説明

複合型変圧器

【課題】磁気エネルギーの損失を低減させ、かつ、更なる小型化を図ることができる複合型変圧器を提供することを課題とする。
【解決手段】
本発明は、複数のトランス用磁脚部23と、トランス用外磁脚部24と、一対のトランス用基部21a、21aとを備えるトランスコア20と、インダクタ用磁脚部37と、インダクタ用外磁脚部38、39と、一対のインダクタ用基部34a、34aと、を備える複数のインダクタコア30と、トランス用磁脚部23とインダクタ用磁脚部37とに巻き回しされる複数の巻線10とを備えた複合型変圧器1であり、複数の巻線10がトランス用磁脚部23に生じる磁束の磁束方向が、他の巻線10から生じる磁束の磁束方向と互いに打ち消すように巻き回しされていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合型変圧器であり、特に、磁気エネルギーの損失が少なく、かつ、小型化された複合型変圧器を備えた電力変換回路に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、DC/DC(Direct Current/Direct Current)コンバータなどの電力変換回路の技術分野において、様々な発明が提案されている。
たとえば、下記特許文献1には、巻線から生じる磁束の磁束方向が互いに打ち消すように複数の巻線が配列された磁気相殺型の変圧器(以下、単に「トランス」ともいう。)を用いたDC/DCコンバータが開示されている。
また、下記特許文献2には、上記する磁気相殺変圧器を改良したものとして、トランス用の巻線と昇降圧用インダクタに用いられる巻線とを共用化して、トランスとインダクタとが構造的に一体化した複合型変圧器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−214058号公報
【特許文献2】特開2009−284647号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術である複合型変圧器によれば、トランスコアの一部である中央磁脚部(特許文献2の図3及び図4の「中央磁脚部61」を参照。)に対し、二つの巻線が互いに交互に重なるように巻き回すように構成されていた。
よって、二つの巻線が巻き回しされる中央磁脚部において、トランスコアの飽和磁束密度を超える磁束の過密化を招き、磁気エネルギーの損失が生じていた。
【0005】
また、従来技術である複合型変圧器によれば、インダクタ用コイルとトランス用コイルとを共用しているため、インダクタ用コイルとトランス用コイルとを別個に設けた場合に比べ小型化が図れているものの、複合型変圧器は小型化されればされるほど好ましく、更なる複合型変圧器の小型化が望まれる。
【0006】
そこで、本発明は、前記する背景に鑑みて創案された発明であって、磁気エネルギーの損失を低減させ、かつ、更なる小型化を図ることができる複合型変圧器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本願発明に係る複合型変圧器は、巻線の軸線方向に延出して二つの巻線が巻き回しされるトランス用磁脚部を有するトランスコアと、前記前記二つの巻線の一つが巻き回しされるインダクタ用磁脚部を有し、前記トランスコアに隣り合うように配置されるとともに前記トランス用磁脚部が延出する延出方向に配列される二つのインダクタコアと、前記二つの巻線と、を備え、前記二つの巻線の一方又は両方が通電することにより、前記トランス用磁脚部と前記インダクタ用磁脚部に磁束を生じ、単一のトランスと複数のインダクタとが構成される複合型変圧器であって、前記トランスコアは、前記トランス用磁脚部と、前記トランス用磁脚部と平行な方向に延び、前記トランス用磁脚部に巻き回しされる前記二つの巻線の外周面側に配置されるトランス用外磁脚部と、前記トランス用磁脚部と前記トランス用外磁脚部との両端同士を接続する一対のトランス用基部と、を備え、前記インダクタコアは、前記インダクタ用磁脚部と、前記インダクタ用磁脚部と平行な方向に延び、前記トランス用磁脚部に巻き回しされる巻線の外周面側に配置されるインダクタ用外磁脚部と、前記インダクタ用磁脚部と前記インダクタ用外磁脚部との両端同士を接続する一対のインダクタ用基部と、を備え、前記二つの巻線は、前記トランス用磁脚部で生じる磁束の磁束方向が、前記トランスコアにより構成される磁束の閉磁路において、互いに打ち消すように巻き回しされていることを特徴とする。
【0008】
前記する本願発明の複合型変圧器によれば、二つの巻線の一方に電流を流して励磁させた場合、トランス用磁脚部に磁束が生じ、この磁束が閉磁路であるトランスコアを周回する。
そして、トランスコアを周回する磁束は、トランス用磁脚部に巻き回しされる二つの巻線の他方を電磁誘導する。
ここで、二つの巻線は、トランスコアにより構成される磁束の閉磁路において、互いに打ち消すように巻き回しされている。そのため、トランスコアを周回する磁束は、二つの巻線の他方の電圧を昇圧させる電磁誘導となる。よって、二つの巻線の一方に電流を流せば、トランスコアを介して、二つの巻線の他方の電圧が昇圧される。
