロールベールAの排出方向と反対方向(搬送部7方向)に回転するようにされており、載置ベルト31cに載置されるロールベールAからこぼれ落ちる被成形材料を搬送部7に移送するようになっている。
【0028】
載置ベルト31cは、ロールベールAの軸方向(回転方向と直交する方向)の幅よりも広く形成されており、このロールベールAの軸方向の両端部から突出した部分で、最も崩れやすいロールベールAの両側面及びこの両側面の周縁部からこぼれ落ちる被成形材料を受け止めるようにしている。この載置ベルト31cの上面は、ロールベールAを載置する載置面310として確保されている。
【0029】
回転ローラ31bは、回転支点31dを回転中心として上下方向に回転するように支持された回転フレーム31eに軸支されており、この回転ローラ31bが上方にある状態(実線で示す)において、搬送コンベア6からロールベールAが載置台31に移送されるとともに、載置されたロールベールAが回転するとともに、このロールベールAに前述のラップフィルムが巻き付けられる。また、回転ローラ31bが上方にある状態では、載置ベルト31cの載置面310にたるみが生じるようにされており、このたるみ部分にロールベールAが嵌るようになっている。また、回転ローラ31bが下方にある状態(仮想線で示す)においては、載置面310が張られてたるみがない状態で下方へ傾斜するようにしており、ラップされたロールベールAがこの傾斜を転がりながらロールベーラ1外へ排出されるようになっている。
【0030】
このような載置台31により、ロールベールAからこぼれ落ちる被成形材料を載置ベルト31の搬送部方向への回転によって搬送部7へ移送することができる。また、最も崩れやすいロールベールAの両側面及びこの両側面の周縁部からこぼれ落ちる被成形材料を、ロールベーラ1外に落下させることなく搬送部へ搬送することができる。また、ロールベールAにラップフィルムをラップするとともに、ラップされたロールベールAをロールベーラ1外に排出することができる。
【0031】
本実施形態では、載置ベルト31cの駆動ローラ31a側の端部と搬送部7の一部を構成する受部70の載置台31側の端部とにわたって、載置ベルト31から移送される被成形材料を搬送部7へ案内する案内面部8が設けられている。
【0032】
案内面部8は、金属材や合成樹脂材等を用いて板状に形成し、この案内面部8の一端側を固定部81として、この固定部81を受部70の載置台31側の端部に固定し、他端側を接触部82として、この接触部82を載置ベルト31cの駆動ローラ31a側の端部に突き合わせるように接触させて配置することにより構成されている。この案内面部8は、載置台31と搬送コンベア6との間の隙間Sを塞ぐように位置しており、載置ベルト31cから移送される被成形材料を受け止めるとともに、受部70に案内するようになっている。この案内面部8は、受部70に対してボルト・ナット80により着脱可能に固定されており、破損や経年劣化等が生じたときに案内面部8を交換できるようになっている。更に、載置ベルト31cの駆動ローラ31a側の端部に接触する他端は、載置ベルト31cの表面にこびり付いた被成形材料をこそぎ取るスクレーパとして機能するようになっている。
【0033】
このような案内面部8によると、載置台31から移送される被成形材料を搬送部7へ移送できる。また、載置台31から移送される被成形材料及び搬送部7側から搬送される被成形材料の隙間Sからのロールベーラ1外への落下を防止することができる。更に、載置ベルト31cの表面にこびり付いた被成形材料をこそぎ取ることができるので、載置ベルト31cに対する被成形材料の残留量を低減することができる。なお、本発明では、案内面部8の接触部82を載置ベルト31cの駆動ローラ31a側の端部に接触させた形態に限るものではなく、接触部82を前述の端部に対してわずかに離間させて近接させた形態を含む。
【0034】
ホッパ4は、排出口41の下方に、この排出口41を塞ぐように配設されたコンベア42を有し、このコンベア42の搬送方向の下流端43を、運搬コンベア5の運搬面50の直上に位置させることにより、運搬コンベア5に被成形材料を供給するようになっている。
【0035】
運搬コンベア5は、無限軌道状のベルトコンベア構造のものであり、運搬コンベア5の運搬上流端51が投入口23よりにも下方に位置し、運搬コンベア5の運搬下流端52が投入口23に位置した上向き傾斜状となるように配されており、前述の被成形材料を下方から上方へ運搬して成形室2に対して上方から落とし込むように供給することにより、成形が困難な細断した被成形材料の成形容易性を向上させている。
