説明

複合材料の分散、特に、燃料電池用複合材料の分散

本発明は、触媒(CAT)と結合されたカーボン構造材料(MSC)を有する触媒複合体の調製に関する。本発明は、カーボン構造材料(MSC)を含む第1の溶媒(SOL1)の溶液と、触媒(CAT)を含む第2の溶媒(SOL2)の溶液とを混合する工程と、結果として得られた混合物をカーボン構造材料上に上記触媒が沈殿するまで、攪拌(AGM)する工程とを含む。1つの態様によると、上記触媒および上記カーボン構造材料は、上記第1および第2の各溶媒の混合溶媒に対して溶解できない。上記得られた複合体は、濾過後に、燃料電池における電極用の材料として使用され得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池分野、および、より厳密には、燃料電池のアクティブ要素に関し、さらに、その調製方法に関する。特に、本発明は、触媒と結合されたカーボン構造用材料を含む複合材料を調製するための方法、この方法で得られる材料、および、それら材料の燃料電池における用途に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池の複合材料の調製には、2つの各方法が一般的に用いられる。これらの各方法は、カーボン要素の分散方法により区別される。
【0003】
カーボン要素が、支持部材にデポジット(堆積)される場合、触媒要素を導入するために様々な方法が用いられる。この支持部材は、導電性を有していれば、電極として機能できる。そして、触媒前駆物質を電気化学的に還元することにより、金属ナノ粒子を形成できる。
【0004】
また、カーボン要素が付与された支持部材は、化学蒸着体積法(CVD)、または、真空蒸着、さらにまたは、陰極スパッタリングのいずれかによって、触媒をデポジットするために用いることができる。
【0005】
(液体媒体への分散)
カーボン要素が液体媒体に分散される場合、触媒要素は、様々な方法で導入され得る。最も一般的な方法は、液体媒体に分散されたナノ構造のカーボン体を、金属ナノ粒子の前駆物質の溶液と接触させるように配置する方法である。上記配置の次には、触媒要素を形成するために、化学的処理(還元)が行われる(特に、非特許文献1の刊行物に記載された技術)。
【0006】
上記方法ほど使われてはいない別の方法は、得られた(ナノ粒子状の)触媒要素を、カーボン要素が分散されたものと同じ溶媒に導入する工程を含む。この方法による一例が、非特許文献2の出版物に報告されている。カルボン酸機能を有するチオール分子に覆われた金ナノ粒子をカーボンナノチューブと結合することが提案されている。この方法は、カーボンナノチューブの表面にカルボキシル酸機能を形成するために、硝酸中でカーボンナノチューブを処理する工程を含む。これにより、ナノ粒子との相互作用が可能になる。上記実験において、このように前処理されたカーボンナノチューブはヘキサン中に分散され、その後、同じ媒体にナノ粒子が溶解される。
【0007】
得られた触媒ナノ粒子の第2の使用例は、非特許文献3の出版物に記載されている。「受け取った状態にて用いられる」カーボンナノチューブは、トルエン中に分散され、白金ナノ粒子は、表面にトリフェニルホスフィン分子を有する。上記文献は、ナノチューブが分散されたものと同じ溶媒(トルエン)におけるナノ粒子の溶解性の重要性を強調している。また、ナノ粒子を覆う分子の芳香環が、複合体の製造において、独特な役目を果たすことが記載されている。
【0008】
さらに、上記文献は、メタノールの酸化に対する複合物の触媒作用に関する試験について記載している。これらのサイクリック・ボルタンメトリーテストは、カーボンナノチューブ上に存在するナノ粒子から有機コーティングを取り除き、ナノ粒子の局所的凝集、および、ナノ粒子の平均サイズの拡大をおこす熱処理によって進められる。白金ナノ粒子に対するカーボンナノチューブの質量比は、少なくとも3.1%である。
【0009】
一度、カーボネート要素/触媒要素の複合体が調製されると、それらの複合体は、電気化学的試験、サイクリック・ボルタンメトリー、あるいは、燃料電池における試験のいずれかにより、触媒作用を試験するために、様々な方法で用いられる。この複合物が、液体媒体に分散されたカーボン要素から調製されていた場合、例えば、ナフィオン(Nafion(登録商標))のような両親媒性重合体を添加したのち、この分散液からインクを調製することが、従来から可能である。
【0010】
幾つかの方法では、濾過を用いる。特に、カーボン要素としてカーボンナノチューブを用いるものには濾過が用いられる。特許文献1には、「カーボンナノチューブ/触媒」複合体の製造に続いて、内部でナノチューブの方向が少なくとも局所的に合わせられている複合体のデポジットを形成するために、これらの「カーボンナノチューブ/触媒」複合体をナイロンフィルタ上にて濾過をする方法が記載されている。フィルタ上のデポジット物は、その後、第2電極とナフィオン膜を用いて、加熱プレスされる。それから、ナイロンフィルタはアセンブリから除去される。これらの膜/電極アセンブリにおいては、白金の最低負荷量は、1平方センチメートルあたり0.1mgの白金である。
【0011】
この種の方法の別の例が、特許文献2に記載されている。この複合体は、溶液中に分散されている白金系触媒の前躯体を、カーボンナノチューブ上に含浸させた後、還元することによって調製される。それから、得られた複合体全体は、ろ取され、ナフィオン膜に組み合わされる。このように調製された電極の白金の最低密度は、3.4μg/cm2である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】国際特許出願公開第2006/099593号公報(2006年9月21日公開)
【特許文献2】米国特許出願公開第2004/0197638号公報(2004年10月7日公開)
【特許文献3】国際特許出願公開第2004/000727号公報(2003年12月31日公開)
【特許文献4】国際特許出願公開第2005/021154号公報(2005年10月3日公開)
【特許文献5】欧州特許出願公開第1663487号公報(2006年6月7日公開)
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】Carmo et al., J. Power Sources 142 : 169-176 (2005)
【非特許文献2】L., W. Wu et al., Langmuir 20 : 6019-6025 (2004)
【非特許文献3】Mu et al., J. Phys. Chem. B109 : 22212-22216 (2005)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
これらの組み合わせにおいて、導入された触媒の量を把握し、同等の電池性能で上記触媒の量をできる限り小さく保証することが必要である。電極に関する先行技術で言及される白金の最低密度は、特許文献2によると、3.5μg/cm2であると想定される。この場合、用いられる方法は、未反応の白金前躯体について言及されるときに触れられる洗浄工程と、白金収率が最大にできない燃料電池の膜に複合体を移転させる工程とを含む。
【0015】
実際、白金は電池の全製造原価のうちの大きな割合を占める貴金属であるから、燃料電池の性能を維持する(あるいは、さらに高める)一方、その使用量をできる限り小さくしなければならない。
【0016】
さらに、カーボン支持部材上での白金のデポジット収率は、可能な限り1に近くなることが求められている。しかし、従来技術では、上記収率は、可能な限り1に近くにはなっていない。特に、一方での複合体の合成と、さらに、他方での電池電極への上記複合体の固定との間において、上記収率は最適なものにはならない。
【0017】
本発明は、このような状況を改善するものである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は、まず、触媒と結合されたカーボン構造材料を含む触媒複合体を調製する方法に関するものである。
【0019】
上記発明の方法は、
・カーボン構造材料を含む第1の溶媒の溶液と、上記触媒を含む第2の溶媒の溶液との混合物を調製する工程と、
・カーボン構造材料上に上記触媒が沈殿するまで、上記得られた混合物を攪拌する工程と、を含む。
【0020】
特に、上記触媒および上記カーボン構造材料は、上記第1および第2の各溶媒の混合溶媒に対して不溶性である。
【0021】
よって、本発明の方法は、第1の溶媒におけるカーボン構造材料の分散液への、触媒を含む第2の溶媒の溶液の添加から触媒複合体を調製するのに適している。上記触媒は、少なくとも、最終的に得られる混合物に対して不溶性である。上記カーボン構造材料が上記各溶媒の混合溶媒において不溶性であることが望ましいのは明らかである。
【0022】
上記方法は、発明者の知識に対して独創的な方法であって、燃料電池に利用できる電極の製造の目的、および/または、他の従来の電気化学的用途の目的で、カーボン要素と触媒要素とを結合するのために効果的である。
【0023】
(定義)
上記定義におけるターム「触媒複合体」は、狭義に捉えられてはならない。事実、上記複合体の各要素は、必ずしも触媒作用を有しない。触媒作用は、複合体全体としての性質である。一般的には、上記複合体は、化学反応の標準のギブスエネルギーにおける変化総量を変えることなく、1つ以上の化学反応の速度を速める。
【0024】
理想的には、このような複合体は、永久にその性質を維持すべきものである。しかし、そのような物体は、実際的には考えられず、これらの複合体の作用は、特に外気汚染のため、経時的に弱まることが、本発明の領域においては認識されている。特定の反応のための、または、特定の反応に対する複合体の特異性や作用は、用いられる触媒の種類に基づく。
【0025】
さらに、本発明の状況において、「カーボン構造材料」は、特に、燃料電池に通常使われる材料に対応する。このような材料は、ある意味、その上に触媒がデポジットされるように構造化しているといえる。一般的に、このような材料は、粒子の集合の形態をしている。この粒子の最小寸法が5nmと10μmとの間にあり、その最大寸法が5mm未満で、一般的に1μm以上であると有利である。
【0026】
カーボン構造材料の様々な形態のうち、特に、カーボンナノチューブ、カーボンブラック、アセチレンブラック、ランプブラック、あるいは、高分子化合物のカーボンによる、合成糸、あるいは、合成繊維から得られるカーボン繊維、さらにまたは、これらの形態のうちの少なくとも2つを混合したものからの選択が可能である。例えば、繊維とナノチューブとの混合物は、二重の空隙の利点を有することが可能である。カーボンナノチューブは、一般的には熱分解により得られたもの、そして、特には、特許文献3に記載される方法により得られたものが好ましい。
【0027】
本発明の特定の実施形態によると、上記材料は、複数の形態を有する粒子の集合体であってもよい。そして、上記材料は、ナノチューブと繊維の混合物のように、特に、2つのものからなっていてもよい。一般的に、このような材料は、1/1000と1/1の間の比率のナノチューブを有する。さらに、この比率が1/1000と1/10の間の比率にあると有利である。
【0028】
本発明の状況において、「触媒」とは、通常、酸化還元触媒に対応するものであり、特に、燃料電池において、酸素還元において用いられるものに対応するものである。これらの酸化還元触媒は、一般的には、金属や金属酸化物の粒子のような無機粒子からなる固形化合物、あるいは、特に無機コアと有機クラウンとからなる有機金属の粒子を形成するための、有機化合物と上記粒子の組み合わせの粒子からなる、固形化合物である。
【0029】
一般的には、構造材料の粒子が、例えば、長さなどの少なくとも1つの寸法に関して、触媒粒子よりも、有利に大きくなるように、選択された触媒粒子の大きさは、構造材料の大きさよりも小さい。通常、上記触媒粒子は、ナノメータサイズのものである。触媒粒子の最大寸法は、カーボン構造材料の最小寸法の略20%を超えないことが好ましい。
【0030】