また、二つの巻線の一方に電流を流して励磁させた場合、インダクタ用磁脚部にも磁束が生じ、その磁束が閉磁路であるインダクタコアを周回する。よって、二つの巻線のそれぞれに電流を流せば、磁束がインダクタコアを周回し、磁気エネルギーを蓄積される。
そして、複合型変圧器のトランス用磁脚部は、軸線方向に延出しているため、二つの巻線が巻き回しされたとしても磁束が過密しない。そのため、本願発明の複合型変圧器によれば、トランス用磁脚部の飽和磁束密度を超える磁束がトランス用磁脚部に生じてしまい、磁気エネルギーが損失するという事態を回避できる。
さらに、本願発明の複合型変圧器では、二つの巻線から生ずる磁束が閉磁路トランスコアにおいて互いに打ち消すように巻き回しされているため、トランスコアの残留磁化が低減される。よって、本願発明の複合型変圧器によれば、残留磁化による磁気エネルギーの損失を低減させることができる。
【0009】
また、本願発明に係る複合型変圧器は、前記巻線が外部電気回路に接続する両極の接続端子が同一方向に引き出すように形成されており、前記二つの巻線のそれぞれは、前記両極の接続端子が同一方向を向くように配置されていることが好ましい。
【0010】
前記する構成によれば、二つの巻線の接続端子が、複合型変圧器のある一方側にまとめて引き出されることとなる。よって、二つの巻線の接続端子と外部電気回路との接続作業が容易となり、巻線の接続端子と外部電気回路との接続作業の効率を向上させることができる。
【0011】
また、本願発明に係る複合型変圧器は、前記トランスコアと前記インダクタコアとの間に介在する磁気絶縁シートをさらに備えることが好ましい。
【0012】
前記する構成によれば、トランスコアとインダクタコアとのそれぞれに生じる磁界の影響を受けることを防止できる。
【発明の効果】
【0013】
以上、本発明によれば、磁気エネルギーの損失の低減化させ、かつ、小型化された複合型変圧器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態に係る複合型変圧器の外観を示す外観図である。図1(a)は、前方側であって左上部側から見た斜視図であり、図1(b)は、複合型変圧器の一部を切り取り、後方側であって右上部側から見た一部断面斜視図である。
【図2】図1に示す複合型変圧器の構成を分解した場合における分解斜視図である。
【図3】実施形態の複合型変圧器において、上部側に配置されるトランスコア部材とインダクタコア部材を外した場合の平面図である。
【図4】図1に示す複合型変圧器をA−A線で切った場合における複合型変圧器の断面を示す断面図である。
【図5】図1に示す複合型変圧器をB−B線で切った場合における複合型変圧器の断面を示す断面図である。
【図6】実施例1において用いられた比較例の外観を示す外観図である。
【図7】巻線の巻数を変化させた場合における実施例1と比較例1〜3との体積及び磁気エネルギーの損失量を測定した測定結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下において、本発明の実施形態に係る複合型変圧器について、図面を適宜参照しながら説明する。なお、実施形態の複合型変圧器の説明において、技術的に同一要素であるものについては同一の符号を付している。
【0016】
(複合型変圧器1)
実施形態にかかる複合型変圧器1は、図1(a)及び(b)に示すように、二つの巻線10を備えており、トランスとインダクタとが一体に構成された二相複合型変圧器である。なお、本実施形態の複合型変圧器1においては、巻線10を二つ用いているが、説明の便宜上、二つの巻線10を区別して説明する場合において、二つの巻線10のうち上側に配置される巻線10を第1の巻線11とし、下側に配置される巻線10を第2の巻線12と称して説明する。
【0017】
複合型変圧器1は、図1に示すように、二つの巻線10を備えるほかに、その二つの巻線10を支持するトランスコア20と、上下方向に配置される二つのインダクタコア30、30と、トランスコア20とインダクタコア30との間に配置される磁気絶縁シート40とを備えて構成されている。
【0018】
(巻線10)
巻線10は、外部電気回路に接続して、外部電気回路から流れる電流を磁気エネルギーに変換するための部材である。
本実施形態の複合型変圧器1においては、巻線10を二つ備えており、二つの巻線10を構成する第1の巻線11と第2の巻線12とは、図2に示すように、第1の巻線11と第2の巻線12とは、銅線などの線材を同心円状に巻き回してなる円筒形状のコイルであり、線材の両端部分がコイルから引き出されてなる接続端子11a、11b、12a、12bを備えている。
但し、図2に示すように、第1の巻線11の円筒形状のコイルは、接続端子11aに対して接続端子11bが右回り(上方側から見て時計回り)となるように巻き回すことにより形成され、第2の巻線12の円筒形状のコイルは、接続端子12aに対して接続端子12bが左回り(上方側から見て反時計回り)となるように巻き回すことにより形成されている。