【0036】
運搬面50には、被成形材料を支持して運搬する複数の運搬突起53が突設されている。運搬突起53は、図5に示すように、運搬面50の中心部を頂点とし、この頂点から運搬上流端51側(下側)に向かって運搬方向と交差する方向(図示では左右方向)に拡がるような下向きの傾斜面54を有する逆V型状に形成され、この運搬突起53が運搬方向に一定間隔をもって運搬面50の全域にわたって突設されている。
【0037】
すなわち、運搬突起53は、略逆V型状の下向きの傾斜面54により、運搬する被成形材料を運搬コンベア5の両外側(搬送方向と交差する)方向へ振り分けながら成形室2に投入するので、成形されるロールベールの両肩部を形成する成形室2の両端部側に、より多くの被成形材料を取り込ませることができる。したがって、成形されるロールベールの両肩部に位置する被成形材料が密になるので、両肩部の崩れが抑制された良好な成形状態のロールベールAを成形することができる。
【0038】
運搬突起53の形態は、例示した略逆V型状に限るものではなく、運搬中に被成形材料を、図示において運搬面50の左右端部方向に振り分け移動させながら成形室2に投入できる傾斜面54を有した形態であればよい(図示せず)。なお、図5では、運搬コンベア5を断面せず図示した。
【0039】
搬送コンベア6は、運搬コンベア5の直下から載置ベルト31cの移送側端部近くにわたる範囲に配されており、図3に示すように、無限軌道状、かつ搬送方向と交差する方向に離間して向かい合う2本のコンベア部材61,61を備えている。コンベア部材61、61の間隔は、このコンベア部材61,61の間にロールベールAが入り込む程度にされている。コンベア部材61,61の間は、運搬コンベア5から搬送コンベア6にわたってこぼれ落ちる被成形材料を落下させる落下空間部62として確保されている。
【0040】
コンベア部材61,61にわたって、ロールベールAを搬送するとともに、搬送部7の一部を構成する複数の搬送体71が架設されており、この搬送体71によりコンベア部材61,61の間が、ロールベールAが入り込む程度の大きさとして複数に区画され、区画された部分をロールベールAの支持空間部63にしている。落下空間部62には、搬送されるロールベールAを支持する支持部64が配置されている。搬送体71は、支持部64の上面をこするように移動するようにされており、この支持部64上にこぼれ落ちた被成形材料を落下空間部62から落下させるようになっている。
【0041】
このような搬送コンベア6は、成形室2から排出されるロールベールAを支持空間部63において支持部64が支持する。このロールベールAの成形室2側に位置する搬送体71が、コンベア部材61、61の回転にともなってラップマシン3方向へ移動することによって、支持されたロールベールAをラップマシン3方向に押動して載置台31に移送することができる。また、ロールベールAからこぼれ落ちる被成形材料を落下空間部62から受部70に落下させることができるとともに、支持部64上にこぼれ落ちた被成形材料を落下空間部62から受部70に落下させることができる
【0042】
支持部64は、搬送方向に長い長方形板状の複数の支持板640から構成されている。この支持部64は、2枚の支持板640を搬送方向と交差する方向に離間させて、落下空間部62を確保するように並列させてなる支持板列を構成し、更に、この支持板列を搬送方向に3列配して構成されている。以下では、前述の支持板列に符号A,B,Cを付して説明する。
【0043】
隣り合う支持板列A、B、Cの支持板640の端部同士は、この端部に沿う延長線L上に位置するようにしている。また、支持部64の中央部に位置する支持板列Bの2枚の支持板640の間隔を、その端部が搬送方向で隣り合う支持板列A、Bの支持板640の端部と対面しないように、支持板640間の間隔を狭くしている。
【0044】
このような支持部7によると、全ての支持板640周りを落下空間部62として確保することができる。すなわち、成形室2から排出されたロールベールAが支持板列A〜Cの順で支持されながら搬送体71で搬送される。このとき、搬送されるロールベールAからこぼれ落ちる被成形材料の一部が、支持板列A周りの落下空間部62を通過して受部70に落下し、他の被成形材料は、支持板列Aを構成する支持板640に落下する。支持板640に落下した被成形材料は、搬送体71及び搬送体71で搬送されるロールベールにより搬送方向へ押されながら、支持板640周りから全て落とされるとともに、落下空間部62を通過して受部70上に落下する。搬送されるロールベールAは、支持板列Aから支持板列Bを経て支持板列Cに搬送されるが、この支持板列B及び支持板列Cにおいても、支持板列Aと同様に被成形材料を受部70上に落下させることができる。
