複合多孔質材料並びにそれらを作製する方法及びそれらを使用する方法
本発明は、第2材料が、多孔質の第1材料に融合され、且つ/又は多孔質の第1材料の孔中に存在し、且つ/又は多孔質の第1材料の孔壁の幾つかに直接融合される複合多孔質材料を提供する。本発明はまた、これらの複合多孔材料を用いて流体を濾過する方法、及びこの複合多孔質材料を製造する方法を提供する。図は、多孔質PE基材上へ流延した多孔質PVDF膜の横断面の走査型電子顕微鏡写真である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合多孔質材料、並びにそれらを作製する方法及びそれらを使用する方法に関する。
【0002】
本出願は、2003年11月4日に出願された米国仮出願第60/516,753号の利益を主張するものである。この仮出願の開示は、その全体が参照により本明細書中に援用される。
【背景技術】
【0003】
多孔質膜は、長い間流体から微細な固形分を濾過するのに使用されてきた。精密濾過、限外濾過、ナノ濾過及び逆浸透(「RO」)は、多孔質膜の使用に基づくプロセスの例である。これらのプロセスが使用される用途としては、飲料水を生産するために塩水を精製すること、工業用水として再使用するために廃水を濾過すること、並びにビール及びワインのようなある特定の飲料から不要の固形分を除去することが挙げられる。
【0004】
精密濾過プロセスは一般的に、流体流から比較的大きな分子を除去することが望まれる用途で使用される。精密濾過は一般的に、限外濾過及びROよりも低圧で作動する。精密濾過に適した用途としては、廃水処理、油−水分離及び集塵が挙げられるが、これらに限定されない。
【0005】
限外濾過は、分子サイズ及び形状に基づいて溶液構成成分を分離することが可能な圧力駆動型膜プロセスである。限外濾過膜に対する適用差圧下で、溶媒及び小さな溶質種は、膜を通過するのに対して、より大きな溶質種は、膜により保持される。限外濾過に関する典型的な用途としては、脱塩プラントにおける海水の前処理及びプロセス水として再使用するための廃水の処理が挙げられる。
【0006】
逆浸透は、溶解したイオンを含む超微細固形分の濾過を必要とする濾過用途で広範囲に及ぶ使用が見出されている。例えば、真水の供給源が限られている世界の地域で、ROは、海水を精製するのに首尾よく使用されている。通常、装置におけるRO膜はそれぞれ、ROプロセスにおける、より高圧に抵抗するように適合された管状の外部圧力容器内に位置付けられる。ROプロセスで使用される多孔質膜は、多くの場合多孔質排水層へ結合されるか、又は多孔質排水層へコーティングされて、サンドイッチ様構造を形成する。この「RO膜サンドイッチ」の4つの辺のうち3つは封鎖される。サンドイッチの4つ目の辺は、コア中のスロットへ供給されて、所望の表面積を達成するように、かかるコア周辺に螺旋状に巻き付けられる。ROのサンドイッチの膜は概して、排水層の材料とは異なる材料から作製される。
【0007】
ほとんどの場合、上述の濾過プロセスで使用される多孔質膜は、多孔質基材へ付着される。かかる多孔質基材は、非常に薄く(例えば、厚さが15μm〜95μm)、したがって脆く且つ構造支持を提供することが不可能であり得る。例えば、Lopatin他の特許文献1の実施例1〜3及び9を参照されたい。多孔質基材が、上述の濾過プロセスで使用される膜に関する機械的支持を提供することが可能である(それにより、膜を、例えばより高圧を必要とする用途に関してより適切にする)場合、基材は、膜が作製される材料とは異なる材料で作製される。概して、膜及び基材は、層を成すか、又は膜は、基材へ固着される。膜と基材との間に結合は存在せず、膜と基材との間に識別可能な界面が存在する。
【0008】
限外濾過プロセスで使用される幾つかの膜は、複合膜である。複合膜は、限外濾過膜と
精密濾過膜基材との間にはさまれたグリセリンを使用して作製されると報告されており、それらはそれぞれ、同じポリマーから作製することができる。グリセリンは、精密濾過膜に対する限外濾過膜溶液の影響を低減するよう作用する。例えば、Allegrezza, Jr.他の特許文献2及びMillipore Corp.の公開済特許文献3を参照されたい。これらの参照文献は、膜及び基材が同じポリマーから作製される場合でも、限外濾過膜溶液による精密濾過膜基材の腐食及び/又は溶解を防止し、且つ形成された限外濾過膜の精密濾過膜基材への融合を回避するように限外濾過膜溶液を適用する場合に、精密濾過膜(これは、125マイクロメートル(μm)厚の規模である)に関してグリセリンを導入すること、及び/又は非溶媒を使用することを開示する。
【0009】
ある材料から作製される膜の、別の材料から作製される基材上への流延は、特に膜材料及び基材材料が流延溶媒中で異なる溶解性及び異なる熱特性を有する場合に、多くの用途にあまり適さない材料を生じ得る。例えば、かかる異種材料の膜表面は、均一でないことがある。この均一性の欠如は、膜が基材へ接着される強度を減少させて、幅広い孔径分布を招き得、膜を通った液体の不規則な流れ及び予測不可能な動作能特性を招く。
【0010】
別の設計への考察としては、膜及び基材として使用される異なる材料が、異なる化学特性及び熱特性を示すことである。したがって、2つの異なる材料(例えば、2つの異なるポリマー)は概して、膜と基材との間の界面で、弱い接着及びかなりの空隙を有する。これは、いくらかは、2つの異なる材料の混和性の乏しさに起因し得る。弱い接着はまた、材料の異なる熱特性にも起因し得て、これは、それらの界面で張力を招き、層間剥離及び表面クラッキングを引き起こし得る。層間剥離に対する既存の膜−基材系の脆弱性は、濾過プロセスで使用される圧力(分離中に流束を増大させるのには、高圧が好適である)により悪化される。既存の2材料の膜−基材系における層間剥離はまた、系をバックフラッシュ又は逆洗するのに使用される圧力の頻繁な適用により引き起こされる。実際に、バックフラッシングは、精密濾過及び限外濾過で使用される2材料の膜−基材系における層間剥離の主要な原因の1つである。
【特許文献1】米国特許第4,828,772号明細書
【特許文献2】米国特許第4,824,568号明細書
【特許文献3】欧州特許出願公開第0596411 A2号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、様々な濾過用途で使用することができる、膜と基材との間で強力な接着を有する材料を提供することが望まれる。
【0012】
さらに、蒸気滅菌することができ(ポリエチレンを含有する既存の膜は、蒸気滅菌することができない)、且つより大きな背圧抵抗(これは、より良好な清浄及び膜寿命の延長を提供する)を有する多孔質膜に対する要求が依然として満たされていない。
【0013】
膜コーティングされた管状基材を作製するための既存の製造方法は、膜材料の溶液で垂直に配向させた管の内腔を完全に充填すること、内部の最上部へ挿入された加重デバイスを垂直管の底部へとゆっくりと沈ませること、並びにそれが沈んだら、管の多孔質表面又は多孔質壁を通して膜溶液を押し出すこと、及び環の外径よりもわずかに大きな環形状のデバイスで、管の最上部から底部へと該環形状のデバイスをスライドさせることにより、環の外側を清浄することを包含し得る。かかる方法は、例えばそれらが、時間がかかり、高価であり、且つ一様でない膜コーティング及び基材管への膜浸透の不規則な深さをもたらし得るため最適ではない。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の一部は複合多孔質材料に関し、ここで、第1材料は、比較的大きな平均孔径の孔を有し、これらの孔の少なくとも幾つかは、その中に比較的小さな平均孔径の孔を有する第2材料を有する。本発明の具体的な実施の形態では、第2材料は、第1材料の表面の少なくとも一部をコーティングする。本発明の別の具体的な実施の形態では、第2材料の少なくとも一部は、第1材料に融合される。別の具体的な実施の形態では、第2材料は、第1材料の孔の幾つか中に存在する。別の具体的な実施の形態では、第1材料の孔中の第2材料は、第1材料の孔壁の少なくとも幾つかに直接融合される。他の実施の形態では、第1材料及び第2材料はそれぞれ、共通の溶媒に可溶性のポリマーを含む。
【0015】
本発明はまた、大きな平均孔径を有する焼結された多孔質のポリマー基材へ融合される、多孔質ポリマー精密濾過、限界濾過又はナノ濾過膜を含む複合多孔質材料に関し、ここで多孔質膜及び多孔質基材は、共通の溶媒に可溶性のポリマーから構成される。
【0016】
本発明はまた、本明細書中に記載する複合多孔質材料を作製する方法、特にそれらを促進するためのアプリケータに関する。
【0017】
本発明はまた、本明細書中に記載する複合多孔質材料を使用する方法に関する。
【0018】
本発明の具体的な態様は、添付の図面を参照して理解することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明は、様々な複合多孔質材料を包含する。本明細書中に記載する様々な発明の態様又は特徴は、別個であり、独立していることが理解されよう。したがって、本発明の原理に従って形成される複合多孔質材料又は物品は、本明細書中に記載する本発明の1つより多い特徴を有する必要はなく、且つ/又は本明細書中に記載する2つ又はそれ以上の特徴の組合せを有してもよい。
【0020】
一態様では、本発明は、第1の平均孔径の孔を有する第1材料(これは、一実施形態では、「基材」であるとみなされ得る)及び第1の平均孔径よりも実質的に小さい第2の平均孔径の孔を有する第2材料(これは、一実施形態では、「膜」であるとみなされ得る)に関する。一実施形態では、第2材料は、第1材料の表面の少なくとも一部をコーティングすることができる。別の実施形態では、第2材料は、第1材料の少なくとも幾つかの孔の中に存在することができる。別の実施形態では、第2材料は、第1材料の表面の少なくとも一部をコーティングすることができ、第2材料は、第1材料の少なくとも幾つかの孔の中に存在することができる。他の実施形態では、第2材料は、第1材料の表面の少なくとも一部をコーティングすることができ、且つ/又は第1材料の孔を少なくとも部分的に、すなわち孔の幾つか又はすべてを充填することができる。別の実施形態では、第2材料の平均孔径は、第1材料の平均孔径よりも実質的に小さい。「実質的に小さい」という用語は、平均孔径について言及するのに使用する場合、第2材料の平均的な孔が、第1材料の平均的な孔内に存在することが可能であることを意味する。本発明の態様では、「実質的に小さい」という用語は、平均孔径について言及するのに使用する場合、当該技術分野で既知であるか、且つ/又は本明細書中に開示する方法により確定される場合、約3倍、5倍、7倍、10倍、25倍、50倍、75倍、100倍、約100倍を超えて、125倍、150倍、175倍、250倍、500倍、1,000倍又は10,000倍小さいことを意味する。本発明の他の態様では、第2材料の平均孔径は、第1材料の平均孔径よりも約3倍、5倍、7倍、10倍、25倍、50倍、75倍又は100倍小さい。本発明の他の態様では、第2材料の平均孔径は、第1材料の平均孔径よりも約100倍よりも小さいか、或いは約125倍、150倍、175倍、250倍、500倍、1,000倍又は10,000倍小さい。
【0021】
実際は、通常別個の構成成分又は層へ分離可能ではないが、本発明の複合多孔質材料は、少なくとも2つの構成成分を有するとみなされ得る。本明細書中で使用する場合、別記しない限り、「基材」という用語は、多孔質第1材料層を指す。特定の第1材料は焼結され得る。本発明の態様では、第1材料の厚さは、少なくとも約100μm、少なくとも約250μm、少なくとも約400μm、少なくとも約600μm、少なくとも約800μm、又は少なくとも約1,000μmである。本発明の態様では、第1材料の厚さは、最大約10cm、最大約5cm、又は最大約1cmである。本発明の態様では、第1材料の厚さは、約100μm〜約10cm、約250μm〜約5cm、又は約1,000〜約1cmである。
【0022】
本明細書中で使用する場合、別記しない限り、「膜」という用語は、第1材料の最上部上及び/又は内部に精密濾過、限外濾過又はナノ濾過膜構造を形成する第2材料層を指す。本発明の態様では、第2材料は、約10,000、1,000、500、400、300、250、125、100、75、50、25又は10μm厚であり、流体(例えば、水又は空気)を透過可能である。本発明の態様では、第1材料の厚さは、第2材料の少なくとも約1.5倍、2倍、5倍、10倍、100倍、250倍、500倍、1,000倍又は10,000倍の厚さである。別の実施形態では、第1材料の厚さは、第2材料の厚さにほぼ等しい。本発明の一態様によれば、第2材料は、第1材料の表面の少なくとも一部上へ接着され、且つ/又は第1材料の孔の少なくとも幾つかの壁へ接着される。
【0023】
当該技術分野で既知であるように、幾つかの膜、いわゆる非対称膜は、膜の多孔質副層により支持される非常に深い最上層、すなわち「外皮層」を含有する。本発明の一実施形態では、第2材料は、非対称膜である。非対称膜は、高密度な膜の高い選択性を、非常に薄い膜の高い透過速度と組み合わせると言われている(例えば、M. Mulder, Basic Principles of Membrane Technology, Kluwer Academic Publishers, Dordrecht, (1996) pp. 12-14、米国特許第4,824,568号、欄1、42〜56行目、及び公開済欧州特許出願第0596411号、p2、32〜38行目を参照)。任意に、本発明の第2材料は、第1材料に対して末端の表面で第2材料上にかかる外皮層を有する。存在する場合、外皮層の厚さは、第2材料の最大約0.1倍の厚さである。
【0024】
本発明の態様では、約1%、2%、5%、10%、25%、50%、75%、90%、95%、99%又は99.9%を超えるか、或いは約100%の第1材料の孔が、それらの中に第2材料の幾つかを有する。本明細書中で使用する場合、別記しない限り、「孔のパーセント」という用語は、第2材料の適用後に占有される第1材料の総孔容積のパーセントを指し、当該技術分野で既知の技法(例えば、水銀ポロシメトリ及びSEM)により確定することができる。
【0025】
本発明の態様では、第1材料の平均孔径は、少なくとも約1μm、少なくとも約2μm、少なくとも約5μm、少なくとも約10μm、又は少なくとも約25μmである。本発明の態様では、第1材料の最小平均孔径は、重要な、複合多孔質材料を通る所望の流体流速により影響される。本発明の態様では、第1の平均孔径は、最大約200μm、最大約100μm、又は最大約50μmである。本発明の態様では、第1材料の最大平均孔径は、重要な、複合多孔質材料に対して機械的支持を提供するその能力により影響される。本発明の態様では、第1の平均孔径は、約1μm〜約200μm、約1μm〜約100μm、約2μm〜約200μm、約25μm〜約200μm、約5μm〜約100μm、又は約10μm〜約50μmである。本発明の態様では、本発明の複合多孔質材料が精密濾過用途で使用される場合、第1材料の平均孔径は、約1μm〜約200μm、又は約25μm〜約200μmである。本発明の態様では、本発明の複合多孔質材料が限外濾過用途で使用される場合、第1の平均孔径は、約1μm〜約200μm、又は約1μm〜約100μmである。第1材料単独の平均孔径は、水銀ポロシメトリ(例えばMicromeritics Inc.
(Norcross, GA)のAUTOPORE IIIモデル9420ポロシメータを用いて)、又は顕微鏡法(例えば、SEM)を使用して確定することができる。本発明の態様では、第1材料は、約20、30、40、50,60又は75%の平均多孔率を有する。
【0026】
本発明の態様では、第2材料の平均孔径は、少なくとも約0.0002μm、少なくとも約0.01μm、又は少なくとも約0.1μmである。本発明の態様では、第2材料の平均孔径は、最大約10μm、最大約5μm、最大約2μm、又は最大約0.1μmである。本発明の態様では、第2材料の平均孔径は、約0.0002μm〜約10μm、約0.01μm〜約5μm、約0.01μm〜約0.1μm、約0.1μm〜約10μm、又は約0.1μm〜約2μmである。本発明の態様では、本発明の複合多孔質材料が精密濾過用途で使用される場合、第2材料の平均孔径は、約0.1μm〜約10μmである。本発明の態様では、本発明の複合多孔質材料が限外濾過用途で使用される場合、第2材料の平均孔径は、約0.01μm〜約0.1μmである。
【0027】
本発明の態様では、第1材料の平均孔径は、第2材料の平均孔径の少なくとも約3倍、5倍、7倍、10倍、25倍、50倍、75倍、100倍、約100倍を超えて、125倍、150倍、175倍、250倍、500倍、1,000倍又は10,000倍である。
【0028】
本発明の複合多孔質材料の平均孔径及び/又は多孔率は、SEMのような既知の技法により定量可能である。水銀ポロシメリのような侵襲的技術もまた使用することができる。1つのかかる技法を用いて、第1材料が本発明の原理による複合多孔質材料の調製で使用される前に、第1材料(又は一実施形態では、多孔質基材)の多孔率を定量可能である。続いて、その技法は、得られた複合多孔質材料の多孔率を確定するのに使用することができる。2つの結果を用いて、当業者は、その差から、第1材料の孔中の第2材料(又は別の実施形態では、膜)の多孔率を容易に定量可能である。
【0029】
上述の実施形態のいずれかと組み合わせることが可能であるが、上述の実施形態のいずれかに必ずしも存在するとは限らない本発明の別の態様によれば、第2材料は、第1材料の表面及び/又は孔壁へ強力に接着する。かかる強力な接着は、任意の所望の様式で達成され得る。一実施形態では、第1材料は、溶媒及びポリマー、並びに任意に無機塩(以下でさらに論述するように、ポリマーの溶解性を改善するため)の混合物と接触させる。本発明の一態様は部分的に、第2材料及び第1材料がそれぞれ可溶性であるような溶媒を選択することにより、複合多孔質材料は、互いに強力に接着し、したがって層間剥離のようなプロセスに高い抵抗性を有する第1材料及び第2材料を用いて作製することができるという発見に関する。本明細書中で使用する場合、別記しない限り、第2材料のようなポリマーは、ポリマー1g及び溶媒100gを大気圧下及び約20℃〜約70℃で、例えば25℃で、任意に攪拌しながら接触させ、固体ポリマー残渣が約4時間後には肉眼で確認できない場合に、溶媒中に「可溶性」である。
【0030】
一実施形態では、例えば互いに強力に接着することを促進するために、第1材料及び第2材料は、同じポリマー又は同じコポリマーを含むか、或いは同じポリマー又は同じコポリマーから形成される。すなわち、「同じポリマー」に関して、ポリマーはそれぞれ、同一の化学構造のモノマーから形成される。「同じコポリマー」に関して、コポリマーはそれぞれ(例えば、コポリマー「1」及び「2」)は、共通のモノマー、すなわち2つ又はそれ以上のモノマー(例えば、「A」及び「B」)から形成され、コポリマー1におけるAモノマーは、コポリマー2におけるAモノマーに対して同一の化学構造を有し、コポリマー1におけるBモノマーは、コポリマー2におけるBモノマーに対して同一の化学構造を有する。例えば、本出願の趣旨で、直鎖状及び分岐鎖状ポリエチレン(それぞれ、エチレンモノマーから形成される)は、同じポリマーであるとみなされる。別の例では、2つ
のコポリマー(それぞれ、アクリロニトリル及び塩化ビニルのような2つのモノマーから構成されるが、各コポリマー中に存在するアクリロニトリル対塩化ビニルの比が異なる)は、本出願の趣旨で、同じポリマーであるとみなされる。さらに別の例では、単一モノマーから形成されるが、それらの重量平均分子量が異なる2つのポリマーは、本出願の趣旨で、同じポリマーであるとみなされる。さらなる例では、2つのポリマー(それぞれ、同じ3つのモノマーから形成されるが、重量平均分子量が異なる)は、本出願の趣旨で、同じポリマーであるとみなされる。この実施形態のポリマーの例としては、ポリフッ化ビニリデン(「PVDF」)のようなフルオロポリマー、ポリエチレン、ポリプロピレン及びポリアクリロニトリルのようなポリオレフィン、及びDYNEL(アクリロニトリルと塩化ビニルのコポリマー)のようなモダクリル繊維、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン(「PEEK」)並びにポリ塩化ビニル(「PVC」)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0031】
本明細書中で使用する場合、「コポリマー」は、少なくとも2つの異なるモノマーサブユニットを含むポリマーを包含する。したがって、3つの異なるモノマーを含むポリマー鎖(ターポリマーとしても既知)は、3つ以上の異なるモノマーサブユニットを含むポリマー鎖と同様に、「ポリマー」という用語に包含される。本明細書中で使用する場合、「ポリマー」という用語は、ホモポリマー及びコポリマーを包含する。
【0032】
別の実施形態では、例えば互いに強力に接着することを促進するために、第1材料及び第2材料は、類似するポリマー又は類似のコポリマーを含むか、或いは類似するポリマー又は類似のコポリマーから形成される。すなわち、「類似するポリマー」に関して、ポリマーはそれぞれ、同一の化学構造のモノマーを含む。「類似のコポリマー」に関して、コポリマーはそれぞれ(例えば、コポリマー「1」及び「2」)は、共通のモノマー、すなわち2つ又はそれ以上のモノマー(例えば、「A」、「B」及び「C」)から形成され、コポリマー1におけるAモノマーは、コポリマー2におけるAモノマーに対して同一の化学構造を有し、コポリマー1におけるBモノマーは、コポリマー2におけるCモノマーと比較して、化学構造が異なる。例えば、本出願の趣旨で、フッ化ビニリデンから形成される第1のポリマー、並びにフッ化ビニリデン及び(CH2−13CF2)から形成される第2のポリマーは、それらがそれぞれ共通のモノマー、すなわちフッ化ビニリデンを有するため、類似するポリマーであるとみなされる。別の例では、高密度ポリエチレン及び超低密度ポリエチレン(ULDPE)(それぞれ、エチレン(及びULDPEに関しては、少量の別のオレフィン系モノマー)から形成される)は、それらがそれぞれ、共通のモノマーであるエチレンを有するため、本出願の趣旨で、類似するポリマーであるとみなされる。別の例では、一方がランダムコポリマーであり、他方がブロックコポリマーである2つのコポリマー(それぞれ、スチレン及びブタジエンのような2つのモノマーから構成される)は、本出願の趣旨で、類似するポリマーであるとみなされる。さらに別の例では、エチレン及びプロピレンから形成される第1のコポリマー、並びにエチレン、プロピレン及び1−ヘキセンから形成される第2のコポリマーの2つのコポリマーは、それらがそれぞれ2つの共通のモノマーを有するため、本出願の趣旨で、類似するポリマーであるとみなされる。
【0033】
別の実施形態では、例えば互いに強力に接着することを促進するために、第1材料及び第2材料は、関連モノマー(例えば、「A」及び「A’」)を含むポリマー又はコポリマーを含むか、或いは関連モノマー(例えば、「A」及び「A’」)を含むポリマー又はコポリマーから形成され、すなわちそれぞれ、同じ「ポリマーファミリー」である。例えば、本出願の趣旨で、ポリ(メタクリル酸メチル)及びポリ(アクリル酸メチル)はメチル置換基の存在又は非存在のみが異なるのと同様に、ポリ(メタクリル酸メチル)及びポリ(メタクリル酸エチル)は、それらの成分モノマーが関連しており、それらのエステル基中の炭素原子の数のみが異なるためそのように記載される。同じポリマーファミリーのコ
ポリマーに関して、コポリマーはそれぞれ(例えば、コポリマー「1」及び「2」)は、関連モノマーから形成され、例えばモノマー「A」、「A’」、「B」及び「C」に関して、コポリマー1におけるAモノマーは、コポリマー2におけるA’モノマーの化学構造に関連した構造を有し、コポリマー1におけるBモノマーは、コポリマー2におけるCモノマーと比較して、化学構造が異なる。ポリマーファミリーは、当該技術分野で既知であり、ポリマーテキストブックは多くの場合、類似のモノマーから形成されるかかる「ポリマーファミリー」を同定している。例えば、F.W. Billmeyer, Jr., Textbook of Polymer
Science (Wiley-Interscience, New York, 2nd ed. 1971)では、ポリオレフィン、ポリスチレン、アクリル樹脂、ポリ(ビニルエステル)、塩素含有ポリマー(例えば、PVC)、フルオロポリマー、ポリアミド、エーテル及びアセタールポリマー、ポリエステル、ポリウレタン並びにセルロース系材料はそれぞれ、別個のポリマーファミリーとして開示されている。化学百科事典は多くの場合、同様にかかる「ポリマーファミリー」を同定している。例えば、the Kirk-Othmer Encyc. of Chem. Tecnhnol. (4th ed. 1991-1998)は、フルオロポリマー、ポリアクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、ポリエステル、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルケトンケトン、ポリエーテルスルホン、ポリオレフィン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスルホン、ポリ塩化ビニル、及びビニルポリマーを含む(これらに限定されない)多くのタイプのポリマーファミリーに関する分類リストを有する。
【0034】
別の実施形態では、例えば互いに強力に接着することを促進するために、第1材料を構成するポリマー及び第2材料を構成するポリマーはそれぞれ、溶媒に可溶性であり、すなわち共通の溶媒を有する。本明細書中で使用する場合、「共通の溶媒」は、例えば、ポリマー「P」が溶媒「X」に可溶性であり、またポリマー「Q」が溶媒「X」に可溶性である場合、溶媒「X」は、ポリマー「P」及びポリマー「Q」に関して共通の溶媒であることを意味する。本明細書中で使用する場合、「共通の溶媒」は、複数の溶媒を含む混合物を包含する。例えば、一実施形態では、共通の溶媒は、任意の適切な比率の2つの溶媒の混合物、例えばジメチルアセトアミド及びジメチルホルムアミドの混合物である。
【0035】
別の実施形態では、第1材料及び/又は第2材料は、フルオロポリマー、すなわちフッ素を含むポリマー又はコポリマー(例えば、DuPont(Wilmington, DE)のTEDLAR製品種目のようなポリフッ化ビニル、並びにAtofina Chemicals, Inc. (Philadelohia, PA)のKYNAR及びKYNAR FLEX製品種目(例えば、KYNAR FLEX 2800、KYNAR 500及びKYNAR 460)のようなPVDFであるが、これらに限定されない)から作製される。別の実施形態では、第1材料及び/又は第2材料は、PVDFから作製される。別の実施形態では、第1材料及び/又は第2材料は、Ticona Engineering Polymers (Florence, KY)のHOSTALEN GUR製品種目(例えば、HOSTALEN GUR 400)のようなポリエチレン、並びにBasell NV (Hoofddorp, Netherlands)のPRO−FAX製品種目のようなポリプロピレンであるが、これらに限定されないポリオレフィンから作製される。別の実施形態では、第1材料及び/又は第2材料は、ポリエチレンから作製される。別の実施形態では、第1材料及び/又は第2材料は、ポリプロピレンから作製される。別の実施形態では、第1材料及び/又は第2材料は、例えばBP Petrochemicals (Naperville, IL)のBAREX製品種目のようなポリアクリロニトリル、並びにUnion Carbide (Danbury, CT)から以前入手可能であったDYNEL製品種目のようなアクリロニトリルと塩化ビニルのコポリマーのようなモダクリル繊維であるが、これらに限定されないアクリル樹脂から作製される。別の実施形態では、第1材料及び/又は第2材料は、ポリアクリロニトリルから作製される。別の実施形態では、第1材料及び/又は第2材料は、アクリロニトリルと塩化ビニルのコポリマーから作製される、別の実施形態では、第1材料及び/又は第2材料は、例えばGE Advanced Materials (Pittsfield, MA)のULTEM製品種目(例えば、ULTEM1000)であるが、これらに限定されないポリエーテルイミドから作製される。別の実施形態では、第1材料及び/