上記金属は、しばしば貴金属およびその合金、特に、プラチノイドおよびプラチノイド合金より選択される。プラチノイドは、白金、イリジウム、パラジウム、ルテニウム、および、オスミウムの群に対応する。限定されないが、上記群の中では、白金が好ましい。プラチノイド合金は、すくなくとも1つのプラチノイドを含む。上記金属は、オスミリジウム(オスミウムとイリジウム)のような天然合金であってもよいし、あるいは、白金と鉄、白金とコバルト、さらにまたは、白金とニッケルの人工合金であってもよい。
【0031】
触媒を形成する、組み合わされる有機分子は、無機粒子の表面において錯体を形成するために、選択されることが有利である。上記実施される錯体化は、程度が強くても弱くてもよい。これによって、共有結合あるいはイオン結合によって、弱く、あるいは、強く無機粒子に結合される有機分子を用いることが可能になる。
【0032】
限定されないが、よって、上記触媒は、有機コーティングを有する金属粒子(さらに好ましくは、ナノ粒子)からなるものでもよい。有機コーティングを有する金属粒子は、例えば、特許文献4に記載された粒子であってもよい。
【0033】
上記複合体において、複数の各触媒を用いることが可能であるのは、明らかである。
【0034】
本発明の状況において用いることができる触媒のさらに詳しい概要については、以下の詳細を示す各実施例を参照にすることが有効であろう。
【0035】
上記溶媒に関する1つの条件は、上記触媒が、上記2つの各溶媒の最終の混合溶媒に対して不溶性であるということである。
【0036】
以下に記載される実施の形態においては、触媒は、カーボン構造材料の第1の溶媒においても、既に不溶性である。
【0037】
よって、以下の議論においては、上記「第1の溶媒」は、その中で触媒が不溶性となる溶媒に対応するものである。溶解度は、飽和溶液の分析的構成として、特定の溶媒における特定の溶質の比の関数として、定義される。この溶解度は、特に、モル濃度で表現されてよい。特定濃度の化合物を含む溶液は、その濃度が、溶媒における化合物の溶解度と等しくなった場合に、飽和したと考えられる。よって、溶解度は、有限、あるいは、無限大であってよい。溶媒に対する化合物の溶解度が無限大の場合、上記化合物は、関連する上記溶媒中に対し何れの比率ででも溶解できる。
【0038】
通常、化合物種は、その溶解度が溶媒に対して10-9mol/L以下の場合、上記溶媒に対して不溶性であると考えられる。
【0039】
所定の溶媒における触媒の溶解度を見積もるために、UV可視分光分析により、粒子の溶液濃度を測定すること、あるいは、裸眼によって粒子の沈殿を観察することが可能である。
【0040】
「第1の溶媒」としてのイソプロパノールを用いた試験により、満足な結果が得られた。一般的に、「第1の溶媒」として、イソプロパノールを含む、水酸基を有する溶媒の群を用いることができ、同様に、メタノール、エタノール、エチレングリコールのようなグリコール、または、これらの溶媒の混合液を用いることができる。
【0041】
「第2の溶媒」には、第1の溶媒と同じ、あるいは、異なるものを選択できる。第2の溶媒が上記第1の溶媒と異なる場合、上記用いられる比率において上記溶媒の混合液は、その中において上記触媒が不溶性となる混合液となる。しかし、限定的でない実施の形態において、第1の溶媒および第2の溶媒は互いに異なるものであることが好ましい。
【0042】
「第2の溶媒」として用いることができる溶媒のほとんどは、特に、ジメチルスルホキシド、ジクロロメタン、クロロホルム、および/または、これらの溶媒の混合液のような、有機溶媒である。
【0043】
なお、水を第1の溶媒、および、第2の溶媒の少なくとも一方として用いることもできる。一般的に、溶媒の組(「第1」および「第2」の各溶媒)は、特定のコーティング(被膜)を有する触媒ナノ粒子に対して設定されることが有利である。
【0044】
例えば、幾つかのナノ粒子は、塩基性媒体の水に対して不溶性であり、上記媒体が酸性になると沈殿する。従って、本発明の状況においては、酸性にpHが調整された水に構造材料を分散する一方、ナノ粒子が塩基性媒体の水に添加されることが可能となる。明らかに、2つの各媒体の混合溶媒においてナノ粒子が不溶性となるpHとなるよう、媒体のpHが選択されている。それゆえ、構造材料の塩基性媒体への分散液を用いることで、上記分散液中において上記触媒を溶解し、上記分散液の混合液のpHを徐々に酸性化することにより、上記カーボン構造材料と上記触媒との制御された組み合わせが可能となる。
【0045】
(略比率の各例)
カーボン構造材料と触媒の濃度は、意図される用途によってきまる。一般的に、上記第1の溶媒におけるカーボン構造材料の濃度は、通常、1mg/Lと10g/Lとの間にある。この濃度は、例えば、略20mg/Lのように、100mg/Lより低いことが好ましい。
【0046】
上記第2の溶媒における触媒の濃度は、10-9mol/Lと10-4mol/Lとの間であることが好ましい。あるいは、第2の溶媒における触媒の濃度は、1mg/Lと10g/Lとの間にあり、さらに、0.1g/Lと2g/Lとの間にあることが好ましい。
【0047】
触媒溶液の容積は、カーボン材料(特に、カーボン構造材料がナノチューブである場合)の表面にナノ粒子を沈殿させることを促進するために、カーボン構造材料の分散液の容積よりも小さいことが好ましい。上記粒子は、上記第1の溶媒において、不溶性のままであることが好ましい。通常、容積比は、1対5より小さく、略1対25であることが好ましい。
【0048】
(溶液と混合液の調製)
上記各溶液は、予め調製しておいてもよい。上記各溶液は、それぞれ均質であることが有利である。
【0049】
上記各溶液の各要素が、その容積全体で実質的に同じとなるように、上記カーボン構造材料、および/または、上記触媒は、それぞれ略均一に溶媒に分配されることが好ましい。均一な分散液を得るために、回収前にこれら分散液について機械的な攪拌を施すことが好ましい。溶媒においてカーボン構造材料が均一な分散液を作るため、上記カーボン構造材料と上記触媒との複合化を早めるため、そして、最終的には、上記カーボン構造材料上の上記触媒の均一な分布を促すため、上記混合液について機械的に攪拌されることが好ましい。
【0050】
よって、上記溶液は、機械的な攪拌により、そして、任意的な超音波処理によって、得ることができる。特に、カーボンナノチューブの形態の構造材料を有する溶液の超音波処理は、単なる攪拌では十分ではなかった整列したカーボンナノチューブの集合体を分離するのに役立つため、有利である。さらに、この処理は、ナノチューブを分断し、その元の大きさを縮小する効果がある。得られたナノチューブの平均的サイズは、分散処理の時間によって決まる。
【0051】
その後、上記各分散液は、機械的な攪拌により均質化される。
【0052】
よって、溶媒中に、上記カーボン構造材料が、有利となるように分散されていることが観察される。この結果、得られる溶液は、以下で「分散液」と呼ばれる。また、同様に、構造材料の分散液と触媒溶液との混合液の結果として得られる溶液も、分散液に対応している。
【0053】
第1の実施の形態では、上記混合物は、上記カーボン構造材料を含む分散液を上記触媒を含む溶液に対して加えることにより調製される。
【0054】
以下の実施の各形態の例において記載されるように、好ましい第2の実施の形態は、むしろ、上記カーボン構造材料を含む分散液に対して、上記触媒を含む溶液を添加することに対応している。この添加は、例えば、略5μg/Lから500μg/Lの濃度に対して、通常1mL/分の速さに制御して、直接的に、あるいは、1滴ずつ行うことができる。
【0055】
(混合液の処理)
また、上記溶液の混合物は、マグネット式の攪拌機のような、何れの種類の攪拌機によって提供される攪拌を受けることが有利である。
【0056】
上記触媒の上記カーボン構造材料へのデポジットが実質完了するまで、上記攪拌を続けることが勧められる。上記デポジットが実質完了しているかどうかを確認するために、攪拌を停止してから、上清を観察することが可能である。上記上清の光吸収は、通常、初期混合液の光吸収と触媒を含まない溶液の光吸収との中間にある。よって、この上清の光吸収は、これらの光吸収と比較できる。よって、上記上清の吸収率が触媒を含まない溶液の吸収率に近い場合(例えば、300nmに近い紫外線波長である場合)は、上記デポジットが実質的に完了していると言える。
【0057】
実際には、上記混合物中の上清の吸収率が、例えば、攪拌前の混合物の吸収率の値の10%よりも低い場合、上記混合物の機械的攪拌の終了を決定できる。初期濃度が高い場合、単に裸眼で上清の様子を確認することも、特に触媒を含まない溶液との比較により、デポジットの判断を助ける。
【0058】
(任意的添加)
本発明の特定の実施形態によると、1つ以上の界面活性剤が少なくとも1つの溶液、あるいは、混合物に導入することができる。界面活性剤は、親油性部分(非極性部分)と親水性部分(極性部分)とを含む分子である。使用可能な界面活性剤のうち、特に以下のものを挙げることができる。
(i)親水性部分がマイナス電気を帯びた陰イオン性界面活性剤
(ii)親水性部分がプラス電気を帯びた陽イオン性界面活性剤
(iii)1単位および逆符号の型の電荷を有する中性化合物である双イオン性界面活性剤
(iv)アミノ酸のような、界面活性剤が中に配置される媒体に応じて、酸性として、あるいは、塩基性としての両方に作用する化合物(これらの化合物は、両性イオンの性質を有していてもよい)である両性界面活性剤
(v)窒素や酸素のようなヘテロ原子を含む、アルコール、エーテル、エステル、あるいは、アミドのような非帯電の機能基により、特に親水性の、界面活性物質の性質が与えられている、中性(非イオン性の)界面活性剤(これらの機能の低親水性濃度により、非イオン性の界面活性剤化合物は、通常多官能性である。)
フィラーを含む界面活性剤を用いる場合、例えば、5個から22個の炭素原子、より好ましくは、5個から14個の炭素原子を含む炭素長鎖のような、幾つかのフィラーをこれらの界面活性剤が含んでいてもよいことは明らかである。それらは特に、脂肪族鎖であってよい。
【0059】
好ましい実施の形態においては、少なくともナフィオン(C7HF135S.C24の分子式を有するテトラフルオロエチレン硫酸の共重合体)が、界面活性剤として用いられる。
【0060】
(複合体を分離するための混合液の処理)
以下に詳細に記載される本発明により得られる利点の一つによると、上記のようにして得られた混合液は、数ヶ月の間、液体の状態で、その性質を維持することができる。
【0061】
しかし、上記カーボン構造材料と結合された触媒を含む複合体を、後に分離するために、上記発明による方法は、さらに、上記複合体から溶媒を除去する追加工程を有していてもよい。
【0062】
この除去は、特に蒸発によって実行され得る。減圧下でこの作業を行うことが勧められる。この目的のために、例えば、ロータリー・エバポレータを用いることができる。通常、作業条件は、上記混合液に用いられている触媒の種類によってかわる。
【0063】
また、上記複合体は、有益な支持部材上で上記複合体を濾過、あるいは、この支持部材上に上記複合体を噴霧することにより分離され得る。上記支持部材は、大きな比表面積を有していることが好ましい。上記支持部材は、一般的には、多孔性支持部材であり、特に、繊維、紙、カーボンフェルトのような、流体拡散層の導電性を有する多孔性支持部材、あるいは、この種の他の支持部材である。
【0064】
このようにして、3つの電極セル(図1)、あるいは、燃料電池において、従来の電気化学装置で評価することができる触媒作用を有する電極を得ることができる。図1を参照すると、このような装置は、従来、溶解酸素を含むことができる酸性電解液BELに浸された、・基準電極REF、・動作電極ELE(例えば、本発明を実施することにより得られる複合体のサンプルを含む)、および、・対向電極CELEを有する。
【0065】
上記のようにして得られた電極の触媒作用は、触媒粒子上に存在する可能性がある有機クラウンを除去するための化学処理、あるいは、熱処理により、向上させることができる。これらの処理は、上記カーボン構造材料上の触媒の表面分布について全く変更しない。
【0066】
(本発明の別の様態)