【0045】
搬送部7は、受部70と、搬送体71と、貯留空間部72とを備えている。受部70は、全長を搬送コンベア6の搬送方向の全長と同等とし、搬送コンベア6の全幅よりも大幅とする板状のものであり、搬送コンベア6の直下に配設されている。この受部70は、落下空間部62から落下する被成形材料及び載置台31から移送される被成形材料を受け止めるようになっている。
【0046】
搬送体71は、コンベア部材61、61の反転で成形室2方向へ移動するときに、受部70の上面に接触して、受部70上の被成形材料を貯留空間部72に搬送するようになっている。また、コンベア部材61、61の反転時に、載置ベルト31cから案内面部8に移送された被成形材料をかきとるようにして受部70に搬送するとともに、搬送した被成形材料を連続して貯留空間部72に搬送するようにされており、載置ベルト31cからの被成形材料の移送を効率的に行えるようになっている。
【0047】
なお、搬送体71に、支持部64、受部7、案内面部8に対面して接触するブラシ状体を設けてもよい(図示せず)。すなわち、搬送体71の移動により、このブラシ状体が搬送体71の支持部64、受部7、案内面部8の被成形材料をこするように動作するため、支持部62状の被成形材料を受部7に落下させること、受部7上の被成形材料を搬送すること、案内面部8上の被成形材料を受部7に移送することを行える上に、支持部64、受部7、案内面部8の清掃を効率的に行うことができる。
【0048】
貯留空間部72は、受部70の運搬コンベア5側の端部から延設され、ホッパ4から落下する被成形材料と、搬送部7で受部70から搬送される被成形材料を貯留するようになっている。この貯留空間部72に貯留される被成形材料は、運搬コンベア5に突設された運搬突起53によりすくい上げられて成形室2に運搬される(図1、図5参照)。
【0049】
貯留空間部72の底面部720には、貯留された被成形材料を排出するための排出口721が開口されている。排出口721は、底面部720を比較的大きな面積で開口してあり、貯留空間部72の外側から開閉蓋722により開閉可能に塞がれている。開閉蓋722は、底面部720の外側面に対して、一端縁を軸支する軸支部723を回転中心として上下方向に回転することで、排出口721を開閉するように支持されている。開閉蓋722は、排出口721に対する閉鎖状態を、例えば、ボルト・ナット(図示せず)等の締め付け具により保持し、この締め付け具を締め付け解除することで、開閉蓋722の開動作を行うようになっている。
【0050】
本実施形態のロールベーラ1によると、被成形材料の供給から成形されたロールベールAのラップ時に、ロールベールAからこぼれ落ちる被成形材料を貯留空間部72に搬送し、搬送された被成形材料を再び成形室2に供給することができる。したがって、ロールベールAからこぼれ落ちる被成形材料のロールベーラ1外への排出量を低減できるとともに、ロールベールAからこぼれ落ちる被成形材料のロールベーラ1内への残留量を低減できるので、被成形材料を無駄なく使用できるとともに、ロールベーラ1内への被成形材料の残留によって発生する悪臭を抑制できる。
【0051】
図6、図7は、案内面部8の他の実施形態を示す概略構成図である。図6に示す案内面部8は、固定部81から接触部82へ上方に向けて傾斜するように配置した形態のものであり、載置ベルト31cから移送される被成形材料を受け止めるとともに、受部70に案内するようになっている。
【0052】
図7に示す案内面部8は、固定部81と接触部82との間に溝部83を備えた形態のものであり、この溝部83で載置ベルト31cから移送される被成形材料を貯留するようになっている。貯留された被成形材料は作業終了後に取り除くようにし、溝部83からオーバーフローする被成形材料は、連続して移送される被成形材料によって受部70へ押し出されるように案内されるようになっている。
【0053】