又は第2材料は、例えばSolvay Advanced Polymers (Alpharetta, GA)のKADEL製品種目及びVictrex PLC (UK)のPEEK製品種目であるが、これらに限定されないポリエーテルエーテルケトンから作製される。別の実施形態では、第1材料及び/又は第2材料は、例えばPVC(例えば、Geon Co. (Avon Lake, OH)のGEON製品種目)であるが、これらに限定されない塩素含有ポリマーから作製される。別の実施形態では、第1材料及び/又は第2材料は、PVCから作製される。
【0036】
別の実施形態では、第1材料及び/又は第2材料は、例えば3M (Minneapolis, MN)のASTRELポリスルホン製品種目、並びにSolvay Advanced PolumerのUDELポリスルホン製品種目(例えば、UDEL P−3500及びUDEL P−3500 LCD)及びMINDELポリスルホンブレンド製品種目であるが、これらに限定されないポリスルホンから作製される。別の実施形態では、第1材料及び/又は第2材料は、Solvay Advanced PolymersのRADEL Aポリエーテルスルホン製品種目であるが、これらに限定されないポリエーテルスルホンから作製される。別の実施形態では、第1材料及び/又は第2材料は、例えばEastman Chemical Co. (Kingsport, TN)のEKTARポリエステル製品種目及びTiconaのポリエチレンテレフタレート(例えば、IMPETポリエステル製品種目)であるが、これらに限定されないポリエステルから作製される。別の実施形態では、第1材料及び/又は第2材料は、例えばTiconaのCELANESE PA6,6製品種目、並びにBASF(Wyandotte, MI)のCAPRON PA6ポリアミド製品種目及びULTRAMID PA6、PA6,6及びPA6/6,6製品種目であるが、これらに限定されないポリアミドから作製される。
【0037】
上記で識別される実施形態とさらに組み合わせることが可能である上記で識別される実施形態から独立した本発明の実施形態は、焼結された多孔質第1材料に融合された多孔質第2材料を含む材料を包含し、それにより2つの材料が同じポリマーから形成される複合多孔質材料を提供する。上記で識別される実施形態とさらに組み合わせることが可能である上記で識別される実施形態から独立した本発明の実施形態は、焼結された多孔質第1材料に融合された多孔質第2材料を含む材料を包含し、それにより2つの材料が類似するポリマーから形成される複合多孔質材料を提供する。上記で識別される実施形態とさらに組み合わせることが可能である上記で識別される実施形態から独立した本発明の別の実施形態は、焼結された多孔質第1材料に融合された多孔質第2材料を含む材料を包含し、それにより2つの材料が同じポリマーファミリーのポリマーで形成される複合多孔質材料を提供する。上記で識別される実施形態とさらに組み合わせることが可能である上記で識別される実施形態から独立した本発明の別の実施形態は、焼結された多孔質第1材料に融合された多孔質第2材料を含む材料を包含し、それにより2つの材料が共通の溶媒を有するポリマーで形成される複合多孔質材料を提供する。
【0038】
特定の実施形態では、第2材料は、第1材料に直接適用され、すなわち他の固体又は液体が、第2材料と第1材料との間に介入され得ない。別の特定の実施形態では、第2材料は、焼結された第1材料の表面に直接融合される。別の特定の実施形態では、第2材料は、焼結された第1材料の孔壁の幾つかに直接融合され、すなわち他の固体又は液体が、第2材料と第1材料との間に介入され得ない。別の特定の実施形態では、第2材料は、焼結された第1材料の表面に直接、及び焼結された第1材料の孔壁の幾つかに直接融合される。
【0039】
本明細書中で使用する場合、別記しない限り、「融合された」という用語は、2つの構成成分、例えば第1材料及び第2材料、又は基材及び膜(これらはそれぞれ、同一材料であってもよく、或いは異なる材料であってもよい)との間の接着又は直接的な物理的結合を指す。本発明の融合された複合多孔質材料では、第1材料及び第2材料は接触しており、接触している少なくとも一部は、直接接続されて、それらの構成成分に分離するのは困
難である。したがって、第2材料(例えば、それが膜を形成する場合)、第1材料(例えば、それが基材を形成する場合)からの層間剥離に抵抗性であり、例えば従来技術の充填剤又は充填剤材料と比較した場合、より頑強な複合多孔質材料が達成される。
【0040】
別の実施形態では、本発明は、第1の平均径の孔を有し、第1材料の孔の少なくとも幾つかの中に第2材料を伴う第1材料から形成される焼結された多孔質管状第1材料を含む管を包含する。第2材料は、第1の平均径よりも実質的に小さな第2の平均径の孔を有し、管状第1材料の内部表面上に形成され、管状第1材料の孔壁の幾つかに直接融合される。第1材料及び第2材料は、同じポリマー、類似するポリマーから、又は同じポリマーファミリーから構成されるか、或いは共通の溶媒に可溶性である。
【0041】
第1材料
第1材料は通常、所定の所望の形状で形成され、一実施形態では、膜であるとみなされ得る第2材料を保持するための基材とみなされ得る。別の実施形態では、第1材料は、平面シートの形態であり、別の実施形態では、第1材料は、中空管の形態であり、別の実施形態では、第1材料は、任意の他の成形品の形態である。
【0042】
当業者に既知の様々な方法を使用して、多孔質第1材料を作製することができる。幾つかの例としては、米国特許第6,030,558号(これは、その全体が参照により本明細書に援用される)により開示されるような焼結、発泡剤及び/又は浸出剤の使用、米国特許第4,473,665号及び同第5,160,674号(これらはそれぞれ、その全体が参照により本明細書に援用される)により開示されるようなマイクロセル形成方法、ドリル加工(レーザドリル加工を含む)、及び逆相沈殿が挙げられる。したがって、多孔質第1材料が作製される方法に応じて、多孔質第1材料は、ランダム又は明確な直径のチャネル、及び/又は様々な形状及びサイズのランダムに位置する孔の規則正しい配列を有することができる。孔径は通常、孔自体が必ずしも球状でないとしても、それらの平均直径に関して言及される。
【0043】
本発明の好ましい第1材料は、少なくとも1つのポリマー(例えば、プラスチック)の粒子、及び任意に他の添加剤の粒子を焼結することにより作製される。これらの任意の添加剤としては、潤滑剤、着色剤、機能的添加剤、抗菌構成成分、帯電防止構成成分及び充填剤のような当該技術分野で既知のものを挙げることができるが、これらに限定されない。一実施形態では、添加剤は、粒子の形態で提供される。
【0044】
一実施形態では、ポリマー粒子及び任意の添加剤粒子は、比較的一様な固体分散物を提供するように混合された後、焼結される。このことは、最終的な製品の所望のサイズ及び形状(例えば、ブロック、管、円錐体、円筒体、シート又はフィルム)に応じて、型又は当業者に既知の技法を用いて達成することができる。別の実施形態では、固体分散物は、型中で焼結される。適切な型は、市販されており、当業者に既知である。型の具体例としては、約0.01インチ(254μm)より厚い厚さを有するフラットシート、最大約1インチ(2.54cm)の厚さを有するフラットシート、約0.01インチ(254μm)〜約1インチ(2.54cm)の厚さを有するフラットシート、並びに様々な高さ及び直径の円形円筒体が挙げられるが、これらに限定されない。適切な型材料としては、金属及び金属合金(例えば、アルミニウム及びステンレス鋼)並びに高温熱可塑性樹脂が挙げられるが、これらに限定されない。
【0045】
一実施形態では、圧縮型を使用して、焼結された第1材料を提供する。この実施形態では、型は、第1材料の焼結温度に加熱されて、平衡化させて、続いて圧力にさらす。この圧力は、焼結される材料の組成及び最終生成物の所望の多孔率に応じて、通常約1psi(6,890Pa)を上回り、通常100psi(689,000Pa)未満である。概
して、型へ適用される圧力が大きいほど、平均孔径は小さく、最終製品の機械的強度は大きい。圧力が適用される時間の持続期間もまた、最終製品の所望の多孔率に応じて様々である。
【0046】
多孔質第1材料がいったん形成されたら、型を冷却させる。圧力が型に適用された場合、圧力が依然として適用されたまま、或いは圧力を取り除いた後に、冷却が行われ得る。続いて、焼結された第1材料は、型から取り外され、任意に加工処理される。任意の加工処理の例としては、滅菌、切断、微粉砕、研磨、封入及び/又はコーティングが挙げられるが、これらに限定されない。
【0047】
上述するような方法を用いて、様々なサイズ及び形状の様々な材料を使用して、適切な多孔質第1材料を提供することができる。一実施形態では、焼結された粒子は、ほぼ同じサイズであり、すなわち50%の数の粒子が平均粒子径の±50%以内であるようなサイズの範囲を有する。この実施形態では、粒子径は、比較的一様であり(例えば、市販のスクリーンを使用して定量される場合)、すなわち粒子のサイズ分布は、比較的狭い。ほぼ等しいサイズの粒子が確実に型へパッケージングすることができるため、また狭い粒子径分布が、一様に多孔性の第1材料(すなわち、第1材料全体にわたって均一に分布され、且つサイズがほぼ等しい孔を含む第1材料)の生産を可能にするため、これは好適であると考えられる。一様に多孔性の材料を通して、ほぼ等しい平均多孔率を有するが、高い多孔率及び低い多孔率の領域を有する材料よりも、流体がより均一に流れる傾向にあるため、これは、例えば流体を濾過するのに好適である。一様に多孔性の第1材料はまた、実質的に異なるサイズの不規則に分布される孔を含む材料よりも構造的弱点を有する可能性が低い。これらの有益性を鑑みて、材料が粒子形態で市販される場合、所望の平均径及び狭いサイズ分布を保証するために、その材料は、スクリーニングされるか、又はふるい分けされる。しなしながら、多くのポリマーは、粒子形状で市販されていない。したがって、低温粉砕及び水中ペレット化のような方法を使用して、所定のポリマーの粒子を調製することができる。
【0048】
低温粉砕は、様々なサイズの粒子及び任意の添加剤粒子を調製するのに使用することができる。しかしながら、低温粉砕は通常、それが生産する粒子のサイズに関してほとんど制御を可能としないため、この方法により作製される粒子は、例えば焼結されるべき粒子が、所望の平均径及び狭いサイズ分布を有することを保証するために、さらなる処理加工(例えば、スクリーニング)を必要とし得る。
【0049】
本発明の第1材料を形成するための粒子はまた、いわゆる「水中ペレット化」により作製され得る。水中ペレット化は、例えばSmith他の米国特許第6,030,558号(これは、その全体が参照により本明細書に援用される)の欄3に記載されている。この方法は、幾つかの利点を提供する。水中ペレット化は、生産される粒子の平均径に関して精密な制御を提供し、多くの場合、さらなるスクリーニング工程の必要性を排除し、廃棄される材料の量を低減させる。水中ペレット化の別の利点は、粒子の形状に関して有意な制御を可能にすることである。水中ペレット化の別の利点は、球状粒子が望ましい場合、得られた粒子がほとんど完璧な球状である形状により、より大きな強度を有する焼結された材料を得ることが可能であることである。水中ペレット化の別の利点は、得られた粒子がほとんど球状の形状であるため、第2材料溶液(ここで、溶液は、一様で滑らかな多孔質第1材料へ流れる)でコーティングするための優れたより一様に焼結された第1材料が、より一様な複合多孔質材料を生じることである。別の利点は、水中ペレット化が、水中ペレット化された粒子から形成される多孔質管の化学物質及び/又は温度適合性範囲を増強し得ることである。水中ペレット化のさらなる利点は、第1材料に対して性能又は物理特性に影響を与えるために、水中ペレット化中に、活性材料(例えば、Yaoの米国特許第6,551,608B2号(その全体が参照により本明細書に援用される)の欄6〜9に開示
されるもののような抗ウイルス又は抗菌剤)、及び/又はポリマー用の共通の添加剤(例えば、カーボンブラックのような充填剤及びConcise Polymeric Materials Encyclopendia, J.C. Salamone, Ed. (CRC Press LLC, Boca Raton, FL. 1999), pp.23-29(その全体が参照により本明細書に援用される)に編集されているもののような当該技術分野で既知の他の添加剤)を粒子に配合することが可能であることである。
【0050】
水中ペレット化を用いた粒子形成は通常、押出機又はメルトポンプ、水中ペレット化装置及び乾燥機を必要とする。プラスチック第1材料は、押出機又はメルトポンプへ供給されて、融解するまで加熱される。続いて、融解した材料は、ダイスを通して押し込ませる。材料がダイスから出てきたら、少なくとも1つの回転羽根により、それが「プレ粒子」と称される片に切断される。押出の速度及び回転羽根(単数又は複数)の速度は、プレ粒子の形状を確定するのに対して、ダイスの穴の直径は、それらの平均径を確定する。プレ粒子を冷却する速度を増大させることが可能な冷却用流体又は冷却剤、例えば水(故に、「水中ペレット化」における「水中」である)は、切断羽根(単数又は複数)上を、及び切断チャンバを通って流れる。流体は、プレ粒子を粒子へと凝固して、続いて粒子は冷却剤(例えば、水)から分離されて、乾燥されて、収集される。
【0051】
水中ペレット化により生産される粒子の平均径は、直径が少なくとも約0.01インチ(254μm)から精密に制御することができる。水中ペレット化される粒子の平均径は、直径が最大約0.25インチ(0.64cm)へ精密に制御することができる。水中ペレット化される粒子の平均径は、直径が約0.01インチ(254μm)〜約0.25インチ(0.64cm)であり得る。平均粒子径は、単にダイスを交換すること(大きさに比例してより大きな粒子を生じる、より大きな穴のダイスで)により調整することができる。粒子の平均形状は、押出速度、上記方法で使用される冷却剤の温度及び/又はペレット化装置のカッター速度を操作することにより最適化することができる。
【0052】
多孔質材料の特徴は、それを作製するのに使用する粒子の平均径及びサイズ分布に依存し得るが、材料の特徴はまた、粒子の平均形状によっても影響を及ぼされ得る。本発明の一態様によれば、第1材料の粒子は、実質的に球状であり得る。実質的に球状の粒子、特に平滑縁を有するものはまた、明確に規定された温度範囲内で均一に焼結して、望ましい機械的特性及び多孔率を有する最終製品を提供する。この形状は、型内の粒子の効率的なパッキングを促進する。粒子について記載するのに本明細書中で使用する場合、「実質的に球状」という用語は、粒子が球状であるか、あるいはその最長半径の長さが、その最短半径の長さの約2倍を超えない、好ましくは約1.5倍を超えないか、より好ましくは約1.2倍を超えないことを意味する。粒子の混合物又は収集物について記載するのに使用される場合、「実質的に球状」という用語は、約50重量%、好ましくは約75重量を超える、より好ましくは約90重量%を超える、最も好ましくは約95重量%を超える粒子が実質的に球状であることを意味する。一実施形態では、第1材料は、一緒に焼結される粒子から構成される。別の実施形態では、第1の粒子は、一緒に焼結される実質的に球状である粒子から構成される。
【0053】
本発明の一態様によれば、使用される第1材料粒子が市販されているか、又は低温粉砕により作製される場合、任意にそれらは、平滑縁を保証するように熱粉砕されてもよく、且つ/又は適正な平均径及びサイズ分布を保証するようにスクリーニングされてもよい。熱粉砕は、既知のプロセスであり、ここでは粒子は、迅速に混合されて、任意にそれらの粗縁が平滑となるように加熱される。例えば、Yaoの米国特許第6,551,608 B2号を参照されたい。熱粉砕に適した混合機としては、Littleford Day, Inc., Florence, KYから入手可能なWシリーズ高強度混合機が挙げられる。粒子径に関して正確な制御を可能とし、且つ平滑な実質的に球状の粒子を生じることができる水中ペレット化により作製される粒子は、熱粉砕又はスクリーニングする必要はないが、かかるペレット化後の加
工処理には任意に使用可能である。
【0054】
多孔質第1材料の孔又はチャネルを形成するのに使用される特定の方法、及び同方法により多孔質第1材料において生じる孔構造(例えば、平均孔径及び/又は多孔率)は、最終複合多孔質材料が置かれる所望の用途に従って多様であり得る。当該技術分野で既知であるように、「多孔率」は、サンプルの外周寸法に基づいて算出される容積に対する空隙容積の比である。第1材料の所望の多孔率はまた、第1材料自体の特徴又は特性により影響を及ぼされ得る。例えば、多孔率は、第1材料の形状及び/又はその物理特性(例えば、引張強度及び耐久性)により種々の点で影響を及ぼされ得る。したがって、異なる特性を有する異なる材料から第1材料を形成することは、得られる複合多孔質材料の強度及び/又は性能(例えば、得られる複合多孔質材料を通る流体の流束)に影響を及ぼすことができる。
【0055】
一実施形態では、第1材料は、第1材料を含む複合多孔質材料が形状を呈するのを可能にするのに十分な構造安定性を有する。別の実施形態では、第1材料は、露出、例えば、第2材料の溶液の溶媒に対する、に抵抗するのに十分な構造安定性を有する。別の実施形態では、第1材料は、例えば高圧下又は流動下で、任意のさらなる支持層を必要とせずに、複合多孔質材料に対してその使用中に構造完全性を提供するのに十分な構造安定性を有する。
【0056】
別の実施形態では、複合多孔質材料の第1材料は、「粗」孔構造、すなわち約5μmを超え、且つ第2材料の第2の平均孔径の少なくとも約10倍の孔径の第1の平均孔径を有し、これは、粗い第1材料が、第1材料が構成成分である複合多孔質材料に構造安定性を付与することを可能にすると考えられる。
【0057】
本発明の複合多孔質材料の特徴
本発明の複合多孔質材料は、多くの利点を提供し、例えば本発明の複合多孔質材料は、高圧の不利益な影響に対して耐性であり、相間剥離耐性であり、蒸気滅菌することができ、より大きな背圧耐性を有し、より良好な清浄及び膜寿命の延長を可能にする。
【0058】
本発明は、上述のように、幾つかの実施形態及び発明の特質又は態様を包含し、単独で、或いは本発明に原理に従って形成される複合多孔質材料と併せて出現し得る。例えば、一実施形態では、本発明は、第1材料の孔の少なくとも幾つかの中に第2材料を伴う、第1の平均径の孔を有する第1材料から形成される焼結された多孔質管状第1材料を含む複合多孔質材料管を包含する。第2材料は、第1の平均径よりも実質的に小さな第2の平均径の孔を有する。第2材料は、管状第1材料の孔壁の幾つかに直接融合されて、第1材料及び第2材料は、同じポリマー若しくは類似するポリマーから、又は同じポリマーファミリーから構成されるか、或いは形成される。
【0059】
別の実施形態では、本発明は、第1材料の孔の少なくとも幾つかの中に第2材料を伴う、第1の平均径の孔を有する第1材料から形成される焼結された多孔質管状第1材料を含む複合多孔質材料管を包含する。第2材料は、第1の平均径よりも実質的に小さな第2の平均径の孔を有する。第2材料は、管状第1材料の孔壁の幾つかに直接融合されて、第1材料及び第2材料のポリマー構成成分は、同じポリマー若しくは類似するポリマーから、又は同じポリマーファミリーから構成されるか、或いは形成される。
【0060】
別の実施形態では、本発明は、第1材料が、単一ポリマーから本質的に成るポリマー構成成分を有する複合多孔質材料を包含する。別の実施形態では、本発明は、第2材料が単一ポリマーから本質的に成るポリマー構成成分を有する複合多孔質材料を包含する。別の実施形態では、本発明は、第1材料が、単一ポリマーから本質的に成るポリマー構成成分
を有し、且つ第2材料が単一ポリマーから本質的に成るポリマー構成成分を有する複合多孔質材料を包含する。
【0061】
別の実施形態では、本発明は、第1材料が、少なくとも2つのポリマー、例えば2つのポリマーから本質的に成るポリマー構成成分を有する複合多孔質材料を包含する。別の実施形態では、本発明は、第2材料が、少なくとも2つのポリマーから本質的に成るポリマー構成成分を有する複合多孔質材料を包含する。
【0062】
別の実施形態では、本発明は、第1材料が、単一ポリマーから本質的に成るポリマー構成成分を有し、且つ第2材料が、少なくとも2つのポリマーから本質的に成るポリマー構成成分を有する複合多孔質材料を包含する。別の実施形態では、本発明は、第1材料が、少なくとも2つのポリマーから本質的に成るポリマー構成成分を有し、且つ第2材料は、単一ポリマーから本質的に成るポリマー構成成分を有する複合多孔質材料を包含する。別の実施形態では、本発明は、第1材料が、少なくとも2つのポリマーから本質的に成るポリマー構成成分を有し、且つ第2材料が、少なくとも2つのポリマーから本質的に成るポリマー構成成分を有する複合多孔質材料を包含する。
【0063】
別の実施形態では、多孔質第2材料は、多孔質第1材料の表面(単数又は複数)上に存在する。特定の実施形態では、多孔質第2材料は、多孔質第1材料の表面(単数又は複数)上の膜である。別の特定の実施形態では、多孔質第1材料の表面(単数又は複数)上の膜を形成する第2材料はまた、第1材料の孔中に、特に第1材料内の少なくとも幾つかの孔壁上に存在する。かかる膜は、かかる複合多孔質材料を通る拡散速度を制限することができ、さらにはかかる複合多孔質材料の分離能力を増強することができる。
【0064】
特定の実施形態では、第1材料及び第2材料の1つ又はそれぞれは、さらなるポリマーから構成される。例えば、第2材料が、PVDFから構成されてもよい一方で、第1材料は、PVDF及び別のポリマーの混合物から構成されてよく、第1材料が、PVDFから構成されてもよいのに対して、第2材料は、PVDF及び別のポリマー(例えば、ポリビニルピロリドン(「PVP」)の混合物から構成されてもよく、或いは第1材料が、PVDF及び別のポリマーの混合から構成されてもよい一方で、第2材料は、PVDF及び別のポリマーの混合物から構成されてもよく、ここで第1材料中に混合される別のポリマーは、第2材料中で混合される別のポリマーと同一であってもよく、又は異なってもよい。
【0065】
本発明の原理に従って形成される特定の材料の構造は、添付の図面を参照して理解することができる。例えば、比較の目的で、図1は、ポリエチレン基材上でPVDFを流延することにより作製されるが、本発明の原理によるポリエチレン基材へ融合されたPVDFを有さない比較用構造の60倍(「60X」又は「X60」)の倍率でのSEM画像を提供する。多孔質PVDF膜は、ポリエチレン基材へ融合されていないことが、この画像から明らかである。
【0066】
図2は、実施例3で以下に記載するように、PVDF第1材料上にPVDF第2材料を形成するようにPVDF第2材料を堆積させることにより作製される本発明の原理に従って形成される例示的な複合多孔質材料の60Xの倍率でのSEM画像を提供する。図2と同じ倍率での図1に比較すると、多孔質第2材料は、第1材料の孔壁に融合されていることが、図2から明らかである。図2はまた、第2材料が、第1材料の表面(例えば、外側表面)上に存在することも示す。第2材料は、約0.1μmの平均孔径を特徴とし、第1材料の周辺領域の平均孔径(約80μm)よりも実質的に小さい。第2材料は、孔壁に隣接する領域における第1材料の孔の中に存在することが、図2からさらに観察され得る。
【0067】
図3、図4及び図5はそれぞれ、実施例3で形成される例示的な複合多孔質材料のSE
M画像を提供する。図3は、17Xの倍率である。図4は、43Xの倍率である。図5は、140Xの倍率である。これらの画像それぞれから明らかであるように、多孔質第2材料は、第1材料の孔壁に融合される。これらの図はまた、例えば第2材料が、第1材料の孔の中に存在することも示す。
【0068】
図6は、実施例3で形成される例示的な複合多孔質材料の250Xの倍率でのSEM画像を提供する。この図は、例えば第2材料が、第1材料の表面の少なくとも一部をコーティングし、第2材料の少なくとも一部が、第1材料に融合され、また第2材料が、第1材料の孔の幾つかの中に存在し、第2材料の一部が、第1材料の孔壁の幾つかに融合されることを示す。
【0069】
図7及び図8はそれぞれ、実施例3で形成される例示的な複合多孔質材料のSEM画像を提供する。図7は、750Xの倍率である。図8は、2,500Xの倍率である。これらの図は、例えば第2材料の少なくとも一部が、第1材料に融合されること示す。
【0070】
図9及び図10はそれぞれ、実施例3で形成される例示的な複合多孔質材料のSEM画像を提供する。図9は、900Xの倍率である。図10は、5,000Xの倍率である。これらの平面画像は、例えば第2材料の孔を示す。図9はまた、例えば第1材料の孔の中の第2材料の孔構造も示す。図10はまた、例えば第1材料の表面上の第2材料の孔構造も示す。
【0071】
本発明の複合多孔質材料を作製する方法
様々な方法を使用して、上述の多孔質第1材料の孔の中に存在し、且つ/又はその表面に接触する第2材料を作製することができる。
【0072】
本発明の別の態様によれば、本発明は、焼結された多孔質第1材料上へ、溶媒及びその溶媒に可溶性の第2材料ポリマーの溶液を堆積させることを含む、複合多孔質材料を作製する方法を包含する。第1材料は、第2材料と同じポリマーであるか、類似するポリマーであるか、又は同じポリマーファミリーであり、或いは第1材料は、上記溶媒に可溶性である。
【0073】
本発明の別の態様によれば、本発明は、焼結された多孔質第1材料上へ、溶媒、その溶媒に可溶性である第2材料及び無機塩の溶液を堆積させることを含む、複合多孔質材料を作製する方法を包含する。第1材料は、第2材料と同じポリマーであるか、類似するポリマーであるか、又は同じポリマーファミリーであり、或いは第1材料は、上記溶媒に可溶性である。
【0074】
一実施形態では、第2材料は、多孔質第1材料上へ、少なくとも1つのポリマー、溶媒、及び任意であるが好ましくは、無機塩の溶液を堆積させること、並びに第1材料の表面上及び/又は孔の中に多孔質第2材料を堆積させるのに十分な条件下で、堆積させた溶液からポリマーを沈殿させることにより形成される。
【0075】