また、第1の巻線11における接続端子11a、11bの両端は、同一方向に引き出されるように形成されている。同様に、第2の巻線12の接続端子12a、12bにおいても、両端が同一方向に引き出されるように形成されている。
また、第1の巻線11の巻回数と第2の巻線12の巻回数は、同じ巻回数となるように巻き回されているが、その巻回数については、本発明において特に限定されない。
そして、第1の巻線11と第2の巻線12とは、図1(b)に示すように、上下方向に並べて配置されているとともに、第1の巻線11と第2の巻線12におけるコイル内部に後記する磁脚部36が挿通され、第1の巻線11と第2の巻線12とがトランスコア20内部で軸線方向に支持されている。
以上、巻線10の形状等について説明したが、コイル内部に挿通される磁脚部36に対する第1の巻線11と第2の巻線12との巻き回し方向については、トランスコア20とインダクタコア30の構成を説明した後に説明する。
その他、以下において、巻線10を形成する際、線材を巻き回しする中心軸方向を、単に、「巻線の軸線方向」或いは「上下方向」として説明する。また、巻線の軸線に対する直交する方向であって、複合型変圧器1から巻線10の接続端子11a、11bが引き出されている方向を「前後方向」とし、上下方向と前後方向の両方向に対して直交する方向を「左右方向」として、説明する。
【0019】
(トランスコア20)
トランスコア20は、図1(b)に示すように、巻き回しされる二つの巻線10を磁気結合させる磁性部材であり、二つの巻線10が巻き回されるトランス用磁脚部23と、トランス用磁脚部23と平行に延びるトランス用外磁脚部24と、トランス用磁脚部23とトランス用外磁脚部24との両端に接続する一対のトランス用基部21a、21aとを備えて構成される。
【0020】
トランス用磁脚部23は、図1(b)に示すように、巻線10が巻き回される部分であり、巻線10の軸線方向に延びるように形成されている。
トランス用磁脚部23は、図3に示すように、上下方向から視て略半円となるように形成されているとともに、その半円における径が巻線10の内径における半径と等しくなるように形成されている。
また、本実施形態において、トランス用磁脚部23に巻き回しされる巻線10の数は、図1(b)に示すように、上下方向に並べて配置される第1の巻線11と第2の巻線12との二つである。よって、トランス用磁脚部23は、二つの巻線10の軸線方向における長さと等しくなるように軸線方向に延出しており、二つの巻線10を軸線方向に並べて巻き回し可能に形成されている。
【0021】
トランス用外磁脚部24は、図1(b)に示すように、巻線10の外周面側であって、トランス用磁脚部23と平行となるように上下方向に延びるように形成されている。
また、トランス用外磁脚部24は、図3に示すように、上下方向から視て円弧状となるように形成されている。そして、トランス用外磁脚部24における円弧の中心は、図3に示すように、トランス用磁脚部23における半円の中心と同心となるように形成されているとともに、トランス用外磁脚部24における円弧の内周面側である内径が巻線10の外径と等しくなるように形成されている。
【0022】
一対のトランス用基部21a、21aは、図1(b)に示すように、トランス用磁脚部23の外周面側からトランス用外磁脚部24の内周面側に向かって延出し、トランス用磁脚部23の両端とトランス用外磁脚部24の両端とを接続する半円板の部分である。
これによれば、一対のトランス用基部21a、21aが、巻線10の軸線方向に平行に延びるトランス用磁脚部23とトランス用外磁脚部24との両端をするため、図1に示すように、一部が巻線10の内部を通過した環状のトランスコア20を構成することができる。
したがって、巻線10の内部に位置するトランス用磁脚部23に生じた磁束は、図1(b)に示すように、トランスコア20内を磁気経路として周回し、トランスコア20は、磁束の閉磁路BT(請求の範囲に記載されるトランスコアの「閉磁路」に相当。)として機能することとなる。
そのほか、一対のトランス用基部21a、21aのそれぞれは、トランス用磁脚部23の両端に接続しているため、トランス用磁脚部23に巻き回しされている巻線10を支持することができる。
【0023】
以上、トランスコア20の構成について説明したが、このようなトランスコア20は、図2に示すように、一対のトランスコア部材21、21を組み合わせることにより構成することができる。以下、トランスコア部材21について説明する。
【0024】
トランスコア部材21は、図2に示すように、半円板のトランス用基部21aと、トランス用基部21aの平面部分に形成された半円柱のトランス用磁脚構成部21bと、トランス用基部21aの平面部分に形成された円弧状のトランス用外磁脚構成部21cとから構成されており、かつ、これらの構成が一体的に形成されている。
なお、トランスコア部材21におけるトランス用基部21aは、トランスコア20の構成である一対のトランス用基部21aと同一構成であり、詳細な説明は省略する。
【0025】