また、本発明は、上に記載される方法により得ることのできる複合体および複合材料にも関連する。また、本発明は、上記発明の方法によって得られる複合材料を含む、例えば、燃料電池の電極といった、電気化学的用途のための電極にも関連するものである。通常、本発明の状況における電極は、例えば、略0.1μg/cm2以上の、従来技術に比べて、相対的に濃度が薄くてもよい白金フィラーを含んでいてもよい。
【0067】
任意に電極の電気化学的作用を調整することができる結果として、電極上に同じ表面密度の触媒を得ることが可能であるが、一方で、異なる容量密度を得ることもできる。これは、電極上で、単位面積あたりの白金量が、以下の2つの各パラメータの制御により選択できるためである。各パラメータは、一方では、支持部材上にデポジットされる、懸濁液における複合体の総容量、他方では、触媒要素に対するカーボン要素の質量比である。
【0068】
上記用いられる触媒が、特許文献4に記載された粒子を含む場合、上記発明を実施することにより得られる電極は、後処理を実施する必要なく作用する。しかし、電流および酸化還元電位に関する性能は、上記カーボン構造材料上にデポジットするナノ粒子の大きさ、または、分布を全く変更しない、従来の熱処理、あるいは、化学処理によりさらに高められることができる。
【0069】
(本発明による改善)
上記カーボン材料と触媒との組み合わせは、0.8と1との間の収率でなされる。この結果は、カーボン材料を分散するための溶媒を用いることによって得られる。本発明の状況において、この溶媒において上記粒子は、不溶性である。
【0070】
白金/カーボン質量比(Pt/C比率をXで表記する)は広い範囲で制御され、容易に調整される。この比率Xの最大値は、上記カーボン要素の比表面積によって決まる。よって、以下の実施の形態の実施例に示されるように、この比率Xの最低値は、低く0.01程度である。
【0071】
得られた複合体は、液体媒体中で長期間安定している。そして、数ヶ月(通常6ヶ月以上)の期間、電気化学的作用を保持することができる。
【0072】
1平方センチメートルあたりほんの10分の1マイクログラム(例えば、0.33μg/cm2)の白金フィラーを含む電極を調製することができる。その場合でも、白金によるその電極の電気化学的作用は観測可能である。
【0073】
複合材料の液体分散液は、一般的な濾過収率の90%から100%で、単に濾過、あるいは、噴霧によって、多孔性支持部材(例えば、繊維、紙、または、カーボンフェルトのような、燃料電池の拡散層支持部材)上にデポジットされる。
【0074】
1平方センチメートルあたり略10マイクログラムという、非常に低濃度のカーボンナノチューブフィラーを有している電極が、触媒作用を示す。
【図面の簡単な説明】
【0075】
本発明の他の特徴および利点は、以下の添付の図を参照にして、以下の詳細な記載の検討から明らかになるであろう。
【図1】動作電極ELEが本発明の複合体を含む、従来の「3電極」の電気化学装置を示す概略断面図である。
【図2】本発明の複合体の調製に含まれる各工程を模式的に示す断面図である。
【図3】有機コーティングを有する白金ナノ粒子の各例をそれぞれ示す模式図である。
【図4】Pt−1白金ナノ粒子/カーボンナノチューブの複合物のTEM画像を示す平面図である。
【図5】56μg/cm2の純白金理論最大含有量を有する電極を形成するために、後にろ過される、質量比4/5のPt−2白金ナノ粒子/カーボンナノチューブの複合体のTEM画像を示す平面図である。
【図6a】ろ過後の図4の複合物のSEM画像を示す平面図である。
【図6b】図6aにおけるSEMで観察された複合体のEDXのグラフである。
【図7】58μg/cm2の純白金理論最大含有量を有する電極を形成するために、後にろ過される、質量比2/3のPt−1白金ナノ粒子/カーボンナノチューブの複合体のTEM画像を示す平面図である。
【図8】58μg/cm2の純白金理論最大含有量を有する電極を形成するために、後にろ過される、質量比1/1のPt−1白金ナノ粒子/カーボンナノチューブの複合体のTEM画像を示す平面図である。
【図9】85μg/cm2の純白金理論最大含有量を有する電極を形成するために、後にろ過される、質量比3/2のPt−1白金ナノ粒子/カーボンナノチューブの複合体のTEM画像を示す図である。
【図10a】29μg/cm2の純白金理論最大含有量を有する電極を形成するために、後にろ過される、質量比2/5のPt−1白金ナノ粒子/カーボンナノチューブの複合体のTEM画像を示す平面図である。
【図10b】29μg/cm2の純白金理論最大含有量を有する電極を形成するために、後にろ過される、質量比2/5のPt−1白金ナノ粒子/カーボンナノチューブの複合体のTEM画像を示す平面図である。
【図11】67μg/cm2の純白金理論最大含有量を有する電極を形成するために、後にろ過される、超音波タンクを用いることによる、よりラージスケールでの、質量比1/1のPt−1白金ナノ粒子/カーボンナノチューブの複合体のTEM画像を示す平面図である。
【図12】73μg/cm2の純白金理論最大含有量を有する径がより大きな電極を調製するために、後に、よりラージな装置にてろ過される、超音波タンクを用いることによって、よりラージスケールでの、質量比1/1のPt−1白金ナノ粒子/カーボンナノチューブの複合体のTEM画像を示す平面図である。
【図13】6.7μg/cm2の純白金最大含有量を有する電極を調製するために、後にろ過される、50μg/mLのナノ粒子を含む溶液からの、質量比1/10のPt−1白金ナノ粒子/カーボンナノチューブの複合物のTEM画像を示す平面図である。
【図14a】純白金理論最大含有量が0.66μg/cm2である質量比1/100の複合体から電極を調製するために、後にろ過される、10μg/mLのナノ粒子を含む溶液からの、質量比1/50のPt−1白金ナノ粒子/カーボンナノチューブの複合体のTEM画像を示す平面図である。
【図14b】純白金理論最大含有量が0.66μg/cm2である質量比1/100の複合体から電極を調製するために、後にろ過される、5μg/mLのナノ粒子を含む溶液からの、質量比1/100のPt−1白金ナノ粒子/カーボンナノチューブの複合体のTEM画像を示す平面図である。
【図15】66μg/cm2の純白金理論最大含有量を有する電極を調製するために、後にろ過される、500μg/mLのナノ粒子を含む溶液からの質量比1/1のPt−0白金ナノ粒子/カーボンナノチューブの複合体のTEM画像を示す平面図である。
【図16】110μg/cm2の純白金理論最大含有量を有する電極を調製するために、後にろ過される、500μg/mLのナノ粒子を含む溶液からの質量比5/4のPt−1白金ナノ粒子/カーボンブラックの複合体のTEM画像を示す平面図である。
【図17】実施例7における系列の水性酸素の還元の電気化学的応答のボルタモグラム(実線)を、酸素を含まない溶液中における同じ試料の応答のボルタモグラム(点線)と比較するグラフである。
【図18】実施例7における系列(白金比率1/1−実線)、実施例9における系列(白金比率1/10−一点鎖線)および実施例8における系列(白金比率1/100−破線)の各ボルタモグラムを比較するグラフである。
【図19】過酸化水素による化学処理無の実施例7における系列(実線)、30%過酸化水素を用いた化学処理を20分実施した実施例7における同系列(一点鎖線)および30%過酸化水素を用いた化学処理を30分実施した実施例7における同系列(破線)の各ボルタモグラムを比較するグラフである。
【図20】熱処理無の実施例7における系列(実線)と減圧下200度の熱処理を1時間実施した実施例7における同系列(破線)の各ボルタモグラムを比較するグラフである。
【図21】20mg/Lのナノチューブを含む分散液100μLから得られる、略0.65μg/cm2のフィラー(実線曲線)と2mg/Lのナノチューブを含む分散液1mLから得られる略0.65μg/cm2のフィラー(破線曲線)との2つの等価な各フィラーの各ボルタモグラムを比較するグラフである。
【図22】特に白金密度0.33μg/cm2の同じ系列より取り出された2つの試料を含む各低白金フィラー(破線と一点鎖線)と2倍の白金、つまり、白金密度0.65μg/cm2を含む低白金フィラー(実線曲線)との各ボルタモグラムを比較するグラフである。
【図23】カーボンブラックを用いて得られる複合体を含む電極(以下の実施例11に記載)で測定されたボルタモグラムを示すグラフである。
【図24】カーボン繊維を用いて得られる複合体を含む電極(以下の実施例12に記載)で測定されたボルタモグラムを示すグラフである。
【図25】略9μg/cm2の純白金理論含有量を有する電極を調製するために、後にろ過される、カーボン繊維とカーボンナノチューブの混合物に対するPt−0ナノ粒子の複合体(質量比60/1)の走査型電子顕微鏡で得られた画像を示す図である。
【図26】酸素の還元に関わる別の実施形態の例(以下の実施例13aに記載)で調製された電極の電気化学的作用を示すボルタモグラムを示すグラフである。
【図27】酸素の還元に関わる別の実施形態の例(以下の実施例13bに記載)で調製された電極の電気化学的作用を示すボルタモグラムを示すグラフである。
【図28】酸素の還元に関わる別の実施形態の例(以下の実施例13cに記載)で調製された電極の電気化学的作用を示すボルタモグラムを示すグラフである。
【図29】酸素の還元に関わる別の実施形態の例(以下の実施例14に記載)で調製された電極の電気化学的作用を示すボルタモグラムを示すグラフである。
【図30】酸素の還元に関わる別の実施形態の例(以下の実施例15に記載)で調製された電極の電気化学的作用を示すボルタモグラムを示すグラフである。
【図31】酸素の還元に関わる別の実施形態の例(以下の実施例16に記載)で調製された電極の電気化学的作用を示すボルタモグラムを示すグラフである。
【図32】Pt−4粒子の化学式を示す図である。
【図33】酸素の還元に関わる別の実施形態の例(以下の実施例17に記載)で調製された電極の電気化学的作用を示すボルタモグラムを示すグラフである。
【図34】酸素の還元に関わる別の実施形態の例(以下の実施例18に記載)で調製された電極の電気化学的作用を示すボルタモグラムを示すグラフである。
【図35】酸素の還元に関わる別の実施形態の例(以下の実施例19に記載)で調製された電極の電気化学的作用を示すボルタモグラムを示すグラフである。
【図36】酸素の還元に関わる別の実施形態の例(以下の実施例20に記載)で調製された電極の電気化学的作用を示すボルタモグラムを示すグラフである。
【図37】酸素の還元に関わる別の実施形態の例(以下の実施例21に記載)で調製された電極の電気化学的作用を示すボルタモグラムを示すグラフである。
【図38】酸素の還元に関わる別の実施形態の例(以下の実施例22に記載)で調製された電極の電気化学的作用を示すボルタモグラムを示すグラフである。
【図39】酸素の還元に関わる別の実施形態の例(以下の実施例23に記載)で調製された電極の電気化学的作用を示すボルタモグラムを示すグラフである。
【図40】酸素の還元に関わる別の実施形態の例(以下の実施例24に記載)で調製された電極の電気化学的作用を示すボルタモグラムを示すグラフである。
【図41】ナフィオンが添加された、カーボンナノチューブとカーボン繊維とを含む、実施例13bの分散液からの噴霧によるデポジットで調製された試料の光学顕微鏡で撮られた画像を示す図である。
【図42】酸素の還元に関わる別の実施形態の例(以下の実施例25に記載)で調製された電極の電気化学的作用を示すボルタモグラムを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0076】
以下の実施形態において用いられる触媒材料は、金属ナノ粒子であり、主に、いわゆる白金の“機能性”ナノ粒子である。上記ナノ粒子は、化学的な、あるいは、物理的な前処理する必要なく、上記有機コーティングを化学的に改質でき、また、すでに、酸素を還元する電気触媒作用を有している。上記のような白金ナノ粒子は、触媒として、特許文献5に記載されている。
【0077】
例えば、数種類の各粒子が利用可能である。そのうちの代表的なものを図2に示し、それぞれ、Pt−0、Pt−1、Pt−2、Pt−3と呼ぶ。