溶媒は、第2材料ポリマー(単数又は複数)がその溶媒に可溶性であるように選択される。溶液中で使用することができる溶媒は、当該技術分野で既知であり、使用する特定のポリマー及び得られる多孔質第2材料の所望の特性に応じて様々であり得る。溶媒の例としては、ジメチルアセトアミド(「DMAc」)、ジメチルスルホキシド(「DMSO」)、ジメチルホルムアミド(「DMF」)、N−メチルピロリドン(「NMP」)、トリエチルホスホネート(「TEP」)、イソプロピルアルコール(「IPA」)、トリエチレングリコール、鉱油及び任意のそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0076】
無機塩は、当該技術分野で既知であり、使用する特定のポリマー及び得られる多孔質第2材料の所望の特性に応じて様々であり得る。無機塩の例としては、塩化リチウム、塩化亜鉛、塩化ナトリウム、塩化カリウム、臭化リチウム、臭化亜鉛、臭化ナトリウム、臭化カリウム及び任意のそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。一実施形態では、無機塩は、塩化リチウム、塩化亜鉛、又は任意のそれらの混合物である。別の実施形態では、無機塩は、塩化リチウムである。
【0077】
第2材料溶液の堆積は、上記溶液を第1材料に接触させる際に、例えば以下の実施例2に記載されるガラス棒のような、スキージーなどの適切な延展/均展デバイスを使用して促進することができる。第2材料溶液の堆積はまた、上記溶液を第1材料に接触させた後、適切な溶液推進器、例えばそれぞれ以下の実施例3及び実施例10に記載される鋼球及びガラス棒のようなスキージーを使用することにより促進することができる。
【0078】
本発明の一態様によれば、溶液推進器は、管状要素の内部へ材料溶液の均一のコーティングを適用するために独特に造形され得る。例えば、溶液推進器は、細長くてもよく、例えば棒状又は円筒状であり得る。特に、溶液推進器の形状は、管状要素に適合する接触表面を包含するように選択され得る。例えば、管状要素の内部表面へ材料溶液を適用するための溶液推進器は、管状要素の円筒状内部に適合する円筒状接触領域を包含し得る。溶液推進器の寸法は、堆積される材料溶液の量及び/又は厚さ及び/又は均一性を制御するように選択され得る。材料溶液の堆積はまた、溶液が適用されるべき要素への材料溶液の接触中又は後に、適切なデバイスを使用して促進することができる。
【0079】
上述の実施形態のいずれかと組み合わせることが可能であるが、上述の実施形態のいずれかに必ずしも存在するとは限らない、ポリマー溶液が管の内部表面へ適用される本発明の別の態様によれば、溶液を延展/均展又はプッシングする代わりに、溶液は、中空第2材料アプリケータ、例えば以下の実施例4で記載する魚雷型アプリケータ(溶液が多孔質管、一実施形態では中空第1材料管、及び別の実施形態では管状基材の内腔を通って移動するに従って、溶液を分配する)により適用することができる。例えば、アプリケータは、内部空洞及び内部空洞からアプリケータの外部への1つ又はそれ以上の通路を有し得る。ポリマー溶液、例えば一実施形態では第2材料溶液及び別の実施形態では膜溶液は、例えば供給管によりアプリケータ内の内部空洞へ供給されて、内部空洞から通路を通って中空アプリケータの外部へ通過させてもよい。したがって、管状要素と管状要素内に位置付けられるアプリケータの相対的な軸方向の移動により、及び溶液をアプリケータへ供給することにより、溶液は、管状要素の内部表面に沿って分配及び適用される。したがって、例えば第2材料溶液の定量分配は、溶液に関する制御された適用条件及び溶液の堆積を提供し、結果として生じる管状要素上への材料の均一性及び/又は平滑性が促進される。さらに、アプリケータの使用により、より少ない溶液を使用することが可能であり、それにより、より経済的な方法を提供する。溶液がアプリケータへ供給される速度及び/又は圧力は、管状要素の内部表面へ適用される溶液の所望の厚さ及び/又は均一性及び/又は平滑性を達成するように選択され得る。
【0080】
一実施形態では、駆動ロッドは、アプリケータに対して移動を付与するように提供される。便宜上、別の実施形態では、駆動ロッドはまた、管状要素の内部表面への適用のためのアプリケータの内部へ溶液を供給する供給管としても機能する。
【0081】
望ましい場合、リザーバは、アプリケータの外側の面に沿って形成されてもよく、アプリケータの中空内部からアプリケータの外部へ伸長する通路(単数又は複数)は、溶液をリザーバへ供給してもよい。例えば、図11の魚雷型アプリケータ中のリザーバ18は、かかるリザーバである。リザーバは、アプリケータの外部で、例えばリザーバ壁13と1
5との間に溶液の供給を保持するように、それにより管状要素の内部表面への溶液の一様な適用を可能にするように設定される。
【0082】
一実施形態では、アプリケータは、管状要素の内部表面への材料溶液の適用を促進するように、且つ管状要素の内部表面上に堆積される材料の量及び/又は厚さ及び/又は均一性を制御するように、造形並びに設定され得る。例えば、アプリケータは、細長くてもよく、例えば形状が棒状又は円筒状であり得る。特に、細長いアプリケータの配向は、細長くない(例えば、球状又は立方体状)アプリケータよりも容易に制御可能である。したがって、細長いアプリケータは、リザーバがアプリケータの外部に沿って提供される場合、細長いアプリケータの容易に維持される配向が、管状要素の内部表面に関してリザーバを容易に配向させるため有益である。
【0083】
一実施形態では、アプリケータは、管状要素への容易な初期挿入及び管状要素におけるアプリケータの配列を可能にするためのテーパ状(例えば、円錐体形状の)初期挿入リーディングエッジを有し得る。別の実施形態では、アプリケータは、溶液の適用を開始するために管状要素への容易な挿入を可能にするテーパ状適用リーディングエッジ(すなわち、溶液の適用中のリーディングエッジ)を有し得る。別の実施形態では、アプリケータは、テーパ状初期挿入リーディングエッジ及びテーパ状適用リーディングエッジを有する。
【0084】
アプリケータの寸法は、管状要素の内部表面へ適用される溶液の所望の厚さ及び/又は均一性及び/又は平滑性を達成するように選択され得る。例えば、アプリケータ、例えば図11における魚雷型アプリケータの半径方向表面接触領域12及び14での外径と、管状要素の内部表面寸法、例えば図11における管状基材26の内径との間の寸法の差は、アプリケータリザーバ中に溶液を保持するように、及び管状要素の内部表面上に堆積される溶液の量及び/又は厚さ及び/又は均一性を同時に制御すると同時に、管状要素の内部表面に対する液圧増加を可能にするように確立される。アプリケータの外径及び管状要素の内径の寸法の差の選択は、溶液の粘性、溶液の表面張力及び管状要素の内部表面の表面エネルギーのような要因により影響を受ける。ある場合では、アプリケータの外径と管状要素の内径との間の寸法の差が小さすぎる場合、管状要素内でのアプリケータの移動の容易性が妨害され得る。別の場合では、アプリケータの外径と管状要素の内径との間の寸法の差が大きすぎる場合、溶液は、リザーバの壁で封入することが不可能な場合があり、及び/又は溶液は、容易に制御できない様式で適用され得る。
【0085】
アプリケータの外部横断面形状は、管状要素の内部横断面形状に適合するように選択され得る。例えば、アプリケータ及び管状要素はそれぞれ、円形、楕円形又は正方形の横断面を有し得る。管状要素の内部横断面に順応するようにアプリケータの横断面を造形する別の有益性は、アプリケータは最初に、一度又は複数回、管状要素の内腔に通過させた後、任意の溶液を導入し得ることである。そうすることにより、管状要素の内部表面の不規則性を低減又は排除することができ、例えば、真空化により、任意に、遊離のくずの除去と共に、バリ取りを行うことができる。
【0086】
一実施形態では、円形横断面を有する管状要素に関して、溶液のより一様の堆積は、特に管状要素の内部表面への溶液の適用中のアプリケータ及び管状要素の相対的な回転により促進され得る。例えば手動により又は速度制御回転装置、例えば管状要素に関しては車軸上の駆動型跳ね上げゴーカートタイヤ(平坦なノーマーキングタイヤ表面を有する)、水平ローラミキサ又は水平に位置付けられる管状要素を支持するのに十分な長さの動力駆動型コンベヤローラを用いて、当該技術分野で既知の任意の方法で、回転させることができる。一実施形態では、一連のローラは、一連の管状要素の同時加工処理を提供するのに使用することができる。本発明の態様では、相対的な回転速度は、少なくとも約10rpm、又は少なくとも約36rpmである。本発明の態様では、相対的な回転速度は、最大
約100rpm又は最大約44rpmである。本発明の態様では、相対的な回転速度は、約10rpm〜約100rpm、又は約36rpm又は約44rpmである。
【0087】
一回又は複数回のアプリケータ及び管状要素の相対的な軸移動は、例えば手動により(例えば、手動クランク及びタイマー制御を伴う直線運動テーブルを用いて)、或いはGato
Corp.(Bay City, MI)から入手可能である調節可能なスピードプーラー、レースキャリッジ又はプログラム可能な論理制御装置により制御される直線作動器を使用して、当該技術分野で既知の任意の方法で行うことができる。本発明の態様では、アプリケータ及び管状要素の相対速度は、少なくとも約20cm/分又は少なくとも約25cm/分である。本発明の態様では、アプリケータ及び管状要素の相対速度は、最大約305cm/分又は最大約165cm/分である。本発明の態様では、アプリケータ及び管状要素の相対速度は、約20cm/分〜約305cm/分、又は約25cm/分〜約165cm/分である。
【0088】
アプリケータへ供給される溶液の圧力は、例えば重力駆動型圧力ヘッド又は定圧出力ポンプを使用して、当該技術分野で既知の任意の方法で調節することができる。本発明の態様では、圧力は、少なくとも約3psi(20,700Pa)又は少なくとも約4psi(27,600Pa)である。本発明の態様では、圧力は、最大約10psi(69,000Pa)又は最大約8psi(55,200Pa)である。本発明の態様では、圧力は、約3psi〜約10psi、又は約4psi〜約8psiである。
【0089】
アプリケータへ供給される溶液の体積流速は、当該技術分野で既知の任意の方法で調節することができる。本発明の態様では、体積流速は、少なくとも約10mL/分又は少なくとも約40mLである。本発明の態様では、体積流速は、最大約200mL/分又は最大約140mL/分である。本発明の態様では、体積流速は、約10mL/分〜約200mL/分、又は約40mL/分〜約140mL/分である。
【0090】
管状要素の内部表面へ溶液を適用する本発明のアプリケータは、管状要素の縦軸が水平方向に(例えば、実施例4を参照)又は垂直方向に(例えば、実施例8を参照)配向される場合に使用することができる。
【0091】
本発明の一態様では、溶媒は第2材料(例えば、一実施形態では膜)及び第1材料(例えば、一実施形態では基材)を溶解するため、多孔質第2材料の少なくとも一部が、多孔質第1材料の表面に融合するように、溶媒は、溶液堆積中に多孔質第1材料の表面を溶解するように、或いは少なくとも軟化するように作用することができると考えられる。別の実施形態では、第1材料及び第2材料(これらは、互いに接触するようになる)は、同じポリマーを含むか、或いは成り、従って溶媒は、各材料の当該ポリマーを溶解又は軟化させることができ、それにより、第1材料及び第2材料のそれらの接触点(単数又は複数)での融合を促進する。別の実施形態では、第1材料及び第2材料(これらは、互いに接触するようになる)は、類似するポリマーを含むか、或いは成り、従って溶媒は、各材料の類似するポリマーを溶解又は軟化させることができ、それにより第1材料及び第2材料のそれらの接触点(単数又は複数)での融合を促進する。別の実施形態では、第1材料及び第2材料(これらは、互いに接触するようになる)は、同じポリマーファミリーのポリマー構成成分を含むか、或いは成り、従って溶媒は、各材料の当該ポリマー構成成分を溶解又は軟化させることができ、それにより第1材料及び第2材料のそれらの接触点(単数又は複数)での融合を促進する。
【0092】
いったん溶液が、例えば上述の方法のいずれかで第1材料上へ堆積されると、得られるそれらの生成物は、第2材料溶液の溶媒と混和性であるが、溶液中に溶解される第2材料のポリマーに関して非溶剤である混和性流体と接触させる(例えば、混和性流体中に浸漬する)ことができる。かかる接触は、多孔質第2材料を生じるのに当該技術分野で既知で
ある。複合多孔質材料の多孔質第2材料は、ポリマー溶液からのポリマー(単数又は複数)の沈殿時に形成される。第2材料の特性は、溶液中のポリマーの量(単数又は複数)及びタイプ、溶媒タイプ、無機塩添加剤(単数又は複数)、コーティング厚さ、浸漬浴組成、並びに浸漬浴温度のようなパラメータを制御することにより変化させることができる。これらの変量により提供される影響は、当該技術分野で既知であり、容易に確定される。
【0093】
水は、多くの場合で好ましい混和性流体であるが、他の流体を使用することができる。例えば、水−アルコール溶媒を使用することができる。混和性流体との接触は、当該技術分野で既知の任意の適切な方法、例えば混和性流体浴中に浸漬することにより実施され得る。一実施形態では、複合多孔質材料は、混和性流体の1つの浴中に浸漬させる。別の実施形態では、複合多孔質材料は、混和性流体(単数又は複数)の連続浴中に浸漬させる。別の実施形態では、連続浴それぞれが、同じ混和性流体を含有する。別の実施形態では、連続浴それぞれが、異なる混和性流体を含有する。
【0094】
任意に、任意の/すべての混和性流体と接触させた後、複合多孔質材料を洗浄することができる。任意に、任意の/すべての混和性流体と接触させた後、複合多孔質材料を乾燥させることができる。任意に、任意の/すべての混和性流体と接触させた後、複合多孔質材料は、洗浄、続いて乾燥させることができる。洗浄は、当該技術分野で既知の任意の適切な液体(例えば、水)を用いて実施され得る。洗浄は、当該技術分野で既知の任意の適切な方法、例えば洗浄液体浴中に複合多孔質材料を浸漬させることにより実施され得る。乾燥は、当該技術分野で既知の任意の適切な方法、例えば約25℃で空気中で複合多孔質材料を乾燥させること、或いは約25℃の温度で若しくは高温でコンベンショナルベルト又は固定ベルトを使用することにより実施され得る。
【0095】
特定の実施形態では、複合多孔質材料は、溶媒(例えば、DMAc又はDMAc及びNMPの容量が50/50の混合物)中に少なくとも約5重量%のポリマー(例えば、PVDF)及び無機塩(例えば、LiCl)を含有する第2材料溶液を、多孔質第1材料上へ堆積させることにより調製される。別の特定の実施形態では、複合多孔質材料は、溶媒(例えば、DMAc又はDMAc及びNMPの容量が50/50の混合物)中に最大約20重量%の濃度のポリマー(例えば、PVDF)及び無機塩(例えば、LiCl)を含有する第2材料溶液を、多孔質第1材料上へ堆積させることにより調製される。別の実施形態では、複合多孔質材料は、溶媒(例えば、DMAc又はDMAc及びNMPの容量が50/50の混合物)中に約5重量%〜約20重量%の濃度のポリマー(例えば、PVDF)及び無機塩(例えば、LiCl)を含有する第2材料溶液を、多孔質第1材料上へ堆積させることにより調製される。このパラグラフの特定の実施形態それぞれにおいて、得られるそれらの生成物は続いて、水を含む混和性流体と接触させる。
【0096】
本発明の複合多孔質材料を使用する方法
本発明の複合多孔質材料は、精密濾過、限外濾過及びナノ濾過のような濾過プロセスを含むがこれらに限定されない様々な用途において使用される。本発明の材料はまた、正常な圧力、すなわち通常限外濾過又はナノ濾過プロセスに関連する圧力よりも高い圧力で作動する精密濾過プロセスでも使用することができる。
【0097】
精密濾過が適切である用途の例としては、埃収集、飲料及び医薬品の冷滅菌、細胞収集、果汁、ビール又はワインの清澄化、廃水処理、油−水分離及び連続発酵が上げられる。限外濾過が適切である用途の例としては、脱塩プラントにおける海水の前処理、海水精製、牛乳からの乳漿の回収及びプロセス水としての再使用のための廃水処理が挙げられる。ナノ濾過が適切である用途の例としては、色素を改質させること、及び牛乳からラクトースを濾過することが挙げられる。
【0098】
本発明の別の態様は、本発明の複合多孔質材料に流体を通すことを含む、流体を濾過する方法を包含する。
【0099】
本発明の別の態様は、本発明の複合多孔質材料に液体を通すことを含む、液体(例えば、水、海水、廃水、飲料)を濾過する方法を包含する。
【0100】
本発明の別の態様は、本発明の複合多孔質材料に気体を通すことを含む、気体(例えば、空気)を濾過する方法を包含する。
【0101】
以下の実施例は、本発明を理解するのを助長するために記載され、本明細書中で記載及び特許請求される本発明を具体的に限定するものと解釈されるべきではない。現在既知であるか、又は後に開発される等価体すべての置き換えを含む本発明のかかる変更物(これは、当業者の範囲内である)、及び系統的論述の変更又は実験的設計の変更は、本明細書中に組み込まれる本発明の範囲内に収まるとみなされ得る。
【実施例】
【0102】
[実施例1:第2材料溶液Iの調製]
本発明の例示的な実施形態により多孔質第1材料上へ第2材料を堆積させる前に、以下のように、2つの別個の化学的溶液である中間溶液A及び中間溶液Bを調製した後、組み合わせて第2材料溶液Iを形成した。
【0103】
中間溶液A
1ガロン(3.8リットル)の高密度ポリエチレン(「HDPE」)ミリングジャー/カーボイへ、塩化リチウム(LiCl)100グラム及びDMAc 2,500グラムを添加した。ダクトテープでカーボイ上へ蓋を固定して、カーボイを20rpmで作動するローラミル上に2時間置いた後、LiClは、完全に溶解されたようであった。カーボイを開けて、PVDF(Atofina Chemicals, Inc.のKYNAR 2800)520グラムを添加した。PVDFは、気泡を回避するためにガラス棒で攪拌したところ、徐々に溶液と混合された。続いて、ダクトテープでカーボイ上へ蓋を固定して、均質な溶液が形成されるようになるまで(約4〜10時間後)、カーボイを20rpmで作動するローラミル上へ再度置いた。中間溶液Aを、色彩(例えば、黄色がかった外観)、気泡及び/又は未溶解PVDFのゲル塊に関して検査した。これらの状態のいずれも明白でなかったため、ダクトテープでカーボイ上へ蓋を固定して、さらなる使用のために恒温室(約25℃で維持される)中にカーボイを置いた。
【0104】
中間溶液B
NMP900グラムを含有する別の1ガロンのHDPEミリングジャー/カーボイへ、PVP(ISP Technology Inc. (Wayne, NJ)から得られるグレードK−90)100グラムを添加した。混合物を、ガラス棒で穏やかに攪拌した。ダクトテープでカーボイ上へ蓋を固定して、均質な中間溶液Bが形成されるようになるまで(約4〜10時間後)、カーボイを20rpmで作動するローラミル上へ置いた。中間溶液Bを、色彩(例えば、黄色がかった外観)、気泡及び/又は未溶解PVPのゲル塊に関して検査した。これらの状態のいずれも明白でなかったため、ダクトテープでカーボイ上へ蓋を固定して、さらなる使用のために恒温室(約25℃で維持される)中にカーボイを置いた。
【0105】
第2材料溶液I
約25℃で、中間溶液Bを含有するカーボイへ中間溶液Aを添加することにより、中間溶液Aを中間溶液Bと組み合わせて、第2材料溶液Iを形成した。ダクトテープでカーボイ上へ中間溶液Bカーボイの蓋を固定して、均質であるような溶液が形成されるまで(約6時間後)、カーボイを20rpmで作動するローラミル上に置いた。カーボイをミルか
ら取り出して、第2材料溶液Iを、色彩及び固体ポリマー粒子に関して検査した。これらの状態のいずれも明白でなかったため、ダクトテープでカーボイ上へ蓋を固定して、さらなる使用のために恒温室(約25℃で維持される)中にカーボイを置いた。
【0106】
[実施例2:平面状の第1材料上への第2材料の適用]
実施例2は、本発明の非限定的な実施形態について記載し、ここでは、第2材料溶液を、第1材料を含む多孔質平面状基材へ適用した。以下に記載する工程はそれぞれ、約25℃の温度で実施した。
【0107】
多孔率約40%及び平均孔径約80μmを有する約0.25インチ(0.64cm)厚の焼結された多孔質PVDF8インチ×8インチ(20.3×20.3cm)の平面状シート(Portec Corporation (Fairburn, GA)から入手)をテーブルの清潔で平坦な平滑な水平ガラス上に置いた。シートの各コーナーを絶縁テープでテーブルの表面へ留めた。0.75インチ(1.9cm)幅の絶縁テープの3層を、シートの各辺越しにテーブルの表面上に置いた。約0.015インチ(0.038cm)のテープの3層の厚さは、第2材料の所望の湿潤厚に相当した。
【0108】
第2材料溶液Iの分取量をカーボイから100mLのガラスビーカーへ注いだ。このビーカーから、第2材料溶液I 20mLを、シートの辺から約2インチ(5.1cm)離れたラインに沿ってシート上へ注いだ。直径2インチ(5.1cm)、長さ8インチ(20.3cm)のガラス棒をスキージーとして使用して、溶液の溶球を均一に広げて、過剰な第2材料溶液をシートから取り除いた。これは、溶球に対してその縦軸平行で、最上部から底部まで徐々に(約30秒かけて)、また下方圧力によりテープの最上部片の外側縁からテープの底部片の外側縁を過ぎるまで確実にシート全体で、棒を引き寄せることにより行われた。過剰な溶液の除去の完了次第、タイマーを開始させた。
【0109】
3分が経過した後、絶縁テープを4つのコーナーすべてで切断して、コーティングされたシートをテーブルから放した。シートは、平坦な位置で及びコーティングされた側を上にして、3分間吊り下げて保ち、続いて、約4インチ(10cm)の水道水を充填した約長さ21インチ×幅12インチ×深さ6インチ(30.5×30.5×15.2cm)のガラストレーに注意深く移した。コーティングされた側を上にして、シートを水浴へ約10秒間にわたって確実に浸漬して、約3分間手で吊り下げて保った。その後、シートを放して、トレーの底部上で約24時間平坦な状態にさせた。
【0110】
トレーからシートを取り出した後、すでに記載したような、ただし、水道水中のグリセリンの5重量%溶液を含有する、別のトレーへシートを30分間置いた。その溶液からシートを取り出した後、シートを24時間乾燥させた。得られた複合多孔質シートは、平均孔径80μmを有する第1材料多孔質基材及び平均孔径約0.1μmを有する第2材料多孔質膜を有していた。寸法7.5インチ×7.5インチ(19.1×19.1cm)の焼結された多孔質PVDFのシートの一部は、第2材料溶液Iを適用する前は、240gの重量であった。上述のように乾燥した後、それらから形成された同じ寸法の複合多孔質シートの重量は、約5g増加していた。
【0111】
[実施例3:垂直に配向された管状第1材料上への第2材料の適用]
実施例3は、本発明の非限定的な実施形態について記載し、ここでは、第2材料を、第1材料を含む多孔質管状基材へ適用した。以下に記載する工程はそれぞれ、約25℃の温度で実施した。
【0112】
Porex Corporationから入手可能であり、焼結されたPVDFから形成される多孔質管を使用した。多孔質管は、長さが36インチ(91.4cm)を示し、内径1インチ(2
.5cm)及び外径1.330インチ(3.4cm)を有していた。
【0113】
多孔質管をビーカーに関して垂直に位置付けて、また管の底部の穴は、溶液を保持するようにキャップをして、PVDFを含み、且つ実施例に記載される第2材料溶液Iを管へ注いだ。15分後、過剰の溶液をビーカーから排出させて、直径が2.5cmのステンレス鋼機械工ゲージボールを、管の内部の過剰な溶液用のスキージーとして作用するように多孔質管の内腔へ下ろした。続いて、内径1.125インチ(2.86cm)のステンレス鋼スライドリングを、管の外側上の過剰な溶液用のスキージーとして作用するように管の外径に沿って手動で滑り下ろした。
【0114】
コーティングされた多孔質管をその縦軸を垂直に保ちながら、約55ガロン(208L)の水道水を含有するドラム様浴へ、管を徐々に浸して(約30秒かけて)、管が浴の底部に触れるまで沈めさせた。
【0115】
浴から管を取り出した後、コーティングされた多孔質管をその縦軸を垂直に保ちながら、水道水中のグリセリンの5重量%溶液を含有する別の浴へ、管を30分間浸した。その浴から管を取り出した後、管を約24時間空気中で乾燥させた。第2材料溶液Iを適用する前は、管は、400gの重量であった。上述のように乾燥した後、重量は、約15g増加していた。
【0116】
得られた複合多孔質管は、平均孔径約80μmを有する第1材料多孔質基材及び平均孔径0.1μmを有する第2材料多孔質膜を有していた。例えば先に論述した図2〜図10から明らかであるように、多孔質第2材料膜は、多孔質第1材料基材の孔の中に存在し、多孔質第2材料は、少なくとも幾つかの多孔質第1材料基材の孔壁へ融合された。
【0117】
[実施例4:魚雷型アプリケータによる水平に配向された管状第1材料上への第2材料の適用]
実施例4は、本発明の非限定的な実施形態について記載し、ここでは、テーパ状又は円錐形リーディングエッジを有するアプリケータ(「魚雷型アプリケータ」)を使用することにより、第2材料を、第1材料を含む多孔質管状基材へ適用した。以下に記載する工程はそれぞれ、約25℃の温度で実施した。
【0118】
魚雷型アプリケータ:図11及び図12に表されるような魚雷型アプリケータ10は、304等級のステンレス鋼から機械加工された。図11に表される魚雷型アプリケータ10は、全長l1 5.08cmを有していた。第2材料溶液が多孔質管状基材の内部表面へ適用されるべきである場合、魚雷型アプリケータ10の最大直径(2.489cm)は、多孔質管状基材26(2.515cm)の内部表面直径により確定された。魚雷型アプリケータ10は、初期挿入リーディングエッジ半径方向表面接触領域12及び適用リーディングエッジ半径方向表面接触領域14を有していた。初期挿入リーティングエッジ半径方向表面接触領域12は、長さl2 1.27cmを有し、適用リーディングエッジ半径方向表面接触領域14は、長さl4 0.635cmを有していた。半径方向表面接触領域12及び14は、それぞれ2.489cmの最大直径d1及びd2を有しており、溶液導入後、以下で論述するように、多孔質管状基材26の内部表面に対する液圧増加及び比較的一様な厚さの第2材料の形成(図11及び図12では図示せず)を可能にした。長さl5 0.635cmを有する45°の円錐体形状のノーズ16は、適用リーディングエッジ半径方向表面接触領域14の近位に存在した。円錐体形状のノーズ16は、多孔質管状基材26への魚雷型アプリケータ10の容易な挿入及び整列を可能にした。長さl3 2.54cmを有するリザーバセクション18は、半径方向表面接触領域12と14との間に位置付けられ、半径方向接触領域12及び14から深さ0.318cm分へこませ、すなわちリザーバセクション18の両端にある壁13及び15は、2.54cm離れており
、それぞれ0.318cmの深さを示す。リザーバセクション18はまた、魚雷型アプリケータ10の中空中心チャンバへ半径方向に開けられた、それぞれ直径が0.318cmの6つの液体送達通路20を有していた。液体送達通路20は、第2材料溶液をリザーバセクション18へ送達するのに使用され、それにより、第2材料適用プロセス中に、多孔質管状基材26の内部表面へその溶液を接触させた。
【0119】