トランス用磁脚構成部21bは、図2及び図3に示すように、トランス用磁脚部23の構成要素であり、トランス用基部21aの半円板の中心と同心となるように、トランス用基部21aの平面部分から、断面視半円状で延出している。また、トランス用磁脚構成部21bにおける上下方向の長さは、トランス用磁脚部23の上下方向の長さの半分の長さとなるように形成されている。
【0026】
トランス用外磁脚構成部21cは、図2及び図3に示すように、トランス用外磁脚部24の構成要素であり、トランス用外磁脚構成部21cにおける上下方向の長さは、トランス用外磁脚部24の上下方向の長さの半分の長さとなるように形成されている。
【0027】
そして、図2に示すように、トランス用磁脚構成部21b、トランス用外磁脚構成部21cが形成された面が対向するように一対のトランスコア部材21、21を配置するとともに、トランスコア部材21、21におけるトランス用磁脚構成部21bの端面同士と、トランス用外磁脚構成部21cの端面同士を接合することにより、上下方向に対称的なトランスコア20が形成される。
また、トランス用磁脚構成部21b、21bにより半円柱のトランス用磁脚部23が構成され、トランス用外磁脚構成部21c、21cにより円弧状のトランス用外磁脚部24が構成されることとなる。
【0028】
その他、トランスコア20に用いられる磁性材料として、飽和磁束密度[T]が高く、かつ、鉄損[W/kg]が小さいものが望ましい。ただし、二つの巻線10によりトランスコア20内に生じる磁束については後記するが、互いに打ち消す磁束方向であるため、残留磁束が低減される。よって、トランスコア20の材料としては、飽和磁束密度[T]が高いことより、鉄損[W/kg]が小さいことが優先され、例えば、Mn−Znフェライト、ナノ結晶合金、Fe系アモルファス、Co系アモルファスなどが挙げられる。
【0029】
(インダクタコア30)
インダクタコア30は、巻き回しされる巻線10から生じる磁気エネルギーを蓄積するための磁性部材である。
インダクタコア30は、図1(a)及び(b)に示すように、軸線巻線10が巻き回されるインダクタ用磁脚部37と、インダクタ用磁脚部37と平行に延びるインダクタ用側方磁脚部38、38とインダクタ用前方磁脚部39と、インダクタ用磁脚部37とインダクタ用側方磁脚部38、38とインダクタ用前方磁脚部39との両端とを接続する一対のインダクタ用基部34a、34aとを備えて構成される。
なお、インダクタコア30において、インダクタ用側方磁脚部38、38とインダクタ用前方磁脚部39とは、巻線10が巻き回しされない磁脚であり、特許請求の範囲に記載される「インダクタ用外磁脚部」に相当する構成である。
【0030】
インダクタ用磁脚部37は、図1(b)に示すように、巻線10が巻き回される部分であり、巻線10内部で巻線10の軸線方向に延びるように形成されている。
インダクタ用磁脚部37は、図3に示すように、上下方向から視て略半円となるように軸線方向に延びており、その半円の径が、巻線10の内径における半径と等しくなるように形成されている。また、インダクタ用磁脚部23は、巻線10の軸線方向における長さと等しくなるように上下方向に延出している。
【0031】
インダクタ用側方磁脚部38、38とインダクタ用前方磁脚部39とは、図1(a)に示すように、巻線10の外周面側であって、インダクタ用磁脚部37と平行となるように上下方向に延びるように形成されている。
インダクタ用側方磁脚部38、38は、図3に示すように、巻線10から直線上に引き出されている接続端子11a、11bに沿って直線上となるように形成されている。一方で、インダクタ用前方磁脚部39は、巻線10から直線上に引き出されている接続端子11a、11bの間に位置するように形成されている。
【0032】
一対のインダクタ用基部34a、34aは、図1(b)に示すように、インダクタ用磁脚部37の外周面側からインダクタ用側方磁脚部38、38とインダクタ用前方磁脚部39との内周面側に向かって延出しており、インダクタ用磁脚部37の両端と、インダクタ用側方磁脚部38、38とインダクタ用前方磁脚部39との両端に接続している。
これによれば、図1に示すように、インダクタコア30は、一部が巻線10の内部を通過した状態で環状を形成している。
よって、巻線10の内部に位置するインダクタ用磁脚部37に生じた磁束は、図1(b)に示すように、インダクタコア30内を磁気回路として周回するため、インダクタコア30は、磁束の閉磁路BLとして機能することとなる。
なお、インダクタコア30における閉磁路BLにおいて、インダクタ用磁脚部37以外に、一対のインダクタ用基部34a、34aとの両者を結ぶ磁気回路は、図4及び図5に示すように、インダクタ用側方磁脚部38、38とインダクタ用前方磁脚部39とがある。よって、インダクタ用側方磁脚部38、38又はインダクタ用前方磁脚部39を通過する経路それぞれが、インダクタコア30の閉磁路BLに相当する。
【0033】
また、本実施形態の複合型変圧器1は、二つのインダクタコア30、30を備えるが、その二つのインダクタコア30は、トランス用磁脚部23が延出する上下方向に配列されている。