このような案内面部8によると、載置台31から移送される被成形材料を搬送部7へ移送できる。また、載置台31から移送される被成形材料及び搬送部7側から搬送される被成形材料の隙間Sからのロールベーラ1外への落下を防止することができる。更に、載置ベルト31cの表面にこびり付いた被成形材料をこそぎ取ることができるので、載置ベルト31cに対する被成形材料の残留量を低減することができる。
【0054】
図8は、ラップマシン3の他の実施形態を示す概略構成図である。なお、第1実施形態のラップマシン3と重複する部位についての説明は、同符号を付すことにより省略する。
【0055】
本実施形態のラップマシン3は、ロールベールAをラップするときに、載置台31の回転ローラ31a側(搬送部7側)を、搬送コンベア6及び受部70とその上方で重なり合う位置に変位させる方向に動作するようにされている。すなわち、載置台31から移送される被成形材料は、この載置台31から搬送コンベア6方向へ落下するとともに、落下空間部62を通過して受部70に落下して、搬送体71によって運搬コンベア5の運搬上流端51側へ搬送される。したがって、本実施形態のラップマシン3によっても、ラップ時にこぼれ落ちる被成形材料をロールベーラ1外に排出させずに、受部70に移送することができる。
【0056】
ラップマシン3の前述した動作は、例えば、モータ、油圧シリンダ、リンク機構等を適宜組み合わせて構成した動作機構を用いることにより達成できる(図示せず)。本発明では、例示したラップマシン3の全体が動作するようにした形態に限らず、例えば、載置台31、あるいは、載置台の一部(例えば、回転ローラ31a)が動作して、この載置台31の回転ローラ31a側を搬送コンベア6及び受部70とその上方で重なり合う位置に変位させる形態としてもよい(図示せず)。
【0057】
次に、本発明に係るロールベーラ1の第2実施形態を図面に基づいて説明する。なお、第1実施形態と重複する部位については、図面に同符号を付すことにより説明は省略する。
【0058】
図9〜図11は、本実施形態のロールベーラ1の概略構成を示す構成図である。本実施形態のロールベーラ1は、搬送部7が、こぼれ落ちる被成形材料を運搬コンベア5に戻す戻しコンベア9を備えたものであり、この戻しコンベア9が第1実施形態の貯留空間部72に換えて配設されている。
【0059】
戻しコンベア9は、搬送体71によって搬送される受部70上の被成形材料を受けて運搬コンベア5側に搬送するとともに、搬送される被成形材料を運搬コンベア5と協働して運搬面50に戻すものである。
【0060】
戻しコンベア9は、受部70の被成形材料排出側の端部(運搬コンベア5側の運搬上流側端51側の端部)から排出される被成形材料を受けるとともに、運搬コンベア5側に搬送する搬送面部A1と、この搬送面部A1と連続し、運搬コンベア5の運搬上流端51の反転面部55に対して対面する対面搬送部A2とを備えた無限軌道状のベルトコンベア構造のものである。
【0061】
この戻しコンベア9を詳述すると、図9及び図10に示すように、3箇所に軸支されたスプロケットA3,A4,A5及び対面搬送部A2の反転面部55に対する対面状態を保持する保持部A6に対して、無限軌道状に巻掛られ、搬送方向と交差する方向に離間して向かい合う2本のチェーン部材A7、A8と、チェーン部材A7、A8の全周にわたって掛渡された搬送部材A9と、を備えている。
【0062】
スプロケットA3は、運搬コンベア5の反転面部55の運搬上流端51近くの上方に軸支され、スプロケットA4は、受部70の中途部分の下側に軸支され、スプロケットA5は、スプロケットA4と同じ程度の高さ位置として、スプロケットA3よりもホッパ4側(ホッパ4の被成形材料の供給方向上流側)となる位置に軸支されている。保持部A6は、反転面部55の支軸56とチェーン部材A7,A8の間に位置し、チェーン部材A7,A8を反転面部55から離間するように押し出して、反転面部55と搬送部材A9との間に通路90を形成するように支持されている。
【0063】
保持部A6は、反転面部55の円弧の径よりも大径とする円弧を有する板状のものであり、円弧面をチェーン部材A7,A8に接触して支える接触部A61になっており、チェーン部材A7,A8が接触部A61に対して滑るように案内されるようになっている。また、保持部A6のチェーン部材A7,A8を押し出す方向は、運搬コンベア5の傾斜方向に沿う支軸56の中心線と平行方向である。
【0064】