図12に示されるように、初期挿入リーディングエッジ半径方向表面接触領域12の遠位にある円錐体形状のノーズ16の末端は、円錐体形状のノーズ16の平坦な表面24へ穴を開けられた液体進入通路22を含む取付機構を有していた。深さ3.81cmを有する液体進入通路22は、魚雷型アプリケータ10の中空中心チャンバへの進入を提供し、液体送達通路20と液体連通されていた。液体進入通路22は、0.125インチ(0.318cm)の直径の米国規格管用ネジ(「NPT」)を通した管接続を受け入れるように機械加工及びネジ立てられた(図12を参照)。
【0120】
管状第1材料上への第2材料溶液の適用
図11に表され、同様に、使用される液体送達系に接続されるように図13に表される魚雷型アプリケータ10は、多孔質管状第1材料基材の内部表面上への第2材料溶液の適用に、制御液圧、すなわち重力駆動型圧力ヘッドを使用した。溶液の流速は、適用中に計測した。上述の魚雷型アプリケータ10は、第2材料溶液が適用されるべき多孔質管状基材26の長さl7 91.4cmよりも長い長さであるl6 約120cmを有するシームレス304/304Lステンレス鋼組合せ駆動ロッド/供給管28(図13を参照)上へ通した。魚雷型アプリケータ10の遠位にある鋼管28の末端をステンレス鋼ボール弁30(図13では「t形状の」ボール弁として表される)の第1の出口ポートPへ接続された。ボール弁30は、入口ポート32及び第2の出口ポート34を有していた。入口ポート32及び第2の出口ポート34はそれぞれ、内径1.588cmのHDPE配管を受け入れるようにバーブ管フィッテングを備えていた。入口ポート32は、1リットルのHDPE容器36と液体連通しており、当該容器36は、第2材料溶液を含有していた。容器36は、魚雷型アプリケータ10の約4.6メートル上に配備された。この液体送達装置は、実施例1に記載するようなPVDFを含み、且つおよそ5〜6psi(34,500〜41,300Pa)の圧力で約500〜10,000cpsの粘度を有する第2材料溶液Iを、魚雷型アプリケータ10へ送達するのに使用された。
【0121】
魚雷型アプリケータ10は、Porex Corporationから入手され、且つ焼結されたPVDFから形成される多孔質管、すなわち基材26の末端において内腔へ慎重に挿入された。多孔質管状基材の縦軸は、水平に配向された。多孔質管状基材26の長さl7に対する魚雷型アプリケータ10の短い長さl1は、多孔質管状基材の内腔への魚雷型アプリケータの進入を容易にした。
【0122】
続いて、鋼管28を介して、魚雷型アプリケータ10が管状基材26の反対側の末端から現れるまで、魚雷型アプリケータを管状基材26の内腔の全長を貫いて一度通した(図11に表されるように)。このようにして、管状基材26の内部表面は平滑化された。
【0123】
鋼管28を介して、魚雷型アプリケータ10を半径方向表面接触領域14全体が管状基材26の内部に存在する一方で、半径方向表面接触領域12のいずれも管状基材26の内部に存在しないように、管状基材26の内腔へ引き戻した後、体積流速約70mL/分での第2材料溶液の送達を魚雷型アプリケータに対して開始させた。続いて、鋼管28を介して、魚雷型アプリケータ10を、調節可能なスピードプーラーにより約30.5cm/分の速度で一度多孔質管状基材26の内腔に通して引く一方で、同時に、管状基材26を、動力駆動型コンベヤローラにより約40rpmでその縦軸の周囲で回転させた。
【0124】
管状基材の内部への溶液適用が完了した後、すなわち魚雷型アプリケータが管から完全に現れた後、その縦軸が垂直に保たれたコーティングされた多孔質管を、水道水約55ガロン(208L)を含有するドラム様浴へ、徐々に浸し(約30秒かけて)、管が浴の底部に触れるまで沈めさせた。管を約24時間、浴中に維持した。
【0125】
浴から管を取り出した後、コーティングされた多孔質管をその縦軸を垂直に保ちながら、水道水中のグリセリンの5重量%溶液を含有する別の浴へ、管を30分間浸した。その浴から管を取り出した後、管を約24時間空気中で乾燥させた。管は、第2材料溶液Iを適用する前は、400gの重量であった。上述のように乾燥した後、重量は、7g増加していた。
【0126】
得られた複合多孔質管は、平均孔径約80μmを有する第1材料多孔質基材及び平均孔径0.1μmを有する第2材料多孔質膜を有していた。
【0127】
[実施例5:第2材料溶液IIの調製]
第2の溶液は、以下のように調製した。
【0128】
1ガロンのHDPEミリングジャー/カーボイへ、NMP 470g、DMF 322.55グラム及びDMAc 102.5グラムを添加して、溶液を形成した。続いて、気泡を防止するために、溶液をガラス棒で攪拌する一方で、同時にPVDF(KYNAR 2800)105グラムを徐々に添加した。続いて、ダクトテープでカーボイ上へ蓋を固定して、均質な溶液が形成されるようになるまで(約4〜10時間後)、カーボイを20rpmで作動するローラミル上へ置いた。続いて、溶液を約25℃で約16時間静置させて、気泡を除去した。その後、溶液を、色彩(例えば、黄色がかった外観)、気泡及び/又は未溶解PVDFのゲル塊に関して検査した。これらの状態のいずれも明白でなかったため、ダクトテープでカーボイ上へ蓋を固定して、さらなる使用のために恒温室(約25℃で維持される)中にカーボイを置いた。
【0129】
第2材料溶液IIは、実施例4の手順により複合多孔質管を調製する際に第2材料溶液Iの代わりに使用され、同様の満足いく結果を提供した。
【0130】
[実施例6:第2材料溶液IIIの調製]
第3の溶液は、実施例1の溶液Aで使用した手順に従って調製したが、但し、DMAc
2,500グラムの代わりに、NMP 865グラムを使用し、またLiCl 30グラム及びPVDF(KYNAR 2800)105グラムを使用した。第2材料溶液IIIを、色彩(例えば、黄色がかった外観)、気泡及び/又は未溶解PVDFのゲル塊に関して検査した。これらの状態のいずれも明白でなかったため、ダクトテープでカーボイ上へ蓋を固定して、さらなる使用のために恒温室(約25℃で維持される)中にカーボイを置いた。
【0131】
第2材料溶液IIIは、実施例4の手順により複合多孔質管を調製する際に第2材料溶液Iの代わりに使用され、同様の満足いく結果を提供した。
【0132】
[実施例7:第2材料溶液IVの調製]
第4の溶液は、実施例1の溶液Aで使用した手順に従って調製したが、但し、DMAc
2,500グラムの代わりに、NMP 216グラム及びDMAc 648グラムを使用し、またLiCl 30グラム及びPVDF(KYNAR 2800)105グラムを使用した。第2材料溶液IVを、色彩(例えば、黄色がかった外観)、気泡及び/又は未溶解PVDFのゲル塊に関して検査した。これらの状態のいずれも明白でなかったため、ダクトテープでカーボイ上へ蓋を固定して、さらなる使用のために恒温室(約25℃で維
持される)中にカーボイを置いた。
【0133】
第2材料溶液IVは、実施例4の手順により複合多孔質管を調製する際に第2材料溶液Iの代わりに使用され、同様の満足いく結果を提供した。
【0134】
[実施例8:魚雷型アプリケータによる、垂直に配向された管状第1材料上への第2材料の適用]
適用プロセスは、実施例4に記載する手順に類似した手順で実施されるが、但し多孔質管状第1材料基材の縦軸は、水平ではなく垂直に配向される。魚雷型アプリケータを、管状基材の内腔の上端へ挿入し、魚雷型アプリケータが多孔質管状基材の下端から現れるまで、管状基材の全長を貫いて通す。魚雷型アプリケータへの第2材料溶液の送達が開始された後、アプリケータを、多孔質管状基材の内腔に通して上向きへ徐々に引っ張る。上向きに引っ張る間中、魚雷型アプリケータの中空中心チャンバ内の第2材料溶液の圧力は、必要に応じてほぼ一定の状態であるように調節される。
【0135】
[実施例9:水平に配向された管状第1材料上への第2材料の適用]
実施例9は、本発明の非限定的な実施形態について記載し、ここでは、第2材料溶液を、第1材料を含む多孔質管状基材へ適用した。以下に記載する工程はそれぞれ、約25℃の温度で実施した。
【0136】
長さ91.4cm並びに内径2.54cm及び外径3.81cmを有する、Porex Corporationから入手可能であり、焼結されたPVDFから形成される多孔質管を一端で栓をした。管状基材は、栓をした末端が下向きに向き、その縦軸が垂直に配向さるようにして回転させた。管状基材が最上部に対しておよそ中間まで充填されるまで、PVDFを含み且つ実施例1に記載される第2材料溶液I約80gを、最上部から管状基材の内腔へ添加した。続いて、多孔質管状基材の最上部開口部に栓をした。
【0137】
得られた栓をした管状基材を、円筒状溶媒収納固定具へ置いた。この固定具は、固定具の内部表面と管状基材の外側表面との間にOリング様ガスケットを挿入した後に管状基材をぴったりと保持するように設計された、内径約5.08cmを有する円筒状中空中心を有する。続いて、円筒状固定具を水平ローラミキサ上へ置いて、約40rpmで約3分間回転させて、第2材料溶液を多孔質管状基材の内部表面上へ広げさせた。回転を停止して、末端栓を取り外して、残留している第2材料溶液を管から排出させた。直径が2.50cmで65gの重量を有する鋼球を管の一端へ挿入した。続いて、管をわずかに持ち上げて、ボールを管の内腔内に「転がり」落として、残留している第2材料溶液を押し伸ばして、均一な仕上げを提供した。
【0138】
コーティングされた多孔質管をその縦軸を垂直に保ちながら、水道水約55ガロン(208L)を含有するドラム様浴へ、徐々に浸し(約30秒かけて)、管が浴の底部に触れるまで沈めさせた。管を約24時間、浴中に維持した。
【0139】
浴から管を取り出した後、コーティングされた多孔質管をその縦軸を垂直に保ちながら、水道水中のグリセリンの5重量%溶液を含有する別の浴へ、管を30分間浸した。その浴から管を取り出した後、管を約24時間空気中で乾燥させた。管は、第2材料溶液Iを適用する前は、400gの重量であった。上述のように乾燥した後、重量は、10g増加していた。
【0140】
得られた複合多孔質管は、平均孔径約80μmを有する第1材料多孔質基材及び平均孔径0.1μmを有する第2材料多孔質膜を有していた。
【0141】
[実施例10:水平に配向された管状第1材料上への第2材料の適用]
適用プロセスは、実施例9に記載する手順に類似した手順で実施されるが、但し鋼球は、管の縦軸に対して平行にその縦軸を保ちながら、コーティングされた多孔質基材の内腔へ挿入されるガラス棒(長さ107cm、直径2.413cm)で置き換えられる。ガラス棒を管の内腔内に「すべり」落として、残留している第2材料溶液を押し伸ばして、均一な仕上げを提供した。
【0142】
本発明は、本発明の幾つかの態様の説明として意図される実施例において開示される特定の実施形態により範囲が制限されるべきではなく、機能的に等価である任意の実施形態は、本発明の範囲内である。実際に、本発明の様々な変更は、本明細書中に示され、且つ記載されるもののほかに、当業者には明らかとなり得、併記の特許請求の範囲内に収まると意図される。
【0143】
多数の参照文献が引用されており、それらの開示は全体として、参照により本明細書に援用される。
【図面の簡単な説明】
【0144】
【図1】膜が基材へ結合されていない、多孔質ポリエチレン基材上へ流延させた比較用の多孔質PVDF膜の横断面の60倍走査型電子顕微鏡(「SEM」)写真を示す。
【図2】例示的な多孔質管状PVDF第1材料の孔中に多孔質PVDF第2材料を含有する、本発明の原理に従って形成される例示的な複合多孔質材料の横断面の60X SEM写真(図1と同じ倍率)を示す。
【図3】図2の例示的な複合多孔質材料の横断面の17X SEM写真を示す。
【図4】図2の例示的な複合多孔質材料の内径面付近の横断面の43X SEM写真を示す。
【図5】孔中の多孔質PVDF第2材料を説明するために図4から拡大した、図2の例示的な複合多孔質材料の横断面の140X SEM写真を示す。
【図6】図2の例示的な複合多孔質材料の内径面付近の横断面の250X SEM写真を示す。
【図7】孔中の多孔質PVDF第2材料を説明するために拡大した、図2の例示的な複合多孔質材料の横断面の750X SEM写真を示す。
【図8】孔中の多孔質PVDF第2材料を説明するために図7から拡大した、図2の例示的な複合多孔質材料の横断面の2,500X SEM写真を示す。
【図9】第1材料の孔中の第2材料の表面を説明するために拡大した、図2の例示的な複合多孔質材料の平面図の900X SEM写真を示す。
【図10】第2材料の表面を説明するために拡大した、図2の例示的な複合多孔質材料の平面図の5,000X SEM写真を示す。
【図11】管状基材内に膜材料を適用するための例示的な魚雷型アプリケータを示す。
【図12】図11の魚雷型アプリケータの末端を示す。
【図13】例示的な液体送達系に接続された図11の魚雷型アプリケータを示す。
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合多孔質材料、並びにそれらを作製する方法及びそれらを使用する方法に関する。
【0002】
本出願は、2003年11月4日に出願された米国仮出願第60/516,753号の利益を主張するものである。この仮出願の開示は、その全体が参照により本明細書中に援用される。
【背景技術】
【0003】
多孔質膜は、長い間流体から微細な固形分を濾過するのに使用されてきた。精密濾過、限外濾過、ナノ濾過及び逆浸透(「RO」)は、多孔質膜の使用に基づくプロセスの例である。これらのプロセスが使用される用途としては、飲料水を生産するために塩水を精製すること、工業用水として再使用するために廃水を濾過すること、並びにビール及びワインのようなある特定の飲料から不要の固形分を除去することが挙げられる。
【0004】
精密濾過プロセスは一般的に、流体流から比較的大きな分子を除去することが望まれる用途で使用される。精密濾過は一般的に、限外濾過及びROよりも低圧で作動する。精密濾過に適した用途としては、廃水処理、油−水分離及び集塵が挙げられるが、これらに限定されない。
【0005】
限外濾過は、分子サイズ及び形状に基づいて溶液構成成分を分離することが可能な圧力駆動型膜プロセスである。限外濾過膜に対する適用差圧下で、溶媒及び小さな溶質種は、膜を通過するのに対して、より大きな溶質種は、膜により保持される。限外濾過に関する典型的な用途としては、脱塩プラントにおける海水の前処理及びプロセス水として再使用するための廃水の処理が挙げられる。
【0006】
逆浸透は、溶解したイオンを含む超微細固形分の濾過を必要とする濾過用途で広範囲に及ぶ使用が見出されている。例えば、真水の供給源が限られている世界の地域で、ROは、海水を精製するのに首尾よく使用されている。通常、装置におけるRO膜はそれぞれ、ROプロセスにおける、より高圧に抵抗するように適合された管状の外部圧力容器内に位置付けられる。ROプロセスで使用される多孔質膜は、多くの場合多孔質排水層へ結合されるか、又は多孔質排水層へコーティングされて、サンドイッチ様構造を形成する。この「RO膜サンドイッチ」の4つの辺のうち3つは封鎖される。サンドイッチの4つ目の辺は、コア中のスロットへ供給されて、所望の表面積を達成するように、かかるコア周辺に螺旋状に巻き付けられる。ROのサンドイッチの膜は概して、排水層の材料とは異なる材料から作製される。
【0007】
ほとんどの場合、上述の濾過プロセスで使用される多孔質膜は、多孔質基材へ付着される。かかる多孔質基材は、非常に薄く(例えば、厚さが15μm〜95μm)、したがって脆く且つ構造支持を提供することが不可能であり得る。例えば、Lopatin他の特許文献1の実施例1〜3及び9を参照されたい。多孔質基材が、上述の濾過プロセスで使用される膜に関する機械的支持を提供することが可能である(それにより、膜を、例えばより高圧を必要とする用途に関してより適切にする)場合、基材は、膜が作製される材料とは異なる材料で作製される。概して、膜及び基材は、層を成すか、又は膜は、基材へ固着される。膜と基材との間に結合は存在せず、膜と基材との間に識別可能な界面が存在する。
【0008】
限外濾過プロセスで使用される幾つかの膜は、複合膜である。複合膜は、限外濾過膜と
精密濾過膜基材との間にはさまれたグリセリンを使用して作製されると報告されており、それらはそれぞれ、同じポリマーから作製することができる。グリセリンは、精密濾過膜に対する限外濾過膜溶液の影響を低減するよう作用する。例えば、Allegrezza, Jr.他の特許文献2及びMillipore Corp.の公開済特許文献3を参照されたい。これらの参照文献は、膜及び基材が同じポリマーから作製される場合でも、限外濾過膜溶液による精密濾過膜基材の腐食及び/又は溶解を防止し、且つ形成された限外濾過膜の精密濾過膜基材への融合を回避するように限外濾過膜溶液を適用する場合に、精密濾過膜(これは、125マイクロメートル(μm)厚の規模である)に関してグリセリンを導入すること、及び/又は非溶媒を使用することを開示する。
【0009】
ある材料から作製される膜の、別の材料から作製される基材上への流延は、特に膜材料及び基材材料が流延溶媒中で異なる溶解性及び異なる熱特性を有する場合に、多くの用途にあまり適さない材料を生じ得る。例えば、かかる異種材料の膜表面は、均一でないことがある。この均一性の欠如は、膜が基材へ接着される強度を減少させて、幅広い孔径分布を招き得、膜を通った液体の不規則な流れ及び予測不可能な動作能特性を招く。
【0010】
別の設計への考察としては、膜及び基材として使用される異なる材料が、異なる化学特性及び熱特性を示すことである。したがって、2つの異なる材料(例えば、2つの異なるポリマー)は概して、膜と基材との間の界面で、弱い接着及びかなりの空隙を有する。これは、いくらかは、2つの異なる材料の混和性の乏しさに起因し得る。弱い接着はまた、材料の異なる熱特性にも起因し得て、これは、それらの界面で張力を招き、層間剥離及び表面クラッキングを引き起こし得る。層間剥離に対する既存の膜−基材系の脆弱性は、濾過プロセスで使用される圧力(分離中に流束を増大させるのには、高圧が好適である)により悪化される。既存の2材料の膜−基材系における層間剥離はまた、系をバックフラッシュ又は逆洗するのに使用される圧力の頻繁な適用により引き起こされる。実際に、バックフラッシングは、精密濾過及び限外濾過で使用される2材料の膜−基材系における層間剥離の主要な原因の1つである。
【特許文献1】米国特許第4,828,772号明細書
【特許文献2】米国特許第4,824,568号明細書
【特許文献3】欧州特許出願公開第0596411 A2号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、様々な濾過用途で使用することができる、膜と基材との間で強力な接着を有する材料を提供することが望まれる。
【0012】
さらに、蒸気滅菌することができ(ポリエチレンを含有する既存の膜は、蒸気滅菌することができない)、且つより大きな背圧抵抗(これは、より良好な清浄及び膜寿命の延長を提供する)を有する多孔質膜に対する要求が依然として満たされていない。
【0013】
膜コーティングされた管状基材を作製するための既存の製造方法は、膜材料の溶液で垂直に配向させた管の内腔を完全に充填すること、内部の最上部へ挿入された加重デバイスを垂直管の底部へとゆっくりと沈ませること、並びにそれが沈んだら、管の多孔質表面又は多孔質壁を通して膜溶液を押し出すこと、及び環の外径よりもわずかに大きな環形状のデバイスで、管の最上部から底部へと該環形状のデバイスをスライドさせることにより、環の外側を清浄することを包含し得る。かかる方法は、例えばそれらが、時間がかかり、高価であり、且つ一様でない膜コーティング及び基材管への膜浸透の不規則な深さをもたらし得るため最適ではない。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の一部は複合多孔質材料に関し、ここで、第1材料は、比較的大きな平均孔径の孔を有し、これらの孔の少なくとも幾つかは、その中に比較的小さな平均孔径の孔を有する第2材料を有する。本発明の具体的な実施の形態では、第2材料は、第1材料の表面の少なくとも一部をコーティングする。本発明の別の具体的な実施の形態では、第2材料の少なくとも一部は、第1材料に融合される。別の具体的な実施の形態では、第2材料は、第1材料の孔の幾つか中に存在する。別の具体的な実施の形態では、第1材料の孔中の第2材料は、第1材料の孔壁の少なくとも幾つかに直接融合される。他の実施の形態では、第1材料及び第2材料はそれぞれ、共通の溶媒に可溶性のポリマーを含む。
【0015】
本発明はまた、大きな平均孔径を有する焼結された多孔質のポリマー基材へ融合される、多孔質ポリマー精密濾過、限界濾過又はナノ濾過膜を含む複合多孔質材料に関し、ここで多孔質膜及び多孔質基材は、共通の溶媒に可溶性のポリマーから構成される。
【0016】
本発明はまた、本明細書中に記載する複合多孔質材料を作製する方法、特にそれらを促進するためのアプリケータに関する。
【0017】
本発明はまた、本明細書中に記載する複合多孔質材料を使用する方法に関する。
【0018】
本発明の具体的な態様は、添付の図面を参照して理解することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明は、様々な複合多孔質材料を包含する。本明細書中に記載する様々な発明の態様又は特徴は、別個であり、独立していることが理解されよう。したがって、本発明の原理に従って形成される複合多孔質材料又は物品は、本明細書中に記載する本発明の1つより多い特徴を有する必要はなく、且つ/又は本明細書中に記載する2つ又はそれ以上の特徴の組合せを有してもよい。
【0020】
一態様では、本発明は、第1の平均孔径の孔を有する第1材料(これは、一実施形態では、「基材」であるとみなされ得る)及び第1の平均孔径よりも実質的に小さい第2の平均孔径の孔を有する第2材料(これは、一実施形態では、「膜」であるとみなされ得る)に関する。一実施形態では、第2材料は、第1材料の表面の少なくとも一部をコーティングすることができる。別の実施形態では、第2材料は、第1材料の少なくとも幾つかの孔の中に存在することができる。別の実施形態では、第2材料は、第1材料の表面の少なくとも一部をコーティングすることができ、第2材料は、第1材料の少なくとも幾つかの孔の中に存在することができる。他の実施形態では、第2材料は、第1材料の表面の少なくとも一部をコーティングすることができ、且つ/又は第1材料の孔を少なくとも部分的に、すなわち孔の幾つか又はすべてを充填することができる。別の実施形態では、第2材料の平均孔径は、第1材料の平均孔径よりも実質的に小さい。「実質的に小さい」という用語は、平均孔径について言及するのに使用する場合、第2材料の平均的な孔が、第1材料の平均的な孔内に存在することが可能であることを意味する。本発明の態様では、「実質的に小さい」という用語は、平均孔径について言及するのに使用する場合、当該技術分野で既知であるか、且つ/又は本明細書中に開示する方法により確定される場合、約3倍、5倍、7倍、10倍、25倍、50倍、75倍、100倍、約100倍を超えて、125倍、150倍、175倍、250倍、500倍、1,000倍又は10,000倍小さいことを意味する。本発明の他の態様では、第2材料の平均孔径は、第1材料の平均孔径よりも約3倍、5倍、7倍、10倍、25倍、50倍、75倍又は100倍小さい。本発明の他の態様では、第2材料の平均孔径は、第1材料の平均孔径よりも約100倍よりも小さいか、或いは約125倍、150倍、175倍、250倍、500倍、1,000倍又は10,000倍小さい。
【0021】
実際は、通常別個の構成成分又は層へ分離可能ではないが、本発明の複合多孔質材料は、少なくとも2つの構成成分を有するとみなされ得る。本明細書中で使用する場合、別記しない限り、「基材」という用語は、多孔質第1材料層を指す。特定の第1材料は焼結され得る。本発明の態様では、第1材料の厚さは、少なくとも約100μm、少なくとも約250μm、少なくとも約400μm、少なくとも約600μm、少なくとも約800μm、又は少なくとも約1,000μmである。本発明の態様では、第1材料の厚さは、最大約10cm、最大約5cm、又は最大約1cmである。本発明の態様では、第1材料の厚さは、約100μm〜約10cm、約250μm〜約5cm、又は約1,000〜約1cmである。
【0022】
本明細書中で使用する場合、別記しない限り、「膜」という用語は、第1材料の最上部上及び/又は内部に精密濾過、限外濾過又はナノ濾過膜構造を形成する第2材料層を指す。本発明の態様では、第2材料は、約10,000、1,000、500、400、300、250、125、100、75、50、25又は10μm厚であり、流体(例えば、水又は空気)を透過可能である。本発明の態様では、第1材料の厚さは、第2材料の少なくとも約1.5倍、2倍、5倍、10倍、100倍、250倍、500倍、1,000倍又は10,000倍の厚さである。別の実施形態では、第1材料の厚さは、第2材料の厚さにほぼ等しい。本発明の一態様によれば、第2材料は、第1材料の表面の少なくとも一部上へ接着され、且つ/又は第1材料の孔の少なくとも幾つかの壁へ接着される。
【0023】
当該技術分野で既知であるように、幾つかの膜、いわゆる非対称膜は、膜の多孔質副層により支持される非常に深い最上層、すなわち「外皮層」を含有する。本発明の一実施形態では、第2材料は、非対称膜である。非対称膜は、高密度な膜の高い選択性を、非常に薄い膜の高い透過速度と組み合わせると言われている(例えば、M. Mulder, Basic Principles of Membrane Technology, Kluwer Academic Publishers, Dordrecht, (1996) pp. 12-14、米国特許第4,824,568号、欄1、42〜56行目、及び公開済欧州特許出願第0596411号、p2、32〜38行目を参照)。任意に、本発明の第2材料は、第1材料に対して末端の表面で第2材料上にかかる外皮層を有する。存在する場合、外皮層の厚さは、第2材料の最大約0.1倍の厚さである。
【0024】
本発明の態様では、約1%、2%、5%、10%、25%、50%、75%、90%、95%、99%又は99.9%を超えるか、或いは約100%の第1材料の孔が、それらの中に第2材料の幾つかを有する。本明細書中で使用する場合、別記しない限り、「孔のパーセント」という用語は、第2材料の適用後に占有される第1材料の総孔容積のパーセントを指し、当該技術分野で既知の技法(例えば、水銀ポロシメトリ及びSEM)により確定することができる。
【0025】
本発明の態様では、第1材料の平均孔径は、少なくとも約1μm、少なくとも約2μm、少なくとも約5μm、少なくとも約10μm、又は少なくとも約25μmである。本発明の態様では、第1材料の最小平均孔径は、重要な、複合多孔質材料を通る所望の流体流速により影響される。本発明の態様では、第1の平均孔径は、最大約200μm、最大約100μm、又は最大約50μmである。本発明の態様では、第1材料の最大平均孔径は、重要な、複合多孔質材料に対して機械的支持を提供するその能力により影響される。本発明の態様では、第1の平均孔径は、約1μm〜約200μm、約1μm〜約100μm、約2μm〜約200μm、約25μm〜約200μm、約5μm〜約100μm、又は約10μm〜約50μmである。本発明の態様では、本発明の複合多孔質材料が精密濾過用途で使用される場合、第1材料の平均孔径は、約1μm〜約200μm、又は約25μm〜約200μmである。本発明の態様では、本発明の複合多孔質材料が限外濾過用途で使用される場合、第1の平均孔径は、約1μm〜約200μm、又は約1μm〜約100μmである。第1材料単独の平均孔径は、水銀ポロシメトリ(例えばMicromeritics Inc.