そして、上下方向に配列される二つのインダクタコア30、30は、インダクタ用磁脚部37がトランスコア20のトランス用磁脚部23に対して、隣り合うように配置される。これによれば、図1(b)に示すように、インダクタコア30のインダクタ用磁脚部37とトランスコア20のトランス用磁脚部23と後記する磁気絶縁シート40とから構成される円柱形の磁脚部36が形成される。
【0034】
そのほか、本実施形態は、二つのインダクタコア30、30を備えており、その二つのインダクタコア30、30は、図1に示すように、上下方向に配列されている。以下において、インダクタコア30の構成について説明するが、説明の必要に応じて、上側に配置されるインダクタコア30を上部インダクタコア31と称し、下部に配置されるインダクタコア30を下部インダクタコア32と称して説明する。
【0035】
以上、インダクタコア30の構成について説明したが、このようなインダクタコア30は、図2に示すように、一対のインダクタコア部材34、34を組み合わせることにより構成することができる。以下、インダクタコア部材34について説明する。
【0036】
インダクタコア部材34は、図2に示すように、平面部分を有するように板状に形成されたインダクタ用基部34aと、インダクタ用基部34aの平面部分に形成されたインダクタ用磁脚構成部34bと側部インダクタ用磁脚構成部34c、34cと前方インダクタ用磁脚構成部34dとから構成されており、かつ、これらの構成が一体的に形成されている。
なお、インダクタコア部材34におけるインダクタ用基部34aは、インダクタコア30の構成である一対のインダクタ用基部34aと同一構成であり、詳細な説明は省略する。
【0037】
インダクタ用磁脚構成部34bは、インダクタ用磁脚部37を構成要素であって、図2に示すように、インダクタ用基部34aの平面部分であって、後側の端辺から、上下方向から視て半円状に延出する半円柱部分である。
また、インダクタ用磁脚構成部34bにおける上下方向の長さは、インダクタ用磁脚部37の上下方向の長さの半分の長さとなるように形成されている。
【0038】
側部インダクタ用磁脚構成部34c、34cは、インダクタ用側方磁脚部38、38の構成要素であり、インダクタ用基部34aにおける平面部分であって、左右側の端辺側から、上下方向から視て矩形状で延出するように形成されている。
前方インダクタ用磁脚構成部34dは、インダクタ用前方磁脚部39の構成要素であって、インダクタ用基部34aにおける平面部分であって、前側の端辺側から、上下方向から視て矩形状で延出するように形成されている。
【0039】
そして、二つのインダクタコア部材34、34の組み合わせは、図2に示すように、二つのインダクタコア部材34、34におけるインダクタ用磁脚構成部34bを後方側に、側部インダクタ用磁脚構成部34c、34cを左右方向側に、前方インダクタ用磁脚構成部34dを前方側に位置するように対向させる。
そして、二つのインダクタコア部材34、34におけるインダクタ用磁脚構成部34bの端面同士、側部インダクタ用磁脚構成部34c、34cの端面同士、前方インダクタ用磁脚構成部34dの端面同士とを接合することにより、インダクタコア30が構成させる。
インダクタコア30は、インダクタ用基部34a、34aとの間であって、後方側中央部に半円柱状のインダクタ用磁脚部37が形成され、左右側にインダクタ用側方磁脚部38、38が形成され、前方側にインダクタ用前方磁脚部39が形成される。
【0040】
また、インダクタコア30に用いられる材料として、飽和磁束密度[T]が高く、かつ、鉄損[W/kg]が小さいものが望ましい。
ただし、インダクタコア内に生じる磁束は、漏れ磁束が主となる。よって、トランスコアの材料としては、鉄損[W/kg]が高いことより、飽和磁束密度[T]が小さいことが優先され、例えば、ダストパーマロイ、圧粉鉄心、圧粉珪素鋼、珪素鋼板などが挙げられる。
【0041】
(磁気絶縁シート40)
磁気絶縁シート40は、トランスコア20とインダクタコア30とに生じる磁界をそれぞれ分離するための透磁率が低いシート部材である。
磁気絶縁シート40は、図2に示すように、トランスコア20とインダクタコア30との間に配置される第1磁気絶縁シート部41と第2磁気絶縁シート部42と、インダクタコア30同士の間に配置される第3磁気絶縁シート部43とから構成される。
また、第1磁気絶縁シート部41〜第3磁気絶縁シート部43は、シート状であって薄く形成されており、配置される箇所の対応する大きさに形成されている。
また、第1磁気絶縁シート部41と第2磁気絶縁シート部42にあっては、トランスコア20とインダクタコア30との間に配置されるため、トランスコア20とインダクタコア30の両方に介在する巻線10を通過可能とするための切り欠きが形成されている。
【0042】
つぎに、磁脚部36に対する巻線10の巻き回しについて説明する。
二つの巻線10である第1の巻線11と第2の巻線12は、磁脚部36に対して、第1の巻線11の接続端子11a、11bと第2の巻線12の接続端子12a、12bとが、複合型変圧器1の前後方向における前側に向くように巻き回しされている。これによれば、複合型変圧器1に対して、第1の巻線11と第2の巻線12の引き出し方向を同一となる。