保持部A6には、チェーン部材A7,A8を押し出す方向に沿う長孔A62が開孔されている。長孔A62は、保持部A6の位置調整をするためのものであり、長孔A62とフレーム(図示せず)等の不動部に対して貫通したボルト・ナット等の締め付け具A63を締め付けて保持部A6を固定し、締め付け具A63を緩めて保持部A6を長孔A62の長手方向にスライド移動させることにより、保持部A6の位置を調整できるようになっている。
【0065】
保持部A6は、接触部A61の円弧が支軸56と同心となる位置を通常の位置として、通路90の幅を反転面部55に沿って同幅になるように保持するが、例えば、前述の被成形材料の種類によって、保持部A6の位置を前述の通常の位置からスライド調整することにより、通路90の幅を広くしたり狭くしたりすることができる。
【0066】
保持部A6は、チェーン部材A7,A8が接触部A61に対して滑るように案内される形態に限らず、例えば、チェーン部材A7,A8をスプロケットによって支持して案内するようにしてもよい。また、スライド可能な形態に限らず、定位置固定形態であってもよい。
【0067】
搬送部材A9は、柔軟なシート材からなり、チェーン部材A7、A8の内周側に位置するように固着されている。
【0068】
このような構成の戻しコンベア9によると、搬送面部A1がスプロケットA4から反転面部55の下方にわたる範囲に設定され、対面搬送部A2が反転面部55の周りに被成形材料の通路90を確保するように設定される。すなわち、運搬コンベア5の被成形材料の成形室2への運搬動作とともに、前述の被成形材料を運搬コンベア5側へ搬送する動作をすることにより、搬送体71によって受部70から落下した被成形材料を、搬送面部A1で受けて運搬コンベア5方向に搬送する。搬送される被成形材料が対面搬送部A2に至ると、この被成形材料を運搬コンベア5の運搬突起53がすくい上げて運搬面50に戻す。このとき、対面搬送部A2が反転面部55と同方向に動作し、運搬突起53による被成形材料のすくい上げに対して、対面搬送部A2がアシストするようにこの被成形材料を運搬面50に戻す状態になる。したがって、対面搬送部A2に搬送された被成形材料を効率的、かつ確実に搬送面50に戻すことができる。
【0069】
本実施形態のロールベーラ1によると、第1実施形態と同様に、被成形材料の供給から成形されたロールベールAのラップ時に、ロールベールAからこぼれ落ちる被成形材料を貯留空間部72に搬送し、搬送された被成形材料を再び成形室2に供給することができる。更に、運搬コンベア5と戻しコンベア9とにより、効率的、かつ確実に被成形材料を運搬面50に戻すことができるため、受部70から搬送された被成形材料の戻しコンベア9への残留量を大幅に減らすことができる。したがって、作業後におけるロールベーラ1内の清掃が容易であり、被成形材料の廃棄量を大幅に減らすことができる。
【0070】
戻しコンベア9は、前述の被成形材料を運搬面50に戻す動作と逆動作を行って、戻しコンベア9に残留する被成形材料をスプロケットA4側の端部から排出するようにしてもよい。この場合、運搬コンベア5を運搬動作と逆動作させることによって、運搬面に残留する被成形材料を戻しコンベア9に戻すようにしてもよい。
【0071】
戻しコンベア9の被成形材料の搬送動作の速度は、運搬コンベア5の運搬動作の速度と同じであることが好ましい。この両速度を同じにする構成として、例えば、同一のモータ(図示せず)の駆動をチェーンやベルト等の回転伝達装置(図示せず)を介して、運搬コンベア5と戻しコンベア9に対して同回転数として振り分けて伝達するようにした構成が挙げられる。他の構成として、戻しコンベア9側と運搬コンベア5側とに、同じ出力とするモータを夫々設け(図示せず)、このモータの動力源(図示せず)を同一とすることによって、戻しコンベア9の搬送動作と運搬コンベア5の運搬動作を同速度にする構成が挙げられる。
【0072】
戻しコンベア9の搬送動作と運搬コンベア5の運搬動作の速度は、対面搬送部A2に搬送された被成形材料を効率的、かつ確実に搬送面50に戻すことができる速度であれば、前述したような同速度に限らない。
【0073】
本実施形態のロールベーラ1は、受部70を介してこぼれ落ちる被成形材料を戻しコンベア9に搬送する形態を例示しているが、受部70を備えない形態にすることもできる。この形態のロールベーラ1では、戻しコンベア9の搬送面部A1を搬送コンベア6の搬送方向下流端部まで延長することによって、搬送コンベア6側からこぼれ落ちる被成形材料を運搬コンベア方向へ搬送することができる(図示せず)。
【符号の説明】
【0074】
A:ロールベール
1:ロールベーラ
2:成形室2