(Norcross, GA)のAUTOPORE IIIモデル9420ポロシメータを用いて)、又は顕微鏡法(例えば、SEM)を使用して確定することができる。本発明の態様では、第1材料は、約20、30、40、50,60又は75%の平均多孔率を有する。
【0026】
本発明の態様では、第2材料の平均孔径は、少なくとも約0.0002μm、少なくとも約0.01μm、又は少なくとも約0.1μmである。本発明の態様では、第2材料の平均孔径は、最大約10μm、最大約5μm、最大約2μm、又は最大約0.1μmである。本発明の態様では、第2材料の平均孔径は、約0.0002μm〜約10μm、約0.01μm〜約5μm、約0.01μm〜約0.1μm、約0.1μm〜約10μm、又は約0.1μm〜約2μmである。本発明の態様では、本発明の複合多孔質材料が精密濾過用途で使用される場合、第2材料の平均孔径は、約0.1μm〜約10μmである。本発明の態様では、本発明の複合多孔質材料が限外濾過用途で使用される場合、第2材料の平均孔径は、約0.01μm〜約0.1μmである。
【0027】
本発明の態様では、第1材料の平均孔径は、第2材料の平均孔径の少なくとも約3倍、5倍、7倍、10倍、25倍、50倍、75倍、100倍、約100倍を超えて、125倍、150倍、175倍、250倍、500倍、1,000倍又は10,000倍である。
【0028】
本発明の複合多孔質材料の平均孔径及び/又は多孔率は、SEMのような既知の技法により定量可能である。水銀ポロシメリのような侵襲的技術もまた使用することができる。1つのかかる技法を用いて、第1材料が本発明の原理による複合多孔質材料の調製で使用される前に、第1材料(又は一実施形態では、多孔質基材)の多孔率を定量可能である。続いて、その技法は、得られた複合多孔質材料の多孔率を確定するのに使用することができる。2つの結果を用いて、当業者は、その差から、第1材料の孔中の第2材料(又は別の実施形態では、膜)の多孔率を容易に定量可能である。
【0029】
上述の実施形態のいずれかと組み合わせることが可能であるが、上述の実施形態のいずれかに必ずしも存在するとは限らない本発明の別の態様によれば、第2材料は、第1材料の表面及び/又は孔壁へ強力に接着する。かかる強力な接着は、任意の所望の様式で達成され得る。一実施形態では、第1材料は、溶媒及びポリマー、並びに任意に無機塩(以下でさらに論述するように、ポリマーの溶解性を改善するため)の混合物と接触させる。本発明の一態様は部分的に、第2材料及び第1材料がそれぞれ可溶性であるような溶媒を選択することにより、複合多孔質材料は、互いに強力に接着し、したがって層間剥離のようなプロセスに高い抵抗性を有する第1材料及び第2材料を用いて作製することができるという発見に関する。本明細書中で使用する場合、別記しない限り、第2材料のようなポリマーは、ポリマー1g及び溶媒100gを大気圧下及び約20℃〜約70℃で、例えば25℃で、任意に攪拌しながら接触させ、固体ポリマー残渣が約4時間後には肉眼で確認できない場合に、溶媒中に「可溶性」である。
【0030】
一実施形態では、例えば互いに強力に接着することを促進するために、第1材料及び第2材料は、同じポリマー又は同じコポリマーを含むか、或いは同じポリマー又は同じコポリマーから形成される。すなわち、「同じポリマー」に関して、ポリマーはそれぞれ、同一の化学構造のモノマーから形成される。「同じコポリマー」に関して、コポリマーはそれぞれ(例えば、コポリマー「1」及び「2」)は、共通のモノマー、すなわち2つ又はそれ以上のモノマー(例えば、「A」及び「B」)から形成され、コポリマー1におけるAモノマーは、コポリマー2におけるAモノマーに対して同一の化学構造を有し、コポリマー1におけるBモノマーは、コポリマー2におけるBモノマーに対して同一の化学構造を有する。例えば、本出願の趣旨で、直鎖状及び分岐鎖状ポリエチレン(それぞれ、エチレンモノマーから形成される)は、同じポリマーであるとみなされる。別の例では、2つ
のコポリマー(それぞれ、アクリロニトリル及び塩化ビニルのような2つのモノマーから構成されるが、各コポリマー中に存在するアクリロニトリル対塩化ビニルの比が異なる)は、本出願の趣旨で、同じポリマーであるとみなされる。さらに別の例では、単一モノマーから形成されるが、それらの重量平均分子量が異なる2つのポリマーは、本出願の趣旨で、同じポリマーであるとみなされる。さらなる例では、2つのポリマー(それぞれ、同じ3つのモノマーから形成されるが、重量平均分子量が異なる)は、本出願の趣旨で、同じポリマーであるとみなされる。この実施形態のポリマーの例としては、ポリフッ化ビニリデン(「PVDF」)のようなフルオロポリマー、ポリエチレン、ポリプロピレン及びポリアクリロニトリルのようなポリオレフィン、及びDYNEL(アクリロニトリルと塩化ビニルのコポリマー)のようなモダクリル繊維、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン(「PEEK」)並びにポリ塩化ビニル(「PVC」)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0031】
本明細書中で使用する場合、「コポリマー」は、少なくとも2つの異なるモノマーサブユニットを含むポリマーを包含する。したがって、3つの異なるモノマーを含むポリマー鎖(ターポリマーとしても既知)は、3つ以上の異なるモノマーサブユニットを含むポリマー鎖と同様に、「ポリマー」という用語に包含される。本明細書中で使用する場合、「ポリマー」という用語は、ホモポリマー及びコポリマーを包含する。
【0032】
別の実施形態では、例えば互いに強力に接着することを促進するために、第1材料及び第2材料は、類似するポリマー又は類似のコポリマーを含むか、或いは類似するポリマー又は類似のコポリマーから形成される。すなわち、「類似するポリマー」に関して、ポリマーはそれぞれ、同一の化学構造のモノマーを含む。「類似のコポリマー」に関して、コポリマーはそれぞれ(例えば、コポリマー「1」及び「2」)は、共通のモノマー、すなわち2つ又はそれ以上のモノマー(例えば、「A」、「B」及び「C」)から形成され、コポリマー1におけるAモノマーは、コポリマー2におけるAモノマーに対して同一の化学構造を有し、コポリマー1におけるBモノマーは、コポリマー2におけるCモノマーと比較して、化学構造が異なる。例えば、本出願の趣旨で、フッ化ビニリデンから形成される第1のポリマー、並びにフッ化ビニリデン及び(CH2−13CF2)から形成される第2のポリマーは、それらがそれぞれ共通のモノマー、すなわちフッ化ビニリデンを有するため、類似するポリマーであるとみなされる。別の例では、高密度ポリエチレン及び超低密度ポリエチレン(ULDPE)(それぞれ、エチレン(及びULDPEに関しては、少量の別のオレフィン系モノマー)から形成される)は、それらがそれぞれ、共通のモノマーであるエチレンを有するため、本出願の趣旨で、類似するポリマーであるとみなされる。別の例では、一方がランダムコポリマーであり、他方がブロックコポリマーである2つのコポリマー(それぞれ、スチレン及びブタジエンのような2つのモノマーから構成される)は、本出願の趣旨で、類似するポリマーであるとみなされる。さらに別の例では、エチレン及びプロピレンから形成される第1のコポリマー、並びにエチレン、プロピレン及び1−ヘキセンから形成される第2のコポリマーの2つのコポリマーは、それらがそれぞれ2つの共通のモノマーを有するため、本出願の趣旨で、類似するポリマーであるとみなされる。
【0033】
別の実施形態では、例えば互いに強力に接着することを促進するために、第1材料及び第2材料は、関連モノマー(例えば、「A」及び「A’」)を含むポリマー又はコポリマーを含むか、或いは関連モノマー(例えば、「A」及び「A’」)を含むポリマー又はコポリマーから形成され、すなわちそれぞれ、同じ「ポリマーファミリー」である。例えば、本出願の趣旨で、ポリ(メタクリル酸メチル)及びポリ(アクリル酸メチル)はメチル置換基の存在又は非存在のみが異なるのと同様に、ポリ(メタクリル酸メチル)及びポリ(メタクリル酸エチル)は、それらの成分モノマーが関連しており、それらのエステル基中の炭素原子の数のみが異なるためそのように記載される。同じポリマーファミリーのコ
ポリマーに関して、コポリマーはそれぞれ(例えば、コポリマー「1」及び「2」)は、関連モノマーから形成され、例えばモノマー「A」、「A’」、「B」及び「C」に関して、コポリマー1におけるAモノマーは、コポリマー2におけるA’モノマーの化学構造に関連した構造を有し、コポリマー1におけるBモノマーは、コポリマー2におけるCモノマーと比較して、化学構造が異なる。ポリマーファミリーは、当該技術分野で既知であり、ポリマーテキストブックは多くの場合、類似のモノマーから形成されるかかる「ポリマーファミリー」を同定している。例えば、F.W. Billmeyer, Jr., Textbook of Polymer
Science (Wiley-Interscience, New York, 2nd ed. 1971)では、ポリオレフィン、ポリスチレン、アクリル樹脂、ポリ(ビニルエステル)、塩素含有ポリマー(例えば、PVC)、フルオロポリマー、ポリアミド、エーテル及びアセタールポリマー、ポリエステル、ポリウレタン並びにセルロース系材料はそれぞれ、別個のポリマーファミリーとして開示されている。化学百科事典は多くの場合、同様にかかる「ポリマーファミリー」を同定している。例えば、the Kirk-Othmer Encyc. of Chem. Tecnhnol. (4th ed. 1991-1998)は、フルオロポリマー、ポリアクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、ポリエステル、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルケトンケトン、ポリエーテルスルホン、ポリオレフィン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスルホン、ポリ塩化ビニル、及びビニルポリマーを含む(これらに限定されない)多くのタイプのポリマーファミリーに関する分類リストを有する。
【0034】
別の実施形態では、例えば互いに強力に接着することを促進するために、第1材料を構成するポリマー及び第2材料を構成するポリマーはそれぞれ、溶媒に可溶性であり、すなわち共通の溶媒を有する。本明細書中で使用する場合、「共通の溶媒」は、例えば、ポリマー「P」が溶媒「X」に可溶性であり、またポリマー「Q」が溶媒「X」に可溶性である場合、溶媒「X」は、ポリマー「P」及びポリマー「Q」に関して共通の溶媒であることを意味する。本明細書中で使用する場合、「共通の溶媒」は、複数の溶媒を含む混合物を包含する。例えば、一実施形態では、共通の溶媒は、任意の適切な比率の2つの溶媒の混合物、例えばジメチルアセトアミド及びジメチルホルムアミドの混合物である。
【0035】
別の実施形態では、第1材料及び/又は第2材料は、フルオロポリマー、すなわちフッ素を含むポリマー又はコポリマー(例えば、DuPont(Wilmington, DE)のTEDLAR製品種目のようなポリフッ化ビニル、並びにAtofina Chemicals, Inc. (Philadelohia, PA)のKYNAR及びKYNAR FLEX製品種目(例えば、KYNAR FLEX 2800、KYNAR 500及びKYNAR 460)のようなPVDFであるが、これらに限定されない)から作製される。別の実施形態では、第1材料及び/又は第2材料は、PVDFから作製される。別の実施形態では、第1材料及び/又は第2材料は、Ticona Engineering Polymers (Florence, KY)のHOSTALEN GUR製品種目(例えば、HOSTALEN GUR 400)のようなポリエチレン、並びにBasell NV (Hoofddorp, Netherlands)のPRO−FAX製品種目のようなポリプロピレンであるが、これらに限定されないポリオレフィンから作製される。別の実施形態では、第1材料及び/又は第2材料は、ポリエチレンから作製される。別の実施形態では、第1材料及び/又は第2材料は、ポリプロピレンから作製される。別の実施形態では、第1材料及び/又は第2材料は、例えばBP Petrochemicals (Naperville, IL)のBAREX製品種目のようなポリアクリロニトリル、並びにUnion Carbide (Danbury, CT)から以前入手可能であったDYNEL製品種目のようなアクリロニトリルと塩化ビニルのコポリマーのようなモダクリル繊維であるが、これらに限定されないアクリル樹脂から作製される。別の実施形態では、第1材料及び/又は第2材料は、ポリアクリロニトリルから作製される。別の実施形態では、第1材料及び/又は第2材料は、アクリロニトリルと塩化ビニルのコポリマーから作製される、別の実施形態では、第1材料及び/又は第2材料は、例えばGE Advanced Materials (Pittsfield, MA)のULTEM製品種目(例えば、ULTEM1000)であるが、これらに限定されないポリエーテルイミドから作製される。別の実施形態では、第1材料及び/
又は第2材料は、例えばSolvay Advanced Polymers (Alpharetta, GA)のKADEL製品種目及びVictrex PLC (UK)のPEEK製品種目であるが、これらに限定されないポリエーテルエーテルケトンから作製される。別の実施形態では、第1材料及び/又は第2材料は、例えばPVC(例えば、Geon Co. (Avon Lake, OH)のGEON製品種目)であるが、これらに限定されない塩素含有ポリマーから作製される。別の実施形態では、第1材料及び/又は第2材料は、PVCから作製される。
【0036】
別の実施形態では、第1材料及び/又は第2材料は、例えば3M (Minneapolis, MN)のASTRELポリスルホン製品種目、並びにSolvay Advanced PolumerのUDELポリスルホン製品種目(例えば、UDEL P−3500及びUDEL P−3500 LCD)及びMINDELポリスルホンブレンド製品種目であるが、これらに限定されないポリスルホンから作製される。別の実施形態では、第1材料及び/又は第2材料は、Solvay Advanced PolymersのRADEL Aポリエーテルスルホン製品種目であるが、これらに限定されないポリエーテルスルホンから作製される。別の実施形態では、第1材料及び/又は第2材料は、例えばEastman Chemical Co. (Kingsport, TN)のEKTARポリエステル製品種目及びTiconaのポリエチレンテレフタレート(例えば、IMPETポリエステル製品種目)であるが、これらに限定されないポリエステルから作製される。別の実施形態では、第1材料及び/又は第2材料は、例えばTiconaのCELANESE PA6,6製品種目、並びにBASF(Wyandotte, MI)のCAPRON PA6ポリアミド製品種目及びULTRAMID PA6、PA6,6及びPA6/6,6製品種目であるが、これらに限定されないポリアミドから作製される。
【0037】
上記で識別される実施形態とさらに組み合わせることが可能である上記で識別される実施形態から独立した本発明の実施形態は、焼結された多孔質第1材料に融合された多孔質第2材料を含む材料を包含し、それにより2つの材料が同じポリマーから形成される複合多孔質材料を提供する。上記で識別される実施形態とさらに組み合わせることが可能である上記で識別される実施形態から独立した本発明の実施形態は、焼結された多孔質第1材料に融合された多孔質第2材料を含む材料を包含し、それにより2つの材料が類似するポリマーから形成される複合多孔質材料を提供する。上記で識別される実施形態とさらに組み合わせることが可能である上記で識別される実施形態から独立した本発明の別の実施形態は、焼結された多孔質第1材料に融合された多孔質第2材料を含む材料を包含し、それにより2つの材料が同じポリマーファミリーのポリマーで形成される複合多孔質材料を提供する。上記で識別される実施形態とさらに組み合わせることが可能である上記で識別される実施形態から独立した本発明の別の実施形態は、焼結された多孔質第1材料に融合された多孔質第2材料を含む材料を包含し、それにより2つの材料が共通の溶媒を有するポリマーで形成される複合多孔質材料を提供する。
【0038】
特定の実施形態では、第2材料は、第1材料に直接適用され、すなわち他の固体又は液体が、第2材料と第1材料との間に介入され得ない。別の特定の実施形態では、第2材料は、焼結された第1材料の表面に直接融合される。別の特定の実施形態では、第2材料は、焼結された第1材料の孔壁の幾つかに直接融合され、すなわち他の固体又は液体が、第2材料と第1材料との間に介入され得ない。別の特定の実施形態では、第2材料は、焼結された第1材料の表面に直接、及び焼結された第1材料の孔壁の幾つかに直接融合される。
【0039】
本明細書中で使用する場合、別記しない限り、「融合された」という用語は、2つの構成成分、例えば第1材料及び第2材料、又は基材及び膜(これらはそれぞれ、同一材料であってもよく、或いは異なる材料であってもよい)との間の接着又は直接的な物理的結合を指す。本発明の融合された複合多孔質材料では、第1材料及び第2材料は接触しており、接触している少なくとも一部は、直接接続されて、それらの構成成分に分離するのは困
難である。したがって、第2材料(例えば、それが膜を形成する場合)、第1材料(例えば、それが基材を形成する場合)からの層間剥離に抵抗性であり、例えば従来技術の充填剤又は充填剤材料と比較した場合、より頑強な複合多孔質材料が達成される。
【0040】
別の実施形態では、本発明は、第1の平均径の孔を有し、第1材料の孔の少なくとも幾つかの中に第2材料を伴う第1材料から形成される焼結された多孔質管状第1材料を含む管を包含する。第2材料は、第1の平均径よりも実質的に小さな第2の平均径の孔を有し、管状第1材料の内部表面上に形成され、管状第1材料の孔壁の幾つかに直接融合される。第1材料及び第2材料は、同じポリマー、類似するポリマーから、又は同じポリマーファミリーから構成されるか、或いは共通の溶媒に可溶性である。
【0041】
第1材料
第1材料は通常、所定の所望の形状で形成され、一実施形態では、膜であるとみなされ得る第2材料を保持するための基材とみなされ得る。別の実施形態では、第1材料は、平面シートの形態であり、別の実施形態では、第1材料は、中空管の形態であり、別の実施形態では、第1材料は、任意の他の成形品の形態である。
【0042】
当業者に既知の様々な方法を使用して、多孔質第1材料を作製することができる。幾つかの例としては、米国特許第6,030,558号(これは、その全体が参照により本明細書に援用される)により開示されるような焼結、発泡剤及び/又は浸出剤の使用、米国特許第4,473,665号及び同第5,160,674号(これらはそれぞれ、その全体が参照により本明細書に援用される)により開示されるようなマイクロセル形成方法、ドリル加工(レーザドリル加工を含む)、及び逆相沈殿が挙げられる。したがって、多孔質第1材料が作製される方法に応じて、多孔質第1材料は、ランダム又は明確な直径のチャネル、及び/又は様々な形状及びサイズのランダムに位置する孔の規則正しい配列を有することができる。孔径は通常、孔自体が必ずしも球状でないとしても、それらの平均直径に関して言及される。
【0043】
本発明の好ましい第1材料は、少なくとも1つのポリマー(例えば、プラスチック)の粒子、及び任意に他の添加剤の粒子を焼結することにより作製される。これらの任意の添加剤としては、潤滑剤、着色剤、機能的添加剤、抗菌構成成分、帯電防止構成成分及び充填剤のような当該技術分野で既知のものを挙げることができるが、これらに限定されない。一実施形態では、添加剤は、粒子の形態で提供される。
【0044】
一実施形態では、ポリマー粒子及び任意の添加剤粒子は、比較的一様な固体分散物を提供するように混合された後、焼結される。このことは、最終的な製品の所望のサイズ及び形状(例えば、ブロック、管、円錐体、円筒体、シート又はフィルム)に応じて、型又は当業者に既知の技法を用いて達成することができる。別の実施形態では、固体分散物は、型中で焼結される。適切な型は、市販されており、当業者に既知である。型の具体例としては、約0.01インチ(254μm)より厚い厚さを有するフラットシート、最大約1インチ(2.54cm)の厚さを有するフラットシート、約0.01インチ(254μm)〜約1インチ(2.54cm)の厚さを有するフラットシート、並びに様々な高さ及び直径の円形円筒体が挙げられるが、これらに限定されない。適切な型材料としては、金属及び金属合金(例えば、アルミニウム及びステンレス鋼)並びに高温熱可塑性樹脂が挙げられるが、これらに限定されない。
【0045】
一実施形態では、圧縮型を使用して、焼結された第1材料を提供する。この実施形態では、型は、第1材料の焼結温度に加熱されて、平衡化させて、続いて圧力にさらす。この圧力は、焼結される材料の組成及び最終生成物の所望の多孔率に応じて、通常約1psi(6,890Pa)を上回り、通常100psi(689,000Pa)未満である。概
して、型へ適用される圧力が大きいほど、平均孔径は小さく、最終製品の機械的強度は大きい。圧力が適用される時間の持続期間もまた、最終製品の所望の多孔率に応じて様々である。
【0046】
多孔質第1材料がいったん形成されたら、型を冷却させる。圧力が型に適用された場合、圧力が依然として適用されたまま、或いは圧力を取り除いた後に、冷却が行われ得る。続いて、焼結された第1材料は、型から取り外され、任意に加工処理される。任意の加工処理の例としては、滅菌、切断、微粉砕、研磨、封入及び/又はコーティングが挙げられるが、これらに限定されない。
【0047】
上述するような方法を用いて、様々なサイズ及び形状の様々な材料を使用して、適切な多孔質第1材料を提供することができる。一実施形態では、焼結された粒子は、ほぼ同じサイズであり、すなわち50%の数の粒子が平均粒子径の±50%以内であるようなサイズの範囲を有する。この実施形態では、粒子径は、比較的一様であり(例えば、市販のスクリーンを使用して定量される場合)、すなわち粒子のサイズ分布は、比較的狭い。ほぼ等しいサイズの粒子が確実に型へパッケージングすることができるため、また狭い粒子径分布が、一様に多孔性の第1材料(すなわち、第1材料全体にわたって均一に分布され、且つサイズがほぼ等しい孔を含む第1材料)の生産を可能にするため、これは好適であると考えられる。一様に多孔性の材料を通して、ほぼ等しい平均多孔率を有するが、高い多孔率及び低い多孔率の領域を有する材料よりも、流体がより均一に流れる傾向にあるため、これは、例えば流体を濾過するのに好適である。一様に多孔性の第1材料はまた、実質的に異なるサイズの不規則に分布される孔を含む材料よりも構造的弱点を有する可能性が低い。これらの有益性を鑑みて、材料が粒子形態で市販される場合、所望の平均径及び狭いサイズ分布を保証するために、その材料は、スクリーニングされるか、又はふるい分けされる。しなしながら、多くのポリマーは、粒子形状で市販されていない。したがって、低温粉砕及び水中ペレット化のような方法を使用して、所定のポリマーの粒子を調製することができる。
【0048】
低温粉砕は、様々なサイズの粒子及び任意の添加剤粒子を調製するのに使用することができる。しかしながら、低温粉砕は通常、それが生産する粒子のサイズに関してほとんど制御を可能としないため、この方法により作製される粒子は、例えば焼結されるべき粒子が、所望の平均径及び狭いサイズ分布を有することを保証するために、さらなる処理加工(例えば、スクリーニング)を必要とし得る。
【0049】
本発明の第1材料を形成するための粒子はまた、いわゆる「水中ペレット化」により作製され得る。水中ペレット化は、例えばSmith他の米国特許第6,030,558号(これは、その全体が参照により本明細書に援用される)の欄3に記載されている。この方法は、幾つかの利点を提供する。水中ペレット化は、生産される粒子の平均径に関して精密な制御を提供し、多くの場合、さらなるスクリーニング工程の必要性を排除し、廃棄される材料の量を低減させる。水中ペレット化の別の利点は、粒子の形状に関して有意な制御を可能にすることである。水中ペレット化の別の利点は、球状粒子が望ましい場合、得られた粒子がほとんど完璧な球状である形状により、より大きな強度を有する焼結された材料を得ることが可能であることである。水中ペレット化の別の利点は、得られた粒子がほとんど球状の形状であるため、第2材料溶液(ここで、溶液は、一様で滑らかな多孔質第1材料へ流れる)でコーティングするための優れたより一様に焼結された第1材料が、より一様な複合多孔質材料を生じることである。別の利点は、水中ペレット化が、水中ペレット化された粒子から形成される多孔質管の化学物質及び/又は温度適合性範囲を増強し得ることである。水中ペレット化のさらなる利点は、第1材料に対して性能又は物理特性に影響を与えるために、水中ペレット化中に、活性材料(例えば、Yaoの米国特許第6,551,608B2号(その全体が参照により本明細書に援用される)の欄6〜9に開示
されるもののような抗ウイルス又は抗菌剤)、及び/又はポリマー用の共通の添加剤(例えば、カーボンブラックのような充填剤及びConcise Polymeric Materials Encyclopendia, J.C. Salamone, Ed. (CRC Press LLC, Boca Raton, FL. 1999), pp.23-29(その全体が参照により本明細書に援用される)に編集されているもののような当該技術分野で既知の他の添加剤)を粒子に配合することが可能であることである。
【0050】
水中ペレット化を用いた粒子形成は通常、押出機又はメルトポンプ、水中ペレット化装置及び乾燥機を必要とする。プラスチック第1材料は、押出機又はメルトポンプへ供給されて、融解するまで加熱される。続いて、融解した材料は、ダイスを通して押し込ませる。材料がダイスから出てきたら、少なくとも1つの回転羽根により、それが「プレ粒子」と称される片に切断される。押出の速度及び回転羽根(単数又は複数)の速度は、プレ粒子の形状を確定するのに対して、ダイスの穴の直径は、それらの平均径を確定する。プレ粒子を冷却する速度を増大させることが可能な冷却用流体又は冷却剤、例えば水(故に、「水中ペレット化」における「水中」である)は、切断羽根(単数又は複数)上を、及び切断チャンバを通って流れる。流体は、プレ粒子を粒子へと凝固して、続いて粒子は冷却剤(例えば、水)から分離されて、乾燥されて、収集される。
【0051】
水中ペレット化により生産される粒子の平均径は、直径が少なくとも約0.01インチ(254μm)から精密に制御することができる。水中ペレット化される粒子の平均径は、直径が最大約0.25インチ(0.64cm)へ精密に制御することができる。水中ペレット化される粒子の平均径は、直径が約0.01インチ(254μm)〜約0.25インチ(0.64cm)であり得る。平均粒子径は、単にダイスを交換すること(大きさに比例してより大きな粒子を生じる、より大きな穴のダイスで)により調整することができる。粒子の平均形状は、押出速度、上記方法で使用される冷却剤の温度及び/又はペレット化装置のカッター速度を操作することにより最適化することができる。