【0043】
また、第1の巻線11と第2の巻線12は、磁脚部36を構成するトランス用磁脚部23の閉磁路BT内において、第1の巻線11から生じる磁束B1Tの磁束方向と第2の巻線12から生じる磁束B2Tの磁束方向とがそれぞれが、互いに打ち消すように巻き回しされている。
例えば、第1の巻線の接続端子11aと第2の巻線の接続端子12aとの端子側が正極と接続し、第1の巻線の接続端子11bと第2の巻線の接続端子12bとの端子側が負極と接続するものとする。
この場合において、第1の巻線11は、磁脚部36に対し、上方から見て右回りとなるように巻き回しされ、第2の巻線12は、磁脚部36に対し、上方から見て左回りとなるように巻き回しされる。
そのため、第1の巻線11から生じる磁束B1Tの磁束方向は、図4に示すように、トランスコア20のトランス用磁脚部23において下方方向となり、トランス用外磁脚部24を上方方向に周回する方向となる。一方で、第2の巻線12から生じる磁束B2Tの磁束方向は、図4に示すように、トランスコア20のトランス用磁脚部23において上方方向になり、トランス用外磁脚部24を下方方向に周回する方向となる。これによれば、第1の巻線から生じる磁束B1Tの磁束方向と第2の巻線から生じる磁束B2Tの磁束方向が互いに打ち消すように構成することができる。
【0044】
なお、以下において、第1の巻線11に電流が流れた場合、図4に示すように、第1の巻線11に巻き回しされる磁脚部36に磁束B1が発生するが、第1の巻線11から生じる磁束B1であって、トランスコア20内に生じる磁束を磁束B1Tと称し、インダクタコア30内に生じる磁束を磁束B1Lと称する。
また、第2の巻線12から生じる磁束B2であって、トランスコア20内に生じる磁束を磁束B2Tと称し、インダクタコア30内に生じる磁束を磁束B2Lと称して、説明する。
【0045】
つぎに、複合型変圧器1の使用方法について説明する。
第1の巻線11の接続端子11aから接続端子11b側に向かって電流が流れた場合、図4に示すように、第1の巻線11が巻き回しされる磁脚部36に磁束B1(B1T、B1L)が発生する。
【0046】
ここで、磁脚部36を構成するトランス用磁脚部23において、磁束B1Tの磁束方向は下方方向であり、下部側のトランス用基部21aを通過し、トランス用外磁脚部24に向かう。そして、トランス用外磁脚部24における磁束B1Tの磁束方向は、上方方向であり、上部側のトランス用基部21aを通過して、トランス用磁脚部23に戻り、トランスコア20を周回することとなる。
【0047】
その際に、磁束B1Tは、第1の巻線11の下部側にある第2の巻線12内部を周回するため、第2の巻線12を電磁誘導する。
よって、第2の巻線12が昇圧されて電流が流れる。また、その電流は、正極と接続する第2の巻線12の接続端子12bから、負極と接続する第2の巻線12の接続端子12aに向かって流れる電流であり、トランスとして機能することが可能となる。
【0048】
次に、第1の巻線11が巻き回しされる上部インダクタコア31に発生する磁束B1Lについて説明する。
上部インダクタコア31の閉磁路BLにおいて、第1の巻線11が巻き回しされるインダクタ用磁脚部37に、磁束方向が下方方向である磁束B1Lが生じる。そして、磁束B1Lは、インダクタ用磁脚部37から下部側のインダクタ用基部34aに向かう。
【0049】
ここで、インダクタ用基部34aには、図4及び図5に示すように、インダクタ用前方磁脚部39とインダクタ用側方磁脚部38とが接続しているため、そのインダクタ用前方磁脚部39とインダクタ用側方磁脚部38との両方に磁束B1Lが向かうこととなる。
よって、インダクタ用前方磁脚部39とインダクタ用側方磁脚部38とには、上方方向に向かう磁束B1Lが生じる。
【0050】
そして、インダクタ用前方磁脚部39とインダクタ用側方磁脚部38とに生じた磁束B1Lは、上部側のインダクタ用基部34aを通過して、インダクタ用磁脚部37に向かい、上部インダクタコア31の閉磁経路BLを周回することとなる。
これにより、上部インダクタコア31に生じる磁界は第1の巻線11に電流が流れている限り、磁気エネルギーとして、上部インダクタコア31に蓄積することとなり、インダクタとして機能することとなる。
【0051】
次に、第2の巻線12に電流を流した場合を説明する。第2の巻線12の接続端子12bから接続端子12a側に向かって電流が流した場合に、図4に示すように、第2の巻線12が巻き回しされる磁脚部36に磁束B2(B2T、B2L)が発生する。
【0052】
ここで、磁脚部36を構成するトランス用磁脚部23において、磁束B2Tの磁束方向は上方方向であり、上部側のトランス用基部21aに向かう。
そして、磁束B2Tは、上部側のトランス用基部21aを通過して、トランス用外磁脚部24に向かうが、トランス用外磁脚部24における磁束B2Tの磁束方向は下方方向である。