3:ラップマシン
5:運搬コンベア
7:搬送部
8:案内面部
31:載置台
31c:載置ベルト
310:載置面
81:固定部
82:接触部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被成形材料を圧縮して円柱状のロールベールを成形する成形室と、
前記被成形材料を前記成形室に運搬する運搬コンベアと、
成形された前記ロールベールをラップするラップマシンと、
前記被成形材料の少なくとも前記成形室から前記ラップマシンへの搬送中にこぼれ落ちる前記被成形材料を、前記成形室よりも上流側に搬送する搬送部と、を備え、前記ラップマシンは、成形された前記ロールベールを載置して回転させる載置ベルトを有し、該載置ベルトは、前記ロールベールを載置する面が前記搬送部方向に回転するように無限軌道状に巻回され、載置される前記ロールベールからこぼれ落ちる前記被成形材料を受け止めるとともに、前記搬送部へ移送するようにされていることを特徴とする複合型ロールベーラ。
【請求項2】
前記載置ベルトは、回転方向と直交する方向の幅が、前記ロールベールの回転方向と直交する方向の幅よりも広いことを特徴とする請求項1記載の複合型ロールベーラ。
【請求項3】
前記載置ベルトと前記搬送部とにわたって、前記載置ベルトから移送される前記被成形材料を前記搬送部へ案内する案内面部が設けられていることを特徴とする請求項1又は2記載の複合型ロールベーラ。
【請求項4】
前記案内面部は、該案内面部の一端を搬送部に固定し、他端を前記載置ベルトに対して接触又は近接させて配置されていることを特徴とする請求項3記載の複合型ロールベーラ。
【請求項5】
前記ラップマシン又は前記載置台、あるいは該載置台の一部が、前記載置ベルトの前記搬送部側を前記搬送部に対して上方で重なり合う位置に変位させる方向に動作するようにされていることを特徴とする請求項1乃至3いずれか1項記載の複合型ロールベーラ。
【請求項1】
被成形材料を圧縮して円柱状のロールベールを成形する成形室と、
前記被成形材料を前記成形室に運搬する運搬コンベアと、
成形された前記ロールベールをラップするラップマシンと、
前記被成形材料の少なくとも前記成形室から前記ラップマシンへの搬送中にこぼれ落ちる前記被成形材料を、前記成形室よりも上流側に搬送する搬送部と、を備え、前記ラップマシンは、成形された前記ロールベールを載置して回転させる載置ベルトを有し、該載置ベルトは、前記ロールベールを載置する面が前記搬送部方向に回転するように無限軌道状に巻回され、載置される前記ロールベールからこぼれ落ちる前記被成形材料を受け止めるとともに、前記搬送部へ移送するようにされていることを特徴とする複合型ロールベーラ。
【請求項2】
前記載置ベルトは、回転方向と直交する方向の幅が、前記ロールベールの回転方向と直交する方向の幅よりも広いことを特徴とする請求項1記載の複合型ロールベーラ。
【請求項3】
前記載置ベルトと前記搬送部とにわたって、前記載置ベルトから移送される前記被成形材料を前記搬送部へ案内する案内面部が設けられていることを特徴とする請求項1又は2記載の複合型ロールベーラ。
【請求項4】
前記案内面部は、該案内面部の一端を搬送部に固定し、他端を前記載置ベルトに対して接触又は近接させて配置されていることを特徴とする請求項3記載の複合型ロールベーラ。
【請求項5】
前記ラップマシン又は前記載置台、あるいは該載置台の一部が、前記載置ベルトの前記搬送部側を前記搬送部に対して上方で重なり合う位置に変位させる方向に動作するようにされていることを特徴とする請求項1乃至3いずれか1項記載の複合型ロールベーラ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−72291(P2011−72291A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−229864(P2009−229864)
【出願日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【出願人】(000107653)株式会社IHIスター (36)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【出願人】(000107653)株式会社IHIスター (36)
【Fターム(参考)】
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