【0052】
多孔質材料の特徴は、それを作製するのに使用する粒子の平均径及びサイズ分布に依存し得るが、材料の特徴はまた、粒子の平均形状によっても影響を及ぼされ得る。本発明の一態様によれば、第1材料の粒子は、実質的に球状であり得る。実質的に球状の粒子、特に平滑縁を有するものはまた、明確に規定された温度範囲内で均一に焼結して、望ましい機械的特性及び多孔率を有する最終製品を提供する。この形状は、型内の粒子の効率的なパッキングを促進する。粒子について記載するのに本明細書中で使用する場合、「実質的に球状」という用語は、粒子が球状であるか、あるいはその最長半径の長さが、その最短半径の長さの約2倍を超えない、好ましくは約1.5倍を超えないか、より好ましくは約1.2倍を超えないことを意味する。粒子の混合物又は収集物について記載するのに使用される場合、「実質的に球状」という用語は、約50重量%、好ましくは約75重量を超える、より好ましくは約90重量%を超える、最も好ましくは約95重量%を超える粒子が実質的に球状であることを意味する。一実施形態では、第1材料は、一緒に焼結される粒子から構成される。別の実施形態では、第1の粒子は、一緒に焼結される実質的に球状である粒子から構成される。
【0053】
本発明の一態様によれば、使用される第1材料粒子が市販されているか、又は低温粉砕により作製される場合、任意にそれらは、平滑縁を保証するように熱粉砕されてもよく、且つ/又は適正な平均径及びサイズ分布を保証するようにスクリーニングされてもよい。熱粉砕は、既知のプロセスであり、ここでは粒子は、迅速に混合されて、任意にそれらの粗縁が平滑となるように加熱される。例えば、Yaoの米国特許第6,551,608 B2号を参照されたい。熱粉砕に適した混合機としては、Littleford Day, Inc., Florence, KYから入手可能なWシリーズ高強度混合機が挙げられる。粒子径に関して正確な制御を可能とし、且つ平滑な実質的に球状の粒子を生じることができる水中ペレット化により作製される粒子は、熱粉砕又はスクリーニングする必要はないが、かかるペレット化後の加
工処理には任意に使用可能である。
【0054】
多孔質第1材料の孔又はチャネルを形成するのに使用される特定の方法、及び同方法により多孔質第1材料において生じる孔構造(例えば、平均孔径及び/又は多孔率)は、最終複合多孔質材料が置かれる所望の用途に従って多様であり得る。当該技術分野で既知であるように、「多孔率」は、サンプルの外周寸法に基づいて算出される容積に対する空隙容積の比である。第1材料の所望の多孔率はまた、第1材料自体の特徴又は特性により影響を及ぼされ得る。例えば、多孔率は、第1材料の形状及び/又はその物理特性(例えば、引張強度及び耐久性)により種々の点で影響を及ぼされ得る。したがって、異なる特性を有する異なる材料から第1材料を形成することは、得られる複合多孔質材料の強度及び/又は性能(例えば、得られる複合多孔質材料を通る流体の流束)に影響を及ぼすことができる。
【0055】
一実施形態では、第1材料は、第1材料を含む複合多孔質材料が形状を呈するのを可能にするのに十分な構造安定性を有する。別の実施形態では、第1材料は、露出、例えば、第2材料の溶液の溶媒に対する、に抵抗するのに十分な構造安定性を有する。別の実施形態では、第1材料は、例えば高圧下又は流動下で、任意のさらなる支持層を必要とせずに、複合多孔質材料に対してその使用中に構造完全性を提供するのに十分な構造安定性を有する。
【0056】
別の実施形態では、複合多孔質材料の第1材料は、「粗」孔構造、すなわち約5μmを超え、且つ第2材料の第2の平均孔径の少なくとも約10倍の孔径の第1の平均孔径を有し、これは、粗い第1材料が、第1材料が構成成分である複合多孔質材料に構造安定性を付与することを可能にすると考えられる。
【0057】
本発明の複合多孔質材料の特徴
本発明の複合多孔質材料は、多くの利点を提供し、例えば本発明の複合多孔質材料は、高圧の不利益な影響に対して耐性であり、相間剥離耐性であり、蒸気滅菌することができ、より大きな背圧耐性を有し、より良好な清浄及び膜寿命の延長を可能にする。
【0058】
本発明は、上述のように、幾つかの実施形態及び発明の特質又は態様を包含し、単独で、或いは本発明に原理に従って形成される複合多孔質材料と併せて出現し得る。例えば、一実施形態では、本発明は、第1材料の孔の少なくとも幾つかの中に第2材料を伴う、第1の平均径の孔を有する第1材料から形成される焼結された多孔質管状第1材料を含む複合多孔質材料管を包含する。第2材料は、第1の平均径よりも実質的に小さな第2の平均径の孔を有する。第2材料は、管状第1材料の孔壁の幾つかに直接融合されて、第1材料及び第2材料は、同じポリマー若しくは類似するポリマーから、又は同じポリマーファミリーから構成されるか、或いは形成される。
【0059】
別の実施形態では、本発明は、第1材料の孔の少なくとも幾つかの中に第2材料を伴う、第1の平均径の孔を有する第1材料から形成される焼結された多孔質管状第1材料を含む複合多孔質材料管を包含する。第2材料は、第1の平均径よりも実質的に小さな第2の平均径の孔を有する。第2材料は、管状第1材料の孔壁の幾つかに直接融合されて、第1材料及び第2材料のポリマー構成成分は、同じポリマー若しくは類似するポリマーから、又は同じポリマーファミリーから構成されるか、或いは形成される。
【0060】
別の実施形態では、本発明は、第1材料が、単一ポリマーから本質的に成るポリマー構成成分を有する複合多孔質材料を包含する。別の実施形態では、本発明は、第2材料が単一ポリマーから本質的に成るポリマー構成成分を有する複合多孔質材料を包含する。別の実施形態では、本発明は、第1材料が、単一ポリマーから本質的に成るポリマー構成成分
を有し、且つ第2材料が単一ポリマーから本質的に成るポリマー構成成分を有する複合多孔質材料を包含する。
【0061】
別の実施形態では、本発明は、第1材料が、少なくとも2つのポリマー、例えば2つのポリマーから本質的に成るポリマー構成成分を有する複合多孔質材料を包含する。別の実施形態では、本発明は、第2材料が、少なくとも2つのポリマーから本質的に成るポリマー構成成分を有する複合多孔質材料を包含する。
【0062】
別の実施形態では、本発明は、第1材料が、単一ポリマーから本質的に成るポリマー構成成分を有し、且つ第2材料が、少なくとも2つのポリマーから本質的に成るポリマー構成成分を有する複合多孔質材料を包含する。別の実施形態では、本発明は、第1材料が、少なくとも2つのポリマーから本質的に成るポリマー構成成分を有し、且つ第2材料は、単一ポリマーから本質的に成るポリマー構成成分を有する複合多孔質材料を包含する。別の実施形態では、本発明は、第1材料が、少なくとも2つのポリマーから本質的に成るポリマー構成成分を有し、且つ第2材料が、少なくとも2つのポリマーから本質的に成るポリマー構成成分を有する複合多孔質材料を包含する。
【0063】
別の実施形態では、多孔質第2材料は、多孔質第1材料の表面(単数又は複数)上に存在する。特定の実施形態では、多孔質第2材料は、多孔質第1材料の表面(単数又は複数)上の膜である。別の特定の実施形態では、多孔質第1材料の表面(単数又は複数)上の膜を形成する第2材料はまた、第1材料の孔中に、特に第1材料内の少なくとも幾つかの孔壁上に存在する。かかる膜は、かかる複合多孔質材料を通る拡散速度を制限することができ、さらにはかかる複合多孔質材料の分離能力を増強することができる。
【0064】
特定の実施形態では、第1材料及び第2材料の1つ又はそれぞれは、さらなるポリマーから構成される。例えば、第2材料が、PVDFから構成されてもよい一方で、第1材料は、PVDF及び別のポリマーの混合物から構成されてよく、第1材料が、PVDFから構成されてもよいのに対して、第2材料は、PVDF及び別のポリマー(例えば、ポリビニルピロリドン(「PVP」)の混合物から構成されてもよく、或いは第1材料が、PVDF及び別のポリマーの混合から構成されてもよい一方で、第2材料は、PVDF及び別のポリマーの混合物から構成されてもよく、ここで第1材料中に混合される別のポリマーは、第2材料中で混合される別のポリマーと同一であってもよく、又は異なってもよい。
【0065】
本発明の原理に従って形成される特定の材料の構造は、添付の図面を参照して理解することができる。例えば、比較の目的で、図1は、ポリエチレン基材上でPVDFを流延することにより作製されるが、本発明の原理によるポリエチレン基材へ融合されたPVDFを有さない比較用構造の60倍(「60X」又は「X60」)の倍率でのSEM画像を提供する。多孔質PVDF膜は、ポリエチレン基材へ融合されていないことが、この画像から明らかである。
【0066】
図2は、実施例3で以下に記載するように、PVDF第1材料上にPVDF第2材料を形成するようにPVDF第2材料を堆積させることにより作製される本発明の原理に従って形成される例示的な複合多孔質材料の60Xの倍率でのSEM画像を提供する。図2と同じ倍率での図1に比較すると、多孔質第2材料は、第1材料の孔壁に融合されていることが、図2から明らかである。図2はまた、第2材料が、第1材料の表面(例えば、外側表面)上に存在することも示す。第2材料は、約0.1μmの平均孔径を特徴とし、第1材料の周辺領域の平均孔径(約80μm)よりも実質的に小さい。第2材料は、孔壁に隣接する領域における第1材料の孔の中に存在することが、図2からさらに観察され得る。
【0067】
図3、図4及び図5はそれぞれ、実施例3で形成される例示的な複合多孔質材料のSE
M画像を提供する。図3は、17Xの倍率である。図4は、43Xの倍率である。図5は、140Xの倍率である。これらの画像それぞれから明らかであるように、多孔質第2材料は、第1材料の孔壁に融合される。これらの図はまた、例えば第2材料が、第1材料の孔の中に存在することも示す。
【0068】
図6は、実施例3で形成される例示的な複合多孔質材料の250Xの倍率でのSEM画像を提供する。この図は、例えば第2材料が、第1材料の表面の少なくとも一部をコーティングし、第2材料の少なくとも一部が、第1材料に融合され、また第2材料が、第1材料の孔の幾つかの中に存在し、第2材料の一部が、第1材料の孔壁の幾つかに融合されることを示す。
【0069】
図7及び図8はそれぞれ、実施例3で形成される例示的な複合多孔質材料のSEM画像を提供する。図7は、750Xの倍率である。図8は、2,500Xの倍率である。これらの図は、例えば第2材料の少なくとも一部が、第1材料に融合されること示す。
【0070】
図9及び図10はそれぞれ、実施例3で形成される例示的な複合多孔質材料のSEM画像を提供する。図9は、900Xの倍率である。図10は、5,000Xの倍率である。これらの平面画像は、例えば第2材料の孔を示す。図9はまた、例えば第1材料の孔の中の第2材料の孔構造も示す。図10はまた、例えば第1材料の表面上の第2材料の孔構造も示す。
【0071】
本発明の複合多孔質材料を作製する方法
様々な方法を使用して、上述の多孔質第1材料の孔の中に存在し、且つ/又はその表面に接触する第2材料を作製することができる。
【0072】
本発明の別の態様によれば、本発明は、焼結された多孔質第1材料上へ、溶媒及びその溶媒に可溶性の第2材料ポリマーの溶液を堆積させることを含む、複合多孔質材料を作製する方法を包含する。第1材料は、第2材料と同じポリマーであるか、類似するポリマーであるか、又は同じポリマーファミリーであり、或いは第1材料は、上記溶媒に可溶性である。
【0073】
本発明の別の態様によれば、本発明は、焼結された多孔質第1材料上へ、溶媒、その溶媒に可溶性である第2材料及び無機塩の溶液を堆積させることを含む、複合多孔質材料を作製する方法を包含する。第1材料は、第2材料と同じポリマーであるか、類似するポリマーであるか、又は同じポリマーファミリーであり、或いは第1材料は、上記溶媒に可溶性である。
【0074】
一実施形態では、第2材料は、多孔質第1材料上へ、少なくとも1つのポリマー、溶媒、及び任意であるが好ましくは、無機塩の溶液を堆積させること、並びに第1材料の表面上及び/又は孔の中に多孔質第2材料を堆積させるのに十分な条件下で、堆積させた溶液からポリマーを沈殿させることにより形成される。
【0075】
溶媒は、第2材料ポリマー(単数又は複数)がその溶媒に可溶性であるように選択される。溶液中で使用することができる溶媒は、当該技術分野で既知であり、使用する特定のポリマー及び得られる多孔質第2材料の所望の特性に応じて様々であり得る。溶媒の例としては、ジメチルアセトアミド(「DMAc」)、ジメチルスルホキシド(「DMSO」)、ジメチルホルムアミド(「DMF」)、N−メチルピロリドン(「NMP」)、トリエチルホスホネート(「TEP」)、イソプロピルアルコール(「IPA」)、トリエチレングリコール、鉱油及び任意のそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0076】
無機塩は、当該技術分野で既知であり、使用する特定のポリマー及び得られる多孔質第2材料の所望の特性に応じて様々であり得る。無機塩の例としては、塩化リチウム、塩化亜鉛、塩化ナトリウム、塩化カリウム、臭化リチウム、臭化亜鉛、臭化ナトリウム、臭化カリウム及び任意のそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。一実施形態では、無機塩は、塩化リチウム、塩化亜鉛、又は任意のそれらの混合物である。別の実施形態では、無機塩は、塩化リチウムである。
【0077】
第2材料溶液の堆積は、上記溶液を第1材料に接触させる際に、例えば以下の実施例2に記載されるガラス棒のような、スキージーなどの適切な延展/均展デバイスを使用して促進することができる。第2材料溶液の堆積はまた、上記溶液を第1材料に接触させた後、適切な溶液推進器、例えばそれぞれ以下の実施例3及び実施例10に記載される鋼球及びガラス棒のようなスキージーを使用することにより促進することができる。
【0078】
本発明の一態様によれば、溶液推進器は、管状要素の内部へ材料溶液の均一のコーティングを適用するために独特に造形され得る。例えば、溶液推進器は、細長くてもよく、例えば棒状又は円筒状であり得る。特に、溶液推進器の形状は、管状要素に適合する接触表面を包含するように選択され得る。例えば、管状要素の内部表面へ材料溶液を適用するための溶液推進器は、管状要素の円筒状内部に適合する円筒状接触領域を包含し得る。溶液推進器の寸法は、堆積される材料溶液の量及び/又は厚さ及び/又は均一性を制御するように選択され得る。材料溶液の堆積はまた、溶液が適用されるべき要素への材料溶液の接触中又は後に、適切なデバイスを使用して促進することができる。
【0079】
上述の実施形態のいずれかと組み合わせることが可能であるが、上述の実施形態のいずれかに必ずしも存在するとは限らない、ポリマー溶液が管の内部表面へ適用される本発明の別の態様によれば、溶液を延展/均展又はプッシングする代わりに、溶液は、中空第2材料アプリケータ、例えば以下の実施例4で記載する魚雷型アプリケータ(溶液が多孔質管、一実施形態では中空第1材料管、及び別の実施形態では管状基材の内腔を通って移動するに従って、溶液を分配する)により適用することができる。例えば、アプリケータは、内部空洞及び内部空洞からアプリケータの外部への1つ又はそれ以上の通路を有し得る。ポリマー溶液、例えば一実施形態では第2材料溶液及び別の実施形態では膜溶液は、例えば供給管によりアプリケータ内の内部空洞へ供給されて、内部空洞から通路を通って中空アプリケータの外部へ通過させてもよい。したがって、管状要素と管状要素内に位置付けられるアプリケータの相対的な軸方向の移動により、及び溶液をアプリケータへ供給することにより、溶液は、管状要素の内部表面に沿って分配及び適用される。したがって、例えば第2材料溶液の定量分配は、溶液に関する制御された適用条件及び溶液の堆積を提供し、結果として生じる管状要素上への材料の均一性及び/又は平滑性が促進される。さらに、アプリケータの使用により、より少ない溶液を使用することが可能であり、それにより、より経済的な方法を提供する。溶液がアプリケータへ供給される速度及び/又は圧力は、管状要素の内部表面へ適用される溶液の所望の厚さ及び/又は均一性及び/又は平滑性を達成するように選択され得る。
【0080】
一実施形態では、駆動ロッドは、アプリケータに対して移動を付与するように提供される。便宜上、別の実施形態では、駆動ロッドはまた、管状要素の内部表面への適用のためのアプリケータの内部へ溶液を供給する供給管としても機能する。
【0081】
望ましい場合、リザーバは、アプリケータの外側の面に沿って形成されてもよく、アプリケータの中空内部からアプリケータの外部へ伸長する通路(単数又は複数)は、溶液をリザーバへ供給してもよい。例えば、図11の魚雷型アプリケータ中のリザーバ18は、かかるリザーバである。リザーバは、アプリケータの外部で、例えばリザーバ壁13と1
5との間に溶液の供給を保持するように、それにより管状要素の内部表面への溶液の一様な適用を可能にするように設定される。
【0082】
一実施形態では、アプリケータは、管状要素の内部表面への材料溶液の適用を促進するように、且つ管状要素の内部表面上に堆積される材料の量及び/又は厚さ及び/又は均一性を制御するように、造形並びに設定され得る。例えば、アプリケータは、細長くてもよく、例えば形状が棒状又は円筒状であり得る。特に、細長いアプリケータの配向は、細長くない(例えば、球状又は立方体状)アプリケータよりも容易に制御可能である。したがって、細長いアプリケータは、リザーバがアプリケータの外部に沿って提供される場合、細長いアプリケータの容易に維持される配向が、管状要素の内部表面に関してリザーバを容易に配向させるため有益である。
【0083】
一実施形態では、アプリケータは、管状要素への容易な初期挿入及び管状要素におけるアプリケータの配列を可能にするためのテーパ状(例えば、円錐体形状の)初期挿入リーディングエッジを有し得る。別の実施形態では、アプリケータは、溶液の適用を開始するために管状要素への容易な挿入を可能にするテーパ状適用リーディングエッジ(すなわち、溶液の適用中のリーディングエッジ)を有し得る。別の実施形態では、アプリケータは、テーパ状初期挿入リーディングエッジ及びテーパ状適用リーディングエッジを有する。
【0084】
アプリケータの寸法は、管状要素の内部表面へ適用される溶液の所望の厚さ及び/又は均一性及び/又は平滑性を達成するように選択され得る。例えば、アプリケータ、例えば図11における魚雷型アプリケータの半径方向表面接触領域12及び14での外径と、管状要素の内部表面寸法、例えば図11における管状基材26の内径との間の寸法の差は、アプリケータリザーバ中に溶液を保持するように、及び管状要素の内部表面上に堆積される溶液の量及び/又は厚さ及び/又は均一性を同時に制御すると同時に、管状要素の内部表面に対する液圧増加を可能にするように確立される。アプリケータの外径及び管状要素の内径の寸法の差の選択は、溶液の粘性、溶液の表面張力及び管状要素の内部表面の表面エネルギーのような要因により影響を受ける。ある場合では、アプリケータの外径と管状要素の内径との間の寸法の差が小さすぎる場合、管状要素内でのアプリケータの移動の容易性が妨害され得る。別の場合では、アプリケータの外径と管状要素の内径との間の寸法の差が大きすぎる場合、溶液は、リザーバの壁で封入することが不可能な場合があり、及び/又は溶液は、容易に制御できない様式で適用され得る。
【0085】
アプリケータの外部横断面形状は、管状要素の内部横断面形状に適合するように選択され得る。例えば、アプリケータ及び管状要素はそれぞれ、円形、楕円形又は正方形の横断面を有し得る。管状要素の内部横断面に順応するようにアプリケータの横断面を造形する別の有益性は、アプリケータは最初に、一度又は複数回、管状要素の内腔に通過させた後、任意の溶液を導入し得ることである。そうすることにより、管状要素の内部表面の不規則性を低減又は排除することができ、例えば、真空化により、任意に、遊離のくずの除去と共に、バリ取りを行うことができる。
【0086】
一実施形態では、円形横断面を有する管状要素に関して、溶液のより一様の堆積は、特に管状要素の内部表面への溶液の適用中のアプリケータ及び管状要素の相対的な回転により促進され得る。例えば手動により又は速度制御回転装置、例えば管状要素に関しては車軸上の駆動型跳ね上げゴーカートタイヤ(平坦なノーマーキングタイヤ表面を有する)、水平ローラミキサ又は水平に位置付けられる管状要素を支持するのに十分な長さの動力駆動型コンベヤローラを用いて、当該技術分野で既知の任意の方法で、回転させることができる。一実施形態では、一連のローラは、一連の管状要素の同時加工処理を提供するのに使用することができる。本発明の態様では、相対的な回転速度は、少なくとも約10rpm、又は少なくとも約36rpmである。本発明の態様では、相対的な回転速度は、最大
約100rpm又は最大約44rpmである。本発明の態様では、相対的な回転速度は、約10rpm〜約100rpm、又は約36rpm又は約44rpmである。
【0087】
一回又は複数回のアプリケータ及び管状要素の相対的な軸移動は、例えば手動により(例えば、手動クランク及びタイマー制御を伴う直線運動テーブルを用いて)、或いはGato
Corp.(Bay City, MI)から入手可能である調節可能なスピードプーラー、レースキャリッジ又はプログラム可能な論理制御装置により制御される直線作動器を使用して、当該技術分野で既知の任意の方法で行うことができる。本発明の態様では、アプリケータ及び管状要素の相対速度は、少なくとも約20cm/分又は少なくとも約25cm/分である。本発明の態様では、アプリケータ及び管状要素の相対速度は、最大約305cm/分又は最大約165cm/分である。本発明の態様では、アプリケータ及び管状要素の相対速度は、約20cm/分〜約305cm/分、又は約25cm/分〜約165cm/分である。
【0088】
アプリケータへ供給される溶液の圧力は、例えば重力駆動型圧力ヘッド又は定圧出力ポンプを使用して、当該技術分野で既知の任意の方法で調節することができる。本発明の態様では、圧力は、少なくとも約3psi(20,700Pa)又は少なくとも約4psi(27,600Pa)である。本発明の態様では、圧力は、最大約10psi(69,000Pa)又は最大約8psi(55,200Pa)である。本発明の態様では、圧力は、約3psi〜約10psi、又は約4psi〜約8psiである。
【0089】
アプリケータへ供給される溶液の体積流速は、当該技術分野で既知の任意の方法で調節することができる。本発明の態様では、体積流速は、少なくとも約10mL/分又は少なくとも約40mLである。本発明の態様では、体積流速は、最大約200mL/分又は最大約140mL/分である。本発明の態様では、体積流速は、約10mL/分〜約200mL/分、又は約40mL/分〜約140mL/分である。
【0090】
管状要素の内部表面へ溶液を適用する本発明のアプリケータは、管状要素の縦軸が水平方向に(例えば、実施例4を参照)又は垂直方向に(例えば、実施例8を参照)配向される場合に使用することができる。
【0091】
本発明の一態様では、溶媒は第2材料(例えば、一実施形態では膜)及び第1材料(例えば、一実施形態では基材)を溶解するため、多孔質第2材料の少なくとも一部が、多孔質第1材料の表面に融合するように、溶媒は、溶液堆積中に多孔質第1材料の表面を溶解するように、或いは少なくとも軟化するように作用することができると考えられる。別の実施形態では、第1材料及び第2材料(これらは、互いに接触するようになる)は、同じポリマーを含むか、或いは成り、従って溶媒は、各材料の当該ポリマーを溶解又は軟化させることができ、それにより、第1材料及び第2材料のそれらの接触点(単数又は複数)での融合を促進する。別の実施形態では、第1材料及び第2材料(これらは、互いに接触するようになる)は、類似するポリマーを含むか、或いは成り、従って溶媒は、各材料の類似するポリマーを溶解又は軟化させることができ、それにより第1材料及び第2材料のそれらの接触点(単数又は複数)での融合を促進する。別の実施形態では、第1材料及び第2材料(これらは、互いに接触するようになる)は、同じポリマーファミリーのポリマー構成成分を含むか、或いは成り、従って溶媒は、各材料の当該ポリマー構成成分を溶解又は軟化させることができ、それにより第1材料及び第2材料のそれらの接触点(単数又は複数)での融合を促進する。
【0092】
いったん溶液が、例えば上述の方法のいずれかで第1材料上へ堆積されると、得られるそれらの生成物は、第2材料溶液の溶媒と混和性であるが、溶液中に溶解される第2材料のポリマーに関して非溶剤である混和性流体と接触させる(例えば、混和性流体中に浸漬する)ことができる。かかる接触は、多孔質第2材料を生じるのに当該技術分野で既知で
ある。複合多孔質材料の多孔質第2材料は、ポリマー溶液からのポリマー(単数又は複数)の沈殿時に形成される。第2材料の特性は、溶液中のポリマーの量(単数又は複数)及びタイプ、溶媒タイプ、無機塩添加剤(単数又は複数)、コーティング厚さ、浸漬浴組成、並びに浸漬浴温度のようなパラメータを制御することにより変化させることができる。これらの変量により提供される影響は、当該技術分野で既知であり、容易に確定される。
【0093】
水は、多くの場合で好ましい混和性流体であるが、他の流体を使用することができる。例えば、水−アルコール溶媒を使用することができる。混和性流体との接触は、当該技術分野で既知の任意の適切な方法、例えば混和性流体浴中に浸漬することにより実施され得る。一実施形態では、複合多孔質材料は、混和性流体の1つの浴中に浸漬させる。別の実施形態では、複合多孔質材料は、混和性流体(単数又は複数)の連続浴中に浸漬させる。別の実施形態では、連続浴それぞれが、同じ混和性流体を含有する。別の実施形態では、連続浴それぞれが、異なる混和性流体を含有する。
【0094】
任意に、任意の/すべての混和性流体と接触させた後、複合多孔質材料を洗浄することができる。任意に、任意の/すべての混和性流体と接触させた後、複合多孔質材料を乾燥させることができる。任意に、任意の/すべての混和性流体と接触させた後、複合多孔質材料は、洗浄、続いて乾燥させることができる。洗浄は、当該技術分野で既知の任意の適切な液体(例えば、水)を用いて実施され得る。洗浄は、当該技術分野で既知の任意の適切な方法、例えば洗浄液体浴中に複合多孔質材料を浸漬させることにより実施され得る。乾燥は、当該技術分野で既知の任意の適切な方法、例えば約25℃で空気中で複合多孔質材料を乾燥させること、或いは約25℃の温度で若しくは高温でコンベンショナルベルト又は固定ベルトを使用することにより実施され得る。
【0095】