【0078】
これらの粒子は、結晶構造をしており、その大きさは2nmから3nmである。この粒子は、粉末状であり、この粉末から意図する用途に応じて選択される濃度(0.5mg/ml、0.05mg/ml、他)を有する溶液が調製される。有機コーティング(Pt−0、Pt−1、Pt−2、Pt−3)に応じて、用いられる溶媒は、例えば、ジメチルスルホキシドのように極性の非プロトン性のものであったり、あるいは、非極性のもの(ジクロロメタン、クロロホルム、他)であったりする。
【0079】
白金ナノ粒子を含む溶液は、茶色をしている。そして、ナノ粒子の濃度の増加に伴い、上記溶液の色がより濃くなる。
【0080】
上述したように、カーボン材料は、エアロゾルの化学蒸着(CVD)によって実験室で合成された多層カーボンナノチューブであることが好ましい。この合成は、制御された長さのナノチューブを得るのに好適である。これらナノチューブは、整列され、よって、もつれてはいない。それゆえ、ナノチューブは、(パウダープローブを用いて、あるいは、単に実験室の超音波タンクの中で)安定した超音波による処理の作用のもと、添加剤を使わずに、例えば、イソプロパノールのような液体媒体に容易に分散できる。また、使用前に、ナノチューブは、約2時間2000度で熱処理されて、触媒残留物を除去し、上記合成を可能にしてもよい。
【0081】
本明細書中に記載されるいくつかの実施例は、ナノチューブとナノ粒子との組み合わせに関する。しかし、別の実施例では、本発明の方法は、標準的なカーボンブラック、および/または、略10ミクロンの直径を有するカーボン繊維を用いて実施できることが示される。また、互いに異なる各カーボン支持部材に基づく各複合体の混合物も用いることができる。特に、一方にナノチューブに基づく複合体、他方に繊維に基づく複合体の混合物を用いることができる。
【0082】
以下に示す各実施例のほとんどにおいて、以下の工程が実行されることが好ましい。
【0083】
カーボン構造材料が液体媒体に分散される。上記液体媒体では、計量された所定量のカーボン材料を容器に入れ、所定容積の溶媒が添加されている。上記溶媒は、続いて添加される触媒ナノ粒子が不溶性となる溶媒のなかから選択される。図2を参照にすると、略20mg/リットルのカーボンナノチューブ濃度MSCを含むイソプロパノール溶液SOL1が一般的に用いられる。
【0084】
この調製では、整列したカーボンナノチューブの集合体を分離するために、超音波処理US(プローブ、あるいは、超音波タンク)が行われる。早急にナノチューブを分断して、ナノチューブの初期の大きさを小さくするための単純な機械的な攪拌は、不十分な可能性が大きい。後述する、得られたナノチューブの平均サイズは、分散処理の持続時間によって決まる。この処理は、一般的に、裸眼で見た拡散液が小粒状の小さな集合体のみを含むようになる(もはや、整列して相互に連結したナノチューブは存在しない)と、停止される。その後、ナフィオンのような界面活性剤を上述されたように添加することができる。
【0085】
それから、上記分散液は、選択された濃度を有する触媒ナノ粒子CAT(例えば、コーティングされた白金)の所定容積の溶液SOL2と混合される。上記ナノ粒子溶液の添加容積は、ナノチューブの分散液の体積よりも、必ず少さく設定することが好ましく、より好ましくは、一滴ずつの滴下により添加されるのが好ましい。これにより、ナノチューブの表面へのナノ粒子のデポジットを促進できる。一般的に、上記容積比は、略1対25が良好な結果を生む。
【0086】
この混合液では、ナノ粒子がナノチューブ上にデポジットするのに少なくとも必要な時間の間、機械的な攪拌AGMが維持される。上記必要な時間を知るために有効な手段は、上記混合液の上清の光学的読取LOを行うことである。あるいは、代替手段として、1回目の調製において、上記必要な時間を測定し、その後の同じ比率の類似の種類の生成物の調製に、その測定時間を体系的に適用することが可能なことは明らかである。事実、ナノチューブを分散する溶媒SOL1の種類が変わると、粒子は、多少早くあるいは遅くデポジットするように制御できる。例えば、ナフィオンのような、界面活性剤は、その後、任意に添加することができる。
【0087】
このようにして形成された複合体(触媒要素/カーボン要素)は、そのまま(液体状)長時間保存される。しかし、特に濾過により、固形状に戻すことが可能である。その場合、複合体を再生する前に、この混合液を再度攪拌(AGM)することが望ましい。導電性の多孔性支持部材上での濾過は特に有利である。
【0088】
しかし、濾過が唯一可能な代替手段ではないことを強調しておくことが重要である。上記種類の支持部材に複合体の分散液を単に噴霧することのような他の方法も、上記のように可能である。
【0089】
得られた複合体の触媒作用を向上するために、電極の調製の後に、粒子上に存在する有機クラウンを取り除くために、化学処理(30%過酸化水素水を用いて20分から30分)をすることができる。あるいは、熱処理(軽減圧下200度で1時間から2時間)をすることが好ましい。これらの各処理は、カーボン上の白金の表面分布を変化させることはない。
【0090】
(得られた複合体の性質および特性)
上記ナノ粒子/カーボン支持部材の組み合わせが、ナノ粒子が不溶性である大量の溶媒を含む媒体内においてナノ粒子のデポジットのために効果的であるという事実は、2通りの方法で実証できる。
【0091】
1つの方法では、固体複合体が回収され、ナノ粒子の溶媒の存在下に再度戻された場合、ナノ粒子は、再び分散され、よって、ナノチューブから分離される(しばらくして、触媒の目に見える着色)ことを観察することが可能である。これによって、上記溶媒の実際の影響を実証できる。
【0092】
他の方法では、上記分散液の遠心分離法による上記分散液の上清が、同じ溶媒の混合液中にナノ粒子のみを含む、粒子のデポジット前の参考用の標準液と比較すると、実質無色であることから分かる。
【0093】
さらに、カーボン要素/触媒要素の組み合わせの状態は、透過型電子顕微鏡(TEM)により懸濁液の画像化して、あるいは、走査型電子顕微鏡(SEM)により導電性の多孔性支持部材上へのデポジット後に、確認および制御され得る。
【0094】
導電性の多孔性要素上で濾過された、あるいは、導電性の多孔性要素上に噴霧された(そして、次に任意に熱処理あるいは化学処理が施された)複合体の触媒作用は、1バールの純酸素下で酸素飽和された媒体、および、濃度1mol/Lの過塩素酸である電解液における、サイクリック・ボルタメトリーによりテスト可能である。
【0095】
上述したように、電極上の、単位面積あたりの白金量を二つの各パラメータを制御することにより、調整できる。
・一方のパラメータは、電極上にデポジットされる複合体の懸濁液の全体容積であり、
・他方のパラメータは、触媒要素に対するカーボン要素の質量比である。
【0096】
分散のために、上記各容積は、機械的に攪拌しながらサンプリングされるので、各サンプリングが、再現可能に制御される。サンプリングされた容積の測定は、デポジットされる複合体の量を決定するのに役立つ。したがって、電極が含み得る白金の最大含有量は、それゆえ、本発明の方法における機械的な攪拌の実用性を判定するのに役立つ。デポジット質量が測定できる(一般的には、10μgよりも大きい)場合、上記含有量は、後に計量によって確認できる。
【0097】
以下の各実施例において、デポジット収率が実際上100%に到達できたことを、計量により実証した。しかし、上記カーボン要素が濾過によってデポジットされたカーボンブラックであった場合は、デポジット収率は、上記とは異なり低かった。
【実施例1】
【0098】
10mLフラスコ内において、2mgのアニールされたカーボンナノチューブが(カーボン構造材料として)計量されて投入され、5mLのイソプロパノールが(「第1の溶媒」として)添加される。上記混合液は、Bioblock Vibracell(登録商標) 75043プローブにて、その最大出力の20%を用いて、2分間超音波処理される。
【0099】
次に、(「第2の溶媒」としての)ジメチルスルホキシド、すなわち、DMSO内に418μg/mL濃度の触媒としてのPt−1(図3)ナノ粒子の溶液2mLが、攪拌しながら、滴下(略1mL/分)により添加される。
【0100】
上記添加の後に得られた混合液は、4時間攪拌される。静置後、上記混合液の上清が無色であることが見出される。これは、上記混合液において、粒子が沈殿したことを示している。上記混合液では、上記上清が除去されて、3mLのイソプロパノールと、2mLの10%ナフィオン水溶液とが共に添加される。
【0101】
図4は、TEMによって観察される分散液1滴の図である。ほぼ完全に白金ナノ粒子でおおわれたナノチューブが得られている(チューブの表面の略2nmから3nmの大きさで写真中の暗い点)。
【実施例2】
【0102】
100mLの容器内に、初期平均長さ150μmを有する1mgのナノチューブが投入される。そこに、50mLのイソプロパノールが添加される。Bioblock Vibracell(登録商標) 75043プローブにて、その最大出力の30%を用いて、4分間超音波処理が行われる。次に、ジクロロメタン中に415μg/mL濃度にてPt−2型(図3)のナノ粒子を含む溶液2mLが、攪拌しながら加えられる。この添加の後、攪拌は24時間継続される。
【0103】
図5は、TEMで観察される分散液1滴の図である。このナノチューブは、ナノ粒子でほぼ完全に覆われていることが分かる。
【0104】
得られた複合体(ナノチューブ/ナノ粒子)の分散液10mLを2.3cm2のディスク状のカーボンフェルトで濾過すると、0.33mgの質量差が生じた。これは、白金質量に対する91%の濾過収率に対応する。(有機コーティングを有する)白金ナノ粒子の有効密度は、63μg/cm2であり、略51μg/cm2の(コーティングを有しない)純白金の密度に対応する。
【0105】
図6aおよび図6bにおいて、フィルタ上のデポジット物のSEM/EDX観察(エネルギー分散X線分析により複製された走査電子顕微鏡)により、濾過中のナノチューブ上の粒子の分布が全く乱されず、ナノチューブ上のデポジット物は、明らかに、周辺有機クラウン(硫黄の存在)を有する白金のままであることが、示される。
【0106】
投入されたナノ粒子とナノチューブの質量比は、略4/5である。
【実施例3】
【0107】
100mLの容器内に、初期平均長さ150μmを有するナノチューブ1.3mgが、50mLのイソプロパノールと共に投入される。Bioblock Vibracell(登録商標) 75043プローブにて、その最大出力の30%を用いて、4分間超音波処理が行われる。次に、DMSO中に432μg/mLでのPt−1型のナノ粒子の溶液2mLが、攪拌しながら加えられる。攪拌は24時間継続される。
【0108】
図7は、TEMにより観察される分散液1滴の図である。カーボンナノチューブ上に、ナノ粒子が存在しているのがはっきりと観察される。
【0109】
10mLの分散液をカーボンフェルト円盤で濾過すると、0.32mgの質量差が生じた。これは、投入された質量の83%の濾過収率に対応する。投入されたナノ粒子とナノチューブの質量比は、2/3である。白金ナノ粒子(有機コーティングを有する)の有効密度は、60μg/cm2であり、略48μg/cm2の(コーティングを有しない)純白金の密度に対応する。
【実施例4】
【0110】
100mLの容器に、初期平均長さ150μmを有する1.0mgのナノチューブが、50mLのイソプロパノール(20mg/L)と共に入れられる。Bioblock Vibracell(登録商標) 75043プローブにて、その最大出力の30%を用いて、4分間超音波処理が行われる。次に、DMSO中に432μg/mLにて含むPt−1型のナノ粒子の溶液2mLが、攪拌しながら加えられる。攪拌は24時間継続される。
【0111】
図8は、TEMによる観察による、支持部材上にデポジットされた分散液1滴の図である。
【0112】
10mLの分散液をカーボンフェルト円盤で濾過すると、0.33mgの平均重量差が生じる。これは、投入された質量の92%に対応する。投入されたナノ粒子とナノチューブの質量比は、1である。(有機コーティングを有する)白金ナノ粒子の有効密度は、66μg/cm2であり、略53μg/cm2の(コーティングを有しない)純白金の密度に対応する。