よって、磁束B2Tは、下部側のトランス用基部21aを通過して、トランス用磁脚部23に戻るような磁束方向となり、トランスコア20を周回する磁界が発生する。
【0053】
その際に、磁束B2Tは、第2の巻線12の上部側にある第1の巻線11内部を周回するため、第1の巻線11を電磁誘導する。
よって、第1の巻線11が昇圧されて電流が流れるが、その電流は、正極と接続する第1の巻線11の接続端子11aから、負極と接続する第1の巻線11の接続端子11bに向かって流れる電流であり、トランスとして機能する。
【0054】
次に、第2の巻線12が巻き回しされる下部インダクタコア32に発生する磁束B2Lについて説明する。
下部インダクタコア32において、第2の巻線12が巻き回しされるインダクタ用磁脚部37に、磁束方向が上部方向である磁束B2Lが生じる。そして、磁束B2Lは、インダクタ用磁脚部37から上部側のインダクタ用基部34aに向かう。
【0055】
ここで、インダクタ用基部34aには、図4及び図5に示すように、インダクタ用前方磁脚部39とインダクタ用側方磁脚部38とが接続しているため、そのインダクタ用前方磁脚部39とインダクタ用側方磁脚部38との両方に磁束B2Lが向かうこととなる。
よって、インダクタ用前方磁脚部39とインダクタ用側方磁脚部38とには、下方方向に向かう磁束B2Lが生じる。
【0056】
そして、インダクタ用前方磁脚部39とインダクタ用側方磁脚部38とに生じた磁束B2Lは、下部側のインダクタ用基部34aを通過して、インダクタ用磁脚部37に向かい、下部インダクタコア32を周回することとなる。
これにより、下部インダクタコア32に生じる磁界は第2の巻線12に電流が流れている限り、磁気エネルギーとして、下部インダクタコア32に蓄積することとなり、インダクタとして機能することとなる。
【0057】
以上、実施形態における複合型変圧器1について説明したが、複合型変圧器1によれば、小型化を図ることができるとともに、トランスコア20内に発生する、第1の巻線11から生じる磁束B1Tの向きと、第2の巻線12から生じる磁束B2Tの向きとが対向する。よって、トランスコア20内の残留磁束を低減することができ、トランスコア20における磁気飽和を防止させることが可能となる。
【0058】
また、複合型変圧器1によれば、二つの巻線10に対応するように、トランス用磁脚部23が長く形成されているため、トランス用磁脚部23に生じる磁束の飽和を防止できる。よって、巻線10から生じた磁束B1T、B2Tがトランスコア20の飽和磁束密度を超えてしまい、磁気エネルギーが損失するということを回避できる。特に、残留磁束(特に直流磁束)を低減することができる。
【0059】
さらに、複合型変圧器1によれば、二つの巻線10が、トランス用外磁脚部24と、インダクタ用側方磁脚部38と、インダクタ用前方磁脚部39に覆われている。よって、巻線10が他の磁界の影響を受ける可能性を低減させることが可能となる。
【0060】
また、複合型変圧器1によれば、第1の巻線11の接続端子11a、11bと、第2の巻線12の接続端子12a、12bとが、同一方向に引き出されており、複合型変圧器1のある前後方向における前側にまとめてられている。
よって、複合型変圧器1に接続される接続する配線を複合型変圧器1の一方側にまとめることができ、複合型変圧器1を用いたDC/DCコンバータの小型化を図ることが可能となる。
【0061】
また、複合型変圧器1によれば、トランスコア20が2つのトランスコア部材21により構成されるため、トランスコア部材21の部品、つまり、一種類の部品を製造すれば、トランスコア20を製造することができ、製造する部品点数の増加を抑止することができる。また、同様に、インダクタコア30についても、2つのインダクタコア部材34により構成されるため、製造する部品点数の増加を抑止することができる。
【0062】
以上、実施形態における複合型変圧器1について説明したが、本発明の複合型変圧器1は、実施形態で説明したものに限るものではない。例えば、実施形態における複合型変圧器1は、二つの巻線10に対して、接続端子11a、11b、12a、12bとが引き出されている前方側に二つのインダクタコア30が配置され、後方側にトランスコア20が配置されていたが、前方側にトランスコア20が配置し、後方側に二つのインダクタコア30配置してもよい。但し、この場合においては、トランスコア20に、二つの巻線10の接続端子11a、11b、12a、12bを引き出すための孔部を形成する必要がある。
【0063】
(実施例)
次に、実施形態における複合型変圧器の実施例について説明する。
本実施例においては、実施形態における複合型変圧器をDC/DCコンバータに設けるとともに、DC/DCコンバータにおけるスイッチング素子をON、OFFさせて、印加電圧の昇圧を行った。
また、本実施例の実験においては、実施例の複合型変圧器が備える巻線の巻き数を変更させて、その巻数の場合における複合型変圧器の体積を計算した。
併せて、実施例の複合型変圧器の巻数を変更した複合型変圧器毎に、所定電圧を印加するとともに所定電流量を流した場合における磁気部品における損失である銅損と鉄損(W)を計算した。なお、印加電圧等の計算条件は、下記の(表1)に示す通りである。