特定の実施形態では、複合多孔質材料は、溶媒(例えば、DMAc又はDMAc及びNMPの容量が50/50の混合物)中に少なくとも約5重量%のポリマー(例えば、PVDF)及び無機塩(例えば、LiCl)を含有する第2材料溶液を、多孔質第1材料上へ堆積させることにより調製される。別の特定の実施形態では、複合多孔質材料は、溶媒(例えば、DMAc又はDMAc及びNMPの容量が50/50の混合物)中に最大約20重量%の濃度のポリマー(例えば、PVDF)及び無機塩(例えば、LiCl)を含有する第2材料溶液を、多孔質第1材料上へ堆積させることにより調製される。別の実施形態では、複合多孔質材料は、溶媒(例えば、DMAc又はDMAc及びNMPの容量が50/50の混合物)中に約5重量%〜約20重量%の濃度のポリマー(例えば、PVDF)及び無機塩(例えば、LiCl)を含有する第2材料溶液を、多孔質第1材料上へ堆積させることにより調製される。このパラグラフの特定の実施形態それぞれにおいて、得られるそれらの生成物は続いて、水を含む混和性流体と接触させる。
【0096】
本発明の複合多孔質材料を使用する方法
本発明の複合多孔質材料は、精密濾過、限外濾過及びナノ濾過のような濾過プロセスを含むがこれらに限定されない様々な用途において使用される。本発明の材料はまた、正常な圧力、すなわち通常限外濾過又はナノ濾過プロセスに関連する圧力よりも高い圧力で作動する精密濾過プロセスでも使用することができる。
【0097】
精密濾過が適切である用途の例としては、埃収集、飲料及び医薬品の冷滅菌、細胞収集、果汁、ビール又はワインの清澄化、廃水処理、油−水分離及び連続発酵が上げられる。限外濾過が適切である用途の例としては、脱塩プラントにおける海水の前処理、海水精製、牛乳からの乳漿の回収及びプロセス水としての再使用のための廃水処理が挙げられる。ナノ濾過が適切である用途の例としては、色素を改質させること、及び牛乳からラクトースを濾過することが挙げられる。
【0098】
本発明の別の態様は、本発明の複合多孔質材料に流体を通すことを含む、流体を濾過する方法を包含する。
【0099】
本発明の別の態様は、本発明の複合多孔質材料に液体を通すことを含む、液体(例えば、水、海水、廃水、飲料)を濾過する方法を包含する。
【0100】
本発明の別の態様は、本発明の複合多孔質材料に気体を通すことを含む、気体(例えば、空気)を濾過する方法を包含する。
【0101】
以下の実施例は、本発明を理解するのを助長するために記載され、本明細書中で記載及び特許請求される本発明を具体的に限定するものと解釈されるべきではない。現在既知であるか、又は後に開発される等価体すべての置き換えを含む本発明のかかる変更物(これは、当業者の範囲内である)、及び系統的論述の変更又は実験的設計の変更は、本明細書中に組み込まれる本発明の範囲内に収まるとみなされ得る。
【実施例】
【0102】
[実施例1:第2材料溶液Iの調製]
本発明の例示的な実施形態により多孔質第1材料上へ第2材料を堆積させる前に、以下のように、2つの別個の化学的溶液である中間溶液A及び中間溶液Bを調製した後、組み合わせて第2材料溶液Iを形成した。
【0103】
中間溶液A
1ガロン(3.8リットル)の高密度ポリエチレン(「HDPE」)ミリングジャー/カーボイへ、塩化リチウム(LiCl)100グラム及びDMAc 2,500グラムを添加した。ダクトテープでカーボイ上へ蓋を固定して、カーボイを20rpmで作動するローラミル上に2時間置いた後、LiClは、完全に溶解されたようであった。カーボイを開けて、PVDF(Atofina Chemicals, Inc.のKYNAR 2800)520グラムを添加した。PVDFは、気泡を回避するためにガラス棒で攪拌したところ、徐々に溶液と混合された。続いて、ダクトテープでカーボイ上へ蓋を固定して、均質な溶液が形成されるようになるまで(約4〜10時間後)、カーボイを20rpmで作動するローラミル上へ再度置いた。中間溶液Aを、色彩(例えば、黄色がかった外観)、気泡及び/又は未溶解PVDFのゲル塊に関して検査した。これらの状態のいずれも明白でなかったため、ダクトテープでカーボイ上へ蓋を固定して、さらなる使用のために恒温室(約25℃で維持される)中にカーボイを置いた。
【0104】
中間溶液B
NMP900グラムを含有する別の1ガロンのHDPEミリングジャー/カーボイへ、PVP(ISP Technology Inc. (Wayne, NJ)から得られるグレードK−90)100グラムを添加した。混合物を、ガラス棒で穏やかに攪拌した。ダクトテープでカーボイ上へ蓋を固定して、均質な中間溶液Bが形成されるようになるまで(約4〜10時間後)、カーボイを20rpmで作動するローラミル上へ置いた。中間溶液Bを、色彩(例えば、黄色がかった外観)、気泡及び/又は未溶解PVPのゲル塊に関して検査した。これらの状態のいずれも明白でなかったため、ダクトテープでカーボイ上へ蓋を固定して、さらなる使用のために恒温室(約25℃で維持される)中にカーボイを置いた。
【0105】
第2材料溶液I
約25℃で、中間溶液Bを含有するカーボイへ中間溶液Aを添加することにより、中間溶液Aを中間溶液Bと組み合わせて、第2材料溶液Iを形成した。ダクトテープでカーボイ上へ中間溶液Bカーボイの蓋を固定して、均質であるような溶液が形成されるまで(約6時間後)、カーボイを20rpmで作動するローラミル上に置いた。カーボイをミルか
ら取り出して、第2材料溶液Iを、色彩及び固体ポリマー粒子に関して検査した。これらの状態のいずれも明白でなかったため、ダクトテープでカーボイ上へ蓋を固定して、さらなる使用のために恒温室(約25℃で維持される)中にカーボイを置いた。
【0106】
[実施例2:平面状の第1材料上への第2材料の適用]
実施例2は、本発明の非限定的な実施形態について記載し、ここでは、第2材料溶液を、第1材料を含む多孔質平面状基材へ適用した。以下に記載する工程はそれぞれ、約25℃の温度で実施した。
【0107】
多孔率約40%及び平均孔径約80μmを有する約0.25インチ(0.64cm)厚の焼結された多孔質PVDF8インチ×8インチ(20.3×20.3cm)の平面状シート(Portec Corporation (Fairburn, GA)から入手)をテーブルの清潔で平坦な平滑な水平ガラス上に置いた。シートの各コーナーを絶縁テープでテーブルの表面へ留めた。0.75インチ(1.9cm)幅の絶縁テープの3層を、シートの各辺越しにテーブルの表面上に置いた。約0.015インチ(0.038cm)のテープの3層の厚さは、第2材料の所望の湿潤厚に相当した。
【0108】
第2材料溶液Iの分取量をカーボイから100mLのガラスビーカーへ注いだ。このビーカーから、第2材料溶液I 20mLを、シートの辺から約2インチ(5.1cm)離れたラインに沿ってシート上へ注いだ。直径2インチ(5.1cm)、長さ8インチ(20.3cm)のガラス棒をスキージーとして使用して、溶液の溶球を均一に広げて、過剰な第2材料溶液をシートから取り除いた。これは、溶球に対してその縦軸平行で、最上部から底部まで徐々に(約30秒かけて)、また下方圧力によりテープの最上部片の外側縁からテープの底部片の外側縁を過ぎるまで確実にシート全体で、棒を引き寄せることにより行われた。過剰な溶液の除去の完了次第、タイマーを開始させた。
【0109】
3分が経過した後、絶縁テープを4つのコーナーすべてで切断して、コーティングされたシートをテーブルから放した。シートは、平坦な位置で及びコーティングされた側を上にして、3分間吊り下げて保ち、続いて、約4インチ(10cm)の水道水を充填した約長さ21インチ×幅12インチ×深さ6インチ(30.5×30.5×15.2cm)のガラストレーに注意深く移した。コーティングされた側を上にして、シートを水浴へ約10秒間にわたって確実に浸漬して、約3分間手で吊り下げて保った。その後、シートを放して、トレーの底部上で約24時間平坦な状態にさせた。
【0110】
トレーからシートを取り出した後、すでに記載したような、ただし、水道水中のグリセリンの5重量%溶液を含有する、別のトレーへシートを30分間置いた。その溶液からシートを取り出した後、シートを24時間乾燥させた。得られた複合多孔質シートは、平均孔径80μmを有する第1材料多孔質基材及び平均孔径約0.1μmを有する第2材料多孔質膜を有していた。寸法7.5インチ×7.5インチ(19.1×19.1cm)の焼結された多孔質PVDFのシートの一部は、第2材料溶液Iを適用する前は、240gの重量であった。上述のように乾燥した後、それらから形成された同じ寸法の複合多孔質シートの重量は、約5g増加していた。
【0111】
[実施例3:垂直に配向された管状第1材料上への第2材料の適用]
実施例3は、本発明の非限定的な実施形態について記載し、ここでは、第2材料を、第1材料を含む多孔質管状基材へ適用した。以下に記載する工程はそれぞれ、約25℃の温度で実施した。
【0112】
Porex Corporationから入手可能であり、焼結されたPVDFから形成される多孔質管を使用した。多孔質管は、長さが36インチ(91.4cm)を示し、内径1インチ(2
.5cm)及び外径1.330インチ(3.4cm)を有していた。
【0113】
多孔質管をビーカーに関して垂直に位置付けて、また管の底部の穴は、溶液を保持するようにキャップをして、PVDFを含み、且つ実施例に記載される第2材料溶液Iを管へ注いだ。15分後、過剰の溶液をビーカーから排出させて、直径が2.5cmのステンレス鋼機械工ゲージボールを、管の内部の過剰な溶液用のスキージーとして作用するように多孔質管の内腔へ下ろした。続いて、内径1.125インチ(2.86cm)のステンレス鋼スライドリングを、管の外側上の過剰な溶液用のスキージーとして作用するように管の外径に沿って手動で滑り下ろした。
【0114】
コーティングされた多孔質管をその縦軸を垂直に保ちながら、約55ガロン(208L)の水道水を含有するドラム様浴へ、管を徐々に浸して(約30秒かけて)、管が浴の底部に触れるまで沈めさせた。
【0115】
浴から管を取り出した後、コーティングされた多孔質管をその縦軸を垂直に保ちながら、水道水中のグリセリンの5重量%溶液を含有する別の浴へ、管を30分間浸した。その浴から管を取り出した後、管を約24時間空気中で乾燥させた。第2材料溶液Iを適用する前は、管は、400gの重量であった。上述のように乾燥した後、重量は、約15g増加していた。
【0116】
得られた複合多孔質管は、平均孔径約80μmを有する第1材料多孔質基材及び平均孔径0.1μmを有する第2材料多孔質膜を有していた。例えば先に論述した図2〜図10から明らかであるように、多孔質第2材料膜は、多孔質第1材料基材の孔の中に存在し、多孔質第2材料は、少なくとも幾つかの多孔質第1材料基材の孔壁へ融合された。
【0117】
[実施例4:魚雷型アプリケータによる水平に配向された管状第1材料上への第2材料の適用]
実施例4は、本発明の非限定的な実施形態について記載し、ここでは、テーパ状又は円錐形リーディングエッジを有するアプリケータ(「魚雷型アプリケータ」)を使用することにより、第2材料を、第1材料を含む多孔質管状基材へ適用した。以下に記載する工程はそれぞれ、約25℃の温度で実施した。
【0118】
魚雷型アプリケータ:図11及び図12に表されるような魚雷型アプリケータ10は、304等級のステンレス鋼から機械加工された。図11に表される魚雷型アプリケータ10は、全長l1 5.08cmを有していた。第2材料溶液が多孔質管状基材の内部表面へ適用されるべきである場合、魚雷型アプリケータ10の最大直径(2.489cm)は、多孔質管状基材26(2.515cm)の内部表面直径により確定された。魚雷型アプリケータ10は、初期挿入リーディングエッジ半径方向表面接触領域12及び適用リーディングエッジ半径方向表面接触領域14を有していた。初期挿入リーティングエッジ半径方向表面接触領域12は、長さl2 1.27cmを有し、適用リーディングエッジ半径方向表面接触領域14は、長さl4 0.635cmを有していた。半径方向表面接触領域12及び14は、それぞれ2.489cmの最大直径d1及びd2を有しており、溶液導入後、以下で論述するように、多孔質管状基材26の内部表面に対する液圧増加及び比較的一様な厚さの第2材料の形成(図11及び図12では図示せず)を可能にした。長さl5 0.635cmを有する45°の円錐体形状のノーズ16は、適用リーディングエッジ半径方向表面接触領域14の近位に存在した。円錐体形状のノーズ16は、多孔質管状基材26への魚雷型アプリケータ10の容易な挿入及び整列を可能にした。長さl3 2.54cmを有するリザーバセクション18は、半径方向表面接触領域12と14との間に位置付けられ、半径方向接触領域12及び14から深さ0.318cm分へこませ、すなわちリザーバセクション18の両端にある壁13及び15は、2.54cm離れており
、それぞれ0.318cmの深さを示す。リザーバセクション18はまた、魚雷型アプリケータ10の中空中心チャンバへ半径方向に開けられた、それぞれ直径が0.318cmの6つの液体送達通路20を有していた。液体送達通路20は、第2材料溶液をリザーバセクション18へ送達するのに使用され、それにより、第2材料適用プロセス中に、多孔質管状基材26の内部表面へその溶液を接触させた。
【0119】
図12に示されるように、初期挿入リーディングエッジ半径方向表面接触領域12の遠位にある円錐体形状のノーズ16の末端は、円錐体形状のノーズ16の平坦な表面24へ穴を開けられた液体進入通路22を含む取付機構を有していた。深さ3.81cmを有する液体進入通路22は、魚雷型アプリケータ10の中空中心チャンバへの進入を提供し、液体送達通路20と液体連通されていた。液体進入通路22は、0.125インチ(0.318cm)の直径の米国規格管用ネジ(「NPT」)を通した管接続を受け入れるように機械加工及びネジ立てられた(図12を参照)。
【0120】
管状第1材料上への第2材料溶液の適用
図11に表され、同様に、使用される液体送達系に接続されるように図13に表される魚雷型アプリケータ10は、多孔質管状第1材料基材の内部表面上への第2材料溶液の適用に、制御液圧、すなわち重力駆動型圧力ヘッドを使用した。溶液の流速は、適用中に計測した。上述の魚雷型アプリケータ10は、第2材料溶液が適用されるべき多孔質管状基材26の長さl7 91.4cmよりも長い長さであるl6 約120cmを有するシームレス304/304Lステンレス鋼組合せ駆動ロッド/供給管28(図13を参照)上へ通した。魚雷型アプリケータ10の遠位にある鋼管28の末端をステンレス鋼ボール弁30(図13では「t形状の」ボール弁として表される)の第1の出口ポートPへ接続された。ボール弁30は、入口ポート32及び第2の出口ポート34を有していた。入口ポート32及び第2の出口ポート34はそれぞれ、内径1.588cmのHDPE配管を受け入れるようにバーブ管フィッテングを備えていた。入口ポート32は、1リットルのHDPE容器36と液体連通しており、当該容器36は、第2材料溶液を含有していた。容器36は、魚雷型アプリケータ10の約4.6メートル上に配備された。この液体送達装置は、実施例1に記載するようなPVDFを含み、且つおよそ5〜6psi(34,500〜41,300Pa)の圧力で約500〜10,000cpsの粘度を有する第2材料溶液Iを、魚雷型アプリケータ10へ送達するのに使用された。
【0121】
魚雷型アプリケータ10は、Porex Corporationから入手され、且つ焼結されたPVDFから形成される多孔質管、すなわち基材26の末端において内腔へ慎重に挿入された。多孔質管状基材の縦軸は、水平に配向された。多孔質管状基材26の長さl7に対する魚雷型アプリケータ10の短い長さl1は、多孔質管状基材の内腔への魚雷型アプリケータの進入を容易にした。
【0122】
続いて、鋼管28を介して、魚雷型アプリケータ10が管状基材26の反対側の末端から現れるまで、魚雷型アプリケータを管状基材26の内腔の全長を貫いて一度通した(図11に表されるように)。このようにして、管状基材26の内部表面は平滑化された。
【0123】
鋼管28を介して、魚雷型アプリケータ10を半径方向表面接触領域14全体が管状基材26の内部に存在する一方で、半径方向表面接触領域12のいずれも管状基材26の内部に存在しないように、管状基材26の内腔へ引き戻した後、体積流速約70mL/分での第2材料溶液の送達を魚雷型アプリケータに対して開始させた。続いて、鋼管28を介して、魚雷型アプリケータ10を、調節可能なスピードプーラーにより約30.5cm/分の速度で一度多孔質管状基材26の内腔に通して引く一方で、同時に、管状基材26を、動力駆動型コンベヤローラにより約40rpmでその縦軸の周囲で回転させた。
【0124】
管状基材の内部への溶液適用が完了した後、すなわち魚雷型アプリケータが管から完全に現れた後、その縦軸が垂直に保たれたコーティングされた多孔質管を、水道水約55ガロン(208L)を含有するドラム様浴へ、徐々に浸し(約30秒かけて)、管が浴の底部に触れるまで沈めさせた。管を約24時間、浴中に維持した。
【0125】
浴から管を取り出した後、コーティングされた多孔質管をその縦軸を垂直に保ちながら、水道水中のグリセリンの5重量%溶液を含有する別の浴へ、管を30分間浸した。その浴から管を取り出した後、管を約24時間空気中で乾燥させた。管は、第2材料溶液Iを適用する前は、400gの重量であった。上述のように乾燥した後、重量は、7g増加していた。
【0126】
得られた複合多孔質管は、平均孔径約80μmを有する第1材料多孔質基材及び平均孔径0.1μmを有する第2材料多孔質膜を有していた。
【0127】
[実施例5:第2材料溶液IIの調製]
第2の溶液は、以下のように調製した。
【0128】
1ガロンのHDPEミリングジャー/カーボイへ、NMP 470g、DMF 322.55グラム及びDMAc 102.5グラムを添加して、溶液を形成した。続いて、気泡を防止するために、溶液をガラス棒で攪拌する一方で、同時にPVDF(KYNAR 2800)105グラムを徐々に添加した。続いて、ダクトテープでカーボイ上へ蓋を固定して、均質な溶液が形成されるようになるまで(約4〜10時間後)、カーボイを20rpmで作動するローラミル上へ置いた。続いて、溶液を約25℃で約16時間静置させて、気泡を除去した。その後、溶液を、色彩(例えば、黄色がかった外観)、気泡及び/又は未溶解PVDFのゲル塊に関して検査した。これらの状態のいずれも明白でなかったため、ダクトテープでカーボイ上へ蓋を固定して、さらなる使用のために恒温室(約25℃で維持される)中にカーボイを置いた。
【0129】
第2材料溶液IIは、実施例4の手順により複合多孔質管を調製する際に第2材料溶液Iの代わりに使用され、同様の満足いく結果を提供した。
【0130】
[実施例6:第2材料溶液IIIの調製]
第3の溶液は、実施例1の溶液Aで使用した手順に従って調製したが、但し、DMAc
2,500グラムの代わりに、NMP 865グラムを使用し、またLiCl 30グラム及びPVDF(KYNAR 2800)105グラムを使用した。第2材料溶液IIIを、色彩(例えば、黄色がかった外観)、気泡及び/又は未溶解PVDFのゲル塊に関して検査した。これらの状態のいずれも明白でなかったため、ダクトテープでカーボイ上へ蓋を固定して、さらなる使用のために恒温室(約25℃で維持される)中にカーボイを置いた。
【0131】
第2材料溶液IIIは、実施例4の手順により複合多孔質管を調製する際に第2材料溶液Iの代わりに使用され、同様の満足いく結果を提供した。
【0132】
[実施例7:第2材料溶液IVの調製]
第4の溶液は、実施例1の溶液Aで使用した手順に従って調製したが、但し、DMAc
2,500グラムの代わりに、NMP 216グラム及びDMAc 648グラムを使用し、またLiCl 30グラム及びPVDF(KYNAR 2800)105グラムを使用した。第2材料溶液IVを、色彩(例えば、黄色がかった外観)、気泡及び/又は未溶解PVDFのゲル塊に関して検査した。これらの状態のいずれも明白でなかったため、ダクトテープでカーボイ上へ蓋を固定して、さらなる使用のために恒温室(約25℃で維
持される)中にカーボイを置いた。
【0133】
第2材料溶液IVは、実施例4の手順により複合多孔質管を調製する際に第2材料溶液Iの代わりに使用され、同様の満足いく結果を提供した。
【0134】
[実施例8:魚雷型アプリケータによる、垂直に配向された管状第1材料上への第2材料の適用]
適用プロセスは、実施例4に記載する手順に類似した手順で実施されるが、但し多孔質管状第1材料基材の縦軸は、水平ではなく垂直に配向される。魚雷型アプリケータを、管状基材の内腔の上端へ挿入し、魚雷型アプリケータが多孔質管状基材の下端から現れるまで、管状基材の全長を貫いて通す。魚雷型アプリケータへの第2材料溶液の送達が開始された後、アプリケータを、多孔質管状基材の内腔に通して上向きへ徐々に引っ張る。上向きに引っ張る間中、魚雷型アプリケータの中空中心チャンバ内の第2材料溶液の圧力は、必要に応じてほぼ一定の状態であるように調節される。
【0135】
[実施例9:水平に配向された管状第1材料上への第2材料の適用]
実施例9は、本発明の非限定的な実施形態について記載し、ここでは、第2材料溶液を、第1材料を含む多孔質管状基材へ適用した。以下に記載する工程はそれぞれ、約25℃の温度で実施した。
【0136】
長さ91.4cm並びに内径2.54cm及び外径3.81cmを有する、Porex Corporationから入手可能であり、焼結されたPVDFから形成される多孔質管を一端で栓をした。管状基材は、栓をした末端が下向きに向き、その縦軸が垂直に配向さるようにして回転させた。管状基材が最上部に対しておよそ中間まで充填されるまで、PVDFを含み且つ実施例1に記載される第2材料溶液I約80gを、最上部から管状基材の内腔へ添加した。続いて、多孔質管状基材の最上部開口部に栓をした。
【0137】
得られた栓をした管状基材を、円筒状溶媒収納固定具へ置いた。この固定具は、固定具の内部表面と管状基材の外側表面との間にOリング様ガスケットを挿入した後に管状基材をぴったりと保持するように設計された、内径約5.08cmを有する円筒状中空中心を有する。続いて、円筒状固定具を水平ローラミキサ上へ置いて、約40rpmで約3分間回転させて、第2材料溶液を多孔質管状基材の内部表面上へ広げさせた。回転を停止して、末端栓を取り外して、残留している第2材料溶液を管から排出させた。直径が2.50cmで65gの重量を有する鋼球を管の一端へ挿入した。続いて、管をわずかに持ち上げて、ボールを管の内腔内に「転がり」落として、残留している第2材料溶液を押し伸ばして、均一な仕上げを提供した。
【0138】
コーティングされた多孔質管をその縦軸を垂直に保ちながら、水道水約55ガロン(208L)を含有するドラム様浴へ、徐々に浸し(約30秒かけて)、管が浴の底部に触れるまで沈めさせた。管を約24時間、浴中に維持した。
【0139】
浴から管を取り出した後、コーティングされた多孔質管をその縦軸を垂直に保ちながら、水道水中のグリセリンの5重量%溶液を含有する別の浴へ、管を30分間浸した。その浴から管を取り出した後、管を約24時間空気中で乾燥させた。管は、第2材料溶液Iを適用する前は、400gの重量であった。上述のように乾燥した後、重量は、10g増加していた。
【0140】
得られた複合多孔質管は、平均孔径約80μmを有する第1材料多孔質基材及び平均孔径0.1μmを有する第2材料多孔質膜を有していた。
【0141】
[実施例10:水平に配向された管状第1材料上への第2材料の適用]
適用プロセスは、実施例9に記載する手順に類似した手順で実施されるが、但し鋼球は、管の縦軸に対して平行にその縦軸を保ちながら、コーティングされた多孔質基材の内腔へ挿入されるガラス棒(長さ107cm、直径2.413cm)で置き換えられる。ガラス棒を管の内腔内に「すべり」落として、残留している第2材料溶液を押し伸ばして、均一な仕上げを提供した。
【0142】
本発明は、本発明の幾つかの態様の説明として意図される実施例において開示される特定の実施形態により範囲が制限されるべきではなく、機能的に等価である任意の実施形態は、本発明の範囲内である。実際に、本発明の様々な変更は、本明細書中に示され、且つ記載されるもののほかに、当業者には明らかとなり得、併記の特許請求の範囲内に収まると意図される。
【0143】
多数の参照文献が引用されており、それらの開示は全体として、参照により本明細書に援用される。
【図面の簡単な説明】
【0144】
【図1】膜が基材へ結合されていない、多孔質ポリエチレン基材上へ流延させた比較用の多孔質PVDF膜の横断面の60倍走査型電子顕微鏡(「SEM」)写真を示す。
【図2】例示的な多孔質管状PVDF第1材料の孔中に多孔質PVDF第2材料を含有する、本発明の原理に従って形成される例示的な複合多孔質材料の横断面の60X SEM写真(図1と同じ倍率)を示す。
【図3】図2の例示的な複合多孔質材料の横断面の17X SEM写真を示す。
【図4】図2の例示的な複合多孔質材料の内径面付近の横断面の43X SEM写真を示す。
【図5】孔中の多孔質PVDF第2材料を説明するために図4から拡大した、図2の例示的な複合多孔質材料の横断面の140X SEM写真を示す。
【図6】図2の例示的な複合多孔質材料の内径面付近の横断面の250X SEM写真を示す。
【図7】孔中の多孔質PVDF第2材料を説明するために拡大した、図2の例示的な複合多孔質材料の横断面の750X SEM写真を示す。
【図8】孔中の多孔質PVDF第2材料を説明するために図7から拡大した、図2の例示的な複合多孔質材料の横断面の2,500X SEM写真を示す。
【図9】第1材料の孔中の第2材料の表面を説明するために拡大した、図2の例示的な複合多孔質材料の平面図の900X SEM写真を示す。
【図10】第2材料の表面を説明するために拡大した、図2の例示的な複合多孔質材料の平面図の5,000X SEM写真を示す。
【図11】管状基材内に膜材料を適用するための例示的な魚雷型アプリケータを示す。
【図12】図11の魚雷型アプリケータの末端を示す。
【図13】例示的な液体送達系に接続された図11の魚雷型アプリケータを示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の平均径の孔を有する第1材料、及び
前記第1の平均径よりも実質的に小さい第2の平均径の孔を有する第2材料
を含む複合多孔質材料であって、
前記第1材料及び前記第2材料はそれぞれ、同じ溶媒に可溶性のポリマーを含み、前記第2材料の少なくとも一部は、前記第1材料に融合されている複合多孔質材料。
【請求項2】
前記第1材料及び前記第2材料はそれぞれ、同じポリマーを含むか、前記第1材料及び前記第2材料はそれぞれ、類似するポリマーを含むか、若しくは前記第1材料及び前記第2材料はそれぞれ、同じポリマーファミリーのポリマーを含むか、又はそれらの任意の組合せである、請求項1に記載の複合多孔質材料。
【請求項3】
前記ポリマーは、フルオロポリマー、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアクリロニトリル、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル及びアクリロニトリルのコポリマー、又はそれらの任意の組合せから選択される、請求項2に記載の複合多孔質材料。