【実施例5】
【0113】
100mLの容器に、初期平均長さ150μmを有する1.0mgのナノチューブが、50mLのイソプロパノールと共に入れられる。Bioblock Vibracell(登録商標) 75043プローブにて、その最大出力の30%を用いて、4分間超音波処理が行われる。次に、DMSO中に432μg/mLのPt−1型のナノ粒子を含む溶液3mLが、攪拌しながら加えられる。攪拌は24時間継続される。
【0114】
図9は、TEMにより観察される分散液1滴の図である。10mLの分散液をカーボンフェルト円盤で濾過することにより、0.33mgの質量差が生じた。これは、投入された質量の86%に対応する。投入されたナノ粒子とナノチューブの質量比は、3/2である。(有機コーティングを有する)白金ナノ粒子の有効密度は、91μg/cm2であり、略73μg/cm2の(コーティングを有しない)純白金の密度に対応する。
【実施例6】
【0115】
100mLの容器に、初期平均長さ150μmを有する1.0mgのナノチューブが、50mLのイソプロパノール(20mg/L)と共に入れられる。Bioblock Vibracell(登録商標) 75043プローブにて、その最大出力の30%を用いて、4分間超音波処理が行われる。次に、DMSO中に432μg/mLのPt−1型のナノ粒子を含む溶液1mLが、攪拌しながら加えられる。攪拌は1日継続される。
【0116】
図10aおよび図10bは、TEMにより観察される分散液1滴の図である。
【0117】
10mLの分散液をカーボンフェルト円盤で濾過することにより、0.21mgの質量差が生じた。これは、投入された質量の75%に対応する。投入されたナノ粒子とナノチューブの質量比は、2/5である。そして、上記以前の各実施例より低いナノチューブのコーティング率が、図10a及び図10bにおいて観察され得る。
【0118】
ナノ粒子の有効密度は、28μg/cm2であり、略22μg/cm2の純白金の密度に対応する。
【実施例7】
【0119】
本実施例では、スケールの変更(より大きな量へ)が可能であることが確認される。
【0120】
2Lの容器内に、初期平均長さ150μmを有する20.1mgのナノチューブが、1Lのイソプロパノールと共に加えられる。本実施例では、Transsonic(登録商標) TI-H15 超音波タンク内にて、その最大能の80%を用いて、25kHzの周波数で、15分間の超音波処理が3回行われる。次に、DMSO中に500μg/mL濃度にて含むPt−1白金の溶液40mLが、攪拌しながら1滴ずつ(略1mL/分)加えられる。Pt−1ナノ粒子の添加後、攪拌は3日間継続される。
【0121】
図11は、TEMにより観察される複合体1滴の図である。カーボンナノチューブ上にナノ粒子のデポジットが、再び観察される。
【0122】
投入されたナノ粒子とナノチューブの質量比は、1/1である。10mLの分散液をカーボンフェルト円盤で濾過することにより、0.35mgの質量差が生じた。これは、理論投入量の質量の92%に相当する。ナノ粒子の有効密度は、83μg/cm2であり、略66μg/cm2の純白金の密度に対応する。
【0123】
[実施例7の2]
1Lのフラスコ容器に、初期平均長さ150μmを有する20.0mgのナノチューブが、1Lのイソプロパノールと共に加えられる。本実施例では、Transsonic(登録商標) TI-H15 超音波タンク内にて、その最大能の90%を用いて、45kHzの周波数で、4時間の超音波処理が行われる。次に、DMSO中に500μg/mLにて含むPt−1白金ナノ粒子の溶液40mLが、攪拌しながら1滴ずつ(略1mL/分)ゆっくりと加えられる。攪拌は3日間継続される。
【0124】
ナノチューブ上への粒子のデポジットが、得られた複合体1滴に関してTEMにより観察される(図12)。
【0125】
投入されたナノ粒子とナノチューブの質量比は、1/1である。200mLの分散液を44cm2の面積を有するカーボンフェルト円盤で濾過することにより、6.9mgの質量差が生じた。これは、理論的に投入された質量の91%に相当する。ナノ粒子の有効密度は、77μg/cm2であり、略62μg/cm2の純白金の密度に対応する。
【実施例8】
【0126】
500mLのフラスコ容器に、初期平均長さ150μmを有する10.0mgのナノチューブが、500mLのイソプロパノールと共に加えられる。本実施例では、Transsonic(登録商標) TI-H15 超音波タンク内にて、その最大能の90%を用いて、25kHzの周波数で、15分間の超音波処理が4回行われる。得られた分散液を以下で“分散液D”と呼ぶ。
【0127】
この分散液100mLを、目盛つきシリンダーにとり、DMSO中に50μg/mLにて含むPt−1白金ナノ粒子の溶液4mLが、攪拌しながら加えられる。その後、混合液の攪拌は、4日間継続される。
【0128】
ナノチューブの表面にデポジットした、分離されたナノ粒子の存在が、サンプリングされた混合液一滴について、TEMにより観察される(図13)。
【0129】
10mLの分散液をカーボンフェルト円盤(2.3cm2)で濾過することにより、0.21mgの質量差が生じた。これは、投入された質量の100%に相当する。投入されたナノ粒子とナノチューブの質量比は、1/10である。ナノ粒子の有効密度は、8.4μg/cm2であり、略6.7μg/cm2の純白金の密度に対応する。
【実施例9】
【0130】
実施例8のナノチューブ分散液D100mLが目盛つきシリンダーにて採取され、DMSO中に10μg/mLにて含むPt−1の白金ナノ粒子の溶液4mLが、1滴ずつ(略1mL/分)攪拌しながら加えられる。その後、攪拌は、数日間継続される。
【0131】
上記媒体の1滴が、TEMにより観察され(図14a)、上記TEMの図は、ナノチューブ上にナノ粒子が存在することを示す。投入されたナノ粒子とナノチューブの質量比は、1/50である。
【0132】
その後、再度、実施例8のナノチューブ分散液D100mLがサンプリングされ、DMSO中に5μg/mLにて含むPt−1ナノ粒子の溶液4mLが、1滴ずつ(略1mL/分)攪拌しながら加えられる。その後、攪拌は、数日間継続される。
【0133】
上記媒体の1滴が、TEMにより観察され(図14b)、上記TEMの図は、カーボンナノチューブ上にナノ粒子の存在が存在することを示す。
【0134】
上記媒体10mLが取り出され、カーボンフェルト円盤(面積2.3cm2)で濾過される。計量により、95%の濾過収率が示される。投入されたナノ粒子とナノチューブの質量比は、1/100である。ナノ粒子の有効密度は、8.4μg/cm2であり、略6.7μg/cm2の純白金の密度に対応する。
【実施例10】
【0135】
500mLの容器内に、初期平均長さ150μmを有する9.0mgのナノチューブが、450mLのイソプロパノール(20mg/L)と共に投入される。Transsonic(登録商標) TI-H15 超音波タンク内にて、その最大能の90%を用いて、25kHzの周波数で、15分間の超音波処理が3回行われる。その後、DMSO中に500μg/mLにて含むPt−0ナノ粒子の溶液18mLが、1滴ずつ(略1mL/分)攪拌しながら加えられる。攪拌は、数日間継続される。
【0136】
図15は、分散液1滴のTEM画像の図を示す。
【0137】
10mLの分散液をカーボンフェルト円盤で濾過することにより、0.35mgの質量差が生じた。これは、投入された質量の90%に相当する。投入されたナノ粒子とナノチューブの質量比は、1/1である。ナノ粒子の有効密度は、75μg/cm2であり、略60μg/cm2の純白金の密度に対応する。
【実施例11】
【0138】
250mLの容器内に、4.9mgのVulcan(登録商標)XC-72のカーボンブラックが、250mLのイソプロパノール(20mg/L)と共に投入される。上記カーボンブラックを分散させるために、Transsonic(登録商標) TI-H15 超音波タンク内にて、その最大能の90%を用いて、25kHzの周波数で、略1分間の超音波処理が行われる。それから、DMSO中に500μg/mLにて含むPt−1ナノ粒子の溶液8mLが、攪拌しながら加えられる。攪拌は、数日間継続される。
【0139】
図16は、分散液1滴のTEM画像の図を示す。
【0140】
この分散液を直接フェルトのみで濾過すると、収率は低くなる。これは、カーボンブラック粒子が、早急にフィルタの穴を埋めるには小さすぎるからである。よって、ナノチューブのみの以前のデポジットに対して、本実施例では、上記濾過の作業を数回繰り返さなければならない(すなわち、濾過されたものが、必要な回数だけ再度濾過される)。
【0141】
20mLの分散液の6回繰り返しの濾過の収率は略69%である。この収率は、ナノチューブを用いて得られる収率よりもずっと低い。白金密度が74μg/cm2と見積もられる電極が得られる。この分散液中の白金/カーボンの質量比は、4/5である。
【実施例12】
【0142】
カーボン布から切り出した、15mgのカーボン繊維を、管内にて、20mLのイソプロパノール中で強く攪拌して分散させる。上記カーボン繊維は、容易に分散されるように、全てミリメーターサイズに切断されている。これにより、カーボン繊維、攪拌しながらのサンプリングが、再現可能にできる。その後、DMSO中に50μg/mLにて含むPt−1ナノ粒子の溶液0.25mLが、攪拌しながら加えられる。攪拌は、数日間継続される。ピペットで5mLの分散液を取り出し、2.3cm2のカーボンフェルトで濾過して、電極を形成する。
【0143】
得られた白金Pt−1ナノ粒子/カーボン繊維の複合体の質量比は、略1/1000ある。そのとき、電極を調製するために濾過された上記複合物は、1.1μg/cm2の理論最大純白金含有量を有する。
【実施例13】
【0144】
2重空隙構造の形成は、2種類の構造材料(カーボン繊維とカーボンナノチューブ)の混合物を含む分散液を調製することと、DMSO内でのPt−0、Pt−1、あるいは、Pt−4の白金ナノ粒子の溶液の容積とにより示される。本実施例では、白金溶液は、触媒作用を示さない繊維/ナノチューブの混合物に加えられる。
【0145】
数百ミリグラムのカーボン繊維(直径約10μm)を、カーボン布から長さ略1ミリメメートルで切り出して得る。1リットルの容器内に、79mgのカーボン繊維、15.5mgのカーボンナノチューブ、および500mLのイソプロパノールが投入される。そして、Transsonic(登録商標) TI-H15 超音波タンク内にて、その最大能の100%を用いて、25kHzでの走査モードで、上記で得られた媒体が80分間超音波処理される。この媒体は、以下でカーボン繊維/カーボンナノチューブ媒体と称する。
【0146】
a)カーボン繊維/カーボンナノチューブ媒体とPt−0から調製される構造体
50mLのカーボン繊維/カーボンナノチューブ媒体が取り出され、DMSO中に0.98mg/mLのPt−0ナノ粒子を含む溶液0.150mLを、攪拌しながら加える。攪拌は36時間継続される。
【0147】
この分散液10mLを2.3cm2カーボンフェルト円盤で濾過することにより、1.84mgの平均質量差が生じた。これは、投入された質量の96%に相当する。投入されたナノ粒子とカーボン要素(カーボン繊維とカーボンナノチューブ)の質量比は、略1/60である。よって、(コーティングを有する)白金ナノ粒子の有効密度は、略12μg/cm2であり、これは、略9μg/cm2の(コーティングを有しない)純白金の密度に対応する。
【0148】
図25は、得られた層の2重空隙を示す走査型電子顕微鏡で記録された画像を示す。図26は、酸素の還元に関わる電極の電気化学的作用を示すボルタモグラムである。還元ピークは、電位が0.50Vの時に観察され、ピーク電流は、−4.90mA/cm2である。
【0149】
b)カーボン繊維/カーボンナノチューブ媒体とPt−1から調製される構造体
50mLのカーボン繊維/カーボンナノチューブ媒体が採取され、DMSO中に0.51mg/mLのPt−1ナノ粒子を含む溶液0.29mLを、攪拌しながら加える。攪拌は、36時間継続される。