【0064】
【表1】

【0065】
また、実施例の複合型変圧器において、トランスコアの原材料としてフェライトを使用し、インダクタコアの原材料として、ダストパーマロイを使用した。
なお、実施例の複合型変圧器の測定結果の比較対象として、比較例1〜比較例3を用意した。比較例1は、図6(a)に示す従来型のインダクタ(コアの原材料は、ダストパーマロイ)を用意し、比較例2は、図6(b)に示すルーズカップルドインダクタ(コアの原材料はフェライト)を用意し、比較例3は、図6(c)に示すL型チョッパ(コアの原材料は、ダストパーマロイ)と磁気相殺型トランス(コアの原材料はフェライト)との組み合わせた場合である。
【0066】
なお、実施例1と比較例1〜3における巻線は共通ものを使用した。以下、測定結果を図7に示す。なお、図7におけるグラフにおいて、縦軸は体積を示し、下から上に向かうほど体積が大きくなることを示し、横軸は磁気部品の銅損と鉄損を示し、左側から右側に向かうほど損失が大きいことを示す。よって、図12におけるグラフにおいて、左下に位置するプロットほど、小型であり、かつ、損失が小さいことを示すものである。
【0067】
また、全体的に、比較例1〜3の測定結果を示すプロットに比べて、実施例1の結果を示すプロットが、図7のグラフの左下の方に位置する結果となり、実施例における複合型変圧器によれば、従来の複合型変圧器に比べ、小型化と磁気エネルギー損失の低減化が図れていることを示した。
【符号の説明】
【0068】
1 複合型変圧器
10(11、12) 巻線(第1の巻線、第2の巻線)
11a、11b、12a、12b 接続端子
20 トランスコア
21 トランスコア部材
21a トランスコア用基部
21b トランス用磁脚構成部
21c トランス用外磁脚構成部
23 トランス用磁脚部
24 トランス用外磁脚部
30(31、32) インダクタコア(上部インダクタコア、下部インダクタコア)
34 インダクタコア部材
34a インダクタ用基部
34b インダクタ用磁脚構成部
34c 側部インダクタ用磁脚構成部
34d 前方インダクタ用磁脚構成部
36 磁脚部
37 インダクタ用磁脚部
38 インダクタ用側方磁脚部
39 インダクタ用前方磁脚部
40 磁気絶縁シート
41 第1磁気絶縁シート部
42 第2磁気絶縁シート部
43 第3磁気絶縁シート部
B1、B2(B1T、B2T、B1L、B2L) 磁束
BT、BL 閉磁路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
巻線の軸線方向に延出して二つの巻線が巻き回しされるトランス用磁脚部を有するトランスコアと、
前記二つの巻線の一つが巻き回しされるインダクタ用磁脚部を有し、前記トランスコアに隣り合うように配置されるとともに前記トランス用磁脚部が延出する延出方向に配列される二つのインダクタコアと、
前記二つの巻線と、を備え、
前記二つの巻線の一方又は両方が通電することにより、前記トランス用磁脚部と前記インダクタ用磁脚部に磁束を生じ、単一のトランスと複数のインダクタとが構成される複合型変圧器であって、
前記トランスコアは、
前記トランス用磁脚部と、
前記トランス用磁脚部と平行な方向に延び、前記トランス用磁脚部に巻き回しされる前記二つの巻線の外周面側に配置されるトランス用外磁脚部と、
前記トランス用磁脚部と前記トランス用外磁脚部との両端同士を接続する一対のトランス用基部と、を備え、
前記インダクタコアは、
前記インダクタ用磁脚部と、
前記インダクタ用磁脚部と平行な方向に延び、前記トランス用磁脚部に巻き回しされる巻線の外周面側に配置されるインダクタ用外磁脚部と、
前記インダクタ用磁脚部と前記インダクタ用外磁脚部との両端同士を接続する一対のインダクタ用基部と、を備え、
前記二つの巻線は、
前記トランス用磁脚部で生じる磁束の磁束方向が、前記トランスコアにより構成される磁束の閉磁路において、互いに打ち消すように巻き回しされていることを特徴とする複合型変圧器。
【請求項2】
前記巻線は、外部電気回路に接続する両極の接続端子が同一方向に引き出すように形成されており、
前記二つの巻線のそれぞれは、前記両極の接続端子が同一方向を向くように配置されていることを特徴とする請求項1に記載の複合型変圧器。
【請求項3】
前記トランスコアと前記インダクタコアとの間に介在する磁気絶縁シートをさらに備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の複合型変圧器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−54485(P2012−54485A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−197416(P2010−197416)
【出願日】平成22年9月3日(2010.9.3)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】