【請求項4】
前記第1材料及び前記第2材料はフルオロポリマーである、請求項1に記載の複合多孔質材料。
【請求項5】
前記第1材料及び前記第2材料は、ポリフッ化ビニリデンから形成される、請求項4に記載の複合多孔質材料。
【請求項6】
前記第1材料は、単一ポリマーから本質的に成るポリマー構成成分を有する、請求項1に記載の複合多孔質材料。
【請求項7】
前記第2材料は、単一ポリマーから本質的に成るポリマー構成成分を有する、請求項6に記載の複合多孔質材料。
【請求項8】
前記第1材料は、少なくとも2つのポリマーから本質的に成るポリマー構成成分を有する、請求項1に記載の複合多孔質材料。
【請求項9】
前記第2材料は、少なくとも2つのポリマーから本質的に成るポリマー構成成分を有する、請求項1に記載の複合多孔質材料。
【請求項10】
第1の平均径の孔を有する第1材料、及び
第2の平均径の孔を有する第2材料
を含む複合多孔質材料であって、
前記第2材料は、前記第1材料の少なくとも幾つかの孔の中に存在し、前記第2材料の少なくとも一部は、前記第1材料の孔壁の幾つかに直接融合されている複合多孔質材料。
【請求項11】
前記第1材料及び前記第2材料はそれぞれ、同じポリマーを含むか、前記第1材料及び前記第2材料はそれぞれ、類似するポリマーを含むか、若しくは前記第1材料及び前記第2材料はそれぞれ、同じポリマーファミリーのポリマーを含むか、又はそれらの任意の組合せである、請求項10に記載の複合多孔質材料。
【請求項12】
前記ポリマーは、フルオロポリマー、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアクリロニトリル、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン
、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル及びアクリロニトリルのコポリマー、又はそれらの任意の組合せから選択される、請求項11に記載の複合多孔質材料。
【請求項13】
前記第1材料及び前記第2材料はフルオロポリマーである、請求項10に記載の複合多孔質材料。
【請求項14】
前記第1材料及び前記第2材料は、ポリフッ化ビニリデンから形成される、請求項13に記載の複合多孔質材料。
【請求項15】
前記第2材料は、前記第1材料の、約1%より多い孔の中に存在する、請求項10に記載の複合多孔質材料。
【請求項16】
前記第2材料は、前記第1材料の、約25%よりも多い孔の中に存在する、請求項10に記載の複合多孔質材料。
【請求項17】
前記第2材料は、前記第1材料の、約90%よりも多い孔の中に存在する、請求項10に記載の複合多孔質材料。
【請求項18】
前記第1材料は、共に焼結された実質的に球状の粒子から成る、請求項10に記載の複合多孔質材料。
【請求項19】
前記第2材料は、精密濾過膜、限外濾過膜又はナノ濾過膜である、請求項10に記載の複合多孔質材料。
【請求項20】
前記第1材料は、単一ポリマーから本質的に成るポリマー構成成分を有する、請求項10に記載の複合多孔質材料。
【請求項21】
前記第2材料は、単一ポリマーから本質的に成るポリマー構成成分を有する、請求項20に記載の複合多孔質材料。
【請求項22】
前記第1材料は、少なくとも2つのポリマーから本質的に成るポリマー構成成分を有する、請求項10に記載の複合多孔質材料。
【請求項23】
前記第2材料は、少なくとも2つのポリマーから本質的に成るポリマー構成成分を有する、請求項10に記載の複合多孔質材料。
【請求項24】
焼結された多孔質の第1材料に融合された多孔質の第2材料から本質的に成る複合多孔質材料。
【請求項25】
前記第1材料は、第1の平均径の孔を有し、前記第2材料は、前記第1の平均径よりも実質的に小さい第2の平均径の孔を有する、請求項24に記載の複合多孔質材料。
【請求項26】
前記第1材料及び前記第2材料はそれぞれ、同じポリマーを含むか、前記第1材料及び前記第2材料はそれぞれ、類似するポリマーを含むか、前記第1材料及び前記第2材料はそれぞれ、同じポリマーファミリーのポリマーを含むか、前記第1材料及び前記第2材料は、共通の溶媒に可溶性であるか、又はそれらの任意の組合せである、請求項25に記載の複合多孔質材料。
【請求項27】
前記ポリマーは、フルオロポリマー、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポ
リエステル、ポリアクリロニトリル、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル及びアクリロニトリルのコポリマー、又はそれらの任意の組合せから選択される、請求項26に記載の複合多孔質材料。
【請求項28】
前記第1材料及び前記第2材料はフルオロポリマーである、請求項24に記載の複合多孔質材料。
【請求項29】
前記第1材料及び前記第2材料は、ポリフッ化ビニリデンから形成される、請求項28に記載の複合多孔質材料。
【請求項30】
前記第1材料は、シート若しくは管、又は他の成形形状である、請求項24に記載の複合多孔質材料。
【請求項31】
前記第1材料は、約250μm厚よりも厚い、請求項24に記載の複合多孔質材料。
【請求項32】
前記第2材料は、約125μm厚よりも薄い、請求項31に記載の複合多孔質材料。
【請求項33】
前記第1材料は、単一ポリマーから本質的に成るポリマー構成成分を有する、請求項24に記載の複合多孔質材料。
【請求項34】
前記第2材料は、単一ポリマーから本質的に成るポリマー構成成分を有する、請求項33に記載の複合多孔質材料。
【請求項35】
前記第1材料は、少なくとも2つのポリマーから本質的に成るポリマー構成成分を有する、請求項24に記載の複合多孔質材料。
【請求項36】
前記第2材料は、少なくとも2つのポリマーから本質的に成るポリマー構成成分を有する、請求項24に記載の複合多孔質材料。
【請求項37】
前記第1材料は、水中ペレット化により調製される焼結粒子から形成される、請求項24に記載の複合多孔質材料。
【請求項38】
前記第1材料は、低温粉砕により調製される焼結粒子から形成される、請求項24に記載の複合多孔孔質材料。
【請求項39】
請求項1に記載の複合多孔質材料に流体を通すことを含む、流体を濾過する方法。
【請求項40】
請求項10に記載の複合多孔質材料に流体を通すことを含む、流体を濾過する方法。
【請求項41】
請求項24に記載の複合多孔質材料に流体を通すことを含む、流体を濾過する方法。
【請求項42】
溶媒及び該溶媒に溶解されている第2材料を含む溶液を、多孔質の第1材料と直接接触させること
を含む方法であり、
前記第1材料は、該溶媒に可溶性であり、前記第1材料及び前記第2材料が、得られた複合多孔質材料において融合されている、複合多孔質材料を作製する方法。
【請求項43】
前記第1材料及び前記第2材料はそれぞれ、同じポリマーを含むか、前記第1材料及び前記第2材料はそれぞれ、類似するポリマーを含むか、若しくは前記第2材料及び前記第
2材料はそれぞれ、同じポリマーファミリーのポリマーを含むか、又はそれらの任意の組合せである、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記ポリマーは、フルオロポリマー、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアクリロニトリル、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル及びアクリロニトリルのコポリマー、又はそれらの任意の組合せから選択される、請求項43に記載の複合多孔質材料。
【請求項45】
前記第1材料及び前記第2材料はフルオロポリマーである、請求項42に記載の複合多孔質材料。
【請求項46】
前記第1材料及び前記第2材料は、ポリフッ化ビニリデンから形成される、請求項45に記載の複合多孔質材料。
【請求項47】
水平に位置付けられた管状要素に、アプリケータを縦方向に通し、該管状要素の内部表面へ材料の溶液を適用することを含む、管状要素の内部表面を材料でコーティングする方法。
【請求項48】
前記アプリケータは、細長く、前記管状要素の内部表面と接触するように設計された少なくとも1つの外部接触領域を有し、
前記方法はさらに、前記管状要素の内部表面に適用される前記材料の均一性、量若しくは厚さの少なくとも1つ又はそれ以上を制御するように前記アプリケータの前記外部接触領域の外径を選択することを含む、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記アプリケータは、テーパ状リーディングエッジを有し、
前記方法はさらに、該テーパ状リーディングエッジにより、前記管状要素内の前記アプリケータの移動を導くことを含む、請求項47に記載の方法。
【請求項50】
前記アプリケータが前記管状要素に通されたときに、前記管状要素をその縦軸の周囲を回転させることをさらに含む、請求項47に記載の方法。
【請求項51】
中空内部と、該中空内部からアプリケータの外部まで伸びる少なくとも1つの通路とを有するアプリケータを用いて、管状要素を材料でコーティングする方法であって、
前記アプリケータを、前記管状要素の内腔へ挿入すること、
溶液中の材料を、前記アプリケータの前記中空内部へ適用すること、
前記材料溶液を、前記アプリケータにおける前記少なくとも1つの通路を通して、前記アプリケータの外部まで通すこと、及び
前記アプリケータ及び前記管状要素の相対的な移動を引き起こし、前記管状要素の内部表面に縦方向に沿って材料溶液を適用すること
を含む、前記方法。
【請求項52】
前記アプリケータ及び前記管状要素の相対的な移動を引き起こしながら、前記材料溶液を前記アプリケータの前記中空内部へ適用することをさらに含む、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記アプリケータ及び前記管状要素の相対的な移動を引き起こしながら、前記管状要素を回転させることをさらに含む、請求項51に記載の方法。
【請求項54】
材料溶液を前記アプリケータの前記中空内部へ適用する前に、前記アプリケータ及び前
記管状要素の相対的な移動を引き起こし、前記管状要素の内部表面を滑らかにすることをさらに含む、請求項51に記載の方法。
【請求項55】
前記アプリケータは、テーパ状端を有し、前記方法はさらに、該テーパ状端から、前記アプリケータを前記管状要素に通して移動させることを含む、請求項51に記載の方法。
【請求項56】
前記アプリケータの外側の面は、リザーバを有し、前記方法はさらに、前記材料溶液の少なくも幾らかを、前記管状要素の前記内部表面の少なくとも一部へ適用する前に、前記材料溶液を前記アプリケータリザーバ中にプールさせることを含む、請求項51に記載の方法。
【請求項57】
前記材料溶液を前記管状要素の前記内部表面へ適用する間に、前記管状要素を水平に位置付けることをさらに含む、請求項51に記載の方法。
【請求項58】
前記材料溶液を前記管状要素の前記内部表面へ適用する間に、前記管状要素を垂直に位置付けることをさらに含む、請求項51に記載の方法。
【請求項59】
アプリケータが挿入される管状要素の内部表面に順応するように造形された少なくとも1つの外部接触領域、及び
前記アプリケータに対して移動性を付与するための要素に連結するように設計された端を含む、管状要素の内部表面へ材料を適用するための細長いアプリケータ。
【請求項60】
第1の外部接触領域、及び
前記第1の外部接触領域から軸方向に間隔を空けた第2の外部接触領域
を含み、
中空内部は前記アプリケータ内に画定され、
材料は、前記アプリケータに対して移動性を付与するための要素を介して前記中空内部へ供給され、
リザーバは、前記第1の外部接触領域と前記第2の外部接触領域との間に画定され、
前記リザーバへ材料を供給するための通路が、前記中空内部から該リザーバへ伸びており、
前記第1の外部接触領域、前記第2の外部接触領域及び前記リザーバは、前記管状要素の内部表面に適用される材料の均一性、量若しくは厚さの少なくとも1つ又はそれ以上を制御するように造形及び設計される、請求項59に記載の細長いアプリケータ。
【請求項1】
第1の平均径の孔を有する第1材料、及び
前記第1の平均径よりも実質的に小さい第2の平均径の孔を有する第2材料
を含む複合多孔質材料であって、
前記第1材料及び前記第2材料はそれぞれ、同じ溶媒に可溶性のポリマーを含み、前記第2材料の少なくとも一部は、前記第1材料に融合されている複合多孔質材料。
【請求項2】
前記第1材料及び前記第2材料はそれぞれ、同じポリマーを含むか、前記第1材料及び前記第2材料はそれぞれ、類似するポリマーを含むか、若しくは前記第1材料及び前記第2材料はそれぞれ、同じポリマーファミリーのポリマーを含むか、又はそれらの任意の組合せである、請求項1に記載の複合多孔質材料。
【請求項3】
前記ポリマーは、フルオロポリマー、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアクリロニトリル、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル及びアクリロニトリルのコポリマー、又はそれらの任意の組合せから選択される、請求項2に記載の複合多孔質材料。
【請求項4】
前記第1材料及び前記第2材料はフルオロポリマーである、請求項1に記載の複合多孔質材料。
【請求項5】
前記第1材料及び前記第2材料は、ポリフッ化ビニリデンから形成される、請求項4に記載の複合多孔質材料。
【請求項6】
前記第1材料は、単一ポリマーから本質的に成るポリマー構成成分を有する、請求項1に記載の複合多孔質材料。
【請求項7】
前記第2材料は、単一ポリマーから本質的に成るポリマー構成成分を有する、請求項6に記載の複合多孔質材料。
【請求項8】
前記第1材料は、少なくとも2つのポリマーから本質的に成るポリマー構成成分を有する、請求項1に記載の複合多孔質材料。
【請求項9】
前記第2材料は、少なくとも2つのポリマーから本質的に成るポリマー構成成分を有する、請求項1に記載の複合多孔質材料。
【請求項10】
第1の平均径の孔を有する第1材料、及び
第2の平均径の孔を有する第2材料
を含む複合多孔質材料であって、
前記第2材料は、前記第1材料の少なくとも幾つかの孔の中に存在し、前記第2材料の少なくとも一部は、前記第1材料の孔壁の幾つかに直接融合されている複合多孔質材料。
【請求項11】
前記第1材料及び前記第2材料はそれぞれ、同じポリマーを含むか、前記第1材料及び前記第2材料はそれぞれ、類似するポリマーを含むか、若しくは前記第1材料及び前記第2材料はそれぞれ、同じポリマーファミリーのポリマーを含むか、又はそれらの任意の組合せである、請求項10に記載の複合多孔質材料。
【請求項12】
前記ポリマーは、フルオロポリマー、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアクリロニトリル、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン
、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル及びアクリロニトリルのコポリマー、又はそれらの任意の組合せから選択される、請求項11に記載の複合多孔質材料。
【請求項13】
前記第1材料及び前記第2材料はフルオロポリマーである、請求項10に記載の複合多孔質材料。
【請求項14】
前記第1材料及び前記第2材料は、ポリフッ化ビニリデンから形成される、請求項13に記載の複合多孔質材料。
【請求項15】
前記第2材料は、前記第1材料の、約1%より多い孔の中に存在する、請求項10に記載の複合多孔質材料。
【請求項16】
前記第2材料は、前記第1材料の、約25%よりも多い孔の中に存在する、請求項10に記載の複合多孔質材料。
【請求項17】
前記第2材料は、前記第1材料の、約90%よりも多い孔の中に存在する、請求項10に記載の複合多孔質材料。
【請求項18】
前記第1材料は、共に焼結された実質的に球状の粒子から成る、請求項10に記載の複合多孔質材料。
【請求項19】
前記第2材料は、精密濾過膜、限外濾過膜又はナノ濾過膜である、請求項10に記載の複合多孔質材料。
【請求項20】
前記第1材料は、単一ポリマーから本質的に成るポリマー構成成分を有する、請求項10に記載の複合多孔質材料。
【請求項21】
前記第2材料は、単一ポリマーから本質的に成るポリマー構成成分を有する、請求項20に記載の複合多孔質材料。
【請求項22】
前記第1材料は、少なくとも2つのポリマーから本質的に成るポリマー構成成分を有する、請求項10に記載の複合多孔質材料。
【請求項23】
前記第2材料は、少なくとも2つのポリマーから本質的に成るポリマー構成成分を有する、請求項10に記載の複合多孔質材料。
【請求項24】
焼結された多孔質の第1材料に融合された多孔質の第2材料から本質的に成る複合多孔質材料。
【請求項25】
前記第1材料は、第1の平均径の孔を有し、前記第2材料は、前記第1の平均径よりも実質的に小さい第2の平均径の孔を有する、請求項24に記載の複合多孔質材料。
【請求項26】
前記第1材料及び前記第2材料はそれぞれ、同じポリマーを含むか、前記第1材料及び前記第2材料はそれぞれ、類似するポリマーを含むか、前記第1材料及び前記第2材料はそれぞれ、同じポリマーファミリーのポリマーを含むか、前記第1材料及び前記第2材料は、共通の溶媒に可溶性であるか、又はそれらの任意の組合せである、請求項25に記載の複合多孔質材料。
【請求項27】
前記ポリマーは、フルオロポリマー、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポ
リエステル、ポリアクリロニトリル、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル及びアクリロニトリルのコポリマー、又はそれらの任意の組合せから選択される、請求項26に記載の複合多孔質材料。
【請求項28】
前記第1材料及び前記第2材料はフルオロポリマーである、請求項24に記載の複合多孔質材料。
【請求項29】
前記第1材料及び前記第2材料は、ポリフッ化ビニリデンから形成される、請求項28に記載の複合多孔質材料。
【請求項30】
前記第1材料は、シート若しくは管、又は他の成形形状である、請求項24に記載の複合多孔質材料。
【請求項31】
前記第1材料は、約250μm厚よりも厚い、請求項24に記載の複合多孔質材料。
【請求項32】
前記第2材料は、約125μm厚よりも薄い、請求項31に記載の複合多孔質材料。
【請求項33】
前記第1材料は、単一ポリマーから本質的に成るポリマー構成成分を有する、請求項24に記載の複合多孔質材料。
【請求項34】
前記第2材料は、単一ポリマーから本質的に成るポリマー構成成分を有する、請求項33に記載の複合多孔質材料。
【請求項35】
前記第1材料は、少なくとも2つのポリマーから本質的に成るポリマー構成成分を有する、請求項24に記載の複合多孔質材料。
【請求項36】
前記第2材料は、少なくとも2つのポリマーから本質的に成るポリマー構成成分を有する、請求項24に記載の複合多孔質材料。
【請求項37】
前記第1材料は、水中ペレット化により調製される焼結粒子から形成される、請求項24に記載の複合多孔質材料。
【請求項38】
前記第1材料は、低温粉砕により調製される焼結粒子から形成される、請求項24に記載の複合多孔孔質材料。
【請求項39】
請求項1に記載の複合多孔質材料に流体を通すことを含む、流体を濾過する方法。
【請求項40】
請求項10に記載の複合多孔質材料に流体を通すことを含む、流体を濾過する方法。
【請求項41】
請求項24に記載の複合多孔質材料に流体を通すことを含む、流体を濾過する方法。
【請求項42】
溶媒及び該溶媒に溶解されている第2材料を含む溶液を、多孔質の第1材料と直接接触させること
を含む方法であり、
前記第1材料は、該溶媒に可溶性であり、前記第1材料及び前記第2材料が、得られた複合多孔質材料において融合されている、複合多孔質材料を作製する方法。
【請求項43】
前記第1材料及び前記第2材料はそれぞれ、同じポリマーを含むか、前記第1材料及び前記第2材料はそれぞれ、類似するポリマーを含むか、若しくは前記第2材料及び前記第
2材料はそれぞれ、同じポリマーファミリーのポリマーを含むか、又はそれらの任意の組合せである、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記ポリマーは、フルオロポリマー、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアクリロニトリル、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル及びアクリロニトリルのコポリマー、又はそれらの任意の組合せから選択される、請求項43に記載の複合多孔質材料。
【請求項45】
前記第1材料及び前記第2材料はフルオロポリマーである、請求項42に記載の複合多孔質材料。
【請求項46】
前記第1材料及び前記第2材料は、ポリフッ化ビニリデンから形成される、請求項45に記載の複合多孔質材料。
【請求項47】
水平に位置付けられた管状要素に、アプリケータを縦方向に通し、該管状要素の内部表面へ材料の溶液を適用することを含む、管状要素の内部表面を材料でコーティングする方法。
【請求項48】
前記アプリケータは、細長く、前記管状要素の内部表面と接触するように設計された少なくとも1つの外部接触領域を有し、
前記方法はさらに、前記管状要素の内部表面に適用される前記材料の均一性、量若しくは厚さの少なくとも1つ又はそれ以上を制御するように前記アプリケータの前記外部接触領域の外径を選択することを含む、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記アプリケータは、テーパ状リーディングエッジを有し、
前記方法はさらに、該テーパ状リーディングエッジにより、前記管状要素内の前記アプリケータの移動を導くことを含む、請求項47に記載の方法。
【請求項50】
前記アプリケータが前記管状要素に通されたときに、前記管状要素をその縦軸の周囲を回転させることをさらに含む、請求項47に記載の方法。
【請求項51】
中空内部と、該中空内部からアプリケータの外部まで伸びる少なくとも1つの通路とを有するアプリケータを用いて、管状要素を材料でコーティングする方法であって、
前記アプリケータを、前記管状要素の内腔へ挿入すること、
溶液中の材料を、前記アプリケータの前記中空内部へ適用すること、
前記材料溶液を、前記アプリケータにおける前記少なくとも1つの通路を通して、前記アプリケータの外部まで通すこと、及び
前記アプリケータ及び前記管状要素の相対的な移動を引き起こし、前記管状要素の内部表面に縦方向に沿って材料溶液を適用すること
を含む、前記方法。
【請求項52】
前記アプリケータ及び前記管状要素の相対的な移動を引き起こしながら、前記材料溶液を前記アプリケータの前記中空内部へ適用することをさらに含む、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記アプリケータ及び前記管状要素の相対的な移動を引き起こしながら、前記管状要素を回転させることをさらに含む、請求項51に記載の方法。
【請求項54】
材料溶液を前記アプリケータの前記中空内部へ適用する前に、前記アプリケータ及び前
記管状要素の相対的な移動を引き起こし、前記管状要素の内部表面を滑らかにすることをさらに含む、請求項51に記載の方法。
【請求項55】
前記アプリケータは、テーパ状端を有し、前記方法はさらに、該テーパ状端から、前記アプリケータを前記管状要素に通して移動させることを含む、請求項51に記載の方法。
【請求項56】
前記アプリケータの外側の面は、リザーバを有し、前記方法はさらに、前記材料溶液の少なくも幾らかを、前記管状要素の前記内部表面の少なくとも一部へ適用する前に、前記材料溶液を前記アプリケータリザーバ中にプールさせることを含む、請求項51に記載の方法。
【請求項57】
前記材料溶液を前記管状要素の前記内部表面へ適用する間に、前記管状要素を水平に位置付けることをさらに含む、請求項51に記載の方法。
【請求項58】
前記材料溶液を前記管状要素の前記内部表面へ適用する間に、前記管状要素を垂直に位置付けることをさらに含む、請求項51に記載の方法。
【請求項59】
アプリケータが挿入される管状要素の内部表面に順応するように造形された少なくとも1つの外部接触領域、及び
前記アプリケータに対して移動性を付与するための要素に連結するように設計された端を含む、管状要素の内部表面へ材料を適用するための細長いアプリケータ。
【請求項60】
第1の外部接触領域、及び
前記第1の外部接触領域から軸方向に間隔を空けた第2の外部接触領域
を含み、
中空内部は前記アプリケータ内に画定され、
材料は、前記アプリケータに対して移動性を付与するための要素を介して前記中空内部へ供給され、
リザーバは、前記第1の外部接触領域と前記第2の外部接触領域との間に画定され、
前記リザーバへ材料を供給するための通路が、前記中空内部から該リザーバへ伸びており、
前記第1の外部接触領域、前記第2の外部接触領域及び前記リザーバは、前記管状要素の内部表面に適用される材料の均一性、量若しくは厚さの少なくとも1つ又はそれ以上を制御するように造形及び設計される、請求項59に記載の細長いアプリケータ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
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【図5】
【図6】
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【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公表番号】特表2007−510801(P2007−510801A)
【公表日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−539690(P2006−539690)
【出願日】平成16年11月4日(2004.11.4)
【国際出願番号】PCT/US2004/037086
【国際公開番号】WO2005/047857
【国際公開日】平成17年5月26日(2005.5.26)
【出願人】(505440686)ポーレックス コーポレイション (9)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年11月4日(2004.11.4)
【国際出願番号】PCT/US2004/037086
【国際公開番号】WO2005/047857
【国際公開日】平成17年5月26日(2005.5.26)
【出願人】(505440686)ポーレックス コーポレイション (9)
【Fターム(参考)】
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