【0150】
この分散液10mLを2.3cm2カーボンフェルト円盤で濾過することにより、1.89mgの平均質量差が生じた。これは、投入された質量の99%に相当する。投入されたナノ粒子とカーボン要素(カーボン繊維とカーボンナノチューブ)の質量比は、略1/60である。よって、(コーティングを有する)白金ナノ粒子の有効密度は、略13μg/cm2であり、これは、略10μg/cm2の(コーティングを有しない)純白金の密度に対応する。
【0151】
図27は、酸素の還元に関わる電極の電気化学的作用を示すボルタモグラムである。還元ピークは、電位が0.42Vの時に観察され、ピーク電流は、−2.7mA/cm2である。
【0152】
c)カーボン繊維/カーボンナノチューブ媒体とPt−4から調製される構造体
50mLのカーボン繊維/カーボンナノチューブ媒体が取り出され、DMSO中に0.292mg/mLのPt−4ナノ粒子を含む溶液0.51mLを、攪拌しながら加える。攪拌は、36時間継続される。
【0153】
この分散液10mLを2.3cm2カーボンフェルト円盤で濾過することにより、1.75mgの平均質量差が生じた。これは、投入された質量の92%に相当する。投入されたナノ粒子とカーボン要素(カーボン繊維とカーボンナノチューブ)の質量比は、略1/60である。
【0154】
よって、(コーティングを有する)白金ナノ粒子の有効密度は、略12μg/cm2であり、これは、略9μg/cm2の(コーティングを有しない)純白金の密度に対応する。
【0155】
図28は、酸素の還元に関わる電極の電気化学的作用を示すボルタモグラムを示す。還元ピークは、電位が0.40Vの時に観察され、ピーク電流は、−2.95mA/cm2である。
【実施例14】
【0156】
本実施例では、Pt/NT分散液の所定容量が、触媒作用を及ぼさないナノチューブと繊維との混合物からなる分散液に対して加えられる。Pt/NT分散液では、Pt/NTの割合が1/2の割合である。
【0157】
実施例13のカーボン繊維/カーボンナノチューブ媒体80mLが採取され、20μg/mL濃度のナノチューブ液内にてPt−1により調製された、Pt/Nt比率が1/2の分散液1mLが加えられて、混合分散液が得られる。この混合分散液10mLを2.3cm2カーボンフェルト円盤で濾過することにより、1.86mgの平均質量差が生じた。これは、投入された質量の99%に相当する。
【0158】
投入されたナノ粒子とカーボン要素(カーボン繊維とカーボンナノチューブ)の質量比は、略1/1500である。よって、(コーティングを有する)白金ナノ粒子の有効密度は略0.5μg/cm2であり、これは、略0.4μg/cm2の(コーティングを有しない)純白金の密度に対応する。
【0159】
図29は、酸素の還元に関わる電極の電気化学的作用を示すボルタモグラムを示す。還元ピークは、電位が0.09Vの時に観察され、ピーク電流は、−1.25mA/cm2である。
【実施例15】
【0160】
本実施例では、Pt/NT分散液の他の所定容量が、触媒作用を及ぼさないナノチューブと繊維との混合物からなる分散液に対して加えられる。Pt/NT分散液では、Pt/NTの割合が1/2の割合である。
【0161】
実施例13のカーボン繊維/カーボンナノチューブ媒体80mLが採取され、20μg/mL濃度のナノチューブ液内にてPt−1により調製された、Pt/Nt比率が1/2の分散液10mLが加えられて、混合分散液が得られる。この混合分散液10mLを2.3cm2カーボンフェルト円盤で濾過することにより、1.86mgの平均質量差が生じた。これは、投入された質量の99%に相当する。
【0162】
投入されたナノ粒子とカーボン要素(カーボン繊維とカーボンナノチューブ)の質量比は、略1/1500である。よって、(コーティングを有する)白金ナノ粒子の有効密度は、略5μg/cm2であり、これは、略4μg/cm2の(コーティングを有しない)純白金の密度に対応する。
【0163】
図30は、酸素の還元に関わる電極の電気化学的作用を示すボルタモグラムを示す。還元ピークは、電位が0.50Vの時に観察され、ピーク電流は、−2.50mA/cm2である。
【実施例16】
【0164】
本実施例では、Pt/NT分散液の所定容量が、触媒作用を及ぼさないナノチューブと繊維との混合物からなる分散液に対して加えられる。Pt/NT分散液では、Pt/NTの割合が1/10の割合である。
【0165】
実施例13のカーボン繊維/カーボンナノチューブ媒体が80mL採取され、20μg/mL濃度のナノチューブ液にてPt−1により調製された、Pt/Nt比率が1/10の分散液10mLが加えられて、混合分散液が得られる。この混合分散液10mLを2.3cm2カーボンフェルト円盤で濾過することにより、1.86mgの平均質量差が生じた。これは、投入された質量の99%に相当する。
【0166】
投入されたナノ粒子とカーボン要素(カーボン繊維とカーボンナノチューブ)の質量比は、略1/1500である。よって、(コーティングを有する)白金ナノ粒子の有効密度は、略1μg/cm2であり、これは、略0.7μg/cm2の(コーティングを有しない)純白金の密度に対応する。
【0167】
図31は、酸素の還元に関わる電極の電気化学的作用を示すボルタモグラムを示す。還元ピークは、電位が0.28Vの時に観察され、ピーク電流は、−1.55mA/cm2である。
【実施例17】
【0168】
第1の溶媒が酸性pHで、第2の溶媒が塩基性pHである水での分散液に関する、別の実施例を示す。
【0169】
500mLの容器内に、5mgのカーボンナノチューブが投入され、250mLの水が加えられる。得られた媒体に、Transsonic(登録商標) TI-H15 超音波タンク内でその最大容量の100%を用いて、25kHzの走査モードにて10分間超音波処理が連続して5回行われる。それから、この混合液は、1分から2分の間、強い機械的な攪拌が施される。
【0170】
この媒体は、80mL採取され、3.7%塩酸を2滴加えて弱酸性にされる。その後、Pt−4ナノ粒子を0.493mg/mL濃度にて含む、pH12の水溶液1.63mLが一滴ずつ、攪拌を続けながら、上記媒体に加えられる。攪拌は24時間継続される。
【0171】
この分散液10mLをカーボンフェルト円盤で濾過することにより、0.25mgの平均質量差が生じた。これは、投入された質量の83%に相当する。投入されたナノ粒子とナノチューブの質量比は、1/2である。よって、(有機コーティングを有する)白金ナノ粒子の有効密度は、35μg/cm2であり、これは、略26μg/cm2の(コーティングを有しない)純白金の密度に対応する。
【0172】
図33は、酸素の還元に関わる電極の電気化学的作用を示すボルタモグラムを示す。還元ピークは、電位が0.54Vの時に観察され、ピーク電流は、−1.65mA/cm2である。
【実施例18】
【0173】
第1の溶媒が酸性pHの水媒体で、第2の溶媒が塩基性pHの水媒体である水での分散液の、別の実施例を示す。
【0174】
500mLの容器内に、5.2mgのカーボンナノチューブが投入され、250mLの水が加えられる。得られた媒体を、Bioblock Vibracell(登録商標) 75043プローブにて、その最大出力の40%を用いて、パルスモード(すなわち、1秒の超音波と1秒の休止が交互に繰り返される)にて10分間超音波処理される。
【0175】
上記媒体は、80mL採取され、3.7%塩酸を2滴加えて弱酸性にされる。その後、上記媒体に対し、Pt−4ナノ粒子を0.495μg/mL濃度にて含み、pH12の水溶液1.68mLが一滴ずつ、攪拌を続けながら加えられて、混合分散液が得られる。攪拌は24時間継続される。
【0176】
上記混合分散液10mLを2.3cm2のカーボンフェルト円盤で濾過することにより、0.27mgの平均質量差が生じた。これは、投入された質量の87%に相当する。投入されたナノ粒子とナノチューブの質量比は、1/2である。(有機コーティングを有する)白金ナノ粒子の有効密度は、37μg/cm2であり、これは、略27μg/cm2の(コーティングを有しない)純白金の密度に対応する。
【0177】
図34は、酸素の還元に関わる電極の電気化学的作用を示すボルタモグラムを示す。還元ピークは、電位が0.61Vの時に観察され、ピーク電流は、−2.10mA/cm2である。
【実施例19】
【0178】
分散液、および、カーボン支持部材への直接噴霧による上記分散液のデポジットの実施例を示す。
【0179】
100mLの容器内に、19.6mgのカーボンナノチューブが投入され、60mLのイソプロパノールが加えられる。得られた媒体を、Bioblock Vibracell(登録商標)にて、その最大出力の40%を用いて、パルスモード(すなわち、1秒の超音波と1秒の休止が交互に繰り返される)にて10分間超音波処理される。
【0180】
その後、DMSO中に0.53μg/mL濃度のPt−1ナノ粒子を含む溶液12.4mLが、攪拌下で維持されている媒体に、一滴ずつ(1mL/分)加えられる。36時間の攪拌後、この分散液2.5mLをピペットで採取し、あらかじめ重さを量って吸収性紙の上に配置された27cm2のカーボンフェルト全面に噴霧して1滴ずつ広げる。
【0181】
その後、軽減圧化、電極となる上記カーボンフェルトを乾燥し、計量する。デポジット後および乾燥後の増加質量は、理論的増加質量が0.9mgであるのに対して、0.86mgである。よって、デポジット収率は、95%より大きくなる。
【0182】
投入されたナノ粒子とナノチューブの質量比は、1/3である。(コーティングを有する)白金ナノ粒子の有効密度は、8.0μg/cm2、すなわち、(コーティングを有しない)純白金の密度は略6.0μg/cm2である。
【0183】
この27cm2電極から、3.14cm3の面積を有する円形の電極が数個切り出される。これら数個の電極は、酸素の還元に関して試験され、図35に示されるものと同様の電気化学的応答を得た。還元ピークは、電位が0.45Vの時に観察され、ピーク電流は、−1.80mA/cm2である。
【実施例20】
【0184】
分散液、および、カーボン支持部材への直接噴霧による上記分散液のデポジットの別の実施例を示す。
【0185】
100mLの容器内に、19.6mgのカーボンナノチューブが投入され、60mLのイソプロパノールが加えられる。得られた媒体を、Bioblock Vibracellにて、その最大出力の40%を用いて、パルスモード(すなわち、1秒の超音波と1秒の休止が交互に繰り返される)にて10分間超音波処理される。その後、DMSO中に0.53μg/mL濃度にて含むPt−1ナノ粒子の溶液12.4mLが、攪拌下で維持されている媒体に、一滴ずつ1mL/秒の速度で加えられる。
【0186】
36時間の攪拌後、この分散液2.5mLをピペットで採取し、予め重さを計って吸収性紙の上に配置された30cm2のカーボンフェルト全面に噴霧して1滴ずつ広げる。その後、軽減圧下にて、電極となる上記カーボンフェルトを乾燥し、計量する。2.5mLの溶液を噴霧して、軽減圧下で乾燥する工程が追加で連続四回行われる。
【0187】
デポジット物の合計増加質量は、理論的増加質量が4.5mgであるのに対して、4.30mgである。これにより、デポジット収率は、95%より大きくなる。投入されたナノ粒子とナノチューブの質量比は、1/3である。白金ナノ粒子の有効密度は、37μg/cm2、即ち、純白金の密度は略27μg/cm2である。
【0188】
図36は、酸素の還元に関して、30cm2の電極から切り出された3.14cm2の電極での一般的な電気化学的作用の応答を示す。還元ピークは、電位が0.51Vの時に観察され、ピーク電流は、−2.00mA/cm2である。
【実施例21】
【0189】
上記分散液へのナフィオンの導入の実施例を示す。本実施例では、分散液のデポジット収率は低い。
【0190】
100mLの容器内に、18.3mgのカーボンナノチューブが投入され、60mLのイソプロパノールが加えられる。得られた媒体を、Transsonic(登録商標) TI-H15 超音波タンク内でその最大能の100%を用いて、25kHzの周波数、走査モードで、110分間超音波処理する。その後、DMSO中に0.496μg/mL濃度のPt−1ナノ粒子を含む溶液12.2mLが、攪拌下で維持されている媒体に、一滴ずつ1mL/秒の速度で加えられる。
【0191】
36時間の攪拌後、ナフィオンの10重量%水溶液0.1mLを添加し、Vibramax 100 (Heidolph社製)攪拌機を用いて、その最高速度で90分間、この媒体を強く攪拌する。この分散液2.5mLをピペットで採取し、予め重さを計って吸収性紙上に配置された30cm2のカーボンフェルト全面に1滴ずつ噴霧して広げる。その後、軽減圧下で、電極となるカーボンフェルトを60度の温度で乾燥し、計量する。
【0192】
デポジット物の合計増加質量は、理論的増加質量が2.14mgであるのに対して、1.37mgである。よって、デポジット収率は、フェルトの空隙率とナフィオンの添加により分散液がより細かく分けられるという事実により、64%より大きくなる。
【0193】
投入されたナノ粒子とナノチューブの質量比は、計算式で1/3である。(コーティングを有する)白金ナノ粒子の有効密度は、略4.5μg/cm2、すなわち、純白金の密度は略3.4μg/cm2である。
【0194】
図37は、30cm2の電極から切り出された3.14cm2の電極での酸素の還元に関する一般的な応答を示す。還元ピークは、電位が0.40Vの時に観察され、ピーク電流は、−1.75mA/cm2である。
【実施例22】
【0195】
分散液にナフィオンを導入する別の実施例を示す。100mLの容器内に、18.3mgのカーボンナノチューブが投入され、60mLのイソプロパノールが加えられる。得られた媒体を、Transsonic(登録商標) TI-H15 超音波タンク内でその最大能の100%を用いて、25kHzの周波数、走査モードで、110分間超音波処理する。その後、DMSO中に0.496μg/mL濃度にてPt−1ナノ粒子を含む溶液12.2mLが攪拌下で維持されている媒体に、一滴ずつ1mL/秒の速度で加えられる。
【0196】
36時間の攪拌後、ナフィオンの10重量%水溶液0.1mLを添加し、Vibramax 100 (Heidolph社製)攪拌機を用いて、その最高速度で90分間、上記媒体を強く攪拌する。この分散液2.5mLをピペットで採取し、予め重さを計って吸収性紙の上に配置された30cm2のカーボンフェルト全面に1滴ずつ噴霧して広げる。
【0197】
その後、軽減圧下にて、電極となる上記カーボンフェルトを60度の温度で乾燥し、計量する。デポジット物の合計増加質量は、理論的増加質量が12.88mgであるのに対して、5.7mgである。よって、デポジット収率は、フェルトの空隙率とナフィオンの添加により分散液がより細かく分けられるという事実により、43.5%より大きくなる。
【0198】
投入されたナノ粒子とナノチューブの質量比は、1/3である。(コーティングを有する)白金ナノ粒子の有効密度は、略18μg/cm2、すなわち、純白金の密度は略13.5μg/cm2である。
【0199】
図38は、30cm2の電極から切り出された3.14cm2の電極での酸素の還元に関する一般的な応答を示す。還元ピークは、電位が0.51Vの時に観察され、ピーク電流は、−4.00mA/cm2である。
【実施例23】
【0200】
本実施例では、分散液がナフィオンを含む場合、濾過によるナノチューブの層のデポジションが、高いデポジション収率を回復するのに役立っていることが示される。
【0201】
1.5リットルの容器内に、39.3mgのカーボンナノチューブが投入され、1リットルのイソプロパノールが加えられる。得られた媒体を、Transsonic(登録商標) TI-H15 超音波タンク内でその最大容量の100%を用いて、25kHz、走査モードで、100分間超音波処理する。予め重さを計った38cm2のフェルトの表面で、この分散液200mLを濾過する。乾燥後、デポジットされたナノチューブの質量は、理論質量が7.86mgであるのに対して、7.83mgである(すなわち、ほぼ100%の収率を有する)。
【0202】
実施例22において記載された分散液の5mLが、ピペットを使ってこれを広げることにより、カーボンフェルト上に存在するナノチューブのデポジット物の上に均一に分配される。このフェルトは、略70度に加熱されたホットプレートの上に配置される。それから、減圧下にて、電極となる上記フェルトを60分間乾燥させ、理論質量増加である4.29mgに対して、5.51mgの質量増加が計測される。
【0203】
この場合のデポジット収率は、110%より大きい。80度で60分さらに乾燥させても、質量がさらに減少することはない。結果、溶媒が構造体中に閉じ込められたと考えられる。よって、適応された空隙率を有する支持部材上でのナフィオンをふくむ分散液のデポジット(実施例22)は、高い収率の噴霧工程を得るのに役立つ。
【0204】
実施例22の分散液における白金ナノ粒子の濃度を考慮すると、略11.1μg/cm2の白金密度が算出される。これは、略8.3μg/cm2の純白金に相当する。
【0205】
図39は、38cm2の電極から切り出された3.14cm2の電極での酸素の還元に関する一般的な応答を示す。還元ピークは、電位が0.41Vの時に観察され、ピーク電流は、−5.11mA/cm2である。
【実施例24】
【0206】
本実施例では、分散液がナフィオンを含む場合、カーボン支持部材上への噴霧によるナノチューブの層へのデポジットが、高いデポジット収率を回復するのに役立っていることが示される。
【0207】
本実施例は、実施例22の分散液のデポジットの前に、白金を含まないナノチューブ分散液の濾過ではなく、噴霧によってナノチューブへのデポジットが実施されることを除いては、実施例23と同様である。
【0208】
100mLの容器内に、35mgのカーボンナノチューブが投入され、80mLのイソプロパノールが加えられる。得られた媒体を、Transsonic(登録商標) TI-H15 超音波タンク内でその最大能の100%を用いて、25kHz、走査モードで、110分間超音波処理する。
【0209】
ピペットを用いて、予め重さを計って略70度に加熱されたホットプレート上に配置された略25cm2のフェルトの表面に、この媒体15mLを均等にデポジットする。デポジットしたナノチューブの理論質量は、6.56mgである。乾燥後、6.21mgの質量増加が計測される。これは、カーボンナノチューブのデポジット収率が94.6%であることを示している。
【0210】
ホットプレートに戻して配置された上記フェルト表面に、ピペットを用いて、実施例22の分散液2.5mLが均等に広げられる。減圧下での乾燥後、計測される重量増加は、理論的値の2.14mgに対して、2.03mgである。よって、この収率は、略95%である。実施例22の分散液中の白金ナノ粒子の濃度を考慮すると、略8.0μg/cm2の白金密度が算出される。これは、略6μg/cm2の純白金に相当する。
【0211】
図40は、25cm2の電極から切り出された3.14cm2の電極での酸素の還元に関する一般的な応答を示す。還元ピークは、電位が0.33Vの時に観察され、ピーク電流は、−5.75mA/cm2である。
【実施例25】
【0212】
本実施例では、以下の2つのことが同時に示される。
・良好なデポジット収率を有する、ナフィオンを含む二つの構造の各カーボン要素を有する分散液を、適合された空隙率を有する支持部材上に噴霧することによって、調製され得るデポジット物。
・二重空隙構造が、明らかにこれらの条件で得られる。
【0213】
本実施例は、ナフィオンが添加された、実施例13bの分散液のようにカーボンナノチューブとカーボン繊維のような二つの構造の各カーボン要素を有する分散液から、適合された空隙率を有する支持部材上に、噴霧によるデポジット物をも形成することができることを示す。
【0214】
実施例24のように、略25cm2のフェルトの領域にピペットで噴霧することによって形成される、ナノチューブへのデポジット物を有する電極が調製される。上記電極から、7cm2の面積が切り出され、計量される。
【0215】
実施例13bで用いられた分散液の40mL容量に対し、ナフィオンの10%水溶液0.230mLが予め10倍に薄められて加えられて混合分散液が得られる。この混合分散液が、1時間攪拌状態に維持される。
【0216】
その後、上記7cm2の電極は、略80度に加熱されたホットプレート上に配置される。そして、ピペットを用いて、上記攪拌後の混合分散液25.6mLがゆっくりと均等に略5cm2の面積に広げられる。その後、上記混合分散液を有する電極である試料は、120分間軽減圧下に配置され、その後、80度の加熱されたオーブンに20分間配置される。
【0217】
乾燥後、理論質量6.45mgに対して、7.92mgの質量増加が計量される。上記100%より大きい収率は、おそらくナフィオンの存在によって、溶媒が構造体の中に閉じ込められたまま残っていることを示す。実施例13bにおける分散液の特性を考慮すると、略15.3μg/cm2のナノ粒子密度が算出される。これは、略11.5μg/cm2の純白金密度に相当する。
【0218】
図41は、上記試料の光学的顕微鏡によって撮られた画像を示し、図13におけるものと同様に、二重空隙構造が得られることを示している。図42は、5cm2の電極から切り出された3.14cm2の電極での酸素の還元に関する一般的な電気化学的応答を示す。還元ピークは、電位が0.39Vの時に観察され、ピーク電流は、−17.21mA/cm2である。
【0219】
(得られた化合物の電気触媒作用)
カーボンフェルト上のナノ粒子/ナノチューブのアセンブリの濾過により得られる試料は、以下の電気化学的条件で試験される。従来の3電極装置が、1バールの純酸素下にて酸素により飽和された1mol/Lの過塩素酸溶液中で、好ましくは標準的な水素電極を用いて、調製される。走査速度は、100mV/sである。
【0220】
図17は、ボルタモグラム(図1に示すような、選択された基準REFに対する、試料ELEにおける電位Vをx軸に示し、試料ELEおよび対向電極CELEを流れる電流iをy軸に示す、電流−電圧曲線)を示す。
【0221】
図17のボルタモグラムは、略67μg/cm2の白金含有量を得るために、カーボンフェルトで分散液10mLを濾過することによって、試料が得られた実施例7の系列の水溶液中の酸素の還元に関する電気化学的応答の特性(図17の実線の曲線)である。
【0222】
図17のボルタモグラムでは、酸素を含まない溶液(溶液中の酸素がアルゴンバブリングによって除去)における同じ試料のボルタモグラム(破線の曲線)と比較される。酸素還元ピークは、電位が0.48Vの時に起こり、−3.2mA/cm2である。
【0223】
上記応答は、かなり低い白金比率(実施例9の1/100(破線)および実施例8の1/10(一点鎖線))のものと比較される。
【0224】
図18は、実施例7(比率1/1)の基準(実線)との比較において無視できない酸素還元電流が、実施例8および実施例9で得られることを示している。従って、数百μg/cm2の通常のフィラーを含む電極に比べ、非常に少ない白金フィラー(比率1/10および比率1/100)を含むこれらの電極を、通常、性能を過剰に落とさずに燃料電池に用いることができる。
【0225】
上記のように、上記性能は、過酸化水素を用いて電極を化学的に処理することによってさらに改善できる。図19は、(実施例7に基づく)白金を65μg/cm2初期に含む電極のボルタモグラム(実線:化学的な処理なし、破線:30%過酸化水素を用いて20分処理、一点鎖線線:30%過酸化水素を用いて30分処理)を示す。
【0226】
図19は、より明確にするために、「フォワード」走査(完全なヒステリシスではない)を示す。
【0227】
過酸化水素を用いた処理は、処理中のガス放出によって、処理が長くなるほど増加する(一点鎖線)、デポジット物の損失、従って、白金の損失を引き起こすことが確認される。それゆえ、上記各電極は、初期に含んだほどのフィラーを含まない。
【0228】
かわりに、1時間の真空下200度の熱処理で、同様の性能の向上が生み出される。この熱処理では、大きな白金損失は引き起こされない。図20は、この向上を示す。
【0229】
さらに、走査型電子顕微鏡で、上記2種類の各処理(熱処理および化学的処理)によってナノチューブの表面にあるナノ粒子のデポジット物の形態は変わらないということが、確認された。
【0230】
(白金含有量を減らす可能性)
また、白金含有量は、濾過容積を減らすこと、あるいは、得られた分散液を希釈することによっても、減少させることができる。
【0231】
図20を参照にして、以下の条件から得られた、2つの同じ含有量(略0.65μg/cm2)のものについての各結果が示される。
・ナノチューブを20mg/L濃度にて含む分散液100μL(実線曲線)からのもの、および
・先の溶液を十倍に希釈したに対応する、ナノチューブを2mg/L濃度にて含む分散液1mL(点線曲線)からのものである。
【0232】
これらの性能を向上するために、電極は、(真空下200度で1時間から2時間)熱処理された。デポジット質量および溶液中の酸素濃度に関する不確定要素を考慮しても、2つの試料は、非常によく似た応答をすると考えることができる。
【0233】
試験される低含有量の白金含有物を含む(低含有量でも、電気触媒作用が示される)電極は、以下の各条件を含む、白金ナノ粒子/カーボンナノチューブの複合体の分散液を用いて調製された。
・1%含有の白金、
・20mg/L濃度のナノチューブ、および、
・カーボンフェルト上で濾過された5mLの分散液。
【0234】
その後、得られた電極は、200度で熱処理され、その後、3電極電気化学電池で試験された。
【0235】
図22は、これら2つの各電極(白金密度0.33μg/cm2−破線および一点鎖線)のうちの2つの各応答を、2倍量の白金を含む電極(同じ濾過された分散液10mL−白金0.65μg/cm2−実線)と比較して示す。不確定要素を考慮しても、結果の再現性は、良好である。
【0236】
(構造材料の特定の実施形態で得られる結果)
図23に示すように、実施例11の電極と同様の実施形態から調製される各試料もまた、水溶液中での酸素還元のピークを有する、触媒作用を示す。ここでは、カーボンブラックを含む分散液20mLが、ナノチューブの先のデポジット物上で1回通して濾過して、見積濾過収率36%、見積白金含有量39μg/cm2で用いられた。この試料には前処理はされていなかった。
【0237】
また、図23に示すように、実施例12に由来する試料も触媒作用を有する。ここでは、分散液5mLが濾過された。理論的最大白金含有量は、1.1μg/cm2と見積もられる。観察された肩部は、白金の表面上での、水溶液中での酸素の還元に起因する。この試料に前処理はされていなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
触媒と結合されたカーボン構造材料を含む触媒複合体を調製する方法であって、
カーボン構造材料を含む第1の溶媒の溶液と、上記触媒を含む第2の溶媒の溶液との混合物を調製する工程と、
得られた上記混合物を、上記カーボン構造材料上に上記触媒がデポジットするまで、攪拌する工程とを含み、
上記触媒および上記カーボン構造材料は、上記第1の溶媒および上記第2の溶媒の混合溶媒に対して不溶性であることを特徴とする方法。
【請求項2】
上記触媒が、上記デポジットの間に、上記カーボン構造材料上にデポジットされることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
上記カーボン構造材料は、カーボンナノチューブを含むことを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
上記カーボン構造材料は、カーボンブラックを含むことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
上記カーボン構造材料は、カーボン繊維を含むことを特徴とする請求項1ないし4の何れか1項に記載の方法。
【請求項6】
上記カーボン構造材料は、カーボンナノチューブ、カーボンブラック、および、カーボン繊維の少なくとも1つの混合物を含むことを特徴とする請求項3ないし5の何れか2項に記載の方法。
【請求項7】
上記触媒は、金属粒子を含むことを特徴とする請求項1ないし6の何れか1項に記載の方法。
【請求項8】
上記金属粒子は、少なくとも1種類のプラチノイドを含むことを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
上記粒子は、ナノメートルサイズであり、上記プラチノイドの有機コーティング(Pt−0、Pt−1、Pt−2、Pt−3)を含むことを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
上記第1の溶媒が、イソプロパノール、メタノール、エタノール、エチレングリコールのようなグリコール、および、その混合液の少なくとも1つから選択された水酸基を有する溶媒であることを特徴とする請求項1ないし9の何れか1項に記載の方法。
【請求項11】
上記第2の溶媒が、ジクロロメタン、ジメチルスルホキシド、クロロホルムタイプのもの、および、これらの溶媒の混合液の少なくとも1つであることを特徴とする請求項1ないし10の何れか1項に記載の方法。
【請求項12】
上記触媒は、上記第1の溶媒に対して不溶性であることを特徴とする請求項1ないし11の何れか1項に記載の方法。
【請求項13】
上記第1の溶媒、および、上記混合溶媒における上記触媒の溶解度は、10-9mol/Lよりも低いことを特徴とする請求項1ないし12の何れか1項に記載の方法。
【請求項14】
上記第1の溶媒における上記カーボン構造材料の濃度は、1mg/Lと10g/Lとの間であることを特徴とする請求項1ないし13の何れか1項に記載の方法。
【請求項15】
上記カーボン構造材料の濃度は、1リットルあたり数十ミリグラムであることを特徴とする請求項14項に記載の方法。
【請求項16】
上記第2の溶媒における上記触媒の濃度は、1mg/Lと10g/Lとの間であることを特徴とする請求項1ないし15の何れか1項に記載の方法。
【請求項17】
上記第2の溶媒における上記触媒の濃度は、1ミリリットルあたり略数百マイクログラムであることを特徴とする請求項16項に記載の方法。
【請求項18】
上記混合物は、上記触媒を含む上記第2の溶媒より上記カーボン構造材料を含む上記第1の溶媒を多く含むことを特徴とする請求項1ないし17の何れか1項に記載の方法。
【請求項19】
上記触媒を含む第2の溶媒の、上記カーボン構造材料を含む第1の溶媒に対する容量比は、1対5より小さく、略1対25であることが好ましいことを特徴とする請求項18項に記載の方法。
【請求項20】
上記混合物を形成するために、上記触媒を含む上記第2の溶媒は、連続して少量ずつ、上記カーボン構造材料を含む上記第1の溶媒に添加されることを特徴とする請求項1ないし19の何れか1項に記載の方法。
【請求項21】
上記混合物は、上記カーボン構造材料上に上記触媒を略均等に分配するために、機械的な攪拌(AGM)が施されることを特徴とする請求項1ないし20の何れか1項に記載の方法。
【請求項22】
上記機械的な攪拌は、上記混合物の光学的外観が、少なくとも触媒を含まない溶液の光学的外観に近く得られるまで、作動されることを特徴とする請求項21項に記載の方法。
【請求項23】
上記機械的な攪拌は、上記混合物における上清の光学的読取(LO)に基づいて、作動、あるいは、停止されることを特徴とする請求項22項に記載の方法。
【請求項24】
少なくとも上記第1の溶媒におけるカーボン構造材料に対して、超音波処理(US)を行う工程をさらに含むことを特徴とする請求項1ないし23の何れか1項に記載の方法。
【請求項25】
上記超音波処理は、ナノチューブの大きさを縮小するために、ナノチューブの凝集体を分離すること、および、上記ナノチューブの少なくとも一部を分断することの少なくとも一方であることを特徴とする、請求項3と組み合わせた請求項24項に記載の方法。
【請求項26】
少なくとも上記カーボン構造材料を含む第1の溶媒、および、上記混合物の少なくとも一方に、界面活性剤が添加されることを特徴とする請求項1ないし25の何れか1項に記載の方法。
【請求項27】
上記界面活性剤が、Nafion(登録商標)であることを特徴とする請求項26項に記載の方法。
【請求項28】
上記混合物から、上記触媒と結合されたカーボン構造材料を含む触媒複合体を分離して抽出する工程をさらに含むことを特徴とする請求項1ないし27の何れか1項に記載の方法。
【請求項29】
上記触媒複合体は、多孔性支持部材上での濾過、あるいは、多孔性支持部材上への噴霧によって抽出されることを特徴とする請求項28項に記載の方法。
【請求項30】
上記有機コーティングを除去するために、上記触媒複合体における、化学処理、または、熱処理の工程をさらに含むことを特徴とする請求項9と組み合わせた請求項28または29に記載の方法。
【請求項31】
上記触媒複合体は、
・一方で、上記複合体における上記触媒の負荷容量、および、
・他方で、上記複合体における上記触媒の表面密度、に応じて調整可能な電気化学的性質を有し、
・一方で、上記混合物における懸濁液の触媒複合体の合計容積、および、
・他方で、上記カーボン材料の上記触媒に対する質量比、の少なくとも2つの各パラメータの合同制御を含むことを特徴とする請求項1ないし30の何れか1項に記載の方法。
【請求項32】
請求項1ないし31の何れか1項に記載の方法を実施することにより得られる触媒複合体であって、
上記カーボン構造材料上に分配された触媒粒子を有していることを特徴とする触媒複合体。
【請求項33】
上記混合物に対し初期に投入された触媒の少なくとも80%を含むことを特徴とする請求項32に記載の触媒複合体。
【請求項34】
少なくとも0.1μg/cm2の触媒表面密度を有することを特徴とする請求項32または33に記載の触媒複合体。
【請求項35】
電気化学的作用を有することを特徴とする請求項32ないし34の何れか1項に記載の触媒複合体。
【請求項36】
特に燃料電池の電極であって、請求項32ないし35の何れか1項に記載の触媒複合体を含むことを特徴とする電極。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6a】
image rotate

【図6b】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10a】
image rotate

【図10b】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14a】
image rotate

【図14b】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate

【図28】
image rotate

【図29】
image rotate

【図30】
image rotate

【図31】
image rotate

【図32】
image rotate

【図33】
image rotate

【図34】
image rotate

【図35】
image rotate

【図36】
image rotate

【図37】
image rotate

【図38】
image rotate

【図39】
image rotate

【図40】
image rotate

【図41】
image rotate

【図42】
image rotate


【公表番号】特表2010−531226(P2010−531226A)
【公表日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−514066(P2010−514066)
【出願日】平成20年6月25日(2008.6.25)
【国際出願番号】PCT/FR2008/051165
【国際公開番号】WO2009/007604
【国際公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【出願人】(509303958)
【氏名又は名称原語表記】COMMISSARIAT A L’ENERGIE ATOMIQUE
【住所又は居所原語表記】25 rue Leblanc,Immeuble  Le Ponant D ,F−75015 Paris,France
【Fターム(参考)】